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JP2024095317A - 標的物質の検出方法および検出用カートリッジ - Google Patents

標的物質の検出方法および検出用カートリッジ Download PDF

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JP2024095317A JP2022212517A JP2022212517A JP2024095317A JP 2024095317 A JP2024095317 A JP 2024095317A JP 2022212517 A JP2022212517 A JP 2022212517A JP 2022212517 A JP2022212517 A JP 2022212517A JP 2024095317 A JP2024095317 A JP 2024095317A
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秀治 栗岡
Hideji Kurioka
ちさと 小村
Chisato Komura
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Kyocera Corp
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Kyocera Corp
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Abstract

【課題】標的物質の検出感度を高める。【解決手段】対象液に含まれ、触媒作用を有する機能分子を、検出対象となる標的物質に対して付加した修飾物質を介して対象液中の対象金属イオンを還元する。そして、対象金属を、金属基板を構成する金属と前記対象液とが接する部位に析出させる。析出した対象金属の量に対応する金属基板の物理的特性の変化を検出する。【選択図】図2

Description

本開示は、生体物質の検出方法および生体物質の検出用カートリッジに関する。
従来、検体に含まれている標的物質を、バイオセンサを用いて測定することが行われている。例えば、特許文献1には、表面弾性波(SAW;Surface Acoustic Wave)センサを用いた標的検体の検出方法が記載されている。
特許第5276655号公報
標的物質の検出感度を高めるための技術が望まれる。
上述の課題を解決するために、本開示の一態様に係る標的物質の検出方法は、対象液に含まれ、触媒作用を有する機能分子を、検出対象となる標的物質に対して付加した修飾物質を介して、前記対象液中の対象金属イオンを還元して、対象金属を、金属基板を構成する金属と前記対象液とが接する部位に析出させる対象金属析出工程と、前記部位に析出した前記対象金属の量に対応する前記金属基板の物理的特性の変化を検出する検出工程と、を含む。
また、上述の課題を解決するために、本開示の一態様に係る検出用カートリッジは、対象液に含まれ、触媒作用を有する機能分子を、検出対象となる標的物質に対して付加した修飾物質を捕捉可能な捕捉体が固定化されている金属基板を備え、前記金属基板は、捕捉された前記修飾物質に付加されている前記機能分子の前記触媒作用を介して、前記対象液中の対象金属イオンが還元されることによって対象金属を析出させる反応を行う反応場内に配されており、前記対象金属は、前記金属基板を構成する金属と前記対象液とが接する部位に析出する。
本開示の一態様によれば、標的物質を感度良く検出することができる。
本実施形態1に係る検出方法の概要を示す図である。 本実施形態1に係る検出方法の処理の流れの一例を示す図である。 本実施形態2に係る対象液における修飾物質の濃度を検体由来の標的物質の濃度に対応させるように調整する処理の流れの一例を示す図である。 本実施形態3に係る検出システムの外観の一例を示す図である。 本実施形態3に係るカートリッジの内部構成の一例を模式的に示す概略図である。 本実施形態3に係るセンサユニットの内部構成の一例を模式的に示す概略図である。 本実施形態3に係る捕捉部の形成処理の流れの一例を模式的に示す概略図である。 本実施例1に係るグルコースオキシダーゼ活性とSAWセンサにより検出された表面弾性波の位相変化量との関係を示す図である。 本実施例1に係る金析出に伴うSAWセンサにより検出された表面弾性波の位相変化量を示す図である。
〔実施形態1〕
(検出方法の概要)
はじめに、本実施形態に係る検出方法の概要について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る検出方法の概要を示す図である。図1に示すように、当該検出方法では、例えば、センサユニット23として表面弾性波(SAW;Surface Acoustic Wave)センサを用いる。SAWセンサは表面弾性波の導波路となる金属基板241を備えている。金属基板241は、例えば、金等の金属によって構成されている。発明者らは、金により構成されている金属基板241上に金を直接析出させると、析出した金241aによってSAWセンサにより検出された表面弾性波の位相変化量に大きな変化が生じることを観測した。当該観測結果の詳細については、後述の実施例1にて説明する。発明者らは、この観測結果を契機に、金属基板上に金属基板を構成する金属を直接析出させて、析出した金属の量に対応する金属基板の物理的特性の変化を検出することによって、標的物質を検出する検出方法を見出した。
詳細には、本実施形態に係る検出方法は、対象金属析出工程と検出工程とを含む。対象金属析出工程では、金属基板を構成する金属と対象液とが接する部位に対象金属を析出させる。この対象液には触媒作用を有する機能分子を、検出対象となる標的物質に対して付加した修飾物質が含まれている。該機能分子の触媒作用を介して、対象液中の対象金属イオンが還元され、対象金属が析出する。また、検出工程では、析出した対象金属の量に対応する金属基板の物理的特性の変化を検出する。
