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JP2025078370A - テルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックス及びそれを用いた磁気光学デバイス - Google Patents

テルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックス及びそれを用いた磁気光学デバイス Download PDF

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JP2025078370A JP2023190880A JP2023190880A JP2025078370A JP 2025078370 A JP2025078370 A JP 2025078370A JP 2023190880 A JP2023190880 A JP 2023190880A JP 2023190880 A JP2023190880 A JP 2023190880A JP 2025078370 A JP2025078370 A JP 2025078370A
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paramagnetic garnet
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Masanori Ikari
晃 矢作
Akira Yahagi
卓士 松本
Takushi Matsumoto
祐紀 片岡
Yuki Kataoka
恵多 田中
Keita Tanaka
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

Figure 2025078370000001
【課題】出力グレード毎に利用可能なテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックス及びそれを用いた磁気光学デバイスを的確に提供する。
【解決手段】本発明の透明セラミックスは、式(1)の複合酸化物とSiOを0.1%以下で含有する焼結体を含み、
(Tb1-x-ySc(Al1-zSc12(1)
(0.05≦x≦0.45、0<y<0.1、0.5<1-x-y<0.95、0.001<z<0.15、0<y+z<0.2)
外径Rmmが3.5mm以上、長さ14mm以上のロッド形状で、両端面が精密研磨と波長NnmのARコート処理が施され、光学有効径rmmが0.9×Rであり、光学有効径内に入射ビーム径Dで波長Nのレーザービームを入射させた際の平均挿入損失が0.043dB以下で、光学有効径内に30μm超の異物等が無く、10μm以上の異物等の総和が最大4個である。
【選択図】図1

Description

本発明は、テルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックス及びそれを用いた磁気光学デバイスに関し、より詳細には、光アイソレータなどの磁気光学デバイスを構成するのに好適なテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックス及びそれを用いた磁気光学デバイスに関する。
近年、高出力化が可能となってきたこともあり、ファイバーレーザーを用いたレーザー加工機の普及が目覚しい。ところで、レーザー加工機に組み込まれるレーザー光源は、外部からの光が入射すると共振状態が不安定化し、発振状態が乱れる現象が起こる。特に発振された光が途中の光学系で反射されて光源に戻ってくると、発振状態は大きく撹乱される。これを防止するために、通常光アイソレータが光源の手前等に設けられる。
光アイソレータは、ファラデー回転子と、ファラデー回転子の光入射側に配置された偏光子と、ファラデー回転子の光出射側に配置された検光子とからなる。また、ファラデー回転子は、光の進行方向に平行に磁界を加えて利用する。このとき、光の偏波線分はファラデー回転子中を前進しても後進しても一定方向にしか回転しなくなる。更に、ファラデー回転子は光の偏波線分が丁度45度回転される長さに調整される。ここで、偏光子と検光子の偏波面を前進する光の回転方向に45度ずらしておくと、前進する光の偏波は偏光子位置と検光子位置で一致するため透過する。他方、後進する光の偏波は検光子位置から45度ずれている偏光子の偏波面のずれ角方向とは逆回転に45度回転することになる。
すると、偏光子位置における戻り光の偏波面は偏光子の偏波面に対して45度-(-45度)=90度のずれとなり、偏光子を透過できない。こうして前進する光は透過、出射させ、後進する戻り光は遮断する光アイソレータとして機能する。
上記光アイソレータを構成するファラデー回転子として用いられる材料として、近年、(Tb1-x-ySc(Al1-zSc12という組成を有するテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスの普及が進んでいる。例えば、これらの組成や透明性については特開2019-199386号公報(特許文献1)、国際公開第2022/054596号(特許文献2)に詳しい。
またその作製方法については特開2019-104674号公報(特許文献3)、特開2019-207340号公報(特許文献4)、特開2019-199078号公報(特許文献5)、特開2019-199079号公報(特許文献6)、国際公開第2022/054593号(特許文献7)、国際公開第2022/054515号(特許文献8)、特開2023-064774号公報(特許文献9)、特開2023-082887号公報(特許文献10)、特開2023-128125号公報(特許文献11)などに詳しい。
さらに品質などについては特許文献7、国際公開第2022/054595号(特許文献12)、国際公開第2022/085107号(特許文献13)、国際公開第2022/054592号(特許文献14)、国際公開第2022/054594号(特許文献15)、特開2023-128117号公報(特許文献16)などに詳しい。
特開2019-199386号公報 国際公開第2022/054596号 特開2019-104674号公報 特開2019-207340号公報 特開2019-199078号公報 特開2019-199079号公報 国際公開第2022/054593号 国際公開第2022/054515号 特開2023-064774号公報 特開2023-082887号公報 特開2023-128125号公報 国際公開第2022/054595号 国際公開第2022/085107号 国際公開第2022/054592号 国際公開第2022/054594号 特開2023-128117号公報
上記のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスについて、実際の工業利用においては、例えば、レーザー加工機の出力パワーグレードにより、用いられるファラデー回転子の光学品質規格に差が出てくる。低出力用途では、光学有効径内に多少のコントラスト源があっても許容され得るし、高出力用途では当然にコントラスト源のサイズについての管理が厳しくなる。ただし、従来こうした出力パワーグレードに対応したファラデー回転子の光学品質について言及された文献は見当たらない。
