≪第1実施形態≫
<潜熱蓄熱材>
本実施形態は、臭化テトラブチルアンモニウム(以下、「TBAB」と記載する。)と、尿素と、水と、を含む潜熱蓄熱材である。本実施形態の潜熱蓄熱材は、TBAB、尿素、及び水の合計100重量部に対し、TBAB26~55重量部、尿素3~23重量部を含有する。
本実施形態の潜熱蓄熱材は、凝固によりTBAB-尿素-水の3元系からなる固相を生じる。
本実施形態の潜熱蓄熱材は、TBAB-水の2元系、及び尿素-水の2元系、の凝固により生じる固相とは異なる融点を示す。これにより、2~8℃の温度範囲に融点を有する潜熱蓄熱材を提供できる。
本明細書において、「包接水和物」とは、水分子(ホスト分子)で構成された籠状の包接格子内にゲスト分子が包み込まれて結晶化する化合物をいう。
本明細書において、「準包接水和物」とは、テトラブチルアンモニウム塩に代表される比較的大きなイオン性のゲスト分子が、水分子(ホスト分子)の籠状の包接格子内に包み込まれ、その包接格子内の水素結合が、部分的に壊れた状態で結晶化する化合物をいう。以下の説明において、「包接水和物」というときには「準包接水和物」も含むものとする。
第四級アンモニウム塩の包接水和物は、常圧で生成し、生成時には発熱することが知られている。一方、包接水和物が解離する際には吸熱することが知られている。本実施形態の潜熱蓄熱材は、このように包接水和物を形成するTBABを用いることで大きな潜熱量を利用できる。特に、四級アンモニウム塩の中でもTBABは製造コストが低く、かつ、包接水和物の形成が容易である。このことから、TBABは潜熱蓄熱材の原料として好ましく用いられる。
TBABはイオン性物質であり、水に溶解するとテトラブチルアンモニウムイオンと臭化物イオンに解離する。このため、TBAB-水の系に対しイオン性物質を添加する場合には、臭化物イオンからなるイオン性物質でなければ、TBABの臭化物イオンが他の陰イオンにより置換された他のテトラブチルアンモニウム塩が生成し、凝固時に明確な融点を示さなくなることがある。一方、尿素は非イオン性物質であるため、TBABの臭化物イオンが置換される恐れがない。
包接水和物の生成および解離は、例えば氷などの固体から水などの液体への相転移に類似している。このような理由から、本明細書においては、包接水和物の解離を「融解」と言うことがある。
本実施形態において、TBAB及び尿素の濃度は、TBAB、尿素、及び水の合計100重量部に対し、TBAB26~55重量部、尿素3~23重量部である。
TBAB濃度が著しく低いと凝固時に包接水和物の形成に寄与しない余剰水が発生し、凝固時に氷が生じる。TBAB26重量部未満では、氷由来の潜熱量が2~8℃の融解成分の潜熱量を上回る。氷が生じないように0℃を超える温度で凝固させたとしても、2~8℃での保冷用途としては潜熱量が小さい。対して、TBAB濃度が著しく高いと凝固時に包接水和物の形成に寄与しないTBABが残存する。TBAB55重量部を超えると、包接水和物の形成に寄与しないTBABの割合が包接水和物の形成に寄与するTBABの割合を上回ってTBABの含有量が過剰となり、かつ潜熱量が小さくなるため、潜熱蓄熱材から得られる潜熱量に対する製造コストが相対的に高くなる。
一方、尿素濃度が著しく低いと凝固時にTBAB―水の2成分からなる包接水和物に由来する、2~8℃の温度範囲を超える融解成分が生じる。尿素3重量部未満では、2~8℃の温度範囲を超える融解成分の潜熱量が、2~8℃の融解成分の潜熱量を上回るため、2~8℃での保冷用途としては潜熱量が小さい。対して、尿素濃度が著しく高いと凝固時に2~8℃の融解成分の生成に寄与しない尿素が残存する。尿素23重量部を超えると、2~8℃の融解成分の生成に寄与しない尿素の割合が、2~8℃の融解成分の生成に寄与する尿素の割合を上回って尿素の含有量が過剰となり、かつ潜熱量が小さくなるため、潜熱蓄熱材から得られる潜熱量に対する製造コストが相対的に高くなる。
特に、TBABと尿素の濃度は、TBAB37~44重量部、尿素4~13重量部であると、より好ましい。本濃度範囲において、2~8℃の融解成分について高い潜熱量が保持される。
<潜熱蓄熱材の製造方法>
本実施形態の潜熱蓄熱材はTBABと、尿素と、水と、を所定の割合で混合することにより得られる。容器に水を加えた後に、TBABと尿素を加え、よく撹拌し、均一にすることで、潜熱蓄熱材が得られる。
本実施形態の潜熱蓄熱材が含んでいてもよい他の成分としては、キサンタンガム、グアガム、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウムなどの増粘剤、及び色素が挙げられる。また、本実施形態の潜熱蓄熱材が、凝固温度が融点よりも低い、すなわち過冷却を示す場合には、過冷却抑制剤を含んでいてもよい。なお、本発明の材料は、上記の例示した材料に限定されるものではない。
<実施例及び比較例>
実施例及び比較例にかかる潜熱蓄熱材の融解特性について評価した。実施例および比較例にかかる潜熱蓄熱材40gの内部に熱電対を設置し、各潜熱蓄熱材の融解時の温度を測定した。具体的には、各潜熱蓄熱材を-20℃で凝固させた後、0.25℃/分のレートで昇温し、各潜熱蓄熱材の温度の経時変化を熱電対により測定した。
前記の融解特性評価において、潜熱蓄熱材の温度が昇温レートから外れて温度上昇が小さくなり始めた時点を融解開始、再び温度上昇が大きくなり始めた時点を融解終了とした。
