以下、本願が開示する配線基板及び配線基板の製造方法の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る多層配線基板が備えるコア基板100の構成を示す部分断面図である。図1に示すように、コア基板100は、基材110、スルーホール部120及びインダクタ部130を有する配線基板である。
基材110は、絶縁性の板状部材を有して構成される、コア基板100の基材である。基材110としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の
絶縁樹脂を含浸させたガラスエポキシ基板等を用いることができる。また、基材110として、ガラス繊維、炭素繊維又はアラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂等を含浸させた基板等を用いることも可能である。基材110の厚さは、例えば700~2000μm程度とすることができる。
スルーホール部120は、基材110を貫通する貫通孔112の位置に設けられ、基材110の両側の表面110a間の導通を確保する。スルーホール部120は、基材110の表面110aに形成される導体層140aと、貫通孔112を貫通する絶縁樹脂125とを有する。
導体層140aは、金属箔111、第1無電解めっき膜141a、第1電解めっき膜141b、第2無電解めっき膜142a及び第2電解めっき膜142bを有し、スルーホール部120のパッドを形成する。導体層140aから形成されるパッドは、基材110の表面に設けられる配線層に含まれる。金属箔111は、あらかじめ基材110の表面110aに設けられ、エッチングにより除去可能な金属箔である。金属箔111としては、例えば銅箔又は銅合金箔などを用いることができ、金属箔111の厚さは、例えば4~12μmである。
第1無電解めっき膜141a及び第2無電解めっき膜142aは、例えば銅の無電解めっきによって形成された無電解めっき膜である。一方、第1電解めっき膜141b及び第2電解めっき膜142bは、例えば銅の電解めっきによって形成された電解めっき膜である。第1無電解めっき膜141aは、金属箔111に積層されるとともに、貫通孔112の内壁を被覆する。第1電解めっき膜141bは、第1無電解めっき膜141aに積層される。第2無電解めっき膜142aは、第1電解めっき膜141bに積層されるとともに、絶縁樹脂125の端面を被覆する。第2電解めっき膜142bは、第2無電解めっき膜142aに積層される。
絶縁樹脂125は、貫通孔112の内壁を被覆する第1無電解めっき膜141a及び第1電解めっき膜141bの内側の貫通孔に充填される絶縁樹脂である。絶縁樹脂125としては、例えばシリカ等のフィラーを含有するエポキシ系樹脂などを用いることができる。絶縁樹脂125の両端面は、第2無電解めっき膜142a及び第2電解めっき膜142bによって被覆される。
インダクタ部130は、基材110を貫通する貫通孔113の位置に設けられ、インダクタとして機能する。インダクタ部130は、基材110の表面110aに形成される導体層140bと、貫通孔113を貫通する磁性部材135とを有する。
導体層140bは、導体層140aと同様に、金属箔111、第1無電解めっき膜141a、第1電解めっき膜141b、第2無電解めっき膜142a及び第2電解めっき膜142bを有し、インダクタ部130のパッドを形成する。導体層140bから形成されるパッドは、基材110の表面に設けられる配線層に含まれる。
インダクタ部130においては、第1無電解めっき膜141a、第1電解めっき膜141b、第2無電解めっき膜142a及び第2電解めっき膜142bは、金属箔111に積層されるとともに、磁性部材135の端面を被覆する。すなわち、金属箔111及び磁性部材135の端面を被覆するように第1無電解めっき膜141aが形成され、第1電解めっき膜141b、第2無電解めっき膜142a及び第2電解めっき膜142bがこの順序で第1無電解めっき膜141aに積層される。
なお、導体層140a、140bの第1無電解めっき膜141a、第1電解めっき膜141b、第2無電解めっき膜142a及び第2電解めっき膜142bは、いずれも同時に形成された無電解めっき膜又は電解めっき膜である。
磁性部材135は、磁性体及び導体を含んで構成される部材であり、基材110に形成された貫通孔113に埋め込まれる。具体的には、磁性部材135は、例えば導体線132を磁性体131によって被覆して形成された部材であり、貫通孔113に適合するサイズに成形されている。磁性部材135の両端面は、第1無電解めっき膜141a、第1電解めっき膜141b、第2無電解めっき膜142a及び第2電解めっき膜142bによって被覆される。