なお、特許文献7では、光学有効径内に存在するコントラスト源のサイズや個数を規定することにより、100W超のハイパワーレーザーへの適用が可能になる効果が例示されているに留まり、レーザー加工機の出力パワーグレードにより、コントラスト源のサイズや個数を変動できることについては、何らの示唆もなされていない。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、テルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスをロッド形状に加工してARコート処理をした後に、コントラスト源のサイズと個数、及びビームの挿入損失を段階的に規定することにより、出力グレード毎に利用可能なテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックス及びそれを用いた磁気光学デバイスを的確に提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、その一態様として、下記式(1)で表される複合酸化物と焼結助剤としてSiOを0質量%超0.1質量%以下で含有する焼結体を含むテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスであって、
(Tb1-x-ySc(Al1-zSc12 (1)
(式中、0.05≦x≦0.45、0<y<0.1、0.5<1-x-y<0.95、0.001<z<0.15、0<y+z<0.2である。)
当該テルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスは、
入射ビーム径Dmmが1.6mm以下の場合、外径Rmmが2.2×Dmm以上、且つ3.5mm以上であり、
長さが14mm以上のロッド形状に加工され、その両端面が精密研磨されており、この両端面に波長NnmのARコート処理が施されており、
光学的に利用される光学有効径rmmが下記式(2)で定義される場合に、この光学有効径rmm内に入射ビーム径Dmmで波長Nnmのレーザービームを入射させた際の平均挿入損失が0.043dB以下であり、
r=0.9×R (2)
光学有効径rmm内に30μmを超える異物、異相、ボイドが無く、且つ光学有効径rmm内に10μm~30μmサイズの異物、異相、ボイドの個数の総和が最大4個である。
前記平均挿入損失は0.035dB以下であり、光学面の中心から入射ビーム径Dmmを半径とする円形領域内に10μm~30μmサイズの異物、異相、ボイドの個数の総和は最大1個であることが好ましい。
前記平均挿入損失は0.030dB以下であり、光学有効径rmm内に10μm~30μmサイズの異物、異相、ボイドの個数の総和は最大3個であり、且つ光学面の中心から入射ビーム径Dmmを半径とする円形領域内に10μmを超える異物、異相、ボイドは無いことがより好ましい。
また、当該テルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスは、
入射ビーム径がエキスパンダーにより通常の2倍の径であるD2倍mmに拡張したレーザービームを利用し、この入射ビーム径D2倍mmが1.6mm以上の場合、外径R’mmが2.2×D2倍mm以上、且つ5mm以上であり、
長さが14mm以上のロッド形状に加工され、その両端面が精密研磨されており、この両端面に波長NnmのARコート処理が施されており、
光学的に利用される光学有効径r’mmが下記式(3)で定義される場合に、この光学有効径r’mm内にビーム径D2倍mmで波長Nnmのレーザービームを入射させた際の平均挿入損失が0.030dB以下であり、
r’=0.9×R’ (3)
光学有効径rmm内に10μm~30μmサイズの異物、異相、ボイドの個数の総和が最大2個であり、光学面の中心から2×D2倍mmを半径とする円形領域内に10μmを超える異物、異相が1つも無く、10μm~30μmサイズのボイドの個数が最大2個であり、且つ光学面の中心からD2倍mmを半径とする円形領域内に10μmを超える異物、異相、ボイドが1つも無いことが好ましい。
本発明は、別の態様として、磁気光学デバイスであって、上記のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスを用いて構成される。
本発明の磁気光学デバイスは、上記のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスをファラデー回転子として備え、上記ファラデー回転子の光学軸上の前後に偏光材料を備えた波長帯0.9μm以上、1.1μm以下で利用可能な光アイソレータとしてもよい。
このように、平均挿入損失を規定するとともに、光学有効径rmm内または光学面の中心からDmm、D2倍mm、又は2×D2倍mmを半径とする円形領域内に所定のサイズの異物、異相、ボイドが存在しないように規定することで、出力グレード毎に利用可能なテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックス及びそれを用いた磁気光学デバイスを的確に提供することができ、また、各種出力グレードのレーザー装置等への適用に合わせた適格な光アイソレータなどの磁気光学デバイスを提供することができる。
本発明に係るテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスをファラデー回転子として用いた光アイソレータの構成例を示す断面模式図である。 実施例における異物の一例であって、クラスEのコントラスト例を示す金属顕微鏡画像である。 実施例における異相の一例であって、クラスEのコントラスト例を示す金属顕微鏡画像である。 実施例における異相の別の例であって、クラスEのコントラスト例を示す金属顕微鏡画像である。 実施例におけるボイドの一例であって、クラスEのコントラスト例を示す金属顕微鏡画像である。
[1.テルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックス]
先ず、本発明に係るテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスの一実施の形態について説明する。本実施の形態のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスは、下記式(1)で表されるテルビウム、イットリウム、スカンジウム及びアルミニウムを含有する複合酸化物の焼結体を含む。
(Tb1-x-ySc(Al1-zSc12 (1)
(式中、0.05≦x≦0.45、0<y<0.1、0.5<1-x-y<0.95、0.001<z<0.15、0<y+z<0.2である。)
テルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックス中には、さらに焼結助剤としてSiOを0質量%超、0.1質量%以下で含有することが好ましい。SiOがこの範囲で含有されていると、得られる常磁性ガーネット型セラミックス焼結体の透明性が実用に耐えるレベルまで向上し、且つ安定するため好ましい。
