以下、本発明のインダクタ部品について説明する。なお、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更されてもよい。また、以下において記載する個々の好ましい構成を複数組み合わせたものもまた本発明である。
以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示す構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。実施形態2以降では、実施形態1と共通の事項についての記載は省略し、異なる点を主に説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態毎に逐次言及しない。
以下の説明において、各実施形態を特に区別しない場合、単に「本発明のインダクタ部品」と言う。
以下に示す図面は模式図であり、その寸法、縦横比の縮尺等は実際の製品と異なる場合がある。
本明細書中、要素間の関係性を示す用語(例えば、「平行」、「垂直」、「直交」等)及び要素の形状を示す用語は、文字通りの厳密な態様のみを意味するだけではなく、実質的に同等な範囲、例えば、数%程度の差異を含む範囲も意味する。
本発明のインダクタ部品は、絶縁層を含む素体と、少なくとも一部が電気的に接続されることにより螺旋状に巻回されたコイルを構成し、かつ、上記素体の内部に設けられた内部配線と、上記コイルに電気的に接続された外部電極と、を備え、上記絶縁層には、上記内部配線と上記絶縁層との界面を起点として上記内部配線の表面に対して傾いて延びる溝が設けられている、ことを特徴とする。
[実施形態1]
本発明のインダクタ部品の一例を、本発明の実施形態1のインダクタ部品として以下に説明する。
図1は、本発明の実施形態1のインダクタ部品の一例を示す斜視模式図である。
図1に示すインダクタ部品1Aは、素体10と、コイル20と、第1外部電極30aと、第2外部電極30bと、を有している。
本明細書中、長さ方向、高さ方向、及び、幅方向を、図1等に示すように、各々、L、T、及び、Wで定められる方向とする。ここで、長さ方向Lと高さ方向Tと幅方向Wとは、互いに直交している。
図1に示すように、インダクタ部品1Aにおいて、素体10の表面は、長さ方向Lに相対する端面11a及び端面11bと、高さ方向Tに相対する天面12a及び底面12bと、幅方向Wに相対する側面13a及び側面13bと、を含んでいる。インダクタ部品1Aにおいて、幅方向Wは、コイル20のコイル軸方向に平行である。つまり、インダクタ部品1Aにおいて、素体10の表面は、コイル軸方向に平行な底面12bと、コイル軸方向に直交する高さ方向Tにおいて底面12bに相対する天面12aと、を含んでいる。
本実施形態では、特に断らない限り、コイル軸方向を幅方向Wに平行な方向とする。
インダクタ部品1Aにおいて、素体10の底面12bは、実装面である。より具体的には、素体10の底面12bは、インダクタ部品1Aの実装時に実装対象物(例えば、基板)に対向する実装面である。よって、インダクタ部品1Aでは、素体10の実装面、すなわち、素体10の底面12bがコイル軸方向に平行である。
素体10の表面のうちの少なくとも1つの面、すなわち、端面11a、端面11b、天面12a、底面12b、側面13a、及び、側面13bの少なくとも1つの面には、各面を識別しやすくするためのマーキングが施されていてもよい。
素体10の端面11a及び端面11bは、長さ方向Lに厳密に直交している必要はない。また、素体10の天面12a及び底面12bは、高さ方向Tに厳密に直交している必要はない。更に、素体10の側面13a及び側面13bは、幅方向Wに厳密に直交している必要はない。
図1に示すように、素体10は、例えば、直方体状である。
本明細書中、直方体状は、実質的に直方体状と言える形状であればよく、例えば、後述するように角部及び稜線部に丸みが付けられている略直方体状を含む。
素体10は、角部及び稜線部に丸みが付けられていることが好ましい。素体10の角部は、素体10の3面が交わる部分である。素体10の稜線部は、素体10の2面が交わる部分である。
図1に示すように、素体10は、絶縁層を含んでいる。
図1に示す例において、素体10は、複数の絶縁層がコイル軸方向に積層されてなる。
図1に示す例において、複数の絶縁層は、絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、及び、絶縁層15dを含んでいる。
なお、図1には示していないが、コイル軸方向における絶縁層15bと絶縁層15cとの間には、少なくとも1つの絶縁層が存在している。
なお、図1では、説明の便宜上、複数の絶縁層間の境界が示されているが、実際にはこれらの境界が明瞭に現れていない。
絶縁層を構成する絶縁材料としては、例えば、硼珪酸ガラスを主成分とするガラス材料、セラミックス材料、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリマー樹脂等の有機材料、ガラスエポキシ樹脂等の複合材料等が挙げられる。絶縁材料としては、特に、誘電率及び誘電損失が小さい材料が好ましい。
複数の絶縁層を構成する絶縁材料は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
複数の絶縁層のコイル軸方向における寸法は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
図1に示すように、コイル20は、素体10の内部に設けられ、かつ、コイル軸方向に沿って螺旋状に巻回されている。
コイル20のコイル軸方向は、コイル20のコイル軸Cが延びる方向であり、上述したように素体10の実装面である底面12bに平行である。
コイル20は、素体10の内部に設けられた内部配線25の少なくとも一部が電気的に接続されることにより、螺旋状に巻回された状態で構成されている。
内部配線25は、第1内部配線25a及び第2内部配線25bを含んでいる。
第1内部配線25aは、内部配線25において、コイル軸方向における素体10の側面13a側の最外位置に存在している。
第1内部配線25aは、第1外部電極30aに接続されている。
第2内部配線25bは、内部配線25において、コイル軸方向における素体10の側面13b側の最外位置に存在している。
第2内部配線25bは、第2外部電極30bに接続されている。
なお、図1には示していないが、コイル軸方向における第1内部配線25aと第2内部配線25bとの間には、少なくとも1つの内部配線が存在している。
第1内部配線25aは、第1コイル配線21aと、第1引出配線22aと、を含んでいる。
第2内部配線25bは、第2コイル配線21bと、第2引出配線22bと、を含んでいる。
