特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解しているものと同じ意味である。本開示の実施または試験において本明細書に記載のものと同様または同等の任意の方法および材料を使用することができるが、好ましい方法および材料も依然として記載されている。本開示の目的のために、以下の用語は次のように定義される。
冠詞「1つ(a/an)」は、1つ以上(すなわち、少なくとも1つ)の文法的目的語を指すために本明細書で使用される。例として、「1つの要素」は1つの要素または複数の要素を意味する。
「約」とは、参照数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量または長さに対する数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量または長さの変化が20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%に達することを意味する。
本明細書で使用されるように、「活性化」という用語は、検出可能な細胞の増殖を誘導するのに十分に刺激されている細胞の状態を指す。活性化はまた、誘導されたサイトカイン産生および検出可能なエフェクター機能と関連し得る。「活性化されたT細胞」という用語は、特に、細胞分裂しているT細胞を指す。
「抗体」という用語は最も広く使用されており、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)および抗体フラグメントを指し、望ましい生物学的活性または機能を示せばよい。本開示における抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、FabとF(ab)2、および一本鎖抗体とヒト化抗体(Harlowら,1999,In:Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY;Harlowら,1989,In:Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,New York;Houstonら,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883;Birdら,1988,Science 242:423−426)を含む様々な形態で存在し得る。
「抗体フラグメント」という用語は、全長抗体の一部、例えば、抗体の抗原結合または可変領域を指す。抗体フラグメントの他の例として、Fab、Fab’、F(ab’)2とFvフラグメント、ダイアボディ、線形抗体、一本鎖抗体分子、および抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体を含む。
「Fv」という用語は、完全な抗原認識および抗原結合部位を含む最小の抗体フラグメントを指す。このフラグメントは、緊密で、非共有結合される1つの重鎖可変領域ドメインと1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。これらの2つのドメインを折り畳むことにより、6つの超可変ループ(H鎖からの3つのループとL鎖からの3つのループ)が生成され、抗原結合に使用されるアミノ酸残基を提供し、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つの相補的決定領域(CDR)のみを含むFvの半分)であっても、その親和性が結合部位全体(二量体)よりも低いが、抗原を認識して結合する能力がある。
本明細書で使用される「抗体重鎖」は、自然に存在するコンフォメーションですべての抗体分子に存在する2種類のポリペプチド鎖のうちの大きい方を指す。本明細書で使用される「抗体軽鎖」は、自然に存在するコンフォメーションですべての抗体分子に存在する2種類のポリペプチド鎖のうちの小さい方を指す。Κおよびλ軽鎖は、2つの主要な抗体軽鎖アイソタイプを指す。
「合成抗体」という用語は、例えば、バクテリオファージによって発現される抗体などの、組換えDNA技術を使用して生成される抗体を指す。前記用語はまた、抗体をコードするDNA分子の合成、および抗体を得るためまたは抗体をコードするアミノ酸を得るためのDNA分子の発現によって生成された抗体を含む。合成DNAは、当技術分野で利用可能でよく知られている技術を使用して得られる。
「抗原」という用語は、抗体産生、または特異的免疫機能を持つ細胞の活性化、またはその両方を含み得る、免疫応答を誘発する分子を指す。抗原は、すべてのタンパク質やペプチドを含む任意の高分子、または組換えやゲノムDNAに由来する分子を含む。例えば、DNAは、免疫応答を誘発するタンパク質またはペプチドをコードするヌクレオチド配列または一部のヌクレオチド配列を含むため、本明細書で使用される用語「抗原」をコードする。抗原は、遺伝子の全長ヌクレオチド配列によってのみコードされる必要はない。抗原は、組織サンプル、腫瘍サンプル、細胞または生体液を含む生体サンプルから生成、合成、または誘導することができる。
本明細書で使用されるように、「抗腫瘍作用」という用語は、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞数の減少、転移数の減少、腫瘍細胞増殖の減少、腫瘍細胞生存数の減少、腫瘍細胞を有する対象の平均余命の増加または癌性病態に関連する様々な生理学的症状の改善に関連する生物学的作用を指す。「抗腫瘍作用」は、そもそも腫瘍の発生を予防する際のペプチド、ポリヌクレオチド、細胞および抗体の能力によって明らかにすることができる。
「自己抗原」という用語は、免疫系によって外来であると誤認される抗原を指す。自己抗原には、細胞表面受容体を含む、細胞タンパク質、リンタンパク質、細胞表面タンパク質、細胞脂質、核酸、糖タンパク質が含まれる。
「自己の」という用語は、その後同じ被検者に再導入される、被検者に由来する材料を説明するために使用される。
「同種異系の」という用語は、同じ種の異なる被検者に由来する移植片を説明するために使用される。一例として、ドナー被検者は、関連または非関連またはレシピエント被験体であり得るが、ドナー被検者はレシピエント被験体と同様の免疫系マーカーを有する。
「異種の」という用語は、異なる種に由来する被検者の移植片を説明するために使用される。一例として、ドナー被検者はレシピエント被験体とは異なる種に由来し、ドナー被検者およびレシピエント被験体は遺伝的および免疫学的に不適合であり得る。
「癌」という用語は、異常な細胞の急速で制御されない成長を特徴とする疾患を指すために使用される。癌細胞は、局所的に転移し、または血流とリンパ系を介して体の他の部分に転移する可能性がある。様々な癌の例としては、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頚癌、皮膚癌、膵臓癌、結腸直腸癌、腎臓癌、肝臓癌、脳癌、リンパ腫、白血病、肺癌などが含まれる。
明細書全体において、文脈によって別段の要求をしていない限り、「含む(comprise)」、「含む(includes)」および「含む(including)」という言葉は、前記ステップや要素或いはステップや要素の群を含むことを示唆するが、他のステップや要素或いはステップや要素の群を除外しないように理解される。
「・・・からなる」という語句は、「・・・からなる」という語句の後のあらゆるものを含み、かつそれに限定されることを意味する。従って、「・・・からなる」という語句は、リストされた要素が必須または必要であり、他の要素が存在しないことを示す。
「基本的には・・・からなる」という語句は、語句の後にリストされた任意の要素を含み、かつ本開示においてリストされた要素に対して指定された活動または動作に妨害または影響しない他の要素を含み得ることを意味する。従って、「基本的には・・・からなる」という語句は、リストされた要素が必須または必要であるが、他の要素は選択可能であり、リストされた要素の活動または動作に影響するかどうかに応じて、存在する場合と存在しない場合があることを示す。
「相補的」および「相補性」という用語は、塩基対合規則によって関連するポリヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチド配列)を指す。例えば、配列「A−G−T」は配列「T−C−A」と相補的である。相補性は、核酸の一部の塩基のみが塩基対合規則に従って一致する「部分的な」相補性であってもよく、核酸間に存在する「完全な」または「全体的な」相補性であってもよい。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率と強度に大きな影響を与える。
「に対応する(corresponds to)」または「対応する(corresponding to)」という用語は、(a)参照ポリヌクレオチド配列の全部または一部に実質的に同一または相補的なヌクレオチド配列を有するか、ペプチドまたはタンパク質におけるアミノ酸配列と同じアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド、または(b)参照ペプチドまたはタンパク質におけるアミノ酸配列と実質的に同じのアミノ酸配列を有するペプチドまたはポリペプチド、を意味する。
「共刺激リガンド」という用語は、抗原提示細胞(例えば、APC、樹状細胞、B細胞など)上の分子を指し、それがT細胞上の相同の共刺激分子に特異的に結合し、それによって、例えば、TCR/CD3複合体とペプチドが担持されたMHC分子との結合によって提供される一次信号以外の信号を提供し、前記信号は、増殖、活性化、分化および他の細胞応答の少なくとも1つを含むT細胞応答を媒介する。共刺激リガンドは、B7−1(CD80)、B7−2(CD86)、PD−L1、PD−L2、4−1BBL、OX40L、誘導性共刺激リガンド(ICOS−L)、細胞間接着分子(ICAM)、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA−G、MICA、MICB、HVEM、リンホトキシンβ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、HVEM、CD7のリガンド、Tollリガンド受容体に結合するアゴニストまたは抗体およびB7−H3と特異的に結合するリガンドを含み得る。 共刺激リガンドは、特に、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3およびCD83と特異的に結合するリガンドなど、T細胞に存在する共刺激分子と特異的に結合するアゴニストまたは抗体、をさらに含む。
「共刺激分子」という用語は、共刺激リガンドに特異的に結合し、それによって増殖などのT細胞による共刺激応答を媒介する、T細胞上の相同結合パートナーを指す。共刺激分子は、MHC クラスI分子、BTLAおよびToll様受容体を含む。
「共刺激信号」という用語は、TCR/CD3ライゲーションなどの一次信号と組み合わせて、T細胞の増殖および/または主要分子のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションを引き起こす信号を指す。「疾患」および「病状」という用語は、互換的に使用されてもよいし、特定の疾患または病状の病原性物質が分からない(従って、病因がまだ解明されていない)可能性があるため、疾患としてまだ周知されておらず、臨床医によって多かれ少なかれ特定の症状が特定されている望ましくない状態または症候群としてのみ認識されているという点で、異なる場合がある。「疾患」とは、被検者の健康状態が恒常性を維持できない状態であり、疾患が改善されなければ、被検者の健康が悪化し続ける状態をいう。対照的に、被検者の「病症」とは、動物が恒常性を維持できる健康状態であるが、その動物の健康状態が、病症がない場合よりも好ましくない状態である。無治療のまま放置しても、病症があるからといって、動物の健康状態がさらに低下するとは限らない。
「有効」という用語は、望ましい、期待された、または意図された結果を達成するのに十分であることを意味する。例えば、治療設定における「有効量」は、治療上または予防上の有益性をもたらすのに十分な化合物の量であり得る。
「エンコード」という用語は、決定されたヌクレオチドの配列(すなわち、rRNA、tRNAおよびmRNA)、または決定されたアミノ酸配列およびその結果として生じる生物学的特性のいずれかを有する生物学的プロセスにおいて、他のポリマーおよび高分子の合成のためのテンプレートとして機能するために、遺伝子、cDNAまたはmRNAなどのポリヌクレオチドにおける特定ヌクレオチド配列の固有特性を指す。従って、遺伝子は、前記遺伝子に対応するmRNAの転写および翻訳が、細胞または他の生物学的系においてタンパク質を産生する場合に、前記タンパク質をコードする。mRNA配列と同一のヌクレオチド配列(「U」で「T」が置換されていることを除き、通常は配列表に記載されている)を有するコード化鎖と、遺伝子またはcDNA転写のテンプレートとして使用される非コード化鎖は、いずれも、前記遺伝子またはcDNAのタンパク質または他の産物をコードするものとして参照することができる。
「外因性」という用語は、野生型の細胞または生物体に自然に存在しないが、通常は分子生物学的技術によって細胞内に導入される分子を指す。外因性ポリヌクレオチドの一例として、ベクター、プラスミドおよび/または所望のタンパク質をコードする人工核酸構築物が含まれる。ポリヌクレオチドおよびタンパク質に関して、「内因性」または「自然的」という用語は、与えられた野生型の細胞または生物体内に見出され得る自然に存在するポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列を指す。同様に、分子生物学的技術によって、第1の生物体から単離して第2の生物体に転移された特定のポリヌクレオチド配列は、第2の生物体に対して「外因性」のポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列と見なされる。具体的な実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、分子生物学的技術によって、そのようなポリヌクレオチド配列を含んでいる微生物に「導入」することができ、それによって、例えば、自然に存在するポリヌクレオチド配列の1つ以上の他のコピーを作成し、コードされたポリペプチドの過剰発現を促進する。
「発現」という用語は、そのプロモーターによって駆動される特定のヌクレオチド配列の転写および/または翻訳を指す。
「発現ベクター」という用語は、発現されるヌクレオチド配列に操作可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターは、発現のための十分なシス作用要素を含み、発現のための他の要素は、宿主細胞によって提供され、またはインビトロ発現系において提供され得る。発現ベクターは、当技術分野で知られている、組換えポリヌクレオチドを組み込んだすべてのもの、例えば、コスミド、プラスミド(例えば、裸、またはリポソームに含まれている)およびウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)を含む。
「相同」という用語は、2つの比較される配列の1つの位置が同じ塩基またはアミノ酸モノマーサブユニットによって占有されている場合、2つのポリペプチド間または2つのポリヌクレオチド間の配列類似性または配列同一性を意味し、例えば、2つのDNA分子のそれぞれの位置がアデニンによって占有されている場合、分子は前記位置で相同である。2つの配列間の相同性の割合は、2つの配列が共有している一致するまたは相同な位置の数を、比較された位置の数で割ったもの×100の関数である。例えば、2つの配列における10個の位置のうち6個の位置が一致しまたは相同であれば、2つの配列は60%の相同性を有する。例えば、DNA配列ATTGCCとTATGGCは50%の相同性を有する。相同性が最大になるように、2つの配列をアラインメントしたときに比較が行われる。
「免疫グロブリン」または「Ig」という用語は、抗体として機能するタンパク質のクラスを指す。このようなタンパク質に含まれるメンバーは、IgA、IgG、IgM、IgDおよびIgEの5つである。IgAは、唾液、涙、母乳、消化管分泌物、呼吸器や生殖器の粘液分泌物などの体内分泌物に存在する一次抗体である。IgGは、最も一般的な循環抗体である。IgMは、ほとんどの被検者における一次免疫応答で産生される主な免疫グロブリンである。凝集、補体固定および他の抗体応答において最も効率的な免疫グロブリンであり、細菌やウイルスからの防御に重要な役割を果たしている。IgDは、既知の抗体機能を有しないが、抗原受容体として機能できる免疫グロブリンである。IgEは、アレルゲンへの暴露時に、肥満細胞および好塩基球からのメディエーターの放出を引き起こすことにより、即時型の過敏症を媒介する免疫グロブリンである。
「単離」という用語は、基本的または実質的には、その本来の状態でそれに通常付随する成分に含まれない材料を指す。前記材料は、細胞、またはタンパク質や核酸などの高分子であり得る。例えば、本明細書で使用される「単離ポリヌクレオチド」は、自然に存在する状態でそれに隣接する配列から精製されたポリヌクレオチド、例えば、フラグメントに通常隣接する配列から除去されたDNAフラグメントを指す。あるいは、本明細書で使用される「単離ペプチド」または「単離たポリペプチド」などは、ペプチドまたはポリペプチド分子を、その自然な細胞環境から、および細胞の他の成分との会合から、インビトロで単離および/または精製したものを指す。
「基本的に精製された」という用語は、その本来の状態でそれに通常会合する成分に基本的に含まれない材料を指す。例えば、基本的に精製された細胞は、その自然に発生した状態または本来の状態で通常会合している他の細胞種類から単離された細胞を指す。いくつかの実施形態では、基本的に精製された細胞集団は均質な細胞集団を指す。他の実施形態では、この用語は、単に、その本来の状態でそれと自然に会合している細胞から単離された細胞を指す。実施形態では、細胞はインビトロで培養される。実施形態では、細胞はインビトロで培養されない。
本開示の文脈では、一般的に存在する核酸塩基の以下の略語を使用する。「A」はアデノシン、「C」はシトシン、「G」はグアノシン、「T」はチミジン、「U」はウリジンを表す。
特に指定のない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いに縮退版であり、かつ同じアミノ酸配列をコードするすべてのヌクレオチド配列を含む。タンパク質またはRNAをコードするヌクレオチド配列という語句は、さらに、タンパク質をコードするヌクレオチド配列がある形態で1つ以上のイントロンを含んでもよい程度でイントロンを含み得る。
「レンチウイルス」という用語は、レトロウイルス科の属を指す。レンチウイルスは、レトロウイルスの中でも独特であり、非分裂細胞に感染することができ、また、大量の遺伝子情報を宿主細胞のDNAに送り込むことができるため、遺伝子送達ベクターとしては最も効率的な方法の1つである。HIV、SIVおよびFIVはすべてレンチウイルスの例である。レンチウイルスに由来するベクターは、有意なレベルの遺伝子導入をインビボで達成する手段を提供する。
「調節」という用語は、治療をしないまたは化合物を使用しない場合の被検者における応答レベルと比較して、および/または他の同様であるが未治療の被検者における応答レベルと比較して、被検者における応答レベルの検出可能な増加または減少を媒介することを指す。前記用語は、本来の信号や応答を干渉し、および/または影響を与え、それによって被検者、好ましくはヒトにおいて有益な治療応答を媒介することを含む。
核酸は、別の核酸配列と機能的な関係に置かれたときに、「操作可能に連結されている」。例えば、プレ配列または分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現している場合には、ポリペプチドのDNAに操作可能に連結されており、プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響を与える場合には、コード化配列に操作可能に連結されており、または、リボソーム結合部位は、翻訳を容易にするように配置されている場合には、コード化配列に操作可能に連結されている。
「転写制御下」という用語は、RNAポリメラーゼによる転写の開始およびポリヌクレオチドの発現を制御するために、プロモーターがポリヌクレオチドに操作可能に連結され、且つポリヌクレオチドに対して正しい位置および配向にあることを指す。
「過剰発現された」腫瘍抗原または腫瘍抗原の「過剰発現」という用語は、特定の組織または器官からの正常な細胞における発現レベルに対する、患者の前記組織または器官の固形腫瘍などの疾患領域からの細胞における腫瘍抗原の異常な発現レベルを示すことを意図する。腫瘍抗原の過剰発現を特徴とする固形腫瘍または血液悪性腫瘍を有する患者は、当技術分野で知られている標準的なアッセイによって確定することができる。
固形腫瘍は、通常、嚢胞や液状の部分を含まない異常な組織の塊である。固形腫瘍には、良性のものと悪性のものがある。様々な種類の固形腫瘍は、それらを形成する細胞の種類に応じて命名される(肉腫、癌腫やリンパ腫など)。肉腫や癌腫などの固形腫瘍の例としては、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫などの肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、リンパ系悪性腫瘍、膵臓癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、甲状腺髄様癌、甲状腺乳頭癌、褐色細胞腫皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝臓癌、胆管癌、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、セミノーマ、膀胱癌、黒色腫およびCNS(中枢神経系)腫瘍(神経膠腫など(脳幹神経膠腫や混合神経膠腫など)、膠芽腫(多形性膠芽腫とも呼ばれる)、星細胞腫、CNSリンパ腫、胚細胞腫、髄芽腫、神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫や脳転移)が含まれる。
固形腫瘍抗原は、固形腫瘍で発現される抗原である。実施形態では、固形腫瘍抗原はまた、健康な組織において低レベルで発現される。固形腫瘍抗原およびその関連する疾患腫瘍の例を表1に提供する。
組成物の「非経口投与」という用語は、例えば、皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)、胸骨内注射または注入技術を含む。
「患者」、「被検者」や「個体」などの用語は、本明細書で互換的に使用され、本明細書に記載された方法に適合する任意のヒト、動物または生体を指す。特定の非限定的な実施形態では、患者、被検者または個体は、ヒトまたは動物である。実施形態では、「被検者」という用語は、免疫応答が誘発され得る生体(例えば、哺乳動物)を含むことが意図される。被検者の例としては、ヒト、および犬、猫、マウス、ラットおよびそれらの遺伝子組み換え種などの動物が含まれる。
治療を必要とする被検者またはその必要性がある被検者には、治療を必要とする疾患、病状または病症を有する被検者が含まれる。その必要性がある被検者は、疾患、病状または病症の予防のために治療を必要とする被検者も含まれる。
「ポリヌクレオチド」または「核酸」という用語は、mRNA、RNA、cRNA、rRNA、cDNAまたはDNAを指す。前記用語は、通常、リボヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチド、またはいずれかのタイプのヌクレオチドの修飾された形態の、長さが少なくとも10塩基のヌクレオチドの重合体形態を指す。前記用語は、一本鎖や二本鎖形態を含む核酸のすべての形態を含む。
「ポリヌクレオチド変異体」および「変異体」などの用語は、参照ポリヌクレオチド配列と実質的な配列同一性を示すポリヌクレオチド、または以下に定義される厳しい条件で参照配列とハイブリダイズするポリヌクレオチドを指す。これらの用語は、さらに少なくとも1つのヌクレオチドの付加、欠失または置換によって参照ポリヌクレオチドと区別されるポリヌクレオチドを含む。従って、「ポリヌクレオチド変異体」および「変異体」という用語は、1つ以上のヌクレオチドが付加または欠失されたか、異なるヌクレオチドに置換されたポリヌクレオチドを含む。この点に関して、当技術分野でよく理解されるように、参照ポリヌクレオチドに対して、突然変異、付加、欠失および置換を含む特定の改変を行うことができ、それにより、改変されたポリヌクレオチドは参照ポリヌクレオチドの生物学的機能または活性を保持するか、参照ポリヌクレオチドに対して活性が増加する(すなわち、最適化される)。ポリヌクレオチド変異体は、例えば、本明細書に記載された参照ポリヌクレオチド配列と少なくとも50%(少なくとも51%〜少なくとも99%およびその間のすべての整数パーセンテージ、例えば、90%、95%または98%)の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む。「ポリヌクレオチド変異体」および「変異体」という用語は、自然に存在する対立遺伝子変異体およびオーソログを含む。
「ポリペプチド」、「ポリペプチドフラグメント」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書で互換的に使用でき、アミノ酸残基のポリマーならびにそのバリアントおよび合成類似体を指す。従って、これらの用語は、1つ以上のアミノ酸残基が合成の非自然に存在するアミノ酸であるアミノ酸ポリマー、例えば、対応する自然に存在するアミノ酸の化学類似体、および自然に存在するアミノ酸ポリマーに適用される。特定の態様において、ポリペプチドは、通常、様々な化学反応を触媒する(すなわち、その速度を上げる)酵素ポリペプチドまたは「酵素」を含み得る。
