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JP2020018469A - 静電容量型トランスデューサ、及びそれを用いた超音波プローブ - Google Patents

静電容量型トランスデューサ、及びそれを用いた超音波プローブ Download PDF

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Ayako Maruyama
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Abstract

【課題】 CMUTが有する素子の外周と内側とで、セルの振動膜の振幅の違いにより生じる課題を解決すること。
【解決手段】 複数のセルを含み構成される素子を有する静電容量型トランスデューサであって、
前記セルは、第一の電極と、前記第一の電極と間隙を挟んで対向して設けられた第二の電極を含む振動膜と、を有し、前記複数のセルのうちの1つのセルの前記第二の電極は、隣接する少なくとも1つのセルの前記第二の電極と、第一の電気配線で電気的に接続されており、前記複数のセルのうち、前記素子の外周に設けられた第1のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の構造と、前記第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の構造とが異なることを特徴とする静電容量型トランスデューサ。
【選択図】 図1

Description

本発明は、静電容量型トランスデューサ、及びそれを用いた超音波プローブに関する。
従来から、マイクロマシニング技術によって製造される微小機械部材はマイクロメータオーダの加工が可能であり、これらを用いて様々な微小機能素子が実現されている。このような技術を用いた静電容量型トランスデューサは、圧電素子の代替品として研究されている。静電容量型トランスデューサを以下ではCMUT(Capacitive Micro−machined Ultrasound Transducer)と略すことがある。このようなCMUTによると、振動膜の振動を用いて音響波(典型的には超音波)を送信、受信することができ、特に液中において優れた広帯域特性を容易に得ることができる。
特許文献1には、被検体にCMUTから超音波を送信し、被検体からの超音波をCMUTで受信し、受信して出力される信号に基づいて超音波画像を生成する超音波診断装置の開示がある。特許文献1におけるCMUTは、間隙を隔てて形成された一対の電極のうちの一方の電極を含む振動膜が振動可能に支持されたセルが複数設けられ、セル同士が配線によって電気的に接続されている。
特許第06189167号
ここで、本発明者は特許文献1について課題を見出した。特許文献1においてセル同士を電気的に接続する配線は、どの位置においても、均一な幅となっている。
一方、本発明者の検討によると、素子内に配置されたセルの位置によって振動膜の振幅や位相が異なることがわかった。特に素子の外周に配置されたセルは、周囲のセルから受ける相互作用が小さくなるため、振動膜の振幅が大きくなることを見出した。これは、セルを複数個配置して音響波の送信や受信を行うと、各々のセルの振動が振動膜上の媒質を介して互いに相互作用(音響相互作用)をするからだと考えられる。振動膜の振幅が大きくなると、他のセルと比べてセルを構成する電極を繋ぐ配線の耐久性が低下することがあり、CMUTの信頼性が低下することがある。
また、素子の外周に配置されたセルの振動膜の振幅が、それよりも内側に設けられたセルの振動膜の振幅よりも大きい場合、サイドローブが発生する可能性がある。
そこで本発明は、CMUTが有する素子の外周と内側とで、セルの振動膜の振幅の違いにより生じる課題を解決する構成を提供することを目的とする。
本発明に係る静電容量型トランスデューサは、複数のセルを含み構成される素子を有する静電容量型トランスデューサであって、前記セルは、第一の電極と、前記第一の電極と間隙を挟んで対向して設けられた第二の電極を含む振動膜と、を有し、前記複数のセルのうちの1つのセルの前記第二の電極は、隣接する少なくとも1つのセルの前記第二の電極と、第一の電気配線で電気的に接続されており、前記複数のセルのうち、前記素子の外周に設けられた第1のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の構造と、前記第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の構造とが異なることを特徴とする。
本発明に係るCMUTでは、CMUTが有する素子の外周と内側とで、セルの電極同士を電気的に接続する配線の構造を異ならせる。これにより、CMUTが有する素子の外周と内側とで、セルの振動膜の振幅の違いにより生じる課題を解決することができる。
本発明の実施形態に係るCMUTを説明するための上面図である。 本発明の実施形態に係るCMUTを説明するための図1の全体図である。 本発明の実施形態に係るCMUTを説明するための図1のA−B断面図である。 本発明の実施形態に係るCMUTの一例である。 本発明の実施形態に係るCMUTの一例である。 本発明の実施形態に係るCMUTの製造方法を説明するための図1のA−B断面図である。 本発明の実施形態に係るCMUTの駆動装置の一例である。 本発明の実施形態に係るCMUTの送受信回路の一例である。 本発明の実施形態に係る超音波プローブの一例である。 本発明の実施形態において、素子3の外周を構成するセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の幅18とプルイン電圧の関係を示すグラフ。 本発明の実施形態において、プルイン電圧が81Vとなる間隙9の高さと振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の幅18との関係を示すグラフ。 本発明の実施例に係るCMUTの断面構造の一例を示す。 本発明の実施例における素子3の外周を構成するセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の厚さ19とプルイン電圧の関係を示すグラフ。 本発明の実施例における素子3の外周を構成するセル2の第二の電極11の厚さ及び振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の厚さ19とプルイン電圧の関係を示すグラフ。 本発明の実施例におけるプルイン電圧が81Vとなる間隙9の高さと第二の電極11の厚さ及び振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の厚さ19の関係を示すグラフ。 本発明の実施例における素子3の外周を構成するセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13のヤング率とプルイン電圧の関係を示すグラフ。 本発明の実施例における素子3の外周を構成するセル2の第二の電極11のヤング率及び振動膜17の上に配置された第一の電気配線13のヤング率とプルイン電圧の関係を示すグラフ。
本発明の実施形態に係るCMUTについて説明するが、本発明はこれに限られない。本実施形態に係るCMUTは、複数のセルを含み構成される素子を有する。セルは、第一の電極と、第一の電極と間隙を挟んで対向して設けられた第二の電極を含む振動膜と、を有する構成である。また、複数のセルのうちの1つのセルの第二の電極は、隣接する少なくとも1つのセルの第二の電極と、第一の電気配線で電気的に接続されている。そして、複数のセルのうち、素子の外周に設けられた第1のセルの間隙の上の第一の電気配線の構造と、第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの間隙の上の第一の電気配線の構造とが異なる。係る構成により、CMUTが有する素子の外周と内側とで、セルの振動膜の振幅の違いにより生じる課題を解決することができる。例えば、前述のように外周のセルの振動膜の振幅が大きいため、それよりも内側のセルの振動膜よりも劣化等が生じやすい。そこで、複数のセルのうち、素子の外周に設けられた第1のセルの間隙の上の第一の電気配線の疲れ限度を、第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの間隙の上の第一の電気配線の疲れ限度よりも高くすることで耐久性を高め、劣化を抑制する。なお、疲れ限度は日本工業規格JISZ2273に規定されている。また、素子の外周に設けられたセルとは、セルアレイによって形成される素子領域の外縁に位置するセルである。1列または2列のセルアレイの場合は、末端の位置のセルである。
