以下、本発明のステアリング装置の実施形態を図面に基づき説明する。
(ステアリング装置の構成)
図1は、本実施形態のステアリング装置の概略図であり、図2は、転舵軸7の軸方向に沿って切断した本実施形態のステアリング装置の断面図である。
図1に示すように、ステアリング装置は、運転者からの操舵力を伝達する操舵機構1と、運転者の操舵操作を補助する操舵アシスト機構2と、を備えている。
操舵機構1は、車両の運転室内に配置された図示せぬステアリングホイールと、車両の前輪である図示せぬ2つの転舵輪と、を機械的に連結している。操舵機構1は、ステアリングホイールからの回転力が伝達される入力軸3と、図示せぬトーションバーを介して入力軸3に接続された出力軸4と、を有した操舵軸5、およびこの操舵軸5の回転を転舵輪に伝達する伝達機構6を備えている。伝達機構6は、出力軸4の外周に設けられた図示せぬピニオンと、転舵軸(ラックバー)7の外周に設けられた図示せぬラックと、からなるラック&ピニオン機構(ラック&ピニオン・ギヤ)により構成されている。転舵軸7の両端は、図示せぬタイロッドおよび図示せぬ2つのナックルアームを介して対応する転舵輪にそれぞれ連結されている。
転舵軸7は、円筒状の転舵軸ハウジング8内において転舵軸7の長手方向に移動可能となるように設けられている。転舵軸7は、該転舵軸7の1対の軸方向端部である1対の端部7a,7bにおいて、図示せぬ第1ボールジョイントおよび第2ボールジョイントとそれぞれ接続可能となるように構成されている。転舵軸7は、金属材料によって形成されるとともに、概ね円柱状をなす転舵軸本体部7cと、この転舵軸本体部7cの外周面に形成された螺旋溝形状をなす転舵軸ボールねじ溝7dと、を備えている。転舵軸ボールねじ溝7dは、転造によって、転舵軸7の軸方向中央位置から転舵軸7の一方の端部7a付近まで螺旋溝形状に形成されている。つまり、転舵軸ボールねじ溝7dは、転舵軸7の軸方向中央位置から転舵軸ハウジング8の軸方向外側まで螺旋溝形状に形成されている。転舵軸ボールねじ溝7dは、後述するナット16の同じく螺旋溝形状のナットボールねじ溝16bとの間で複数のボール21が循環するボールねじ機構20を構成する。
転舵軸ハウジング8は、金属材料、例えばアルミニウム合金材料によって形成されるとともに円筒状をなす転舵軸ハウジング本体部8aと、この転舵軸ハウジング本体部8aの内周面8bに形成されたブッシュ保持部8cと、を備えている。ブッシュ保持部8cは、転舵軸ハウジング本体部8aの長手方向一端部において環状溝として設けられている。ブッシュ保持部8cは、転舵軸7の径方向において転舵軸ボールねじ溝7dとオーバーラップする位置に設けられている。ブッシュ保持部8cには、金属材料、例えば鉄鋼材料によって横断面円弧状に形成されたブッシュ9が、弾性変形領域内で縮径された状態で嵌め込まれている。
ここで、以下の説明の便宜上、転舵軸7の長手方向に沿って延びる転舵軸ハウジング本体部8aの1対の軸方向端部のうち、ブッシュ9に近い位置にある方を「転舵軸ハウジング本体部第1端部8d」とする。また、転舵軸ハウジング本体部8aの1対の軸方向端部のうち、ブッシュ9から遠い位置にある方を「転舵軸ハウジング本体部第2端部8e」とする。
また、転舵軸ハウジング本体部8aのうち、転舵軸7の長手方向、つまり後述するナット16の回転軸線Mの方向においてブッシュ保持部8cと隣接し、かつこのブッシュ保持部8cよりも転舵軸ハウジング本体部第1端部8dに近い領域を「転舵軸ハウジング本体部第1領域8f」とする。同様に、転舵軸ハウジング本体部8aのうち、ナット16の回転軸線Mの方向においてブッシュ保持部8cと隣接し、かつブッシュ保持部8cよりも転舵軸ハウジング本体部第1端部8dから遠い領域を「転舵軸ハウジング本体部第2領域8g」とする。
さらに、ナット16の回転軸線M周りのブッシュ9の周方向範囲のうち、鉛直方向における1対の端部の夫々を「ブッシュ鉛直方向第1端部9a」、「ブッシュ鉛直方向第2端部9b」とする。ここで、ブッシュ鉛直方向第1端部9aは、図1および図2に示す姿勢で車両内にステアリング装置を搭載したときに、ブッシュ9の最も高い位置にある端部である。一方、ブッシュ鉛直方向第2端部9bは、図1および図2に示す姿勢で車両内にステアリング装置を搭載したときに、ブッシュ9の最も低い位置にある端部である。
転舵軸ハウジング本体部8aは、転舵軸ハウジング本体部第1端部8dと転舵軸ハウジング本体部第1領域8fとの間で転舵軸ハウジング本体部第1領域8fに対して段差状に拡径している。転舵軸ハウジング本体部第1領域8fの軸方向外側の部分には、転舵軸ハウジング本体部第2端部8e側への転舵軸7の移動を規制する第1ストローク規制部10が形成されている。第1ストローク規制部10は、全体として円環状をなしており、転舵軸ハウジング本体部第1領域8fの軸方向外側の領域から転舵軸ハウジング本体部第1端部8d側へとナット16の回転軸線Mの方向に沿って突出している。第1ストローク規制部10の先端部10aは、転舵軸ハウジング本体部第1端部8dよりもナット16の回転軸線Mの方向内側に位置している。このように構成された第1ストローク規制部10は、先端面が図示せぬ第1ボールジョイントと当接することにより、第1ボールジョイントと第1ストローク規制部10が当接した位置よりも転舵軸7が転舵軸ハウジング本体部第2端部8eの方へ移動することを規制する。
なお、第1ストローク規制部10は、特許請求の範囲に記載の「ストローク規制部」に該当する。
さらに、転舵軸ハウジング本体部8aは、転舵軸ハウジング本体部第2端部8e側に、第1ストローク規制部10と同様の形状に形成された第2ストローク規制部12を備えている。第2ストローク規制部12は、先端面が図示せぬ第2ボールジョイントと当接することにより、第2ボールジョイントと第2ストローク規制部12が当接した位置よりも転舵軸7が転舵軸ハウジング本体部第1端部8dの方へ移動することを規制するようになっている。
操舵アシスト機構2は、操舵機構1に操舵力を付与する電動アクチュエータ13を備えており、この電動アクチュエータ13は、電子制御ユニット(ECU)14と一体に構成されている。さらに、電動アクチュエータ13は、伝達装置15を介して転舵軸7に接続されている。電動アクチュエータ13は、ナット16を回転駆動し、ナット16の回転に伴い転舵軸7を軸方向に移動させる。
伝達装置15は、電動アクチュエータ13の出力軸13aの先端部外周に固定された入力プーリ17と、転舵軸7の外周に固定された出力プーリ18と、がベルト19を介して接続されることで、転舵軸7と連係されている。そして、出力プーリ18と転舵軸7との間には、減速機であり、螺旋状の溝形状を有するボールねじ機構20が設けられている。
ボールねじ機構20は、転舵軸7の外周面に設けられた転舵軸ボールねじ溝7dと、ナット16の環状をなすナット本体部16aの内周面に設けられたナットボールねじ溝16bと、ボールねじ溝7d,16bの間を循環する複数のボール21と、を備えている。
転舵軸ボールねじ溝7dは、上述したように螺旋溝形状をなしており、転舵軸7が挿入されるナット本体部16aの内周面に形成された螺旋溝形状のナットボールねじ溝16bとの間に、螺旋状のボール循環通路を形成する。そして、このボール循環通路内を、複数のボール21が循環する。ボール21は、転舵軸7の長手方向において転舵軸7を軸方向に移動させる。
