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JP2022135147A - サキサグリプチン含有錠剤 - Google Patents

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大介 杉浦
Daisuke Sugiura
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Nichi Iko Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

【課題】製造工程が複雑でなく、サキサグリプチンを安定に維持するサキサグリプチン含有錠剤を提供すること。
【解決手段】マンニトール及び/又は乳糖を含有し、結晶セルロースを含まない素錠のフィルムコート錠であって、アンダーコート層を有さず、フィルム部にサキサグリプチンを含有するフィルムコート錠。
【選択図】なし

Description

本発明は、サキサグリプチンを含有する錠剤に関する。
サキサグリプチンは、GLP-1を分解するDPP-4活性を阻害することにより活性型GLP-1の血中濃度を上昇させ、インスリン分泌促進作用を介して血糖低下作用を発揮する2型糖尿病治療剤である。
サキサグリプチンは、分子内環化反応によりサイクリックアミジン(主としてシス-サイクリックアミジン)を生成する不安定な化合物であり、当該分子内環化反応は、通常の錠剤化プロセス、例えば湿式造粒法、ローラー圧縮、錠剤化を受けるときに加速されることが知られている(特許文献1)。
この課題を解決するため、特許文献1では、錠剤内部ではなく、インナーシールコーティング層と第2フィルムコーティング層を設け、当該第2フィルムコーティング層中にサキサグリプチンを含有させた錠剤が開示されている。
また、特許文献2には、サキサグリプチンとヒドロキシプロピルセルロースなどのポリマーとを溶媒に溶解し、pHを調整していない状態のpHより高く且つ4.0未満に調整して溶液を調製し、溶液を乾燥させて粉末とすることにより、サキサグリプチンの安定化を図る方法が開示されている。
特許第4901727号公報 特開2020-196705号公報
しかしながら、特許文献1記載の第2フィルムコーティング層中にサキサグリプチンを含有させた錠剤は、サキサグリプチンを含有させるフィルムコーティング層以外にインナーシールコーティング層を必要とし、製造工程が複雑になり、製造効率が良好とは言えない。また、特許文献2では、安定なサキサグリプチン含有粉末が得られているが、この粉末を錠剤化した場合の安定性については全く記載されていない。
従って、本発明の課題は、製造工程が複雑でなく、サキサグリプチンを安定に維持するサキサグリプチン含有錠剤を提供することにある。
そこで本発明者は、種々の製剤添加物を配合した素錠を作成し、アンダーコート層を設けず、サキサグリプチンをフィルムコート層に含有させた錠剤を製造し、その安定性を評価してきたところ、素錠中に結晶セルロースという汎用の賦形剤を含有させると、サキサグリプチンが分解し、素錠中にマンニトール及び/又は乳糖を含有させるとサキサグリプチンは安定に維持されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の発明[1]~[4]を提供するものである。
[1]マンニトール及び/又は乳糖を含有し、結晶セルロースを含まない素錠のフィルムコート錠であって、アンダーコート層を有さず、フィルム部にサキサグリプチンを含有するフィルムコート錠。
[2]素錠中にクロスカルメロース又はその塩を含まない[1]記載のフィルムコート錠。
[3]素錠中に崩壊剤及び滑沢剤を含まない[1]又は[2]記載のフィルムコート錠。
[4]素錠が、湿製素錠である[1]~[3]のいずれかに記載のフィルムコート錠。
本発明のフィルムコート錠は、フィルムコート層が一層であるにもかかわらずサキサグリプチンが安定に維持されるため、製造工程が複雑にならない。
本発明のフィルムコート錠は、マンニトール及び/又は乳糖を含有し結晶セルロースを含まない素錠のフィルムコート錠であって、アンダーコート層を有さず、フィルム部にサキサグリプチンを含有することを特徴とする。
本発明の医薬の有効成分はサキサグリプチンである。サキサグリプチンは、化学名(1S,3S,5S)-2-[(2S)-2-アミノ-2-(3-ヒドロキシトリシクロ[3.3.1.13,7]デシ-1-イル)アセチル]-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボニトリルであり、水和物として用いるのが好ましい。
サキサグリプチンは、DPP-4活性を阻害することにより活性型GLP-1の血中濃度を上昇させ、インスリン分泌促進作用を介して血糖低下作用を発揮するので、本発明の医薬は2型糖尿病治療剤として用いられる。
本発明のフィルムコート錠は、アンダーコート層を有さず、サキサグリプチンをフィルム部に含有する。
サキサグリプチンを含有させるフィルムコート層を形成するフィルムコーティング剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、メタクリル酸系ポリマー、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。このうち、ポリビニルアルコールがより好ましい。
