実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略することがある。なお、図を構成する同じ要素のハッチングを異なる図面間で適宜省略または変更する場合もある。
また、回路図上では単一の要素として図示されている場合であっても、機能的に不都合がなければ、当該要素が複数で構成されてもよい。例えば、スイッチとして動作するトランジスタは、複数が直列または並列に接続されてもよい場合がある。また、キャパシタを分割して複数の位置に配置する場合もある。
また、一つの導電体が、配線、電極および端子のような複数の機能を併せ持っている場合があり、本明細書においては、同一の要素に対して複数の呼称を用いる場合がある。また、回路図上で要素間が直接接続されているように図示されている場合であっても、実際には当該要素間が複数の導電体を介して接続されている場合があり、本明細書ではこのような構成でも直接接続の範疇に含める。
また、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、発明の理解を容易とするため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。例えば、実際の製造工程において、エッチングなどの処理によりレジストマスクなどが意図せずに目減りすることがあるが、理解を容易とするために図に反映しないことがある。
また、上面図(「平面図」ともいう)や斜視図などにおいて、図面をわかりやすくするために、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
また、本明細書等において、「抵抗」とは、配線の長さによって抵抗値を決める場合がある。または、抵抗は、配線で用いる導電層とは異なる低効率を有する導電層とコンタクトを介して接続して形成する場合なども含む。または、半導体層に不純物をドーピングすることで抵抗値を決める場合がある。
また、本明細書等において、電気回路における「端子」とは、電流の入力または出力、電位の入力または出力、もしくは、信号の受信または送信が行なわれる部位を言う。よって、配線または電極の一部が端子として機能する場合がある。
なお、本明細書等において「上」、「上方」、「下」、または「下方」の用語は、構成要素の位置関係が直上または直下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。また、「導電層Cの上方の導電層D」の表現であれば、導電層Cの上に導電層Dが直接接して形成されている必要はなく、導電層Cと導電層Dとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。また、「上方」、または「下方」には、斜め方向に配置されている場合も除外しない。
また、ソースおよびドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合など、動作条件などによって互いに入れ替わるため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。このため、本明細書においては、ソースおよびドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、直接接続している場合と、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。よって、「電気的に接続する」と表現される場合であっても、現実の回路においては、物理的な接続部分がなく、配線が延在しているだけの場合もある。また、「直接接続」と表現される場合であっても、異なる導電層にコンタクトを介して配線が形成される場合が含まれる。したがって、配線には、異なる導電層が一つ以上の同じ元素を含む場合と、異なる元素を含む場合と、がある。
なお、本明細書などにおいて、計数値および計量値に関して「同一」、「同じ」、「等しい」または「均一」などと言う場合は、明示されている場合を除き、プラスマイナス20%の誤差を含むものとする。
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位またはソース電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧と電位は互いに言い換えることが可能な場合が多い。本明細書などでは、特段の明示が無いかぎり、電圧と電位を言い換えることができるものとする。
なお、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分低い場合は「絶縁体」としての特性を有する。よって、「半導体」を「絶縁体」に置き換えて用いることも可能である。この場合、「半導体」と「絶縁体」の境界は曖昧であり、両者の厳密な区別は難しい。したがって、本明細書に記載の「半導体」と「絶縁体」は、互いに読み換えることができる場合がある。
また、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分高い場合は「導電体」としての特性を有する。よって、「半導体」を「導電体」に置き換えて用いることも可能である。この場合、「半導体」と「導電体」の境界は曖昧であり、両者の厳密な区別は難しい。したがって、本明細書に記載の「半導体」と「導電体」は、互いに読み換えることができる場合がある。
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、工程順または積層順など、なんらかの順番や順位を示すものではない。また、本明細書等において序数詞が付されていない用語であっても、構成要素の混同を避けるため、特許請求の範囲において序数詞が付される場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲において異なる序数詞が付される場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲などにおいて序数詞を省略する場合がある。
なお、本明細書等において、トランジスタの「オン状態」とは、トランジスタのソースとドレインが電気的に短絡しているとみなせる状態(「導通状態」ともいう。)をいう。また、トランジスタの「オフ状態」とは、トランジスタのソースとドレインが電気的に遮断しているとみなせる状態(「非導通状態」ともいう。)をいう。
また、本明細書等において、「オン電流」とは、トランジスタがオン状態の時にソースとドレイン間に流れる電流をいう場合がある。また、「オフ電流」とは、トランジスタがオフ状態である時にソースとドレイン間に流れる電流をいう場合がある。また、「オン/オフ比」とは、オフ電流に対するオン電流の比をいう。
また、本明細書等において、高電源電位VDD(以下、単に「VDD」、「H電位」、または「H」ともいう)とは、低電源電位VSS(以下、単に「VSS」、「L電位」、または「L」ともいう)よりも高い電位の電源電位を示す。また、VSSとは、VDDよりも低い電位の電源電位を示す。また、接地電位(以下、単に「GND」、または「GND電位」ともいう)をVDDまたはVSSとして用いることもできる。例えばVDDが接地電位の場合には、VSSは接地電位より低い電位であり、VSSが接地電位の場合には、VDDは接地電位より高い電位である。
また、本明細書等において、ゲートとは、ゲート電極およびゲート配線の一部または全部のことをいう。ゲート配線とは、少なくとも一つのトランジスタのゲート電極と、別の電極や別の配線とを電気的に接続させるための配線のことをいう。
また、本明細書等において、ソースとは、ソース領域、ソース電極、およびソース配線の一部または全部のことをいう。ソース領域とは、半導体層のうち、抵抗率が一定値以下の領域のことをいう。ソース電極とは、ソース領域に接続される部分の導電層のことをいう。ソース配線とは、少なくとも一つのトランジスタのソース電極と、別の電極や別の配線とを電気的に接続させるための配線のことをいう。
また、本明細書等において、ドレインとは、ドレイン領域、ドレイン電極、およびドレイン配線の一部または全部のことをいう。ドレイン領域とは、半導体層のうち、抵抗率が一定値以下の領域のことをいう。ドレイン電極とは、ドレイン領域に接続される部分の導電層のことをいう。ドレイン配線とは、少なくとも一つのトランジスタのドレイン電極と、別の電極や別の配線とを電気的に接続させるための配線のことをいう。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である撮像装置について、図面を参照して説明する。
本発明の一態様は、画素回路を有する撮像装置である。画素回路は、入射光を電気信号に変換する機能を有する。画素回路は少なくとも、光電変換デバイスと、複数のトランジスタと、を有する。例えば、4トランジスタ構成の画素の撮像装置では、画素回路として、光電変換デバイス、転送トランジスタ、リセットトランジスタ、ソースフォロワトランジスタ、および選択トランジスタを有する。
<画素回路>
図1(A)は、画素回路331の一例を説明する回路図である。画素回路331は、光電変換デバイス240、トランジスタ103、トランジスタ104、トランジスタ105、トランジスタ106、およびキャパシタ108を有する。なお、キャパシタ108を設けない構成としてもよい。なお、トランジスタ103乃至トランジスタ106のそれぞれは、第1のゲート(単にゲートともいう)、および第2のゲート(バックゲートともいう)を有する。
光電変換デバイス240の一方の電極(カソード)は、トランジスタ103のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ103のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ104のソースまたはドレインの一方、キャパシタ108の一方の電極、およびトランジスタ105のゲートと電気的に接続される。トランジスタ105のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ106のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。
ここで、トランジスタ103のソースまたはドレインの他方、トランジスタ104のソースまたはドレインの一方、キャパシタ108の一方の電極、およびトランジスタ105のゲートを接続する配線をノードFDとする。ノードFDは電荷検出部として機能させることができる。
光電変換デバイス240の他方の電極(アノード)は、配線121と電気的に接続される。トランジスタ104のソースまたはドレインの他方は、配線122と電気的に接続される。トランジスタ105のソースまたはドレインの他方は、配線123に電気的に接続される。トランジスタ106のソースまたはドレインの他方は、配線352と電気的に接続される。キャパシタ108の他方の電極は、例えばGND配線などの基準電位線と電気的に接続される。
配線121、配線122、および配線123は、電源線としての機能を有することができる。図1(A)に示す構成では光電変換デバイス240のカソードがトランジスタ103と電気的に接続する構成であり、ノードFDを高電位にリセットして動作させる構成であるため、配線122は高電位(配線121よりも高い電位)とする。
トランジスタ103のゲートは、配線127と電気的に接続され、トランジスタ103のバックゲートは、配線151と電気的に接続される。トランジスタ104のゲートは、配線126と電気的に接続され、トランジスタ104のバックゲートは、配線152と電気的に接続される。トランジスタ105のバックゲートは、配線153と電気的に接続される。トランジスタ106のゲートは、配線128と電気的に接続され、トランジスタ106のバックゲートは、配線154と電気的に接続される。
配線127、配線126、および配線128は、各トランジスタの導通を制御する信号線としての機能を有することができる。配線151乃至配線154は、各トランジスタのバックゲートに電位を印加するための配線として機能する。配線352は出力線としての機能を有することができる。
図1(A)では、光電変換デバイス240のカソードがノードFDと電気的に接続する構成を示したが、図1(B)に示すように光電変換デバイス240のアノードがトランジスタ103のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する構成としてもよい。
当該構成では、ノードFDを低電位にリセットして動作させる構成であるため、配線122は低電位(配線121よりも低い電位)とする。
トランジスタ103は、ノードFDの電位を制御する機能を有する。つまり、トランジスタ103は、転送トランジスタとして機能する。トランジスタ104は、ノードFDの電位をリセットする機能を有する。つまり、トランジスタ104は、リセットトランジスタとして機能する。トランジスタ105は、ノードFDの電位を撮像データとして配線352に出力する機能を有する。つまり、トランジスタ105は、ソースフォロワトランジスタとして機能する。トランジスタ106は、撮像データを出力する画素を選択する機能を有する。つまり、トランジスタ106は、選択トランジスタとして機能する。