電子制御ユニット14は、各種制御処理を記憶および実行する機能を有し、図示せぬ舵角センサからの舵角の信号や図示せぬトルクセンサからの操舵トルクの信号に基づいて電動アクチュエータ13を駆動制御する。
かかるステアリング装置の構成から、運転者がステアリングホイールを回転操作すると、入力軸3が回転してトーションバーが捩られ、これにより生じるトーションバーの弾性力によって、出力軸4が回転する。そして、出力軸4の回転運動が上記ラック&ピニオン機構により転舵軸7の軸方向に沿う直線運動に変換され、タイロッドを介して図示せぬナックルアームが車幅方向へと押し引きされることによって、対応した転舵輪の向きが変更される。
(挿入前のブッシュの構成)
図3は、転舵軸ハウジング本体部8aのブッシュ保持部8cへの挿入前のブッシュ9の形状を示す平面図である。
ブッシュ9は、金属材料、例えば鉄鋼材料からなり、かつ所定の厚さを有した長方形の金属板を鍛造プレスによって横断面円弧形状にまるめて形成した後で、窒化処理を行うことで構成されている。ブッシュ9は、ナット16の回転軸線Mの方向におけるブッシュ9の1対の軸方向端部であるブッシュ軸方向第1端部9cとブッシュ軸方向第2端部9dとを有している。さらに、ブッシュ9は、ナット16の回転軸線M周りの周方向における1対の周方向端部であるブッシュ周方向第1端部9eとブッシュ周方向第2端部9fとを有している。ブッシュ周方向第1端部9eとブッシュ周方向第2端部9fとの間には、所定の周方向幅を有した切り欠き22が形成されている。
ブッシュ保持部8cへの挿入前の自由状態のブッシュ9は、ブッシュ軸方向第1端部9cにおいて、ブッシュ周方向第1端部9eとブッシュ周方向第2端部9fとが、ナット16の回転軸線Mの方向において互いにずれるように構成されている。換言すれば、挿入前のブッシュ9は、切り欠き22を介してナット16の回転軸線Mの方向に捩れたかたちになっており、ブッシュ軸方向第1端部9c側のブッシュ周方向第1端部9eが、ブッシュ軸方向第1端部9c側のブッシュ周方向第2端部9fと対向していない。
また、当然のことながら、ブッシュ保持部8cへの挿入前のブッシュ9は、ブッシュ軸方向第2端部9dにおいても、ブッシュ周方向第1端部9eとブッシュ周方向第2端部9fとが、ナット16の回転軸線Mの方向において互いにずれるように構成されている。換言すれば、挿入前のブッシュ9は、ブッシュ軸方向第2端部9d側のブッシュ周方向第2端部9fが、ブッシュ軸方向第2端部9d側のブッシュ周方向第1端部9eと対向していない。
このように構成されたブッシュ9は、ナット16の回転軸線Mの方向および周方向に弾性変形することができるように構成されている。
ブッシュ9は、切り欠き22がブッシュ鉛直方向第1端部9a(図2参照)およびブッシュ鉛直方向第2端部9b(図2参照)とオーバーラップしない位置に設けられる。即ち、ブッシュ9は、切り欠き22がブッシュ鉛直方向第1端部9aおよびブッシュ鉛直方向第2端部9bの位置に配置されないように設けられる。
窒化処理後の鉄鋼材料からなるブッシュ9の内周面9gの表面硬度は、アルミニウム合金材料からなる転舵軸ハウジング本体部8aの内周面8bの表面硬度よりも高くなっている。ここで、ブッシュ9の内周面9gおよび転舵軸ハウジング本体部8aの内周面8b(図2参照)の表面硬度は、例えばロックウェル試験によって測定される硬度(硬さ)である。
なお、ブッシュ9は、少なくとも円弧状に連続した部分を有していれば良いので、円環形状に形成されても良い。つまり、ブッシュ9は、切り欠き22を有さずに、円環形状に形成されても良い。
(挿入後のブッシュの構成)
図4は、転舵軸ハウジング本体部8aのブッシュ保持部8cへの挿入後のブッシュ9の形状を示す平面図である。
ブッシュ保持部8cへの挿入後のブッシュ9は、一定の幅で周方向に形成されたブッシュ保持部8cに収容されることで、ブッシュ9の捩れが矯正された状態となっている。つまり、挿入後のブッシュ9は、ブッシュ軸方向第1端部9cにおいて、ブッシュ周方向第1端部9eとブッシュ周方向第2端部9fとが、ナット16の回転軸線Mの方向において同じ位置にあり、互いに対向するようになっている。換言すれば、挿入後のブッシュ9は、ブッシュ周方向第1端部9e全体とブッシュ周方向第2端部9f全体とが対向した状態となっている。
図5は、図2のステアリング装置の部分的な拡大断面図である。図5では、図を明瞭にするために、転舵軸7を省略して示してある。さらに、図5では、説明の便宜上、ブッシュ保持部8cの溝の深さやブッシュ9の厚さ等を誇張して示してある。
図5に示すように、第1ストローク規制部10は、ナット16の回転軸線Mの方向において転舵軸ハウジング本体部第1領域8fよりも転舵軸ハウジング本体部第1端部8d(図2参照)に近い位置に設けられている。第1ストローク規制部10の内周面10bは、第1ストローク規制部10の先端部10aからナット16の回転軸線Mに沿って根元部10cよりも内側まで連続して形成されている。第1ストローク規制部10の内径D1は、転舵軸ハウジング本体部第1領域8fの内径D2よりも大きくなっている。第1ストローク規制部10の内周面10bと転舵軸ハウジング本体部第1領域8fの内周面24とは、環状のテーパ部25によって互いに接続されている。テーパ部25は、その内径が転舵軸ハウジング本体部第1領域8fから転舵軸ハウジング本体部第1端部8dに近づくほど大きくなる円錐テーパ形状に形成されている。このテーパ部25により、縮径された状態のブッシュ9を、転舵軸ハウジング本体部第1端部8d側の開口部26から転舵軸ハウジング本体部8a内に挿入する際に、テーパ部25の傾斜に沿って縮径させることが可能となっている。
ナット16の回転軸線Mの方向において、転舵軸ハウジング本体部第1領域8fと、該転舵軸ハウジング本体部第1領域8fよりも内径が小さい転舵軸ハウジング本体部第2領域8gとの間では、転舵軸ハウジング本体部8aの内周面8bに環状の溝形状をなすブッシュ保持部8cが回転軸線Mの周方向に沿って形成されている。ブッシュ保持部8cは、ナット16の回転軸線Mの方向の一端側の端部に形成された第1深溝27と、ナット16の回転軸線Mの方向の他端側の端部に形成された第2深溝28と、第1深溝27と第2深溝28との間に位置したブッシュ保持部本体部8hと、を備えている。
第1深溝27は、ナット16の回転軸線Mの方向において転舵軸ハウジング本体部第1領域8fと隣接した位置に、ブッシュ保持部本体部8hの本体部内周面8iに対し転舵軸ハウジング本体部8aの外周側に窪んだ環状溝として形成されている。ナット16の回転軸線Mの方向に沿って切断した第1深溝27の断面は、半円状をなしている。
第2深溝28は、第1深溝27と同様の形状を有しており、ナット16の回転軸線Mの方向において転舵軸ハウジング本体部第2領域8gと隣接した位置に、ブッシュ保持部本体部8hの本体部内周面8iに対し転舵軸ハウジング本体部8aの外周側に窪んだ環状溝として形成されている。ナット16の回転軸線Mの方向に沿って切断した第2深溝28の断面は、第1深溝27の断面と同様に、半円状をなしている。
