本発明の光電変換素子は、共役系高分子化合物を含有する光電変換層を備えた光電変換素子であって、前記共役系高分子化合物が、上記一般式(1)で表されるスクアリリウム構造又は上記一般式(2)で表されるクロコニウム構造を主鎖に有することを特徴とする。
この特徴は、下記実施形態に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明の光電変換素子の実施形態としては、前記共役系高分子化合物の分子末端が、キャッピングされていることが好ましい。複数の分子の縮合反応により合成される高分子化合物において、通常、末端構造は明確ではなく、反応活性が残存している。分子末端が反応不活性末端でキャッピングされており、末端構造を明確化・不活性化されていれば、ドメイン拡大が抑制され、キャリア移動度が向上する。このような効果によって、含有する共役系高分子化合物の分子末端がキャッピングされている光電変換素子では、光の検出性が高くなる。
本発明の光電変換素子の実施形態としては、1000nm以上の波長の光を検出し動作することが好ましい。これによって、特に生体透過性の高い波長域の光を検出することが可能となる。
本発明の光電変換素子の実施形態としては、前記共役系高分子化合物が、上記一般式(3)で表される構造を有するスクアリリウム化合物又は上記一般式(4)で表される構造を有するクロコニウム化合物であることが好ましい。これによって、生体透過性の高い波長域の光に対してより高い検出性を得ることができる。
本発明の光センサーは、光電変換素子を用いた光センサーであって、前記光電変換素子が、本発明の光電変換素子であることを特徴とする。
本発明のイメージセンサーは、光電変換素子を用いたイメージセンサーであって、前記光電変換素子が、本発明の光電変換素子であることを特徴とする。
本発明のフレキシブルセンサーは、光電変換素子を用いたフレキシブルセンサーであって、前記光電変換素子が、本発明の光電変換素子であることを特徴とする。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
1.本発明の光電変換素子の概要
本発明の光電変換素子は、共役系高分子化合物を含有する光電変換層を備えた光電変換素子であって、前記共役系高分子化合物が、下記一般式(1)で表されるスクアリリウム構造又は下記一般式(2)で表されるクロコニウム構造を主鎖に有することを特徴とする。
本発明において、「共役系高分子化合物」とは、共役系である高分子化合物のことをいう。ここで、「共役系」とは、多重結合と単結合の繰り返しにより、多重結合のπ電子が非局在化している状態のことをいう。また、本発明において、「高分子化合物」とは、数平均分子量が3000以上である化合物のことをいう。
本発明の光電変換素子は、光電変換層に含有される共役系高分子化合物が、下記一般式(1)で表されるスクアリリウム構造又は下記一般式(2)で表されるクロコニウム構造を主鎖に有することによって、生体透過性の高い波長域の光に感度を有する。具体的には、本発明の光電変換素子は、1000nm以上の波長の光を検出し動作することが好ましい。これによって、特に生体透過性の高い波長域の光を検出することが可能となる。ここで、「動作する」とは、光エネルギーを電気エネルギーに変換できることをいい、例えば外部量子効率が0.1%以上であることをいう。
検出する光の波長の上限値は、特に限定されず、含有する共役系高分子化合物等の成分によって決定される。当該上限値は、例えば短波長赤外線の上限値である3000nmや、近赤外線の上限である1400nmであり得る。
2.共役系高分子化合物
本発明に係る共役系高分子化合物は、下記一般式(1)で表されるスクアリリウム構造又は下記一般式(2)で表されるクロコニウム構造を主鎖に有することを特徴とする。
一般式(1)で表されるスクアリリウム構造及び一般式(2)で表されるクロコニウム構造は、いずれもπ電子が非局在化した構造である。
本発明に係る共役系高分子化合物は、上記のようなスクアリリウム構造又はクロコニウム構造を主鎖に有することによって、生体透過性が高い波長域の光に対する十分な光吸収性を有することができる。また、共役系高分子であることによって、電荷生成に適したヘテロジャンクション構造の薄膜を作ることに適している。
本発明に係る共役系高分子化合物は、下記一般式(3)で表される構造を有するスクアリリウム化合物又は下記一般式(4)で表される構造を有するクロコニウム化合物であることが好ましい。これによって、生体透過性の高い波長域の光に対してより高い検出性を得ることができる。
〔一般式(3)及び(4)中、R1~R4は、各々独立して、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。L1及びL2は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、エチニレン基、ビニレン基、又はこれらの組み合わせを表す。〕
R1~R4を表すアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-イソプロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-イソプロピルブチル基、2-メチル-1-イソプロピル基、1-t-ブチル-2-メチルプロピル基、n-ノニル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、1-メチルデシル基、n-ドデシル基、n-ヘキサデシル基、2-ヘキシルデシル基などが挙げられる。R1~R4を表すアルキル基は、さらに置換基を有していてもよい。
R1~R4を表すアリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などの非縮合炭化水素基が挙げられる。またさらに、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基などの縮合多環炭化水素基が挙げられる。R1~R4を表すアリール基は、さらに置換基を有していてもよい。
R1~R4を表すヘテロアリール基としては、例えばフラニル基(フリル基)、チオフェニル基(チエニル基)、シラフルオレニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、ジチエノピロリル基、ベンゾジチオフェニル基、ジチエノシラシクロペンタジエニル基、ジチエノシクロペンタジエニル基、クロモニル基、インダジロニル基などの窒素原子を含有しない複素環から導かれる基が挙げられる。またさらに、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ピロリル基、キノリル基、ピペリジル基、クマリニル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズチアゾリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、インダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ピリダジニル基、シンノリル基、キナゾリル基、キナゾロニル基、キノキサリル基、キノキサロニル基、キナゾリンジオニル基、キノキサリンジオニル基、フタラジニル基、フタラジンジオニル基、フタラゾニル基、フタルアミジル基、キノロニル基、イソキノロニル基、イソキノリニル基、ベンズイミダゾロニル基、ベンズオキサゾロニル基、ベンズイソキサゾリル基、ベンゾチアゾロニル基、ベンゾチアゾチオニル基、ベンズイソチアゾリル基、ナフタルイミジル基、ジオキソピリミジニル基、アクリジニル基、アクリドニル基、ベンゾオキサジンジオニル基、ベンゾキサジノニル基、ピリドニル基、ナフタリジニル基、ナフトラクタミル基などの窒素原子を含有する複素芳香族環(含窒素芳香族環)から導かれる基が挙げられる。R1~R4を表すヘテロアリール基は、さらに置換基を有していてもよい。
