次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本開示の車両であるハイブリッド車両1を示す概略構成図である。同図に示すハイブリッド車両1は、複数(本実施形態では、例えば4つ)の気筒(燃焼室)11を含む複数気筒エンジン(以下、単に「エンジン」という。)10と、シングルピニオン式のプラネタリギヤ30と、何れも同期発電電動機(三相交流電動機)であるモータジェネレータMG1およびMG2と、蓄電装置(バッテリ)40と、当該蓄電装置40に接続されると共にモータジェネレータMG1およびMG2を駆動する電力制御装置(以下、「PCU」という。)50と、車輪Wに摩擦制動力を付与可能な電子制御式の油圧制動装置60と、車両全体を制御するハイブリッド電子制御ユニット(以下、「HVECU」という。)70とを含む。
エンジン10は、複数の気筒11における炭化水素系燃料と空気との混合気の燃焼に伴うピストン(図示省略)の往復運動をクランクシャフト(出力軸)12の回転運動へと変換する直列ガソリンエンジン(内燃機関)である。図2に示すように、エンジン10は、吸気管13と、吸気マニホールド13mと、スロットルバルブ14と、図示しない複数の吸気弁および複数の排気弁と、複数のポート噴射弁15pと、複数の筒内噴射弁15dと、複数の点火プラグ16と、排気マニホールド17mと、排気管17とを含む。スロットルバルブ14は、吸気管13内の通路面積を変更可能な電子制御式のスロットルバルブである。吸気マニホールド13mは、吸気管13および各気筒11の吸気ポートに接続される。各ポート噴射弁15pは、対応する吸気ポートに燃料を噴射し、各筒内噴射弁15dは、対応する気筒11に燃料を直接噴射する。排気マニホールド17mは、各気筒11の排気ポートおよび排気管17に接続される。
また、エンジン10は、低圧燃料供給管LLを介してフィードポンプ(低圧ポンプ)Pfに接続された低圧デリバリパイプDLと、高圧燃料供給管LHを介してサプライポンプ(高圧ポンプ)Psに接続された高圧デリバリパイプDHとを含む。低圧デリバリパイプDLには、各ポート噴射弁15pの燃料入口が接続されており、高圧デリバリパイプDHには、各筒内噴射弁15dの燃料入口が接続されている。フィードポンプPfは、図示しない補機バッテリからの電力により駆動されるモータを含む電動ポンプである。フィードポンプPfからの燃料は、低圧デリバリパイプDL内に蓄えられると共に、当該低圧デリバリパイプDLから各ポート噴射弁15pに供給される。サプライポンプPsは、例えばエンジン10により駆動されるピストンポンプ(機械式ポンプ)である。サプライポンプPsからの高圧の燃料は、高圧デリバリパイプDH内に蓄えられると共に、当該高圧デリバリパイプDHから各筒内噴射弁15dに供給される。
更に、エンジン10は、図2に示すように、燃料を貯留する燃料タンクTk内で発生した蒸発燃料を吸気マニホールド13mに導入する蒸発燃料処理装置110を含む。蒸発燃料処理装置110は、燃料タンクTk内の蒸発燃料を吸着する吸着材(活性炭)を有するキャニスタ111と、燃料タンクTkとキャニスタ111とを結ぶベーパ通路Lvと、キャニスタ111と吸気マニホールド13mとを結ぶパージ通路Lpと、パージ通路Lpに設置されたパージ弁(バキュームスイッチングバルブ)Vsvとを含む。本実施形態において、パージ弁Vsvは、弁開度を調節可能な制御弁である。
また、エンジン10は、排ガス浄化装置として、それぞれ排気管17に組み込まれた上流側浄化装置18および下流側浄化装置19とを含む。上流側浄化装置18は、エンジン10の各気筒11からの排ガス中のCO(一酸化炭素)やHC、NOxといった有害成分を浄化するNOx吸蔵型の排ガス浄化触媒(三元触媒)180を含むものである。また、下流側浄化装置19は、上流側浄化装置18の下流側に配置され、排ガス中の粒子状物質(微粒子)を捕集するパティキュレートフィルタ(GPF)190を含む。本実施形態において、パティキュレートフィルタ190は、NOx吸蔵型の排ガス浄化触媒(三元触媒)を担時したものである。
上述のようなエンジン10は、エンジン電子制御装置(以下、「エンジンECU」という。)100により制御される。エンジンECU100は、図示しないCPU,ROM,RAM、入出力インターフェース等を有するマイクロコンピュータや、各種駆動回路、各種ロジックIC等を含み、エンジン10の吸入空気量制御や燃料噴射制御、点火時期制御、蒸発燃料処理装置110(パージ弁Vsv)による蒸発燃料のパージ量を制御するパージ制御等を実行する。また、エンジンECU100は、図示しない入力ポートを介して、クランク角センサ90、水温センサ91、エアフローメータ92、図示しない吸気圧センサ、図示しないスロットルバルブポジションセンサ、上流側空燃比センサ95、下流側空燃比センサ96、差圧センサ97、上流側触媒温度センサ98、下流側触媒温度センサ99等の検出値を取得する。
クランク角センサ90は、クランクシャフト12の回転位置(クランクポジション)を検出する。水温センサ91は、エンジン10の冷却水温Twを検出する。エアフローメータ92は、エンジン10の吸入空気量GAを検出する。吸気圧センサは、吸気管13内の圧力すなわち吸気圧を検出する。スロットルバルブポジションセンサは、スロットルバルブ14の弁体位置(スロットルポジション)を検出する。上流側空燃比センサ95は、上流側浄化装置18に流入する排ガスの空燃比である上流側空燃比AFfを検出する。下流側空燃比センサ96は、下流側浄化装置19に流入する排ガスの空燃比である下流側空燃比AFrを検出する。差圧センサ97は、下流側浄化装置19すなわちパティキュレートフィルタ190の上流側と下流側とにおける排ガスの差圧ΔPを検出する。上流側触媒温度センサ98は、上流側浄化装置18すなわち排ガス浄化触媒180の温度(触媒温度)Tctを検出する。下流側触媒温度センサ99は、下流側浄化装置19すなわちパティキュレートフィルタ190の温度(触媒温度)Tpfを検出する。
エンジンECU100は、クランク角センサ90からのクランクポジションに基づいてエンジン10(クランクシャフト12)の回転数Neを算出する。また、エンジンECU100は、エンジン10の運転状態等に応じて運転履歴法および差圧法の何れか一方により下流側浄化装置19のパティキュレートフィルタ190における粒子状物質の堆積量Dpmを所定時間おきに算出(推定)する。差圧法を用いる場合、エンジンECU100は、差圧センサ97による検出される差圧ΔP、すなわち粒子状物質の堆積によるパティキュレートフィルタ190における圧力損失に基づいて堆積量Dpmを算出する。運転履歴法を用いる場合、エンジンECU100は、エンジン10の運転状態に応じて粒子状物質の推定増加量(正の値)または推定減少量(負の値)を堆積量Dpmの前回値に加算して堆積量Dpm(今回値)を算出する。粒子状物質の推定増加量は、例えば、エンジン10の回転数Ne、負荷率および冷却水温Twから算出される粒子状物質の推定排出量と、排出係数と、パティキュレートフィルタ190の捕集率との積として算出される。また、粒子状物質の推定減少量は、例えば、堆積量Dpmの前回値、流入空気流量およびパティキュレートフィルタ190の温度Tpfから算出される粒子状物質の燃焼量と補正係数との積として算出される。
なお、エンジン10は、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)を含むディーゼルエンジンであってもよく、LPGエンジンであってもよい。また、排ガス浄化触媒180やパティキュレートフィルタ190の温度Tct,Tpfは、吸入空気量GA、回転数Ne、排ガスの温度、上流側空燃比AFf、下流側空燃比AFr等に基づいて推定されてもよい。
プラネタリギヤ30は、サンギヤ(第1要素)31と、リングギヤ(第2要素)32と、複数のピニオンギヤ33を回転自在に支持するプラネタリキャリヤ(第3要素)34とを含む差動回転機構である。図1に示すように、サンギヤ31には、モータジェネレータMG1のロータが連結され、プラネタリキャリヤ34には、ダンパ機構24を介してエンジン10のクランクシャフト12が連結される。リングギヤ32は、出力部材としてのカウンタドライブギヤ35と一体化されており、両者は、同軸かつ一体に回転する。
カウンタドライブギヤ35は、当該カウンタドライブギヤ35に噛合するカウンタドリブンギヤ36、当該カウンタドリブンギヤ36と一体に回転するファイナルドライブギヤ(ドライブピニオンギヤ)37、ファイナルドライブギヤ37に噛合するファイナルドリブンギヤ(デフリングギヤ)39r、デファレンシャルギヤ39およびドライブシャフトDSを介して左右の車輪(駆動輪)Wに連結される。これにより、プラネタリギヤ30、カウンタドライブギヤ35からファイナルドリブンギヤ39rまでのギヤ列およびデファレンシャルギヤ39は、動力発生源としてのエンジン10の出力トルクの一部を車輪Wに伝達すると共にエンジン10とモータジェネレータMG1とを互いに連結するトランスアクスル20を構成する。
また、モータジェネレータMG2のロータには、ドライブギヤ38が固定される。当該ドライブギヤ38は、カウンタドリブンギヤ36よりも少ない歯数を有し、カウンタドリブンギヤ36に噛合する。これにより、モータジェネレータMG2は、ドライブギヤ38、カウンタドリブンギヤ36、ファイナルドライブギヤ37、ファイナルドリブンギヤ39r、デファレンシャルギヤ39およびドライブシャフトDSを介して左右の車輪Wに連結される。
モータジェネレータMG1(第2の電動機)は、主に、負荷運転されるエンジン10からの動力の少なくとも一部を電力に変換する発電機として作動する。モータジェネレータMG2は、主に、蓄電装置40からの電力およびモータジェネレータMG1からの電力の少なくとも何れか一方により駆動されてドライブシャフトDSに駆動トルクを発生する電動機として作動する。すなわち、ハイブリッド車両1において、動力発生源としてのモータジェネレータMG2は、エンジン10と共に、ドライブシャフトDSに取り付けられた車輪Wに駆動トルク(駆動力)を出力する動力発生装置として機能する。更に、モータジェネレータMG2は、ハイブリッド車両1の制動に際して回生制動トルクを出力する。モータジェネレータMG1およびMG2は、PCU50を介して蓄電装置40と電力をやり取りすると共に、当該PCU50を介して相互に電力をやり取りすることができる。
蓄電装置40は、例えばリチウムイオン二次電池またはニッケル水素二次電池である。蓄電装置40は、図示しないCPU,ROM,RAM、入出力インターフェース等を有するマイクロコンピュータを含む電源管理電子制御装置(以下、「電源管理ECU」という。)45により管理される。電源管理ECU45は、蓄電装置40の電圧センサからの端子間電圧VBや、電流センサからの充放電電流IB、温度センサ47(図1参照)からの電池温度Tb等に基づいて、蓄電装置40のSOC(充電率)や、許容充電電力Win、許容放電電力Wout等を導出する。
PCU50は、モータジェネレータMG1を駆動する第1インバータ51や、モータジェネレータMG2を駆動する第2インバータ52、蓄電装置40からの電力を昇圧すると共にモータジェネレータMG1、MG2側からの電力を降圧することができる昇圧コンバータ(電圧変換モジュール)53等を含む。PCU50は、図示しないCPU,ROM,RAM、入出力インターフェース等を有するマイクロコンピュータや、各種駆動回路、各種ロジックIC等を含むモータ電子制御装置(以下、「MGECU」という。)55により制御される。MGECU55は、HVECU70からの指令信号や、昇圧コンバータ53の昇圧前電圧および昇圧後電圧、モータジェネレータMG1,MG2のロータの回転位置を検出する図示しないレゾルバの検出値、モータジェネレータMG1,MG2に印加される相電流等を取得する。MGECU55は、これらの信号等に基づいて第1および第2インバータ51,52や昇圧コンバータ53をスイッチング制御する。また、MGECU55は、レゾルバの検出値に基づいてモータジェネレータMG1およびMG2のロータの回転数Nm1,Nm2を算出する。
