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JP2020099998A - 加飾成形品、加飾成形品の製造方法、転写シート及び画像表示装置 - Google Patents

加飾成形品、加飾成形品の製造方法、転写シート及び画像表示装置 Download PDF

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JP2020099998A JP2018237642A JP2018237642A JP2020099998A JP 2020099998 A JP2020099998 A JP 2020099998A JP 2018237642 A JP2018237642 A JP 2018237642A JP 2018237642 A JP2018237642 A JP 2018237642A JP 2020099998 A JP2020099998 A JP 2020099998A
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Abstract

【課題】ギラツキを抑制するとともに、防眩性、コントラスト及び画像鮮明性が良好である加飾成形品を提供する。【解決手段】樹脂成形体1上に、凹凸を有する保護層2を備える加飾成形品10であって、保護層2の表面における、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:1994の算術平均粗さをRax1、カットオフ値0.08mmのJIS B0601:1994の算術平均粗さをRay1、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:1994の十点平均粗さをRzx1と定義した際に、Rax1、Ray1及びRzx1が下記式(1)〜(3)を満たす。0.050μm≦Rax1<0.140μm (1)0.30≦(Rax1−Ray1)/Ray1(2)Rzx1/Rax1≦15.0 (3)【選択図】図1

Description

本発明は、加飾成形品、加飾成形品の製造方法、転写シート及び画像表示装置に関する。
従来、家庭用電化製品、自動車内装品、及び雑貨品等の分野において、被転写物表面に、文字や絵柄等の装飾を施すことにより、高い機能性や意匠性を発現させてきた。被転写物表面を装飾する方法として、転写法がある。転写法とは、基材上に、剥離層、図柄層、接着層等からなる転写層を形成した転写シートを用い、加熱加圧して転写層を被転写物に密着させた後、基材を剥離して、被転写物表面に転写層のみを転写して装飾を行う方法である。
また、用途によっては、被転写物表面に、光沢調、マット調等の異なる風合を混在させた優れた意匠性が求められる場合がある。
例えば、特許文献1には、基体シート上に全面的にマット剤を含有する離型層と、部分的に活性エネルギー線硬化性樹脂を含有するマスク層と、転写層として剥離層と図柄層とが形成された部分マット転写シートを、転写層側を被転写物表面に密着させ、部分マット転写シートの基体シート側から熱と圧力とを加えて転写層を被転写物表面に接着させた後に基体シートと離型層とマスク層とを剥離することにより得られる部分マット転写成形品が開示されている。
特許5095598号公報
しかしながら、特許文献1に記載の部分マット転写成形品では、転写後の転写層表面のマット部において、ギラツキ(表面の凹凸構造に起因して、映像光に微細な輝度のばらつきが見える現象)を生じるケースが多発した。
また、特許文献1に記載の部分マット転写成形品では、被転写物の文字等が白っぽくなりコントラストが低下したり、成形品を通して表示素子を視認した際に、表示素子の画像鮮明性が損なわれたりするという問題があった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、ギラツキを抑制するとともに、防眩性、コントラスト及び画像鮮明性が良好である加飾成形品、該加飾成形品の製造方法、該加飾成形品に用いられる転写シート及び該加飾成形品を用いる画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]〜[4]を提供する。
[1]樹脂成形体上に保護層が設けられた加飾成形品であって、前記保護層は、凹凸を有する領域Pと、前記領域Pに隣接する領域Qとを有し、前記領域Pの表面のカットオフ値λcを0.8mmとした際のJIS B0601:1994の算術平均粗さをRax1、前記領域Pの表面のカットオフ値λcを0.08mmとした際のJIS B0601:1994の算術平均粗さをRay1、及び前記領域Pの表面のカットオフ値λcを0.8mmとした際のJIS B0601:1994の十点平均粗さをRzx1と定義した際に、Rax1、Ray1、及びRzx1が下記式(1)〜(3)を満たす、加飾成形品。
0.050μm≦Rax1<0.140μm (1)
0.30≦(Rax1−Ray1)/Ray1 (2)
Rzx1/Rax1≦15.0 (3)
[2]領域P’と、前記領域P’に隣接する領域Q’とを有する基材と、前記基材の領域P’上に設けられた凹凸形状を有する凹凸層と、前記凹凸層の前記凹凸形状の上に形成された第一離型層と、前記基材の領域Q’上に設けられた第二離型層と、前記第一離型層と、前記第二離型層の上に形成された保護層とを有し、前記第一離型層の表面のカットオフ値λcを0.8mmとした際のJIS B0601:1994の算術平均粗さをRax11、前記第一離型層の表面のカットオフ値λcを0.08mmとした際のJIS B0601:1994の算術平均粗さをRay11、及び前記第一離型層の表面のカットオフ値を0.8mmとした際のJIS B0601:1994の十点平均粗さをRzx11と定義した際に、Rax11、Ray11、及びRzx11が下記式(1)’〜(3)’を満たす、転写シート。
0.050μm≦Rax11<0.140μm (1)’
0.30≦(Rax11−Ray11)/Ray11 (2)’
Rzx11/Rax11≦15.0 (3)’
[3]上記[2]に記載の転写シートの保護層を樹脂成形体に転写する工程と、前記転写シートの前記第一離型層及び前記第二離型層を剥離する工程と、を有する、加飾成形品の製造方法。
[4]表示素子と、表示素子の光出射面側に配置された前面板とを有する画像表示装置であって、前記前面板として、上記[1]に記載の加飾成形品の保護層側の面が前記表示素子と反対側を向くように配置してなる、画像表示装置。
本発明によれば、ギラツキを抑制するとともに、防眩性、コントラスト及び画像鮮明性が良好である加飾成形品、該加飾成形品の製造方法、該加飾成形品に用いられる転写シート及び該加飾成形品を用いる画像表示装置を提供することができる。
本発明の加飾成形品の一実施形態を示す断面図である。 本発明の加飾成形品の一実施形態を示す断面図である。 本発明の加飾成形品の一実施形態を示す断面図である。 本発明の転写シートの一実施形態を示す断面図である。 本発明の転写シートの一実施形態を示す断面図である。 本発明の転写シートの一実施形態を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、本明細書において、AA〜BBとは、AA以上BB以下であることを意味する。
[加飾成形品]
本発明の加飾成形品は、樹脂成形体上に保護層が設けられ、保護層は、凹凸を有する領域Pと、領域Pに隣接する領域Qとを有する。そして、本発明の加飾成形品は、領域Pの表面のカットオフ値λcを0.8mmとした際のJIS B0601:1994の算術平均粗さをRax1、領域Pの表面のカットオフ値λcを0.08mmとした際のJIS B0601:1994の算術平均粗さをRay1、及び領域Pの表面のカットオフ値λcを0.8mmとした際のJIS B0601:1994の十点平均粗さをRzx1と定義した際に、Rax1、Ray1、及びRzx1が下記式(1)〜(3)を満たす。
0.050μm≦Rax1<0.140μm (1)
0.30≦(Rax1−Ray1)/Ray1 (2)
Rzx1/Rax1≦15.0 (3)
図1乃至図3は、本発明の加飾成形品の一実施形態を示す断面図である。図1の加飾成形品10は、樹脂成形体1上に保護層2が設けられている。保護層2は、凹凸を有する領域Pと、領域Pに隣接する領域Qとを有する。
また、図2に示すように、本発明の加飾成形品20は、樹脂成形体11と保護層12との間に、アンカー層13、印刷層14、接着層15が設けられていてもよい。
なお、領域P及び領域Qの位置は特に限定されず、図2に示すように領域Qの間または領域Qの内部に領域Pが配置されていてもよいし、図3に示すように、領域Pの間または領域Pの内部に領域Qが配置されていてもよい。領域Qは、凹凸部を有さず略平滑であってもよいし、領域Pと同様に凹凸部を有していてもよい。