疲れ限度を高くする手段として、第一の電気配線の幅を広くすること、第一の電気配線の厚さを大きくすること、第一の電気配線のヤング率を大きくすること、第一の電気配線の応力を大きくすること等が挙げられる。すなわち、複数のセルのうち、素子の外周に設けられた第1のセルの間隙の上の第一の電気配線の幅が、第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの間隙の上の前記第一の電気配線の幅よりも広くすることで、耐久性を向上できる。また、複数のセルのうち、素子の外周に設けられた第1のセルの間隙の上の第一の電気配線の厚さが、第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの間隙の上の第一の電気配線の厚さよりも大きくして耐久性を向上できる。また、複数のセルのうち、素子の外周に設けられた第1のセルの第二の電極の厚さが、第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの第二の電極の厚さよりも大きくして耐久性を向上できる。また、複数のセルのうち、素子の外周に設けられた第1のセルの間隙の上の第一の電気配線のヤング率が、第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの間隙の上の第一の電気配線のヤング率よりも大きくして耐久性を向上できる。また、複数のセルのうち、素子の外周に設けられた第1のセルの第二の電極のヤング率が、第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの第二の電極のヤング率よりも大きくして耐久性を向上できる。
また、複数のセルのうち、素子の外周に設けられた第1のセルの間隙の上の第一の電気配線の材料の疲れ限度を、第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの間隙の上の第一の電気配線の材料の疲れ限度よりも大きくしてもよい。これらの耐久性を向上させる手段は単独で備えていても、複数の手段を備えていてもよい。
なお、耐久性の課題以外にも、素子の外周に配置されたセルの振動膜の振幅が、それよりも内側に設けられたセルの振動膜の振幅よりも大きい場合、サイドローブが発生する可能性がある、という課題がある。そこで、複数のセルのうち、素子の外周に設けられた第1のセルの間隙の上の第一の電気配線の構造と、第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの間隙の上の第一の電気配線の構造とを異ならせることにより、サイドローブを抑制できる。例えば、複数のセルのうち、素子の外周に設けられた第1のセルの間隙の上の第一の電気配線の厚さと、第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの間隙の上の第一の電気配線の厚さとを異ならせればよい。また、複数のセルのうち、素子の外周に設けられた第1のセルの第二の電極の厚さと、第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの第二の電極の厚さとを異ならせてもよい。また、複数のセルのうち、素子の外周に設けられた第1のセルの間隙の上の第一の電気配線のヤング率と、第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの間隙の上の第一の電気配線のヤング率とを異ならせてもよい。また、複数のセルのうち、素子の外周に設けられた第1のセルの第二の電極のヤング率が、第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの第二の電極のヤング率と異ならせてもよい。また、複数のセルのうち、素子の外周に設けられた第1のセルの第二の電極のヤング率が、第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの第二の電極のヤング率と異ならせてもよい。また、複数のセルのうち、素子の外周に設けられた第1のセルの間隙の上の第一の電気配線の材料が、第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの間隙の上の第一の電気配線の材料と異ならせてもよい。また、複数のセルのうち、素子の外周に設けられた第1のセルの間隙の上の第一の電気配線の応力と、第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの間隙の上の第一の電気配線の応力とを異ならせてもよい。
なお、上記形態において、素子の外周に設けられた第1のセルのプルイン電圧が、第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルのプルイン電圧と略同一とすることが好ましい。係る構成により、各セルの超音波の送受信特性の差を小さくできるからである。
(超音波プローブ)
本実施形態に係る超音波プローブは、上記本実施形態に係るCMUTと、被検体に超音波を照射することで生じる超音波を検出して、信号を出力する検出部と、信号に基づいて被検体に関する情報を取得する取得部と、を有する。
(光音響装置)
本実施形態に係る光音響装置は、上記本実施形態に係るCMUTと、被検体に光を照射することで生じる音響波を検出して、信号を出力する検出部と、前記信号に基づいて前記被検体に関する情報を取得する取得部と、を有する。
以下に、本発明の実施の形態について図1〜図3を用いて詳細を説明する。図1は本実施形態の静電容量型トランスデューサ(CMUT)の上面図であり、図2は図1の全体図である。図3は図1のA−B断面図である。上面図は、第二の絶縁膜8と第三の絶縁膜10と第四の絶縁膜14と封止膜16を省略している。図中の番号は次の通りである。1はCMUT、2,2−1,2−2,2−3,2−4はセル、3は素子(エレメント)、4は図1の拡大部分、5は基板、6は第一の絶縁膜、7は第一の電極、8は第二の絶縁膜、9は間隙である。2−1は、上記第1のセルであり、2−4は上記第2のセルである。なお、図3のように、間隙9の上には振動膜17が設けられているが、図1、2では図示しない。図1に示す通り、素子3は複数のセルを含み構成され、CMUTは複数の素子を含み構成されている。
また、10は第三の絶縁膜、11は第二の電極、12は第一の電気配線、13は振動膜の上に配置された第一の電気配線、14は第四の絶縁膜、15はエッチング孔、16は封止膜、17は振動膜である。18は振動膜の上に配置された第一の電気配線の幅、20は第一の電圧印加手段、21は第二の電圧印加手段、31は外周のセルを示す長い破線、32はあるセル、33は第一隣接セル、34は第二隣接セル、35は第三隣接セルを表す。36は第一の電気配線12の領域、37は長さ、41は第一の電極パッド、42は第二の電極パッドである。本実施形態に係る振動膜17の上に配置された第一の電気配線13が、素子の内外で異なる。
図1と図2に示すCMUT1は、支持基板5上に形成された第一の電極7と、前記第一の電極7と間隙9を挟んで対向して配された第二の電極11を含む振動膜17が振動可能に支持されたセル2を有する素子3からなる。図2では、1つの素子のみ記載しているが、素子数はいくつでも構わない。また、素子3は、セル2が168個から構成されているが、個数はいくつであっても構わない。また、セルの配列は格子状の配置でも千鳥配置でもどのような配列でも構わない。さらに、素子3の大まかな外形は図2に記載のような四角形に限られず、正方形、長方形、六角形、台形、多角形、円形等でも構わない。
図1と図3に示すように、セル2は基板5、基板5上に形成される第一の絶縁膜6、第一の絶縁膜6上に形成される第一の電極7、第一の電極7上に形成される第二の絶縁膜8を有する。さらに、第三の絶縁膜10と第二の電極11と振動膜の上に配置された第一の電気配線13と第四の絶縁膜14と封止膜16で振動膜17が形成され、振動膜17の下には間隙9を有している。
間隙9は、後述するが、エッチング孔15を介して犠牲層をエッチングすることで形成する。第二の絶縁膜8は、セルの耐圧向上や絶縁膜の帯電を防ぐために設けているため、不要であればなくてもよい。第四の絶縁膜14は、犠牲層エッチング後の間隙9の変形制御のために設けているため、不要であればなくてもよい。封止膜16は、振動膜17の変形制御や間隙9を封止するために設けているため、不要であればなくてもよい。間隙9を上面から見た形状は円形であり、振動する部分の形状は円形であるが、正方形、長方形、六角形、台形、多角形等の形状でも構わない。セル2は、隣接する少なくとも1つのセルと、第二の電極11が第一の電気配線12で接続している。第一の電気配線12は、振動膜の上に配置された第一の電気配線13を含んでいる。また図3に示すように、セル2の第一の電極7と第二の電極11との間に電圧を印加する電圧印加手段20と、第二の電極に送信電圧を印加する電圧印加手段21を有している。
本実施形態のCMUTは、第一の電圧印加手段20で第一の電極7にバイアス電圧を印加する事ができる。第一の電極7にバイアス電圧が印加されると、第一の電極7と第二の電極11の間に電位差が生じる。この電位差により振動膜の復元力と静電引力が釣り合うところまで振動膜17は変位する。この状態で超音波が振動膜17に到達すると、振動膜17が振動する事で第一の電極7と第二の電極11の間の静電容量が変化して第二の電極11に電流が流れる。この電流を第二の電極11から引き出された第二の電極パッド42を介して取り出す事で、超音波を電気信号として取り出す事ができる。
第一の電圧印加手段20で第一の電極7にバイアス電圧を印加した状態で、第二の電圧印加手段21から第二の電極11に送信駆動電圧を印加すると、超音波を送信する事が出来る。送信駆動電圧は、所望の超音波を送信できる波形であればどのような波形でも良い。単極パルスや双極パルス、バースト波や連続波など、所望の波形を用いればよい。