ここで、磁性部材135の構造について、具体的に例を挙げて説明する。図2は、磁性部材135の形成方法の具体例を示す図である。図2に示す磁性部材135は、導体線を磁性体によって被覆することによって形成される。
すなわち、例えば図2(a)に示す導体線201が、図2(b)に示すように磁性体202によって被覆されることにより、磁性体被覆導体線が形成される。導体線201としては、例えば銅線等の金属からなる線を使用することができる。
磁性体202としては、例えば磁性体粒子を含有するエポキシ系樹脂等の絶縁樹脂を使用することができる。磁性体粒子としては、例えば鉄、酸化鉄、コバルト酸化鉄、珪素鉄、ニッケル、酸化ニッケル、磁性合金又はフェライト等のフィラーが挙げられる。このような磁性体フィラー含有樹脂を磁性体202として用いる場合には、例えば直径100~200μm程度の導体線201の周囲を、厚さ75~175μm程度の磁性体202で被覆する。これにより、例えば直径250~550μmの磁性体被覆導体線を形成することができる。
また、磁性体202としては、例えば鉄、ニッケル又はクロム等の磁性体金属を使用することができる。このような磁性体金属を磁性体202として用いる場合には、例えば直径50~300μmの導体線201の周囲に、電解めっきによって厚さ50~200μm程度の磁性体202のめっき膜を形成する。これにより、例えば直径150~700μmの磁性体被覆導体線を形成することができる。
これらの磁性体被覆導体線の直径は、磁性部材135が埋め込まれる基材110の貫通孔113の直径と略等しいが、貫通孔113の直径よりも若干大きいのが好ましい。
磁性体被覆導体線が形成されると、例えば図2(c)に示すように、磁性体被覆導体線が所定の長さに切断される。具体的には、磁性体被覆導体線が、基材110の厚さと略同等の例えば700~2000μmの長さに切断されることにより、磁性部材135が得られる。このとき、磁性部材135が貫通孔113に埋め込まれる際に磁性部材135の両端が基材110の表面から突出するように、磁性部材135の長さは、基材110の厚さと比較して若干長いのが好ましい。
図3は、磁性部材135の形成方法の他の具体例を示す図である。図3に示す磁性部材135は、複数の磁性体被覆導体線を撚り合わせて撚線を形成し、撚線を絶縁樹脂によって被覆することによって形成される。
すなわち、例えば図3(a)に示す導体線201が、図3(b)に示すように磁性体202によって被覆されることにより、磁性体被覆導体線が形成される。導体線201としては、例えば銅線を使用することができる。磁性体202としては、上記と同様に、例えば磁性体フィラー含有樹脂又は磁性体金属を使用することができる。
このような磁性体被覆導体線が複数形成されると、図3(c)に示すように、複数の磁性体被覆導体線を撚り合わせて撚線が形成される。そして、図3(d)に示すように、撚線が絶縁樹脂203によって被覆される。絶縁樹脂203によって被覆された撚線は、例えば図3(e)に示すように、所定の長さに切断される。具体的には、絶縁樹脂203によって被覆された撚線が、基材110の厚さと略同等の例えば700~2000μmの長さに切断されることにより、磁性部材135が得られる。このとき、磁性部材135が貫通孔113に埋め込まれる際に磁性部材135の両端が基材110の表面から突出するように、磁性部材135の長さは、基材110の厚さと比較して若干長いのが好ましい。
撚線を用いて磁性部材135を形成する場合、撚り合わせる磁性体被覆導体線の本数は任意の本数で良い。すなわち、例えば図4(a)に示すように、2本の磁性体被覆導体線を撚り合わせた二重らせん構造の撚線から磁性部材135が形成されても良いし、例えば図4(b)に示すように、3本の磁性体被覆導体線を撚り合わせた三重らせん構造の撚線から磁性部材135が形成されても良い。
以上説明した磁性部材135は、磁性体202の中心に導体線201が配置された磁性体被覆導体線を用いて形成されており、導体線201と磁性体202の配置が均一となっている。この結果、磁性部材135が基材110に埋め込まれたコア基板100において、インダクタ部130のインダクタンスのばらつきを軽減することができる。また、磁性部材135の中央に導体線201が含まれることから、磁性部材135における導体の体積が増加し、電気抵抗を低下させることができる。このように、磁性部材135を用いることで、コア基板100に内蔵されるインダクタの電気特性を向上することができる。
