以下、本発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
なお、以下に記載する各実施形態の機能的構成は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせとして実現することができ、これらについては後述する。また、本明細書に記載の各実施形態は装置として実現できるのみでなく、その一部または全部を動作方法としても実現可能である。また、このような装置の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品、及び同製品を固定した記録媒体も、当然に本明細書に記載の各実施形態の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
<実施形態1>
<実施形態1 概要>
本実施形態の表面状態情報取得装置は、測定対象物から放射されるp偏光放射輝度とs偏光放射輝度との比率と、測定対象物の表面粗さとの相関を予め取得しておき、測定時に取得したp偏光放射輝度とs偏光放射輝度との比率(p偏光放射率とs偏光放射率で表現できる)と前記相関に基づき測定対象物の表面粗度を取得する表面状態情報取得装置である。
<発明の原理>
測定対象物の表面粗度が小さい、鏡面である場合、図3に示す通り、測定スポット法線方向に対して、光軸が20度から85度程度の入射角でフォーカスした放射光受光部に対する放射率は、p偏光とs偏光とで異方性を持つ。しかし、測定対象物の表面粗度が大きくなり、荒れる方向になると表面の微小な凹凸での多重反射によって、異方性は失っていいき、最終的には完全にその異方性を失い、p偏光放射率とs偏光放射率は同じ値となる。つまり、測定対象の表面粗度は、p偏光とs偏光の比率(s偏光放射率/p偏光放射率)が1に近づくほど増加(粗くなる)する増加関数として表現される。もちろん、psの分母分子関係は逆転してもよいし、p偏光放射率とs偏光放射率とから関数として構成される値であればこれらに限定せずに表面粗度との関数関係が成立する。
具体的には、図4(a)(b)に示す実験結果のように、この関数関係が表現される。
<実施形態1 構成>
図1は、本実施形態の表面状態情報取得装置の一例を示す機能ブロック図である。図示するように、本実施形態の表面状態情報取得装置0100は、放射光受光部0101と、p偏光放射輝度取得部0102と、s偏光放射輝度取得部0103と、ps比率算出部0104と、表面粗度情報取得部0105と、を有する。
<実施形態1 放射光受光部>
図2(a)は、測定スポットからの放射光を受光する態様を示す概念図である。図示するように、放射光受光部0201は、測定対象物0202の所定の測定スポットSの法線方向0204に対して所定の入射角度θで測定スポットからの放射光0211を受光するように構成される。
また、測定対象物0202は、例えば、亜鉛めっき鋼板、シリコンウェハ、アルミ板など種々考えられる。本図においてはそのような測温対象物の断面を示している。また、測温対象を搬送するための搬送手段0203を設けてもよい。本図の場合には、紙面の法線方向に測温対象を搬送するように構成することができる。このような搬送手段を設けることで、本表面状態情報取得装置を溶融亜鉛めっき鋼板製造プロセスなどのように流れ作業のなかでの表面状態の測定が可能になる。
<実施形態1 p偏光放射輝度取得部、s偏光放射輝度取得部>
p偏光放射輝度取得部は、放射光受光部からp偏光放射輝度を取得するよう構成される。また、s偏光放射輝度取得部は、放射光受光部からs偏光放射輝度を取得するよう構成される。図2(b)は、放射光受光部と、p偏光放射輝度取得部及びs偏光放射輝度取得部とを一体的に構成した一例を示す概念図である。
図示するように、放射光受光部0205は、放射光0211を受光する。キューブ型の偏光ビームスプリッター0206は、受光した放射光のs偏光0207を直角に反射し、受光した放射光のp偏光0208を通過させて、s偏光とp偏光に分光する。そして、s偏光は一の赤外光受光素子0209で受光され、p偏光は他の赤外光受光素子0210で受光され、それぞれの受光素子によりs偏光放射輝度とp偏光放射輝度を取得するように構成される。なお、キューブ型のビームスプリッターに代えてプレート型のビームスプリッターを用いてもよい。このような構成により、s偏光放射輝度とp偏光放射輝度とを同時に取得することができる。取得するs偏光放射輝度とp偏光放射輝度の波長は測定対象物に応じて選択され、例えば金属である場合には波長0.8~1.6μmを選択し、ガラスの場合には波長4.9~5.3μmを選択し、ゴムの場合には8~14μmを選択するといった具合である。
<実施形態1 ps比率算出部>
ps比率算出部は、取得したp偏光放射輝度と、s偏光放射輝度とのps比率を算出するよう構成される。ps比率の一つとして、s偏光放射輝度/p偏光放射輝度を算出する。s偏光放射輝度とp偏光放射輝度をそれぞれL
s,λ(T)、L