本実施の形態では、ガーネット構造中の6配位サイトと4配位サイトの主成分をアルミニウム(Al)とすることが必須である。これらのサイトの主成分をアルミニウムで構成できると、結晶の結合性が向上し、ひいては波長1064nmにおける30℃±10℃でのdn/dtの平均値を小さくできる。このアルミニウムの6配位サイトと4配位サイトとを占める割合は1-z(0.001<z<0.15)である。
本実施の形態では、8配位サイトの主成分としてテルビウム(Tb)とイットリウム(Y)を選定し、且つテルビウムの濃度を1-x-y(0.5<1-x-y<0.95)、イットリウムの濃度をx(0.05≦x≦0.45)の範囲とする。
本実施の形態では、スカンジウム(Sc)の濃度は、0.001<z<0.15の範囲で添加される。なお、上記式(1)中、yの範囲は0<y<0.1であり、0.001<y<0.03が好ましい。このようにスカンジウムが添加されていることで、高度に透明な焼結体を安定して製造することが可能となる。
本実施の形態のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスは、上記式(1)で表される組成の成分を主成分として含有する。ここで、「主成分として含有する」とは、上記式(1)で表される複合酸化物を90質量%以上含有することを意味する。上記式(1)で表される複合酸化物の含有量は99質量%以上であることが好ましく、99.9質量%以上であることがより好ましく、99.99質量%以上であることが更に好ましい。
本実施の形態のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスは、長さが14mm以上となるように加工処理されて、目的とする磁気光学材料に用いられる。長さを14mm以上とすることで、外装する磁石の構成やサイズにもよるが、正しい磁気回路設計により、波長帯0.9μm以上1.1μm以下の入射光を45度回転させることが可能となるため好ましい。
本実施の形態のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスの外径Rmmは、入射ビーム径Dmmが1.6mm以下の場合、2.2×Dmm以上、且つ3.5mm以上とする。
本実施の形態のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスは、長さが14mm以上のロッド形状となるように加工処理されて、目的とする磁気光学材料に用いられる。長さを14mm以上とすることで、外装する磁石の構成やサイズにもよるが、正しい磁気回路設計により、波長帯0.9μm以上1.1μm以下の入射光を45度回転させることが可能となるため好ましい。また、本実施の形態のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスは、その両端面が光学面として精密研磨される。
本実施の形態のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスは、光学的に利用される光学有効径rmmが下記式(2)で定義される場合に、この光学有効径rmm内に入射ビーム径Dmmで波長Nnmのレーザービームを入射させた際の平均挿入損失が0.043dB以下である。
r=0.9×R (2)
本実施の形態のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスは、光学有効径rmm内に30μmを超える異物、異相、ボイドが無く、且つ光学有効径rmm内に10μm~30μmサイズの異物、異相、ボイドの個数の総和が最大4個である。このように平均挿入損失および異物、異相、ボイドを規定することで、出力40Wまで(安全率を見て実用30Wまで)のグレード用のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスを提供することができる。
また、平均挿入損失は0.035dB以下が好ましく、光学面の中心から入射ビーム径Dmmを半径とする円形領域内に10μm~30μmサイズの異物、異相、ボイドの個数の総和は最大1個とすることが好ましい。これにより、出力80Wまで(安全率を見て実用65Wまで)のグレード用のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスを提供することができる。
更に、平均挿入損失は0.030dB以下がより好ましく、光学有効径rmm内に10μm~30μmサイズの異物、異相、ボイドの個数の総和は最大3個であり、且つ光学面の中心から入射ビーム径Dmmを半径とする円形領域内に10μmを超える異物、異相、ボイドが無いことがより好ましい。これにより、レーザー出力120Wまで(安全率を見て実用100Wまで)のグレード用のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスを提供することができる。
また更に、光学有効径rmm内に10μm~30μmサイズの異物、異相、ボイドの個数の総和は最大2個であり、光学面の中心から2×D2倍mmを半径とする円形領域内に10μmを超える異物、異相は1つも無く、10μm~30μmサイズのボイドの個数は最大2個であり、且つ光学面の中心からD2倍mmを半径とする円形領域内に10μmを超える異物、異相、ボイドは1つも無いことが更に好ましい。これにより、レーザー出力240Wまで(安全率を見て実用200Wまで)のグレード用のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスを提供することができる。
[2.テルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスの製造方法]
次に、本発明に係るテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスの製造方法の一実施の形態について説明する。本実施形態の製造方法は、テルビウム、イットリウム、アルミニウム、及びスカンジウムの各酸化物を混合して混合原料を調製する工程と、混合原料を成形して成形体を得る工程と、成形体を脱脂して脱脂体を得る工程と、脱脂体を焼結して焼結体を得る工程と、焼結体を熱間等方圧加圧(HIP)処理により緻密化させる工程と、緻密化した焼結体をアニール処理する工程と、アニール処理した焼結体を精密研磨する工程と、を含む。なお、HIP処理をそのまま施すと、常磁性ガーネット型透明セラミックスが還元されて若干の酸素欠損を生じてしまう。そのため微酸化HIP処理、ないしはHIP処理後に酸化雰囲気でのアニール処理を施すことにより酸素欠損を回復させることが好ましい。これにより、酸素欠陥吸収のない透明なガーネット型酸化物セラミックスを得ることができる。以下、各工程について説明する。
[2-1.混合原料の調製工程]
本発明で用いる原料としては、テルビウム、イットリウム、スカンジウム、アルミニウムの各酸化物粉末を利用する。この時の原料純度は99.9質量%以上が好ましく、99.99質量%以上が特に好ましい。
それらの元素を所定量秤量し、さらに酸化シリコン(SiO)を0質量%超0.1質量%以下含有して、適宜湿式ボールミル、乃至はビーズミル、またはジェットミルによって処理する。