フィルムコート層には、トリアセチン、フタル酸ジエチル、セバシン酸トリブチル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチルなどの可塑剤、タルク、ヒュームドシリカ、ステアリン酸マグネシウムなどの流動化剤、二酸化チタン、酸化鉄などの着色剤を含有してもよい。
フィルムコート層中のサキサグリプチン含有量は、サキサグリプチンの安定性維持の観点から、3.0~50.0質量%が好ましく、5.0~40.0質量%がより好ましく、10.0~30.0 質量%がさらに好ましい。
また、本発明のフィルムコート錠中のサキサグリプチン含有量は、サキサグリプチンの安定性維持の観点から、0.5~15.0質量%が好ましく、1.0~10.0質量%がより好ましく、1.0~5.0質量%がさらに好ましい。
サキサグリプチンを含有するフィルムコート層の形成は、例えばサキサグリプチンを含有するpH1~3の水溶液又は含水有機溶媒溶液とフィルムコーティング剤を混合し、得られたコーティング液を用いて素錠の表面をコーティングすることにより行うのが好ましい。ここで、pH調整には、塩酸、水酸化ナトリウムなどが用いられる。また、含水有機溶媒としては含水エタノールが挙げられる。
本発明のフィルムコート錠は、サキサグリプチン含有フィルムコート層以外にアンダーコート層を含有しないから、素錠(湿製錠を含む)の表面に、サキサグリプチン含有フィルムコート層を形成すればよい。
本発明のフィルムコート錠の素錠は、マンニトール及び/又は乳糖を含有し、汎用の賦形剤である結晶セルロースを含まない。素錠中に結晶セルロースを含有すると、フィルムコート層中のサキサグリプチンの安定性が損なわれる。本発明のフィルムコート錠の素錠には、マンニトール、乳糖、又はマンニトールと乳糖の組み合わせが含まれるが、マンニトールを含む場合がより好ましい。
本発明のフィルムコート錠中のマンニトール及び/又は乳糖の含有量は、フィルムコート層中サキサグリプチンの安定性維持の観点から、20.0~99.5質量%が好ましく、50.0~99.5質量%がより好ましく、70.0~99.5質量%がさらに好ましい。
素錠中には、マンニトール及び乳糖以外に、結晶セルロース以外の賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、矯味剤、着色剤、香料等が含まれる。
ここでマンニトール、乳糖及び結晶セルロース以外の賦形剤としては、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、無水リン酸二水素カルシウム、トウモロコシデンプンが挙げられる。
また、崩壊剤としては、クロスカルメロース又はその塩、部分α化でんぷん、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム等が挙げられる。これらの崩壊剤のうち、クロスカルメロース又はその塩は、サキサグリプチンの安定性維持の観点から含有しないのが好ましい。
素錠中の崩壊剤の含有量は、サキサグリプチンの安定性維持の点から、0~10.0質量%が好ましく、0~7.0質量%がより好ましく、0~5.0質量%がさらに好ましく、含有しないのが好ましい。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウムなどが挙げられ、このうち、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウムが好ましい。
素錠中の滑沢剤の含有量は、サキサグリプチンの安定性維持の点から、0~5.0質量%が好ましく、0~3.0質量%がより好ましく、0~1.0質量%がさらに好ましく、含有しないのが好ましい。
結合剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、ポリビニルアルコール-アクリル酸-メタクリル酸メチル共重合体、デンプングリコール酸ナトリウム及びヒドロキシエチルセルロースから選ばれる1種以上が好ましく、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーから選ばれる1種以上がより好ましい。
これらの結合剤は、本発明のフィルムコート錠中に0質量%~5質量%含有するのが好ましく、0質量%~3質量%含有するのがより好ましく、0質量%~2質量%含有するのが更に好ましい。
本発明においては、素錠は湿製素錠であるのが、サキサグリプチンの安定性維持の点から好ましい。
ここで、湿製錠剤とは、第17改正日本薬局方に薬品を含む湿潤した練合物を一定の型にはめ込んで成形した後、乾燥して製される錠剤と定義されており、通常、有効成分又は有効成分を含む主薬顆粒と賦形剤との混合物に、結合剤を溶解した水又は含水有機溶媒を加えて練合して練合物を得、当該練合物を低圧で圧縮成形し、乾燥して得られる錠剤;あるいは有効成分又は有効成分と結合剤を溶解した水又は含水有機溶媒の溶液に賦形剤を加えて練合して練合物を得、当該練合物を低圧で圧縮成形し、乾燥して得られる錠剤である。ただし、本発明では、湿製素錠中には、有効成分であるサキサグリプチンを含まず、マンニトールを含有し、結晶セルロースを含まない。また、湿製素錠の打錠圧は、50N~350Nが好ましい。
本発明のフィルムコーティング錠は、例えば、マンニトール及び/又は乳糖を含有し、結晶セルロースを含まない素錠を製造し、次いで素錠の表面にサキサグリプチンを含有するフィルムコーティング層を形成させることにより製造される。