前記の構成によれば、触媒作用を有する機能分子を、標的物質に対して付加した修飾物質を介して、金属基板を構成する金属と対象液とが接する部位に対象金属は析出される。すなわち、金属基板上に直接対象金属を析出させることができる。そのため、金属基板の物理的特性に変化を生じさせることができる。ここで、金属基板上に析出する対象金属の量は、金属基板の近傍に存在する触媒作用を有する機能分子を付加した修飾物質の量に応じる。すなわち、金属基板の近傍に存在する機能分子を付加した修飾物質の量が多ければ析出する対象金属の量は多くなり、該修飾物質の量が少なければ析出する対象金属の量も少なくなる。よって、析出した対象金属の量に対応する金属基板の物理的特性の変化を検出することによって、標的物質を感度良く検出することができる。
例えば、対象液における修飾物質の濃度を、検体由来の標的物質の濃度に対応させてもよい。前記の構成によれば、検体中の標的物質の濃度を測定することができる。対象液における修飾物質の量を検体由来の標的物質の量に対応するように調整する処理の詳細については後述する。
また、本実施形態においては、前記検出工程において、金属基板の物理的特性の変化として、金属基板の表面弾性波速度の変化を検出する例、すなわち、SAWセンサを用いた検出方法の例について主に説明する。一方で、本実施形態の検出方法は、SAWセンサを用いた検出方法以外の金属基板を用いた検出方法にも利用することができる。例えば、検出工程において、金属基板の物理的特性の変化として、金属基板の厚み滑り振動周波数の変化、前記金属基板の表面プラズモン共鳴角度の変化などを検出してもよい。前記の構成によれば、Quartz crystal microbalance(QCM)法を用いた検出方法、Surface plasmon resonance(SPR)法を用いた検出方法等に本実施形態の検出方法を利用することができる。
(検出方法の例)
以下、本実施形態に係る検出方法ついて、図2を用いて詳細に説明する。図2は、本実施形態における検出方法の処理の流れの一例を示す図である。
<対象液における修飾物質の量の調整処理の例>
はじめに、対象液における修飾物質の濃度を、検体由来の標的物質の濃度に対応させるように調整する処理について説明する。ここで、対象液とは、後述の導波路における処理の対象となる対象液である。当該調整処理は、図2に示すステップS1からステップS3の工程に対応する。
図2に示すように、まず、抗原を含む検体に酵素標識抗原および抗体Ab-マグネットビーズMB(Ab-MB)複合体を添加する(ステップS1:酵素標識抗原・抗体添加工程)。ここで、当該抗原は標的物質である。また、酵素標識抗原は、触媒作用を有する機能分子である酵素Eを標的物質に付加した修飾物質である。機能分子は、例えば、グルコースオキシダーゼである。また、抗体Abは標的物質に特異的に結合する抗体である。
続いて、Ab-MB複合体が備える抗体Abに対して、検体由来の標的物質と修飾物質とを競合反応させる(ステップS2:競合反応工程)。競合反応の反応時間は、充分に競合反応できる時間であればよく特に限定されないが、例えば、15分としてもよい。
続いて、マグネットを用いてAb-MB複合体が備える抗体Abに結合している検体由来の標的物質および該抗体Abに結合している修飾物質を反応液から除去する(ステップS3:マグネット処理工程)。
最終的に検体由来の標的物質の濃度を算出するために、前記酵素標識抗原・抗体添加工程(ステップS1)では、添加後の液体における修飾物質の濃度が所定の濃度となるようにしてもよい。検体由来の標的物質の量が修飾物質の量に対して多い場合、競合反応工程(ステップS2)にて抗体Abに結合する検体由来の標的物質の量は修飾物質の量に対して多くなる。その結果、抗体Abと結合する修飾物質の量は、抗体Abと結合する検体由来の標的物質の量に対して少なくなる。したがって、抗体Abと結合していない修飾物質の量は、抗体Abと結合していない検体由来の標的物質の量に対して多くなる。また、検体由来に含まれる標的物質の量が修飾物質の量に対して少ない場合、抗体Abと結合していない修飾物質の量は修飾物質の量に対して少なくなる。そのため、マグネット処理工程(ステップS3)にて、抗体Abに結合している検体由来の標的物質および抗体Abに結合している修飾物質を除去することによって、以降の処理に用いられる対象液の修飾物質の量を検体由来の標的物質の量に対応するように調整できる。すなわち、対象液は、検体由来の標的物質と修飾物質とを含み、対象液における修飾物質の濃度は処理前の検体における標的物質の濃度に対応していることになる。また、対象液を、以下のように表現することもできる。対象液は、検体由来の標的物質と所定濃度の前記修飾物質とを含み、標的物質に特異的に結合する抗体と結合した修飾物質が除去されている。前記の構成によれば、以降の検出工程から得られる検出結果から、本来の検体における標的物質の濃度を算出することができる。すなわち、検体中の標的物質の濃度を測定することができる。
前記ステップS1からステップS3の処理は、マイクロチューブ等の容器内で行われてもよいし、後述の実施形態3にて説明する検出システム100のカートリッジ(検出用カートリッジ)2内で行われてもよい。
<導波路における処理の例>
次に、SAWセンサの導波路である金属基板241上にて行われる処理の例について説明する。金属基板241における処理は、図2に示すステップS4からステップS7に対応する。はじめに、標的物質に特異的に結合する抗体243が固定化されているSAWセンサの金属基板241上に、マグネット処理工程(ステップS3)にて調整された対象液および析出反応液を添加する(ステップS4:対象液・析出反応液添加工程)。本実施形態においては、金属基板241は金によって構成されている例を説明する。析出反応液は、修飾物質である酵素標識抗原が備える酵素の触媒作用により生じる化合物と金イオンとの反応によって、金を金属基板241に析出させるための反応液である。対象液および析出反応液は同時に金属基板241上に添加されてもよい。また、対象液が金属基板241上に添加された後に、析出反応液が金属基板241上に添加されてもよい。また、析出反応液が金属基板241上に添加された後に、対象液が金属基板241上に添加されてもよい。
