JP2022035989A - 液状医療材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】濃度0.2M以上1.0M以下のカルシウムを含む、濃度5重量%以上40重量%以下、平均分子量80,000以上120,000以下、かつ分子量分布20,000以上300,000以下のゼラチン水溶液と、ゼラチンの架橋を誘導するトランスグルタミナーゼとを含む。カルシウムは濃度0.2M以上0.7M以下であり、ゼラチンのブルームは160以上250以下であり、トランスグルタミナーゼの単位当たりの活性は36~400U/mlであることが好ましい。
【選択図】図1
Description
1.失血は死亡の大きな要因の1つであり、失血要因には、重篤な外傷、動脈瘤、食道や胃における潰瘍、および食道静脈瘤の破裂などがある。特に、緊急に止血治療を受けることができない場合には、死亡の可能性が高くなる。
2.手術時における出血は、手術における大きな懸念の一つで、出血により、全身感染症や臓器の機能不全が生じる。また、出血は術野を妨げるだけでなく、出血した血液の除去は手術の遅延につながる。
3.出血は、最小侵襲手術(腹腔鏡下手術など)を行っている場合でも問題となり、出血を十分に抑制できない場合、切開手術に変更せざるをえない場合もある。
1.出血部の血管に直に圧迫する方法(圧迫止血)。この止血法の欠点は、時間と手間がかかり圧力を維持しておく必要がある点、また患者に血腫ができる恐れがある点である。
2.その他の物理的手段による止血方法として、出血部近傍をクランプ、クリップする方法、出血部にプラグやスポンジのようなものを乗せる方法がある。これらの止血法の欠点は、多数の微小血管から出血している場合に扱いが困難である点である。
3.熱によって血液を凝固させ、出血している血管を焼灼する方法(電気メス)。この方法の欠点は、周囲組織を熱損傷させ患者への侵襲が大きい点、医療用器具が必要で専門性を要する点である(医療機関以外では使用できない)。
1.アルギン酸
2.ゼラチンスポンジ
3.コラーゲン線維
4.フィブリン糊。
5.自己組織合成ペプチド
上記のうちコラーゲン線維とフィブリン糊が効果的な止血材として、臨床でしばしば利用されている。
当該手技において、病変部と固有筋層を引き離すために粘膜下層へ高張食塩水等の溶液を注入するが、食塩水等の粘性の低い溶液では病変部の隆起を手術中維持できないという問題点があり、患部の隆起を手術中維持可能な注入液が望まれている。
当該手技において、動脈を閉塞させるために、ウレタン前駆体やエチレンビニルアルコールなどの液体を注入するが、生体毒性が間違いなくあり、重篤でない限り使用が制限されている。そこで、感染の危険性がなく、かつ、生体毒性の低い注入液の開発が望まれている。
また、注入液は、抗癌剤や造影剤の添加が可能なものが求められている。
自己組織化ペプチドは、電荷を帯びた親水性アミノ酸と電気的に中性な疎水性アミノ酸が交互に並び、正電荷と負電荷が交互に分布する構造をもち、生理的なpHと塩濃度においてβ構造をとる。
また、特許文献2に記載のε-PLL原料の接着剤では、ゲル強度が市販止血剤であるフィブリン糊よりも劣り、止血材としての強度不足が懸念されるという課題があった。
また、特許文献3に記載の組織接着剤では、活性エステル化合物が化学的に不安定であり、水溶液での長期保存が不可能なため、使用直前に生体に悪影響を及ぼすリスクを有する溶媒に溶解させる必要性があり、さらに医師が外科手術などで緊急に使用するときにはすぐに使用できないために支障を来す可能性が高いという課題があった。
また、これらの接着剤は、非常に高価であるという課題があった。
特許文献4に記載のゼラチンとトランスグルタミナーゼとを使用した組成物は、ゲルを安定化するために尿素を必要とするので、製造工程が煩雑であり、さらに、安全性に問題があるという課題があった。
本発明に係る液状医療材料において、前記カルシウムは濃度0.2M以上0.7M以下であり、前記ゼラチンのブルームは160以上250以下であり、前記トランスグルタミナーゼの単位当たりの活性は36~400U/mlであることが好ましい。
本発明に係る液状医療材料は、前記ゼラチン水溶液中のゼラチン重量濃度[wt%]に対するカルシウム濃度[M]の割合が0.005~0.040[M/wt%]であることが好ましい。
本発明に係る液状医療材料は、前記トランスグルタミナーゼとともに、DE値が10以上25以下、平均分子量が5000より大きく25000以下のデキストランを含むことが好ましい。
本発明に係る液状医療材料は、前記トランスグルタミナーゼとともに、DE値が25以上、平均分子量が5000以下のデキストランを含むことが好ましい。
本発明に係る液状医療材料は、例えば、生体用組織接着剤、止血材、細胞保存液、臓器保存液、人工軟膏、歯槽骨再建剤、生体組織癒着防止剤、粘膜隆起剤、後出血防止剤、創傷被覆材、インプラント補助材料または血管内治療時の塞栓物質である。