p,λ(T)とし、s偏光放射率とp偏光放射率をそれぞれε
s、ε
pとし、温度Tの黒体分光放射輝度をL
b,λ(T)とすると、これらの関係は、以下の式のように表すことができる。
この式により、s偏光放射輝度/p偏光放射輝度を求めると、結果として数式2のように偏光放射率比ε
s/ε
pが得られる。
また、ps比率のもう一つとして、偏光の割合(dep)を算出するように構成してもよい。偏光の割合は(ε
p-ε
s)/(ε
p+ε
s)の値である。偏光の割合も、上記のL
s,λ(T)、L
p,λ(T)及びL
b,λ(T)を用いて以下のように記述することができる。
図3は、各種試料(ステンレス鋼SUS304、アルミニウムAl、亜鉛Zinc、ケイ素Si)について、それぞれ特定の波長における複素屈折率(下記の表1)に基づき、s偏光放射率ε
s、p偏光放射率ε
p、偏光放射率比ε
s/ε
p、偏光の割合(ε
p-ε
s)/(ε
p+ε
s)を入射角度θの関数としてプロットしたものである。
<実施形態1 表面粗度情報取得部>
表面粗度情報取得部は、取得したps比率と、その測定対象物に関して事前に取得されているps比率・表面粗さ相関情報とに基づいて、その測定対象物の表面粗度を示す情報である表面粗度情報を取得する。表面粗度情報としては、例えば、算術平均粗さRa、最大高さRz、十点平均粗さRzjisがある。算術平均粗さRaは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さl(エル)だけを抜き取り、この抜取り部分の深さ方向の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、数式4によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
ここで、基準長さl(エル)(mm)はカットオフ値(mm)の3倍以上であり、カットオフ値は標準数列0.012aで0.08、標準数列0.025a、0.05aでカットオフ値は0.25、標準数列0.1a、0.2a、0.4a、0.8a、1.6aでカットオフ値は0.8、標準数列3.2a、6.3aでカットオフ値は2.5、標準数列12.5a、25a、50aでカットオフ値は8である。
また、最大高さRzは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さl(エル)(mm)だけを抜き取り、この抜取り部分の山頂線と谷底線との間隔を粗さ曲線の縦倍率の方向に測定し、この値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。なお、基準長さは傷とみなされるような並外れて高い山や深い谷のない部分から抜き取る。基準長さl(エル)(mm)は、標準数列0.05s、0.1sで0.08、標準数列0.2s、0.4sで0.25、標準数列0.8s、1.6s、3.2s、6.3sで0.8、標準数列12.5s、25s、50sで2.5、標準数列100s、200sで8である。
また、十点平均粗さRzjisは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜取り部分の平均線から縦倍率の方向に測定した、最も高い山頂から5番目までの山頂の標高(Yp)の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高(Yv)の絶対値の平均値との和を求め、この値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。基準長さl(エル)(mm)は、標準数列0.05z、0.1zで0.08、標準数列0.2z、0.4zで0.25、標準数列0.8z、1.6z、3.2z、6.3zで0.8、標準数列12.5z、25z、50zで2.5、標準数列100z、200zで8である。
図3や表1に示すように、金属やシリコン半導体などの均質的で滑らか、かつ平坦な試料は鏡面的反射特性を示し、大きな角度(たとえばθ=75°)で、p偏光とs偏光の放射率に大きな差が生まれる。その差は、測定対象物の表面粗度が大きくなり、荒れる方向になると小さくなっていき、最終的には、完全にその異方性を失い、p偏光放射率とs偏光放射率は同じ値となる。従って、例えば、入射角60°から85°程度の範囲で表面粗さを観察するようにすると、感度がよく、表面粗さの分解能が高くなる。したがって表面粗さのわずかな差であっても偏光放射率比εs/εp及び偏光の割合に反映される。なお、偏光放射率の比率は、入射角度を大きくするほど小さくなるが、あまりにもεsやεpが小さくなりすぎるとS/N比が悪くなるので、入射角度は、特に、65°から75°の範囲が好ましい。
図4は、実験データをベースとして、偏光放射率比εs/εpと算術表面粗さRaとの関係(a)と、偏光の割合(dep)と算術平均表面粗さRaとの関係(b)を示すものである。図示するように、表面粗さの変化とともに偏光放射率比及び偏光放射率の割合が変化しており、この関係をps比率・表面粗さ相関情報として事前に取得しておく。
