いくつかの実施形態では、結合剤(たとえばモノクローナル抗体またはその抗原結合部分)およびペイロード(たとえば細胞障害性ペイロード)を含む結合剤−薬物複合体が本明細書に提示される。いくつかの実施形態では、結合剤はcMETに特異的に結合する新規モノクローナル抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態では、ペイロードはピロロベンゾジアゼピン(PBD)毒素および特定の連結基を含む。本明細書に記載した新規結合剤−薬物複合体はがんおよび/または腫瘍性障害を処置するために有用である。
本明細書に記載した結合剤はそれらの抗原結合領域(たとえば重鎖および軽鎖可変領域)のアミノ酸配列だけでなく、それらの機能的特徴においても新規である。たとえば本明細書に記載した抗cMET結合剤は、他のcMET抗体には見られない明確な特徴の組み合わせを持つ。第1に、本明細書に記載した抗cMET結合剤は、結合する際にcMET受容体からの有意なシグナル伝達(たとえば受容体チロシンキナーゼ活性)を誘起しない。したがって、結合する際に、本明細書に記載したcMET結合剤は、結合する際に望ましくない発がん活性(たとえば成長、増殖、転移または血管新生)を誘起しない。第2に、本明細書に記載した抗cMET結合剤は、結合した後にcMETの分解を誘起することができ、内部移行される。この特性の利点は、抗cMET結合剤に取着された任意の毒性ペイロードが標的細胞の内部に持ち込まれ、それによりペイロードの標的外の非特異的な毒性を低減させることである。この機能は、毒性ペイロードの活性を制御しまたは調整することも可能にする。たとえば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載した毒性ペイロードは細胞内プロテアーゼと接触するまで実質的に不活性である。第3に、本明細書に記載した特定の抗cMET結合剤は、非ヒト霊長類、ラットおよび/またはマウスと交差反応し、非ヒト動物モデルを使用して抗体薬物複合体を試験しおよび最適化することを可能にする。第4に、本明細書に記載した抗cMET結合剤は可溶性であり、in vivoでの長期の半減期を示し、保存時に安定である。
多くの細胞障害性ペイロードが知られており、それらを既知のリンカーを使用して抗体に取着させて、抗体薬物複合体(ADC)を生成することができる(たとえば米国特許出願公開第2014/0120118号、米国特許出願公開第2014/0127239号、米国特許出願公開第2016/0250344号、米国特許出願公開第2016/0250345号およびTiberghien, et al., (2016) ACS Medicinal Chemistry Letters 7 (11):983-987を参照)。しかしながら抗体結合剤の生化学的機能は、ペイロードへの複合体化後に変化することが多い。同様に、抗体への複合体化後のペイロードの生化学的特性は常に予測できるとは限らない。たとえば、既知のペイロードのin vivo活性は、使用するリンカーの種類およびリンカーが抗体に取着している場所に応じて、致死から治療効果なしの範囲で大きく異なり得る。したがって、特定のcMET結合剤を理想的なリンカー、選択した毒性ペイロードおよび抗体へのリンカーの最適な複合体化部位を組合せて抗体薬物結合体を生成することで、最適な毒素の送達を提供し、一方で、有害事象(たとえば標的外の毒性)を最小化し、結合剤の望ましい生体機能特性を維持することは、非常に困難で時間を消費するものであり、相当な発明努力を要する。本明細書に提示したADCは、毒素、リンカーおよび新規cMET結合剤の独自の組合せを提供し、最適な治療効果を提供し、一方で、標的外の毒性を実質的に低減しまたは排除する非常に効果的なADCを結果的にもたらす。
cMET
METは本明細書で用語「cMET」と同義に用いる。cMETは肝細胞増殖因子受容体(HGFR)としても知られている。ヒトcMET(たとえば配列番号109)は、1390アミノ酸の非成熟ポリペプチド配列を含み、N末端からC末端に数えてアミノ酸1〜24のN末端単一配列、アミノ酸約24〜932のヒトcMETの細胞外ドメイン、アミノ酸約933〜955の膜貫通ドメイン、およびアミノ酸約956〜1390の細胞質ドメインを含む。cMET受容体のリーダー配列、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインを同定する方法は知られており、好適な哺乳類種に由来するcMETポリペプチド配列内のそのようなドメインまたは領域を同定するために任意の好適な方法を用いることができる。ヒトcMETポリペプチドはいくつかの既知の変異体を含み得る(たとえば2016年5月5日にアクセスしたURL:http://www.uniprot.org/uniprot/P08581を参照。そこに開示されたcMET変異体および代替の配列は参照により本明細書に組み込まれる)。ヒトcMETの天然産生変異体の非限定的な例には、ヒトcMET(配列番号109)の143、150、156、168、238、316、320、375、385、773、970、991、および/または992におけるアミノ酸置換が含まれる。いくつかの実施形態では、cMETまたはcMETの細胞外ドメインは本明細書ではE168Dと称するヒトcMETの168位のEからDへの置換を含む。いくつかの実施形態ではcMETまたはcMETの細胞外ドメインは本明細書ではN375Sと称するヒトcMETの375位のNからSへの置換を含む。
いくつかの実施形態では、cMETは哺乳類cMETである。いくつかの実施形態では、cMETは霊長類cMETである。いくつかの実施形態では、cMETはヒトcMETである。いくつかの実施形態では、cMETはサルcMETである。いくつかの実施形態では、cMETはげっ歯類cMET(たとえばラットおよび/またはマウス)である。いくつかの実施形態では、cMETはイヌ科cMET(たとえばイヌcMET)である。哺乳類cMETの非限定的な例は実施例5および/または本出願の配列表で提供される。ある実施形態では、cMETの細胞外ドメインは典型的には未変性の哺乳類細胞の細胞表面上に発現したcMETポリペプチドのN末端部分を含む。cMETの細胞外ドメインはMET翻訳産生物に由来する2つ以上のポリペプチド鎖を含み得る。ある実施形態ではcMETの細胞外ドメインは細胞質ドメインおよび/または膜貫通ドメインを含まない可溶性形および/または非膜結合形で発現され得る。ある実施形態では、cMETの細胞外ドメインは融合タンパク質として発現され、単離され、および/または精製される。たとえば、哺乳類cMETの細胞外ドメインは免疫グロブリンのFc部分を含む融合タンパク質として操作され、発現され得る(たとえばcMET−Fc)。ある実施形態では、cMETおよび/またはcMETの細胞外ドメインは1つまたは複数のアミノ酸付加、欠失または置換を含む。cMETポリペプチドは本明細書に開示したcMETポリペプチドに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%であってよい。ある実施形態では、cMETポリペプチドはcMETタンパク質の部分(たとえばそのサブ配列)を含む。いくつかの実施形態では、cMETの部分はcMETの細胞外ドメインまたはその部分を含む。
結合剤
ある実施形態では、結合剤はcMETまたはその部分に特異的に結合する1つもしくは複数のポリペプチドまたは1つもしくは複数のタンパク質を含むかまたはからなる。いくつかの実施形態では、結合剤はcMETまたはその部分に特異的に結合する1つもしくは複数のタンパク質を含むかまたはからなる。結合剤は少なくとも1つの抗原結合部分(即ち結合部分)を含むことが多い。結合剤の抗原結合部分は抗原に特異的に結合する部分である。ある実施形態では、結合剤の結合部分は単一のポリペプチド(たとえば一本鎖抗体)を含むかまたはからなる。いくつかの実施形態では、結合剤の結合部分は2つのポリペプチドを含むかまたはからなる。いくつかの実施形態では、結合剤の結合部分は2つ、3つ、4つまたはそれ以上のポリペプチドを含むかまたはからなる。いくつかの実施形態では、結合剤は1つまたは複数の構造部分(たとえばスカフォールド、構造ポリペプチド、定常領域および/またはフレームワーク領域)を含む。いくつかの実施形態では、結合剤またはその結合部分は基材(たとえばポリマー、非有機材料、シリコン、ビーズ、その他)に取着されている。
結合剤は1つの抗原結合部分または複数の抗原結合部分を含んでよい。たとえば、1つの結合部分を含む結合剤は1価と称されることがある。2つの結合部分を含む結合剤は2価と称されることがある。いくつかの実施形態では、結合剤は1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10またはそれ以上の結合部分を含む。ある実施形態では、多価結合剤の結合部分の全ては同じ抗原に結合する。ある実施形態では、多価結合剤の結合部分の全ては少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%同一である1つまたは複数のポリペプチド配列を含む。
ある実施形態では、結合剤の2つ以上の結合部分は異なった抗原に結合する。そのような結合剤は二重特異性または多重特異性結合剤(たとえば抗体)と称されることがある。したがって、ある実施形態では、結合剤はcMETまたはその部分に特異的に結合する第1の抗原結合部分と、別の抗原(たとえばcMETではないポリペプチドまたはその部分)に特異的に結合する第2の抗原結合部分とを含む。cMETに特異的に結合する結合剤は、いくつかの実施形態では、cMETまたはその部分に特異的に結合しない別の結合剤に共有結合でまたは非共有結合で取着される。ある実施形態では、cMETに特異的に結合する結合剤は別の抗原に特異的に結合する第2の結合剤を含む。
いくつかの実施形態では、結合剤は抗体またはその部分(たとえばその結合部分)を含む。ある実施形態では、結合剤は好適な抗体または抗体の抗原結合部分を含むかまたはからなる。いくつかの実施形態では、結合剤は抗体(たとえばモノクローナル抗体および/または組み換え抗体)である。結合剤または抗体は好適な方法で生成させ、製造し、または産生することができる。いくつかの実施形態では、結合剤はモノクローナルである。いくつかの実施形態では、結合剤は好適な種に由来するモノクローナル抗体である。結合剤のある非限定的な例には、モノクローナル抗体、キメラ抗体、抗体結合断片(たとえば抗体の抗原結合部分)、CDR−グラフト抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、またはそれらの部分が含まれる。ヒト抗体は任意の好適な方法で得ることができる。たとえば、ヒト抗体は完全にヒト型の抗体を産生するように操作されたトランスクロモソーマル動物から得ることができる。ある実施形態では、結合剤はポリクローナルではなく、ポリクローナル抗体ではなく、「結合剤」という用語はポリクローナル抗体を意味しない。
いくつかの実施形態では、結合剤は好適な種に由来し、これから産生され、得られ、単離され、および/または精製される。いくつかの実施形態では、結合剤はたとえばウサギ、ヤギ、ウマ、ウシ、ラット、マウス、魚、鳥、またはラマに由来し、これらから産生され、得られ、単離され、および/または精製される。いくつかの実施形態では、結合剤は鳥(たとえばニワトリ、または鳥の卵)に由来し、これから産生され、得られ、単離され、および/または精製される。いくつかの実施形態では、結合剤は植物に由来し、これから産生され、得られ、単離され、および/または精製される(たとえば遺伝子操作された植物によって産生される組み換え結合剤)。いくつかの実施形態では、結合剤は好適な哺乳類に由来し、これから産生され、得られ、単離され、および/または精製される。ある実施形態では、好適な哺乳類はヒト重鎖および/もしくはヒト軽鎖またはそれらの部分を含む抗体を産生するように操作された遺伝的に改変された哺乳類(たとえばトランスクロモソーマルまたはトランスジェニック哺乳類)である。いくつかの実施形態では、結合剤は原核細胞または真核細胞から産生され、得られ、単離され、または精製される(たとえば遺伝子操作された細胞によって産生される組み換え結合剤)。いくつかの実施形態では、結合剤はウイルスから産生され、得られ、単離され、または精製される(たとえば遺伝子操作されたウイルスによって産生される組み換え結合剤)。結合剤は好適な発現システムから発現し、単離し、および/または精製することができる。その非限定的な例には好適な細菌、ファージ、昆虫、ウイルス、植物または哺乳類の発現システムが含まれる。たとえば、結合剤をコードする核酸を好適な哺乳類細胞株に導入し、結合剤を発現させて細胞培養培地中に分泌させることができる。
ある実施形態では、結合剤は天然には見出されず、天然には産生されない。たとえばある実施形態では、結合剤は外来の組み換え抗原、強力なアジュバント、およびしばしば鉱油および/または界面活性剤を含む乳化したカクテルを投与し、それにより外来の組み換え抗原(たとえばcMET、cMET−Fc)への人工的な免疫応答を誘起することによって動物で人工的に生成される。
ある実施形態では、モノクローナル抗体またはモノクローナル結合剤は、モノクローナル結合剤の産生中に発生するかも知れない変異体を例外として、結合剤またはその結合断片の実質的に同種の集団であって、集団中のそれぞれの個別の結合剤は実質的に同一であり、および/または同じエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、そのような変異体は一般に存在しないか、微量で存在し得る。典型的には異なった決定基(エピトープ)を指向する異なった抗体の集団を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル結合剤の集団のそれぞれの結合剤は、抗原の単一の決定基と結合することが多い。モノクローナル結合剤は他の免疫グロブリンが混入していないことが多い。1つまたは複数の異なったモノクローナル結合剤を意図的に組成物に加えて混合物を形成させてもよい。
修飾語「モノクローナル」は、結合剤を何らかの特定の方法で産生することが必要であると解釈すべきではない。モノクローナル結合剤は任意の好適な方法で産生することができる。たとえばある実施形態では、モノクローナル抗体はKohler et al,Nature.(1975)256:495に記載されているハイブリドーマ法またはその変形によって作られる。いくつかの実施形態では、モノクローナル結合剤は好適な組み換えDNA法によって作られる。たとえば、モノクローナル結合剤は任意の好適な方法で産生することができる。たとえばある実施形態では、モノクローナル抗体は米国特許第5,225,539号および/またはDaugherty et al. (1991) Nucleic Acids Research19(9): 2471-2476に記載されている方法によって作ることまたは改変することができる。モノクローナル結合剤はたとえば好適な発現系(たとえばファージディスプレイ発現系)を用いて組み換えライブラリーをスクリーニングすることによって作ることができる。いくつかの実施形態では、モノクローナル結合剤は、たとえばClackson et al, (1991) Nature, 352: 624-628および/もしくはMarks et al, (1991) J. Mol Biol, 222: 581-597に記載されている手法またはその変形によって結合剤のファージライブラリーから単離される。
ある実施形態では、結合剤は、スカフォールドと称されることもある1つまたは複数の構造または骨格部分を含む。結合剤はスカフォールドを含んでよく、その非限定的な例には抗体、プロテインAのZドメイン、ガンマ−B結晶、ユビキチン、シスタチン、Sac7d、三重らせんコイルドコイル、リポカリン、アンキリン繰り返しモチーフ、FynのSH3ドメイン、好適なプロテアーゼ阻害剤のKunitzドメイン、フィブロネクチンドメイン、核酸ポリマー、その他、それらの部分またはそれらの組合せに由来するスカフォールドが含まれる。いくつかの実施形態では、結合剤はスカフォールドを含まない。ある実施形態では、結合剤は哺乳類抗体の1つまたは複数の構造部分を含む。
ある実施形態では、結合剤は1つまたは複数の定常領域(たとえば抗体、たとえば哺乳類抗体に由来する定常領域)を含む。ある実施形態では、結合剤は抗体軽鎖の定常領域および/または抗体重鎖の定常領域を含む。哺乳類抗体では少なくとも2種の免疫グロブリン軽鎖が存在し、これらはラムダ(λ)およびカッパ(κ)と称される。結合剤は抗体の任意の好適な定常領域またはその1つまたは複数の部分を含んでよい。いくつかの実施形態では、結合剤はラムダ軽鎖定常領域またはその部分を含む。いくつかの実施形態では、結合剤はカッパ軽鎖定常領域またはその部分を含む。いくつかの実施形態では、結合剤は哺乳類抗体の軽鎖の定常領域またはその部分のポリペプチド配列と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一であるポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、結合剤はヒト抗体の抗体軽鎖の定常領域のポリペプチド配列と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一であるポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、結合剤は軽鎖定常領域を含まない。
ある実施形態では、結合剤は抗体重鎖の定常領域を含む。哺乳類では、抗体はIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMと称される少なくとも5種/クラスのIg重鎖を有することができ、これらは異なった重鎖定常領域またはその部分(たとえばCH1、CL、CH2、CH3ドメイン)の存在によって決定される。結合剤は任意の好適な重鎖定常領域またはその部分を含み得る。いくつかの実施形態では、結合剤はIgG1、IgG2、IgG3もしくはIgG4の重鎖定常領域、またはその1つもしくは複数の部分を含む。いくつかの実施形態では、結合剤はIgM、IgD、IgA、またはIgEアイソタイプの1つまたは複数の重鎖定常領域またはその部分を含む。
本明細書で特に明記しない限り、抗体の定常領域におけるアミノ酸残基の番号付けは、Edelman, G. M. et al., Proc. Natl. Acad. USA, 63, 78-85(1969). PMID:5257969に記載されているEU番号付けシステムによる。
いくつかの実施形態では、結合剤は哺乳類抗体の重鎖の定常領域またはその部分のポリペプチド配列と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%同一であるポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、結合剤はヒト抗体の抗体重鎖の定常領域のポリペプチド配列と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%同一または100%同一であるポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、結合剤は定常領域の1つまたは複数の付加、欠失および/または改変を含む。結合剤は抗体のクラス、または結合剤のアイソタイプを変更させるために改変されることがある。いくつかの実施形態では、結合剤は、結合剤の1つまたは複数の機能を改変するため、たとえば血清半減期、Fc受容体結合、補体結合(たとえばC1q結合)、グリコシル化、シアリル化、細胞毒性、抗体依存性細胞介在ファゴサイトーシス(ADCP)、抗体依存性細胞毒性(ADCC)、その他を阻害し、強化し、または低減させるための1つまたは複数の付加、欠失および/または改変(1つまたは複数のアミノ酸置換、欠失または付加)を含む。いくつかの実施形態では、結合剤は重鎖定常領域または軽鎖定常領域の1つまたは複数の部分を含まない。いくつかの実施形態では、結合剤は重鎖定常領域を含まない。
いくつかの実施形態では、結合剤は抗体の1つまたは複数の可変領域またはその部分を含むかまたはからなる。いくつかの実施形態では、結合剤は1つまたは複数の軽鎖可変領域またはその部分を含む。いくつかの実施形態では、結合剤は1つまたは複数の重鎖可変領域またはその部分を含む。ある実施形態では、結合剤は少なくとも1つの軽鎖可変領域および少なくとも1つの重鎖可変領域を含む。軽鎖可変領域と重鎖可変領域は同じまたは異なったポリペプチドの上にあってよい。ある実施形態では、結合剤の抗原結合部分は1つまたは複数の重鎖可変領域からなる。ある実施形態では、結合剤の抗原結合部分は1つまたは複数の軽鎖可変領域からなる。ある実施形態では、結合剤の抗原結合部分は1つまたは複数の軽鎖可変領域および1つまたは複数の重鎖可変領域からなる。
いくつかの実施形態では、結合剤はFab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、一本鎖Fv(scFv)、ダイアボディ(Dab)、シンボディ、その他、および/またはそれらの組合せもしくは部分を含むかまたはからなる。いくつかの実施形態では、結合剤はFab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、一本鎖Fv(scFv)、ダイアボディ(Dab)、シンボディ、その他、および/またはそれらの組合せもしくは部分を含むかまたはからなる(たとえば米国特許第6099842号および第5990296号を参照)。いくつかの実施形態では、結合剤は1つまたは複数の抗原結合部分を含む一本鎖ポリペプチドを含む。たとえば、一本鎖結合剤は組み換え分子生物学プロセスによって重鎖可変領域またはその抗原結合部分を軽鎖可変領域またはその抗原結合部分とリンカー(たとえばアミノ酸、ポリペプチドリンカー)で接合することによって構築することができる。そのような一本鎖結合剤は抗原に対して親の二本鎖モノクローナル結合剤と同様の特異性および親和性を示すことが多い。結合剤はCDRグラフト化部分またはヒト化部分等の操作された領域を含むことが多い。ある実施形態では、結合剤は未変性の二本鎖免疫グロブリンであり、他の実施形態では、結合剤はFabモノマーまたはFabダイマーである。
