JP2022155326A - チョコレート - Google Patents
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Abstract
Description
によってブルームが発生する。従って、結晶多形現象を有するテンパリング型油脂、特にココアバターの含有量が多いと、ブルームの程度が悪化する。
[1]テンパリング型チョコレートであって、油脂、下記乳化剤A及び下記乳化剤Bを含有する、チョコレート。
乳化剤A:ポリグリセリン脂肪酸エステル
乳化剤B:構成脂肪酸として、不飽和脂肪酸を5%以上含むショ糖脂肪酸エステル
[2]前記乳化剤Bが、構成脂肪酸として、炭素数16~18の飽和脂肪酸及び炭素数16~18の不飽和脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも1種類の脂肪酸を含むショ糖脂肪酸エステルである、[1]に記載のチョコレート。
[3]チョコレート中の前記乳化剤Aの含有量が0.01~3.0質量%であり、前記乳化剤Bの含有量が0.01~3.0質量%であり、かつ、前記乳化剤A及び前記乳化剤Bの総含有量が5.0質量%以下である、[1]又は[2]に記載のチョコレート。
[4]前記油脂を構成するトリグリセリド全量に対するStUSt型のトリグリセリド(St:C16~18の飽和脂肪酸、U:C16~18の不飽和脂肪酸)の含有量が26質量%以上である、[1]~[3]のいずれかに記載のチョコレート。
[5]前記油脂を構成するトリグリセリドの全構成脂肪酸全量に対するラウリン酸のモル分率が38%以下である、[1]~[4]のいずれかに記載のチョコレート。
[6]チョコレート中のカカオ分の含有量が60質量%以上である、[1]~[5]のいずれかに記載のチョコレート。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味し、「A~B」は、A以上、B以下であることを意味する。
また、本明細書において、「複数」とは、2以上であることを表す。
本発明の一実施形態であるチョコレート(単に「チョコレート」とも称する)は、テンパリング型チョコレートであって、油脂、下記乳化剤A及び下記乳化剤Bを含有する、チョコレートである。
乳化剤A:ポリグリセリン脂肪酸エステル
乳化剤B:構成脂肪酸として、不飽和脂肪酸を5%以上含むショ糖脂肪酸エステル
テンパリング型とは、ココアバターを含む油脂の主要なトリグリセリドの組成が2-不飽和-1,3ジ飽和トリグリセリドからなり、製造工程においてテンパリング操作が必要となるものである。該テンパリング操作とは、コンチング終了後のチョコレート生地を、攪拌あるいはかき取りしながら連続的に冷却する過程において、27℃~29℃の温度まで冷却した後、30℃~33℃へ一旦昇温させた後、再度冷却しながら所定の温度に調節し、溶融状態のチョコレート生地に安定結晶の結晶核を生じさせる操作のことである。ま
た、この操作はシード剤を用い、温度操作を簡略化させることができる。
乳化剤Aであるポリグリセリン脂肪酸エステルは、高親水性から油溶性まで幅広い性質及び機能を付与することができ、また、耐酸性及び耐塩性に優れる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるポリグリセリドの平均重合度は、特段制限されないが、フレキシブルかつ三次元ネットワーク形成上の観点から、通常2以上であり、3以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましく、また、通常20以下であり、16以下であることが好ましく、14以下であることがより好ましく、12以下であることがさらに好ましく、10以下であることが特に好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルの平均重合度とは、ポリグリセリン1モル当たりのグリセリン骨格の繰り返し単位数の平均値である。
あることがさらに好ましく、また、通常50%以下であり、45%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、35%以下であることがさらに好ましい。
ベヘン酸が主体の乳化剤Aについては、乳化剤Aを構成するポリグリセリン脂肪酸エステルの全構成脂肪酸全量に対するベヘン酸のモル分率は、特段制限されず、通常70%以上であり、75%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましく、また、通常100%以下であり、99%以下であることが好ましく、95%以下であることがより好ましく、90%以下であることがさらに好ましい。
