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JP2025064084A - 紙カップ用原紙および紙カップ - Google Patents

紙カップ用原紙および紙カップ Download PDF

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JP2025064084A JP2023173541A JP2023173541A JP2025064084A JP 2025064084 A JP2025064084 A JP 2025064084A JP 2023173541 A JP2023173541 A JP 2023173541A JP 2023173541 A JP2023173541 A JP 2023173541A JP 2025064084 A JP2025064084 A JP 2025064084A
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美沙紀 加藤
Misaki Kato
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Abstract

【課題】プラスチックの使用量を低減しつつ、液体を入れてもふやけにくい紙カップ用原紙および紙カップを提供すること。【解決手段】本発明は、紙基材の片面に耐水ヒートシール層を有する紙カップ用原紙であり、前記耐水ヒートシール層の膜厚が2.5~20.0μmであり、耐水ヒートシール層面の動的浸透性テスターにより測定した超音波強度の最大ピーク値に対して測定開始から30秒後の超音波強度の減少差が1.5dB以下であることを特徴とする紙カップ用原紙、および前記紙カップ用原紙を胴紙として使用し、前記紙カップ用原紙の耐水ヒートシール層が内面に配置された紙カップに関する。【選択図】なし

Description

本発明は、プラスチックの使用量を低減しつつ、液体を入れてもふやけにくい紙カップ用原紙および紙カップに関する。
近年、プラスチックゴミ問題が深刻化している。世界のプラスチックの生産量は4億トン/年を超えると言われ、その中でも包装容器セクターでのプラスチック生産量が多く、プラスチックゴミの原因になっている。プラスチックは半永久的に分解せず、そのゴミは自然環境下でマイクロプラスチック化し、生態系に深刻な悪影響を与えている。特に海洋の汚染は著しく、そのプラスチックゴミは回収不可能と言われている。今後、プラスチックの使用を低減することが地球環境にとって必要である。
一方で、プラスチックゴミ対策として微生物によって完全に分解され得る生分解性プラスチックの応用が世界中で提案されている。生分解プラスチックは自然界で一定期間の内に分解されるが、分解されるまではやはりゴミであり、それらの使用量および廃棄量が低減されない限りにおいては、即効性のある対策とは言えない(特許文献1、2参照)。
即効性のある対策手段として、例えば、プラスチックを紙に代替することが提案されており、カップ型容器においても広く使用されている。しかしながら、紙を紙カップに加工する際には、ヒートシール剤として、ポリエチレンやポリプロピレンが多量にラミネートされて使用される。これらプラスチックのラミネート量は、商品コンセプトによって様々だが、概ね片面あたり25~50μmであり、両面合わせて70μmと多量になる場合もある。従って、プラスチックを紙に代替した紙カップにおいても、依然としてプラスチックの使用量は十分に低減されないという問題があり、直接的にプラスチックの使用を低減する手段が必要である(特許文献3参照)。
また、ラミネート紙よりもプラスチック使用量を削減する手段として塗工によりヒートシール剤を塗布することも提案されている。この方法においては、プラスチック樹脂の使用量はラミネート紙よりも削減され、ヒートシール性能も良好となる。しかしながら、樹脂膜が薄くピンホールが発生しやすいため、紙カップとして液体を入れた場合にピンホールから液体が紙基材に浸透し紙基材がふやけて、紙カップの強度が低下するおそれがあり、特に胴紙として使用する場合にカップを握った際にカップが潰れてしまい実用に耐えないという問題がある(特許文献4、5、6参照)。
特開2012-148444号公報 特開2013-141763号公報 特開2017-222033号公報 特開2023-81594号公報 特許第6580291号公報 特開2021-46636号公報
本発明は、プラスチックの使用量を低減しつつ、液体を入れてもふやけにくい紙カップ用原紙および紙カップに関する。
本発明の他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、同業者であれば容易に理解されるであろう。
本発明による紙カップ用原紙は、紙基材の片面に耐水ヒートシール層を有する紙カップ用原紙であり、前記耐水ヒートシール層の膜厚が2.5~20.0μmであり、前記耐水ヒートシール層がある面(以下、耐水ヒートシール層面ともいう)の動的浸透性テスターにより測定した超音波強度の最大ピーク値に対して測定開始から30秒後の超音波強度の減少差が1.5dB以下であることを特徴とする。このような膜厚の構成であれば、カップ成型に必須であるヒートシール適性が良好且つ、プラスチック使用量を必要最小限に抑えた構成となるので、プラスチック使用量が25μmを超える従来のプラスチックラミネート紙(以降、ポリラミ紙と略称する場合がある)と比較して、耐水ヒートシール層に含まれるプラスチックの使用量を削減することができる。また、耐水ヒートシール層面の動的浸透性テスターにより測定した超音波強度の最大ピーク値に対して測定開始から30秒後の超音波強度の減少差は、耐水ヒートシール層面からのみの液体の浸透を考慮した湿潤強度の減少幅と相関する数値であり、この値を1.5dB以下とすることで、薄膜でピンホールが発生しやすい耐水ヒートシール層から紙基材への液体の浸透を抑制できる。