結合剤のポリペプチドをコードする核酸またはその部分は、好適なクローン化手順によって組み換え発現のためにクローン化、サブクローン化、再配列または改変され、続いて当業者には公知の方法によって好適な発現系で発現される(たとえばManiatis et al. (1982) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press; Sambrook et al. (1989), Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press; Sambrook et al. (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.; Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987 and annual updates); Methods in molecular biology, edited by Benny K. C. Lo, Springer Science & Business Media, 2004; Antibody Engineering, Vol. 1, Roland E. Kontermann, Stefan Duebel, Edition 2, Publisher Springer Science & Business Media, 2010; Antibody Phage Display: Methods and Protocols, Biomed Protocols, Vol. 178 of Methods in molecular biology, Editors Philippa M. O’Brien, Robert Aitken, Springer Science & Business Media, 2004を参照)。
哺乳類では、抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域はそれぞれ、共通してCDR1、CDR2およびCDR3と称され、フレームワーク領域(たとえばFR1、FR2、FR3およびFR4)によって分離され、および/またはこれらが側面にある3つのCDR(相補性決定領域)に寄与している。本明細書で用いる「CDR」という用語は、相補性決定領域として同定されるポリペプチドのアミノ酸配列を意味する。ある実施形態では、CDRポリペプチド配列の確実な説明および結合剤の結合部位を含む残基の同定は、結合剤の構造を解明することおよび/または結合剤−抗原複合体の構造を解明することによって達成される。ある実施形態では、これはX線結晶学および/またはコンピュータモデリング等の任意の好適な方法によって達成することができる。ある実施形態では、結合剤または抗体のCDR配列を同定しまたは近似するために種々の分析方法を用いることができる。たとえば、結合剤、抗体、その結合部分またはその可変領域のポリペプチド配列におけるCDRのアミノ酸配列および/または位置は好適な方法によって同定することができる。その非限定的な例には、Kabatシステム(たとえばKabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, NIH Publication No. 91-3242, as well as Johnson, G. and Wu, T. T. (2000) Nucleic Acids Research 28(1):214-8、および/またはChothia番号付けスキーム(たとえばChothia & Lesk, (1987) J. Mol. Biol, 196:901-917; Chothia et al. (1989) Nature 342:878-883; and Al-Lazikani et al. (1997) JMB 273,927-948)を参照)が含まれる。いくつかの実施形態では、抗体のCDRのアミノ酸配列および/または位置は、AbM法および/または接触法によって同定することができる。「AbM」定義には、抗体構造をモデル化してOxford Molecular Groupによって作成されたコンピュータプログラムの統合されたパッケージを用いる(たとえばMartin et al, (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. (USA), 86:9268-9272; “AbMTM, A Computer Program for Modeling Variable Regions of Antibodies,” Oxford, UK; Oxford Molecular, Ltd.を参照)。AbM定義はSamudrala et al., (1999) Proteins, Structure, Function and Genetics Suppl, 3:194-198およびXia Y, et al. (2000) J Mol Biol. 300(1):171-85によって記述された知識データベースとアブイニシオ法との組合せを用いた一次配列からの抗体の三次構造をモデルとしている。ある実施形態では、接触定義は入手可能な複結晶構造の解析に基づいている(たとえばMacCallum et al, (1996) J. Mol. Biol, 5:732-45を参照)。
いくつかの実施形態では、結合剤および/または結合剤の抗原結合部分は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つまたは少なくとも6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、結合剤は3〜60個のCDRを含む(たとえば複数の抗原結合部分を有する結合剤について)。いくつかの実施形態では、結合剤は3〜12個のCDRを含む。いくつかの実施形態では、結合剤の抗原結合部分は1〜6個のCDRポリペプチド配列を含む。
ある実施形態では、結合剤および/または結合剤の抗原結合部分は、軽鎖可変領域の1つ、2つまたは3つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、結合剤の軽鎖可変領域は1つまたは複数のCDR(たとえば1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のCDR)を含む。抗体または結合剤の軽鎖可変領域におけるCDRを表わすアミノ酸配列はCDR−L1、CDR−L2、およびCDR−L3と称され、これらは軽鎖可変領域のアミノ末端(N末端)からカルボキシ末端(C末端)への方向で連続的に(即ちL1、L2およびL3)番号を付している。たとえば、結合剤の軽鎖可変領域を表わすポリペプチドにおいて、CDR−L1は存在する場合には最もN末端側の軽鎖CDRであり、CDR−L3は存在する場合には最もC末端側の軽鎖CDRであり、CDR−L2は存在する場合には結合剤の軽鎖可変領域または結合部分の(i)CDR−L1とCDR−L3との間、(ii)CDR−L3のN末端側、または(iii)CDR−L1のC末端側に位置している。「CDR−L1」、「CDR−L2」および「CDR−L3」という用語は一つには結合剤の相補性決定領域(たとえば軽鎖可変領域のCDR)として同定され、または本明細書において開示されるポリペプチドのアミノ酸配列を意味する。CDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3のアミノ酸配列の非限定的な例を、それぞれ表1〜表3に示す。本明細書に記載した結合剤の軽鎖可変領域または抗原結合部分は、本明細書に開示したCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3の任意の組合せを含んでよく、結合剤はcMETまたはその部分への特異的結合を保持している。ある実施形態では、本明細書に記載した結合剤の軽鎖可変領域または抗原結合部分は、表3から選択されるCDR−L3と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む一本軽鎖CDRを含む。
ある実施形態では、本明細書に記載した結合剤の軽鎖可変領域または抗原結合部分は、表3から選択されるCDR−L3、および他の任意の好適なCDR−L2および/またはCDR−L1ポリペプチド配列と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含み、結合剤はcMETまたはその部分への特異的結合を保持している。ある実施形態では、結合剤の軽鎖可変領域または抗原結合部分の軽鎖CDRはCDR−L3およびCDR−L2からなり、CDR−L3は表3から選択されるCDR−L3と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含み、CDR−L2は表2から選択されるCDR−L2と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、本明細書に記載した結合剤の軽鎖可変領域または抗原結合部分は、表3から選択されるCDR−L3と少なくとも70%同一のアミノ酸配列および表2から選択されるCDR−L2と少なくとも70%同一のアミノ酸配列および任意の他の好適なCDR−L1ポリペプチド配列を含み、結合剤はcMETまたはその部分への特異的結合を保持している。ある実施形態では、本明細書に記載した結合剤の軽鎖可変領域または抗原結合部分は、表3から選択されるCDR−L3と少なくとも70%同一のアミノ酸配列、表2から選択されるCDR−L2と少なくとも70%同一のアミノ酸配列、および表1から選択されるCDR−L1と少なくとも70%同一のアミノ酸配列からなる3つの軽鎖CDRを含む。ある実施形態では、本明細書に記載した結合剤の軽鎖可変領域または抗原結合部分は、表3から選択されるCDR−L3と少なくとも70%同一のアミノ酸配列、表2から選択されるCDR−L2と少なくとも70%同一のアミノ酸配列、および表1から選択されるCDR−L1と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含み、結合剤はcMETまたはその部分への特異的結合を保持している。
いくつかの実施形態では、結合剤は表1、表2または表3に列挙したCDR配列の任意の1つと少なくとも70%、75%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99%同一である1つまたは複数の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表1に示す配列の任意の1つと少なくとも70%、75%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99%同一であるCDR−L1を含む。いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は表1に示す配列の任意の1つのCDR−L1を含む。
表1〜表10で参照したクローン名は、クローンがそれに由来するフュージョン番号(「F」)、プレート番号(「P」)および96ウェルプレートのウェル番号(A1〜H12)を示す。したがって、たとえばクローンF6AP12F12はフュージョン6A、プレート12、ウェルF12に由来するものである。それぞれのクローンのフュージョン番号は図2に示すフュージョンに対応する。
いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表2に示す配列の任意の1つと少なくとも70%、75%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99%同一であるCDR−L2を含む。いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表2に示す配列の任意の1つのCDR−L2を含む。
いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表3に示す配列の任意の1つと少なくとも70%、75%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99%同一であるCDR−L3を含む。いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表3に示す配列の任意の1つのCDR−L3を含む。
いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表4のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99%の同一性を有する軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表4の軽鎖可変領域配列を含む。
いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表5の配列と少なくとも70%、75%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99%の同一性を有するヒト化軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表5のヒト化軽鎖可変領域配列を含む。
ある実施形態では、結合剤および/または結合剤の抗原結合部分は、重鎖可変領域の1つ、2つまたは3つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、重鎖可変領域は1つまたは複数のCDR(たとえば1つ、2つ、3つまたはそれ以上のCDR)を含む。抗体または結合剤の重鎖可変領域におけるCDRを表わすアミノ酸配列はCDR−H1、CDR−H2、およびCDR−H3と称され、これらは重鎖可変領域のアミノ末端(N末端)からカルボキシ末端(C末端)への方向で連続的に(即ちH1、H2およびH3)番号を付している。たとえば、結合剤の重鎖可変領域を表わすポリペプチドにおいて、CDR−H1は存在する場合には最もN末端側のCDRであり、CDR−H3は存在する場合には最もC末端側のCDRであり、CDR−H2は存在する場合には重鎖可変領域の(i)CDR−H1とCDR−H3との間、(ii)CDR−H3のN末端側、または(iii)CDR−HのC末端側に位置している。「CDR−H1」、「CDR−H2」および「CDR−H3」という用語は一つには結合剤の相補性決定領域(たとえば結合剤の重鎖可変領域のCDR)として同定され、または本明細書において開示されるポリペプチドのアミノ酸配列を意味する。CDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3のアミノ酸配列の非限定的な例を、それぞれ表6〜表8に示す。本明細書に記載した結合剤の重鎖可変領域または抗原結合部分は、本明細書に開示したCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3の任意の組合せを含んでよく、結合剤はcMETまたはその部分への特異的結合を保持している。ある実施形態では、本明細書に記載した結合剤の重鎖可変領域または抗原結合部分は、表8から選択されるCDR−H3と少なくとも70%同一のアミノ酸配列からなる一本重鎖CDRを含む。ある実施形態では、本明細書に記載した結合剤の重鎖可変領域または抗原結合部分は、表8から選択されるCDR−H3と少なくとも70%同一のアミノ酸配列、および他の任意の好適なCDR−H2および/またはCDR−H1ポリペプチド配列を含み、結合剤はcMETまたはその部分への特異的結合を保持している。ある実施形態では、結合剤の重鎖可変領域または抗原結合部分の重鎖CDRはCDR−H3およびCDR−H2からなり、CDR−H3は表8から選択されるCDR−H3と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含み、CDR−H2は表7から選択されるCDR−H2と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、本明細書に記載した結合剤の重鎖可変領域または抗原結合部分は、表8から選択されるCDR−H3と少なくとも70%同一のアミノ酸配列および表7から選択されるCDR−H2と少なくとも70%同一のアミノ酸配列、ならびに任意の他の好適なCDR−H1ポリペプチド配列を含み、結合剤はcMETまたはその部分への特異的結合を保持している。ある実施形態では、本明細書に記載した結合剤の重鎖可変領域または抗原結合部分は、表8から選択されるCDR−H3と少なくとも70%同一のアミノ酸配列、表7から選択されるCDR−H2と少なくとも70%同一のアミノ酸配列、および表6から選択されるCDR−H1と少なくとも70%同一のアミノ酸配列からなる3つの重鎖CDRを含む。ある実施形態では、本明細書に記載した結合剤の重鎖可変領域または抗原結合部分は、表8から選択されるCDR−H3と少なくとも70%同一のアミノ酸配列、表7から選択されるCDR−H2と少なくとも70%同一のアミノ酸配列、および表6から選択されるCDR−H1と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含み、結合剤はcMETまたはその部分への特異的結合を保持している。
いくつかの実施形態では、結合剤は表6、表7または表8のCDRの任意の1つと少なくとも70%、75%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99%の同一性を有する1つまたは複数の重鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表6に示す配列の任意の1つと少なくとも70%、75%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99%同一であるCDR−H1を含む。いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は表6に示す配列の任意の1つのCDR−H1を含む。
いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表7に示す配列の任意の1つと少なくとも70%、75%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99%同一であるCDR−H2を含む。いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表7に示す配列の任意の1つのCDR−H2を含む。
いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表8に示す配列の任意の1つと少なくとも70%、75%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99%同一であるCDR−H3を含む。いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表8に示す配列の任意の1つのCDR−H3を含む。
いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表9の配列と少なくとも70%、75%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99%の同一性を有する重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表9の重鎖可変領域配列を含む。
いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表10の配列と少なくとも70%、75%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99%の同一性を有するヒト化重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表10のヒト化重鎖可変領域配列を含む。
いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、配列番号26〜36のアミノ酸配列の任意の1つと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−L3(たとえば表3から選択されるCDR−L3配列)および配列番号79〜93のアミノ酸配列の任意の1つと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−H3(たとえば表8から選択されるCDR−H3配列)を含む。いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、配列番号34または35のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−L3および配列番号87、88、92または93のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−H3を含む。
いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、配列番号26〜36のアミノ酸配列の任意の1つと少なくとも70%、少なくとも90%、または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−L3(たとえば表3から選択されるCDR−L3配列)、配列番号16〜25のアミノ酸配列の任意の1つと少なくとも70%、少なくとも90%、または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−L2(たとえば表2から選択されるCDR−L2配列)、配列番号79〜93のアミノ酸配列の任意の1つと少なくとも70%、少なくとも90%、または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−H3(たとえば表8から選択されるCDR−H3配列)、および配列番号62〜78のアミノ酸配列の任意の1つと少なくとも70%、少なくとも90%、または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−H2(たとえば表7から選択されるCDR−H2配列)を含む。いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、配列番号34または35のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも90%、または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−L3、配列番号24または25のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも90%、または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−L2、配列番号87、88、92または93のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも90%、または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−H3、および配列番号70、71または78のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも90%、または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−H2を含む。
いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、配列番号26〜36のアミノ酸配列の任意の1つと少なくとも70%、少なくとも90%、または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−L3(たとえば表3から選択されるCDR−L3配列)、配列番号16〜25のアミノ酸配列の任意の1つと少なくとも70%、少なくとも90%、または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−L2(たとえば表2から選択されるCDR−L2配列)、配列番号1〜15のアミノ酸配列の任意の1つと少なくとも70%、少なくとも90%、または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−L1(たとえば表1から選択されるCDR−L1配列)、配列番号79〜93のアミノ酸配列の任意の1つと少なくとも70%、少なくとも90%、または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−H3(たとえば表8から選択されるCDR−H3配列)、配列番号62〜78のアミノ酸配列の任意の1つと少なくとも70%、少なくとも90%、または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−H2(たとえば表7から選択されるCDR−H2配列)、および配列番号50〜61のアミノ酸配列の任意の1つと少なくとも70%、少なくとも90%、または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−H1(たとえば表6から選択されるCDR−H1配列)を含む。いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、配列番号34または35のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも90%、または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−L3、配列番号24または25のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも90%、または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−L2、配列番号9、10または15のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも90%、または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−L1、配列番号87または88のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも90%、または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−H3、配列番号70、71または78のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも90%、または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−H2、および配列番号58または59のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも90%、または100%同一のアミノ酸配列を含むCDR−H1を含む。
いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、配列番号94〜108のアミノ酸配列の任意の1つと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(たとえば表9および表10から選択される重鎖可変領域)および配列番号37〜49のアミノ酸配列の任意の1つと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(たとえば表4および表5から選択される軽鎖可変領域)を含む。いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、配列番号104〜108のアミノ酸配列の任意の1つと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(たとえ表10から選択される重鎖可変領域)および配列番号45〜49のアミノ酸配列の任意の1つと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(たとえば表5から選択される軽鎖可変領域)を含む。
本明細書で用いる略語「abb」、「sdr」、「fra」、「ven.」および「cdr」を以下に説明する。略語「cdr」または「CDR」は相補性決定領域を意味する。略語「abb」はたとえばPadlan et al. (1995) FASEB J 9:133-139に記載されている短縮したCDRを意味する。いくつかの実施形態では、短縮したCDRは適当なヒトスカフォールドにグラフトされた軽鎖の残基27D〜34、50〜55、および89〜96、ならびに重鎖の31〜35B、50〜58、および95〜101として定義される。重要なフレームワーク残基は保存されることが多い。略語「sdr」はたとえばPadlan et al. (1995)に記載されている、抗原結合に関与していると考えられる残基である「特異性決定残基」を意味する。略語「fra」はたとえばWu and Kabat (1992) Mol Immunol 29:1141-1146に記載されている「フランケンシュタインアプローチ」を意味する。略語「ven」はたとえばPadlan (1991), Mol Immunol 28:489-498に記載されている「ベニア化」を意味する。
「%同一」または「%同一性」という用語は、2つのアミノ酸配列の間の配列同一性を意味する。同一性は、比較の目的のために配置された各配列における位置を比較することによって決定することができる。比較される配列における等価の位置が同じアミノ酸によって占有される場合には、分子はその位置において同一である。等価の部位が同じまたは同様(たとえば立体的および/または電子的性質において同様)のアミノ酸残基によって占有される場合には、分子はその場所において同種(同様)であると称することができる。相同性、同様性、または同一性の百分率としての表現は、比較される配列によって共有される位置における同一または同様のアミノ酸の数の関数を意味する。相同性、同様性、または同一性の百分率としての表現は、比較される配列によって共有される位置における同一または同様のアミノ酸の数の関数を意味する。FASTA、BLAST、またはENTREZ等の種々の配置アルゴリズムおよび/またはプログラムを用いることができる。FASTAおよびBLASTはGCG配列解析パッケージ(University of Wisconsin、Madison、Wis.)の一部として入手可能であり、たとえばデフォルトセッティングとともに用いることができる。ENTREZはNational Center for Biotechnology Information, National Library of Medicine, National Institutes of Health, Bethesda, Md.を通して入手可能である。1つの実施形態では、2つの配列の%同一性は、ギャップウェイトを1として、たとえば2つの配列の間に単一のアミノ酸またはヌクレオチドのミスマッチがあるかのように各アミノ酸ギャップに重み付けしたGCGプログラムによって決定することができる。
配置のための他の手法はMethods in Enzymology, vol. 266: Computer Methods for Macromolecular Sequence Analysis (1996), ed. Doolittle, Academic Press, Inc., a division of Harcourt Brace & Co., San Diego, Calif., USAに記載されている。いくつかの実施形態では、配列を配置するために配列におけるギャップを許容する配置プログラムが利用される。Smith−Watermanは配列の配置におけるギャップを許容するアルゴリズムの1つの型である。Meth. Mol. Biol. 70:173-187 (1997)を参照のこと。NeedlemanおよびWunsch配置法を用いるGAPプログラムも、配列を配置するために用いることができる。代替のサーチ戦略はMASPARコンピュータの上で作動するMPSRCHソフトウェアを用いる。MPSRCHは大規模並列コンピュータ上で配列を記録するためにSmith−Watermanアルゴリズムを用いる。このアプローチにより、隔たって関連する組合せを捕捉する能力が改善され、特に小さなギャップおよびヌクレオチド配列エラーを許容することができる。核酸にコードされたアミノ酸配列を用いて、タンパク質およびDNAの両方のデータベースをサーチすることができる。
いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表4および表5の軽鎖可変領域から選択される1つまたは複数のCDRを含む。いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表9および表10の重鎖可変領域から選択される1つまたは複数のCDRを含む。いくつかの実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表4および表5の軽鎖可変領域から選択される1つまたは複数のCDRならびに表9および表10の重鎖可変領域から選択される1つまたは複数のCDRを含む。ある実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、表4および表5の軽鎖可変領域の任意の1つからそれぞれ選択されるCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3、ならびに表9および表10の重鎖可変領域の任意の1つからそれぞれ選択されるCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3を含む。CDR(たとえばCDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2、およびCDR−H3)のアミノ酸配列は、本明細書に開示した重鎖または軽鎖可変領域の中で、本明細書に記載した任意の好適な方法または当業者には公知の方法によって同定することができる。
ある実施形態では、cMETに特異的に結合する結合剤は、(i)軽鎖相補性決定領域(CDR−L)のポリペプチド配列であるCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3、および(ii)重鎖相補性決定領域(CDR−H)のポリペプチド配列であるCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3を含み、CDR−L1は配列番号1−15のアミノ酸配列から選択され、CDR−L2は配列番号16−25のアミノ酸配列から選択され、DR−L3は配列番号26−36のアミノ酸配列から選択され、CDR−H1は配列番号50−61のアミノ酸配列から選択され、CDR−H2は配列番号62−78のアミノ酸配列から選択され、およびCDR−H3は配列番号79−93のアミノ酸配列から選択される。
いくつかの実施形態では、結合剤は表1〜表10から選択される1つまたは複数の好適な配列を含み、選択されるポリペプチド配列は0〜5、1〜5、0〜10、1〜10、0〜15、または1〜15のアミノ酸改変を含み、アミノ酸改変はアミノ酸の付加、アミノ酸の欠失、および/またはアミノ酸の置換であってよい。いくつかの実施形態では、結合剤は表4、5、9または10から選択される1つまたは複数の好適な配列を含み、選択されるポリペプチド配列はフレームワーク領域または定常領域に0〜5、1〜5、0〜10、1〜10、0〜15、または1〜15のアミノ酸改変を含み、アミノ酸改変はアミノ酸の付加、アミノ酸の欠失、および/またはアミノ酸の置換であってよい。いくつかの実施形態では、アミノ酸改変は保存的アミノ酸置換である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示した結合剤は1つまたは複数のアミノ酸類似体、非天然アミノ酸またはアミノ酸誘導体を含む。
ある実施形態では、結合剤または結合剤の抗原結合部分は、1つまたは複数のフレームワーク領域(FR)を含む。フレームワーク領域はCDRの間に位置し、および/または抗体もしくは結合剤の重鎖もしくは軽鎖可変領域のCDR配列の側面にあることが多い。哺乳類では、重鎖可変領域は4つのフレームワーク領域を含むことが多く、軽鎖可変領域は4つのフレームワーク領域を含むことが多い。抗体において、抗体の可変領域において、または結合剤において、任意の好適な方法を用いて1つまたは複数のフレームワーク領域を同定することができる。以下に考察するように、結合剤は改変されていない、または改変された(たとえば最適化された)、合成または天然産生のフレームワーク領域を含んでよい。
いくつかの実施形態では、結合剤またはその抗原結合部分はキメラ化、グラフト化、および/またはヒト化されている。キメラ化、グラフト化、および/またはヒト化された結合剤は改変されまたは置換された定常領域および/またはフレームワーク領域を含むことが多いが、一方、cMETまたはその部分への結合特異性は維持されている。いくつかの実施形態では、結合剤またはその抗原結合部分は、ヒト抗体由来の定常領域、フレームワーク領域、またはそれらの部分を含む。いくつかの実施形態では、結合剤またはその抗原結合部分は、天然の抗体分子には見出されない完全合成部分、1つまたは複数のアミノ酸、またはアミノ酸の配列を含む。
天然産生のフレームワーク領域またはその部分は、任意の好適な種から得られる。ある実施形態では、結合剤またはその抗原結合部分の軽鎖および重鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)は、同じまたは別の種からのフレームワーク領域にグラフトされる。たとえば、結合剤の1つまたは複数のフレームワーク領域はげっ歯類(たとえばマウスまたはラット)または霊長類(たとえばヒト)に由来するものでよい。
ある実施形態では、結合剤またはその抗原結合部分の軽鎖および/または重鎖可変領域のCDRは、コンセンサスヒトフレームワーク領域にグラフトすることができる。コンセンサスヒトフレームワーク領域を創成するために、ある実施形態では、いくつかのヒト重鎖または軽鎖アミノ酸配列からのフレームワーク領域を配置してコンセンサス配列を同定することができる。ある実施形態では、抗体または結合剤の重鎖または軽鎖フレームワーク領域は、異なった重鎖または軽鎖可変領域からの1つまたは複数のフレームワーク領域またはその部分で置き換えられる。いくつかの実施形態では、結合剤またはその抗原結合部分は、1つまたは複数のヒトフレームワーク領域を含む。ある実施形態では、結合剤またはその抗原結合部分は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のヒトフレームワーク領域を含む。いくつかの実施形態では、結合剤またはその抗原結合部分は1つまたは複数のマウスフレームワーク領域を含む。ある実施形態では、結合剤またはその抗原結合部分は少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のマウスフレームワーク領域を含む。ある実施形態では、結合剤またはその抗原結合部分は1つまたは複数のヒトフレームワーク領域および1つまたは複数のマウスフレームワーク領域を含む。
たとえばフレームワーク領域またはその部分を改変し、置換し、または欠失させることによってキメラ化、ヒト化、および/または最適化された抗体または結合剤を生成させる方法は既知である。CDRグラフト化の非限定的な例は、たとえば米国特許第6180370号、第6054297号、第5693762号、第5859205号、第5693761号、第5565332号、第5585089号および第5530101号、ならびにJones et al, Nature, (1986)321 :522-525; Verhoeyen et al, (1988)Science, 239:1534-1536、ならびにWinter, (1998)FEBS Letts., 430:92-94に記載されている。キメラ化、グラフト化、および/またはヒト化された結合剤を生成するさらなる非限定的な例には、米国特許第5530101号、第5707622号、第5994524号、第6245894号、Queen et al., (1988) PNAS 86:10029-10033、Riechmann et al., (1988)Nature 332:323-327、Antibody Engineering: Methods and Protocols, Methods in molecular biologyの248卷、Benny K. C. Lo編、Springer Science & Business Media, (2004)、およびAntibody Engineering, Vol. 1, Roland E. Kontermann, Stefan Duebel, 2版, Publisher Springer Science & Business Media, (2010)が含まれる。いくつかの実施形態では、結合剤は1つまたは複数のフレームワーク領域またはその部分(たとえば1つまたは複数のアミノ酸)をヒト抗体からの1つまたは複数のフレームワーク領域またはその部分と交換することによってヒト化することができる。ある実施形態では、抗体または結合剤は、ドナー結合剤の結合特異性を保持しながらドナー結合剤(たとえばマウスモノクローナル抗体)からの1つまたは複数のCDR(たとえば1、2、3、4、5または6個全てのCDR)をアクセプター結合剤(たとえばヒト抗体)に移動させることによって、ヒト化またはグラフト化することができる。ある実施形態では、キメラ化、グラフト化またはヒト化結合剤を作製するプロセスは、結合剤の定常領域またはフレームワーク領域に1つまたは複数のアミノ酸置換、付加または欠失を作製することを含む。ある実施形態では、「リシェーピング」、「超キメラ化」、または「ベニア化/リサーフェシング」等の手法を用いてヒト化結合剤を産生することができる(たとえばVaswami et al, (1998)Annals of Allergy, Asthma, & Immunol. 81:105; Roguska et al, (1996)Prot. Engin., 9:895-904; および米国特許第6072035号を参照)。いくつかの態様では、結合剤は免疫原性を低減させるために上で考察した方法によって、または別の好適な方法によって改変される(たとえばGilliland et al, (1999)J. Immunol, 62(6):3663-71を参照)。