コイル20は、内部配線25の少なくとも一部、より具体的には、第1コイル配線21a及び第2コイル配線21bを含む複数のコイル配線がコイル軸方向に積層されつつ電気的に接続されてなる。つまり、第1コイル配線21a及び第2コイル配線21bは、各々、コイル20を構成している。
第1コイル配線21aは、単層構造を有していてもよいし、複層構造を有していてもよい。
第2コイル配線21bは、単層構造を有していてもよいし、複層構造を有していてもよい。
なお、図1には示していないが、コイル軸方向における第1コイル配線21aと第2コイル配線21bとの間には、少なくとも1つのコイル配線が存在している。
コイル配線を構成する導電材料としては、例えば、Ag、Au、Cu、Pd、Ni、Al、これらの金属の少なくとも1種を含有する合金等が挙げられる。
複数のコイル配線を構成する導電材料は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
複数のコイル配線のコイル軸方向における寸法は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
複数のコイル配線について、コイル軸方向から見たときのコイル配線が延びる方向に直交する方向における寸法、つまり、コイル軸方向から見たときの幅は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。
複数のコイル配線のうち、コイル軸方向に隣り合うコイル配線は、その隣り合うコイル配線間の絶縁層をコイル軸方向に貫通する接続導体を介して電気的に接続されていてもよい。つまり、コイル20は、コイル軸方向に積層された複数のコイル配線が接続導体を介して電気的に接続されてなっていてもよい。
接続導体は、単層構造を有していてもよいし、複層構造を有していてもよい。
接続導体を構成する導電材料としては、例えば、Ag、Au、Cu、Pd、Ni、Al、これらの金属の少なくとも1種を含有する合金等が挙げられる。
なお、上述したように、図1に示す例では、第1コイル配線21a及び第2コイル配線21bに少なくとも1つのコイル配線を加えた3つ以上のコイル配線でコイル20を構成するとしたが、接続導体の位置を調整することにより、第1コイル配線21a及び第2コイル配線21bのみでコイル20を構成することが可能である。
コイル軸方向から見たとき、コイル20は、直線部のみで構成される形状であってもよいし、曲線部のみで構成される形状であってもよいし、直線部及び曲線部で構成される形状であってもよい。例えば、コイル軸方向から見たとき、コイル20は、例えば、円形状であってもよいし、楕円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。
図1に示すように、第1外部電極30aは、コイル20の一方端部に電気的に接続されている。より具体的には、図1に示すように、コイル20を構成する第1コイル配線21aは、第1引出配線22aを介して、第1外部電極30aに電気的に接続されている。つまり、第1引出配線22aは、第1コイル配線21a及び第1外部電極30aを接続している。
第1引出配線22aは、単層構造を有していてもよいし、複層構造を有していてもよい。
図1に示すように、第2外部電極30bは、コイル20の他方端部に電気的に接続されている。より具体的には、図1に示すように、コイル20を構成する第2コイル配線21bは、第2引出配線22bを介して、第2外部電極30bに電気的に接続されている。つまり、第2引出配線22bは、第2コイル配線21b及び第2外部電極30bを接続している。
第2引出配線22bは、単層構造を有していてもよいし、複層構造を有していてもよい。
引出配線を構成する導電材料としては、例えば、Ag、Au、Cu、Pd、Ni、Al、これらの金属の少なくとも1種を含有する合金等が挙げられる。
第1引出配線22a及び第2引出配線22bを構成する導電材料は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
本明細書中、コイル軸方向から見たときに、コイル配線が外部電極に電気的に接続される経路において、コイル配線の直線状部分に対して傾きつつ、外部電極に向かって延びている配線を引出配線とする(例えば、図1に示す例)。この場合、コイル軸方向から見たときに、コイル配線及び引出配線は、両者の接続部を境にして同一直線上に存在していない。なお、コイル軸方向から見たときに、上述したように定められる引出配線に該当する配線が見当たらない場合、コイル軸方向から見たときにコイルの周回部に重なっていない(コイルの周回部からはみ出している)配線を引出配線とする(例えば、図1と異なる例)。
図1に示すように、第1外部電極30aは、少なくとも素体10の底面12bに露出していることが好ましい。
図1に示す例において、第1外部電極30aは、素体10の底面12bの一部から端面11aの一部にわたって延びている。つまり、図1に示す例において、第1外部電極30aは、素体10の底面12bの一部に加えて、素体10の端面11aの一部にも露出している。
なお、第1外部電極30aは、素体10の底面12bのみに露出していてもよい。
図1に示すように、第2外部電極30bは、少なくとも素体10の底面12bに露出していることが好ましい。
図1に示す例において、第2外部電極30bは、素体10の底面12bの一部から端面11bの一部にわたって延びている。つまり、図1に示す例において、第2外部電極30bは、素体10の底面12bの一部に加えて、素体10の端面11bの一部にも露出している。
なお、第2外部電極30bは、素体10の底面12bのみに露出していてもよい。
以上のように、第1外部電極30a及び第2外部電極30bは、コイル軸方向に直交する方向(ここでは、長さ方向L)に互いに離れるように設けられている。
また、第1外部電極30a及び第2外部電極30bが、各々、実装面である素体10の底面12bに露出していると、インダクタ部品1Aの実装性が向上しやすくなる。
図1に示す例において、第1外部電極30aのコイル軸方向における寸法は、素体10のコイル軸方向における寸法よりも小さい。
なお、第1外部電極30aのコイル軸方向における寸法は、素体10のコイル軸方向における寸法と同じであってもよい。
図1に示す例において、第2外部電極30bのコイル軸方向における寸法は、素体10のコイル軸方向における寸法よりも小さい。
なお、第2外部電極30bのコイル軸方向における寸法は、素体10のコイル軸方向における寸法と同じであってもよい。
外部電極を構成する導電材料としては、例えば、Ag、Au、Cu、Pd、Ni、Al、これらの金属の少なくとも1種を含有する合金等が挙げられる。
第1外部電極30a及び第2外部電極30bを構成する導電材料は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
第1外部電極30aは、単層構造を有していてもよいし、複層構造を有していてもよい。