また、上述のステップS2、すなわち、競合反応工程における競合反応液中に、当該析出反応液を構成する成分が含まれていてもよい。
本実施形態では、グルコース、および対象金属イオンを含む析出反応液が対象液に加えられる。例えば、析出反応液の組成は、金の析出反応時において金属基板241上に充填されている状態で以下に示す組成となるように調整されていてもよい。
20mM グルコース
40mM チオシアン酸ナトリウム
0.5mM パラバンゾキノン(BQ)
1mM 塩化金酸ナトリウム
10mM リン酸(pH7.0)/0.05% ポリソルベート20
また、他の例として、銀によって構成された金属基板241に銀を直接析出させる場合は、析出反応液を、修飾物質である酵素標識抗原が備える酵素の触媒作用を介して、銀イオンを金属基板241に銀として析出させるための反応液としてもよい。
次に、金属基板241に固定化されている抗体243に修飾物質を捕捉させる(ステップS5:捕捉工程)。前記の構成によれば、金属基板241上に固定化された抗体243によって修飾物質が捕捉される。そのため、金属基板241を構成する金と対象液とが接する部位の近傍に機能分子である酵素を留めておくことができる。金イオンが還元されて生成した金原子は、例えば、金表面(すなわち、金原子が配列している表面)に析出する傾向がある。すなわち、金属基板241を構成する金が露出した部分の近傍に該酵素を留めておくことによって、後述の対象金属析出工程における対象金属の析出量を増加させることができる。したがって、金属基板241の物理的特性の変化を増大させることができる。よって、後述の検出工程における検出感度を高めることができる。
次に、金属基板241に固定化されている抗体243が捕捉した修飾物質に付加されている酵素の触媒作用を介して、金を金属基板241に析出させる(ステップS6:対象金属析出工程)。すなわち、触媒作用を有する機能分子を、検出対象となる標的物質に対して付加した、対象液に含まれている修飾物質を介して、対象液中の対象金属イオンを還元して対象金属を、金属基板を構成する金属と対象液とが接する部位に析出させる。金析出の反応時間は、充分に金が析出できる時間であればよく特に限定されないが、例えば、10分としてもよい。
以下に、金を導波路である金属基板241に析出させる一連の反応の一例を示す。
Figure 2024095317000002
Figure 2024095317000003
Figure 2024095317000004
Figure 2024095317000005
ここで、GOD(ox)は酸化型のグルコースオキシダーゼであり、GOD(red)は還元型のグルコースオキシダーゼである。グルコースオキシダーゼは修飾物質である酵素標識抗原が機能分子として備える酵素である。還元型のグルコースオキシダーゼは、液中の酸化物を還元する。液中の酸化物とは、例えば、上記反応の一例に示すBQである。還元された酸化物は、対象金属イオンを還元することが可能であるため、機能分子として利用可能である。例えば、還元された酸化物は上記反応の一例に示すHQである。対象金属イオンが還元されることにより、金属基板上に対象金属が析出する。
次に、析出した金の量に対応する金属基板241の表面弾性波速度の変化を検出する(ステップS7:検出工程)。すなわち、金属基板を構成する金属と対象液とが接する部位に析出した対象金属の量に対応する金属基板の物理的特性の変化を検出する。当該検出工程には、SAWセンサを用いた従来周知の技術を適宜用いてもよい。そして、処理は終了する。
<過酸化水素の発生を低減する処理の例>
対象金属析出工程においては、以下の式に示すように、溶存酸素により過酸化水素Hが生じ得る。
Figure 2024095317000006
生じた過酸化水素は、以下の式に示すようにヒドロキノンHQを酸化し得る。そのため、過酸化水素は金を金属基板241に析出させる反応を阻害し得る。
Figure 2024095317000007
例えば、過酸化水素による対象金属の析出阻害を低減するために、析出反応液にカタラーゼを添加する処理を行ってもよい。また、析出反応液および検出対象となる対象液に脱気処理を行ってもよい。
〔実施形態2〕
他の実施形態について、以下に説明する。また、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
<対象液における修飾物質の量の調整処理の他の例>
以下、本実施形態に係る、対象液における修飾物質の濃度を検体由来の標的物質の濃度に対応させるように調整する処理の他の例について、図3を用いて詳細に説明する。図3は、本実施形態に係る対象液における修飾物質の濃度を検体由来の標的物質の濃度に対応させるように調整する処理の流れの一例を示す図である。図3に示すように、まず、標的物質である抗原を含む検体に酵素標識抗原および一次抗体を添加する(ステップS1a:酵素標識抗原・抗体添加工程)。添加後の液体における修飾物質の濃度が所定の濃度となるようにしてもよい。抗原および酵素標識抗原は、上述の実施形態1にて説明した構成と同様であるため、ここでの説明は繰り返さない。一次抗体は標的物質に特異的に結合する抗体である。例えば、一次抗体としてマウスIgG抗体を用いてもよい。
次に、競合反応工程(ステップS2a)、二次抗体-マグネットビーズMB(二次抗体-MB)添加工程(ステップS3a)およびマグネット処理工程(ステップS3b)によって、対象液における修飾物質の量を検体由来の標的物質の量に対応するように調整する。はじめに、一次抗体に対して、検体由来の標的物質と修飾物質とを競合反応させる(ステップS2a:競合反応工程)。競合反応の反応時間については、上述の実施形態1のステップS2と同様であるため、ここでの説明は繰り返さない。続いて、競合反応を行った反応液に二次抗体-MB複合体を添加する(ステップS3a)。二次抗体-MB複合体が備える二次抗体は、一次抗体に特異的に結合する抗体である。例えば、一次抗体としてマウスIgG抗体を用いた場合、二次抗体は抗マウスIgG抗体を用いることができる。本工程においては、二次抗体-MB複合体に一次抗体を捕捉させる。二次抗体-MB複合体に捕捉された一次抗体には、検体由来の標的物質または修飾物質を結合している一次抗体が含まれる。