ブッシュ保持部本体部8hは、全体として環状をなしており、環状に連続した本体部内周面8iを有している。この本体部内周面8iは、第1,第2深溝27,28の底部(溝深さが最も大きい箇所)よりも転舵軸ハウジング本体部8aの内周側に突出している。つまり、本体部内周面8iを構成するブッシュ保持部本体部8hの内径D3は、第1,第2深溝27,28の底部の内径D6よりも小さくなっている。また、内径D3は、転舵軸ハウジング本体部第1領域8fの内径D2および転舵軸ハウジング本体部第2領域8gの内径D4よりも大きく形成されている。
このように構成されたブッシュ保持部本体部8hの本体部内周面8iに、ブッシュ9の外周面9hが弾性的に当接することで、ブッシュ保持部本体部8hはブッシュ9を縮径状態に保持する。ブッシュ保持部本体部8hに保持された状態でのブッシュ9の内径D5は、転舵軸ハウジング本体部第1領域8fの内径D2および転舵軸ハウジング本体部第2領域8gの内径D4よりも小さくなっている。
また、ブッシュ保持部本体部8hの内径D3と転舵軸ハウジング本体部第1領域8fの内径D2との差を「L1」とし、ブッシュ9の厚さを「L2」とすると、ブッシュ9は、「1/2×L2<L1」で示される式(不等式)が成り立つ形状を有している。つまり、ブッシュ9がブッシュ保持部8cによって保持された状態では、転舵軸ハウジング本体部第1領域8f側において、ブッシュ9の厚さL2の半分以上が、ブッシュ保持部8cの溝(第1深溝27を除く)内に収容されている。
また、内径D3と内径D4との差L3が差L1よりも大きいので、ブッシュ軸方向第2端部9dと側壁部8mとの接触面積は、ブッシュ軸方向第1端部9cと側壁部8kとの接触面積よりも大きくなっている。
このようにブッシュ9がブッシュ保持部8cの溝内に収容された状態では、ナット16の回転軸線Mの方向に僅かに弾性変形したブッシュ9のブッシュ軸方向第1端部9cおよびブッシュ軸方向第2端部9dが、ブッシュ保持部8cの側壁部8k,8mに弾性的に当接している。
さらに、ブッシュ9は、ブッシュ軸方向第1端部9c側のブッシュ9の内周側縁部に形成されたブッシュ内周側第1面取り部9iと、ブッシュ軸方向第2端部9d側のブッシュ9の内周側縁部に形成されたブッシュ内周側第2面取り部9jと、を有している。面取り部9i,9jは、転舵軸ハウジング本体部8aへの転舵軸7の挿入時に、転舵軸ボールねじ溝7d(図2参照)がブッシュ軸方向第1端部9cおよびブッシュ軸方向第2端部9dの内周側縁部に引っ掛かることを抑制するものである。
なお、ブッシュ内周側第1面取り部9iおよびブッシュ内周側第2面取り部9jは、特許請求の範囲の「ブッシュ内周側面取り部」に該当する。
また、ブッシュ9は、ブッシュ軸方向第1端部9c側のブッシュ9の外周側縁部に形成されたブッシュ外周側第1面取り部9kと、ブッシュ軸方向第2端部9d側のブッシュ9の外周側縁部に形成されたブッシュ外周側第2面取り部9mと、を有している。ブッシュ外周側第1面取り部9kは、ブッシュ保持部8cへのブッシュ9の挿入時にブッシュ9が拡径する際に、ブッシュ9のブッシュ軸方向第1端部9cの外周部と側壁部8kの周縁部(角部)8jとが強く干渉することを抑制するものである。
ブッシュ外周側第2面取り部9mは、ブッシュ外周側第1面取り部9kと同様の形状に形成されている。ブッシュ外周側第2面取り部9mは、仮にブッシュ9がブッシュ軸方向第2端部9d側から転舵軸ハウジング本体部8aに挿入された場合でも、ブッシュ9のブッシュ軸方向第2端部9dの外周部と側壁部8kの周縁部8jとが強く干渉することを抑制するものである。
図6は、転舵軸7が切り欠き22に向かって撓んだ状態を示す、ナット16の径方向に沿って切断した転舵軸7、ブッシュ9および転舵軸ハウジング8の断面図である。なお、図6では、図を明瞭にするために、転舵軸7の外周面7eに形成された転舵軸ボールねじ溝7d(図2参照)の図示を省略している。
ブッシュ9の周方向に沿った切り欠き22の幅Wおよびブッシュ9の厚さL2は、転舵軸7がブッシュ周方向第1端部9eとブッシュ周方向第2端部9fの間の領域つまり切り欠き22に向かって撓んだときにブッシュ保持部8cの本体部内周面8iと当接しないように適宜設定される。
図6に示すように、転舵軸7が切り欠き22に向かって撓んだときには、転舵軸7の外周面7eに設けられた転舵軸ボールねじ溝が、ブッシュ周方向第1端部9eおよびブッシュ周方向第2端部9fの近傍においてブッシュ9の内周面9gに2点で当接する構成となっている。つまり、転舵軸7の外周面7eの転舵軸ボールねじ溝は、切り欠き22側に撓んでも、内周面9gのブッシュ周方向第1端部9e側およびブッシュ周方向第2端部9f側の端縁に当接し、本体部内周面8iと当接しないようになっている。
次に、ステアリング装置の製造方法の種々の工程のうち、ブッシュ9に関する3つの工程、即ちブッシュ形成工程、硬化処理工程およびブッシュ挿入工程について説明する。
ブッシュ形成工程では、ブッシュ9を形成するための素材である長方形の鉄鋼板を鍛造プレスにより塑性変形させることで、ナット16の回転軸線Mに対し直角な断面が円弧形状を有する第1の状態のブッシュ9を形成する(図3参照)。この第1の状態のブッシュ9の形成の際には、ブッシュ周方向第1端部9eとブッシュ周方向第2端部9fとを、切り欠き22を介してナット16の周方向に離間させる(図3参照)。さらに、ブッシュ軸方向第1端部9cにおいて、ブッシュ周方向第1端部9eとブッシュ周方向第2端部9fとを、ナット16の回転軸線Mの方向において互いにずらす(図3参照)。第1の状態の鉄鋼材料からなるブッシュ9の内周面9gの表面硬度は、アルミニウム合金材料からなる転舵軸ハウジング本体部8aの内周面8bの表面硬度よりも大きくなっている。
そして、ブッシュ形成工程の後工程である硬化処理工程では、第1の状態のブッシュ9を硬化処理、具体的には窒化処理することにより、第1の状態のブッシュ9の内周面9gの表面硬度よりも高い表面硬度を有する第2の状態のブッシュ9を形成する。上記窒化処理とは、一般に、アルミニウム、クロム、モリブデンなどの窒化物形成元素を含む鋼を、アンモニアまたは窒素を含んだ雰囲気中に暴露し、オーステナイト化温度以下の温度域で加熱することにより、鋼の表面近傍(1mm以内)に窒素を浸透させて硬化させる工程である。窒化処理後の第2の状態の鉄鋼材料からなるブッシュ9の内周面9gの表面硬度は、当然のことながら、アルミニウム合金材料からなる転舵軸ハウジング本体部8aの内周面8bの表面硬度よりも大きくなっている。
次に、硬化処理工程の後工程であるブッシュ挿入工程では、転舵軸ハウジング本体部8aの内周面8bに形成されたブッシュ保持部8cにブッシュ9を挿入する(図5参照)。ブッシュ9の挿入前には、転舵軸ハウジング本体部第1領域8fの内径D2と同程度まで図示外の治具によりブッシュ9を縮径させておく。さらに、切り欠き22がブッシュ鉛直方向第1端部9a(図2参照)およびブッシュ鉛直方向第2端部9b(図2参照)の位置に配置されないように、ブッシュ9の周方向における切り欠き22の位置を設定する。そして、転舵軸ハウジング本体部第1端部8d側の開口部26から転舵軸ハウジング本体部8a内に、縮径された状態のブッシュ9を挿入していく(図5参照)。