油圧制動装置60は、マスタシリンダ、各車輪Wに取り付けられたブレーキディスクを挟持して対応する車輪に制動トルク(摩擦制動トルク)を付与する複数のブレーキパッド、対応するブレーキパッドを駆動する複数のホイールシリンダ(何れも図示省略)、各ホイールシリンダに油圧を供給する油圧式のブレーキアクチュエータ61、ブレーキアクチュエータ61を制御するブレーキ電子制御ユニット(以下、「ブレーキECU」という。)65等を含む。ブレーキECU65は、図示しないCPU,ROM,RAM、入出力インターフェース等を有するマイクロコンピュータを含む。ブレーキECU65は、HVECU70からの指令信号や、ブレーキペダルストロークセンサ63により検出されるブレーキペダルストロークBS(ブレーキペダル64の踏み込み量)、図示しない車速センサにより検出される車速V等を取得する。ブレーキECU65は、これらの信号等に基づいてブレーキアクチュエータ61を制御する。
HVECU70は、図示しないCPU,ROM,RAM、入出力インターフェース等を有するマイクロコンピュータや、各種駆動回路、各種ロジックIC等を含む。HVECU70は、LoおよびHiの2本の通信線(ワイヤーハーネス)を含むCANバスである図示しない共用通信線(多重通信バス)を介してECU100,45,55,65等と相互に情報(通信フレーム)をやり取りする。また、HVECU70は、ECU100,45,55,65の各々とLoおよびHiの2本の通信線(ワイヤーハーネス)を含むCANバスである専用通信線(ローカル通信バス)を介して個別に接続されている。HVECU70は、対応する専用通信線を介してECU100,45,55,65の各々と個別に情報(通信フレーム)をやり取りする。更に、HVECU70は、ハイブリッド車両1のシステム起動を指示するための図示しないスタートスイッチからの信号や、シフトポジションセンサ81により検出されるシフトレバー82のシフトポジションSP、アクセルペダルポジションセンサ83により検出されるアクセル開度Acc(アクセルペダル84の踏み込み量)、図示しない車速センサにより検出される車速V、エンジン10のクランク角センサ90からのクランクポジション等を取得する。また、HVECU70は、電源管理ECU45からの蓄電装置40のSOC(充電率)、許容充電電力Win、許容放電電力Wout、MGECU55からのモータジェネレータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2等を取得する。
HVECU70は、ハイブリッド車両1の走行に際し、図示しない要求トルク設定マップから、アクセル開度Accおよび車速Vに対応したドライブシャフトDSに出力されるべき要求トルクTr*(要求制動トルクを含む)を導出する。更に、HVECU70は、当該要求トルクTr*やドライブシャフトDSの回転数Ndsに基づいてハイブリッド車両1の走行に要求される要求走行パワーPd*(=Tr*×Nds)を設定する。また、HVECU70は、要求トルクTr*や要求走行パワーPd*、別途設定した蓄電装置40の目標充放電電力Pb*や許容放電電力Wout等に基づいてエンジン10を負荷運転させるか否かを判定する。
エンジン10を負荷運転させる場合、HVECU70は、要求走行パワーPd*や目標充放電電力Pb*等に基づいてエンジン10に対する要求パワーPe*(=Pd*−Pb*+Loss)を設定する。更に、HVECU70は、エンジン10が効率よく運転され、かつハイブリッド車両1の運転状態等に応じた下限回転数Nelimを下回らないように要求パワーPe*に応じたエンジン10の目標回転数Ne*を設定する。更に、HVECU70は、蓄電装置40の許容充電電力Winおよび許容放電電力Woutの範囲内で要求トルクTr*や目標回転数Ne*等に応じたモータジェネレータMG1,MG2に対するトルク指令Tm1*,Tm2*を設定する。一方、エンジン10の運転を停止させる場合、HVECU70は、要求パワーPe*、目標回転数Ne*およびトルク指令Tm1*にゼロを設定する。更に、HVECU70は、要求トルクTr*に応じたトルクがモータジェネレータMG2からドライブシャフトDSに出力されるように蓄電装置40の許容充電電力Winおよび許容放電電力Woutの範囲内でトルク指令Tm2*を設定する。
そして、HVECU70は、要求パワーPe*および目標回転数Ne*をエンジンECU100に送信すると共に、トルク指令Tm1*,Tm2*をMGECU55に送信する。エンジンECU100は、要求パワーPe*および目標回転数Ne*に基づいて吸入空気量制御や燃料噴射制御、点火時期制御等を実行する。本実施形態において、エンジンECU100は、基本的に、エンジン10の各気筒11における空燃比が理論空燃比(=14.6−14.7)になるように燃料噴射制御を実行する。また、エンジン10の負荷(要求パワーPe*)が所定値以下である場合には、各ポート噴射弁15pから燃料が噴射され、各筒内噴射弁15dからの燃料噴射が停止される。更に、エンジン10の負荷が当該所定値を超えている間、各ポート噴射弁15pからの燃料噴射が停止され、各筒内噴射弁15dから燃料が噴射される。更に、本実施形態において、複数の気筒11への燃料噴射および点火は、1番気筒#1→3番気筒#3→4番気筒#4→2番気筒#2という順序(点火順序)で実行される。
また、MGECU55は、トルク指令Tm1*,Tm2*に基づいて第1および第2インバータ51,52や昇圧コンバータ53をスイッチング制御する。エンジン10が負荷運転される場合、モータジェネレータMG1およびMG2は、エンジン10から出力されるパワーの一部(蓄電装置40の充電時)またはすべて(蓄電装置40の放電時)をプラネタリギヤ30と共にトルク変換してドライブシャフトDSに出力するように制御される。これにより、ハイブリッド車両1は、エンジン10からの動力(直達トルク)およびモータジェネレータMG2からの動力により走行(HV走行)する。これに対して、エンジン10の運転が停止される場合、ハイブリッド車両1は、モータジェネレータMG2からの動力(駆動トルク)のみにより走行(EV走行)する。
ここで、上述のように、本実施形態のハイブリッド車両1は、排ガス浄化装置として、パティキュレートフィルタ190を有する下流側浄化装置19を含む。パティキュレートフィルタ190における粒子状物質の堆積量Dpmは、ハイブリッド車両1の走行距離の増加に応じて増加すると共に、環境温度が低いほど増加する。従って、ハイブリッド車両1では、パティキュレートフィルタ190における粒子状物質の堆積量Dpmが増加した段階で、十分に昇温させたパティキュレートフィルタ190に多くの空気すなわち酸素を送り込み、粒子状物質を燃焼させてパティキュレートフィルタ190を再生する必要がある。このため、ハイブリッド車両1では、ハイブリッド車両1の運転者によるアクセルペダル84の踏み込みに応じてエンジン10が負荷運転される際に、図3に例示するパティキュレートフィルタ再生要否判定ルーチンがエンジンECU100により所定時間おきに実行される。
図3のルーチンの開始に際して、エンジンECU100は、エンジン10の吸入空気量GAや回転数Ne、冷却水温Tw、パティキュレートフィルタ190の温度Tpfといった判定に必要な情報を取得する(ステップS100)。更に、エンジンECU100は、ステップS100にて取得した物理量等に基づいて、エンジン10の運転状態等に応じた運転履歴法および差圧法の何れか一方によりパティキュレートフィルタ190における粒子状物質の堆積量Dpmを算出する(ステップS110)。次いで、エンジンECU100は、上流側浄化装置18の排ガス浄化触媒180および下流側浄化装置19のパティキュレートフィルタ190を昇温させるための触媒昇温制御ルーチンが既に実行されているか否かを判定する(ステップS120)。
ステップS120にて触媒昇温制御ルーチンが実行されていないと判定した場合(ステップS120:YES)、エンジンECU100は、ステップS110にて算出した堆積量Dpmが予め定められた閾値D1(例えば、5000mg程度の値)以上であるか否かを判定する(ステップS130)。ステップS130にて堆積量Dpmが閾値D1未満であると判定した場合(ステップS130:NO)、エンジンECU100は、その時点で図3のルーチンを一旦終了させる。また、ステップS130にて堆積量Dpmが閾値D1以上であると判定した場合(ステップS130:YES)、エンジンECU100は、ステップS100にて取得したパティキュレートフィルタ190の温度Tpfが予め定められた昇温制御開始温度(所定温度)Tx未満であるか否かを判定する(ステップS140)。昇温制御開始温度Txは、ハイブリッド車両1の使用環境に応じて予め定められ、本実施形態では、例えば600℃前後の温度である。
ステップS140にてパティキュレートフィルタ190の温度Tpfが昇温制御開始温度Tx以上であると判定した場合(ステップS140:NO)、エンジンECU100は、その時点で図3のルーチンを一旦終了させる。また、ステップS140にてパティキュレートフィルタ190の温度Tpfが昇温制御開始温度Tx未満であると判定した場合(ステップS140:YES)、エンジンECU100は、上記触媒昇温制御ルーチンの実行を要求する触媒昇温要求信号をHVECU70に送信し(ステップS150)、図3のルーチンを一旦終了させる。エンジンECU100は、触媒昇温要求信号の送信後にHVECU70により触媒昇温制御ルーチンの実行が許可されると、触媒昇温フラグをオンし、当該触媒昇温制御ルーチンを開始する。
一方、ステップS120にて触媒昇温制御ルーチンが既に実行されていると判定した場合(ステップS120:NO)、エンジンECU100は、ステップS110にて算出した堆積量Dpmが予め上記閾値D1よりも小さく定められた閾値D0(例えば、3000mg程度の値)以下であるか否かを判定する(ステップS160)。ステップS160にて堆積量Dpmが閾値D0を上回っていると判定した場合(ステップS160:NO)、エンジンECU100は、その時点で図3のルーチンを一旦終了させる。また、ステップS160にて堆積量Dpmが閾値D0以下であると判定した場合(ステップS160:YES)、エンジンECU100は、上記触媒昇温フラグをオフすると共に触媒昇温制御ルーチンを終了させ(ステップS170)、図3のルーチンを終了させる。
続いて、排ガス浄化触媒180およびパティキュレートフィルタ190を昇温させるための触媒昇温制御ルーチンについて説明する。図4は、エンジンECU100により所定時間おきに実行される触媒昇温制御ルーチンを例示するフローチャートである。図4のルーチンは、運転者によるアクセルペダル84の踏み込みに応じてエンジン10が負荷運転される間、その実行がHVECU70により許可されることを条件に、図3のステップS170にて触媒昇温フラグがオフされるまで実行される。
図4のルーチンの開始に際し、エンジンECU100は、エンジン10の吸入空気量GAや回転数Ne、冷却水温Tw、パティキュレートフィルタ190の温度Tpf、クランク角センサ90からのクランクポジション、HVECU70からの要求パワーPe*および目標回転数Ne*といった制御に必要な情報を取得する(ステップS200)。ステップS200の処理の後、エンジンECU100は、リッチ化フラグFrが値0であるか否かを判定する(ステップS210)。図4のルーチンの開始前、リッチ化フラグFrは値0に設定されており、ステップS210にてリッチ化フラグFrが値0であると判定した場合(ステップS210:YES)、エンジンECU100は、リッチ化フラグFrを値1に設定する(ステップS220)。