第1外部電極30aは、コイル20側から順に、上述した導電材料(例えば、Ag)を含む下地電極と、Niめっき電極と、Snめっき電極と、を有していてもよい。この場合、第1外部電極30aでは、下地電極が素体10の表面(図1では、素体10の端面11a及び底面12b)と一体の面をなし、Niめっき電極及びSnめっき電極が下地電極を覆うように素体10の表面(図1では、素体10の端面11a及び底面12b)から盛り上がっていてもよい。
第2外部電極30bは、単層構造を有していてもよいし、複層構造を有していてもよい。
第2外部電極30bは、コイル20側から順に、上述した導電材料(例えば、Ag)を含む下地電極と、Niめっき電極と、Snめっき電極と、を有していてもよい。この場合、第2外部電極30bでは、下地電極が素体10の表面(図1では、素体10の端面11b及び底面12b)と一体の面をなし、Niめっき電極及びSnめっき電極が下地電極を覆うように素体10の表面(図1では、素体10の端面11b及び底面12b)から盛り上がっていてもよい。
図2は、図1に示すインダクタ部品の線分a1-a2に沿う断面の一例を示す断面模式図である。より具体的には、図2は、図1に示すインダクタ部品1Aの長さ方向L及び高さ方向Tに沿う断面のうち、第1内部配線25a(第1コイル配線21a及び第1引出配線22a)を含む断面を示している。
図2に示すように、絶縁層15bには、溝40が設けられている。
図2に示すように、溝40は、第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面を起点として、第1内部配線25aの表面に対して傾いて延びている。
本明細書中、溝が内部配線と絶縁層との界面を起点として内部配線の表面に対して傾いて延びる態様は、上記起点の近傍において溝が延びる方向と内部配線の表面に沿う方向とのなす角度が30°以上である態様を意味する。例えば、インダクタ部品1Aにおいて、第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面(起点)の近傍において溝40が延びる方向と、第1内部配線25aの表面に沿う方向とのなす角度は、30°以上である限り、45°以上であってもよいし、90°であってもよい。
インダクタ部品1Aでは、絶縁層15bに、第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面を起点として第1内部配線25aの表面に対して傾いて延びる溝40が設けられていることにより、インダクタ部品1Aの製造過程において、第1内部配線25a及び絶縁層15bの熱収縮量の差異に起因して第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面に応力が発生しても、その応力が溝40により解放される。これにより、インダクタ部品1Aでは、製造過程における焼成工程、搭載過程におけるリフロー工程等で熱衝撃が加わったり、その他の工程で物理的負荷(機械的負荷)が加わったりしても、第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面に発生する応力に起因する第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面剥離が抑制され、結果的に、素体10の内部において第1内部配線25aに沿うクラックの発生が抑制される。
インダクタ部品1Aでは、例えば、第1内部配線25aを低抵抗化してコイル特性を向上させるために、第1内部配線25aのコイル軸方向における寸法を大きくした結果、第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面に応力が発生したとしても、その応力が溝40により解放され、結果的に、素体10の内部におけるクラックの発生が抑制される。
したがって、インダクタ部品1Aによれば、第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面に発生する応力に起因するクラックの発生を抑制することが可能なインダクタ部品を実現できる。更に、インダクタ部品1Aによれば、第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面に発生する応力に起因するクラックの発生を抑制しつつ、第1内部配線25aを低抵抗化してコイル特性を向上させることが可能なインダクタ部品を実現できる。
図2では、溝40が、第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面を起点として、第1内部配線25aの表面に対して傾いて延びているが、溝40は、第1内部配線25aと絶縁層15b以外の絶縁層(例えば、絶縁層15a)との界面を起点として、第1内部配線25aの表面に対して傾いて延びていてもよい。あるいは、溝40は、第1内部配線25a以外の内部配線(例えば、第2内部配線25b)と絶縁層(例えば、絶縁層15c)との界面を起点として、第1内部配線25a以外の内部配線(例えば、第2内部配線25b)の表面に対して傾いて延びていてもよい。
このように、インダクタ部品1Aにおいて、溝40は、内部配線25と絶縁層(絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、及び、絶縁層15dを含む)との界面を起点として、内部配線25の表面に対して傾いて延びている。
したがって、インダクタ部品1Aによれば、内部配線25と絶縁層との界面に発生する応力に起因するクラックの発生を抑制することが可能なインダクタ部品を実現できる。更に、インダクタ部品1Aによれば、内部配線25と絶縁層との界面に発生する応力に起因するクラックの発生を抑制しつつ、内部配線25を低抵抗化してコイル特性を向上させることが可能なインダクタ部品を実現できる。
また、インダクタ部品1Aでは、素体10の内部におけるクラックの発生が抑制されるため、クラックを通して水分、腐食性ガス等が素体10の内部に入り込んでしまうといった信頼性の低下も抑制される。
一方、インダクタ部品1Aでは、内部配線25が、第1内部配線25a、特に、第1引出配線22aにおいて、第1外部電極30aを介して素体10の表面につながっている。そのため、インダクタ部品1Aでは、仮に、内部配線25と絶縁層との界面に発生する応力に起因して、素体10の内部において内部配線25に沿うクラックが発生した場合、そのクラックが第1内部配線25a、特に、第1引出配線22aに沿って素体10の表面まで到達することにより、信頼性が低下してしまうことが想定される。