図4に示すようなps比率・表面粗さ相関情報を事前に取得するためには、測定対象物となり得る物を試料とし、その表面であって実際の測定スポットとして想定されるスポットに熱電対を溶接するなどして直接的に温度測定できるように取り付ける。必要であれば、その放射温度計で測定可能な範囲まで試料を加熱する。そして、所定の入射角度θに放射温度計を配置し、p偏光放射輝度とs偏光放射輝度とを測定し、熱電対で測定した実際の測定対象物の温度に基づきp偏光放射率及びs偏光放射率を求める。併せて、その測定対象物の測定スポットの表面について、接触式表面粗さ測定器を用いて測定する。これらの測定によりp偏光放射率及びs偏光放射率と表面粗さとの対応関係が得られる。そして、この測定を表面粗さの異なる複数の試料に対して測定を重ねることで、図4に示したような偏光放射率比及び偏光放射率の割合と表面粗さとの関係を取得することができる。
また、図4に示されるように、入射角度θが75°のときは表面粗さに対する偏光放射率比又は偏光放射率の割合の変動幅が大きいので、相対的に高感度に表面粗度情報を得ることができ好ましい。また、表面粗度情報は、上記の算術平均表面粗さRaに限らず、十点平均表面粗さRzjisや最大高さRzなどの表面粗さを示す情報であってもよい。
以上のようなps比率・表面粗さ相関情報を事前に取得し保持しておくことで、実際の測定においてp偏光放射輝度とs偏光放射輝度を測定しps比率を算出し、ps比率・表面粗さ相関情報に当てはめることで表面粗度情報を取得することができる。
<実施形態1 ハードウェア構成>
図5は、実施形態1の表面状態情報取得装置を実現する計算機の一例を示す概念図である。図示するように、マザーボード上などに備えられる、CPU0501、不揮発性メモリ0502、メインメモリ0503、グラフィックカード0504、さらにI/Oコントローラ0505、USBやIEEE、LANなどのインターフェース0506や、BIOS0507、PCIスロット0508、リアルタイムクロック0509など及び、これらを相互に接続するバス並びにバスを接続するチップセット(ノースブリッジ、サウスブリッジ)0510から構成される。
「チップセット」0510は、計算機のマザーボードに実装され、CPUの外部バスと、メモリや周辺機器を接続する標準バスとの連絡機能、つまりブリッジ機能を集積した大規模集積回路(LSI)のセットである。2チップセット構成を採用する場合と、1チップセット構成を採用する場合とがある。CPUやメインメモリに近い側をノースブリッジ、遠い側で比較的低速な外部I/Oとのインターフェースの側にサウスブリッジが設けられる。
ノースブリッジには、CPUインターフェース、メモリコントローラ、グラフィックインターフェースが含まれる。集積化が進み、従来のノースブリッジの機能のほとんどをCPUに担わせてもよい。ノースブリッジは、メインメモリのメモリスロットとはメモリバスを介して接続し、グラフィックカードのグラフィックカードスロットとは、ハイスピードグラフィックバス(AGP、PCI Express)で接続される。
サウスブリッジには、PCIインターフェース(PCIスロット)とはPCIバスを介して接続し、ATA(SATA)インターフェース、USBインターフェース、EthernetインターフェースなどとのI/O機能やサウンド機能を担う。高速な動作が必要でない、あるいは不可能であるようなPS/2ポート、フロッピーディスクドライブ、シリアルポート、パラレルポート、ISAバスをサポートする回路を組み込むことは、チップセット自体の高速化の足かせとなるためサウスブリッジのチップから分離させ、スーパーI/Oチップと呼ばれる別のLSIに担当させることとしてもよい。
「バス」は、CPU(MPU)と、周辺機器や各種制御部を繋ぐために備えられる。又、バスは前述のチップセットによって連結される。メインメモリとの接続に利用されるメモリバスは、高速化を図るために、これに代えてチャネル構造を採用してもよい。バスとしてはシリアルバスかパラレルバスを採用できる。パラレルバスは、シリアルバスが1ビットずつデータを転送するのに対して、元データそのものや元データから切り出した複数ビットをひとかたまりにして、同時に複数本の通信路で伝送する。クロック信号の専用線がデータ線と平行して設け、受信側でのデータ復調の同期を行う。CPUのフロントサイドバス(チップセット)と外部デバイスをつなぐバスとしても用いられる。バスの種類としてはGPIB、IDE/(パラレル)ATA、SCSI、PCIなどがある。高速化に限界があるため、PCIの改良版PCI ExpressやパラレルATAの改良版シリアルATAでは、データラインはシリアルバスでもよい。