本発明においては、前記紙カップ用原紙の耐水ヒートシール層がある面の動的浸透性テスターにより測定した超音波強度が最大ピークに達するまでの時間が3.0秒以上であることが好ましい。耐水ヒートシール層面が濡れるまでに必要な時間を表しており、この時間が長いほど表面が濡れない、つまり内容物によって着色しにくい紙カップを得ることができる。さらに、本発明においては、前記紙カップ用原紙に設けた耐水ヒートシール層がアイオノマー、エチレンコポリマーから成る群から選択されるいずれか一種以上を含む塗工層であることが好ましい。アイオノマー、エチレンコポリマーはヒートシール性に優れた樹脂であるため、ヒートシール層の塗布量を減らすことが可能となり、従来のポリラミ紙のヒートシール層に使用されているポリエチレンやポリプロピレンと比較してプラスチックの使用量を削減することができる。
本発明においては、紙基材と耐水ヒートシール層の間にバインダーを含むアンダー層を有することが好ましい。さらに、本発明においては、2層または3層以上の耐水ヒートシール層を有することが好ましく、紙基材に最も近い耐水ヒートシール層最下層の塗工量が他の耐水ヒートシール層の塗工量より多いことが好ましい。これらの構成の含むことで、紙カップ用原紙の耐水ヒートシール層面の超音波強度の減少差を1.5dB以下とすることが容易となる。
本発明の紙カップ用原紙を胴紙および底紙として使用し、前記紙カップ用原紙の耐水ヒートシール層が紙カップの内面側に配置された紙カップとすることが好ましい。本発明による紙カップ用原紙においては、耐水ヒートシール層の膜厚が2.5~12.0μmであることが好ましい。当該膜厚であれば、前記紙カップ用原紙を胴紙としてさらに適切に使用することができる。紙コップ中で割合の高い胴紙として使用することでプラスチックの使用量をさらに削減することができる。前記紙カップ用原紙を胴紙として使用する場合、前記紙カップ用原紙の耐水ヒートシール層を紙カップの紙カップの内面側に配置することが好ましい。これにより、液体を入れても胴部がふやけにくい紙カップを得ることができる。
本発明により、プラスチックの使用量を低減しつつ、液体を入れてもふやけにくい紙カップ用原紙および紙カップを製造することが可能である。本発明の紙カップ用原紙および紙カップであれば、仮に自然界にゴミとして不適切に放出された場合であっても、自然環境に与えるプラスチックゴミとしての悪影響を小さくすることが可能であり、プラスチックゴミ問題の解決の一助となる。また、本発明の紙カップ原紙を紙カップの胴紙として使用することで、紙カップに液体を入れて持ち上げた際にも、紙カップの形状を保持できる。なお、本発明における紙カップは、例えば、ホット・アイス飲料用の紙コップ、アイスクリームやホットスナック等の食料用カップおよびサラダ等の食料用ボウル他、胴紙と底紙の2種類の紙を組み合わせて成型する紙製容器全般を含む。
次に、本発明について実施形態の一例を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本実施形態における紙カップ用原紙は、紙基材の片面に耐水ヒートシール層を有し、耐水ヒートシール層の膜厚が2.5~20.0μmであることを特徴とする。この範囲の膜厚のヒートシール層を有していれば、紙コップの胴紙および底紙として適切に使用することができる。好ましくは、2.5~15.0μm、3.0~12.0μm、より好ましくは5.0~10.0μmである。紙コップを形成時に好ましくは内側になる面(内面)(以下、内側面層ということがある。)に設ける耐水ヒートシール層の膜厚をこの範囲とすることで十分なヒートシール性と耐水性を得ることができる。膜厚が2.5μm未満の場合には、十分な耐水性が得られないおそれがある。逆に20.0μmを超える場合には、プラスチックの使用量が増えるためプラスチック削減効果に乏しくなる。さらに、好ましい本実施形態における紙カップ用原紙においては、耐水ヒートシール層の膜厚が2.5~12.0μmであることが好ましい。さらに、好ましくは3.0~9.0μm、より好ましくは5.0~9.0μmである。この範囲の膜厚であれば、より使用量が多い紙カップの胴紙として適切に使用でき、プラスチックの使用量をさらに抑制することができる。なお、上記耐水ヒートシール層の膜厚は、耐水ヒートシール層が2層以上ある場合はその全体の膜厚をいい、その場合においても上記と同様の膜厚を有する。
本発明の紙カップ用原紙の実施形態においては、紙基材の片面に耐水ヒートシール層用塗工液を塗工し、乾燥することで耐水ヒートシール層を設けることができる。耐水ヒートシール層に用いる塗工液は水系エマルジョンであることが好ましい。水系エマルジョンとしては特に限定されないが、アイオノマー、エチレンコポリマー、アクリルポリマー、スチレンポリマー、ポリオレフィンなどを使用することができる。水系エマルジョンを用いることにより、塗工量を比較的低くコントロールすることができ、さらにVOC排出が無くなることで自然環境に対する負荷をより小さくすることができる。
本実施形態において、紙カップ用原紙の耐水ヒートシール層は、アイオノマー、エチレンコポリマーから成る群から選択されるいずれか1種以上を含むことが好ましい。耐水ヒートシール層は、樹脂からなり、加工適性に影響を及ぼさない限り、上記以外のどのような樹脂を含んでも良く、さらに複数の樹脂を混合しても良い。ここでアイオノマーとは、金属イオンによる凝集力を利用し高分子を凝集体とした合成樹脂のことを指し、樹脂と金属カチオンが分子間結合して凝集体となるものすべてを含む。例えば、エチレン・メタクリル酸共重合物の金属塩、エチレン・アクリル酸共重合物の金属塩、エチレン・ウレタン系共重合物の金属塩、エチレン・フッ素系高分子共重合物の金属塩等である。本発明においては、優れた耐水性とヒートシール性を付与できることから、アイオノマーの中でもエチレン・アクリル酸またはエチレン・メタクリル酸の共重合物の金属塩が好ましい。また、エチレンコポリマーとしては、折り曲げ部における耐水性が特に優れることから、エチレン・アクリル酸共重合物、エチレン・メタクリル酸共重合物、エチレン・アクリル酸エステル共重合物、エチレン・メタクリル酸エステル共重合物、エチレン酢酸ビニル共重合物のいずれかであることが好ましい。本発明の紙カップ用原紙においては、ヒートシール性と耐水性に影響を及ぼさない限り、これら以外の樹脂を使用しても良く、さらに複数の樹脂を混合しても良い。