これに対して、図2に示すように、溝40は、第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面を起点として、第1内部配線25aの表面に対して傾いて延びていることが好ましい。更に、図2に示すように、溝40は、第1引出配線22aと絶縁層15bとの界面を起点として、第1引出配線22aの表面に対して傾いて延びていることがより好ましい。
インダクタ部品1Aでは、特に、溝40が、第1引出配線22aと絶縁層15bとの界面を起点として、第1引出配線22aの表面に対して傾いて延びていることにより、第1引出配線22aと絶縁層15bとの界面に発生する応力が溝40により解放されるため、素体10の内部において第1引出配線22aに沿うクラックの発生が抑制されるだけではなく、仮にクラックが発生しても、そのクラックが素体10の表面まで到達しにくくなる。
溝40は、直線状であってもよいし、曲線状であってもよいし、直線状及び曲線状を組み合わせた形状であってもよい。これらの場合、溝40は、途中で屈曲した形状であってもよい。
溝40は、内部配線25と絶縁層との界面を起点として内部配線25の表面に対して傾いて延びていれば、その内部配線25に対する位置は特に限定されない。例えば、コイル軸方向から見たとき、溝40は、内部配線25(図2では、第1内部配線25aの第1引出配線22a)の外周縁側に設けられていてもよいし、内部配線25の内周縁側に設けられていてもよい。また、例えば、コイル軸方向に直交する方向(ここでは、長さ方向L及び高さ方向Tを含む方向)から見たとき、溝40は、内部配線25の表面に対して、素体10の側面13a側(図2では、紙面手前側)に設けられていてもよいし、素体10の側面13b側(図2では、紙面奥側)に設けられていてもよい。
溝40は、内部配線25と絶縁層との界面を起点として内部配線25の表面に対して傾いて延びていれば、その延びる方向は特に限定されない。例えば、溝40は、コイル軸方向に延びていてもよいし、コイル軸方向に直交する方向に延びていてもよいし、これら以外の方向に延びていてもよい。
溝40の最大幅は、0.25μm以下であることが好ましい。
溝40の最大幅が0.25μm以下であることにより、溝40の幅が、後述するように内部配線25を形成する際に用いられる感光性導電ペーストに含まれる導体粗粒の大きさよりも充分に小さくなるため、インダクタ部品1Aの製造過程における焼成工程で、内部配線25を構成する導電材料が溝40に入り込むことが抑制される。内部配線25を構成する導電材料が溝40に入り込むことが抑制されると、溝40の形状が維持されるとともに、内部配線25が溝40を介して素体10の表面に露出することが抑制されたり、隣り合う内部配線(コイル配線)が溝40を介して短絡することが抑制されたりする。
溝40の最大幅は、0.020μm以上であることが好ましい。
溝の幅は、以下のようにして定められる。まず、インダクタ部品に対して、内部配線が露出するまで加工(例えば、研磨加工、切断加工等)することにより、内部配線と絶縁層との界面を含む断面を露出させる。そして、上記断面を電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)等で観察することにより、内部配線と絶縁層との界面を起点として設けられた溝について、溝が延びる方向に直交する方向における寸法を測定し、これを溝の幅と定める。溝の幅は、後述する溝の長さが定められる方向に直交する方向における寸法として定められる、とも言える。以上のようにして測定された溝の幅のうちの最大値が、溝の最大幅として定められる。
溝40の最大長さは、1.75μm以下であることが好ましい。
溝40の最大長さが1.75μm以下であることにより、溝40の長さが、内部配線25の表面と素体10の表面との距離よりも充分に小さくなるため、インダクタ部品1Aの製造過程における焼成工程で、内部配線25を構成する導電材料が溝40に入り込んだとしても、内部配線25が溝40を介して素体10の表面に露出することが抑制される。内部配線25が溝40を介して素体10の表面に露出することが抑制されると、内部配線25が水分、腐食性ガス等にさらされることが抑制される。
更に、溝40の最大長さが1.75μm以下であることにより、溝40の長さが、隣り合う内部配線(コイル配線)間の距離よりも充分に小さくなるため、インダクタ部品1Aの製造過程における焼成工程で、内部配線25を構成する導電材料が溝40に入り込んだとしても、隣り合う内部配線(コイル配線)が溝40を介して短絡することが抑制される。
なお、溝40の内部は、空洞であってもよいし、内部配線25を構成する導電材料で少なくとも一部が充填されていてもよいし、内部配線25を構成する導電材料及び絶縁層15bを構成する絶縁材料の両方と異なる材料で少なくとも一部が充填されていてもよい。
溝40の最大長さは、0.3μm以上であることが好ましい。
溝の長さは、以下のようにして定められる。インダクタ部品に対して、上述した溝の幅を定める際に露出させた断面を電界放出型走査電子顕微鏡等で観察することにより、内部配線と絶縁層との界面を起点として設けられた溝について、溝が延びる方向(溝が内部配線から遠ざかる方向)における寸法を測定し、これを溝の長さと定める。以上のようにして測定された溝の長さのうちの最大値が、溝の最大長さとして定められる。
溝の幅及び長さを定める際、インダクタ部品の断面として、コイル軸方向に垂直な断面を観察してもよいし、コイル軸方向に平行な断面を観察してもよいし、これら以外の断面を観察してもよい。図1に示すインダクタ部品1Aにおいて、コイル軸方向に垂直な断面は、長さ方向L及び高さ方向Tに沿う断面である。図1に示すインダクタ部品1Aにおいて、コイル軸方向に平行な断面は、長さ方向L及び幅方向Wに沿う断面と、高さ方向T及び幅方向Wに沿う断面と、を含む。
溝の幅及び長さを定める際にインダクタ部品の断面を観察する方法は、溝を高感度で検出可能な観点から、上述した電界放出型走査電子顕微鏡を用いた方法であることが好ましい。なお、溝の幅及び長さを定める際にインダクタ部品の断面を観察する方法は、電界放出型走査電子顕微鏡を用いた方法に限定されず、それ以外の方法であってもよい。
図2では、溝40を際立たせるために、溝40の幅及び長さが、内部配線25の周囲の絶縁層の大きさ(例えば、内部配線25の表面と素体10の表面との距離、隣り合う内部配線(コイル配線)間の距離等)に対して比較的大きな比率で示されているが、実際には、内部配線25の周囲の絶縁層の大きさが、溝40の幅及び長さよりも充分に(例えば、10倍程度)大きくなっていてもよい。
インダクタ部品1Aは、例えば、以下の方法で製造される。
<マザー積層体を作製する工程>
まず、例えば、硼珪酸ガラスを主成分とするガラス材料等を含む絶縁ペーストをスクリーン印刷等で塗工することを繰り返すことにより、絶縁ペースト層を形成する。ここで形成される絶縁ペースト層は、後に絶縁層15aとなる。