図1は、本実施形態の例である、TBAB37重量部、尿素13重量部、水50重量部からなる潜熱蓄熱材(実施例1)40gと、TBAB40重量部、尿素13重量部、水47重量部からなる潜熱蓄熱材(実施例2)40gと、TBAB43重量部、尿素13重量部、水44重量部からなる潜熱蓄熱材(実施例3)40gの、融解特性のグラフである。
実施例1は、3℃付近で融解開始して昇温レートから外れて温度上昇が小さくなり、5℃付近で融解終了して再び温度上昇が大きくなる挙動を示した。実施例2は、3℃付近で融解開始し、6℃付近で融解終了する挙動を示した。実施例3は、5℃付近で融解開始し、7℃付近で融解終了する挙動を示した。即ち、実施例1~3は、2~8℃の温度範囲で融解開始して吸熱し、8℃以下で融解が終了する。このため、本発明の潜熱蓄熱材を医薬品の保冷用途に用いることで、潜熱蓄熱材と医薬品の温度が2~8℃の範囲にある時に潜熱蓄熱材が吸熱をするため、医薬品の温度を2~8℃の適切な範囲に維持することができる。
また、実施例1~3は尿素濃度が等しく、TBAB濃度が異なる。TBAB濃度が低い実施例1では3℃付近で融解開始して5℃付近で融解終了するのに対し、TBAB濃度が高い実施例3では5℃付近で融解開始して7℃付近で融解終了する。即ち、本発明の潜熱蓄熱材は、TBAB濃度を調整することで2~8℃の温度範囲で融点を調節することができる。このため、医薬品の輸送において、3℃付近で融解する実施例1の潜熱蓄熱材は、2~6℃での温度管理が必要な血液の輸送に使用し、5℃付近で融解する実施例2の潜熱蓄熱材は、2~8℃で温度管理する検体やワクチンの輸送に使用する、といった使い方が可能であり、保冷対象物の種類ごとに管理温度を変更し、各医薬品の劣化を最低限に抑えることができる。
一方、実施例2は、実施例1と実施例3の中間のTBAB濃度である。実施例2は3℃付近で融解が開始するが、融解の終了は6℃付近である。即ち、実施例2のTBAB濃度である40重量部が、2~6℃での温度管理が必要な血液の輸送に用いることができる潜熱蓄熱材の上限のTBAB濃度である。
潜熱蓄熱材の潜熱量は、示差走査熱量測定(DSC)により得られる値を採用する。具体的には、まず液相状態の潜熱蓄熱材をDSC測定用のアルミパンに4mg程度封入し、5℃/分の速度で降温し、液相状態から固相状態に相変化させた後に、5℃/分の速度で昇温する。このとき吸熱ピークが得られる。その吸熱ピーク面積を潜熱量とする。
表1は、実施例1~6及び比較例1~4の潜熱蓄熱材のTBAB、尿素、水の濃度、及び、DSCにより得た2~8℃融解成分の潜熱量と、融解開始の温度を示した表である。実施例4~6及び比較例1~4は、TBABと尿素の濃度を変えて調製した例である。
実施例1~6は、総じて160J/g以上の高い潜熱量を示した。このため、本実施形態における潜熱蓄熱材においては、TBAB、尿素、及び水の合計100重量部に対し、TBAB37~44重量部、尿素4~13重量部がより好ましい。前記のより好ましい濃度範囲では、高い潜熱量を保持しながら、前述のようにTBAB濃度を変化させて融点を調節できる。特に、2~6℃での温度管理が必要な対象物の保冷には、3℃付近で融解開始する潜熱蓄熱材が得られるTBAB37~40重量部がより好ましく、2~8℃での温度管理が必要な対象物の保冷には、5℃付近で融解開始する潜熱蓄熱材が得られるTBAB41~43重量部が保冷時間の面でより好ましい。
実施例1~6と比較して、比較例1~4は低い潜熱量を示した。そのため、比較例1~4は、保冷時間が短くなる。
比較例1ではTBAB濃度が25重量部と顕著に低く、DSC測定において2~8℃の温度範囲を下回った。
比較例2ではTBAB濃度が56重量部と顕著に高く、凝固時に包接水和物の形成に寄与しないTBABが残存するため、潜熱量は93J/gと低い値であった。
比較例3では尿素濃度が2重量部と顕著に低く、DSC測定において2~8℃の温度範囲を超えた。
比較例4では尿素濃度が24重量部と顕著に高く、凝固時に2~8℃の融解成分の生成に寄与しない尿素が残存するため、潜熱量は89J/gと比較的低い値であった。
また比較例2では、前述の融解特性の評価において融解後に残存したTBABをろ過して秤量したところ、TBAB、尿素、水の合計100重量部に対して、30重量部であった。TBAB56重量部に対して半分を超える30重量部が残存しているため、原料が過剰であり、潜熱蓄熱材から得られる潜熱量に対する製造コストが相対的に高い。
また比較例4では、前述の融解特性の評価において融解後に残存した尿素をろ過して秤量したところ、TBAB、尿素、水の合計100重量部に対して、13重量部であった。尿素24重量部に対して半分を超える13重量部が残存しているため、原料が過剰であり、潜熱蓄熱材から得られる潜熱量に対する製造コストが相対的に高い。
以上のことから、本実施形態の潜熱蓄熱材におけるTBAB及び尿素の濃度は、TBAB、尿素、及び水の合計100重量部に対し、TBAB26~55重量部、尿素3~23重量部である。
特に、2~6℃での温度管理が必要な対象物の保冷には、3℃付近で融解開始する潜熱蓄熱材が得られるTBAB26~40重量部が好ましく、2~8℃での温度管理が必要な対象物の保冷には、5℃付近で融解開始する潜熱蓄熱材が得られるTBAB41~55重量部が保冷時間の面で好ましい。
≪第2実施形態≫
<保冷具>