「ポリペプチド変異体」という用語は、少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失または置換によって参照ポリペプチド配列と区別されるポリペプチドを指す。特定の実施形態では、ポリペプチド変異体は、保存的または非保存的であり得る1つ以上の置換によって参照ポリペプチドと区別される。特定の実施形態では、ポリペプチド変異体は保存的置換したものを含み、この点において、いくつかのアミノ酸は、ポリペプチド活性の性質を変えることなく、略類似する特性を有する他のアミノ酸に変更され得ることは、当技術分野でよく理解されている。ポリペプチド変異体はまた、1つ以上のアミノ酸が付加または欠失されたか、異なるアミノ酸残基によって置換されたポリペプチドを含む。
「プロモーター」という用語は、細胞の合成機構が認識され、または合成機構の導入によって、ポリヌクレオチド配列の特定の転写を開始するために必要なDNA配列を指す。「発現制御配列」という用語は、特定の宿主生物において操作可能に連結されたコード化配列を発現させるために必要なDNA配列を指す。原核生物に適した制御配列は、例えば、プロモーター、任意選択的なオペレーター配列およびリボソーム結合部位を含む。真核細胞はプロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを利用することが知られている。
「結合(bind)」、「結合(binds)」または「・・・と互いに作用する」という用語は、サンプルまたは生物中の第2の分子を認識して付着するが、サンプル中の他の構造的に無関係な分子を基本的に認識または付着しない分子を指す。抗体に関して、本明細書で使用される「特異的に結合する」という用語は、特異的な抗原を認識するが、サンプル中の他の分子を基本的に認識または結合しない抗体を指す。例えば、1つの種からの抗原と特異的に結合する抗体は、1つ以上の種からのその抗原にも結合し得る。しかし、そのような異種間反応性は、それ自体が抗体の特異的な分類を変更しない。別の例では、抗原と特異的に結合する抗体は、異なる対立遺伝子型の抗原に結合してもよい。しかしながら、このような交差反応性は、それ自体が抗体の特異的な分類を変更しない。いくつかの実施形態では、「特異的に結合する(specific binding)」または「特異的に結合する(specifically binding)」という用語は、抗体、タンパク質またはペプチドと第2の化学種との相互作用に関して使用することができ、相互作用が化学種上の特定の構造(例えば、抗原決定基またはエピトープ)の存在に依存することを暗示する;例えば、抗体は、任意のタンパク質ではなく、特定のタンパク質構造を認識して結合する。抗体がエピトープ「A」に特異的である場合、標識「A」および抗体を含む反応で、エピトープA(または遊離の非標識A)を含む分子が存在すると、抗体に結合する標識Aの量が減少する。
「統計的に有意」とは、その結果が偶然に発生した可能性が低いことを意味する。統計的に有意性は、当技術分野で知られている任意の方法で決定することができる。一般的に使用される有意性の尺度は、帰無仮説が真である場合に観察された事象が発生する頻度または確率であるp値を含む。得られたp値が有意性レベルよりも小さい場合、帰無仮説は棄却される。単純な場合に、有意性レベルは0.05以下のp値で定義される。「減少した」または「低下した」または「より少ない」量は、通常、「統計的に有意な」または生理学的に有意な量であり、本明細書に記載されている量またはレベルの約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40または50倍以上(例えば、100、500、1000倍)の減少を含む(1以上のすべての整数および小数点、例えば1.5、1.6、1.7、1.8などを含む)。
「刺激」という用語は、刺激分子(例えば、TCR/CD3複合体)とその相同リガンドとの結合によって、TCR/CD3複合体を介した信号伝達などの信号伝達イベントを媒介して、誘導された一次応答を指す。刺激は、特定の分子の発現の変化、例えば、TGF−βのダウンレギュレーションおよび/または細胞骨格構造の再編成を媒介することができる。
「刺激分子」という用語は、抗原提示細胞に存在する相同刺激リガンドと特異的に結合するT細胞上の分子を指す。例えば、来刺激分子に由来する機能的信号伝達ドメインは、T細胞受容体複合体に会合するζ鎖である。
「刺激リガンド」という用語は、抗原提示細胞(例えば、APC、樹状細胞、B細胞など)上に存在する場合、T細胞などの細胞上の相同結合パートナー(本明細書で「刺激分子」をいう)に特異的に結合でき、それによって、活性化、免疫応答の開始、増殖および類似のプロセスを含む、T細胞の一次応答を媒介するリガンドを指す。刺激リガンドは当技術分野で周知であり、特に、ペプチド、抗CD3抗体、超アゴニスト抗CD28抗体および超アゴニスト抗CD2抗体が負荷されたMHC クラスI分子を包含する。
「治療の」という用語は、治療および/または予防を指す。治療效果は、病状の抑制、寛解または根絶または病状の緩和によって得られる。
「治療上有効な量」という用語は、研究者、獣医、医師または他の臨床医が求めている組織、系または被検者の生物学的または医学的応答を誘発する化合物の量を指す。「治療上有効な量」という用語は、投与されたときに、治療される病症または疾患の1つ以上の徴候または症状の発展を防止するか、またはある程度軽減するのに十分である化合物の量を含む。治療上有効な量は、化合物、疾患およびその重症度、ならびに治療される被検者の年齢、体重などによって変化する。
「疾患を治療する」という用語は、被検者が経験する疾患または病症の少なくとも1つの徴候または症状の頻度または重症度の軽減を指す。
「トランスフェクトされた」または「形質転換された」または「形質導入された」という用語は、外因性核酸が宿主細胞に転移または導入されたプロセスを指す。「トランスフェクトの」または「形質転換された」または「形質導入された」細胞は、外因性核酸でトランスフェクト、形質転換または形質導入された細胞である。前記細胞は、一次被験細胞およびその子孫を含む。
「ベクター」という用語は、単離核酸を含み、単離核酸を細胞内部に送達し得るポリヌクレオチドを指す。線状ポリヌクレオチド、イオンまたは両親媒性化合物と会合するポリヌクレオチド、プラスミドおよびウイルスを含む、多数のベクターが当技術分野で知られている。従って、「ベクター」という用語は、自律的に複製するプラスミドまたはウイルスを含む。前記用語はまた、細胞への核酸の転移を促進する非プラスミドおよび非ウイルス化合物、例えば、ポリリジン化合物、リポソームなどを含む。ウイルスベクターの例には、アデノウイルスベクター、腺伴随ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどが含まれる。例えば、レンチウイルスは複雑なレトロウイルスであり、一般的なレトロウイルス遺伝子gag、polおよびenvに加えて、調節機能または構成機能を持つ他の遺伝子をさらに含む。レンチウイルスベクターは当技術分野で周知である。レンチウイルスのいくつかの例には、ヒト免疫不全ウイルス:HIV−1、HIV−2およびサル免疫不全ウイルス:SIVが含まれる。レンチウイルスベクターは、HIV病原性遺伝子を多重弱毒化することによって生成され、例えば、遺伝子env、vif、vpr、vpuおよびnefを欠失させることで、生物学的に安全なベクターとなる。
範囲:本開示全体を通して、本開示の様々な態様を範囲形式で提示することができる。理解されるように、範囲形式の説明は、単に便宜上および簡潔さのためのものであり、本開示の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではない。従って、範囲の説明は、その範囲内の個々の数値だけでなく、可能なすべてのサブ範囲を具体的に開示したものと考えるべきである。例えば、1から6までのような範囲の説明は、1から3まで、1から4まで、1から5まで、2から4まで、2から6まで、3から6までのサブ範囲と、その範囲内の個々の数字、例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3および6が具体的に開示されていると考えるべきである。範囲の広さに関係なく適用される。
「キメラ抗原受容体」(CAR)分子は、少なくとも細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインまたは細胞内ドメインを含む組換えポリペプチドである。実施形態では、CARのドメインは、同じポリペプチド鎖、例えばキメラ融合タンパク質上にある。実施形態では、前記ドメインは、異なるポリペプチド鎖にあり、例えばドメインは隣接していない。
CAR分子の細胞外ドメインは抗原結合ドメインを含む。実施形態では、抗原結合ドメインは、B細胞表面上の抗原、例えば細胞表面分子またはマーカーに結合する。実施形態では、B細胞の細胞表面分子はCD19、CD22、CD20、BCMA、CD5、CD7、CD2、CD16、CD56、CD30、CD14、CD68、CD11b、CD18、CD169、CD1c、CD33、CD38、CD138またはCD13を含む。実施形態では、B細胞の細胞表面分子はCD19、CD20、CD22またはBCMAである。具体的な実施形態では、B細胞の細胞表面分子はCD19である。
実施形態では、抗原結合ドメインは腫瘍表面上の抗原、例えば腫瘍抗原または腫瘍マーカーに結合する。腫瘍抗原は、免疫応答、特にT細胞を介した免疫応答を誘発する腫瘍細胞によって産生されるタンパク質である。腫瘍抗原は当技術分野で周知であり、例えば腫瘍関連MUC1、神経膠腫関連抗原、癌胎児性抗原(CEA)、β−ヒト絨毛性ゴナドトロピン、アルファフェトプロテイン(AFP)、レクチン反応性AFP、チログロブリン、RAGE−1、MN−CA IX、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2(AS)、腸溶性カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70−2、M−CSF、前立腺酵素(prostase)、前立腺特異的抗原(PSA)、PAP、NY−ESO−1、LAGE−1a、p53、前立腺特異的タンパク質(prostein)、PSMA、Her2/neu、生存、テロメラーゼ、前立腺癌腫瘍抗原−1(PCTA−1)、MAGE、ELF2M、好中球エラスターゼ、エフリンB2、CD22、インスリン成長因子(IGF)−I、IGF−II、IGF−I受容体およびメソセリンを含む。例えば、腫瘍抗原がCD19である場合、そのCARはCD19CARと呼ぶことができる。
実施形態では、CARの細胞外抗原結合ドメインは、少なくとも1つのscFvまたは少なくとも1つの単一ドメイン抗体を含む。一例として、CARに2つのscFvが存在する場合がある。scFvは、柔軟なリンカによって連結された標的抗原特異性モノクローナル抗体の軽鎖可変(VL)領域および重鎖可変(VH)領域を含む。一本鎖可変領域フラグメントは、短い連結ペプチドを用いて軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域を連結することにより調製することができる(Birdら,Science 242:423−426,1988)。連結ペプチドの例は、アミノ酸配列(GGGGS)3(配列番号278)を有するGSリンカであり、1つの可変領域のカルボキシ末端と別の可変領域のアミノ末端の間を約3.5nm架橋する。他の配列のリンカが設計および使用されている(Birdら,1988,上記と同様)。通常、リンカは、短く、柔軟なポリペプチドであり得、好ましくは約20以下のアミノ酸残基を含む。一本鎖変異体は、組換えまたは合成によって生産することができる。scFvの合成生産のためには、自動合成装置を使用することができる。scFvの組換え生産のためには、scFvをコードするポリヌクレオチドを含む適当なプラスミドを適当な宿主細胞、例えば、酵母、植物、昆虫や哺乳類細胞などの真核生物、または大腸菌などの原核生物のいずれかに導入することができる関心のあるscFvをコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの連結などの通常の操作によって調製することができる。得られたscFvは、当技術分野で知られている標準的なタンパク質精製技術を用いて単離することができる。
本明細書に記載されるCAR分子の細胞質ドメインは、1つ以上の共刺激ドメインおよび1つ以上の信号伝達ドメインを含む。共刺激ドメインおよび信号伝達ドメインは、抗原結合に応答して信号を伝達し、T細胞などの分子を活性化するように機能する。1つ以上の共刺激ドメインは、刺激分子および/または共刺激分子に由来し、信号伝達ドメインは、CD3 ζドメインなどの一次信号伝達ドメインに由来する。実施形態では、信号伝達ドメインはまた、共刺激分子に由来する1つ以上の機能的信号伝達ドメインを含む。実施形態では、共刺激分子は、抗原に対する細胞応答を活性化するために必要な細胞表面分子(抗原受容体またはそのリガンド以外のもの)である。
実施形態では、共刺激ドメインは、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、及び、CD83と特異的に結合するリガンド、またはそれらの任意の組み合わせの細胞内ドメインを含む。実施形態では、信号伝達ドメインは、T細胞受容体に由来するCD3 ζドメインを含む。
実施形態では、CARの細胞質ドメインは、1つ以上の刺激ドメインのみを含み、信号伝達ドメインを含まない。
CAR分子はまた、膜貫通ドメインを含む。膜貫通ドメインをCAR分子に組み込むことで、分子を安定化にする。実施形態では、CAR分子の膜貫通ドメインは、CD28または4−1BB分子の膜貫通ドメインである。
CARの細胞外ドメインと膜貫通ドメインの間には、スペーサードメインが組み込まれる場合がある。本明細書で使用されるように、「スペーサードメイン」という用語は、通常、ポリペプチド鎖上の細胞外ドメインまたは細胞質ドメインに膜貫通ドメインを連結するために機能する任意のオリゴペプチドまたはポリペプチドを意味する。スペーサードメインは、最大300個のアミノ酸、好ましくは10〜100個のアミノ酸、最も好ましくは25〜50個のアミノ酸を含み得る。
本開示は、少なくとも2つの異なる抗原結合ドメインをコードする単離核酸を記載している。実施形態では、WBCの表面上の抗原に結合する第1の抗原結合ドメインがあり、且つ、WBCの表面上の抗原とは異なる腫瘍上の抗原に結合する第2の抗原結合ドメインがある。第1の抗原結合ドメインは、導入された細胞を増幅する機能を有し、第2の抗原結合ドメインは、標的抗原に結合した後、標的腫瘍抗原を含む腫瘍細胞の増殖を抑制または前記腫瘍細胞を殺傷する機能を有する。実施形態では、本明細書に記載される単離核酸は、同じ核酸分子上の第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインをコードする。実施形態では、2つの抗原結合ドメインは、2つの個別の核酸分子によってコードされる。例えば、第1の核酸は第1の抗原結合ドメインをコードし、第2の核酸は第2の抗原結合ドメインをコードする。
実施形態では、本開示は、結合分子の第1の抗原結合ドメインおよび結合分子の第2の抗原結合ドメインをコードする核酸を記載しており、ここで、第1の抗原結合ドメインはWBCの細胞表面分子に結合し、かつ第2の抗原結合ドメインは、WBCの細胞表面分子と異なる抗原に結合する。実施形態では、第2の結合ドメインはB細胞マーカーに結合しない。実施形態では、第2の結合ドメインは、配列番号264または265のアミノ酸配列を有するscFvを含む。例えば、第2の抗原結合ドメインは、配列番号271−277のアミノ酸配列の1つを有するCAR上にある。
実施形態では、第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインは、第1のCARおよび第2のCARなどの2つの異なる結合分子(第1の結合分子および第2の結合分子)にあってよい。一例として、第1のCARは、B細胞表面上のマーカーに結合する細胞外結合ドメインを含み、第2のCARは、腫瘍細胞の標的抗原に結合する細胞外結合ドメインを含む。実施形態では、第1のCARおよび第2のCARは、異なる核酸によってコードされる。実施形態では、第1のCARおよび第2のCARは、2つの異なる結合分子であるが、単一の核酸によってコードされる。
実施形態では、2つの異なる抗原結合ドメインは、例えば、二重特異性CAR上の同じ結合分子上にあり、且つ単一の核酸によってコードされ得る。実施形態では、二重特異性CARは、リンカによって連結された2つの異なるscFv分子を有することができる。
実施形態では、2つの異なる抗原結合ドメインは、CARおよびT細胞受容体(TCR)上にあり、かつ個別の核酸によってコードされ得る。TCRの結合ドメインは、腫瘍細胞上の特異的な腫瘍抗原または腫瘍マーカーを標的とすることができる。実施形態では、TCR結合ドメインは、特異的な腫瘍抗原を標的とするTCRα結合ドメインまたはTCRβ結合ドメインである。実施形態では、TCRは、TCRγおよびTCRδ鎖またはTCRαおよびTCRβ鎖を含む。
本開示はまた、上記の単離核酸を含むベクターについて説明している。実施形態では、単一のベクターは、第1のCARおよび第2のCARまたはTCRをコードする単離核酸を含む。実施形態では、第1のベクターは第1のCARをコードする第1の核酸を含み、第2のベクターは第2のCARまたはTCRをコードする核酸を含む。実施形態では、ベクターは、少なくとも2つの抗原結合ドメインを含む二重特異性CARを含む。
さらに、本開示は、上記の単離核酸またはベクターを含む細胞について説明している。細胞には本明細書に記載の単離核酸またはベクターが導入され、少なくとも2つ以上の異なる結合ドメインを発現する。実施形態では、細胞は、第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインを含み、ここで、第1の抗原結合ドメインはWBCの細胞表面分子に結合し、かつ第2の抗原結合ドメインは、WBCの細胞表面分子とは異なる抗原に結合する。さらに、本開示は、本明細書に記載されたT細胞集団の組成物を記載している。実施形態では、細胞はリンパ球である。具体的な実施形態では、リンパ球は、T細胞、NK細胞または樹状細胞である。
本開示はまた、上記細胞を培養する方法について説明している。本明細書に記載の方法は、第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインからなる細胞を得ること、ここで、第1の抗原結合ドメインはWBCの細胞表面分子に結合し、かつ第2の抗原結合ドメインはWBCの細胞表面分子と異なる抗原に結合し、および、WBCの細胞表面分子または第2の抗原結合ドメインが結合する抗原に由来する試薬の存在下で細胞を培養すること、を含む。実施形態では、試薬は、WBCの細胞表面分子の細胞外ドメインである。
本開示は、インビトロで細胞を調製するための方法を記載しており、前記方法は、細胞を提供することと、第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインをコードする1つ以上の核酸を細胞に導入すること、ここで、第1の抗原結合ドメインはWBCの細胞表面分子に結合し、かつ第2の抗原結合ドメインはWBCの細胞表面分子と異なる抗原に結合し、および、WBCの細胞表面分子または第2の抗原結合ドメインが結合する抗原に由来する試薬の存在下で細胞を培養すること、を含む。
本開示は、癌を有する被検者においてT細胞増幅を強化するために調製された細胞調製品を使用することを記載している。実施形態では、方法は、複数の核酸をT細胞に導入すること、ここで、複数の核酸は、固形腫瘍抗原に結合するキメラ抗原受容体(CAR)をコードし、かつB細胞抗原に結合するCARをコードし、T細胞の少なくとも一部は、固形腫瘍抗原に結合するCARおよびB細胞抗原に結合するCARを含み、および、被検者にT細胞の有効量を投与すること、を含む。
また、本開示は、被検者においてリンパ球(T細胞)応答を導入および/または強化するための方法を記載している。本明細書に記載される実施形態は、リンパ球を増幅するメカニズム、およびCAR上の抗原の腫瘍細胞への結合メカニズムに関する。実施形態では、第1のメカニズムは、被検者におけるリンパ球の増幅に関与する信号に関連する分子に関し、別のメカニズムは、被検者における腫瘍細胞の結合、腫瘍細胞の増殖の抑制または腫瘍細胞の殺傷に向けられた信号に関連する分子に関する。例えば、第1のメカニズムは、血球や血漿などの血液、または非必須組織に関連する抗原に結合するCARを含み、別のメカニズムは、腫瘍細胞に関連する抗原を標的とするCARまたはTCRを含む。非必須組織の例としては、乳腺、結腸、胃腺、卵巣、WBCなどの血液成分および甲状腺が含まれる。実施形態では、第1のメカニズムは分子の第1の結合ドメインに関するものであり、別のメカニズムは分子の第2のドメインに関するものである。実施形態では、第1のメカニズムおよび別のメカニズムは、同じ分子によって、または個別の分子によって実行される。具体的な実施形態では、一方のメカニズムは、腫瘍細胞に関連する抗原を発現する細胞に関するものであり、他方のメカニズムは、抗原結合ドメインを有するリンパ球に関するものである。
本明細書に記載される方法は、増幅分子および機能分子を含むリンパ球に関する。実施形態では、増幅分子は、被検者のリンパ球を増幅し、および/または機能分子は被検者の腫瘍細胞の増殖を抑制するか、腫瘍細胞を殺す。実施形態では、増幅分子および機能分子は、単一のCAR分子、例えば、二重特異性CAR分子上にある。実施形態では、増幅分子および機能分子は、個別の分子、例えば、CARおよびTCRまたは2つの異なるCAR上にある。増幅分子は、血球や血漿などの血液、または非必須組織に関連する抗原に結合するCARを含むことができ、機能分子は、腫瘍細胞に関連する抗原を標的とするCARまたはTCRを含むことができる。
被検者におけるリンパ球またはT細胞の応答とは、補助、殺傷、調節、および他のタイプのT細胞に関連する細胞媒介性免疫を指す。例えば、T細胞応答は、免疫学的プロセスにおいて他のWBCを補助すること、ウイルス感染細胞および腫瘍細胞を同定して破壊することなどの活動を含み得る。被検者におけるT細胞応答は、T細胞が殺すウイルス感染細胞および/または腫瘍細胞の数、T細胞がインビトロおよび/またはウイルス感染細胞および/または腫瘍細胞との共培養において放出するサイトカイン(例えば、IL−6およびIFN−γ)の量、被検者におけるT細胞の増殖レベル、T細胞の表現型の変化(例えば記憶T細胞の改変)および被検者におけるT細胞の長寿または寿命レベルなどの様々な指標を介して検出することができる。
実施形態では、T細胞応答を強化する方法は、それを必要とする被検者、例えば、腫瘍があると診断された被検者を治療することができる。腫瘍という用語は腫瘤を指し、これは血液などの体液の集まり、または固形の腫瘤であり得る。腫瘍は、悪性(癌性)または良性であり得る。血液癌の例としては、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病および多発性骨髄腫が含まれる。
固形腫瘍は、通常、嚢胞や液状の部分を含まない。悪性固形腫瘍の主な種類には、肉腫および癌腫がある。肉腫は、血管、骨骼、脂肪組織、靭帯リンパ管、神経、軟骨、筋肉、靭帯または腱に存在可能な間質細胞と呼ばれる軟部組織細胞に発生する腫瘍で、癌腫は、皮膚や粘膜に存在する上皮細胞に発生する腫瘍である。最も一般的な肉腫には、軟部組織および骨細胞が関与する未分化多形肉腫、血管、消化管や子宮に行き渡る平滑筋細胞が関与する平滑筋肉腫、骨細胞が関与する骨肉腫、および脂肪細胞が関与する脂肪肉腫が含まれる。肉腫のいくつかの例としては、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、軟骨肉腫、中皮腫、線維肉腫、線維肉腫および神経膠腫が含まれる。
最も一般的な5つの癌腫には、体液または粘液を生成する器官(乳房や前立腺など)が関与する副腎癌、皮膚の最外層の細胞が関与する基底細胞癌(例えば皮膚癌)、皮膚基底細胞が関与する扁平上皮癌、および膀胱、腎臓や尿管を含む尿路の移行細胞に影響を及ぼす移行上皮癌が含まれる。癌腫の例としては、甲状腺癌、乳癌、前立腺癌、肺癌、腸癌、皮膚癌、膵臓癌、肝臓癌、腎臓癌および膀胱癌および胆管癌が含まれる。
本明細書に記載の方法は、癌があると診断された被検者を治療するために使用することができる。癌は、血液癌であってもいし、肉腫や癌腫などの固形腫瘍であってもよい。治療方法は、T細胞応答を提供するために、第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインからなるT細胞の有効量を被検者に投与することを含み、ここで、第1の抗原結合ドメインはWBCの細胞表面分子に結合し、かつ第2の抗原結合ドメインはWBCの細胞表面分子と異なる抗原に結合する。実施形態では、被検者におけるT細胞応答を強化することは、第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインを発現するT細胞の増殖をインビボで選択的に強化することを含む。
実施形態では、被検者におけるT細胞応答を強化するための方法は、2つの異なる結合ドメインを含む二重特異性CARからなるT細胞を被検者に投与することと、またはそれぞれ異なる抗原結合ドメインを含む第1のCARおよび第2のCARからなるT細胞を投与することと、を含む。
実施形態では、被検者におけるT細胞応答を強化するための方法は、CAR分子およびTCR分子からなるT細胞を投与することを含む。CAR分子は、白血球の表面マーカーを標的とするか結合し、TCR分子は、腫瘍細胞表面または内部に発現する腫瘍マーカーまたは抗原に結合する。