なお、仮に、縮径後のブッシュ9の外径が転舵軸ハウジング本体部第1領域8fの内径D2よりも大きい場合には、転舵軸ハウジング本体部第1領域8fと隣接したテーパ部25の傾斜に追従してブッシュ9の縮径量が転舵軸ハウジング本体部第1領域8fと同程度まで縮径可能となっている。
そして、ブッシュ軸方向第2端部9dがブッシュ保持部8cの側壁部8mに突き当たるまでブッシュ9を挿入した後に治具を取り外すことで、ブッシュ9を拡径させる(図5参照)。ブッシュ9の拡径時には、ブッシュ外周側第1面取り部9kおよびブッシュ外周側第2面取り部9mにより、ブッシュ9と側壁部8k,8mの周縁部(角部)8j,8nとが互いに干渉し難くなっている。ブッシュ9の拡径後には、ブッシュ9がブッシュ保持部8cによって保持される。ブッシュ9が保持された状態では、ブッシュ9の外周面9hが本体部内周面8iに弾性的に当接しており、さらに、ブッシュ9のブッシュ軸方向第1端部9cおよびブッシュ軸方向第2端部9dが、ブッシュ保持部8cの側壁部8k,8mに弾性的に当接している。
[本実施形態の効果]
図7は、外部入力等によって転舵軸7が撓んだ状態の従来技術の転舵軸7および転舵軸ハウジング8の断面図である。なお、図7では、転舵軸7を仮想線で示してある。
従来技術のステアリング装置では、転舵軸ボールねじ溝7dが外周面に形成されてなる転舵軸7が、円筒形の転舵軸ハウジング8内に収容されている。本実施形態のステアリング装置とは異なり、従来技術のステアリング装置においては、転舵軸ハウジング8のストローク規制部30付近の内周面8bには、転舵軸7を回転可能に支持するブッシュが設けられていない。
このようなステアリング装置において、路面からの外部入力等によってサスペンションに生じる振動に伴って、図7に示すように転舵軸7の端部が転舵軸7の径方向に撓む。これにより、転舵軸ボールねじ溝7dが転舵軸ハウジング8の内周面8bに直接接触してしまい、転舵軸ハウジング8の内周面8bが損傷する虞があった。さらに、転舵軸7の径方向に撓んだ端部がストローク規制部30の内周側縁部30aに当接することで、ストローク規制部30が損傷する虞があった。
図8は、外部入力等によって転舵軸7が撓んだ状態の本実施形態の転舵軸7および転舵軸ハウジング8の断面図である。なお、図8では、転舵軸7を仮想線で示してある。
本実施形態では、ステアリング装置は、転舵軸ハウジング8であって、転舵軸ハウジング本体部8aと、ブッシュ保持部8cを有し、転舵軸ハウジング本体部8aは、筒形状を有しており、ブッシュ保持部8cは、転舵軸ハウジング本体部8aの内周側に設けられている、転舵軸ハウジング8と、転舵軸7であって、転舵軸本体部7cと、転舵軸ボールねじ溝7dを備え、転舵軸ハウジング8の内部で転舵軸7の長手方向において移動可能に設けられ、転舵軸本体部7cは、金属材料で形成され、棒形状を有しており、転舵軸ボールねじ溝7dは、転舵軸本体部7cの外周側に設けられ、螺旋溝形状を有している、転舵軸7と、ナット16であって、ナット本体部16aと、ナットボールねじ溝16bを有し、転舵軸ハウジング8の内部で回転可能に設けられ、ナット本体部16aは、筒形状を有し、転舵軸7が挿入されており、ナットボールねじ溝16bは、ナット本体部16aの内周側に形成された螺旋溝形状を有している、ナット16と、複数のボール21であって、転舵軸ボールねじ溝7dとナットボールねじ溝16bの間に設けられ、ナット16の回転に伴い転舵軸7の長手方向において転舵軸7を軸方向移動させる複数のボール21と、電動アクチュエータ13であって、ナット16に回転力を付与する電動アクチュエータ13と、ブッシュ9であって、ブッシュ保持部8cに設けられ、金属材料で形成され、ナット16の回転軸線Mに関する周方向に延びる円弧形状を有しており、内周面9gの表面硬度が転舵軸ハウジング8の表面硬度よりも高く、少なくとも転舵軸7が撓んだとき、転舵軸ボールねじ溝7dがブッシュ9に当接することにより転舵軸ボールねじ溝7dが転舵軸ハウジング8と接触することを抑制するブッシュ9と、を有する。
このため、外部入力等により、図8に示すように、転舵軸7がその径方向、つまりナット16の径方向に撓んだときに、転舵軸ボールねじ溝7dが、該転舵軸ボールねじ溝7dよりも高い表面硬度を有したブッシュ9の内周面9gに当接する。これにより、転舵軸ボールねじ溝7dが転舵軸ハウジング8の内周面24に直接接触することが抑制され、転舵軸ハウジング8の損傷を抑制することができる。特に、ブッシュ9は、転舵軸ハウジング8の端部に配置されているため、図8に示すように、転舵軸7の端部の撓みによる内周面24への接触を効果的に抑制することができる。
また、仮に、従来転舵軸7の端部、すなわち本実施形態のブッシュ9で支持される領域に相当する領域X(図7参照)には転舵軸ボールねじ溝7dを形成しない場合、転舵軸ハウジング8の損傷は低減されるものの、転舵軸ボールねじ溝7dの形成範囲が、領域Xの分、制限されることになる。これにより、転舵軸7のストローク量を充分に確保することできないという問題がある。
一方、本実施形態では、生産性向上等の理由から転造によって転舵軸ボールねじ溝7dを形成しており、このため、転舵軸ボールねじ溝7dが転舵軸7の端部まで形成されている。しかし、このように転舵軸ボールねじ溝7dの形成範囲が転舵軸7の端部まで及んでいても、ブッシュ9によって転舵軸ボールねじ溝7dを支持することで、転舵軸7の外周面全体における転舵軸ボールねじ溝7dの形成範囲を制限しなくて済む。従って、転舵軸7のストローク量を充分に確保することができる。
また、本実施例では、ブッシュ9は、弾性材料で形成され、ナット16の回転軸線Mに関する外径が弾性変形領域内で縮径された状態でブッシュ保持部8cに保持されている。
これにより、ブッシュ9自体の弾性力によってブッシュ9がブッシュ保持部8cに保持されるので、Cリング等、ブッシュ9を保持する部材を別途設ける必要が無い。よって、ステアリング装置の製造コストを削減することができる。
また、ブッシュ9は、弾性変形領域内で縮径された状態で転舵軸ハウジング本体部8aに挿入された後、ブッシュ保持部8c内で拡径し、弾性力により保持される。このため、圧入等によりブッシュ9を保持する場合に比べ、ブッシュ9の組付け作業性がよい。
さらに、本実施形態では、ブッシュ9は、ナット16の回転軸線Mに関する周方向における1対の端部であるブッシュ周方向第1端部9eとブッシュ周方向第2端部9fが互いに離間した状態でブッシュ保持部8cに保持されている。
つまり、ブッシュ周方向第1端部9eとブッシュ周方向第2端部9fとは、切り欠き22を介して互いに対向している。換言すれば、切り欠き22を介してブッシュ9が拡縮可能に構成されていることで、転舵軸ハウジング本体部8aへの挿入に適したブッシュ9の外径を容易に得ることができる。また、ブッシュ保持部8cへのブッシュ9の組付時には、弾性変形させたブッシュ9の復元力によって、ブッシュ保持部8cにブッシュ9を容易に組み付けることができる。