次に、例えば、Ag等を金属主成分とする感光性導電ペーストをスクリーン印刷等で塗工することにより、感光性導電ペースト層を絶縁ペースト層上に形成する。更に、感光性導電ペースト層にフォトマスクを介して紫外線等を照射した後、アルカリ溶液等で現像することにより、コイル導体層と、外部導体層と、コイル導体層及び外部導体層に接続された引出導体層とを絶縁ペースト層上に形成する。以上のようにして、フォトリソグラフィ法により、コイル導体層、引出導体層、及び、外部導体層を複数箇所に形成する。ここで形成されるコイル導体層は、後に第1コイル配線21aとなる。ここで形成される引出導体層は、後に、第1コイル配線21a及び第1外部電極30aを接続する第1引出配線22aとなる。つまり、ここで形成されるコイル導体層及び引出導体層を含む内部導体層は、後に第1内部配線25aとなる。ここで形成される外部導体層は、後に第1外部電極30a及び第2外部電極30bの各々の一部となる。
なお、コイル導体層、引出導体層、及び、外部導体層を形成する際、フォトマスクを用いた露光に代えて、例えば、フォトマスクを用いないDI露光(ダイレクトイメージ露光又は直接描画とも呼ばれる)を行ってもよい。
次に、例えば、感光性絶縁ペーストをスクリーン印刷等で塗工することにより、新たな絶縁ペースト層を既に形成された絶縁ペースト層上に形成する。更に、新たに形成された絶縁ペースト層にフォトマスクを介して紫外線等を照射した後、アルカリ溶液等で現像することにより、絶縁ペースト層にビアホール及び開口を形成する。以上のようにして、フォトリソグラフィ法により、ビアホール及び開口が複数箇所に設けられた絶縁ペースト層を形成する。ここで形成される絶縁ペースト層には、後に絶縁層15bとなる絶縁ペースト層が含まれる。ここで形成されるビアホールは、既に形成されたコイル導体層の一部に重なっている。ここで形成される開口は、既に形成された外部導体層に重なっている。
なお、ビアホール及び開口が設けられた絶縁ペースト層を形成する際、フォトマスクを用いた露光に代えて、例えば、フォトマスクを用いないDI露光を行ってもよい。
次に、例えば、Ag等を金属主成分とする感光性導電ペーストをスクリーン印刷等で塗工することにより、新たな感光性導電ペースト層を、ビアホール及び開口の内部に形成しつつ、既に形成された絶縁ペースト層上に形成する。更に、感光性導電ペースト層にフォトマスクを介して紫外線等を照射した後、アルカリ溶液等で現像することにより、接続導体層をビアホールの内部に形成しつつ、接続導体層に接続された新たなコイル導体層を絶縁ペースト層上に形成し、更に、既に形成された外部導体層に接続された新たな外部導体層を開口の内部に形成しつつ、この外部導体層上に更に新たな外部導体層を形成する。以上のようにして、フォトリソグラフィ法により、コイル導体層、接続導体層、及び、外部導体層を形成する。ここで形成される接続導体層は、後に、コイル軸方向に隣り合うコイル配線同士を接続する接続導体となる。
なお、コイル導体層、接続導体層、及び、外部導体層を形成する際、フォトマスクを用いた露光に代えて、例えば、フォトマスクを用いないDI露光を行ってもよい。
その後、上記の工程を繰り返すことにより、絶縁ペースト層、コイル導体層、接続導体層、及び、外部導体層を所定の積層構造になるように形成する。例えば、ここで形成されるコイル導体層には、後に第2コイル配線21bとなるコイル導体層が含まれる。
なお、後に第2コイル配線21bとなるコイル導体層と、そのコイル導体層と同層の外部導体層とを形成する際には、コイル導体層及び外部導体層に接続された引出導体層も形成する。ここで形成される引出導体層は、後に第2引出配線22bとなる。
最後に、例えば、硼珪酸ガラスを主成分とするガラス材料等を含む絶縁ペーストをスクリーン印刷等で塗工することを繰り返すことにより、新たな絶縁ペースト層を形成する。ここで形成される絶縁ペースト層には、後に絶縁層15c及び絶縁層15dとなる絶縁ペースト層が含まれる。
絶縁ペースト層を形成する際、例えば、本発明のインダクタ部品に係る溝のパターンが設けられたフォトマスクを用いることにより、後に得られるインダクタ部品1Aにおいて、本発明のインダクタ部品に係る溝のパターンを実現できる。例えば、後に絶縁層15bとなる絶縁ペースト層を形成する際、感光性絶縁ペーストの現像解像限界よりも小さい溝のパターンが設けられたフォトマスクを用いることにより、後に第1内部配線25aとなる内部導体層と絶縁ペースト層との界面を起点として内部導体層の表面に対して傾いて延びる溝(完全な解像に至らない溝)を形成する。これにより、後に得られるインダクタ部品1Aにおいて、第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面を起点として第1内部配線25aの表面に対して傾いて延びる溝40を実現できる。
なお、上述した感光性絶縁ペーストの現像解像限界は、例えば、光源波長365/405nmの紫外線照射に対して、3μm以下である。
以上により、マザー積層体を作製する。
コイル導体層、引出導体層、接続導体層、及び、外部導体層の導体パターンを形成する方法は、上述したフォトリソグラフィ法に限定されず、例えば、導体パターンの形状に開口が設けられたスクリーン印刷版を用いて導電ペーストを印刷積層する方法であってもよいし、スパッタ法、蒸着法、箔を圧着する方法等で導体膜を形成した後、導体パターンの形状になるように導体膜をエッチングする方法であってもよいし、セミアディティブ法でネガパターンを形成してからめっき膜を形成した後、導体パターンの形状になるようにめっき膜の不要部をエッチング等で除去する方法であってもよい。
コイル導体層、引出導体層、接続導体層、及び、外部導体層の導体パターンを形成する際、導体パターンを多段形成することで高いアスペクト比を実現することにより、高周波での抵抗による損失を低減できる。導体パターンを多段形成する方法は、特に限定されず、例えば、上述したようにフォトリソグラフィ法を用いた工程を繰り返すことで導体パターンを繰り返し重ねる方法であってもよいし、セミアディティブ法で形成された導体パターンを繰り返し重ねる方法であってもよいし、セミアディティブ法で形成された導体パターンと、別途めっき成長させためっき膜をエッチングすることで形成された導体パターンとを順不同で重ねる方法であってもよいし、セミアディティブ法で形成されためっき膜を更にめっき成長させる方法であってもよい。
コイル導体層、引出導体層、接続導体層、及び、外部導体層の導体パターンを構成する導電材料は、上述したAg等を金属主成分とする感光性導電ペーストに限定されず、例えば、スパッタ法、蒸着法、箔を圧着する方法、めっき法等で形成されるAg、Au、Cu等の金属を含む導体であってもよい。
絶縁ペースト層を形成する方法は、上述したフォトリソグラフィ法に限定されず、例えば、絶縁材料からなるシートを圧着する方法であってもよいし、絶縁材料をスピンコートする方法であってもよいし、絶縁材料をスプレーコートする方法であってもよい。