「CPU」(MPU)はメインメモリ上にあるプログラムと呼ばれる命令列を順に読み込んで解釈・実行することで信号からなる情報を同じくメインメモリ上に出力する。CPUは計算機内での演算を行なう中心として機能する。なお、CPUは演算の中心となるCPUコア部分と、その周辺部分とから構成され、CPU内部にレジスタ、キャッシュメモリや、キャッシュメモリとCPUコアとを接続する内部バス、DMAコントローラ、タイマー、ノースブリッジとの接続バスとのインターフェースなどが含まれる。なお、CPUコアは一つのCPU(チップ)に複数備えられていてもよい。
「不揮発性メモリ」の一例はハードディスクドライブである。基本構造は、磁気ディスク、磁気ヘッド、および磁気ヘッドを搭載するアームから構成される。外部インターフェースは、SATA(過去ではATA)を採用することができる。高機能なコントローラ、例えばSCSIを用いて、ハードディスクドライブ間の通信をサポートする。例えば、ファイルを別のハードディスクドライブにコピーする時、コントローラがセクタを読み取って別のハードディスクドライブに転送して書き込むといったことができる。この時ホストCPUのメモリにはアクセスしない。したがってCPUの負荷を増やさないで済む。
なお、不揮発性メモリとしてはフラッシュメモリから構成されるSSDをHDDとともに採用してもよいし、HDDに置き換えて採用してもよい。
メインメモリは、揮発性のメモリで構成される。最も代表的なものはDRAMダイナミックラムである。
BIOSは、計算機の立ち上げ時にメインメモリにオペレーティングシステムを読み込み、アプリケーションなどを実行可能な状態とするために用いられる。前述のようにサウスブリッジに接続されるがノースブリッジに接続されてもよい。
I/Oコントローラは外部機器との接続に利用される。USBコネクタもその一例である。赤外光受光素子、可視光受光素子などが接続され、それらの検出信号の入力を受け付ける。また、シャッターやチョッパーも接続され、それらを駆動するための信号が出力される。
IEEE1394コネクタは最も代表的な通信規格のインターフェースである。
PCIスロットは、機能回路を計算機に接続するためのインターフェースである。
OS(オペレーティングシステム)は、コンピュータを稼働するための基本ソフトウェアである。ユーザやアプリケーションプログラムに対してインターフェースを提供し、ハードウェアなどの機能部や、各リソースに対して効率的な管理を行う役割を果たす。
デバイスドライバはオペレーティングシステムを介して計算機に付属する各種のデバイスをユーザやアプリケーションに利用可能等するためのデバイスのハードウェアを制御するためのプログラムである。
そして、不揮発性メモリ0502には、放射光受光プログラム、p偏光放射輝度取得プログラム、s偏光反射輝度取得プログラム、ps比率算出プログラム、表面粗度情報取得プログラムなどの各種プログラムが格納されている。また、データとして、p偏光放射輝度Lp,λ(T)、s偏光放射輝度Ls,λ(T)、ps比率である偏光放射率比εs/εpや偏光の割合(εp-εs)/(εp+εs)、表面粗度情報として算術平均表面粗さRa、ps比率・表面粗さ相関情報などの各種情報が格納される。そして、これらのプログラムやデータは、メインメモリの保持領域に読み込まれて作業領域で実行される。
なお、上述のハードウェア構成は、表面状態情報取得装置を実現する計算機としてPCを想定して示した一例であるが、上述した各種プログラムを保持し、適宜必要な信号の入出力を可能とするマイコンによっても当然に実現することができる。
<実施形態1 処理の流れ>
図6は、本実施形態の処理の流れの一例を示すフロー図である。まず、放射光を受光する(0601:放射光受光ステップ)。そして、受光した放射光からp偏光放射輝度を取得する(0602:p偏光放射輝度取得ステップ)。そして、受光した放射光からs偏光放射輝度を取得する(0603:s偏光放射輝度取得ステップ)。そして、取得したp偏光放射輝度とs偏光放射輝度との比率であるps比率を算出する(0604:ps比率算出ステップ)。そして、取得したps比率と、その測定対象物に関して事前に取得されているps比率・表面粗さ相関情報とに基づいて、その測定対象物の表面粗度を示す情報である表面粗度情報を取得する(0605:表面粗度情報取得ステップ)。なお、p偏光放射輝度取得ステップとs偏光放射輝度取得ステップとは、同時に行われることが好ましい。
<実施形態1 p偏光放射輝度とs偏光放射輝度の取得態様>
図2で示した表面状態情報取得装置の例では、p偏光放射輝度とs偏光放射輝度の取得は、偏光ビームスプリッターと複数の赤外光受光素子により行っていた。その他の態様として、図7(a)に示すように、偏光素子を配置したチョッパーを用いる態様もある。図示するように、赤外光受光素子を備える放射光受光部0701の前方であって、測定スポットからの受光軸線上0702にp偏光素子0703とs偏光素子0704とを備えるチョッパー0705が配置する。