素錠の製造法としては、通常の圧縮打錠法又は前記湿式打錠法が挙げられる。
次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
比較例1
乳糖水和物(Super Tab 30GR、DFE pharma製)1485g、結晶セルロース1350g(セオラスUF-711、旭化成製)、クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol、FMC製)150gを袋の中で混合した。次に、打錠末全体に対して0.5%量のステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム-S、日油製)を添加して混合後、小型高速起点式打錠機(菊水製作所製VIRGO)で圧縮成形し、200mgプラセボ錠剤を得た。
次に6M 塩酸(富士フィルム和光純薬製)を希釈して調整した0.1N 塩酸 (約600g)にサキサグリプチン水和物(三洋化学研究所製)7.94gを添加して混合させた後、6M 水酸化ナトリウム溶液(キシダ化学製)でpH2に調整する。その後コーティング剤(OPADRY II WHITE、カラコン製)60gを添加し6M塩酸(富士フィルム和光純薬製)でpH2に調整する。錠剤コーティング装置HC-Labo(フロイント産業製)にプラセボ錠剤約300gを投入し、pHを調整した液を添加してフィルムコーティングを行い、フィルム層にサキサグリプチンを含有する錠剤を得た。
比較例2
乳糖水和物(Super Tab 30GR、DFE pharma製)1485g、結晶セルロース1350g(セオラスUF-711、旭化成製)、クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol、FMC製)150gを袋の中で混合した。次に、打錠末全体に対して0.5%量の混合物にステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム-S、日油製)を添加して混合後、小型高速起点式打錠機(菊水製作所製VIRGO)で圧縮成形し、200mgプラセボ錠剤を得た。6M塩酸(富士フィルム和光純薬製)を希釈して調整した0.1N 塩酸(約340g)にコーティング剤(OPADRY II WHITE、カラコン製)60gを混合し、6M塩酸(富士フィルム和光純薬製)及び6M 水酸化ナトリウム溶液(キシダ化学製)でpH2にpHを調整する。錠剤コーティング装置HC-Labo(フロイント産業製)にプラセボ錠剤約300gを投入し、pHを調整した液を添加してフィルムコーティングを行い、インナーシール層をプラセボ錠剤にコートした。
次に6M 塩酸(富士フィルム和光純薬製)を希釈して調整した0.1N 塩酸(約600g)にサキサグリプチン水和物(三洋化学研究所製)7.94gを添加して混合させた後、6M水酸化ナトリウム溶液(キシダ化学製)でpH2に調整する。その後コーティング剤(OPADRY II WHITE、カラコン製)60gを添加し 6M塩酸(富士フィルム和光純薬製)でpH2に調整する。錠剤コーティング装置HC-Labo(フロイント産業製)にインナーシール層をコートしたプラセボ錠剤約300gを投入し、pHを調整した液を添加してフィルムコーティングを行い、第1層にインナーシール層、第2層にサキサグリプチンを含有する層を有する錠剤を得た。
比較例3
乳糖水和物(Super Tab 30GR、DFE pharma製)594g、結晶セルロース540g(セオラスUF-711、旭化成製)、クロスカルメロースナトリウム(プリメロース、DFE pharma製)60gを袋の中で混合した。次に、打錠末全体に対して0.5%量のステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム-S、日油製)を添加して混合後、小型高速起点式打錠機(菊水製作所製VIRGO)で圧縮成形し、200mgプラセボ錠剤を得た。
次に6M塩酸(富士フィルム和光純薬製)を希釈して調整した0.1N 塩酸(約600g)にサキサグリプチン水和物(三洋化学研究所製)7.94gを添加して混合させた後、6M 水酸化ナトリウム溶液(キシダ化学製)でpH2に調整する。その後コーティング剤(OPADRY II WHITE、カラコン製)60gを添加し6M塩酸(富士フィルム和光純薬製)でpH2に調整する。錠剤コーティング装置HC-Labo(フロイント産業製)にプラセボ錠剤約300gを投入し、pHを調整した液を添加してフィルムコーティングを行い、フィルム層にサキサグリプチンを含有する錠剤を得た。
比較例4
比較例3のステアリン酸マグネシウムを2.0%に、乳糖水和物を576gに変更したこと以外は比較例3と同様に製造し、フィルム層にサキサグリプチンを含有する錠剤を得た。
比較例5
比較例4の乳糖水和物(Super Tab 30GR、DFE pharma製)をSuperTab 21AN(無水乳糖)に変更したこと以外は同様に製造し、フィルム層にサキサグリプチンを含有する錠剤を得た。
比較例6
比較例4の乳糖水和物(Super Tab 30GR、DFE pharma製)をD-マンニトール(グラニュトールR)に変更したこと以外は同様に製造し、フィルム層にサキサグリプチンを含有する錠剤を得た。
実施例1
比較例6の結晶セルロース540g(セオラスUF-711、旭化成製)をD-マンニトール(グラニュトールR、フロイント産業製)に変更したこと以外は同様に製造し、フィルム層にサキサグリプチンを含有する錠剤を得た。