以下、上述の潜熱蓄熱材を用いる保冷具について、図2および図3に基づき説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴部分を強調する目的で、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、同様の目的で、特徴とならない部分を省略して図示している場合がある。
本実施形態の保冷具は、保冷対象物を保冷する。保冷対象物としては、例えば食品、医薬品、などが挙げられる。食品としては、例えば野菜や果物などの青果品、牛乳などの乳製品、ハムなどの加工食品、ワインやシャンパンなどの飲料などが挙げられる。また、本実施形態の保冷具は、人体の体温を低温に維持するための、冷却具としても使用できる。なお、本実施形態の保冷具は、冷蔵庫内や梱包容器内などの密閉空間や、空調等の目的で開放された空間を保冷してもよい。
青果品の場合、保管温度は0℃を超えて15℃以下であると言われている。一方、牛乳などの乳製品、ハムなどの加工食品を含む冷蔵品の場合、保管温度は0℃を超えて10℃以下と言われている。医薬品の場合、保管温度は2~8℃であると言われている。
図2は、第2実施形態の保冷具100の平面図である。図3は、図2の断面図である。図2および図3に示すように、保冷具100は、保冷具本体110と、潜熱蓄熱材150と、を備える。本実施形態の保冷具100は、後述するシリンダーポンプを用いて潜熱蓄熱材を注入する方法により得られる、いわゆるブロー容器型の保冷具である。
保冷具本体110は、内部空間110cに潜熱蓄熱材150を液密に収容する。
保冷具本体110は、収容部材120と、注入口170と、封止部材190と、を備える。
収容部材120は、中空構造を有する部材である。収容部材120は、剛性が高い材料で形成されていることが好ましい。これにより、潜熱蓄熱材150が固相から液相に相転移する際に、収容部材120の形状が変化しにくい。このような材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミドなどの樹脂材料や、アルミニウム、ステンレス、銅、銀などの金属、ガラス、陶磁器、セラミックなどの無機材料などが挙げられる。収容部材120の作り易さと耐久性の観点から、収容部材120は樹脂材料で形成されることが好ましい。
収容部材120は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミドなどのフィルムにより内包されていても構わない。フィルムの耐久性やバリア性を高める目的で、フィルムにアルミニウムや二酸化ケイ素の薄膜が形成されていることが好ましい。さらに、収容部材120に、温度を示す示温材のシールを貼付すると、保冷具の温度が判断可能となるため好ましい。
図2の注入口170は、収容部材120の上部に設けられている。後述する方法において、注入口170から収容部材120の内部に潜熱蓄熱材150が注入される。
注入口170は、封止部材190によって封止されている。
本実施形態の保冷具100を物品(保冷対象物)に近接または接触させることで、本発明の潜熱蓄熱材の融解開始温度付近にて物品の温度調整や保冷が可能となる。
<保冷具の製造方法>
本実施形態の保冷具100の製造方法の一例について説明する。図4は、第2実施形態の保冷具100の製造の工程を示す概念図である。
図4に示すように、収容部材120に注入口170を介して潜熱蓄熱材150を、シリンダーポンプCPを用いて注入する。なお、潜熱蓄熱材150の注入方法はこれに限定されず、モーノポンプを用いた注入方法であってもよい。
具体的に、まず、シリンダーポンプCPの充填ホースH1を収容部材120の注入口170にセットし、吸上げホースH2を潜熱蓄熱材150の入った容器にセットする。
次に、シリンダーポンプCPのピストンPを下降することにより潜熱蓄熱材150を吸上げる。次に、ピストンP内に潜熱蓄熱材150を充填した後に、ピストンPを上昇させることで収容部材120に潜熱蓄熱材150を注入する。
潜熱蓄熱材150の注入量は特に限定されないが、収容部材120の内容積に対して、70%以上90%以下であることが好ましい。
そして、注入口170を封止部材190で封止する。封止部材190を用いる封止方法としては、超音波溶着や熱溶着などの既存の手法で密栓する方法や、封止部材190をネジ栓としておき、手で自由に開閉できる栓とする方法がある。超音波溶着や熱溶着などで密栓する場合は、潜熱蓄熱材150などが漏れるおそれがなく好ましい。
最後に、潜熱蓄熱材150の凝固温度以下の温度環境で保冷具100を静置し、潜熱蓄熱材150を凝固させる。このような工程により、本実施形態の保冷具100が製造される。
なお、ここで説明したように、保冷具100を後述する物流梱包容器に載せる前に潜熱蓄熱材150を凝固させてもよいが、物流過程の最初の段階で物流梱包容器を潜熱蓄熱材150の凝固温度以下の温度環境にすることができる場合は、保冷具100中の潜熱蓄熱材150を液相状態であっても使用を開始することができる。1
<物流梱包容器>
以下、第2実施形態の保冷具100を用いる物流梱包容器について、図5に基づき説明する。
図5は、第2実施形態の物流梱包容器200の断面図である。物流梱包容器200は、物流梱包容器本体210と、保冷具100と、を備える。
物流梱包容器本体210は、人が持ち運びできる大きさの容器である。物流梱包容器本体210は、壁部240および蓋部250により構成される。