ある実施形態では、結合剤のアミノ酸配列は、標的(たとえばcMET)に対する結合親和性、種間の交差反応性、溶解性および/または機能(たとえばアゴニスト活性、またはその欠落)を最適化するために改変される。いくつかの実施形態では、cMETへの結合のために、および/または本明細書に開示した結合剤の機能または特徴を最適化するために本明細書に開示したCDRの特定の組合せを最適化することができる。たとえば、本明細書に開示した特徴付けられた軽鎖可変領域(たとえば配列番号48の軽鎖可変領域)を、好適な発現系を用いて、特徴付けられた重鎖可変領域(たとえば配列番号107の重鎖可変領域)のCDR−H1およびCDR−H2を含む重鎖可変領域のライブラリーとともに共発現することができ、CDR−H3は、たとえば表8の1つまたは複数のCDR−H3領域を含んでもよいCDR−H3配列のライブラリーで置き換えられる。得られる軽鎖/重鎖結合剤は、cMETへの結合について、および/または特定の機能について、スクリーニングすることができる。最適化された結合剤は同定され、CDR−H3のアミノ酸配列は好適な方法によって同定される。上記のスクリーニング法を用いて、結合剤の結合特異性、結合親和性、および/または機能を改善させ得るCDRの特定の組合せ、または特定の最適化されたCDR配列(たとえばアミノ酸置換、付加または欠失を含むCDR配列)を含む結合剤を同定することができる。結合剤をスクリーニングし最適化するそのような方法は既知である(たとえばPortolano et al. (1993) Journal of Immunology 150:880-887;およびClarkson et al. (1991) Nature 352:624-628)を参照)。そのような参考文献は、相補性可変領域のライブラリーをスクリーニングすることによって、既知の軽鎖可変領域、既知の重鎖可変領域、またはそれらの部分(たとえばそれらのCDR)を用いて特異的抗原と結合する抗体を産生させる方法を教示している。
ある実施形態では、結合剤の親和性および/または機能を最適化するために結合剤が改変され、グリコシル化部位が除去または付加される(たとえばCo et al. (1993) Mol. Immunol. 30:1361-1367を参照)。いくつかの実施形態では、結合剤におけるグリコシル化部位の数および/または型が改変されまたは変更される。N連結グリコシル化部位は配列Asn−X−SerまたはAsn−X−Thrによって特徴付けられることが多い。ここでXと指定されたアミノ酸残基はプロリン以外の任意のアミノ酸残基であってよい。この配列を創成するためのアミノ酸の置換は、N連結炭水化物鎖の付加のための新たな可能な部位を提供する。あるいは、この配列を除外する置換は、存在するN連結炭水化物鎖を除去することになる。ある実施形態では、1つまたは複数のN連結グリコシル化部位(典型的には天然産生の)が除外され、1つまたは複数の新たなN連結部位が創成されるN連結炭水化物鎖の再配列も提供される。いくつかの実施形態では、結合剤は、改変されない結合剤と比較して1つまたは複数のシステイン残基が欠失することまたは1つまたは複数のシステイン残基が別のアミノ酸(たとえばセリン)によって置換されることによって改変される。ある実施形態では、システイン変異体は発現、分泌、および/または溶解性を最適化するために有用であり得る。
ある実施形態では、結合剤は、たとえばタンパク質分解に対する結合剤の感受性を低減させるため、酸化に対する結合剤の感受性を低減させるため、血清半減期を増大させるため、および/または結合剤のその他の物理化学的、薬物動態もしくは機能的特性を付与または改変するために設計されまたは意図されたある種のアミノ酸付加、置換または欠失を含むように改変される。
いくつかの実施形態では、結合剤は哺乳類cMETまたはその部分に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、結合剤は哺乳類cMETの細胞外ドメインもしくは細胞外領域またはその部分に特異的に結合する。ある態様では、結合剤は天然に見出される非変性の(遺伝的に改変されていない)哺乳類の細胞によって産生される野生型cMETに特異的に結合する。ある態様では、結合剤は天然に発生するcMET変異体に特異的に結合する。ある態様では、結合剤は1つまたは複数のアミノ酸置換、付加または欠失を含むcMETに特異的に結合する。ある実施形態では、結合剤はヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、またはげっ歯類(たとえばマウスまたはラット)の細胞の表面で産生されおよび/または発現されるcMETに特異的に結合する。ある実施形態では、結合剤は配列番号109〜113の任意の1つのアミノ酸配列を有する1つまたは複数のcMETポリペプチドまたはその部分に特異的に結合する。ある実施形態では、結合剤はヒトcMETに特異的に結合する。ある実施形態では、結合剤はヒトcMETの細胞外ドメインに特異的に結合する。ある実施形態では、結合剤はヒトcMETおよび/またはその細胞外ドメインに特異的に結合し、ヒトcMETはE168からD168への置換(即ちcMETのE168D変異体)を含む。ある実施形態では、結合剤はヒトcMETおよび/またはその細胞外ドメインに特異的に結合し、ヒトcMETはN375からS375への置換(即ちcMETのN375S変異体)を含む。
「特異的に結合する」という用語は、他の分子または他のペプチドより優先的に標的のペプチドに結合する結合剤を意味し、これはたとえば好適なインビトロ(in vitro)アッセイ(たとえばELISA、イムノブロット、フローサイトメトリー、その他)によって決定される。特異的結合相互作用は約2倍以上、しばしば約10倍以上、時には約100倍以上、1000倍以上、10,000倍以上、100,000倍以上、または1,000,000倍以上、非特異的結合相互作用を識別する。
いくつかの実施形態では、cMETまたはその部分に特異的に結合する結合剤は、100nM以下、50nM以下、25nM以下、10nM以下、5nM以下、1nM以下、900pM以下、800pM以下、750pM以下、700pM以下、600pM以下、500pM以下、400pM以下、300pM以下、200pM以下、または100pM以下の結合親和性定数(KD)でcMETまたはその部分(たとえばcMETの細胞外ドメイン)に結合する結合剤である。いくつかの実施形態では、cMETまたはその部分に特異的に結合する結合剤は、100nM以下、50nM以下、25nM以下、10nM以下、5nM以下、1nM以下、900pM以下、800pM以下、750pM以下、700pM以下、600pM以下、500pM以下、400pM以下、300pM以下、200pM以下、または100pM以下の結合親和性定数(KD)でヒトcMETまたはその部分(たとえばヒトcMETの細胞外ドメイン)に結合する結合剤である。いくつかの実施形態では、cMETまたはその部分に特異的に結合する結合剤は、100nM以下、50nM以下、25nM以下、10nM以下、5nM以下、1nM以下、900pM以下、800pM以下、750pM以下、700pM以下、600pM以下、500pM以下、400pM以下、300pM以下、200pM以下、または100pM以下の結合親和性定数(KD)で非ヒト種(たとえば非ヒト霊長類またはげっ歯類、たとえばマウスもしくはラット)由来のcMETまたはその部分に特異的に結合する結合剤である。ある実施形態では、本明細書に開示した結合剤はヒトcMETまたはその部分に特異的に結合し、非ヒト霊長類由来のcMETまたはその部分に特異的に結合する。ある実施形態では、本明細書に開示した結合剤はヒトcMETまたはその部分に特異的に結合し、げっ歯類(たとえばマウスまたはラット)由来のcMETまたはその部分に特異的に結合する。ある実施形態では、結合剤は(i)10nM以下、または1nM以下のKDでヒトcMETまたはその部分(たとえばヒトcMETの細胞外ドメイン)に特異的に結合し、(ii)100nM以下、90nM以下、80nM以下、70nM以下、60nM以下、50nM以下、40nM以下、30nM以下、20nM以下、または10nM以下のKDでラットもしくはマウスcMETまたはその部分(たとえばラットまたはマウスcMETの細胞外ドメイン)に特異的に結合する。
ある実施形態では、結合剤は1つまたは複数の機能的特徴を含む。したがって、結合剤は構造的および機能的に記述することができる(たとえばそれが何をするのかによって、またはそれが何をできるのかによって)。本明細書に開示した結合剤はcMETの細胞外部分、たとえば細胞の表面に存在するcMETの細胞外部分に特異的に結合することができる。いくつかの実施形態では、細胞はcMETを発現するヒトがん細胞またはヒト腫瘍性細胞である。ある実施形態では、本明細書に開示した結合剤は細胞表面のcMETに結合するとcMETの内部移行を誘起する。cMETの内部移行および/または分解を誘起するcMET結合剤の能力は、この能力を欠く他のcMET結合剤に対して利点を提供する。結合後にcMETの内部移行および/または分解を誘起するcMET結合剤−薬物複合体は、細胞毒性薬の局所的な細胞内送達を提供する。さらにいくつかの実施形態では、結合剤−薬物複合体は、たとえば連結基に組み込まれたリソソーム酵素切断部位によって、内部移行後にのみ結合剤からPBD毒素を放出するように構成される。したがって、本明細書に記載した結合剤−薬物複合体は対象においてcMETを発現する癌細胞の内部に対して毒素を特異的に送達することができるが、一方、対象の健全な細胞(healthy cells)に対する非特異的な細胞毒性を最小限に抑えることができる。結果的に、本明細書に記載した抗cMET結合剤−薬物複合体は、より高い有効性(例えば、標的特異的な細胞毒性)およびより小さい有害な副作用(例えば、より小さい非特異的な細胞毒性)を提供する。したがって、ある実施形態では、結合剤−薬物複合体は細胞の細胞表面上のcMETに特異的に結合し、結合後にcMETの内部移行を誘起する結合剤を含む。いくつかの実施形態では、結合剤はcMETまたはその部分に特異的に結合し、cMETの分解を誘起する。したがって、ある実施形態では、結合剤−薬物複合体は細胞の細胞表面上のcMETに特異的に結合し、結合後にcMETの内部移行および/または分解を誘起する結合剤を含む。リガンドまたは結合剤の結合により誘起された細胞表面の結合型受容体(cell surface-bound receptor)の内部移行および/または分解は、本分野で公知の公的なアッセイを用いて検出し、測定し、および/または定量化することができる。したがって、cMET内部移行および/または分解を誘起する結合剤の能力は公的な実験的アッセイの使用により過度の負担なく決定することができる。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載した結合剤は細胞表面上のcMETまたはその部分に特異的に結合し、cMETの内部移行および/または分解を誘起する結合剤である。
その類似リガンドの結合によるcMETの活性化は腫瘍の成長、血管新生および転移に関与する。アゴニスト坑cMET抗体はcMET受容体に架橋結合し、cMETの活性化を誘起することによるリガンド結合を模倣することが多い。したがって、cMET受容体を活性化せずに細胞表面cMETに結合する結合剤は抗がん治療の用途により好適である。いくつかの実施形態では、結合剤−薬物複合体の結合剤は細胞表面上のcMETまたはその部分に特異的に結合し、シグナル伝達(たとえばチロシンキナーゼ活性)を検出可能に誘起せずまたは促進しない。いくつかの実施形態では、結合剤−薬物複合体の結合剤は細胞表面上のcMETまたはその部分に特異的に結合し、実質的にcMET(たとえばチロシンキナーゼ活性)を活性化しない。ある実施形態では、本明細書に開示した抗cMET結合剤は検出可能なcMETアゴニスト活性を有しない。ある実施形態では、抗cMET結合剤は細胞表面上におけるcMETの結合に際してアゴニスト活性を欠き、および/または細胞表面上におけるcMETの結合に際して検出可能なチロシンキナーゼ活性を誘起しまたは促進することができない。いくつかの実施形態では、抗cMET結合剤はcMETアンタゴニストである。ある実施形態では、抗cMET結合剤はcMET受容体を経由するシグナル伝達を低下させ、阻害し、低減し、妨害し、もしくは防止し、および/またはcMET受容体が検出可能なチロシンキナーゼ活性を誘起しまたは促進することを低下させ、阻害し、低減し、妨害し、もしくは防止する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示した抗cMET結合剤はcMETがその天然の類似リガンド(たとえば肝細胞増殖因子、またはそのアイソフォーム)に結合することを低下させ、阻害し、低減し、防止し、または妨害する。
いくつかの実施形態では、結合剤はラベルを含む。本明細書で用いる「ラベル」または「ラベルされた」という用語は、たとえばラベルされたアミノ酸の組み込みまたはラベルされたアビジン(たとえば光学法または比色法で検出できる蛍光マーカーまたは酵素活性を含むストレプトアビジン)によって検出できるビオチン部分のポリペプチドへの取着による検出可能なマーカーの組み込みを意味する。ある実施形態では、ラベルまたはマーカーを結合剤に取着して治療薬または診断薬を生成することができる。結合剤は共有結合または非共有結合で任意の好適なラベルまたはマーカーに取着することができる。ポリペプチドおよび糖タンパク質をラベルする種々の方法は当業者に公知であり、用いることができる。ポリペプチドへのラベルの非限定的な例には、これだけに限らないが、以下の放射性同位元素または放射性核種(たとえば3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、125I、131I)、蛍光ラベル、酵素ラベル(たとえばホースラディッシュペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、ケミルミネッセントラベル、金属ラベル、クロモフォア、エレクトロケミルミネッセンスラベル、燐光ラベル、クエンチャー(たとえばフルオロフォアクエンチャー)、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)ペア(たとえばドナーおよびアクセプター)、染料、酵素基質、小分子、質量タグ、量子ドット、ナノ粒子、ビオチニル基、二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(たとえばロイシンジッパーペア配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)、その他およびそれらの組合せが含まれる。
いくつかの実施形態では、結合剤は好適なキャリアを含む。結合剤は共有結合または非共有結合で好適なキャリアに取着することができる。ある実施形態では、キャリアは、結合剤のインビボ半減期を変化させまたは延長する、またはその薬物動態特性を改善する薬剤または分子である。キャリアの非限定的な例には、ポリエチレングリコール、グリコーゲン(たとえば結合剤のグリコシル化による)、デキストラン、および米国特許第6660843号に記載されたキャリアまたは媒体、その他およびそれらの組合せが含まれる。
ペイロード
PBD毒素
ある実施形態では、結合剤−薬物複合体は本明細書に記載した結合剤(たとえばcMETに特異的に結合する結合剤)およびペイロード(たとえば細胞障害性ペイロード)を含む。結合剤−薬物複合体は結合剤に共有結合で連結されていることが多い。いくつかの実施形態では、ペイロードはピロロベンゾジアゼピン(PBD)毒素を含む。いくつかの実施形態では、ペイロードは連結基または好適なリンカーを含む。いくつかの実施形態では、ペイロードはピロロベンゾジアゼピン(PBD)毒素および連結基を含む。ある実施形態では、ペイロードはピロロベンゾジアゼピン(PBD)毒素および連結基を含み、ピロロベンゾジアゼピンは連結基に共有結合で連結され、連結基は本明細書に記載した結合剤に共有結合で連結されている。
PBD毒素およびPBD毒素を製造する方法の非限定的な例は、以下の特許出願公報に記載されている:米国特許出願公開第2011/0256157号、国際公開第2015/052322号、米国特許出願公開第2016/0106861号、米国特許出願公開第2007/0072846号、米国特許出願公開第2011/0201803号、米国特許出願公開第2010/0113425号、米国特許出願公開第2008/0167293号、米国特許出願公開第2014/0127239号、米国特許出願公開第2015/0158869号、米国特許出願公開第2015/0344482号、米国特許出願公開第2015/0111880号、米国特許出願公開第2015/0315196号、米国特許出願公開第2016/0015828号、米国特許出願公開第2014/0088089号、米国特許出願公開第2013/0035484号、米国特許出願公開第2011/0196148号、米国特許出願公開第2013/0028919号、米国特許出願公開第2013/0059800号、米国特許出願公開第2014/0274907号、米国特許出願公開第2014/0275522号、米国特許出願公開第2014/0234346号、米国特許出願公開第2013/0266595号、米国特許出願公開第2014/0302066号、米国特許出願公開第2014/0286970号、米国特許出願公開第2014/0294868号、米国特許出願公開第2016/0144052号、米国特許出願公開第2016/0031887号、米国特許出願公開第2014/0120118号、米国特許出願公開第2016/0250344号、国際公開第2017/137553号、国際公開第2017/137555号および国際公開第2017/186894号(これらの全内容は参照によりその全体が本明細書に組込まれる)。
いくつかの実施形態では、ピロロベンゾジアゼピン毒素は式I:
[式中、Z1およびZ2は両方ともNであり;Z3およびZ4は両方ともCであり、
nは1〜12であり;R3およびR4のそれぞれは独立してHまたはC1−4アルコキシルであり;およびR1およびR2のそれぞれは独立してH、C1−5アルキル、C3−6シクロアルキル、C2−5アルケニルおよびR5で置換されていてもよいフェニルからなる群より選択され、R5は、−NH2、−NHR6および構造:
を有するR7で置換されたピペラジニルからなる群より選択され、
R6は連結基を含み、およびR7はヌルまたはC1−5アルキルであり;X1はヌルであるか、保護基であるか、または連結基を含み;X2はヌルであるか、保護基であるか、または連結基を含み;X1、X2、R1およびR2の1つだけが連結基を含み;およびY1およびY2のそれぞれが独立してヌル、OHまたはSO3Hのいずれかであり;ただし、
の構造を含む。
ある実施形態では、PBD毒素は1つだけ連結基を含む。たとえば、化学式Iでは、X1、X2、R1およびR2の1つだけが連結基を含んでよい。たとえば、X1が連結基を含む場合、X2、R1およびR2は連結基を含まない。
化学式IのPBD毒素のある実施形態では、nは1〜12である。化学式IのPBD毒素のある実施形態では、nは1〜10、1〜9、1〜7、1〜5または1〜3である。化学式IのPBD毒素のある実施形態では、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12である。いくつかの実施形態では、nは1、3または5である。いくつかの実施形態では、nは3または5である。
化学式IのPBD毒素のある実施形態では、R3およびR4は独立してC1−4アルコキシルである。化学式IのPBD毒素のある実施形態では、R3およびR4は独立して-O−CH2CH3または−O−CH3から選択される。化学式IのPBD毒素のある実施形態では、R3およびR4は両方とも−O−CH3である。
化学式IのPBD毒素のある実施形態では、R1およびR2は独立してH、C1−5アルキル、C3−C6シクロアルキルおよびC2−5アルケニルからなる群より選択される。R1およびR2は同一であってよく、または異なっていてよい。いくつかの実施形態では、R1およびR2は独立してC1−C3アルキルおよびC2−C3アルケニルから選択される。ある実施形態では、R1およびR2は独立して−CH2CH2CH3および−CH3から選択される。ある実施形態では、R1およびR2は両方とも−CH2CH2CH3または−CH3である。
化学式IのPBD毒素のある実施形態では、R1およびR2は独立してC3−C6シクロアルキルおよびR5で置換されていてもよいフェニルから選択され、R5は−NH2、−NHR6および構造:
を有するR7で置換されたピペラジニルからなる群より選択され、
R6は連結基を含み、およびR7はヌルまたはC1−5アルキルである。ある実施形態では、R1およびR2は異なり、かつ(i)C3−C6シクロアルキルおよび(ii)R5で置換されていてもよいフェニルから独立して選択され、R5は−NH2および−NHR6から選択され、R6は連結基を含む。ある実施形態では、R1およびR2は異なり、かつ(i)C3シクロアルキルおよび(ii)−NH2または−NHR6で置換されたフェニルから独立して選択され、R6は連結基を含む。ある実施形態では、R1およびR2は異なり、かつ(i)R5で置換されていてよいフェニル(ここで、R5は-NH2および-NHR6であり、R6は連結基を含む)および(ii)構造を有するR7で置換されたピペラジニル(ここで、R7はヌルまたはC1−C2アルキルである)から独立して選択される。ある実施形態では、R1およびR2は異なり、かつ(i)R5で置換されたフェニル(ここで、R5は-NH2および-NHR6であり、R6は連結基を含む)および(ii)構造
[R7は-CH3である]
を有するR7で置換されたピペラジニルから独立して選択される。ある実施形態では、R2は4−メチルピペラジン−1−イルで置換されたフェニルである。
化学式IのPBD毒素のある実施形態では、X1はヌルであり、Y1はヌルであり、Z1 Z3はN=Cであり、X2はヌルであり、Y2はヌルであり、およびZ2 Z4はN=Cである。化学式IのPBD毒素のある実施形態では、X1は連結基を含み、Y1はOHであり、Z2 Z4はN=Cであり、X2はヌルであり、およびY2はヌルである。化学式IのPBD毒素のある実施形態では、X1は連結基を含み、Y1はOHであり、Z2 Z4はN−Cであり、X2は保護基であり、およびY2はOHである。
いくつかの実施形態では、PBD毒素は以下に示した化学式VII:
[式中、X1は連結基を含む]の構造を含む。
いくつかの実施形態では、PBD毒素は以下に示した化学式VIII:
[式中、X1は連結基を含む]の構造を含む。
いくつかの実施形態では、PBD毒素は以下に示した化学式IX:
[式中、R6は連結基を含む]の構造を含む。
いつかの実施形態では、PBD毒素は以下に示した化学式X:
[式中、R6は連結基を含む]の構造を含む。
いくつかの実施形態では、PBD毒素は好適な結合、部分または基によって連結基に取着(たとえば共有結合で連結)されている。いくつかの実施形態では、PBD毒素はカルボニル結合またはアミド結合によって連結基に取着(たとえば共有結合で連結)されている。いくつかの実施形態では、PBD毒素はカルバメート基によって連結基に取着(たとえば共有結合で連結)されている。いくつかの実施形態では、PBD毒素はアミド基によって連結基に取着(たとえば共有結合で連結)されている。PBD毒素の連結基への取着の非限定的な例は、米国特許出願公開第2017/0002096号、米国特許出願公開第2016/0331842号、米国特許出願公開第2015/0250896号、米国特許出願公開第2017/0080103号、米国特許出願公開第2016/0136300号、米国特許出願公開第2017/0152274号、米国特許出願公開第2015/0209444号、米国特許出願公開第2013/0274091号、米国特許出願公開第2017/0095570号、米国特許出願公開第2017/0157264号、米国特許出願公開第2015/0125474号、米国特許出願公開第2011/0256157号、国際公開第2015/052322号、米国特許出願公開第2016/0106861号、米国特許出願公開第2007/0072846号、米国特許出願公開第2011/0201803号、米国特許出願公開第2010/0113425号、米国特許出願公開第2008/0167293号、米国特許出願公開第2014/0127239号、米国特許出願公開第2015/0158869号、米国特許出願公開第2015/0344482号、米国特許出願公開第2015/0111880号、米国特許出願公開第2015/0315196号、米国特許出願公開第2016/0015828号、米国特許出願公開第2014/0088089号、米国特許出願公開第2013/0035484号、米国特許出願公開第2011/0196148号、米国特許出願公開第2013/0028919号、米国特許出願公開第2013/0059800号、米国特許出願公開第2014/0274907号、米国特許出願公開第2014/0275522号、米国特許出願公開第2014/0234346号、米国特許出願公開第2013/0266595号、米国特許出願公開第2014/0302066号、米国特許出願公開第2014/0286970号、米国特許出願公開第2014/0294868号、米国特許出願公開第2016/0144052号、米国特許出願公開第2016/0031887号、米国特許出願公開第2014/0120118号、米国特許出願公開第2016/0250344号、国際公開第2017/137553号、国際公開第2017/137555および国際公開第2017/186894(これらの全内容は参照によりその全体が本明細書に組込まれる)に記載されている。
本明細書で用いる「ヌル」という用語は、示された部分が構造に存在しないことである、示された部分が必要とされる原子価を完全にするための1つまたは複数の水素原子で置換されまたは占有されていてもよいことを意味する。さらに、本明細書に示した任意の構造に関して、1つまたは複数の水素が、構造に示される炭素、窒素または酸素原子の必要とされる原子価を完全にするために存在してもよい。したがって、明示的に示されていない場合、1つまたは複数の水素原子が存在してもよい。
連結基
いくつかの実施形態では、ペイロードは、結合剤とPBD毒素との間の連結を部分的に促進する連結基を含む。ある実施形態では、任意の好適な連結基はPBD毒素を結合剤に連結するために用いることができる。連結基および連結基を作製する方法の非限定的な例は、国際公開第2015/052322号、米国特許出願公開第2015/0158869号、米国特許出願公開第2015/0344482号、米国特許出願公開第2014/0127239号、米国特許出願公開第2017/0002096号、米国特許出願公開第2016/0331842号、米国特許出願公開第2015/0250896号、米国特許出願公開第2017/0080103号、米国特許出願公開第2016/0136300号、米国特許出願公開第2017/0152274号、米国特許出願公開第2015/0209444号、米国特許出願公開第2013/0274091号、米国特許出願公開第2017/0095570号、米国特許出願公開第2017/0157264および米国特許出願公開第2015/0125474号(これらは参照によりその全体が本明細書中に組込まれる)に記載されている。いくつかの実施形態では、連結基はC1〜C20アルキル、C1〜C20アルケニル、C1〜C20アルコキシル、1つまたは複数のアミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、1個〜20個のアミノ酸を含むペプチド、フェニル基、好適なポリマー(たとえばポリエチレングリコール)またはそれらの組合せを含む。
いくつかの実施形態では、連結基は化学式A:
[アスタリスクは連結基のピロロベンゾジアゼピン毒素への取着点を示し、波線は連結基の結合剤への取着点を示し、mは0〜20であり、qは0〜10であり、およびEは結合基である]の構造を含む。化学式Aの連結基のいくつかの実施形態では、mは1〜20、1〜10、1〜8、1〜6、1〜4、2〜8または4または8である。化学式Aの連結基のいくつかの実施形態では、mは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10から選択される。化学式Aの連結基のいくつかの実施形態では、qは1〜10、1〜8、1〜6または1〜4である。化学式Aの連結基のいくつかの実施形態では、qは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10から選択される。化学式Aの連結基のいくつかの実施形態では、qは0、1または2、18である。化学式Aの連結基のいくつかの実施形態では、mは8であり、およびqは2である。
いくつかの実施形態では、連結基は化学式B:
[式中、アスタリスクは連結基のピロロベンゾジアゼピン毒素への取着点を示し、波線は連結基の結合剤への取着点を示し、vは0〜10であり、およびuは0または1であり、uが1である場合、tは1〜10であり、およびEは結合基である]の構造を含む。化学式Bの連結基のいくつかの実施形態では、vは1〜10、1〜8、1〜4または0〜4、21である。化学式Bの連結基のいくつかの実施形態では、vは0、1、2、3、4、5、6、7または8から選択される。化学式Bの連結基のいくつかの実施形態では、uが1である場合、tは1〜8、1〜5、1〜4または2〜5である。化学式Bの連結基のいくつかの実施形態では、uが1である場合、tは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10から選択される。化学式Bの連結基のいくつかの実施形態では、tは8であり、uは1であり、およびvは2である。化学式Bの連結基のいくつかの実施形態では、uは0であり、およびvは4である。
化学式AおよびBの連結基Eは、任意の好適な結合、リンカーまたは部分を含んでいてよく、その非限定的な例には、ジスルフィド結合、チオエーテル結合、チオエステル結合、アミド結合、アミン、ケトン、カルボキシラートエーテル、カルバメート、エステル、チオエステル、その他、またはそれらの組み合わせが含まれる。ある実施形態では、Eは連結基と結合剤との間の共有結合を含む。いくつかの実施形態では、Eは共有結合を含む。いくつかの実施形態では、Eは好適な複合体化反応が行われた後に残る反応した部分を含む。多くの複合体化反応が本分野で公知であり、そのいずれかを用いて、本明細書中で開示した連結基を本明細書中で開示した結合剤に共有結合で連結させるために用いることができる。任意の好適な複合体化化学を用いて、確率的または部位特異的のいずれかで結合基を結合基に共有結合で取着させることができ、その非限定的な例には、Shan S. Wong (1991年6月18日出版) Chemistry of Protein Conjugation and Cross-Linking, CRC Press; Greg T. Hermanson (著作権2013) Bioconjugate Techniques, Third Edition, Elsevier Inc.; およびThiol-X Chemistries in Polymer and Materials Science, RSC Polymer Chemistry Series No. 6 (2013) Andrew B. Lowe およびChristopher N. Bowman編, RCS Publishing、国際公開第2015/052322号、米国特許出願公開第2015/0158869号、米国特許出願公開第2015/0344482号、米国特許出願公開第2014/0127239号、米国特許出願公開第2017/0002096号、米国特許出願公開第2016/0331842号、米国特許出願公開第2015/0250896号、米国特許出願公開第2017/0080103号、米国特許出願公開第2016/0136300号、米国特許出願公開第2017/0152274号、米国特許出願公開第2015/0209444号、米国特許出願公開第2013/0274091号、米国特許出願公開第2017/0095570号、米国特許出願公開第2017/0157264号および米国特許出願公開第2015/0125474号(これらの全内容は参照によりその全体が本明細書に組込まれる)に記載された複合体化反応が含まれる。ペイロードまたは連結基を結合剤に複合体化する他の非限定的な例には、アミンまたはアミノ基を、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、スクシンイミジルスクシネート、スクシンイミジルスクシンアミド、スクシンイミジルプロピオネート、スクシンイミジルカルボネート、オキシカルボニルイミダゾール、ニトロフェニルカーボネート、トリクロロフェニルカーボネート、トレシレート、無水マレイン酸、無水メチルマレイン酸、イミドエステル、ペンタフルオロフェニル(PFP)エステル、ヒドロキシメチルホスフィン、オキシランまたはその他のカルボニル部分と反応させること;カルボキシル部分をカルボジイミドと反応させること;スルフヒドリル部分をマレイミド、ハロアセチル、ピリジルジスルフィド、オルトピリジルジスルフィドおよび/またはビニルスルホンと反応させること;アルデヒド部分をヒドラジンまたはヒドラジドと反応させること;非選択的な基をジアジリンおよび/またはアリールアジドと反応させること;ヒドロキシル部分をイソシアネートと反応させること;ヒドロキシルアミン部分をカルボニル部分と反応させること;その他、およびこれらの組合せが含まれる。
したがって、Eは連結基を結合剤に複合体化するために用いられる化学によって定義されることが多い。いくつかの実施形態では、Eは連結基を結合剤に取着するように構成された好適な部分を含む。いくつかの実施形態では、連結基は、好適なスルフヒドリル−スルフヒドリル反応によって、たとえば還元されたシステインと反応し、安定したチオエーテル結合を形成するマレイミドまたはピリジルジチオール反応基の使用により、結合剤に共有結合される。反応性スルフヒドリル反応性部分のさらなる非限定的な例には、ハロアセチル、アジリジン、アクリロイル、アリール化剤、ビニルスルホン、ピリジルジスルフィドおよびTNB−チオールが含まれる。ある実施形態では、結合剤は、結合剤のシステインチオール残基(たとえばチオール)とEとの間に形成されたチオエーテル結合によって、Eに結合される。したがって、ある実施形態では、Eはジスルフィド結合またはチオエーテル結合を含む。いくつかの実施形態では、たとえばマレイミド反応を用いて、結合剤を結合基に共有結合で連結され、Eは化学式C:
[式中、波線は結合剤に取着されている点を示し、ダブルアスタリスク(**)は連結基に取着されている点を示す]の構造を含む。ある実施形態では、化学式Cのダブルアスタリスクはチオエーテル結合を表す。
ペイロード、連結基または連結基は結合剤の任意の好適なアミノ酸に確率的または部位特異的に結合され得る。いくつかの実施形態では、ペイロード、連結基または連結基は結合剤の1つまたは複数の好適なシステインに複合体化される。いくつかの実施形態では、ペイロード、連結基または連結基は結合剤の1つまたは複数の好適なリジン残基に複合体化される。ある実施形態では、結合剤の1つまたは複数のアミノ酸がペイロード、連結基または連結基への複合体化に好適なアミノ酸で置換される。チオールを含有するアミノ酸残基またはリジン残基で置換できるアミノ酸の非限定的な例には、IgG2のA118、S119、S239、V282、T289、N361およびV422、IgG1のS115、S252、V289、T306およびN384、またはIgG1、IgG2、IgG3もしくはIgG4における対応する位置が含まれる。突然変異誘発によるシステインの抗体への組み込みにより、ペイロード、連結基または連結基を抗体の特定の部位に、例えばジスルフィド結合またはチオエーテル結合を介して、直接複合体化させることが可能になる。たとえば、結合剤の1つまたは複数のアミノ酸をシステインで置換することができ、システインは適切な化学反応を用いてペイロード、連結基または連結基の部位特異的複合体化に用いることができる。抗体の定常領域の任意の好適なアミノ酸を、ペイロード、連結基または連結基への部位特異的複合体化のためにシステインまたはリジンに変異させることができる。部位特異的複合体化から生じる抗体薬物複合体の安定性は、本分野で公知の方法によって評価することができる。
いくつかの実施形態では、連結基は好適な酵素切断部位を含む。ある実施形態では、酵素切断部位は哺乳動物プロテアーゼの酵素認識部位を含む。したがって、いくつかの実施形態では、連結基またはその一部は哺乳動物プロテアーゼによって切断され得る。連結基は標的部位にまたはその近くに(たとえばcMETタンパク質にまたはその近くに)存在する酵素によって切断され得る。標的部位にまたはその近くに存在する酵素は、細胞内、膜結合型、膜会合型(membrane associated)または細胞外(たとえば分泌型)であってよい。例えば、連結基は、細胞表面プロテアーゼ、分泌プロテアーゼまたは細胞内プロテアーゼ(たとえばリソソームプロテアーゼ)によって切断されるように構成されてよい。酵素切断部位の非限定的な例には、リソソームシステインプロテアーゼおよび/またはリソソームアスパラギン酸プロテアーゼのプロテアーゼ認識部位が含まれる。リソソームプロテアーゼの非限定的な例には、カテプシンB、C、H、I、J、K、L、M、N、O、P、S、TおよびX、ならびにカテプシンD、E、F、Gおよび/またはカテプシンA(カルボキシペプチダーゼA)が含まれる。
保護基
いくつかの実施形態では、PBD毒素は好適な保護基を含む。保護基および保護基を作製する方法の非限定的な例は、以下の特許出願公開公報:米国特許出願公開第2011/0256157号、国際公開第2015/052322号、米国特許出願公開第2011/0201803号、米国特許出願公開第2008/0167293号、米国特許出願公開第2014/0127239号、米国特許出願公開第2015/0158869号、米国特許出願公開第2015/0344482号、米国特許出願公開第2015/0315196号、米国特許出願公開第2015/0315196号、米国特許出願公開第2014/0302066号、米国特許出願公開第2006/0264622号および米国特許出願公開第2015/0133435号(これらの全内容は参照によりその全体が本明細書に組込まれる)に記載されている。
いくつかの実施形態では、保護基は以下の化学式D:
[式中、アスタリスクはピロロベンゾジアゼピン毒素に取着されている点を示し;およびwは0〜10である]の構造を含む。いくつかの実施形態では、wは0〜8、0〜6、0〜4、1〜10、1〜8、1〜5または1〜4である。ある実施形態では、wは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9および10から選択される。いくつかの実施形態では、wは2である。
いくつかの実施形態では、保護基は除去可能である。ある実施形態では、保護基は好適な化学を用いて切断可能である。
いくつかの実施形態では、ペイロードは化学式II:
[式中、mは8であり、および波線は結合剤に取着されている点を示す]の構造を含む。
いくつかの実施形態では、ペイロードは化学式III:
[式中、mは8であり、pは1または3であり、X2はヌルまたは保護基であり、および波線は結合剤に取着されている点を示す]の構造を含む。ある実施形態では、ペイロードは化学式IV:
[波線は結合剤に取着されている点を示す]の構造を含む。
いくつかの実施形態では、ペイロードは化学式V’:
[式中、mは8であり、Eは好適な結合基であり、および波線は結合剤に取着されている点を示す]の構造を含む。いくつかの実施形態では、Eは構造C:
[式中、波線は結合剤に取着されている点を示し、およびダブルアスタリスクは化学式Vのペイロードに取着されている点を示す]のスクシンアミド部分を含む。構造Cの結合基を含む化学式Vのペイロードは、本明細書中、化学式XIと称されることがある。
いくつかの実施形態では、ペイロードは化学式VI:
[式中、tは8であり、vは1であり、および波線は結合剤に取着されている点を示す]の構造を含む。
いくつかの実施形態では、ペイロードは化学式VII:
[式中、波線は結合剤に取着されている点を示す]の構造を含む。
いくつかの実施形態では、結合剤−薬物複合体は、化学式II、III、IV、V、VI、VIIおよびXIのいずれか1つから選択された構造を含むペイロード、ならびに配列番号2、4、6、8、10、12および14のアミノ酸配列から選択されたCDR−L1、配列番号17、19、21、23および25のアミノ酸配列から選択されたCDR−L2、配列番号27、29、31、33および35のアミノ酸配列から選択されたCDR−L3、配列番号51、53、55、57および59のアミノ酸配列から選択されたCDR−H1、配列番号63、65、67、69、71、73および75のアミノ酸配列から選択されたCDR−H2、および配列番号80、82、84、86、88、91および93のアミノ酸配列から選択されたCDR−H3を含む結合剤を含む。
いくつかの実施形態では、結合剤−薬物複合体は、化学式II、III、IV、V、VI、VIIおよびXIのいずれか1つから選択された構造を含むペイロード、ならびに配列番号10または14のアミノ酸配列を含むCDR−L1、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR−L2、配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR−L3、配列番号59のアミノ酸配列を含むCDR−H1、配列番号71のアミノ酸配列を含むCDR−H2、および配列番号88のアミノ酸配列を含むCDR−H3を含む結合剤を含む。
いくつかの実施形態では、結合剤−薬物複合体は、化学式II、III、IV、V、VI、VIIおよびXIのいずれか1つから選択された構造を含むペイロード、ならびに配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR−L1、配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR−L2、配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR−L3、配列番号58のアミノ酸配列を含むCDR−H1、配列番号70のアミノ酸配列を含むCDR−H2、および配列番号87のアミノ酸配列を含むCDR−H3を含む結合剤を含む。
いくつかの実施形態では、結合剤−薬物複合体は、化学式II、III、IV、V、VI、VIIおよびXIのいずれか1つから選択された構造を含むペイロード、ならびに配列番号37〜44のアミノ酸配列から選択されたアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域、および配列番号94〜103のアミノ酸配列から選択されたアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む結合剤を含む。
いくつかの実施形態では、結合剤−薬物複合体は、化学式II、III、IV、V、VI、VIIおよびXIのいずれか1つから選択された構造を含むペイロード、ならびに配列番号37〜44のアミノ酸配列から選択されたアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号94〜103のアミノ酸配列から選択されたアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む結合剤を含む。
いくつかの実施形態では、結合剤−薬物複合体は、化学式II、III、IV、V、VI、VIIおよびXIのいずれか1つから選択された構造を含むペイロード、ならびに配列番号45〜49のアミノ酸配列から選択されたアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域、および配列番号104〜108のアミノ酸配列から選択されたアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む結合剤を含む。
いくつかの実施形態では、結合剤−薬物複合体は、化学式II、III、IV、V、VI、VIIおよびXIのいずれか1つから選択された構造を含むペイロード、ならびに配列番号45〜49のアミノ酸配列から選択されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号104〜108のアミノ酸配列から選択されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む結合剤を含む。