ノードFDと接続されているトランジスタ103およびトランジスタ104の、ソース−ドレイン間のリーク電流が大きいと、ノードFDに蓄積された電荷が保持できる時間が十分でなくなる。また、トランジスタ105およびトランジスタ106の、ソース−ドレイン間のリーク電流が大きいと、配線123または配線352に不必要な電荷の出力が生じる恐れがある。
そこで、トランジスタ103乃至トランジスタ106には、酸化物半導体を用いたトランジスタ(OSトランジスタともいう)を用いることが好ましい。OSトランジスタは、オフ電流が極めて小さい特性を有する。したがって、トランジスタ103、およびトランジスタ104にOSトランジスタを用いることで、ノードFDからの不要な電荷の流出を防止することができ、ノードFDで電荷を保持できる期間を極めて長くすることができる。また、トランジスタ105、およびトランジスタ106にOSトランジスタを用いることで、配線123または配線352に不必要な電荷の出力を防止することができる。
撮像装置におけるノイズは、画像のちらつきなど、画質の低下をもたらす。よって、ノイズは低減されることが好ましい。撮像装置におけるノイズとして、画素回路の構成要素に起因するノイズ、回路(構成要素間を含む)に起因するノイズなどがある。また、ノイズは、ランダムノイズと、固定パターンノイズとに分類される。
特に、画素回路の構成要素の1つであるソースフォロワトランジスタに起因するノイズが大きいと、ノードFDの電位が正常であっても、正確な出力値が得られなくなる。よって、画像のちらつきなどの画質の低下につながる。
そこで、ソースフォロワトランジスタとして機能するトランジスタ105に起因するノイズを低減することが好ましい。特に、トランジスタ105のドレイン電流のノイズを低減することが好ましい。トランジスタ105に起因するノイズを低減することで、より正確な出力値を得ることができる。よって、画質の低下が抑制され、鮮明な撮像を得ることができる。
トランジスタのドレイン電流のノイズの要因の一つとして、1/fノイズが挙げられる。1/fノイズとは、周波数fに反比例して大きくなる電流揺らぎの周波数成分のことを指す。1/fノイズのモデルとして、キャリア濃度揺らぎに由来すると考えるモデルと、移動度揺らぎに由来すると考えるモデルと、がある。1/fノイズの原因として、キャリア濃度揺らぎに由来すると考えるモデルでは、電子が欠陥に束縛されたり、欠陥から放出されたりすることが想定される。つまり、欠陥準位密度を低減することによって、1/fノイズの低減を図ることができる。
1/fノイズは、光電変換デバイス240に照射された光(入射光)の照度に対応する信号電荷の量(信号量ともいう)に依存しないランダムノイズである。1/fノイズは、信号量が少ない場合に、支配的なノイズとなりやすい。
例えば、読み出し動作が行われる期間(後述する)において、トランジスタ105のバックゲートに0Vまたは正の電位を印加することが好ましい。具体的には、トランジスタ105のバックゲートに印加する電位は、0V以上3V以下が好ましく、0V以上2V以下がより好ましい。これにより、トランジスタ105の1/fノイズを低減することができる。
トランジスタのバックゲートに0Vまたは正の電位を印加することで、キャリアパスが、半導体層とゲート絶縁膜との界面近傍から、半導体層のバルクに広がる。よって、半導体層とゲート絶縁膜との界面およびその近傍に存在する欠陥の影響が小さくなり、1/fノイズが低減されると推測される。
さらに、トランジスタ105のバックゲートに0Vまたは正の電位を印加することで、オン電流を大きくすることができる。
以上より、ノイズの少ない鮮明な撮像を得ることができる。したがって、ノイズの少ない撮像装置を提供することができる。
なお、トランジスタ105のバックゲートに0Vまたは正の電位を印加する期間は、読み出し動作が行われる期間のみに限られない場合がある。例えば、トランジスタ106のソース−ドレイン間のリーク電流が小さい場合においては、トランジスタ105のバックゲートに0Vまたは正の電位を印加してもよい。トランジスタ106のソース−ドレイン間のリーク電流が小さい場合とは、例えば、トランジスタ106がノーマリーオフ特性である場合である。または、トランジスタ106のバックゲートに負の電位を印加した状態である。
トランジスタ103、およびトランジスタ104はノーマリーオフ特性(ゲートに電位を印加しない状態では、トランジスタに電流が流れない状態)であることが好ましい。よって、トランジスタ103、およびトランジスタ104のバックゲートに負の電位を印加することが好ましい。バックゲートに負の電位を印加することにより、トランジスタ103およびトランジスタ104のしきい値電圧(Vth)をより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。
なお、トランジスタ103乃至トランジスタ106として用いるOSトランジスタの電気特性によっては、バックゲートに印加する電位は上記に限られない。例えば、トランジスタ105のバックゲートに印加する電位は、トランジスタ103およびトランジスタ104のバックゲートに印加する電位よりも大きければよい場合がある。このとき、トランジスタ105のバックゲートに印加する電位は、0Vまたは正に限られず、負であってもよい。
図1(A)および図1(B)では、OSトランジスタ(トランジスタ103乃至トランジスタ106)のバックゲートが定電位を供給できる配線(配線151乃至配線154)と電気的に接続された構成を示しており、トランジスタのしきい値電圧を制御することができる。
なお、本発明の一態様においては、トランジスタ103乃至トランジスタ106に用いることができるOSトランジスタの構成は上記に限られない。図2(A)では、図1(A)に示す画素回路331が有するトランジスタの変形例を示す。図2(A)に示すトランジスタ103aは図1(A)に示すトランジスタ103の変形例であり、図2(A)に示すトランジスタ104aは図1(A)に示すトランジスタ104の変形例であり、図2(A)に示すトランジスタ106aは図1(A)に示すトランジスタ106の変形例である。
トランジスタ103a、トランジスタ104a、およびトランジスタ106aのそれぞれは、バックゲートがゲートと電気的に接続された構成である。これにより、トランジスタ103a、トランジスタ104a、およびトランジスタ106aのオン電流を高めることができる。
また、図2(B)では、図1(A)に示す画素回路331が有するトランジスタの変形例を示す。図2(B)に示すトランジスタ103bは図1(A)に示すトランジスタ103の変形例であり、図2(B)に示すトランジスタ106bは図1(A)に示すトランジスタ106の変形例である。
トランジスタ103b、およびトランジスタ106bのそれぞれは、バックゲートを有さない構成である。このとき、配線151、および配線154を設けなくてもよい。一部のバックゲート、および一部の配線を設けないことで、撮像装置の設計の自由度を高くすることができる。また、撮像装置の微細化および高集積化が容易になる。
また、図1(A)、図1(B)、図2(A)、および図2(B)を組み合わせるなど、それぞれのトランジスタが適切な動作が行えるような構成としてもよい。
また、画素回路は、トランジスタ104、トランジスタ105、トランジスタ106、およびキャパシタ108を複数の画素回路で共有してもよい。これにより、トランジスタおよび配線を削減でき、画素面積の縮小による撮像装置の微細化、光電変換デバイスの受光面積拡大によるノイズ低減などを図ることができる。
[OSトランジスタに適用可能な酸化物半導体]
OSトランジスタに用いる半導体材料としては、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上である金属酸化物を用いることができる。代表的には、インジウムを含む酸化物半導体などであり、例えば、後述するCAAC−OSまたはCAC−OSなどを用いることができる。CAAC−OSは結晶を構成する原子が安定であり、信頼性を重視するトランジスタなどに適する。また、CAC−OSは、高移動度特性を示すため、高速駆動を行うトランジスタなどに適する。
OSトランジスタは半導体層のエネルギーギャップが大きいため、数yA/μm(チャネル幅1μmあたりの電流値)という極めて小さいオフ電流特性を示す。また、OSトランジスタは、インパクトイオン化、アバランシェ降伏、および短チャネル効果などが生じにくいなどSiトランジスタとは異なる特徴を有し、高耐圧で信頼性の高い回路を形成することができる。また、Siトランジスタでは問題となる結晶性の不均一性に起因する電気特性のばらつきもOSトランジスタでは生じにくい。
OSトランジスタが有する半導体層は、例えばインジウム、亜鉛、および元素M(アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、スズ、ネオジムまたはハフニウム等の金属の一つまたは複数)を含むIn−M−Zn酸化物で表記される膜とすることができる。In−M−Zn酸化物は、代表的には、スパッタリング法で形成することができる。または、ALD(Atomic layer deposition)法を用いて形成してもよい。
In−M−Zn酸化物をスパッタリング法で形成するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:3、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比はそれぞれ、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
半導体層としては、キャリア濃度の低い酸化物半導体を用いる。例えば、半導体層は、キャリア濃度が1×1017cm−3以下、好ましくは1×1015cm−3以下、さらに好ましくは1×1013cm−3以下、より好ましくは1×1011cm−3以下、さらに好ましくは1×1010cm−3未満であり、1×10−9cm−3以上のキャリア濃度の酸化物半導体を用いることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。当該酸化物半導体は欠陥準位密度が低く、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性および電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、半導体層のキャリア濃度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
半導体層を構成する酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、半導体層におけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
また、アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため、半導体層におけるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度(SIMSにより得られる濃度)を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
また、半導体層を構成する酸化物半導体に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じてキャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため半導体層における窒素濃度(SIMSにより得られる濃度)は、5×1018atoms/cm3以下にすることが好ましい。
また、半導体層を構成する酸化物半導体に水素が含まれていると、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸化物半導体中に酸素欠損を形成する場合がある。酸化物半導体中のチャネル形成領域に酸素欠損が含まれていると、トランジスタはノーマリーオン特性となる場合がある。さらに、酸素欠損に水素が入った欠陥はドナーとして機能し、キャリアである電子が生成されることがある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成する場合がある。したがって、水素が多く含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタは、ノーマリーオン特性となりやすい。
酸素欠損に水素が入った欠陥は、酸化物半導体のドナーとして機能しうる。しかしながら、当該欠陥を定量的に評価することは困難である。そこで、酸化物半導体においては、ドナー濃度ではなく、キャリア濃度で評価される場合がある。よって、本明細書等では、酸化物半導体のパラメータとして、ドナー濃度ではなく、電界が印加されない状態を想定したキャリア濃度を用いる場合がある。つまり、本明細書等に記載の「キャリア濃度」は、「ドナー濃度」と言い換えることができる場合がある。
