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JP2020097764A - 成膜装置、及びそれを用いた金属膜の形成方法 - Google Patents

成膜装置、及びそれを用いた金属膜の形成方法 Download PDF

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JP2020097764A JP2018236058A JP2018236058A JP2020097764A JP 2020097764 A JP2020097764 A JP 2020097764A JP 2018236058 A JP2018236058 A JP 2018236058A JP 2018236058 A JP2018236058 A JP 2018236058A JP 2020097764 A JP2020097764 A JP 2020097764A
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浩文 飯坂
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Abstract

【課題】高い電流効率で金属膜を形成可能な成膜装置、及びそれを用いた金属膜の形成方法を提供する。
【解決手段】金属の膜を形成するための成膜装置100は、陽極20と、陰極30と、前記陽極20と前記陰極30の間に、前記陰極30と接触可能に設けられた多孔膜60と、前記陽極20と前記多孔膜60の間に溶液収容空間55を画成する溶液収容部50と、前記陽極20と前記陰極30の間に電圧を印加する電源部40とを有し、前記多孔膜60はイオン交換性官能基を有さないポリオレフィン鎖から構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属膜を形成するための成膜装置、及びそれを用いた金属膜の形成方法に関する。
従来、スズ、ニッケル等の金属膜の成膜方法として、メッキ法が広く使用されてきた。しかし、メッキ法は、メッキ処理後の水洗が必要であり、廃液を処理する必要があった。そこで、特許文献1において、金属被膜の成膜方法として、固相電析法(SED)と呼ばれる手法が記載されている。特許文献1に記載の固相電析法では、陽極と陰極(基板)の間に固体電解質膜を配置し、陽極と固体電解質膜の間に金属イオンを含む水溶液を配し、固体電解質膜を基板に接触させ、陽極と陰極の間に電圧を印加することで金属イオンを基板上に析出させ、金属被膜を基板の表面に成膜する。
また特許文献2には、電気めっきセルにおいて陰極を陽極室から隔離するための隔膜として、カルボン酸基又はその誘導体を導入する改質処理が施されたものを用いることが記載されている。
特開2016−169399号公報 特開2015−218366号公報
特許文献1に記載の固体電解質膜及び特許文献2に記載の隔膜は、イオン交換性の官能基を有している。本発明者の検討によれば、このような膜を用いた固相電析法では、電流効率が低いという問題がある。
そこで本発明は、高い電流効率で、言い換えると、高成膜速度で金属膜を形成可能な成膜装置、及びそれを用いた金属膜の形成方法を提供することを目的とする。
本発明の第一の態様に従えば、金属膜を形成するための成膜装置であって、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極の間に、前記陰極と接触可能に設けられた多孔膜と、前記陽極と前記多孔膜の間に溶液収容空間を画成する溶液収容部と、前記陽極と前記陰極の間に電圧を印加する電源部とを有し、前記多孔膜がイオン交換性官能基を有さないポリオレフィン鎖から構成される、成膜装置が提供される。
本発明の第二の態様に従えば、金属の膜の形成方法であって、第一の態様の成膜装置において、前記金属のイオンを含む電解液で溶液収容空間が満たされ、多孔膜と陰極が接触した状態で、陽極と陰極の間に電圧を印加することを含む、方法が提供される。
本発明の成膜装置で用いられる多孔膜は、イオン交換性官能基を有さないため、金属イオンが膜中でトラップされることなく多孔膜内を通過することができる。そのため、高い電流効率で金属膜を形成できる。
図1は、成膜装置の一例を模式的に示す断面図である。 図2は、金属膜形成方法のフローチャートである。 図3は、ニッケル成膜における空孔径と電流効率の関係を示すグラフである。
<成膜装置>
図1に示すように、実施形態に係る成膜装置100は、陽極20と、陰極30と、多孔膜60と、溶液収容空間55を画成する溶液収容部50と、陽極20と陰極30の間に電圧を印加する電源部40とを有する。溶液収容空間55は、金属イオンを含む電解液Lを収容するための空間である。
(1)陽極20
陽極20は、金属イオンを含む電解液Lに対する耐食性、及び電極として機能可能な導電率を有する。例えば、陽極20は、電解液L中の金属の標準酸化還元電位(標準電極電位)より高い標準酸化還元電位を有する金属(例えば、金)、又は電解液L中の金属と同じ金属から構成されてよい。陽極20の形状及び面積は、陰極30の表面の金属成膜領域の形状及び面積に応じて適宜設計してよい。
(2)陰極30
陰極30も、金属イオンを含む電解液Lに対する耐食性、及び電極として機能可能な導電率を有する。成膜装置100により形成される金属膜は、陰極30の表面に形成される。そのため、金属膜で被覆する基材を陰極30として用いることができる。
(3)多孔膜60