図7(b)は、上述したチョッパーの一例を示す概念図である。図示するように、このチョッパー0706は、p偏光素子0707とs偏光素子0708とが交互にそれぞれ4領域配置されている。放射光受光部0701の前方にp偏光素子が位置するときに放射光受光部に備わる赤外光受光素子がp偏光素子を通った放射光を受光することでp偏光放射輝度を取得することができる。また、放射光受光部0701の前方にs偏光素子が位置するときに放射光受光部に備わる赤外光受光素子がs偏光素子を通った放射光を受光することでs偏光放射輝度を取得することができる。また、図7(c)に示すように、p偏光素子0710とs偏光素子0711を配置するだけでなく、非偏光領域0712を設けるチョッパー0709を用いることで、一般的な放射温度計として温度測定を行うことができる。なお、後述するように、非偏光領域を設けるチョッパーがない場合でも、p偏光放射輝度やs偏光放射輝度により測定スポットの温度を測定するよう構成することもできる。
p偏光放射輝度の取得とs偏光放射輝度の取得は、それぞれを交互かつ時間的に近接して行うことが好ましい。前述したように、取得したp偏光放射輝度とs偏光放射輝度は両者の比率であるps比率の算出に供される。そして、ps比率に基づいて測定スポットの表面粗度を取得する。ps比率を用いるため取得したp偏光放射輝度とs偏光放射輝度の取得が同時になされることが理論上望ましいからである。
<実施形態1 効果>
本実施形態の表面状態情報取得装置によれば、放射光を受光することで表面状態情報を取得することができ、専ら表面状態情報を取得するための測定系を設ける必要がないという利点がある。
<実施形態2>
<実施形態2 概要>
本実施形態の表面状態情報取得装置は、実施形態1を基本とし、表面粗度情報に基づいて測定対象物である合金の合金化の進捗を示す合金化進捗情報を取得することができる。
<実施形態2 構成>
図8は、本実施形態の表面状態情報取得装置の一例を示す機能ブロック図である。図示するように、本実施形態の表面状態情報取得装置0800は、放射光受光部0801と、p偏光放射輝度取得部0802と、s偏光放射輝度取得部0803と、ps比率算出部0804と、表面粗度情報取得部0805と、合金化進捗情報取得部0806と、を有する。合金化進捗情報取得部以外の構成は、実施形態1の表面状態情報取得装置における各構成と同様であるので説明を省略する。
<実施形態2 測定対象>
本実施形態の測定対象物は合金である。例えば亜鉛めっき鋼板は、合金化炉で加熱することでその表面にめっき層が形成される。そのめっき層はFe-Zn合金となっており、耐食性のみならず、塗装性、塗膜密着性に優れ、溶接性も良好であることから、自動車用の鋼板として広く使用されている。
一方で、合金化が進行しすぎると、地鉄とめっき層の界面にΓ相が発達してくる。この組織は硬くて脆いため、異常に成長するとプレス加工時にめっき層が粉状に破壊する現象が起こってしまう。このような不都合が生じないように、測定対象物の合金化度を把握することが製造プロセスにおいて重要である。
なお、本実施形態における合金は、上述したFe-Zn合金に限られず、例えば、鋼、クルップ鋼、クロムモリブデン鋼、マンガンモリブデン鋼、ステンレス鋼、マルエージング鋼、ケイ素鉄、黄銅、青銅、赤銅、ジュラルミン、ニクロム、マグネシウム合金、チタン合金など種々の合金が該当する。
<実施形態2 合金化進捗情報取得部>
合金化進捗情報取得部0806は、取得した表面粗度情報に基づいて測定対象物の合金化の進捗を示す情報で合金化進捗情報を取得するよう構成される。例えば亜鉛めっき鋼板は合金化が進むことにより、その表面は粗くなっていく。そこで、測定対象物の合金化進捗情報と表面粗度情報との関係を事前に実験より取得しておく。そして測定時には、事前に取得した測定対象物の合金化進捗情報と表面粗度情報との関係に、測定したp偏光放射輝度とs偏光放射輝度に基づき取得された表面粗度情報を当てはめることで合金化進捗情報を取得することができる。合金化進捗情報と表面粗度情報との関係を得るための実験は、表面状態情報測定装置により測定対象物の表面粗度情報を測定しつつ、その測定対象物の合金化進捗情報を測定し、それぞれの測定値を関係付けて保持する。このような実験を、測定対象物となり得る複数種の試料に対して重ねて行うことで、それら測定対象物における表面粗度情報と合金化進捗情報との関係を保持することができる。なお、合金化進捗情報の測定は、例えば、測定対象物の蛍光X線強度に基づいて測定することができる。また、その他の方法により測定してもよい。
<実施形態2 ハードウェア>
本実施形態の表面状態情報取得装置は、実施形態1の表面状態情報取得装置を実現するハードウェア構成に準じて実現することができ、不揮発性メモリに、さらに合金化進捗情報取得プログラムと、表面粗度情報と合金化進捗情報との関係を示すデータを保持し、それらのプログラムを適宜実行することができる。
<実施形態2 処理の流れ>