本発明で用いるガーネット型酸化物粉末原料中には、その後のセラミック製造工程での品質安定性や歩留り向上の目的で、各種の有機添加剤が添加される場合がある。本発明においては、これらについても特に限定されない。即ち、各種の分散剤、結合剤、潤滑剤、可塑剤等が好適に利用できる。ただし、これらの有機添加剤としては、不要な金属イオンが含有されない、高純度のタイプを選定することが好ましい。また、それぞれの有機添加剤の添加順序は、製造しようとする原料の性状(粒度分布等)を管理することを阻害しないよう、適切に設計される必要がある。
[2-2.成形工程]
本実施の形態の製造方法においては、本発明の製造方法においては、通常のプレス成形工程を好適に利用できる。即ち、ごく一般的な、型に充填して一定方向から加圧する一軸プレス工程や変形可能な防水容器に密閉収納して静水圧で加圧する冷間静水圧加圧(CIP(Cold Isostatic Pressing))工程や温間静水圧加圧(WIP(Warm Isostatic Pressing))工程が好適に利用できる。なお、印加圧力は得られる成形体の相対密度を確認しながら適宜調整すればよく、特に制限されないが、例えば市販のCIP装置やWIP装置で対応可能な300MPa以下程度の圧力範囲で管理すると製造コストが抑えられてよい。あるいはまた、成形時に成形工程のみでなく一気に焼結まで実施してしまうホットプレス工程や放電プラズマ焼結工程、マイクロ波加熱工程なども好適に利用できる。更にプレス成形法ではなく、鋳込み成形法による成形体の作製も可能である。加圧鋳込み成形や遠心鋳込み成形、押出し成形等の成形法も、出発原料である酸化物粉末の形状やサイズと各種の有機添加剤との組合せを最適化することで、採用可能である。
なお、本発明の直径4mmのガーネット型透明酸化物セラミックス材料をニアネットで作製するためには、例えば一軸プレス成型冶具の内径が7mmφである冶具を用いることで実現可能である。なお、その長さ方向については、材料周囲を取り囲む磁石の材質やサイズによって変化するため、成形治具としては長めに準備しておくと良い。
[2-3.脱脂工程]
本実施の形態の製造方法においては、通常の脱脂工程を好適に利用できる。即ち、加熱炉による昇温脱脂工程を経ることが可能である。また、この時の雰囲気ガスの種類も特に制限はなく、空気、酸素、水素等が好適に利用できる。その脱脂温度については、添加される有機添加剤の有機成分が十分に分解除去できる温度以上であって、かつ1000℃以下に抑えられた範囲であることが好ましい。
[2-4.焼結工程]
本実施の形態の製造方法において、一般的な焼結工程を好適に利用できる。即ち、抵抗加熱方式、誘導加熱方式等の加熱焼結工程を好適に利用できる。また、この時の雰囲気については特に減圧環境(真空中)であることが好ましい。更にその真空度は1×10-3torr以下が好ましい。真空度がこの範囲に管理されていると、直径が8mmφ以上の大型の焼結体であっても、その中心部まで十分に脱脂体からの脱離酸素ガスを系外排出できるため好ましい。
焼結工程における焼結温度は、1400~1780℃が好ましく、1500~1750℃が特に好ましい。焼結温度がこの範囲にあると、異相析出を抑制しつつ緻密化が促進されるため好ましい。
焼結工程における焼結保持時間は数時間程度で十分だが、焼結体の相対密度は93.8%以上、97.2%以下の範囲で管理することが好ましい。焼結密度の管理は、数回予備実験を重ねることで実施することが可能である。
[2-5.熱間等方圧プレス(HIP)処理工程]
本実施の形態の製造方法においては、焼結工程の後、熱間等方圧プレス(HIP(Hot Isostatic Pressing))処理を行い、焼結体の相対焼結密度が99.9%以上となるまで緻密化させる。焼結工程での相対焼結密度の管理が適切であると、すなわち、焼結粒径が過剰に大きくなっていない状態でHIP処理することができると、焼結体の外周部から中心部に至るまで広く均質にHIP応力が伝達されてクローズドポアが潰れ、焼結体がしっかり緻密化される。換言すれば、応力ムラがなく、意図しない空隙ムラもなく、小さな気泡の残存も少ない、略理想的な焼結体が得られる。
なお、このときの加圧ガス媒体種類は、アルゴン、窒素等の不活性ガス、又はAr-O2が好適に利用できる。加圧ガス媒体により加圧する圧力は、50~300MPaが好ましく、100~300MPaがより好ましい。圧力50MPa未満では透明性改善効果が得られない場合があり、300MPa超では圧力を増加させてもそれ以上の透明性改善が得られず、装置への負荷が過多となり装置を損傷するおそれがある。印加圧力は市販のHIP装置で処理できる196MPa以下であると簡便で好ましい。
また、その際の処理温度(所定保持温度)は1100~1780℃、好ましくは1200~1730℃の範囲で設定される。熱処理温度が1780℃超では酸素欠損発生リスクが増大するため好ましくない。また、熱処理温度が1100℃未満では焼結体の透明性改善効果がほとんど得られない。なお、熱処理温度の保持時間については特に制限されないが、あまり長時間保持すると酸素欠損発生リスクが増大するため好ましくない。典型的には1~3時間の範囲で好ましく設定される。
なお、HIP処理するヒーター材、断熱材、処理容器は特に制限されないが、グラファイト、ないしはモリブデン(Mo)、タングステン(W)、白金(Pt)が好適に利用でき、処理容器としてさらに酸化イットリウム、酸化ガドリニウムも好適に利用できる。特に処理温度が1500℃以下である場合、ヒーター材、断熱材、処理容器として白金(Pt)が使用でき、かつ加圧ガス媒体をAr-O2とすることができるため、HIP処理中の酸素欠損の発生を防止できるため好ましい。処理温度が1500℃を超える場合にはヒーター材、断熱材としてグラファイトが好ましいが、この場合は処理容器としてグラファイト、モリブデン(Mo)、タングステン(W)のいずれかを選定し、さらにその内側に二重容器として酸化イットリウム、酸化ガドリニウムのいずれかを選定したうえで、容器内に酸素放出材を充填しておくと、HIP処理中の酸素欠損発生量を極力少なく抑えられるため好ましい。
[2-6.再焼結工程]
本実施の形態の製造方法においては、前記HIP処理後に、さらにHIP処理温度を超える温度で8時間以上再焼結処理しても良い。ただし、上限温度が1780℃を超えること酸素欠損発生リスクが増大するため好ましくない。再焼結処理時間は処理する焼結体を利用するレーザー出力グレードが高い物ほど長めに取ると良い。
[2-7.アニール処理工程]
本実施の形態の製造方法においては、前記再焼結処理を終えた後に、得られた透明セラミックス焼結体中の酸素欠損を回復させる目的で、前記のHIP処理温度以下、典型的には1000~1500℃にて、酸素雰囲気ないしは大気下で酸化アニール処理(酸素欠損回復処理)を施すことが好ましい。この時の保持時間は、利用するレーザー出力グレードが高くなるほど長くすることが好ましい。例えばレーザー出力40Wまで(安全率を見て実用30Wまで)のグレード用であれば5時間以上、レーザー出力80Wまで(安全率を見て実用65Wまで)のグレード用であれば20時間以上、レーザー出力120Wまで(安全率を見て実用100Wまで)のグレード用であれば40時間以上が好ましい。
