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JP2021034509A - 紫外線発光素子 - Google Patents

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JP2021034509A
JP2021034509A JP2019151947A JP2019151947A JP2021034509A JP 2021034509 A JP2021034509 A JP 2021034509A JP 2019151947 A JP2019151947 A JP 2019151947A JP 2019151947 A JP2019151947 A JP 2019151947A JP 2021034509 A JP2021034509 A JP 2021034509A
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陽 吉川
Akira Yoshikawa
陽 吉川
亮介 長谷川
Ryosuke Hasegawa
亮介 長谷川
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Abstract

【課題】発光強度の低下を抑制しながら、発光スペクトルの波長ずれに対するロバスト性を高める。【解決手段】紫外線発光素子1は、Alを含む窒化物半導体からなる基板2と、基板上に形成され、導電性を有し、AlおよびGaを含む第1導電型窒化物半導体層3と、第1導電型窒化物半導体層上に形成され、Al、GaおよびNを含む量子井戸層を複数積層した多重量子井戸構造を有する発光層4と、発光層上に形成され、AlおよびNを含む電子バリア層5と、電子バリア層上に形成され、第1導電型窒化物半導体層と異なる導電性を有する第2導電型窒化物半導体層7と、を備え、量子井戸層の厚さは、2.5nm以上かつ8.0nm以下であり、発光スペクトルの半値幅は、10nm以上かつ17nm以下である。【選択図】図1

Description

本開示は、紫外線発光素子に関する。
紫外線発光素子は、発光層のバンドギャップエネルギーを制御することにより発光波長を制御することができるとともに、寿命が長く信頼性が高い。そのため、照明、計測器用光源、殺菌用光源など様々な用途に利用されている。一般的な紫外線発光素子は、基板上に、発光層をp型窒化物半導体とn型窒化物半導体で挟んだPIN構造を有する。
特に殺菌用光源である場合に、発光素子の発光出力(発光強度)が高いと殺菌効果を強めることができ、より短時間で対象物の殺菌が可能になる。そのため、発光出力を高めるために、発光素子の発光効率を向上させる技術が求められていた。例えば、特許文献1には、活性層(発光層)とp型窒化物半導体層との間に量子障壁層を形成し、各層のバンドギャップエネルギーを調整する事で、発光効率を向上させる技術が開示されている。
特開2010−114403号公報
ここで、発光層が有する量子井戸層を薄くしてキャリアを閉じ込めることによって、発光素子の発光出力を高めることが可能である。しかし、量子井戸層を薄くすることによって、一般に、発光素子の発光スペクトルの半値幅は狭くなる。
例えば発光素子が殺菌用光源である場合に、殺菌に効果的な波長(例えば265nm)を照射することが好ましい。殺菌用の光源である発光素子は、このような波長が発光スペクトルの中心であるように設計される。しかし、例えば製造誤差等によって中心波長がずれた場合に、半値幅が狭いと、殺菌に効果的な波長が含まれないおそれがある。つまり、発光スペクトルの半値幅が狭いと波長ずれに対するロバスト性が低下し、例えば殺菌効果の高い波長が含まれなくなって殺菌効率が低下する状態を生じやすくなる。
本開示の目的は、発光強度の低下を抑制しながら、発光スペクトルの波長ずれに対するロバスト性を高めることができる紫外線発光素子を提供することにある。
本開示に係る紫外線発光素子は、Alを含む窒化物半導体からなる基板と、前記基板上に形成され、導電性を有し、AlおよびGaを含む第1導電型窒化物半導体層と、前記第1導電型窒化物半導体層上に形成され、Al、GaおよびNを含む量子井戸層を複数積層した多重量子井戸構造を有する発光層と、前記発光層上に形成され、AlおよびNを含む電子バリア層と、前記電子バリア層上に形成され、前記第1導電型窒化物半導体層と異なる導電性を有する第2導電型窒化物半導体層と、を備え、前記量子井戸層の厚さは、2.5nm以上かつ8.0nm以下であり、発光スペクトルの半値幅は、10nm以上かつ17nm以下である。
本開示によれば、発光強度の低下を抑制しながら、発光スペクトルの波長ずれに対するロバスト性を高めることができる紫外線発光素子を提供することが可能となる。
一実施形態に係る紫外線発光素子の構成を示す断面図である。 発光層の周期構成を示す断面図である。 発光スペクトルの波長ずれに対するロバスト性を説明するための図である。 比較例における発光スペクトルの波長ずれを示す図である。
<紫外線発光素子の構成>
図1に示すように、本実施形態の紫外線発光素子1は、基板2と、基板2上に形成される窒化物半導体積層体11と、を備える。窒化物半導体積層体11は、第1導電型窒化物半導体層3と、発光層4と、電子バリア層5と、組成傾斜層6と、第2導電型窒化物半導体層7と、を有する。つまり、紫外線発光素子1は、基板2と、第1導電型窒化物半導体層3と、発光層4と、電子バリア層5と、組成傾斜層6と、第2導電型窒化物半導体層7と、を備える。紫外線発光素子1はさらに電極を備え得る。
(基板)