また、本実施形態では、転舵軸ハウジング本体部8aの1対の端部である転舵軸ハウジング本体部第1端部8dと転舵軸ハウジング本体部第2端部8eのうち、ブッシュ9に近い位置にある方を転舵軸ハウジング本体部第1端部8dとし、ナット16の回転軸線Mの方向においてブッシュ保持部8cと隣接し、かつブッシュ保持部8cよりも転舵軸ハウジング本体部第1端部8dに近い領域を転舵軸ハウジング本体部第1領域8f、ブッシュ保持部8cと隣接し、かつブッシュ保持部8cよりも転舵軸ハウジング本体部第1端部8dから遠い領域を転舵軸ハウジング本体部第2領域8gとしたとき、ブッシュ保持部8cは、ナット16の回転軸線Mに関する内径D3が、転舵軸ハウジング本体部第1領域8fおよび転舵軸ハウジング本体部第2領域8gよりも大きく、ブッシュ9は、ナット16の回転軸線Mの方向におけるブッシュ9の1対の端部であるブッシュ軸方向第1端部9cとブッシュ軸方向第2端部9dのうち、ブッシュ軸方向第1端部9cにおいて、ブッシュ周方向第1端部9eとブッシュ周方向第2端部9fとが、ナット16の回転軸線Mの方向において、互いにずれた形状を有する。
このように、ブッシュ保持部8cの内径D3が転舵軸ハウジング本体部第1領域8fおよび転舵軸ハウジング本体部第2領域8gの内径D2,D4よりも大きいことにより、ブッシュ保持部8cの溝深さが充分に確保される。従って、ブッシュ9の厚さL2の比較的多くの部分がブッシュ保持部8c内に収容され、ナット16の回転軸線Mへのブッシュ9のずれが抑制される。よって、ブッシュ9の保持性が向上する。
また、ブッシュ保持部8cに保持されていない状態のブッシュ9では、ブッシュ軸方向第1端部9cにおいて、ブッシュ周方向第1端部9eとブッシュ周方向第2端部9fとが、ナット16の回転軸線Mの方向において互いにずれている。このようなブッシュ9を環状溝形状をなすブッシュ保持部8c内で保持することで、ブッシュ9が弾性変形し、ブッシュ軸方向第1端部9cおよびブッシュ軸方向第2端部9dが、ブッシュ保持部8cの側壁部8k,8mと弾性的に当接する。従って、ブッシュ9の保持性がさらに向上する。
さらに、本実施形態では、転舵軸7がブッシュ周方向第1端部9eとブッシュ周方向第2端部9fの間の領域に向かって撓んだとき、ブッシュ9は、転舵軸7がブッシュ保持部8cの本体部内周面8iと当接しない形状を有する。
仮に、ブッシュ9の厚さL2が小さい、またはブッシュ周方向第1端部9eとブッシュ周方向第2端部9fの間の切り欠き22の幅Wが大きい、もしくはこれらの両方の場合、転舵軸7、特に転舵軸ボールねじ溝7dがブッシュ保持部8cの本体部内周面8iと当接する虞がある。
これに対し、本実施形態では、ブッシュ9の厚さL2を充分に確保する、またはブッシュの切り欠き22の幅Wを充分小さくする、もしくはこれらの両方を実施することにより、ブッシュ9が切り欠き22に向かって撓んだ場合でも、転舵軸7がブッシュ保持部8cの本体部内周面8iと接触することを抑制することができる。従って、転舵軸ボールねじ溝7dが転舵軸ハウジング8の内周面8bに直接接触することが抑制され、転舵軸ハウジング8の損傷を抑制することができる。
また、本実施形態では、ナット16の回転軸線Mに関する周方向範囲のうち、鉛直方向における1対の端部の夫々をブッシュ鉛直方向第1端部9a、ブッシュ鉛直方向第2端部9bとしたとき、ブッシュ9は、ブッシュ周方向第1端部9eとブッシュ周方向第2端部9fの間の領域が、ブッシュ鉛直方向第1端部9aおよびブッシュ鉛直方向第2端部9bとオーバーラップしない位置に設けられている。
つまり、ブッシュ9は、切り欠き22がブッシュ鉛直方向第1端部9aおよびブッシュ鉛直方向第2端部9bに位置しないように、ブッシュ保持部8cによって保持されている。このため、鉛直方向へのサスペンションの動きに伴って転舵軸7が鉛直方向に撓んだときに、転舵軸7が切り欠き22に向かって撓むことが抑制される。これにより、ブッシュ9による転舵軸7の支持性を向上させるとともに、転舵軸ハウジング8の損傷を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、転舵軸ハウジング8は、ナット16の回転軸線Mに関する径方向において、転舵軸ハウジング本体部第2領域8gの内径D4が、転舵軸ハウジング本体部第1領域8fの内径D2よりも小さい。
縮径させた状態のブッシュ9をブッシュ保持部8cに挿入するときには、ブッシュ9の外径は転舵軸ハウジング本体部第1領域8fの内径D2と同程度に縮径されている。従って、この縮径した状態のブッシュ9の外径よりも転舵軸ハウジング本体部第2領域8gの内径D4を小さくすることで、ブッシュ9が転舵軸ハウジング本体部第2領域8gを超えて転舵軸ハウジング本体部第2領域8g側まで誤って挿入されることを抑制することができる。
また、本実施形態では、転舵軸7は、転舵軸7の長手方向における1対の端部において、1対のボールジョイントである第1ボールジョイントと第2ボールジョイントと接続可能であり、転舵軸ハウジング8は、第1ストローク規制部10を備え、第1ストローク規制部10は、ナット16の回転軸線Mの方向において転舵軸ハウジング本体部第1領域8fよりも転舵軸ハウジング本体部第1端部8dに近い位置に設けられ、第1ボールジョイントと当接することにより、第1ボールジョイントと第1ストローク規制部10が当接した位置よりも転舵軸7が転舵軸ハウジング本体部第2端部8eの方へ移動することを規制するものであり、ナット16の回転軸線Mに関する内径D1が転舵軸ハウジング本体部第1領域8fにおける内径よりも大きく、ブッシュ9は、ブッシュ保持部8cに保持された状態で、ナット16の回転軸線Mに関する内径D5が、転舵軸ハウジング本体部第1領域8fにおける内径D2よりも小さい。
このようにブッシュ9の内径D5が転舵軸ハウジング本体部第1領域8fの内径D2よりも小さいので、転舵軸7がナット16の径方向に撓んだときに転舵軸7がブッシュ9の内周面9gと当接することで、転舵軸7と転舵軸ハウジング8の内周面8bとの接触が抑制される。従って、転舵軸ハウジング8の損傷を抑制することができる。
また、第1ストローク規制部10の内径D1が転舵軸ハウジング本体部第1領域8fの内径D2よりも大きいので、図8に示すように転舵軸7がナット16の径方向に撓んだときに、転舵軸7と第1ストローク規制部10の内周側縁部10cとの接触が抑制される。従って、第1ストローク規制部10の損傷を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、ブッシュ保持部8cにおけるナット16の回転軸線Mに関する内径D3と転舵軸ハウジング本体部第1領域8fにおけるナット16の回転軸線Mに関する内径D2の差をL1、ブッシュ9の厚さをL2としたとき、ブッシュ9は、式:1/2×L2<L1が成り立つ形状を有する。
このため、転舵軸ハウジング本体部第1領域8f側におけるブッシュ保持部8cの溝深さとなるL1がブッシュ9の厚さL2の半分以上である。つまり、転舵軸ハウジング本体部第1領域8f側において、ブッシュ9の厚さL2の半分以上がブッシュ保持部8c内で保持されている。これにより、ブッシュ保持部8cからのブッシュ9の脱落を充分に抑制することができる。