よって、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。水素などの不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
また、半導体層は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、c軸に配向した結晶を有するCAAC−OS(C−Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶構造、微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC−OSは最も欠陥準位密度が低い。
非晶質構造の酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質構造の酸化物膜は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さない。
なお、半導体層が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば上述した領域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、または積層構造を有する場合がある。
以下では、非単結晶の半導体層の一態様であるCAC(Cloud−Aligned Composite)−OSの構成について説明する。
CAC−OSとは、例えば、酸化物半導体を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、酸化物半導体において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
なお、酸化物半導体は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
例えば、In−Ga−Zn酸化物におけるCAC−OS(CAC−OSの中でもIn−Ga−Zn酸化物を、特にCAC−IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化物(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛酸化物(以下、InZnY2OZ2(Y2、およびZ2は0よりも大きい実数)とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とする。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、GaZnY4OZ4(Y4、およびZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状となり、モザイク状のInOX1、またはInZnY2OZ2が、膜中に均一に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
つまり、CAC−OSは、GaOX3が主成分である領域と、InZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合酸化物半導体である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、およびOによる1つの化合物をいう場合がある。代表例として、InGaO3(ZnO)m1(m1は自然数)、またはIn(1+x0)Ga(1−x0)O3(ZnO)m0(−1≦x0≦1、m0は任意数)で表される結晶性の化合物が挙げられる。
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC構造を有する。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa−b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
一方、CAC−OSは、酸化物半導体の材料構成に関する。CAC−OSとは、In、Ga、Zn、およびOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。したがって、CAC−OSにおいて、結晶構造は副次的な要素である。
なお、CAC−OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含まない。
なお、GaOX3が主成分である領域と、InZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC−OSは、一部に該金属元素を主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。
CAC−OSは、例えば基板を意図的に加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC−OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、および窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
CAC−OSは、X線回折(XRD:X−ray diffraction)測定法のひとつであるOut−of−plane法によるθ/2θスキャンを用いて測定したときに、明確なピークが観察されないという特徴を有する。すなわち、X線回折測定から、測定領域のa−b面方向、およびc軸方向の配向は見られないことが分かる。
また、CAC−OSは、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照射することで得られる電子線回折パターンにおいて、リング状に輝度の高い領域(リング領域)と、該リング領域に複数の輝点が観測される。したがって、電子線回折パターンから、CAC−OSの結晶構造が、平面方向、および断面方向において、配向性を有さないnc(nano−crystal)構造を有することがわかる。
また、例えば、In−Ga−Zn酸化物におけるCAC−OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X−ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、GaOX3が主成分である領域と、InZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
CAC−OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC−OSは、GaOX3などが主成分である領域と、InZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
ここで、InZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域は、GaOX3などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、InZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、酸化物半導体としての導電性が発現する。したがって、InZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域が、酸化物半導体中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
一方、GaOX3などが主成分である領域は、InZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaOX3などが主成分である領域が、酸化物半導体中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なスイッチング動作を実現できる。
したがって、CAC−OSを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する絶縁性と、InZnY2OZ2、またはInOX1に起因する導電性とが、相補的に作用することにより、高いオン電流(Ion)、および高い電界効果移動度(μ)を実現することができる。
また、CAC−OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。したがって、CAC−OSは、様々な半導体装置の構成材料として適している。
<撮像装置の動作方式>
図3(A)はローリングシャッタ方式の動作方法を模式化した図であり、図3(B)はグローバルシャッタ方式を模式化した図である。Enはn列目(nは自然数)の露光(蓄積動作)、Rnはn列目の読み出し動作を表している。図3(A)、および図3(B)では、1行目からM行目(Mは自然数)までの動作を示している。
ローリングシャッタ方式は、露光とデータの読み出しを順次行う動作方法であり、ある行の読み出し期間と他の行の露光期間を重ねる方式である。露光後すぐに読み出し動作を行うため、データの保持期間が比較的短い回路構成であっても撮像を行うことができる。しかしながら、撮像の同時性がないデータで1フレームの画像が構成されるため、動体の撮像においては画像に歪が生じてしまう。
一方で、グローバルシャッタ方式は、全画素で同時に露光を行って各画素にデータを保持し、行毎にデータを読み出す動作方法である。したがって、動体の撮像であっても歪のない画像を得ることができる。
画素回路にSiトランジスタなどの比較的オフ電流の高いトランジスタを用いた場合は、電荷検出部から電荷が流出しやすいためローリングシャッタ方式が多く用いられる。Siトランジスタを用いてグローバルシャッタ方式を実現するには、別途メモリ回路にデータを格納させるなど、複雑な動作を高速で行わなければならない。一方で、画素回路にOSトランジスタを用いた場合は、電荷検出部からのデータ電位の流出がほとんどない。よって、回路構成や動作方法を複雑にすることなく、全画素で同時に電荷の蓄積動作を行うグローバルシャッタ方式を容易に実現することができる。なお、本発明の一態様の撮像装置をローリングシャッタ方式で動作させることもできる。
なお、画素回路331は、OSトランジスタおよびSiトランジスタを任意に組み合わせて構成であってもよい。少なくともトランジスタ103およびトランジスタ104にOSトランジスタを用いることで、グローバルシャッタ方式を実現することができる。
<画素回路の動作>
次に、図1(A)に示す画素回路の動作の一例を図4(A)のタイミングチャートを用いて説明する。なお、本明細書におけるタイミングチャートの説明においては、高電位を“H”、低電位を“L”で表す。配線121には常時“L”が供給され、配線122、および配線123には常時“H”が供給されている状態とする。
期間T1において、配線126の電位を“H”、配線127の電位を“H”、配線128の電位を“L”とすると、トランジスタ103、およびトランジスタ104が導通し、ノードFDには配線122の電位“H”が供給される(リセット動作)。つまり、期間T1は、光電変換デバイス240に照射された光(入射光)の照度に対応する撮像データをリセットする期間でもある。
期間T2において、配線126の電位を“L”、配線127の電位を“H”、配線128の電位を“L”とすると、トランジスタ104が非導通となってリセット電位の供給が遮断される。また、光電変換デバイス240の動作に応じてノードFDの電位が低下する(蓄積動作)。つまり、期間T2は、光電変換デバイス240に照射された光(入射光)の照度に対応する撮像データが入力される期間に相当する。
期間T3において、配線126の電位を“L”、配線127の電位を“L”、配線128の電位を“L”とすると、トランジスタ103が非導通となり、ノードFDの電位は確定し、保持される(保持動作)。このとき、ノードFDに接続されるトランジスタ103およびトランジスタ104にオフ電流の小さいOSトランジスタを用いることによって、ノードFDからの不必要な電荷の流出を抑えることができ、データの保持時間の延ばすことができる。
期間T4において、配線126の電位を“L”、配線127の電位を“L”、配線128の電位を“H”とすると、トランジスタ106が導通し、トランジスタ105のソースフォロワ動作によりノードFDの電位が配線352に読み出される(読み出し動作)。つまり、期間T4は、ノードFDの電位を撮像データとして配線352に出力される期間に相当する。
配線126の電位が“L”である期間(期間T2乃至期間T4)においては、トランジスタ103およびトランジスタ104のバックゲートに、負の電位を印加することが好ましい。これにより、トランジスタ103およびトランジスタ104のしきい値電圧(Vth)をより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。よって、ノードFDからの不要な電荷の流出を防止することができ、ノードFDで電荷を保持できる期間を極めて長くすることができる。