ビアホール及び開口が設けられた絶縁ペースト層を形成する方法は、上述したフォトリソグラフィ法に限定されず、例えば、絶縁材料からなるシートを圧着する、絶縁材料をスピンコートする、絶縁材料をスプレーコートする等の方法で絶縁膜を形成した後、絶縁膜にレーザー加工、ドリル加工等を行うことによりビアホール及び開口を設ける方法であってもよい。
絶縁ペースト層を構成する絶縁材料は、上述した硼珪酸ガラスを主成分とするガラス材料に限定されず、例えば、セラミックス材料、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリマー樹脂等の有機材料、ガラスエポキシ樹脂等の複合材料等であってもよい。絶縁材料としては、特に、誘電率及び誘電損失が小さい材料が好ましい。
<素体、コイル、及び、外部電極を形成する工程>
まず、マザー積層体をダイシング等で切断することにより、複数の未焼成の積層体に個片化する。
未焼成の積層体は、絶縁ペースト層が積層されてなる絶縁ペースト積層部と、隣り合うコイル導体層が接続導体層を介して電気的に接続されるようにコイル導体層が積層されてなるコイル導体積層部と、外部導体層が積層されてなる外部導体積層部と、を有している。
未焼成の積層体に個片化する際、未焼成の積層体の切断面に含まれる少なくとも絶縁ペースト積層部の底面に、外部導体積層部を2箇所で露出させる。
次に、未焼成の積層体を焼成することにより、積層体を作製する。
未焼成の積層体を焼成すると、絶縁ペースト層が絶縁層となることにより、絶縁ペースト積層部は素体10となる。また、未焼成の積層体を焼成すると、コイル導体層がコイル配線となることにより、コイル導体積層部はコイル20となる。更に、未焼成の積層体を焼成すると、2つの外部導体積層部は、一方が第1外部電極30aの一部となり、他方が第2外部電極30bの一部となる。
次に、得られた積層体に対して、例えば、バレル研磨処理を施すことにより、素体10の角部及び稜線部に丸みを付けてもよい。
最後に、焼成後の2つの外部導体積層部を下地電極として、めっき処理により、各々の下地電極の表面上にNiめっき電極及びSnめっき電極を順に形成する。Niめっき電極及びSnめっき電極の厚みについては、各々、例えば、2μm以上、10μm以下とする。
このようにして、下地電極、Niめっき電極、及び、Snめっき電極を素体10の表面側から順に有する第1外部電極30a及び第2外部電極30bを形成する。この場合、第1外部電極30aでは、下地電極が素体10の表面(図1では、素体10の端面11a及び底面12b)と一体の面をなし、Niめっき電極及びSnめっき電極が下地電極を覆うように素体10の表面(図1では、素体10の端面11a及び底面12b)から盛り上がっていてもよい。また、第2外部電極30bでは、下地電極が素体10の表面(図1では、素体10の端面11b及び底面12b)と一体の面をなし、Niめっき電極及びSnめっき電極が下地電極を覆うように素体10の表面(図1では、素体10の端面11b及び底面12b)から盛り上がっていてもよい。
外部電極を形成する方法は、上述したように未焼成の積層体の切断面(少なくとも絶縁ペースト積層部の底面)に露出させた外部導体積層部にめっき処理を施す方法に限定されず、例えば、上述したように未焼成の積層体の切断面(少なくとも絶縁ペースト積層部の底面)に外部導体積層部を露出させてから、外部導体積層部の露出部分を導電ペーストに浸漬(ディップ)したり、外部導体積層部の露出部分にスパッタ法で導電ペーストを成膜したりした後、めっき処理を施す方法であってもよい。
以上により、インダクタ部品1Aが製造される。
インダクタ部品1Aは、例えば、0402(0.4mm×0.2mm×0.2mm)サイズとして製造される。インダクタ部品1Aのサイズは、0402(0.4mm×0.2mm×0.2mm)サイズに限定されない。
なお、インダクタ部品1Aにおいて、本発明のインダクタ部品に係る溝のパターンを実現する方法は、上述したような、マザー積層体を作製する工程で絶縁ペースト層を形成する際に、本発明のインダクタ部品に係る溝のパターンが設けられたフォトマスクを用いる方法であってもよいし、それ以外の方法であってもよい。例えば、素体、コイル、及び、外部電極を形成する工程で未焼成の積層体を焼成する際に、降温プロファイルの傾斜を大きくすることにより、得られる素体10の内部に応力を意図的に残留させた上で、更に、素体10に対して、例えば、軽量材質の衝突材を所定の方向から衝突させることにより、第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面を起点として第1内部配線25aの表面に対して傾いて延びる溝40を形成してもよい。また、絶縁ペースト層を形成した後に、絶縁ペースト層にレーザーを照射することにより、本発明のインダクタ部品に係る溝のパターンを形成してもよい。
[実施形態2]
本発明の実施形態2のインダクタ部品において、絶縁層には、溝の起点が存在する内部配線と絶縁層との界面を含む断面を見たときに、上記界面を起点として内部配線の表面に沿って延び、かつ、溝を横断しない追加溝が更に設けられている。本発明の実施形態2のインダクタ部品は、この点以外、本発明の実施形態1のインダクタ部品と同様である。
図3は、本発明の実施形態2のインダクタ部品の一例を示す断面模式図である。
図3に示すインダクタ部品1Bにおいて、絶縁層15bには、溝40に加えて、追加溝50が更に設けられている。
図3に示すように、追加溝50は、溝40の起点が存在する第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面(図3では、第1内部配線25aの第1引出配線22aの外周縁)を含む断面を見たときに、その界面を起点として第1内部配線25aの表面に沿って延び、かつ、溝40を横断していない。
本明細書中、溝の起点が存在する内部配線と絶縁層との界面を含む断面を見たときに、追加溝が内部配線と絶縁層との界面を起点として内部配線の表面に沿って延びる態様は、上記起点の近傍において追加溝が延びる方向と内部配線の表面に沿う方向とのなす角度が30°よりも小さい態様を意味する。例えば、インダクタ部品1Bにおいて、第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面(起点)の近傍において追加溝50が延びる方向と、第1内部配線25aの表面に沿う方向とのなす角度は、30°よりも小さい限り、7°以下であってもよいし、0°であってもよいし、0°でなくてもよい。つまり、インダクタ部品1Bにおいて、第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面(起点)の近傍において追加溝50が延びる方向と、第1内部配線25aの表面に沿う方向とは、厳密に平行であってもよいし、厳密に平行でなくてもよい。