L1及びL2を表すアリーレン基としては、例えばo-フェニレン基、m-フェニレン基、p-フェニレン基、フルオレンジイル基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ナフタセンジイル基、ピレンジイル基、ナフチルナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基(例えば、[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジイル基、3,3’-ビフェニルジイル基、3,6-ビフェニルジイル基等)、テルフェニルジイル基、クアテルフェニルジイル基、キンクフェニルジイル基、セキシフェニルジイル基、セプチフェニルジイル基、オクチフェニルジイル基、ノビフェニルジイル基、デシフェニルジイル基等が挙げられる。L1及びL2を表すアリーレン基は、さらに置換基を有していてもよい。
L1及びL2を表すヘテロアリーレン基としては、例えばフラン、チオフェン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾジチオフェン、ジチエノピロール、シラフルオレン、ジチエノシラシクロペンタジエン、ジチエノシクロペンタジエン、クロモン、インタンジオンなどの窒素原子を含有しない複素環が挙げられる。またさらに、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、カルバゾール、カルボリン、ジアザカルバゾール、ピロール、キノリン、イソキノリン、キノロン、イソキノロン、ピペリジン、クマリン、ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾロン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾオキサゾロン、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾールチオン、ベンゾチアゾロン、ベンゾイソチアゾロン、インドール、カルバゾール、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、インダゾール、ピリダジン、シンノリン、キナゾリン、キナゾロン、キノキサリン、キノキサロン、フタラジン、アクリジン、アクリドン、ベンゾオキサジンジオン、ベンゾキサジノン、ナフタリジン、ナフトラクタム、キナゾリンジオン、キノキサリンジオン、フタラジンジオン、ピリドン、フタラゾン、フタルアミジン、ナフタルイミジン、ジオキソピリミジンなどの、窒素原子を含有する複素芳香族環(含窒素芳香族環)からなる群から導出される2価の基等が挙げられる。L1及びL2を表すヘテロアリーレン基は、さらに置換基を有していてもよい。
L1及びL2は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、エチニレン基、及びビニレン基の組み合わせでもよく、例えば以下の組み合わせが挙げられる。
エチニレン基-アリーレン基-エチニレン基
エチニレン基-ヘテロアリーレン基-エチニレン基
ビニレン基-アリーレン基-ビニレン基
ビニレン基-ヘテロアリーレン基-ビニレン基
アリーレン基-アリーレン基
ビニレン基-アリーレン基-アリーレン基-ビニレン基
エチニレン基-アリーレン基-アリーレン基-エチニレン基
ヘテロアリーレン基-ヘテロアリーレン基
ビニレン基-ヘテロアリーレン基-ヘテロアリーレン基-ビニレン基
エチニレン基-ヘテロアリーレン基-ヘテロアリーレン基-エチニレン基
本発明に係る共役系高分子化合物を以下例示する。例示する共役系高分子化合物の化学構造式において、nは、5~10000の範囲内である重合度を表す。なお、本発明に係る共役系高分子化合物は、これらに限定されるものではない。
本発明に係る共役系高分子化合物は、例えばスクアリン酸又はクロコン酸と、これらと脱水縮合反応をし得るモノマーとを反応させることによって、合成することができる。
以下に、本発明に係る共役系高分子化合物を得るための合成例1及び合成例2を示す。
本発明に係る共役系高分子化合物は、分子末端がキャッピングされていることが好ましい。複数の分子の縮合反応により合成される高分子化合物において、通常、末端構造は明確ではなく、反応活性が残存している。ここで、分子末端が反応不活性末端でキャッピングされており、末端構造を明確化・不活性化されていれば、ドメイン拡大が抑制され、キャリア移動度が向上する。このような効果によって、含有する共役系高分子化合物の分子末端がキャッピングされている光電変換素子では、光の検出性が高くなる。
分子末端が反応不活性末端でキャッピングされている共役系高分子化合物は、共役系高分子化合物分子末端をキャッピング剤で修飾(キャッピング処理)することによって得ることができる。
以下に、共役系高分子化合物の分子末端をキャッピング剤で修飾する合成例3及び合成例4を示す。
キャッピング剤としては、共役系高分子化合物の合成で用いた2種のモノマーのうち、一方のモノマーとは反応し得るが、もう一方のモノマーとは反応し得ない化合物を用いることができる。この要件を満たしていれば、化合物種を特に限定されず、例えば共役系高分子化合物の合成で用いた2種のモノマーのうち一方のモノマーを、キャッピング剤として用いることもできる。
本発明に係る共役系高分子化合物の分子量は、数平均分子量が3000以上であれば特に制限はないが、共役系高分子化合物に良好なモルフォロジーを与えるためには、適度な分子量を有することが好ましい。他方で分子量が高すぎると溶解性が低くなることがある。具体的には、共役系高分子化合物の数平均分子量が5000~100000の範囲内であることが好ましく、10000~70000の範囲内であることがより好ましく、15000~50000の範囲内であることがさらに好ましい。特に、本発明に係る共役系高分子化合物をp型有機半導体として用いてバルクヘテロジャンクション型の光電変換層を構成する場合、n型有機半導体として低分子化合物(例えば、フラーレン誘導体)が広く用いられているが、p型有機半導体として用いられる共役系高分子化合物の分子量が上記範囲内であると、ミクロ相分離構造が良好に形成されるため、pn接合界面で発生した正孔と電子とを運ぶキャリアパスが形成されやすくなるためである。
本発明において、共役系高分子化合物の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;標準物質ポリスチレン)で測定することができる。
3.光電変換素子の構成
本発明の光電変換素子は、上述の光電変換層を備えていれば、それ以外の構成は特に限定されないが、通常の構成として、光電変換素子は少なくとも透明電極と対電極とを有し、その間に光電変換層が存在する。
本発明において、透明電極を陽極として透明電極側から正孔を取り出し、対電極を陰極として対電極側から電子を取り出す構成を、「順層型構成」という。一方、透明電極を陰極として透明電極側から電子を取り出し、対電極を陽極として対電極側から正孔を取り出す構成を、「逆層型構成」という。
また、光電変換層の数で構成を区別する場合は、光電変換層が1層のみである構成を「シングル構成」といい、光電変換層が複数ある構成を「タンデム構成」という。
以下、図を用いて、光電変換素子の構成を例示して説明する。
図1は、順層型・シングル構成である光電変換素子を模式的に表した断面概略図である。具体的には、図1の光電変換素子10は、基板25上に、陽極(透明電極)11、正孔輸送層26、光電変換層14、電子輸送層27、及び陰極(対電極)12がこの順に積層されてなる構成を有する。なお、基板25は、主に、その上の陽極(透明電極)11を塗布方式で形成するのを容易にするために任意に設けられる部材である。
図1に示す光電変換素子10の作動時において、光は基板25側から照射される。本実施形態において、陽極(透明電極)11は、照射された光が光電変換層14へと届くようにするため、透明な電極材料(例えば、ITO)で構成される。基板25側から照射された光は、透明な陽極(透明電極)11及び正孔輸送層26を経て光電変換層14へと届く。