基板2はAlを含む窒化物半導体からなる。Alを含む窒化物半導体は例えばAlNである。ここで、「基板2は…窒化物半導体を含む」という表現における「含む」という文言は、窒化物半導体を主に層内に含むことを意味するが、その他の元素を含む場合もこの表現に含まれる。具体的には、その他の元素を少量(例えばAl、Nが主元素である場合にGa、In、As、P、またはSb等の元素を数%以下)加える等してこの層の組成に軽微な変更を加える場合についてもこの表現に含まれる。その他の層の組成の表現においても、「含む」という文言は、同様の意味を有する。また、含まれる少量元素については上記の具体例に限らない。
例えばAlN等の窒化物半導体単結晶基板を用いると、基板2の上側に形成する窒化物半導体層との格子定数差が小さくなり、窒化物半導体層を格子整合系で成長させることで転位、特に1つ以上の層を貫通する貫通転位を少なくできる。
また、基板2は、ドナー不純物またはアクセプタ不純物によって、n型またはp型にドーピングされてよい。
基板2の作製方法としては、昇華法もしくはHVPE法等の気相成長法および液相成長法等の一般的な基板成長法が適用できる。また、基板2の厚さは一例として100μm以上かつ600μm以下であってよい。また、面方位はc面(0001)、a面{11−20}、m面{10−10}、r面{01−12}などが挙げられるが、より好ましくはc面基板である。
(第1導電型窒化物半導体層)
第1導電型窒化物半導体層3は、導電性を有し、AlおよびGaを含む窒化物半導体の層である。第1導電型窒化物半導体層3は基板2上に形成される。ここで、例えば「第1導電型窒化物半導体層3は基板2上に形成される」という表現における「上に」という文言は、基板2の上に第1導電型窒化物半導体層3が形成されることを意味するが、基板2と第1導電型窒化物半導体層3との間に別の層がさらに存在する場合もこの表現に含まれる。その他の層同士の関係においても、「上の」という文言は、同様の意味を有する。例えば、電子バリア層5の直上に別の層(例えば組成傾斜層6)を設けて、別の層の直上に第2導電型窒化物半導体層7が形成される場合も、「第2導電型窒化物半導体層7は電子バリア層5上に形成される」という表現に含まれる。
第1導電型窒化物半導体層3が含む窒化物半導体は、例えばAlxGa(1-x)N(0<x<1)である。深紫外領域のバンドギャップエネルギーに対応する材料を発光層4として形成する場合に、その結晶性を高め、発光効率を向上させることが可能となる。高い発光効率を実現する観点から、第1導電型窒化物半導体層3が含む窒化物半導体は、AlNおよびGaNの混晶であることが好ましい。第1導電型窒化物半導体層3の窒化物半導体には、Nの他に、P、As、Sb等のN以外のV族元素、C、H、F、O、Mg、Si等の不純物が混入していてよいが、不純物元素の種類としてはこの限りではない。
また、第1導電型窒化物半導体層3と第2導電型窒化物半導体層7とは、互いに異なる導電性を有する窒化物半導体の層である。一般に、n型半導体の方がp型半導体より結晶性に優れており、発光層4への影響が低い。そのため、第1導電型窒化物半導体層3がn型で、第2導電型窒化物半導体層7がp型である事が好ましい。
また、第1導電型窒化物半導体層3は、格子緩和の観点から所定範囲の厚さを有することが好ましい。第1導電型窒化物半導体層3の厚さが薄い場合には格子緩和はしないが、抵抗が上昇するため、閾値抵抗の悪化につながる。また第1導電型窒化物半導体層3の厚さが厚い場合には格子緩和し、貫通転位が生じることにより発光強度の低下を招く。所定範囲は、例えば500nm以上かつ1000nm以下である。また、第1導電型窒化物半導体層3がAlxGa(1-x)N(0<x<1)を含む場合に、格子緩和の観点から所定範囲のAl組成比を有することが好ましい。所定範囲のAl組成比は0.6以上かつ0.8以下である。
(発光層)
発光層4は、AlおよびGaを含む窒化物半導体の層である。発光層4は、第1導電型窒化物半導体層3上に形成される。発光層4が含む窒化物半導体は、高い発光効率を実現する観点から例えばAlN、GaNの混晶を含むことが好ましい。発光層4には、Nの他に、P、As、Sb等のN以外のV族元素、C、H、F、O、Mg、Si等の不純物が混入していてよいが、不純物元素の種類としてはこの限りではない。発光層4は、高い発光効率を実現するために、少なくとも1つの井戸構造を有する。
また、発光素子20の発光波長を深紫外領域の波長(280nm以下)としたい場合には、発光層4が含む窒化物半導体はAl、GaおよびNを含むことが好ましい。また、発光効率を高める観点から、発光層4は、図2に示すように、量子井戸層41と、量子障壁層42と、を周期的に多層化した多重量子井戸構造(MQW)を有することが好ましい。つまり、量子井戸層41は、間に量子障壁層42を挟んで、複数積層されることが好ましい。以下において、量子井戸層41と、量子障壁層42と、をi周期積層させるとは、i層の量子井戸層41を、間に量子障壁層42を挟んで積層することをいう。ただし、iは2以上の整数である。量子井戸層41は、例えばAl、GaおよびNを含む。また、量子障壁層42は、AlおよびNを含む。量子障壁層42は、量子井戸層41と同じ元素を含む窒化物半導体の層であってよい。一例として、量子井戸層41がAlxGa(1-x)N(0<x<1)を含む場合に、量子障壁層42はAlyGa(1-y)N(0<y<1)を含んでよい。ここで、Al組成比xは、Al組成比yと異なる。また、別の例として、量子障壁層42はAlNを含み得る。