続いて、マグネットを用いて二次抗体-MB複合体に捕捉された一次抗体に結合している検体由来の標的物質および一次抗体に結合している修飾物質を反応液から除去する(ステップS3b:マグネット処理工程)。前記S1aからS3bの処理は、マイクロチューブ等の容器内で行われてもよいし、後述の実施形態3にて説明する検出システム100がカートリッジ2内で行ってもよい。
前記の工程により、対象液における修飾物質の量を検体由来の標的物質の量に対応するように調整できる。すなわち、対象液は検体由来の標的物質と修飾物質とを含み、対象液における修飾物質の濃度は検体における標的物質の濃度に対応している。また、対象液を以下のように表現することもできる。対象液は、検体由来の標的物質と所定濃度の前記修飾物質とを含み、標的物質に特異的に結合する抗体と結合した修飾物質が除去されている。前記の構成によれば、検出工程から得られる結果から、本来の検体中の標的物質の濃度を算出することができる。
二次抗体-マグネットビーズMB複合体を用いて対象液を調整することにより、標的物質ごとに一次抗体-マグネットビーズMB複合体を生成する手間を省くことができる。また、一次抗体をマグネットビーズMBとの複合体とすることによって生じ得る、抗原に対する一次抗体の結合能力への影響を考慮しなくてもよくなる。
〔実施形態3〕
(検出システム100の外観)
次に、上述の実施形態1または2に記載されている検出方法を適用した検出システム100について説明する。図4は、本実施形態に係る検出システム100の外観の一例を示す図である。例えば、検出システム100の一例として、病原体である標的生物由来のタンパク質などを用いて病原体を検出するシステムを挙げることができる。また、検出システム100は、抗体に結合可能である標的生物由来のタンパク質以外の物質を検出してもよい。検出システム100は、一例として、検出装置3およびカートリッジ2(流路デバイス)を含む。図4は、カートリッジ2が検出装置3に完全に装着されておらず、挿入される途中の様子を示している。
本実施形態では、一例として、検出システム100は、検出装置3とカートリッジ2とが別体として構成されており、カートリッジ2が検出装置3に挿入されて互いに電気的に接続されることにより検出が実行されるものとする。このような検出システム100においては、検出に用いられる試薬および検体液などの流体は、予め、カートリッジ2に収容されていてもよい。検出装置3とカートリッジ2とが別体として構成される場合、カートリッジ2は、消耗品であり、一例として、1つのカートリッジ2が、被検体1個体につき、検出を行うために使用される。他の例では、検出の種類に応じて、被検体1個体につき、複数のカートリッジ2が使用されてもよい。
このような検出システム100の構成は、例えば、検体取得後ただちに検出を実行し、結果をユーザに提示するようなPOCT(Point Of Care Testing)と呼ばれる迅速検査を実行する場合に採用されてもよい。この場合、検出装置3は、例えば、薬局、クリニック、家庭などに配置し得る、比較的小型の装置として構成されてもよい。
上述の例に限らず、本開示の検出システム100は、検査室等に一旦集められた大量の検体を大型の検出装置3にて同時に測定するような場合においても適用可能である。この場合、試薬および検体液などの流体は、検出を実行する時に、検出装置3からカートリッジに送り込まれた後、カートリッジ内に送液されるような構成をとることも考えられる。
一実施形態に係る検出システム100は、検体Pに含まれる検出対象について検出を行い、検出結果を、ユーザに提示するシステムである。ユーザは、検出作業を担当する検出装置3のオペレータであってもよいし、医師など測定を依頼した依頼者であってもよいし、患者など検体Pを提供した被検者であってもよい。
検出システム100は、一例として、カートリッジ2および検出装置3を含む。検出装置3にカートリッジ2が挿入されて、両者が電気的に接続された後、検出装置3は即時にカートリッジ2の測定を開始してもよいし、ユーザの入力操作に従って測定を開始してもよい。他の例では、検出装置3は、カートリッジ2の認証を行って、認証に成功した場合に検出を開始してもよい。検出装置3は、表示部35を備え、ユーザに対して各種の情報を提示してもよい。例えば、検出装置3は、測定の進行状況、ユーザになんらかの入力操作を促すメッセージ、検出が出来なかった場合のエラーメッセージなどを表示部35に表示させることができる。
検出システム100において、例えば、検体Pは、唾液であってもよい。以下では、検出システム100が、検体Pとしての唾液に含まれる検出対象の増幅物を検出するためのシステムであるとして説明する。しかし、検体Pは、唾液に限られず、生体由来の物質であればよい。検体Pは、例えば、尿、血液、汗、または鼻汁であってもよい。カートリッジ2は、カートリッジ2に収容される検体Pを、検出装置3が検出できるように適宜構成されればよい。カートリッジ2の構成の一例については別図を参照しながら後に詳述する。また、カートリッジ2には、検体Pの替わりに、実施形態1および実施形態2にて説明した、修飾物質の量が調整された対象液が収容されていてもよい。
(カートリッジ2の構成)
図5は、カートリッジ2の内部構成の一例を模式的に示す概略図である。カートリッジ2は検出装置3に着脱可能な使い捨てのカートリッジであってよい。カートリッジ2は、例えば樹脂で形成されてよい。樹脂は、例えば、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリメタクリル酸メチル樹脂およびポリジメチルシロキサンなどであってよい。
一実施形態に係るカートリッジ2は、保持部21と、受液部22と、センサユニット23と、流路28と、カートリッジを検出装置3に取り付けるための取り付け部29とを備えている。