本開示は、抗原結合ドメインを発現する細胞をインビボで増幅する方法を記載している。この方法は、第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインからなるT細胞の有効量を、それを必要とする被検者に投与することを含み、ここで、第1の抗原結合ドメインはWBCの細胞表面分子に結合し、かつ第2の抗原結合ドメインはWBCの細胞表面分子と異なる抗原に結合する。この方法は、T細胞、NK細胞または樹状細胞の増幅に有用である。
実施形態では、第1の抗原結合ドメインは第1のキメラ抗原受容体(CAR)上にあり、第2の抗原結合ドメインは第2のCARまたはTCR上にある。例えば、第1のCARおよび第2のCARまたはTCRは、細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含む。第1のCARの細胞質ドメインは、細胞応答の活性化のための信号を伝達するための共刺激ドメインおよびCD3ζドメインを含む。実施形態では、第1のCARの細胞質ドメインは、第1のCARの活性化または刺激が、WBCの殺傷機能を導入および/または活性化することなく、リンパ球などのWBCを増幅するように、CD3ζドメインの非存在下で1つ以上の共刺激ドメインを含む。実施形態では、リンパ球はT細胞である。
実施形態では、第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインは、同じCAR(第1のCAR)、例えば細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを有する二重特異性CAR上にある。細胞外抗原結合ドメインは、少なくとも2つのscFvを含み、少なくとも1つのscFvは、WBCの細胞表面分子に結合するための第1の抗原結合ドメインとして機能する。
実施形態では、WBCの細胞表面分子と異なる抗原は、CD19、CD22、CD20、BCMA、CD5、CD7、CD2、CD16、CD56、CD30、CD14、CD68、CD11b、CD18、CD169、CD1c、CD33、CD38、CD138、CD13、B7、CAIX、CD123、CD133、CD171、CD171/L1−CAM、CEA、Claudin 18.2、cMet、CS1、CSPG4、Dectin1、EGFR、EGFR vIII、EphA2、ERBB受容体、ErbB T4、ERBB2、FAP、葉酸受容体1、FITC、葉酸受容体1、FSH、GD2、GPC3、HA−1 H/HLA− A2、HER2、IL−11Ra、IL13受容体a2、IL13R、IL13Rα2(zetakine)、Kappa、白血病、LewisY、メソセリン、MUC1、NKG2D、NY−ESO−1、PSMA、ROR−1、TRAIL受容体1またはVEGFR2である。
実施形態では、MUC1は、ヒトMUC1の腫瘍専用エピトープであり、第1のCARおよび第2のCARまたはTCRは、個別のポリペプチドとして発現される。実施形態では、MUC1は、ヒトMUC1の腫瘍形態(tMUC1)である。
実施形態では、第1のCARは、CD3ζドメインなどの信号伝達ドメインなしの共刺激ドメインを含み、MUC1 CAR(第2のCAR)は、MUC1結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激およびCD3ζドメインを含む。
本明細書で使用されるように、「MUC1」という用語は、以下のように定義される分子を指す。MUC1は、上皮ムチンファミリー分子の1つである。MUC1は通常、主要な器官のすべての腺上皮細胞上に発現する膜貫通型ムチン糖タンパク質である。正常な細胞では、MUC1は先端表面でのみ発現し、かつ炭水化物によって隔離されたコアタンパク質で高度にグリコシル化される。細胞が悪性表現型に形質転換すると、MUC1の発現は数倍増加し、その発現はもはや先端表面に限定されるものではなく、細胞表面全体および細胞質中に見られるようになる。また、腫瘍関連MUC1のグリコシル化は異常になり、ペプチドコアの露出量が正常組織で発現しているMUC1での存在量よりも大きい。この異常なグリコシル化の詳細については、ほとんど知られていない。
MUC1は、多数の上皮癌で広く発現しており、異常にグリコシル化されているため、非悪性細胞で発現しているものとは構造的および抗原的に異なる(例えばBarratt−Boyes,1996;Priceら,1998;Petersonら,1991を参照)。MUC1の主要な形態は、多数の20個のアミノ酸タンデムリピートユニットを有する免疫原性の高い細胞外ムチン様ドメイン、膜貫通領域および細胞質尾部からなる高分子量分子である(Quinら,2000;McGuckenら,1995;Dongら,1997)。
乳房や膵臓を含むほとんどの上皮腺癌では、MUC1が過剰発現し、異常にグリコシル化している。乳房や膵臓の腺癌では、MUC1が過剰発現するだけでなく、MUC1を循環させる。高いMUC1の血清レベルは、進行性疾患に関連している。MUC1は、抗原内で発現するエピトープが複雑かつ非均一であるため、将来のバイオマーカーとして利用される。癌組織によって合成されたMUC1(例えば、腫瘍関連MUC1)は通常、異常なオリゴ糖の特性(profile)を示し、これは、シアリル化−Lea (CA19−9試験で測定)、シアリル化−Lex、およびシアリル化−Tn(TAG−72)などのネオマーカー、ならびにTnなどの潜在性エピトープの発現をもたらす可能性がある。
MUC1に対するいくつかの抗体が治療用に開発されている。ペムツモマブ(Pemtumomab)(HMFG1とも呼ばれる)は、放射性同位元素のイットリウム−90を卵巣癌の腫瘍に送達するベクターとして第III期臨床試験中である(Scottらが検討したもので, 2012)。CA15−3(HMFG1抗体とも呼ばれる)、CA27−29およびCA19−9は、すべてMUC1に対する抗体であり、癌患者における循環MUC1のレベルを評価するために使用される。しかしながら、これらの抗体は、正常な上皮細胞と形質転換した腫瘍上皮細胞で発現しているMUC1を効果的に区別できないため、治療薬またはバイオマーカーとしての有用性は限定される。換言すれば、これらの抗体はいずれも腫瘍特異的MUC1エピトープを標的とするように見えない。
腫瘍特異的形態のMUC1(tMUC)に対して高度に特異的な新規抗体は、TAB−004と命名され、かつ米国特許第8,518,405号に記載されている(Curryら,2013も参照)。ペムツモマブ(HMFG1)が抗原(Parhamら,1988)としてヒト乳脂肪球を用いて開発されたのに対し、TAB−004は、MUC1の改変型を発現する腫瘍を用いて開発された(Tinderら,2008)。TAB−004は、MUC1のタンデムリピート配列内の改変されたグリコシル化エピトープを認識することができる。この領域は、tMUCにおける抗原検出に用いることができるが、グリコシル化の大きな分岐によって、正常なMUC1において抗原検出を行うことができない(Gendler,2001;Mukherjeeら,2003b;Hollingsworth & Swanson,2004;Kufe,2009)。重要なこととして、TAB−004は、他のMUC1抗体によって認識されるエピトープとは異なり、かつ重鎖および軽鎖の独特な相補的決定領域(CDR)を有する。この抗体は、3ng/ml(20pM)の高い結合親和性で標的抗原に結合し、無関係な抗原に結合しない(Curryら,2013)。従って、TAB−004は、MUC1の正常形態と腫瘍形態を区別するが、HMFG1(ペムツモマブ)は区別することができない(米国特許第8,518,405号を参照)。
実施形態では、WBCは、顆粒球、単球および/またはリンパ球である。実施形態では、WBCはB細胞である。
実施形態では、第1のCARは、第1の抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメインおよびCD3ζドメインを含み、および/または第2のCARは、第2の抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメインおよびCD3ζドメインを含む。
実施形態では、抗原結合ドメインはFabまたはscFvである。実施形態では、第1のCARは、配列番号5、6および53−58のいずれかのアミノ酸配列を含み、第2のCARは、配列番号5−17、29、33、37、71および72のいずれかのアミノ酸配列または配列番号41、45、63、67および68の核酸配列のうちの1つによってコードされるアミノ酸配列を含む。実施形態では、第1のCARをコードする核酸配列は、配列番号59または60の核酸配列を含み、第2のCARをコードする核酸配列は、配列番号61の核酸配列を含む。実施形態では、単離核酸は、配列番号62−69の核酸配列のうちの1つを含む。実施形態では、第1のCARおよび第2のCARは、個別のポリペプチドとして発現される。
実施形態では、第1の抗原結合ドメインはCAR上にあり、第2の抗原結合ドメインはT細胞受容体(TCR)上にある。実施形態では、TCRは修飾TCRである。実施形態では、TCRは、患者において自然に発生する腫瘍特異的T細胞に由来する。実施形態では、TCRは腫瘍抗原に結合する。実施形態では、腫瘍抗原は、CEA、gp100、MART−1、p53、MAGE−A3またはNY−ESO−1を含む。
実施形態では、標的抗原に対して高い親和性を有するTCRを発現するT細胞クローンを単離することができる。腫瘍浸潤リンパ球(TIL)または末梢血単球(PBMC)は、HLA対立遺伝子が定義された場合に提示を行うとき優性T細胞応答を誘発することが知られているエピトープを表すペプチドでパルス化された抗原提示細胞(APC)の存在下で培養することができる。高親和性クローンは、MHC−ペプチドテトラマー染色および/または低滴定濃度の同族ペプチド抗原でパルス化された標的細胞を認識および溶解する能力に基づいて選択可能である。クローンを選択した後、分子クローニングにより、TCRαおよび TCRβ鎖またはTCRγおよびTCRδ鎖を同定して単離する。例えば、TCRαおよびTCRβ鎖について、TCRαおよびTCRβ遺伝子配列を用いて、ヒトT細胞における両TCR鎖の安定した高レベルの発現を理想的に促進する発現構築物を生成する。次に、形質導入媒体(例えばγレトロウイルスまたはレンチウイルス)を生成して、その機能性(抗原特異性および機能親和性)について試験を行い、且つ臨床用ベクターを多く生成するために使用され得る。さらに、最終製品のアリコートを使用して、標的T細胞集団(通常、患者のPBMCから精製)に形質導入することができ、前記標的T細胞集団は、患者への注入前に増幅される。
腫瘍反応性TCRをコードする遺伝子を得るために、様々な方法を実行することができる。詳細は、Kershawら,Clin Transl Immunology.2014年5月;3(5):e16で提供される。実施形態では、特異的TCRは、患者において自然に発生する腫瘍特異的T細胞に由来し得る。このカテゴリーに含まれる抗原は、メラノサイト分化抗原MART−1とgp100、およびMAGE抗原とNY−ESO−1を含み、それらはより広範囲の癌で発現する。ウイルス関連悪性腫瘍に対して特異的なTCRは、ウイルスタンパク質が形質転換細胞によって発現される限り、分離することもできる。このカテゴリーに含まれる悪性腫瘍は、肝炎とパピローマウイルスに関連する肝臓癌と子宮頸癌、およびエプスタインバーウイルスに関連する悪性腫瘍を含む。実施形態では、TCRの標的抗原は、CEA(例えば、結腸直腸癌用)、gp100、MART−1、p53(例えば、黒色腫用)、MAGE−A3(例えば、黒色腫、食管肉腫および滑膜肉腫)、NY−ESO−1(例えば、黒色腫、肉腫および多発性骨髄腫用)を含み得る。
実施形態では、第1のCARの結合ドメインがCD19に結合し、かつ第2のCARの結合ドメインが腫瘍関連MUC1に結合する。実施形態では、第2のCARの結合ドメインは、(i)配列番号76または85のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域1と、配列番号77または86のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域2と、配列番号78または87のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域3と、および(ii)配列番号73または82のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域1と、TRP−ALA−SER(WAS)または配列番号83のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域2と、配列番号75または84のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域3と、を含む。
実施形態では、第2のCARの結合ドメインは、(i)SEQ ID:76のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域1と、SEQ ID:77のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域2と、SEQ ID:78のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域3と、および(ii)SEQ ID:73のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域1と、TRP−ALA−SER(WAS)のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域2と、SEQ ID:75のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域3と、を含む。
実施形態では、第2のCARの結合ドメインは、(i)SEQ ID:85のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域1と、SEQ ID:86のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域2と、SEQ ID:87のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域3と、および(ii)SEQ ID:82のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域1と、SEQ ID:83のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域2と、SEQ ID:84のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域3と、を含む。実施形態では、第1のCARの結合ドメインは、SEQ ID:5または6のアミノ酸配列を含む。実施形態では、第2のCARの結合ドメインは、SEQ ID:70−72および79−81のアミノ酸配列のうちの1つを含む。
実施形態では、第1のCARは、第1の抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメインおよびCD3ζドメインを含み、および/または第2のCARは、第2の抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメインおよびCD3ζドメインを含む。
実施形態では、第1のCARおよび第2のCARは、個別のポリペプチドとして発現される。
実施形態では、第2のCARの細胞質ドメインまたは膜貫通ドメインは、第2のCARが、CD19を発現する細胞を損傷することなく、CD19を発現する細胞を介して修飾T細胞を活性化することができるように修飾される。
本明細書に記載の実施形態は、第1の抗原結合ドメイン、第2の抗原結合ドメイン、細胞質ドメインおよび膜貫通ドメインを含む二重特異性キメラ抗原受容体に関し、ここで、第1の抗原結合ドメインが第1の抗原を認識し、第2の抗原結合ドメインが第2の抗原を認識し、第1の抗原が第2の抗原と異なる。
実施形態では、第1の抗原および第2の抗原が、同じ細胞で発現しない。実施形態では、第1の抗原が血液成分の抗原であり、第2の抗原が固形腫瘍の抗原である。
血球は、赤血球(RBC)、白血球(WBC)、血小板または他の血球を指す。例えば、RBCは、循環系を通る血流を介して体組織に酸素(O2)を供給する血球である。血小板は、止血に関与する細胞であり、血栓の形成につながる。WBCは、感染症および異物から身体を守ることに関与する免疫系の細胞である。WBCには様々なタイプとサブタイプがあり、それぞれ異なる役割を果たす。例えば、顆粒球、単球およびリンパ球は、3つの主要なタイプの白血球である。顆粒球には、好中球、好酸球、好塩基球の3つの異なる形態がある。
WBCの細胞表面分子は、WBC表面に発現する分子を指す。例えば、リンパ球の細胞表面分子は、CD19、CD22、CD20、BCMA、CD5、CD7、CD2、CD16、CD56およびCD30を含み得る。B細胞の細胞表面分子は、CD19、CD20、CD22、BCMAを含み得る。単球の細胞表面分子は、CD14、CD68、CD11b、CD18、CD169およびCD1cを含み得る。顆粒球の細胞表面分子は、CD33、CD38、CD138およびCD13を含み得る。
実施形態では、第1の抗原がCD19であり、第2の抗原が腫瘍関連MUC1である。実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、SEQ ID:5および6のアミノ酸配列のうちの1つを含む。実施形態では、第2の抗原結合ドメインは、SEQ ID:70−72および79−81のアミノ酸配列のうちの1つを含む。
実施形態では、本開示は、被検者におけるT細胞応答を強化するか、または被検者の腫瘍を治療する方法を記載しており、前記方法は、CAR−T細胞がCD19を発現する細胞を介して被検者の血液中で増幅するように、T細胞応答を提供するために修飾T細胞の有効量を被検者に投与することを含む。実施形態では、方法は、B細胞を被検者に注入して、CAR−T細胞を活性化および/または増幅し続けることをさらに含み得る。例えば、被検者のB細胞または健康なドナーからの遺伝子修飾B細胞を、CAR−T細胞注入の前に入手して保存してもよい。実施形態では、方法は、CD19を発現する細胞、またはCD19の少なくとも細胞外ドメインからなるポリペプチド、またはCAR−T細胞が認識する抗原を投与することをさらに含み得る。例えば、CD19を発現する細胞は、CD19をコードする核酸配列で形質導入されるK562およびNK92などの細胞株を含み得る。実施形態では、方法は、第1のCARおよび第2のCARを発現するCAR−T細胞を同定すること、ならびに識別子CAR−T細胞を被検者に投与することをさらに含み得る。例えば、MUC1は、MUC1を発現するCAR−T細胞がタイムリーに同定され得るように、ソートマーカーと関連付けられてもよい。
実施形態では、腫瘍関連MUC1は、腫瘍細胞で発現するが、対応する非悪性細胞で発現しない。実施形態では、腫瘍関連MUC1に対するscFvは、o−グリコシル化のGSTAモチーフ(配列番号88)と直接相互作用する。
本明細書に記載の実施形態は、二重特異性CARからなる細胞に関し、かつ二重特異性CARをコードする単離核酸に関する。
実施形態では、本開示は、細胞をインビボで増幅する方法を記載している。実施形態では、方法は、T細胞応答を提供するために、CARを含むT細胞の有効量を被検者に投与することと、CARの細胞外ドメインが認識可能な可溶性試薬を発現する提示細胞(例えば、T細胞)の有効量を投与することと、を含み得る。実施形態では、方法は、被検者におけるT細胞応答を強化するために実施され得る。方法は、T細胞応答を提供するために、CARを含むT細胞の有効量を被検者に投与することと、被検者におけるT細胞応答を強化するために、CARの細胞外ドメインが認識可能な可溶性試薬を発現する提示細胞の有効量を投与することと、を含み得る。特定の実施形態では、提示細胞は、T細胞、樹状細胞および/または抗原提示細胞である。特定の実施形態では、被検者におけるT細胞応答の強化は、CARを含むT細胞の増殖を選択的に強化することを含み得る。実施形態では、方法は、CAR−T細胞を使用して被検者病状の治療を強化するために用いることができる。方法は、試薬を発現するT細胞集団を投与すること、またはワクチンとして配合される試薬を投与することを含み得る。この場合、CAR−T細胞は、CARをコードする核酸を含み、CARの細胞外ドメインは前記試薬を認識する。実施形態では、方法は、疾患を有する被検者におけるCAR−T細胞の増殖を強化するために実施され得る。方法は、CARを含むCAR−T細胞を調製することと、有効量のCAR−T細胞を被検者に投与することと、CARの細胞外ドメインが認識可能な試薬をコードする核酸を細胞に導入することと、有効量の細胞(前記試薬をコードする核酸によって導入される)を被検者に投与することと、を含み得る。実施形態では、T細胞増幅は、T細胞ゲノムDNAにおけるCAR分子のコピー数の増加に基づいて測定され得る。実施形態では、T細胞増幅は、T細胞で発現された分子に関するフローサイトメトリー分析に基づいて測定され得る。
本明細書に記載の実施形態は、第1のCARおよび第2のCARからなる単離T細胞に関し、第1のCARの抗原結合ドメインは、CD19、CD33、CD14およびBCMAなどの抗原に結合し、かつ第2のCARの抗原結合ドメインは腫瘍関連MUCに結合する。実施形態では、腫瘍関連MUCはMUC1またはMUC2である。本明細書に記載の実施形態は、単離T細胞集団からなる組成物、および被検者におけるT細胞応答を強化するか、または被検者の腫瘍を治療する方法に関するものであり、前記方法は、単離T細胞の有効量を投与することを含む。
実施形態では、第1のCARは、配列番号207のアミノ酸配列を含み、第2のCARは、配列番号202のアミノ酸配列を含む。実施形態では、第1のCARは、配列番号203、207、216または219のアミノ酸配列を含み、かつ第2のCARは、配列番号202または205のアミノ酸配列を含む、実施形態159に記載のT細胞。実施形態では、第2のCARの抗原結合ドメインは、配列番号70のアミノ酸配列を含む、実施形態181に記載の修飾細胞または方法。実施形態では、第2のCARの抗原結合ドメインは、配列番号5または6のアミノ酸配列を含む。実施形態では、単離T細胞は、配列番号201、204、206、208、215、217、218または220の核酸配列を含む。実施形態では、第1のCARおよび第2のCARのそれぞれは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含む。
実施形態では、細胞質ドメインは、共刺激ドメインおよびCD3ζドメインを含む。
実施形態では、単離T細胞は、プログラム死の受容体1(PD−1)、細胞傷害性Tリンパ球抗原−4(CTLA−4)、Bリンパ球およびTリンパ球アッテネーター(BTLA)、T細胞免疫グロブリンムチン−3(TIM−3)、リンパ球活性化タンパク質3(LAG−3)、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1)、ナチュラルキラー細胞受容体2B4(2B4)またはCD 160、の優性ネガティブ変異体を含む。実施形態では、単離T細胞は、対応する野生型T細胞と比較して、減少した量のTCRを含む。優性ネガティブ突然変異は、野生型対立遺伝子に対して拮抗的に作用する変化した遺伝子産物を有する。これらの突然変異は通常、分子機能の変化(通常は不活性)を引き起こし、優性または半優性表現型を特徴とする。
本開示は医薬組成物を記載している。医薬組成物は、上記のCAR分子、TCR分子、修飾CAR−T細胞、CARまたはTCRを含む修飾細胞、修飾細胞、核酸およびベクターの1つ以上を含む。医薬組成物は、治療(または予防)する疾患に適切な方法で投与される。適切な投与量は臨床試験により決定されるが、投与の数量や頻度は、患者の病状、患者の疾患の種類や重症度などの要因によって決定される。
「免疫学的に有効な量」、「抗腫瘍効果のある量」、「腫瘍抑制効果のある量」または「治療量」が指示される場合、投与される本開示の組成物の正確な量は、年齢、体重、腫瘍サイズ、感染または転移の程度、および患者(被検者)の病状の個人差を考慮して、医師によって決定することができる。本明細書に記載のT細胞を含む医薬組成物は、104〜109個の細胞/キログラム体重、好ましくは105〜106個の細胞/キログラム体重(それらの範囲内のすべての整数値を含める)の投与量で投与し得ることと述べることができる。T細胞組成物はまた、これらの投与量で複数回投与されてもよい。細胞は、免疫療法において一般的に知られている注入技術を使用して投与され得る(例えば、Rosenbergら,New Eng.J.of Med.319:1676,1988を参照)。当業者は、患者の疾患徴候をモニタリングし、それに応じて治療方法を調整することにより、特定の患者に対する最適な投与量および治療レジームを容易に決定することができる。特定の実施形態では、被検者に活性化のT細胞を投与してから、血液を採取し(またはアフェレーシスを実施する)、活性化および増幅されたT細胞を収集し、これらの活性化および増幅されたT細胞を患者に再注入する必要がある場合がある。このプロセスは、数週間ごとに複数回実施することができる。特定の実施形態では、10cc〜400ccの採血からT細胞を活性化することができる。特定の実施形態では、20cc、30cc、40cc、50cc、60cc、70cc、80cc、90ccまたは100ccの採血からT細胞を活性化することができる。理論に縛られることなく、このような複数回の採血/複数回の再注入の手段を採用すれば特定のT細胞集団を選択することができる。