ここで、図2に示されるように、量子井戸層41は厚さtwを有する。また、量子障壁層42は厚さtbを有する。また、最も上の、すなわち最も基板2から離れた位置に積層された量子井戸層41の直上に、電子バリア層5が積層され得る。例えば量子障壁層42の厚さtbは、電子バリア層5の厚さの1/3倍から1/2倍に設定されてよい。一例として、電子バリア層5の厚さが18.0nmである場合に、量子障壁層42の厚さtbは6.0nmであってよい。
(電子バリア層)
電子バリア層5は、AlおよびNを含む窒化物半導体の層である。電子バリア層5は、発光層4上に形成される。一例として、電子バリア層5は量子障壁層42と同じ組成であり得る。また、別の例として、量子障壁層42がAlyGa(1-y)N(0<y<1)を含む場合に、電子バリア層5は、AlqGa(1-q)N(0<q<1)を含んでよい。ここで、Al組成比qは、Al組成比yと異なる。また、さらに別の例として、電子バリア層5は、AlNを含み得る。
(組成傾斜層)
組成傾斜層6は、AlzGa(1-z)N(0<z<1)を含む窒化物半導体の層である。組成傾斜層6は、電子バリア層5と第2導電型窒化物半導体層7との間に形成される。組成傾斜層6は、電子バリア層5から第2導電型窒化物半導体層7に近づくにつれて、Al組成比zが小さくなる。つまり、組成傾斜層6は、積層方向に対して、Al組成比zが傾斜を有するように構成される。組成傾斜層6によって、アクセプタがドープされていなくても、組成傾斜によって生じる内部電解とピエゾ電解により正孔が生じ、キャリア注入の効率を高め、発光強度を向上させるという効果が生じる。
(第2導電型窒化物半導体層)
第2導電型窒化物半導体層7は、第1導電型窒化物半導体層3と異なる導電性を有する窒化物半導体の層である。第2導電型窒化物半導体層7は、電子バリア層5上に形成される。図1の例では、第2導電型窒化物半導体層7は、組成傾斜層6を介して、電子バリア層5上に形成されている。第2導電型窒化物半導体層7が含む窒化物半導体は例えばGaN、AlNまたはInNおよび、それらを含む混晶などである。第2導電型窒化物半導体層7の窒化物半導体には、Nの他に、P、As、Sb等のN以外のV族元素、C、H、F、O、Mg、Si、Be等の不純物が混入していてよい。ただし、上記のように、第1導電型窒化物半導体層3の導電性がn型で、第2導電型窒化物半導体層7の導電性がp型である事が好ましい。
(電極)
紫外線発光素子1は、さらに電極を備えてよい。電極は、n型電極およびp型電極の少なくとも1つであり得る。
n型電極は、Al、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zr等の金属、これらの混晶、または、ITOもしくはGa23等の導電性酸化物等を用いることができる。また、n型電極は、第1導電型窒化物半導体層3および第2導電型窒化物半導体層7のうち、導電性がn型である層とコンタクトするように形成される事が好ましい。
p型電極は、Ni、Au、Pt、Ag、Rh、Pd、Pt、Cu、Al、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Co、Ir、Zr等の金属、これらの混晶、または、ITOもしくはGa23等の導電性酸化物等を用いることができる。また、p型電極は、第1導電型窒化物半導体層3および第2導電型窒化物半導体層7のうち、導電性がp型である層とコンタクトするように形成される事が好ましい。
電極の形成方法として、抵抗加熱蒸着、電子銃蒸着またはスパッタ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。電極は単層であり得る。また、電極は積層であり得る。また、電極は、層の形成後に酸素、窒素または空気雰囲気等で熱処理が行われてもよい。
(紫外線発光素子)
紫外線発光素子1は、例えば、医療・ライフサイエンス分野、環境分野、産業・工業分野、生活・家電分野、農業分野、その他分野の装置に適用可能である。紫外線発光素子1は、薬品または化学物質の合成・分解装置、液体・気体・固体(容器、食品、医療機器等)殺菌装置、半導体等の洗浄装置、フィルム・ガラス・金属等の表面改質装置、半導体・FPD・PCB・その他電子品製造用の露光装置、印刷・コーティング装置、接着・シール装置、フィルム・パターン・モックアップ等の転写・成形装置、紙幣・傷・血液・化学物質等の測定・検査装置に適用可能である。
液体殺菌装置の例としては、冷蔵庫内の自動製氷装置・製氷皿および貯氷容器・製氷機用の給水タンク、冷凍庫、製氷機、加湿器、除湿器、ウォーターサーバの冷水タンク・温水タンク・流路配管、据置型浄水器、携帯型浄水器、給水器、給湯器、排水処理装置、ディスポーザ、便器の排水トラップ、洗濯機、透析用水殺菌モジュール、腹膜透析のコネクタ殺菌器、災害用貯水システム等が挙げられるが、この限りではない。
気体殺菌装置の例としては、空気清浄器、エアコン、天井扇、床面用または寝具用の掃除機、布団乾燥機、靴乾燥機、洗濯機、衣類乾燥機、室内殺菌灯、保管庫の換気システム、靴箱、タンス等が挙げられるが、この限りではない。
固体殺菌装置(表面殺菌装置を含む)の例としては、真空パック器、ベルトコンベヤ、医科用・歯科用・床屋用・美容院用のハンドツール殺菌装置、歯ブラシ、歯ブラシ入れ、箸箱、化粧ポーチ、排水溝のふた、便器の局部洗浄器、便器フタ等が挙げられるが、この限りではない。
<製造方法>
紫外線発光素子1は、基板2上に各層を形成する工程を経て製造される。この工程は、例えば、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、ハイドライド気相成長法(HVPE:Hydride Vapor Phase Epitaxy)または有機金属気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法等で行うことができる。