以下、本発明の加飾成形品を構成する各層について具体的に説明する。
<保護層>
本発明の加飾成形品に用いる保護層は、領域Pにおいて、Rax1、Ray1、及びRzx1が上記式(1)〜(3)を満たすものである。
<式(1)>
式(1)は、領域Pの表面のカットオフ値λcを0.8mmとした際のJIS B0601:1994の算術平均粗さ(Rax1)が、0.050μm以上0.140μm未満であることを規定している。
Rax1が0.050μm未満で式(1)を満たさない場合、領域Pの表面に人及び背景が明瞭に映り込んでしまい、防眩性が不十分なものとなる。また、Rax1が0.140μm以上で式(1)を満たさない場合、加飾成形品を通して表示素子を視認する際に、表示素子の画像鮮明性が損なわれてしまう。また、Rax1が0.140μm以上で式(1)を満たさない場合、白化によりコントラストが低下しやすい。
Rax1は、0.055〜0.135μmであることが好ましく、0.060〜0.130μmであることがより好ましい。
<式(2)>
式(2)は、領域Pの表面のカットオフ値λcを0.8mmとした際のJIS B0601:1994の算術平均粗さ(Rax1)と、領域Pの表面のカットオフ値λcを0.08mmとした際のJIS B0601:1994の算術平均粗さ(Ray1)との関係を規定している。
カットオフ値λcは、高周波成分(粗さ成分)と、低周波成分(うねり成分)とから構成される断面曲線から、低周波成分をカットする度合いを示す値である。そのため、カットオフ値(基準長さ)を0.08mmとした場合、カットオフ値(基準長さ)を0.8mmとした場合よりも、粗さ曲線の低周波成分がカットされる度合いが大きくなる。つまり、Ray1の値は保護層の凹凸表面における高周波成分、(Rax1−Ray1)の値は保護層の凹凸表面における低周波成分とみなすことができる。このため、式(2)の「(Rax1−Ray1)/Ray1」は、凹凸表面の高周波成分に対する低周波成分の割合とみなすことができる。
(Rax1−Ray1)/Ray1が0.30未満の場合、保護層の凹凸表面の低周波成分が少なすぎること、言い換えると、保護層の凹凸表面の高周波成分が多すぎることとなる。この場合、保護層表面に高周波成分の多い凹凸が形成されるため、凹凸表面での光の拡散が強められ、白化が生じ、コントラストの低下を招いてしまう。
(Rax1−Ray1)/Ray1は、0.33以上であることが好ましく、0.35以上であることがより好ましい。
なお、(Rax1−Ray1)/Ray1が大きすぎると、保護層の凹凸表面の低周波成分が多すぎることとなる。この場合、略平滑である領域Qと領域Pとの区別がつきにくくなり、意匠性が低下しやすくなる。
このため、(Rax1−Ray1)/Ray1は0.82以下であることが好ましく、0.60以下であることがより好ましく、0.50以下であることがさらに好ましい。
<式(3)>
式(3)は、領域Pの表面のカットオフ値λcを0.8mmとした際のJIS B0601:1994の十点平均粗さ(Rzx1)と、前記Rax1との比[Rzx1/Rax1]が、15.0以下であることを規定している。
Rzx1/Rax1が15.0超では、保護層の凹凸のランダム性(バラツキ)が大きくなりすぎることとなる。この場合、保護層表面の凹凸のランダム性が大きすぎることにより、ギラツキを抑制することができない。
Rzx1/Rax1は、14.0以下であることが好ましく、12.0以下であることがより好ましく、10.0以下であることがさらに好ましい。
なお、Rzx1/Rax1を大きくすると、保護層の凹凸に一定のランダム性を付与することができ、保護層の欠陥を目立ちにくくすることができる。また、欠陥が目立ちにくいことは、加飾成形品の意匠性及び歩留まりの低下にもつながる。このため、Rzx1/Rax1は5.0以上であることが好ましく、6.0以上であることがより好ましく、7.0以上であることがさらに好ましい。
本明細書において、表面形状(Ra、Rz等)及び光学特性(へイズ、透過像鮮明度、全光線透過率)は、目視でゴミ及び傷等の異常点がない箇所から切り出したサンプルを用意し、欠陥や異常点がない任意の20箇所での測定値の平均値とする。
<その他の表面形状>
本発明の加飾成形品は、Rzx1が0.25〜5.00μmであることが好ましく、0.40〜2.50μmであることがより好ましく、0.50〜1.50μmであることがさらに好ましい。
Rzx1を0.25μm以上とすることにより、領域Pの凹凸がランダム性(バラツキ)を有することになり、領域Pに傷等の欠陥が生じた場合に、該欠陥を目立ちにくくすることができ、歩留まりを向上できる。
一方、Rzx1を5.00μm以下とすることにより、加飾成形品を通して表示素子を視認する際に、ギラツキを抑制するとともに、表示素子の画像鮮明性の低下を抑制しやすくできる。また、Rzx1を5.00μm以下とすることにより、白化を抑制しやすくできる。
本発明では、保護層の領域Qの表面は、凹凸部を有さず略平滑であってもよいし、領域Pと同様に凹凸部を有していてもよい。
本発明では、保護層の領域Qの表面のカットオフ値λcを0.8mmとした際のJIS B0601:1994の算術平均粗さをRax2と定義した際に、前記Rax1及び前記Rax2が下記式(4)を満たすことが好ましい。
Rax2<Rax1 (4)
Rax1及びRax2が上記式(4)を満たすことで、領域Pと領域Qとの区別が明瞭となり、加飾成形品の意匠性を良好にすることができる。
Rax1とRax2との差分(Rax1−Rax2)は、意匠性を向上させる観点から、0.005μm以上であることが好ましく、0.010μm以上であることがより好ましく、0.030μm以上であることがさらに好ましく、0.050μm以上であることがよりさらに好ましい。
Rax2は、領域Pとの区別を明瞭とし、意匠性を向上させる観点から、0.050μm未満であることが好ましい。
保護層は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層である。保護層は、転写層が転写シートから被転写物へと転写された後は、摩耗や光、薬品等から加飾成形品を保護する役割を有する。
保護層は硬化性樹脂組成物の硬化物を主成分として含むことが好ましい。主成分とは、保護層を構成する全固形分の50質量%以上を意味し、該割合は70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがよりさらに好ましい。
硬化性樹脂組成物の硬化物は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられ、これらの中でも電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。
また、保護層は熱可塑性樹脂を含有してもよいが、耐擦傷性を向上する観点から、その量は微量であることが好ましい。具体的には、保護層中の熱可塑性樹脂の含有量は5質量%未満であることが好ましく、1質量%未満であることがより好ましく、0.1質量%未満であることがさらに好ましく、0質量%であることがよりさらに好ましい。
保護層としての硬化性樹脂組成物は、保護層を形成する時点では半硬化の状態にしておき、被転写物に転写した後に、加熱、電離放射線の照射等により硬化性樹脂組成物の硬化を進行させ、完全硬化させてもよい。このようにすることにより、被転写物に対する転写シートの追従性が良好となるため、成形性を良好にすることができる。
保護層中には、有機粒子及び無機粒子等の粒子を含有してもよい。保護層中に粒子を含有することにより、樹脂成分との屈折率差による内部ヘイズの発現により、ギラツキや欠陥を目立ちにくくすることができる。これらの粒子は、同様の目的で、後述する接着層、アンカー層等に含有させてもよい。
一方、内部ヘイズは画像鮮明性を低下させやすい。このため、画像鮮明性を良好にする観点からは、保護層中に粒子を実質的に含有しないことが好ましい。実質的に含有しないとは、保護層の全固形分の1質量%以下を意味し、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、さらに好ましくは0質量%である。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル−スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、シリコーン、フッ素系樹脂及びポリエステル系樹脂等からなる粒子が挙げられる。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、アンチモン、ジルコニア及びチタニア等からなる粒子が挙げられる。