なお、正孔輸送層26は、正孔の移動度が高い材料で形成されており、光電変換層14のpn接合界面で生成した正孔を効率よく陽極(透明電極)11へと輸送する機能を担っている。一方、電子輸送層27は、電子の移動度が高い材料で形成されており、光電変換層14のpn接合界面で生成した電子を効率よく陰極(対電極)12へと輸送する機能を担っている。
図2は、逆層型・シングル構成である光電変換素子を模式的に表した断面概略図である。図2の光電変換素子20は、図1の光電変換素子10と比較して、陽極11と陰極12とが逆の位置に配置され、また、正孔輸送層26と電子輸送層27とが逆の位置に配置されている点が異なる。光電変換素子20は、基板25上に、陰極(透明電極)12、電子輸送層27、光電変換層14、正孔輸送層26、及び陽極(対電極)11がこの順に積層されてなる構成を有している。このような構成を有することにより、光電変換層14のpn接合界面で生成される電子は電子輸送層27を経て陰極(透明電極)12へと輸送され、正孔は正孔輸送層26を経て陽極(対電極)11へと輸送される。
図3は、順層型・タンデム構成である光電変換素子を模式的に表した断面概略図である。図3の光電変換素子30は、図1の光電変換素子10と比較して、光電変換層14に代えて、第1の光電変換層14aと、第2の光電変換層14bと、これら2つの光電変換層の間に介在する電荷再結合層(中間電極)38との積層体が配置されている点が異なる。光電変換素子30では、第1の光電変換層14a及び第2の光電変換層14bに、それぞれ吸収波長の異なる光電変換材料(p型有機半導体及びn型有機半導体)を用いることにより、より広い波長域の光を効率よく電気に変換することが可能となる。
以下、本発明に係る光電変換素子の各構成について詳細に説明する。
[電極]
上述したように、光電変換層で生成されるキャリア(正孔・電子)は、電極間を移動し、正孔は陽極へ、電子は陰極へと到達する。なお、本発明においては主に正孔が流れる電極を陽極と呼び、主に電子が流れる電極を陰極と呼ぶ。また、タンデム構成をとる場合には電荷再結合層(中間電極)を用いることでタンデム構成を達成することができる。さらに、電極が透光性を有するものであるか否かという機能面から、透光性を有する電極を透明電極と呼び、透光性のない電極を対電極と呼び分ける場合もある。順層型構成の場合、通常、陽極は透光性のある透明電極であり、陰極は透光性のない対電極である。
本形態の電極に使用される材料は、光電変換素子として駆動する限りにおいては特に制限はなく、本技術分野で使用されうる電極材料を適宜採用することができる。なかでも、陽極は陰極と比較して相対的に仕事関数が大きい材料から構成されることが好ましく、逆に陰極は陽極と比較して相対的に仕事関数が小さい材料から構成から構成されることが好ましい。
順層型構成である光電変換素子における陽極は、相対的に仕事関数が大きく、透明な(380~800nmの光を透過可能な)電極材料から構成されることが好ましい。一方、陰極12は、相対的に仕事関数が小さく(例えば4eV以下)、通常、透光性の低い電極材料から構成されうる。
このような順層型構成である光電変換素子において、陽極(透明電極)に使用される電極材料としては、例えば、金、銀、白金などの金属;インジウムスズ酸化物(ITO)、SnO2、ZnOなどの透明な導電性金属酸化物;金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブなどの炭素材料などが挙げられる。また、陽極の電極材料として導電性高分子を用いることも可能である。陽極に使用されうる導電性高分子としては、例えば、PEDOT:PSS、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレン、ポリナフタレン及びこれらの誘導体などが挙げられる。これらの電極材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上の材料を混合して使用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて電極を構成することも可能である。
一方、順層型構成である光電変換素子において、陰極(対電極)に使用される電極材料としては、金属、合金、電子電導性化合物、及びこれらの混合物が使用されうる。具体的には、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属などが挙げられる。このうち、電子の取り出し性能や、酸化などに対する耐久性の観点から、仕事関数が低い第一の金属と、第一の金属よりも仕事関数が大きく安定な金属である第二の金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物や、安定な金属であるアルミニウムなどを用いることが好ましい。また、これらの材料のうち金属を用いることも好ましく、これにより、陽極(透明電極)側から入射し光電変換層で吸収されずに透過した光を、陰極(対電極)で反射させて光電変換に再利用することができ、光電変換効率を向上させることが可能である。これらの電極材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上の材料を混合して使用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて電極を構成することも可能である。なお、陰極(対電極)の厚さは特に制限はないが、通常10nm~5μm、好ましくは50~200nmである。
逆層型構成である光電変換素子では、光が入射する基板側に陰極(透明電極)が位置し、反対側に陽極(対電極)が位置する。したがって、逆層型構成の形態における陽極は、相対的に仕事関数が大きく、通常、透光性の低い電極材料から構成されることが好ましい。一方、陰極は、相対的に仕事関数が小さく、透明な電極材料から構成される。
逆層型構成である光電変換素子において、陰極(透明電極)に使用される電極材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、アルミニウム、マグネシウム、インジウムなどの金属、金属化合物、及び合金;カーボンナノ粒子、カーボンナノワイヤー、カーボンナノ構造体などの炭素材料;が挙げられる。このうち、インジウム・スズ酸化物(ITO)などの透明な導電性金属酸化物を用いることが好ましい。これらの電極材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上の材料を混合して使用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて電極を構成することも可能である。このうち、カーボンナノワイヤーを用いることにより、透明で導電性の高い陰極を塗布法により形成できるため好ましい。また、金属系の材料を使用する場合、陽極(対電極)と対向する側に、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀化合物などを用いて、1~20nm程度の厚さの補助電極を作製した後、上述の順層型構成である光電変換素子の陽極(透明電極)材料として例示した導電性高分子の膜を設けることで、陰極(透明電極)とすることができる。
一方、逆層型構成である光電変換素子において、陽極(対電極)に使用される電極材料は、上記陰極(透明電極)よりも相対的に仕事関数が大きい電極材料であることが好ましい。一例を挙げると、銀、ニッケル、モリブデン、金、白金、タングステン、及び銅などの金属材料を用いて陽極(対電極)が形成されうる。
本発明の光電変換素子は、酸素や水分等で劣化しにくい材料を陽極・陰極の双方に用いることができる、逆層型構成であることが好ましい。逆層型構成において陽極・陰極に用いる材料の組合せとしては、例えば
1 陰極(ITO), 陽極(銀)
2 陰極(PEDOT:PSS), 陽極(銀)
3 陰極(ITO), 陽極(銅)
4 陰極(PEDOT:PSS), 陽極(金)
5 陰極(ITO), 陽極(PEDOT:PSS)
等を挙げることができる。
[光電変換層]