さらに、磁性部材135にあらかじめ導体線201が含まれることから、磁性部材135を基材110に埋め込んだ後、磁性部材135の両端を電気的に導通させるめっき工程が不要となる。したがって、コア基板100を製造する工程を簡略化することができるとともに、めっき工程の回数を削減してめっき厚を均一化することができる。
次に、各無電解めっき膜及び電解めっき膜について説明する。
第1無電解めっき膜141aは、金属箔111の表面、貫通孔112の内壁面及び磁性部材135の端面に形成される。すなわち、スルーホール部120においては、第1無電解めっき膜141aは、金属箔111の表面及び貫通孔112の内壁面に連続して形成される。一方、インダクタ部130においては、第1無電解めっき膜141aは、金属箔111の表面及び磁性部材135の端面に積層される。第1無電解めっき膜141aの厚さは、例えば0.1~2.0μm程度である。
第1電解めっき膜141bは、第1無電解めっき膜141aに積層される。すなわち、スルーホール部120においては、第1電解めっき膜141bは、金属箔111の上下方及び貫通孔112内で連続して第1無電解めっき膜141aに積層される。一方、インダクタ部130においては、第1電解めっき膜141bは、平面状に第1無電解めっき膜141aに積層される。第1電解めっき膜141bの厚さは、例えば2~18μm程度である。
第2無電解めっき膜142aは、第1電解めっき膜141bの表面及び絶縁樹脂125の端面に形成される。すなわち、スルーホール部120においては、第2無電解めっき膜142aは、第1電解めっき膜141b及び絶縁樹脂125の端面に積層される。一方、インダクタ部130においては、第2無電解めっき膜142aは、平面状に第1電解めっき膜141bに積層される。第2無電解めっき膜142aの厚さは、第1無電解めっき膜141aと同様に、例えば0.1~2.0μm程度である。
第2電解めっき膜142bは、第2無電解めっき膜142aに積層される。すなわち、スルーホール部120及びインダクタ部130において、第2電解めっき膜142bは、平面状に第2無電解めっき膜142aに積層される。第2電解めっき膜142bの厚さは、第1電解めっき膜141bと同様に、例えば2~18μm程度である。
次いで、上記のように構成されたコア基板100を備える多層配線基板の製造方法について、図5に示すフロー図を参照しながら、具体的に例を挙げて説明する。
まず、絶縁性の板状部材を有して構成される基材110に、スルーホール部120及びインダクタ部130を形成するための貫通孔112、113が形成される(ステップS101)。基材110は、例えば図6に示すように、絶縁性の板状部材の表面110aに金属箔111が形成されたものである。基材110の厚さは、例えば700~2000μm程度である。この基材110に、例えば図7に示すように、開口部の直径が100~200μm程度の円筒形状の貫通孔112と、開口部の直径が250~550μm程度の円筒形状の貫通孔113とが形成される。貫通孔112、113は、例えばレーザ加工又はドリル加工によって形成され、貫通孔112、113が形成された後、内壁面の樹脂残渣を除去するデスミア処理が施される。デスミア処理には、例えば過マンガン酸カリウム溶液を用いることができる。
そして、貫通孔113に磁性部材135が埋め込まれる(ステップS102)。すなわち、例えば図8に示すように、基材110に形成された貫通孔113に、例えば磁性体131及び導体線132を有する磁性部材135が挿通する。このとき、磁性部材135の中心に設けられた導体線132が貫通孔113の中心軸に位置するように、磁性部材135が貫通孔113に埋め込まれる。磁性部材135の直径は、貫通孔113の直径に略等しいか若干大きいため、磁性体131の弾性により、磁性部材135を隙間なく貫通孔113に挿通させることができる。なお、磁性部材135が図3に示した構造を有する場合にも、撚線を被覆する絶縁樹脂203の弾性により、磁性部材135を隙間なく貫通孔113に挿通させることができる。
また、貫通孔113の内壁面に沿って例えばエポキシ系樹脂などの絶縁樹脂を注入し、貫通孔113の径を磁性体135の径に適合させるようにしても良い。こうすることにより、貫通孔113の内壁面と磁性部材135の間には、注入された絶縁樹脂が介在し、磁性部材135を形成する磁性体131が弾性を有さない場合にも、貫通孔113の内壁面と磁性部材135との間に隙間が生じることを防止することができる。