粒子の平均粒子径は、0.05〜5.0μmが好ましく、0.5〜3.0μmがより好ましい。
本明細書において、平均粒子径は、溶液中の該粒子を動的光散乱方法で測定し、粒子径分布を体積累積分布で表したときの50%粒子径(d50:メジアン径)である。50%粒子径は、例えば、Microtrac粒度分析計(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
粒子の含有量は、保護層の樹脂成分100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。
保護層の厚みは、表面硬度及び成形性のバランスの観点から、0.5〜30μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましく、3〜10μmであることがさらに好ましい。
<樹脂成形体>
樹脂成形体としては、射出成形可能な熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を用いることが好ましく、公知の様々な樹脂を用いることができる。
本発明の加飾成形品をインモールド成形により製造する場合には、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。このような熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂(耐熱ABS樹脂を含む)、AS樹脂、AN樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、およびポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。
本発明の加飾成形品は、樹脂成形体と保護層との間に、アンカー層、印刷層、接着層等の機能層を有していてもよい。
<アンカー層>
アンカー層は、インモールド成形等の高温環境に置かれる場合において、耐熱性を向上させるために設けられる層であり、硬化性樹脂を用いて形成される。硬化性樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることができる。電離放射線硬化性樹脂としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基、およびエポキシ基からなる群から選択される少なくとも1種の電離放射線硬化性官能基を有するポリマーを用いることができる。例えば、アクリル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、およびポリエーテル(メタ)アクリレートを挙げることができ、特にウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。熱硬化性樹脂としては、フェノールーホルムアルデヒド樹脂、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、アクリルポリオールをイソシアネートで硬化させた樹脂、ポリエステルポリオールをイソシアネートで硬化させた樹脂、およびアクリル酸をメラミンで硬化させた樹脂が挙げられる。
また、アンカー層は、アクリルポリオールとイソシアネートとを反応してなる樹脂を含むことが好ましい。アンカー層が、アクリルポリオールとイソシアネートとを反応してなる樹脂を含み、印刷層または接着層がアクリルポリオールを含むことで、印刷層または接着層の密着性を向上することができる。また、保護層の樹脂とアンカー層のアクリルポリオールとイソシアネートとを反応してなる樹脂との親和性により、保護層、アンカー層、および印刷層または接着層の各層間の密着性を向上させることができる。
さらに、アンカー層は、上記の樹脂に必要な添加剤を加えたものを適当な溶媒に溶解または分散させて調製したアンカー層用塗工液を、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、およびグラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により塗布・乾燥させて形成することができる。通常、アンカー層の厚みは、0.1〜6μmの範囲内であることが好ましく、1〜5μmの範囲内であることがより好ましい。
<印刷層>
印刷層は、加飾成形品に所望の意匠性を付与するための層であり、所望により設けられる層である。印刷層の絵柄は任意であるが、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字等からなる絵柄を挙げることができる。また、印刷層は、上記絵柄を表現する柄パターン層及び全面ベタ層を単独で又は組み合わせて設けることができ、全面ベタ層は、通常、隠蔽層、着色層、着色隠蔽層等として用いられる。
印刷層は、通常は、保護層上、あるいはアンカー層上に、ポリビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、セルロース系樹脂等の樹脂をバインダーとし、適当な色の顔料又は染料を着色剤として含有する印刷インキによる印刷を行うことで形成する。印刷方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写印刷、昇華転写印刷、インクジェット印刷等の公知の印刷法が挙げられる。
印刷層の厚みは、意匠性の観点から0.5〜40μmが好ましく、1〜30μmがより好ましい。
<接着層>
接着層は、樹脂成形体と保護層等他の層とを密着させるために形成される層である。この接着層には、樹脂成形体の素材に適した感熱性又は感圧性の樹脂を適宜使用する。例えば、樹脂成形体の材質がアクリル系樹脂の場合は、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。また、樹脂成形体の材質が変性ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂等を使用することが好ましい。さらに、樹脂成形体の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂を使用することが好ましい。
樹脂成形体を射出成形する場合には、接着層は感熱性(ヒートシール性)を有するものが好ましい。
上記の樹脂には、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等の添加剤を配合してもよい。
接着層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法等のコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の印刷法がある。なお、印刷層が樹脂成形体に対して充分な接着性を有する場合には、接着層を設けなくてもよい。
接着層の厚みは、通常0.1〜5μm程度が好ましい。
<光学特性>
本発明の加飾成形品の領域PのJIS K7361−1:1997に準拠した全光線透過率は、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがより好ましい。
また、本発明の加飾成形品の領域PのJIS K7136:2000に準拠したヘイズは、1〜40%であることが好ましく、2〜35%であることがより好ましく、3〜30%であることがさらに好ましい。
加飾成形品が、凹凸表面を有する領域Pと、領域Pに隣接する領域Qとを有する場合、領域Qの全光線透過率及びへイズは特に限定されない。すなわち、領域Qは実質的に隠蔽性を有し全光線透過率及びへイズが測定不能であってもよいし、所定の全光線透過率及びへイズを有していてもよい。また、領域Qは、隠蔽性を有する箇所と、所定の全光線透過率及びへイズを有する箇所とが混在していてもよい。
領域Pの面積Sと、領域Qの面積Sとの比[S/S]は、付与する意匠との関係で変化するため特に限定されないが、領域Pと領域Qとのコントラストを明りょうにする観点から、0.10≦S/Sの関係を満たすことが好ましい。また、加飾成形品の防眩性を良好にする観点から、S/S≦7.00の関係を満たすことが好ましい。また、加飾成形品の広範囲で防眩性等の諸性能を示すとともに、2つの領域の風合いの差を明りょうにするという観点から、0.10≦S/S≦1.00であることが好ましく、0.13≦S/S≦0.67であることがより好ましい。
[転写シート]
本発明の転写シートは、領域P’と、該領域P’に隣接する領域Q’とを有する基材と、該基材の領域P’上に設けられた凹凸形状を有する凹凸層と、該凹凸層の凹凸形状の上に形成された第一離型層と、基材の領域Q’上に設けられた第二離型層と、第一離型層と、第二離型層の上に形成された保護層とを有し、