本発明の紙カップ用原紙の実施形態においては、耐水ヒートシール層用塗工液には、アイオノマーおよび、またはエチレンコポリマーを含む水系エマルジョンの他に、各種助剤を本発明の目的とする効果を損なわない範囲で添加してもよい。例えば、粘度調整剤、消泡剤、界面活性剤やアルコールなどのレベリング剤、着色顔料、着色染料、ワックスなどの滑剤、クレーや炭酸カルシウムなどの顔料、ポリビニルアルコールやでんぷんなどのバインダー、などである。しかしながら、これらの助剤の添加はヒートシール強度の低下を招きやすいことから添加する場合には少量であることが好ましく、耐水ヒートシール層用塗工液がアイオノマーおよび、またはエチレンコポリマーを含む水系エマルジョンのみからなることがより好ましい。なお、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で上述以外の助剤を含んでもよい。
本実施形態における紙カップ用原紙は、耐水ヒートシール層を設けた紙基材のもう一方の面に樹脂を含む層(以下、外側面層ということがある。)を設けてもよい。すなわち、耐水ヒートシール層を両面に設けることもできる。ここで用いる樹脂としては特に限定するものではなく、耐水ヒートシール層と同一の樹脂であってもよく、異なる樹脂であってもよい。樹脂としては耐水ヒートシール層とのヒートシール性を向上させるものが好適であり、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂が好ましい。外側面層に用いる樹脂としてヒートシール性を有する樹脂を用いる場合は、当該層の膜厚を0.5~4.0μmとすることが好ましい。外側面層を設ける面は紙カップに加工した際にカップの外面となるが、外面はヒートシールの補助としての役割が大きいため、比較的少量の塗工量でも良く、また、紙基材の全面に塗布されていても良く、紙基材の内面と外面とのヒートシールによる接着に必要な部分にのみ網状、島状、線状などの状態で設けられていても良い。紙基材の外面全面に塗布される場合、冷たい内容物により発生する結露で紙基材の強度が低下することを抑制することもできる。
本発明の紙カップ用原紙の実施形態においては、耐水ヒートシール層が各面に2層以上で形成されていても良い。耐水ヒートシール層を2層または3層以上とすることにより紙カップ用原紙の透気度を高くすることができ、さらに耐水性、耐油性も付与してポリラミ紙と同等レベルのバリア性を得ることができる。耐水ヒートシール層を2層または3層以上とする場合には、紙基材に最も近い耐水ヒートシール層最下層の塗工量が、他の耐水ヒートシール層上層の合計塗工量よりも多い方が好ましい。すなわち、耐水ヒートシール層最下層の膜厚が、他の耐水ヒートシール層上層の合計の膜厚よりも厚い。このように構成することで、紙カップ用原紙の透気度をさらに高くすることができ、耐水性、耐油性がさらに向上する。耐水ヒートシール層が2層以上である場合にも、紙カップ用原紙の片面の耐水ヒートシール層の膜厚は、上記にも示したとおりであるが、2.5~20.0μmであることを特徴とする。さらに、例えば、2.5~12.0μmであることが好ましく、3.0~9.0μmであることが好ましく、5.0~9.0μmであることがさらに好ましい。さらに、耐水ヒートシール層を2層以上とする場合には、耐水ヒートシール層最下層の塗工量が多いほうが好ましい。具体的には、耐水ヒートシール層が2層である場合、耐水ヒートシール層の最下層の膜厚が1.5~15μm、好ましくは1.5~10μm、さらに好ましくは1.5~7.0μmとなるような塗工量とするとよい。また、耐水ヒートシール層の最外層の膜厚は1.0~5.0μm、好ましくは1.0~4.5μmであるとよく、最下層の膜厚:最外層の膜厚の比は1.1:1~3:1、好ましくは1.1:1~2.2:1となるような塗工量とするとよい。
本発明における耐水ヒートシール層用塗工液を塗工する方式としては、特に限定するものではなく、一般に使用されている塗工装置が使用できる。例えばエアーナイフコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、フレキソコーター、ロッドブレードコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダイスロットコーター、チャンプレックスコーター、メータリングブレード式のサイズプレスコーター、ショートドウェルコーター、スプレーコーター、ゲートロールコーター、リップコーター等の公知の各種塗工装置を用いることができる。
本発明においては、耐水ヒートシール層がある面、すなわち、紙カップ用原紙の内側面層となる耐水ヒートシール層面の動的浸透性テスターにより測定した超音波強度の最大ピーク値に対して測定開始から30秒後の超音波強度の減少差(以降、超音波強度の減少差と略称する場合がある)が1.5dB以下であることを特徴とする。好ましくは1.0dB以下、より好ましくは0.5dB以下、例えば0.2dB以下である。動的浸透性テスターは、紙面に対して垂直に超音波を発信し、紙面を通過し紙面の反対側で受信された超音波伝達強度変化を計測することにより液体浸透度を測定する。超音波強度の減少差は、内面の耐水ヒートシール層面からのみの液体の浸透を考慮した湿潤強度の減少幅と相関する数値であり、数値が小さいほど湿潤強度が減少しにくい、つまり紙カップ用原紙を紙カップの胴紙として使用した場合、胴部がふやけにくくなることを示す。この値を1.5dB以下とすることで、薄膜でピンホールが発生しやすい耐水ヒートシール層から紙基材への液体の浸透を抑制でき、液体を入れても胴部がふやけにくい紙カップを得ることができる。