ここで、基板2上に形成された各層のうち窒化物半導体の層は、例えばトリメチルアルミニウム(TMAl)を含むAl原料、例えばトリメチルガリウム(TMGa)またはトリエチルガリウム(TEGa)等を含むGa原料、例えばアンモニア(NH3)を含むN原料を用いて形成することができる。
紫外線発光素子1は、基板2上に形成された各層に対して、不要部分をエッチングによって除去する工程を経て製造される。この工程は、例えば誘導結合型プラズマ(ICP)エッチング等で行うことができる。
また、紫外線発光素子1は、電極を形成する工程を経て製造され得る。この工程は、例えば電子線蒸着(EB)法によって金属を蒸着させる等の種々の方法で行うことができる。
ここで、紫外線発光素子1は、上記の工程を経て各層が形成された基板2をダイシングにより個片へと分割して製造される。紫外線発光素子1のように、製造過程に確率要素を含み得る製品については、一般に、中間物の評価(評価工程)が製造工程に含まれる。すなわち、評価工程における中間物の評価結果に基づいて最終製品の特性を予測し、中間物の選別、工程の選択または追加等が実施され得る。
紫外線発光素子1の製造における中間物は、例えば電極を形成する前の基板2および窒化物半導体積層体11である。また、製造工程に含まれる評価工程の例としては、基板2と窒化物半導体積層体11の界面における転位密度の測定がある。転位密度は、例えば断面TEM(Transmission Electron Microscope、透過型電子顕微鏡)を用いて観察できる。また、製造工程に含まれる評価工程の別の例としては、基板2および窒化物半導体積層体11の緩和率の測定がある。緩和率は、例えばXRD(X‐ray diffraction、X線回折)を用いて(20−24)面における逆格子マッピングを行うことによって測定できる。より詳細にはパナリティカル社製のX‘pert/MRDを用いて、管球を45kV/40mAの状態で、二結晶Ge(220)を用いて平行化した線源を使用し、入射ソーラースリットを0.04°、検出器スリットを1/16mmにし、基板2の(20−24)面ピークに対して軸立を行う。その後に、2θ/ωスキャンを34°〜37°までの範囲において、測定間隔0.02°、積算時間を0.3秒として測定を行い、ωを±1.5°の範囲で0.05°間隔で変更しながら、2θ/ωスキャンを繰り返す。上記の測定からQxおよびQyを算出し、基板2に対する緩和率を算出する。
さらに、製造工程に含まれる評価工程のさらに別の例としては、基板2および窒化物半導体積層体11のそれぞれの厚さ(膜厚)の測定がある。各層の厚さは、基板2に垂直な所定断面を切り出して、この断面を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、TEMの測長機能を使用することで測定可能である。
この測定方法として、先ず、TEMを用いて、紫外線発光素子の基板2の主面に垂直な断面を観察する。具体的には、例えば、紫外線発光素子1の基板2の主面に垂直な断面を示すTEM画像内の2μm以上を観察幅とする。そして、この観察幅の範囲で、組成の異なる層にはコントラストが生じる。その界面までの厚さを、幅200nmの連続する観察領域で観察する。この幅200nm幅の観察領域内に含まれる電子障壁層の厚さの平均値を任意に抽出した5サンプルから算出する。
また、発光スペクトルと発光強度については積分球と分光器によって算出される。個片化された紫外光発光素子はプローバーによって電流電圧源に接続される。最大の発光強度が得られる波長をピーク波長とし、そのときの発光強度をピーク発光強度とする。半値幅については、ピーク発光強度の1/2となる強度における波長間隔を波長半値幅とする。ピークが複数存在する場合は、Gaussianフィッティングにより定められる波形を用いて上記と同様にピーク波長と発光強度、半値幅を算出する。
<好ましい形態>
上記の紫外線発光素子1の製造の工程を踏まえて検討したところ、発明者は、基板2と第1導電型窒化物半導体層とに関する値が所定の関係を満足することによって発光強度の低下を抑制しながら、発光スペクトルの波長ずれに対するロバスト性を高めることができることを見出すに至った。
上記の階層構造を有する紫外線発光素子1は、紫外線発光素子1は、量子井戸層41の厚さtwが2.5nm以上かつ8.0nm以下であることが好ましい。一般に、例えばサファイア基板を用いる発光素子では、量子井戸層41の厚さtwが2.5nm未満の薄い多重量子井戸にキャリアを閉じ込めることが発光強度を高めることにつながる。しかし、Alを含む窒化物半導体からなる基板を用いる発光素子では、量子井戸層41の厚さtwが2.5nm以上かつ8.0nm以下の厚さであっても、発光強度が低下しない。また、発光スペクトルの半値幅は、多重量子井戸の厚さが増えると広くなる。したがって、Alを含む窒化物半導体からなる基板2を用いる紫外線発光素子1は、発光強度を低下させずに、発光スペクトルの半値幅を広げることが可能である。
また、紫外線発光素子1は、上記のように多重量子井戸の厚さで調整される発光スペクトルの半値幅を、10nm以上かつ17nm以下とすることが好ましい。このとき、発光スペクトルの波長ずれに対するロバスト性が向上する。上記半値幅の範囲にあれば、この波長ずれは通常5nm程度であるところ、例えば、中心波長が5nmずれたとしても、ターゲットとする元の中心波長の光を、ずれなかった場合の66%以上照射することが可能である。