実施例2
実施例1のクロスカルメロースナトリウム(プリメロース、DFE pharma製)を部分α化デンプン(PCS、旭化成製)に変更したこと以外は同様に製造し、フィルム層にサキサグリプチンを含有する錠剤を得た。
実施例3
実施例1のクロスカルメロースナトリウム(プリメロース、DFE pharma製)をクロスポビドン(コリドンCL-F、BASF製)に変更したこと以外は同様に製造し、フィルム層にサキサグリプチンを含有する錠剤を得た。
実施例4
実施例1のクロスカルメロースナトリウム(プリメロース、DFE pharma製)をクロスポビドン(ポリプラスドンUltra-10、Ashland製)に変更したこと以外は同様に製造し、フィルム層にサキサグリプチンを含有する錠剤を得た。
実施例5
実施例1のクロスカルメロースナトリウム(プリメロース、DFE pharma製)を低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(LH21、信越化学工業製)に変更したこと以外は同様に製造し、フィルム層にサキサグリプチンを含有する錠剤を得た。
実施例6
実施例5のステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム-S、日油製)をフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV、FMC製)に変更したこと以外は同様に製造し、フィルム層にサキサグリプチンを含有する錠剤を得た。
実施例7
精製水67.2g、無水エタノール(エタノール(99.5)、富士フィルム和光純薬製)28.8gにポリビニルアルコール(ゴーセノールEG-03P、日本合成化学工業製)4.8gを溶解させた液を練合液とした。
D-マンニトール(マンニットP、三菱商事ライフサイエンス製)955.2gを攪拌造粒(VG-05、パウレック製)に投入し、練合液を加えて練合し、湿式打錠用の打錠用粉体を得た。
この粉体を湿式打錠機 ( EMT-18、三共製作所製)で打錠圧150Nの条件下で圧縮成形し、ベルトコンベア式乾燥機(ETD-18、三共製作所製)を用いて、85℃の温度で約5分間乾燥し、プラセボ錠剤(=湿製素錠)を得た。
次に6M塩酸(富士フィルム和光純薬製)を希釈して調整した0.1N塩酸(約600g)にサキサグリプチン水和物(三洋化学研究所製)7.94gを添加して混合させた後、6M水酸化ナトリウム溶液(キシダ化学製)でpH2に調整する。その後コーティング剤(OPADRY II WHITE、カラコン製)60gを添加し 6M塩酸(富士フィルム和光純薬製)でpH2に調整する。錠剤コーティング装置HC-Labo(フロイント産業製)にプラセボ錠剤約300gを投入し、pHを調整した液を添加してフィルムコーティングを行い、フィルム層にサキサグリプチンを含有する錠剤を得た。
(分析方法)
フィルムコート錠を、アルミ袋に入れてヒートシールをして、40℃、75%RH条件下に2週間保存した。保存前及び保存後に、液体クロマトグラフィーでサイクリックアミジン量を測定した。
液体クロマトグラフィーによる測定条件を以下に示す。
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:210nm)
カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 粒径1.7μm 2.1mm×100mm
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相A:Buffer/アセトニトリル混液(90:10)
移動相B:Buffer/アセトニトリル混液(60:40)
Buffer:リン酸二水素カリウム2.72gに1000mL水を加え、リン酸を用いてpH4.0に調整する。
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を、下記の表1に示すように制御した。
流量:0.3mL/min
Figure 2022135147000001
比較例1~6及び実施例1~6の素錠の処方を表2に示す。
Figure 2022135147000002

Figure 2022135147000003
Figure 2022135147000004
Figure 2022135147000005
実施例7の湿製錠については、フィルムコート錠を、アルミ袋に入れて開封状態で、40℃、75%RH条件下に2週間保存し、液体クロマトグラフィーでサイクリックアミジン量を測定した。
その結果、実施例7の湿製錠については、開放系保存においても、サイクリックアミジン量が0.05%であり、特に安定性に優れていることが判明した。

Claims (4)

  1. マンニトール及び/又は乳糖を含有し、結晶セルロースを含まない素錠のフィルムコート錠であって、アンダーコート層を有さず、フィルム部にサキサグリプチンを含有するフィルムコート錠。
  2. 素錠中にクロスカルメロース又はその塩を含まない請求項1記載のフィルムコート錠。
  3. 素錠中に崩壊剤及び滑沢剤を含まない請求項1又は2記載のフィルムコート錠。
  4. 素錠が、湿製素錠である請求項1~3のいずれか1項記載のフィルムコート錠。
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