光電変換層は、光起電力効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する層である。本発明の光電変換素子は、光電変換層に上述の本発明に係る共役系高分子化合物を含有することを特徴とする。ここで、本発明の光電変換素子は、本発明に係る共役系高分子化合物をp型有機半導体として含有し、さらにn型有機半導体を含有することが好ましい。これらの光電変換材料に光が吸収されると、励起子が発生し、これがpn接合界面において、正孔と電子とに電荷分離される。
p型有機半導体として、必要に応じて、他のp型有機半導体を含有しうる。他のp型有機半導体として含有しうる縮合多環芳香族低分子化合物、ポリマー化合物、及びオリゴマー化合物の例を以下に示す。
縮合多環芳香族低分子化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、へプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)-テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンジチオテトラチアフルバレン(BEDTTTF)-過塩素酸錯体、及びこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
ポリマー化合物又はオリゴマー化合物としては、例えば、ポリ3-ヘキシルチオフェン(P3HT)等のポリチオフェン及びそのオリゴマー、Technical Digest of the International PVSEC-17,Fukuoka,Japan,2007,P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェン、Nature Material,(2006)vol.5,p328に記載のポリチオフェン-チエノチオフェン共重合体、国際公開第2008/000664号パンフレットに記載のポリチオフェン-ジケトピロロピロール共重合体、Adv Mater,2007p4160に記載のポリチオフェン-チアゾロチアゾール共重合体、Nature Mat.vol.6(2007),p497に記載のPCPDTBT等のようなポリチオフェン共重合体、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマー、等が挙げられる。
また、チオフェン6量体であるα-セクシチオフェンα,ω-ジヘキシル-α-セクシチオフェン、α,ω-ジヘキシル-α-キンケチオフェン、α,ω-ビス(3-ブトキシプロピル)-α-セクシチオフェン、等のオリゴマーが好適に用いることができる。
これらの化合物のなかでも、溶液プロセスが可能な程度に有機溶剤への溶解性が高く、かつ乾燥後は結晶性薄膜を形成し、高い移動度を達成することが可能な化合物が好ましい。より好ましくは、光電変換層が含有するn型有機半導体と適度な相溶性を有するような化合物(適度な相分離構造形成し得る化合物)であることが好ましい。
また、溶液プロセスで塗布した後に不溶化できるような材料が好ましい。これにより、光電変換層の上にさらに溶液プロセスで電子輸送層や正孔ブロック層を形成する場合でも、光電変換層を溶かさずに容易に形成することができる。
溶液プロセスで塗布した後に不溶化できる材料としては、Technical Digest of the International PVSEC-17,Fukuoka,Japan,2007,P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェンのような、塗布後に塗布膜を重合架橋して不溶化できる材料、又は米国特許出願公開第2003/136964号、及び特開2008-16834号公報等に記載されているような、熱等のエネルギーを加えることによって可溶性置換基が反応して不溶化する(顔料化する)材料などを挙げることができる。
なお、光電変換層に含有されるp型有機半導体において、本発明に係る共役系高分子化合物と、他のp型有機半導体の含有量は特に制限はない。ただし、本発明の効果の観点から、光電変換層に含有されるp型有機半導体の総量(光電変換層が2層以上含まれる場合には、全ての層における総量)に対して、本発明に係る共役系高分子化合物の割合が多いほど好ましい。具体的には、p型有機半導体の総量に対する本発明に係る共役系高分子化合物の割合が、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
光電変換層が含有しうるn型有機半導体は、p型有機半導体に対してアクセプター性(電子受容性)である有機化合物であることが好ましく、本技術分野で使用されうる材料を適宜採用することができる。このような化合物としては、上記p型有機半導体のLUMO準位に対して0.2~0.5eV以上深い化合物であればよく、例えば、フラーレン、カーボンナノチューブ、オクタアザポルフィリンなど、上記p型有機半導体の水素原子をフッ素原子に置換したパーフルオロ体(例えば、パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニンなど)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミドなどの芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物などが挙げられる。
このうち、p型有機半導体と高速(~50fs)かつ効率的に電荷分離を行うことができるという観点から、フラーレン若しくはカーボンナノチューブ又はこれらの誘導体を用いることが好ましい。より具体的には、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン(円錐型)など、及びこれらの一部が水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、置換された又は非置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、シリル基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基などによって置換されたフラーレン誘導体が挙げられる。
特に、[6,6]-フェニルC61-ブチリックアシッドメチルエステル(略称PCBM)、[6,6]-フェニルC61-ブチリックアシッド-nブチルエステル(PCBnB)、[6,6]-フェニルC61-ブチリックアシッド-イソブチルエステル(PCBiB)、[6,6]-フェニルC61-ブチリックアシッド-nヘキシルエステル(PCBH)、[6,6]-フェニルC71-ブチリックアシッドメチルエステル(略称PC71BM)、Adv.Mater.,vol.20(2008),p2116に記載のbis-PCBM、特開2006-199674号公報に記載のアミノ化フラーレン、特開2008-130889号公報に記載のメタロセン化フラーレン、米国特許第7,329,709号明細書に記載の環状エーテル基を有するフラーレンなどのような、置換基により溶解性が向上されてなるフラーレン誘導体を用いることが好ましい。なお、本発明において、n型有機半導体は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても構わない。
光電変換層における、p型有機半導体及びn型有機半導体の接合形態は、特に制限はなく、平面へテロ接合であってもよいし、バルクへテロ接合(バルクヘテロジャンクション)であってもよい。平面ヘテロ接合とは、p型有機半導体を含むp型有機半導体層と、n型有機半導体を含むn型有機半導体層とが積層され、これら2つの層が接触する面がpn接合界面となる接合形態である。一方、バルクヘテロジャンクションとは、p型有機半導体とn型有機半導体との混合物を塗布することにより形成され、この単一の層中において、p型有機半導体のドメインとn型有機半導体のドメインとがミクロ相分離構造をとっている。したがって、バルクヘテロジャンクションでは、平面へテロ接合と比較して、pn接合界面が層全体にわたって数多く存在することになる。よって、光吸収により生成した励起子の多くがpn接合界面に到達できることになり、電荷分離に至る効率を高めることができる。このような理由から、本発明の光電変換素子が備える光電変換層における、p型有機半導体とn型有機半導体との接合は、バルクヘテロジャンクションであることが好ましい。