この超音波強度の減少差は、JIS P 8135:1998に準拠される湿潤引張強さのように外面や小口からの液体の浸透による湿潤強度の低下も加味される一般的な湿潤強度とは異なり、紙カップ用原紙を紙カップの胴紙として使用した場合、胴紙の内面からの液体の浸透による湿潤強度の減少幅のみを評価できるため、内面に設けた耐水ヒートシール層にできたピンホールからの浸透による胴部のふやけ具合のみを数値化でき、紙カップ用原紙を紙カップの胴紙として使用するのと同じ環境で強度の評価が可能となる。超音波強度の減少差が1.5dB超である場合には、湿潤強度の減少幅が大きく紙カップ用原紙がふやけた状態となるため、このような紙カップ用原紙を胴紙として使用した場合、紙カップを手で持った際にカップが潰れてしまうおそれがある。紙カップ用原紙の耐水ヒートシール層面の超音波強度の減少差を1.5dB以下とするには、均一に耐水ヒートシール層が形成されている必要があり、具体例としては、耐水ヒートシール層用塗工液にレベリング剤を含む、耐水ヒートシール層を2層以上積層させる、耐水ヒートシール層と紙基材の間にアンダー層を設ける等の方法を用いることができる。
本発明においては、紙カップ用原紙の内側面層となる耐水ヒートシール層面の動的浸透性テスターにより測定した超音波強度が最大ピークに達するまでの時間(以降、最大ピーク時間と略称する場合がある)が3.0秒以上であることが好ましい。より好ましくは5.0秒以上、さらに好ましくは8.0秒以上である。最大ピーク時間とは、耐水ヒートシール層面が濡れるまでに必要な時間を表しており、この時間が長ければ長いほど表面が濡れない、つまり内容物によって着色しにくい紙カップを得ることができる。最大ピーク時間が3.0秒未満である場合には、耐水ヒートシール層が濡れやすく、カップに入れた液体がコーヒーや紅茶など色付きの場合、液の触れた部分が着色して美粧性が損なわれるおそれがある。超音波強度が最大ピークに達するまでの時間を3.0秒以上とするには、耐水ヒートシール層の耐水性が十分である必要があり、耐水ヒートシール層を2層以上積層させる、耐水ヒートシール層と紙基材の間にアンダー層を設ける等の方法を用いることができる。
本発明の紙カップ用原紙の実施形態においては、紙基材と耐水ヒートシール層以外に、任意の層を設けても良い。例えば紙基材と耐水ヒートシール層の間にアンダー層を設けても良く、耐水ヒートシール層の反対面に印刷層を設けても良い。
本発明の紙カップ用原紙の実施形態においては、バインダーを含むアンダー層を紙基材と耐水ヒートシール層の間に設けることが好ましい。アンダー層を紙基材と耐水ヒートシール層の間に設けることで、耐水ヒートシール層用塗工液が紙基材に浸透することを防ぐ目止め効果が生じるので、少ない塗工量の耐水ヒートシール層でも欠点の少ない樹脂膜が形成しやすくなり、プラスチックの使用量を増やすことなくより良好な耐水性を有する紙カップを得ることができる。アンダー層の構成としては、顔料とバインダーの併用、若しくはバインダーのみであることが好ましい。例えば、顔料100質量部に対して、5~100質量部のバインダーを含むことができる。アンダー層中の顔料およびバインダーとしては、一般の印刷用塗工紙の塗工層に使用される公知の顔料とバインダーを用いることができるほか、アンダー層には、本発明の目的とする効果を損ねない範囲で各種助剤を含んでもよく、例えば、粘度調節剤、柔軟剤、光沢付与剤、耐水化剤、分散剤、流動変性剤、紫外線吸収剤、安定化剤、帯電防止剤、架橋剤、サイズ剤、蛍光増白剤、着色剤、pH調節剤、消泡剤、可塑剤、防腐剤が含まれていてもよい。アンダー層に用いられる顔料の一例としては、例えば、カオリンクレー、炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウム等)、焼成クレー、タルク、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪藻土、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機顔料、またはアクリル、スチレン、塩化ビニル、ナイロンそのものや、これらを共重合して得られる有機顔料(いわゆるプラスチックピグメント(以降、「PP粒子」と略称する場合がある))などが挙げられる。アンダー層に用いられるバインダーの一例としては、ブタジエン系共重合ラテックス、架橋剤変性澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン性澱粉、両性澱粉などの澱粉類、ゼラチン、カゼイン、大豆タンパク、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂等の合成樹脂類等を例示できる。具体的なアンダー層の構成例としては、顔料として、カオリンクレーを5~35質量部および重質炭酸カルシウムを65~95質量部含み、バインダーとして、リン酸エステル化澱粉を1~5質量部およびスチレンブタジエン共重合ラテックスを15~45質量部含む構成等が挙げられる。
本発明の実施形態においては、紙基材の耐水ヒートシール層の反対面に印刷層を設けてもよい。紙カップ外面には内容物の表示や宣伝として印刷が行われることがあるが、印刷層を設けることによって良好な印刷適性を与えることができる。また、印刷層の上に印刷を施してからさらにその上に耐水ヒートシール層を設けることも可能である。印刷層の構成としては特に限定するものではなく、前述のアンダー層と同様に顔料とバインダーおよび各種助剤を含有させることができ、また、公知の印刷用塗工紙の塗工層と同様の構成とすることができる。