また、読み出し動作が行われる期間(期間T4)においては、トランジスタ105のバックゲートに0Vまたは正の電位を印加することが好ましい。これにより、トランジスタ105の1/fノイズを低減することができる。よって、ノイズの少ない撮像データを配線352に出力することができ、ノイズの少ない鮮明な撮像を得ることができる。
つまり、期間T4においては、トランジスタ104のバックゲートに負の電位を印加し、トランジスタ105のバックゲートに0Vまたは正の電位を印加することが好ましい。
なお、トランジスタ106の、ソース−ドレイン間のリーク電流が小さい場合においては、トランジスタ105のバックゲートに0Vまたは正の電位を印加しても、配線352に不必要な電荷の出力が防止される。よって、期間T1乃至期間T3においても、トランジスタ105のバックゲートに、0Vまたは正の電位を印加してもよい場合がある。
また、配線121に与えられる電位を、接地電位(0V)とする場合、トランジスタ104のバックゲートに印加される電位は、配線121に与えられる電位よりも大きいことになる。
なお、上述したように、トランジスタ104、およびトランジスタ105として用いるOSトランジスタの電気特性によっては、バックゲートに印加する電位は上記に限られない。例えば、トランジスタ105のバックゲートに印加する電位は、トランジスタ103およびトランジスタ104のバックゲートに印加する電位よりも大きければよい場合がある。別言すると、配線152に与えられる電位を第1の電位とし、配線153に与えられる電位を第2の電位とする場合、第2の電位は第1の電位よりも大きいことが好ましい。
なお、バックゲートに第1の電位を印加した状態のトランジスタ104、およびバックゲートに第2の電位を印加した状態のトランジスタ105のそれぞれは、スイッチング特性が得られることが好ましい。例えば、トランジスタ104のバックゲートに第1の電位を印加した状態における、トランジスタ104のオン/オフ比は、106以上が好ましく、109以上がより好ましく、1012以上がさらに好ましい。また、トランジスタ105のバックゲートに第2の電位を印加した状態における、トランジスタ105のオン/オフ比は、106以上が好ましく、109以上がより好ましく、1012以上がさらに好ましい。これにより、トランジスタ104、およびトランジスタ105は、リーク電流が抑制され、良好なスイッチング動作が実現される。
なお、トランジスタのオン/オフ比は、ソースに印加する電位および/またはドレインに印加する電位によって変化する。例えば、ドレイン電位がソース電位よりも大きく、電位差が大きいほど、トランジスタのドレイン電流は大きくなる傾向がある。そこで、例えば、トランジスタ104は、バックゲートに第1の電位を印加し、ドレイン電位を0.3Vとし、ソース電位を0Vとした状態において、ゲートに−3Vの電位を印加したときのドレイン電流の値に対する、ゲートに+3Vの電位を印加したときのドレイン電流の値の比は106以上であることが好ましい。また、トランジスタ105は、バックゲートに第2の電位を印加し、ドレイン電位を0.3Vとし、ソース電位を0Vとした状態において、ゲートに−3Vの電位を印加したときのドレイン電流の値に対する、ゲートに+3Vの電位を印加したときのドレイン電流の値の比は106以上であることが好ましい。
撮像装置に用いるトランジスタは、しきい値電圧が0Vより大きく、0Vに近い正の電位をゲートに印加することでオン状態となることが好ましい。トランジスタのしきい値電圧が負であると、ノーマリーオン特性となり、該トランジスタで構成した回路を制御することが困難となる。また、しきい値電圧が正であっても、その絶対値が高いトランジスタの場合には、駆動電圧が足りずにスイッチング動作そのものができないことがある。つまり、バックゲートに印加する電位は、上記を満たすような範囲となる。よって、トランジスタのオン/オフ比は、当該トランジスタのゲートに±3Vの電位を印加することで算出可能となる。別言すると、−3V乃至+3Vの範囲の電位を、トランジスタのゲートに印加する場合において、スイッチング特性(オフ状態およびオン状態)が得られるように、当該トランジスタのバックゲートに電位を印加するとよい。
トランジスタ104およびトランジスタ105のスイッチング特性を評価する方法は上記に限られない。例えば、トランジスタ104およびトランジスタ105のオン/オフ比を算出する際の、ゲートに印加する電位は、しきい値電圧を基準にしてもよい。しきい値電圧を基準にすることで、オン/オフ比を算出する際の、ゲートに印加する電位の振り幅を小さくすることができる。
ここで、バックゲートに第1の電位を印加した状態のトランジスタ104のしきい値電圧をVth1とし、バックゲートに第2の電位を印加した状態のトランジスタ105のしきい値電圧をVth2とする。このとき、トランジスタ104は、バックゲートに第1の電位を印加した状態において、ゲートに(Vth1−2)[V]の電位を印加したときのドレイン電流の値に対する、ゲートに(Vth1+2)[V]の電位を印加したときのドレイン電流の値の比(オン/オフ比)が106以上であることが好ましい。また、トランジスタ105は、バックゲートに第2の電位を印加した状態において、ゲートに(Vth2−2)[V]の電位を印加したときのドレイン電流の値に対する、ゲートに(Vth2+2)[V]の電位を印加したときのドレイン電流の値の比(オン/オフ比)が106以上であることが好ましい。
以上が図1(A)に示す画素回路の動作の一例である。
図1(B)に示す画素回路は、図4(B)のタイミングチャートに従って動作させることができる。なお、配線121、および配線123には常時“H”が供給され、配線122には常時“L”が供給されている状態とする。基本的な動作は、上記の図4(A)のタイミングチャートの説明と同様である。
<読み出し回路>
図5は、画素回路331に接続される読み出し回路311の一例を説明する図であり、CDS回路400の回路図、およびCDS回路400と電気的に接続されるA/Dコンバータ410のブロック図を示している。なお、図5に示すCDS回路400よびA/Dコンバータ410は一例であり、他の構成であってもよい。
CDS回路400は、電圧変換用の抵抗401、容量結合用のキャパシタ402、電位V0を供給するトランジスタ403、A/Dコンバータ410に供給する電位を保持するトランジスタ404、および電位保持用のキャパシタ405を有する構成とすることができる。CDS回路400は、入力が画素回路331と電気的に接続され、出力がA/Dコンバータ410のコンパレータ回路(COMP)と電気的に接続される。
配線352の電位がVres(画素回路331がリセット状態)のとき、ノードN(トランジスタ403、トランジスタ404、およびキャパシタ402の接続点)の電位をV0とする。そして、ノードNをフローティングとして、配線352の電位がVdata(画素回路331が撮像データを出力)になると、ノードNの電位は、V0+Vdata−Vresとなる。したがって、CDS回路400では、画素回路331が出力する撮像データの電位からリセット状態のときの電位を差し引くことができ、ノイズ成分を削減することができる。
A/Dコンバータ410は、コンパレータ回路(COMP)およびカウンター回路(COUNTER)を有する構成とすることができる。A/Dコンバータ410では、CDS回路400からコンパレータ回路(COMP)に入力される信号電位と、掃引される基準電位(RAMP)とが比較される。そして、コンパレータ回路(COMP)の出力に応じてカウンター回路(COUNTER)が動作し、複数の配線353にデジタル信号が出力される。
<積層構造>
図6は、本発明の一態様の撮像装置を説明する断面斜視図である。撮像装置は、層201、層202、層203、層204、および層205を有する。
なお、本実施の形態では、説明の明瞭化のため、撮像装置を上記5つの層に分割して説明するが、それぞれの層に含まれる要素の種類、数量、位置は本実施の説明に限定されない。例えば、層と層の境近傍にある絶縁層、配線およびプラグなど要素は、本実施の形態の説明とは異なる層に属する場合がある。または、これらとは異なる要素が含まれていてもよい。
層201には、例えば、画素回路の読み出し回路、メモリ回路の駆動回路などを設けることができる。
層202には、例えば、メモリ回路などを設けることができる。
層203には、例えば、画素回路(光電変換デバイスを除く)および画素回路の駆動回路などを設けることができる。
層204には、光電変換デバイスを設けることができる。当該光電変換デバイスには、例えば、フォトダイオードなどを用いることができる。なお、当該光電変換デバイスは、画素回路の要素である。
層205には、光学変換層を設けることができる。当該光学変換層には、例えば、カラーフィルタなどを用いることができる。また、層205は、マイクロレンズアレイ255を有することができる。
上述したように、本発明の一態様の撮像装置は、層204に設けられる光電変換デバイス、層203に設けられる画素回路および画素回路の駆動回路、層202に設けられるメモリ回路、層201に設けられる画素回路の読み出し回路およびメモリ回路の駆動回路等を有する。
光電変換デバイスは、可視光に感度を有することが好ましい。例えば、光電変換デバイスにシリコンを光電変換層に用いるSiフォトダイオードを用いることができる。
画素回路および画素回路の駆動回路等の構成要素には、チャネル形成領域に金属酸化物を用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタ)を用いることが好ましい。OSトランジスタはオフ電流が極めて小さく、画素回路からのデータの不必要な流出を抑えることができる。したがって、複数の画素回路でデータを一斉に取得し、順次読み出しを行うグローバルシャッタ動作を簡易な回路構成で行うことができる。また、画素の駆動回路は、画素回路と共通の工程で形成することができる。
メモリ回路にもOSトランジスタを用いることが好ましい。メモリ回路のセルトランジスタにOSトランジスタを用いることで、データの不必要な流出を抑えることができ、リフレッシュの頻度を抑えることができる。したがって消費電力を抑えることができる。
画素回路の読み出し回路およびメモリ回路の駆動回路等は、高速動作を要求されるため、移動度の高いトランジスタを用いることが好ましい。例えば、チャネル形成領域にシリコンを用いたトランジスタ(以下、Siトランジスタ)を用いることが好ましい。Siトランジスタとしては、アモルファスシリコンを有するトランジスタ、結晶性のシリコン(微結晶シリコン、低温ポリシリコン、単結晶シリコン)を有するトランジスタなどが挙げられる。なお、画素回路の駆動回路はSiトランジスタで形成されてもよい。
Siデバイスを複数積層する場合、研磨工程や貼り合わせ工程が複数回必要になる。そのため、工程数が多い、専用の装置が必要、低歩留まりなどの課題があり、製造コストも高い。本発明の一態様では、Siデバイス上にOSトランジスタを用いた回路を形成することで、研磨工程および貼り合わせ工程を削減することができる。よって、歩留まりを向上させることができる。また、撮像装置の生産性を高めることができる。
OSトランジスタは、貼り合わせやバンプ接合などの複雑な工程を用いず、Siデバイス(Siトランジスタ、Siフォトダイオード)上に絶縁層を介して形成することができる。
したがって、本発明の一態様では、層201はシリコン基板を含む層とし、層201にSiトランジスタを有する回路を形成する。そして、層201上に層202を形成する。層202に、OSトランジスタを有する回路を形成する。
また、層204はシリコン基板を含む層とし、層204に光電変換デバイスとしてSiフォトダイオードを形成する。そして、層204のSiフォトダイオードが形成された面上に層203を形成する。層203に、OSトランジスタを有する回路を形成する。
そして、層201とは反対側の層202の面と、層204とは反対側の層203の面とを貼り合わせることで、層201乃至層204が重なる積層構成を作製することができる。図6は、層201乃至層204が重なる積層体の層204上に、さらに層205を設けた構成である。
Siデバイスを積層する場合においては、4層の積層であれば、研磨工程および貼り合わせ工程が少なくともそれぞれ3回程度必要になるが、本発明の一態様では、研磨工程が1または2回、貼り合わせ工程は1回とすることができる。
撮像装置を積層構造とすることで、小型の撮像装置を形成することができる。また、各回路を積層することで配線遅延などを抑制することができ、高速動作を行うことができる。
<回路>
図7(A)は、層201乃至層203が有する要素の電気的な接続を説明する簡易的なブロック図である。なお、層204が有する光電変換デバイス240は、回路上では画素回路331(PIX)に含まれるため、ここでは図示していない。
画素回路331はマトリクス状に並べて設けられ、配線351を介して駆動回路332(Driver)と電気的に接続される。駆動回路332は、画素回路331のデータ取得動作および選択動作などの制御を行うことができる。駆動回路332には、例えば、シフトレジスタなどを用いることができる。
また、画素回路331は、配線352を介して読み出し回路311(RC)と電気的に接続される。読み出し回路311は、ノイズを削減する相関二重サンプリング回路(CDS回路)およびアナログデータをデジタルデータに変換するA/Dコンバータを有する。