また、バルクヘテロジャンクション層は、通常の、p型有機半導体とn型有機半導体が混合されてなる単一の層(i層)からなる場合の他に、当該i層がp型有機半導体からなるp層及びn型有機半導体からなるn層により挟持されてなる3層構造(p-i-n構造)を有する場合がある。このようなp-i-n構造は、正孔及び電子の整流性がより高くなり、電荷分離した正孔・電子の再結合等によるロスが低減され、一層高い光電変換効率を得ることができる。
本発明において、光電変換層に含有されるp型有機半導体とn型有機半導体との混合比は、質量比で2:8~8:2の範囲内が好ましく、より好ましくは2.5:7.5~7.5:2.5の範囲内である。
また、光電変換層1層の厚さは、好ましくは50~400nmの範囲内であり、より好ましくは80~300nmの範囲内であり、特に好ましくは100~200nmの範囲内である。一般に、より多くの光を吸収させる観点から、光電変換層の厚さは大きい方が好ましいが、厚さが大きくなるとキャリア(正孔・電子)の取り出し効率が低下するために光電変換効率が低下する傾向がある。
[基板]
本発明の光電変換素子は、必要に応じて基板を含みうる。基板は、電極を塗布方式で形成する場合における、塗布液の被塗布部材としての役割を有する。
基板側から光電変換される光が入射する場合、基板は、光電変換すべき光の波長に対して透明であることが好ましい。透明な基板として、例えばガラス板、石英板、透明樹脂フィルムを挙げることができる。
ガラス板の材質としては、例えば、シリカガラス、ソーダ石灰シリカガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。これらのガラス材料の表面には、必要に応じて、研磨等の物理的処理を施したり、無機物又は有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されていてもよい。
樹脂フィルムの材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル又はポリアリレート類、アートン(商品名、JSR社製)又はアペル(商品名、三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物又は有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されていてもよい。このような被膜及びハイブリッド被膜は、JIS-K-7129-1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が0.01g/(m2・24時間)以下のバリア性フィルム(バリア膜等ともいう)であることが好ましい。またさらには、JIS-K-7126-1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が10-3mL/(m2・24時間・atm)以下、水蒸気透過度が10-5g/(m2・24時間)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
以上のようなバリア性フィルムを形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。さらに当該バリア性フィルムの脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層(有機層)の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア性フィルムの形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004-68143号公報に記載の大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
[正孔輸送層]
本発明の光電変換素子は、必要に応じて正孔輸送層を含みうる。正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有し、かつ電子を輸送する能力が著しく小さい(例えば、正孔の移動度の10分の1以下)という性質を有する。正孔輸送層は、光電変換層と陽極との間に設けられ、正孔を陽極へと輸送しつつ、電子の移動を阻止することで、電子と正孔とが再結合するのを防ぐことができる。
正孔輸送層に用いられる正孔輸送材料は、特に制限はなく、本技術分野で使用されうる材料を適宜採用することができる。一例を挙げると、例えば、Clevios社製、商品名BaytronP等のPEDOT:PSS、欧州特許第1647566号等に記載のポリチエノチオフェン類、特開2010-206146号公報に記載のスルホン化ポリチオフェン類、ポリアニリン及びそのドープ材料、国際公開第2006/019270号パンフレット等に記載のシアン化合物などが挙げられる。
また、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマーなども、用いられうる。
また、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物、及びスチリルアミン化合物などが使用可能であり、これらのうちでは、芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。さらに、これらの化合物に含まれる構造単位を、主鎖又は側鎖に有する高分子材料を正孔輸送材料として用いることもできる。
また、特開平11-251067号公報、J.Huang et.al.,Applied Physics Letters,80(2002),p.139に記載されているような、p型正孔輸送材料を用いることもできる。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送材料を用いることもできる。一例を挙げると、特開平4-297076号公報、特開2000-196140号公報、特開2001-102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)などに記載された材料が挙げられる。
場合によっては、モリブデン、バナジウム、タングステンなどの金属酸化物やその混合物などの無機化合物を用いて正孔輸送層を形成してもよい。
これらの正孔輸送材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて正孔輸送層を構成することも可能である。
正孔輸送層の厚さは、特に制限はないが、通常1~2000nmの範囲内である。リーク防止効果をより高める観点からは、厚さは5nm以上であることが好ましい。また、高い透過率と低い抵抗を維持する観点からは、厚さは1000nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましい。
正孔輸送層の導電率は、一般的に高い方が好ましいが、高くなりすぎると電子が移動するのを阻止する能力が低下し、整流性が低くなりうる。したがって、正孔輸送層の導電率は、10-5~1S/cmの範囲内であることが好ましく、10-4~10-2S/cmの範囲内であることがより好ましい。
[電子輸送層]
本発明の光電変換素子は、必要に応じて電子輸送層を含みうる。電子輸送層は、電子を輸送する機能を有し、かつ正孔を輸送する能力が著しく小さいという性質を有する。電子輸送層は、光電変換層と陰極との間に設けられ、電子を陰極へと輸送しつつ、正孔の移動を阻止することで、電子と正孔とが再結合するのを防ぐことができる。