次いで、エンジンECU100は、各ポート噴射弁15pまたは各筒内噴射弁15dからの燃料噴射量や燃料噴射終了時期といった燃料噴射制御量を設定する(ステップS230)。ステップS230において、エンジンECU100は、エンジン10の複数の気筒11のうち、予め定められた1つの気筒11(例えば、1番気筒#1)への燃料噴射量をゼロにする。また、ステップS230において、エンジンECU100は、当該1つの気筒11以外の残余の気筒11(例えば、2番気筒#2、3番気筒#3および4番気筒#4)への燃料噴射量を当該1つの気筒11(1番気筒#1)に本来供給されるべき燃料噴射量の例えば20%−25%(本実施形態では、20%)だけそれぞれ増加させる。
ステップS230にて燃料噴射制御量を設定した後、エンジンECU100は、クランク角センサ90からのクランクポジションに基づいて、燃料噴射開始時期が到来した気筒11を判別する(ステップS240)。エンジンECU100は、ステップS240の判別処理により上記1つの気筒11(1番気筒#1)の燃料噴射開始時期が到来したと判定した場合(ステップS250:NO)、当該1つの気筒11に対応したポート噴射弁15pまたは筒内噴射弁15dから燃料を噴射させることなく、エンジン10を2回転させる1サイクルの燃料噴射が完了したか否かを判定する(ステップS270)。当該1つの気筒11(1番気筒#1)への燃料供給が停止される間(フューエルカット中)、当該気筒11の吸気弁および排気弁は、燃料が供給される場合と同様に開閉させられる。また、エンジンECU100は、ステップS240の判別処理により上記残余の気筒11(2番気筒#2、3番気筒#3または4番気筒#4)の何れかの燃料噴射開始時期が到来したと判定した場合(ステップS250:YES)、当該気筒11に対して該当するポート噴射弁15pまたは筒内噴射弁15dから燃料を噴射させ(ステップS260)、1サイクルの燃料噴射が完了したか否かを判定する(ステップS270)。
ステップS270にて1サイクルの燃料噴射が完了していないと判定した場合(ステップS270:NO)、エンジンECU100は、ステップS240−S260の処理を繰り返し実行する。また、本ルーチンが実行される間、スロットルバルブ14の開度は、要求パワーPe*および目標回転数Ne*(要求トルク)に基づいて設定される。従って、ステップS240−S270の処理によって、上記1つの気筒11(1番気筒#1)への燃料供給が停止されると共に、上記残余の気筒11(2番気筒#2、3番気筒#3および4番気筒#4)における空燃比がリッチ化されることになる。以下、燃料の供給が停止される気筒11を適宜「フューエルカット気筒」といい、燃料が供給される気筒11を適宜「燃焼気筒」という。エンジンECU100は、ステップS270にて1サイクルの燃料噴射が完了したと判定した場合(ステップS270:YES)、再度ステップS200以降の処理を実行する。
ステップS220にてリッチ化フラグFrを値1に設定した後、エンジンECU100は、ステップS210にてリッチ化フラグFrが値1であると判定する(ステップS210:YES)。この場合、エンジンECU100は、ステップS200にて取得したパティキュレートフィルタ190の温度Tpfが予め定められた再生可能温度(第1の判定閾値)Ty未満であるか否かを判定する(ステップS215)。再生可能温度Tyは、パティキュレートフィルタ190の再生すなわち粒子状物質の燃焼を可能とする温度の下限値または当該下限値よりも若干高い温度である。再生可能温度Tyは、ハイブリッド車両1の使用環境に応じて予め定められ、本実施形態では、例えば650℃前後の温度とされている。ステップS215にてパティキュレートフィルタ190の温度Tpfが再生可能温度Ty未満であると判定した場合(ステップS215:YES)、エンジンECU100は、上述のステップS230−S270の処理を実行し、再度ステップS200以降の処理を実行する。
また、ステップS215にてパティキュレートフィルタ190の温度Tpfが再生可能温度Ty以上であると判定した場合(ステップS215:NO)、エンジンECU100は、図5に示すように、高温フラグFtが値0であるか否かを判定する(ステップS280)。図4のルーチンの開始前、高温フラグFtは値0に設定されており、ステップS280にて高温フラグFtが値0であると判定した場合(ステップS280:YES)、エンジンECU100は、リッチ化フラグFrを値0に設定する(ステップS290)。リッチ化フラグFrを値0に設定した後、エンジンECU100は、ステップS200にて取得したパティキュレートフィルタ190の温度Tpfが予め定められた再生促進温度(第2の判定閾値)Tz以上であるか否かを判定する(ステップS300)。再生促進温度Tzは、パティキュレートフィルタ190の再生すなわち粒子状物質の燃焼を促進させることができる温度である。再生促進温度Tzは、ハイブリッド車両1の使用環境に応じて予め定められ、本実施形態では、例えば700℃前後の温度とされている。
ステップS300にてパティキュレートフィルタ190の温度Tpfが再生促進温度Tz未満であると判定した場合(ステップS300:NO)、エンジンECU100は、各ポート噴射弁15pまたは各筒内噴射弁15dからの燃料噴射量や燃料噴射終了時期といった燃料噴射制御量を設定する(ステップS310)。ステップS310において、エンジンECU100は、複数の気筒11のうちのフューエルカット気筒(1番気筒#1)への燃料噴射量をゼロにする。また、ステップS310において、エンジンECU100は、フューエルカット気筒(1番気筒#1)以外のすべての燃焼気筒(2番気筒#2、3番気筒#3および4番気筒#4)への燃料噴射量を当該フューエルカット気筒に本来供給されるべき燃料噴射量の例えば3%−7%(本実施形態では、5%)だけそれぞれ増加させる。
ステップS310にて燃料噴射制御量を設定した後、エンジンECU100は、上記ステップS270にて1サイクルの燃料噴射が完了したと判定するまで、ステップS240−S260の処理を繰り返し実行する。これにより、上記1つの気筒(フューエルカット気筒)11(1番気筒#1)への燃料供給が停止されると共に、上記残余の気筒(燃焼気筒)11(2番気筒#2、3番気筒#3および4番気筒#4)における空燃比が、上記ステップS230の処理が実行される場合に比べてリーン側に変更され、弱リッチになる。
また、ステップS300にてパティキュレートフィルタ190の温度Tpfが再生促進温度Tz以上であると判定した場合(ステップS300:YES)、エンジンECU100は、高温フラグFtを値1に設定する(ステップS305)。更に、ステップS305において、エンジンECU100は、フューエルカット気筒の追加を要求するためのF/C気筒追加要求信号をHVECU70に送信する。そして、エンジンECU100は、各ポート噴射弁15pまたは各筒内噴射弁15dの燃料噴射制御量を設定し(ステップS310)、上記ステップS270にて1サイクルの燃料噴射が完了したと判定するまで、ステップS240−S260の処理を繰り返し実行する。
本実施形態において、エンジンECU100は、ステップS305にて高温フラグFtを値1に設定した後、2サイクル(エンジン10の4回転)に1回ずつF/C気筒追加要求信号をHVECU70に送信する。かかるフューエルカット気筒の追加の許否は、HVECU70により判定される。エンジンECU100は、HVECU70によりフューエルカット気筒の追加が許可された場合、触媒昇温制御ルーチンの非実行時に1番気筒#1に対して燃料噴射(点火)が連続して実行されない気筒11(本実施形態では、4番気筒#4)を新たなフューエルカット気筒として選択(追加)する。
更に、エンジンECU100は、HVECU70によりフューエルカット気筒の追加が許可された場合、ステップS310において複数の気筒11のうちのフューエルカット気筒(1番気筒#1および4番気筒#4)への燃料噴射量をゼロにする。また、ステップS310において、エンジンECU100は、フューエルカット気筒以外のすべての燃焼気筒(2番気筒#2および3番気筒#3)への燃料噴射量を1つのフューエルカット気筒に本来供給されるべき燃料噴射量の例えば3%−7%(本実施形態では、5%)だけそれぞれ増加させる。この場合も、ステップS310の処理後、エンジンECU100は、ステップS240−S270の処理を実行し、再度ステップS200以降の処理を実行する。これにより、2つの気筒11(1番気筒#1および4番気筒#4)への燃料供給が停止されると共に、残余の気筒11(2番気筒#2および3番気筒#3)における空燃比が、上記ステップS230の処理が実行される場合に比べてリーン側に変更され、弱リッチになる。
ステップS305にて高温フラグFtを値1に設定した後、エンジンECU100は、ステップS280にて高温フラグFtが値1であると判定する(ステップS280:NO)。この場合、エンジンECU100は、ステップS200にて取得したパティキュレートフィルタ190の温度Tpfが上述の昇温制御開始温度Tx未満であるか否かを判定する(ステップS320)。ステップS320にてパティキュレートフィルタ190の温度Tpfが昇温制御開始温度Tx以上であると判定した場合(ステップS320:NO)、エンジンECU100は、ステップS310,S240−S270の処理を実行し、再度ステップS200以降の処理を実行する。これに対して、ステップS320にてパティキュレートフィルタ190の温度Tpfが昇温制御開始温度Tx未満であると判定した場合(ステップS320:YES)、エンジンECU100は、高温フラグFtを値0に設定する(ステップS325)。更に、ステップS325において、エンジンECU100は、先に追加したフューエルカット気筒(4番気筒#4)への燃料供給の再開を通知するためにF/C気筒減少信号をHVECU70に送信する。
ステップS325の処理の後、エンジンECU100は、図4のステップS220にてリッチ化フラグFrを再度値1に設定する。更に、エンジンECU100は、継続して燃料供給が停止されるフューエルカット気筒(1番気筒#1)への燃料噴射量をゼロにすると共に、残余の気筒(燃焼気筒)11(2番気筒#2、3番気筒#3および4番気筒#4)への燃料噴射量を当該1つのフューエルカット気筒(1番気筒#1)に本来供給されるべき燃料噴射量の20%だけそれぞれ増加させる(ステップS230)。これにより、ステップS240−S270の処理によって、上記1つの気筒(フューエルカット気筒)11(1番気筒#1)への燃料供給が停止されると共に、上記残余の気筒(燃焼気筒)11(2番気筒#2、3番気筒#3および4番気筒#4)における空燃比が再度リッチ化されることになる。
図6は、図3のステップS150にてエンジンECU100により触媒昇温要求信号が送信されてから、HVECU70により上述の触媒昇温制御ルーチンと並行して所定時間おきに繰り返し実行される駆動制御ルーチンを例示するフローチャートである。
図6のルーチンの開始に際し、HVECU70は、アクセル開度Acc、車速V、クランク角センサ90からのクランクポジション、モータジェネレータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2、蓄電装置40のSOC、目標充放電電力Pb*、許容充電電力Winおよび許容放電電力Wout、エンジンECU100からのF/C気筒追加要求信号、F/C気筒減少信号の受信の有無、エンジンECU100からのリッチ化フラグFrの値といった制御に必要な情報を取得する(ステップS400)。次いで、HVECU70は、アクセル開度Accおよび車速Vに基づいて要求トルクTr*を設定すると共に、当該要求トルクTr*(要求走行パワーPd*)や蓄電装置40の目標充放電電力Pb*等に基づいてエンジン10に対する要求パワーPe*を設定する(ステップS410)。