第一の電極7へ印加する電圧が増大すると、振動膜の復元力よりも静電引力の方が大きくなり、振動膜17が間隙9の下面の第二の絶縁膜8に接触する。この電圧をプルイン電圧という。プルイン電圧に対するバイアス電圧の比が高いほど、受信した音響波を電気信号に変換する、あるいは電気信号を音響波に変換する変換効率が高い。プルイン電圧以上の電圧を電極間に印加すると、振動膜17が間隙9の下面に接触して素子が有する周波数特性が大きく変化し、検出できる音響波の受信感度が大きく変化する。また送信できる音響波の強度や周波数特性も大きく変化する。そのため、CMUT1を構成するセル2のプルイン電圧は略同一であることが好ましい。
図2に示すようなCMUT1で音響波を送信したり受信したりすると、各々のセルの振動膜17の振動が振動膜上の媒質を介して互いに相互作用(音響相互作用)をする。素子3に配置されたセルの位置によって振動膜の振幅や位相が異なり、特に素子3の外周や辺に配置されたセルは、周囲のセルから受ける相互作用が小さくなるため、振動膜17の振幅が大きくなる。振動膜17の振幅が大きくなると、他のセルと比べてセルを構成する第二の電極11を繋ぐ、振動膜17に配置された第一の電気配線13の耐久性が低下することがあり、CMUTの耐久性や信頼性が低下する。そのため本実施形態では、振動膜17に配置された第一の電気配線13を、素子3の内側と外周で異ならせることで、CMUTの耐久性や信頼性を向上させている。例えば図2では、外周のセルを示す長い破線31で囲んだセルが素子3の外周に配置されたセルであり、それ以外のセルが内側のセルである。素子3の外周に配置されたセルとは、図2に示した外周のセルを示す長い破線31で囲んだセルのように、セル2において、最隣接するセル2の数が最隣接するセル2の数の最大値よりも少ないセル2である。例えば図2では、最隣接するセル2の数の最大値は6である。ここで、あるセル32に最隣接するセルを第一隣接セル33と呼ぶ。第一隣接セル33とは、図2でセルの中心を破線33で繋がれたセル2のことであり、第一隣接セル33の各セルの中心と、あるセル32の中心の距離は同じである。外周のセルを示す長い破線31で囲んだセル2以外のセル2は、全て6個の第一隣接セル33と隣接している。図2の素子3の左下に配置されているセル2−1が最隣接するセル2の数は2個である。また図2の素子3の右下に配置されているセル2−2が最隣接するセル2の数は3個である。さらに図2の素子3のセル2−3が最隣接するセル2の数は5個である。つまり、第一隣接セル33が6個存在しないものが素子3の外周セルである。また、あるセル32において、第一隣接セル33の数だけでなく、次に隣接する第二隣接セル34の数が最大値よりも少ないセル2を外周のセルとしてもよい。第二隣接セル34とは、図2でセルの中心を破線34で繋がれたセル2のことであり、第二隣接セル34の各セルの中心と、あるセル32の中心の距離は同じである。第二隣接セル34のセル2の最大値は6である。例えば、図2の素子3のセル2−4の第二隣接セル34のセル2の数は、5個である。つまりセル2−4も素子3の外周に配置されたセルとなる。このようにして、第二隣接セル34の外側の第三隣接セル35までを素子3の外周に配置されたセルとしても良い。第三隣接セル35とは、図2でセルの中心を破線35で繋がれたセル2のことであり、第三隣接セル35の各セルの中心と、あるセル32の中心の距離は同じである。特に、第一隣接セル33を構成するセル2の数が少ないセル2は、周囲のセルから受ける相互作用が小さくなるため、振動膜17の振幅が大きくなる。次に、第二隣接セル34を構成するセル2の数が少ないセル2は、周囲のセルから受ける相互作用が小さくなるため、振動膜17の振幅が大きくなる。第一隣接セル33から順に素子3の中心に配置されたセルに向かって、振動膜17の振幅は小さくなる。つまり、素子3を構成するセル2の数や配置によって、素子3を構成する外周セルの範囲を決めるのが好ましい。
第一の電気配線13の耐久性を向上させる方法は様々な方法がある。まず傷に対する耐久性を向上させる方法について説明する。
例えば図1と2では、素子3を構成するセル2において、素子3の辺(外周)に配置したセル2の振動膜17に配置された第一の電気配線13の幅18が異なっている。具体的には第一の電気配線13の幅18が広くなっている。第一の電気配線13の幅18が広くなることで、第一の電気配線13の一部に亀裂が生じにくくなり、断線することなくCMUTを駆動し続けることができて好ましい。第一の電気配線13の幅18を広くすると、セルのプルイン電圧が上がりセルの変換効率が下がる場合がある。その際には第二の電極11の大きさを小さくするか、第一の電極7と第二の電極11の間の距離を広げることで、素子3の外周を構成するセルと内側のセルのプルイン電圧を同等にして変換効率を同等にしてもよい。第二の電極11の直径は、間隙9の直径よりも小さくするのが好ましい。間隙9の直径よりも第二の電極11の直径が大きいと、製造時のアライメント誤差等により、間隙9が存在しない領域に第二の電極11が作製されてしまう可能性がある。間隙9が存在しない領域に第二の電極11が作製されると、第一の電極7と第二の電極11との間が第二の絶縁膜8と第三の絶縁膜10となり、寄生容量が大きくなる。寄生容量が大きくなると、CMUTのS/Nが低下し、検出感度が低下してしまう。そのため、製造時に使用する露光装置のアライメント誤差や製造時のパターニング誤差等が生じても、第一の電極7と第二の電極11の間に必ず間隙9が存在するようにするため、間隙9の直径よりも第二の電極11の直径を小さくするのが好ましい。第一の電気配線12は、隣接する少なくとも1つのセルと第二の電極11を接続している。図3において、第一の電気配線12は、間隙9が存在する部分と存在しない部分を有する。第一の電気配線12の領域は36の範囲である。第一の電気配線12のうち、間隙9を有する部分が振動膜の上に配置された第一の電気配線13である。振動膜の上に配置された第一の電気配線13の幅18に対して、長さは37である。長さ37は、間隙9の半径と第二の電極11の半径との差である。長さ37の長さは第二の電極11の直径で決まる。前述したように第二の電極11は、露光装置のアライメント誤差や製造時のパターニング誤差等を考慮して決めるのが好ましい。例えばステッパ等の装置のアライメント誤差を±0.05um〜0.1um、アライナ等の装置のアライメント誤差を±0.5um〜±1umと見込む場合、第二の電極11の直径は、間隙9の直径よりも0.1um〜2um小さいことが好ましい。
また、素子3の辺(外周)に配置したセル2の振動膜17に配置された第一の電気配線13の厚さを、内側に配置したセル2よりも厚くすることが好ましい。第一の電気配線13の厚さを厚くすることで、第一の電気配線13の一部に亀裂が生じにくくなり、断線することなくCMUTを駆動し続けることができて好ましい。第一の電気配線13の厚さを厚くすると、セルのプルイン電圧が下がる場合がある。CMUT1に共通のバイアス電圧と送信駆動電圧を印加して駆動すると、プルイン電圧が低いセルがプルインをしてしまい、音響波の強度や周波数特性が大きく異なることがある。またセルがプルインすると、第二の絶縁膜8が帯電して、第一の電極7と第二の電極11の間に印加される実効的なバイアス電圧が変化してしまう。これにより所望の特性が得られなくなることがあるため、素子3の外周を構成するセルと内側のセルのプルイン電圧を同等にするのが好ましい。第一の電気配線13の厚さを厚くすることでセルのプルイン電圧が下がる場合には、第一の電極7と第二の電極11の間の距離を広げるのが好ましい。さらに第一の電気配線13の厚さを厚くすると共に、素子3の外周に配置したセル2の第二の電極を厚くするのも好ましい。第一の電気配線13の厚さを厚くすると、セルのプルイン電圧が下がる場合があるため、前途したように、素子3の外周を構成するセルと内側のセルのプルイン電圧を同等にするのが好ましい。
次に、CMUT1の長期駆動に関する耐久性について説明する。素子3の外周を構成するセルと内側のセルが同じ構成の場合、音響相互作用で外周のセルの振幅が大きくなる。つまり外周を構成するセルの第一の電気配線13にかかるひずみ量が大きくなる。外周を構成するセルと中心のセルの第一の電気配線13のヤング率は同じであり、応力はヤング率とひずみ量に比例するというフックの法則から、外周を構成するセルの第一の電気配線13にかかる応力が、内側のセルよりも大きくなる。第一の電気配線13にかかる応力が大きくなると、配線強度が低下して疲労破壊が発生する可能性が高くなり、CMUTの長期駆動に関する耐久性や信頼性が低下する。そのため、素子3の外周を構成するセル2の第一の電気配線13のヤング率を異ならせるのも好ましい。具体的には、素子3の外周を構成するセルの第一の電気配線13のヤング率を低くして、第一の電気配線13にかかる応力を小さくするのが好ましい。このとき、外周を構成するセルの第二の電極11のヤング率を低くしてもよい。ヤング率を低くする方法として、第一の電気配線13や第二の電極11の材料を変更する方法がある。ヤング率を低くすると、プルイン電圧が低下する場合があるため、前述したように第一の電極7と第二の電極11の間の距離を広げて、素子3の外周を構成するセルと内側のセルのプルイン電圧を同等にするのが好ましい。またヤング率を低くすると、外周を構成するセルの振動膜17の周波数特性が変化する可能性があるため、振動膜17を構成する部材の厚さを調整したりセルの直径を調整して、周波数特性の変化を低減させるのが好ましい。