本明細書に記載の医薬組成物の投与は、エアロゾル吸入、注射、摂取、注入、植入または移植を含む、任意の便利な方法で行われ得る。本明細書に記載の組成物は、皮下、皮内、腫瘍内、結節内、髓内、筋肉内、静脈内(i.v.)注射または腹腔内で患者に投与することができる。実施形態では、本明細書に記載のT細胞組成物は、皮内または皮下注射によって被検者に投与される。実施形態では、本開示のT細胞組成物は、静脈内注射によって投与される。T細胞の組成物は、腫瘍、リンパ節または感染部位に直接注入することができる。実施形態では、本明細書に記載された方法、または当技術分野で知られている他の方法を用いて活性化および増幅された細胞は、以下の任意数の関連する治療を組み合わせて(例えば、前に、同時に、または後に)患者に投与され、ここで、細胞がT細胞である場合治療レベルまで増幅する必要があり、前記任意数の関連する治療は、抗ウイルス治療用試薬のシドフォビルおよびインターロイキン−2、シタラビン(ARA−Cとも呼ばれる)による治療、MS患者のためのナタリズマブ治療、または乾癬患者のためのエファリズマブ治療、またはPML患者のための他の治療を含むが、それらに限定されない。さらなる実施形態では、本明細書に記載のT細胞は、化学療法、放射線、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、マイコフェノレートおよびFK506)、抗体、または他の免疫除去剤(例えば、CAM PATH)、抗CD3抗体または他の抗体療法、サイトキシン、フルダリビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、マイコフェノール酸、ステロイド、FR901228、サイトカイン、および照射と組み合わせて使用することができる。これらの薬剤は、カルシウム依存性ホスファターゼであるカルシニューリン(シクロスポリンおよびFK506)を抑制するか、または成長因子誘導信号の伝達に重要なp70S6キナーゼ(ラパマイシン)を抑制する。(Liuら,Cell 66:807−815,1991;Hendersonら,Immun 73:316−321,1991;Biererら,Curr.Opin.Immun 5:763−773,1993;Isoniemi(上記と同様))。実施形態では、本明細書に記載の細胞組成物は、骨髓移植、T細胞切除療法(フルダラビンなどの化学治療薬を使用)、外部ビーム放射線療法(XRT)、シクロホスファミドまたは抗体(例えば、OKT3またはCAMPATH)と組み合わせて(例えば、前に、同時に、または後に)被検者に投与される。実施形態では、B細胞焼灼療法の後に、本明細書に記載の細胞組成物が投与される。例えば、リツキサン(Rituxan)などの、CD20と反応する試薬を患者に投与してもよい。実施形態では、被検者は、高用量化学療法による標準的な治療に続いて、末梢血幹細胞移植を受けることができる。特定の実施形態では、移植の後に、被検者は、本開示の増幅された免疫細胞の注入を受ける。実施形態では、増幅された細胞は、手術の前または後に投与される。
それを必要とする被検者に投与される上記の治療の投与量は、治療される病状の正確な性質および治療レシピエントの状況によって変化する。ヒトへの投与のための投与量のスケーリングは、様々な要因に応じて、医師が当技術分野で周知される慣行に従って行うことができる。
米国特許号US8,906,682は、工学的または修飾T細胞を用いた癌治療の方法の追加情報を提供しており、参照によりその全体が組み込まれている。
本明細書に記載の実施形態は、インビトロで修飾細胞を調製するための方法に関する。この方法は、被検者から細胞サンプルを取得することを含み得る。例えば、サンプルは、T細胞またはT細胞前駆細胞を含み得る。この方法は、少なくともCARをコードするDNAで細胞サンプルをトランスフェクトすることと、CARを発現するT細胞増殖を選択的に強化する培地でCART細胞集団をエクスビボで培養することをさらに含み得る。
実施形態では、サンプルは、凍結保存されたサンプルである。実施形態では、細胞サンプルは、臍帯血または被検者からの末梢血サンプルから得られる。実施形態では、細胞サンプルは、アフェレシスまたは静脈穿刺によって得られる。実施形態では、細胞サンプルはT細胞亜集団である。
本開示の実施形態は、ジンクフィンガーDNA結合タンパク質からなるDNA結合ドメインと、開裂ドメインおよび/または開裂ハーフドメインからなるDNA開裂ドメインとを含むジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)に関する。
ジンクフィンガーDNA結合タンパク質は、1、2、3、4、5、6またはそれ以上のジンクフィンガーを含んでもよく、各ジンクフィンガーは、いずれも標的遺伝子中の標的サブ部位に結合する認識スパイラルを有する。特定の実施形態では、ジンクフィンガータンパク質は、3、4、5または6本のフィンガー(ここで、フィンガーがF1、F2、F3、F4、F5およびF6と指定され、かつN末端からC末端までF1からF3、F4、F5またはF6の順序で配列される)を含み、フィンガーは、表6に示される認識領域のアミノ酸配列を含む。
開裂ドメインおよび/または開裂ハーフドメインの例としては、野生型または工学的に設計されたFokI開裂ハーフドメインが含まれる。実施形態では、DNA開裂ドメインは、野生型開裂ドメインまたは開裂ハーフドメイン(例えば、FokI開裂ハーフドメイン)を含み得る。実施形態では、開裂ドメインおよび/または開裂ハーフドメインは、工学的に設計された(非自然に存在する)開裂ドメインまたは開裂ハーフドメイン、例えば、偏性ヘテロダイマーを形成する工学的に設計されたFokI開裂ハーフドメインを含む。
実施形態では、遺伝子はヒト遺伝子である。実施形態では、開裂ドメインは、野生型または工学的に設計されたFokI開裂ドメインを含む。
実施形態は、上記の単離ZFNをコードするポリヌクレオチドに関する。実施形態は、ポリヌクレオチドを含むベクターに関する。実施形態では、ベクターは、アデノウイルスまたはレンチウイルスのベクターである。実施形態は、上記の単離ZFNを含む単離細胞または細胞株に関する。
実施形態では、単離細胞は、幹細胞、T細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である。実施形態では、細胞は、ヒトドナーから単離された初代ヒトT細胞に由来するT細胞である。実施形態では、細胞は、CTLA4、LAG3、BTLA、TIM3、FOXP3、SIVA1およびLGALS9の内因性遺伝子への発現が減少した。
CTLA4は、T細胞応答の主要な負の調節因子として作用する抑制性受容体である。Tリンパ球受容体CTLA−4は、刺激性共受容体CD28よりも高い親和性で共刺激分子CD80(B7−1)およびCD86(B7−2)に結合し、T細胞の活性化に対して負の調節を行う。LAG3は、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、活性化されたT細胞およびNK細胞の表面に発現する。LAG3は、B細胞、樹状細胞、TILおよびTregの表面にも検出される。LAG3を遮断すると、T細胞増殖および機能が有意に増加する。TIM3は、CD4+ Tヘルパー1(Th1)、CD8+ T細胞傷害性1細胞(Tc1)およびTh17細胞によって構成的に発現する免疫チェックポイント受容体である。TIM3とそのリガンドであるガレクチン−9 LGALS9との相互作用は、T細胞応答の抑制につながると考えられる。FOXP3は、転写調節因子のフォークヘッド/翼状螺旋ファミリーのメンバーであり、調節性T細胞(Treg)の発達および抑制機能に重要な役割を果たしている。SIVA1は、CD27媒介性アポトーシスを誘導し、BCL2L1アイソフォームBcl−x(L)の抗アポトーシス活性を抑制し、NF−κBの活性化を抑制し、T細胞受容体媒介性アポトーシスを促進する。
実施形態は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする単離核酸配列からなる単離細胞に関するものであり、ここで、内因性遺伝子は、上記のZFNの使用により不活性化される。
実施形態では、CARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメインおよびCD3ζ信号伝達ドメインを含む。
実施形態では、初代ヒトT細胞の移植片対宿主病(GVHD)への応答と比較して、前記細胞は、生体適合性のないヒト受容体においてGVHD応答が減少した。
実施形態では、CARの抗原結合ドメインは、FZD10、TSHR、PRLR、Muc17、GUCY2C、CD207、CD19またはCD20に結合する。
実施形態では、CARの抗原結合ドメインは、B7、BCMA、CAIX、CD123、CD133、CD138、CD171、CD171/L1−CAM、CD19、CD2、CD22、CD30、CD33、CEA、cMet、CS1、CSPG4、Dectin1、EGFR、EGFR vIII、EphA2、ERBB受容体、ErbB T4、ERBB2、FAP、葉酸受容体1、FITC、葉酸受容体1、GD2、GPC3、HA−1 H/HLA− A2、HER2、IL−11Ra、IL13受容体a2、IL13R、IL13Rα2(zetakine)、Kappa、LewisY、メソセリン、MUC1、NKG2D、NY−ESO−1、PSMA、ROR−1、TRAIL−受容体1またはVEGFR2のうちの1つに結合する。
実施形態では、CARの共刺激ドメインは、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む。
実施形態では、単離細胞または細胞株は、hTERTをコードする核酸配列、またはSV40LTをコードする核酸、またはそれらの組み合わせを含むT細胞である。実施形態では、T細胞は、hTERTをコードする核酸配列、およびSV40LTをコードする核酸を含む。実施形態では、hTERTの発現は、誘導性発現系によって調節される。実施形態では、SV40LT遺伝子の発現は、誘導性発現系によって調節される。実施形態では、誘導性発現系は、SV40LT遺伝子もしくはhTERT遺伝子、またはそれらの組み合わせの発現を増加または活性化するrTTA−TREである。実施形態では、T細胞は、自殺遺伝子をコードする核酸配列を含む。実施形態では、自殺遺伝子は、HSV−TK自殺遺伝子系を含む。
実施形態は、被検者の癌を治療する方法に関するものであり、前記方法は、遺伝子修飾細胞を被検者に投与することを含み、ここで、癌が肺癌、膵臓癌、肝臓癌、骨癌、乳癌、結腸直腸癌、白血病、卵巣癌、リンパ腫および脳癌からなる群から選択される。
実施形態は、対応する野生型細胞と比較して、PD1、PDL1、PDL2、CTLA4、LRBA、LAG3、Tim3、BILA、CD160、2B4、SOCS1、SOCS3、Foxp3、CCR4、PVRIG、CD16B、SIVA1、CD33、LAGLS9、CD122、IDO1、CD45、Cvp1b1、TNFAIP8L2、ID02、TD02、DNMT3Aおよび/または癌胎児性抗原細胞接着分子−1(Ceacam−1)(リスト1)を含む1つ以上の減少した量のペプチドを含むT/NK細胞に関する。実施形態では、T細胞を被検者に投与すると、T/NK細胞はT/NK細胞応答が強化する。
実施形態は、対応する野生型細胞と比較して、Runx3、lexm、PILRA、Ptnns1L3、Fcgr3a、Nat8、Ccl9、Hck、Trem2、Ccl6、Cd36、Igf1、Ctss、Gzmc、Batf、Cxcl2、TNFAIP8L3、Il1b、TRPV1、TRPV2、TRPV3、TRPV4、Rgs1、PLSCR1、ITGB2、C3AR1、ITGA3、ITGA5、ITGAL、batf、batf3、Cxcl2、CARD11および/またはCD83(リスト2)を含む1つ以上の増加した量のペプチドを含むT/NK細胞である。実施形態では、T/NK細胞を被検者に投与すると、T/NK細胞はT細胞応答が強化する。
実施形態では、様々遺伝子編集技術または過剰発現技術(例えば、Cas9、TALENおよびZFN)は、1つ以上の遺伝子をノックアウト/ノックダウン/過剰発現/挿入することにより、T/NK細胞機能を調節するために使用することができる。例えば、修飾細胞は、対応する野生型細胞と比較して、リスト1およびリスト2(上記を参照)におけるペプチドの生合成または輸送経路の1つ以上の遺伝子の発現が減少または増加する。
実施形態では、標的遺伝子はRunx3である。例えば、修飾T/NK細胞は、対応する野生型細胞と比較して、Runx3の発現が増加する。この場合、Runx3の増加した発現は、例えば、T細胞の腫瘍細胞での浸潤または長期滞留に寄与することができ、従って、T細胞の殺傷作用が増加する。
例えば、被検者におけるT細胞応答とは、補助、殺傷、調節および他のタイプのT細胞に関連する細胞媒介性免疫を指す。例えば、T細胞応答は、免疫学的プロセスにおいて他の白血球を補助すること、ウイルス感染細胞および腫瘍細胞を同定して破壊することなどの活動を含み得る。被検者におけるT細胞応答は、T細胞が殺すウイルス感染細胞および/または腫瘍細胞の数、ウイルス感染細胞および/または腫瘍細胞との共培養においてT細胞が放出するサイトカインの量、被検者におけるT細胞の増殖レベル、T細胞の表現型の変化(例えば、記憶T細胞への改変)、および被検者におけるT細胞の寿命または寿命のレベルなどの様々な指標を介して検出することができる。
T細胞応答はまた、サイトカイン放出を含む。サイトカインの放出は、全身の炎症および疾患の合併症に関連していることが多いが、サイトカインの放出はCAR−T細胞療法の治療効果にも関連しているようである。サイトカインの放出は、CAR−T細胞療法などにおける、養子移入された細胞の増幅および進行性免疫活性化に関連してもよい。本開示は、CAR−T細胞療法、特に第1のCARおよび第2のCARの存在に応答して行われたIFN−γなどのエフェクターサイトカイン、およびIL−6などの炎症促進性と抗炎症性サイトカインの放出を記載している。実施形態では、本開示は、本明細書に記載の第1のCARおよび第2のCARが導入された被検者におけるIL−6およびIFN−γの放出を記載している。実施形態では、被検者は、癌治療を必要としており、癌治療は膵臓癌治療である。実施形態では、本開示は、サイトカイン放出のレベルを測定することによって、CAR−T細胞療法の治療効果を決定するか、またはその治療効果をモニタリングすることを記載している。実施形態では、第1のCARおよび第2のCARを含むT細胞を用いたCAR−T細胞療法に応答して、被検者に行われたサイトカイン(例えば、IL−6および/またはIFN−γ)の放出は、第1のCARなしで第2のCARを含むT細胞を用いた場合よりも多い。
以下の例示的な実施形態および実施例を参照して、本開示をさらに説明する。これらの例示的な実施形態および実施例は、例示のみを目的として提供され、特に指定されていない限り、本発明を限定することを意図しない。従って、本開示は、以下の例示的な実施形態および実施例に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書に提供される示唆の結果として明らかになる任意のおよびすべての変形を包含するように解釈されるべきである。
例示的な実施形態
例示的な実施形態は以下のとおりである。
1.第1のキメラ抗原受容体(CAR)および第2のCARをコードする核酸であって、第1のCARの結合ドメインが白血球(WBC)の細胞表面分子に結合し、かつ第2のCARの結合ドメインがWBCの細胞表面分子と異なる抗原に結合する、核酸。
2.実施形態1に記載の核酸を含む、ベクター。
3.実施形態1に記載の核酸を含む、細胞。
4.第1のCARおよび第2のCARを含む細胞であって、第1のCARの結合ドメインがWBCの細胞表面分子に結合し、かつ第2のCARの結合ドメインがWBCの細胞表面分子と異なる抗原に結合する、細胞。
5.細胞がT細胞、NK細胞または樹状細胞である、実施形態1−4のいずれか一項に記載の細胞。
6.実施形態3−5のいずれか一項に記載のT細胞集団を含む、組成物。
7.実施形態3−5のいずれか一項に記載の細胞を得ること、ここで、第1のCARの結合ドメインがWBCの細胞表面分子に結合し、かつ第2のCARの結合ドメインがWBCの細胞表面分子と異なる抗原に結合し、および、
WBC細胞の細胞表面分子または第2のCARが結合する抗原に由来する試薬の存在下で細胞を培養することを含む、実施形態3−5のいずれか一項に記載の細胞を培養する方法。
8.試薬がWBCの細胞表面分子の細胞外ドメインである、実施形態7に記載の方法。
9.細胞を提供することと、
第1のCARおよび第2のCARをコードする核酸を細胞に導入すること、ここで、第1のCARの結合ドメインがWBCの細胞表面分子に結合し、かつ第2のCARの結合ドメインがWBCの細胞表面分子と異なる抗原に結合し、および、
WBCの細胞表面分子または第2のCARが結合する抗原に由来する試薬の存在下で細胞を培養することを含む、インビトロでCAR細胞を調製するための方法。
10.T細胞応答を提供するために第1のCARおよび第2のCARを含むT細胞の有効量を被検者に投与することを含み、ここで、第1のCARの結合ドメインがWBCの細胞表面分子に結合し、第2のCARの結合ドメインがWBCの細胞表面分子と異なる抗原に結合し、CARのコピー数および/または放出のサイトカイン(例えば、IL−6およびIFN−γ)の量によってT細胞応答を測定する、被検者におけるT細胞応答を強化するか、または被検者の腫瘍を治療する方法。実施形態では、前記T細胞応答は、第1のCARなしで第2のCARを含むT細胞と比較して強化される。
11.被検者におけるT細胞応答を強化することは、第1のCARおよび第2のCARを含むT細胞の増殖をインビボで選択的に強化することを含む、実施形態10に記載の方法。
12.第1のCARおよび第2のCARを含むT細胞の有効量を被検者に投与することを含み、ここで、第1のCARの結合ドメインがWBCの細胞表面分子に結合し、第2のCARの結合ドメインがWBCの細胞表面分子と異なる抗原に結合し、前記細胞がT細胞、NK細胞または樹状細胞である、CARを発現する細胞をインビボで増幅する方法。
13.WBCの細胞表面分子と異なる抗原が、CD19、CD22、CD20、BCMA、CD5、CD7、CD2、CD16、CD56、CD30、CD14、CD68、CD11b、CD18、CD169、CD1c、CD33、CD38、CD138、CD13、B7、CAIX、CD123、CD133、CD171、CD171/L1−CAM、CEA、Claudin 18.2、cMet、CS1、CSPG4、Dectin1、EGFR、EGFR vIII、EphA2、ERBB受容体、ErbB T4、ERBB2、FAP、葉酸受容体1、FITC、葉酸受容体1、FSH、GD2、GPC3、HA−1 H/HLA− A2、HER2、IL−11Ra、IL13受容体a2、IL13R、IL13Rα2(zetakine)、Kappa、白血病、LewisY、メソセリン、MUC1、NKG2D、NY−ESO−1、PSMA、ROR−1、TRAIL受容体1またはVEGFR2である、実施形態1−12のいずれか一項に記載の核酸、ベクター、細胞、組成物または方法。
14.MUC1がヒトMUC1の腫瘍専用エピトープであり、第1のCARおよび第2のCARが個別のポリペプチドとして発現される、実施形態13に記載の核酸、ベクター、細胞、組成物または方法。
15.MUC1がヒトMUC1の腫瘍形態(tMUC1)である、実施形態13に記載の核酸、ベクター、細胞、組成物または方法。
16.WBCが顆粒球、単球またはリンパ球である、実施形態1−12のいずれか一項に記載の核酸、ベクター、細胞、組成物または方法。
17.WBCがB細胞である、実施形態1−12のいずれか一項に記載の核酸、ベクター、細胞、組成物または方法。
18.WBCの細胞表面分子がCD19、CD22、CD20、BCMA、CD5、CD7、CD2、CD16、CD56、CD30、CD14、CD68、CD11b、CD18、CD169、CD1c、CD33、CD38、CD138またはCD13である、実施形態1−12のいずれか一項に記載の核酸、ベクター、細胞、組成物または方法。
19.WBCの細胞表面分子がCD19、CD20、CD22またはBCMAである、実施形態1−12のいずれか一項に記載の核酸、ベクター、細胞、組成物または方法。
20.WBCの細胞表面分子がCD19である、実施形態1−12のいずれか一項に記載の核酸、ベクター、細胞、組成物または方法。
21.第1のCARが第1の抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメインおよびCD3ζドメインを含み、および/または第2のCARが第2の抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメインおよびCD3ζドメインを含む、実施形態1−12のいずれか一項に記載の核酸、ベクター、細胞、組成物または方法。
22.共刺激ドメインが、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、及び、CD83と特異的に結合するリガンド、またはそれらの組み合わせの細胞内ドメインを含む、実施形態1−12のいずれか一項に記載の核酸、ベクター、細胞、組成物または方法。
23.抗原結合ドメインがFabまたはscFvである、実施形態1−12のいずれか一項に記載の核酸、ベクター、細胞、組成物または方法。
24.第1のCARが、配列番号5、6、53および54、55および56、または57および58のアミノ酸配列を含み、かつ第2のCARが、配列番号5−17、29、33、37、71または72のアミノ酸配列、または配列番号41、45、63、67または68のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む、実施形態1−12のいずれか一項に記載の核酸、ベクター、細胞、組成物または方法。
25.第1のCARをコードする核酸が、配列番号59または60の核酸配列を含み、第2のCARをコードする核酸配列が、配列番号61の核酸配列を含む、実施形態1−12のいずれか一項に記載の核酸、ベクター、細胞、組成物または方法。
26.核酸が、配列番号62−69の核酸配列のうちの1つを含む、実施形態1−12のいずれか一項に記載の核酸、ベクター、細胞、組成物または方法。
27.第1のCARおよび第2のCARが個別のポリペプチドとして発現される、実施形態1−12のいずれか一項に記載の核酸、ベクター、細胞、組成物または方法。
28.第1のCARの結合ドメインがCD19に結合し、かつ第2のCARの結合ドメインが腫瘍関連MUC1に結合する、第1のCARおよび第2のCARを含む修飾T細胞。
29.第2のCARの結合ドメインが、
(i)SEQ ID:76または85のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域1と、SEQ ID:77または86のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域2と、SEQ ID:78または87のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域3と、および(ii)SEQ ID:73または82のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域1と、TRP−ALA−SER(WAS)またはSEQ ID:83のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域2と、SEQ ID:75または84のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域3と、を含む、実施形態28に記載の修飾T細胞。
30.第2のCARの結合ドメインが、
(i)SEQ ID:76のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域1と、SEQ ID:77のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域2と、SEQ ID:78のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域3と、および(ii)SEQ ID:73のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域1と、TRP−ALA−SER(WAS)のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域2と、SEQ ID:75のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域3と、を含む、実施形態28に記載の修飾T細胞。
31.第2のCARの結合ドメインが、(i)SEQ ID:85のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域1と、SEQ ID:86のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域2と、SEQ ID:87のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域3と、および(ii)SEQ ID:82のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域1と、SEQ ID:83のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域2と、SEQ ID:84のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域3と、を含む、実施形態28に記載の修飾T細胞。
32.第1のCARの結合ドメインが、SEQ ID:5または6のアミノ酸配列を含む、実施形態28に記載の修飾T細胞。
33.第2のCARの結合ドメインが、SEQ ID:70−72および79−81のアミノ酸配列のうちの1つを含む、実施形態28に記載の修飾T細胞。