壁部240は、物品および保冷具100を出し入れするために開口している。壁部240は、保冷具100を保持する保冷具保持部220を有する。保冷具保持部220は、物流梱包容器本体210の側面を構成する壁部240の上端を切り欠いて形成される。保冷具保持部220は、互いに対向する壁部240の上端に形成されている。なお、壁部240の全周に渡って、壁部240の上端に保冷具保持部が形成されていてもよい。
保冷具保持部220は、物流梱包容器本体210の内部に設けられる。物流梱包容器200は、保冷具保持部220に保冷具100を載せることにより用いられる。これにより、物流梱包容器本体210の内部が、保冷具100の潜熱蓄熱材の融点の近傍に保持される。保冷具保持部220は、保冷具100の固定が可能な構造となっていてもよい。
壁部240は、発泡スチロール、発泡ウレタン、真空断熱材などの断熱性を有する材料で形成されていることが好ましい。断熱性を考慮しない材料で形成された本体の内側や外側に、断熱性を有する材料で形成された断熱層を設けてもよい。
蓋部250は、開口している壁部240を閉塞する。蓋部250は、壁部240の形成材料として示した材料により形成されている。蓋部250は、壁部240と同じ材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。
壁部240および蓋部250は、連結されていてもよいし、分離されていてもよい。物流梱包容器200の内部との熱の出入りを低減するために、蓋部250は壁部240と密着する構造であることが好ましい。
物流梱包容器本体210は、物品を収容可能な内部空間210cを有する。内部空間210cは、壁部240と蓋部250とで囲まれた領域である。
物品が物流梱包容器本体210の内部空間210cに収容されることにより、物品が潜熱蓄熱材の融解温度付近で保持される。
<変形例>
図6は、第2実施形態の物流梱包容器の変形例200Aを示す断面図である。図6に示すように、物流梱包容器200Aは、保冷具100を2つ備えている。物流梱包容器200Aにおいて、2つの保冷具100は互いに対向している。一方の保冷具100Aは、保冷具保持部220に保持されている。すなわち、物流梱包容器200Aでは、壁部240の一部が特許請求の範囲における保持部材として機能する。他方の保冷具100Bは、物流梱包容器本体210の内部の底面に配置されている。これにより、底面210aから保冷対象物への熱流入を抑制することができる。
また、保冷具100は、潜熱蓄熱材が固相から液相に相転移する際に形状変化が少ない。そのため、物流梱包容器200Aでは、保冷対象物を安定して設置することができる。
ここで、物質から物質への熱の移動方法は、対流、熱伝導、熱放射の3つがある。なかでも熱伝導は、熱損失が最も少ないと考えられる。
物流梱包容器200Aは、保冷具100Bがこのような位置に配置されていることにより、物流梱包容器本体210の内部で保冷対象物と保冷具100Bとを接触させることができる。保冷対象物と保冷具100Bとを接触させることで、保冷対象物と保冷具100Bとの間で熱伝導し、保冷対象物が保冷されると考えられる。この場合、外部から物流梱包容器200Aへの熱流入の影響を受けにくい。
一方で、図5の物流梱包容器200のように保冷具100と保冷対象物とが離間する場合、保冷具100と保冷対象物との間で熱が対流し、保冷対象物が保冷されると考えられる。この場合、外部から物流梱包容器200への熱流入の影響を受けやすく、潜熱蓄熱材の融解温度に極めて近い温度での保冷は難しい。
したがって、物流梱包容器200Aは、物流梱包容器200と比べて、熱流入の影響が少ないため、保冷対象物の温度を、潜熱蓄熱材の融解温度付近で制御しやすい。
保冷対象物が青果品である場合、あまり保管温度が低すぎると、黒く変色するなどのいわゆる低温障害が生じることがある。これに対し、物流梱包容器200Aは、保冷具100Bに備えた潜熱蓄熱材の融解開始温度が2℃を超えるので、低温障害が生じにくい。
なお、保冷具100Aと保冷具100Bとは、潜熱蓄熱材の種類が同一でも異なっていてもよい。
図7は、第2実施形態の物流梱包容器の変形例200Bを示す断面図である。物流梱包容器200Bが図6の物流梱包容器200Aと異なる点は、物流梱包容器本体210の内部の側面に設けられた保冷具保持部材221を備えていることである。一方の保冷具100Aは、保冷具保持部材221によって保持されている。他方の保冷具100Bは、物流梱包容器本体210の内部の底面に配置されている。
図6の物流梱包容器200Aと同様に、物流梱包容器200Bは、物流梱包容器200と比べて、保冷対象物の温度を制御しやすい。
本発明の一態様の物流梱包容器本体は、コンテナなどの巨大な容器であってもよい。また、本発明の一態様の物流梱包容器はリーファーコンテナのように冷却装置を備えた容器であっても構わない。
図8は、第2実施形態の物流梱包容器の変形例200Cを示す断面図である。図6の物流梱包容器200Aと異なる点は、物流梱包容器200Cの保冷具保持部220が、物流梱包容器本体の側面を構成する壁部の上端および下端を切り欠いて形成されていることである。これにより、本実施形態の物流梱包容器200Cを傾斜させた姿勢で用いる場合においても、2つの保冷具100の位置が安定する。
図6の物流梱包容器200Aと同様に、物流梱包容器200Cは、物流梱包容器200と比べて、保冷対象物の温度を制御しやすい。
本発明の一態様の物流梱包容器が備える保冷具の数は特に限定されず、3以上であってもよい。