また応力を低下させる方法として、第一の電気配線13の幅や厚さを変更する方法もある。より具体的な方法としては、外周を構成するセルの第一の電気配線13の幅を狭くするのが好ましい。第一の電気配線13の幅を狭くすると、セルのプルイン電圧が下がる場合があるため、前述したように、素子3の外周を構成するセルと内側のセルのプルイン電圧を同等にするのが好ましい。また、素子3の外周を構成するセルの第一の電気配線13の厚さを薄くするのが好ましい。第一の電気配線13の厚さを薄くすると、セルのプルイン電圧が上がる場合があるため、前述したように、素子3の外周を構成するセルと内側のセルのプルイン電圧を同等にするのが好ましい。
これにより、素子3の外周を構成するセル2の振動膜17の振幅が大きくなっても、外周を構成するセル2の第一の電気配線13にかかる応力を小さくすることができ、長期駆動に関する耐久性の低下を防止することができる。
図4に、CMUTの別の一例を示す。図4は本実施形態のCMUTの上面図である。図中の番号は次の通りである。30はCMUT、2はセル、3は素子(エレメント)、4は図1の拡大部分、41は第一の電極パッド、42は第二の電極パッドである。図4では、1つの素子3を構成するセル2は48個から構成されているが、個数はいくつであっても構わない。図4では素子3は4個記載しているが、CMUT30はX軸の方向に素子3が多数個並んでいる1次元アレイの構成である。素子3の個数はいくつであっても構わない。図4では第二の電極パッドは素子3毎に個別であり、第一の電極7はすべての素子3で共通であるが、素子3毎に第一の電極7を個別に設けてもよい。図4のCMUT30の場合、素子3を構成するセル2同士の間隔と素子3同士の間隔は同じである。そのため、素子3の外周を構成するセルはCMUT30を構成する外周のセルと同じになる。つまり外周のセルを示す長い破線31で囲んだセルが外周のセルである。CMUT30の場合、外周のセルを示す長い破線31で囲んだ部分とそれ以外の内側のセルで、振動膜17に配置された第一の電気配線13を異ならせることで、CMUTの耐久性や信頼性を向上させることができる。
図5に、さらにCMUTの別の一例を示す。図5は本実施形態のCMUTの上面図である。図中の番号は次の通りである。32はCMUT、2はセル、3は素子(エレメント)、4は図1の拡大部分、41は第一の電極パッド、42は第二の電極パッドである。図5のCMUT32の場合、素子3を構成するセル2同士の間隔と素子3同士の間隔が異なる。素子3同士の間隔が広がっている。この場合、素子3の外周を構成するセルは、CMUT32を構成する外周のセルと一部異なる。つまり外周のセルを示す長い破線31で囲んだ部分が素子3の外周のセルとなる。CMUT32の場合、外周のセルを示す長い破線31で囲んだ部分のセルとそれ以外の内側のセルで、振動膜17に配置された第一の電気配線13を異ならせることで、CMUTの耐久性や信頼性を向上させることができる。図5では外周のセルを示す長い破線31の記載を一部省略しているが、CMUT32を構成する素子3はすべて同じように外周のセルを示す長い破線31で囲んだ部分を有する。このようなCMUT32は、素子3同士の間隔の部分に切り込みを入れる等して実装することで、CMUT32をX軸方向に湾曲させることができる。素子3の振動膜17側を凸に湾曲させればコンベックスプローブになり、反対に凹ませればビームフォーミングをせずに焦点を形成することができる。素子3同士の間隔は、セル2同士の間隔以上で、切り込み等を設けられる間隔をあけるのが好ましい。
また、図1から4では、外周のセルを示す長い破線31で囲んだセルを外周のセルとして、振動膜17に配置された第一の電気配線13を内側のセルと異ならせている。しかし、外周のセルを示す長い破線31の1セル内側のセルを外周のセルとみなして、振動膜17に配置された第一の電気配線13を内側のセルと異ならせてもよい。素子3の外形の重心付近にあるセルから外側に向かって、振動膜17に配置された第一の電気配線13を徐々に異ならせてもよい。
次に図6を用いて本実施形態のCMUT1の製造方法の一例を示す。
図6は図1のA−B断面図である。図6(a)に示すように、基板5上に第一の絶縁膜6を形成する。基板5はシリコン基板であり、第一の絶縁膜6は第一の電極7との絶縁を形成するためである。基板5がガラス基板のような絶縁性基板の場合、第一の絶縁膜6は形成しなくともよい。また、基板5は、表面粗さの小さな基板が望ましい。表面粗さが大きい場合、本工程の後工程での成膜工程でも、表面粗さが転写されていくとともに、表面粗さによる第一の電極7と第二の電極11との間の距離が、各セル間でばらついてしまう。このばらつきは、変換効率のばらつきとなるため、感度、帯域ばらつきとなる。従って、基板5は、表面粗さの小さな基板が望ましい。さらに、第一の電極7を形成する。第一の電極7は、表面粗さが小さい導電材料が望ましく、例えば、チタン、タングステン、アルミ等である。基板5と同様に、第一の電極7の表面粗さが大きい場合、表面粗さによる第一の電極7と第二の電極11間の距離が、各セル間、各素子間でばらついてしまうため、表面粗さが小さい導電材料が望ましい。第一の電極7の厚さは、厚さが増すと表面粗さが増加するため、薄い方が好ましい。次に、図6(a)に示すように第二の絶縁膜8を形成する。第二の絶縁膜8は、表面粗さが小さい絶縁材料が望ましく、第一の電極と第二の電極との間に電圧が印加された場合の第一の電極7と第二の電極11間の電気的短絡あるいは絶縁破壊を防止するために形成する。また、本工程の後工程で実施する犠牲層除去時に第一の電極がエッチングされることを防止するために形成する。基板と同様に、第二の絶縁膜8の表面粗さが大きい場合、表面粗さによる第一の電極7と第二の電極間11の距離が、各セル間でばらついてしまうため、表面粗さが小さい絶縁膜が望ましい。例えば、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜等である。また絶縁膜は、厚くなるほど表面粗さが増すため、絶縁性を保つのに最低限必要な厚さとする。
次に、図6(b)に示すように犠牲層55を形成する。犠牲層55は表面粗さが小さい材料が望ましい。基板5と同様に、犠牲層55の表面粗さが大きい場合、表面粗さによる第一の電極7と第二の電極11間の距離が各セル間でばらついてしまうため、表面粗さが小さい犠牲層55が望ましい。また、犠牲層55を除去するエッチングの時間を短くするために、エッチング速度の速い材料が望ましい。また、犠牲層55を除去するエッチング液あるいはエッチングガスに対して、第二の絶縁膜8や、振動膜17となる第三の絶縁膜10がほとんどエッチングされないような犠牲層材料が求められる。犠牲層55を除去するエッチング液あるいはエッチングガスに対して、第二の絶縁膜8や、振動膜17となる第三の絶縁膜10がエッチングされる場合、振動膜17の厚さばらつき、第一の電極7と第二の電極11との間の距離ばらつきが発生する。振動膜17の厚さばらつき、第一の電極7と第二の電極11との間の距離ばらつきは、各セル間の感度、帯域ばらつきとなる。第二の絶縁膜8や、振動膜17が窒化シリコン膜、あるいは酸化シリコン膜の場合、表面粗さが小さく、第二の絶縁膜8や、振動膜17がエッチングされにくいエッチング液あるいはエッチングガスを用いることができる犠牲層材料が望ましい。例えば、アモルファスシリコン、ポリイミド、クロム等である。特に、クロムのエッチング液は、窒化シリコン膜、あるいは酸化シリコン膜をほとんどエッチングしないので、第二の絶縁膜8や、振動膜17が窒化シリコン膜、あるいは酸化シリコン膜の場合、望ましい。
次に、図6(c)に示すように、第三の絶縁膜10を形成する。第三の絶縁膜10は、低い引張り応力が望ましい。例えば、500MPa以下の引張り応力がよい。窒化シリコン膜は応力コントロールが可能であり、500MPa以下の低い引張り応力にすることができる。振動膜17が圧縮応力を有する場合、振動膜17がスティッキングあるいは座屈を引き起こし、大きく変形する。また、大きな引張り応力の場合、第三の絶縁膜10が破壊されることがある。従って、第三の絶縁膜10は、低い引張り応力が望ましい。例えば、応力コントロールが可能で、低い引張り応力にできる窒化シリコン膜である。また、第三の絶縁膜10の厚さは、犠牲層55の上に成膜を行うため、犠牲層55のカバレッジを確実にできる厚さとすることが好ましい。
次に、図6(d)に示すように、第二の電極11を形成する。また隣接するセル2の第二の電極11同士を接続する第一の電気配線12を形成する。後に振動膜17となる振動膜17の上に配置された第一の電気配線13も形成する。振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の長さ37は、犠牲層55の外形と第二の電極11の外形との間に挟まれた点線で示した部分である。第二の電極11、第一の電気配線12、振動膜17の上に配置された第一の電気配線13は、振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の幅や厚さ、材料の違いにより、成膜やパターニング、エッチングの順序や回数を変更することで形成できる。第二の電極11、第一の電気配線12、振動膜17の上に配置された第一の電気配線13は、残留応力が小さい材料が望ましい。アルミニウムやチタンや金、アルミニウム合金やチタン合金や金合金などである。犠牲層除去工程あるいは封止工程を第二の電極11、第一の電気配線12、振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の形成後に行う場合、第二の電極11は、犠牲層エッチングに対するエッチング耐性、耐熱性を有する材料が望ましい。例えばアルミシリコン合金やチタンなどである。第二の電極11、第一の電気配線12、振動膜17の上に配置された第一の電気配線13を形成する時には、表面の段差のカバレッジを確実にできる厚さとすることが好ましい。