電子輸送層に用いられる電子輸送材料は、特に制限はなく、本技術分野で使用されうる材料を適宜採用することができる。例えば、オクタアザポルフィリン、p型有機半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)を用いることができるが、同様に、光電変換層に用いられるp型有機半導体のHOMO準位よりも深いHOMO準位を有する電子輸送層には、光電変換層で生成した正孔を陰極側には流さないような整流効果を有する、正孔ブロック機能が付与される。よって、より好ましくは、n型有機半導体のHOMO準位よりも深い材料が電子輸送材料として用いられる。このような電子輸送材料としては、バソキュプロイン等のフェナントレン系化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等のn型有機半導体、及び酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ガリウム等のn型無機酸化物及びフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属化合物等が用いられうる。
また、光電変換層に用いたn型有機半導体単体からなる層を用いることもできる。なお、これらの電子輸送材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて電子輸送層を構成することも可能である。
なお、耐久性の観点で有利な逆層型構成とする場合には、陰極上に電子輸送層を形成した後に光電変換層が形成されるため、光電変換材料を含む塗布液に対して不溶である化合物が電子輸送材料として好ましい。そのような観点から、電子輸送材料は、酸化チタンや酸化亜鉛といった無機物、及び国際公開第2008/134492号パンフレットに記載のポリエチレンイミンやアミノシランカップリング剤のような架橋可能な有機物であることが好ましい。なかでもアミノシランカップリング剤(一例を挙げると、3-(2-アミノエチル)-アミノプロピルトリメトキシシラン)を用いることが好ましい。
また、光電変換層を塗布する際に使用する溶剤に対して不溶な材料としては、アルコール類に可溶なπ共役高分子等を挙げることができ、APPLIED PHYSICS LETTERS 95(2009),p043301、Adv.Funct.Mat.,2010,p.1977、Adv.Mater.,2011,23,3086、J.Am.Chem.Soc.,2011,p.8416、Advanced Materials,2011(Vol 23,no.40),p4636-4643等に記載のポリフルオレン類、ポリチオフェン類等、及び下記の構造式で表されるポリフルオレン類を用いてもよい。これらのポリマーの場合、上記のシランカップリング剤等と異なり、順層型構成、すなわち光電変換層上にも形成することができるために好ましい。また、ITO等の金属酸化物だけでなく、金、銀、銅などの金属電極に対しても電子輸送層・正孔ブロック層として機能させることができるため、順層型構成においても酸化に安定な金属を陰極に用いることが可能となり、好ましい。
電子輸送層の厚さは、特に制限はないが、通常1~2000nmの範囲内である。リーク防止効果をより高める観点からは、厚さは2nm以上であることが好ましく、より好ましくは5nm以上である。また、高い透過率と低い抵抗を維持する観点からは、厚さは100nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましい。
[電荷再結合層;中間電極]
図3で示すような、複数の光電変換層を有するタンデム構成である光電変換素子において、光電変換層間には、電荷再結合層(中間電極)が配置される。
電荷再結合層(中間電極)に用いられる材料は、導電性及び透光性を併せ持つ材料であれば、特に制限はなく、上述の電極材料として例示した、ITO、AZO、FTO、酸化チタンなどの透明金属酸化物、Ag、Al、Auなどの金属、及びカーボンナノ粒子、カーボンナノワイヤーなどの炭素材料、PEDOT:PSS、ポリアニリンなどの導電性高分子などが用いられうる。これらの材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて電荷再結合層を構成することも可能である。
電荷再結合層の導電率は、高い変換効率を得る観点から、高いことが好ましく、具体的には、5~50000S/cmの範囲内であることが好ましく、100~10000S/cmの範囲内であることがより好ましい。
電荷再結合層の厚さは、特に制限はないが、1~1000nmの範囲内であることが好ましく、5~50nmの範囲内であることが好ましい。厚さが1nm以上とすることにより、膜面を平滑化することができる。一方、厚さが1000nm以下とすることにより、短絡電流密度Jsc[mA/cm2]の低下を軽減することができる。
[その他の層]
本発明の光電変換素子は、上記の各部材(各層)の他に、光電変換効率の向上や、素子の寿命の向上のために、他の部材(他の層)をさらに設けてもよい。その他の部材としては、例えば、正孔注入層、電子注入層、励起子ブロック層、UV吸収層、光反射層、波長変換層などが挙げられる。また、上層に偏在した金属酸化物微粒子をより安定にするため等にシランカップリング剤等の層を設けてもよい。さらに光電変換層に隣接して金属酸化物の層を積層してもよい。
また、本発明の光電変換素子は、各種の光学機能層を有していてもよい。光学機能層としては、例えば、反射防止層、集光層、光拡散層等が挙げられる。
反射防止層としては、各種公知の反射防止層を設けることができる。例えば、透明樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率を1.57~1.63の範囲内とすることで、フィルム基板と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。屈折率を調整する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調整して塗設することで実施できる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。
集光層としては、例えば、基板の受光側にマイクロレンズアレイを設けるように加工したり、あるいは集光シートと組み合わせたりすることにより特定方向からの受光量を高めたり、逆に光の入射角度依存性を低減することができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の受光側に一辺が10~100μmの範囲内でその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。
光散乱層としては、各種のアンチグレア層、金属又は各種無機酸化物等のナノ粒子・ナノワイヤー等を無色透明なポリマーに分散した層等を挙げることができる。
4.光電変換素子の製造方法
本発明の光電変換素子の製造方法は特に制限はなく、従来公知の手法を適宜参照することにより製造することができる。以下、シングル・逆層型構成である場合を例に、光電変換素子の製造方法を説明する。なお、以下で説明する製造方法における各工程は、シングル・逆層型構成である光電変換素子のみならず、順層型構成である光電変換素子や、タンデム構成である光電変換素子の製造に適用可能である。
以下で例示するシングル・逆層型構成である光電変換素子の製造方法は、陰極を形成する工程と、電子輸送層を形成する工程と、光電変換層を形成する工程と、正孔輸送層を形成する工程と、陽極を形成する工程とを含む。以下、各工程について、詳細に説明する。
[陰極を形成する工程]
陰極を形成する方法は、特に制限はないが、操作の容易性や、ダイコータなどの装置を用いてロール・ツー・ロールで生産可能なことから、基板の上に、陰極の構成材料を含む液体を塗布し、乾燥させる方法であることが好ましい。またこれ以外にも、市販の薄膜状の電極材料をそのまま使用しても構わない。
[電子輸送層を形成する工程]
電子輸送層を形成する方法としては、蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。