図9は、本実施形態の表面状態情報取得装置の処理の流れの一例を示すフロー図である。まず、放射光を受光する(0901:放射光受光ステップ)。受光した放射光からp偏光放射輝度を取得する(0902:p偏光放射輝度取得ステップ)。そして、受光した放射光からs偏光放射輝度を取得する(0903:s偏光放射輝度取得ステップ)。そして、取得したp偏光放射輝度とs偏光放射輝度との比率であるps比率を算出する(0904:ps比率算出ステップ)。そして、取得したps比率と、その測定対象物に関して事前に取得されているps比率・表面粗さ相関情報とに基づいて、その測定対象物の表面粗度を示す情報である表面粗度情報を取得する(0905:表面粗度情報取得ステップ)。そして、取得した表面粗度情報に基づいて測定対象物の合金化の進捗を示す情報で合金化進捗情報を取得する(0906:合金化進捗情報取得ステップ)。
<実施形態2 効果>
本実施形態の表面状態情報取得装置によれば、表面粗度情報に基づいて測定対象物である合金の合金化の進捗を示す進捗情報を取得することができる。
<実施形態3>
<実施形態3 概要>
本実施形態の表面状態情報取得装置は、実施形態1又は実施形態2の表面状態情報取得装置を基本とし、事前に取得した複数の入射角におけるps比率・表面粗さ相関情報を保持することを特徴とする。一の測定スポットに対して異なる角度から表面粗度の情報を取得し、測定精度を上げることができる他に、測定対象の材料の種類に応じて適切なps放射輝度カーブが異なるために、最適な角度を選択することで材料の種類が変化しても良好な測定を行うことができる。
<実施形態3 構成>
図10は、本実施形態の表面状態情報取得装置の一例を示す機能ブロック図である。図示するように、本実施形態の表面状態情報取得装置1000は、放射光受光部1001と、p偏光放射輝度取得部1002と、s偏光放射輝度取得部1003と、ps比率算出部1004と、表面粗度情報取得部1005と、合金化進捗情報取得部1006と、角度変更部1007と、を有し、表面粗度情報取得部は入射角度別表面粗度情報取得手段1008を有する。角度変更部と入射角度別表面粗度情報取得手段を有する表面粗度情報取得部の他の構成は、実施形態1又は実施形態2の表面状態情報取得装置における各構成と同様であるので説明を省略する。
<実施形態3 角度変更部>
角度変更部1007は、前記放射光受光部が測定スポットにフォーカスする入射角を変更可能に構成される。例えば、測定スポットにフォーカスする放射光受光部の位置や姿勢を変更する機構を設けることで入射角を変更可能にすることができる。あるいは、互いに異なる入射角にて測定スポットにフォーカスする複数の放射光受光部を設置し、測定に使用する放射光受光部を変更することで、同様の機能を果たし得る。
<実施形態3 ps比率・表面粗さ相関情報>
その測定対象物に関して事前に取得されているps比率・表面粗さ相関情報は、複数の入射角について保持している。
<実施形態3 入射角度別表面粗度情報取得手段>
入射角度別表面粗度情報取得手段1008は、複数の角度ごとにその測定対象物の表面粗度を示す情報である入射角度別表面粗度情報を取得するよう構成される。例えば、一の測定スポットについて、異なる入射角での測定によってそれぞれの入射角に基づく表面粗度情報を得ることができる。そして、それぞれの入射角度別表面粗度情報の差分をとって測定結果の確からしさを検証するように構成したり、その差分が所定の値より大きい場合には再度測定を行うように構成したりすることもできる。また、それぞれの入射角度別表面粗度情報の平均を表面粗度情報として取得するように構成してもよい。
<実施形態3 ハードウェア>
本実施形態の表面状態情報取得装置は、実施形態1又は実施形態2の表面状態情報取得装置を実現するハードウェア構成に準じて実現することができ、不揮発性メモリに、さらに角度変更プログラムと、入射角度別表面粗度情報取得サブプログラムとを、有し、ps比率・表面粗さ相関情報を、複数の入射角について保持し、それらのプログラムを適宜実行することができる。
<実施形態3 処理の流れ>
本実施形態の処理の流れは、実施形態1又は実施形態2の処理の流れに準じたものとなり、表面粗度情報取得ステップが、複数の角度ごとにその測定対象物の表面粗度を示す情報である入射角度別表面粗度情報を取得する入射角度別表面粗度情報取得サブステップを有するものとなる。
<実施形態3 効果>
本実施形態の表面粗度情報取得装置によれば、異なる入射角度での測定によってそれぞれの入射角度に基づく表面粗度情報を得ることができ、これにより測定の精度や確度の向上に資する。
<実施形態4>
<実施形態4 概要>
本実施形態は、実施形態1から実施形態3のいずれか一を基本として、取得したp偏光放射輝度又は取得したs偏光放射輝度から測定スポットの温度を測定することができる表面状態情報取得装置に関する。
<実施形態4 放射測温装置の構成>
図11は、本実施形態の放射測温装置の一例を示す概念図である。図示するように、本実施形態の表面状態情報取得装置1100は、放射光受光部1101と、p偏光放射輝度取得部1102と、s偏光放射輝度取得部1103と、ps比率算出部1104と、表面粗度情報取得部1105と、合金化進捗情報取得部1106と、を有し、さらにp偏光黒体温度検量線情報保持部1107と、温度取得部1108と、を有する。p偏光黒体温度検量線情報保持部と温度取得部以外の構成は、実施形態1から3の表面状態情報取得装置における各構成と同様であるので説明を省略する。また、本図では、先の実施形態で説明した角度変更部や入射角度別表面粗度情報取得手段を示していないが、これらの部や手段を有するように構成してもよい。