本発明の一態様の物流梱包容器においては、保冷具が、物流梱包容器本体に内蔵されていてもよい。また、保冷具自体が、物流梱包容器となっていてもよい。
本発明の一態様の物流梱包容器においては、蓋部が保冷具保持部を有してもよい。
第2実施形態の物流梱包容器200は、上述の保冷具100を備えているので、青果品や冷蔵品の保冷にも、医薬品の保冷にも使用することができる。
≪第3実施形態≫
<保冷具>
以下、上述の潜熱蓄熱材を用いる保冷具について、図9および図10に基づき説明する。
図9は、第3実施形態の保冷具300を示す平面図である。図10は、図9の断面図である。図9および図10に示すように、本実施形態の保冷具300は、潜熱蓄熱材150と、保冷具本体310と、を備える。保冷具300は、いわゆるブリスターパック型の保冷具である。したがって、本実施形態において第2実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
保冷具本体310は、複数の収容部330と、複数の関節部340と、を有する。
収容部材320は、内部空間330cに潜熱蓄熱材150を液密に収容する。
収容部材320は、短冊状に形成されている。図10では、収容部330の断面の輪郭形状は台形であるが、その他の形状であってもよい。
なお、図9および図10では、収容部330の数は6個であるが、これに限定されない。保冷対象物の大きさに応じて、収容部330の数を変えることにより、保冷具300の大きさを変えることができる。
また、複数の収容部330には、1種類の潜熱蓄熱材150が収容されていてもよいし、互いに異なる融解温度を持つ2種類以上の潜熱蓄熱材が潜熱蓄熱材150として収容されていてもよい。このような保冷具300を用いれば、互いに保管温度が異なる複数の保冷対象物を一度に保冷することができる。
飲料缶との接触面積を増加させるために、収容部330の接触面330aを凹曲面に形成してもよい。また、保冷具300をワインの瓶などにフィットさせるために、収容部330の厚さtを収容部330の長尺方向に向かって変化させてもよい。
関節部340は、二つの収容部330同士を接続するとともに、関節機能を有する。保冷具300は、複数の関節部340を有することで、潜熱蓄熱材150が固相状態であっても、保冷対象物の形状に沿った姿勢で接触させることができる。したがって、保冷対象物が複雑な形状であっても、保冷具300は、保冷対象物を効果的に保冷することができる。
図10に示すように、保冷具本体310は、収容部材320および封止部材390で構成されている。収容部材320と封止部材390とは、複数の接合部341で接合されている。収容部材320および封止部材390の接合部341と平面視で重なる領域が、関節部340として機能する。収容部材320および封止部材390の複数の接合部341と平面視で重なる領域以外の領域が、収容部330として機能する。
収容部材320は、複数の凹部321を有している。複数の凹部321は、封止部材390と複数の収容部330を構成する。収容部材320は、凹部321の形状を保持できる硬度を有する材料で形成されていることが好ましい。
封止部材390は、平面状に形成されている。
収容部材320および封止部材390は、潜熱蓄熱材150の漏洩や揮発を抑制できる材料で形成されていることが好ましい。さらに、収容部材320および封止部材390は、関節部340に関節機能を与える柔軟性を有する材料で形成されていることが好ましい。さらに、収容部材320および封止部材390は、後述する製造方法において、互いに接合できる材料で形成されていることが好ましい。
収容部材320の形成材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートまたはポリ塩化ビニルであることが好ましい。収容部材320の厚さは、例えば100μm以上1000μm以下であることが好ましい。収容部材320の厚さが上記範囲であると、収容部材320が可撓性を有する。その結果、関節部340に関節機能を与えることができる。
封止部材390の形成材料は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドまたはポリエステルであることが好ましい。封止部材390の厚さは、50μm以上100μm以下であることが好ましく、封止部材390の厚さが上記範囲であると、封止部材390が可撓性を有する。その結果、関節部340に関節機能を与えることができる。
収容部材320および封止部材390の形成材料は、1種類であってもよいし、2種類以上を任意で組み合わせてもよい。また、収容部材320および封止部材390は、単層で構成されていてもよいし、複数層で構成されていてもよい。
収容部材320および封止部材390が直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層とポリアミド樹脂層との多層フィルムで構成されていることが好ましい。この場合、2枚の多層フィルムを低密度ポリエチレン樹脂層同士が対向するように重ね、低密度ポリエチレン樹脂層同士の接触面を熱圧着することにより、関節部340を形成することができる。
収容部材320と封止部材290との少なくとも一方は、耐久性やバリア性を高める目的で、アルミニウムや二酸化ケイ素の薄膜を含むことが好ましい。さらに、収容部材320と封止部材390との少なくとも一方に、温度を示す示温材のシールを貼付すると、保冷具300の温度が判断可能となるため好ましい。
