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JP2020015668A - 皮膚用組成物 - Google Patents

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JP2020015668A JP2018137781A JP2018137781A JP2020015668A JP 2020015668 A JP2020015668 A JP 2020015668A JP 2018137781 A JP2018137781 A JP 2018137781A JP 2018137781 A JP2018137781 A JP 2018137781A JP 2020015668 A JP2020015668 A JP 2020015668A
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Abstract

【課題】皮膚の角化細胞に投与するための組成物を提供する。【解決手段】皮膚の角化細胞の細胞老化を防止する組成物であって、単離された組換え全長CLSPポリペプチドを有効成分として含み、CLSPポリペプチドが5〜100nMの濃度において基底層の角化細胞に送達される組成物が提供される。フキタンポポ花抽出物、カノコソウ根抽出物、ベニバナ花・茎抽出物、イタドリ根抽出物、ホーリーバジル葉抽出物、およびホッカイトウキ根抽出物からなる群より選択される1種以上の植物抽出物、または8−シネオール、酢酸ヘキシル、リナロール、酢酸リナリル、および酪酸エチルからなる群より選択される1種以上の化合物を有効成分として含む、基底層の角化細胞におけるCLSP発現促進用の組成物も提供される。【選択図】図2

Description

本発明は、皮膚の角化細胞およびCLSPタンパク質に関する。
皮膚の表皮はおもに角化細胞と呼ばれる細胞から構成されている。表皮の最内層である基底層で増殖した角化細胞は外側(皮膚表面側)に押し出されるように移動してゆき、その移動に伴って有棘層、顆粒層、および角質層へと順に分化していく。すなわち表皮は、分化の程度が異なる角化細胞の複数の層から構成されている。角化細胞の増殖すなわち細胞分裂は、通常は基底層(表皮の最深部にある単層およびそれに隣接する基底上層を含む)においてのみ起こり、有棘層より外側では細胞分裂は起こらずに細胞分化のみが進行する。
Calmodulin−Like Skin Protein(CLSP)は、主に皮膚で産生されるカルシウム結合タンパク質である。非特許文献1は、CLSPは増殖中の角化細胞においては発現が検出されないが、角化細胞分化の後期、すなわちロリクリンの発現が既に開始された時点以降である分化6〜7日目以降において発現されることを記載している。ロリクリンは角化細胞が顆粒層まで移動した段階で発現が開始される遺伝子である。同様に、非特許文献2も、CLSPタンパク質は基底層には不在であって、分化が進んだ表皮外層に多く存在することを記載している。非特許文献2はまた、shRNAによりCLSPを欠如させても基底層の細胞増殖には影響がなかったことを記載している。従って、CLSPは角化細胞の最終分化(角化)に関与していると考えられている。
日光照射で損傷を受けた皮膚、および乾癬の皮膚においては、CLSP量が上昇することが報告されている(非特許文献3、4)。
特許文献1は、β‐エンドルフィンまたはβ‐エンドルフィン模倣剤(ココア豆抽出物)を表皮に投与すると、CLSP、ロリクリン、およびI型トランスグルタミナーゼという3つの因子の発現が同時に増強されることを記載している。これら3つの因子はいずれも角化細胞の分化/角化に関与する因子であるため、特許文献1はこの発見に基づいて、皮膚の障壁機能を増強させる化粧品用組成物におけるβ‐エンドルフィンまたはβ‐エンドルフィン模倣剤の使用を提案している。
特許文献2は、CLSPの全長ポリペプチドを記載している。特許文献2はさらに、「例えば、化粧品では、老化の治療、特に、皮膚の老化の治療における、紫外線への暴露に関連した皮膚のダメージの治療における、通常、あるいは、病理的な上皮の増殖の機能不全、あるいは、上皮の分化不全(乾燥肌、角質増殖症、錯角化症、乾癬、魚鱗癬、新生組織形成等々)を調整するために、本発明のタンパク質を利用することができる」と言及している。しかしながら、「皮膚の老化」等は曖昧な概念であるところ、その「治療」とはどういう具体的症状をどう治すことを意味するのか、そしてどのような具体的形態でそのタンパク質を利用すればその治療が達成されるのかは明らかにされていない。
特許文献3は、「若い個体の皮膚と比較して、老いた個体の皮膚におけるCLSPタンパク質をコードするmRNAの発現における増加を観察する」という従来の知見を記載した上で、「本発明者らは予想外に、老いたヒトの表皮の角質層中のCLSPの特定の形の発現における減少に気づいた。きわめて明らかに、本発明者らにより特徴付けされた該形は、今まで考えられていたCLSPの形のそれら及び特には上記言及されたCLSPの形のそれらと異なるタンパク質の成熟の段階に対応する。」と記載している(下線は引用者による)。つまり、CLSP全般は老化と共に表皮で発現増加することが知られていたところ、特許文献3は、特定の形の発現だけは老化と共に減少することを発見し、その発見に基づいて、その「特定の形」を経時的老化の状態のマーカーとして使用することを教示している。