また、本実施形態では、転舵軸ハウジング8は、テーパ部25を備え、テーパ部25は、ナット16の回転軸線Mの方向において転舵軸ハウジング本体部第1領域8fよりも転舵軸ハウジング本体部第1端部8dに近い位置に設けられ、ナット16の回転軸線Mに関する内径が、転舵軸ハウジング本体部第1領域8fから転舵軸ハウジング本体部第1端部8dに近づくほど大きくなるテーパ形状を有する。
このため、縮径させた状態のブッシュ9を転舵軸ハウジング本体部8aに挿入する際に、ブッシュ9の外径が転舵軸ハウジング本体部第1領域8fの内径D2よりも大きかったとしても、ブッシュ9がテーパ部25の傾斜に沿って縮径可能となる。従って、転舵軸ハウジング本体部8aへのブッシュ9の挿入が容易なものとなる。よって、ブッシュ9の組付性が向上する。
さらに、本実施形態では、ブッシュ保持部8cは、ブッシュ保持部本体部8hと、1対の深溝部である第1深溝27と第2深溝28を備え、第1深溝27と第2深溝28の夫々は、ナット16の回転軸線Mの方向におけるブッシュ保持部8cの1対の端部の夫々に設けられ、ブッシュ保持部本体部8hは、ナット16の回転軸線Mの方向において第1深溝27と第2深溝28の間に設けられ、ナット16の回転軸線Mに関する内径D3が、第1深溝27および第2深溝28の内径よりも小さい。
仮に、ブッシュ保持部8cが第1深溝27および第2深溝28有していない場合、つまり、ナット16の回転軸線Mに沿った断面が概ね矩形をなす場合、ブッシュ保持部8cの一対の隅角にアール形状の部分が残り、このアール形状の部分が、ブッシュ9のブッシュ軸方向第1端部9cおよびブッシュ軸方向第2端部9dと干渉する虞がある。このようにアール形状の部分と端部9c,9dが干渉してしまうと、ブッシュ保持部本体部8hの本体部内周面8iにブッシュ9の外周面9hを密着させることができず、ブッシュ9の保持性が悪化するという問題がある。
そこで、本実施形態では、ブッシュ保持部8cの一対の隅角に第1、第2深溝27,28を形成することにより、上記の干渉を抑制している。従って、ブッシュ保持部本体部8hの本体部内周面8iとブッシュ9の外周面9hとの密着度を高めるとともに、ブッシュ9の保持性を向上させることができる。
また、本実施形態では、ブッシュ9は、ブッシュ内周側第1面取り部9iおよびブッシュ内周側第2面取り部9jを有し、これらの面取り部9i,9jは、ナット16の回転軸線Mの方向におけるブッシュ9の1対の端部であるブッシュ軸方向第1端部9cとブッシュ軸方向第2端部9dであって、ブッシュ9の内周側に設けられた面取り部である。
このように面取り部9i,9jを形成することで、ブッシュ軸方向第1端部9cおよびブッシュ軸方向第2端部9dの内周側が角部として形成されている場合と比べて、ブッシュ9の組付後にブッシュ保持部本体部8hに転舵軸7を挿入する際に、端部9c,9dの内周部と転舵軸ボールねじ溝7dとの引掛かりが緩和される。従って、ステアリング装置の製造が容易になる。
さらに、本実施形態では、ブッシュ9は、ブッシュ外周側第1面取り部9kを有し、ブッシュ外周側第1面取り部9kは、ナット16の回転軸線Mの方向におけるブッシュ9の1対の端部であるブッシュ軸方向第1端部9cとブッシュ軸方向第2端部9dのうち、ブッシュ軸方向第1端部9cであって、ブッシュ9の外周側に設けられた面取り部である。
このようにブッシュ外周側第1面取り部9kを設けることにより、転舵軸ハウジング本体部8aにブッシュ9を挿入し、ブッシュ保持部8cの位置で拡径させるときに、ブッシュ軸方向第1端部9cの外周部が角部として形成されている場合と比べて、ブッシュ軸方向第1端部9cの外周部と側壁部8kの周縁部8jとの干渉が抑制される。従って、ブッシュ保持部8cへのブッシュ9の組付性を向上させることができる。
また、本実施形態では、ブッシュ9は、ブッシュ外周側第2面取り部9mを有し、ブッシュ外周側第2面取り部9mは、ブッシュ軸方向第2端部9dであって、ブッシュ9の外周側に設けられた面取り部である。
ブッシュ軸方向第1端部9cのブッシュ外周側第1面取り部9kおよびブッシュ軸方向第2端部9dのブッシュ外周側第2面取り部9mがあることにより、ブッシュ9を端部9c,9d側のいずれの側からブッシュ保持部8cへ挿入しても、ブッシュ軸方向第1端部9cの外周部と側壁部8kの周縁部8jとの干渉が抑制される。従って、ブッシュ保持部8cへのブッシュ9の組付性をさらに向上させることができる。
また、本実施形態では、ステアリング装置の製造方法において、ステアリング装置は、転舵軸ハウジング8と、転舵軸7と、ナット16と、複数のボール21と、電動アクチュエータ13と、ブッシュ9を備え、転舵軸ハウジング8は、転舵軸ハウジング本体部8aと、ブッシュ保持部8cを有し、転舵軸ハウジング本体部8aは、筒形状を有しており、ブッシュ保持部8cは、転舵軸ハウジング本体部8aの内周側に設けられており、転舵軸7は、転舵軸本体部7cと、転舵軸ボールねじ溝7dを備え、転舵軸ハウジング8の内部で転舵軸7の長手方向において移動可能であって、転舵軸本体部7cは、金属材料で形成され、棒形状を有しており、転舵軸ボールねじ溝7dは、転舵軸本体部7cの外周側に設けられ、螺旋溝形状を有しており、ナット16は、ナット本体部16aと、ナットボールねじ溝16bを有し、転舵軸ハウジング8の内部で回転可能であり、ナット本体部16aは、筒形状を有し、転舵軸7が挿入されており、ナットボールねじ溝16bは、ナット本体部16aの内周側に形成された螺旋溝形状を有しており、複数のボール21は、転舵軸ボールねじ溝7dとナットボールねじ溝16bの間に設けられ、ナット16の回転に伴い転舵軸7の長手方向において転舵軸7を軸方向移動させるものであり、電動アクチュエータ13は、ナット16に回転力を付与するものであり、ブッシュ9は、ブッシュ保持部8cに設けられ、金属材料で形成され、ナット16の回転軸線Mに関する周方向に延びる円弧形状を有しており、内周面9gの表面硬度が転舵軸ハウジング8の表面硬度よりも高く、少なくとも転舵軸7が撓んだとき、転舵軸ボールねじ溝7dがブッシュ9に当接することにより転舵軸ボールねじ溝7dが転舵軸ハウジング8と接触することを抑制するものであって、ブッシュ形成工程であって、素材である金属板を塑性変形させることにより、ナット16の回転軸線Mに対し直角な断面が円弧形状を有する第1の状態のブッシュを形成するブッシュ形成工程と、ブッシュ挿入工程であって、ブッシュ9をブッシュ保持部8cに挿入するブッシュ挿入工程と、を有する。
このように、転舵軸ハウジング8の内周面8bよりも表面硬度が高い金属板によってブッシュ9を形成したことにより、金属製の転舵軸7の転舵軸ボールねじ溝7dの支持の際に転舵軸ボールねじ溝7dがブッシュ9の内周面9gに当接しても、ブッシュ9の損傷を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、ステアリング装置の製造方法は、硬化処理工程を含み、硬化処理工程は、ブッシュ形成工程の後で、かつブッシュ挿入工程の前に実施され、第1の状態のブッシュ9を硬化処理することにより、第1の状態のブッシュ9の表面硬度よりも表面硬度の高い第2の状態のブッシュ9を形成する工程である。