読み出し回路311は、配線353を介してメモリ回路321(MEM)と電気的に接続される。メモリ回路321は、読み出し回路311から出力されたデジタルデータを保持することができる。または、読み出し回路311からメモリ回路321を介さずに外部にデジタルデータを出力することもできる。
メモリ回路321は、配線354を介してロードライバ312(RD)と電気的に接続される。また、メモリ回路321は、配線355を介してカラムドライバ313(CD)と電気的に接続される。ロードライバ312はメモリ回路321の駆動回路であり、データの書き込みおよび読み出しを制御することができる。カラムドライバ313はメモリ回路321の駆動回路であり、データの読み出しを制御することができる。
画素回路331、読み出し回路311およびメモリ回路321の接続関係の詳細を図7(B)のブロック図を用いて説明する。読み出し回路311の数は、画素回路331と同数であり、一つの画素回路331につき、一つの読み出し回路311が配線352を介して電気的に接続される。また、読み出し回路311は複数の配線353と接続され、配線353のそれぞれは、一つのメモリセル321aと電気的に接続される。なお、読み出し回路311とメモリ回路321との間にデータ保持回路が設けられていてもよい。
読み出し回路311が有するA/Dコンバータは、所定のビット数分の二値データを並列出力する。したがって、A/Dコンバータは、当該ビット数分のメモリセル321aと接続される。例えば、A/Dコンバータの出力が8ビットである場合、8個のメモリセル321aと接続される。
上述の構成によって、本発明の一態様の撮像装置では、すべての画素回路331で取得したアナログデータのA/D変換を並列して行うことができ、変換されたデジタルデータをメモリ回路321に直接書き込むことができる。つまり、撮像からメモリ回路への格納までを高速に行うことができる。また、撮像動作、A/D変換動作、読み出し動作を並列して行うことも可能である。よって、高速動作が可能な撮像装置を提供することができる。
<メモリ回路>
図8(A)は、メモリ回路321が有するメモリセル321aと、ロードライバ312と、カラムドライバ313との接続関係を示す図である。メモリセル321aを構成するトランジスタには、OSトランジスタを用いることができる。
メモリ回路321は、一列にm(mは1以上の整数)個、一行にn(nは1以上の整数)個、計m×n個のメモリセル321aを有し、メモリセル321aはマトリクス状に配置されている。図8(A)では、メモリセル321aのアドレスも併せて表記している。例えば、[1,1]は1行1列目のアドレスに位置しているメモリセル321aを示し、[i,j](iは1以上m以下の整数、jは1以上n以下の整数)はi行j列目のアドレスに位置しているメモリセル321aを示している。なお、メモリ回路321とロードライバ312を接続している配線の数は、メモリセル321aの構成、一列中に含まれるメモリセル321aの数などによって決まる。また、メモリ回路321とカラムドライバ313とを接続している配線の数は、メモリセル321aの構成、一行中に含まれるメモリセル321aの数などによって決まる。
図8(B)乃至図8(E)は、メモリセル321aに適用できるメモリセル321aA乃至メモリセル321aDを説明する図である。なお、以下の説明において、ビット線類は、カラムドライバ313と接続することができる。また、ワード線類は、ロードライバ312と接続することができる。なお、ビット線類は、読み出し回路311とも電気的に接続するが、ここでは図示しない。
ロードライバ312およびカラムドライバ313には、例えば、デコーダ、またはシフトレジスタを用いることができる。なお、ロードライバ312およびカラムドライバ313は、複数が設けられていてもよい。
[DOSRAM]
図8(B)に、DRAM型のメモリセル321aAの回路構成例を示す。本明細書等において、OSトランジスタを用いたDRAMを、DOSRAM(Dynamic Oxide Semiconductor Random Access Memory)と呼ぶ。メモリセル321aAは、トランジスタM11と、キャパシタCsと、を有する。
トランジスタM11の第1端子は、キャパシタCsの第1端子と接続され、トランジスタM11の第2端子は、配線BILと接続され、トランジスタM11のゲートは、配線WLと接続され、トランジスタM11のバックゲートは、配線BGLと接続されている。キャパシタCsの第2端子は、配線GNDLと接続されている。配線GNDLは、低レベル電位(基準電位)を与える配線である。
配線BILは、ビット線として機能する。配線WLは、ワード線として機能する。配線BGLは、トランジスタM11のバックゲートに電位を印加するための配線として機能する。配線BGLに任意の電位を印加することによって、トランジスタM11のしきい値電圧を増減することができる。
データの書き込みおよび読み出しは、配線WLに高レベル電位を印加し、トランジスタM11を導通状態にし、配線BILとキャパシタCsの第1端子を電気的に接続することによって行われる。
トランジスタM11には、OSトランジスタを用いることが好ましい。また、OSトランジスタの半導体層には、インジウム、元素M(元素Mはアルミニウム、ガリウム、イットリウム、またはスズの一つまたは複数)、亜鉛のいずれか一つまたは複数を有する酸化物半導体を用いることが好ましい。特に、インジウム、ガリウム、亜鉛を有する酸化物半導体を用いることが好ましい。
インジウム、ガリウム、亜鉛を含む酸化物半導体を適用したOSトランジスタは、オフ電流が極めて小さいという特性を有している。トランジスタM11としてOSトランジスタを用いることによって、トランジスタM11のリーク電流を非常に小さくすることができる。つまり、書き込んだデータをトランジスタM11によって長時間保持することができるため、メモリセルのリフレッシュの頻度を少なくすることができる。または、メモリセルのリフレッシュ動作を不要にすることができる。
[NOSRAM]
図8(C)に、2つのトランジスタと1つのキャパシタを有するゲインセル型(「2Tr1C型」ともいう)のメモリセル321aBの回路構成例を示す。メモリセル321aBは、トランジスタM11と、トランジスタM3と、キャパシタCsと、を有する。
トランジスタM11の第1端子は、キャパシタCsの第1端子と接続され、トランジスタM11の第2端子は、配線WBLと接続され、トランジスタM11のゲートは、配線WLと接続され、トランジスタM11のバックゲートは、配線BGLと接続されている。キャパシタCsの第2端子は、配線RLと接続されている。トランジスタM3の第1端子は、配線RBLと接続され、トランジスタM3の第2端子は、配線SLと接続され、トランジスタM3のゲートは、キャパシタCsの第1端子と接続されている。
配線WBLは書き込みビット線として機能する。配線RBLは、読み出しビット線として機能する。配線WLは、ワード線として機能する。配線RLは、キャパシタCsの第2端子に所定の電位を印加するための配線として機能する。データの書き込み時、データ保持の最中、配線RLには、基準電位を印加することが好ましい。
配線BGLは、トランジスタM11のバックゲートに電位を印加するための配線として機能する。配線BGLに任意の電位を印加することによって、トランジスタM11のしきい値電圧を増減することができる。
データの書き込みは、配線WLに高レベル電位を印加し、トランジスタM11を導通状態にし、配線WBLとキャパシタCsの第1端子を電気的に接続することによって行われる。具体的には、トランジスタM11が導通状態のときに、配線WBLに記録する情報に対応する電位を印加し、キャパシタCsの第1端子、およびトランジスタM3のゲートに該電位を書き込む。その後、配線WLに低レベル電位を印加し、トランジスタM11を非導通状態にすることによって、キャパシタCsの第1端子の電位、およびトランジスタM3のゲートの電位を保持する。
データの読み出しは、配線RLと配線SLに所定の電位を印加することによって行われる。トランジスタM3のソース−ドレイン間に流れる電流、およびトランジスタM3の第1端子の電位は、トランジスタM3のゲートの電位、およびトランジスタM3の第2端子の電位によって決まるので、トランジスタM3の第1端子に接続されている配線RBLの電位を読み出すことによって、キャパシタCsの第1端子(またはトランジスタM3のゲート)に保持されている電位を読み出すことができる。つまり、キャパシタCsの第1端子(またはトランジスタM3のゲート)に保持されている電位から、このメモリセルに書き込まれている情報を読み出すことができる。または、このメモリセルに書き込まれている情報の有無を知ることができる。
また、図8(D)に示すように、配線WBLと配線RBLを一本の配線BILとしてまとめた構成であってもよい。図8(D)に示すメモリセル321aCは、メモリセル321aBの配線WBLと配線RBLを一本の配線BILとして、トランジスタM11の第2端子、およびトランジスタM3の第1端子が、配線BILと接続されている構成となっている。つまり、メモリセル321aCは、書き込みビット線と、読み出しビット線と、を1本の配線BILとして動作する構成となっている。
なお、メモリセル321aBおよびメモリセル321aCにおいても、トランジスタM11にOSトランジスタを用いることが好ましい。トランジスタM11にOSトランジスタを用いて、メモリセル321aBおよびメモリセル321aCのような2Tr1C型のメモリセルを用いた記憶装置をNOSRAM(Non−volatile Oxide Semiconductor Random Access Memory)という。
また、図8(E)に、3トランジスタ1キャパシタのゲインセル型(「3Tr1C型」ともいう)のメモリセル321aDの回路構成例を示す。メモリセル321aDは、トランジスタM11と、トランジスタM5と、およびトランジスタM6と、キャパシタCsと、を有する。
トランジスタM11の第1端子は、キャパシタCsの第1端子と接続され、トランジスタM11の第2端子は、配線BILと接続され、トランジスタM11のゲートは、配線WLと接続され、トランジスタM11のバックゲートは、配線BGLと電気的に接続されている。キャパシタCsの第2端子は、トランジスタM5の第1端子と、配線GNDLと、に電気的に接続されている。トランジスタM5の第2端子は、トランジスタM6の第1端子と接続され、トランジスタM5のゲートは、キャパシタCsの第1端子と接続されている。トランジスタM6の第2端子は、配線BILと接続され、トランジスタM6のゲートは配線RLと接続されている。
配線BILは、ビット線として機能し、配線WLは、書き込みワード線として機能し、配線RLは、読み出しワード線として機能する。
配線BGLは、トランジスタM11のバックゲートに電位を印加するための配線として機能する。配線BGLに任意の電位を印加することによって、トランジスタM11のしきい値電圧を増減することができる。
データの書き込みは、配線WLに高レベル電位を印加し、トランジスタM11を導通状態にし、配線BILとキャパシタCsの第1端子を接続することによって行われる。具体的には、トランジスタM11が導通状態のときに、配線BILに記録する情報に対応する電位を印加し、キャパシタCsの第1端子、およびトランジスタM5のゲートに該電位を書き込む。その後、配線WLに低レベル電位を印加し、トランジスタM11を非導通状態にすることによって、キャパシタCsの第1端子の電位、およびトランジスタM5のゲートの電位を保持する。
データの読み出しは、配線BILに所定の電位をプリチャージして、その後配線BILを電気的に浮遊状態にし、かつ配線RLに高レベル電位を印加することによって行われる。配線RLが高レベル電位となるので、トランジスタM6は導通状態となり、配線BILとトランジスタM5の第2端子が電気的に接続状態となる。このとき、トランジスタM5の第2端子には、配線BILの電位が印加されることになるが、キャパシタCsの第1端子(またはトランジスタM5のゲート)に保持されている電位に応じて、トランジスタM5の第2端子の電位、および配線BILの電位が変化する。ここで、配線BILの電位を読み出すことによって、キャパシタCsの第1端子(またはトランジスタM5のゲート)に保持されている電位を読み出すことができる。つまり、キャパシタCsの第1端子(またはトランジスタM5のゲート)に保持されている電位から、このメモリセルに書き込まれている情報を読み出すことができる。または、このメモリセルに書き込まれている情報の有無を知ることができる。
なお、メモリセル321aDにおいても、トランジスタM11にOSトランジスタを用いることが好ましい。トランジスタM11としてOSトランジスタを適用した3Tr1C型のメモリセル321aDは、前述したNOSRAMの一態様である。メモリセルは、回路の構成を適宜変更することができる。
<積層構造1>
次に、撮像装置の積層構造について、断面図を用いて説明する。
図9は、層201乃至層205を有し、層202と層203の間に貼り合わせ面を有する積層体の断面図の一例である。
<層201>