特許文献3の発明におけるそのCLSPの「特定の形」とは、「CLSPの複合形」である。これは、「完全CLSPと、それ自身、またはその断片、または少なくとも1つの標的タンパク質との会合からもたらされる多量体」であって、「クローンDB15C9を捕捉抗体として及びクローンDB7G12を検出抗体として実行する酵素連結イムノソルベントアッセイにより同定」される「CLSPの複合形」である。
特許文献3はさらに、「本発明に従う複合形の有効量を、皮膚老化の兆候を防ぎ及び/又は処置する為に有用な剤として、化粧的に使用する方法」にも言及している。しかしながら、CLSP全般とは区別される概念でありしかも特定のモノクローナル抗体を用いた特定のアッセイによる検出によって特定されるこのCLSP複合形を、化粧的に使用するということは、具体的にどのような操作を意味するのかは明らかにされていない。
皮膚以外では、特許文献4が、アルツハイマー病に関連する神経細胞の機能障害または神経細胞死を抑制するための有効成分としてCLSPを含む医薬組成物を記載している。これは、CLSPが、アルツハイマー病に関連する神経細胞死を抑制する因子であるヒューマニンの受容体のアゴニストとして作用できるという発見に基づく医薬組成物である。
特開2005−47914号公報 特許第3851818号公報 特許第5980469号公報 特開2012−131711号公報
The Journal Of Biological Chemistry, Vol. 275, No. 17, April 28, pp. 12841-12847, 2000 Genes & Development, 2015, 29:2225-2230 The Journal Of Investigative Dermatology, 119:3-13, July 2002 Experimental Dermatology 2006: 15: 469-477
本発明者らは、増殖段階にある角化細胞に、単離された組換え全長CLSPポリペプチドを投与すると、細胞老化(セネッセンス)が防止されることを見出した。これは予測できなかった発見である。なぜならば、従来、CLSPは角化細胞の増殖段階(物理的には基底層に相当する)ではなく最終分化の段階(物理的には顆粒層〜角質層に相当する)で発現し機能すると考えられており、また、ある特定の複合形態のみが皮膚老化の兆候を防ぎ及び/又は処置する為に有用であると考えられていたからである。発明者らはさらに、増殖段階にある角化細胞においてCLSPの発現を促進させることができる複数の成分を見出した。本発明の実施形態はこれらの発見に基づくものである。
すなわち、本開示は以下の実施形態を含む。
[1]
皮膚の角化細胞の細胞老化を防止するための組成物であって、単離された組換え全長CLSPポリペプチドを有効成分として含み、前記CLSPポリペプチドは、5〜100nMの濃度において基底層の角化細胞に送達される、組成物。
[2]
前記CLSPポリペプチド以外のポリペプチドを含まない、[1]に記載の組成物。
[3]
前記細胞老化は、pH6におけるβ−ガラクトシダーゼ活性によって示される細胞老化である、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]
前記CLSPポリペプチドは大腸菌組換えポリペプチドである、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]
角化細胞と、単離された組換え全長CLSPポリペプチドと、細胞老化マーカーであるpH6におけるβ−ガラクトシダーゼ活性の基質であるX−galまたはC12FDGとを含んでなるインビトロ組成物。
[6]
皮膚の基底層の角化細胞においてCLSPの発現を促進させるための組成物であって、フキタンポポ花抽出物、カノコソウ根抽出物、ベニバナ花・茎抽出物、イタドリ根抽出物、ホーリーバジル葉抽出物、およびホッカイトウキ根抽出物からなる群より選択される1種以上の植物抽出物を有効成分として含む、組成物。
[7]
前記植物抽出物のうちの2種以上の組合せを有効成分として含む、[6]に記載の組成物。
[8]
フキタンポポ花抽出物とカノコソウ根抽出物、フキタンポポ花抽出物とベニバナ花・茎抽出物、またはカノコソウ根抽出物とベニバナ花・茎抽出物の組合せを含む、[7]に記載の組成物。
[9]
皮膚の基底層の角化細胞においてCLSPの発現を促進させるための組成物であって、1,8−シネオール、酢酸ヘキシル、リナロール、酢酸リナリル、および酪酸エチルからなる群より選択される1種以上の化合物を有効成分として含む、組成物。
[10]
前記化合物のうちの2種以上の組合せを有効成分として含む、[9]に記載の組成物。
[11]
1,8−シネオールと酢酸ヘキシル、1,8−シネオールとリナロール、または酢酸ヘキシルとリナロールの組合せを含む、[10]に記載の組成物。
[12]
皮膚の基底層の角化細胞においてCLSPの発現を促進させるための多成分組成物であって、[6]〜[8]のいずれかに記載の組成物と、[9]〜[11]のいずれかに記載の組成物とを含む、多成分組成物。
図1Aは、正常ヒト表皮角化細胞の播種6日後、9日後、および13日後における内因性CLSPタンパク質の発現を示す。図1Bは、播種の24時間後および72時間後に過酸化水素に曝露された正常ヒト表皮角化細胞(+)では、過酸化水素未処置の細胞(−)と比べて、播種15日後のCLSP発現量が増加していたことを示す。図1Cは、播種の2日後および4日後に紫外線を照射された正常ヒト表皮角化細胞(+)では、紫外線照射なしの細胞(−)と比べて、数日後のCLSP発現量が増加していたことを示す。 図2は、SA−βgal活性で表される角化細胞の細胞老化に対する、単離された組換え全長CLSPポリペプチドの効果を示す。過酸化水素未処置の細胞(−)と比べて、過酸化水素処置細胞(+)では著しい細胞老化が誘導されたが、単離された組換え全長CLSPポリペプチド(CLSP)の投与はその細胞老化を抑制したことが示されている。 図3は、図2と同様の実験であり、組換え全長CLSPポリペプチド(CLSP)の他にN末端欠損CLSPポリペプチドΔN2および14−3−3σの影響を試験した結果を示している。 図4も図2と同様の実験であり、組換え全長CLSPポリペプチド(CLSP)を14−3−3σと混ぜて投与した場合の結果を示している。 図5も図2と同様の実験であり、組換え全長CLSPポリペプチド(CLSP)投与前に抗gp130抗体(Antigp130)でgp130をブロックすることの影響を試験した結果を示している。 図6は、過酸化水素ではなく紫外線によって細胞老化を誘導して、図3と同様の実験を行った結果を示している。