このようにブッシュ形成工程で表面硬度が低い、つまり硬度が比較的低い素材を用いて円弧形状を有する第1の状態のブッシュ9を形成することで、硬度が比較的高い素材を用いて円弧形状のブッシュ9を形成する場合と比べて、ブッシュ9の加工性が良くなる。
また、円弧形状のブッシュ9を形成した後に、硬化処理を施すことにより、所望な表面硬度を効率的に得ることができる。
さらに、本実施形態では、ブッシュ形成工程は、金属板を鍛造プレスによって第1の状態のブッシュ9を形成する工程である。
これにより、他の形成手段を用いる場合と比べて、第1の状態のブッシュ9を大量かつ容易に形成することができる。
また、本実施形態では、ブッシュ形成工程は、ナット16の回転軸線Mに関する周方向における1対の端部であるブッシュ周方向第1端部9eとブッシュ周方向第2端部9fが離間するように第1の状態のブッシュ9を形成する工程である。
仮に、円筒状の素材を用いて円弧形状をなすブッシュ9を形成する場合、切り欠き22の形成のため切断工程が必要となるが、金属板を鍛造プレスすることによりブッシュ9を形成することで、上記切断工程が不要となる。よって、ブッシュ9の製造工程を簡素化することができる。
さらに、本実施形態では、金属板は、鉄鋼材料で形成されており、硬化処理工程は、窒化処理である。
このように鉄鋼製の金属板に窒化処理を施すことで、転舵軸7の転舵軸ボールねじ溝7dの当接に耐えうるブッシュ9の内周面9gの充分な表面硬度を得ることができる。さらに、窒化処理後のブッシュ9は、耐熱性や耐久性に優れたものとなる。従って、ステアリング装置の耐久性が向上する。
以上説明した実施形態に基づくステアリング装置としては、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
ステアリング装置は、その一態様として、転舵軸ハウジングであって、転舵軸ハウジング本体部と、ブッシュ保持部を有し、前記転舵軸ハウジング本体部は、筒形状を有しており、前記ブッシュ保持部は、前記転舵軸ハウジング本体部の内周側に設けられている、前記転舵軸ハウジングと、転舵軸であって、転舵軸本体部と、転舵軸ボールねじ溝を備え、前記転舵軸ハウジングの内部で前記転舵軸の長手方向において移動可能に設けられ、前記転舵軸本体部は、金属材料で形成され、棒形状を有しており、前記転舵軸ボールねじ溝は、前記転舵軸本体部の外周側に設けられ、螺旋溝形状を有している、前記転舵軸と、ナットであって、ナット本体部と、ナットボールねじ溝を有し、前記転舵軸ハウジングの内部で回転可能に設けられ、前記ナット本体部は、筒形状を有し、前記転舵軸が挿入されており、前記ナットボールねじ溝は、前記ナット本体部の内周側に形成された螺旋溝形状を有している、前記ナットと、複数のボールであって、前記転舵軸ボールねじ溝と前記ナットボールねじ溝の間に設けられ、前記ナットの回転に伴い前記転舵軸の長手方向において前記転舵軸を軸方向移動させる複数の前記ボールと、電動アクチュエータであって、前記ナットに回転力を付与する前記電動アクチュエータと、ブッシュであって、前記ブッシュ保持部に設けられ、金属材料で形成され、前記ナットの回転軸線に関する周方向に延びる円弧形状を有しており、内周面の表面硬度が前記転舵軸ハウジングの表面硬度よりも高く、少なくとも前記転舵軸が撓んだとき、前記転舵軸ボールねじ溝が前記ブッシュに当接することにより前記転舵軸ボールねじ溝が前記転舵軸ハウジングと接触することを抑制する前記ブッシュと、を有する。
前記ステアリング装置の好ましい態様において、前記ブッシュは、弾性材料で形成され、前記ナットの回転軸線に関する外径が弾性変形領域内で縮径された状態で前記ブッシュ保持部に保持されている。
別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ブッシュは、前記ナットの回転軸線に関する周方向における1対の端部であるブッシュ周方向第1端部とブッシュ周方向第2端部が互いに離間した状態で前記ブッシュ保持部に保持されている。
別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記転舵軸ハウジング本体部の1対の端部である転舵軸ハウジング本体部第1端部と転舵軸ハウジング本体部第2端部のうち、前記ブッシュに近い位置にある方を前記転舵軸ハウジング本体部第1端部とし、前記ナットの回転軸線の方向において前記ブッシュ保持部と隣接し、かつ前記ブッシュ保持部よりも前記転舵軸ハウジング本体部第1端部に近い領域を転舵軸ハウジング本体部第1領域、前記ブッシュ保持部と隣接し、かつ前記ブッシュ保持部よりも前記転舵軸ハウジング本体部第1端部から遠い領域を転舵軸ハウジング本体部第2領域としたとき、前記ブッシュ保持部は、前記ナットの回転軸線に関する内径が、前記転舵軸ハウジング本体部第1領域および前記転舵軸ハウジング本体部第2領域よりも大きく、前記ブッシュは、前記ナットの回転軸線の方向における前記ブッシュの1対の端部であるブッシュ軸方向第1端部とブッシュ軸方向第2端部のうち、前記ブッシュ軸方向第1端部において、前記ブッシュ周方向第1端部と前記ブッシュ周方向第2端部とが、前記ナットの回転軸線の方向において、互いにずれた形状を有する。
別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記転舵軸が前記ブッシュ周方向第1端部と前記ブッシュ周方向第2端部の間の領域に向かって撓んだとき、前記ブッシュは、前記転舵軸が前記ブッシュ保持部の内周面と当接しない形状を有する。
別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ナットの回転軸線に関する周方向範囲のうち、鉛直方向における1対の端部の夫々をブッシュ鉛直方向第1端部、ブッシュ鉛直方向第2端部としたとき、前記ブッシュは、前記ブッシュ周方向第1端部と前記ブッシュ周方向第2端部の間の領域が、前記ブッシュ鉛直方向第1端部および前記ブッシュ鉛直方向第2端部とオーバーラップしない位置に設けられている。
別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記転舵軸ハウジング本体部の1対の端部である転舵軸ハウジング本体部第1端部と転舵軸ハウジング本体部第2端部のうち、前記ブッシュに近い位置にある方を前記転舵軸ハウジング本体部第1端部とし、前記ナットの回転軸線の方向において前記ブッシュ保持部と隣接し、かつ前記ブッシュ保持部よりも前記転舵軸ハウジング本体部第1端部に近い領域を転舵軸ハウジング本体部第1領域、前記ブッシュ保持部と隣接し、かつ前記ブッシュ保持部よりも前記転舵軸ハウジング本体部第1端部から遠い領域を転舵軸ハウジング本体部第2領域としたとき、前記ブッシュ保持部は、前記ナットの回転軸線に関する内径が、前記転舵軸ハウジング本体部第1領域および前記転舵軸ハウジング本体部第2領域よりも大きい。
別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記転舵軸ハウジングは、前記ナットの回転軸線に関する径方向において、前記転舵軸ハウジング本体部第2領域の内径が、前記転舵軸ハウジング本体部第1領域の内径よりも小さい。