[2-8.精密研磨工程]
本実施の形態の製造方法においては、上記一連の製造工程を経た常磁性ガーネット型透明セラミックスについて、その光学的に利用する軸上にある両端面を精密研磨ないし光学研磨することが好ましい。このときの光学面精度は測定波長λ=633nmの場合、レーザー出力40Wまで(安全率を見て実用30Wまで)のグレード用であればλ/2以下が好ましく、レーザー出力80Wまで(安全率を見て実用65Wまで)、及びレーザー出力120Wまで(安全率を見て実用100Wまで)のグレード用であればλ/8以下が特に好ましい。
さらにこの時の光学面粗さについては、精密研磨面の平均粗さが算術平均高さSa≦0.70nm、二乗平均平方根高さSq≦0.89nmであると、すべてのレーザー出力グレードに対応できるため好ましい。
その後はレーザー加工機のレーザー波長に合わせたARコート(反射防止膜)処理を施すことで、すべてのレーザー出力グレードに対応したテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスを提供できる。
[3.磁気光学デバイス]
更に、本発明に係る磁気光学デバイスの一実施形態について説明する。本実施の形態の磁気光学デバイスは、上記のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスを用いて構成されるものである。具体的には、上記のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスにその光学軸と平行に磁場を印加したうえで、偏光子、検光子とを互いにその光軸が45度ずれるようにセットして磁気光学デバイスを構成、利用することが好ましい。特に、上記のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスは、磁気光学デバイスとして、特に波長0.9~1.1μmの光アイソレータのファラデー回転子として好適に使用される。
図1は、本実施の形態の常磁性ガーネット型透明セラミックスからなるファラデー回転子を光学素子として備える磁気光学デバイスである光アイソレータの一例を模式的に示す断面図である。図1に示すように、光アイソレータ100は、その筐体150の内部に、上記の常磁性ガーネット型透明セラミックスからなるファラデー回転子110と、偏光材料からなる偏光子120及び検光子130とを備える。これらは、ファラデー回転子の光学軸112に沿って、偏光子120、ファラデー回転子110、検光子130の順序で配置されている。偏光子120の偏光振動面と検光子130の偏光振動面は、相対角度が45°になるよう配置される。また、光アイソレータ100は、筐体150内にファラデー回転子110の側面のうちの少なくとも1面に、ファラデー回転子110に磁界を印加するための磁石140を備える。
このような光アイソレータ100は産業用ファイバーレーザー装置(図示省略)に好適に利用できる。レーザー光源から発したレーザー光の反射光が光源に戻り、発振が不安定になるのを光アイソレータによって防止することができる。
以下に、実施例、比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[実施例1~17、比較例1~15]
信越化学工業(株)製の酸化テルビウム粉末、酸化イットリウム粉末、酸化スカンジウム粉末、及び大明化学(株)製の酸化アルミニウム粉末を入手した。さらにキシダ化学(株)製のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)の液体を入手した。純度は粉末原料がいずれも99.95質量%以上、液体原料が99.999質量%以上であった。上記原料を用いて、混合比率を調整して表1に示す2種類の最終組成となる複合酸化物原料を作製した。
混合比率の調整方法としては、テルビウム、イットリウム、アルミニウム及びスカンジウムのモル数がそれぞれ表1の各組成のモル比率となるよう各々の酸化物粉末を秤量して混合した。続いてTEOSを、その添加量がSiO換算で表1の質量%になるように秤量して各原料に加えた。
Figure 2025078370000002
そして、それぞれ互いの混入を防止するよう注意しながらエタノール中でアルミナ製ボールミル装置にて分散・混合処理した。処理時間は20時間とした。その後スプレードライ処理を行って、いずれも平均粒径が20μmの顆粒状原料を作製した。得られた2種類の各酸化物原料につき、内径7mmの一軸プレス成形冶具を用いて成形体を各々100本ずつ作製した。長さはいずれも成形体長さが30mmになるよう原料充填量を調整した。その後、すべての成形体につき198MPaの圧力で静水圧プレス処理を施してCIP成形体を得た。得られた成形体をすべてマッフル炉中で800℃、3時間の条件にて脱脂処理して脱脂済成形体を得た。
続いて前記すべての脱脂済成形体を真空焼結炉で1500~1570℃の焼結温度に調整して3時間処理して焼結密度が93.8%以上97.2%以下となる焼結体を得た。
得られた各焼結体をカーボンヒーター製HIP炉に仕込み、Ar中、200MPa、1600℃、3時間の条件でHIP処理した。得られた焼結体はいずれも相対密度が99.9%以上となっていた。また、それらの外観は青みがかった灰色(酸素欠損吸収)を呈していた。
その後、すべてのHIP処理済焼結体を真空焼結炉で1730℃の焼結温度にて15時間加熱処理することにより、焼結体中心部まで含めた全領域にわたる残留気泡の排除を試みた。
続いて、得られた各セラミックス焼結体について、大気加熱炉にて1450℃で30時間アニール処理して、酸素欠損を十分に回復させる処置をほどこした。
その後、得られた各セラミックス焼結体について、いずれもセンタレス外周研削することで外径を4mmに整えた。なお、一般的に焼結体の外径は収縮度合いのばらつきを反映して仕上りサイズがばらつくことが知られている。よってファイバーレーザー加工機などの光学機器に搭載するためには、その外径は高精度に加工されて揃えられていることが好ましい。
その後、いずれも長さ17mmに揃うように切断および精密研磨処理した。この時のサンプルの光学両端面は、光学面精度がλ/8(測定波長λ=633nmの場合)以下であって、精密研磨面の平均粗さが算術平均高さSa≦0.70nm、二乗平均平方根高さSq≦0.89nmとなるように仕上げた。
続いて、組成1のすべてのサンプルの両端面に波長1030nmのARコート(反射防止膜)を施し、組成2のすべてのサンプルの両端面には波長1064nmのARコートを施して一連の評価サンプルを用意した。
さて、上記のようにして得られた各サンプル100本ずつ、計200本について、異物、異相、ボイドなどのコントラスト源の位置と個数とを以下の方法で測定しカウントした。
[コントラスト源の観察方法]
ツァイス社製金属顕微鏡の透過モードを使用し、1.25倍の対物レンズを用いて30μmを超えるサイズの異物、異相、ボイドが無いか、1本ずつ評価した。そしてもしあれば、そのサンプルはいずれもクラスE(比較例8、9、15)に分類した。