また、紫外線発光素子1は、基板2と第1導電型窒化物半導体層3との界面における転位密度が1×106cm-3以下であることが、さらに好ましい。上記のように、転位は、基板2において単結晶AlN基板を用いると抑制される。転位密度を1×106cm-3以下とすることによって、第1導電型窒化物半導体層3の電気伝導性を高めるとともに、発光層4の発光強度を高めることが可能となる。
上記の実施形態の紫外線発光素子1と同じ層構成を有する、実施例1−8および比較例1−5の紫外線発光素子を作製した。つまり、実施例1−8および比較例1−5の紫外線発光素子は、基板2、第1導電型窒化物半導体層3、発光層4、電子バリア層5、組成傾斜層6および第2導電型窒化物半導体層7を備える。また、実施例1−8および比較例1−5の紫外線発光素子は、n型電極およびp型電極を備える。
[実施例1]
厚さが550μmのc面AlN基板に対して、有機金属気相成長(MOCVD)装置を用いて、アニール処理が行われた。次に、ホモエピタキシャル層であるAlN層が、1150℃において、500nmの厚さで形成された。このとき、V/III比は1000であった。また、真空度は50mbarであった。また、成長レートは1μm/hrであった。また、Al原料としてトリメチルアルミニウム(TMAl)が用いられた。また、N原料としてアンモニア(NH3)が用いられた。
上記のように形成されたAlN層上に第1導電型窒化物半導体層が形成された。第1導電型窒化物半導体層は、Siをドーパント不純物として用いたn型AlGaN層(Al:70%)、すなわちAl0.70Ga0.30Nである。n型AlGaN層は、1080℃の温度で、真空度を50mbarに設定し、V/III比を4000とした条件で500nmの厚さで成膜された。このときの成長レートは0.3μm/hrであった。また、Al原料としてトリメチルアルミニウム(TMAl)が用いられた。また、Ga原料としてトリエチルガリウム(TEGa)が用いられた。また、N原料としてアンモニア(NH3)が用いられた。また、Si原料としてモノシラン(SiH4)が用いられた。
上記のように形成されたn型AlGaN層上に発光層が形成された。発光層は、量子井戸層と、量子障壁層と、を5周期積層させた。ここで、1つの量子井戸層は、厚さが3.0nmで、AlGaN(Al:55%)、すなわちAl0.55Ga0.45Nを含む。1つの量子障壁層は、厚さが6.0nmで、AlGaN(Al:75%)、すなわちAl0.75Ga0.25Nを含む。発光層は、真空度を50mbarに設定し、V/III比を4000とした条件で製膜された。このときの量子井戸層の成長レートは0.12μm/hrであった。また、量子障壁層の成長レートは0.1μm/hrであった。
上記のように形成された発光層上に組成傾斜層が成膜された。組成傾斜層は、AlzGa(1-z)Nで、zの範囲を0.2から0.75とする。組成傾斜層は、基板側すなわち電子バリア層と接する部分でzが最大値0.75をとり、第2導電型窒化物半導体層に向かってzの値が小さくなり、第2導電型窒化物半導体層と接する部分でzが最小値0.2をとる。また、組成傾斜層上に第2導電型窒化物半導体層が成膜された。第2導電型窒化物半導体層は、p型GaN層である。このように、AlN基板上に、窒化物半導体積層体が形成された。
上記のように形成された窒化物半導体積層体を、断面TEMを用いて観察したところ、AlN層(基板)とn型AlGaN層(第1導電型窒化物半導体層)との界面の転位密度は1×106cm-3未満であった。
また、得られた窒化物半導体積層体をドライエッチングすることによって、n型AlGaN層の一部が露出した。露出したn型AlGaN層上に、Ti、Al、NiおよびAuを含む合金電極(n型電極に相当)が形成された。また、p型GaN層(第2導電型窒化物半導体層)上に、NiおよびAuを含む合金電極(p型電極に相当)が形成された。AlN基板を、厚さが100μmになるように研削した後に、ダイシングにより紫外線発光素子の個片へと分割した。得られた紫外線発光素子を、積分球及び分光器を用いた測定系において、電流500mAで駆動させたところ、駆動電圧は6.5V、ピーク波長265nmにおける発光強度が40mWであった。また、発光スペクトル半値幅は10.5nmであった。
[実施例2]
発光層の形成において、量子井戸層と、量子障壁層と、を5周期積層させた。ここで、1つの量子井戸層は、厚さが4.0nmで、AlGaN(Al:55%)、すなわちAl0.55Ga0.45Nを含む。1つの量子障壁層は、厚さが6.0nmで、AlGaN(Al:75%)、すなわちAl0.75Ga0.25Nを含む。それ以外については実施例1と同じ条件を用いて、実施例1と同じ方法によって紫外線発光素子が得られた。
上記のように形成された窒化物半導体積層体を、断面TEMを用いて観察したところ、AlN層(基板)とn型AlGaN層(第1導電型窒化物半導体層)との界面の転位密度は1×106cm-3未満であった。
また、得られた紫外線発光素子を、電流500mAで駆動させたところ、駆動電圧は6.5V、ピーク波長265nmにおける発光強度が55mWであった。また、発光スペクトル半値幅は12nmであった。
[実施例3]
発光層の形成において、量子井戸層と、量子障壁層と、を5周期積層させた。ここで、1つの量子井戸層は、厚さが4.5nmで、AlGaN(Al:55%)、すなわちAl0.55Ga0.45Nを含む。1つの量子障壁層は、厚さが6.0nmで、AlGaN(Al:75%)、すなわちAl0.75Ga0.25Nを含む。それ以外については実施例1と同じ条件を用いて、実施例1と同じ方法によって紫外線発光素子が得られた。