第一離型層の表面のカットオフ値λcを0.8mmとした際のJIS B0601:1994の算術平均粗さをRax11、第一離型層の表面のカットオフ値λcを0.08mmとした際のJIS B0601:1994の算術平均粗さをRay11、及び第一離型層の表面のカットオフ値を0.8mmとした際のJIS B0601:1994の十点平均粗さをRzx11と定義した際に、Rax11、Ray11、及びRzx11が下記式(1)’〜(3)’を満たすものである。
0.050μm≦Rax11<0.140μm (1)’
0.30≦(Rax11−Ray11)/Ray11 (2)’
Rzx11/Rax11≦15.0 (3)’
図4乃至図6は、本発明の転写シートの一実施形態を示す断面図である。図4の転写シート40は、領域P’と、領域P’に隣接する領域Q’とを有する基材31を有する。基材31の領域P’上に凹凸形状を有する凹凸層32が設けられており、凹凸層32の凹凸形状の上に第一離型層33が設けられている。また、基材31の領域Q’上に第二離型層34が設けられている。さらに、第一離型層33と、第二離型層34の上に保護層35が設けられている。
また、図5に示すように、本発明の転写シート50は、基材41の領域Q’上に凹凸層42が形成されていてもよい。この場合、基材41の領域Q’上に形成された凹凸層42上に緩和層46が設けられ、該緩和層46上に第二離型層44が設けられる。また、保護層45上に、アンカー層47、印刷層48、接着層49が設けられていてもよい。このように、転写シート50は、基材41、凹凸層42、第一離型層43、第二離型層44、及び緩和層46を有する離型シートXと、保護層45、アンカー層47、印刷層48、及び接着層49を有する転写層Yとから構成される。
なお、領域P’及び領域Q’の位置は特に限定されず、図5に示すように領域Q’の間または領域Q’の内部に領域P’が配置されていてもよいし、図6に示すように、領域P’の間または領域P’の内部に領域Q’が配置されていてもよい。
以下、本発明の転写シートを構成する各層について具体的に説明する。
<基材>
本発明の転写シートに用いられる基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド系樹脂等によるものが利用される。これらのうち、重視する物性に応じて基材を適宜選定する。例えば、耐熱性重視の観点からはポリエチレンテレフタレート等が、湾曲形状等の被転写物表面形状追随性重視の観点からはナイロン等を用いることができる。
基材の厚みとしては、成形性や形状追従性、取り扱いが容易であるとの観点から、12〜150μmの範囲が好ましく、25〜100μmの範囲がより好ましい。
また、基材の表面には、凹凸層等との接着性を高めるために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理や、アンカー剤又はプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
<凹凸層>
凹凸層は、凹凸形状を有する層であり、基材の領域P’上に形成される。
凹凸層は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物等の樹脂成分を主成分として含むことが好ましい。なお、主成分とは、凹凸層を構成する全固形分の50質量%以上を意味し、該割合は70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
上記の樹脂成分の中でも、強度に優れるとともに、瞬時に硬化するため正確かつ精密な形状を付与できる電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好適である。また、電離放射線硬化性樹脂組成物による効果を得やすくする観点から、凹凸層を構成する全樹脂成分のうち、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を70質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましく、95質量%以上含むことがさらに好ましく、100質量%含むことがよりさらに好ましい。
凹凸層は、粒子及びバインダー樹脂を含む塗布液を塗布することにより形成してもよいが、正確にかつ精密な形状を形成する観点から、領域P’及び領域Q’と相補的な形状を有する版を用いた印刷により形成することが好ましい。凹凸層がその他の領域を有する場合、該版は、さらに、その他の領域と相補的な形状を有することが好ましい。また、離型シートが凹凸層上に離型層等のその他の層を有する場合、その他の層により凹凸が緩和されることを考慮した形状の版を用いればよい。版を用いた凹凸層の形成方法の詳細は後述する。
なお、凹凸層をコーティングにより形成する場合、塗布液に含まれる粒子が少なからず凝集しやすく、Rzx11/Rax11が大きくなることを抑制するための種々の対策が必要となり、工程が複雑化するため好ましくない。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましい。また、転写シートを製造する過程で凹凸層が傷つくことを抑制する観点からは、電離放射線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
また、多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性樹脂は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性樹脂が紫外線硬化性樹脂である場合には、凹凸層形成用塗布液は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
凹凸層の乾燥後の厚み(以下、凹凸層の厚みTと称する)は特に限定されないが、1〜15μmであることが好ましく、2〜12μmであることがより好ましい。なお、凹凸層の厚みTとは、凹凸層の基部から頂部までの厚みを指すものである。
凹凸層中には、離型シートと転写層との離型性を向上する観点から、粒子を実質的に含有しないことが好ましい。具体的には、凹凸層中の粒子の含有量は1質量%未満であることが好ましく、0.1質量%未満であることがより好ましく、0.01質量%未満であることがさらに好ましく、0質量%であることがよりさらに好ましい。
<第一離型層>
第一離型層は、基材及び凹凸層から転写層を容易に剥離すると共に、加飾成形品のコントラストを向上させるために設けられる層であり、上述の領域P’の上に形成される。したがって、第一離型層の表面形状は、凹凸層の凹凸形状に追随した形状、即ち、凹凸形状となる。
第一離型層の表面において、上記式(1)’〜 (3)’を満たすことにより、本発明の転写シートを用いて得られる加飾成形品の保護層が上記式(1)〜(3)を満たしやすくできる。
なお、高周波成分の凹凸は剥離を重くする傾向にある。このため、上記式(2)’を満たすことにより、保護層からその他の層(基材、凹凸層等)を剥離しやすくできる。
上記式(1)’〜 (3)’の好適な範囲は、上記式(1)〜(3)の好適な範囲と同様である。
凹凸層の厚みTと、第一離型層の乾燥後の厚みT(以下、第一離型層の厚みTと称する)との比[T/T]は、好ましくは0.2〜200、より好ましくは1.0〜100、更に好ましくは2.0〜50、より更に好ましくは3.0〜10である。
該比を0.2以上とすることで、低周波成分の凹凸を残存させ、低周波成分の凹凸による防眩性を付与しやすくすることができる。また、該比を200以下とすることで、高周波成分の凹凸を減らし加飾成形品のコントラストを向上することができる。また、該比を200以下とすることで、極端な高さ(深さ)の凹凸が減少し、ギラツキを抑制しやすくできる。
なお、凹凸層の厚みT及び第一離型層の厚みTは、例えば、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した断面の画像から20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出できる。STEMの加速電圧は10kv〜30kVとすることが好ましい。STEMの倍率は、測定膜厚がミクロンオーダーの場合は1,000〜7,000倍とすることが好ましく、測定膜厚がナノオーダーの場合は5万〜30万倍とすることが好ましい。