保持部21は、液体、とりわけ、測定対象を含まない試薬などの液体を保持するものである。本実施形態では、一例として、検出システム100は、種類の異なる2つの試薬を測定に用いてもよい。以下では、第1の試薬を保持する保持部21を第1保持部211と称し、第2の試薬を保持する保持部21を第2保持部212と称する。他の例では、検出システム100は、1種類の試薬を測定に用いてもよいし、3種類以上の試薬を測定に用いてもよい。すなわち、カートリッジ2は、保持部21を1つ備えていてもよいし、3つ以上備えていてもよい。例えば、保持部21には、実施形態1および実施形態2にて説明した、析出反応液が収容されている。また、保持部21には、実施形態1および実施形態2にて説明した、対象液における修飾物質の量の調整処理に用いる試薬等が収容されていてもよい。
受液部22は、液体、とりわけ、測定対象を含む検体液としての検体Pをカートリッジ2の内部に取り込み、保持するものである。受液部22の形状は特に限定されない。受液部22は、流路28と接続されている。受液部22に収容された検体Pは、検出装置3の不図示の押圧ピンによって押圧されたことにより、受液部22から押し出され、接続された流路28を介してセンサユニット23に供給される。受液部22は、流路28と一体に形成されてもよいし、流路28と別体として形成されてもよい。受液部22は、従来周知の技術によって形成されてよい。
センサユニット23は、実施形態1にて説明した表面弾性波速度の変化を検出するものである。センサユニット23は、表面弾性波速度の変化を検出するセンサを少なくとも1つ備えている。センサユニット23は、複数のセンサを備えていてもよい。
一例として、センサユニット23は、捕捉部24(センサ部)および参照部25(センサ部)の2つのセンサを備えていてもよい。以下では、センサユニット23が、単一のセンサを有する場合、センサユニット23を単にバイオセンサと称してもよい。センサユニット23が複数のセンサ、例えば、捕捉部24および参照部25を有する場合、個々のセンサを特に区別する必要がない場合には、捕捉部24および参照部25をまとめてバイオセンサと称してもよい。また、反応部50および参照部25を備えるセンサユニット23全体をバイオセンサと称してもよい。
捕捉部24は、対象液中の標的物質を捕捉可能な抗体243を表面に配し、対象液中の標的物質を捕捉する。特に、本実施形態では、捕捉部24は、触媒作用を有する機能分子を、検出対象となる標的物質に対して付加した修飾物質を捕捉する。捕捉部24の詳細については後述する。
流路28は、センサユニット23に1種類以上の流体を供給するためのものである。流路28は、カートリッジ2の上述の各構成要素、具体的には、第1保持部211、第2保持部212および受液部22と、センサユニット23とを接続するようにカートリッジ2の内部に形成されている。第1保持部211、第2保持部212および受液部22に収容されている流体は、流路28を介して、センサユニット23に供給される。
取り付け部29は、カートリッジ2を検出装置3に取り付けて固定するための機構である。また、取り付け部29は、カートリッジ2と、検出装置3とを電気的に接続する。カートリッジ2が取り付け部29を備えることにより、カートリッジ2が検出装置3に取り付けられ、カートリッジ2と、検出装置3とが電気的に接続される。
カートリッジ2は、上述したとおり、検出装置3と電気的に接続可能であり、検出装置3との間で、電気信号を相互に入出力することができる。カートリッジ2と検出装置3とを電気的に接続する端子等は、従来周知の方法によって作製されてよい。他の例では、カートリッジ2は、検出装置3に物理的に装着されなくともよい。例えば、カートリッジ2は検出装置3と通信可能な通信部を備えていてもよい。この場合、カートリッジ2は、有線または無線通信によって、検査に係る電気信号等の種々の情報を検出装置3と相互に送受信してもよい。
(センサユニット23の構成)
図6は、センサユニット23の内部構成の一例を模式的に示す概略図である。一実施形態に係るセンサユニット23は、一例として、表面弾性波を利用したセンサであり、捕捉部24、参照部25、一対の第1IDT(Inter Digital Transducer)電極26A、一対の第2IDT電極26B、および基板27を備える。捕捉部24、参照部25、一対の第1IDT電極26A、および一対の第2IDT電極26Bは、基板27上に位置してよい。
センサユニット23の捕捉部24および参照部25は、例えば、表面弾性波、QCM(Quartz Crystal Microbalance)、SPR(Surface Plasmon Resonance)等を利用するセンサであってもよい。すなわち、センサユニット23は、電気信号と、表面弾性波、QCM、SPR等とを相互に変換してもよい。センサユニット23は、従来周知の方法によって作製してもよい。一実施形態に係るセンサユニット23は、上述のとおり、一例として、表面弾性波を利用するセンサ装置であり、電気信号を表面弾性波に、表面弾性波を電気信号に相互に変換することができる。この場合、表面弾性波の初期位相および基板27の方位など、表面弾性波を利用するセンサに特有の情報が、検出装置3に保持されていてもよい。
図7は、捕捉部24の形成処理の流れの一例を模式的に示す概略図である。捕捉部24は、表面弾性波の導波路となる金属基板241、ポリマー膜242および抗体243を備えている。
金属基板241は、対象液に含まれ、触媒作用を有する機能分子を、検出対象となる標的物質に対して付加した修飾物質を捕捉可能な捕捉体が固定化されている。ここで、捕捉体とは、例えば、図7における抗体243である。金属基板241は、捕捉された修飾物質に付加されている機能分子の触媒を介して、対象液中の対象金属イオンが還元されることによって対象金属を析出させる反応を行う反応場である捕捉部24内に配されている。対象金属は、金属基板を構成する金属と対象液とが接する部位に析出する。