別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記転舵軸は、前記転舵軸の長手方向における1対の端部において、1対のボールジョイントである第1ボールジョイントと第2ボールジョイントと接続可能であり、前記転舵軸ハウジングは、ストローク規制部を備え、前記ストローク規制部は、前記ナットの回転軸線の方向において前記転舵軸ハウジング本体部第1領域よりも前記転舵軸ハウジング本体部第1端部に近い位置に設けられ、前記第1ボールジョイントと当接することにより、前記第1ボールジョイントと前記ストローク規制部が当接した位置よりも前記転舵軸が前記転舵軸ハウジング本体部第2端部の方へ移動することを規制するものであり、前記ナットの回転軸線に関する内径が前記転舵軸ハウジング本体部第1領域における前記内径よりも大きく、前記ブッシュは、前記ブッシュ保持部に保持された状態で、前記ナットの回転軸線に関する内径が、前記転舵軸ハウジング本体部第1領域における前記内径よりも小さい。
別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ブッシュ保持部における前記ナットの回転軸線に関する内径と前記転舵軸ハウジング本体部第1領域における前記ナットの回転軸線に関する内径の差をL1、前記ブッシュの厚さをL2としたとき、前記ブッシュは、式:1/2×L2<L1が成り立つ形状を有する。
別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記転舵軸ハウジングは、テーパ部を備え、前記テーパ部は、前記ナットの回転軸線の方向において前記転舵軸ハウジング本体部第1領域よりも前記転舵軸ハウジング本体部第1端部に近い位置に設けられ、前記ナットの回転軸線に関する内径が、前記転舵軸ハウジング本体部第1領域から前記転舵軸ハウジング本体部第1端部に近づくほど大きくなるテーパ形状を有する。
別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ブッシュ保持部は、ブッシュ保持部本体部と、1対の深溝部である第1深溝と第2深溝を備え、前記第1深溝と前記第2深溝の夫々は、前記ナットの回転軸線の方向における前記ブッシュ保持部の1対の端部の夫々に設けられ、前記ブッシュ保持部本体部は、前記ナットの回転軸線の方向において前記第1深溝と前記第2深溝の間に設けられ、前記ナットの回転軸線に関する内径が、前記第1深溝および前記第2深溝の内径よりも小さい。
別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ブッシュは、ブッシュ内周側面取り部を有し、前記ブッシュ内周側面取り部は、前記ナットの回転軸線の方向における前記ブッシュの1対の端部であるブッシュ軸方向第1端部とブッシュ軸方向第2端部であって、前記ブッシュの内周側に設けられた面取り部である。
別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ブッシュは、ブッシュ外周側第1面取り部を有し、前記ブッシュ外周側第1面取り部は、前記ナットの回転軸線の方向における前記ブッシュの1対の端部であるブッシュ軸方向第1端部とブッシュ軸方向第2端部のうち、前記ブッシュ軸方向第1端部であって、前記ブッシュの外周側に設けられた面取り部である。
別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ブッシュは、ブッシュ外周側第2面取り部を有し、前記ブッシュ外周側第2面取り部は、前記ブッシュ軸方向第2端部であって、前記ブッシュの外周側に設けられた面取り部である。
以上説明した実施形態に基づくステアリング装置の製造方法としては、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
ステアリング装置の製造方法は、その一態様として、前記ステアリング装置は、転舵軸ハウジングと、転舵軸と、ナットと、複数のボールと、電動アクチュエータと、ブッシュを備え、前記転舵軸ハウジングは、転舵軸ハウジング本体部と、ブッシュ保持部を有し、前記転舵軸ハウジング本体部は、筒形状を有しており、前記ブッシュ保持部は、前記転舵軸ハウジング本体部の内周側に設けられており、前記転舵軸は、転舵軸本体部と、転舵軸ボールねじ溝を備え、前記転舵軸ハウジングの内部で前記転舵軸の長手方向において移動可能であって、前記転舵軸本体部は、金属材料で形成され、棒形状を有しており、前記転舵軸ボールねじ溝は、前記転舵軸本体部の外周側に設けられ、螺旋溝形状を有しており、前記ナットは、ナット本体部と、ナットボールねじ溝を有し、前記転舵軸ハウジングの内部で回転可能であり、前記ナット本体部は、筒形状を有し、前記転舵軸が挿入されており、前記ナットボールねじ溝は、前記ナット本体部の内周側に形成された螺旋溝形状を有しており、複数の前記ボールは、前記転舵軸ボールねじ溝と前記ナットボールねじ溝の間に設けられ、前記ナットの回転に伴い前記転舵軸の長手方向において前記転舵軸を軸方向移動させるものであり、前記電動アクチュエータは、前記ナットに回転力を付与するものであり、前記ブッシュは、前記ブッシュ保持部に設けられ、金属材料で形成され、前記ナットの回転軸線に関する周方向に延びる円弧形状を有しており、内周面の表面硬度が前記転舵軸ハウジングの表面硬度よりも高く、少なくとも前記転舵軸が撓んだとき、前記転舵軸ボールねじ溝が前記ブッシュに当接することにより前記転舵軸ボールねじ溝が前記転舵軸ハウジングと接触することを抑制するものであって、ブッシュ形成工程であって、素材である金属板を塑性変形させることにより、前記ナットの回転軸線に対し直角な断面が円弧形状を有する第1の状態のブッシュを形成する前記ブッシュ形成工程と、ブッシュ挿入工程であって、前記ブッシュを前記ブッシュ保持部に挿入する前記ブッシュ挿入工程と、を有する。
前記ステアリング装置の製造方法の好ましい態様において、硬化処理工程を含み、前記硬化処理工程は、前記ブッシュ形成工程の後で、かつ前記ブッシュ挿入工程の前に実施され、前記第1の状態のブッシュを硬化処理することにより、前記第1の状態のブッシュの表面硬度よりも表面硬度の高い第2の状態のブッシュを形成する工程である。
別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の製造方法の態様のいずれかにおいて、前記ブッシュ形成工程は、前記金属板を鍛造プレスによって前記第1の状態のブッシュを形成する工程である。
別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の製造方法の態様のいずれかにおいて、前記ブッシュ形成工程は、前記ナットの回転軸線に関する周方向における1対の端部であるブッシュ周方向第1端部とブッシュ周方向第2端部が離間するように前記第1の状態のブッシュを形成する工程である。
別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の製造方法の態様のいずれかにおいて、前記金属板は、鉄鋼材料で形成されており、前記硬化処理工程は、窒化処理である。