上記のように形成された窒化物半導体積層体を、断面TEMを用いて観察したところ、AlN層(基板)とn型AlGaN層(第1導電型窒化物半導体層)との界面の転位密度は1×106cm-3未満であった。
また、得られた紫外線発光素子を、電流500mAで駆動させたところ、駆動電圧は6.5V、ピーク波長265nmにおける発光強度が60mWであった。また、発光スペクトル半値幅は13nmであった。
[実施例4]
発光層の形成において、量子井戸層と、量子障壁層と、を5周期積層させた。ここで、1つの量子井戸層は、厚さが5.0nmで、AlGaN(Al:55%)、すなわちAl0.55Ga0.45Nを含む。1つの量子障壁層は、厚さが6.0nmで、AlGaN(Al:75%)、すなわちAl0.75Ga0.25Nを含む。それ以外については実施例1と同じ条件を用いて、実施例1と同じ方法によって紫外線発光素子が得られた。
上記のように形成された窒化物半導体積層体を、断面TEMを用いて観察したところ、AlN層(基板)とn型AlGaN層(第1導電型窒化物半導体層)との界面の転位密度は1×106cm-3未満であった。
また、得られた紫外線発光素子を、電流500mAで駆動させたところ、駆動電圧は6.5V、ピーク波長265nmにおける発光強度が65mWであった。また、発光スペクトル半値幅は13.5nmであった。
[実施例5]
発光層の形成において、量子井戸層と、量子障壁層と、を5周期積層させた。ここで、1つの量子井戸層は、厚さが6.0nmで、AlGaN(Al:55%)、すなわちAl0.55Ga0.45Nを含む。1つの量子障壁層は、厚さが6.0nmで、AlGaN(Al:75%)、すなわちAl0.75Ga0.25Nを含む。それ以外については実施例1と同じ条件を用いて、実施例1と同じ方法によって紫外線発光素子が得られた。
上記のように形成された窒化物半導体積層体を、断面TEMを用いて観察したところ、AlN層(基板)とn型AlGaN層(第1導電型窒化物半導体層)との界面の転位密度は1×106cm-3未満であった。
また、得られた紫外線発光素子を、電流500mAで駆動させたところ、駆動電圧は6.5V、ピーク波長265nmにおける発光強度が60mWであった。また、発光スペクトル半値幅は14nmであった。
[実施例6]
発光層の形成において、量子井戸層と、量子障壁層と、を5周期積層させた。ここで、1つの量子井戸層は、厚さが7.0nmで、AlGaN(Al:55%)、すなわちAl0.55Ga0.45Nを含む。1つの量子障壁層は、厚さが6.0nmで、AlGaN(Al:75%)、すなわちAl0.75Ga0.25Nを含む。それ以外については実施例1と同じ条件を用いて、実施例1と同じ方法によって紫外線発光素子が得られた。
上記のように形成された窒化物半導体積層体を、断面TEMを用いて観察したところ、AlN層(基板)とn型AlGaN層(第1導電型窒化物半導体層)との界面の転位密度は1×106cm-3未満であった。
また、得られた紫外線発光素子を、電流500mAで駆動させたところ、駆動電圧は6.5V、ピーク波長265nmにおける発光強度が45mWであった。また、発光スペクトル半値幅は15.5nmであった。
[実施例7]
発光層の形成において、量子井戸層と、量子障壁層と、を5周期積層させた。ここで、1つの量子井戸層は、厚さが2.5nmで、AlGaN(Al:55%)、すなわちAl0.55Ga0.45Nを含む。1つの量子障壁層は、厚さが6.0nmで、AlGaN(Al:75%)、すなわちAl0.75Ga0.25Nを含む。それ以外については実施例1と同じ条件を用いて、実施例1と同じ方法によって紫外線発光素子が得られた。
上記のように形成された窒化物半導体積層体を、断面TEMを用いて観察したところ、AlN層(基板)とn型AlGaN層(第1導電型窒化物半導体層)との界面の転位密度は1×106cm-3未満であった。
また、得られた紫外線発光素子を、電流500mAで駆動させたところ、駆動電圧は7.2V、ピーク波長265nmにおける発光強度が25mWであった。また、発光スペクトル半値幅は10nmであった。
[実施例8]
発光層の形成において、量子井戸層と、量子障壁層と、を5周期積層させた。ここで、1つの量子井戸層は、厚さが8.0nmで、AlGaN(Al:55%)、すなわちAl0.55Ga0.45Nを含む。1つの量子障壁層は、厚さが6.0nmで、AlGaN(Al:75%)、すなわちAl0.75Ga0.25Nを含む。それ以外については実施例1と同じ条件を用いて、実施例1と同じ方法によって紫外線発光素子が得られた。
上記のように形成された窒化物半導体積層体を、断面TEMを用いて観察したところ、AlN層(基板)とn型AlGaN層(第1導電型窒化物半導体層)との界面の転位密度は1×106cm-3未満であった。
また、得られた紫外線発光素子を、電流500mAで駆動させたところ、駆動電圧は6.5V、ピーク波長265nmにおける発光強度が27mWであった。また、発光スペクトル半値幅は17nmであった。
[比較例1]
厚さが450μmのc面サファイア基板に対して、MOCVD装置を用いて、アニール処理が行われた。次に、AlN層が、1200℃において、2000nmの厚さで形成された。このとき、V/III比は100であった。また、真空度は50mbarであった。また、成長レートは1μm/hrであった。また、Al原料としてトリメチルアルミニウム(TMAl)が用いられた。また、N原料としてアンモニア(NH3)が用いられた。