貫通孔113に磁性部材135が挿通すると、磁性部材135の長さが基材110の厚さよりも若干長いため、磁性部材135の両端部は基材110の金属箔111の上下方へ突出する。
そこで、磁性部材135の両端部が金属箔111の表面と面一になるように、突出した部分が平面研磨される(ステップS103)。すなわち、例えば図9に示すように、金属箔111の表面と磁性部材135の両端面とが面一になるように、磁性部材135の両端が研磨される。
金属箔111の表面と磁性部材135の両端面とが面一になると、表面に露出する部分を被覆する第1無電解めっき膜141aが形成される(ステップS104)。具体的には、例えば図10に示すように、金属箔111の表面、磁性部材135の端面及び貫通孔112の内壁面に、例えば無電解銅めっきが施されることにより、第1無電解めっき膜141aが形成される。第1無電解めっき膜141aの厚さは、例えば0.1~2.0μm程度である。
そして、第1無電解めっき膜141aに第1電解めっき膜141bが積層される(ステップS105)。すなわち、例えば図11に示すように、第1無電解めっき膜141aが形成された面に、例えば電解銅めっきが施されることにより、第1電解めっき膜141bが形成される。第1電解めっき膜141bの厚さは、例えば2~18μm程度である。
第1無電解めっき膜141a及び第1電解めっき膜141bが形成されることにより、貫通孔112内においては、第1電解めっき膜141bの内側に貫通孔が形成される。この貫通孔には、絶縁樹脂125が充填される(ステップS106)。すなわち、例えば図12に示すように、貫通孔112内の第1電解めっき膜141bの内側に、絶縁樹脂125が充填される。絶縁樹脂125としては、例えばシリカ等のフィラーを含有するエポキシ系樹脂などを用いることができる。絶縁樹脂125は、第1電解めっき膜141bの内側に隙間なく充填され、絶縁樹脂125の両端部は、金属箔111に積層された第1無電解めっき膜141a及び第1電解めっき膜141bの上下方へ突出する。
そこで、絶縁樹脂125の両端部が第1電解めっき膜141bの表面と面一になるように、突出した部分が平面研磨される(ステップS107)。すなわち、例えば図13に示すように、第1電解めっき膜141bの上下面と絶縁樹脂125の両端面とが面一になるように、絶縁樹脂125の両端が研磨される。また、絶縁樹脂125の研磨によって第1電解めっき膜141bの表面に残留する樹脂残渣がデスミア処理によって除去される。このとき、磁性部材135の両端面は、第1無電解めっき膜141a及び第1電解めっき膜
141bによって被覆されているため、磁性体131はデスミアに用いられる溶液から保護される。
第1電解めっき膜141bの上下面と絶縁樹脂125の両端面とが面一になると、表面に露出する部分を被覆する第2無電解めっき膜142aが形成される(ステップS108)。具体的には、例えば図14に示すように、第1電解めっき膜141bの表面及び絶縁樹脂125の端面に、例えば無電解銅めっきが施されることにより、第2無電解めっき膜142aが形成される。第2無電解めっき膜142aの厚さは、第1無電解めっき膜141aと同様に、例えば0.1~2.0μm程度である。
そして、第2無電解めっき膜142aに第2電解めっき膜142bが積層される(ステップS109)。すなわち、例えば図15に示すように、第2無電解めっき膜142aが形成された面に、例えば電解銅めっきが施されることにより、第2電解めっき膜142bが平面状に積層される。第2電解めっき膜142bの厚さは、第1電解めっき膜141bと同様に、例えば2~18μm程度である。
ここまでの無電解めっき及び電解めっきにより、すべての無電解めっき膜及び電解めっき膜が形成されるため、スルーホール部120及びインダクタ部130の導体層140a及び導体層140bを形成するためのエッチングが行われる(ステップS110)。すなわち、例えば図16に示すように、導体層140a、140bとしてめっき膜を残す部分には、エッチングレジスト210が形成される。図16には、絶縁樹脂125及び磁性部材135の位置にそれぞれパッドとして導体層140a、140bを形成するためのエッチングレジスト210が図示されている。これらのエッチングレジスト210は、第2電解めっき膜142bの表面において、それぞれ貫通孔112、113よりも広い領域を被覆するように形成される。エッチングレジスト210は、所望の解像性を有し、耐エッチング性を有する材料から形成される。