医薬組成物
いくつかの実施形態では、組成物または医薬組成物は本明細書に記載した結合剤−薬物複合体を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、結合剤−薬物複合体および薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、添加剤またはキャリアを含む。
医薬組成物は好適な投与経路のために製剤化することができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は皮下(s.c.)、皮内、筋肉内、腹腔内および/または静脈内投与のために製剤化される。ある実施形態では、医薬組成物は、組成物のたとえばpH、浸透圧、粘度、透明性、色、等張性、臭気、無菌性、安定性、溶解もしくは放出の速度、吸着もしくは浸透を改変し、維持し、または保存するための製剤材料を含んでもよい。ある実施形態では、好適な製剤材料には、これだけに限らないが、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジン等)、抗微生物剤、抗酸化剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウム等)、緩衝剤(ホウ酸塩、重炭酸塩、トリスHCl、クエン酸塩、リン酸塩(たとえばリン酸塩緩衝食塩液)、または好適な有機酸)、増量剤(マニトールまたはグリシン等)、キレート化剤(エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等)、錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、ベータ−シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン等)、タンパク質(血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン等)、着色剤、香料および希釈剤、乳化剤、親水性ポリマー(ポリビニルピロリドン等)、低分子量ポリペプチド、塩形成カウンターイオン(ナトリウム等)、溶媒(グリセリン、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール等)、希釈剤、賦形剤および/または医薬アジュバントが含まれる。特に、医薬組成物は“Remington: The Science And Practice Of Pharmacy” Mack Publishing Co., Easton, PA, 19th Edition, (1995)(以下、Remington’95)または“Remington: The Science And Practice Of Pharmacy”, Pharmaceutical Press, Easton, PA, 22nd Edition, (2013)(以下、Remington 2013)(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に列挙されたような任意の好適なキャリア、製剤または成分、その他またはそれらの組合せを含むことができる。本明細書に列挙した種々の材料は単独または組合せてRemington’95またはRemington 2013に記載された材料に組み込むことまたは共に用いることができる。当業者に理解される手法、キャリアおよび賦形剤、たとえばRemington’95またはRemington 2013に記載されたものを含む任意の好適な手法、キャリアおよび賦形剤を用いることができる。
ある実施形態では、医薬組成物は好適な賦形剤を含み、その非限定的な例には、付着防止剤(たとえばステアリン酸マグネシウム)、バインダー、フィラー、単糖類、二糖類、その他の炭水化物(たとえばグルコース、マンノースまたはデキストリン)、糖アルコール(たとえばマンニトールまたはソルビトール)、コーティング(たとえばセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、微結晶セルロース、合成ポリマー、シェラック、ゼラチン、トウモロコシタンパク質ゼイン、腸溶性またはその他の多糖類)、デンプン(たとえばジャガイモ、メイズまたはムギのデンプン)、シリカ、着色剤、崩壊剤、香料、潤滑剤、保存剤、吸着剤、甘味剤、媒体、懸濁剤、界面活性剤および/または湿潤剤(プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソーベート20、ポリソーベート80等のポリソーベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパル等)、安定性向上剤(シュクロースまたはソルビトール等)、ならびに等張性向上剤(アルカリ金属ハライド、塩化ナトリウムもしくは塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール)、および/またはRemington’95またはRemington 2013に開示された任意の賦形剤が含まれる。本明細書で用いる「バインダー」という用語は、医薬混合物を組み合わされた状態に保つことを補助する化合物または成分を意味する。医薬製剤を作製するために医薬錠剤、カプセルおよび顆粒の調製においてしばしば用いられる好適なバインダーは当業者には公知である。明らかにするため、本明細書で用いる「結合剤」という用語は、ある種の医薬製剤で用いられる「バインダー」を意味しない。しかしある実施形態では、医薬組成物はcMETに特異的に結合する結合剤ならびにバインダーを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は薬学的に許容される好適な添加剤および/またはキャリアを含む。好適な添加剤の非限定的な例には、好適なpH調整剤、緩和剤、緩衝剤、硫黄含有還元剤、抗酸化剤その他が含まれる。硫黄含有還元剤の非限定的な例には、N−アセチルシステイン、N−アセチルホモシステイン、チオクト酸、チオジグリコール、チオエタノールアミン、チオグリセロール、チオソルビトール、チオグリコール酸およびその塩、チオ硫酸ナトリウム、グルタチオン、およびC1〜C7チオアルカン酸等のスルフヒドリル基(たとえばチオール)を有する還元剤が含まれる。抗酸化剤の非限定的な例には、エリソルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アルファ−トコフェロール、トコフェロールアセテート、L−アスコルビン酸およびその塩、L−アスコルビルパルミテート、L−アスコルビルステアレート、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、トリアミルガレートおよびプロピルガレート、ならびにエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)ジナトリウム、ピロリン酸ナトリウムおよびメタリン酸ナトリウム等のキレート化剤が含まれる。さらに、希釈剤、添加剤および賦形剤は、一般に用いられる他の成分、たとえば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムおよび重炭酸ナトリウム等の無機塩、ならびにクエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムおよび酢酸ナトリウム等の有機塩を含んでもよい。
本明細書で用いる医薬組成物は長期間、たとえば数か月または数年にわたって安定であり得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は1つまたは複数の好適な保存剤を含む。保存剤の非限定的な例には、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸、過酸化水素、その他、および/またはそれらの組合せが含まれる。保存剤は塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾキソニウム、塩化ベンゼトニウム、セトリミド、塩化セパゾニウム、塩化セチルピリジニウム、または臭化ドミフェン(BRADOSOL(登録商標))等の四級アンモニウム化合物を含み得る。保存剤はチメロサール等のチオサリチル酸のアルキル水銀塩、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀またはホウ酸フェニル水銀を含み得る。保存剤はメチルパラベンまたはプロピルパラベン等のパラベンを含み得る。保存剤はクロロブタノール、ベンジルアルコールまたはフェニルエチルアルコール等のアルコールを含み得る。保存剤はクロロヘキシジンまたはポリヘキサメチレンビグアニド等のビグアニド誘導体を含み得る。保存剤は過ホウ酸ナトリウム、イミダゾリジニル尿素、および/またはソルビン酸を含み得る。保存剤は商品名PURITE(登録商標)として知られ、市販されている安定化オキシクロロ複合体を含み得る。保存剤は商品名POLYQUART(登録商標)として知られ、Henkel KGaAから市販されているポリグリコール−ポリアミン縮合レジンを含み得る。保存剤は安定化過酸化水素を含み得る。保存剤は塩化ベンザルコニウムであってよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物は保存剤を含まない。
いくつかの実施形態では、組成物、医薬組成物または結合剤−薬物複合体は実質的に混入物(たとえば血液細胞、血小板、ポリペプチド、ミネラル、血液由来化合物または化学製品、ウイルス、細菌、他の病原体、毒素、その他)を含まない。いくつかの実施形態では、組成物、医薬組成物または結合剤−薬物複合体は実質的に血清および血清混入物(たとえば血清タンパク質、血清脂質、血清炭水化物、血清抗原、その他)を含まない。いくつかの実施形態では、組成物、医薬組成物または結合剤−薬物複合体は実質的に病原体(たとえばウイルス、寄生虫または細菌)を含まない。いくつかの実施形態では、組成物、医薬組成物または結合剤−薬物複合体は実質的にエンドトキシンを含まない。いくつかの実施形態では、組成物、医薬組成物または結合剤−薬物複合体は無菌である。ある実施形態では、組成物または医薬組成物はcMETの細胞外ドメインに特異的に結合する結合剤−薬物複合体および好適な希釈剤(たとえばリン酸塩緩衝食塩液)を含む。
本明細書に記載した医薬組成物は、それらを用いる治療による任意の好適な形態および/または量で対象に投与するために構成され得る。たとえば非経口投与(たとえば注射または注入による)のために構成された医薬組成物は、油性または水性媒体中の懸濁液、溶液またはエマルジョンの形態を取ってよく、水性または非水性溶媒、共溶媒、懸濁液、保存剤、安定化剤および/または分散剤等の製剤化剤、賦形剤、添加剤および/または希釈剤を含んでよい。いくつかの実施形態では、非経口投与に適した医薬組成物は1つまたは複数の賦形剤を含んでよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物は凍結乾燥によって乾燥粉末形態にされる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は凍結乾燥によって好適な医薬溶媒(たとえば水、食塩液、等張緩衝溶液(たとえばPBS)、その他)による再構成に適した乾燥粉末形態にされる。ある実施形態では、凍結乾燥された医薬組成物の再構成された形態は哺乳類への非経口投与(たとえば静脈内投与)に適している。
ある実施形態では、医薬組成物は経口投与のために構成され、錠剤、マイクロ錠剤、ミニ錠剤、マイクロペレット、粉末、顆粒、カプセル(たとえばマイクロ錠剤、マイクロペレット、粉末または顆粒が充填されたカプセル)、エマルジョンまたは溶液として製剤化されてよい。経口投与のために構成された医薬組成物は、活性成分(たとえば結合剤)の放出を遅延させまたは持続させる好適なコーティングを含んでよく、その非限定的な例には、脂肪酸、ワックス、シェラック、プラスチック、アクリル酸メチル−メタクリル酸共重合体、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、酢酸コハク酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート(コハク酸ヒプロメロース)、ポリ酢酸ビニルフタル酸(PVAP)、メタクリル酸メチル−メタクリル酸共重合体、酢酸セルローストリメリテート、アルギン酸ナトリウム、ゼイン、植物繊維、その他およびそれらの組合せ等の腸溶コーティングが含まれる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載した医薬組成物は局所投与のために構成されてよく、結合剤および/または潤滑剤、ポリマーグリコール、ゼラチン、ココアバターまたは他の好適なワックスもしくは脂肪の1つまたは複数を含んでよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載した医薬組成物は、一般に局所的薬剤投与に適する局所的キャリアを含み、当業者には公知の任意の好適な材料を含む局所的製剤の中に組み込まれる。ある実施形態では、医薬組成物の局所的製剤は局所パッチからの結合剤の投与のために製剤化される。
ある実施形態では、最適な医薬組成物は、たとえば意図された投与経路、デリバリーフォーマットおよび所望の用量に基づいて当業者によって決定されることになる(たとえば上記のRemington’95またはRemington 2013,を参照)。ある実施形態では、そのような組成物は本発明の抗体の物理的状態、安定性、インビボ放出の速度およびインビボクリアランスの速度に影響し得る。医薬組成物は、たとえば従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造、摩砕、乳化、カプセル化、トラップ化、または錠剤化プロセスによる方法(たとえばRemington’95またはRemington 2013に記載された方法を参照)を含む任意の好適な方式で製造することができる。
第二医薬用途
いくつかの実施形態では、対象のがんまたは腫瘍性障害の処置用の医薬として使用するための組成物または医薬組成物が本明細書に提示され、組成物または医薬組成部は本明細書に記載した結合剤−薬物複合体を含む。いくつかの実施形態では、がんまたは腫瘍性障害の処置に使用するための本明細書に記載した結合剤−薬物複合体を含む組成物または医薬組成物が本明細書に提示される。
処置方法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載した組成物、医薬組成物または結合剤−薬物複合体は、腫瘍性障害またはがんを有するか、有する疑いのある対象を処置するために用いられる。ある実施形態では、本明細書に記載した結合剤−薬物複合体または医薬組成物は対象における腫瘍性障害またはがんの処置において用いられ、結合剤−薬物複合体はヒトcMETの細胞外ドメインに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、腫瘍性障害またはがんを有するか、有する疑いのある対象を処置する方法が本明細書に提示される。ある実施形態では、腫瘍性障害またはがんを有するか、有する疑いのある対象を処置する方法は、治療有効量の本明細書に記載した組成物、医薬組成物または結合剤を対象に投与することを含む。ある実施形態では、方法は対象の細胞(たとえば1つまたは複数の細胞)を治療有効量の本明細書に記載した組成物、医薬組成物または結合剤−薬物複合体と接触させることを含む。ある実施形態では、方法は対象のがん細胞または腫瘍性細胞を治療有効量の本明細書に記載した組成物、医薬組成物または結合剤−薬物複合体と接触させることを含む。ある実施形態では、方法は対象の細胞(たとえば1つまたは複数の細胞)をヒトcMETの細胞外ドメインまたはその変異体に特異的に結合する治療有効量の結合剤−薬物複合体と接触させることを含む。ある実施形態では、方法はがん細胞または腫瘍性細胞をヒトcMETの細胞外ドメインまたはその変異体に特異的に結合する治療有効量の結合剤−薬物複合体と接触させることを含み、細胞はその細胞表面上にcMETを発現する。対象の細胞はcMETの細胞外部分を発現する細胞であることが多い。結合剤−薬物複合体と接触される細胞は対象の内部(たとえばインビボ)で見出されてもよく、対象の外部(たとえばインビトロまたはエクスビボ(ex vivo))で見出されてもよい。
ある実施形態では、結合剤−薬物複合体はがんまたはがん細胞の成長、成長率または転移を妨害し、阻害し、改善し、廃棄しまたは抑制する。ある実施形態では、結合剤−薬物複合体は、がんまたはがん細胞の死、ネクローシスまたはアポトーシスを誘起する。ある実施形態では、対象の細胞を本明細書に開示した結合剤−薬物複合体と接触させることが細胞の死、ネクローシスまたはアポトーシスを誘起しまたは促進する。ある実施形態では、対象の細胞を本明細書に開示した結合剤−薬物複合体と接触させることがADCC、ADCPまたは補体依存性細胞障害(CDCC)プロセスによる細胞の死を誘起しまたは促進する。ある実施形態では、対象の細胞を本明細書に開示した結合剤−薬物複合体と接触させることが、細胞の有糸分裂を低下し、阻害し、または低減させる。ある実施形態では、対象のがんまたはがん細胞を本明細書に開示した結合剤−薬物と接触させることが、がんまたはがん細胞の転移を低下し、阻害しまたは低減させる。
対象
「対象」という用語は哺乳類を意味する。任意の好適な哺乳類を本明細書に記載した方法または組成物によって処置することができる。哺乳類の非限定的な例には、ヒト、非ヒト霊長類(たとえば類人猿、テナガザル、チンパンジー、オランウータン、サル、マカク、その他)、家庭内動物(たとえばイヌ、ネコ)、家畜(たとえばウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ)および実験動物(たとえばマウス、ラット、ウサギ、モルモット)が含まれる。いくつかの実施形態では、哺乳類はヒトである。哺乳類は任意の年齢または任意の成長段階であってよい(たとえば成体、十代、子供、新生児、または子宮内の哺乳類)。哺乳類は雌雄いずれでもよい。哺乳類は妊娠した雌であってよい。
いくつかの実施形態では、対象は本明細書に記載した処置または組成物を必要としている。ある実施形態では、対象は腫瘍性障害またはがんを有しているか、有している疑いがある。いくつかの実施形態では、本明細書に記載した処置または組成物を必要としている対象は腫瘍性障害またはがんを有しているか、有している疑いがある。ある実施形態では、本明細書に記載した結合剤−薬物複合体または組成物は、腫瘍性障害またはがんを有しているか、有している疑いがある対象を処置するために用いられる。
がんの種類