(実施形態4 p偏光黒体温度検量線情報保持部)
p偏光黒体温度検量線情報保持部1107は、p偏光放射輝度と、黒体の表面温度との関係を示すp偏光黒体温度検量線情報を有する。p偏光黒体温度軽量線情報を有することで、後述の温度取得部において取得したp偏光放射輝度による測定スポットの温度を取得することができる。
(実施形態4 温度取得部)
温度取得部1108は、取得したp偏光放射輝度と、保持されているp偏光黒体温度検量線情報と、から前記測定スポットの温度を取得するよう構成される。p偏光放射輝度取得部が取得したp偏光放射輝度を保持されているp偏光黒体温度検量線情報で示される検量線や関係式に当てはめることで、そのp偏光放射輝度に対応する測定スポットの温度を取得することができる。
(実施形態4 s偏光黒体温度検量線情報保持部)
図11に示していないが、p偏光黒体温度検量線情報保持部とともに又は代えてs偏光黒体温度検量線情報保持部を有するように構成することもできる。s偏光黒体温度検量線情報保持部は、s偏光放射輝度と、黒体の表面温度との関係を示すs偏光黒体温度検量線情報を有するよう構成され、保持されているs偏光黒体温度検量線情報とp偏光放射輝度取得部により取得されたs偏光放射輝度とから、上述の温度取得部が測定スポットの温度を取得するよう構成することができる。
なお、図4で示したように、p偏光放射率εpはs偏光放射率εsに対して大きい。すなわち、黒体の放射率に近い値をとることになるため、p偏光放射輝度を用いて温度取得する方が、s偏光放射輝度を用いる場合より相対的に精度よく温度取得を行うことができて好ましい。
(実施形態4 ハードウェア)
本実施形態の表面状態情報取得装置は、実施形態1から実施形態3の表面状態情報取得装置を実現するハードウェア構成に準じて実現することができ、不揮発性メモリに、さらに温度取得プログラムを有し、p偏光黒体温度検量線情報又は/及びs偏光黒体温度検量線情報を保持し、それらのプログラムを適宜実行することで実現することができる。
<実施形態4 処理の流れ>
本実施形態の処理の流れは、実施形態1から実施形態3の処理の流れに準じたものとなり、さらに取得したp偏光放射輝度と、保持されているp偏光黒体温度検量線情報と、から測定スポットの温度を取得する温度取得ステップ又は/及び取得したs偏光放射輝度と、保持されているs偏光黒体温度検量線情報と、から測定スポットの温度を取得する温度取得ステップを有するものとなる。
(実施形態4 効果)
本実施形態によれば、表面粗度情報を取得するためのp偏光放射輝度やs偏光放射輝度を用いて測定スポットの温度を取得することもできる表面状態情報取得装置を提供することができる。
<実施形態5>
<実施形態5 概要>
本実施形態は、実施形態1から実施形態4のいずれか一を基本として、半球型ミラー間の多重反射を利用して放射測温装置として応用したものである。
<実施形態5 放射測温装置の構成>
図12は、本実施形態の放射測温装置の一例を示す概念図である。図12(a)は、上方から視た図であり、図12(b)は、側方から視た図である。本実施形態の放射測温装置は、測定対象物1201と、第一のミラー1202と、第二のミラー1203と、放射光受光部1205と、からなる。また、図示しないが、この放射測温装置は、実施形態1から実施形態4で説明したp偏光放射輝度取得部やs偏光放射輝度取得部などの各構成も併せて有するものである。
放射光受光部1205は、第一ミラーと第二のミラーとの間で多重反射した光によって測定試料の見かけの放射率を大きくした放射輝度L2を、孔1207を通して測定する。放射光受光部は、サーモパイルなどの赤外光検出素子と、対象から放射される赤外光を赤外光検出素子に集光するレンズなどの光学系とから構成されている。また、第二のミラーの前方には第二のミラーの反射を停止することができるシャッター1206が備わる。このシャッターは、第二のミラーの反射を停止するときに第二のミラーをふさぐとともに測定スポットに対する面が黒体面のように光を極力反射しない面で構成されている。放射光受光部はシャッターにより第二のミラーの反射が停止されたときの放射輝度L1を測定する。また、p偏光及びs偏光の放射輝度の取得は、シャッターにより第二のミラーの反射を停止させたときに、図7(c)で示したような非偏光素子とp偏光素子及びs偏光素子とを備えるチョッパーを放射温度計に配置し、それぞれの偏光素子を介して受光することで、p偏光放射輝度とs偏光放射輝度と非偏光の放射輝度を取得することができる。
<実施形態4 放射測温の測定原理>