本発明の実施形態においては、紙カップの胴部分のように1枚の胴紙を筒状にヒートシールする場合を想定すると、内面にある耐水ヒートシール層と外面との接着が良好でなくてはならないが、耐水ヒートシール層を紙基材の内面にのみ設ける場合、外面に接着補助層が設けられていることで、良好なヒートシール性を付与できる。接着補助層中には公知のバインダーを用いることができる。このようなバインダーとしては、ブタジエン系共重合ラテックス、架橋剤変性澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン性澱粉、両性澱粉などの澱粉類、ゼラチン、カゼイン、大豆タンパク、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子、ポリエチレンイミン、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂等の合成樹脂類等を例示できる。これら例示した樹脂は、接着特性に優れるため、アイオノマーおよびエチレンコポリマーとの接着補助剤のように働き、良好なヒートシール性とヒートシール強度を付与できる。接着補助剤としてポリエチレンイミンを含むことが好ましい。低温でのヒートシール性に優れる。これらの樹脂は単独で使用してもよく、複数の樹脂を組み合わせても良い。
本発明の紙カップ用原紙の実施形態においては、紙基材を平滑化処理する工程を含んでも良い。紙基材を平滑化処理する方式としては、特に限定するものではなく、一般に使用されているカレンダー装置が使用したカレンダー処理が好ましい。例えば、マシンカレンダー、ソフトカレンダー、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、シューニップカレンダー等の公知の各種平滑化装置を用いることができる。また、片艶クラフト紙などに用いられるような、ヤンキードライヤーの鏡面を転写し平滑化処理する工程を含んでも良い。平滑化処理を行った面に耐水ヒートシール層を塗工することで、耐水ヒートシール層用塗工液が紙基材表面に均一に塗工されやすくなることで高い目止め効果も得られ、良好な耐水性を有する紙カップを得ることができる。また、紙カップに加工した際に外面となる面を平滑化することで、ヒートシール時にカップの内面となる耐水ヒートシール層面と外面の密着性が増し、ヒートシール強度に優れた紙カップを得ることができる。本実施形態においては、紙基材の内面および/または外面のJIS P 8119:1998に基づいたベック平滑度が5秒以上であることが好ましい。より好ましくは10秒以上である。
本発明の紙カップ用原紙の実施形態においては、紙基材にポリアクリルアミドを含有させても良い。紙基材がポリアクリルアミドを含有することで、柔らかさを保ったまま強度が付与され、カップ成型工程において耐水ヒートシール層の折れや破けを防ぐことができる。また、ポリアクリルアミドを含有する紙基材は、ポリアクリルアミドがパルプ繊維間の絡み合いを補強することで紙基材の密度が上がり、密度の高い紙基材は耐水ヒートシール層用塗工液を吸液しにくくなるので、耐水ヒートシール層が紙基材表面に均一に塗工されやすくなり、良好な耐水性を有する紙カップ用原紙を得ることができる。具体的な例としては、紙基材がパルプ100質量部に対して固形分換算で0.05~1.0質量部のポリアクリルアミドを含むことが好ましい。紙基材中のポリアクリルアミドの含有量が0.05質量部未満の場合、紙基材に十分な強度が付与されず折り割れが生じやすくなる。逆に1.0質量部を超える場合、紙料中へのポリアクリルアミドの添加量が多くなりすぎることで抄紙系内が泡立ちやすくなるため、紙基材に欠点や紙切れが発生しやすくなり、操業性が悪化するばかりか、紙力の低下によるトップカール割れが発生するおそれもある。
本発明の紙カップ用原紙の実施形態において、ポリアクリルアミドとしては、特に限定するものではないが、例えばカチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、両性(共重合)ポリアクリルアミド、ノニオン性ポリアクリルアミド、ホフマン変性ポリアクリルアミドが挙げられる。また、ポリアクリルアミドのグラフト重合澱粉を含んでも良い。
本発明の紙カップ用原紙の実施形態においては、紙基材の灰分が2.0質量%以下であることが好ましい。紙基材の灰分を2.0質量%以下とする方法としては、紙基材に填料を含ませないことや、パルプ原料や使用水をクリーナー等の異物除去装置で処理して無機物を除去することで達成できる。紙基材の灰分が2.0質量%を超えると、トップカール割れが発生しやすく、更に紙基材にも十分な強度が付与されないため、紙基材に折り割れが発生し、割れた箇所では耐水性や美粧性が損なわれてしまう。なお、本実施形態において、灰分はJIS P 8251:2003「紙、板紙-灰分試験方法-525℃燃焼法」に基づき測定される。
本発明の紙カップ用原紙の実施形態において用いる紙基材としては、パルプを主成分とする公知の紙基材を用いることができる。紙基材の主成分となるパルプとしては、LBKP(広葉樹晒しクラフトパルプ)、NBKP(針葉樹晒しクラフトパルプ)などの化学パルプ、GP(砕木パルプ)、PGW(加圧式砕木パルプ)、RMP(リファイナーメカニカルパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、CTMP(ケミサーモメカニカルパルプ)、CMP(ケミメカニカルパルプ)、CGP(ケミグランドパルプ)などの機械パルプ、DIP(脱インキパルプ)などの木材パルプおよびケナフ、バガス、竹、コットンなどの非木材パルプを用いることができる。これらは、単独で使用するか、または任意の割合で混合して使用することが可能である。例えば、パルプとして、LBKP(広葉樹晒しクラフトパルプ)をパルプ中70~100質量部使用することができる。また、本発明の目的とする効果を損なわない範囲において、合成繊維をさらに配合することができる。環境保全の観点から、ECF(Elemental Chlorine Free)パルプ、TCF(Total Chlorine Free)パルプ、古紙パルプ、植林木から得られるパルプが好ましい。また、例えば、適切なパルプの叩解度としては、カナダ標準ろ水度(フリーネス)(JIS P 8121:1995「パルプのろ水度試験方法」)で、200~700mlCSF、好ましくは、250~620mlCSF、さらには、400~580mlCSFである。