そして、エッチングレジスト210をマスクとして、ウェットエッチングにより金属箔111、第1無電解めっき膜141a、第1電解めっき膜141b、第2無電解めっき膜142a及び第2電解めっき膜142bが除去される。これにより、例えば図17に示すように、パッドとして導体層140aを有するスルーホール部120と、パッドとして導体層140bを有するインダクタ部130とが形成される。これらの導体層140a、140bからエッチングレジスト210が除去されることにより、コア基板100が完成する。
コア基板100の上面及び下面には、絶縁層及び配線層が順にビルドアップされて多層配線基板が形成される(ステップS111)。具体的には、例えば図18に示すように、コア基板100の上面及び下面に絶縁層230及び配線層220が積層され、上下に積層される各配線層220は、絶縁層230中に設けられたビア配線225によって電気的に接続される。また、コア基板100に最も近い配線層220は、絶縁層230中に設けられたビア配線225によってコア基板100の導体層140a、140bと電気的に接続される。
そして、最上層の配線層220は、ソルダーレジスト層240によって被覆される。ソルダーレジスト層240には貫通孔が形成され、この貫通孔に、例えば半導体チップなどの電子部品と配線層220とを電気的に接続するためのはんだ等からなる接続端子250が形成される。一方、最下層の配線層220は、ソルダーレジスト層260によって被覆される。そして、ソルダーレジスト層260には開口部が形成され、最下層の配線層220に形成される外部接続パッド270が開口部から露出する。外部接続パッド270は、外部の部品や機器と電気的に接続可能である。
このように、磁性部材135を用いたインダクタ部130を内蔵するコア基板100から、複数の配線層220を有する多層配線基板を形成することができる。この多層配線基板は、例えば半導体チップなどの部品を搭載する半導体装置に利用することができる。具体的には、図19に示すように、多層配線基板の上面に半導体チップ310が搭載される。例えば、多層配線基板の接続端子250と半導体チップ310のはんだ等からなる電極315とが接合される。そして、接続端子250と電極315との接合部は、アンダーフィル樹脂320によって封止され、半導体チップ310が実装された半導体装置が得られる。
以上のように、本実施の形態によれば、磁性体被覆導体線を用いて形成された磁性部材が基材の貫通孔に埋め込まれ、貫通孔の開口部から露出する磁性部材の端面が無電解めっき膜及び電解めっき膜によって被覆されたインダクタを形成する。このため、インダクタにおける導体線と磁性体の配置が均一となって、インダクタンスのばらつきを軽減することができる。また、インダクタにおける導体の体積が増加し、電気抵抗を低下させることができる。換言すれば、コア基板に内蔵されるインダクタの電気特性を向上することができる。
(実施の形態2)
上記実施の形態1においては、基材110の貫通孔113に磁性部材135を埋め込んだ後、貫通孔112に絶縁樹脂125を充填するものとしたが、先に貫通孔112に絶縁樹脂125を充填した後、貫通孔113に磁性部材135を埋め込むことも可能である。そこで、実施の形態2においては、後から磁性部材135を埋め込む場合の多層配線基板の製造方法について説明する。
図20は、実施の形態2に係る多層配線基板の製造方法を示すフロー図である。図20において、図5と同じ部分には同じ符号を付す。図20に示す多層配線基板の製造方法では、ステップS106において絶縁樹脂125が充填された後に、ステップS102において磁性部材135が埋め込まれる。
まず、絶縁性の板状部材を有して構成される基材110に、スルーホール部120を形成するための貫通孔112が形成される(ステップS201)。すなわち、基材110に、例えば図21に示すように、開口部の直径が100~200μm程度の円筒形状の貫通孔112が形成される。貫通孔112は、例えばレーザ加工又はドリル加工によって形成され、貫通孔112が形成された後、内壁面の樹脂残渣を除去するデスミア処理が施される。デスミア処理には、例えば過マンガン酸カリウム溶液を用いることができる。