34.第1のCARが第1の抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメインおよびCD3ζドメインを含み、および/または第2のCARが第2の抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメインおよびCD3ζドメインを含む、実施形態28−33のいずれか一項に記載の修飾T細胞。
35.共刺激ドメインが、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、及び、CD83と特異的に結合するリガンド、またはそれらの組み合わせの細胞内ドメインを含む、実施形態34に記載の修飾T細胞。
36.第1のCARおよび第2のCARが、個別のポリペプチドである遺伝子産物として発現される、実施形態28−35のいずれか一項に記載の修飾T細胞。
37.第2のCARの細胞質ドメインまたは膜貫通ドメインは、第2のCARが、CD19を発現する細胞を損傷することなく、CD19を発現する細胞を介して修飾T細胞を活性化することができるように修飾される、実施形態28−35のいずれか一項に記載の修飾T細胞。
38.第1の抗原結合ドメイン、第2の抗原結合ドメイン、細胞質ドメインおよび膜貫通ドメインを含み、ここで、第1の抗原結合ドメインが第1の抗原を認識し、第2の抗原結合ドメインが第2の抗原を認識し、第1の抗原が第2の抗原と異なる、二重特異性CAR。
39.第1の抗原および第2の抗原が同じ細胞で発現しない、実施形態38に記載の二重特異性CAR。
40.第1の抗原が血液成分の抗原であり、第2の抗原が固形腫瘍の抗原である、実施形態38に記載の二重特異性CAR。
41.第1の抗原がCD19であり、第2の抗原が腫瘍関連MUC1である、実施形態38に記載の二重特異性CAR。
42.第1の抗原結合ドメインが、SEQ ID:5または6のアミノ酸配列を含む、実施形態38に記載の二重特異性CAR。
43.第2の抗原結合ドメインが、SEQ ID:70−72および79−81のアミノ酸配列のうちの1つを含む、実施形態28に記載の修飾T細胞。
44.修飾T細胞がCD19を発現する細胞を介して被検者の血液中で増幅するように、T細胞応答を提供するために実施形態28−37のいずれか一項に記載の修飾T細胞の有効量を被検者に投与することを含む、被検者におけるT細胞応答を強化するか、または被検者の腫瘍を治療する方法。
45.腫瘍関連MUC1は、腫瘍細胞で発現するが、対応する非悪性細胞で発現しない、実施形態28−37のいずれか一項に記載の修飾T細胞。
46.第2のCARの結合ドメインが、o−グリコシル化GSTAモチーフ(配列番号88)と直接相互作用する腫瘍関連MUC1に対するscFvを含む、実施形態28−37のいずれか一項に記載の修飾T細胞。
47.実施形態38−43のいずれか一項に記載の二重特異性CARを含む細胞。
48.実施形態38−43のいずれか一項に記載の二重特異性CARをコードする核酸。
49.第1のCARの結合ドメインが、CD19、CD33、CD14およびBCMAからなる群から選択される抗原に結合し、かつ第2のCARの結合ドメインが腫瘍関連MUC1に結合する、第1のCARおよび第2のCARをコードする核酸。
50.第1のCARの結合ドメインが、CD19、CD33、CD14およびBCMAからなる群から選択される抗原に結合し、第2のCARの結合ドメインが腫瘍関連MUC1に結合する、第1のCARおよび第2のCARを含むT細胞。
51.第1のCARの結合ドメインが、CD19、CD33、CD14およびBCMAからなる群から選択される抗原に結合し、第2のCARの結合ドメインが腫瘍関連MUC1に結合する、第1のCARをコードする第1の核酸および第2のCARをコードする第2の核酸を含むT細胞。
52.実施形態50または51に記載のT細胞集団を含む、組成物。
53.第1のCARおよび第2のCARが、個別のポリペプチドとして発現される、実施形態50または51に記載のT細胞。
54.核酸が、配列番号201、204、206、208、209、211、213−215、217、218、220−225、227、228、230−235、237、238、240−244、247、249−254、256、257、259および260−263の核酸配列のうちの1つを含む、実施形態1に記載の核酸または実施形態50または51に記載のT細胞。
55.核酸が、配列番号201、204、206、208、215、217、218および220の核酸配列のうちの1つを含む、実施形態49に記載の核酸または実施形態50または51に記載のT細胞。
56.第1のCARが、配列番号203、207、216、219、226、229、236、239、245、248、255または258のアミノ酸配列を含み、第2のCARが、SEQ ID:202、205、210または212のアミノ酸配列を含む、実施形態49に記載の核酸または実施形態50または51に記載の細胞。
57.第1のCARが、配列番号207のアミノ酸配列を含み、かつ第2のCARが、配列番号202のアミノ酸配列を含む、実施形態49に記載の核酸または実施形態50または51に記載の細胞。
58.第1のCARが、配列番号203、207、216または219のアミノ酸配列を含み、第2のCARが、配列番号202または205のアミノ酸配列を含む、実施形態49に記載の核酸または実施形態50または51に記載の細胞。
59.実施形態49に記載の核酸を含む、ベクター。
60.実施形態49に記載の核酸を含む、細胞。
61.実施形態60に記載の細胞集団を含む、組成物。
62.細胞がT細胞、NK細胞または樹状細胞である、実施形態60または61に記載の細胞。
63.CARをコードする1つ以上の核酸と、1本以上のTCR鎖または生来のT細胞のTCRとを含む、遺伝子修飾T細胞。
64.1本以上のTCR鎖または生来T細胞のTCRをコードする核酸が、標的ゲノム遺伝子座内の核酸挿入物である、実施形態63に記載の遺伝子修飾T細胞。
65.核酸挿入物の統合が、標的ゲノム遺伝子座における遺伝子の少なくとも一部の置換を引き起こす、実施形態63に記載の遺伝子修飾T細胞。
66.核酸がヌクレアーゼ剤を用いてT細胞に導入される、実施形態63に記載の遺伝子修飾T細胞。
67.標的ゲノム遺伝子座内の一本鎖または二本鎖を切断するヌクレアーゼ剤をT細胞に導入することと、1本以上のTCR鎖または生来T細胞のTCRをコードする核酸を含む核酸挿入物をT細胞に導入することと、標的ゲノム遺伝子座に組み込まれた核酸挿入物を含むT細胞を選択することと、を含む、T細胞における標的ゲノム遺伝子座を修飾する方法。
68.核酸挿入物が5’ホモロジーアームと3’ホモロジーアームによって挟まれ、核酸挿入物の3’ホモロジーアームおよび核酸挿入物の5’ホモロジーアームが、標的ゲノム遺伝子座内の対応するゲノムフラグメントと相同性を有する、実施形態67に記載の方法。
69.核酸挿入物を対応するゲノムフラグメント間に統合することによって標的ゲノム遺伝子を修飾する、実施形態67に記載の方法。
70.ヌクレアーゼ剤がジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)またはメガヌクレアーゼである、実施形態67に記載の方法。
71.ヌクレアーゼ剤が、クラスター化された規則的に間隔を空けた短いパリンドローム反復(CRISPR)関連(Cas)タンパク質およびガイドRNA(gRNA)を含む、実施形態67に記載の方法。
72.Casタンパク質がCas9である、実施形態71に記載の方法。
73.生来T細胞がγδ T細胞、iNKT細胞またはMAIT細胞を含む、実施形態63−72のいずれか一項に記載の遺伝子修飾T細胞または方法。
74.生来T細胞がγδ T細胞を含む、実施形態63−72のいずれか一項に記載の遺伝子修飾T細胞または方法。
75.生来T細胞がVγ9Vδ2 T細胞を含む、実施形態63−72のいずれか一項に記載の遺伝子修飾T細胞または方法。
76.1本以上のTCR鎖をコードする1つ以上の核酸が、TCR γ鎖およびTCR δ鎖をコードする、実施形態75に記載の遺伝子修飾T細胞または方法。
77.1本以上のTCR鎖をコードする1つ以上の核酸が、内因性TCR γ鎖および内因性TCR δ鎖をコードする、実施形態75に記載の遺伝子修飾T細胞または方法。
78.核酸挿入物が、配列番号99および185の1つ以上のアミノ酸配列、またはそれらの組み合わせに対応する核酸を含む、実施形態75に記載の遺伝子修飾T細胞または方法。
79.生来T細胞がiNKT細胞を含む、実施形態63−72のいずれか一項に記載の遺伝子修飾T細胞または方法。
80.生来T細胞のTCRをコードする核酸が、iNKT α鎖および/またはiNKT β鎖をコードする、実施形態79に記載の遺伝子修飾T細胞または方法。
81.生来T細胞のTCRをコードする核酸が、内因性iNKT α鎖または内因性iNKT β鎖をコードする、実施形態79に記載の遺伝子修飾T細胞または方法。
82.生来T細胞がMAIT細胞を含む、実施形態63−72のいずれか一項に記載の遺伝子修飾T細胞または方法。
83.生来T細胞のTCRをコードする核酸が、MAIT α鎖および/またはMAIT β鎖をコードする、実施形態82に記載の遺伝子修飾T細胞または方法。
84.生来T細胞のTCRをコードする核酸が、内因性MAIT α鎖または内因性MAIT β鎖をコードする、実施形態82に記載の遺伝子修飾T細胞または方法。
85.標的ゲノム遺伝子座がαβ T細胞のαまたはβ TCR遺伝子座である、実施形態63−84のいずれか一項に記載の遺伝子修飾T細胞または方法。
86.核酸挿入物の統合が、全体的な内因性TCRの発現が低下しないように、αβ T細胞のαまたはβ TCR遺伝子座での配列の置換を引き起こす、実施形態63−84のいずれか一項に記載の遺伝子修飾T細胞または方法。
87.標的ゲノム遺伝子座の対応するゲノムフラグメントがTCR α鎖のアミノ酸配列を含む、実施形態63−84のいずれか一項に記載の遺伝子修飾T細胞または方法。
88.遺伝子修飾細胞が、核酸配列を含まない対応する細胞と比較して、同種異形細胞に対する減少した移植片対宿主病応答を誘発する、実施形態63−84のいずれか一項に記載の遺伝子修飾T細胞または方法。
89.T細胞が、ヒトドナーから単離された初代ヒトT細胞に由来するT細胞である、実施形態63−84のいずれか一項に記載の遺伝子修飾T細胞または方法。
90.T細胞がCARを含む、実施形態63−84のいずれか一項に記載の遺伝子修飾T細胞または方法。
91.遺伝子修飾細胞が、1本以上のTCR鎖を含む機能性TCRを含む、実施形態63−90のいずれか一項に記載の遺伝子修飾細胞または方法。
92.生来T細胞のTCRおよびαβ TCRがドナーに由来する、実施形態63−90のいずれか一項に記載の遺伝子修飾細胞または方法。
93.生来T細胞が抗原認識のための非MHC クラスIまたはクラスII制限要件を示す、実施形態63−92のいずれか一項に記載の遺伝子修飾細胞または方法。
94.実施形態63−92のいずれか一項に記載のT細胞の有効量を投与することを含む、被検者におけるT細胞応答を引き起こすか、または被検者の腫瘍を治療する方法。
95.第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインが抗原に結合する、第1のドメインおよび第2の結合ドメインを含む結合分子をコードする核酸。
96.第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインの1つ以上の標的抗原結合部位が異なり、かつ結合分子が、第1の結合ドメイン、リンカ、第2の結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび共刺激ドメインおよび/またはCD3ζドメインを含むCARである、実施形態95に記載の核酸。
97.抗原が表皮成長因子受容体(EGFR)、表皮成長因子受容体の変異体III(EGFRvIII)、人表皮成長因子受容体2(HER2)、メソセリン(MSLN)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌胎児性抗原(CEA)、ジシアロガングリオシド2(GD2)、インターロイキン−13Ra2(IL13Rα2)、グリピカン−3(GPC3)、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、L1細胞接着分子(L1−CAM)、癌抗原125(CA125)、分化クラスター133(CD133)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、癌/精巣抗原1B(CTAG1B)、ムチン1(MUC1)、葉酸受容体α(FR−α)、CD19、FZD10、TSHR、PRLR、ムチン17(MUC17)、GUCY2C、CD207、CD3、CD5、B細胞成熟抗原(BCMA)またはCD4である、実施形態95に記載の核酸。
98.第1の結合ドメインが腫瘍関連Muc1、TSHR、FZD10、PRLR、ムチン16(MUC16)、MUC17、GUCY2C、CD207、CLDN18.2、CLDN6またはSIGL1Cに結合する、実施形態95に記載の核酸。
99.核酸が、配列番号264および265のアミノ酸配列のうちの1つを含むポリペプチドをコードする、実施形態95に記載の核酸。
100.実施形態95−99のいずれか一項に記載の核酸を含む、ベクター。
101.実施形態95−99のいずれか一項に記載の核酸または実施形態100に記載のベクターで形質転換またはトランスフェクトする、宿主細胞。
102.実施形態95−99のいずれか一項に記載の結合分子の発現を許容する条件下で実施形態101に記載の宿主細胞を培養することと、培養物から結合分子を回収することと、を含む、実施形態95−99のいずれか一項に記載の核酸によってコードされる結合分子を産生する方法。
103.実施形態95−99のいずれか一項に記載の核酸によってコードされるか、または実施形態102に記載の方法に従って生成される結合分子を含む、医薬組成物。
104.実施形態95−99のいずれか一項に記載の核酸によってコードされる結合分子、実施形態95−99のいずれか一項に記載の核酸、実施形態100に記載のベクターおよび/または実施形態101に記載の宿主細胞を含む、キット。
105.実施形態95−99のいずれか一項に記載の核酸によってコードされる結合分子を、それを必要とする被検者に投与することを含む、疾患を治療または改善するための方法。
106.第1の抗原結合分子の結合ドメインがWBCの細胞表面分子に結合し、かつ第2の抗原結合分子の結合ドメインがWBCの細胞表面分子と異なる固形腫瘍抗原に結合する、第1の抗原結合分子および第2の抗原結合分子をコードする核酸。
107.実施形態106に記載の核酸を含む、ベクター。
108.実施形態106に記載の核酸を含む、細胞。
109.第1の抗原結合分子の結合ドメインがWBCの細胞表面分子に結合し、かつ第2の抗原結合分子の結合ドメインがWBCの細胞表面分子と異なる固形腫瘍抗原に結合する、第1の抗原結合分子および第2の抗原結合分子を含む細胞。
110.実施形態108−109のいずれか一項に記載の細胞集団を含む、組成物。
111.細胞がT細胞、NK細胞または樹状細胞である、実施形態108−109のいずれか一項に記載の細胞。
112.第1の抗原結合分子および第2の抗原結合分子を含む細胞を取得すること、ここで、第1の抗原結合分子の結合ドメインがWBCの細胞表面分子に結合し、かつ第2の抗原結合分子の結合ドメインがWBCの細胞表面分子と異なる固形腫瘍抗原に結合し、および、WBCの細胞表面分子または第2の抗原結合分子が結合する抗原に由来する試薬の存在下で細胞を培養すること、を含む、細胞を培養する方法。
113.試薬がWBCの細胞表面分子の細胞外ドメインである、実施形態112に記載の方法。
114.細胞を用意することと、第1の抗原結合分子および第2の抗原結合分子をコードする核酸を細胞に導入すること、ここで、第1の抗原結合分子の結合ドメインがWBCの細胞表面分子に結合し、かつ第2の抗原結合分子の結合ドメインがWBCの細胞表面分子と異なる抗原に結合し、および、WBCの細胞表面分子または第2の抗原結合分子が結合する抗原に由来する試薬の存在下で細胞を培養すること、を含む、インビトロで細胞を調製する方法。
115.T細胞応答を提供するために、第1の抗原結合分子および第2の抗原結合分子を含むT細胞の有効量を被検者に投与することを含み、ここで、第1の抗原結合分子の結合ドメインがWBCの細胞表面分子に結合し、かつ第2の抗原結合分子の結合ドメインがWBCの細胞表面分子と異なる抗原に結合する、被検者におけるT細胞応答を強化するか、または被検者の腫瘍を治療する方法。
116.被検者におけるT細胞応答を強化することは、第1の抗原結合分子および第2の抗原結合分子を含むT細胞の増殖をインビボで選択的に強化することを含む、実施形態115に記載の方法。
117.第1の抗原結合分子および第2の抗原結合分子を含むT細胞の有効量を被検者に投与することを含み、ここで、第1の抗原結合分子の結合ドメインがWBCの細胞表面分子に結合し、かつ第2の抗原結合分子の結合ドメインがWBCの細胞表面分子と異なる固形腫瘍抗原に結合し、細胞がT細胞、NK細胞または樹状細胞である、抗原結合分子を発現する細胞をインビボで増幅する方法。
118.第1の抗原結合分子が第1のキメラ抗原受容体(CAR)であり、かつ第2の抗原結合分子が第2のCARである、実施形態106−117のいずれか一項に記載の核酸、ベクター、細胞または方法。
119.WBCの細胞表面分子と異なる抗原がCD19、CD22、CD20、BCMA、CD5、CD7、CD2、CD16、CD56、CD30、CD14、CD68、CD11b、CD18、CD169、CD1c、CD33、CD38、CD138、CD13、B7、CAIX、CD123、CD133、CD171、CD171/L1−CAM、CEA、Claudin 18.2、cMet、CS1、CSPG4、Dectin1、EGFR、EGFR vIII、EphA2、ERBB受容体、ErbB T4、ERBB2、FAP、葉酸受容体1、FITC、葉酸受容体1、FSH、GD2、GPC3、HA−1 H/HLA− A2、HER2、IL−11Ra、IL13受容体a2、IL13R、IL13Rα2(zetakine)、Kappa、白血病、LewisY、メソセリン、MUC1、NKG2D、NY−ESO−1、PSMA、ROR−1、TRAIL受容体1またはVEGFR2である、実施形態118に記載の核酸、ベクター、細胞または方法である。
120.MUC1がヒトMUC1の腫瘍専用エピトープであり、かつ第1のCARおよび第2のCARがポリペプチドとして発現される、実施形態118に記載の核酸、ベクター、細胞または方法。
121.MUC1がヒトMUC1の腫瘍形態(tMUC1)である、実施形態118に記載の核酸、ベクター、細胞または方法。
122.WBCが顆粒球、単球またはリンパ球である、実施形態118に記載の核酸、ベクター、細胞または方法。
123.WBCがB細胞である、実施形態118に記載の核酸、ベクター、細胞または方法。
124.WBCの細胞表面分子がCD19、CD22、CD20、BCMA、CD5、CD7、CD2、CD16、CD56、CD30、CD14、CD68、CD11b、CD18、CD169、CD1c、CD33、CD38、CD138またはCD13、またはWBCの細胞表面分子がCD19、CD20、CD22またはBCMAである、実施形態118に記載の核酸、ベクター、細胞または方法。
125.WBCの細胞表面分子がCD19である、実施形態118に記載の核酸、ベクター、細胞または方法。
126.第1のCARが第1の抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメインおよびCD3ζドメインを含み、および/または第2のCARが第2の抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメインおよびCD3ζドメインを含む、実施形態118に記載の核酸、ベクター、細胞または方法。
127.共刺激ドメインが、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、及び、CD83と特異的に結合するリガンド、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む、実施形態110に記載の核酸、細胞または方法。
128.抗原結合ドメインがFabまたはscFvである、実施形態118に記載の核酸、ベクター、細胞または方法。
129.第1のCARが、配列番号5、6、53および54、55および56、または57および58のアミノ酸配列を含み、かつ第2のCARが、配列番号5−17、29、33、37、71および72のいずれかのアミノ酸配列、または配列番号41、45、63、67または68の核酸によってコードされるアミノ酸配列を含む、実施形態118に記載の核酸、ベクター、細胞または方法。
130.第1のCARをコードする核酸が、配列番号59または60の核酸配列を含み、かつ第2のCARをコードする核酸が、配列番号61の核酸配列を含む、実施形態118に記載の核酸、ベクター、細胞または方法。
131.核酸が、配列番号62−69の核酸配列のうちの1つを含む、実施形態118に記載の核酸、ベクター、細胞または方法。
132.第1のCARおよび第2のCARが、個別のポリペプチドである遺伝子産物として発現される、実施形態118に記載の核酸、ベクター、細胞または方法。
133.第1の抗原結合分子がキメラ抗原受容体(CAR)であり、かつ第2の抗原結合分子がT細胞受容体(TCR)である、実施形態106−132のいずれか一項に記載の核酸、ベクター、細胞または方法。
134.TCRが修飾TCRである、実施形態133に記載の核酸、ベクター、細胞または方法。
135.TCRが患者において自然に発生する腫瘍特異的T細胞に由来する、実施形態133に記載の核酸、ベクター、細胞または方法。
136.TCRが腫瘍抗原に結合する、実施形態133に記載の核酸、細胞または方法。
137.腫瘍抗原がCEA、gp100、MART−1、p53、MAGE−A3またはNY−ESO−1を含み、もしくはTCRがTCRγとTCRδ鎖またはTCRαとTCRβ鎖、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態133に記載の核酸、ベクター、細胞または方法。
138.第1のCARの結合ドメインがCD19に結合し、かつ第2のCARの結合ドメインが腫瘍関連MUC1に結合する、第1のCARおよび第2のCARを含む修飾T細胞。
139.第2のCARの結合ドメインが、(i)SEQ ID:76または85のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域1と、SEQ ID:77または86のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域2と、SEQ ID:78または87のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域3と、および(ii)SEQ ID:73または82のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域1と、TRP−ALA−SER(WAS)またはSEQ ID:83のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域2と、SEQ ID:75または84のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域3と、を含む、実施形態138に記載の修飾T細胞。
140.第2のCARの結合ドメインが、(i)SEQ ID:76のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域1と、SEQ ID:77のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域2と、SEQ ID:78のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域3と、および(ii)SEQ ID:73のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域1と、TRP−ALA−SER(WAS)のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域2と、SEQ ID:75のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域3と、を含む、実施形態28に記載の修飾T細胞。
141.第2のCARの結合ドメインが、(i)SEQ ID:85のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域1と、SEQ ID:86のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域2と、SEQ ID:87のアミノ酸配列を含む重鎖相補的決定領域3と、および(ii)SEQ ID:82のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域1と、SEQ ID:83のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域2と、SEQ ID:84のアミノ酸配列を含む軽鎖相補的決定領域3と、を含む、実施形態138に記載の修飾T細胞。
142.第1のCARの結合ドメインが、SEQ ID:5または6のアミノ酸配列を含む、実施形態138に記載の修飾T細胞。
143.第2のCARの結合ドメインが、SEQ ID:70−72および79−81のアミノ酸配列のうちの1つを含む、実施形態28に記載の修飾T細胞。
144.第1のCARが第1の抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメインおよびCD3ζドメインを含み、および/または第2のCARが第2の抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメインおよびCD3ζドメインを含む、実施形態138−143のいずれか一項に記載の修飾T細胞。