一側面において、本開示は、皮膚の角化細胞の細胞老化を防止するための組成物を提供する。細胞老化とは、それまで増殖能を有していた正常細胞に起こる不可逆的な増殖停止状態である。
細胞老化に入った細胞の特徴の1つとして、pH依存的なβ−ガラクトシダーゼ活性の発現が挙げられる。すなわち、細胞老化に入った細胞は、非老化細胞もしくは単に一時的に静止している細胞または不死化細胞には見られない、pH6でのβ−ガラクトシダーゼ活性を発現する。これは細胞老化関連β−ガラクトシダーゼ(SA−βgal:senescence-associated beta-galactosidase)活性と呼ばれる。SA−βgalは、最も典型的には、β−ガラクトシダーゼの基質であるX−gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド)によって検出される。X−galは、SA−βgal活性により分解されると青色を呈するため、顕微鏡的に細胞老化を検出することができる。SA−βgal活性を検出または測定するために使用される基質のもう1つの例は、5−ドデカノイルアミノフルオレセイン ジ−β−D−ガラクトピラノシド(C12FDG)である。C12FDGは、SA−βgal活性により分解されると蛍光を発する。細胞老化の現象ならびにSA−βgal活性およびそのアッセイ方法は当業者によく知られており、例えばNature Protocols, 2009, Vol. 4, No. 12, 1798-1806に詳しく記述されている。
従って、一実施形態において細胞老化は、pH6におけるβガラクトシダーゼ活性によって示される細胞老化である。本実施形態の組成物の投与は、その組成物が投与されない場合と比べて、SA−βgal活性の防止を達成することができる。防止とは、SA−βgal活性発現の消失または低減を意味する。なお、本開示における投与とは、組成物の有効成分を生細胞に送達することを意味し、例えば化粧的に皮膚組織に適用する行為も投与に含まれ得る。
本実施形態の組成物は、単離された組換え全長CLSPポリペプチドを有効成分として含む。ポリペプチドはタンパク質およびタンパク質断片を包含する。ヒト由来の全長CLSPポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号1に示されており、GenBankデータベースの参照番号NM_017422.4においても参照することができる。本実施形態におけるCLSPポリペプチドは、当業者に知られる遺伝子工学的技術によって、細菌、特に大腸菌において発現させたCLSPポリペプチドを精製して単離することにより取得することができる、組換えCLSPポリペプチドである。組換えCLSPポリペプチドは、内因性ポリペプチドと区別される外因性のポリペプチドである。単離とは、実質的に他のポリペプチドを含まない状態まで精製されたことを意味する。例えば、単離されたCLSPポリペプチドの試料は、乾燥重量でポリペプチド成分の99%以上がそのCLSPポリペプチドからなり、より好ましくは99.9%以上がそのCLSPポリペプチドからなる。
そのように単離された組換え全長CLSPポリペプチドは単量体の形態で存在すると考えられる。CLSPポリペプチドが単量体であることは、例えば、変性条件でのポリアクリルアミドゲル電気泳動で一本のバンドとして検出されることに加えて、未変性条件でのポリアクリルアミドゲル電気泳動またはゲル濾過クロマトグラフィーにおいて、単量体に相当する単一の分子種が検出されることにより確認することができる。他種類のポリペプチドとの混合物において結合、会合、あるいは複合体が形成していないことも同様の手法で確認され得る。
CLSPポリペプチド分子が溶液中で他のポリペプチド分子と共存すると、分子同士が衝突し一時的に接触する可能性は避けられないが、これは通常の意味での「結合」、「会合」、あるいは「複合体」には該当しないことが当業者に理解される。従って本実施形態の組成物は他のポリペプチドを必ずしも排除しない。しかしいずれにせよ、本実施形態の組成物は、組換え全長CLSPポリペプチド以外のポリペプチドを含まないことが好ましい。特に、本実施形態の組成物は、14−3−3σタンパク質を含まないことが好ましい。組換え全長CLSPポリペプチド以外のポリペプチドが組成物に含まれている場合であっても、その合計モル数は組換え全長CLSPポリペプチドの合計モル数の10分の1以下であることが好ましく、100分の1以下であることがより好ましく、1000分の1以下であることがさらに好ましい。
本実施形態におけるCLSPポリペプチドは、5〜100nMの濃度において基底層の角化細胞に送達される。この濃度は好ましくは5〜50nMであり、より好ましくは5〜15nMである。これらの濃度におけるCLSPポリペプチドを基底層の角化細胞に送達することを達成できる投与態様は、当業者が通常の知識に基づいて適宜選択することができる。例えば、皮内注射またはマイクロニードルにより組成物を直接的に基底層に送達することができる。