続いて5倍及び10倍の対物レンズを用いて大きさが10μmを超えて30μm以下の異物、異相、ボイドが無いか、1本ずつ評価した。そしてもしもあれば、その位置(光学面の中心から入射ビーム径Dmmを半径とする円形領域内にあるのか、又はその外側にあるのか)と個数とをすべてカウントした。その上で、上記個数が5個以上のサンプルはすべてクラスD(比較例4~7と13、14)に分類し、上記個数が4個以下で、且つ半径Dmmの円形領域内に2個以上のものはクラスC(実施例7~9、15~17、比較例3、12)に分類し、更に上記個数が4個以下で、且つ半径Dmmの円形領域内に1個以下のものはクラスB(実施例4~6、12~14、比較例2、11)に分類し、上記個数が3個以下で、且つ半径Dmmの円形領域内には無い(0個)ものはクラスA(実施例1~3、9~11、比較例1、10)に分類した。
なお参考までに、ツァイス社製金属顕微鏡の透過モードで観察される異物、異相、ボンドのコントラスト例を図2~図5に示す。なお、これらコントラスト例は、いずれも30μmを超過したクラスEの観察例に該当する。
続いて組成1のグループについては波長1030nmにて、組成2のグループについては波長1064nmにおいて、以下の方法で挿入損失を各々測定した。
[挿入損失の測定方法]
ARコート付光学サンプルの挿入損失はJIS C 61300-3-2を参考に以下のように測定した。
NKT Photonics社製の波長1030nm及び1064nmレーザー光源と、コリメータレンズ、偏光子、XY軸可動の自動ワークステージ、検光子、Gentec社製のパワーメータ並びにGeフォトディテクタを用いて光学系を内製した。ここで測定サンプルに入射させるビーム径は、NKT Photonics社製レーザー光源付属のファイバー端面から出射される拡散ビームとそれを受けるコリメータレンズのNA並びに距離を調整することで、略1mmφに設定した。
この条件下で、挿入損失の測定は次のように実施した。まずはコリメータレンズを通して出射される平行光をサンプルを通さずにGeフォトディテクタで受光して光の強度I’を読み取り、続いてサンプルを置き、XY治具自動ワークステージを調整してビームが測定サンプルの略中心を透過する位置にセットした上で、再度受光強度I’を測定した。その後、以下の式に基づいて計算により挿入損失を求めた。
挿入損失(dB)=-10×log10(I’/I’)
得られた挿入損失の値について以下の基準で層別した。すなわち得られた挿入損失の値が0.030dB以下のサンプルはクラス1(実施例1、4、7、9、12、15、比較例4)、0.030dBを超えて0.035dB以下のサンプルはクラス2(実施例2、5、8、10、13、16、比較例5、8、13)、0.035dBを超えて0.043dB以下のサンプルはクラス3(実施例3、6、9、11、14、17、比較例6、14、15)、0.043dB以上のものについてはクラス4(比較例1、2、3、7、9、10、11、12)と定義した。
以上により、組成1、2の2種類の組成について、グルーピングを完成させた。得られた結果を表2にまとめた。なお、表2を見て分かる通り、今回のグルーピングでは該当数が0個の比較例も存在したため、これらについては該当なしとした。
Figure 2025078370000003
前記の通り分類された各サンプルについて、下記の要領にて複数の入射パワー設定でのビーム品質(M)とビーム径変化率とを測定・評価した。
[ビーム品質(M)の評価方法]
ビーム品質の測定は、組成1、2共にまとめて波長1070nm、直径1.1mmのコリメートされた(株)IPG製出力可変CWレーザー光を用いて、コヒーレント社製ModeMaster PC Mビーム伝搬アナライザによりM値を測定した。具体的には上記光源とアナライザとの間にワークホルダーをセットし、その後段にワークホルダーを透過してきたレーザー光強度を1000分の1以下に減衰させられるビームセパレータを置き、該ビームセパレータによって出力調整されたビームを前記ビーム伝搬アナライザに導入した。この時のビーム伝搬アナライザのリファレンスプレーン(全面ベゼル)とサンプルホルダーの距離は1.9m、リファレンスプレーンとコリメータの距離は2.1mとした。
測定手順は、まず出力強度10W、20W、40W、80W、120Wの各オリジナルビームのM値を測定し、この時の値をmとした。次に光路中に長さ17mmの各試料を配置し、それぞれの出力強度10W、20W、40W、80W、120Wでの透過光のM値を測定し、npとした。本発明におけるビーム品質はn/mにより評価した。その上でビーム品質n/mが1.04より小さい場合には合格、1.05以上の場合には不合格と判定した。その上で、同一グループの合格範囲のなかで最大のレーザー出力強度をそのグループの合格最大出力と規定した。
[ビーム径変化率の評価方法]
ビーム径変化率の測定は、前述のビーム品質評価測定系と同じ構成の光学系を用いて測定した。即ち波長1070nm、直径1.1mmのコリメートされた(株)IPG製出力可変CWレーザー光を用いて、コヒーレント社製ModeMaster PC Mビーム伝搬アナライザで受光させ、該アナライザのビームプロファイル評価モードを用いてリファレンスプレーン(全面ベゼル)におけるビーム径を測定した。
測定手順は、まず出力強度10W、20W、40W、80W、120Wの各オリジナルビームのビーム径を測定し、この時の値をr0pとした。次に光路中に長さ17mmの各試料を配置し、それぞれの出力強度10W、20W、40W、80W、120Wでの透過光のビーム径を測定し、rとした。本発明におけるビーム径変化率は|(1-r/r0)|×100を計算し、その値が10%以下を合格、10%より大きい場合を不合格と判定した。その上で、同一グループの合格範囲のなかで最大のレーザー出力強度をそのグループの合格最大出力と規定した。以上の要領で測定した各クラス毎の合否結果を表3にまとめた。
Figure 2025078370000004
表3の結果について、さらに次のように品質判定した。すなわちレーザー加工機の実機に本発明のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスを搭載して正常動作させるためには、レーザービームを該セラミックス中に入射させた場合に、ビーム品質(M)とビーム径変化率が両方共に規格内(ビーム品質n/mが1.04以下、且つ、ビーム径変化率|(1-r/r0)|×100が10%以下)でなければならないため、表3の評価結果のうち、低い方の合格最大レーザー出力値をそのクラスの最大レーザー出力値と規定した。
すると、以下のようにまとめられた。すなわちコントラストグループがクラスAで、且つ挿入損失グループがクラス1のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスは最大レーザー出力120Wに適用可能、コントラストグループがクラスBで、且つ挿入損失グループがクラス2のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスは最大レーザー出力80Wに適用可能、コントラストグループがクラスCで、且つ挿入損失グループがクラス3のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスは最大レーザー出力40Wに適用可能、コントラストグループがクラスDで、且つ挿入損失グループがクラス4のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスは最大レーザー出力20Wまでしか適用不能、コントラストグループがクラスEについては最大レーザー出力10Wまでしか適用不能とまとめられた。