第一離型層は、保護層との接着力が低く、基材から転写層を容易に剥離し得る材料であれば特に限定されず、例えば、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル−メラミン系樹脂が含まれる。)、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、硝化綿等の熱可塑性樹脂、該熱可塑性樹脂を形成するモノマーの共重合体、あるいはこれらの樹脂を(メタ)アクリル酸やウレタンで変性したものを、単独で又は複数を混合した樹脂組成物を用いて形成することができる。
本発明では、特に、エステル基含有硬化性樹脂を用いて形成することが好ましい。エステル基含有硬化性樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることができる。電離放射線硬化性樹脂としては、側鎖にエステル基を有する電離放射線硬化性樹脂であればよく、側鎖にエステル基を有するアクリル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、およびポリエーテル(メタ)アクリレートが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、側鎖にエステル基および水酸基を有するポリマーとイソシアネートとを反応してなる樹脂であればよく、例えば、側鎖にエステル基および水酸基を有するアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、並びにフェノール樹脂とイソシアネートとを反応してなる樹脂を用いることでき、特にアクリルポリオールとイソシアネートとを反応してなる樹脂を用いることが好ましい。
第一離型層は、離型剤をさらに含んでもよい。離型剤としては、合成ワックスや天然ワッス等のワックス類が挙げられる。合成ワックスとしては、ポリエチレンワックスやポリプピレンワックス等のポリオレフィンワックスが好ましい。第一離型層は、離型剤を含むことで、離型性を向上させることができる。
第一離型層は、平均粒子径0.5μm以上のフィラーを含まないことが好ましく、平均粒子径0.2μm以上のフィラーを含まないことがより好ましい。第一離型層が平均粒子径0.5μm以上のフィラーを含まないことで第一離型層上の凹凸の高周波成分を減少させることができる。したがって、本発明の転写シートを用いて得られる加飾成形品は、その表面に第一離型層によって凹凸層の高周波成分の凹凸が緩和された凹凸形状(第一離型層の表面の凹凸形状)が形成されることにより、凹凸形状部分のコントラストが向上し、意匠性を高めることができる。また、凹凸形状部分のギラツキを抑制することができる。
第一離型層は、塗工液にチキソ性を付与するため、0.5μm未満のフィラーを添加してもよい。ただし、高周波成分の凹凸を少なくする観点から、該フィラーの平均粒子径は0.2μm未満であることが好ましく、その含有量は樹脂成分100質量部に対して10質量部以下であることが好ましい。
第一離型層は、第一離型層を構成する樹脂と適当な溶媒等を含む第一離型層用塗工液を調製し、これを凹凸層の凹凸形状の上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、スリットリバース法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により塗布、乾燥して形成することができる。
第一離型層の厚みTは、好ましくは0.05〜10μm、より好ましくは0.1〜5μmである。
<第二離型層>
第二離型層は、基材及び緩和層から転写層を容易に剥離するために設けられる層であり、基材の領域Q’上に設けられる。
本発明では、第二離型層の領域Q’の表面は、凹凸部を有さず略平滑であってもよいし、領域P’と同様に凹凸部を有していてもよい。
本発明では、第二離型層の領域Q’の表面のカットオフ値λcを0.8mmとした際のJIS B0601:1994の算術平均粗さをRax22と定義した際に、前記Rax11及び前記Rax22が下記式(4)’を満たすことが好ましい。
Rax22<Rax11 (4)’
Rax11及びRax22が式(4)’を満たすことで、領域P’と領域Q’との区別が明瞭となり、加飾成形品の意匠性を良好にすることができる。
また、式(4)’を満たし、かつ上記式(3)’を満たすことにより、領域P’の剥離強度と領域Q’の剥離強度との差が大きくなることを抑制し、離型シートを剥離する際にスジ状のパターンが生じることを抑制しやすくできる。
Rax11とRax22との差分(Rax11−Rax22)は、意匠性を向上させる観点から、0.005μm以上であることが好ましく、0.010μm以上であることがより好ましく、0.030μm以上であることがさらに好ましく、0.050μm以上であることがよりさらに好ましい。
Rax22は、領域P’との区別を明瞭とし、意匠性を向上させる観点から、0.050μm未満であることが好ましい。
第二離型層は、保護層との接着力が低く、基材から転写層を容易に剥離し得る材料であれば特に限定されず、例えば、第一離型層の項で例示した樹脂を用いて形成することができ、上記第一離型層に用いられる樹脂組成物と同じであってもよく、異なっていてもよい。
第二離型層は、平均粒子径0.5μm以上のフィラーを含まないことが好ましく、平均粒子径0.2μm以上のフィラーを含まないことがより好ましい。第二離型層が平均粒子径0.5μm以上のフィラーを含まないことで、該第二離型層の表面の平滑性が向上し、それによって、第二離型層上に設けた保護層の面の平滑性を向上させることができる。その結果、保護層を備える転写層が被転写体(樹脂成形体)に転写された時、加飾成形品の表面に保護層の平滑な面が形成されるため、凹凸層及び第一離型層により形成される凹凸形状と異なる風合いを表現できる。
第二離型層は、塗工液にチキソ性を付与するため、0.5μm未満のフィラーを添加してもよい。ただし、高周波成分の凹凸を少なくする観点から、該フィラーの平均粒子径は0.2μm未満であることが好ましく、その含有量は樹脂成分100質量部に対して10質量部以下であることが好ましい。
第二離型層は、上述の樹脂と適当な溶媒等を含む第二離型層用塗工液を調製し、これを基材上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、スリットリバース法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により塗布、乾燥して形成することができる。
基材の領域Q’上に凹凸層を有さない場合、並びに基材の領域Q’上に凹凸層及び緩和層を有する場合の第二離型層の乾燥後の厚みT(以下、第二離型層の厚みTと称する)は、好ましくは0.05〜10μm、より好ましくは0.1〜5μmである。一方、基材の領域Q’上に凹凸層を有し、緩和層を有さない場合の第二離型層の厚みTは、好ましくは0.05〜10μm、より好ましくは0.1〜5μmである。
<緩和層>
本発明の転写シートは、基材の領域Q’上に凹凸層を形成した場合には、該凹凸層の凹凸形状をより滑らかにするために、該凹凸層と第二離型層との間に、さらに緩和層を設けることが好ましい。
緩和層は、ポリビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、セルロース系樹脂等の樹脂のみから形成してもよいし、これらの樹脂をバインダーとし、適当な色の顔料又は染料を着色剤として含有する着色インキにより形成してもよい。緩和層が着色剤を含むことで、転写層に図柄を印刷する場合の位置あわせ、及び被転写体(樹脂成形体)との位置あわせをするためのマーカーを、緩和層形成と同時に形成することができる。この場合、色とは、人の感じられる色に限らず、赤外線等、機械的に検知できる色を含む。中でも緩和層は、光電管の光源の種類によらず確実に検出される観点から黒色が好ましい。印刷方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写印刷、昇華転写印刷、インクジェット印刷等の公知の印刷法が挙げられる。なお、第二離型層に着色剤を含有させず、緩和層に着色剤を含有させることにより、第二離型層の表面に着色剤に起因する凹凸を形成させにくくできるとともに、第二離型層と保護層との剥離性を良好にしやすくできる。
緩和層の厚みは、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。着色剤の平均粒径は5nm〜500nmであることが、凹凸を緩和させる観点から好ましい。ここで、平均粒子径は、溶液中の該着色剤を動的光散乱方法で測定し、粒子径分布を累積分布で表したときの50%粒子径(d50:メジアン径)であり、Microtrac粒度分析計(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