本実施形態の組成物は、CLSPポリペプチドの他に、薬学的に許容される担体を含み得る。そのような担体の特に好ましい例は水である。本実施形態の組成物は、薬学的に許容されるさらなる添加成分を含み得る。その例としては、緩衝剤、無機塩、グリセロール、動物性または植物性の油脂、界面活性剤、着色剤、および香料が挙げられるが、これらに限定されない。他の例としては、ヒアルロン酸、コラーゲン、セラミド、ローヤルゼリー、アミノ酸、ビタミン、植物脂質、および植物エキスが挙げられるが、これらに限定されない。本開示の下記の実施形態に記述される植物抽出物または化合物も、本実施形態の組成物における添加成分として好適である。一実施形態において、組成物は、植物脂質を含まない。
別の側面において、本開示は、上記実施形態の組成物を製造する方法を提供する。この方法は、大腸菌において全長CLSPポリペプチドを発現させること、その大腸菌細胞を溶解して全長CLSPポリペプチドを放出させること、および、放出された全長CLSPポリペプチドを精製して、単離された全長CLSPポリペプチドを含む水溶液を取得することを含む。大腸菌溶解物から目的のポリペプチドを精製する技術は当業者に多数知られており、本実施形態においても適宜選択することができる。例えば、CLSP特異的抗体を利用する精製、親和性タグを介した精製、各種親和性カラム上の結合・溶解特性を利用した精製、電気泳動ゲルからバンドを切り出すことによる精製、およびこれらの手法の任意の組合せなどが利用され得る。
別の側面において、本開示は、角化細胞と、単離された組換え全長CLSPポリペプチドと、細胞老化マーカーであるpH6におけるβ−ガラクトシダーゼ活性の基質であるX−galまたはC12FDGとを含んでなるインビトロ組成物を提供する。この組成物は、例えば細胞老化促進因子を同定すること、細胞老化抑制因子を同定すること、およびそれらの相互作用を分析することなどにおいて有用となり得る。この組成物におけるCLSPポリペプチドの濃度は例えば5〜100nM、5〜50nM、または5〜15nMであり得るがこれらに必ずしも限定されない。この組成物のpHは6.0±0.5であることが好ましく、6.0±0.1であることがより好ましい。この組成物における角化細胞は、例えばホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドまたはその組合せのような、顕微鏡の技術において知られる固定剤で固定されていてもよい。
例えば、本インビトロ組成物を複数の候補化合物とそれぞれ混合するスクリーニングを行うことにより、増殖段階の角化細胞における全長CLSPポリペプチドによる抗細胞老化作用を阻害する化合物、あるいは増強する化合物を同定することが可能になり得る。
上記実施形態により、増殖段階の角化細胞、すなわち基底層の角化細胞においては、特定の複合形を調製するまでもなく、単量体の全長CLSPポリペプチドを導入すれば細胞老化防止という作用が得られることが示された。
別の側面において、本開示は、皮膚の角化細胞においてCLSPの発現を促進させるための組成物を提供する。本実施形態の組成物は、フキタンポポ花抽出物、カノコソウ根抽出物、ベニバナ花・茎抽出物、イタドリ根抽出物、ホーリーバジル葉抽出物、およびホッカイトウキ根抽出物からなる群より選択される1種以上の植物抽出物を有効成分として含む。本実施形態の角化細胞は、増殖段階または分化段階のいずれの角化細胞でもあり得るが、特に増殖段階の角化細胞、すなわち基底層の角化細胞が好適である。
フキタンポポ花抽出物は、エタノール水溶液を抽出溶媒としてフキタンポポの花から抽出を行い、その得られた抽出液を乾燥して得られる固形分である。このエタノール水溶液のエタノール濃度は例えば20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%、より好ましくは40〜60重量%であり得る。50重量%のエタノールを含むエタノール水溶液が特に好適である。
ベニバナ花・茎抽出物、イタドリ根抽出物、ホーリーバジル葉抽出物、およびホッカイトウキ根抽出物は、それぞれ、上述したエタノール水溶液を抽出溶媒として、ベニバナの花・茎、イタドリの根、ホーリーバジルの葉、およびホッカイトウキの根から抽出を行い、その得られた抽出液を乾燥して得られる固形分である。カノコソウ根抽出物は、熱水を抽出溶媒として、カノコソウの根から抽出を行い、その得られた抽出液を乾燥して得られる固形分である。この熱水の温度は例えば80℃以上であり、好ましくは90℃以上であり、より好ましくは100℃以上である。
フキタンポポ花抽出物は、好ましくは0.005〜0.04重量%、より好ましくは0.01〜0.03重量%、さらに好ましくは0.015〜0.02重量%の濃度で組成物に含まれ得る。
カノコソウ根抽出物は、好ましくは0.001〜0.01重量%、より好ましくは0.002〜0.007重量%、さらに好ましくは0.003〜0.005重量%の濃度で組成物に含まれ得る。
ベニバナ花・茎抽出物は、好ましくは0.005〜0.04重量%、より好ましくは0.01〜0.03重量%、さらに好ましくは0.015〜0.02重量%の濃度で組成物に含まれ得る。
イタドリ根抽出物は、好ましくは0.001〜0.01重量%、より好ましくは0.002〜0.007重量%、さらに好ましくは0.003〜0.005重量%の濃度で組成物に含まれ得る。
ホーリーバジル葉抽出物は、好ましくは0.002〜0.02重量%、より好ましくは0.005〜0.015重量%、さらに好ましくは0.007〜0.01重量%の濃度で組成物に含まれ得る。