次に、図6(e)に示すように、第四の絶縁膜14を形成する。第四の絶縁膜14は、低い引張り応力が望ましい。例えば、500MPa以下の引張り応力がよい。窒化シリコン膜は応力コントロールが可能であり、500MPa以下の低い引張り応力にすることができる。振動膜17が圧縮応力を有する場合、振動膜17がスティッキングあるいは座屈を引き起こし、大きく変形する。また、大きな引張り応力の場合、第四の絶縁膜14が破壊されることがある。従って、第四の絶縁膜14は、低い引張り応力が望ましい。例えば、応力コントロールが可能で、低い引張り応力にできる窒化シリコン膜である。また、第四の絶縁膜14を設けることで、犠牲層エッチング後に第三の絶縁膜10、第二の電極11、振動膜の上に配置された第一の電気配線13のたわみを制御することができる。
次に図1に示したように、第三の絶縁膜10と第四の絶縁膜14にエッチング孔15を形成する。エッチング孔15は、犠牲層55をエッチングして除去するためにエッチング液あるいはエッチングガスを導入するための孔である。
次に、図6(f)に示すように、犠牲層55を除去して間隙9を形成する。犠牲層55の除去方法は、ウエットエッチングやドライエッチングなどが好ましく、犠牲層材料としてクロムを用いた場合は、ウエットエッチングが好ましい。また犠牲層材料としてアモルファスシリコンを用いた場合は、ドライエッチングが好ましい。
次に、図6(g)に示すように、エッチング孔15を封止する為に、封止膜16を形成する。第三の絶縁膜10と第二の電極11と振動膜の上に配置された第一の電気配線13と第四の絶縁膜14と封止膜16で振動膜17が形成される。エッチング孔15は封止膜16で封止される。封止膜16は、間隙9に液体や外気が浸入しないことが求められる。間隙9が大気圧だと、温度変化によって間隙9内の気体が膨張したり収縮したりする。また間隙9には高い電界がかかる為、分子の電離などによる素子の信頼性低下の要因となる。そのため、封止は減圧した環境で行われることが求められる。間隙9内部を減圧する事で間隙9内部の空気抵抗を小さくすることができる。これにより振動膜17が振動しやすくなり、CMUT1の感度を高くすることができる。また封止する事でCMUT1を液体中で使用する事ができる。封止材料として、第四の絶縁膜14と同じ材料であれば密着性が高い為好ましい。また、表面の段差のカバレッジを確実にできる厚さとすることが好ましい。第四の絶縁膜14が窒化シリコンの場合、封止膜16も窒化シリコンが好ましい。封止膜16を形成した後に、第二の電極パッド42を形成する。これにより第二の電極11から電気信号を引き出したり、電圧を印加することができる。
図6では、第二の電極11が第三の絶縁膜10と第四の絶縁膜14で挟まれた構成を一例として示したが、第四の絶縁膜14を設けずに、第三の絶縁膜10を形成した後にエッチング孔15を形成して犠牲層エッチングを行ってもよい。その後封止膜16を形成した後に第二の電極11を設けることもできる。しかし第二の電極11が最表面に露出していると、異物などにより素子がショートする可能性が高くなるため、第二の電極11は絶縁膜の間に設けることが好ましい。
以上の工程を経る事で図6(g)となり、図2のようなCMUTを作製する事ができる。図2の第一の電極パッド41及び第二の電極パッド42に電気的に接続された図示しない引き出し配線を用いることで、第一の電極7及び第二の電極11に電圧を印加することができる。CMUT1で超音波を受信する場合、直流電圧を第一の電極7に印加しておく。超音波を受信すると、第二の電極11を有する振動膜17が変形するため、第二の電極11と第一の電極7との間の間隙9の距離が変わり、静電容量が変化する。この静電容量変化によって、引き出し配線に電流が流れる。この電流を図8に図示した送受信回路64で電流−電圧変換を行い、電圧として超音波を受信することができる。また、第一の電極7に直流電圧を印加し、送信駆動電圧を第二の電極11に印加すると、静電気力によって、振動膜17を振動させることができる。これによって、超音波を送信することができる。
図7に駆動装置の一例を示す。駆動装置60は、システム制御部61、バイアス電圧制御部62、送信駆動電圧制御部63、送受信回路64、超音波プローブ65、画像処理部66表示部67で構成される。超音波プローブ65は、被検体へ超音波を送信し、被検体から反射した超音波を受信するCMUT1から構成される。送受信回路64は、外部から供給されたバイアス電圧や送信駆動電圧を超音波プローブ65に供給したり、超音波プローブ65が受信した超音波を処理して画像処理部66へ出力する回路である。バイアス電圧制御部62は、超音波プローブ65へバイアス電圧を供給する為に送受信回路64へバイアス電圧を供給している。バイアス電圧制御部62は、図示しない電源とスイッチから構成され、システム制御部61から指示されたタイミングで、バイアス電圧を送受信回路64へ供給する。送信駆動電圧制御部63は、超音波プローブ65へ送信駆動電圧を供給する為に送受信回路64へ送信駆動電圧を供給する。システム制御部61から指示されたタイミングで、所望の周波数特性と送信音圧の強度が得られる波形を、送受信回路64へ供給する。画像処理部66は、送受信回路64から出力された信号を用いて画像変換(例えばBモード画像、Mモード画像など)を行い、表示部67へ出力する。表示部67は、画像処理部66から出力される画像信号を表示する表示装置である。画像表示部67は、駆動装置60とは別体の構成にすることもできる。システム制御部61は、バイアス電圧制御62、送信駆動電圧制御部63、画像処理部66などを制御する回路である。
図8に送受信回路64の一例を示す。送受信回路64は、送信部68、受信部69とスイッチ70から構成される。送信駆動の際には、図7のシステム制御部61から指示された送信のバイアス電圧に従い、バイアス電圧制御部62から印加されたバイアス電圧を超音波プローブ65に印加する。同様にシステム制御部61から指示された送信電圧に従い、送信駆動電圧制御部63から印加された電圧を、送信部68を介して超音波プローブ65に印加する。送信駆動電圧が印加されると、スイッチ70は開いた状態となり、受信部69には信号が流れないようになる。送信駆動電圧が印加されない状態では、スイッチ70は閉じた状態であり、受信の状態となる。スイッチ70は、図示しないダイオードなどで構成されており、受信部69が破壊されないようにする保護回路の役目を果たす。超音波プローブ65から超音波が送信され、被検体で反射された超音波が超音波プローブ65に戻ってくると、超音波プローブ65は超音波を受信する。受信の際には、図7のシステム制御部61から指示された受信のバイアス電圧に従い、バイアス電圧制御部62から印加されたバイアス電圧を超音波プローブ65に印加する。スイッチ70が閉じた状態であるため、受信信号は受信部69で増幅され、画像処理部66に送られる。
図9に超音波プローブ65の一例の斜視図を示す。超音波プローブ65は、静電容量型超音波トランスデューサ1と音響マッチング層71と音響レンズ72と回路基板73から構成される。図9の静電容量型超音波トランスデューサ1は、図9に示すように素子3が1次元アレイのようにX方向に多数個並んでいる。図9では1次元アレイだが、素子3を2次元アレイにしてもよいし、コンベックス型など他の形状としてもよい。静電容量型超音波トランスデューサ1は、回路基板73に実装され、電気的に接続される。回路基板73は、図8に示した送受信回路64と一体となった基板でも良いし、回路基板73を介して図8のような送受信回路64と接続させてもよい。静電容量型超音波トランスデューサ1が超音波を送信する表面側には、被検体と音響インピーダンスの整合を取る為に、音響マッチング層71を設けている。音響マッチング層71は、被検体への漏電を防止する為の保護膜として設けてもよい。音響マッチング層71を介して音響レンズ72が配置されている。音響レンズ72は被検体と音響マッチング層71との間で、音響インピーダンスの整合が取れる物を用いるのが好ましい。図9のようなY方向に曲率を持つ音響レンズ72を設けると、Y方向に広がる超音波を音響レンズの焦点位置で絞る事ができる。X方向に広がる超音波はそのままでは絞る事が出来ない為、素子3毎に超音波を送信するタイミングをずらしてビームフォーミングで送信駆動する事で、焦点位置で超音波を絞ることができる。音響レンズ72の形状は、所望の超音波の分布特性が得られる形状にするのが好ましい。また、用いる被検体の種類に応じて、音響マッチング層71や音響レンズ72の種類や形状を選択すれば良いし、設けなくてもよい。超音波プローブ65へのバイアス電圧や送信駆動電圧の供給や、被検体から反射した超音波を受信した受信信号は、図示しないケーブルを介して送受信回路64または画像処理部66へ伝送される。
本実施例では、本発明を説明する為に、CMUT1の構造とその製造方法について記載する。図1、図2、図6、図10、図11を用いて、本実施例のCMUT1について説明する。本実施例では、振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の幅18について説明する。