基材の領域Q’上に凹凸層を形成する場合の凹凸層の厚みと凹凸層上に存在する離型シートを構成する層の厚みの合計との比[凹凸層の厚み/凹凸層上に存在する離型シートを構成する層の厚みの合計]は、好ましくは0.01〜70であり、より好ましくは0.1〜15である。
本発明の転写シートは、保護層の基材とは反対側の面上に、さらに、アンカー層、印刷層、接着層等の機能層を有していてもよい。アンカー層、印刷層、及び接着層の材料等は「加飾成形品」の項で説明したとおりである。
[加飾成形品の製造方法]
本発明の加飾成形品の製造方法は、下記工程(1)、(2)を順に行うものである。
(1)上述した本発明の転写シートの離型シート(基材、凹凸層、第一離型層、及び第二離形層)を基準とした保護層側の面と、被転写体(樹脂成形体)とを密着させた積層体を得る工程と、
(2)上記積層体から転写シートの離型シートを剥離する工程。
加飾成形品の製造方法には、公知の転写法を用いることができる。例えば、(i)予め成形された被転写体(樹脂成形体)に転写シートを貼着し、該転写シートの転写層を転写した後、該転写シートの離型シートを剥離する方法、(ii)平板状の被転写体(樹脂成形体)に転写シートを貼着し、該転写シートの転写層を転写した後、該転写シートの離型シートを剥離し、その後、樹脂成形体に転写層が積層された積層体に曲加工を行う方法、(iii)被転写体(樹脂成形体)を射出成形する際に転写シートと一体化させ、その後、転写シートの離型シートを剥離する方法〔インモールド成形(射出成形同時転写加飾法)〕等が挙げられる。中でも、インモールド成形(射出成形同時転写加飾法)によれば、三次元曲面等の複雑な表面形状を有する樹脂成形体に加飾成形することができる。
インモールド成形による本発明の転写シートを用いる加飾成形品の製造方法の一実施態様としては、
(a)上記の転写シートの転写層側をインモールド成形用金型の内側に向けて配置する工程と、
(b)上記インモールド成形用金型内に樹脂を射出注入する工程と、
(c)上記転写シートと、上記樹脂とを一体化させて、被転写体(樹脂成形体)の表面上に上記転写シートの転写層を転写する工程と、
(d)被転写体(樹脂成形体)を金型から取り出した後、上記転写シートの離型シートを剥離する工程と、を有するものが挙げられる。
このような製造工程により加飾成形品を製造することで、樹脂成形体の表面に複雑な意匠を表現することができる。
<離型シートの製造方法>
領域P’及び領域Q’を有する離型シートは、例えば、以下の(A1)〜(A2)の工程により製造できる。
(A1)基材上に、電離放射線硬化性樹脂組成物を含む凹凸層形成用塗布液を塗布し、電離放射線硬化性樹脂組成物を含む層を形成する工程。
(A2)領域P’及び領域Q’と相補的な形状を有する版を用いて、未硬化の凹凸層を賦形すると同時に、電離放射線を照射して、賦形した凹凸層を硬化させる工程。
電離放射線硬化性樹脂組成物が溶剤を含む場合、(A1)工程で溶剤を乾燥させることが好ましい。
離型シートが離型層(第一離型層、第二離形層)を有する場合、(A2)工程の後に、(A3)凹凸層上に離型層を形成する工程、を行えばよい。
離型シートがその他の領域を有する場合、(A2)工程の版として、領域P’、領域Q’及びその他の領域と相補的な形状を有する版を用いればよい。
(A2)工程で使用する版は、例えば、エッチング、サンドブラスト、切削及びレーザー加工、あるいはこれらの組み合わせによって、シリンダーの表面を所望の形状に彫刻することにより得ることができる。あるいは、レーザー彫刻、光造形等によって長尺の雄型の版(領域P’及び領域Q’と同一の形状を有する版)を作製し、これを反転したものをシリンダーの表面に巻き付けることによって得ることができる。
(A2)工程で使用する版の表面は、ニッケル、クロム等でメッキ処理することが好ましく、硬質クロムメッキ処理することがより好ましい。
上記の版の作製手段の中でも、凹凸のランダム性の指標であるRzx11/Rax11を制御しやすいという観点から、サンドブラストが好適である。
サンドブラストでは、例えば、シリンダー表面の材質、研磨材の粒子径、研磨材の材質、シリンダーへの研磨材の衝突回数、噴射ノズルとシリンダーとの距離、噴射ノズルの直径、被加工物に対する噴射ノズルの角度、噴射圧、噴射周波数等を制御することにより、凹凸形状を調整できる。凹凸を平均化に近づけるための回数はサンドブラストの条件によって異なるが、実施例のサンドブラスト条件であれば、シリンダー表面の同一箇所に対して、3〜8回程度のサンドブラスト処理を行うことが好ましい。
上述した制御手段の中でも、「Rzx11/Rax11」の制御には、「シリンダーへの研磨材の衝突回数」が最も簡易かつ有効である。すなわち、シリンダー表面への研磨材の衝突回数が少ないと「Rzx11/Rax11」は大きくなり、低周波割合を示す「(Rax11−Ray11)/Ray11」は小さくなる傾向にある。また、シリンダー表面への研磨材の衝突回数が多くなるにつれて「Rzx11/Rax11」小さくなり、低周波割合を示す「(Rax11−Ray11)/Ray11」が大きくなる傾向にある。ただし、衝突回数を増やして「Rzx11/Rax11」が小さくなるといっても限度があり、「Rzx11/Rax11」の減少は徐々に飽和に向かう。
また、シリンダー表面の材質を硬くすると、研磨材によってシリンダーが深く削られにくくなるため、「Rzx11/Rax11」が小さくなる傾向にある。
また、研磨材の粒子径が大きいと凹凸が平均化され、「Rzx11/Rax11」が小さくなる傾向にある。また、研磨材の形状が球形であると特異的な凹凸が形成されにくくなり、凹凸が平均化され、「Rzx11/Rax11」が小さくなる傾向にある。
また、噴射ノズルとシリンダーとの距離を短くすると、Rax11及びRzx11はともに大きくなる傾向にあり、かつ増加率も同程度である。つまり、噴射ノズルとシリンダーとの距離を変動させても「Rzx11/Rax11」は概ね同じ値を示す傾向にある。
また、噴射圧を大きくすると、Rax11及びRzx11はともに大きくなる傾向にあり、かつ増加率も同程度である。つまり、噴射圧を変動させても「Rzx11/Rax11」は概ね同じ値を示す傾向にある。
以上のことから、式(1)〜(3)を満たすためには、研磨材として球形で大きなものを用い、シリンダー表面への研磨材の衝突回数を多めに設定し、噴射圧を低めに設定することが好ましい。
なお、凹凸層上に離型層等のその他の層を形成する場合、凹凸層の表面凹凸よりも転写シートの表面凹凸が緩和されることとなる。したがって、凹凸層上にその他の層を形成する場合、(A2)工程で使用する版は、凹凸が緩和されることを考慮した形状の版を用いればよい。
例えば、凹凸層上に厚み0.4μmの離型層を形成する場合、離型層表面のRa及びRzは保護層表面の6割程度の大きさとなり、凹凸層上に厚み0.8μmの離型層を形成する場合、離型層表面のRa及びRzは凹凸層表面の5割程度の大きさとなり、凹凸層上に厚み1.3μmの離型層を形成する場合、離型層表面のRa及びRzは凹凸層表面の4割程度の大きさとなる。前述の割合は目安であり、離型層塗布液の粘度等の条件によって若干変化する。
なお、凹凸層上にその他の層を形成した際のRa及びRzの減少率は概ね同じである。このため、凹凸層表面のRz/Raと、その他の層上のRz/Raとは概ね同じ値となる。したがって、Rzx11/Rax11の値に関しては、型の形状で概ね調整できる。
また、領域P’及び領域Q’を有する離型シートは、例えば、以下の(B1)〜(B2)工程によっても製造できる。
(B1)領域P’及び領域Q’と相補的な形状を有する版に、凹凸層形成用塗布液を充填する工程。
(B2)版に充填した凹凸層形成用塗布液を基材上に転写し、必要に応じて乾燥及び硬化して、凹凸層を形成する工程。
正確かつ精密な形状を形成する観点からは、上述した(A1)〜(A2)工程が好適である。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、表示素子と、表示素子の光出射面側に配置された前面板とを有する画像表示装置であって、前記前面板として、上述した本発明の加飾成形品の保護層側の面が前記表示素子と反対側を向くように配置してなるものである。言い換えると、本発明の画像表示装置は、加飾成形品の保護層を基準とした樹脂成形体側と、表示素子の光出射側とが対向するように配置してなるものである。
表示素子としては、液晶表示素子、EL表示素子(有機EL表示素子、無機EL表示素子)、プラズマ表示素子等が挙げられ、さらには、マイクロLED表示素子等のLED表示素子が挙げられる。なお、液晶表示素子は、タッチパネル機能を素子内に備えたインセルタッチパネル液晶表示素子であってもよい。
表示装置の表示素子が液晶表示素子である場合、液晶表示素子の樹脂シートとは反対側の面にはバックライトが必要である。