145.共刺激ドメインが、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、及び、CD83と特異的に結合するリガンド、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む、実施形態144に記載の修飾T細胞。
146.第1のCARおよび第2のCARが、個別のポリペプチドである遺伝子産物として発現される、実施形態138−145のいずれか一項に記載の修飾T細胞。
147.第2のCARの細胞質ドメインまたは膜貫通ドメインは、第2のCARが、CD19を発現する細胞を損傷することなく、CD19を発現する細胞を介して修飾T細胞を活性化することができるように修飾される、実施形態138−146のいずれか一項に記載の修飾T細胞。
148.第1の抗原結合ドメイン、第2の抗原結合ドメイン、細胞質ドメインおよび膜貫通ドメインを含み、ここで、第1の抗原結合ドメインが第1の抗原を認識し、かつ第2の抗原結合ドメインが第2の抗原を認識し、第1の抗原が第2の抗原と異なる、二重特異性キメラ抗原受容体。
149.第1の抗原および第2の抗原が同じ細胞で発現しない、実施形態148に記載の二重特異性キメラ抗原受容体。
150.第1の抗原が血液成分の抗原であり、かつ第2の抗原が固形腫瘍の抗原である、実施形態148または149に記載の二重特異性キメラ抗原受容体。
151.第1の抗原がCD19であり、かつ第2の抗原が腫瘍関連MUC1である、実施形態148−150のいずれか一項に記載の二重特異性キメラ抗原受容体。
152.第1の抗原結合ドメインが、SEQ ID:5および6のアミノ酸配列のうちの1つを含む、実施形態148−151のいずれか一項に記載の二重特異性キメラ抗原受容体。
153.第2の抗原結合ドメインが、SEQ ID:70−72および79−81のアミノ酸配列のうちの1つを含む、実施形態138−147のいずれか一項に記載の修飾T細胞。
154.CAR−T細胞がCD19を発現する細胞を介して被検者の血液中で増幅するように、T細胞応答を提供するために実施形態138−147のいずれか一項に記載の修飾T細胞の有効量を被検者に投与することを含む、被検者におけるT細胞応答を強化するか、または被検者の腫瘍を治療する方法。
155.腫瘍関連MUC1は、腫瘍細胞で発現するが、対応する非悪性細胞で発現しない、実施形態138−147のいずれか一項に記載の修飾T細胞。
156.腫瘍関連MUC1に対するscFvが、o−グリコシル化のGSTAモチーフ(配列番号88)と直接相互作用する、実施形態138−147のいずれか一項に記載の修飾T細胞。
157.実施形態148−152のいずれか一項に記載の二重特異性CARを含む、細胞。
158.実施形態148−152のいずれか一項に記載の二重特異性CARをコードする、核酸。
159.第1のCARの抗原結合ドメインが、CD19、CD33、CD14およびBCMAからなる群から選択される抗原に結合し、かつ第2のCARの抗原結合ドメインが腫瘍関連MUC1に結合する、第1のCARおよび第2のCARを含むT細胞。
160.第1のCARが、配列番号207のアミノ酸配列を含み、かつ第2のCARが、配列番号202のアミノ酸配列を含む、実施形態159に記載のT細胞。
161.第1のCARが、配列番号203、207、216または219のアミノ酸配列を含み、かつ第2のCARは、SEQ ID:202または205のアミノ酸配列を含む、実施形態159に記載のT細胞。
162.第2のCARの抗原結合ドメインが、配列番号70のアミノ酸配列を含む、実施形態181に記載の修飾細胞または方法。
163.第2のCARの抗原結合ドメインが、配列番号5または6のアミノ酸配列を含む、実施形態28に記載の修飾T細胞。
164.単離T細胞が、配列番号201、204、206、208、215、217、218および220の核酸配列のうちの1つを含む、実施形態159に記載のT細胞。
165.第1のCARおよび第2のCARのそれぞれが、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含む、実施形態159−164のいずれか一項に記載のT細胞。
166.細胞質ドメインが共刺激ドメインおよびCD3ζドメインを含む、実施形態165に記載のT細胞。
167.共刺激ドメインが、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、及び、CD83と特異的に結合するリガンド、またはそれらの組み合わせの細胞内ドメインを含む、実施形態166に記載のT細胞。
168.T細胞が、プログラム死の受容体1(PD−1)、細胞傷害性Tリンパ球抗原−4(CTLA−4)、Bリンパ球およびTリンパ球アッテネーター(BTLA)、T細胞免疫グロブリンムチン−3(TIM−3)、リンパ球活性化タンパク質3(LAG−3)、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1)、ナチュラルキラー細胞受容体2B4(2B4)またはCD 160、の優性ネガティブ変異体を含む、実施形態159に記載のT細胞。
169.T細胞が、対応する野生型T細胞と比較して、減少した量のTCRを含む、実施形態159に記載のT細胞。
170.実施形態159−169のいずれか一項に記載のT細胞集団を含む、組成物。
171.実施形態159−169のいずれか一項に記載のT細胞の有効量を投与することを含む、被検者におけるT細胞応答を強化するか、または被検者の腫瘍を治療する方法。
172.腫瘍抗原が固形腫瘍抗原である、実施形態1−171のいずれか一項に記載の核酸、ベクター、細胞(T細胞および修飾T細胞を含む)、二重特異性CAR、組成物または方法。
173.固形腫瘍抗原が、tMUC 1、PRLR、CLCA1、MUC12、GUCY2C、GPR35、CR1L、MUC 17、TMPRSS11B、MUC21、TMPRSS11E、CD207、SLC30A8、CFC1、SLC12A3、SSTR1、GPR27、FZD10、TSHR、SIGLEC15、SLC6A3、KISS1R、QRFPR、GPR119、CLDN6、UPK2、ADAM12、SLC45A3、ACPP、MUC21、MUC16、MS4A12、ALPP、CEA、EphA2、FAP、GPC3、IL13−Rα2、メソセリン、PSMA、ROR1、VEGFR−II、GD2、FR−α、ErbB2、EpCAM、EGFRvIIIまたはEGFRであり、かつB細胞抗原がCD19、CD20、CD22またはBCMAである、実施形態1−172のいずれか一項に記載の核酸、ベクター、細胞(T細胞および修飾T細胞を含む)、二重特異性CAR、組成物または方法。
174.複数の核酸をT細胞に提供すること、ここで、前記複数の核酸が固形腫瘍抗原に結合するキメラ抗原受容体(CAR)をコードし、かつB細胞抗原に結合するCARをコードし、および、T細胞の有効量を被検者に投与すること、を含む、癌を有する被検者にけるT細胞の増幅および/またはサイトカイン放出(例えば、IL−6およびINF−γ)を強化するための方法。
175.複数の核酸をT細胞に提供すること、ここで、前記複数の核酸が、固形腫瘍抗原に結合するキメラ抗原受容体(CAR)、B細胞抗原に結合するCAR、および機能的なPD−1細胞内ドメインを欠く修飾PD−1をコードし、および、T細胞の有効量を被検者に投与すること、を含む、癌を有する被検者におけるT細胞応答および/またはサイトカイン放出(例えば、IL−6およびINF−γ)を強化するための方法。
176.複数の核酸を含み、前記複数の核酸が、被検者の腫瘍関連固形腫瘍抗原に結合するキメラ抗原受容体(CAR)、B細胞抗原に結合するCAR、および機能的なPD−1細胞内ドメインを欠く修飾PD−1をコードする、修飾細胞。
177.B細胞抗原に結合するCARだけでなく、修飾PD−1Dも有さないCAR−T細胞の有効量が投与された被検者と比較して、前記被検者が、より高いレベルのT細胞増幅およびより高い量の記憶T細胞を有する、実施形態175または176に記載の修飾細胞または方法。
178.修飾PD−1Dが、配列番号89−95のアミノ酸配列のうちの1つを含む、実施形態175または176に記載の修飾細胞または方法。
179.固形腫瘍抗原が、tMUC 1、PRLR、CLCA1、MUC12、GUCY2C、GPR35、CR1L、MUC 17、TMPRSS11B、MUC21、TMPRSS11E、CD207、SLC30A8、CFC1、SLC12A3、SSTR1、GPR27、FZD10、TSHR、SIGLEC15、SLC6A3、KISS1R、QRFPR、GPR119、CLDN6、UPK2、ADAM12、SLC45A3、ACPP、MUC21、MUC16、MS4A12、ALPP、CEA、EphA2、FAP、GPC3、IL13−Rα2、メソセリン、PSMA、ROR1、VEGFR−II、GD2、FR−α、ErbB2、EpCAM、EGFRvIIIまたはEGFRであり、かつB細胞抗原がCD19、CD20、CD22またはBCMAである、実施形態174−178のいずれか一項に記載の修飾細胞または方法
180.B細胞抗原がCD19を含む、実施形態174−178のいずれか一項に記載の修飾細胞または方法。
181.固形腫瘍抗原が腫瘍関連MUC1を含む、実施形態180に記載の修飾細胞または方法。
182.B細胞抗原に結合するCARの結合ドメインが、配列番号5または6のアミノ酸配列を含み、かつ固形腫瘍抗原に結合するCARの結合ドメインが、配列番号70のアミノ酸配列を含む、実施形態181に記載の修飾細胞または方法。
183.B細胞抗原に結合するCARが、配列番号207のアミノ酸配列を含み、かつ固形腫瘍抗原に結合するCARが、配列番号202のアミノ酸配列を含む、実施形態49に記載の核酸または実施形態50または51に記載の細胞。
184.B細胞抗原に結合するCARが、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞質ドメインを含み、かつ固形腫瘍抗原に結合するCARが、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含む、実施形態181に記載の修飾細胞または方法。
185.CARの細胞質ドメインが、共刺激ドメインまたはCD3ζドメインまたはそれらの組み合わせを含む、実施形態184に記載の修飾細胞または方法。
186.T細胞の増幅が、B細胞抗原に結合するCARの非存在下で固形腫瘍抗原に結合するCARを有するT細胞を投与することによって得られるT細胞の増幅よりも大きい、実施形態180に記載の修飾細胞または方法。
187.T細胞増幅が、T細胞のゲノムDNAにおけるCAR分子のコピー数の増加に基づいて測定される、実施形態186に記載の修飾細胞または方法。
188.核酸の少なくとも1つが、配列番号201の核酸配列を含む、実施形態180に記載の修飾細胞または方法。
189.B細胞抗原がCD19、CD20、CD22またはBCMAを含む、実施形態178に記載の修飾細胞または方法。
190.固形腫瘍抗原がB7、CAIX、CD123、CD133、CD171、CD171/L1−CAM、CEA、Claudin 18.2、cMet、CS1、CSPG4、Dectin1、EGFR、EGFR vIII、EphA2、ERBB受容体、ErbB T4、ERBB2、FAP、葉酸受容体1、FITC、葉酸受容体1、FSH、GD2、GPC3、HA−1 H/HLA− A2、HER2、IL−11Ra、IL13受容体a2、IL13R、IL13Rα2(zetakine)、Kappa、白血病、LewisY、メソセリン、MUC1、NKG2D、NY−ESO−1、PSMA、ROR−1、TRAIL−受容体1またはVEGFR2を含む、実施形態188に記載の修飾細胞または方法。
191.B細胞抗原に結合するCARが、配列番号203、207、216または219のアミノ酸配列を含む、実施形態178に記載の修飾細胞または方法。
192.固形腫瘍抗原に結合するCARが、配列番号202または205のアミノ酸配列を含む、実施形態178に記載の修飾細胞または方法。
193.核酸の少なくとも1つが、配列番号201、204、206、208、215、217、218または220の核酸配列を含む、実施形態178に記載の修飾細胞または方法。
194.T細胞を含む組成物の有効量を被検者に投与することと、ここで、前記T細胞がキメラ抗原受容体(CAR)および修飾PD−1を含み、前記修飾PD−1が機能的なPD−1細胞内ドメインを欠き、被検者におけるT細胞応答をモニタリングすることと、ここで、免疫細胞亜集団がナイーブ(naive)T細胞、幹細胞記憶T細胞および/または中央記憶T細胞を含み、かつ、修飾PD−1を含まない対応するT細胞と比較して、被検者における免疫細胞亜集団の数または比率が増加し、または、被検者における免疫細胞亜集団の持続性が、修飾PD−1を含まない対応するT細胞と比較して、向上または延長しているかどうかをモニタリングすること、を含む、癌を有する被検者において、免疫細胞亜集団の数または比率を増加させるための、および/または免疫細胞亜集団の持続性を向上または延長させるための方法。
195.被検者におけるT細胞応答をモニタリングすることは、修飾PD−1のmRNAを検出すること、1つ以上の白血球の数を検出すること、ナイーブT細胞、幹細胞記憶T細胞および中央記憶T細胞の少なくとも1つの数を検出すること、CARコピー数を検出すること、CD3陽性細胞数を検出すること、CARを発現するT細胞の数を検出すること、1つ以上のサイトカインのレベルを検出すること、のうちの少なくとも1つを含む、請求項194に記載の方法。
196.CARが導入されるが修飾PD−1を含まないT細胞と比較して、前記T細胞が被検者においてより多くの記憶T細胞を有する、請求項194に記載の方法。
197.修飾PD−1がSEQ ID:89−93の配列の1つを含み、または修飾PD−1がSEQ ID:94または95を含まない、請求項194に記載の方法。
198.T細胞がPD−1の優性ネガティブ変異体を含み、かつT細胞のPD−1の内因性遺伝子が破壊されない、請求項194に記載の方法。
199.CARが細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含み、細胞外ドメインが抗原に結合する、請求項194に記載の方法。
200.細胞内ドメインが共刺激ドメインを含み、前記共刺激ドメインが、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む、請求項199に記載の方法。
201.抗原が、表皮成長因子受容体(EGFR)、表皮成長因子受容体の変異体III(EGFRvIII)、人表皮成長因子受容体2(HER2)、メソセリン(MSLN)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌胎児性抗原(CEA)、ジシアロガングリオシド2(GD2)、インターロイキン−13Ra2(IL13Rα2)、グリピカン−3(GPC3)、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、L1細胞接着分子(L1−CAM)、癌抗原125(CA125)、分化クラスター133(CD133)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、癌/精巣抗原1B(CTAG1B)、ムチン1(MUC1)、葉酸受容体α(FR−α)、CD19、FZD10、TSHR、PRLR、Muc 17、GUCY2C、CD207、CD3、CD5、B細胞成熟抗原(BCMA)またはCD4である、請求項199に記載の方法。
202.T細胞が、固形腫瘍抗原に結合するCARおよび白血球抗原に結合するCARを含む、請求項194に記載の方法。
203.固形腫瘍抗原が、tMUC 1、PRLR、CLCA1、MUC12、GUCY2C、GPR35、CR1L、MUC 17、TMPRSS11B、MUC21、TMPRSS11E、CD207、SLC30A8、CFC1、SLC12A3、SSTR1、GPR27、FZD10、TSHR、SIGLEC15、SLC6A3、KISS1R、QRFPR、GPR119、CLDN6、UPK2、ADAM12、SLC45A3、ACPP、MUC21、MUC16、MS4A12、ALPP、CEA、EphA2、FAP、GPC3、IL13−Rα2、メソセリン、PSMA、ROR1、VEGFR−II、GD2、FR−α、ErbB2、EpCAM、EGFRvIIIまたはEGFRであり、かつB細胞抗原がCD19、CD20、CD22またはBCMAである、請求項202に記載の方法。
204.白血球抗原がB細胞抗原である、請求項202に記載の方法。
205.B細胞抗原がCD19、CD20、CD22またはBCMAである、請求項202に記載の方法。
206.T細胞に、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列を提供することと、T細胞に、修飾PD−1をコードする核酸配列、機能的なPD−1細胞内ドメインを欠く修飾PD−1、及び、ナイーブT細胞と幹細胞記憶T細胞および/または中央記憶T細胞を含む免疫細胞亜集団を提供することと、ここで、修飾PD−1を含まない対応するT細胞と比較して、免疫細胞亜集団の数または比率が増加し、または、免疫細胞亜集団の持続性が、修飾PD−1を含まない対応するT細胞と比較して、向上または延長しているかどうかをモニタリングすることと、を含む、免疫細胞亜集団の数または比率を増加させるための、および/または免疫細胞亜集団の持続性を向上または延長させるための方法。
207.CTLA4遺伝子における第1の標的部位に結合する第1のジンクフィンガータンパク質(ZFP)と、ここで、前記第1のZFPが3つ以上のジンクフィンガードメインからなり、CTLA4遺伝子における第2の標的部位に結合する第2のZFPと、ここで、前記第2のZFPが3つ以上のジンクフィンガードメインからなり、開裂ドメインとを含み、ここで、第1のZFPが第1のZFPのN末端から第1のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号301、302および303のアミノ酸配列からなり、かつ第2のZFPが第2のZFPのN末端から第2のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号305、306および307のアミノ酸配列からなる、単離ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)。
208.CTLA4遺伝子における標的部位に結合し、前記標的部位が配列番号304のヌクレオチド配列を含む、単離ZFN。
209.LAG3遺伝子における第1の標的部位に結合する第1のジンクフィンガータンパク質(ZFP)と、ここで、前記第1のZFPが3つ以上のジンクフィンガードメインからなり、LAG3遺伝子における第2の標的部位に結合する第2のZFPと、ここで、前記第2のZFPが3つ以上のジンクフィンガードメインからなり、開裂ドメインとを含み、ここで、第1のZFPが第1のZFPのN末端から第1のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号308、309および310のアミノ酸配列からなり、かつ第2のZFPが第2のZFPのN末端から第2のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号309、308および312のアミノ酸配列からなり、または第1のZFPが第1のZFPのN末端から第1のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号313、314および315のアミノ酸配列からなり、かつ第2のZFPが第2のZFPのN末端から第2のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号316、317および318のアミノ酸配列からなる、単離ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)。
210.LAG3遺伝子における標的部位に結合し、前記標的部位が配列番号311または319のヌクレオチド配列を含む、単離ZFN。
211.BTLA遺伝子における第1の標的部位に結合する第1のジンクフィンガータンパク質(ZFP)と、ここで、前記第1のZFPが3つ以上のジンクフィンガードメインからなり、BTLA遺伝子における第2の標的部位に結合する第2のZFPと、ここで、前記第2のZFPが3つ以上のジンクフィンガードメインからなり、開裂ドメインとを含み、ここで、第1のZFPが第1のZFPのN末端から第1のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号320、321および322のアミノ酸配列からなり、かつ第2のZFPが第2のZFPのN末端から第2のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号323、324および325のアミノ酸配列からなる、単離ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)。
212.BTLA遺伝子における標的部位に結合し、前記標的部位が配列番号326のヌクレオチド配列を含む、単離ZFN。
213.TIM3遺伝子における第1の標的部位に結合する第1のジンクフィンガータンパク質(ZFP)と、ここで、前記第1のZFPが3つ以上のジンクフィンガードメインからなり、TIM3遺伝子における第2の標的部位に結合する第2のZFPと、ここで、前記第2のZFPが3つ以上のジンクフィンガードメインからなり、開裂ドメインとを含み、ここで、第1のZFPが第1のZFPのN末端から第1のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号327、328および329のアミノ酸配列からなり、かつ第2のZFPが第2のZFPのN末端から第2のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号330、331および332のアミノ酸配列からなり、または第1のZFPが第1のZFPのN末端から第1のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号334、335および336のアミノ酸配列からなり、かつ第2のZFPが第2のZFPのN末端から第2のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号337、338および339のアミノ酸配列からなる、単離ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)。
214.TIM3遺伝子における標的部位に結合し、前記標的部位が配列番号333または340のヌクレオチド配列を含む、単離ZFN。
215.FOXP3遺伝子における第1の標的部位に結合する第1のジンクフィンガータンパク質(ZFP)と、ここで、前記第1のZFPが3つ以上のジンクフィンガードメインからなり、FOXP3遺伝子における第2の標的部位に結合する第2のZFPと、前記第2のZFPが3つ以上のジンクフィンガードメインからなり、開裂ドメインとを含み、ここで、第1のZFPが第1のZFPのN末端から第1のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号341、328および342のアミノ酸配列からなり、かつ第2のZFPが第2のZFPのN末端から第2のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号343、344および345のアミノ酸配列からなり、第1のZFPが第1のZFPのN末端から第1のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号347、348および349のアミノ酸配列からなり、かつ第2のZFPが第2のZFPのN末端から第2のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号350、344および351のアミノ酸配列からなり、または第1のZFPが第1のZFPのN末端から第1のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号288、310および314のアミノ酸配列からなり、かつ第2のZFPが第2のZFPのN末端から第2のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号308、308および284のアミノ酸配列からなる、単離ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)。
216.FOXP3遺伝子における標的部位に結合し、前記標的部位が配列番号346、352または283のヌクレオチド配列を含む、単離ZFN。
217.SIVA1遺伝子における第1の標的部位に結合する第1のジンクフィンガータンパク質(ZFP)と、ここで、前記第1のZFPが3つ以上のジンクフィンガードメインからなり、SIVA1遺伝子における第2の標的部位に結合する第2のZFPと、ここで、前記第2のZFPが3つ以上のジンクフィンガードメインからなり、開裂ドメインとを含み、ここで、第1のZFPが第1のZFPのN末端から第1のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号353、331および354のアミノ酸配列からなり、かつ第2のZFPが第2のZFPのN末端から第2のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号355、300および299のアミノ酸配列からなり、または第1のZFPが第1のZFPのN末端から第1のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号308、314および312のアミノ酸配列からなり、かつ第2のZFPが第2のZFPのN末端から第2のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号288、287および286のアミノ酸配列からなる、単離ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)