収容部材320および封止部材390は、固定部を有してもよい。これにより、保冷対象物に保冷具300を配置する際に、保冷対象物を包囲する構成とすることができる。固定部は、例えば、収容部材320の表面320aと封止部材390の表面390aとから構成される面ファスナーなどを用いることができる。
<変形例>
図11は、第3実施形態の保冷具の変形例300Aを示す斜視図である。保冷具300Aが図9の保冷具300と異なる点は、保冷具支持体350を備えていることである。
保冷具支持体350は、略円筒形であり、円筒形の一端が開口している。保冷具支持体350は、内部に潜熱蓄熱材150および保冷具本体310を収容する空間を有する。保冷具本体310は、収容部材320を内側とし封止部材390を外側とする、略円筒形に変形されている。保冷具300は、保冷具支持体350を備えることにより、それ自身が略円筒形で自立できるようになっている。
保冷具支持体350は、断熱性を有し、外気との熱交換を防ぐ材料で形成されていることが好ましい。このような材料としては、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン、クロロプレンゴム(発泡ゴム)などが挙げられる。
<保冷方法>
図12は、第3実施形態の保冷具300Aの使用方法を示す概念図である。図12に示すように、第3実施形態の保冷具300Aを用いる保冷方法は、飲料缶や飲料ボトルなどの保冷対象物Xを保冷具300Aの略円筒形の空間300cに入れる。これにより、保冷対象物Xと保冷具300Aとを近接または接触させる。その結果、保冷対象物Xを保冷具300Aの潜熱蓄熱材150の融解開始温度付近にて保持することができる。例えば、白ワイン、シャンパン、スパークリングワインの適温である5~8℃付近を保持することができる。
この場合、保冷対象物Xの径に一定の範囲を持たせるため、保冷具支持体350は、少なくとも一部が弾性を有する材料で形成されていることが好ましい。保冷具支持体350の弾性力により、保冷対象物Xと保冷具300Aとは接触する。
<保冷具の製造方法>
本実施形態の保冷具300の製造方法の一例について説明する。図13は、第3実施形態の保冷具300の製造工程を示す概念図である。なお、図10と図13とでは、収容部330の数を異ならせてある。
まず、断面の輪郭形状が台形である溝部を有する金型MPに収容部材320の原料である硬質フィルム32を設置し、真空成型またはプレス加工により収容部材320を成型する。次に、収容部材320の凹部321に液相状態の潜熱蓄熱材150を、ポンプ等を用いて一定量注入する。次に、封止部材390を、収容部材320に配置し、収容部材320と封止部材390との接触面同士を熱圧着することで、収容部330および関節部340を形成する。
<物流梱包容器>
以下、第3実施形態の保冷具300を用いた物流梱包容器について、図14に基づき説明する。
図14は、第3実施形態の物流梱包容器500の断面図である。物流梱包容器500は、物流梱包容器本体210と、保冷具300と、を備える。したがって、本実施形態において第2実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
物流梱包容器500は、保冷具300を用いて保冷対象物Xを上部より被覆する。これにより、物流梱包容器500は、物流梱包容器本体210の内部で保冷具300の少なくとも一部と保冷対象物Xとを接触させることができる。保冷対象物Xと保冷具300との接触面300aで熱伝導し、保冷対象物Xが保冷されると考えられる。この場合、外部から物流梱包容器500への熱流入の影響を受けにくい。したがって、物流梱包容器500は保冷対象物Xを効率的に保冷できる。
また、本実施形態の物流梱包容器500は、保冷具300の潜熱蓄熱材の融解温度の近傍の温度にて、保冷対象物Xを保冷することができる。したがって、厳密な温度管理が要求される医薬品の保冷および輸送や、低温障害が起こりやすい青果品の保冷や輸送に好適である。
本実施形態の物流梱包容器500では、収容部材320の表面320aと、物流梱包容器本体210の底面210aと、が面ファスナーなどにより固定可能であってもよい。
なお、物流梱包容器500は、保冷対象物Xの保冷性能を高めるため、保冷具300の上方に断熱部材を備えていてもよい。
第3実施形態の物流梱包容器500は、上述の保冷具300を備えているので、青果品や冷蔵品の保冷にも、医薬品の保冷にも使用することができる。
≪第4実施形態≫
<保冷具>
以下、上述の潜熱蓄熱材を用いる保冷具について、図15および図16に基づき説明する。
図15は、第4実施形態の保冷具400を示す斜視図である。図16は、図15のXI-XI線に沿う断面図である。図15および図16に示すように、本実施形態の保冷具400は、潜熱蓄熱材150と、保冷具本体410と、を備える。保冷具400は、いわゆるフィルムパック型の保冷具である。したがって、本実施形態において第2実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
保冷具本体410は、複数の収容部430と、複数の関節部440と、を有する。
収容部430は、内部空間430cに潜熱蓄熱材150を液密に収容する。
収容部430は、短冊状に形成されている。図16では、収容部430の断面の輪郭形状は楕円形であるが、その他の形状であってもよい。