また、HVECU70は、エンジンECU100により図4および図5の触媒昇温制御ルーチンが開始されているか否かを判定する(ステップS420)。ステップS420にてエンジンECU100により触媒昇温制御ルーチンが開始されていないと判定した場合(ステップS420:YES)、HVECU70は、エンジン10の回転数の下限値である下限回転数Nelimに予め定められた値Nerefを設定する(ステップS430)。値Nerefは、触媒昇温制御ルーチンが実行されないときのエンジン10の回転数の下限値よりも例えば400−500rpm程度大きい値である。ステップS430の処理は、エンジンECU100により触媒昇温制御ルーチンが開始された後にはスキップされる。
ステップS420またはS430の処理の後、HVECU70は、図示しないマップから要求パワーPe*に対応したエンジン10を効率よく作動させる回転数を導出し、導出した回転数と上記下限回転数Nelimとの大きい方をエンジン10の目標回転数Ne*に設定する(ステップS440)。また、ステップS440において、HVECU70は、要求パワーPe*を目標回転数Ne*で除した値をエンジン10の目標トルクTe*に設定する。更に、HVECU70は、蓄電装置40の許容充電電力Winおよび許容放電電力Woutの範囲内で、目標トルクTe*および目標回転数Ne*に応じたモータジェネレータMG1に対するトルク指令Tm1*と、要求トルクTr*およびトルク指令Tm1*に応じたモータジェネレータMG2に対するトルク指令Tm2*とを設定する(ステップS450)。
続いて、HVECU70は、エンジンECU100からの要求に応じて上記触媒昇温制御ルーチンの実行すなわち一部の気筒11の燃料供給の停止(以下、「燃料供給の停止」を適宜「フューエルカット(F/C)」という。)を許容するか否かを判定する(ステップS460)。ステップS460において、HVECU70は、1つの気筒11のフューエルカットにより不足する駆動トルク、すなわちフューエルカットによりエンジン10から出力されなくなるトルク(以下、適宜「不足トルク」という。)を算出する。より詳細には、HVECU70は、ステップS410にて設定した要求トルクTr*をエンジン10の気筒数n(本実施形態では、n=4)で除した値にモータジェネレータMG2のロータとドライブシャフトDSとの間のギヤ比Gを乗じて不足トルク(=Tr*・G/n)を算出する。更に、ステップS460において、HVECU70は、当該不足トルク、ステップS450にて設定したトルク指令Tm1*,Tm2*、蓄電装置40の許容充電電力Winおよび許容放電電力Woutに基づいて不足トルクをモータジェネレータMG2により補填可能であるか否かを判定する。この際、エンジンECU100からF/C気筒追加要求信号あるいはF/C気筒減少信号を受信している場合、HVECU70は、フューエルカット気筒の増減を考慮して不足トルクの補填の可否を判定する。
ステップS460の判定処理の結果、一部(1つまたは2つ)の気筒11のフューエルカットにより不足する駆動トルクをモータジェネレータMG2から補填可能であると判定した場合(ステップS470:YES)、HVECU70は、フューエルカット許可信号をエンジンECU100に送信する(ステップS480)。フューエルカット許可信号には、エンジンECU100からF/C気筒追加要求信号が送信されている際に1つの気筒11のフューエルカットのみを許可するものも含まれる。また、ステップS460の判定処理の結果、一部の気筒11のフューエルカットにより不足する駆動トルクをモータジェネレータMG2から補填不能であると判定した場合(ステップS470:NO)、HVECU70は、フューエルカット禁止信号をエンジンECU100に送信し(ステップS485)、図6のルーチンを一旦終了させる。この場合、エンジンECU100による触媒昇温制御ルーチンの実行は、中止または停止される。
ステップS480にてフューエルカット許可信号をエンジンECU100に送信した場合、HVECU70は、ステップS410にて設定した要求パワーPe*およびステップS440にて設定した目標回転数Ne*をエンジンECU100に送信する(ステップS490)。更に、HVECU70は、クランク角センサ90からのクランクポジションに基づいて次に燃料噴射開始時期が到来する気筒11を判別する(ステップS500)。HVECU70は、ステップS500の判別処理により上記フューエルカット気筒(1番気筒#1または1番気筒#および4番気筒#4)の燃料噴射開始時期が到来すると判定した場合(ステップS510:NO)、モータジェネレータMG2へのトルク指令Tm2*を再設定する(ステップS515)。
ステップS515において、HVECU70は、ステップS450にて設定したトルク指令Tm2*と、上記不足トルク(=Tr*・G/n)との和を新たなトルク指令Tm2*に設定する。ステップS515の処理の後、HVECU70は、ステップS450にて設定したトルク指令Tm1*およびステップS515にて再設定したトルク指令Tm2*をMGECU55に送信し(ステップS560)、図6のルーチンを一旦終了させる。これにより、エンジン10の何れか1つの気筒11への燃料供給が停止される間(フューエルカット中)、モータジェネレータMG1は、エンジン10を目標回転数Ne*で回転させるようにMGECU55により制御され、モータジェネレータMG2は、上記不足トルクを補填するようにMGECU55により制御される。
これに対して、ステップS500の判別処理により上記燃焼気筒(2番気筒#2から4番気筒#4、または2番気筒#および3番気筒#4)の燃料噴射開始時期が到来すると判定した場合(ステップS510:YES)、HVECU70は、ステップS400にて取得したリッチ化フラグFrが値1であるか否かを判定する(ステップS520)。ステップS520にてリッチ化フラグFrが値1であると判定した場合(ステップS520:YES)、HVECU70は、アクセル開度Accまたは目標トルクTe*と、図4のステップS230にて用いられる1つの燃焼気筒における燃料の増加率(本実施形態では、20%)とから1つの燃焼気筒における空燃比のリッチ化により生じるエンジン10の余剰トルクTex(正の値)を算出する(ステップS530)。
更に、HVECU70は、当該余剰トルクTex、ステップS440にて設定した目標回転数Ne*および目標トルクTe*、ステップS450にて設定したトルク指令Tm1*および蓄電装置40の許容充電電力Win等に基づいて、モータジェネレータMG1によってエンジン10を目標回転数Ne*で回転させつつ余剰トルクTexを相殺した場合に当該モータジェネレータMG1により生成される電力で蓄電装置40を充電することができるか否かを判定する(ステップS540)。ステップS540にてモータジェネレータMG1によって余剰トルクTexを相殺可能であると判定した場合(ステップS540:YES)、HVECU70は、余剰トルクTexを考慮してトルク指令Tm1*およびTm2*を再設定する(ステップS550)。
ステップS550において、HVECU70は、余剰トルクTexのうちのプラネタリギヤ30を介してモータジェネレータMG1に作用する成分の値(負の値)をステップS450にて設定したトルク指令Tm1*に加算して新たなトルク指令Tm1*を設定する。また、ステップS550において、HVECU70は、余剰トルクTexのうちのプラネタリギヤ30を介してドライブシャフトDSに伝達される成分の値(正の値)をトルク指令Tm2*から減じて新たなトルク指令Tm2*を設定する。ステップS550の処理の後、HVECU70は、再設定したトルク指令Tm1*およびTm2*をMGECU55に送信し(ステップS560)、図6のルーチンを一旦終了させる。これにより、モータジェネレータMG1によって余剰トルクTexを相殺可能である場合、図4のステップS230−S270にてフューエルカット気筒以外のすべての燃焼気筒における空燃比がリッチになるように燃料が供給される間、モータジェネレータMG1は、エンジン10を目標回転数Ne*で回転させると共に上記余剰トルクTexに基づくエンジン10の余剰パワーを電力に変換するようにMGECU55により制御される。また、この間、モータジェネレータMG2は、上記不足トルクを補填することなくステップS450にて設定されたトルク指令Tm2*に応じたトルクを出力するようにMGECU55により制御される。
一方、ステップS540にてモータジェネレータMG1によって余剰トルクTexを相殺不能であると判定した場合(ステップS540:YES)、HVECU70は、点火時期の遅角を要求する点火遅角要求信号をエンジンECU100に送信する(ステップS555)。更に、HVECU70は、ステップS450にて設定したトルク指令Tm1*およびTm2*をMGECU55に送信し(ステップS560)、図6のルーチンを一旦終了させる。これにより、モータジェネレータMG1によって余剰トルクTexを相殺不能である場合、図4のステップS230−S270にてフューエルカット気筒以外のすべての燃焼気筒における空燃比がリッチになるように燃料が供給される間、モータジェネレータMG1は、エンジン10を目標回転数Ne*で回転させるようにMGECU55により制御される。また、この間、モータジェネレータMG2は、上記不足トルクを補填することなくステップS450にて設定されたトルク指令Tm2*に応じたトルクを出力するようにMGECU55により制御される。更に、エンジンECU100は、HVECU70からの点火遅角要求信号を受信すると、図7に示すように、エンジン10の出力トルクが燃焼気筒における空燃比を理論空燃比にした場合と同等になるように、各燃焼気筒における点火時期を最適点火時期(MBT)から遅角させる。
また、ステップS520にてリッチ化フラグFrが値0であると判定した場合(ステップS520:NO)、HVECU70は、ステップS450にて設定したトルク指令Tm1*およびTm2*をMGECU55に送信し(ステップS550)、図6のルーチンを一旦終了させる。これにより、上記リッチ化フラグFrが値0であって、図4のステップS310,S240−S270にてフューエルカット気筒以外のすべての燃焼気筒における空燃比がリーン側の値(弱リッチ)になるように燃料が供給される間、モータジェネレータMG1は、エンジン10を目標回転数Ne*で回転させるようにMGECU55により制御される。また、この間、モータジェネレータMG2は、上記不足トルクを補填することなくステップS450にて設定されたトルク指令Tm2*に応じたトルクを出力するようにMGECU55により制御される
上述の図3から図6に示すルーチンが実行される結果、ハイブリッド車両1では、下流側浄化装置19のパティキュレートフィルタ190における粒子状物質の堆積量Dpmが閾値D1以上になると、上流側浄化装置18の排ガス浄化触媒180および下流側浄化装置19のパティキュレートフィルタ190を昇温させるべく、エンジンECU100から触媒昇温要求信号がHVECU70に送信される(図3のステップS150)。そして、HVECU70によりパティキュレートフィルタ190等の昇温が許可されると、エンジンECU100は、運転者によるアクセルペダル84の踏み込みに応じてエンジン10が負荷運転される間、当該エンジン10の少なくとも何れか1つの気筒11への燃料供給を停止させ、かつ残余の気筒11に燃料を供給する触媒昇温制御ルーチン(図4および図5)を実行する。更に、触媒昇温制御ルーチンの実行中、HVECU70は、少なくとも何れか1つの気筒11への燃料供給の停止により不足するトルク(駆動力)を補填するように動力発生装置としてのモータジェネレータMG2を制御する(図6)。
これにより、一部の気筒11への燃料供給の停止により不足するトルクをモータジェネレータMG2から高精度に応答性よく補填し、触媒昇温制御ルーチンの実行中に要求トルクTr*に応じたトルクを車輪Wに出力することが可能となる。また、HVECU70(およびMGECU55)は、少なくとも何れか1つの気筒11への燃料供給が停止される間(フューエルカット中)に、不足するトルクを補填するようにモータジェネレータMG2(電動機)を制御する(図6のステップS515,S560)。これにより、触媒昇温制御ルーチンの実行中に、ハイブリッド車両1のドライバビリティの悪化を極めて良好に抑制することが可能となる。