ホッカイトウキ根抽出物は、好ましくは0.01〜0.1重量%、より好ましくは0.02〜0.07重量%、さらに好ましくは0.03〜0.05重量%の濃度で組成物に含まれ得る。
上記植物抽出物のうちの2種類以上の組合せが組成物に含まれていると、個々の抽出物単独の効果の合計から期待される結果を上回る相乗効果が奏され得るため、特に好ましい。特に、本実施形態の組成物は、フキタンポポ花抽出物とカノコソウ根抽出物、フキタンポポ花抽出物とベニバナ花・茎抽出物、またはカノコソウ根抽出物とベニバナ花・茎抽出物の組合せを含むことが好ましい。2種類以上の植物抽出物の組合せが組成物に含まれる場合には、この相乗効果のため、各抽出物の含有量を低減させてもよい。例えば、上述した濃度の半分以下にし得る。
別の側面において、本開示は、皮膚の角化細胞においてCLSPの発現を促進させるための組成物であって、1,8−シネオール、酢酸ヘキシル、リナロール、酢酸リナリル、および酪酸エチルからなる群より選択される1種以上の化合物を有効成分として含む組成物を提供する。本実施形態の角化細胞は、増殖段階または分化段階のいずれの角化細胞でもあり得るが、特に増殖段階の角化細胞、すなわち基底層の角化細胞が好適である。
1,8−シネオールは、好ましくは1〜10mM、より好ましくは2〜7mM、さらに好ましくは3〜5mMの濃度で組成物に含まれ得る。
酢酸ヘキシルは、好ましくは0.5〜5mM、より好ましくは1〜3mM、さらに好ましくは2〜2.5mMの濃度で組成物に含まれ得る。
リナロールは、好ましくは0.5〜5mM、より好ましくは1〜3mM、さらに好ましくは2〜2.5mMの濃度で組成物に含まれ得る。
酢酸リナリルは、好ましくは0.1〜1mM,より好ましくは0.2〜0.7mM、さらに好ましくは0.3〜0.5mMの濃度で組成物に含まれ得る。
酪酸エチルは、好ましくは1〜10mM、より好ましくは2〜7mM、さらに好ましくは3〜5mMの濃度で組成物に含まれ得る。
上記化合物のうちの2種類以上の組合せが組成物に含まれていると、個々の化合物単独の効果の合計から期待される結果を上回る相乗効果が奏され得るため、特に好ましい。特に、本実施形態の組成物は、1,8−シネオールと酢酸ヘキシル、1,8−シネオールとリナロール、または酢酸ヘキシルとリナロールの組合せを含むことが好ましい。2種類以上のこれら化合物の組合せが組成物に含まれる場合には、この相乗効果のため、各化合物の含有量を低減させてもよい。例えば、上述した濃度の半分以下にし得る。
上述した1種以上の植物抽出物と、上述した1種以上の化合物とを組み合わせて含む多成分組成物は、角化細胞においてCLSPの発現を促進させるうえで特に効果的である。例えば、フキタンポポ花抽出物と、1,8−シネオール、酢酸ヘキシル、および/またはリナロールを含む組成物が好ましい。1,8−シネオールと、フキタンポポ花抽出物、カノコソウ根抽出物、および/またはベニバナ花・茎抽出物を含む組成物も好ましい。
上述した1種以上の植物抽出物および/または上述した1種以上の化合物を含む組成物の実施形態は、これらの成分の他に、薬学的に許容される担体を含み得る。そのような担体の特に好ましい例は水である。本実施形態の組成物は、薬学的に許容されるさらなる添加成分を含み得る。その例としては、緩衝剤、無機塩、グリセロール、動物性または植物性の油脂、界面活性剤、着色剤、および香料が挙げられるが、これらに限定されない。他の例としては、ヒアルロン酸、コラーゲン、セラミド、ローヤルゼリー、アミノ酸、タンパク質、ビタミン、植物脂質、および植物エキスが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、組成物は、植物脂質を含まない。
以下、実施例を示して実施形態をさらに具体的に説明するが、本開示はこれらの実施形態に限定されない。
[細胞培養全般]
正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)はKURABO INDUSTRIESから入手した(製品番号KK−4009)。培養培地として、HuMedia−KG2(クラボウ製増殖用培地、製品番号KK2150−S)を使用した。ポリペプチド試料を添加する実験においては、その添加時にHuMedia−KB2(増殖添加剤非含有のもの、製品番号KK2350−S)を使用した。培養は5%COインキュベーター内で37℃の温度において行った。細胞を継代培養するためには、細胞密度が60〜70%飽和に達した段階で75cmフラスコあたり25×10細胞の密度に薄めて直して植え継いだ。細胞の分化を進行させるためには、細胞密度が飽和(コンフルエンシー)に達するに任せてそのまま培養を続けた。いずれの場合も2日おきに新鮮な培地で培地交換を行った。
[正常角化細胞における内因性CLSPの発現]
NHEKを10×10細胞/ウェルの密度で6ウェルプレートに播き、2日おきに培地交換した。細胞播種の6日、9日および13日後に、細胞を1×PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で1回洗浄した後IPバッファー(20mM HEPES(pH7.4)、150mM NaCl、1mM EDTA、1mM DTT、0.5%(v/v)Triton(登録商標)X−100、cOmplete(登録商標)プロテアーゼ阻害剤カクテル)に懸濁させ、スクレーパーで回収した。回収した細胞懸濁液をソニケーション処理して細胞を溶解した後、溶解液を遠心分離して上清を回収し、ウエスタンブロッティング用試料とした。