金属基板241は、例えば金、および銀等の金属で構成されている。本実施形態においては、金属基板241が金(Au)によって構成されている例について説明する。図7に示すように、金属基板241の表面を洗浄後、金属基板241上にポリマー膜242を形成することによって、抗体を固定してもよい。例えば、金属基板241上に形成したポリマー膜上に、抗体を固定してもよい。
また、図7に示すように、ポリマー膜242には隙間が設けられており、ポリマー膜242は微視的に見て金属基板241を完全に被っていない。すなわち、金属基板241の一部は露出している。実施形態1にて説明したように、金イオンが還元されて生成した金原子は、金属基板241を構成する金が露出した部分に析出する。
また、前記構成によれば、ポリマー膜242によって、金属基板241上に充填される液体中の夾雑物が金属基板241の表面に非特異的に吸着するのを低減できる。
例えば、上述の金属基板241の表面における夾雑物の非特異的な吸着を低減するために、ポリマー膜242の膜厚を2nm以上としてもよい。
例えば、ポリマー膜242の素材としては、以下の化学式によって示す、11-ウンデカノール-n-エチレングリコールエーテル(SAM-EGn-OH)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド):poly(HPMA)、ポリメタクリル酸カルボキシベタインpoly(CBMA)等を挙げることができる。
Figure 2024095317000008
Figure 2024095317000009
Figure 2024095317000010
Figure 2024095317000011
また、実施形態1にて説明した修飾物質に付加している機能分子としての酵素は等電点が対象液のpHよりも低い場合があり、その場合は修飾物質全体がマイナスに帯電する。そのため、抗体固定後の捕捉部24の表面電位を対象液中でプラスとしてもよい。したがって、前記ポリマーの素材に以下の化学式に示す、11-ウンデカノール-n-ω―アミノエチレングリコールエーテル(SAM-EGn-NH2)、ω-アミノポリエチレングリコール(PEG-NH2)、ポリアクリルアミド(polyacrylamide)、ポリ(2-アミノエチルメタクリル酸)(poly(AEM))、ポリ(N-(2-アミノエチル)メタクリルアミド)(poly(AEMA))等のカチオン性のポリマーを混ぜてポリマー膜242を形成してもよい。
Figure 2024095317000012
Figure 2024095317000013
Figure 2024095317000014
Figure 2024095317000015
Figure 2024095317000016
また、表面弾性波の導波路となる金属基板241上、例えば、ポリマー膜242は、グルコースを担持していてもよい。当該グルコースは、機能分子として修飾物質に付加しているグルコースオキシダーゼを還元するために用いられてもよい。
また、図6に示すように、一対の第1IDT電極26Aは、一対の第1IDT電極26A間に弾性波を発生させることができる。発生した弾性波のうち、基板27の表面を伝搬する弾性波を、表面弾性波ともいう。一対の第1IDT電極26Aは、基板27において、捕捉部24を挟むように配置されてもよい。一実施形態に係るセンサユニット23では、検出装置3の制御により一対の第1IDT電極26Aの一方に電気信号(入力信号)が入力される。入力された電気信号は、捕捉部24に向かって伝搬する弾性波に変換されて一方の第1IDT電極26Aから発信される。発信された弾性波は、捕捉部24を通過する。他方の第1IDT電極26Aは、捕捉部24を通過した弾性波を受信することができる。受信された弾性波は、電気信号(出力信号)に変換される。変換された電気信号は、検出装置3に出力される。一対の第1IDT電極26Aは、例えば、金、クロムまたはチタン等の金属、またはこれらの金属の組合せで形成されてもよい。一対の第1IDT電極26Aは、単一の材料で構成された単層の電極、または複数の材料で構成された多層の電極であってもよい。
捕捉部24において、捕捉対象である標的物質と抗体243とが相互作用することによって、基板27上を伝播する弾性波の伝搬特性が変化する。また、上述のように、抗体243が捕捉した修飾物質に付加されている機能分子によって、金属基板241と対象液とが接する部位に金属が析出する。そのため、析出した金属の量に応じて、金属基板241の物理的特性である弾性波の伝搬特性が変化する。この変化の大きさは、修飾物質と抗体243との反応量に相関する。また、弾性波の特性(例えば位相、振幅、あるいは周期等)は、捕捉部24を伝搬することで変化する。特性の変化の大きさは、基板27にかかる重量の大きさ、あるいは基板27の表面に接触する液体の粘度の大きさと相関する。したがって、検出装置3は、センサユニット23から出力された出力信号を解析することにより、弾性波の伝搬特性の変化に基づいて、修飾物質を検出することができる。
センサユニット23は、捕捉部24および一対のIDT電極26Aの組合せを2つ以上有していてもよい。この場合、検出装置3は、例えば、組合せごとに異なる種類の標的物質を測定してもよい。または、検出装置3は、例えば、同じ種類の標的物質を複数の組合せで測定し、それぞれの測定結果を比較してもよい。
参照部25には、捕捉部24と異なり、抗体243が固定されていない。したがって、参照部25では、標的物質と抗体243との反応が起こらない。そのため、参照部25は、捕捉部24のコントロールとして機能することができる。参照部25は、捕捉部24と同一または類似に構成され得る。
一対の第2IDT電極26Bは、一対の第2IDT電極26B間に弾性波を発生させることができる。一対の第2IDT電極26Bは、基板27において、参照部25を挟むように配置されてもよい。一実施形態に係るセンサユニット23では、検出装置3の制御により一対の第2IDT電極26Bの一方に電気信号(入力信号)が入力される。入力された電気信号は、参照部25に向かって伝搬する弾性波に変換されて一方の第2IDT電極26Bから発信される。発信された弾性波は、参照部25を通過する。他方の第2IDT電極26Bは、参照部25を通過した弾性波を受信することができる。受信された弾性波は、電気信号(出力信号)に変換される。変換された電気信号は、検出装置3に出力される。一対の第2IDT電極26Bは、一対の第1IDT電極26Aと同一または類似に構成され得る。