更に、HVECU70は、触媒昇温制御ルーチンの実行中、エンジン10の下限回転数Nelimを触媒昇温制御ルーチンが実行されない場合に比べて高くする(図6のステップS430)。これにより、一部の気筒11への燃料供給が停止される時間、すなわちフューエルカットによりエンジン10からトルクが出力されなくなる時間を短くすることができる。従って、ハイブリッド車両1では、一部の気筒11のフューエルカットに起因したエンジン10の振動等が顕在化するのを極めて良好に抑制することが可能となる。
また、エンジンECU100は、HVECU70により触媒昇温制御ルーチンの実行が許可されると(図8における時刻t1)、エンジンECU100は、エンジン10の何れか1つの気筒11(1番気筒#1)への燃料供給を停止させると共に、残余の気筒11(2番気筒#2、3番気筒#3および4番気筒#4)における空燃比をリッチにする(図4のステップS230−S270)。これにより、上流側および下流側浄化装置18,19には、燃料供給が停止された気筒11(フューエルカット気筒)から比較的多くの空気すなわち酸素が導入されると共に、燃料が供給された気筒11(燃焼気筒)から比較的多くの未燃燃料が導入される。すなわち、上流側および下流側浄化装置18,19には、フューエルカット気筒から気筒11の容量(容積)と概ね等しい量の空気(リーン雰囲気のガスではなく、燃料成分を殆ど含まない空気)が供給される。この結果、エンジン10の負荷運転中に、比較的多くの未燃燃料を十分な酸素の存在下で反応させて、図8に示すように、反応熱により排ガス浄化触媒180や、排ガス浄化触媒を担持したパティキュレートフィルタ190の温度を十分かつ速やかに高めることができる。
このようにフューエルカット気筒以外のすべての燃焼気筒に空燃比がリッチになるように燃料が供給される間、HVECU70(およびMGECU55)は、上記残余の気筒11(燃焼気筒)における空燃比のリッチ化により生じるエンジン10の余剰パワーを電力に変換するようにモータジェネレータMG1(第2の電動機)を制御する(図6のステップS510−S560)。これにより、不足トルクを補填するモータジェネレータMG2の制御を煩雑化させることなく、触媒昇温制御ルーチンの実行に伴うエンジン10の燃費の悪化を抑制することが可能となる。
更に、HVECU70は、蓄電装置40の充電が制限されており、エンジン10の当該余剰パワーをモータジェネレータMG1により電力に変換することができない場合、点火時期の遅角を要求する点火遅角要求信号をエンジンECU100に送信する(図6のステップS555)。そして、点火遅角要求信号を受信したエンジンECU100は、燃焼気筒における点火時期を最適点火時期(MBT)から遅角させる。これにより、モータジェネレータMG1によって生成された電力による蓄電装置40の充電が制限されている場合であっても、燃焼気筒における空燃比のリッチ化に伴うエンジン10の出力トルクの増加を抑制してハイブリッド車両1のドライバビリティを良好に確保することが可能となる。
また、エンジンECU100は、触媒昇温制御の実行中、パティキュレートフィルタ190の温度Tpfが再生可能温度Ty(第1の判定閾値)以上になってから(図8における時刻t2)、上記1つの気筒11(1番気筒#1)への燃料供給を停止させつつ、残余の気筒11(燃焼気筒)のすべてにおける空燃比をリーン側に変化させて弱リッチにする(図5のステップS310等)。更に、エンジンECU100は、触媒昇温制御の実行中、パティキュレートフィルタ190の温度Tpfが再生可能温度Tyよりも高い再生促進温度Tz(第2の判定閾値)以上になってから(図8における時刻t3)、触媒昇温制御ルーチンの実行により不足するトルクをモータジェネレータMG2によって補填可能であることを条件に(図6のステップS460−S480)、上記残余の気筒11の何れか1つ(4番気筒#4)への燃料供給を停止させる(図5のステップS305等)。
これにより、一部の気筒11への燃料供給が停止されるエンジン10を安定に作動させつつ、十分に昇温した上流側および下流側浄化装置18,19の内部に複数のフューエルカット気筒からより多くの酸素を供給することが可能となる。従って、ハイブリッド車両1では、排ガス浄化触媒と共に昇温したパティキュレートフィルタ190に複数のフューエルカット気筒からより多くの酸素を導入して当該パティキュレートフィルタ190に堆積した粒子状物質を良好に燃焼させることが可能となる。また、ハイブリッド車両1では、上流側浄化装置18の排ガス浄化触媒180のS被毒やHC被毒を良好に緩和することもできる。
更に、エンジンECU100は、HVECU70によりフューエルカット気筒の追加が許可された場合、触媒昇温制御ルーチンの非実行時に上記1つの気筒11(1番気筒#1)に対して燃料噴射(点火)が連続して実行されない気筒11(4番気筒#4)を新たなフューエルカット気筒として選択する。すなわち、エンジンECU100は、2つ(複数)の気筒11への燃料供給を停止させる場合、何れか1つの気筒11への燃料供給を停止させた後に、少なくとも1つの気筒11に燃料を供給するように触媒昇温制御ルーチンを実行する。これにより、複数の気筒11への燃料供給が連続して停止されなくなることから、エンジン10から出力されるトルクの変動やエンジン音の悪化を抑制することが可能となる。
また、エンジンECU100は、フューエルカット気筒を追加した後にパティキュレートフィルタ190の温度Tpfが昇温制御開始温度Tx未満になった場合(図8における時刻t4)、図8に示すように、フューエルカット気筒の数を減少させると共に燃料が供給される気筒11(燃焼気筒)における空燃比をリッチにする(図5のステップS325、図4のステップS220−S270)。これにより、フューエルカット気筒の追加に伴う上流側および下流側浄化装置18,19への空気導入量の増加に応じて両者の温度が低下した場合に、燃焼気筒における空燃比をリッチにして再度上流側および下流側浄化装置18,19の温度を高くすると共に、フューエルカット気筒の減少により上流側および下流側浄化装置18,19に導入される空気の量を減らして、両者の温度低下を抑制することが可能となる。
そして、パティキュレートフィルタ190における堆積量Dpmが上記閾値D0以下になると(図8における時刻t5)、エンジンECU100は、触媒昇温フラグをオフすると共に触媒昇温制御ルーチンを終了させる。ただし、アクセルON状態の継続時間が比較的短く、その間にパティキュレートフィルタ190における堆積量Dpmが上記閾値D0以下にならなかった場合には、図4から図6のルーチンは一旦中断され、次に運転者によりアクセルペダル84が踏み込まれた際に再開される。
上述のように、ハイブリッド車両1では、エンジン10の負荷運転中に、ドライバビリティの悪化を抑制しつつ、上流側および下流側浄化装置18,19を十分かつ速やかに昇温させると共に、当該上流側および下流側浄化装置18,19に排ガス浄化触媒180やパティキュレートフィルタ190の再生に十分な量の酸素を供給することが可能となる。すなわち、上述の触媒昇温制御ルーチンによれば、パティキュレートフィルタ190に多くの粒子状物質が堆積しがちな低温環境下、特に1日の平均気温が−20℃を下回るような極低温環境下においても、パティキュレートフィルタ190に堆積した粒子状物質を良好に燃焼させて当該パティキュレートフィルタ190を再生させることができる。
なお、上記実施形態では、触媒昇温制御ルーチンの実行が許可されると、フューエルカット気筒以外のすべての燃焼気筒における空燃比がリッチ化されるが、これに限られるものではない。すなわち、上記ハイブリッド車両1において、触媒昇温制御ルーチンの開始当初に燃焼気筒における空燃比をリッチ化する代わりに、当該燃焼気筒における空燃比を理論空燃比にしてもよい。かかる態様では、燃焼気筒における空燃比をリッチ化する場合に比べて上流側および下流側浄化装置18,19の昇温に時間を要することになるが、未燃燃料を十分な酸素の存在下で反応させて、反応熱により上流側および下流側浄化装置18,19の温度を十分に高めることができる。更に、一部の気筒11への燃料供給を継続して停止させることで、昇温した上流側および下流側浄化装置18,19の内部に十分な量の酸素を供給することが可能となる。
また、上記実施形態では、パティキュレートフィルタ190の温度Tpfが再生可能温度Ty(第1の判定閾値)以上になってから、燃焼気筒のすべてにおける空燃比がリーン側に変化させられるが、これに限られるものではない。すなわち、上記ハイブリッド車両1において、パティキュレートフィルタ190の温度Tpfが再生促進温度Tz(判定閾値)に達するまで、フューエルカット気筒以外の残余の気筒11における空燃比をリッチにしてもよい。そして、温度Tpfが再生促進温度Tz以上になってから、上記不足トルクをモータジェネレータMG2によって補填可能であることを条件に、当該残余の気筒11の何れか1つへの燃料供給を停止させると共に、当該残余の気筒11のうちの燃料供給が停止されない気筒11における空燃比をリーン側(弱リッチ)に変化させてもよい。かかる態様によれば、排ガス浄化触媒180やパティキュレートフィルタ190を十分かつ速やかに昇温させてから、上流側および下流側浄化装置18,19の内部により多くの酸素を供給することが可能となる。
更に、図5のステップS310では、フューエルカット気筒以外のすべての燃焼気筒における空燃比がリーンになるように燃料噴射量が設定されてもよい。また、パティキュレートフィルタ190の温度Tpfが再生促進温度Tz以上になってから、フューエルカット気筒を追加する代わりに、図8において二点鎖線で示すように、フューエルカット気筒以外のすべての燃焼気筒における空燃比をリーンにしてもよい。更に、触媒昇温制御ルーチンの実行中に燃焼気筒における空燃比を変化させる際には、図8において破線で示すように、例えばパティキュレートフィルタ190の温度Tpf等の変化に応じて各燃焼気筒における空燃比を徐々に変化させてもよい。
また、ハイブリッド車両1において、燃焼気筒における空燃比のリッチ化により生じるエンジン10の余剰パワーは、モータジェネレータMG1の代わりにモータジェネレータMG2によって電力に変換されてもよい。この場合、図6のステップS540では、モータジェネレータMG2によって余剰トルクTexを相殺した場合に当該モータジェネレータMG2により生成される電力で蓄電装置40を充電することができるか否かを判定する。更に、図6のステップS550では、ステップS450にて設定されたトルク指令Tm2*から余剰トルクTexに相当するトルクを減じて当該トルク指令Tm2*を再設定する。そして、ステップS560では、ステップS450にて設定されたトルク指令Tm1*およびステップS550にて再設定したトルク指令Tm2*をMGECU55に送信する。そして、図6のステップS520にてリッチ化フラグFrが値1であると判定された場合、一律に点火遅角要求信号をエンジンECU100に送信してもよい。これらの態様によっても、触媒昇温制御ルーチンの実行中に各燃焼気筒における空燃比をリッチ化した際に、要求トルクTr*に応じたトルクを車輪Wに出力してハイブリッド車両1のドライバビリティを良好に確保することが可能となる。
また、ハイブリッド車両1のエンジン10は、直列エンジンであり、触媒昇温制御ルーチンは、1サイクル中に少なくとも1つの気筒11への燃料供給を停止させるように構築されるが、これに限られるものではない。すなわち、ハイブリッド車両1のエンジン10は、バンクごと排ガス浄化装置が設けられるV型エンジン、水平対向型エンジンあるいはW型エンジンであってもよい。この場合、触媒昇温制御ルーチンは、1サイクル中にバンクの各々で少なくとも1つの気筒への燃料供給が停止されるように構築されるとよい。これにより、V型エンジン等の各バンクの排ガス浄化装置に十分な酸素を送り込むことが可能となる。