上記のように形成されたAlN/サファイア基板上に、実施例1と同様の構造が形成された。発光層の形成において、量子井戸層と、量子障壁層と、を5周期積層させた。ここで、1つの量子井戸層は、厚さが0.5nmで、AlGaN(Al:55%)、すなわちAl0.55Ga0.45Nを含む。1つの量子障壁層は、厚さが6.0nmで、AlGaN(Al:75%)、すなわちAl0.75Ga0.25Nを含む。基板と発光層以外については実施例1と同じ条件を用いて、実施例1と同じ方法によって紫外線発光素子が得られた。
上記のように形成された窒化物半導体積層体を、断面TEMを用いて観察したところ、AlN層(基板)とn型AlGaN層(第1導電型窒化物半導体層)との界面の転位密度は1×109cm-3であった。
また、得られた紫外線発光素子を、電流500mAで駆動させたところ、駆動電圧は7.2V、ピーク波長265nmにおける発光強度が3.3mWであった。また、発光スペクトル半値幅は9nmであった。
[比較例2]
発光層の形成において、量子井戸層と、量子障壁層と、を5周期積層させた。ここで、1つの量子井戸層は、厚さが1.0nmで、AlGaN(Al:55%)、すなわちAl0.55Ga0.45Nを含む。1つの量子障壁層は、厚さが6.0nmで、AlGaN(Al:75%)、すなわちAl0.75Ga0.25Nを含む。それ以外については比較例1と同じ条件を用いて、比較例1と同じ方法によって紫外線発光素子が得られた。
上記のように形成された窒化物半導体積層体を、断面TEMを用いて観察したところ、AlN層(基板)とn型AlGaN層(第1導電型窒化物半導体層)との界面の転位密度は1×109cm-3であった。
また、得られた紫外線発光素子を、電流500mAで駆動させたところ、駆動電圧は7.2V、ピーク波長265nmにおける発光強度が4mWであった。また、発光スペクトル半値幅は9nmであった。
[比較例3]
発光層の形成において、量子井戸層と、量子障壁層と、を5周期積層させた。ここで、1つの量子井戸層は、厚さが1.5nmで、AlGaN(Al:55%)、すなわちAl0.55Ga0.45Nを含む。1つの量子障壁層は、厚さが6.0nmで、AlGaN(Al:75%)、すなわちAl0.75Ga0.25Nを含む。それ以外については比較例1と同じ条件を用いて、比較例1と同じ方法によって紫外線発光素子が得られた。
上記のように形成された窒化物半導体積層体を、断面TEMを用いて観察したところ、AlN層(基板)とn型AlGaN層(第1導電型窒化物半導体層)との界面の転位密度は1×109cm-3であった。
また、得られた紫外線発光素子を、電流500mAで駆動させたところ、駆動電圧は7.2V、ピーク波長265nmにおける発光強度が5.5mWであった。また、発光スペクトル半値幅は9nmであった。
[比較例4]
発光層の形成において、量子井戸層と、量子障壁層と、を5周期積層させた。ここで、1つの量子井戸層は、厚さが2.0nmで、AlGaN(Al:55%)、すなわちAl0.55Ga0.45Nを含む。1つの量子障壁層は、厚さが6.0nmで、AlGaN(Al:75%)、すなわちAl0.75Ga0.25Nを含む。それ以外については比較例1と同じ条件を用いて、比較例1と同じ方法によって紫外線発光素子が得られた。
上記のように形成された窒化物半導体積層体を、断面TEMを用いて観察したところ、AlN層(基板)とn型AlGaN層(第1導電型窒化物半導体層)との界面の転位密度は1×109cm-3であった。
また、得られた紫外線発光素子を、電流500mAで駆動させたところ、駆動電圧は7.2V、ピーク波長265nmにおける発光強度が5mWであった。また、発光スペクトル半値幅は9.6nmであった。
[比較例5]
発光層の形成において、量子井戸層と、量子障壁層と、を5周期積層させた。ここで、1つの量子井戸層は、厚さが2.5nmで、AlGaN(Al:55%)、すなわちAl0.55Ga0.45Nを含む。1つの量子障壁層は、厚さが6.0nmで、AlGaN(Al:75%)、すなわちAl0.75Ga0.25Nを含む。それ以外については比較例1と同じ条件を用いて、比較例1と同じ方法によって紫外線発光素子が得られた。
上記のように形成された窒化物半導体積層体を、断面TEMを用いて観察したところ、AlN層(基板)とn型AlGaN層(第1導電型窒化物半導体層)との界面の転位密度は1×109cm-3であった。
また、得られた紫外線発光素子を、電流500mAで駆動させたところ、駆動電圧は7.2V、ピーク波長265nmにおける発光強度が3.5mWであった。また、発光スペクトル半値幅は10.2nmであった。
実施例1−8および比較例1−5の紫外線発光素子について、上記の製造条件および評価の結果を下記の表1にまとめて示す。
Figure 2021034509
実施例1−8の紫外線発光素子は、Alを含む窒化物半導体からなる基板(AlN基板)を備え、量子井戸層の厚さが2.5nm以上かつ8.0nm以下であり、発光スペクトルの半値幅が10nm以上かつ17nm以下である。実施例1−8の紫外線発光素子は、発光強度が25mW以上と高く、多重量子井戸構造の厚さが大きくても発光強度の低下を抑制している。そして、実施例1−8の紫外線発光素子は、10nm以上という大きな半値幅を有しているため、発光スペクトルの波長ずれに対するロバスト性を高めることができる。図3に示すように、実施例1−8の紫外線発光素子の中心波長が第1の波長λ1であるように設計される場合に、例えば製造誤差等によって、中心波長が第2の波長λ2にずれることがある。このとき、実施例1−8の紫外線発光素子は、大きな半値幅を有しているため、もとの中心波長である第1の波長λ1を含み得る。また、実施例1−8の紫外線発光素子は、基板と第1導電型窒化物半導体層との界面における転位密度が1×106cm-3より小さい。