218.SIVA1遺伝子における標的部位に結合し、前記標的部位が配列番号296または285のヌクレオチド配列を含む、単離ZFN。
219.LGALS9遺伝子における第1の標的部位に結合する第1のジンクフィンガータンパク質(ZFP)と、ここで、前記第1のZFPが3つ以上のジンクフィンガードメインからなり、LGALS9遺伝子における第2の標的部位に結合する第2のZFPと、ここで、前記第2のZFPが3つ以上のジンクフィンガードメインからなり、開裂ドメインとを含み、ここで、第1のZFPが第1のZFPのN末端から第1のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号298、324および297のアミノ酸配列からなり、かつ第2のZFPが第2のZFPのN末端から第2のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号295、300および294のアミノ酸配列からなる、単離ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)。
220.CD33遺伝子における標的部位に結合し、前記標的部位が配列番号293のヌクレオチド配列を含む、単離ZFN。
221.CD33遺伝子における第1の標的部位に結合する第1のジンクフィンガータンパク質(ZFP)と、ここで、前記第1のZFPが3つ以上のジンクフィンガードメインからなり、CD33遺伝子における第2の標的部位に結合する第2のZFPと、ここで、前記第2のZFPが3つ以上のジンクフィンガードメインからなり、開裂ドメインとを含み、ここで、第1のZFPが第1のZFPのN末端から第1のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号301、292および312のアミノ酸配列からなり、かつ第2のZFPが第2のZFPのN末端から第2のZFPのC末端までの順序で配列された配列番号291、290および310のアミノ酸配列からなる、単離ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)。
222.LGALS9遺伝子における標的部位に結合し、前記標的部位が配列番号289のヌクレオチド配列を含む、単離ZFN。
223.遺伝子がヒト遺伝子である、実施形態207−222のいずれか一項に記載の単離ZFN。
224.開裂ドメインが野生型または工学的に設計されたFokI開裂ドメインを含む、実施形態207−222のいずれか一項に記載の単離ZFN。
225.実施形態207−222のいずれか一項に記載の単離ZFNをコードする、ポリヌクレオチド。
226.実施形態225に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
227.ベクターがアデノウイルスまたはレンチウイルスベクターである、実施形態226に記載のベクター。
228.実施形態207−222のいずれか一項に記載の単離ZFNを含む、単離細胞または細胞株。
229.単離細胞が幹細胞、T細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である、実施形態228に記載の単離細胞または細胞株。
230.細胞が、ヒトドナーから単離された初代ヒトT細胞に由来するT細胞である、実施形態228に記載の単離細胞または細胞株。
231.細胞が、CTLA4、LAG3、BTLA、TIM3、FOXP3、SIVA1およびLGALS9の内因性遺伝子への発現が減少した、実施形態228に記載の単離細胞または細胞株。
232.キメラ抗原受容体(CAR)をコードする単離核酸配列を含み、ここで、内因性遺伝子が、実施形態207−222のいずれか一項に記載のZFNの使用により不活性化される、単離細胞。
233.CARが抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメインおよびCD3ζ信号伝達ドメインを含む、実施形態232に記載の単離細胞または細胞株。
234.前記細胞は、初代ヒトT細胞の移植片対宿主病(GVHD)への応答と比較して、生体適合性のないヒト受容体においてGVHD応答が減少した、実施形態233に記載の単離細胞または細胞株。
235.CARの抗原結合ドメインがFZD10、TSHR、PRLR、Muc17、GUCY2C、CD207、CD19またはCD20に結合する、実施形態232に記載の単離細胞または細胞株。
236.CARの共刺激ドメインが、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む、実施形態232に記載の単離細胞または細胞株。
237.単離細胞または細胞株が、hTERTをコードする核酸配列、またはSV40LTをコードする核酸、またはそれらの組み合わせを含むT細胞である、実施形態228に記載の単離細胞または細胞株。
238.T細胞が、hTERTをコードする核酸配列、およびSV40LTをコードする核酸を含む、実施形態237に記載の単離細胞または細胞株。
239.hTERTの発現が、誘導性発現系によって調節される、実施形態237に記載の単離細胞または細胞株。
240.SV40LT遺伝子の発現が、誘導性発現系によって調節される、実施形態237に記載の単離細胞または細胞株。
241.誘導性発現系が、SV40LT遺伝子もしくはhTERT遺伝子、またはそれらの組み合わせの発現を増加または活性化する、rTTA−TREである、実施形態240に記載の単離細胞または細胞株。
242.T細胞が自殺遺伝子をコードする核酸配列を含み、および/または自殺遺伝子がHSV−TK自殺遺伝子系を含む、実施形態237に記載の単離細胞または細胞株。
243.実施形態232に記載の遺伝子修飾細胞を被検者に投与することを含み、ここで、癌が肺癌、膵臓癌、肝臓癌、骨癌、乳癌、結腸直腸癌、白血病、卵巣癌、リンパ腫および脳癌からなる群から選択される、被検者の癌を治療する方法。
244.B2M遺伝子における第1の標的部位に結合する第1のジンクフィンガータンパク質(ZFP)と、ここで、前記第1のZFPが3つ以上のジンクフィンガードメインからなり、B2M遺伝子における第2の標的部位に結合する第2のZFPと、ここで、前記第2のZFPが3つ以上のジンクフィンガードメインからなり、開裂ドメインとを含み、ここで、第1のZFPが表8に示されるアミノ酸配列からなり、かつ第2のZFPが表8に示されるアミノ酸配列からなる、単離ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)。
245.B2M遺伝子における標的部位に結合し、前記標的部位が表8に示されるヌクレオチド配列を含む、単離ZFN。
246.CIITA遺伝子における第1の標的部位に結合する第1のジンクフィンガータンパク質(ZFP)と、ここで、前記第1のZFPが3つ以上のジンクフィンガードメインからなり、CIITA遺伝子における第2の標的部位に結合する第2のZFPと、ここで、前記第2のZFPが3つ以上のジンクフィンガードメインからなり、開裂ドメインとを含み、ここで、第1のZFPおよび第2のZFPが表8に示されるアミノ酸配列からなる、単離ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)。
247.遺伝子がヒト遺伝子である、実施形態244−246のいずれか一項に記載の単離ZFN。
248.開裂ドメインが野生型または工学的に設計されたFokI開裂ドメインを含む、実施形態244−246のいずれか一項に記載の単離ZFN。
249.実施形態244−248のいずれか一項に記載の単離ZFNをコードする、ポリヌクレオチド。
250.実施形態249に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
251.ベクターがアデノウイルスまたはレンチウイルスベクターである、実施形態250に記載のベクター。
252.実施形態244−248のいずれか一項に記載の単離ZFNを含む、単離細胞または細胞株。
253.単離細胞が幹細胞、T細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である、実施形態252に記載の単離細胞または細胞株。
254.細胞が、ヒトドナーから単離された初代ヒトT細胞に由来するT細胞である、実施形態253に記載の単離細胞または細胞株。
255.細胞はB2MまたはCIITAの内因性遺伝子への発現が減少した、実施形態254に記載の単離細胞または細胞株。
256.キメラ抗原受容体(CAR)をコードする単離核酸配列を含み、ここで、CARの内因性遺伝子が、実施形態244−256のいずれか一項に記載のZFNの使用により不活性化される、単離細胞。
257.CARが抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメインおよびCD3ζ信号伝達ドメインを含む、実施形態256に記載の単離細胞または細胞株。
258.前記細胞は、初代ヒトT細胞の宿主対移植片病(HVGD)への応答と比較して、生体適合性のないヒト受容体においてHVGD応答が減少した、実施形態257に記載の単離細胞または細胞株。
259.CARの抗原結合ドメインがFZD10、TSHR、PRLR、Muc17、GUCY2C、CD207、CD19またはCD20に結合する、実施形態258に記載の単離細胞または細胞株。
260.CARの共刺激ドメインが、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む、実施形態258に記載の単離細胞または細胞株。
261.単離細胞または細胞株が、hTERTをコードする核酸配列、またはSV40LTをコードする核酸、またはそれらの組み合わせを含むT細胞である、実施形態260に記載の単離細胞または細胞株。
262.T細胞が、hTERTをコードする核酸配列、およびSV40LTをコードする核酸を含む、実施形態261に記載の単離細胞または細胞株。
263.hTERTの発現が、誘導性発現系によって調節される、実施形態262に記載の単離細胞または細胞株。
264.SV40LT遺伝子の発現が、誘導性発現系によって調節される、実施形態262に記載の単離細胞または細胞株。
265.誘導性発現系が、SV40LT遺伝子もしくはhTERT遺伝子、またはそれらの組み合わせの発現を増加または活性化する、rTTA−TREである、実施形態264に記載の単離細胞または細胞株。
266.T細胞が自殺遺伝子をコードする核酸配列を含み、および/または自殺遺伝子がHSV−TK自殺遺伝子系を含む、実施形態262に記載の単離細胞または細胞株。
267.実施形態25に記載の遺伝子修飾細胞を被検者に投与することを含み、ここで、癌が肺癌、膵臓癌、肝臓癌、骨癌、乳癌、結腸直腸癌、白血病、卵巣癌、リンパ腫および脳癌からなる群から選択される、被検者の癌を治療する方法。
268.対応する野生型細胞と比較して減少した量の主要組織適合性複合体II(MHC II)を含み、ここで、修飾細胞は、対応する野生型細胞と比較して免疫原性が低下している、修飾細胞。
269.培地で修飾細胞を培養することを含み、前記修飾細胞が、対応する野生型細胞と比較して減少した量の主要組織適合性複合体II(MHC II)を有し、ここで、修飾細胞は、対応する野生型細胞と比較して免疫原性が低下している、移植用の修飾細胞を生成する方法。
270.治療上有効な量の修飾細胞を被検者に投与することを含み、前記修飾細胞が、対応する野生型細胞と比較して減少した量の主要組織適合性複合体II(MHC II)を有し、ここで、修飾細胞は、対応する野生型細胞と比較して免疫原性が低下している、病状を治療するための方法。
271.修飾細胞は、対応する野生型細胞と比較して、MHC IIの生合成経路または輸送経路の1つ以上の遺伝子の発現が低下している、実施形態268−270のいずれか一項に記載の修飾細胞。
272.修飾細胞が、修飾細胞上において、対応する野生型細胞と比較して、減少した量のMHC IIを蓄積する、実施形態268−270のいずれか一項に記載の修飾細胞。
273.修飾細胞が、MHC IIの生合成経路または輸送経路に関連する内因性遺伝子破壊機能を有する、実施形態268−270のいずれか一項に記載の修飾細胞。
274.破壊がMHC クラスIIトランス活性化因子(CIITA)の破壊を含む、実施形態268−270のいずれか一項に記載の修飾細胞。
275.破壊がCIITAの少なくとも一部の欠失に起因する、実施形態268−270のいずれか一項に記載の修飾細胞。
276.MHC IIがヒト白血球抗原II(HLA II)を含む、実施形態268−270のいずれか一項に記載の修飾細胞。
277.免疫原性の低下が、対応する野生型細胞と比較して、修飾細胞によって誘導される炎症反応レベルの低下を含む、実施形態268−270のいずれか一項に記載の修飾細胞。
278.対応する野生型細胞と比較して減少した量の主要組織適合性複合体I(MHC I)を含み、ここで、修飾細胞は、対応する野生型細胞と比較して免疫原性が低下している、修飾細胞。
279.修飾細胞が、MHC Iの生合成経路または輸送経路に関連する内因性遺伝子破壊機能を有する、実施形態278に記載の修飾細胞。
280.破壊が、抗原提示1(TAP1)遺伝子に関連するトランスポーターの1つ以上のエクソンの破壊、またはTAP関連糖タンパク質(TAPBP)遺伝子の1つ以上のエクソンの破壊を含む、実施形態279に記載の修飾細胞。
281.TAP1遺伝子の1つ以上のエクソンの破壊が、TAP1遺伝子の1つのエクソンの破壊を含む、実施形態280に記載の修飾細胞。
282.TAPBP遺伝子の破壊がTAP1遺伝子のヘテロ接合破壊を含み、かつ修飾細胞が野生型TAPBP遺伝子を発現する、実施形態280に記載の修飾細胞。
283.TAPBP遺伝子の1つ以上のエクソンの破壊がTAPBP遺伝子の1つのエクソンの破壊を含む、実施形態280に記載の修飾細胞。
284.免疫原性の低下が、対応する野生型細胞と比較して、修飾細胞によって誘導される炎症反応レベルの低下を含む、実施形態280に記載の修飾細胞。
285.修飾細胞の核型が対応する野生型細胞の核型と同じである、実施形態280に記載の修飾細胞。
286.修飾細胞の多能性レベルが対応する野生型細胞の多能性レベルと基本的に同じである、実施形態280に記載の修飾細胞。
287.細胞がT細胞またはNK細胞である、実施形態268−286のいずれか一項に記載の修飾細胞。
288.修飾細胞がCARを含む、実施形態268−286のいずれか一項に記載の修飾細胞。
289.CARが細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含み、かつ細胞外ドメインが腫瘍抗原に結合する、請求項288に記載の修飾細胞。
290.腫瘍抗原が、HER2、CD19、CD20、CD22、κまたは軽鎖、CD30、CD33、CD123、CD38、ROR1、ErbB3/4、EGFR、EGFRvIII、EphA2、FAP、癌胎児性抗原、EGP2、EGP40、メソセリン、TAG72、PSMA、NKG2Dリガンド、B7−H6、IL−13受容体α 2、IL−11受容体α、MUC1、MUC16、CA9、GD2、GD3、HMW−MAA、CD171、Lewis Y、G250/CAIX、HLA−AI MAGE A1、HLA−A2 NY−ESO−1、PSC1、葉酸受容体−α、CD44v7/8、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、TEM1またはTEM8を含む、実施形態289に記載の修飾細胞。
291.細胞内ドメインが共刺激ドメインを含み、前記共刺激ドメインが、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む、実施形態289に記載の修飾細胞。
292.細胞内ドメインがCD3ζ信号伝達ドメインを含む、実施形態289に記載の修飾細胞。
293.実施形態246に記載の修飾細胞を培地で培養すること、および修飾細胞を含む組成物を被検者に投与することを含み、ここで、注入に応答した被検者の免疫応答が野生型細胞を使用した注入よりも少ない、細胞または細胞に由来する細胞の注入を改善するための方法。
294.注入が同種異形注入である、実施形態293に記載の方法。
295.CARをコードする核酸配列と、TCR遺伝子の破壊と、MHC クラスIIトランス活性化因子(CIITA)遺伝子の破壊と、抗原提示1(TAP1)遺伝子に関連するトランスポーターの破壊またはTAP関連糖タンパク質(TAPBP)遺伝子の破壊と、ここで、修飾ヒトT細胞が、破壊のないヒトT細胞と比較して、減少した量のTCR、減少した量のMHC Iまたは減少した量のMHC IIを有し、または初代ヒトT細胞の宿主対移植片病(HVGD)への応答と比較して、生体適合性のないヒト受容体におけるHVGD応答の低下と、を含む、修飾ヒトT細胞。
296.CARが細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含み、かつ細胞外ドメインが腫瘍抗原に結合する、実施形態295に記載の修飾細胞。
297.腫瘍抗原が、HER2、CD19、CD20、CD22、κまたは軽鎖、CD30、CD33、CD123、CD38、ROR1、ErbB3/4、EGFR、EGFRvIII、EphA2、FAP、癌胎児性抗原、EGP2、EGP40、メソセリン、TAG72、PSMA、NKG2Dリガンド、B7−H6、IL−13受容体α 2、IL−11受容体α、MUC1、MUC16、CA9、GD2、GD3、HMW−MAA、CD171、Lewis Y、G250/CAIX、HLA−AI MAGE A1、HLA−A2 NY−ESO−1、PSC1、葉酸受容体−α、CD44v7/8、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、TEM1またはTEM8を含む、実施形態296に記載の修飾細胞。
298.細胞内ドメインが共刺激ドメインを含み、前記共刺激ドメインが、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む、実施形態296に記載の修飾細胞。
299.細胞内ドメインがCD3ζ信号伝達ドメインを含む、実施形態296に記載の修飾細胞。
300.標的ゲノム遺伝子座内で一本鎖または二本鎖を切断するヌクレアーゼ剤をリンパ球に導入することと、内因性B2M、CIITA、TAP1および/またはTAPBP遺伝子が破壊されているリンパ球を選択することと、を含む、リンパ球における標的ゲノム遺伝子座を修飾する方法。
301.内因性B2M、CIITA、TAP1および/またはTAPBP遺伝子を標的とするヌクレアーゼ剤を含む、遺伝子修飾リンパ球。
302.ヌクレアーゼ剤がジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)またはメガヌクレアーゼである、実施形態300−301のいずれか一項に記載の方法または遺伝子修飾リンパ球。
303.ヌクレアーゼ剤が、クラスター化された規則的に間隔を空けた短いパリンドローム反復(CRISPR)関連(Cas)タンパク質およびガイドRNA(gRNA)を含む、実施形態300−301のいずれか一項に記載の方法または遺伝子修飾リンパ球。
304.Casタンパク質がCas9である、実施形態303に記載の方法。
305.ヌクレアーゼ剤が表9−10に示されるアミノ酸配列の少なくとも1つを含む、実施形態300−301のいずれか一項に記載の方法または遺伝子修飾リンパ球。
306.ヌクレアーゼ剤が、抗原提示1(TAP1)遺伝子に関連するトランスポーターの1つ以上のエクソンまたはTAP関連糖タンパク質(TAPBP)遺伝子の1つ以上のエクソンの破壊、またはTAP1遺伝子の1つのエクソンを標的とする1つ以上のZFNと、または実施形態1−4のいずれか一項に記載の単離ZFNと、を含む、実施形態300−301のいずれか一項に記載の方法または遺伝子修飾リンパ球。
307.リンパ球がNK細胞またはT細胞である、実施形態300−306のいずれか一項に記載の遺伝子修飾リンパ球または方法。
308.遺伝子修飾細胞が、核酸配列を含まない対応する細胞と比較して、同種異形細胞に対する減少した移植片対宿主病応答を誘発する、実施形態300−306のいずれか一項に記載の遺伝子修飾リンパ球または方法。
309.リンパ球が、ヒトドナーから単離された初代ヒトT細胞に由来するT細胞である、実施形態300−306のいずれか一項に記載の遺伝子修飾リンパ球または方法。
310.T細胞がCARを含む、実施形態300−306のいずれか一項に記載の遺伝子修飾リンパ球または方法。
311.CARが細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含み、かつ細胞外ドメインが腫瘍抗原に結合する、実施形態310に記載の遺伝子修飾リンパ球または方法。
312.腫瘍抗原が、HER2、CD19、CD20、CD22、κまたは軽鎖、CD30、CD33、CD123、CD38、ROR1、ErbB3/4、EGFR、EGFRvIII、EphA2、FAP、癌胎児性抗原、EGP2、EGP40、メソセリン、TAG72、PSMA、NKG2Dリガンド、B7−H6、IL−13受容体α 2、IL−11受容体α、MUC1、MUC16、CA9、GD2、GD3、HMW−MAA、CD171、Lewis Y、G250/CAIX、HLA−AI MAGE A1、HLA−A2 NY−ESO−1、PSC1、葉酸受容体−α、CD44v7/8、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、TEM1またはTEM8を含む、実施形態311に記載の遺伝子修飾リンパ球または方法。
313.細胞内ドメインが共刺激ドメインを含み、前記共刺激ドメインが、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む、実施形態311に記載の遺伝子修飾リンパ球または方法。
314.細胞内ドメインがCD3ζ信号伝達ドメインを含む、実施形態311に記載の遺伝子修飾リンパ球または方法。
315.T細胞が修飾T細胞受容体(TCR)を含む、実施形態300−306のいずれか一項に記載の遺伝子修飾リンパ球または方法。
316.TCRが患者において自然に発生する腫瘍特異的T細胞に由来する、実施形態315に記載の遺伝子修飾リンパ球または方法。
317.TCRが腫瘍抗原に結合する、実施形態315に記載の遺伝子修飾リンパ球または方法。
318.腫瘍抗原がCEA、gp100、MART−1、p53、MAGE−A3またはNY−ESO−1を含む、実施形態317に記載の遺伝子修飾リンパ球または方法。
319.TCRが、TCRγとTCRδ鎖またはTCRαとTCRβ鎖、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態317に記載の遺伝子修飾リンパ球または方法。
320.実施形態301−319のいずれか一項に記載のT細胞の有効量を投与することを含む、被検者におけるT細胞応答を引き起こすか、または被検者の腫瘍を治療する方法。
321.実施形態1−6、14−43、45および46のいずれか一項に記載の核酸、細胞、組成物、修飾T細胞または二重特異性CARを、それらを必要とする被検者に投与することと、CAR−T細胞を被検者に導入した後の一定時間内においてサイトカイン放出のレベルを測定することと、を含む、CAR−T細胞療法の治療効果を決定する方法。
322.実施形態1−6および14−27のいずれか一項に記載の核酸、細胞または組成物を、それらを必要とする被検者に投与することと、CAR−T細胞を被検者に導入した後の一定時間内においてサイトカイン放出のレベルを測定することと、を含む、CAR−T細胞療法の治療効果をモニタリングする方法。
323.前記方法が、サイトカイン放出のレベルを対照被検者と比較することをさらに含み、ここで対照被検者は、CAR−T細胞療法を導入していない被検者、または単一のCAR分子(例えば、抗固形腫瘍CAR)を含むT細胞を投与している被検者を含む、実施形態321または322に記載の方法。
324.サイトカインがIL−6、IFN−γまたはそれらの組み合わせである、実施形態321−323のいずれか一項に記載の方法。
325.前記方法が、CAR T細胞療法を導入する0日目(CAR−T細胞療法を導入する1日前)から10日目、9日目、8日目、7日目、6日目、5日目、4日目、3日目、2日目、または1日目までのサイトカイン放出を測定することを含む、実施形態321−324のいずれか一項に記載の方法。
326.被検者が甲状腺癌、胆管癌、乳癌または膵臓癌を有する、実施形態321−325のいずれか一項に記載の方法。
327.被検者が哺乳動物である、実施形態321−326のいずれか一項に記載の方法。
328.哺乳動物がヒトである、実施形態321−327のいずれか一項に記載の方法。
実施例1.T細胞におけるCARの発現
図1に示すように、CD19 CAR(CAR:配列番号207およびscFv:配列番号6)および腫瘍関連MUC1 CAR(CAR:配列番号202およびscFv:配列番号70)をコードするレンチウイルスベクター(「Chimeric Receptors Containing CD137 Signal Transduction Domains Mediate Enhanced Survival of T Cells and Increased Antileukemic Efficacy In Vivo,」 Molecular Therapy,2009年8月,第17巻第8号,1453-1464を参照し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる」)を生成した。