更に、下流側浄化装置19は、上流側に配置された排ガス浄化触媒(三元触媒)と、当該排ガス浄化触媒の下流側に配置されたパティキュレートフィルタとを含むものであってもよい。この場合、ハイブリッド車両1から上流側浄化装置18が省略されてもよい。また、下流側浄化装置19は、パティキュレートフィルタのみを含むものであってもよい。この場合、触媒昇温制御ルーチンの実行により上流側浄化装置18の排ガス浄化触媒を昇温させることで、当該上流側浄化装置18から流入する高温の排ガスにより下流側浄化装置19(パティキュレートフィルタ190)を昇温させることができる。
また、上記ハイブリッド車両1において、プラネタリギヤ30のサンギヤ31にモータジェネレータMG1が連結され、リングギヤ32に出力部材が連結され、かつプラネタリキャリヤ34にエンジン10およびモータジェネレータMG2が連結されてもよい。更に、プラネタリギヤ30のリングギヤ32に有段変速機が連結されてもよい。また、ハイブリッド車両1において、プラネタリギヤ30が2つの遊星歯車を含む4要素式複合遊星歯車機構で置き換えられてもよい。この場合、複合遊星歯車機構の入力要素にエンジン10が連結され、出力要素に出力部材が連結され、残余の2つの回転要素の一方にモータジェネレータMG1が連結され、他方にモータジェネレータMG2が連結されてもよい。更に、当該複合遊星歯車機構には、4つの回転要素の何れか2つを連結するクラッチや、何れか1つを回転不能に固定する可能なブレーキが設けられてもよい。また、ハイブリッド車両1は、蓄電装置40を家庭用電源やスタンドに設置された急速充電器といった外部電源からの電力により充電可能なプラグインハイブリッド車両として構成されてもよい。
図9は、上述のハイブリッド車両1においてエンジンECU100により所定時間おきに繰り返し実行される蒸発燃料パージ制御ルーチンを例示するフローチャートである。
図9のルーチンの開始に際し、エンジンECU100は、冷却水温Twや吸入空気量GA、触媒昇温フラグやエンジン10の運転状態を示す各種フラグの値といった制御に必要な情報を取得する(ステップS900)。次いで、エンジンECU100は、蒸発燃料処理装置110により蒸発燃料を吸気マニホールド13mに導入するためのパージ条件が成立しているか否かを判定する(ステップS910)。ステップS910において、エンジンECU100は、例えば、冷却水温Twが予め定められたパージ許可温度以上であり、各種学習処理が完了しており、かつ上流側および下流側空燃比センサ95,96の検出値に基づく空燃比フィードバック制御が実行されている場合、パージ条件が成立していると判定する。
ステップS910にてパージ条件が成立していると判定した場合(ステップS910:YES)、エンジンECU100は、ステップS900にて取得した触媒昇温フラグの値に基づいて当該触媒昇温フラグがオフされているか否かを判定する(ステップS920)。ステップS920にて触媒昇温フラグがオフされていると判定した場合(ステップS920:YES)、エンジンECU100は、吸入空気量GAやキャニスタ111における蒸発燃料の濃度の学習値等に基づいて、蒸発燃料処理装置110により吸気マニホールド13mに導入される燃料の量のポート噴射弁15pまたは筒内噴射弁15dから噴射される燃料の量に対する割合を示す目標パージ率を設定する(ステップS930)。そして、エンジンECU100は、ステップS930にて設定した目標パージ率に応じた開度が実現されるようにパージ弁Vsvを制御し(ステップS940)、図9のルーチンを一旦終了させる。
一方、ステップS910にてパージ条件が成立していないと判定した場合(ステップS910:NO)、エンジンECU100は、目標パージ率にゼロを設定し(ステップS950)、パージ弁Vsvを開弁させることなく、図9のルーチンを一旦終了させる。また、ステップS920にて触媒昇温フラグがオンされていると判定した場合(ステップS920:NO)。エンジンECU100は、目標パージ率にゼロを設定する(ステップS950)。この場合も、エンジンECU100は、パージ弁Vsvを開弁させることなく、図9のルーチンを一旦終了させる。
上述のような図9のルーチンが実行される結果、ハイブリッド車両1では、触媒昇温フラグがオンされている間、すなわちエンジンECU100により図4および図5に示す触媒昇温制御ルーチンが実行されている間、蒸発燃料処理装置110によって吸気マニホールド13m何に導入される蒸発燃料の量はゼロとなる。これにより、触媒昇温制御ルーチンの実行中に、フューエルカット気筒以外の燃料が供給される気筒11(燃焼気筒)における空燃比をリッチ側あるいはリーン側の目標値に精度よく近づけることが可能となる。従って、燃焼気筒における空燃比の目標値からのズレに起因して上流側および下流側浄化装置18および19に導入される酸素が減少するのを抑制することができる。この結果、上記触媒昇温制御ルーチンの実行により、排ガス浄化触媒180やパティキュレートフィルタ190を十分かつ速やかに昇温させてから、上流側および下流側浄化装置18,19の内部により多くの酸素を供給することが可能となる。
ただし、触媒昇温制御ルーチンの実行中、必ずしも一律に蒸発燃料処理装置110によって吸気マニホールド13m何に導入される蒸発燃料の量をゼロにする必要はない。すなわち、触媒昇温制御ルーチンの実行中、蒸発燃料処理装置110による蒸発燃料のパージを禁止する代わりに、触媒昇温制御ルーチンが実行されない場合に比べて目標パージ率を小さく制限しながら蒸発燃料処理装置110による蒸発燃料のパージを許可してもよい。更に、例えばキャニスタ111における蒸発燃料の濃度(学習値)に応じて目標パージ率の下限値を変化させてもよい。
また、図10に示すように、触媒昇温制御ルーチンの実行中、目標パージ率をパティキュレートフィルタ190の温度Tpf、フューエルカット気筒の数、あるいは燃焼気筒における空燃比(目標空燃比)、に応じて変化させてもよい。すなわち、パティキュレートフィルタ190の温度が高くなるにつれて目標パージ率を小さくしてもよく、フューエルカット気の数が多いほど(上流側および下流側浄化装置18,19に多くの酸素が要求されるほど)目標パージ率を小さくしてもよい。更に、燃焼気筒における空燃比がリッチ側からリーン側に変化するにつれて、目標パージ率を小さくしてもよい。また、上記フューエルカット気筒は、複数の気筒11内で選択的に変更されてもよい。この場合、各気筒11からの排ガスの流れや、各気筒11と上流側空燃比センサ95等との位置関係等を考慮して、フューエルカット気筒が変更されるたびに目標パージ率が変更されてもよい。
図11は、本開示の他の車両であるハイブリッド車両1Bを示す概略構成図である。なお、ハイブリッド車両1Bの構成要素のうち、上述のハイブリッド車両1と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図11に示すハイブリッド車両1Bは、複数の気筒(図示省略)を含むエンジン(内燃機関)10Bと、モータジェネレータ(同期発電電動機)MG1,MG2と、トランスアクスル20Bとを含むシリーズ・パラレル式のハイブリッド車両である。エンジン10Bは、排ガス浄化装置として、上流側浄化装置18および下流側浄化装置19を含む。また、エンジン10Bのクランクシャフト(図示省略)、モータジェネレータMG1のロータおよび車輪W1は、トランスアクスル20Bに連結される。更に、モータジェネレータMG2は、車輪W1とは異なる車輪W2に連結される。ただし、モータジェネレータMG2は、車輪W1に連結されてもよい。トランスアクスル20Bは、有段変速機や無段変速機、デュアルクラッチトランスミッション等を含むものであってもよい。
かかるハイブリッド車両1Bは、エンジン10Bの運転が停止される際、蓄電装置40からの電力によって駆動されるモータジェネレータMG1およびMG2の少なくとも何れか一方からの駆動トルク(駆動力)により走行可能である。また、ハイブリッド車両1Bでは、負荷運転されるエンジン10Bからの動力のすべてをモータジェネレータMG1により電力に変換し、モータジェネレータMG1からの電力によってモータジェネレータMG2を駆動することもできる。更に、ハイブリッド車両1Bでは、負荷運転されるエンジン10Bからの駆動トルク(駆動力)をトランスアクスル20Bを介して車輪W1に伝達することも可能である。
また、ハイブリッド車両1Bでは、負荷運転されるエンジン10Bからの駆動トルクがトランスアクスル20Bを介して車輪W1に伝達される間に、図示しないエンジンECUによって図4および図5に示すものと同様の触媒昇温ルーチンが実行される。更に、当該触媒昇温ルーチンが実行される間、モータジェネレータMG2は、エンジン10Bの一部の気筒のフューエルカットにより不足する駆動トルクを補填するように制御される。加えて、ハイブリッド車両1Bにおいても、図示しないエンジンECUによって図9に示すものと同様の蒸発燃料パージ制御ルーチンが実行される。これにより、ハイブリッド車両1Bにおいても、上記ハイブリッド車両1と同様の作用効果を得ることが可能となる。また、ハイブリッド車両1Bでは、触媒昇温制御ルーチンの実行中、トランスアクスル20Bに含まれる変速機のダウンシフト(変速比の変更)を適宜実行してエンジン10Bの回転数を所定回転数以上にしてもよい。これにより、エンジン10Bの回転数を上昇させて上記一部の気筒への燃料供給が停止される時間を短くし、エンジン10Bの振動等が顕在化するのを極めて良好に抑制することが可能となる。
図12は、本開示の更に他の車両であるハイブリッド車両1Cを示す概略構成図である。なお、ハイブリッド車両1Cの構成要素のうち、上述のハイブリッド車両1等と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図12に示すハイブリッド車両1Cは、複数の気筒(図示省略)を含むエンジン(内燃機関)10Cと、モータジェネレータ(同期発電電動機)MG1,MG2とを含むシリーズ・パラレル式のハイブリッド車両である。ハイブリッド車両1Cにおいて、エンジン10CのクランクシャフトおよびモータジェネレータMG1のロータは、第1シャフトS1に連結され、モータジェネレータMG1は、エンジン10Cからの動力の少なくとも一部を電力に変換可能である。また、モータジェネレータMG2のロータは、直接またはギヤ列等を含む動力伝達機構120を介して第2シャフトS2に連結され、第2シャフトS2は、デファレンシャルギヤ39等を介して車輪Wに連結される。ただし、モータジェネレータMG2は、車輪W以外の図示しない車輪に連結されてもよい。更に、ハイブリッド車両1Cは、第1シャフトS1と第2シャフトS2とを互いに接続すると共に両者の接続を解除するクラッチKを含む。ハイブリッド車両1Cにおいて、動力伝達機構120、クラッチKおよびデファレンシャルギヤ39は、トランスアクスルに含まれてもよい。
かかるハイブリッド車両1Cでは、クラッチKが係合させられた際に、エンジン10Cからの駆動トルクを第2シャフトS2すなわち車輪Wに出力することができる。そして、ハイブリッド車両1Cでは、クラッチKによりエンジン10Cのクランクシャフトと第2シャフトS2すなわち車輪Wとが連結され、かつ運転者によるアクセルペダルの踏み込みに応じてエンジン10Cが負荷運転される間に、図示しないエンジンECUによって図4および図5に示すものと同様の触媒昇温ルーチンが実行される。更に、当該触媒昇温ルーチンが実行される間、モータジェネレータMG2は、エンジン10Cの一部の気筒のフューエルカットにより不足する駆動トルクを補填するように制御される。加えて、ハイブリッド車両1Cにおいても、図示しないエンジンECUによって図9に示すものと同様の蒸発燃料パージ制御ルーチンが実行される。これにより、ハイブリッド車両1Cにおいても、上記ハイブリッド車両1等と同様の作用効果を得ることが可能となる。