乳化剤Aは、1種類を単独で用いても、2種類以上を任意の種類及び割合で併用してもよい。
上記のHLBは、親水基部分の分子量を乳化剤の総分子量で除した値に20を乗じることで算出することができる。
乳化剤Bである、構成脂肪酸として、不飽和脂肪酸を5%以上含むショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖が有する8個の水酸基を任意の数の脂肪酸で縮合し、高親水性から油溶性まで幅広い性質及び機能を付与することができる。
ショ糖脂肪酸エステルにおいて、構成脂肪酸(ショ糖に縮合される脂肪酸)(単に「脂肪酸」とも称する)の種類は、特段制限されず、複数存在する脂肪酸は全て同じ種類であっても、異なっていてもよく、また、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸とを含むものであっても、不飽和脂肪酸のみを含むものであってもよい。
ショ糖に縮合される脂肪酸の炭素数は、特段制限されないが、ココアバターとの相溶性向上によるブルーム抑制の観点から、通常6以上であり、8以上であることが好ましく、12以上であることがより好ましく、14以上であることがさらに好ましく、また、通常30以下であり、24以下であることが好ましく、22以下であることがより好ましく、20以下であることがさらに好ましい。
また、ショ糖に縮合される脂肪酸について、炭素数16~18の飽和脂肪酸及び炭素数16~18の不飽和脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも1種類の脂肪酸を含むことが好ましい。ショ糖に縮合される脂肪酸について、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸を含むこ
とにより、ブルームの要因となり得るココアバターの脂肪酸に比較的類似するためココアバター結晶との親和性が高く、このためにココアバター結晶の立体構造変化を抑制し、多形転移に伴うブルーム現象を抑制することができることから、特に、飽和脂肪酸であるパルミチン酸とステアリン酸のうち少なくとも1種類以上を含み、及び不飽和脂肪酸であるオレイン酸を含むことがより好ましく、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸をいずれも含むことがさらに好ましい。
乳化剤Bを構成するショ糖脂肪酸エステルの全構成脂肪酸全量に対するステアリン酸のモル分率は、特段制限されず、通常5%以上であり、10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましく、20%以上であることがさらに好ましく、また、通常60%以下であり、50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、35%以下であることがさらに好ましい。
乳化剤Bを構成するショ糖脂肪酸エステルの全構成脂肪酸全量に対するオレイン酸のモル分率は、特段制限されず、通常5%以上であり、10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましく、また、通常80%以下であり、70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、55%以下であることがさらに好ましい。
また、乳化剤Bは、1種類を単独で用いても、2種類以上を任意の種類及び割合で併用してもよい。
上記のHLBは、上述の乳化剤Aにおける測定方法と同様の方法で算出することができる。
チョコレート中において、乳化剤Bの含有量に対する乳化剤Aの含有量の比率(乳化剤A/乳化剤B)は、質量比で、通常0.05以上であり、0.1以上であることが好ましく、0.25以上であることがより好ましく、0.3以上であることがさらに好ましく、0.5以上であることが特に好ましく、通常10.0以下であり、6.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、2.0以下であることがさらに好ましく、1.0以下であることが特に好ましい。
チョコレートは、上記の乳化剤A及び乳化剤B以外の任意の公知の乳化剤(その他の乳化剤)を含んでいてもよい。その他の乳化剤としては、例えば、レシチン、リゾレシチン、酵素分解レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリソルベート等が挙げられる。上記の「グリセリン脂肪酸エステル」は、グリセリンモノ脂肪酸エステル及びグリセリンジ脂肪酸エステルの総称を表し、上記の「有機酸グリセリン脂肪酸エステル」は、有機酸グリセリンモノ脂肪酸エステル及び有機酸グリセリンジ脂肪酸エステルの総称を表す。