本明細書に開示した組成物、医薬組成物または結合剤−薬物複合体は、腫瘍性障害またはがんを処置するために用いることができ、その非限定的な例には、癌腫、肉腫、神経腫瘍症、リンパ腫、骨髄腫、白血病、黒色腫、中皮腫、固形もしくは軟組織腫瘍および二次がん(例えば、原発部位から派生したがん)が含まれる。癌腫の非限定的な例には、呼吸器系がん、消化器系がん、泌尿生殖器系がん、精巣がん、前立腺がん、内分泌系がん、皮膚の基底細胞がん、原発不明のがん、胆管癌、非浸潤性乳管癌(DCIS)、メルケル細胞がん、肺がん、胸腺がんおよび胸腺がん、正中線癌、肺小細胞がん、甲状腺がん、肝細胞がん、扁平上皮がん、頭頸部扁平上皮がん、乳がん、上皮がん、副腎皮質がん、卵巣表面上皮がん、その他が含まれ、さらに子宮、子宮頸部、結腸、膵臓、腎臓、食道、胃および卵巣の癌腫が含まれる。肉腫の非限定的な例には、ユーイング肉腫、リンパ肉腫、脂肪肉腫、骨肉腫、乳肉腫、軟組織肉腫、カポジ肉腫、横紋筋肉腫、子宮肉腫、軟骨肉腫、平滑筋肉腫、線維肉腫、その他が含まれる。神経腫瘍症の非限定的な例には、神経膠腫、膠芽細胞腫、髄膜腫、神経芽腫、網膜芽細胞腫、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、その他が含まれる。リンパ腫、骨髄腫および白血病の非限定的な例には、急性および慢性リンパ芽球性白血病、骨髄芽球性白血病、多発性骨髄腫、低分化型急性白血病(例:赤芽球性白血病および急性巨核芽球性白血病)、急性前骨髄性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、B系統ALLおよびT系統ALLを含む急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、有毛細胞白血病(HLL)、ウォルデンストロームマクログロブリン血症(WM)、非ホジキンリンパ腫およびそのバリアント、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大顆粒リンパ球性白血病(LGF)、ホジキン病、リードシュテルンベルク病が含まれる。軟組織腫瘍または固形組織腫瘍の非限定的な例には、内臓腫瘍、セミノーマ、肝細胞癌、ならびに乳房、肝臓、肺、膵臓、子宮、卵巣、睾丸、頭、首、目、脳、口、咽頭、声帯、耳、鼻、食道、胃、腸、結腸、副腎、腎臓、骨、膀胱、尿道、癌腫、肺、筋肉、皮膚、足、手、および軟組織の他の腫瘍が含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示した医薬組成物または結合剤−薬物複合体により処置され得る腫瘍性障害またはがんは、膀胱がん、乳がん、結腸直腸がん、子宮頸がん、胃がん、肝臓がん、肝細胞がん、下咽頭がん、肺がん、腺がん、卵巣がんおよび腎臓がんから選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示した医薬組成物または結合剤−薬物複合体によって処置され得る腫瘍性障害またはがんは、膵臓がん(たとえば膵臓腺がん、外分泌膵臓がんまたは膵神経内分泌がん)、結腸直腸がん(たとえば結腸直腸腺がん)、小腸悪性腫瘍、胆管がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、甲状腺がん、食道もしくは食道胃接合部(EGJ)がん、胃腺がん、肝臓肝細胞がん、頭頸部扁平上皮がん、女性生殖管悪性腫瘍、乳がん、肺小細胞がん、卵巣表面上皮がん、後腹膜もしくは腹膜肉腫、前立腺腺がん、神経内分泌腫瘍、消化管間質腫瘍、神経膠芽腫または非上皮性卵巣がんから選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示した医薬組成物または結合剤−薬物複合体によって処置され得る腫瘍性障害またはがんは、乳がんであり、その非限定的な例には、非浸潤性乳管がん(DCIS)、浸潤性乳管がん(IDC)(たとえば乳房の管状がん、乳房の髄様がん、乳房の粘液性がん、乳房の乳頭がんおよび乳房の篩状がん)、浸潤性小葉がん(ILC)、炎症性乳がん、非浸潤性小葉がん(LCIS)、男性の乳がん、乳がんの分子サブタイプ(管腔B乳がんもしくはホルモン受容体陽性乳がん、トリプルネガティブ乳がん、HER2に富んだ乳がんおよび正常様乳がん)、乳頭のパジェット病、乳房の葉状腫瘍、および転移性乳がんが含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示した医薬組成物または結合剤−薬物複合体によって処置され得る腫瘍性障害またはがんはトリプルネガティブ乳がんである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載した処置の有効性は、がんまたは腫瘍症が発現するcMETの量によって、部分的に、決定または予測することができる。多くのがんおよび腫瘍タイプはcMETを発現することが知られており、その非限定的な例には、特定の膀胱がん、乳がん、結腸直腸がん、胃がん、肝細胞がん、HNSCC、下咽頭がん、肺がん、腺がん、卵巣がんおよび腎臓がん(たとえばAriyawutyakorn et al. (2016) Journal of Cancer 7(6):633-649を参照)が含まれ、および多くの癌タイプで発現されるcMETの量が知られている(たとえばArguello et al. (2013) Annual Meeting of Association for Molecular Pathology (AMP) Abstract No. 294319を参照)。加えて、腫瘍性細胞またはがん細胞は、好適な方法(たとえば全細胞ELISA、FAC、任意の好適なイムノアッセイ、その他)を用い、適切な抗cMET結合剤(たとえば抗体)を用いて、cMETの発現について迅速にアッセイすることができる。したがって、いくつかの実施形態では、がんを有するか、有する疑いのある対象を処置する方法は、本明細書に記載した治療有効量の結合剤−薬物複合体または本明細書に記載した結合剤−薬物複合体を含む医薬組成物を対象に投与することを含み、がんは検出可能なレベルのcMETを発現する。ある実施形態では、検出可能なレベルのcMETを発現するがんは、cMETを発現することが知られている、または報告されているがん、または(たとえばcMETを発現することが知られている別のがんと類似の遺伝子型または表現型を有することによって)cMETを発現する疑いのあるがんであってよい。いくつかの実施形態では、cMETを発現するがん、またはcMETを発現する疑いのあるがんは、cMETをコードするRNA転写物またはその一部を発現するがんである。いくつかの実施形態では、cMETを発現するがん、またはcMETを発現する疑いのあるがんは、細胞表面にcMETを発現するがんである。
投与経路
組成物、医薬組成物または結合剤−薬物複合体を対象に投与する任意の好適な方法を用いることができる。本明細書に記載した本発明の方法による使用のための組成物の正確な製剤処方および投与経路は、患者の病状を考慮して医療従事者(たとえば医師)によって選択することができる(たとえば参照により全体として本明細書に組み込まれるFingl et al. 1975、「The Pharmacological Basis of Therapeutics」を参照)。本明細書に記載した医薬組成物または結合剤−薬物複合体の投与のため、任意の好適な投与経路を用いることができる。投与経路の非限定的な例には、局所または局部(たとえば経皮または皮膚(たとえば皮膚上もしくは表皮)、眼中または眼上、鼻内、経粘膜、耳中、耳の内側(たとえば鼓膜の後ろ))、腸内(たとえば胃腸管を経由する送達、たとえば経口(たとえば錠剤、カプセル、顆粒、液体、乳化、トローチ、またはそれらの組合せ)、舌下、経胃栄養チューブ、直腸、その他)、非経口投与(たとえば非経口、たとえば静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、皮内、皮下、腔内、頭蓋内、関節内、関節スペース内、心筋内(心臓内)、空洞内注射、病巣内(皮膚病巣内)、骨内注入(骨髄内)、髄腔内(脊柱管内)、子宮内、膣内、膀胱内注入、硝子体内)、その他またはそれらの組合せが含まれる。
いくつかの実施形態では、本明細書の組成物は対象に提供される。対象に提供される組成物は自己投与のため、または別人(たとえば医療従事者以外の者)によって対象に投与されるために提供されることがある。たとえば、本明細書に記載した組成物は、患者が本明細書に記載した組成物または処置を受けることを許可する臨床医によって書かれた指示書(たとえば処方箋)として提供され得る。別の例では、組成物は対象に提供され、対象は組成物を経口、静脈内またはたとえば吸入によって自己投与する。
あるいは、全身的ではなくたとえば持続性薬剤または持続放出製剤を用いることを含めて、皮膚、粘膜または治療のための目的の領域への直接適用による局所での本発明の方法に従う使用のために組成物を投与してもよい。
いくつかの実施形態では、結合剤−薬物複合体を含む医薬組成物は単独で(たとえば単一活性成分(AIまたはたとえば単一活性医薬成分(API))として)投与することができる。他の実施形態では、結合剤−薬物複合体を含む医薬組成物は1つまたは複数の追加のAI/APIと組み合わせて、たとえば2つの異なった組成物として、または1つまたは複数の追加のAI/APIが医薬組成物中で結合剤−薬物複合体とともに混合されまたは製剤化される単一組成物として、投与することができる。
ある実施形態では、cMET結合剤−薬物複合体は細胞(たとえば哺乳動物細胞)に送達される。cMET結合剤−薬物複合体は任意の好適な方法を用いて細胞に送達することができる。ある実施形態では、cMET結合剤−薬物複合体を細胞に送達することは、哺乳動物細胞をcMET結合剤−薬物複合体とin vitroまたはin vivoにて結合剤−薬物複合体が細胞に結合できる条件下で接触させることを含む。
用量および治療有効量
いくつかの実施形態では、組成物中の結合剤−薬物複合体の量は治療有効量である。いくつかの実施形態では、結合剤−薬物複合体の治療有効量が対象に投与される。いくつかの実施形態では、組成物中の結合剤−薬物複合体の治療有効量は効果的な治療結果を得るために必要な量である。ある実施形態では、組成物(たとえば医薬組成物)中の結合剤−薬物複合体の量は、本明細書で意図するように、腫瘍性障害またはがんを予防し、処置し、その重篤度を低減し、その発症を遅らせ、および/またはその症状を緩和するために十分な量である。
「治療有効量」は、効果的な治療結果を得るために十分な量および/または腫瘍性障害またはがんを予防し、処置し、その重篤度を低減し、その発症を遅らせ、および/またはその症状を緩和するために十分な量である。ある実施形態では、「治療有効量」は、腫瘍またはがんの増殖を停止させ、および/またはその増殖を遅延させるために十分な量を意味する。ある実施形態では、「治療有効量」は、1つまたは複数の腫瘍細胞またはがん細胞の複製を阻害し、および/またはその死を誘起するために十分な量を意味する。治療有効量の決定は、特に本明細書に提供した詳細な開示を考慮すれば、十分に当業者の能力の範囲内である。
ある実施形態では、治療有効量は、効果的な治療効果を提供するために十分に高い量であり、望ましくない副反応を最小化するのに十分に低い量である。したがって、ある実施形態では、結合剤−薬物複合体の治療有効量は、対象の年齢、体重、および一般症状、治療すべき病状の重篤度、ならびに投与される薬剤の特定の組合せによって多くの場合、対象ごとに変動し得る。したがって、いくつかの実施形態では、治療有効量は経験的に決定される。したがって、対象を処置するために用いられる結合剤−薬物複合体の治療有効量は、たとえば動物試験または臨床試験で効果的であると見出された量、医師の経験、および示唆された用量範囲または投薬ガイドラインに基づいて、当業者が決定することができる。
ある実施形態では、結合剤−薬物複合体(たとえば医薬組成物中の結合剤)の量は、好適な治療有効量または用量で(たとえば部分的に特定の投与経路によることがある好適な容量および濃度で)投与される。ある実施形態の中では、結合剤−薬物複合体の治療有効量は、約0.01mg/kg(たとえば対象の体重1kgあたり)〜500mg/kg、0.1mg/kg〜500mg/kg、0.1mg/kg〜400mg/kg、0.01mg/kg〜300mg/kg、0.1mg/kg〜300mg/kg、0.1mg/kg〜200mg/kg、0.1mg/kg〜150mg/kg、0.1mg/kg〜100mg/kg、0.1mg/kg〜75mg/kg、0.1mg/kg〜50mg/kg、0.1mg/kg〜25mg/kg、0.1mg/kg〜10mg/kg、0.1mg/kg〜5mg/kg、0.1mg/kg〜1mg/kg、間の量およびそれらの組合せの1つまたは複数の用量から選択される。いくつかの態様では、結合剤−薬物複合体の治療有効量は約10mg/kg、9mg/kg、8mg/kg、7mg/kg、6mg/kg、5mg/kg、4mg/kg、3mg/kg、2mg/kg、1mg/kg、0.9mg/kg、0.8mg/kg、0.7mg/kg、0.6mg/kg、0.5mg/kg、0.4mg/kg、0.3mg/kg、0.2mg/kgおよび0.1mg/kg、間の量およびそれらの組合せの1つまたは複数の用量を含む。いくつかの実施形態では、結合剤−薬物複合体の治療有効量は約0.1mg/kg〜100mg/kg、または約1mg/kg〜約50mg/kgである。
いくつかの実施形態では、治療有効量の結合剤−薬物複合体または結合剤−薬物複合体を含む医薬組成物を投与することは、効果的な治療結果を得るために必要な頻度または間隔で好適な用量を投与することを含む。いくつかの実施形態では、治療有効量の結合剤−薬物複合体または結合剤−薬物複合体を含む医薬組成物を投与することは、毎時、2時間ごと、4時間ごと、6時間ごと、1日3回、1日2回、1日1回、週6回、週5回、週4回、週3回、週2回、毎週、それらの組み合わせで、および/または規則的または不規則な間隔で、および/または単に医療従事者によって必要とされまたは推奨される頻度または間隔で、好適な用量を投与することを含む。
キット
結合剤−薬物複合体の量または用量を含む医薬組成物は、所望であれば結合剤の1つまたは複数の用量を含み得るキット、パックまたは分注デバイスで提供され得る。いくつかの実施形態では、キットはパックおよび/または分注デバイスを含む。パックの非限定的な例は、本明細書中に記載した結合剤−薬物複合体または組成物を含む金属、ガラスまたはプラスチック容器もしくはブリスターパックを含む。ある実施形態では、キットは注射器または吸入器等の分注デバイスを含む。パックまたは分注デバイスは投与のための説明書を伴ってもよい。パックまたは分注器は、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府官庁によって規定された形態で容器に付随し、ヒトまたは獣医用投与のための薬剤の形態の官庁による承認を反映する注意書を伴ってもよい。そのような注意書は、たとえば処方薬として米国食品医薬品局によって承認されたラベル、または承認された製品添付文書であってよい。
いくつかの実施形態では、キットまたはパックは、1日〜1年、1日〜180日、1日〜120日、1日〜90日、1日〜60日、1日〜30日、1時間〜24時間、1時間〜12時間、1時間〜4時間、またはその間の時間で、患者を処置するために十分な量の結合剤−薬物複合体を含む。
キットは、製品ラベルおよび/またはその中の成分の説明もしくは成分のインビトロ、インビボ、もしくはエクスビボの使用のための指示書を提供する1つもしくは複数の添付文書を含んでもよい。例示的な指示書には、診断法、処置プロトコルまたは治療計画の指示書が含まれる。ある実施形態では、キットは包装材料を含み、これはキットの成分を収容する物理的な構造を意味する。包装材料は成分を無菌に保つことができ、そのような目的に一般的に用いられる材料(たとえば紙、波形繊維、ガラス、プラスチック、箔、アンプル、バイアル、チューブ、その他)から作られてよい。製品ラベルまたは添付文書は「印刷物」、たとえば個別の、または成分、キットもしくは包装材料(たとえば箱)に貼付された、またはキット成分を含むアンプル、チューブもしくはバイアルに取着された紙もしくはボール紙を含む。ラベルまたは添付文書はさらに、コンピュータで読み取り可能な媒体、CD−もしくはDVD−ROM/RAM、DVD、MP3等の光学ディスク、磁気テープまたはRAMおよびROMまたは磁気/光学保存媒体等のこれらの混成物等の電子保存媒体、FLASH媒体またはメモリー型カード等を含んでよい。製品ラベルまたは添付文書は、その中の1つまたは複数の成分の同定情報、用量、作用機序、薬物動態(PK)および薬力学(PD)を含む活性成分の臨床薬理学を含んでよい。製品ラベルまたは添付文書は、メーカー情報、ロット番号、製造場所、製造日を同定する情報、キット成分が用いられる適応病状、障害、疾患または症状に関する情報を含んでよい。製品ラベルまたは添付文書は、方法、処置プロトコルまたは治療計画において1つまたは複数のキット成分を用いるための医師または対象者のための指示書を含んでよい。指示書は、用量、頻度もしくは期間、および本明細書で説明した方法、処置プロトコルまたは治療計画のいずれかを実施するための指示書を含んでよい。したがって本発明のキットは、本明細書に述べた本発明の方法および使用のいずれかを実施するためのラベルまたは指示書をさらに含んでよい。製品ラベルまたは添付文書は、起こり得る副作用に関する情報および/または警告を含んでよい。
[実施例]
実施例1−抗体の生成
cMETに対する抗体応答を誘起するため、図1および図2に示すようにcMET−FcまたはcMETペプチドでマウスを免疫した。いくつかの実施形態では、戦略領域に由来するペプチドを免疫のために選択した。ペプチド3の設計を着想させたMET上の構造ループの例を図3に示す。免疫されたマウスの脾臓を得て、脾臓細胞を好適な融合パートナーと融合させ、標準的なプロトコルでハイブリドーマを産生させた。ハイブリドーマクローンを単離し、ハイブリドーマ培地をMETへの結合および/またはフローサイトメトリーで測定したヒトがん細胞株上のcMETの内在化を誘起する能力について試験した(図4)。選択されたハイブリドーマ抗体を、METの分解を誘起する能力(図5)、またはERKのリン酸化を誘起する能力の欠如(図6)について選択した。リードハイブリドーマF6B1P3D12は、2019年3月20日に、アメリカ合衆国バージニア州20110−2209、マナサス、ユニヴァーシティ・ブルーバード10801のアメリカンタイプカルチャーコレクション特許微生物寄託機関(American Type Culture Collection, Patent Depository)に寄託された。寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約およびその規則(ブダペスト条約)のもとで行われた。ATCC番号はまだ割り当てられていない。
理想的な抗cMET抗体の候補を選択するために追加的なアッセイを行なった。たとえば、抗cMET抗体の種間交差反応性を、ELISAで測定した抗体のヒトcMET、サルcMET(たとえばマカカ・ファシクラリス(Macaca fascicularis)、すなわちシノモルガス・マカク(Cynomolgus Macaque))、ラットcMETおよびマウスcMETへの結合能力を測定することによって試験した(図7および表11)。インビボ半減期およびその他の薬物動態特性も評価した(データは示していない)。抗体薬物複合体(ADC)の有効性および特異性も、MMAFに複合体化させた抗cMET抗体を用いて、cMETの高度、中度の発現および非発現の細胞株について決定した(図9および図15、表11および表12)。ADCのインビボ効果を、MKN45キセノグラフトモデルを用いて試験した。
SPR=表面プラスモン共鳴
MSD=メソスケールディスカバリープラットフォーム
NHP=非ヒト霊長類(即ちシノモルガス・マカク)
5D5=アゴニスト陽性対照
ABF46=MET ADC、陽性対照
実施例2−選択したヒト化モノクローナル結合剤の特性のまとめ
マウスモノクローナル抗体P3D12の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含むヒト化してアイソタイプスイッチされたモノクローナル結合剤を生成させた。16種の異なった重鎖(HC)および軽鎖(LC)の組合せを、PBSへの溶解性、ヒトcMETへの結合、ラットcMETへの結合、表面プラスモン共鳴(SPR)で測定したヒトおよびラットのcMETへの結合親和性、メソスケールディスカバリープラットフォーム(MSD)として報告されたアゴニスト活性の存在およびcMETの分解について試験した。結果を以下の表12にまとめる。
本発明者らは、配列番号47のヒト化軽鎖可変領域および配列番号108のヒト化重鎖可変領域を含むIgG2アイソタイプのヒト化モノクローナル抗体を、代表的なヒト化抗cMET抗体として選択し、hD12と称し、以下の実施例にて抗体を用いた。
実施例3−結合アッセイ
配列番号108のヒト化重鎖および配列番号47のヒト化軽鎖配列を含む代表的なヒト化抗cMET抗体であるhD12は、5つの代表的なペイロード(すなわち化学式II、IV、VI、VIIおよびXIのペイロード)に確率的に複合体化される。各ペイロードはピロロベンゾジアゼピン毒素と連結基を含む。この実施例では、ペイロードの連結基をhD12抗体にジスルフィド化学を用いて確率的に連結した。簡潔には、hD12抗体をまずグルタチオン(GSH)を用いて還元し、未反応のGSHを除去し、反応性マレイミド基を含む連結基を抗体上の1つまたは複数の遊離スルフヒドリル基(すなわちチオール基)と反応させる。このアプローチを用い、1つまたは複数のペイロードを、システイン残基によって占められたランダムな位置でhD12抗体に共有結合で連結されている。したがってこの方法は確率的な複合体化と称する。
得られたhD12抗体薬物複合体(すなわちhD12−II(化学式IIのペイロードに取着られた抗体hD12));hD12−IV(化学式IVのペイロードに取着られた抗体hD12);hD12−VI(化学式VIのペイロードに取着られた抗体hD12);hD12−VII(化学式VIIのペイロードに取着られた抗体hD12);およびhD12−XI(化学式XIのペイロードに取着られた抗体hD12))をELISAによってプレート結合cMETへの結合についてアッセイした。5つの各ペイロードに複合体化させたデノスマブを、陰性対照として用いた。これは、モノクローナル抗体デノスマブが特異的にRANKリガンド(RANKL)に結合し、cMETには結合しないためである。ELISA結合試験の結果を図17Aおよび17Bに示す。5種のhD12薬物複合体間に、cMETに対する結合に有意差はなかった。予想されたように、デノスマブのアイソタイプ対照複合体はcMETに結合しなかった。
材料:ハイバインディング384ウェルプレート(サーモフィッシャー#:8755)、ブロッキングバッファー(SkyTek Lab#AAA500)、組換えヒトc−Met−10X His(1.04mg/ml、社内製、ロット#140924TA)、HRP複合体化坑ヒトカッパ軽鎖(1mg/ml、Brthyl#AP80−219P)、水での1×KPL洗浄バッファー(20×、200ml、KPL#50−63−01)、TMB(100ml、KPL#53−00−00)、および停止液(セルシグナリング#7002L)。
実施例4−細胞毒性アッセイ
実施例3の5つのhD12抗体薬物複合体の細胞毒性を、異なるレベルで表面cMETを発現する細胞に対して試験した。5つの代表的なペイロードのそれぞれに複合体化させたデノスマブを陰性対照として用いた(データは示さず)。デノスマブ複合体は、cMET発現細胞株での細胞致死作用をまったくまたはほとんど示さなかった。
細胞毒性アッセイの結果を図18A〜18Eおよび図19A〜19Fに示す。試験した細胞株はSNU−1(ATCC、cMETの発現なし、図18A)、SNU−16(ATCC、cMETの中程度の発現、図18B)、SNU−620(KCLB、cMET高発現、図18C)、MKN−45(DSMZ、cMET高発現、図18D)、H441(ATCC、cMETの中程度の発現、図19A)、H1373(ATCC、cMETの中程度の発現、図19B)、H1975(ATCC、cMETの中程度の発現、図19C)、SNU−5(ATCC、cMET高発現、図19D)、およびH1573(ATCC、cMETの中程度の発現、図19E)であった。hD12−IIおよびhD12−VIIは、いくつかの培地およびcMETを高発現する細胞株においてわずかに高い効果を示した。
実施例5−異種移植研究
2つのin vivo異種移植研究を行い、実施例3の5つのhD12抗体薬物複合体(すなわち、hD12−VI、hD12−II、hD12−VIIおよびhD12−XI)の効果を評価した。図20〜22に示したD12−vc−XI、hD12−vc−VI、hD12−vc−II、hD12−vc−VIIおよびhD12−vc−IVという用語は、それぞれhD12−XI、hD12−VI、hD12−II、hD12−VIIおよびhD12−IVと同義的に用いられることに留意されたい。また、デノスマブ−*(たとえばデノスマブ−II)は、図に示したデノスマブ−vc−*(たとえばデノスマブ−vc−II)という用語と同義的に用いられる。「vc」という指定は重要な意味を与えない。「デノスマブ−II」という用語は、化学式IIのペイロードに取着されたモノクローナル抗体「デノスマブ」を示す。