図13は、本開示の他の車両であるハイブリッド車両1Dを示す概略構成図である。なお、ハイブリッド車両1Dの構成要素のうち、上述のハイブリッド車両1等と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図13に示すハイブリッド車両1Dは、複数の気筒(図示省略)を含むエンジン(内燃機関)10Dと、モータジェネレータ(同期発電電動機)MGと、油圧式のクラッチK0と、動力伝達装置21と、蓄電装置(高電圧バッテリ)40Dと、補機バッテリ(低電圧バッテリ)41と、モータジェネレータMGを駆動するPCU50Dと、PCU50Dを制御するMGECU55Dと、エンジン10Dおよび動力伝達装置21を制御する主電子制御ユニット(以下、「メインECU」という。)170とを含むパラレル式のハイブリッド車両である。エンジン10Dは、排ガス浄化装置として、上流側浄化装置18および下流側浄化装置19を含み、当該エンジン10Dのクランクシャフトは、ダンパ機構24の入力部材に連結される。モータジェネレータMGは、蓄電装置40Dからの電力により駆動されて駆動トルクを発生する電動機として作動すると共に、ハイブリッド車両1Dの制動に際して回生制動トルクを出力する。また、モータジェネレータMGは、負荷運転されるエンジン10Dからの動力の少なくとも一部を電力に変換する発電機としても作動する。モータジェネレータMGのロータは、図示するように、動力伝達装置21の入力軸21iに固定される。
クラッチK0は、ダンパ機構24の出力部材すなわちエンジン10Dのクランクシャフトと入力軸21iすなわちモータジェネレータMGのロータとを連結すると共に両者の連結を解除するものである。動力伝達装置21は、トルクコンバータ(流体伝動装置)22や、多板式あるいは単板式のロックアップクラッチ23、機械式オイルポンプMOP、電動オイルポンプEOP、変速機25、作動油を調圧する油圧制御装置27等を含む。変速機25は、例えば4段−10段変速式の自動変速機であり、複数の遊星歯車や、それぞれ複数のクラッチおよびブレーキ(摩擦係合要素)を含む。変速機25は、入力軸21iからトルクコンバータ22あるいはロックアップクラッチ23の何れか一方を介して伝達された動力を複数段階に変速して動力伝達装置21の出力軸21oからデファレンシャルギヤ39を介してドライブシャフトDSに出力する。ただし、変速機25は機械式の無段変速機やデュアルクラッチトランスミッション等であってもよい。また、モータジェネレータMGのロータと動力伝達装置21の入力軸21iとの間に、両者を連結・切離するクラッチが配置されてもよい(図13における二点鎖線参照)。
かかるハイブリッド車両1Dでは、クラッチK0によりエンジン10Dのクランクシャフトと入力軸21iすなわちモータジェネレータMGとが連結され、かつ運転者によるアクセルペダルの踏み込みに応じてエンジン10Dが負荷運転される間に、メインECU170によって図4および図5に示すものと同様の触媒昇温ルーチンが実行される。更に、当該触媒昇温ルーチンが実行される間、メインECU170およびMGECU55Dは、エンジン10Dの一部の気筒のフューエルカットにより不足する駆動トルクを補填するようにモータジェネレータMGを制御する。加えて、ハイブリッド車両1Dでは、メインECU170によって図9に示すものと同様の蒸発燃料パージ制御ルーチンが実行される。これにより、ハイブリッド車両1Dにおいても、上記ハイブリッド車両1等と同様の作用効果を得ることが可能となる。また、ハイブリッド車両1Dにおいて燃焼気筒における空燃比がリッチ化される際には、エンジン10Dの余剰パワーがモータジェネレータMGによって電力に変換されてもよく、点火時期の遅角によりエンジン10Dの出力トルクの増加が抑制されてもよい。更に、ハイブリッド車両1Dでは、触媒昇温制御ルーチンの実行中、変速機25のダウンシフト(変速比の変更)を適宜実行してエンジン10Dの回転数を所定回転数以上にしてもよい。
図14は、本開示の更に他の車両であるハイブリッド車両1Eを示す概略構成図である。なお、ハイブリッド車両1Eの構成要素のうち、上述のハイブリッド車両1等と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図14に示すハイブリッド車両1Eは、複数の気筒(図示省略)を含むエンジン(内燃機関)10Eと、モータジェネレータ(同期発電電動機)MGと、動力伝達装置21Eと、高電圧バッテリ40Eと、低電圧バッテリ(補機バッテリ)41Eと、高電圧バッテリ40Eおよび低電圧バッテリ41Eに接続されたDC/DCコンバータ44と、モータジェネレータMGを駆動するインバータ54と、エンジン10Eを制御するエンジンECU100Eと、DC/DCコンバータ44およびインバータ54を制御するMGECU55Eと、車両全体を制御するHVECU70Eとを含む。エンジン10Eは、排ガス浄化装置として、上流側浄化装置18および下流側浄化装置19を含み、当該エンジン10Eのクランクシャフト12は、動力伝達装置21Eに含まれる図示しないダンパ機構の入力部材に連結される。更に、エンジン10Eは、クランクシャフト12にクランキングトルクを出力して当該エンジン10Eを始動させるスタータ130を含む。
モータジェネレータMGのロータは、伝動機構140を介してエンジン10Eのクランクシャフト12の動力伝達装置21E側とは反対側の端部に連結される。本実施形態において、伝動機構140は、巻掛け伝動機構、ギヤ機構あるいはチェーン機構である。ただし、モータジェネレータMGは、エンジン10Eと動力伝達装置21Eとの間に配置されてもよく、直流電動機であってもよい。動力伝達装置21Eは、上記ダンパ機構に加えて、トルクコンバータ(流体伝動装置)、多板式あるいは単板式のロックアップクラッチ、変速機、作動油を調圧する油圧制御装置等を含む。動力伝達装置21Eの変速機は、有段変速機、機械式の無段変速機またはデュアルクラッチトランスミッション等である。
かかるハイブリッド車両1Eでは、伝動機構140を介してモータジェネレータMGからクランクシャフト12にクランキングトルクを出力することで、エンジン10Eを始動させることができる。また、ハイブリッド車両1Eの走行中、モータジェネレータMGは、主に、負荷運転されるエンジン10Eからの動力の一部を電力に変換する発電機として作動すると共に、適宜高電圧バッテリ40Eからの電力により駆動されて駆動トルク(アシストトルク)をエンジン10Eのクランクシャフト12に出力する。更に、ハイブリッド車両1Eの制動に際して、モータジェネレータMGは、回生制動トルクをエンジン10Eのクランクシャフト12に出力する。
また、ハイブリッド車両1Eにおいても、運転者によるアクセルペダルの踏み込みに応じてエンジン10Eが負荷運転される間に、エンジンECU100Eによって図4および図5に示すものと同様の触媒昇温ルーチンが実行される。更に、当該触媒昇温ルーチンが実行される間、HVECU70EおよびMGECU55Eは、エンジン10Eの一部の気筒のフューエルカットにより不足する駆動トルクを補填するようにモータジェネレータMGを制御する。加えて、ハイブリッド車両1Eでは、エンジンECU100Eによって図9に示すものと同様の蒸発燃料パージ制御ルーチンが実行される。これにより、ハイブリッド車両1Eにおいても、上記ハイブリッド車両1等と同様の作用効果を得ることが可能となる。また、ハイブリッド車両1Eにおいて燃焼気筒における空燃比がリッチ化される際には、エンジン10Eの余剰パワーがモータジェネレータMGによって電力に変換されてもよく、点火時期の遅角によりエンジン10Eの出力トルクの増加が抑制されてもよい。更に、ハイブリッド車両1Eでは、触媒昇温制御ルーチンの実行中、動力伝達装置21Eの変速機のダウンシフト(変速比の変更)を適宜実行してエンジン10Eの回転数を所定回転数以上にしてもよい。
図15は、本開示の他の車両1Fを示す概略構成図である。なお、車両1Fの構成要素のうち、上述のハイブリッド車両1等と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図15に示す車両1Fは、動力発生源として、複数の気筒を含むエンジン(内燃機関)1Fのみを含むものである。車両1Fのエンジン10Fは、例えば、バンクごとに上流側浄化装置18および下流側浄化装置19を含むV型エンジンであり、エンジンECU100Fにより制御される。ただし、エンジン10Fは、直列エンジン、水平対向型エンジンあるいはW型エンジンであってもよい。また、車両1Fは、エンジン10Fに連結される動力伝達装置21Fを含む。動力伝達装置21Fは、エンジンECU100Fと相互に情報をやり取りする変速電子制御装置(以下、「TMECU」という。)210により制御される。
動力伝達装置21Fは、トルクコンバータ(流体伝動装置)22や、多板式あるいは単板式のロックアップクラッチ23、ダンパ機構24、機械式オイルポンプMOP、電動オイルポンプEOP、変速機25、作動油を調圧する油圧制御装置27等を含む。変速機25は、例えば4段−10段変速式の自動変速機であり、複数の遊星歯車や、それぞれ複数のクラッチおよびブレーキ(摩擦係合要素)を含む。変速機25は、エンジン10Fからトルクコンバータ22あるいはロックアップクラッチ23の何れか一方を介して伝達された動力を複数段階に変速して動力伝達装置21Fの出力軸21oからデファレンシャルギヤ39を介してドライブシャフトDSに出力する。ただし、変速機25は機械式の無段変速機やデュアルクラッチトランスミッション等であってもよい。
図16は、上述の車両1Fにおいて、エンジンECU100Fにより実行される触媒昇温制御ルーチンを例示するフローチャートである。エンジンECU100Fは、下流側浄化装置19のパティキュレートフィルタにおける粒子状物質の堆積量が予め定められた閾値以上であり、かつ当該パティキュレートフィルタの温度が昇温制御開始温度(所定温度)未満であると判定された際に、図16のルーチンの実行を開始する。図16のルーチンの開始に際し、エンジンECU100Fは、別途設定したエンジン10Fへの要求パワーPe*および目標回転数Ne*、エンジン10Fの吸入空気量GAや回転数Ne、冷却水温Tw、クランク角センサ90からのクランクポジション、変速機25の変速段といった制御に必要な情報を取得する(ステップS600)。
ステップS600の処理の後、エンジンECU100Fは、エンジン10Fの一部の気筒11のフューエルカットが許容されるか否かを判定する(ステップS610)。ステップS610において、エンジンECU100Fは、ステップS600にて取得した回転数Neが所定回転数(例えば、2500rpm程度)以上であるか否かを判定する。エンジンECU100Fは、回転数Neが当該所定回転数以上であると判定した場合、一部の気筒11のフューエルカットを許可する。また、エンジンECU100Fは、エンジン10Fの回転数Neが当該所定回転数未満である場合、回転数Neと変速機25の変速段とに基づいて当該変速機25のダウンシフト(変速比の変更)によりエンジン10Fの回転数を当該所定回転数以上にすることができるか否かを判定する。変速機25のダウンシフトによりエンジン10Fの回転数を所定回転数以上にすることができると判定した場合、エンジンECU100Fは、一部の気筒のフューエルカットを許可する。これに対して、変速機25のダウンシフトによりエンジン10Fの回転数を所定回転数以上にすることができないと判定した場合、エンジンECU100Fは、一部の気筒のフューエルカットを禁止する。
エンジンECU100Fは、一部の気筒のフューエルカットを禁止する場合(ステップS620:NO)、触媒昇温フラグをオフした上で(ステップS625)、図16のルーチンを終了させる。これに対して、一部の気筒のフューエルカットを許可する場合(ステップS620:YES)、エンジンECU100Fは、触媒昇温フラグをオンすると共に、エンジン10Fの回転数を上記所定回転数以上にするための変速段である目標変速段を示す信号をTMECU210に送信する(ステップS630)。TMECU210は、変速機25の変速段がエンジンECU100Fからの目標変速段になるように油圧制御装置27を制御する。