なお、実運用では最大レーザー出力値について安全率を設けることが通例である。たとえば最大レーザー出力値120Wのサンプルは常用100Wクラスのレーザー加工機に搭載し、最大レーザー出力値80Wのサンプルは常用65Wクラスのレーザー加工機に搭載し、最大レーザー出力値40Wのサンプルは常用30Wクラスのレーザー加工機に搭載し、最大レーザー出力値が20Wしか適用されないサンプルは常用15Wクラス以下の小型レーザー加工機にしか搭載できないのが通例である。
[実施例18、19、比較例16~19]
実施例1~17、比較例1~15とまったく同様に、前記の表1の組成の原料を追加で作製した。さらに該スラリーを実施例1~17、比較例1~15とまったく同様に分散・混合・スプレードライ処理して平均粒径が20μmの顆粒状原料を作製した。
得られた2種類の各酸化物原料につき、今回は内径10mmの一軸プレス成形冶具を用いて成形体を各々30本ずつ作製した。長さはいずれも成形体長さが30mmになるよう原料充填量を調整した。その後、すべての成形体につき198MPaの圧力で静水圧プレス処理を施してCIP成形体を得た。得られた成形体をすべてマッフル炉中で800℃、3時間の条件にて脱脂処理して脱脂済成形体を得た。
続いて前記すべての脱脂済成形体を真空焼結炉で1500~1570℃の焼結温度に調整して3時間処理して焼結密度が93.8%以上97.2%以下となる焼結体を得た。
得られた各焼結体をカーボンヒーター製HIP炉に仕込み、Ar中、200MPa、1600℃、3時間の条件でHIP処理した。得られた焼結体はいずれも相対密度が99.9%以上となっていた。また、それらの外観は青みがかった灰色(酸素欠損吸収)を呈していた。
その後、すべてのHIP処理済焼結体を真空焼結炉で1730℃の焼結温度にて15時間加熱処理することにより、焼結体中心部まで含めた全領域にわたる残留気泡の排除を試みた。
続いて、得られた各セラミックス焼結体について、大気加熱炉にて1450℃で40時間アニール処理して、酸素欠損を十分に回復させる処置をほどこした。
その後、得られた各セラミックス焼結体について、いずれもセンタレス外周研削することで外径を6.5mmに整えた。その後、いずれも長さ16mmに揃うように切断および精密研磨処理した。この時のサンプルの光学両端面は、光学面精度がλ/8(測定波長λ=633nmの場合)以下であって、精密研磨面の平均粗さが算術平均高さSa≦0.70nm、二乗平均平方根高さSq≦0.89nmとなるように仕上げた。
続いて、組成1のすべてのサンプルの両端面に波長1030nmのARコート(反射防止膜)を施し、組成2のすべてのサンプルの両端面には波長1064nmのARコートを施して一連の評価サンプルを用意した。
上記の要領で得られた各サンプル30本ずつ、計60本について、実施例1~17、比較例1~15と同じ顕微鏡を用い、ただし検査基準のみ下記の方法に変更して、異物、異相、ボイドのコントラスト源の位置と個数とを測定しカウントした。
ツァイス社製金属顕微鏡の透過モードを使用し、1.25倍の対物レンズを用いて30μmを超えるサイズの異物、異相、ボイドが無いか、1本ずつ評価した。そしてもしあれば、そのサンプルは本実施例ではすべて廃棄とした。廃棄とした理由は、本実施例においては120W超のハイパワーレーザーを入射するテストのため、30μmを超える大きな散乱源があるとレーザー照射テスト中に散乱光がサンプル外部に放射してしまい、場合によってはその散乱光によって周囲の物が加熱されて火事が起こる危険があるためである。
続いて5倍及び10倍の対物レンズを用いて大きさが10μmを超えて30μm以下の異物、異相、ボイドが無いか、1本ずつ評価した。そしてもしもあれば、その位置(光学面の中心からD2倍mmを半径とする円形領域内にあるのか、半径が2×D2倍mmである円形領域内にあるのか、又は半径が2×D2倍mmである円形領域の外側にあるのか)と個数とをすべてカウントした。その上で、本実施例においては、まず半径がD2倍mmの円形領域内に10μmを超える異物、異相、ボイドが1つもないサンプルのみを抽出した。その理由は前記と同様で120W超のハイパワーレーザーを入射した際に強い散乱光が発生して発熱危険や試験者の眼に散乱光が入射する危険を回避するためである。つづいて半径がD2倍mmを超えて2×D2倍mm以内の光学領域において、10μmを超える異物、異相が1つも無く、且つ10μm~30μmサイズのボイドの個数が2個以下であって、更に半径が2×D2倍mmを超えた外側の有効径内における10μm~30μmサイズの異物、異相、ボイドの個数の総和が2個以下のグループをクラスα(実施例18、19、比較例16、18)とし、半径が2×D2倍mm以内の光学領域において、10μm~30μmサイズの異物、異相が1つ以上みられたサンプル、ないしは10μm~30μmサイズのボイドの個数が3個以上みられたサンプル、もしくは、2×D2倍mmを超えた外側の有効径内における10μm~30μmサイズの異物、異相、ボイドの個数の総和が3個以上であるサンプル群を、すべてクラスβ(参考例1、2、比較例18、19)として分類した。
その結果、組成1のサンプル群においてはクラスαが7本、クラスβが11本、廃棄が12本であった。また組成2のサンプル群においてはクラスαが14本、クラスβが13本、廃棄が3本であった。
続いて、組成1のグループについては波長1030nmにて、組成2のグループについては波長1064nmにおいて、実施例1~17、比較例1~15とまったく同様の方法にて、挿入損失を各々測定した。
また、得られた挿入損失の値については以下の基準で層別した。すなわち得られた挿入損失の値が0.030dB以下のサンプルはクラス1(実施例18、19、参考例1、2)、0.030dBを超えて0.035dB以下のサンプルはクラス2(比較例16~19)、0.035dBを超えていたサンプルについては廃棄とした。ここで廃棄とした理由は、本実施例においては120W超のハイパワーレーザーを入射するテストのため、挿入損失の値が0.035dBを超える吸収源や散乱源があるサンプルの場合、レーザー照射テスト中にサンプルが異常発熱したり、あるいは散乱光がサンプル外部に放射してしまい、場合によってはその散乱光によって周囲の物が加熱されて火事が起こる危険があるためである。
以上により、本実施例における組成1、2の2種類の組成について、グルーピングを完成させた。得られた結果を表4にまとめた。なお、コントラストグループで廃棄扱いとなった群については、挿入損失は測定していない。また挿入損失グループにおいて廃棄扱いとなったグループについては、この後の評価は実施していない。
Figure 2025078370000005
前記の通り分類された各サンプルについて、入射パワー設定のみ変更し、その他は実施例1~17、比較例1~15とまったく同様の方法にてビーム品質(M)とビーム径変化率とを測定・評価した。なお本実施例における入射ビームの出力強度は120W、180W、240Wの3条件とした。以上の要領で測定した各クラス毎の合否結果を表5にまとめた。