溶液塗布法を用いて電子輸送層を形成する場合には、上述した電子輸送材料を適当な溶剤に溶解・分散させた溶液を、適当な塗布法を用いて陰極上に塗布し、乾燥させればよい。塗布法としては、キャスト法、スピンコート法、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、グラビアコート法、スプレーコーティング法、ディッピング(浸漬)コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、インクジェット法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法、Langmuir-Blodgett(LB)法等の通常の方法を用いることができる。なかでも、ブレードコーティング法を用いることが特に好ましい。
溶液塗布法に使用する溶液の固形分濃度は、塗布方法や膜厚によっても変動しうるが、1~15質量%の範囲内が好ましく、より好ましくは1.5~10質量%の範囲内である。また、塗布の際の塗布液及び塗布面の温度は、特に制限はないが、塗布・乾燥時の温度変動による析出、ムラを防ぐといった観点から、好ましくは30~120℃の範囲内であり、より好ましくは50~110℃の範囲内である。乾燥の具体的な形態についても特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。乾燥条件の一例を挙げると80~140℃程度の温度で、数十秒間~数十分間程度といった条件が例示される。乾燥に使用する装置としては、ホットプレート、温風乾燥、赤外線ヒーター、マイクロウエーブ、真空乾燥機などが挙げられるが、これ以外の乾燥装置を用いることも勿論可能である。
[光電変換層を形成する工程]
光電変換層を形成するための具体的な方法は、特に制限されない。例えばバルクヘテロジャンクション型の光電変換層を形成する場合は、p型有機半導体及びn型有機半導体をそれぞれ、又は一括して、適当な溶剤に溶解・分散させた溶液を、適当な塗布法を用いて電子輸送層上に塗布し、乾燥させればよい。その後、残留溶媒、水分、及びガスの除去、並びに半導体の結晶化による移動度向上・吸収長波化を引き起こすために加熱を行うことが好ましい。製造工程中において所定の温度でアニール処理を行うと、微視的に一部が凝集又は結晶化が促進され、光電変換層を適切な相分離構造とすることができる。その結果、光電変換層の正孔と電子(キャリア)の移動度が向上し、高い効率を得ることができるようになる。このようにして、p型有機半導体及びn型有機半導体が一様に混合され、バルクヘテロジャンクション型の光電変換層を形成することができる。
一方、p型有機半導体とn型有機半導体の混合比の異なる複数層からなる光電変換層(例えば、p-i-n構造)を形成する場合には、一の層を塗布後に、当該層を不溶化(顔料化)し、その後、他の層を塗布することにより形成することが可能である。
なお、当該光電変換層を形成する工程以降は、酸素や水分に曝さないようにするために窒素雰囲気下のグローブボックス内で行うことが好ましい。このように、窒素雰囲気下で行うことにより、大気中の酸素及び水分によりp型有機半導体が劣化するのを防ぎ、素子の耐久性を高めることができる。具体的には、前記グローブボックスの酸素及び水分の濃度が1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm以下であることが好ましい。最も好ましくは10ppm以下である。
[正孔輸送層を形成する工程]
正孔輸送層を形成する方法としては、蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。溶液塗布法を用いて正孔輸送層を形成する場合には、上述した正孔輸送材料を適当な溶剤に溶解・分散させた溶液を、適当な塗布法を用いて光電変換層上に塗布し、乾燥させればよい。溶液塗布法の詳細は、上述の電子輸送層を形成する工程と同様である。
[陽極を形成する工程]
陽極を形成するための手段についても特に制限はなく、蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは蒸着法(例えば、真空蒸着法)が用いられる。
[その他]
上述した各工程は、一例であり、その他必要に応じて、例えば下記のとおり適宜工程を加えることができる。
光電変換素子に、上述した各種の層以外の層が含まれる場合には、これらの層を形成するための工程を、溶液塗布法や蒸着法などを用いることで適宜追加して行うことができる。
上記電極(陰極・陽極)、光電変換層、正孔輸送層、電子輸送層等は、必要に応じてパターニングされうる。パターニングの方法は特に制限はなく、公知の手法を適宜採用することができる。例えば、バルクへテロジャンクション型の光電変換層や、正孔輸送層又は電子輸送層などで使用される可溶性の材料をパターニングする場合には、ダイコート、ディップコート等の全面塗布後に不要部だけ拭き取ってもよいし、インクジェット法やスクリーン印刷等の方法を使用して塗布時に直接パターニングしてもよい。一方、電極などで使用される不溶性の材料の場合は、真空蒸着法による堆積時にマスク蒸着を行ったり、エッチング又はリフトオフなどの公知の方法によってパターニングすることができる。また、別の基板上に形成したパターンを転写することによってパターンを形成してもよい。
また、本発明の光電変換素子は、環境中の酸素及び水分などによる劣化を防止するために、必要に応じて封止されうる。封止の方法は特に制限はなく、有機光電変換素子や有機エレクトロルミネッセンス素子などで用いられる公知の手法によって行われうる。例えば、(1)アルミニウム又はガラスなどでできたキャップを接着剤によって接着することによって封止する手法;(2)アルミニウム、酸化ケイ素、又は酸化アルミニウムなどのガスバリア層が形成されたプラスチックフィルムを光電変換素子上に接着剤で貼合する手法;(3)ガスバリア性の高い有機高分子材料(ポリビニルアルコールなど)をスピンコートする方法;(4)ガスバリア性の高い無機薄膜(酸化ケイ素、酸化アルミニウムなど)又は有機膜(パリレン等)を真空下で堆積する方法;並びに(5)これらを複合的用いて積層する方法などが挙げられる。
5.光電変換素子の用途
本発明の光電変換素子は、光を電気的な信号に変換する光センサーに好適に用いることができる。光センサーとしては、光学的な映像を電気的な信号に変換するイメージセンサーや、フレキシブル性を有するフレキシブルセンサー等が挙げられる。
本発明の光電変換素子は、光電変換材料に有機半導体を用いているため、InGaAs等の無機半導体を用いた光電変換素子では適用が困難であったフレキシブルセンサーに好適に利用することができる。
また、本発明の光センサー、イメージセンサー及びフレキシブルセンサーは、本発明の光電変換素子を用いることによって、従来の有機光電変換素子を用いた場合に困難であった生体透過性の高い波長域の光によるセンシングに好適に利用することができ、特に生体センシングに好適に利用することができる。
本発明の光電変換素子は、太陽電池に用いることもできる。本発明の光電変換素子は近赤外波長域の光を高感度で検出することができるため、本発明の光電変換素子を備えた太陽電池は、太陽光に含まれる近赤外光を効率的に電力に変換することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
1.光電変換層のp型有機半導体
光電変換層のp型有機半導体として、化合物A~Kを準備した。
Dean-Stark装置を備えた反応容器に、モノマー1(300mg、311μmol)、スクアリン酸(35.5mg、311μmol)、トルエン(30mL)、n-ブチルアルコール(10mL)を加え、2時間加熱還流反応を行った。続いて、モノマー1(300mg、311μmol)を加えさらに1時間加熱還流反応を行うことでキャッピング処理を行った。溶媒を減圧留去して得られた粗生成物をジクロロメタン/ヘプタンによる再沈殿を3回繰り返すことで、目的の化合物Aを暗緑色固体として得た(収量287mg、収率88%)。
得られた化合物Aの数平均分子量は、3.0×104であった。