CLSP(hCLSP)を標識するための一次抗体として、N末端を認識するウサギポリクローナル抗体を使用した。β−アクチンを標識するための一次抗体として、シグマアルドリッチ社のウサギ抗アクチン(20−33)ポリクローナル抗体(カタログ番号A5060)を使用した。両者に共通の二次抗体としては、HRP結合ヤギ抗ウサギIgG抗体を使用した。HRP基質を含むECL(商標)Western Blotting Reagents(GE Healthcare社)を使用して、ウエスタンブロット上の特異的抗原・抗体結合を検出した。
図1Aに示す結果は、播種後第6日の角化細胞ではCLSPが検出されないのに対し、9日目以降には角化細胞の分化が進んでCLSPの発現が検出され上昇していくことを示している。この結果は非特許文献1、2の記述と合致している。なお、β−アクチンの検出量は、各レーンにほぼ同量の細胞がロードされたことを確認するものである。
[過酸化水素曝露および紫外線照射の影響]
(過酸化水素処置)
NHEK細胞播種の24時間後および72時間後に、細胞をKB2培地中100μMの過酸化水素で2時間処置した。いずれも処置後は1×PBSで2回洗浄し、KG2培地で培養を続けた。培地交換を2日おきに実施した。細胞播種の15日後に、細胞を1×PBSで1回洗浄した後、IPバッファーで懸濁させスクレーパーで回収した。回収した細胞懸濁液をソニケーション処理して細胞を溶解した後、溶解液を遠心分離して上清を回収し、ウエスタンブロッティング用試料とした。
(紫外線照射)
UVA(波長315〜380nm)試験では、細胞播種の2日後にUVAを30kJ/mで照射した。UVB(波長280〜315nm)試験では、細胞播種の2日後および4日後にUVBを5kJ/mで照射した。培地交換を2日おきに実施した。細胞播種の8日、11日、および14日後に、細胞を1×PBSで1回洗浄した後、IPバッファーで懸濁させスクレーパーで回収した。回収した細胞懸濁液をソニケーション処理して細胞を溶解した後、溶解液を遠心分離して上清を回収し、ウエスタンブロッティング用試料とした。
図1Bに示されるように、未処置(−)試料と比較して過酸化水素処置試料(+)では内因性CLSPの発現が増加した。また、図1Cに示されるように、UVAおよびUVBの照射はいずれも内因性CLSPの発現を著しく増加させた。
[組換えCLSPポリペプチドの発現と単離]
配列番号1のアミノ酸配列を有する全長CLSPポリペプチド、および配列番号2のアミノ酸配列を有するCLSPΔN2ポリペプチドをそれぞれコードするDNAを、pcDNA3.1プラスミドベクターにクローニングした。CLSPΔN2は、全長CLSPポリペプチドの第2〜60アミノ酸残基を削除したもの、すなわち、最初のメチオニン残基を除くN末端領域を欠損させたものである。これらのプラスミド構築物を大腸菌で増殖させて精製した。さらに、GST(グルタチオン−S−トランスフェラーゼ)融合タンパク質を作製するべく、これらのコードDNAをpGX4Tプラスミドベクターにサブクローニングした。pGX4T構築物から発現された融合ポリペプチドは、スロンビンで処理することにより、GST部分をCLSP部分から切り離すことができる。pGX4T構築物で形質転換された大腸菌を一日培養した後、大腸菌細胞を溶解して、GST融合全長CLSPポリペプチドまたはGST融合CLSPΔN2ポリペプチドを含む細胞溶解物を回収した。
回収した細胞溶解物にグルタチオンビーズを加えて結合させた。カラム上でビーズ・ポリペプチド複合体を洗浄することにより大腸菌の他成分を除去した後、スロンビンで処理をして、GSTとCLSPポリペプチドとを切り離した。その後、カラム精製によりGST結合グルタチオンビーズを除去し、溶出画分を精製組換えCLSPポリペプチドとして回収した。その試料を電気泳動(SDS−PAGE)したゲルをクマシー染色したところ、組換えCLSPポリペプチドが単離されたことが確認された。単離された組換えCLSPポリペプチドはさらに0.2μmのフィルターで滅菌処理して、後述する細胞試験に使用した。
上記のように単離された組換え全長CLSPポリペプチドの試料を、変性剤を添加しないアクリルアミドゲルで電気泳動し、CLSPのN末端に対するポリクローナル抗体およびヤギ抗ウサギIgG−HRP二次抗体を用いてウェスタンブロッティングにて標識したところ、単一のバンドが検出された。上記と同じポリペプチドを95℃で3分間熱変性処理した試料を、同じ未変性ゲル上で並行して電気泳動させたところ、未変性試料と変性試料はどちらも、17kDaのサイズマーカー付近の同じ位置にそれぞれ一本のバンドとして検出された。これらの結果から、単離された組換え全長CLSPポリペプチドは単量体の形態で存在していると理解される。
[細胞老化に対する組換え全長CLSPポリペプチドの効果]
正常ヒト表皮角化細胞を3×10細胞/35mmディッシュの密度で播種した。24時間後に、培地を無血清正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(HuMedia−KB2)に交換し、その培地に、BSA(ウシ血清アルブミン)、または単離された組換え全長CLSPポリペプチドを、終濃度10nMになるように添加し、1時間培養した。その後、過酸化水素を含まないPBS(−)または過酸化水素を含むPBS(+)を添加した。過酸化水素は終濃度100μMとなるようにした。過酸化水素添加の2時間後に、細胞を1×PBS(−)で2回洗浄し、再びBSAまたは組換え全長CLSPを終濃度10nMで含む増殖用培地に培地交換を行い、52〜56時間培養した。