チョコレート中の乳化剤の総含有量(乳化剤A、乳化剤B、及びその他の乳化剤の合計含有量)は、特段制限されないが、乳化剤独特の風味が生じにくく、チョコレートの口どけに影響しないことから、通常0.05質量%以上であり、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.4質量%以上であることがさらに好ましく、0.5質量%以上であることが特に好ましく、また、通常6.0質量%以下であり、4.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以下であることがさらに好ましい。
テンパリング型チョコレートに含まれる油脂は、特段制限されないが、通常、ココアバター及び又はテンパリング型ハードバター(ココアバター以外の植物油脂)、乳脂などが含まれる。テンパリング型ハードバターは、トランス型脂肪酸を主成分とする、又はラウリン酸を主成分とする非テンパリング型ハードバターよりも、ココアバターとの相溶性に優れるため、ココアバターと任意の配合が可能である。非テンパリング型ハードバターだとココアバターの相溶性の観点から、チョコレートに含まれる油脂100質量%に対して、トランス型脂肪酸タイプではココアバター15~25質量%程度の配合、ラウリン酸タイプではココアバター3~5質量%程度の配合が通常であり、これらの範囲の上限を超えて配合することは難しい。
チョコレート中の油脂の含有量は、特段制限されないが、チョコレート特有の口溶けやスナップ性を付与することから、通常18質量%以上であり、20質量%以上であること
が好ましく、28質量%以上であることがより好ましく、33質量%以上であることがさらに好ましい。また、チョコレートの固さを保ち、油脂特有の風味を生じないことから通常60質量%以下であり、55質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、45質量%以下であることがさらに好ましい。
また、本発明において、油脂を構成するトリグリセリド全量に対する2-不飽和-1,3ジ飽和トリグリセリドの含有量(特に、StUSt型(St:C16~18の飽和脂肪酸、U:C16~18の不飽和脂肪酸)のトリグリセリドの含有量)は、特段制限されないが、良好なテンパリング操作を付与する観点から、通常26質量%以上であり、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましく、70質量%以上であることが特に好ましく、また、通常100質量%以下であり、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、88質量%以下であることがさらに好ましい。
また、本実施形態に係るテンパリング型チョコレートには、ココアバター及びテンパリング型ハードバターから成るテンパリング型油脂が主に用いられ、チョコレート中のテンパリング型油脂の含有量は、チョコレート特有の口溶けやスナップ性、良好な風味の付与の観点から、通常18質量%以上であり、20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、28質量%以上であることがさらに好ましい。また、チョコレートの固さを保ち、油脂特有の風味を生じないことから、通常60質量%以下であり、55質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、45質量%以下であることがさらに好ましい。
環境温度10℃における油脂中の固体脂含量は、通常55質量%以上、99質量%以下であり、60質量%以上、98質量%以下であることが好ましく、65質量%以上、97質量%以下であることがより好ましい。
環境温度20℃における油脂中の固体脂含量は、通常40質量%以上、98質量%以下であり、50質量%以上、97質量%以下であることが好ましく、55質量%以上、95質量%以下であることがより好ましい。
環境温度30℃における油脂中の固体脂含量は、通常1質量%以上、70質量%以下であり、30質量%以上、68質量%以下であることが好ましく、40質量%以上、65質量%以下であることがより好ましい。
なお、油脂の固体脂含量は、社団法人日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の「2.2.9-2013 固体脂含量(NMR法)」に準じて測定することができる。
チョコレートには、上述の通り、通常ココアバターが含有されるが、その態様は特段制限されず、公知のものを用いることができカカオマスやココアパウダー等の含油原料由来としてチョコレート中に含まれるものと、後添加されるものがある。