なお、図15では収容部430の数は3個であるが、これに限定されない。保冷対象物の大きさに応じて、収容部430の数を変えることにより、保冷具400の大きさを変えることができる。
関節部440は、二つの収容部430同士を接続するとともに、関節機能を有する。保冷具400は、複数の関節部440を有することで、潜熱蓄熱材150が固相状態であっても、保冷対象物の形状に沿った姿勢で接触させることができる。したがって、保冷対象物が複雑な形状であっても、保冷具400は、保冷対象物を効果的に保冷することができる。
図16に示すように、保冷具本体410は、フィルム部材420で構成されている。フィルム部材420同士は複数の接合部441で接合されている。フィルム部材420の接合部441と平面視で重なる領域が、関節部440として機能する。フィルム部材420の複数の接合部441と平面視で重なる領域以外の領域は、収容部430として機能する。
フィルム部材420は、潜熱蓄熱材150の漏洩や揮発を抑制できる材料で形成されていることが好ましい。また、フィルム部材420は、後述する製造方法において、フィルム部材420同士を接合できる材料で形成されていることが好ましい。さらに、フィルム部材420は、関節部440に関節機能を与える柔軟性を有する材料で形成されていることが好ましい。
このような観点から、フィルム部材420の形成材料は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドまたはポリエステルであることが好ましい。フィルム部材420の形成材料は、1種類であってもよいし、2種類以上を任意で組み合わせてもよい。また、フィルム部材420は、単層で構成されていてもよいし、複数層で構成されていてもよい。
フィルム部材420が低密度ポリエチレン樹脂層とポリアミド樹脂層との多層フィルムで構成されていることが好ましい。この場合、2枚の多層フィルムを低密度ポリエチレン樹脂層同士が対向するように重ね、低密度ポリエチレン樹脂層同士の接触面を熱圧着することにより、関節部440を形成することができる。
フィルム部材420の耐久性やバリア性を高める目的で、フィルム部材420がアルミニウムや二酸化ケイ素の薄膜を含むことが好ましい。さらに、フィルム部材420に、温度を示す示温材のシールを貼付すると、保冷具400の温度が判断可能となるため好ましい。
また、保冷具400の物理的な強度の向上、肌触りの改善や、断熱性の向上の目的から、フィルム部材420の外側を、さらにフィルムで包装する、いわゆるパックインパック構造であっても構わない。
保冷具400は、人体冷却の用途として、人体に固定するための固定治具に取り付け、保冷具400を人体に固定して用いてもよい。固定治具としては、サポーター、タオル、包帯などがある。
第4実施形態の保冷具400は、第2実施形態の保冷具100と同様に、青果品や冷蔵品の保冷にも、医薬品の保冷にも使用することができる。
<保冷具の製造方法>
本実施形態の保冷具400の製造方法の一例について説明する。図17は、第4実施形態の保冷具400の製造に用いられる装置の概略構成を示す図である。図17に示す製造装置は、食品の包装で用いられる、いわゆる縦ピロー型包装機である。
まず、恒温槽Tに貯留した潜熱蓄熱材150を撹拌槽STに輸送し、攪拌機Mを用いて撹拌する。次に、ロール状のフィルム(図示しない)を繰り出し、包装機PMのフォーマー部Fでフィルム42の長軸方向の両端を合わせる。次に縦シール部S1により熱圧着することで前記両端を貼り合わせ筒状にする。次に、横シール部S2により筒状のフィルム42の短軸方向を熱圧着する。次に、ポンプPUを動作させ、潜熱蓄熱材150を、ノズルNを介して筒状になったフィルム42に注入した後に、横シール部S2により再度、筒状のフィルム42の短軸方向を熱圧着することで関節部440および収容部430を形成する。これにより、保冷具400を製造することができる。
<物流梱包容器>
以下、第4実施形態の保冷具400を用いる物流梱包容器について、図18に基づき説明する。
図18は、第4実施形態の物流梱包容器600を示す断面図である。図18に示すように、物流梱包容器600は、物流梱包容器本体210と、保冷具400と、を備える。したがって、本実施形態において第2実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
物流梱包容器600は、保冷具400を用いて保冷対象物Xを上部より被覆する。これにより、物流梱包容器600は、物流梱包容器本体210の内部で保冷具400の少なくとも一部と保冷対象物Xとを接触させることができる。このとき、保冷対象物Xと保冷具400との接触面400aで熱伝導し、保冷対象物Xが保冷されると考えられる。この場合、外部から物流梱包容器600への熱流入の影響を受けにくい。したがって、物流梱包容器600は保冷対象物Xを効率的に保冷できる。
一方で、第2実施形態の物流梱包容器200(図5参照)のように、保冷対象物と保冷具とが離間した状態で保冷対象物を保冷する場合には、物流梱包容器本体の内部空間に存在する空気との熱交換により、保冷対象物の保冷温度は保冷具に備えた潜熱蓄熱材の融解開始温度よりも高くなる。そのため、潜熱蓄熱材には、保冷対象物の保持すべき温度範囲の下限よりも低い温度に融解開始温度を持つ材料が用いられる。しかし、仮にこのような潜熱蓄熱材を保冷具400に適用する場合には、保冷対象物の温度が保持すべき温度範囲の下限を下回るおそれがある。