その後、1×PBS(−)で細胞を1回洗浄し、それから、Senescence β Galactosidase Staining Kit(Cell Signaling Technology Japan)のFixative Solution(固定液)を加えて、細胞を室温で15分間固定した。さらに1×PBS(−)で2回洗浄後、同キットのStaining Solution(X−galを含む)を加えて、37℃で一晩染色を実施した。各々のディッシュについて、倍率を200倍とした蛍光顕微鏡(BZ−8000,KEYENCE CORPORATION)を用いランダムに3視野撮影を行って、SA−βgal染色された細胞の割合を計測した。有意差検定はGraphPad Prism7を用いて行った(n=3)。
結果を図2に示す。この結果は、過酸化水素未処置試料(−)と比べて過酸化水素処置試料(+)では著しく細胞老化が促進されたことを示している。そして、この結果は、組換え全長CLSPポリペプチドの投与が、対照であるBSA投与と比較して、SA−βgal活性を示す細胞の割合を有意に減少させたことを示している。従って、単離された組換え全長CLSPポリペプチドの投与によって、細胞老化を抑制すなわち防止できることが見出された。
図3に示す実験は、上記と同じ実験において、組換え全長CLSPポリペプチド(CLSP)と同濃度のCLSPΔN2および14−3−3σを試験したものである。14−3−3σは、CLSPと結合して角化細胞の分化の後期段階を制御するタンパク質である(非特許文献2)。しかしながら、本実験では、14−3−3σは、増殖段階にある角化細胞の細胞老化を防止する効果は示さなかった(図3)。CLSPΔN2はわずかに細胞老化を防止する傾向を示したが、全長CLSPポリペプチドのような明確な効果は示さなかった(図3)。
図4に示す実験では、タンパク質同士の相互作用の影響の可能性を試験した。単離された組換え全長CLSPをBSAと混ぜて投与(各10nM;以下同じ)した場合(CLSP/BSA)にも、上記と同様に明確な細胞老化防止効果が観察された。BSAと14−3−3σの混合物(BSA/14−3−3σ)ではそのような効果は得られなかった。組換え全長CLSPに14−3−3σを組み合わせた場合(CLSP/14−3−3σ)には、細胞老化を示す細胞の割合がCLSP/BSAと比べてやや増加したため、14−3−3σは、増殖角化細胞の細胞老化防止に関してはCLSPを抑制する活性を有する可能性が示唆された。
図5に示す実験では、抗gp130抗体の効果を試験した。gp130は、ヒューマニンの受容体を構成する3つのサブユニットのうちの1つである。特許文献4は、CLSPもヒューマニンと同様にこの受容体に結合することを記載している。正常ヒト表皮角化細胞を3×10細胞/35mmディッシュの密度で播種した。細胞播種の23時間後に、マウス抗ヒトgp130モノクローナル抗体(Anti−Human gp130 MAb,R&D Systems,Inc.)または正常マウスIgGを60ng/mLの濃度で含む無血清正常ヒト表皮角化細胞基礎培地へと培地交換を行い、1時間培養した。細胞播種から24時間目以降は、上述したCLSP投与実験と同じ手順で実験を行った。
図5の実験でも、上述した実験と同様に、過酸化水素による処置は細胞老化を促進させ((+)を(−)と比較)、組換え全長CLSPはその細胞老化を防止した(CLSP(+)をBSA(+)と比較)。そして、抗gp130抗体で細胞を事前処理した場合には、組換え全長CLSPによる細胞老化防止効果が阻害されると見られた(CLSP(+)とCLSP/Antigp130(+)を比較)。抗gp130抗体の代わりに正常IgGを用いた場合にはこの阻害は見られなかったため、この阻害は抗gp130抗体に特異的である(CLSP/Antigp130(+)とCLSP/IgG(+)を比較)。これらの結果は、増殖角化細胞において組換え全長CLSPが有する細胞老化防止能力はgp130を含む受容体を介して発揮され、抗gp130抗体によって受容体をブロックすると細胞老化防止効果が失われるという解釈を支持するものである。
図6に示す実験では、過酸化水素曝露ではなく紫外線照射によって細胞老化を誘導し、組換え全長CLSPの効果を調べた。まず、正常ヒト表皮角化細胞を2×10細胞/35mmディッシュの細胞密度で播種し、24時間後に培地を無血清正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(HuMedia−KB2)に交換し、そこへBSA、組換え全長CLSPポリペプチド(CLSP)またはΔN2(deltaN2)を、終濃度10nMになるように添加し、1時間培養した。その後、終濃度10nMのBSA、組換え全長CLSPまたはΔN2を含むHank’s Bufferに培地を交換し、UVBを5kJ/mにて照射した。照射後、1×PBSで細胞を洗浄し、BSA、組換え全長CLSPまたはΔN2を終濃度10nMで含む増殖用培地へと培地交換を行い、52〜56時間培養した。それから細胞を1×PBSで1回洗浄した後、Fixative Solutionを加えて細胞を室温で15分間固定した。さらに1×PBSで2回洗浄後、Staining Solutionを加えて、37℃で一晩染色を行った。各々のディッシュについて、倍率を200倍とした蛍光顕微鏡(BZ−8000,KEYENCE CORPORATION)を用いてランダムに3視野撮影を行って、SA−βgal染色された細胞の割合を計測した。
図6において、「−」はUV照射なしの試料を表し、「+」はUV照射ありの試料を表す。図3の実験と本質的に同じ結果が得られた。従って、組換え全長CLSPの細胞老化防止効果は、過酸化水素による細胞老化に特異的なものではないことが示された。