また、本発明の画像表示装置は、タッチパネル付きの画像表示装置であってもよい。
タッチパネルとしては、抵抗膜式、静電容量式、電磁誘導式、赤外線式、超音波式等の方式が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、実施例に記載の形態に限定されるものではない。
1.版の作製
1−1.版Aの作製
厚み200μmの硬質銅からなる金属層を表面に有するシリンダーを準備した。次いで、加工部以外をマスキングして、該シリンダーを回転しながら、表面凹凸が平均化に近づくまで、該シリンダーの非マスキング箇所の表面を下記条件で繰り返しサンドブラスト処理して、中心部に領域P’、周辺部に領域Q’が配置されてなる版Aを作製した。
[サンドブラスト条件]
・シリンダーの直径:300mm
・研磨粒子:平均粒子径83μmのガラスビーズ
・噴射ノズルの直径:9mm
・被加工物に対する噴射ノズルの角度:垂直
・噴射ノズルと被加工物の距離:400mm
・噴射圧:0.17MPa
・ポンプ周波数:90Hz
1−2.版B〜Dの作製
サンドブラスト条件(噴射圧)を表1の条件に変更した以外は、版Aと同様にして版B〜Fを作製した。
2.転写シートの作製
[実施例1]
厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(基材)の易接着処理面上に、下記処方の凹凸層形成用塗布液を塗布、乾燥し、未硬化の凹凸を形成した。
<凹凸層形成用塗布液>
・ウレタンアクリレート 60質量部
・メチルエチルケトン 40質量部
・シリコーン系レベリング剤 0.5質量部
次いで、上記「1」で作製した版Aを用いて、未硬化の凹凸を賦形すると同時に、ポリエチレンテレフタレートフィルム側から電離放射線を照射して、賦形した凹凸を硬化させ、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に凹凸層を形成した。凹凸層の乾燥後の厚みTを明細書本文に記載の手法により測定したところ、5.0μmであった。
次いで、凹凸層上に、下記処方の離型層形成用塗布液を全面に塗布、乾燥、硬化して離型層を形成し、実施例1で用いる離型シートを得た。離型シートは、中心部に領域P’、周辺部に領域Q’が配置された構成であった。領域P’上の第一離型層の厚みを明細書本文に記載の手法により測定したところ、0.7μmであった。
<離型層形成用塗布液>
・アクリルポリオール 70質量部
・イソシアネート 25質量部
・酢酸エチル 161質量部
・メチルイソブチルケトン 56質量部
次いで、離型シートの離型層上に、下記処方の保護層形成用塗布液を乾燥後の付着量が6.5g/m(6.0μm)となるように塗布し、塗膜を形成した後、フュージョンUVランプシステムを用いて光源をHバルブ、搬送速度20m/min、出力40%の条件で照射し、保護層を半硬化させた。このときの積算光量を、アイグラフィックス社製の照度計(商品名:UVPF−A1)により測定したところ、15mJ/mであった。
<保護層形成用塗布液>
・ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂組成物 100質量部
(固形分35質量%、トルエン/酢酸エチル混合溶剤)
次いで、保護層上に下記処方のアンカー層形成用塗布液を乾燥後の付着量が3.0g/mとなるように塗布、乾燥し、塗膜を形成した後、40℃で72時間エージングし、硬化させ、厚さ2μmのアンカー層を形成した。
<アンカー層形成用塗布液>
・アクリルポリオール 100質量部
(固形分25質量%)
(トルエン/酢酸エチル/メチルエチルケトン混合溶剤)
・キサンメチレンジイソシアネート 10質量部
(固形分75質量%、溶剤:酢酸エチル)
次いで、アンカー層上に下記処方の接着剤層形成用塗布液を乾燥後の付着量が2.5g/mとなるように塗布し、塗膜を形成した。該塗膜を乾燥し、厚み2μmの接着剤層を形成し、実施例1の転写シートを得た。
<接着剤層用塗布液>
・アクリル系樹脂 100質量部
(固形分20質量%)
(酢酸エチル/酢酸−n−プロピル/メチルエチルケトン混合溶剤)
・メチルエチルケトン 40質量部
被転写体(樹脂成形体)である透明アクリルシート(クラレ社製、商品名:コモグラスDK3、厚み2mm)上に、接着剤層側の面が被転写体側を向くようにして転写シートを重ね合わせ、転写シートの支持体側から加熱圧着し、被転写体と転写シートとを密着し、積層した。次いで、積層体から転写シートの離型シートを分離(剥離)した後、紫外線照射(大気中、Hバルブ、800mJ/cm)して保護層を完全に硬化させ、実施例1の加飾成形品を得た。
[実施例2〜3、比較例1〜6]
版及び第一離型層の厚みを表2の条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜3、比較例1〜6の転写シートを得た。また、実施例1の転写シートを実施例2〜3、比較例1〜6の転写シートに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜3、比較例1〜6の加飾成形品を得た。
[比較例7]
厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(基材)上に、下記処方のマット層形成用塗布液を乾燥後の厚みが2.5μmとなるように塗布し、塗膜を形成した後、塗膜上に、領域Pに対応する開口部を有する離型性を有する平滑フィルムを貼り合わせた。該平滑フィルムを貼り合わせた状態で、室温(25℃)で72時間エージングし、マット層をプレ硬化させた積層体Aを得た。積層体Aを40℃で96時間エージングし、マット層を完全に硬化させた後、平滑フィルムを剥離して、比較例7の離型シートを得た。該離型シートの表面は、凹凸面である領域P’と、領域P’を囲む略平滑な領域Q’を有するものであった。
次いで、実施例1の離型シートを比較例7の離型シートに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例7の転写シート及び加飾成形品を得た。
<マット層用塗布液>
・アクリルポリオール 40質量部
(固形分50質量%)
・フィラー 4質量部
(メラミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子、平均粒子径1.2μm)
・イソシアネート 14質量部
(固形分:75%)
・酢酸エチル 40質量部
[比較例8]
比較例7で得られた積層体Aの平滑フィルムを剥離し、該剥離面上に、上記処方の離型層用塗布液を乾燥後の厚みが0.5μmとなるように塗布した後、40℃で96時間エージングし、硬化させ、プレ硬化のマット層を完全に硬化させると共に、離型層を形成し、比較例8で用いる離型シートを得た。
次いで、実施例1の離型シートを比較例8の離型シートに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例8の転写シート及び加飾成形品を得た。
3.測定、評価
実施例及び比較例で得られた加飾成形品について以下の評価、測定を行った。結果を表1に示す。
3−1.表面形状の測定
3−1−1.カットオフ値0.8mmによる測定
表面粗さ測定器(型番:SE−3400/小坂研究所株式会社製)を用いて、下記の測定条件により、実施例及び比較例で作製した加飾成形品の保護層の領域P(転写シートの領域P’に対応する部分)の表面について、JIS B0601:1994のRax1及びRzx1を測定した。また、同様に、領域Q(転写シートの領域Q’に対応する部分)の表面について、JIS B0601:1994のRax2を測定した。
[表面粗さ検出部の触針]
小坂研究所社製の商品名SE2555N(先端曲率半径:2μm、頂角:90度、材質:ダイヤモンド)
[表面粗さ測定器の測定条件]
・基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):0.8mm
・評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):4.0mm
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・予備長さ:(カットオフ値λc)×2
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
3−1−2.カットオフ値0.08mmによる測定
表面粗さ測定器(型番:SE−3400/小坂研究所株式会社製)を用いて、下記の測定条件により、実施例及び比較例で作製した加飾成形品の保護層の領域P(転写シートの領域P’に対応する部分)の表面について、JIS B0601:1994のRay1を測定した。