次いで、エンジンECU100Fは、図示しないスロットルバルブの目標開度や、エンジン10Fの図示しない燃料噴射弁からの燃料噴射量や燃料噴射終了時期といった燃料噴射制御量を設定する(ステップS640)。ステップS640において、エンジンECU100Fは、要求トルク(=Pe*/Ne*)と、当該要求トルクを値n・(n−1)で除した値(=Te*/n/(n−1))との和に対応した開度をスロットルバルブの目標開度に設定する(ただし、“n”は、エンジン10Fの気筒数である)。また、ステップS640において、エンジンECU100Fは、エンジン10Fの複数の気筒のうち、予め定められた1つの気筒(フューエルカット気筒)への燃料噴射量をゼロにする。更に、ステップS640において、エンジンECU100Fは、当該1つの気筒以外の残余の気筒(燃焼気筒)における空燃比が理論空燃比になるように、当該残余の気筒への燃料噴射量をスロットルバルブの目標開度に基づいて設定する。
ステップS640の処理の後、エンジンECU100Fは、スロットルバルブの開度が目標開度になるように当該スロットルバルブのスロットルモータ等を制御する(ステップS650)。更に、エンジンECU100Fは、クランク角センサ90からのクランクポジションに基づいて、燃料噴射開始時期が到来した気筒を判別する(ステップS660)。エンジンECU100Fは、ステップS660の判別処理により上記1つの気筒(フューエルカット気筒)の燃料噴射開始時期が到来したと判定した場合(ステップS670:NO)、当該1つの気筒に対応した燃料噴射弁から燃料を噴射させることなく、エンジン10Fを2回転させる1サイクルの燃料噴射が完了したか否かを判定する(ステップS690)。また、エンジンECU100Fは、ステップS660の判別処理により上記残余の気筒(燃焼気筒)の何れかの燃料噴射開始時期が到来したと判定した場合(ステップS670:YES)、当該気筒に対して該当する燃料噴射弁から燃料を噴射させ(ステップS680)、1サイクルの燃料噴射が完了したか否かを判定する(ステップS690)。
ステップS690にて1サイクルの燃料噴射が完了していないと判定した場合(ステップS690:NO)、エンジンECU100Fは、ステップS660−S680の処理を繰り返し実行する。また、エンジンECU100Fは、ステップS690にて1サイクルの燃料噴射が完了したと判定した場合(ステップS690:YES)、再度ステップS600以降の処理を実行する。図16のルーチンも、運転者によるアクセルペダルの踏み込みに応じてエンジン10Fが負荷運転される間、ステップS610,S620にてエンジン10Fの一部の気筒のフューエルカットが許可されることを条件に、下流側浄化装置19のパティキュレートフィルタの再生が完了するまで実行される。
上述のように、動力発生源としてエンジン10Fのみを含む車両1Fでは、触媒昇温制御ルーチンの実行中、一部の気筒のフューエルカットにより不足するトルク(=Te*/n)がフューエルカット気筒以外の残余の気筒(燃焼気筒)での燃料の燃焼によって補填されるようにエンジン10Fが制御される。すなわち、車両1FのエンジンECU100Fは、一部の気筒のフューエルカットにより不足するトルクに応じて上記残余の気筒の吸入空気量および燃料噴射量を増量させる(図16のステップS640)。これにより、一部の気筒のフューエルカットにより不足するトルクを残余の気筒での燃料の燃焼によって良好に補填することができる。従って、車両1Fにおいても、エンジン10Fの負荷運転中に、ドライバビリティの悪化を抑制しつつ、上流側浄化装置18の排ガス浄化触媒や下流側浄化装置19のパティキュレートフィルタを十分に昇温させると共に上流側および下流側浄化装置18,19に十分な量の酸素を供給することが可能となる。
また、車両1Fでは、触媒昇温制御ルーチンの実行中、エンジン10Fの回転数が所定回転数以上になるように、変速機25のダウンシフト(変速比の変更)が適宜実行される。これにより、エンジン10Fの回転数を上昇させて上記一部の気筒への燃料供給が停止される時間を短くし、エンジン10Fの振動等が顕在化するのを極めて良好に抑制することが可能となる。
加えて、車両1Fでは、エンジンECU100Fによって図9に示すものと同様の蒸発燃料パージ制御ルーチンが実行される。これにより、触媒昇温制御ルーチンの実行中に、フューエルカット気筒以外の燃料が供給される気筒(燃焼気筒)における空燃比を目標値に精度よく近づけることができる。従って、燃焼気筒における空燃比の目標値からのズレに起因して上流側および下流側浄化装置18および19に導入される酸素が減少するのを抑制することができる。
なお、車両1Fにおいて、触媒昇温制御ルーチンの開始当初に、図16のステップS640にて燃焼気筒における空燃比がリッチになるように燃料噴射量が設定されてもよい。これにより、排ガス浄化触媒やパティキュレートフィルタを速やかに昇温させることができる。また、車両1Fにおいても、図4および図5の触媒昇温ルーチンと同様に、下流側浄化装置19のパティキュレートフィルタの温度に応じてフューエルカット気筒が増減されてもよい。更に、図16の触媒昇温制御ルーチンにおいて、ステップS620−S630の処理が省略されてもよい。すなわち、図16の触媒昇温制御ルーチンでは、車両1Fの走行状態等に拘わらず、一部の気筒のフューエルカットが許容されてもよい。
以上説明したように、本開示の車両は、少なくとも複数気筒エンジンを含むと共に車輪に駆動力を出力する動力発生装置と、前記複数気筒エンジンからの排ガスを浄化する触媒を含む排ガス浄化装置と、前記複数気筒エンジンの燃料を貯留する燃料タンク内で発生した蒸発燃料を前記複数気筒エンジンの吸気管に導入する蒸発燃料処理装置とを含む車両において、前記複数気筒エンジンの負荷運転中に前記触媒の昇温が要求された場合、少なくとも何れか1つの気筒への燃料供給を停止させ、かつ前記少なくとも何れか1つの気筒以外の残余の気筒に燃料を供給する触媒昇温制御を実行すると共に、前記触媒昇温制御の実行により不足する駆動力を補填するように前記動力発生装置を制御する制御装置であって、前記触媒昇温制御の実行中、前記蒸発燃料処理装置によって前記吸気管に導入される前記蒸発燃料の量を前記触媒昇温制御が実行されない場合に比べて減少させる制御装置を含むものである。
本開示の車両の制御装置は、複数気筒エンジンの負荷運転中に触媒の昇温が要求された場合、複数気筒エンジンの少なくとも何れか1つの気筒への燃料供給を停止させ、かつ残余の気筒に燃料を供給する触媒昇温制御を実行する。これにより、触媒昇温制御の実行中、排ガス浄化装置には、燃料供給が停止された気筒から空気すなわち酸素が導入されると共に、燃料が供給された気筒から未燃燃料が導入される。従って、複数気筒エンジンの負荷運転中に、未燃燃料を十分な酸素の存在下で反応させて、反応熱により触媒の温度を十分に高めることができる。また、一部の気筒への燃料供給を継続して停止させることで、昇温した排ガス浄化装置の内部に十分な量の酸素を供給することが可能となる。更に、触媒昇温制御の実行中、動力発生装置は、当該触媒昇温制御、すなわち上記少なくとも何れか1つの気筒への燃料供給の停止により不足する駆動力を補填するように制御装置により制御される。これにより、触媒昇温制御の実行中に要求に応じた駆動力を車輪に出力することができる。加えて、触媒昇温制御の実行中、当該制御装置は、蒸発燃料処理装置によって吸気管に導入される蒸発燃料の量を触媒昇温制御が実行されない場合に比べて減少させる。これにより、触媒昇温制御の実行中に燃料が供給される気筒における空燃比の目標値からのズレを小さくして、排ガス浄化装置に導入される酸素が減少するのを抑制することが可能となる。従って、本開示のハイブリッド車両では、複数気筒エンジンの負荷運転中に、ドライバビリティの悪化を抑制しつつ、排ガス浄化装置の触媒を十分に昇温させると共に当該排ガス浄化装置に十分な量の酸素を供給することが可能となる。
また、前記制御装置は、前記触媒昇温制御の実行中、前記蒸発燃料処理装置によって前記吸気管に導入される前記蒸発燃料の量をゼロにするものであってもよい。これにより、触媒昇温制御の実行中に、燃料が供給される気筒における空燃比をより精度よく目標値に近づけることが可能となる。
更に、前記制御装置は、前記触媒昇温制御の開始と共に前記残余の気筒における空燃比をリッチにし、前記排ガス浄化装置の温度が予め定められた判定閾値以上になってから、前記残余の気筒の少なくとも何れか1つにおける空燃比をリーン側に変化させるものであってもよい。これにより、触媒昇温制御の実行中に燃料が供給される気筒における空燃比の目標値からのズレを小さくしながら、排ガス浄化装置の触媒を十分かつ速やかに昇温させると共に、十分に昇温した排ガス浄化装置の内部に多くの酸素を供給することが可能となる。
また、前記動力発生装置は、動力発生源として、前記複数気筒エンジンおよび電動機を含むものであってもよく、前記制御装置は、前記少なくとも何れか1つの気筒への燃料供給が停止される間に、前記不足する駆動力を補填するように前記電動機を制御するものであってもよい。これにより、一部の気筒への燃料供給の停止により不足する駆動力を電動機から高精度に応答性よく補填して、触媒昇温制御の実行中に、車両のドライバビリティの悪化を極めて良好に抑制することが可能となる。
更に、前記動力発生装置は、動力発生源として、前記複数気筒エンジンのみを含むものであってもよく、前記制御装置は、前記触媒昇温制御の実行中、前記不足する駆動力が前記残余の気筒での燃料の燃焼によって補填されるように前記複数気筒エンジンを制御するものであってもよい。これにより、動力発生源として複数気筒エンジンのみを含む車両において、複数気筒エンジンの負荷運転中に、ドライバビリティの悪化を抑制しつつ、触媒を十分に昇温させると共に、排ガス浄化装置に十分な量の酸素を供給することが可能となる。
また、前記排ガス浄化装置は、パティキュレートフィルタを含むものであってもよい。このような排ガス浄化装置を含む車両では、触媒と共に昇温したパティキュレートフィルタに、燃料供給が停止された気筒から多くの酸素を導入して当該パティキュレートフィルタに堆積した粒子状物質を良好に燃焼させることが可能となる。すなわち、本開示の触媒昇温制御は、パティキュレートフィルタに多くの粒子状物質が堆積しがちな低温環境下で当該パティキュレートフィルタを再生するのに極めて有用である。そして、パティキュレートフィルタは、触媒の下流側に配置されてもよく、触媒を担持するものであってもよい。また、排ガス浄化装置は、触媒を含む上流側浄化装置と、少なくともパティキュレートフィルタを含むと共に当該上流側浄化装置の下流側に配置される下流側浄化装置とを含むものであってもよい。
本開示の車両の制御方法は、少なくとも複数気筒エンジンを含むと共に車輪に駆動力を出力する動力発生装置と、前記複数気筒エンジンからの排ガスを浄化する触媒を含む排ガス浄化装置と、前記複数気筒エンジンの燃料を貯留する燃料タンク内で発生した蒸発燃料を前記複数気筒エンジンの吸気管に導入する蒸発燃料処理装置とを含む車両の制御方法において、前記複数気筒エンジンの負荷運転中に前記触媒の昇温が要求された場合、少なくとも何れか1つの気筒への燃料供給を停止させ、かつ前記少なくとも何れか1つの気筒以外の残余の気筒に燃料を供給する触媒昇温制御を実行すると共に、前記触媒昇温制御の実行により不足する駆動力を補填するように前記動力発生装置を制御し、前記触媒昇温制御の実行中、前記蒸発燃料処理装置によって前記吸気管に導入される前記蒸発燃料の量を前記触媒昇温制御が実行されない場合に比べて減少させるものである。
かかる方法によれば、複数気筒エンジンの負荷運転中に、ドライバビリティの悪化を抑制しつつ、排ガス浄化装置の触媒を十分に昇温させると共に当該排ガス浄化装置に十分な量の酸素を供給することが可能となる。
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。