図2に示したCMUT1の外形寸法は、Y方向が500(um)、X方向が500(um)である。素子3の外形は、X方向が470(um)、Y方向が470(um)、である。図1のA−B断面図が図6(g)である。素子3を構成するセル2はエッチング孔15に繋がる部分を除いて略円形の形状であり、間隙9の直径は36(um)である。間隙9の直径とは、第二の絶縁膜8と第三の絶縁膜10が接している部分で構成される第二の絶縁膜8側の直径である。セル2は図1のように最密に配置されており、1つの素子3を構成するセル2は、隣接したセルと39(um)の間隔で配置されている。つまり隣接しているセル2同士の間隙9の最短距離は3(um)である。
図6を用いて断面構造と製造方法を説明する。図6(g)に示すようにセル2は、300(um)厚さのシリコン基板5、シリコン基板5上に形成される第一の絶縁膜6、第一の絶縁膜6上に形成される第一の電極7、第一の電極7上の第二の絶縁膜8を有する。また、第二の電極11と振動膜17の上に配置された第一の電気配線13と第三の絶縁膜10と第四の絶縁膜14と封止膜16を含む振動膜17と、間隙9を有している。さらに隣接する第二の電極11を繋ぐ第一の電気配線12を有する。間隙9の高さは140(nm)である。間隙9の高さとは、Z軸方向の距離である。さらに、第一の電極7と第二の電極11との間にバイアス電圧を印加する電圧印加手段20と、第二の電極11に送信電圧を印加する電圧印加手段21を有している。
第一の絶縁膜6は、熱酸化により形成した厚さ1(um)のシリコン酸化膜である。第二の絶縁膜8は、Prasma Enhanced Chemical Vapor Deposition(PE−CVD)により形成した100(nm)のシリコン酸化膜である。第一の電極7は厚さが100(nm)のタングステンである。第二の電極11と第一の電気配線12と振動膜17の上に配置された第一の電気配線13は厚さが100(nm)のAl−Nd合金である。第二の電極11の直径は32(um)であり、第一の電気配線12の幅は5(um)である。このとき振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の幅18を適宜変更することができる。本実施例では、CMUT毎に、2(um)、5(um)、10(um)、20(um)、30(um)に変更する。振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の長さ37は、2(um)である。第三の絶縁膜10と第四の絶縁膜14と封止膜16はPE−CVDにより作製した窒化シリコン膜であり、450(MPa)以下の引張り応力で形成している。第三の絶縁膜10の厚みは350(nm)、第四の絶縁膜14の厚さは400(nm)、封止膜16の厚さは450(nm)である。第二の電極パッド42は500(nm)のAlである。本実施例の犠牲層55はアモルファスシリコンを用いて、ゼノンフロライドによるドライエッチングで犠牲層55を除去する。
上記の方法で、図2のようなCMUT1を作成できる。ここで、第一の電気配線12の幅は5(um)である。つまり素子3を構成する内側のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の幅18も5(um)である。素子3の外周を構成するセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の幅18が10(um)、20(um)、30(um)のCMUTは、素子3の内側のセル2の幅18よりも広いので、傷に対する耐久性が向上している。これによりCMUTの耐久性や信頼性を向上させることができる。
図10に、素子3の外周を構成するセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の幅18とプルイン電圧の関係を示す。横軸は第一の電気配線13の幅18であり、縦軸はその幅をもつセルのプルイン電圧である。図10に示すように、振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の幅18が広くなるに従い、プルイン電圧が増加している。ここで、素子3の内側のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の幅18は5(um)であることから、内側のセル2のプルイン電圧は81Vである。例えば、素子3の外周のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の幅18が30(um)の場合、外周のセル2のプルイン電圧は87Vであり、同一素子3の中でプルイン電圧が6V異なることになる。このプルイン電圧の差は、感度ばらつきを発生させるため、第一の電極7と第二の電極11の間の距離を適宜調整して、素子3を構成するセル2のプルイン電圧を同等にするのが好ましい。図11にプルイン電圧が81Vとなる間隙9の高さと振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の幅18との関係を示す。横軸は第一の電気配線13の幅18であり、縦軸は間隙9の高さである。図11に示すように、間隙9の高さを調整することで、素子3を構成するセル2のプルイン電圧を同等にすることができる。素子3の外周のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の幅18が30(um)の場合は、間隙9の高さを130(nm)、幅18が20(um)の場合は132(nm)、幅18が10(um)の場合は136(nm)、である。以上のことから、素子3を構成するセル2のプルイン電圧を同等にすることで、素子3の外周のセル2の傷に対する耐久性を向上すると共に、素子3を構成するセル2の感度ばらつきを低減することができる。本実施例では第一の電極7と第二の電極11の間の距離を、間隙9の高さで調整したが、第二の絶縁膜8や第三の絶縁膜10の厚さを調整して、素子3を構成するセル2のプルイン電圧を調整しても良い。
本実施例では、本発明を説明する為に、CMUT1の構造とその製造方法について記載する。図6、図11、図12、図13、図14、図15を用いて、本実施例のCMUT1について説明する。本実施例では、振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の厚さについて説明する。
本実施例のCMUT1の構造と製造方法は、基本的に実施例1と同じである。実施例1と異なる点は、素子3の外周のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の厚さと、振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の幅18である。本実施例では、素子3の外周のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の幅18は、素子3の内側と外周のセル2で共に5(um)である。また第一の電気配線12の幅は5(um)である。素子3の外周のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の厚さは、CMUT毎に、50(nm)、100(nm)、140(nm)、200(nm)、300(nm)に変更する。素子3の内側のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の厚さは140(nm)である。実施例1と同様の方法で図2のようなCMUT1を作成できる。図12に本実施例の断面構造の一例を示す。
ここで、素子3の外周を構成するセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の厚さ19が140(nm)以上のCMUTは、素子3の内側のセル2の厚さ19よりも厚いので、傷に対する耐久性が向上している。これによりCMUTの耐久性や信頼性を向上させることができる。
図13に、素子3の外周を構成するセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の厚さ19とプルイン電圧の関係を示す。横軸は第一の電気配線13の厚さ19であり、縦軸はその厚さをもつセルのプルイン電圧である。図13に示すように、振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の厚さ19が厚くなっても、プルイン電圧はほとんど変わらない。第一の電気配線13の厚さ19が140(nm)のプルイン電圧は81V、300(nm)のプルイン電圧は80.9Vであり、その差は0.1V未満である。通常のプルイン電圧の検出限界以下であるといえる。このことから、素子3の外周を構成するセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の厚さ19を厚くすることで、素子3の内側と外周のセル2のプルイン電圧のばらつきを生じさせることなく、傷への耐久性を向上することができる。