これに対し、本実施形態の物流梱包容器600は、保冷具400の潜熱蓄熱材の融解温度の近傍の温度で、保冷対象物Xを保冷することができる。したがって、厳密な温度管理が要求される医薬品の保冷および輸送や、低温障害が起こりやすい青果品の保冷や輸送に好適である。
なお、物流梱包容器600は、保冷対象物Xの保冷性能を高めるため、保冷具400の上方に断熱部材を備えていてもよい。
保冷対象物Xの形状や性質に応じて保冷具400の形状、数、使用時の姿勢などを適宜調整するとよい。
<変形例>
図19は、第4実施形態の物流梱包容器の変形例600Aを示す断面図である。物流梱包容器600Aが図18の物流梱包容器600と異なる点は、保冷具400とともに第2実施形態の保冷具100(図3参照)を備えていることである。物流梱包容器600Aにおいて、保冷具100は、保冷対象物Xと物流梱包容器本体210の内部の底面210aとの間に配置されている。これにより、底面210aから保冷対象物Xに熱流入を抑制することができる。
また、上述したように、保冷具100は、潜熱蓄熱材が固相から液相に相転移する際に形状変化が少ない。そのため、物流梱包容器600Aでは、保冷対象物Xを安定して設置することができる。
第4実施形態の物流梱包容器600は、上述の保冷具400を備えているので、青果品や冷蔵品の保冷にも、医薬品の保冷にも使用することができる。
<保冷方法>
図20~図24を参照しながら、第4実施形態の物流梱包容器600の使用方法を説明する。
図20は、第4実施形態の物流梱包容器600の使用方法を示す概念図である。ここで、保冷対象物Xを貫通する軸A1を想定する。物流梱包容器600では、保冷対象物Xを軸A1の周方向に沿って保冷具400で包囲してもよい。これにより、物流梱包容器本体210の内部の底面側や側面側からも保冷対象物Xを保冷することができる。
図21は、第4実施形態の物流梱包容器600の使用方法を示す概念図である。図21では、2つの収容部430と1つの関節部440とを有する保冷具400を備えた物流梱包容器600を示している。物流梱包容器本体210の内部で、保冷対象物Xを上下方向から2つの収容部430で挟んでもよい。例えば、細胞等の検体を保管する際、シャーレのような厚さが小さい容器に入れられることがある。図21に示す物流梱包容器600は、このような形状の保冷対象物の保冷に適していると言える。
図22は、保冷対象物Xとして検体やワクチンなどの医薬品や飲料缶といった筒状の物品を保冷する場合の物流梱包容器600の使用方法を示す概念図である。図23は、図22の蓋部250の上面250a側から見た視野における上面図である。ただし、図23は、蓋部250を省略して図示している。
図22では、4つの保冷具400を備えた物流梱包容器600を示している。ここで、4つの保冷対象物X1~X4をそれぞれ貫通する軸A11~A14を想定する。物流梱包容器600では、4つの保冷対象物X1~X4を軸A11~A14の周方向に沿って4つの保冷具400でそれぞれ包囲してもよい。これにより、物流梱包容器本体210の内部の側面側からも保冷対象物Xを保冷することができる。
図24は、第4実施形態の物流梱包容器600の使用方法を示す概念図である。図24では、2つの保冷具400を備えた物流梱包容器600を示している。ここで、保冷対象物Xを貫通する軸A1および軸A2を想定する。軸A1と軸A2とは交差している。物流梱包容器600では、保冷対象物Xを、軸A1および軸A2の周方向に沿って2つの保冷具400でそれぞれ包囲してもよい。具体的には、軸A1の周方向に沿って一方の保冷具400Aで包囲し、軸A2の周方向に沿って他方の保冷具400Bで包囲する。これにより、保冷対象物Xの周囲の空気からの熱流入を抑制することができる。そのため、図24に示す使用方法は、保冷対象物Xを軸A1のみの周方向に沿って保冷具400で包囲する方法と比べて、保冷性能が高い。また、保冷対象物Xを、保冷具400の潜熱蓄熱材の融解温度に極めて近い温度で保持することができる。
≪第5実施形態≫
<食品保冷用具>
以下、上述の潜熱蓄熱材を用いる食品保冷用具について、図25に基づき説明する。図25は、第5実施形態の食品保冷用具700の使用方法を示す概念図である。食品保冷用具700は、物流梱包容器本体210と、保冷具100と、内容器710と、を備える。したがって、本実施形態において第2実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
内容器710は、食品を保持する。食品保冷用具700は、内容器710によって、物流梱包容器本体210の内部に収容されている肉や魚などの生鮮食品と、野菜や果物などの青果品と、が直接触れるのを抑制することができる。これにより、食中毒菌の二次汚染などを抑制することができる。内容器710の表面710aは抗菌剤などでコートされていることが好ましい。
第5実施形態の食品保冷用具700は、上述の保冷具100を備えているので、青果品や冷蔵品の保冷にも、医薬品の保冷にも使用することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、第2実施形態の物流梱包容器200は、第3実施形態の保冷具300または第4実施形態の保冷具400を併用してもよい。
第5実施形態の食品保冷用具700は、保冷具として第3実施形態の保冷具300または第4実施形態の保冷具400を備えていてもよい。
第4実施形態の保冷具400は、保冷具支持体を備えていてもよい。