基板27は、例えば圧電性を有する基板であってもよい。一例として、基板27は、水晶基板であってもよい。基板27は、水晶基板に限らず、弾性波を伝搬することができる任意の材料で構成され得る。基板27は、従来周知の手法により作製されてもよい。
本開示の一実施例について以下に説明する。
本実施例では、グルコースオキシダーゼ活性とSAWセンサにより検出された表面弾性波の位相変化量との関係について調査する試験を行った。
〔実験区1〕
実験区1として、以下の試験を行った。
(試験方法)
SAWセンサにおける表面弾性波の導波路となる金により構成されている金属基板上に、反応液および修飾物質として各活性(mU/ml)となるように調製されたグルコースオキシダーゼ-テストステロン複合体(GOD-TS)を加えて金を析出させた。金属基板として、金属基板上にポリマー膜が形成されている金属基板を用いた。ポリマー膜はSAM-EG3-OHによって形成した。
次にポリマー膜(SAM-EG3-OH)上に抗テストステロン抗体を固定化した。固定化方法は、ポリマー膜を形成した金属基板を200mMのN,N-ジスクインイミジルカーボネート、400mMのトリエチルアミン、8mMのN,N-ジメチルアミノピリジンを含むアセトニトリルに浸漬し、窒素雰囲気化で6時間放置した。6時間後、金属基板を取り出し、テトラヒドロフランで洗浄し、窒素気流にて乾燥させた。その後、0.1mg/mLの抗テストステロン抗体を含む10mM酢酸緩衝液(pH5)を金属基板上に滴下した。所定時間経過後、金属基板をリン酸緩衝整理食塩水で洗浄することで、ポリマー膜上に抗体を固定化させた。
次に、それぞれのグルコースオキシダーゼの活性によって金属基板上に金を析出させた。
金析出のための反応液の組成は、金析出反応時に、20mM グルコース、40mM チオシアン酸ナトリウム、0.5mM パラべンゾキノン、1mM 塩化金酸ナトリウム、10mM リン酸(pH7.0)/0.05% ポリソルベート20となるようにした。さらに、反応液における溶存酸素を凍結脱気法により脱気した。
グルコースオキシダーゼの活性は0、14、56および28000 mU/mlとした。
また、グルコースオキシダーゼとして用いるGOD-TSの生成の詳細は以下の通りである。
(1)0.1mLの8mM テストステロン3-(O-カルボキシメチル)オキシム(溶媒:エタノール)に対し、0.1M MES(pH 6)、0.5M NaClを溶媒とするEDCおよびNHSを全量が1mLとなるように添加し、室温で15分間静置した。ここで、MESは2-モルホリノエタンスルホン酸である。EDCは1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである。NHSはN-ヒドロキシスクシンイミドである。前記反応液中におけるEDCの終濃度を8mMとし、NHSの終濃度を20mMとした。
(2)続いて、0.8mLの0.1M リン酸ナトリウム緩衝液(pH 8)を反応液に添加し、反応液のpHをpH7付近に調整した。
(3)続いて、0.2mLの0.2mM GOD(溶媒:0.1M リン酸ナトリウム緩衝液、pH 8)を反応液に添加して反応液の全量を2mLとし、反応液を室温で2時間静置した。
ここで、反応液におけるGODとテストステロン3-(O-カルボキシメチル)オキシムとのモル比率は以下の通りである。
GOD:テストステロン3-(O-カルボキシメチル)オキシム=1:20
(4)続いて、チューブあたり全量2mLの反応液をプールした後、PBS(pH 7.4)1Lに対して4℃で透析することで、EDCおよびNHS等の残存試薬の除去およびバッファー置換を行った。該透析には、14kDaの分子量カットオフの透析膜を用いた。
それぞれのグルコースオキシダーゼの活性によって金を析出させた金属基板における表面弾性波の位相を測定した。
GOD-TSを含む溶液を滴下した直後の位相を0とし、それぞれのグルコースオキシダーゼの触媒作用を介して金を析出させ、15分経過した後の金属基板における表面弾性波の位相の変化を位相変化量として算出した。
〔実験区2〕
実験区2として、上述の実験区1における凍結脱気処理を行わず、その他は実験区1と同一条件、同一方法にて表面弾性波の位相の測定と位相変化量の算出を行った。
〔対照区〕
対照区として、実験区1、実験区2における金析出のための反応液から塩化金酸ナトリウムを除いた溶液を反応液として用いた。すなわち、対象区では、金析出を行わずに表面弾性波の位相の測定と位相変化量の算出を行った。
(試験結果)
図8は、前記試験結果から得られデータに基づく、グルコースオキシダーゼ活性とSAWセンサにより検出された表面弾性波の位相変化量との関係を示す図である。図8に示すように、金析出を行わない対照区に対して、実験区1および実験区2では同じGOD-TSの濃度が高くなるに伴い、大幅に位相変化量が増大した。
すなわち、グルコースオキシダーゼを介した金析出を行った金属基板において、グルコースオキシダーゼ濃度に応じて、表面弾性波の位相変化量が大きくなることが観測された。そのため、検出対象となる物質の濃度に応じた修飾物質を用いて金析出反応をおこなうことで、より濃度の低い検出対象物質の測定が可能となることが示された。
図9は、実験区1および実験区2における、金析出に伴うSAWセンサにより検出された表面弾性波の位相変化量を示す図である。図9に示すグラフの縦軸はSAWセンサにより検出された表面弾性波の位相変化量を示している。また、横軸はグルコースオキシダーゼ活性、すなわち、金析出量を示している。また、各プロットにおいて縦線で示すエラーバーは各測定点における標準偏差を示している。脱気による酸素除去を行った実験区1では、脱気による酸素除去を行わなかった実験区2に対して、位相変化量が大きく、かつ、標準偏差が小さかった。すなわち、実験区1では、実験区2に対して、安定した位相変化量が観測された。
〔まとめ〕