本実施形態において、前記紙基材のパルプ主成分としてはLBKP(広葉樹晒しクラフトパルプ)を使用することが好ましく、さらに、LBKPに加えて、NBKP(針葉樹晒しクラフトパルプ)を全パルプ100質量部に対して1~50質量部使用することが好ましい。より好ましくは70~95質量部のLBKPおよび5~30質量部のNBKP、例えば、85~95質量部のLBKPおよび5~15質量部のNBKPを使用することが好ましい。さらには、400~500mlCSFの85~95質量部のLBKPおよび480~580mlCSFの5~15質量部のNBKPを組みあわせて使用することが好ましい。さらには、400~500mlCSFの85~95質量部のLBKPおよび480~580mlCSFの5~15質量部のNBKPを組みあわせて使用することが好ましい。NBKPがパルプ中に含まれることで紙基材に適度な強度を付与でき、トップカール割れが発生しにくい紙カップを得ることができる。また、紙カップ使用時に内容物の重さや容器を握る力に対する強度も付与できる。
また、前記紙基材には、各種公知の製紙用添加剤が含まれていてもよい。製紙用添加剤としては、例えば、内添紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、サイズ剤、嵩高剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、蛍光消色剤、ピッチコントロール剤などがある。各種公知の製紙用添加剤の配合方法としては、パルプスラリー中に含んでもよく、または製紙後にサイズプレスやゲートロール等で紙基材の内部に含浸させても良い。例えば、紙基材には、パルプ100質量部に対して、0.05~1.0質量部のサイズ剤を含むことができ、さらには、パルプ100質量部に対して、0.1~0.4質量部のロジンサイズ剤を含むことができる。
紙基材の抄紙方法は、特に限定されるものではなく、長網抄紙機、長網多層抄紙機、円網抄紙機、円網多層抄紙機、長網円網コンビ多層抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種抄紙機で製造できる。また、本発明においては、紙基材としては単層抄きでも多層抄きでも、複数層の貼合品であってもよい。
本発明の実施形態において、紙カップ用原紙の坪量は特に限定するものではないが、例えば100~450g/mであることが好ましい。より好ましくは150~400g/mである。この範囲の坪量であれば、紙カップにより適度な強度を与えられる。本発明の紙カップにおいては、加工適性に影響を及ぼさない限り、これら以外の坪量の紙カップ用原紙を用いても良い。
本発明は、さらに、本発明の紙カップ用原紙を胴紙および底紙として使用し、前記紙カップ用原紙の耐水ヒートシール層が内面側に配置された紙カップに関する。紙カップを加工成型する際に、本発明の紙カップ用原紙を胴紙および底紙として使用し、耐水ヒートシール層を内面に配置することが好ましい。これにより、紙カップのプラスチック使用量を削減しつつ、液体を入れた際にふやけにくい紙カップが得られる。本発明のカップ用原紙のうち胴紙に使用する場合は、耐水ヒートシール層の膜厚が2.5~12.0μmであることが好ましい。当該膜厚であれば、紙基材の内側面層に設けられる耐水ヒートシール層の膜厚をこの範囲とすることで十分なヒートシール性と耐水性を得ることができるだけでなく、プラスチックの使用量を大幅に削減できるからである。さらに、本発明は、耐水ヒートシール層の膜厚が2.5~12.0μmである前記紙カップ用原紙を胴紙として使用し、前記紙カップ用原紙の耐水ヒートシール層が内面側に配置された紙カップに関する。使用量の多い胴紙に本発明の紙カップ用原紙を使用することで、プラスチック使用量をさらに削減することができる。また、少なくとも胴紙として本発明の紙カップ用原紙を使用することで、プラスチックの使用量を低減しつつ、液体を入れてもふやけにくく、着色しにくい紙カップを製造することができる。また、胴紙に加えて底紙としても本発明の紙カップ用原紙を使用することができる。ただし、本発明の紙カップ用原紙を底紙としてのみ使用することは好ましくない。本発明の紙カップ用原紙を底紙としてのみ使用する場合、胴紙に使用する原紙によっては、カップふやけ、コーヒー着色に優れた紙カップが必ずしも得られるわけではないからである。
前記紙カップの底紙は少なくとも片面に耐水ヒートシール層を有する任意の紙カップ用原紙を使用することもできる。底紙の内面の耐水ヒートシール層の膜厚は、6.0~20.0μmであることが好ましい。より好ましくは7.0~15.0μmであり、さらに好ましくは9.0~12.0μmである。紙基材の内面に設ける耐水ヒートシール層の膜厚をこの範囲とすることで、折り曲げ時の耐水ヒートシール層の割れや破れ防止とプラスチック使用量の削減を両立することができる。膜厚が6.0μm未満の場合には、折り曲げ加工で耐水ヒートシール層の割れや破けが発生しやすく、欠点から液の浸透が発生し底紙の着色や液漏れが発生するおそれがある。20.0μmを超える場合には、折り曲げ加工で耐水ヒートシール層の割れや破けが発生しにくくなるが、プラスチック削減効果に乏しくなる。また、上記のように本発明の紙カップ用原紙を底紙として使用することもできる。プラスチックの使用量をさらに低減しつつ、液体を入れてもふやけにくい紙カップ用原紙および紙カップを製造することが可能となる。この場合においては、底紙の耐水ヒートシール層の膜厚は、6.0~20.0μm、例えば、7.0~15.0μm、8.0~12.0μmとすればよい。
本発明の実施形態において、胴紙および底紙から紙カップを成型する方法は特に限定されるものではなく、一般的に公知の紙カップの製造方法に準拠して製造できる。胴紙および底紙の打ち抜き形状は問わない。ヒートシール方式も特に限定はなく、熱風式や熱板式、超音波式等の方式を単体もしくは複数組み合わせて使用することができる。本発明の紙カップにおいては、加工適性に影響を及ぼさない限り、これら以外の製造方法を用いても良い。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示す。なお、添加部数は、固形分換算の値である。