%以下であることがさらに好ましい。ココアバターは結晶多形を有し、テンパリング直後にはチョコレートにおける最適な安定型結晶(V型)の結晶多形を保つものの、テンパリ
ング不良や長期の保管中にV型が保てなくなることによってブルームが発生する。従って
、結晶多形現象を有するテンパリング型油脂、特にココアバターの含有量が多いと、ブルームが発生しやすくなる課題がある。
また、ココアバターは、1種類を単独で用いても、2種類以上を任意の種類及び割合で併用してもよい。
チョコレートは、ココアバター以外のハードバターを含んでいてもよく、その態様は特段制限されないものの、本実施形態に係るチョコレートはテンパリング型であるため、ココアバターとの相溶性の観点から、テンパリング型ハードバターであることが好ましい。
このテンパリング型ハードバターに含まれるトリグリセリドは、少なくともStStSt型、StUSt型、StStU型、StUU型、又はUUU型の何れかを含み、特に、StUSt型のトリグリセリドを多く含むことが好ましい。
トリグリセリドを多く含む油脂としては、具体的には、シア脂、パーム油、サル脂、ボルネオタロー、マンゴ脂、モーラー脂、コクム脂、パームオレイン、大豆油、米ぬか油、米油、綿実油、コーン油、ナタネ油、パーム核油、ヤシ油、イリッペ脂、菜種油、サフラワー油、ひまわり油、ゴマ油、オリーブ油、乳脂等や、これらの加工油脂(硬化油、水素添加油、分別油、エステル交換油)等が挙げられ、これらのうち、StUSt型のトリグリセリド成分に富む油脂としては、パーム油、イリッペ脂、シア脂、又はこれらの加工油脂等が挙げられる。
このテンパリング型ハードバターは、ココアバターと同様に結晶多形を有し、テンパリング直後にはチョコレートにおける良好なV型の結晶多形を保つものの、テンパリング不
良や長期の保管中にV型が保てなくなることによってブルームが発生する。従って、結晶
多形現象を有するテンパリング型油脂であるテンパリング型ハードバターの含有量が多いと、ブルームが発生しやすくなる。
また、ココアバター以外のテンパリング型ハードバターは、1種類を単独で用いても、2種類以上を任意の種類及び割合で併用してもよい。
チョコレートは、本発明の効果が得られる範囲で、上記のココアバター及びハードバター以外の油脂(その他の油脂)を含有もしくは置き換えしてもよい。例えば、無水乳脂、全脂粉乳、バターオイル、乳脂の分画油などの加工油脂、非カカオ植物性油脂として、中鎖脂肪酸等の低カロリー油脂、ナッツオイル、バニラオイル等のフレーバーオイル等が挙げられる。
また、後述するテンパリング操作の簡略化のための油脂から構成されるシード剤を含有してもよい。
ることがさらに好ましい。
チョコレートは、上記の各成分以外の成分(その他の成分)を任意に含有してもよく、例えば、ココアバター以外のカカオ分(カカオマス、カカオニブ、ココアケーキ、ココアパウダー)、糖類、乳固形分等の各種粉末食品、香料、色素、食物繊維、ポリフェノール類、栄養素、機能性成分等の成分が挙げられる。これらの各成分は、公知のものを任意に用いることができる。
チョコレート中のカカオ分の含有量は、特段制限されないが、チョコレート特有の風味の観点から、通常20質量%以上であり、30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。また、高すぎるとカカオ成分の苦味が顕著になるため、通常99質量%以下であり、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましい。
近年、健康志向、及び本物志向の消費者ニーズに適したカカオ分を多く含むハイカカオチョコレートが人気であるが、チョコレート中にカカオ分を通常60質量%以上含有し、好ましくは65質量%以上含有し、より好ましくは68質量%以上含有し、さらに好ましくは70質量%以上含有する。しかし、カカオ分であるカカオマスやココアパウダーを多く含むとチョコレート中のココアバター含量が増加し、スイートタイプやミルクタイプに比べ油脂総量が多くなるため、必然的にブルームが発生しやすくなる課題がある。
(ブルーム評価)
チョコレートを用いて、32℃と20℃の環境下に交互に静置し(各温度の保持時間を11時間とし、次の温度に達するまでの時間を1時間とし、24時間で1サイクルするように静置した)、チョコレート成形体表面にブルームが発生した日数をカウントする。ブルームの発生の有無は、チョコレート表面の白色化の程度を目視で判断する。なお、測定対象であるチョコレートは、作製後に必要な期間エージングを取り終え、上記サイクル温度条件下に処した時点を評価開始時点とすることが好ましい。