[表面粗さ検出部の触針]
小坂研究所社製の商品名SE2555N(先端曲率半径:2μm、頂角:90度、材質:ダイヤモンド)
[表面粗さ測定器の測定条件]
・基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):0.08mm
・評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):0.4mm
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・予備長さ:(カットオフ値λc)×2
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
3−1−3.測定値に基づく算出値
上記表面形状の測定値に基づき、(Rax1−Ray1)/Ray1及びRzx1/Rax1を算出した。
3−2.防眩性
実施例及び比較例で得られた加飾成形品の樹脂成形体側の面(透明アクリルシート側の面)に透明粘着剤を介して黒色板を貼り合わせたサンプル(横180mm、縦100mm)を作製した。該サンプルを水平面に置き、該サンプルから1.5m上方に蛍光灯を配置し、該サンプル上の照度が800〜1200Lxとした環境下で、様々な角度から観察し、下記基準で評価した。
A:凹凸領域に蛍光灯の像は映り込むが、蛍光灯の輪郭がぼやけ、輪郭の境界部が認識できない。
C:凹凸領域に蛍光灯の像が鏡面のように映り込み、蛍光灯の輪郭(輪郭の境界部)がはっきりと認識できる。
3−3.ギラツキ
実施例及び比較例で得られた加飾成形品の透明アクリルシート側の面を画像表示装置(Apple社製の商品名iPad(登録商標) Air、解像度:264ppi)の表面に配置し、画面を緑表示として、輝点が目立つか否かを目視で評価した。評価の環境は、蛍光灯を備えた室内の明室環境下(画像表示装置の電源をOFFにした状態での加飾成形品上の照度が800〜1200Lxとした環境)とした。
領域P及び領域Qについて、正面から目視により観察し、微細な輝度のばらつきが気にならなかったものを3点、どちらとも言えないものを2点、微細な輝度のばらつきが気になったものを1点として、20人の被験者が評価を行い、平均点を算出した。
<評価基準>
A:平均点が2.5以上
B:平均点が1.5以上2.5未満
C:平均点が1.5未満
3−4.コントラスト
実施例及び比較例で得られた加飾成形品の透明アクリルシート側の面を、画像が印刷された黒色アクリル樹脂板の印刷面上に貼り合わせたサンプルを作製した。蛍光灯を備えた明るい室内(サンプル上の照度が800〜1200Lx)で、サンプルの領域P上の凹凸部分を目視で観察し、印刷画像と黒色の背景とのコントラストが良好なものを3点、どちらとも言えないものを2点、印刷画像と黒色の背景とのコントラストが悪いものを1点として、20人の被験者が評価を行い、平均点を算出した。
<評価基準>
AA:平均点が2.7以上
A:平均点が2.5以上2.7未満
B:平均点が1.5以上2.5未満
C:平均点が1.5未満
3−5.画像鮮明性
実施例及び比較例で得られた加飾成形品の透明アクリルシート側の面を画像表示装置(Apple社製の商品名iPad(登録商標) Air、解像度:264ppi)の表面に配置し、動画を表示し、領域Pを通して視認される動画の視認性を評価した。評価の環境は蛍光灯を備えた明室環境下(画像表示装置の電源をOFFにした状態での加飾成形品上の照度が800〜1200Lxとした環境)とした。
鮮明な映像で動作に迫力を感じたものを3点、どちらとも言えないものを2点、映像の鮮明性が不十分で動作の迫力も不十分と感じたものを1点として、20人の被験者が評価を行い、平均点を算出した。
<評価基準>
A:平均点が2.5以上
B:平均点が1.5以上2.5未満
C:平均点が1.5未満
3−6.意匠性
実施例及び比較例で得られた加飾成形品を保護層側から目視で観察し、意匠性を評価した。目視観察の環境は、蛍光灯を備えた明るい室内(保護層上の照度が800〜1200Lx)とした。意匠性の評価ポイントは、「領域Pと領域Qとのコントラストが明瞭なであること(2つの領域の区別が明瞭であること)」及び「白化のないこと」の2つとした。総合的に意匠性が良好であるものを3点、どちらとも言えないものを2点、総合的に意匠性が良好とはいえないものを1点として、20人の被験者が評価を行い、平均点を算出した。
<評価基準>
A:平均点が2.5以上
B:平均点が1.5以上2.5未満
C:平均点が1.5未満
表1の結果から、式(1)〜(3)を満たす実施例1〜3の転写シートは、ギラツキを抑制するとともに、防眩性、コントラスト及び画像鮮明性に優れることが確認できる。
本発明の加飾成形品は、携帯電話等の通信機器、自動車内部の情報機器、家電製品等の分野において好適に用いることができる。特に、コントラストが良好であると共に表面のギラツキが抑制されるため、携帯電話等の通信機器、自動車内部の情報機器等のディスプレイに好適に用いることができる。
10、20、30 加飾成形品
40、50、60 転写シート
1、11、21 樹脂成形体
2、12、22、35、45、55 保護層
13、23、47、57 アンカー層
14、24、48、58 印刷層
15、25、49、59 接着層
31、41、51 基材
32、42、52 凹凸層
33、43、53 第一離型層
34、44、54 第二離型層
46、56 緩和層
P 保護層の領域P
Q 保護層の領域Q
P’ 基材の領域P’
Q’ 基材の領域Q’
X 離型シート
Y 転写層

Claims (6)

  1. 樹脂成形体上に保護層が設けられた加飾成形品であって、
    前記保護層は、凹凸を有する領域Pと、前記領域Pに隣接する領域Qとを有し、
    前記領域Pの表面のカットオフ値λcを0.8mmとした際のJIS B0601:1994の算術平均粗さをRax1、前記領域Pの表面のカットオフ値λcを0.08mmとした際のJIS B0601:1994の算術平均粗さをRay1、及び前記領域Pの表面のカットオフ値λcを0.8mmとした際のJIS B0601:1994の十点平均粗さをRzx1と定義した際に、Rax1、Ray1、及びRzx1が下記式(1)〜(3)を満たす、加飾成形品。
    0.050μm≦Rax1<0.140μm (1)
    0.30≦(Rax1−Ray1)/Ray1 (2)
    Rzx1/Rax1≦15.0 (3)
  2. 前記領域Qの表面のカットオフ値λcを0.8mmとした際のJIS B0601:1994の算術平均粗さをRax2と定義した際に、前記Rax1及び前記Rax2が下記式(4)を満たす、請求項1に記載の加飾成形品。
    Rax2<Rax1 (4)
  3. 領域P’と、前記領域P’に隣接する領域Q’とを有する基材と、
    前記基材の領域P’上に設けられた凹凸形状を有する凹凸層と、
    前記凹凸層の前記凹凸形状の上に形成された第一離型層と、
    前記基材の領域Q’上に設けられた第二離型層と、
    前記第一離型層と、前記第二離型層の上に形成された保護層とを有し、
    前記第一離型層の表面のカットオフ値λcを0.8mmとした際のJIS B0601:1994の算術平均粗さをRax11、前記第一離型層の表面のカットオフ値λcを0.08mmとした際のJIS B0601:1994の算術平均粗さをRay11、及び前記第一離型層の表面のカットオフ値を0.8mmとした際のJIS B0601:1994の十点平均粗さをRzx11と定義した際に、Rax11、Ray11、及びRzx11が下記式(1)’〜(3)’を満たす、転写シート。
    0.050μm≦Rax11<0.140μm (1)’
    0.30≦(Rax11−Ray11)/Ray11 (2)’
    Rzx11/Rax11≦15.0 (3)’
  4. 前記第二離型層の表面のカットオフ値λcを0.8mmとした際のJIS B0601:1994の算術平均粗さをRax22と定義した際に、前記Rax11及び前記Rax22が下記式(4)’を満たす、請求項3に記載の転写シート。
    Rax22<Rax11 (4)’
  5. 請求項3又は4に記載の転写シートの保護層を樹脂成形体に転写する工程と、
    前記転写シートの前記第一離型層及び前記第二離型層を剥離する工程と、
    を有する、加飾成形品の製造方法。
  6. 表示素子と、表示素子の光出射面側に配置された前面板とを有する画像表示装置であって、前記前面板として、請求項1又は2に記載の加飾成形品の保護層側の面が前記表示素子と反対側を向くように配置してなる、画像表示装置。
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