本明細書中、溝の起点が存在する内部配線と絶縁層との界面を含む断面を見たときに、追加溝が溝を横断しない態様は、上記界面において、追加溝が溝の起点を横断しない態様を意味する。例えば、インダクタ部品1Bにおいて、溝40の起点が存在する第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面を含む断面を見たときに、上記界面において追加溝50が溝40の起点を横断しない限り、溝40の起点に近い追加溝50の一方端部(図3では、第1外部電極30aから遠い側の端部)は、溝40の起点に接していてもよいし、接していなくてもよい(離れていてもよい)。
インダクタ部品1Bでは、絶縁層15bに、第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面を起点として第1内部配線25aの表面に沿って延びる追加溝50が設けられていることにより、インダクタ部品1Bの製造過程において、第1内部配線25a及び絶縁層15bの熱収縮量の差異に起因して第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面に応力が発生しても、その応力が溝40により解放されるだけではなく、追加溝50によってもより広範囲に解放される。これにより、インダクタ部品1Bでは、第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面に発生する応力に起因する第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面剥離が充分に抑制され、結果的に、素体10の内部において第1内部配線25aに沿うクラックの発生が充分に抑制される。
更に、インダクタ部品1Bでは、第1内部配線25aの表面に沿って延びる追加溝50が溝40を横断していないことにより、追加溝50が溝40に堰き止められる態様になっているため、追加溝50が進展することが抑制されるだけではなく、追加溝50の進展に起因して素体10の強度が低下することも抑制される。
図3では、追加溝50の両端部のうち、追加溝50の一方端部(図3では、第1外部電極30aから遠い側の端部)が溝40の起点に近くなっているが、追加溝50の他方端部(図3では、第1外部電極30aに近い側の端部)が溝40の起点に近くなっていてもよい。あるいは、追加溝50の一方端部(図3では、第1外部電極30aから遠い側の端部)に起点が近い溝40に加えて、追加溝50の他方端部(図3では、第1外部電極30aに近い側の端部)に起点が近い別の溝40が設けられていてもよい。
図3では、追加溝50が、溝40の起点が存在する第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面を含む断面を見たときに、第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面を起点として第1内部配線25aの表面に沿って延び、かつ、溝40を横断していないが、溝40の起点が第1内部配線25aと絶縁層15b以外の絶縁層(例えば、絶縁層15a)との界面に存在する場合、その界面を含む断面を見たときに、追加溝50は、第1内部配線25aと絶縁層15b以外の絶縁層(例えば、絶縁層15a)との界面を起点として、第1内部配線25aの表面に沿って延び、かつ、溝40を横断していなくてもよい。あるいは、溝40の起点が第1内部配線25a以外の内部配線(例えば、第2内部配線25b)と絶縁層(例えば、絶縁層15c)との界面に存在する場合、その界面を含む断面を見たときに、追加溝50は、第1内部配線25a以外の内部配線(例えば、第2内部配線25b)と絶縁層(例えば、絶縁層15c)との界面を起点として、第1内部配線25a以外の内部配線(例えば、第2内部配線25b)の表面に沿って延び、かつ、溝40を横断していなくてもよい。
このように、インダクタ部品1Bにおいて、追加溝50は、溝40の起点が存在する内部配線25と絶縁層(絶縁層15a、絶縁層15b、絶縁層15c、及び、絶縁層15dを含む)との界面を含む断面を見たときに、上記界面を起点として内部配線25の表面に沿って延び、かつ、溝40を横断していない。
図3に示すように、追加溝50は、溝40の起点が存在する第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面を含む断面を見たときに、上記界面を起点として第1内部配線25aの表面に沿って延び、かつ、溝40を横断していないが、特に、図3に示すように、追加溝50は、溝40の起点が存在する第1引出配線22aと絶縁層15bとの界面を含む断面を見たときに、上記界面を起点として第1引出配線22aの表面に沿って延び、かつ、溝40を横断していないことが好ましい。
追加溝50は、直線状であってもよいし、曲線状であってもよいし、直線状及び曲線状を組み合わせた形状であってもよい。これらの場合、追加溝50は、途中で屈曲した形状であってもよい。
追加溝50は、溝40の起点が存在する内部配線25と絶縁層との界面を含む断面を見たときに、上記界面を起点として内部配線25の表面に沿って延び、かつ、溝40を横断していなければ、その内部配線25に対する位置は特に限定されない。例えば、コイル軸方向から見たとき、追加溝50は、内部配線25(図3では、第1内部配線25aの第1引出配線22a)の外周縁側に設けられていてもよいし、内部配線25の内周縁側に設けられていてもよい。また、例えば、コイル軸方向に直交する方向(ここでは、長さ方向L及び高さ方向Tを含む方向)から見たとき、追加溝50は、内部配線25の表面に対して、素体10の側面13a側(図3では、紙面手前側)に設けられていてもよいし、素体10の側面13b側(図3では、紙面奥側)に設けられていてもよい。
追加溝50は、溝40の起点が存在する内部配線25と絶縁層との界面を含む断面を見たときに、上記界面を起点として内部配線25の表面に沿って延び、かつ、溝40を横断していなければ、その延びる方向は特に限定されない。例えば、追加溝50は、コイル軸方向に延びていてもよいし、コイル軸方向に直交する方向に延びていてもよいし、これら以外の方向に延びていてもよい。
[実施形態3]
本発明の実施形態3のインダクタ部品において、溝の幅は、溝が延びる方向に対して、内部配線側で内部配線と反対側よりも大きくなっている。本発明の実施形態3のインダクタ部品は、この点以外、本発明の実施形態1のインダクタ部品と同様である。
図4は、本発明の実施形態3のインダクタ部品の一例を示す断面模式図である。
図4に示すインダクタ部品1Cにおいて、溝40の幅は、溝40が延びる方向に対して、第1内部配線25a側で第1内部配線25aと反対側よりも大きくなっている。