(実施例1)
(紙基材の作製)
カナディアンスタンダードフリーネス450mlcsfの広葉樹晒クラフトパルプ90部、カナディアンスタンダードフリーネス520mlcsfの針葉樹晒クラフトパルプ10部、カチオン性ポリアクリルアミド(商品名:ポリストロン705、荒川化学工業社製)0.3部、中性ロジンサイズ剤(商品名:CC167、星光PMC社製)0.2部に水を加えて紙料を調製し、長網多筒式抄紙機を用いて基紙を作製し、カレンダーによる平滑化処理を行い坪量が230g/mである紙基材を得た。
(胴紙用の紙カップ用原紙の作製)
上記で得られた紙基材の片面に、水系アイオノマーエマルジョン(商品名:ケミパールS-300、三井化学社製、組成:エチレン・メタクリル酸共重合物の金属塩)を乾燥後膜厚が4.0μmになるようにエアーナイフコーターを用いて塗工し、乾燥して1層目の耐水ヒートシール層を設け、1層目の耐水ヒートシール層の上に、水系アイオノマーエマルジョン(商品名:ケミパールS-300、三井化学社製、組成:エチレン・メタクリル酸共重合物の金属塩)を用いて2層目の耐水ヒートシール層を乾燥後膜厚が2.0μmとなるようにエアーナイフコーターを用いて塗工して乾燥し、2層合わせた合計の膜厚を6.0μmとなる胴紙用の紙カップ用原紙を作製した。
(底紙用の紙カップ用原紙の作製)
上記で得られた紙基材の片面に、水系アイオノマーエマルジョン(商品名:ケミパールS-300、三井化学社製、組成:エチレン・メタクリル酸共重合物の金属塩)を乾燥後膜厚が5.0μmになるようにエアーナイフコーターを用いて塗工し、乾燥して1層目の耐水ヒートシール層を設け、1層目の耐水ヒートシール層の上に、水系アイオノマーエマルジョン(商品名:ケミパールS-300、三井化学社製、組成:エチレン・メタクリル酸共重合物の金属塩)を用いて2層目の耐水ヒートシール層を乾燥後膜厚が4.0μmとなるようにエアーナイフコーターを用いて塗工して乾燥し、2層合わせた合計の膜厚を9.0μmとなる底紙用の紙カップ用原紙を作製した。
(紙カップの作製)
得られた紙カップ用原紙を各々胴紙と底紙として用いてヒートシール式紙コップ成型機で、100個/分の速度で容量16oz、高さ126mm、上部内径83mm、下部内径59mmの紙カップを成型した。
(実施例2)
実施例1において、胴紙の耐水ヒートシール層の膜厚を1層目1.5μm、2層目1.0μmとし、2層合わせた合計の膜厚を2.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして紙カップを作製した。
(実施例3)
実施例1において、胴紙の耐水ヒートシール層の膜厚を1層目5.0μm、2層目4.0μmとし、2層合わせた合計の膜厚を9.0μmに変更した以外は、実施例1と同様にして紙カップを作製した。すなわち、本実施例1、2、3、4、9および比較例1,2で使用される底紙用の紙カップ用原紙と同様の方法で胴紙用の紙カップ用原紙を作製した。
(実施例4)
(アンダー層用塗工液の調製)
カオリンクレー(商品名:コンツアー1500、イメリス社製)20部および重質炭酸カルシウム(商品名:カービラックス、イメリス社製)80部に分散剤(商品名:アロンT-50、東亜合成社製)0.2部を加え、加水してコーレス分散機を用いて水分散し、顔料スラリーを作製した。この顔料スラリーに、バインダーとしてリン酸エステル化澱粉(商品名:MS4600、日本食品加工社製)2部およびスチレンブタジエン共重合ラテックス(商品名:L-1432X、旭化成ケミカルズ社製、粒子径182nm)30部を添加し、さらに水を加えて分散させ、固形分濃度50%のアンダー層用塗工液を調製した。
(アンダー層付き紙基材の作製)
実施例1で得られた紙基材の片面に、アンダー層用塗工液を乾燥塗工量が20g/mになるようにブレードコーターを用いて塗工、乾燥し、カレンダーによる平滑化処理を行い坪量が250g/mのアンダー層付き紙基材を作製した。
(胴紙用の紙カップ用原紙の作製)
上記で得られたアンダー層付き紙基材のアンダー層面に、水系アイオノマーエマルジョン(商品名:ケミパールS-300、三井化学社製、組成:エチレン・メタクリル酸共重合物の金属塩)を乾燥後膜厚が2.5μmになるようにエアーナイフコーターを用いて塗工し、乾燥して耐水ヒートシール層を設け、胴紙用の紙カップ用原紙を作製した。
(底紙用の紙カップ用原紙の作製)
実施例1で得られた紙基材の片面に、水系アイオノマーエマルジョン(商品名:ケミパールS-300、三井化学社製、組成:エチレン・メタクリル酸共重合物の金属塩)を乾燥後膜厚が5.0μmになるようにエアーナイフコーターを用いて塗工し、乾燥して1層目の耐水ヒートシール層を設け、1層目の耐水ヒートシール層の上に、水系アイオノマーエマルジョン(商品名:ケミパールS-300、三井化学社製、組成:エチレン・メタクリル酸共重合物の金属塩)を用いて2層目の耐水ヒートシール層を乾燥後膜厚が4.0μmとなるようにエアーナイフコーターを用いて塗工して乾燥し、2層合わせた合計の膜厚を9.0μmとなる底紙用の紙カップ用原紙を作製した。すなわち、実施例1と同様に底紙用の紙カップ用原紙を作製した。
(紙カップの作製)
得られた紙カップ用原紙を各々胴紙と底紙として用いてヒートシール式紙コップ成型機で、100個/分の速度で容量16oz、高さ126mm、上部内径83mm、下部内径59mmの紙カップを成型した。
(実施例5)
実施例1において、底紙の耐水ヒートシール層の膜厚を1層目4.0μm、2層目2.0μmとし、2層合わせた合計の膜厚を6.0μmに変更した以外は、実施例1と同様にして紙カップを作製した。
(実施例6)
実施例1において、底紙の耐水ヒートシール層の膜厚を1層目9.0μm、2層目6.0μmとし、2層合わせた合計の膜厚を15.0μmに変更した以外は、実施例1と同様にして紙カップを作製した。
(実施例7)
実施例1において、胴紙および底紙の耐水ヒートシール層に使用する樹脂を水系エチレン・アクリル酸共重合物エマルジョン(商品名:MICHEM FLEX P1883、マイケルマン社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして紙カップを作製した。