貫通孔112が形成されると、表面に露出する部分を被覆する第1無電解めっき膜141aが形成され(ステップS104)、続いて第1無電解めっき膜141aに第1電解めっき膜141bが積層される(ステップS105)。具体的には、例えば図22に示すように、金属箔111の表面及び貫通孔112の内壁面に、例えば無電解銅めっきが施されることにより、第1無電解めっき膜141aが形成される。そして、第1無電解めっき膜141aが形成された面に、例えば電解銅めっきが施されることにより、第1電解めっき膜141bが形成される。第1無電解めっき膜141aの厚さは、例えば0.1~2.0μm程度である。また、第1電解めっき膜141bの厚さは、例えば2~18μm程度である。
第1無電解めっき膜141a及び第1電解めっき膜141bが形成されることにより、貫通孔112内においては、第1電解めっき膜141bの内側に貫通孔が形成される。この貫通孔には、絶縁樹脂125が充填される(ステップS106)。すなわち、例えば図23に示すように、貫通孔112内の第1電解めっき膜141bの内側に、絶縁樹脂125が充填される。絶縁樹脂125としては、例えばシリカ等のフィラーを含有するエポキシ系樹脂などを用いることができる。絶縁樹脂125は、第1電解めっき膜141bの内側に隙間なく充填され、絶縁樹脂125の両端部は、金属箔111に積層された第1無電解めっき膜141a及び第1電解めっき膜141bの上下方へ突出する。
絶縁樹脂125の突出した両端部は平面研磨され(ステップS107)、第1電解めっき膜141bの上下面と絶縁樹脂125の両端面とが面一になると、インダクタ部130を形成するための貫通孔113が形成される(ステップS202)。すなわち、第1無電解めっき膜141a及び第1電解めっき膜141bが形成された基材110に、例えば図24に示すように、開口部の直径が250~550μm程度の円筒形状の貫通孔113が形成される。貫通孔113は、例えばレーザ加工又はドリル加工によって形成され、貫通孔113が形成された後、内壁面の樹脂残渣を除去するデスミア処理が施される。
そして、貫通孔113に磁性部材135が埋め込まれる(ステップS102)。すなわち、例えば図25に示すように、例えば磁性体131及び導体線132を有する磁性部材135が貫通孔113に挿通する。磁性部材135の直径は、貫通孔113の直径に略等しいか若干大きいため、磁性体131の弾性により、磁性部材135を隙間なく貫通孔113に挿通させることができる。また、磁性部材135の長さは、基材110の厚さよりも若干長いため、磁性部材135の両端部は、金属箔111に積層された第1無電解めっき膜141a及び第1電解めっき膜141bの上下方へ突出する。
磁性部材135の突出した両端部は平面研磨され(ステップS103)、第1電解めっき膜141bの上下面と磁性部材135の両端面とが面一になると、表面に露出する部分に第2無電解めっき膜142a及び第2電解めっき膜142bが形成される(ステップS108、S109)。具体的には、例えば図26に示すように、第1電解めっき膜141bの表面、絶縁樹脂125の端面及び磁性部材135の端面に、例えば無電解銅めっきが施されることにより、第2無電解めっき膜142aが形成される。そして、第2無電解めっき膜142aが形成された面に、例えば電解銅めっきが施されることにより、第2電解めっき膜142bが平面状に積層される。第2無電解めっき膜142aの厚さは、例えば0.1~2.0μm程度である。また、第2電解めっき膜142bの厚さは、例えば2~18μm程度である。
ここまでの無電解めっき及び電解めっきにより、すべての無電解めっき膜及び電解めっき膜が形成されるため、スルーホール部120及びインダクタ部130の導体層140a及び導体層140bを形成するためのエッチングが行われる(ステップS110)。すなわち、導体層140a、140bとしてめっき膜を残す部分にエッチングレジストが形成され、ウェットエッチングにより金属箔111、第1無電解めっき膜141a、第1電解めっき膜141b、第2無電解めっき膜142a及び第2電解めっき膜142bが除去される。これにより、例えば図27に示すように、パッドとして導体層140aを有するスルーホール部120と、パッドとして導体層140bを有するインダクタ部130とが形成される。