図2〜6において、データは平均±標準誤差として表示されており、これらは、エクセル統計、ANOVA4ソフトウェア、またはGraphPad Prism7(GraphPad Software Inc.,La Jolla,CA)を用いて、スチューデントのt検定、一元配置分散分析、または反復測定分散分析により分析した。一元配置分散分析に続いてダネットまたはテューキーの検定を行った。
[CLSP発現促進物質の同定]
角化細胞においてCLSPの発現を上昇させる潜在的能力について、多数の化合物および植物抽出物のスクリーニングを行った。そのスクリーニングによって見出された特定の化合物および植物抽出物の検証実験を以下に記述する。
ヒト表皮角化細胞を3×10細胞/ウェルの細胞密度にて6ウェルプレートに播種し、HuMedia−KG2培地中で一晩培養した。1.8−シネオールを5mM、リナロールを2.5mM、酢酸リナリルを0.5mM、酢酸ヘキシルを2.5mM、酪酸エチルを5mM、ベニバナエキス末を0.2mg/mL、ホッカイトウキエキス末を0.5mg/mL、ホーリーバジルエキス末を0.1mg/mL、フキタンポポエキス末を0.2mg/mL、カノコソウエキス末を50μg/mL、もしくはイタドリエキス末を50μg/mLとなるように添加・溶解した新鮮培地、またはこれらの物質を添加しない新鮮培地で、培地交換を行い、さらに24時間培養した。その後採取した細胞から、市販のRNA抽出キットを使用して全RNAを抽出し、cDNA合成を行った。CLSP遺伝子またはGAPDH遺伝子に特異的な下記のプライマーを使用して、サイバーグリーン法によるリアルタイムPCRにより遺伝子発現レベルを定量化した。GAPDHは内部標準として使用した。
PCRプライマー配列
CLSPフォワード:GTTGACACGGATGGAAACG(配列番号3)
CLSPリバース:ACTCCTGGAAGCTGATTTCG(配列番号4)
GAPDHフォワード:CCACTCCTCCACCTTTGACG(配列番号5)
GAPDHリバース:CACCCTGTTGCTGTAGCCAA(配列番号6)
この実験に使用されたベニバナエキス末は、50%エタノールを抽出溶媒としてベニバナの花・茎から抽出した抽出液を乾燥させて得られた固形分である。ホッカイトウキエキス末は、50%エタノールを抽出溶媒としてホッカイトウキの根から抽出した抽出液を乾燥させて得られた固形分である。ホーリーバジルエキス末は、50%エタノールを抽出溶媒としてホーリーバジルの葉から抽出した抽出液を乾燥させて得られた固形分である。フキタンポポエキス末は、50%エタノールを抽出溶媒としてフキタンポポの花から抽出した抽出液を乾燥させて得られた固形分である。カノコソウエキス末は、熱水を抽出溶媒としてカノコソウの根から抽出した抽出液を乾燥させて得られた固形分である。イタドリエキス末は、50%エタノールを抽出溶媒としてイタドリの根から抽出した抽出液を乾燥させて得られた固形分である。
結果を下記表1に示す。これらの化合物または植物抽出物の投与によりCLSPの発現が促進されたことが確認された。
本発明は、皮膚の美容、化粧、および健康に関する産業分野、ならびに皮膚老化の研究に関する産業分野において利用され得る。

Claims (12)

  1. 皮膚の角化細胞の細胞老化を防止するための組成物であって、単離された組換え全長CLSPポリペプチドを有効成分として含み、前記CLSPポリペプチドは、5〜100nMの濃度において基底層の角化細胞に送達される、組成物。
  2. 前記CLSPポリペプチド以外のポリペプチドを含まない、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記細胞老化は、pH6におけるβ−ガラクトシダーゼ活性によって示される細胞老化である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記CLSPポリペプチドは大腸菌組換えポリペプチドである、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  5. 角化細胞と、単離された組換え全長CLSPポリペプチドと、細胞老化マーカーであるpH6におけるβ−ガラクトシダーゼ活性の基質であるX−galまたはC12FDGとを含んでなるインビトロ組成物。
  6. 皮膚の基底層の角化細胞においてCLSPの発現を促進させるための組成物であって、フキタンポポ花抽出物、カノコソウ根抽出物、ベニバナ花・茎抽出物、イタドリ根抽出物、ホーリーバジル葉抽出物、およびホッカイトウキ根抽出物からなる群より選択される1種以上の植物抽出物を有効成分として含む、組成物。
  7. 前記植物抽出物のうちの2種以上の組合せを有効成分として含む、請求項6に記載の組成物。
  8. フキタンポポ花抽出物とカノコソウ根抽出物、フキタンポポ花抽出物とベニバナ花・茎抽出物、またはカノコソウ根抽出物とベニバナ花・茎抽出物の組合せを含む、請求項7に記載の組成物。
  9. 皮膚の基底層の角化細胞においてCLSPの発現を促進させるための組成物であって、1,8−シネオール、酢酸ヘキシル、リナロール、酢酸リナリル、および酪酸エチルからなる群より選択される1種以上の化合物を有効成分として含む、組成物。
  10. 前記化合物のうちの2種以上の組合せを有効成分として含む、請求項9に記載の組成物。
  11. 1,8−シネオールと酢酸ヘキシル、1,8−シネオールとリナロール、または酢酸ヘキシルとリナロールの組合せを含む、請求項10に記載の組成物。
  12. 皮膚の基底層の角化細胞においてCLSPの発現を促進させるための多成分組成物であって、請求項6〜8のいずれかに記載の組成物と、請求項9〜11のいずれかに記載の組成物とを含む、多成分組成物。


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