層201は、シリコン基板211に設けられた読み出し回路311、ロードライバ312およびカラムドライバ313を有する。ここでは、上記回路の一部として、読み出し回路311のCDS回路が有するキャパシタ402およびトランジスタ403、読み出し回路311のA/Dコンバータが有するトランジスタ115、ならびにロードライバ312が有するトランジスタ116を示している。キャパシタ402の一方の電極およびトランジスタ403のソースまたはドレインの一方は電気的に接続されている。
層201には、絶縁層212、絶縁層213、絶縁層214、絶縁層215、絶縁層216、絶縁層217、および絶縁層218が設けられる。絶縁層212は保護膜としての機能を有する。絶縁層212、絶縁層213、絶縁層214、および絶縁層217は、層間絶縁膜および平坦化膜としての機能を有する。絶縁層216は、キャパシタ402の誘電体層としての機能を有する。絶縁層218は、ブロッキング膜としての機能を有する。
保護膜としては、例えば、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜などを用いることができる。層間絶縁膜および平坦化膜としては、例えば、酸化シリコン膜などの無機絶縁膜、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの有機絶縁膜を用いることができる。キャパシタの誘電体層としては、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜などを用いることができる。ブロッキング膜としては、水素の拡散を防止する機能を有する膜を用いることが好ましい。
Siデバイスにおいて、水素はダングリングボンドを終端するために必要とされるが、OSトランジスタの近傍にある水素は、酸化物半導体層中にキャリアを生成する要因の一つとなり、信頼性を低下させる。したがって、Siデバイスが形成される層とOSトランジスタが形成される層との間には、水素のブロッキング膜が設けられることが好ましい。
当該ブロッキング膜としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等を用いることができる。
図9に示すSiトランジスタはシリコン基板211にチャネル形成領域を有するフィン型である。Siトランジスタのチャネル幅方向の断面(図9にA1−A2の一点鎖線で示す部位に対応する断面)を図10(A)に示す。
なお、Siトランジスタは、図10(B)に示すようにプレーナー型であってもよい。または、図10(C)に示すように、シリコン薄膜の半導体層545を有するトランジスタであってもよい。半導体層545は、例えば、シリコン基板211上の絶縁層546上に形成された単結晶シリコン(SOI(Silicon on Insulator))とすることができる。
なお、デバイス間の電気的な接続に用いられる配線、電極およびプラグとして用いることのできる導電体には、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンなどから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を適宜選択して用いればよい。当該導電体は単層に限らず、異なる材料で構成された複数の層であってもよい。
<層202>
層202は、層201上に形成される。層202は、OSトランジスタを有するメモリ回路321を有する。ここでは、メモリ回路321の一部として、メモリセル321aが有するトランジスタ111およびキャパシタ112を示している。
層202には、絶縁層221、絶縁層222、絶縁層223、絶縁層224、絶縁層225、絶縁層226、絶縁層227、絶縁層228、および絶縁層229が設けられる。また、導電層131が設けられる。
絶縁層221、絶縁層224、絶縁層225、絶縁層227、および絶縁層228は、層間絶縁膜および平坦化膜としての機能を有する。絶縁層222は、ゲート絶縁膜としての機能を有する。絶縁層223は、保護膜としての機能を有する。絶縁層226は、キャパシタの誘電体層としての機能を有する。絶縁層229および導電層131は、貼り合わせ層としての機能を有する。
ゲート絶縁膜としては、酸化シリコン膜などを用いることができる。貼り合わせ層に関しては後述する。
導電層131は、層201のキャパシタ402の他方の電極と電気的に接続される。トランジスタ111のソースまたはドレインの一方は、層201のトランジスタ115のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ111のゲートは、層201のトランジスタ116のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ111のソースまたはドレインの他方は、キャパシタ112の一方の電極と電気的に接続される。
図11(A)にトランジスタ111の詳細を示す。図11(A)に示すトランジスタ111は、酸化物半導体層および導電層の積層上に絶縁層を設け、当該酸化物半導体層に達する開口部を設けることでソース電極として機能する導電体705およびドレイン電極として機能する導電体706を形成するセルフアライン型の構成である。
トランジスタ111は、酸化物半導体層に形成されるチャネル形成領域、ソース領域703およびドレイン領域704のほか、ゲート電極として機能する導電体701、ゲート絶縁膜として機能する絶縁体702を有する構成とすることができる。上記開口部には少なくとも絶縁体702および導電体701が設けられる。当該開口部には、さらに酸化物半導体層707が設けられていてもよい。
なお、本発明の一態様においては、トランジスタ111の構成は上記に限られない。図11(B)に示すトランジスタ111aは、図11(A)に示すトランジスタ111の変形例である。トランジスタ111aは、導電体701をマスクとして半導体層にソース領域703およびドレイン領域704を形成するセルフアライン型トランジスタである。
また、図11(C)に示すトランジスタ111bは、図11(A)に示すトランジスタ111の変形例である。トランジスタ111bは、導電体705または導電体706と導電体701とが重なる領域を有するノンセルフアライン型のトップゲート型トランジスタである。
また、導電体535は、図11(D)に示すトランジスタ111のチャネル幅方向の断面図(図11(A)にB1−B2の一点鎖線で示す部位に対応する断面図)のように、導電体535に対向して設けられるトランジスタ111のトップゲートと電気的に接続してもよい。なお、図11(D)は図11(A)のトランジスタを例として示しているが、その他の構造のトランジスタも同様である。または、導電体535にトップゲートとは異なる固定電位を供給することができる構成であってもよい。
トランジスタ111はバックゲートとして機能する導電体535を有する構造を示しているが、バックゲートを有さない構造であってもよい。
<層203>
層203は、層204のSiフォトダイオードが形成された面上に形成される。層203は、OSトランジスタを有する画素回路331を有する。ここでは、画素回路331の一部として、トランジスタ103、トランジスタ104、およびトランジスタ105を示している。
層203には、絶縁層231、絶縁層232、絶縁層233、絶縁層234、絶縁層235、絶縁層236、および絶縁層237が設けられる。また、導電層132が設けられる。
絶縁層231および導電層132は、貼り合わせ層としての機能を有する。絶縁層232、絶縁層233、絶縁層234、および絶縁層237は、層間絶縁膜および平坦化膜としての機能を有する。絶縁層235は、保護膜としての機能を有する。絶縁層236は、ゲート絶縁膜としての機能を有する。
導電層132は、画素回路331の出力線として機能する配線352と電気的に接続される。
トランジスタ103乃至トランジスタ106のそれぞれは、図11(A)乃至図11(C)に示すトランジスタ111のいずれか一と同様の構成を有する。
<層204>
層204は、光電変換デバイス240、絶縁層241、絶縁層242、および絶縁層245を有する。
光電変換デバイス240は、シリコン基板に形成されたpn接合型のフォトダイオードであり、p型領域243およびn型領域244を有する。光電変換デバイス240は埋め込み型フォトダイオードであり、n型領域244の表面側(電流の取り出し側)に設けられた薄いp型領域243によって暗電流を抑えノイズを低減させることができる。
絶縁層241は、ブロッキング層としての機能を有する。絶縁層242は、素子分離層としての機能を有する。絶縁層245は、キャリアの流出を抑制する機能を有する。
シリコン基板には画素を分離する溝が設けられ、絶縁層245は、層205側のシリコン基板表面および当該溝に設けられる。絶縁層245が設けられることにより、光電変換デバイス240内で発生したキャリアが隣接する画素に流出することを抑えることができる。また、絶縁層245は、迷光の侵入を抑制する機能も有する。したがって、絶縁層245により、混色を抑制することができる。なお、層205側のシリコン基板表面と絶縁層245との間に反射防止膜が設けられていてもよい。
素子分離層は、LOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)法、またはSTI(Shallow Trench Isolation)法等を用いて形成することができる。絶縁層245としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコンなどの無機絶縁膜、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂などの有機絶縁膜を用いることができる。なお、絶縁層245は多層構成であってもよい。
光電変換デバイス240のn型領域244(カソードに相当)は、薄いp型領域を介して層203のトランジスタ103のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。p型領域243(アノード)は、電源線として機能する層203の配線121と電気的に接続される。
図9に示す積層構造1においては、層203に設けられるトランジスタ103乃至トランジスタ105は、層204に設けられる絶縁層241上に形成されている。
<層205>
層205は、層204上に形成される。層205は、遮光層251、光学変換層250、およびマイクロレンズアレイ255を有する。
遮光層251は、隣接する画素への光の流入を抑えることができる。遮光層251には、アルミニウム、タングステンなどの金属層を用いることができる。また、当該金属層と反射防止膜としての機能を有する誘電体膜を積層してもよい。
光学変換層250には、カラーフィルタを用いることができる。カラーフィルタにR(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、C(シアン)、M(マゼンタ)などの色を画素別に割り当てることにより、カラー画像を得ることができる。
また、光学変換層250に波長カットフィルタを用いれば、様々な波長領域における画像が得られる撮像装置とすることができる。
例えば、光学変換層250に可視光線の波長以下の光を遮るフィルタを用いれば、赤外線撮像装置とすることができる。また、光学変換層250に近赤外線の波長以下の光を遮るフィルタを用いれば、遠赤外線撮像装置とすることができる。また、光学変換層250に可視光線の波長以上の光を遮るフィルタを用いれば、紫外線撮像装置とすることができる。
また、光学変換層250にシンチレータを用いれば、X線撮像装置などに用いる放射線の強弱を可視化した画像を得る撮像装置とすることができる。被写体を透過したX線等の放射線がシンチレータに入射されると、フォトルミネッセンス現象により可視光線や紫外光線などの光(蛍光)に変換される。そして、当該光を光電変換デバイス240で検知することにより撮像データを取得する。また、放射線検出器などに当該構成の撮像装置を用いてもよい。
シンチレータは、X線やガンマ線などの放射線が照射されると、そのエネルギーを吸収して可視光や紫外光を発する物質を含む。例えば、Gd2O2S:Tb、Gd2O2S:Pr、Gd2O2S:Eu、BaFCl:Eu、NaI、CsI、CaF2、BaF2、CeF3、LiF、LiI、ZnOなどを樹脂やセラミクスに分散させたものを用いることができる。
光学変換層250上にはマイクロレンズアレイ255が設けられる。マイクロレンズアレイ255が有する個々のレンズを通る光が直下の光学変換層250を通り、光電変換デバイス240に照射されるようになる。マイクロレンズアレイ255を設けることにより、集光した光を光電変換デバイス240に入射することができるため、効率よく光電変換を行うことができる。マイクロレンズアレイ255は、可視光に対して透光性の高い樹脂またはガラスなどで形成することが好ましい。
<貼り合わせ>
次に、層202と層203の貼り合わせについて説明する。
層202には、絶縁層229および導電層131が設けられる。導電層131は、絶縁層229に埋設された領域を有する。また、絶縁層229および導電層131の表面は、それぞれ高さが一致するように平坦化されている。