患者から初代T細胞を得た。得られた初代T細胞をレンチウイルスベクターで導入し、修飾T細胞を得た。フローサイトメトリーを実施し、分析し、初代T細胞におけるCARの発現を決定した(図6を参照)。細胞培養、レンチウイルスベクターの構築およびフローサイトメトリーに関連する技術は、「Control of large,established tumor xenografts with genetically retargeted human T cells containing CD28 and CD137 domains」, PNAS 2009年3月3日,第106巻第9号,3360−3365に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
実施例2.共培養測定におけるIFN−γ放出
T細胞を、デュアルCAR(CD19 CARおよびTA−MUC1 CAR、図8および図9のデュアルCARを参照)をコードするレンチウイルスベクターおよびシングルCAR(TA−MUC1 CAR、図8および図9の5E5 CARを参照)をコードするレンチウイルスベクターでそれぞれトランスフェクションした。2種類のT細胞および異なる単一型または複数型の基底細胞(substrate cell)を共培養し、IFN−γの放出を観察した。基底細胞は、MUC1陽性腫瘍細胞(MCF−7)、MUC1陰性腫瘍細胞(231)およびCD19陽性腫瘍細胞(RK19)を含む。E:T(エフェクター細胞:標的細胞)の比率が1:1/3:1/10:1/30:1(すなわち、CAR−T細胞:標的腫瘍細胞)であるCAR−T細胞と標的腫瘍を24時間共培養した。その後、上清を回収し、IFN−γの放出を測定した。CAR−T細胞および基底細胞を共培養したとき、様々なレベルのIFN−γ放出が観察された(図7を参照)。図8および図9にさらに示すように、デュアルCAR−T細胞は、CD19陽性腫瘍細胞およびMUC1陽性腫瘍細胞との共培養に応答して、IFN−γを放出し、一方、シングルCAR−T細胞は、CD19陽性腫瘍細胞との共培養に応答して、少量のIFN−γを放出した。さらに、CD19陽性腫瘍細胞およびMUC1陽性腫瘍細胞との共培養に応答して、デュアルCAR−T細胞は、シングルCAR−T細胞と比較してより多くのIFN−γを放出した。細胞培養、細胞傷害性Tリンパ球測定の構築に関連する技術は、「Control of large,established tumor xenografts with genetically retargeted human T cells containing CD28 and CD137 domains」,PNAS 2009年3月3日、第106巻第9号、3360−3365に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
実施例3.初代T細胞におけるCAR/抗原の発現
患者から初代T細胞を得た。得られた初代T細胞を2つのグループに分けた。グループ1の初代T細胞は、抗TSHR CARをコードする核酸配列(SEQ ID:8)を含むレンチウイルスベクターで形質導入した。グループ2の初代T細胞は、TSHRをコードする核酸配列(SEQ ID:20)を含むレンチウイルスベクターで形質導入した。フローサイトメトリーを実施し、分析して、それぞれ初代T細胞におけるCARおよびTSHRの発現を決定した(図8および図9)。細胞培養、レンチウイルスベクターの構築およびフローサイトメトリーに関連する技術は、「Control of large, established tumor xenografts with genetically retargeted human T cells containing CD28 and CD137 domains」,PNAS 2009年3月3日, 第106巻第9号,3360−3365に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
実施例4.インビボサイトカイン放出の測定
グループ1およびグループ2の初代T細胞をマウスに注入した(実験グループ)。対照として、グループ1の初代T細胞のみまたは緩衝液をマウスに注入した(対照グループ1および対照グループ2)。細胞注入に関するいくつかのパラメータを以下の表1に示す。NPGTM(NOD Prkdcscid IL2rgnull)マウスに放射線を照射し、一定数のCAR−T細胞および対応するコントロール剤をマウスに注入した。対照グループ2について、3回連続で緩衝液をマウスに戻した。対照グループ1について、抗原を発現しないT細胞を3回連続で戻した。実験グループについて、抗原を発現するT細胞を3回連続で注入した。注入終了後、輪部静脈から採血し、マウス末梢血中のT細胞および因子放出(例えば、サイトカイン放出)を分析した。その後、マウスを死なせて、各器官のT比率/CAR−T細胞比率/CAR−Tコピーなどのデータを収集した。次に、サイトカイン放出測定を行った。実験グループおよび対照グループについて、マウス末梢血中の様々なサイトカイン(例えば、IFN−γ、IL4、IL2)を測定した。図10−13に示すように、実験グループの方が対照グループよりもサイトカインの放出量が多かった。これらの結果は、抗原を発現する細胞の注入が、対応するCAR−T細胞のT細胞応答を強化することを示している。表2はマウスへのT細胞の注入をまとめて説明したものであり、表3はサイトカイン放出のインビボ分析のスケジュールを示している。
以下の表(表4)は、様々なポリペプチドドメインおよび核酸構築物とそれらの配列識別子(配列番号)を示している。(CD19はCD19 CARを指し、MUC1はtMUC1 CARを指し、A、B、CおよびDは対応するCARのヒンジおよび/または膜貫通ドメインの特定の配列を指す)
実施例5.インビボ細胞の増幅
これらの臨床試験は、いくつかの固形腫瘍マーカーの特異的なCAR/4−1BB/CD3−ζを発現するように修飾された自己T細胞を患者に注入することの安全性および治療効果を評価することを目的とする。研究のグループ1(arm)では、患者は固形腫瘍マーカーの特異的なCAR−T細胞のみを受けた。固形腫瘍マーカーはTSHRおよびtMuc1を含む。グループ2では、患者はCD19およびtMuc1に向けられたCAR−T細胞を受けた。患者のT細胞を取得し、修飾して、患者に注入した。グループ1およびグループ2からの患者のT細胞応答を測定し、試験が実施された病院によって承認された以下の手段を用いて比較した。すべての患者には書面によるインフォームドコンセントが与えられた。
TSHR−4−1BBベクター、tMuc1−4−1BBベクター、CARtMuc1/CAR19−4−1BBベクターおよびウイルスパッケージングプラスミドで293T細胞をトランスフェクトすることにより、レンチウイルスを産生し、前記ベクターは−80℃で冷凍し、形質導入の直前に解凍した。レンチウイルス上清を得た。説明するように、CD3+ T細胞を単離および活性化した(Kalos Mら,Sci Transl Med 2011;3:95ra73を参照)。次に、CD3+ T細胞を、100 U/mlのインターロイキン−2(IL−2)を含むX−VIVO 15培地(Lonza)中で培養し、24−48時間以内に、5:1〜10:1の高倍数感染(MOI)で、レンチウイルス上清で形質導入した。CAR形質導入T細胞(TSHR−CAR−T細胞、tMuc1−CAR−T細胞またはtMuc1−CAR/CD19−CAR−T細胞、以下「デュアルCAR−T細胞」という)を約11日間培養した。投与の3日前に、新鮮な培地を交換した。その後、注入のための輸送まで細胞を操作しなかった。レンチウイルス形質導入後の5−7日目に、フローサイトメトリー(FACS)により形質導入効率を評価した。以下の抗ヒト抗体を使用した:抗hCD45 APC(BD Bioscience)、抗hCD3 FITC(BD Bioscience)、F(ab’)2フラグメントと特異的なビオチン標識ヤギ抗マウスIgG(Jackson immuno−Research,Cat# 115−065−072)およびPEストレプトアビジン(BD Bioscience)。データ収集は、CytoFLEXフローサイトメーター(Beckman)を用いて行った。
本実施例および実施例1と2に記載するように、各患者に対して、CAR−T細胞の形質導入効率およびインビトロ細胞傷害性測定のFACS分析を実施した。さらに、CAR−T細胞培養物を、真菌、細菌、マイコプラズマ、クラミジアおよびエンドトキシンによる汚染の可能性についてを2回チェックした。
8日目に、CAR−T細胞調製のための末梢血単球(PBMC)を、白血球アフェレシスにより患者から取得し、CAR−T注入の1日目を研究の0日目とした。患者には、リンパ球除去のためのコンディショニング治療(conditioning treatment)を行った。フルダラビンおよびシクロホスファミドを用いたコンディショニング治療は、骨髓(BM)および末梢血(PB)の腫瘍負担に応じて変化した。CAR−T細胞を患者に注入した。毎日、CAR−T細胞を病院に運び、洗浄し、カウントし、生存率をチェックし、次に、患者への投与のために準備を行い、その後、患者を少なくとも2時間注意深く観察した。CRSは、改訂された評定システムに従って評定した(Lee DWら, Blood 2014;124:188−95を参照)。治療中および治療後の他の毒性は、米国国立衛生研究院の有害事象共通用語規準4.0バージョン(http://ctep.cancer.gov/)に従って評定した。治療反応はフローサイトメトリーおよび形態学的分析により評価した。可能な場合、患者はキメラ遺伝子発現レベルで評価した。反応タイプは、最小残存病変(MRD)陰性、完全な反応、不完全なカウント回復を伴う完全な反応、安定疾患および進行性疾患と定義された。
CAR−T細胞注入後の一連のBMおよびPBサンプルをK2EDTA BD採血管(BD)に収集した。FACSにより、患者の新鮮なPBおよびBMのCAR19 T細胞の持続性を決定した。測定された絶対CD3+ Tリンパ球数に基づいて、マイクロリットルあたりの循環CAR−T細胞数を計算した。同時に、CAR DNAコピーは、CAR−T細胞増幅および持続性を決定する別の方法として評価された。QIAamp DNA血液ミニキット(Qiagen)を使用して、凍結保存されたPBおよびBMからゲノムDNAを抽出した。補足資料に説明するように、CAR DNAコピーは、定量的リアルタイムPCRによって評価された。血清およびCSF中のサイトカインIFN−γ、TNF−α、IL−4、IL−6、IL−10、IL−17などのレベルを、製造者の指示に従ってマルチプレックス形態で測定した。
QIAamp DNA血液ミニキット(Qiagen)を使用して、凍結保存された末梢血および骨髓からゲノムDNAを抽出した。ABI 2×TaqMan Universal Master MixとAmpErase UNG(Applied Biosystems)を使用して、7500リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems)で、定量PCR(qPCR)を3回繰り返してアルタイムで実施した。102−108のコピー/マイクロリットルを含む精製CARプラスミドの10倍連続希釈液の標準曲線からゲノムDNAのマイクログラムあたりのコピー数を計算した。DNA量の正規化には、内部標準遺伝子の増幅を使用した。CAR19形質転換遺伝子および内部標準遺伝子と特異的なプライマー/プローブは、(Gokbuget Nら,Blood 2012;120:2032−41およびO’Brien Sら,J Clin Oncol 2013;31:676−83を参照)前述の通りであった。
これらの患者のCAR−T細胞増幅およびサイトカイン放出は図16−20および図49−52に示されている。これらの結果は、CD19 CARおよび腫瘍マーカーの特異的なCARを発現するT細胞が、腫瘍マーカーの特異的なCARのみを発現するT細胞よりも多く増幅しており、より多くのサイトカイン(例えば、IL−6およびIFN−γ)を放出したことを示している。患者およびその対応するT細胞の情報を以下の表5に提供している。
図51−52は、1つのCARのみ投与された患者Cと比較して、第1のCARおよび第2のCARが投与された患者FにおけるサイトカインIL−6およびIFN−γの放出が上昇したことを示している。サイトカインIL−6およびIFN−γの放出の上昇によって、第1のCARおよび第2のCAR分子(各CAR分子が異なる抗原に結合する)を用いたCAR−T細胞療法の治療効果が確認された。
実施例6.ZFNの設計I
様々な遺伝子特異的ZFNを構築することによって、これらの遺伝子に突然変異を部位特異的に導入できるようにする。基本的には、Malaら(2005) Biochem Biophys Res Commun 335(2):447−57,Liuら(2002) J Bio Chem 277(6):3850−6,Sanderら(2011) Nat Methods. 8(1):67−9,Urnovら(2005) Nature 435(7042):646−651および米国特許公開2008/0131962に記載しているように、様々なZFNを設計して、プラスミドベクターに組み込まれた。ZFNは、表6および表7に記載された、ジンクフィンガー結合ドメイン(例えば、ZFN左結合ドメインおよびZFN右結合ドメイン)の様々な組み合わせを含んでいた。ZFNの開裂ドメインは、工学的に設計されたFokI開裂ドメイン(配列番号280、281または282)を含んでいた。
表6:例示的なZFN対および標的配列(標的部位:ZFNの標的配列は、2つの9−bp認識部位(すなわち、大文字)が6−bpのスペーサーによって分離されたものを含む)。
実施例7.インビトロZFN活性I
ZFN左腕プラスミドベクターおよびZFN右腕プラスミドベクターを、それぞれfugeneトランスフェクト試薬を用いてHela細胞にトランスフェクトした。24時間のトランスフェクト後、1μg/mlのピューロマイシンでHela細胞を48時間処理し、ZFNを豊富に含む細胞を得た。次に、Hela細胞を収集し、様々な遺伝子(すなわち、CTLA4、LAG3、BTLA、TIM3、FOXP3、SIVA1、または LGALS9)と特異的なプライマーおよびテンプレートとしてのHela細胞ゲノムを使用して、ZFNを含む溶解したDNAフラグメントをPCRで増幅した。フォワードプライマーを使用してDNAフラグメントを配列決定し、その結果を図21−25に示す。
DNAフラグメントをベクターにクローニングした。約30個のモノクローナル細胞を有するDNAフラグメントを配列決定し、そのDNAフラグメントに突然変異が含まれているかどうかを決定した。配列決定の結果を表7に示した。
表7:遺伝子フラグメントを標的としてPCRで増幅したZFNのモノクローナル配列決定結果
実施例8.ZFNの設計II
様々な遺伝子特異的ZFNを構築することによって、これらの遺伝子に突然変異を部位特異的に導入できるようにする。基本的には、Malaら(2005) Biochem Biophys Res Commun 335(2):447−57、Liuら(2002) J Bio Chem 277(6):3850−6、Sanderら(2011) Nat Methods.8(1):67−9,Handelら(2009) Mol Ther.Jan;17(1):104−11、Urnovら(2005) Nature 435(7042):646−651および米国特許公開2008/0131962に記載しているように、様々なZFNを設計して、プラスミドベクターに組み込まれた。ZFNは、表8に記載された、ジンクフィンガー結合ドメイン(例えば、ZFN左結合ドメインおよびZFN右結合ドメイン)の様々な組み合わせを含んでいた。ZFNの開裂ドメインは、工学的に設計されたFokI開裂ドメイン(配列番号96、97または98)を含んでいた。
表8:例示的なZFN対および標的配列(標的部位:ZFNの標的配列は、2つの9−bp認識部位(すなわち、大文字)が6−bpスペーサーによって分離されたものを含む)
実施例9.インビトロZFN活性II
ZFN左腕プラスミドベクターおよびZFN右腕プラスミドベクターを、それぞれfugeneトランスフェクト試薬を用いてHela細胞にトランスフェクトした。24時間のトランスフェクト後、1 μg/mlのピューロマイシンでHela細胞を48時間処理し、ZFNを豊富に含む細胞を得た。次に、Hela細胞を収集し、様々な遺伝子(すなわち、B2MおよびCIITA)と特異的なプライマーおよびテンプレートとしてのHela細胞ゲノムを使用して、ZFNを含む溶解したDNAフラグメントをPCRで増幅した。フォワードプライマーを使用してDNAフラグメントを配列決定し、その結果を図27−30に示す。
DNAフラグメントをベクターにクローニングした。約30個のモノクローナル細胞を有するDNAフラグメントを配列決定し、そのDNAフラグメントに突然変異が含まれているかどうかを決定した。配列決定の結果を表10に示した。
実施例10.ZFNの設計III
T細胞は、TRAC遺伝子での部位特異的変異導入を可能にするように構築されたTRAC特異的ZFNで導入された。基本的には、Urnovら(2005) Nature 435(7042):646−651,Lombardoら(2007) Nat Biotechnol.November;25(11):1298−306および米国特許公開2008/0131962に記載しているように、様々なZFNを設計して、プラスミドベクターに組み込まれた。ZFNは、表9に記載された、ジンクフィンガー結合ドメイン(例えば、ZFN左結合ドメインおよびZFN右結合ドメイン)の様々な組み合わせを含んでいた。ZFNの開裂ドメインは、FokI開裂ドメイン(配列番号96、97または98)を含んでいた。1対のZFNをコードするmRNA(表9を参照)を形質導入細胞に導入し、TCR鎖に関連する標的ゲノム遺伝子座を修飾した。
実施例11.TALENの効率検出
CIITAのTALENは、エクソン2(2L1:gctgaccccctgtgcct(配列番号426);2L2:gaccccctgtgcctct(配列番号427);2R1:ctccagccaggtccatct(配列番号419);2R2:tctccagccaggtccat(配列番号420))およびエクソン3(3L1:tcagcaggctgttgt(配列番号421);3L2:tcagcaggctgttgtgt(配列番号422);3R1:ccctggtctcttcat(配列番号423);3R2:aagcctccctggtctt(配列番号424);3R3:aagcctccctggtct(配列番号425))を標的とするように設計された。前述したように、FastTALE TALENアセンブリキット(Sidansai)でTALENを構築し、それらの活性は293T細胞で確認された。構築されたTALENを293T細胞にトランスフェクトし、2μg/mlのピューロマイシン(Sigma)で選択した。選択後に293T細胞のゲノムDNAを採取した。次に、TALENの効率をチェックするために、PCRおよび配列決定を行った。
表10:様々な遺伝子フラグメントを標的とし、PCRで増幅されたZFNのモノクローナル配列決定結果
実施例12.Cas9設計および分析
fugeneトランスフェクト試薬を使用し、Cas9およびgRNAを発現するプラスミドを293T細胞に同時トランスフェクトした。72時間後、293T細胞を収集し、フローサイトメトリーによりB2mおよびHLAタンパク質の発現を検出した(図31)。
実施例13.MCF−7およびデュアルCAR再注入I
8匹のNPG雌マウスを使用し、それらは6週齢であった。0日目に、各マウスに350w MCF−7細胞を接種し、同所性腫瘍モデルを確立した。35日目に、表11に示すように、各マウスに対応する細胞を注入した。
42日目に、眼窩静脈叢から一匹マウスあたり約150ulの血液を採取した。49日目に、マウスの血液を眼窩静脈叢からそれぞれ約150ul採取した。各末梢血を遠心分離して血漿を単離し、血漿を使用してサイトカインを測定した。破砕赤血球処理(red−breaking treatment)を行った後に、末梢血で沈殿した細胞を抗体で染色し、次に、フローサイトメトリーを行った。
マウス末梢血中のT細胞/マウス白血球の割合を測定した。結果を図32−39および表12に提供する。
図32−35は、異なるグループにおけるヒト白血球/マウス白血球のフローサイトメトリーによる検出結果を示している。これらの細胞は、マウス末梢血溶解後のすべての生細胞に由来した。横軸はhCD45の対応する染色の蛍光強度を表し、縦軸はmCD45の対応する染色の蛍光強度を表す。
図36−39は、T細胞/ヒト白血球のフローサイトメトリーによる検出結果を示している。これらの細胞は図32−35のヒト白血球hCD45に由来し、横軸はCD3の対応する染色の蛍光強度を表し、縦軸はCD19の対応する染色の蛍光強度を表す。
上記のように、モックグループにおけるT細胞(N/A注入細胞)の比率は0%であり、グループNTにおけるT細胞は少なく、これは予期通りであった。グループ2407におけるT細胞の比率は、グループ1204+2407よりも多かったが、マウスの数が少ないため、さらなる実験が必要であった。従って、デュアルCAR細胞は、シングルCAR細胞のように活性化することができる。
図40は、各マウスのサイトカインIL−2およびIFN−γの放出を示している。末梢血サンプルはマウスから取得され、上清の提供は以下の表13に示されている(単位:pg/mL)。
上記のように、IL−2:2407および1204+2407のIL−2放出レベルは、NTおよびモック(N/A注入細胞)よりもわずかに高かった。グループNTおよびモックグループにおけるIFN−γは基本的には0であり、グループ1204+2407におけるIFN−γ放出はグループ2407よりもはるかに多かった。従って、デュアルCAR細胞は、シングルCAR細胞と同様にサイトカインを放出することができる。
図41−44は、マウス末梢血T細胞におけるCD8/CD4比を示している。これらの細胞は図36−39のCD3陽性細胞に由来し、横軸はCD4の対応する染色の蛍光強度を表し、縦軸はCD8の対応する染色の蛍光強度を表す。具体的な結果を表14に示す。
上記のように、モックグループ(N/A注入細胞)はCD8およびCD4がない。グループ2407およびグループ1204+2407は基本的には横ばいで、グループNのTCD8/CD4比はこの両グループを大きく上回った。
実施例14.MCF−7およびデュアルCAR再注入II
17匹のNPG雌マウスを使用し、それらは8週齢であった。動物が到着した後、それらを滅菌し、動物室に移した。実験動物を7日間順応させた。順応期間中、ケージ内の動物を毎日観察した。順応期間終了後、実験モデル化の前日に動物に放射線を照射した。照射量は1Gyであった。
照射後の2日目にマウスをモデル化した。MCF−7細胞を、マウスの乳腺脂肪パッドにin situ接種することにより注入し、腫瘍モデルを確立した。モデル化の日を0日目とする。
表16に示すように、ランダムなグループ分けに従って、モデル化した17匹のマウスを4つのグループに分けた。
モデル化した後、明らかな腫瘍が目に見えた時点で、マウス腫瘍の体積測定を開始した。Nalm6細胞刺激は以下のように行った。9日目に、グループ2407+1204(Nalm6刺激)における5匹のマウスにNalm6細胞を注入して刺激を行った。表17のプロトコルを用いて尾静脈注射によりNalm6細胞をマウスに注入した。
10日目に、表18に示すように、各マウスに対応する細胞を注入(尾静脈注射)した。
細胞再注入した1週間後、マウスの末梢血を採取し、眼窩静脈叢から採血を行った。17日目に、1回目の採血を行った。
末梢血を遠心分離して血漿を単離し、血漿を使用してサイトカインを測定した。破砕赤血球処理後に、末梢血で沈殿した細胞を抗体で染色し、次に、フローサイトメトリーを行った。データを分析して図45−47(末梢血流データ)に示した。
図45は、T細胞/マウス白血球の結果を示している。表19の統計とデータから、グループNT、グループ2407およびグループNalm6+2407+1204のT細胞/マウスにおける白血球の比率は類似しており、グループ2407+1204のT細胞/マウスにおける白血球の比率は他の4つのグループよりも高いということが分かる。
図46は、CD8/CD4の結果を示している。表20の統計データから、CD8/CD4の4つのグループの比率に有意差がないことが分かる。
マウスからの末梢血サンプルと上清(単位:pg/mL)およびサイトカインデータを分析し(表21)、かつ図47に示した。統計グラフおよび表のデータから、グループ2407におけるIL−2放出は他の3つのグループよりも多いことが分かる。さらに、統計グラフおよび表のデータから、グループ2407におけるIFN放出は他の3つのグループよりも有意に多かったことが分かる。グループ2407+1204およびグループNalm6+2407+1204から放出されたIFN量は比較的近かった。
図48は、異なる細胞で注入したグループに応答したマウスの腫瘍体積の変化を示している。様々な細胞を注入した後、一定時間経過した時点での異なるマウスの腫瘍体積(単位、mm3、V=長径*短径*短径*0.5という体積式に基づく)を測定し、その結果を図に示している。上図から分かるように、再注入後、グループ2407+1204の腫瘍体積は基本的には変化がなく、グループNalm6+2407+1204およびグループ2407では腫瘍体積が減少し、グループNTでは腫瘍体積が増加した。従って、デュアルCARおよびシングルCARは同様の抗腫瘍機能を有する。
本明細書で引用されたすべての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許または特許出願が参照により組み込まれたことが明確かつ個別的に示されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。上記のことを様々な実施形態で説明したが、当業者は、その精神から逸脱することなく、様々な修正、置換、省略および変更が可能であることを理解するべきである。