このようにして形成されたコア基板100の上面及び下面には、絶縁層及び配線層が順にビルドアップされて多層配線基板が形成される(ステップS111)。また、多層配線基板に半導体チップが搭載され、半導体装置が形成されても良い。本実施の形態に係るコア基板100においては、磁性部材135の両端面が第2無電解めっき膜142aによって被覆されている点が実施の形態1に係るコア基板100と異なる。すなわち、実施の形態1に係るコア基板100は、絶縁樹脂125の充填よりも先に磁性部材135が埋め込まれて形成されるため、磁性部材135の両端面が第1無電解めっき膜141aによって被覆される。これに対して、本実施の形態に係るコア基板100は、絶縁樹脂125の充填よりも後に磁性部材135が埋め込まれて形成されるため、磁性部材135の両端面が第2無電解めっき膜142aによって被覆される。その他の点では、実施の形態1、2に係るコア基板100の構造は同様であり、コア基板100を用いて形成される多層配線基板及び半導体装置の構造も実施の形態1、2で共通する。
以上のように、本実施の形態によれば、スルーホールに絶縁樹脂が充填された後、磁性体被覆導体線を用いて形成された磁性部材が基材の貫通孔に埋め込まれ、インダクタを形成する。このため、絶縁樹脂が充填されたスルーホールを形成した後に磁性部材を用いるインダクタを形成してコア基板を製造する場合でも、コア基板に内蔵されるインダクタの電気特性を向上することができる。
(実施の形態3)
上記実施の形態1、2においては、基材110の貫通孔113に磁性部材135を埋め込む時点で既に貫通孔112が形成されているものとしたが、貫通孔113に磁性部材135を埋め込んだ後に貫通孔112を形成することも可能である。そこで、実施の形態3においては、後から貫通孔112を形成する場合の多層配線基板の製造方法について説明する。
図28は、実施の形態3に係る多層配線基板の製造方法を示すフロー図である。図28において、図5と同じ部分には同じ符号を付す。図28に示す多層配線基板の製造方法では、ステップS103において磁性部材135の平面研磨が行われた後に、絶縁樹脂125を充填するための貫通孔112が形成される。
まず、絶縁性の板状部材を有して構成される基材110に、インダクタ部130を形成するための貫通孔113が形成される(ステップS301)。すなわち、基材110に、例えば図29に示すように、開口部の直径が250~550μm程度の円筒形状の貫通孔113が形成される。貫通孔113は、例えばレーザ加工又はドリル加工によって形成され、貫通孔113が形成された後、内壁面の樹脂残渣を除去するデスミア処理が施される。デスミア処理には、例えば過マンガン酸カリウム溶液を用いることができる。
そして、貫通孔113に磁性部材135が埋め込まれる(ステップS102)。すなわち、例えば図30に示すように、例えば磁性体131及び導体線132を有する磁性部材135が貫通孔113に挿通する。磁性部材135の直径は、貫通孔113の直径に略等しいか若干大きいため、磁性体131の弾性により、磁性部材135を隙間なく貫通孔113に挿通させることができる。また、磁性部材135の長さは、基材110の厚さよりも若干長いため、磁性部材135の両端部は基材110の金属箔111の上下方へ突出する。
そこで、磁性部材135の両端部が金属箔111の表面と面一になるように、突出した部分が平面研磨される(ステップS103)。すなわち、例えば図31に示すように、金属箔111の表面と磁性部材135の両端面とが面一になるように、磁性部材135の両端が研磨される。本実施の形態においては、磁性部材135の両端が研磨される際に、スルーホール部120を形成するための貫通孔112が未形成である。このため、磁性部材135の研磨によって発生する残渣等が貫通孔112へ進入して残留することがない。
金属箔111の表面と磁性部材135の両端面とが面一になると、スルーホール部120を形成するための貫通孔112が形成される(ステップS302)。すなわち、基材110に、例えば図32に示すように、開口部の直径が100~200μm程度の円筒形状の貫通孔112が形成される。貫通孔112は、例えばレーザ加工又はドリル加工によって形成され、貫通孔112が形成された後、内壁面の樹脂残渣を除去するデスミア処理が施される。このとき、表面に露出する磁性部材135の両端面に対するデスミアに用いられる溶液の影響を軽減するために、磁性部材135を構成する磁性体131が磁性体金属から形成されても良い。
貫通孔112が形成されると、表面に露出する部分を被覆する第1無電解めっき膜141aが形成され(ステップS104)、続いて第1無電解めっき膜141aに第1電解めっき膜141bが積層される(ステップS105)。すなわち、実施の形態1と同様に、金属箔111の表面、磁性部材135の端面及び貫通孔112の内壁面に、例えば無電解銅めっき及び電解銅めっきが施されることにより、第1無電解めっき膜141a及び第1電解めっき膜141bが形成される。