上記評価によるチョコレートのブルーム発生の日数は、7日以上であることが好ましく、15日以上であることがより好ましく、17日以上であることがさらに好ましい。
上記のチョコレートの製造方法は、特段制限されず、公知の方法により製造することができる。以下にその一例を示すが、この例の方法に限定されない。
上記のミキシング工程で得られた原料混合物を微粉砕して微粉砕混合物を得る(リファイニング工程)。微粉砕する方法は特段制限されず、例えば、リファイニングロール等の装置を用いて行うことができる。
上記のリファイニング工程で得られた微粉砕混合物において、ココアバターを均一に分散させてコンチング処理を施し分散混合物を得ることができる(コンチング工程)。コンチングを行うことにより、チョコレートを滑らかにしたり、摩擦熱及びその放出によりチョコレートの風味を出したりすることができる。コンチングを行う方法は特段制限されず、コンチェ等の装置を用いて行うことができる。なお、上述したように、本工程において、乳化剤及び香料を添加してもよい。
また、リファイニング工程の粉砕機能とコンチング工程のコンチング機能を兼ね備えた装置であるメランジャーやリファイナーコンチェなどの装置を用いて製造することもできる。
、煩雑な温度操作を簡略化することも可能である。シード剤の融点以下の温度で融解したチョコレートに対し、シード剤を添加し分散させた後冷却することで、シード剤が結晶核となり、直接ココアバターのV型結晶を析出させることができる。
この処理はテンパリング型ハードバターを含むチョコレート、及びテンパリング型油脂の機能を損なわない程度に非テンパリング型ハードバターを含むチョコレートに対しても有効である。
また、成形工程において、又は該工程の前後においては、チョコレートの型抜き工程、検査工程、梱包工程、熟成工程を設けてもよい。
また、本実施例における「質量部」は、特段の断りがない限り、後述する基本配合原料の合計含有量を100質量部とした場合の割合を表す。
<チョコレート組成物の作製>
(実施例1)
下記の表1に示す材料及び配合で基本配合原料を準備し、該基本配合原料に、下記の各乳化剤を加えて溶融混合し、チョコレート組成物1を得た。
乳化剤A:ポリグリセリンベヘン酸エステル(三菱ケミカルフーズ(株)製のリョートーポリグリエステル B-70D、HLB=4、結合脂肪酸純度:ベヘン酸約88%)
乳化剤B:ショ糖混合脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ(株)製のリョートーシュガーエステル POS-135、HLB=1、結合脂肪酸純度:パルミチン酸約29%、ステアリン酸約23%、オレイン酸約40%)
レシチン:大豆レシチン(辻製油(株)製のSLP-ペースト)
乳化剤の含有量については、基本配合原料の合計含有量100質量部に対して、乳化剤Aを0.25質量部、乳化剤Bを0.25質量部、レシチンを0.1質量部となるようにした。
また、下記の表1において、カカオマスには日新化工(株)社製のNKクイックカカオマス、砂糖には(株)富澤商店社製の純粉砂糖、ココアバターには日新化工(株)社製のNKガーナココアバターを用いた。このチョコレート組成物は、基本配合原料の合計含有量100質量%に対して、カカオ分は70%、油脂含量は41.2%であった。チョコレート中の油脂中の固体脂含量は、10℃で92%、20℃で82%、30℃で53%であった。また、油脂を構成するトリグリセリド全量に対するStUSt型のトリグリセリドの含有量は、文献値より76.8%で、油脂を構成するトリグリセリドの全構成脂肪酸全量に対し、ラウリン酸量は文献値より1%以下であった。
乳化剤Aについて、ポリグリセリンベヘン酸エステルから、ポリグリステアリン酸エステル(三菱ケミカルフーズ(株)製のリョートーポリグリエステル S-28D、HLB=9、結合脂肪酸純度:ステアリン酸約70%、パルミチン酸約30%)に変更したこと以外は、上記の実施例1におけるチョコレート組成物1の製造方法と同様の製造方法を適用し、チョコレート組成物2を得た。
乳化剤A及び乳化剤Bを加えなかったこと以外は、上記の実施例1におけるチョコレート組成物1の製造方法と同様の製造方法を適用し、チョコレート組成物3を得た。
乳化剤Aを加えなかったこと、及び乳化剤Bの含有量を0.25質量部から0.5質量部に変更したこと以外は、上記の実施例1におけるチョコレート組成物1の製造方法と同様の製造方法を適用し、チョコレート組成物4を得た。
乳化剤Aの含有量を0.25質量部から0.5質量部に変更したこと、及び乳化剤Bを加えなかったこと以外は、上記の実施例1におけるチョコレート組成物1の製造方法と同様の製造方法を適用し、チョコレート組成物5を得た。