Dean-Stark装置を備えた反応容器に、モノマー1(300mg、311μmol)、スクアリン酸(35.5mg、311μmol)、トルエン(30mL)、n-ブチルアルコール(10mL)を加え、2時間加熱還流反応を行った。溶媒を減圧留去して得られた粗生成物をジクロロメタン/ヘプタンによる再沈殿を3回繰り返すことで、目的の化合物Bを暗緑色固体として得た(収量310mg、収率95%)。
得られた化合物Bの数平均分子量は、2.8×104であった。
Dean-Stark装置を備えた反応容器に、モノマー1(300mg、311μmol)、クロコン酸(44.2mg、311μmol)、トルエン(30mL)、n-ブチルアルコール(10mL)を加え、2時間加熱還流反応を行った。続いて、モノマー1(300mg、311μmol)を加えさらに1時間加熱還流反応を行うことでキャッピング処理を行った。溶媒を減圧留去して得られた粗生成物をジクロロメタン/ヘプタンによる再沈殿を3回繰り返すことで、目的の化合物Cを暗緑色固体として得た(収量130mg、収率39%)。
得られた化合物Cの数平均分子量は、3.2×104であった。
Dean-Stark装置を備えた反応容器に、モノマー1(300mg、311μmol)、クロコン酸(44.2mg、311μmol)、トルエン(30mL)、n-ブチルアルコール(10mL)を加え、2時間加熱還流反応を行った。溶媒を減圧留去して得られた粗生成物をジクロロメタン/ヘプタンによる再沈殿を3回繰り返すことで目的の化合物Dを暗緑色固体として得た(収量224mg、収率67%)。
得られた化合物Dの数平均分子量は、3.0×104であった。
Dean-Stark装置を備えた反応容器に、モノマー2(128.9mg、311μmol)、スクアリン酸(35.5mg、311μmol)、トルエン(30mL)、n-ブチルアルコール(10mL)を加え、2時間加熱還流反応を行った。続いて、モノマー2(128.8mg、311μmol)を加えさらに1時間加熱還流反応を行うことでキャッピング処理を行った。溶媒を減圧留去して得られた粗生成物をジクロロメタン/ヘプタンによる再沈殿を3回繰り返すことで、目的の化合物Eを暗緑色固体として得た(収量45.9mg、収率30%)。
得られた化合物Eの数平均分子量は、2.5×104であった。
Dean-Stark装置を備えた反応容器に、モノマー2(128.9mg、311μmol)、スクアリン酸(35.5mg、311μmol)、トルエン(30mL)、n-ブチルアルコール(10mL)を加え、2時間加熱還流反応を行った。溶媒を減圧留去して得られた粗生成物をジクロロメタン/ヘプタンによる再沈殿を3回繰り返すことで、目的の化合物Fを暗緑色固体として得た(収量82.6mg、収率54%)。
得られた化合物Fの数平均分子量は、2.1×104であった。
Dean-Stark装置を備えた反応容器に、モノマー2(128.9mg、311μmol)、クロコン酸(44.2mg、311μmol)、トルエン(30mL)、n-ブチルアルコール(10mL)を加え、2時間加熱還流反応を行った。続いて、モノマー2(128.8mg、311μmol)を加えさらに1時間加熱還流反応を行うことでキャッピング処理を行った。溶媒を減圧留去して得られた粗生成物をジクロロメタン/ヘプタンによる再沈殿を3回繰り返すことで、目的の化合物Gを暗緑色固体として得た(収量76.1mg、収率47%)。
得られた化合物Gの数平均分子量は、2.6×104であった。
Dean-Stark装置を備えた反応容器に、モノマー2(128.9mg、311μmol)、クロコン酸(44.2mg、311μmol)、トルエン(30mL)、n-ブチルアルコール(10mL)を加え、2時間加熱還流反応を行った。溶媒を減圧留去して得られた粗生成物をジクロロメタン/ヘプタンによる再沈殿を3回繰り返すことで、目的の化合物Hを暗緑色固体として得た(収量123mg、収率76%)。
得られた化合物Hの数平均分子量は、2.2×104であった。
化合物Iとして、PMDPP3T(poly[[2,5-bis(2-hexyldecyl)-2,3,5,6-tetrahydro-3,6-dioxopyrrolo[3,4-c]pyrrole-1,4-diyl]-alt-[3′,3′′-dimethyl-2,2′:5′,2′′-terthiophene]-5,5′′-diyl])を用いた。
用いた化合物Iの数平均分子量は、3.2×104であった。
Dean-Stark装置を備えた反応容器に、モノマー1(300mg、311μmol)、スクアリン酸(17.8mg、155μmol)、トルエン(30mL)、n-ブチルアルコール(10mL)を加え、2時間加熱還流反応を行った。溶媒を減圧留去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ジクロロメタン/ヘプタン)により精製することで、目的の化合物Jを暗緑色固体として得た(収量62.4mg、収率20%)。
Dean-Stark装置を備えた反応容器に、モノマー1(300mg、311μmol)、クロコン酸(22.1mg、155μmol)、トルエン(30mL)、n-ブチルアルコール(10mL)を加え、2時間加熱還流反応を行った。溶媒を減圧留去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ジクロロメタン/ヘプタン)により精製することで、目的の化合物Kを暗緑色固体として得た(収量56・9mg、収率18%)。
2.光電変換素子の作製
ガラス基板上に、ITOをスパッタリング法により製膜した。製膜したITOを、フォトリソグラフィ技術と湿式エッチングとを用いてパターニングした。これにより、厚さ110nmの陰極(ITO透明電極)を形成した。
イソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。次いで、陰極(ITO透明電極)上に、ZnOの7%溶液(溶媒:メトキシエタノール/エタノールアミン)をスピンコートにより塗布した。次いで、大気中180℃で30分間アニール処理を行った。これにより、厚さ20nmの電子注入輸送層を形成した。
電子注入輸送層上に、p型有機半導体とn型有機半導体とを1:3の質量比で混合した1.5%溶液(溶媒:クロロホルムとo-ジクロロベンゼンの混合溶媒)を、スピンコート法により塗布した。p型有機半導体には、各光電変換素子において、下記表に記載の化合物をそれぞれ用いた。n型有機半導体には、いずれの各光電変換素子においても、C60PCBM([6,6]-phenyl C61 butyric acid methyl ester)を用いた。次いで、窒素下100℃で10分間アニール処理を行った。これにより、厚さ280nmのバルクヘテロジャンクション層である光電変換層を形成した。
光電変換層上に、PEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4-スチレンスルホン酸塩))の0.5%溶液(溶媒:イソプロパノール)を、スピンコート法により塗布した。次いで、窒素下80℃で5分間アニール処理を行った。これにより、厚さ10nmの正孔注入輸送層を形成した。
正孔注入輸送層上に、Agを真空蒸着して、厚さ80nmの陽極を形成した。
化学気相蒸着(CVD:chemical vapor deposition)により、1μmのパリレンで覆って封止した。以上の手順により、バルクヘテロジャンクション型の光電変換素子No.1~11を得た。
3.外部量子効率及び検出感度の測定
近赤外光波長領域における各光電変換素子の分光感度特性を、分光感度測定装置(分光計器製SM-250)を用いて評価した。1050nm又は850nmの単色光を照射して、照射直後の外部量子効率[%]及び検出感度[Jones]を評価した。評価結果を表Iに示す。
上記の評価結果から、本発明の光電変換素子は、生体透過性の高い波長域の光に感度を有することが確認できた。
また、本発明の光電変換素子は、有機半導体を用いているため、InGaAs等の無機半導体を用いた光電変換素子ではフレキシブル性等の問題から適用が困難であった用途においても、好適に利用することができる。