また、素子3の外周のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の厚さ19と共に、第二の電極11の厚さを、CMUT毎に、50(nm)、100(nm)、140(nm)、200(nm)、300(nm)に変更する場合について説明する。第二の電極11の厚さ及び第一の電気配線13の厚さ19を変えたCMUTは、前述した方法で製造することができる。断面構造は、図12に示した第二の電極11の厚さが第一の電気配線13の厚さ19と同じ厚さになっている。図14に、素子3の外周を構成するセル2の第二の電極11の厚さ及び振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の厚さ19とプルイン電圧の関係を示す。横軸はセル2の第二の電極11の厚さ及び第一の電気配線13の厚さ19であり、縦軸はその厚さをもつセルのプルイン電圧である。図14に示すように、第二の電極11の厚さ及び振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の厚さ19が厚くなるに従い、プルイン電圧が減少している。ここで、素子3の内側のセル2の第二の電極11の厚さ及び第一の電気配線13の厚さ19は140(nm)であり、その厚さのセル2のプルイン電圧は81Vである。例えば素子3の外周のセル2の第二の電極11の厚さ及び第一の電気配線13の厚さ19が300(nm)の場合、その厚さのセル2のプルイン電圧は77Vである。同一素子3の中でプルイン電圧が4V異なっている。この差は感度ばらつきを発生させるため、第一の電極7と第二の電極11の間の距離を適宜調整して、素子3を構成するセル2のプルイン電圧を同等にするのが好ましい。図15に、プルイン電圧が81Vとなる間隙9の高さと第二の電極11の厚さ及び振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の厚さ19の関係を示す。横軸は第二の電極11の厚さ及び振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の厚さであり、縦軸は間隙9の高さである。図15に示すように、間隙9の高さを調整することで、素子3を構成するセル2のプルイン電圧を同等にすることができる。第二の電極11の厚さ及び振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の厚さ19が300(nm)の場合は、間隙9の高さを149(nm)にすることで、プルイン電圧を81Vにすることができる。
以上のことから、素子3を構成するセル2のプルイン電圧を同等にすることで、素子3の外周のセル2の傷に対する耐久性を向上すると共に、素子3を構成するセル2の感度ばらつきを低減することができる。本実施例では第一の電極7と第二の電極11の間の距離を、間隙9の高さで調整したが、第二の絶縁膜8や第三の絶縁膜10の厚さを調整して、素子3を構成するセル2のプルイン電圧を調整しても良い。
本実施例では、本発明を説明する為に、CMUT1の構造とその製造方法について記載する。図6、図16、図17を用いて、本実施例のCMUT1について説明する。本実施例では、振動膜17の上に配置された第一の電気配線13のヤング率について説明する。
本実施例のCMUT1の構造と製造方法は、基本的に実施例1と同じである。実施例1と異なる点は、素子3の内側と外周のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の幅が同じ5(um)であることと、素子3の内側と外周のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13のヤング率が異なることである。本実施例では、CMUT毎に、素子3の外周のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13のヤング率を、10(GPa)〜150(GPa)まで変更する。素子3の内側のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13のヤング率は70.3(GPa)で、材料はAl−Ndである。実施例1と同様の方法で図2のようなCMUT1を作成できる。
ここで、素子3の内側のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13のヤング率は70.3(GPa)である。よって素子3の外周を構成するセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13のヤング率が70.3(GPa)未満のセル2は、長期駆動に関する耐久性を向上することができる。例えば、素子3の外周を構成するセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13のヤング率が68(GPa)のAlの場合、CMUTの耐久性や信頼性を向上させることができる。また、素子3の内側のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13のヤング率を100(GPa)のTiとする場合について説明する。このとき素子3の外周を構成するセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13のヤング率を70.3(GPa)のAl−Ndとすれば、素子3の外周を構成するセル2の長期駆動に関する耐久性を向上することができる。これによりCMUTの耐久性や信頼性を向上させることができる。
図16に、素子3の外周を構成するセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13のヤング率とプルイン電圧の関係を示す。横軸は第一の電気配線13のヤング率であり、縦軸はそのヤング率をもつセルのプルイン電圧である。図16に示すように、振動膜17の上に配置された第一の電気配線13のヤング率が変化しても、プルイン電圧はほとんど変わらない。第一の電気配線13のヤング率10(GPa)のプルイン電圧は80.9V、ヤング率が150(GPa)のプルイン電圧は81Vであり、その差は0.1V未満である。通常のプルイン電圧の検出限界以下であるといえる。このことから、素子3の外周を構成するセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13のヤング率を小さくすることで、素子3の内側と外周のセル2のプルイン電圧のばらつきを生じさせることなく、長期駆動に関する耐久性を向上することができる。
また、素子3の外周のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13のヤング率と共に、第二の電極11のヤング率を、CMUT毎に、10(GPa)〜150(GPa)まで変更する場合について説明する。第二の電極11のヤング率及び第一の電気配線13のヤング率を変えたCMUTは、前途した方法で製造することができる。図17に、素子3の外周を構成するセル2の第二の電極11のヤング率及び振動膜17の上に配置された第一の電気配線13のヤング率とプルイン電圧の関係を示す。横軸はセル2の第二の電極11のヤング率及び第一の電気配線13のヤング率であり、縦軸はそのヤング率をもつセルのプルイン電圧である。図17に示すように、第二の電極11のヤング率及び振動膜17の上に配置された第一の電気配線13のヤング率が大きくなるに従い、プルイン電圧が増加している。実施例1と同様に、素子3の外周のセル2の第一の電極7と第二の電極11の間の距離を調整して、素子3の内側と外周のセル2のプルイン電圧を同等にすることができる。以上のことから、素子3の内側と外周のセル2のプルイン電圧のばらつきを生じさせることなく、長期駆動に関する耐久性を向上することができる。
本実施例では、本発明を説明する為に、CMUT1の構造とその製造方法について記載する。図10、図11、図14、図15を用いて、本実施例のCMUT1について説明する。本実施例では、振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の応力について説明する。
本実施例のCMUT1の構造と製造方法は、基本的に実施例1及び実施例2と同じである。前述したように、CMUTの長期駆動に関する耐久性を向上するためには、素子3の外周のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の応力を小さくすることが好ましい。そのためには、素子3の外周のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の幅18を、内側のセル2よりも狭くすることが好ましい。実施例1に示したように、素子3の内側のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の幅18を5(um)とし、素子3の外周のセル2の第一の電気配線13の幅18を2(um)とすることで、長期駆動に関する耐久性を向上できる。このとき、実施例1の図10に示したように素子3の外周のセル2のプルイン電圧が、素子3の内側のセル2のプルイン電圧よりも減少する。そのため、図11に示したように素子3の外周のセル2の間隙9の高さを143(nm)にすることで、素子3の内側と外周のセル2のプルイン電圧を同等にすることができる。これにより素子3の内側と外周のセル2のプルイン電圧のばらつきを生じさせることなく、CMUTの長期駆動に関する耐久性を向上することができる。
また、素子3の外周のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の厚さ19を薄くするのが好ましい。実施例2に示したように、素子3の内側のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の厚さ19を100(nm)とし、素子3の外周のセル2の第一の電気配線13の厚さ19を50(um)とすることで、長期駆動に関する耐久性を向上できる。さらに、素子3の外周のセル2の振動膜17の上に配置された第一の電気配線13の厚さ19を薄くするのと共に、第二の電極11の厚さを薄くしても良い。このとき、実施例2の図14に示したように素子3の外周のセル2のプルイン電圧が、素子3の内側のセル2のプルイン電圧よりも増加する。そのため、図15に示したように素子3の外周のセル2の間隙9の高さを138(nm)にすることで、素子3の内側と外周のセル2のプルイン電圧を同等にすることができる。これにより素子3の内側と外周のセル2のプルイン電圧のばらつきを生じさせることなく、CMUTの長期駆動に関する耐久性を向上することができる。