乳化剤Aについて、ポリグリセリンベヘン酸エステルから、ソルビタントリステアリン酸エステル(ソルビタントリステアレート)(花王(株)製のエマゾール S-30V、HLB=2.1)に変更したこと以外は、上記の実施例1におけるチョコレート組成物1の製造方法と同様の製造方法を適用し、チョコレート組成物6を得た。
乳化剤Bについて、ショ糖混合脂肪酸エステルから、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(阪本薬品工業(株)製のSYグリスター CRS-75、HLB=3.3)に変更したこと以外は、上記の実施例1におけるチョコレート組成物1の製造方法と同様の製造方法を適用し、チョコレート組成物7を得た。
上記のチョコレート組成物1を50℃以上に加温した後、31℃までチョコレート組成物を冷却し、シード剤「NKクイックテンパ」(日新化工株式会社製)0.1%を加えた後、数分間よく攪拌して、品温が27~28℃℃になるまで冷却させた後、品温が30~32℃になるまで再加熱することによりテンパリングし、直ちにモールドに流し入れてエア抜きしたものを冷蔵30分で固化させ、モールドから取り出してチョコレート成形体1(直径35ミリ、高さ7ミリの正円型、約7g/個)を得た。上記のチョコレート組成物2~7に対しても同様の方法を適用し、チョコレート成形体2~7を得た。
上記の各チョコレート成形体について、20℃で4日以上静置したチョコレートを、32℃と20℃の環境下に交互に静置し(各温度の保持時間を11時間とし、次の温度に達するまでの時間を1時間とし、24時間で1サイクルするように静置した)、チョコレート成形体表面の様子を、以下のブルーム評価基準で所定の期間目視評価した。チョコレート成形体表面に評価基準+以上のブルームが発生した日数をブルーム発生日数としてカウントした。
<ブルーム評価基準>
-:全個体に、発生せず
±:一部の個体に、表面一部にわずかに発生
+:全個体に、表面全体的に発生
++:全個体に、表面全体的に激しく発生
[チョコレート組成物の作製]
(実施例3)
乳化剤Aの含有量を0.25質量部から0.15質量部に変更したこと以外は、上記の実施例1におけるチョコレート組成物1の製造方法と同様の製造方法を適用し、チョコレート組成物8を得た。
乳化剤Aの含有量を0.25質量部から0.10質量部に変更したこと以外は、上記の実施例1におけるチョコレート組成物1の製造方法と同様の製造方法を適用し、チョコレート組成物9を得た。
乳化剤Aの含有量を0.25質量部から0.05質量部に変更したこと以外は、上記の実施例1におけるチョコレート組成物1の製造方法と同様の製造方法を適用し、チョコレート組成物10を得た。
また、該チョコレート成形体8~10を用いて、上記の実験1と同様の方法でブルーム評価及び状態評価を行った。
チョコレート成形体8~10を用いたブルーム評価結果を下記の表5に示す。ブルーム発生日数と、所定の日数を経過した際のチョコレート成形体の状態を、チョコレート成形体表面のブルーム評価基準で示した。
Claims (6)
- テンパリング型チョコレートであって、油脂、下記乳化剤A及び下記乳化剤Bを含有する、チョコレート。
乳化剤A:ポリグリセリン脂肪酸エステル
乳化剤B:構成脂肪酸として、不飽和脂肪酸を5%以上含むショ糖脂肪酸エステル - 前記乳化剤Bが、構成脂肪酸として、炭素数16~18の飽和脂肪酸及び炭素数16~18の不飽和脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも1種類の脂肪酸を含むショ糖脂肪酸エステルである、請求項1に記載のチョコレート。
- チョコレート中の前記乳化剤Aの含有量が0.01~3.0質量%であり、前記乳化剤Bの含有量が0.01~3.0質量%であり、かつ、前記乳化剤A及び前記乳化剤Bの総含有量が5.0質量%以下である、請求項1又は2に記載のチョコレート。
- 前記油脂を構成するトリグリセリド全量に対するStUSt型のトリグリセリド(St:C16~18の飽和脂肪酸、U:C16~18の不飽和脂肪酸)の含有量が26質量%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のチョコレート。
- 前記油脂を構成するトリグリセリドの全構成脂肪酸全量に対するラウリン酸のモル分率が38%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のチョコレート。
- チョコレート中のカカオ分の含有量が60質量%以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載のチョコレート。
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