比較例1−4の紫外線発光素子は、量子井戸層の厚さが2.5nmよりも小さく、発光スペクトルの半値幅も10nmより小さい。比較例1−4の紫外線発光素子は、実施例1−8に比べて半値幅が小さいため、図4に示すように例えば製造誤差等によって中心波長が第2の波長λ2にずれた場合に、もとの中心波長である第1の波長λ1を含まないおそれがある。また、比較例1−5の紫外線発光素子は、AlN層が形成されたサファイア基板を用いる。すなわち、比較例1−5の紫外線発光素子の基板はAlN基板と異なる。例えば、比較例5は、量子井戸層の厚さが2.5nmで、発光スペクトルの半値幅が10.2nmで波長ずれに対するロバスト性が他の比較例よりも高いが、基板がAlN基板ではなく、転位密度が1×106cm-3以上となっており、発光強度が3.5mWと低い。比較例1−5の発光強度は3.3〜5.5mWの範囲であって、実施例1−8の紫外線発光素子の発光強度(25mW以上)に及ばない。以上の比較から明らかなように、実施例1−8の紫外線発光素子は、発光強度の低下を抑制しながら、発光スペクトルの波長ずれに対するロバスト性を高めることができる。
ここで、実施例1−6の紫外線発光素子は、量子井戸層の厚さが3.0nm以上かつ7.0nm以下であり、発光スペクトルの半値幅が10.5nm以上かつ15.5nm以下である。実施例1−6の紫外線発光素子は、発光強度が40mW以上とさらに高い。そして、実施例1−6の紫外線発光素子は、10.5nm以上という大きな半値幅を有しているため、発光スペクトルの波長ずれに対するロバスト性をさらに高めることができる。
ここで、実施例2−5の紫外線発光素子は、量子井戸層の厚さが4.0nm以上かつ6.0nm以下であり、発光スペクトルの半値幅が12nm以上かつ14nm以下である。実施例2−5の紫外線発光素子は、発光強度が55mW以上とさらに高い。そして、実施例2−5の紫外線発光素子は、12nm以上という大きな半値幅を有しているため、発光スペクトルの波長ずれに対するロバスト性をさらに高めることができる。
また、実施例3−5の紫外線発光素子は、量子井戸層の厚さが4.5nm以上かつ6.0nm以下であり、発光スペクトルの半値幅が13nm以上かつ14nm以下である。実施例3−5の紫外線発光素子は、発光強度が60mW以上とさらに高い。そして、実施例3−5の紫外線発光素子は、13nm以上という大きな半値幅を有しているため、発光スペクトルの波長ずれに対するロバスト性をさらに高めることができる。
(その他)
本開示は、以上に記載した実施形態および変形例に限定されうるものではない。当業者の知識に基づいて各実施形態に設計の変更等を加えることが可能であり、そのような変更等を加えた態様は本開示の範囲に含まれる。
1 紫外線発光素子
2 基板
3 第1導電型窒化物半導体層
4 発光層
5 電子バリア層
6 組成傾斜層
7 第2導電型窒化物半導体層
41 量子井戸層
42 量子障壁層
11 窒化物半導体積層体

Claims (9)

  1. Alを含む窒化物半導体からなる基板と、
    前記基板上に形成され、導電性を有し、AlおよびGaを含む第1導電型窒化物半導体層と、
    前記第1導電型窒化物半導体層上に形成され、Al、GaおよびNを含む量子井戸層を複数積層した多重量子井戸構造を有する発光層と、
    前記発光層上に形成され、AlおよびNを含む電子バリア層と、
    前記電子バリア層上に形成され、前記第1導電型窒化物半導体層と異なる導電性を有する第2導電型窒化物半導体層と、を備え、
    前記量子井戸層の厚さは、2.5nm以上かつ8.0nm以下であり、
    発光スペクトルの半値幅は、10nm以上かつ17nm以下である、
    紫外線発光素子。
  2. 前記基板と前記第1導電型窒化物半導体層との界面における転位密度は、1×106cm-3より小さい、請求項1に記載の紫外線発光素子。
  3. 前記量子井戸層の厚さは、3.0nm以上かつ7.0nm以下であり、
    前記発光スペクトルの半値幅は、10.5nm以上かつ15.5nm以下である、請求項1または2に記載の紫外線発光素子。
  4. 前記量子井戸層の厚さは、4.0nm以上かつ6.0nm以下であり、
    前記発光スペクトルの半値幅は、12nm以上かつ14nm以下である、請求項3に記載の紫外線発光素子。
  5. 前記量子井戸層の厚さは、4.5nm以上かつ6.0nm以下であり、
    前記発光スペクトルの半値幅は、13nm以上かつ14nm以下である、請求項4に記載の紫外線発光素子。
  6. 前記第1導電型窒化物半導体層は、500nm以上かつ1000nm以下の厚さを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の紫外線発光素子。
  7. 前記第1導電型窒化物半導体層は、0.6以上かつ0.8以下のAl組成比を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の紫外線発光素子。
  8. 前記電子バリア層と前記第2導電型窒化物半導体層との間に、AlzGa(1-z)N(0<z<1)を含む組成傾斜層を備え、
    前記組成傾斜層は、前記電子バリア層から前記第2導電型窒化物半導体層に近づくにつれて、Al組成比zが小さくなる、請求項1から7のいずれか一項に記載の紫外線発光素子。
  9. 前記第1導電型窒化物半導体層はn型の導電性を有し、
    前記第2導電型窒化物半導体層はp型の導電性を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の紫外線発光素子。
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