Figure 2025078370000006
表5の結果について、実施例1~17、比較例1~15と同様に低い方の合格最大レーザー出力値をそのクラスの最大レーザー出力値と規定して品質判定した。その結果、以下のようにまとめられた。まずコントラストグループがクラスαで、且つ挿入損失グループがクラス1のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスは最大レーザー出力240Wに適用可能、コントラストグループがクラスβで、且つ挿入損失グループがクラス1のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスは最大レーザー出力180Wに適用可能、挿入損失グループがクラス2のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスは最大レーザー出力120Wに適用可能とまとめられた。
ここで本実施例においてはサンプル外径を大きくし(外径6.5mm)、さらにビーム径をエキスパンダーによって2mmに広げる処置を施している。これらはいずれも製造コストを増大させる負の効果を持つ要素となる。すると適用最大レーザー出力が120Wの比較例群は、こうしたコスト増に見合っていない。
次に、コントラストグループがクラスβで、且つ挿入損失グループがクラス1のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスは最大レーザー出力180Wに適用可能であった。該適用パワーが前記コスト増に見合うか否かはレーザー加工機を実際に設計するレーザー加工機メーカの判断となるため、本特許においては参考例として断定を避けた。
最後に、コントラストグループがクラスαで、且つ挿入損失グループがクラス1のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスは最大レーザー出力240Wに適用可能となり、実施例1、9の最大レーザー出力120Wの2倍に出力アップできた。そこでこちらは間違いなく効果のある実施例として判定した。
なお、実運用では最大レーザー出力値について安全率を設けることが通例である。そこで最大レーザー出力値240Wのサンプルは常用200Wクラスのレーザー加工機に搭載し、最大レーザー出力値180Wのサンプルは常用150Wクラスのレーザー加工機に搭載することが妥当と考えられる。
なお、これまで本発明を上述した実施形態をもって説明してきたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
100 光アイソレータ
110 ファラデー回転子
120 偏光子
130 検光子
140 磁石
150 筐体

Claims (6)

  1. 下記式(1)で表される複合酸化物と焼結助剤としてSiOを0質量%超0.1質量%以下で含有する焼結体を含むテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスであって、
    (Tb1-x-ySc(Al1-zSc12 (1)
    (式中、0.05≦x≦0.45、0<y<0.1、0.5<1-x-y<0.95、0.001<z<0.15、0<y+z<0.2である。)
    当該テルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスは、
    入射ビーム径Dmmが1.6mm以下の場合、外径Rmmが2.2×Dmm以上、且つ3.5mm以上であり、
    長さが14mm以上のロッド形状に加工され、その両端面が精密研磨されており、この両端面に波長NnmのARコート処理が施されており、
    光学的に利用される光学有効径rmmが下記式(2)で定義される場合に、この光学有効径rmm内に入射ビーム径Dmmで波長Nnmのレーザービームを入射させた際の平均挿入損失が0.043dB以下であり、
    r=0.9×R (2)
    光学有効径rmm内に30μmを超える異物、異相、ボイドが無く、且つ光学有効径rmm内に10μm~30μmサイズの異物、異相、ボイドの個数の総和が最大4個である、テルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックス。
  2. 前記平均挿入損失が0.035dB以下であり、光学面の中心から入射ビーム径Dmmを半径とする円形領域内に10μm~30μmサイズの異物、異相、ボイドの個数の総和が最大1個である、請求項1に記載のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックス。
  3. 前記平均挿入損失が0.030dB以下であり、光学有効径rmm内に10μm~30μmサイズの異物、異相、ボイドの個数の総和が最大3個であり、且つ光学面の中心から入射ビーム径Dmmを半径とする円形領域内に10μmを超える異物、異相、ボイドが無い、請求項1又は2に記載のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックス。
  4. 当該テルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスは、
    入射ビーム径がエキスパンダーにより通常の2倍の径であるD2倍mmに拡張したレーザービームを利用し、この入射ビーム径D2倍mmが1.6mm以上の場合、外径R’mmが2.2×D2倍mm以上、且つ5mm以上であり、
    長さが14mm以上のロッド形状に加工され、その両端面が精密研磨されており、この両端面に波長NnmのARコート処理が施されており、
    光学的に利用される光学有効径r’mmが下記式(3)で定義される場合に、この光学有効径r’mm内にビーム径D2倍mmで波長Nnmのレーザービームを入射させた際の平均挿入損失が0.030dB以下であり、
    r’=0.9×R’ (3)
    光学有効径rmm内に10μm~30μmサイズの異物、異相、ボイドの個数の総和が最大2個であり、光学面の中心から2×D2倍mmを半径とする円形領域内に10μmを超える異物、異相が1つも無く、10μm~30μmサイズのボイドの個数が最大2個であり、且つ光学面の中心からD2倍mmを半径とする円形領域内に10μmを超える異物、異相、ボイドが1つも無い、請求項1に記載のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックス。
  5. 請求項1または4に記載のテルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスを用いて構成される磁気光学材料。
  6. 上記テルビウム含有常磁性ガーネット型透明セラミックスをファラデー回転子として備え、上記ファラデー回転子の光学軸上の前後に偏光材料を備えた波長帯0.9μm以上、1.1μm以下で利用可能な光アイソレータである請求項5記載の磁気光学デバイス。
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