第1のH1975 in vivo異種移植研究が設計され、各グループに10匹のマウス(Nu/nu:(Charles River))を用いた。各マウスにH1975細胞を接種し、次いで、指定された抗体薬物複合体の1つでまたはPBSで処理した。1日目に、抗体薬物複合体を尾静脈i.v.注射により1回投与として投与した。2種の用量(0.5mg/kgおよび0.125mg/kg)の各抗体薬物複合体を試験した。デノスマブ−IIを陰性対照として用いた。腫瘍体積および重量を週に3回測定した。H1975 in vivo異種移植研究の結果を図20A〜20Gに示す。
動物はすべて抗体薬物複合体を十分に許容した。どのグループでも有意な体重減少は観察されなかった(たとえば図20Bを参照)。hD12−VIIは、試験したすべてのADCのうち両方の用量濃度にて最も高い効果を示した(図20Aおよび20F)。hD12−IIおよびhD12−VIは、hD12−VIIよりも低用量グループ(0.125mg/kg)でわずかに効果が小さかった(図20Eおよび20D)。hD12−3315およびhD12−XIは低用量グループで最も効果が小さかった(図20Gおよび20C)。アイソタイプ対照デノスマブ−IIは0.5mg/kg用量である程度効果を示した。H1975にはRANK−RANKLシグナル伝達経路を有するため(Journal of Thoracic Oncol., 2014, 9(3) 345-54)、デノスマブは腫瘍増殖阻害を示した可能性がある。要約すると、5つのhD12薬物複合体はすべてH1975異種移植に対して有意な効果を示した。hD12−VII、hD12−IIおよびhD12−VIが最も高い治療効果を示し、VIIはその他の2つをわずかに優れていた。
第2のH1373 in vivo異種移植研究は、実施例3の5つのhD12抗体薬物複合体(すなわちhD12−VI、hD12−II、hD12−VIIおよびhD12−XI)の効果をさらに評価するために実施した。H1373 in vivo異種移植研究が設計され、各グループに10匹のマウス(Nu/nu:(Charles River))を用いた。各マウスにH1373細胞を接種し、次いで、指定された抗体薬物複合体の1つでまたはPBSで処理した。抗体薬物複合体は7日目に尾静脈i.v.注射により1回投与として投与した。2種の用量(0.5mg/kgおよび0.125mg/kg)の各抗体薬物複合体を試験した。デノスマブIIは陰性対照として用いた。腫瘍体積および重量を週に3回測定した。H1373 in vivo異種移植研究の結果を図21A〜213および図22に示す。
動物はすべて抗体薬物複合体を十分に許容した。どのグループでも有意な体重減少は観察されなかった(たとえば図22を参照)。第1のH1975異種移植モデルで見られたように、hD12−VIIはhD12−IIおよびhD12−VI(図21Cおよび21B)と比較して、低用量グループ(0.125mg/kg)でわずかに優れた有効性を示した(図21D)。以前に観察されたように(図21E)、hD12−IVは最も有効性の低い薬物であった。
実施例6−マウスでのPK研究
実施例3のhD12薬物複合体(すなわちhD12−VI、hD12−II、hD12−VIIおよびhD12−XI)の循環半減期を、72時間にわたって3匹のマウスの5つのグループで評価した。各グループのマウスに1mg/kgのhD12−II、hD12−IV、hD12−VI、hD12−XIまたはデノスマブ−IIのいずれかの1回静脈内注射した。0.5時間、2時間、6時間、24時間、48時間、72時間後に採血した。血清試料を調製し、指定された抗体薬物複合体のそれぞれの量について分析した(図23)。血清抗体を抗Fc特異的抗体で捕捉し、ヤギ抗ヒトIgG(H+L)−HRPを用いて検出した。
実施例7−ペイロードのhD12への部位特異的複合体化
hD12のコード領域を様々な部位で変異させ、IgG2抗体の重鎖定常領域にシステイン残基を導入して、hD12変異抗体であるhD12−T289C(289位のTがシステインに変異)、hD12−V442C(442位のVがシステインに変異)、hD12−V282C(282位のVがシステインに変異)、hD12−S119C(119位のSがシステインに変異)を得た。変異点はhD12の定常領域にあり、Edelman, G.M. et al., Proc. Natl. Acad. USA, 63, 78-85 (1969). PMID: 5257969に記載されたEU番号付け方法に従って定義される。化学式IIのペイロードを、マレイミド化学を用いて変異したシステイン残基のそれぞれに部位特異的に複合体化させた。複合体化の質および程度を、総回収率、凝集体含有量、単量体含有量および薬物−抗体比(DAR)の測定によって評価した。最適な複合体化が、hD12複合体であるhD12−T289C−II、hD12−V442C−IIおよびhD12−V282C−IIについて観察された。これら3つの部位特異的複合体のcMETに対する相対的結合親和性を、実施例3に記載したcMET結合ELISAを用い、確率的に複合体化させたhD12−IIと比較した。cMET結合アッセイの結果を図24Aおよび24Bに示す。部位特異的化合物はすべて類似の親和性でもってヒトcMETに首尾よく結合した。部位特異的複合体は、確率的に結合させたhD12−IIと類似のまたはわずかに良好な親和性でもって結合した。
実施例8−cMET発現細胞株への部位特異的複合体化の細胞毒性評価。
本発明者らは、部位特異的に結合させたII複合体(すなわちhD12−T289C−II、hD12−V442C−IIおよびhD12−V282C−II)の細胞毒性効力を、ベンチマークとして確率的に結合したhD12−IIと比較して、8つのcMET発現細胞株SNU−16(図25B)、SNU−620(図25C)、MKN−45(図25D)、NCI−N87(図25E)、SNU−5(図26A)、H1373(図27A)、H1573(図27B)、H1975(図27C)およびcMET陰性細胞株SNU−1(図25A)に対し、アッセイした。細胞毒性の結果を図25F、26Bおよび27Eにまとめる。投与した用量を図25G、26Cおよび27Dに示す。
部位特異的に複合体化させた抗体はすべて、MKN−45、SNU−620、SNU−5、SNU−16、NCI−N87およびH1975細胞株に対して確率的に結合させたhD12−II対照に匹敵する細胞毒性を示した。H1373およびH1573細胞株についての部位特異的複合体のEC50は、シグモイド曲線とは大幅に異なる複雑な死滅曲線のために決定できなかった。殺傷曲線の複雑な形状は、部位特異的複合体でより顕著であり、重複実験で再現可能であった。全体として、部位特異的hD12複合体の細胞毒性の効力は、確率的に複合体化させたhD12−IIよりも優れているようであった。
実施例9−部位特異的複合体のin vivo異種移植分析
部位特異的複合体であるhD12−T289C−II、hD12−V442C−IIおよびhD12−V282C−IIならびに確率的に結合させたhD12−IIを、H1975(cMETの中程度の発現)異種移植腫瘍モデルにて評価した。デノスマブIIを陰性対照として用いた。各マウスにH1975細胞(0日目)を接種し、次いで、指定された抗体薬物複合体の1つまたはPBSで処理した。抗体薬物複合体を、腫瘍細胞接種後14日目に1回投与として尾静脈i.v.注射により投与した。各抗体薬物複合体の2種の用量(0.5mg/kgおよび0.125mg/kg)を試験した。10匹のマウスを各処置について試験した。腫瘍の体積および重量を週に3回測定した。H1975 in vivo異種移植研究の結果を図28A〜28Cに示す。
部位特異的ADCを用いたすべての高用量グループおよび確率的に結合させたII(0.5mg/kg)は、H1975モデルにて高い有効性を示した。腫瘍は完全に退行した(図28A〜28C)。低用量グループ(0.125mg/kg)はhD12−II(確率的)およびhD12−T289C−IIで腫瘍の退行を示し、hD12−V422C−IIが最も効果的でした。hD12−V282C−IIは最も効果的ではなかった。デノスマブ対照は高用量で緩やかな効果を示しました。これは、確率的に複合体化させたADCを用いて実施した前のH1975モデルでも見られた。投与された試験品はすべて十分に許容され、有意な体重減少は観察されなかった(図29)。
実施例10−hD12部位特異的複合体を用いたラットにおける薬物動態(総抗体検出)
部位特異的hD12複合体であるhD12−V422C−II、hD12−V282C−IIおよびhD12−T289C−IIの循環半減期を21日間ラットにて評価した。各グループのラット(3ラット/グループ)に1mg/kgの指定された抗体薬物複合体を1回静脈内注射した(図30)。注射後0.5時間、2時間、6時間、24時間、48時間、72時間、168時間、312時間および480時間に採血した。血清試料中の抗体レベルを、キャプチャー抗体(抗Fc特異的)およびヤギ抗ヒトIgG(H+L)−HRP検出抗体を用いたPK ELISAにて分析した。その結果を図31にまとめた。部位特異的複合体の薬物動態(PK)パラメータを、WinNonlinソフトウェアを用いて決定した。3つの部位特異的複合体はすべて同様の形状の濃度−時間曲線を示した。算出された半減期は12〜18日であった。変異体を、総抗体薬物動態データのみに基づいて互いに区別することはできなかった。この実験結果に基づけば、hD12−V422C−II、hD12−V282C−IIおよびhD12−T289C−II間に薬物動態の有意差はなかった。
実施例11−非ヒト霊長類の許容度
確率的に結合させたhD12−IIおよび部位特異的変異体であるhD12−V282C−IIおよびhD12−T289C−IIを、非ヒト霊長類における許容度について最大量1mg/kgまで試験した。概して、すべての抗体薬物複合体は十分に許容された。試験終了(21日目)までに重度の体重減少は観察されなかった。
実施例12−PDXモデル、方法および結果
患者由来の異種移植(PDX)は癌のモデルであり、患者の腫瘍由来の組織または細胞が免疫不全マウスに移植される。PDXモデルは、がんの進行および処置の研究のために、がんの自然な増殖に似た環境を作り出すために用いられることが多い。Multiple Crown Bio HuPrime(登録商標)胃、結腸直腸、頭頸部(H&N)PDXモデルを実施して、hD12−T289C−IIの有効性を評価した。PDXモデルはc−Met発現(低〜高)の範囲で選択した。
簡潔には、14〜15週齢の雌BALB/cヌードマウスの右側腹部に、腫瘍形成のためにヒトの原発腫瘍断片(胃、結腸直腸またはH&Nがん、サイズ2〜3mm)を皮下接種した。腫瘍サイズが平均体積200mm3に達したときに、マウスを無作為化してグループ分けした(6つの治療グループ)。各グループは10匹のマウスからなる。試験品を0日目に腫瘍を有するマウスに1回投与として静脈内投与した。必要に応じて2回目の用量を投与した。化学式IIのペイロードにリンクした非標的性の抗体(Secukinumab)(Secukinumab−II)を、1mg/kgの用量で投与しまし。hD12−T289C−IIを、図34で注記した場合を除き、1.0mg/kg、0.5mg/kg、0.25mg/kgおよび0.125mg/kgの1回用量として投与した。媒体対照グループには、1×PBSの1回静脈内用量を投与した。
無作為化後、腫瘍サイズを、カリスパを用いて週2回2次元にて測定した。腫瘍体積(mm3)はTV=0.5a×b2により算出した。aおよびbは腫瘍表面の長径および短径である。体重を測定し、腫瘍測定値とともに更新した。
次に、腫瘍サイズを用い、以下の式に従ってTGI%を算出した: TGI%=((平均値(C)−平均値(C0))−(平均値(T)−平均値(T0))/(平均値(C)−平均値(C0))×100%[Tは現在のグループ値であり;T0は現在のグループの初期値であり;Cは対照グループの値であり;C0は対照グループの初期値である]。
PDX研究の結果を図1および2に示す。各データポイントは、単一のPDX腫瘍を接種した10匹のマウスからなる1つのPDXモデルグループを表す。TGI%は上記したように算出した。マウスを陰性対照として溶媒(PBS)またはSecukinumab−IIを用いて処理した。腫瘍体積(y軸)は経時的に決定した(すなわち日数、x軸;図33C)。図32および33の結果は、hD12−T289C−IIが胃がん、結腸直腸がんまたはH&Nがんに由来するヒト腫瘍組織の増殖を用量依存的に効果的に阻害することを示す。
実施例13
ヒト対象は肝および肺に存在する2cm以上の多数転移癌を有している。癌細胞がその細胞表面上にcMETを発現しているかを判断するため生検を行なう。細胞表面のcMET発現の存在は生検の結果で確認される。
ヒトcMETの細胞外ドメインに特異的に結合する本明細書に記載した結合剤−薬物複合体をヒト対象に投与する。結合剤はヒトカッパおよびIgG2重鎖定常領域、配列番号41の軽鎖可変領域、および配列番号98の重鎖可変領域を含んでもよい。結合剤−薬物複合体は用量15mg/kgとし、1時間かけて100mlの容量を1日1回で6週間、静脈内投与することができる。フォローアップ生検および超音波により、腫瘍の存在、サイズおよび生存率を判断する。2週間の処置の後、腫瘍サイズおよび数は実質的に低下する。6週間の処置の後、対象者は寛解していると判断される。
実施例14
ヒト対象は直径2cmの固形腫瘍を有する結腸直腸腺癌を示す。ヒト対象は本明細書に記載した結合剤−薬物複合体が投与される。結合剤−薬物複合体の結合剤は、配列番号47の軽鎖可変領域および配列番号108のヒト化重鎖可変領域を含むIgG2アイソタイプのヒト化モノクローナル抗体である。結合剤−薬物複合体の薬物は化学式IIの構造を有するペイロードである。結合剤は、用量1mg/kgとし、30分間かけて50mlの容量を1日1回で6週間、静脈内投与する。2週間の処置の後、腫瘍サイズは50%以上減少する。6週間の処置の後、対象は寛解していると判断される。
実施例15−cMET配列
配列番号109(ヒトcMET−UniProtKB−P08581(MET_HUMAN)) *残基E168およびN375を太字で下線を付している
配列番号110(ラットcMET−UniProtKB−P97523(MET_RAT)
配列番号111(マウスcMET−UniProtKB−P16056(MET_MOUSE)
配列番号112(イヌcMET)
配列番号113(マカカ・ムラッタ(Macaca mulatta)、リーサスcMET−NCBIリファレンスシーケンス:NP_001162100.1)
実施例16−ヒト化モノクローナル抗体hD12
配列番号114 hD12の重鎖配列
配列番号115 hD12の軽鎖配列
配列番号116 hD12T289Cの重鎖配列(残基C289は下線を付している)
本明細書に引用したそれぞれの特許、特許出願、公開または他のいずれかの参照もしくは文献の全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾が生じた場合には、定義を含む本明細書が優先する。
いずれの特許、特許出願、公開または他のいずれかの文献の引用はこれらのいずれも妥当な先行技術であると承認するものではなく、これらの出版物または文献の内容または日付に関するいかなる承認を構成するものでもない。
他に定義しない限り、本明細書で用いた全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術における当業者によって共通に理解される同じ意味を有する。本発明の実施または試験において本明細書に記載したものと同様または等価の方法および材料を用いることができるが、本明細書には好適な方法および材料を記載している。
本明細書に開示した特徴の全ては任意の組合せで組み合わせることができる。本明細書に開示したそれぞれの特徴は、同一、等価または同様の目的を果たす代替の特徴に置き換えてもよい。したがって、他に明示的に述べない限り、開示した特徴(たとえば抗体)は等価または同様の特徴の属の例である。
本明細書で用いる場合、全ての数値または数値範囲は、文脈から明らかに他が指示されない限り、その範囲内の整数および値の分数または範囲内の整数を含む。さらに、本明細書に値のリストが記載されている場合には(たとえば約50%、60%、70%、80%、85%または86%)、リストには全ての中間値およびその分数値が含まれる(たとえば54%、85.4%)。したがって、説明すると80%またはそれ以上の同一性への言及は、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%等、ならびに81.1%、81.2%、81.3%、81.4%、81.5%等、82.1%、82.2%、82.3%、82.4%、82.5%等、等々を含む。
超(より大)または未満を伴う整数への言及は、それぞれ参照する数より大きいまたは小さい任意の数を含む。したがって、たとえば100未満への言及は99、98、97等、数字1までの全てを含み、10未満への言及は9、8、7等、数字1までの全てを含む。
本明細書で用いる場合、全ての数値または範囲は、文脈から明らかに他が指示されない限り、その範囲内の値および整数の分数ならびにその範囲内の整数の分数を含む。したがって、説明すると1〜10等の数値範囲への言及は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10ならびに1.1、1.2、1.3、1.4、1.5等、等々を含む。したがって1〜50の範囲への言及は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20等、50を含み50まで、ならびに1.1、1.2、1.3、1.4、1.5等、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5等、等々を含む。
連続した範囲への言及は、その連続の中の異なった範囲の境界値を組み合わせた範囲を含む。したがって、説明すると、たとえば1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜75、75〜100、100〜150、150〜200、200〜250、250〜300、300〜400、400〜500、500〜750、750〜1,000、1,000〜1,500、1,500〜2,000、2,000〜2,500、2,500〜3,000、3,000〜3,500、3,500〜4,000、4,000〜4,500、4,500〜5,000、5,500〜6,000、6,000〜7,000、7,000〜8,000、または8,000〜9,000の連続した範囲への言及は、10〜50、50〜100、100〜1,000、1,000〜3,000、2,000〜4,000等の範囲を含む。
本技術の基本的態様から逸脱することなく、上記に対して改変を行なうことができる。1つまたは複数の具体的な実施形態を参照して技術を実質的に詳細に説明したが、当業者であれば本出願に具体的に開示した実施形態に変更を加えることが可能であることが認識されよう。しかしこれらの改変および改善は本技術の範囲および精神に含まれる。
本発明は、種々の実施形態および態様を説明するため肯定的な言語を用いて本明細書で一般に開示している。本発明はまた、物質もしくは材料、方法および条件、プロトコルもしくは手順等の特定の主題を全てもしくは部分的に除外した実施形態を特に含む。たとえば、本発明のある実施形態または態様において、材料および/または方法ステップを除外している。したがって、本発明が何を含まないかに関して本発明が本明細書中で一般的に表明していないとしても、それにも関わらず、本発明において明示的に除外されていない態様は、本明細書に開示されている。
本明細書に説明的に記述した技術は、本明細書に具体的に開示されていないいかなる要素なしでも好適に実施することができる。したがって、たとえば本明細書のそれぞれの場合における「含む」、「実質的に〜からなる」、および「〜からなる」という用語のいずれも、他の2つの用語のいずれかで置き換えることができる。用いた用語および表現は説明の用語として用いており、限定の用語ではない。そのような用語および表現の使用は開示し記述した特徴またはその部分のいかなる等価物をも除外するものではなく、特許を請求する技術の範囲内で種々の改変が可能である。「a」または「an」という用語は、要素の1つまたは要素の2つ以上が記載されていることが文脈上明白でない限り、それが修飾する要素の1つまたは複数を意味することができる(たとえば「試薬」は1つまたは複数の試薬を意味することができる)。本明細書で用いる用語「約」は、基本となるパラメータの10%以内(即ちプラスマイナス10%)の値を意味し、数値列の最初における用語「約」の使用は、数値のそれぞれを修飾する(即ち「約1、2および3」は約1、約2および約3を意味する)。たとえば、「約100グラム」の重量は、90グラム〜110グラムの重量を含み得る。本明細書で用いる用語「実質的に」は、「少なくとも95%」、「少なくとも96%」、「少なくとも97%」、「少なくとも98%」、または「少なくとも99%」を意味する値の修飾語を意味し、100%を含み得る。たとえば、実質的にXを含まない組成物は、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満のXを含んでよく、および/またはXは組成物中に存在せずもしくは検出不能であってもよい。
したがって、代表的な実施形態および任意選択の特徴によって本技術を具体的に開示したが、本明細書に開示した概念の改変および変更を当業者が行なうことは可能であり、そのような改変および変更は本技術の範囲内であると考えられることを理解されたい。