本開示の態様1に係る標的物質の検出方法は、対象液に含まれ、触媒作用を有する機能分子を、検出対象となる標的物質に対して付加した修飾物質を介して、前記対象液中の対象金属イオンを還元して対象金属を、金属基板を構成する金属と前記対象液とが接する部位に析出させる対象金属析出工程と、前記部位に析出した前記対象金属の量に対応する前記金属基板の物理的特性の変化を検出する検出工程と、を含む。
本開示の態様2に係る標的物質の検出方法は、前記態様1において、前記金属基板上に固定化された捕捉体に前記修飾物質を捕捉させる捕捉工程を含んでもよい。
本開示の態様3に係る標的物質の検出方法は、前記態様2において、前記捕捉体は前記標的物質に特異的に結合する抗体であってもよい。
本開示の態様4に係る標的物質の検出方法は、前記態様1から3の何れかにおいて、前記対象液は、検体由来の前記標的物質と、前記修飾物質とを含み、前記対象液における前記修飾物質の濃度は、前記検体における前記標的物質の濃度に対応していてもよい。
本開示の態様5に係る標的物質の検出方法は、前記態様4において、前記対象液は、前記標的物質に特異的に結合する抗体と結合した前記修飾物質が除去されてもよい。
本開示の態様6に係る標的物質の検出方法は、前記態様1から5の何れかにおいて、前記対象金属イオンは、金イオンまたは銀イオンであってもよい。
本開示の態様7に係る標的物質の検出方法は、前記態様1から6の何れかにおいて、前記機能分子は、グルコースオキシダーゼであってもよい。
本開示の態様8に係る標的物質の検出方法は、前記態様7において、グルコース、および前記対象金属イオンを含む反応液が前記対象液に加えられる反応液添加工程を含んでもよい。
本開示の態様9に係る標的物質の検出方法は、前記態様1から8の何れかにおいて、前記検出工程において、前記金属基板の物理的特性の変化として、前記金属基板の表面弾性波速度の変化、前記金属基板の厚み滑り振動周波数の変化、または前記金属基板の表面プラズモン共鳴角度の変化を検出してもよい。
本開示の態様10に係る検出用カートリッジは、対象液に含まれ、触媒作用を有する機能分子を、検出対象となる標的物質に対して付加した修飾物質を捕捉可能な捕捉体が固定化されている金属基板を備え、前記金属基板は、捕捉された前記修飾物質に付加されている前記機能分子の前記触媒作用を介して、前記対象液中の対象金属イオンが還元されることによって対象金属を析出させる反応を行う反応場内に配されており、前記対象金属は、前記金属基板を構成する金属と前記対象液とが接する部位に析出する。
以上、本開示に係る発明について、諸図面および実施例に基づいて説明してきた。しかし、本開示に係る発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。すなわち、本開示に係る発明は本開示で示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示に係る発明の技術的範囲に含まれる。つまり、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または修正を行うことが容易であることに注意されたい。また、これらの変形または修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
2 検出用カートリッジ(カートリッジ)
24 捕捉部(反応場)
241 金属基板
243 抗体(捕捉体)
S5 捕捉工程
S6 対象金属析出工程
S7 検出工程
S4 対象液・析出反応液添加工程(反応液添加工程)

Claims (10)

  1. 対象液に含まれ、触媒作用を有する機能分子を、検出対象となる標的物質に対して付加した修飾物質を介して前記対象液中の対象金属イオンを還元して、対象金属を、金属基板を構成する金属と前記対象液とが接する部位に析出させる対象金属析出工程と、
    前記部位に析出した前記対象金属の量に対応する前記金属基板の物理的特性の変化を検出する検出工程と、
    を含む標的物質の検出方法。
  2. 前記金属基板上に固定化された捕捉体に前記修飾物質を捕捉させる捕捉工程を含む、
    請求項1に記載の標的物質の検出方法。
  3. 前記捕捉体は前記標的物質に特異的に結合する抗体である、
    請求項2に記載の標的物質の検出方法。
  4. 前記対象液は、検体由来の前記標的物質と、前記修飾物質とを含み、
    前記対象液における前記修飾物質の濃度は、前記検体における前記標的物質の濃度に対応している、
    請求項1に記載の標的物質の検出方法。
  5. 前記対象液は、前記標的物質に特異的に結合する抗体と結合した前記修飾物質が除去されている、
    請求項4に記載の標的物質の検出方法。
  6. 前記対象金属イオンは、金イオンまたは銀イオンである、
    請求項1に記載の標的物質の検出方法。
  7. 前記機能分子は、グルコースオキシダーゼである、
    請求項1に記載の標的物質の検出方法。
  8. グルコース、および前記対象金属イオンを含む反応液が前記対象液に加えられる反応液添加工程を含む、
    請求項7に記載の標的物質の検出方法。
  9. 前記検出工程において、
    前記金属基板の物理的特性の変化として、前記金属基板の表面弾性波速度の変化、前記金属基板の厚み滑り振動周波数の変化、または前記金属基板の表面プラズモン共鳴角度の変化を検出する、
    請求項1に記載の標的物質の検出方法。
  10. 対象液に含まれ、触媒作用を有する機能分子を、検出対象となる標的物質に対して付加した修飾物質を捕捉可能な捕捉体が固定化されている金属基板を備え、
    前記金属基板は、
    捕捉された前記修飾物質に付加されている前記機能分子の前記触媒作用を介して、前記対象液中の対象金属イオンが還元されることによって対象金属を析出させる反応を行う反応場内に配されており、
    前記対象金属は、前記金属基板を構成する金属と前記対象液とが接する部位に析出する、
    検出用カートリッジ。
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