層203には、絶縁層231および導電層132が設けられる。導電層132は、絶縁層231に埋設された領域を有する。また、絶縁層231および導電層132の表面は、それぞれ高さが一致するように平坦化されている。
ここで、導電層131および導電層132は、主成分が同一の金属元素であることが好ましい。また、絶縁層229および絶縁層231は、同一の成分で構成されていることが好ましい。
例えば、導電層131、および導電層132には、Cu、Al、Sn、Zn、W、Ag、Pt、Auなどを用いることができる。接合のしやすさから、好ましくはCu、Al、W、またはAuを用いる。また、絶縁層229、および絶縁層231には、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、窒化チタンなどを用いることができる。
つまり、導電層131および導電層132のそれぞれに、上記に示す同一の金属材料を用いることが好ましい。また、絶縁層229および絶縁層231のそれぞれに、上記に示す同一の絶縁材料を用いることが好ましい。当該構成とすることで、層202と層203の境を接合位置とする、貼り合わせを行うことができる。
なお、導電層131および導電層132は複数の層の多層構造であってもよく、その場合は、表層(接合面)が同一の金属材料であればよい。また、絶縁層229および絶縁層231も複数の層の多層構造であってもよく、その場合は、表層(接合面)が同一の絶縁材料であればよい。
当該貼り合わせによって、導電層131および導電層132の電気的な接続を得ることができる。また、絶縁層229および絶縁層231の機械的な強度を有する接続を得ることができる。
金属層同士の接合には、表面の酸化膜および不純物の吸着層などをスパッタリング処理などで除去し、清浄化および活性化した表面同士を接触させて接合する表面活性化接合法を用いることができる。または、温度と圧力を併用して表面同士を接合する拡散接合法などを用いることができる。どちらも原子レベルでの結合が起こるため、電気的だけでなく機械的にも優れた接合を得ることができる。
また、絶縁層同士の接合には、研磨などによって高い平坦性を得たのち、酸素プラズマ等で親水性処理をした表面同士を接触させて仮接合し、熱処理による脱水で本接合を行う親水性接合法などを用いることができる。親水性接合法も原子レベルでの結合が起こるため、機械的に優れた接合を得ることができる。
層202と、層203とを貼り合わせる場合、それぞれの接合面には絶縁層と金属層が混在するため、例えば、表面活性化接合法および親水性接合法を組み合わせて行えばよい。
例えば、研磨後に表面を清浄化し、金属層の表面に酸化防止処理を行ったのちに親水性処理を行って接合する方法などを用いることができる。また、金属層の表面をAuなどの難酸化性金属とし、親水性処理を行ってもよい。なお、上述した方法以外の接合方法を用いてもよい。
上記の貼り合わせにより、層203が有する画素回路331と、層201が有する読み出し回路311を電気的に接続することができる。
<積層構造1の変形例1>
図12に、図9に示す積層構造1の変形例を示す。図12に示す積層構造は、図9に示す積層構造1とは層203および層204の構成が異なる。図12に示す変形例1は、画素回路331が有するトランジスタ103を層204に設けた構成である。層204において、トランジスタ103は、Siトランジスタで形成される。トランジスタ103のソースまたはドレインの一方は、光電変換デバイス240と直結され、ソースまたはドレインの他方は、ノードFDとして作用する。
この場合、層203には、画素回路331を構成するトランジスタのうち、トランジスタ103を除いたトランジスタが設けられる。図12では、トランジスタ104およびトランジスタ105を図示している。
図12に示す変形例1においては、層203に設けられるトランジスタ104およびトランジスタ105は、層204に設けられる絶縁層246上に形成されている。
<積層構造1の変形例2>
図13に、図9に示す積層構造1の変形例を示す。図13に示す積層構造は、図9に示す積層構造1とは層201および層203の構成が異なる。図13に示す変形例2は、読み出し回路311の構成要素であるCDS回路400を層203に設けた構成である。なお、図13では、CDS回路400を画素回路331に積層した構成を示しているが、CDS回路400は、画素回路331と同一面上に設けられていてもよい。
上記の構成の場合、層201には読み出し回路311の別の構成要素であるA/Dコンバータ410が設けられる。図13では、A/Dコンバータ410の入力トランジスタとして機能するトランジスタ117を図示している。トランジスタ117のゲートは、層202が有する導電層131と電気的に接続される。
層203は、画素回路331に加え、CDS回路400を有する。ここでは、CDS回路400の要素であるキャパシタ402、トランジスタ403、およびトランジスタ404を図示している。トランジスタ403、およびトランジスタ404は、OSトランジスタで形成することができる。また、層203には、絶縁層421、絶縁層422、絶縁層423、絶縁層424、絶縁層425、絶縁層426、および絶縁層427が設けられる。
絶縁層421、絶縁層423、絶縁層424、および絶縁層427は、層間絶縁膜および平坦化膜としての機能を有する。絶縁層422は、キャパシタ402の誘電体層としての機能を有する。絶縁層425は、保護膜としての機能を有する。絶縁層426は、ゲート絶縁膜としての機能を有する。
画素回路331が接続される配線352には、キャパシタ402の他方の電極が電気的に接続され、キャパシタ402の一方の電極は、トランジスタ403のソースまたはドレインの一方およびトランジスタ404のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。そして、トランジスタ404のソースまたはドレインの他方は、導電層132と接続される。導電層132と層202が有する導電層131を貼り合わすことで、CDS回路400とA/Dコンバータ410を電気的に接続することができる。
図13に示す変形例2においては、層203に設けられるトランジスタ103乃至トランジスタ105は、層204に設けられる絶縁層241上に形成されている。
<積層構造2>
積層構造1およびその変形例では、層202と層203とを貼り合わせる構成を示したが、その他の層で貼り合わせを行ってもよい。図14に示す積層構造2は、層203と層204との間に貼り合わせ面を有する構成である。
この場合、層203には、トランジスタ103のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する導電層135が設けられる。また、配線121と電気的に接続する導電層136が設けられる。導電層135、および導電層136は、絶縁層231に埋設された領域を有する。また、絶縁層231、導電層135、および導電層136の表面は、それぞれ高さが一致するように平坦化されている。
層204には、光電変換デバイス240のn型領域244(カソードに相当)と電気的に接続される導電層133が設けられる。また、p型領域243(アノード)と電気的に接続される導電層134が設けられる。また、絶縁層246上には絶縁層249が設けられる。導電層133、および導電層134は、絶縁層249に埋設された領域を有する。また、絶縁層249、導電層133、および導電層134の表面は、それぞれ高さが一致するように平坦化されている。
ここで、導電層133、導電層134、導電層135、および導電層136は、前述した導電層131、および導電層132と同じ貼り合わせ層である。また、絶縁層249は、前述した絶縁層229、および絶縁層231と同じ貼り合わせ層である。
したがって、導電層133と導電層135を貼り合わせることで、光電変換デバイスのn型領域244(カソードに相当)とトランジスタ103のソースまたはドレインの一方を電気的に接続することができる。また、導電層134と導電層136を貼り合わせることで、光電変換デバイスのp型領域243(アノードに相当)と配線121を電気的に接続することができる。また、絶縁層231と絶縁層249を貼り合わせることで、層203と層204の電気的な接合および機械的な接合を行うことができる。
図14に示す積層構造2においては、層203に設けられるトランジスタ103乃至トランジスタ105は、層202に設けられる絶縁層228上に形成されている。
<積層構造3>
図15に示す積層構造3は、層201と層202との間に貼り合わせ面を有する構成である。
この場合、層201には、キャパシタ402の他方の電極と電気的に接続する導電層141が設けられる。また、トランジスタ115のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される導電層142が設けられる。また、トランジスタ116のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される導電層143が電気的に接続される。また、絶縁層218上には絶縁層219が設けられる。導電層141、導電層142、および導電層143は、絶縁層219に埋設された領域を有する。また、絶縁層219、導電層141、導電層142、および導電層143の表面は、それぞれ高さが一致するように平坦化されている。
層202には、層203が有する配線352と電気的に接続する導電層137が設けられる。また、層202が有するトランジスタ111のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する導電層138が設けられる。また、トランジスタ111のゲートと電気的に接続する導電層139が設けられる。導電層137、導電層138、および導電層139は、絶縁層229に埋設された領域を有する。また、絶縁層229、導電層137、導電層138、および導電層139の表面は、それぞれ高さが一致するように平坦化されている。
ここで、導電層137、導電層138、導電層139、導電層141、導電層142、および導電層143は、前述した導電層131、および導電層132と同じ貼り合わせ層である。また、絶縁層219は、前述した絶縁層229、および絶縁層231と同じ貼り合わせ層である。
したがって、導電層137と導電層141を貼り合わせることで、読み出し回路311と画素回路331を電気的に接続することができる。また、導電層138と導電層142を貼り合わせることで、読み出し回路311とメモリ回路321を電気的に接続することができる。また、導電層139と導電層143を貼り合わせることで、ロードライバ312とメモリ回路321を電気的に接続することができる。
図15に示す積層構造3においては、層203に設けられるトランジスタ103乃至トランジスタ105は、層204に設けられる絶縁層241上に形成されている。
なお、本実施の形態では、層201に画素回路の読み出し回路およびメモリ回路の駆動回路を設け、層202にメモリ回路を設けた構成を説明したが、これに限らない。例えば、画素回路の駆動回路、ニューラルネットワーク、通信回路、CPUなどが層201または層202に設けられていてもよい。
OSトランジスタおよびSiトランジスタを用いて、ノーマリーオフCPU(「Noff−CPU」ともいう)を実現することができる。なお、Noff−CPUとは、ゲート電圧が0Vであっても非導通状態(オフ状態ともいう)であるノーマリーオフ型のトランジスタを含む集積回路である。
Noff−CPUは、Noff−CPU内の動作不要な回路への電力供給を停止し、当該回路を待機状態にすることができる。電力供給が停止され、待機状態になった回路では電力が消費されない。よって、Noff−CPUは、電力使用量を最小限にすることができる。また、Noff−CPUは、電力供給が停止されても設定条件などの動作に必要な情報を長期間保持することができる。待機状態からの復帰は当該回路への電力供給を再開するだけでよく、設定条件などの再書き込みが不要である。すなわち、待機状態からの高速復帰が可能である。このように、Noff−CPUは、動作速度を大きく落とすことなく消費電力を低減できる。
本実施の形態は、他の実施の形態または実施例の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、イメージセンサチップを収めたパッケージおよびカメラモジュールの一例について説明する。当該イメージセンサチップには、本発明の一態様の撮像装置の構成を用いることができる。
図16(A)は、イメージセンサチップを収めたパッケージの上面側の外観斜視図である。当該パッケージは、イメージセンサチップ650(図16(C)参照)を固定するパッケージ基板610、カバーガラス620および両者を接着する接着剤630等を有する。
図16(B)は、当該パッケージの下面側の外観斜視図である。パッケージの下面には、半田ボールをバンプ640としたBGA(Ball grid array)を有する。なお、BGAに限らず、LGA(Land grid array)やPGA(Pin Grid Array)などを有していてもよい。