1、30 静電容量型トランスデューサ(CMUT)
2、2−1、2−2、2−3、2−4 セル
3 素子(エレメント)
4 図1の拡大部分
5 基板
6 第一の絶縁膜
7 第一の電極
8 第二の絶縁膜
9 間隙
10 第三の絶縁膜
11 第二の電極
12 第一の電気配線
13 間隙の上に配置された第一の電気配線
14 第四の絶縁膜
15 エッチング孔
16 封止膜
17 振動膜
18 間隙の上に配置された第一の電気配線の幅
19 間隙の上に配置された第一の電気配線の厚さ
20 第一の電圧印加手段
21 第二の電圧印加手段
31 外周のセルを示す長い破線

Claims (18)

  1. 複数のセルを含み構成される素子を有する静電容量型トランスデューサであって、
    前記セルは、第一の電極と、前記第一の電極と間隙を挟んで対向して設けられた第二の電極を含む振動膜と、を有し、
    前記複数のセルのうちの1つのセルの前記第二の電極は、隣接する少なくとも1つのセルの前記第二の電極と、第一の電気配線で電気的に接続されており、
    前記複数のセルのうち、前記素子の外周に設けられた第1のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の構造と、前記第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の構造とが異なることを特徴とする静電容量型トランスデューサ。
  2. 前記複数のセルのうち、前記素子の外周に設けられた第1のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の幅と、前記第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の幅とが異なることを特徴とする請求項1に記載の静電容量型トランスデューサ。
  3. 前記複数のセルのうち、前記素子の外周に設けられた第1のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の幅が、前記第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の幅よりも広いことを特徴とする請求項1または2に記載の静電容量型トランスデューサ。
  4. 前記複数のセルのうち、前記素子の外周に設けられた第1のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の厚さと、前記第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の厚さとが異なることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の静電容量型トランスデューサ。
  5. 前記複数のセルのうち、前記素子の外周に設けられた第1のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の厚さが、前記第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の静電容量型トランスデューサ。
  6. 前記複数のセルのうち、前記素子の外周に設けられた第1のセルの前記第二の電極の厚さと、前記第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの前記第二の電極の厚さとが異なることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の静電容量型トランスデューサ。
  7. 前記複数のセルのうち、前記素子の外周に設けられた第1のセルの前記第二の電極の厚さが、前記第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの前記第二の電極の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の静電容量型トランスデューサ。
  8. 前記複数のセルのうち、前記素子の外周に設けられた第1のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線のヤング率と、前記第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線のヤング率とが異なることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の静電容量型トランスデューサ。
  9. 前記複数のセルのうち、前記素子の外周に設けられた第1のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線のヤング率が、前記第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線のヤング率よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の静電容量型トランスデューサ。
  10. 前記複数のセルのうち、前記素子の外周に設けられた第1のセルの前記第二の電極のヤング率が、前記第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの前記第二の電極のヤング率と異なることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の静電容量型トランスデューサ。
  11. 前記複数のセルのうち、前記素子の外周に設けられた第1のセルの前記第二の電極のヤング率が、前記第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの前記第二の電極のヤング率よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の静電容量型トランスデューサ。
  12. 前記複数のセルのうち、前記素子の外周に設けられた第1のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の材料が、前記第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の材料と異なることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の静電容量型トランスデューサ。
  13. 前記複数のセルのうち、前記素子の外周に設けられた第1のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の疲れ限度が、前記第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の疲れ限度よりも高いことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の静電容量型トランスデューサ。
  14. 前記複数のセルのうち、前記素子の外周に設けられた第1のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の応力と、前記第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の応力と異なることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の静電容量型トランスデューサ。
  15. 前記複数のセルのうち、前記素子の外周に設けられた第1のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の応力が、前記第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルの前記間隙の上の前記第一の電気配線の応力よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の静電容量型トランスデューサ。
  16. 前記素子の外周に設けられた第1のセルのプルイン電圧が、前記第1のセルよりも素子の内側に設けられた第2のセルのプルイン電圧と略同一であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の静電容量型トランスデューサ。
  17. 請求項1乃至16のいずれか1項に記載の静電容量型トランスデューサと、
    被検体に超音波を照射することで生じる超音波を検出して、信号を出力する検出部と、
    前記信号に基づいて前記被検体に関する情報を取得する取得部と、を有することを特徴とする超音波プローブ。
  18. 請求項1乃至16のいずれか1項に記載の静電容量型トランスデューサと、
    被検体に光を照射することで生じる音響波を検出して、信号を出力する検出部と、
    前記信号に基づいて前記被検体に関する情報を取得する取得部と、を有することを特徴とする光音響装置。
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