本発明に係る液状医療材料は、特に、動脈止血材であることが好ましい。
本発明に係る液状医療材料は、常温でゾル状態を保ちながら、フィブリン糊よりも創傷被覆材及び止血材としての機能が高く、安全で、安価に製造可能である。
本発明の実施の形態の液状医療材料は、濃度0.2M以上1.0M以下のカルシウムを含む、濃度5重量%以上40重量%以下、平均分子量80,000以上120,000以下、かつ分子量分布20,000以上300,000以下のゼラチン水溶液と、ゼラチンの架橋を誘導するトランスグルタミナーゼとを含む。
カルシウムは濃度0.2M以上0.7M以下であり、ゼラチンのブルームは160以上250以下であり、トランスグルタミナーゼの単位当たりの活性は36~400U/mlであることが好ましい。
カルシウムは、例えば、塩化カルシウム、炭酸カルシウムなどから成り、特に、塩化カルシウムから成ることが好ましい。
前記ゼラチン水溶液中のゼラチン重量濃度[wt%]に対するカルシウム濃度[M]の割合が0.005~0.040[M/wt%]であることが好ましい。
トランスグルタミナーゼとともに、DE値が10以上25以下、平均分子量が5000より大きく25000以下のデキストランを含むことが好ましい。
また、トランスグルタミナーゼとともに、DE値が25以上、平均分子量が5000以下のデキストランを含むことが好ましい。
本発明の実施の形態の液状医療材料は、例えば、生体用組織接着剤、止血材、細胞保存液、臓器保存液、人工軟膏、歯槽骨再建剤、生体組織癒着防止剤、粘膜隆起剤、後出血防止剤、創傷被覆材、インプラント補助材料または血管内治療時の塞栓物質である。
本発明の実施の形態の液状医療材料は、特に、動脈止血材であることが好ましい。
本発明において、「血液」は、ヒトの血液のほか、ヒト以外の血液であってもよい。
本発明の実施の形態の液状医療材料は、25℃の条件および生体内の37℃前後の条件で、ゼラチン材料が固化(ゲル化)しておらず、トランスグルタミナーゼを添加した時に、300秒以内、好ましくは90秒以内、さらに好ましくは30秒以内で固化させることができる。
特に、血液に使用したときには、血液がない状態よりも同等またはそれ以上の速さで固化させて、粘弾性が非常に高い膜を形成することができる。
創傷被覆に使用したときには、トランスグルタミナーゼを混合させた時、非常に速く固化させて、粘弾性が非常に高い膜を形成することができる。
以下のゼラチン/カルシウム水溶液を作製した。
ゼラチンの種類:
A:平均分子量100,000(分布が20,000~300,000)酸処理ゼラチン
B:平均分子量100,000(分布が20,000~300,000)アルカリ処理ゼラチン
C:平均分子量20,000ゼラチン(ポリペプチド)
D:分子量がほぼ100,000(分布が80,000~120,000)ゼラチン
ゼラチン濃度:5~40wt%(5、10、20、30、40wt%)
カルシウム濃度:0.0~1.0M(0、0.2、0.4、0.5、0.7、1.0M)
(1)A、B、C、Dの5、10、20、30、40wt%ゼラチン/水溶液を作製した。
25℃の条件下、A、B、Dのゼラチン水溶液は5%濃度で固化した。Cのゼラチン水溶液は40%でも固化せず、流動状態であった。
(2)A、B、Dについて、表1に示すゼラチン濃度及びカルシウム濃度のゼラチン/カルシウム水溶液を作製した。
25℃の条件下、それぞれのゼラチン/カルシウム水溶液の状態を観察し、固化、流動、強粘度のいずれかで評価した。
固化:サンプルを倒しても、水溶液が全く動かない状態
流動:サンプルを倒したら、水溶液が動き出す状態
強粘度:サンプルを倒したら、しばらくして少しずつ液面が動く状態。
<条件>
A,B:0%<適した条件≦40%ゼラチン<ゼラチン水溶液が作製される濃度まで
0.2Mカルシウム≦適した条件≦1.0Mカルシウム<カルシウム水溶液が作製される濃度まで
C:0%<適した条件≦40%ゼラチン<ゼラチン水溶液が作製される濃度まで
0Mカルシウム<適した条件<カルシウム水溶液が作製される濃度まで
D:0%<適した条件<40%ゼラチン
0.2Mカルシウム≦適した条件≦1.0Mカルシウム<カルシウム水溶液が作製される濃度まで
適したトランスグルタミナーゼの活性の範囲を調べるため、トランスグルタミナーゼ活性が異なるサンプルを用いた時の止血材料の粘弾性変化を測定した。
0.5MCaCl2含有、20%(ブルーム250、平均分子量100,000)ゼラチンを用いて、トランスグルタミナーゼ活性が異なるサンプルの評価を行った。表2に、各サンプルのトランスグルタミナーゼ活性を示す。図1に、粘弾性変化の測定結果を示す。
血液粘弾性検査装置(商品名「ソノクロット」:サイエンコ社製)を用いて、止血材料の架橋評価試験を行った。トランスグルタミナーゼを添加後、架橋により相対粘弾性が上昇するその傾きをKとし、それを比較した。
<基本実験>