図16(C)は、カバーガラス620および接着剤630の一部を省いて図示したパッケージの斜視図である。パッケージ基板610上には電極パッド660が形成され、電極パッド660およびバンプ640はスルーホールを介して電気的に接続されている。電極パッド660は、イメージセンサチップ650とワイヤ670によって電気的に接続されている。
また、図16(D)は、イメージセンサチップをレンズ一体型のパッケージに収めたカメラモジュールの上面側の外観斜視図である。当該カメラモジュールは、イメージセンサチップ651(図16(F)参照)を固定するパッケージ基板611、レンズカバー621、およびレンズ635等を有する。また、パッケージ基板611およびイメージセンサチップ651の間には撮像装置の駆動回路および信号変換回路などの機能を有するICチップ690(図16(F)参照)も設けられており、SiP(System in package)としての構成を有している。
図16(E)は、当該カメラモジュールの下面側の外観斜視図である。パッケージ基板611の下面および側面には、実装用のランド641が設けられたQFN(Quad flat no−lead package)の構成を有する。なお、当該構成は一例であり、QFP(Quad flat package)や前述したBGAが設けられていてもよい。
図16(F)は、レンズカバー621およびレンズ635の一部を省いて図示したモジュールの斜視図である。ランド641は電極パッド661と電気的に接続され、電極パッド661はイメージセンサチップ651またはICチップ690とワイヤ671によって電気的に接続されている。
イメージセンサチップを上述したような形態のパッケージに収めることでプリント基板等への実装が容易になり、イメージセンサチップを様々な半導体装置、電子機器に組み込むことができる。
本実施の形態は、他の実施の形態または実施例の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本発明の一態様に係る撮像装置を用いることができる電子機器として、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像記憶装置または画像再生装置、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図17(A)乃至図17(F)に示す。
図17(A)携帯電話機の一例であり、筐体981、表示部982、操作ボタン983、外部接続ポート984、スピーカ985、マイク986、カメラ987等を有する。当該携帯電話機は、表示部982にタッチセンサを備える。電話を掛ける、或いは文字を入力するなどのあらゆる操作は、指やスタイラスなどで表示部982に触れることで行うことができる。当該携帯電話機における画像取得のための要素に本発明の一態様の撮像装置およびその動作方法を適用することができる。
図17(B)は携帯データ端末であり、筐体911、表示部912、スピーカ913、カメラ919等を有する。表示部912が有するタッチパネル機能により情報の入出力を行うことができる。また、カメラ919で取得した画像から文字等を認識し、スピーカ913で当該文字を音声出力することができる。当該携帯データ端末における画像取得のための要素に本発明の一態様の撮像装置およびその動作方法を適用することができる。
図17(C)は監視カメラであり、支持台951、カメラユニット952、保護カバー953等を有する。カメラユニット952には回転機構などが設けられ、天井に設置することで全周囲の撮像が可能となる。当該カメラユニットにおける画像取得のための要素に本発明の一態様の撮像装置およびその動作方法を適用することができる。なお、監視カメラとは慣用的な名称であり、用途を限定するものではない。例えば監視カメラとしての機能を有する機器はカメラ、またはビデオカメラとも呼ばれる。
図17(D)はビデオカメラであり、第1筐体971、第2筐体972、表示部973、操作キー974、レンズ975、接続部976、スピーカ977、マイク978等を有する。操作キー974およびレンズ975は第1筐体971に設けられており、表示部973は第2筐体972に設けられている。当該ビデオカメラにおける画像取得のための要素に本発明の一態様の撮像装置およびその動作方法を適用することができる。
図17(E)はデジタルカメラであり、筐体961、シャッターボタン962、マイク963、発光部967、レンズ965等を有する。当該デジタルカメラにおける画像取得のための要素に本発明の一態様の撮像装置およびその動作方法を適用することができる。
図17(F)は腕時計型の情報端末であり、表示部932、筐体兼リストバンド933、カメラ939等を有する。表示部932は、情報端末の操作を行うためのタッチパネルを備える。表示部932および筐体兼リストバンド933は可撓性を有し、身体への装着性が優れている。当該情報端末における画像取得のための要素に本発明の一態様の撮像装置およびその動作方法を適用することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態または実施例の記載と適宜組み合わせることができる。
本実施例では、OSトランジスタのバックゲートに印加する電位と、当該OSトランジスタの電気的特性との関係について説明する。OSトランジスタの電気的特性として、具体的には、OSトランジスタのドレイン電流(Id)−ゲート電圧(Vg)特性、および、OSトランジスタのドレイン電流のノイズを評価した。なお、Id−Vg特性の測定には、キーサイトテクノロジー製半導体デバイスアナライザーを用いた。
なお、OSトランジスタのドレイン電流のノイズは、1/fノイズ測定システムを用いて得られた、ドレイン電流のノイズパワーのスペクトル密度SIdをドレイン電流Idで規格化した値(SId/Id2)により評価することができる。
本実施例では、トランジスタのドレイン電流のノイズの測定に、キーサイトテクノロジー社製の1/fノイズ測定システムを用いた。半導体デバイスアナライザーには、キーサイトテクノロジー B1500Aを用い、シグナル・ソース・アナライザには、キーサイトテクノロジー E5052Bを用いた。プローバには、Cascade Microtech社製SUMMIT 11000B−M(温度調節機能(213Kから473Kまで)付き)を用いた。測定は、暗環境下で実施した。上記測定の範囲は、測定機の電圧および電流の仕様の範囲(200V/1A、または100V/100mA)、ならびに周波数の測定の範囲(1Hz乃至100kHz)以内とした。
次に、半導体パラメータアナライザー、および1/fノイズ測定システムを用いて評価した試料について説明する。
上記試料として、OSトランジスタを有する試料を作製した。当該試料が有するOSトランジスタの断面図を、図18に示す。当該OSトランジスタは、先の実施の形態で説明したトランジスタ105に適用することができる。
図18に示すトランジスタ111Aは、図11(A)に示したトランジスタ111の変形例である。なお、トランジスタ111Aにおいて、トランジスタ111を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。なお、本項目においても、トランジスタ111Aの構成材料については、先の実施の形態で詳細に説明した材料を用いることができる。
トランジスタ111Aは、トランジスタ111とは、酸化物半導体層707を有さないことが異なる。また、導電体705上に絶縁体713を有し、導電体706上に絶縁体714を有することが異なる。また、導電体705下に酸化物層711を有し、導電体706下に酸化物層712を有することが異なる。また、導電体535上の絶縁体は、絶縁体708と、絶縁体709との積層構造を有する。
トランジスタ111Aにおいて、半導体層710は、チャネルが形成される領域を有する酸化物半導体層である。また、絶縁体708、および絶縁体709は、ゲート絶縁膜として機能する。また、絶縁体713、および絶縁体714は、酸素の透過を抑制するバリア層として機能することが好ましい。また、酸化物層711、および酸化物層712は、酸素の透過を抑制する機能を有することが好ましい。
本実施例では、導電体535として、窒化チタンと、タングステンと、窒化チタンとの積層構造を用いた。また、絶縁体708として、酸化ハフニウムを用い、絶縁体709として、酸化シリコンを用いた。
また、半導体層710として、2層の積層構造を用いた。半導体層710の絶縁体709側の層として、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]の酸化物ターゲットを用いて、5nmの膜厚で形成された金属酸化物を用いた。半導体層710の酸化物層711側および酸化物層712側の層として、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]の酸化物ターゲットを用いて、15nmの膜厚で形成された金属酸化物を用いた。
また、酸化物層711、および酸化物層712として、スパッタリング法によって形成されたIn−Ga−Zn酸化物を用いた。また、導電体705、および導電体706として、スパッタリング法によって形成された窒化タンタルを用いた。また、絶縁体713、および絶縁体714として、窒化シリコンと、酸化シリコンとの積層構造を用いた。
また、絶縁体702として、CVD法によって形成された酸化窒化シリコンを用いた。また、導電体701として、窒化チタンと、タングステンとの積層構造を用いた。
試料が有するOSトランジスタの、チャネル長Lの設計値およびチャネル幅Wの設計値は、L/W=360nm/360nmである。
以上が、本実施例で作製した試料の説明である。
作製した試料が有するOSトランジスタについて、Id−Vg特性を測定した。Id−Vg特性の測定は、ドレイン電位Vdを0.3Vとし、ソース電位Vsを0Vとし、ボトムゲート電位Vbgを可変(−2Vから3Vまでの1V刻み)とし、トップゲート電位Vgを−4.0Vから4.0Vまで0.04Vステップで掃引させた。
図19に試料が有するOSトランジスタのId−Vg特性の測定結果を示す。図19において、横軸はトップゲート電位Vg[V]である。また、縦軸は、ドレイン電流Id[A]である。
図19に示すように、Vbgが−2Vから3Vの範囲では、ゲートに−3Vの電位を印加したときのドレイン電流の値に対する、ゲートに+3Vの電位を印加したときのドレイン電流の値の比(オン/オフ比)は106以上であった。
ここで、VbgにX[V]の電位を印加した場合の、しきい値電圧をVthVbg=Xと表記する。図19に示すように、Vbgが−2Vから3Vの範囲において、VthVbg=Xは、1.69V乃至−1.62Vの範囲の値であった。このとき、ゲートに(VthVbg=X−2)[V]の電位を印加したときのドレイン電流の値に対する、ゲートに(VthVbg=X+2)[V]の電位を印加したときのドレイン電流の値の比(オン/オフ比)は、106以上であった。また、ゲートに(VthVbg=X−1)[V]の電位を印加したときのドレイン電流の値に対する、ゲートに(VthVbg=X+1)[V]の電位を印加したときのドレイン電流の値の比(オン/オフ比)は、106以上であった。
したがって、本実施例の試料のOSトランジスタでは、Vbgが−2Vから3Vの範囲において、オン/オフ比が確保でき、正常なスイッチング特性が得られることが確認された。
次に、1/fノイズ測定システムを用いて、試料が有するOSトランジスタのドレイン電流のノイズを評価した結果について説明する。
図20(A)、および図20(B)に、試料が有するOSトランジスタにおいて、1/fノイズ測定システムを用いて得られた結果を示す。なお、1/fノイズ測定システムを使用する際、Vbgは、−2V、−1V、0V、1V、2V、または3Vとした。
図20(A)において、横軸は、ノイズの周波数f(Frequency)[Hz]であり、当該ノイズの周波数fの範囲は、10Hz以上1000Hz以下である。また、縦軸は、ドレイン電流のノイズパワーのスペクトル密度をドレイン電流で規格化した値SId/Id2[/Hz]である。
図20(B)において、横軸は、バックゲートに印加した電圧Vbg[V]である。縦軸は、ノイズの周波数fが100Hzにおける、ドレイン電流のノイズパワーのスペクトル密度をドレイン電流で規格化した値SId/Id2[/Hz]である。
図20(A)から、10Hz乃至1000Hzの範囲の周波数において、ノイズの周波数依存性がほぼ1/fに比例していることが分かる。
図20(A)、および図20(B)から、Vbgが0Vおよびその近傍において、Vbgが大きいほど、ドレイン電流のノイズパワーのスペクトル密度をドレイン電流で規格化した値(SId/Id2)が小さくなる傾向が見られた。また、Vbgに0V以上の電位を印加した場合の、ドレイン電流のノイズパワーのスペクトル密度をドレイン電流で規格化した値(SId/Id2)は、Vbgに負の電位を印加した場合よりも小さいことが示唆された。
本実施例で説明したOSトランジスタは、バックゲートに印加する電位を制御することで、1/fノイズを小さくすることができる。
本実施例は、他の実施の形態および実施例などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。