インダクタ部品1Cでは、溝40の幅が、溝40が延びる方向に対して、第1内部配線25a側で第1内部配線25aと反対側よりも大きくなっていることにより、第1内部配線25a及び絶縁層15bの熱収縮量の差異に起因して発生する応力が集中しやすい(大きくなりやすい)第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面近傍において溝40の幅が大きくなるため、その応力が溝40により解放されやすくなる。更に、インダクタ部品1Cでは、溝40の幅が、第1内部配線25aに近い位置では大きくなっているものの、第1内部配線25aから遠い位置では小さくなっているため、このような溝40が設けられていても素体10の強度が低下しにくく、充分な強度が確保される。
溝40の幅は、溝40が延びる方向に対して、第1内部配線25aと反対側から第1内部配線25a側に向かうにつれて(第1内部配線25aに近づくにつれて)、図4に示すように徐々に大きくなっていてもよいし、段階的に大きくなっていてもよい。例えば、溝40の外形は、第1内部配線25a側で第1内部配線25aと反対側よりも幅が大きくなるように、図4に示すようなテーパー状になっていてもよいし、階段状になっていてもよい。
図4では、溝40が第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面を起点として設けられているが、溝40が、第1内部配線25aと絶縁層15b以外の絶縁層(例えば、絶縁層15a)との界面を起点として設けられていたり、第1内部配線25a以外の内部配線(例えば、第2内部配線25b)と絶縁層(例えば、絶縁層15c)との界面を起点として設けられていたりする場合であっても、溝40の幅は、溝40が延びる方向に対して、内部配線25側で内部配線25と反対側よりも大きくなっていてもよい。
[実施形態4]
本発明の実施形態4のインダクタ部品において、絶縁層には、溝が複数設けられている。本発明の実施形態4のインダクタ部品は、この点以外、本発明の実施形態1のインダクタ部品と同様である。
図5は、本発明の実施形態4のインダクタ部品の一例を示す断面模式図である。
図5に示すインダクタ部品1Dにおいて、絶縁層15bには、溝40が複数設けられている。
インダクタ部品1Dでは、溝40が複数設けられていることにより、溝40が1つ設けられている場合と比較して、第1内部配線25aと絶縁層15bとの界面に発生する応力がより解放されるため、素体10の内部におけるクラックの発生がより抑制される。
複数の溝40の数は、図5に示す3つに限定されず、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
複数の溝40の形状は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。例えば、複数の溝40の形状は、直線状と、曲線状と、直線状及び曲線状を組み合わせた形状と、これらの場合に途中で屈曲した形状とからなる群より選択されるどの組み合わせであってもよい。
複数の溝40の内部配線25に対する位置は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。例えば、複数の溝40の内部配線25に対する位置は、コイル軸方向から見たときの内部配線25(図5では、第1内部配線25a)の外周縁側と、コイル軸方向から見たときの内部配線25の内周縁側と、コイル軸方向に直交する方向から見たときの内部配線25の表面に対する素体10の側面13a側(図5では、紙面手前側)と、コイル軸方向に直交する方向から見たときの内部配線25の表面に対する素体10の側面13b側(図5では、紙面奥側)とからなる群より選択されるどの組み合わせであってもよい。
複数の溝40が延びる方向は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよいし、一部で異なっていてもよい。例えば、複数の溝40が延びる方向は、コイル軸方向と、コイル軸方向に直交する方向と、これら以外の方向とからなる群より選択されるどの組み合わせであってもよい。
図5に示す例では、複数の溝40のうち、一部(図5では、2つ)が第1引出配線22aと絶縁層15bとの界面を起点として設けられ、残り(図5では、1つ)が第1コイル配線21aと絶縁層15bとの界面を起点として設けられているが、複数の溝40のうち、すべてが第1引出配線22aと絶縁層15bとの界面を起点として設けられていてもよいし、すべてが第1コイル配線21aと絶縁層15bとの界面を起点として設けられていてもよい。
複数の溝40の幅のうち、最大幅は0.25μm以下であることが好ましい。
複数の溝40の幅のうち、最大幅は0.020μm以上であることが好ましい。
複数の溝40の長さのうち、最大長さは1.75μm以下であることが好ましい。
複数の溝40の長さのうち、最大長さは0.3μm以上であることが好ましい。
上述した実施形態1、実施形態2、実施形態3、及び、実施形態4では、素体の実装面がコイル軸方向に平行である態様の例を示したが、これらの実施形態では、素体の実装面がコイル軸方向に垂直である態様であってもよい。
本明細書には、以下の内容が開示されている。
<1>
絶縁層を含む素体と、
少なくとも一部が電気的に接続されることにより螺旋状に巻回されたコイルを構成し、かつ、上記素体の内部に設けられた内部配線と、
上記コイルに電気的に接続された外部電極と、を備え、
上記絶縁層には、上記内部配線と上記絶縁層との界面を起点として上記内部配線の表面に対して傾いて延びる溝が設けられている、ことを特徴とするインダクタ部品。
<2>
上記外部電極は、上記コイルの一方端部に電気的に接続された第1外部電極を含み、
上記内部配線は、上記第1外部電極に接続された第1内部配線を含み、
上記溝は、上記第1内部配線と上記絶縁層との界面を起点として、上記第1内部配線の表面に対して傾いて延びている、<1>に記載のインダクタ部品。
<3>
上記第1内部配線は、上記コイルを構成する第1コイル配線と、上記第1コイル配線及び上記第1外部電極を接続する第1引出配線と、を含み、
上記溝は、上記第1引出配線と上記絶縁層との界面を起点として、上記第1引出配線の表面に対して傾いて延びている、<2>に記載のインダクタ部品。
<4>
上記絶縁層には、上記溝の起点が存在する上記内部配線と上記絶縁層との界面を含む断面を見たときに、上記界面を起点として上記内部配線の表面に沿って延び、かつ、上記溝を横断しない追加溝が更に設けられている、<1>~<3>のいずれかに記載のインダクタ部品。
<5>
上記溝の幅は、上記溝が延びる方向に対して、上記内部配線側で上記内部配線と反対側よりも大きくなっている、<1>~<4>のいずれかに記載のインダクタ部品。
<6>
上記溝の最大幅は、0.25μm以下である、<1>~<5>のいずれかに記載のインダクタ部品。
<7>
上記溝の最大長さは、1.75μm以下である、<1>~<6>のいずれかに記載のインダクタ部品。