(実施例8)
実施例1において、底紙の耐水ヒートシール層に使用する樹脂を低密度ポリエチレン(商品名:ペトロセン(登録商標)204、東ソー社製)に変更し、底紙の耐水ヒートシール層の膜厚を20μmになるようにラミネートした以外は、実施例1と同様にして紙カップを作製した。
(実施例9)
実施例1において、胴紙の耐水ヒートシール層の膜厚を1層目10.0μmとし、2層目を塗工しなかった以外は、実施例1と同様にして紙カップを作製した。
(比較例1)
実施例1において、胴紙の耐水ヒートシール層の膜厚を1層目2.0μmとし、2層目を塗工しなかった以外は、実施例1と同様にして紙カップを作製した。
(比較例2)
実施例1において、胴紙の耐水ヒートシール層の膜厚を1層目6.0μmとし、2層目を塗工しなかった以外は、実施例1と同様にして紙カップを作製した。
各実施例および比較例で得られた紙カップについて、以下に示す方法により評価を行った。得られた結果を表1に示す。
(1)超音波強度の減少差
emco社製動的浸透性テスターDPM33にて、液体として温度23±1℃の蒸留水を使用し、温度23±1℃、湿度50±2%RHの環境下で十分調湿した胴紙の内面耐水ヒートシール層面を測定面とし、蒸留水に浸漬して超音波強度の最大ピーク値に対して測定開始から30秒後の超音波強度の減少差を測定した。条件は、測定周波数:2MHz、測定径:10mmφ、開始時間0秒、測定時間30秒とした。
(2)超音波強度の最大ピーク時間
emco社製動的浸透性テスターDPM33にて、液体として温度23±1℃の蒸留水を使用し、温度23±1℃、湿度50±2%RHの環境下で十分調湿した胴紙の内面耐水ヒートシール層面を測定面とし、蒸留水に浸漬して超音波強度が最大ピークに達するまでの時間を最大ピーク時間として測定した。条件は、測定周波数:2MHz、測定径:10mmφ、開始時間0秒、測定時間30秒とした。
(3)ヒートシール材破性
得られた紙カップの胴と底の接着部を手で剥がし、剥離面を目視によって評価した。
○:シール部の全部分が紙基材から材破しており、実用できる。
△:シール部の一部が紙基材から材破しており、実用できる。
×:シール部が耐水ヒートシール層の界面で剥離している、または接着しておらず、実用できない。
(4)カップふやけ
得られた紙カップに90℃に温めたホットコーヒーをカップの容量の8割まで注ぎ、23℃環境で30分静置した。30分後にカップ胴部のコーヒーが入っている部分を手で握って持ち上げ、カップの形状が変化するか評価した。
○:握っても固さを保っており、実用できる。
△:僅かに指が食い込んだが、実用できる。
×:指が大きく食い込む、またはふやけすぎて持ち上げられず、実用できない。
(5)コーヒー着色
(4)で得られた試験後の紙カップからコーヒーを取り除きカップの表面に残った液を拭き取り、カップ内側の着色具合を目視で評価した。
○:全面が着色しておらず、実用できる。
△:一部が着色しているが、実用できる。
×:半分以上が染色している、または外面まで液が浸透しているため、実用できない。
Figure 2025064084000001
表1より明らかなように、実施例1~9による紙カップは比較例1~2で得られた紙カップと比較して、ヒートシール材破性、カップふやけ、コーヒー着色に優れており、プラスチック使用量も削減できる。この結果が示す様に、本発明の紙カップ用原紙を使用することによって、プラスチックの使用量を低減しつつ、液体を入れても胴部がふやけにくく、さらに着色しにくい紙カップを提供することができる。比較例1による胴紙用の紙カップ用原紙は膜厚が十分でなく、また比較例2による胴紙用の紙カップ用原紙は超音波強度の減少差が大きく、ふやけに弱い胴紙用の紙カップ用原紙しか得られなかった。さらに、比較例1および2においては、実施例3において胴紙として使用されている本発明の紙カップ用原紙を底紙としてのみ使用した紙カップであるが、カップふやけ、コーヒー着色に優れた紙カップを得ることができなかった。

Claims (8)

  1. 紙基材の片面に耐水ヒートシール層を有する紙カップ用原紙であり、前記耐水ヒートシール層の膜厚が2.5~20.0μmであり、前記耐水ヒートシール層がある面の動的浸透性テスターにより測定した超音波強度の最大ピーク値に対して測定開始から30秒後の超音波強度の減少差が1.5dB以下であることを特徴とする紙カップ用原紙。
  2. 前記紙カップ用原紙の耐水ヒートシール層がある面の動的浸透性テスターにより測定した超音波強度が最大ピークに達するまでの時間が3.0秒以上であることを特徴とする、請求項1に記載の紙カップ用原紙。
  3. 前記紙カップ用原紙の耐水ヒートシール層がアイオノマー、エチレンコポリマーから成る群から選択されるいずれか一種以上を含む塗工層であることを特徴とする、請求項1に記載の紙カップ用原紙。
  4. 紙基材と耐水ヒートシール層の間にバインダーを含むアンダー層を有することを特徴とする、請求項1に記載の紙カップ用原紙。
  5. 2層または3層以上の耐水ヒートシール層を有し、紙基材に最も近い耐水ヒートシール層最下層の塗工量が他の耐水ヒートシール層の塗工量より多いことを特徴とする、請求項1に記載の紙カップ用原紙。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の紙カップ用原紙を胴紙および底紙として使用し、前記紙カップ用原紙の耐水ヒートシール層が内面側に配置された紙カップ。
  7. 前記耐水ヒートシール層の膜厚が2.5~12.0μmであることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の紙カップ用原紙。
  8. 請求項7に記載の紙カップ用原紙を胴紙として使用し、前記紙カップ用原紙の耐水ヒートシール層が内面側に配置された紙カップ。
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