第1無電解めっき膜141a及び第1電解めっき膜141bが形成されることにより、貫通孔112内においては、第1電解めっき膜141bの内側に貫通孔が形成される。この貫通孔には、絶縁樹脂125が充填される(ステップS106)。絶縁樹脂125としては、例えばシリカ等のフィラーを含有するエポキシ系樹脂などを用いることができる。絶縁樹脂125は、第1電解めっき膜141bの内側に隙間なく充填され、絶縁樹脂125の両端部は、金属箔111に積層された第1無電解めっき膜141a及び第1電解めっき膜141bの上下方へ突出する。
絶縁樹脂125の突出した両端部は平面研磨され(ステップS107)、第1電解めっき膜141bの上下面と絶縁樹脂125の両端面とが面一になると、表面に露出する部分に第2無電解めっき膜142a及び第2電解めっき膜142bが形成される(ステップS108、S109)。すなわち、実施の形態1と同様に、第1電解めっき膜141bの表面及び絶縁樹脂125の端面に、例えば無電解銅めっき及び電解銅めっきが施されることにより、第2無電解めっき膜142a及び第2電解めっき膜142bが形成される。
ここまでの無電解めっき及び電解めっきにより、すべての無電解めっき膜及び電解めっき膜が形成されるため、スルーホール部120及びインダクタ部130の導体層140a及び導体層140bを形成するためのエッチングが行われる(ステップS110)。すなわち、導体層140a、140bとしてめっき膜を残す部分にエッチングレジストが形成され、ウェットエッチングにより金属箔111、第1無電解めっき膜141a、第1電解めっき膜141b、第2無電解めっき膜142a及び第2電解めっき膜142bが除去される。これにより、実施の形態1(図17)と同様に、パッドとして導体層140aを有するスルーホール部120と、パッドとして導体層140bを有するインダクタ部130とが形成される。
このようにして形成されたコア基板100の上面及び下面には、絶縁層及び配線層が順にビルドアップされて多層配線基板が形成される(ステップS111)。また、多層配線基板に半導体チップが搭載され、半導体装置が形成されても良い。
以上のように、本実施の形態によれば、磁性体被覆導体線を用いて形成された磁性部材が基材の貫通孔に埋め込まれた後、基材に貫通孔を形成してスルーホールを形成する。このため、磁性部材の研磨時に発生する残渣がスルーホールへ進入して残留することを防止しつつ、コア基板に内蔵されるインダクタの電気特性を向上することができる。
なお、上記各実施の形態においては、導体層140bが磁性部材135の端面全体を被覆するものとしたが、導体層140bは、必ずしも磁性部材135の端面全体を被覆しなくても良い。具体的には、例えば図33に示すように、実施の形態1、3に係るコア基板100の磁性部材135の端面の一部が導体層140bに被覆されなくても良い。すなわち、図33においては、磁性部材135の導体線132が導体層140bによって被覆される一方、磁性体131の一部は、導体層140bによって被覆されずに露出する。この場合には、導体層140bは、第1無電解めっき膜141a、第1電解めっき膜141b、第2無電解めっき膜142a及び第2電解めっき膜142bを有する。
同様に、例えば図34に示すように、実施の形態2に係るコア基板100の磁性部材135の端面の一部が導体層140bに被覆されなくても良い。すなわち、図34においては、磁性部材135の導体線132が導体層140bによって被覆される一方、磁性体131の一部は、導体層140bによって被覆されずに露出する。この場合には、導体層140bは、第2無電解めっき膜142a及び第2電解めっき膜142bを有する。
このように磁性部材135の一部が導体層140bによって被覆されないコア基板100は、エッチングレジスト210のサイズを調整することにより形成可能である。すなわち、すべての無電解めっき膜及び電解めっき膜が形成された後、磁性部材135の端面中央部に対応する部分のみにエッチングレジスト210を形成し、エッチングレジスト210をマスクとしてエッチングを施す。これにより、エッチングレジスト210の周囲の無電解めっき膜及び電解めっき膜と金属箔111とが除去され、磁性部材135の端面の周縁部が露出する。
以上のように、磁性部材135の端面を被覆する導体層140bは、種々の構造で形成することが可能である。