表3に示すカルシウム含有ゼラチンと、相対活性が51.6U/mlのトランスグルタミナーゼを用いて実験を行った。その結果を表3の右欄に示す。
表5の結果より、TGとしてTGAを選択した。
参考例1:2M尿素、1Mカルシウム、0.1M酢酸ナトリウムを含む25%(w/w)ゼラチン溶液(ゼラチンはブタの酸処理ゼラチンでブルーム270)に、0.5M酢酸ナトリウムにカルシウム非依存性の微生物性トランスグルタミナーゼ(mTG)を溶解した7.5%(w/w)微生物性トランスグルタミナーゼ(味の素株式会社製:10%w/w mTG-ACTIVA-TG)溶液を混合して溶液を調製した。
参考例2:参考例1で、0.5M酢酸ナトリウムの代わりに0.5Mクエン酸ナトリウムを用いて溶液を調製した。
25℃の条件下で固化せずに、85秒で固化しないものは、直視術野での使用は難しいと考えられる。また、300秒で固化しないものは、カテーテル術野での使用は難しいと考えられる。
以下のゼラチン/カルシウム水溶液を作製した。平均分子量100,000(分布が20,000~300,000)アルカリ処理ゼラチン(ゼラチン濃度:20wt%)/0.5Mカルシウム水溶液。このゼラチン水溶液を用いて、トランスグルタミナーゼによる架橋試験を実施した。
トランスグルタミナーゼ(TG)は、活性86U/g、濃度6mg/ml、多糖類濃度600mg/mlのもの(名称:TGA、商品名:KS-OT(味の素社製))を使用し、含まれる多糖類を除去した後、以下の5種類のデキストランをそれぞれ600mg/ml添加した。架橋試験の結果をそれぞれ右に示す。
(1)DE値38、平均分子量4000、多孔質有り:架橋反応が5分以内
(2)DE値16、平均分子量15000、多孔質有り:架橋反応が30秒以内
(3)DE値10、平均分子量25000、多孔質有り:架橋反応した
(4)DE値10、平均分子量23000、多孔質無し:架橋試験が行えなかった
(5)DE値12、平均分子量20000、多孔質無し:架橋試験が行えなかった
また、止血機能について、架橋試験が行えなかったものを1、架橋反応したものを2、架橋反応が5分以内のものを3、架橋反応が2分以内のものを4、架橋反応が30秒以内のものを5と評価し、DE値と止血機能との関係を図2(A)、平均分子量と止血機能との関係を図2(B)に示す。
以上の結果より、止血機能の観点から、トランスグルタミナーゼとともに、DE値が10以上25以下、平均分子量が5000より大きく25000以下のデキストランを含むことが好ましいことがわかった。また、トランスグルタミナーゼとともに、DE値が25以上、平均分子量が5000以下のデキストランを含むものも好ましいことがわかった。
Claims (7)
- 濃度0.2M以上1.0M以下のカルシウムを含む、濃度5重量%以上40重量%以下、平均分子量80,000以上120,000以下、かつ分子量分布20,000以上300,000以下のゼラチン水溶液と、前記ゼラチンの架橋を誘導するトランスグルタミナーゼとを含むことを、特徴とする液状医療材料。
- 前記カルシウムは濃度0.2M以上0.7M以下であり、前記ゼラチンのブルームは160以上250以下であり、前記トランスグルタミナーゼの単位当たりの活性は36~400U/mlであることを、特徴とする請求項1記載の液状医療材料。
- 前記ゼラチン水溶液中のゼラチン重量濃度[wt%]に対するカルシウム濃度[M]の割合が0.005~0.040[M/wt%]であることを、特徴とする請求項1または2記載の液状医療材料。
- 前記トランスグルタミナーゼとともに、DE値が10以上25以下、平均分子量が5000より大きく25000以下のデキストランを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液状医療材料。
- 前記トランスグルタミナーゼとともに、DE値が25以上、平均分子量が5000以下のデキストランを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液状医療材料。
- 生体用組織接着剤、止血材、細胞保存液、臓器保存液、人工軟膏、歯槽骨再建剤、生体組織癒着防止剤、粘膜隆起剤、後出血防止剤、創傷被覆材、インプラント補助材料または血管内治療時の塞栓物質であることを、特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液状医療材料。
- 動脈止血材であることを、特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液状医療材料。
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| JP2011525128A (ja) * | 2008-06-18 | 2011-09-15 | ライフボンド リミテッド | 改良された架橋組成物 |
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