本実施形態の放射測温装置は、以下の測定原理に基づき温度測定を行うことができる。概説すると、測定スポットから放射され第一のミラーと第二のミラーとの間の多重反射を経て測定された放射輝度L2と多重反射を経ることなく測定された放射輝度L1との比(以下、放射輝度比という)RL=L2/L1と、測定スポットの反射分布とに基づき測定対象の放射率を推定し、推定した放射率から測定スポットの温度を求める。なお、放射輝度L1は、シャッターを機能させて第二のミラーの反射を停止することで測定でき、放射輝度L2は、シャッターを機能させないで第二のミラーで反射させることで測定できる。
まず、上記L
1とL
2は、下記の数式5で表すことができる。ε
λは波長λでの放射率であり測温対象の角度θ方向の放射率ε
θが該当する。ε
effは多重反射により見かけ上大きくなった放射率である。また、L
b,
λ(T)は、温度Tにおける理想黒体(放射率ε=1)の波長λでの放射輝度である。
ここで、測定対象の表面が完全鏡面的な反射面だとすると、理論上は第一のミラーと第二のミラーとの間で永久的に多重反射を繰り返す。しかし実際には放射束は測定対象で反射する毎にいずれかのミラーの外側に拡散していく。そのため、放射光受光部側の第一のミラーでの反射時に孔を通過する放射束は、第二のミラーと第一のミラーとの間を有限のn回往復の積算とみなすことができ、第一のミラー及び第二のミラーの反射率をρ、測定対象の測定面の反射分布を表す係数である反射分布係数をγとすると、L
2は下記の数式6のように表すことができる。
したがって、放射輝度比はR
L、数式7のように表すことができる。
そして、α=1/ργ-1と設定すると、数式8の関係が得られる。
このように、パラメータαを求めることで、測定スポットの角度θ方向の放射率εθが求まることが分かる。εθが求まれば放射率補正により測定スポットの温度をより正しく算出することができる。
ここで、反射分布係数γを測定する手段の一例を図13に示す。図13(a)に示すように、測定対象1301に対して鉛直方向からレーザ光を照射するためのレーザ光源1302が備わる。また、照射されたレーザ光が測定対象によって拡散反射したレーザ光の強度を図13(b)に示すように複数の拡散角度(θ1、θ2、θ3)にて測定するための受光素子1303が円周状に複数配置されている。これらの受光素子により、図13(b)に示すように、それぞれの拡散角度における拡散反射光強度(Iθ1,Iθ2・・・)を測定する。なお、照射されたレーザ光の拡散反射は全方位(360°)に対して均等に生じることが前提として存在し、その前提に基づいて円周状に配置される受光素子にて拡散反射光強度を測定することで足りる。また、レーザ光の入射点から複数の受光素子までの距離は必ずしも等しいものではないが、距離の差は生じたとしても数ミリメートルから数センチメートル程度に収まるように構成することで、距離による拡散反射光強度の減衰について考慮しなくてもよい。
また、レーザ光源から測温対象へ照射されるレーザ光の軌跡上にビームスプリッター1304を配置し、分光方向に受光素子1305を配置し、図13(b)に示すように測定対象により正反射したレーザ光の反射光強度I
θ0を、この受光素子1305により測定する。このように構成した手段を用いて、取得した拡散反射光強度のいずれか二つの任意の角度(例えば、θ
1とθ
2)における拡散反射光強度(I
θ1とI
θ2)から、下記の式9により反射分布係数γを取得する。
<式9>
また、反射分布係数γの取得は、式9に代えて、上述の測定対象により正反射したレーザ光の反射光強度I
θ0を用いて、下記の式10により取得してもよい。
<式10>
ここで、上述した測定原理における反射分布係数γを、実施形態1などで説明した表面粗度情報に代替する。表面粗度情報は、図4で示したようにps比率である偏光放射率比εs/εp又はdep=(εp-εs)/(εp+εs)で示すことができる。そこで、測定原理における反射分布係数γとパラメータαとの関係を、ps比率とパラメータαとの関係に置き換えて、図14に示すようなps比率とパラメータαとの関係式を事前に実験を行うことで取得しておく。この関係式に測定時のps比率を当てはめることでパラメータαを求めることができる。そして、求めたαと測定から得た放射輝度比RLを数式8に代入することで測温対象の放射率εθが求まる。
多重反射させずに測定スポットからの光を受光して取得した放射輝度L1は数式5で示される。測定スポットの放射率εθは、数式5のελに該当する。放射輝度から温度への換算は、予め保持している放射輝度と黒体の温度との関係を示す検量線に基づく。測定スポットの放射率は黒体の放射率1.0より小さいため、測定スポットからの放射輝度は同温度の黒体より小さくなる。したがって、黒体の検量線に基づき放射輝度L1をそのまま温度換算すると実際の温度より低い温度に換算される。したがって、数式5に基づき取得した放射輝度L1をεθで割り、その値で温度換算する。このように補正することで、測定スポットの放射率に応じた正確な温度測定が可能となる。
(実施形態5 効果)
本実施形態によれば、ps比率に基づく表面粗度情報を用いて放射率を求めることができ、放射率補正による温度測定を行うことができる。