多孔膜60は、陽極20と陰極30の間に、陰極30と接触可能に設けられている。多孔膜60は陰極30から離間する位置と陰極30に接触する位置の間を移動可能であってよい。
多孔膜60はポリオレフィン鎖から構成される。多孔膜60は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はこれらの混合物から構成されてよい。ポリオレフィンとは、オレフィンの重合体(ポリマー)のすべてを指す。ポリオレフィン鎖は、架橋又は非架橋であってよく、飽和又は不飽和であってよく、直鎖状でも分枝していてもよい。ポリオレフィン鎖は、置換又は非置換であってよいが、イオン交換性官能基を有さない。ポリオレフィン鎖の好ましい実施形態として、側鎖を有さない、架橋又は非架橋のポリエチレン鎖が例示できる。イオン交換性官能基を有さない多孔膜60は、使用後に特殊な処理をすることなく廃棄可能である。
ここで、官能基とは、有機化合物の特徴的な反応性の原因となる原子又は原子団であり、機能原子団又は作用基ともいう。イオン交換性官能基は、陽イオン交換性官能基と、陰イオン交換性官能基のどちらも包含する。陽イオン交換性官能基として、スルホン酸基、スルホンイミド基、スルホンメチド基、ホスホン酸基、カルボン酸基等が挙げられる。陰イオン交換基として、第四級アンモニウム基、第四級ピリジニウム基、第一〜第三級アミノ基、ピリジル基、イミダゾリル基等が挙げられる。なお、イオン交換性官能基以外の基(イオン交換性を有さない基)としては、アルキル基、オレフィン基、アセチレン基、及び芳香族基が挙げられる。「イオン交換性官能基を有さない」とは、イオン交換性官能基を全く有さない(すなわち、イオン交換性官能基以外の基のみを有する)こと、又は、ポリオレフィン鎖の反応性に影響を与えない量しか有さないことを意味する。具体的には、X線光電子分光法により求めた多孔膜60の酸素と炭素の原子数の比が0.1以下、好ましくは0.02以下となるような量のイオン交換性官能基をポリオレフィン鎖が有する場合も、イオン交換性官能基を有さない場合に包含される。
イオン交換性官能基の有無は、種々の定性分析法及び定量分析法により調べることができる。定性分析法は官能基に応じて適当な方法を選択してよい。例えば、スルホン酸基の有無は、アルカリ溶融(alkali fusion)試験、ヒドロキサム酸鉄(ferric hydroxamate)試験等により調べることができる。カルボン酸基の有無は、ヒドロキサム酸鉄試験、pH試験等により調べることができる。定量分析法としては、例えば、紫外分光法、赤外分光法、ラマン分光法、核磁気共鳴分光法、質量分析法、X線解析等が挙げられる。
多孔膜60の空孔径は、20〜2000nmであってよく、好ましくは27〜1000nmであってよい。空孔径が上記範囲内であることにより、高い電流効率での金属膜の形成が可能になる。ここで、空孔径は、空孔径分布の体積平均を意味する。空孔径分布は、JIS R 1655:2003に準じる水銀圧入法により求めることができる。水銀圧入法とは、圧力をかけて水銀を開気孔に浸入させ、開気孔に浸入した水銀の体積とその時加えた圧力値の関係を求め、その結果に基づき、開気孔を円柱状と仮定してWashburnの式から開気孔の径を算出する方法である。
従来の固相電析法に用いられる固体電解質膜内には、イオンチャネルと呼ばれる直径数nmの流路が形成されている。イオンチャネルを画成する固体電解質膜の壁面(表面)には、イオン交換性の官能基が存在する。陽極と陰極の間に電圧を印加すると、このイオンチャネル内を陽極から陰極に向かって金属イオンが移動する。本発明者の検討によれば、イオンチャネルは径が小さく、イオン交換性官能基が存在するため、金属イオンがクーロン力によりイオン交換性官能基にトラップされやすい。そのため金属イオンの固体電解質内の輸送効率が低く、電流効率も低い。一方、実施形態の成膜装置100で用いられる多孔膜60は、固体電解質膜よりも大きい空孔径を有する。そのため、金属イオンが孔内でトラップされることなく高効率で多孔膜60中を高速で移動でき、その結果、高い電流効率で金属を成膜できる。
多孔膜60の透気度は、5〜500s/100cmであってよく、好ましくは10〜260s/100cmであってよい。透気度が上記範囲内の多孔膜60はスズ成膜装置に好適に用いることができる。すなわち、透気度が上記範囲内であることにより、高い電流効率でのスズ膜の形成が可能になる。透気度は、JIS L 1096−6−27−1A、又は、ASTM−D737に準じて測定する。
多孔膜60の空孔率(気孔率)は、35〜90%であってよく、好ましくは45〜80%であってよい。空孔率が上記範囲内であることにより、高い電流効率での金属膜の形成が可能になる。空孔率は、単位体積中に含まれる空孔の割合である。多孔膜60のみかけの密度(かさ密度)をρ、多孔膜60の真密度(多孔膜60を構成するポリマーの密度)をρとすると、空孔率pは、p=1−ρ/ρと表される。多孔膜60のかさ密度ρは多孔膜60の重量及び外寸体積から求めることができる。多孔膜60の真密度はヘリウムガス置換法により測定することができる。
多孔膜60の引張強度は、750〜3000kgf/cm、好ましくは1000〜2400kgf/cmであってよい。引張強度が上記範囲内であることにより、より平坦な金属膜の形成が可能になる。引張強度は、JIS K 7127:1999に準じて測定する。
多孔膜60の引張伸び度は、5〜85%であってよく、好ましくは15〜80%であってよい。引張伸び度が上記範囲内であることにより、より平坦な金属膜の形成が可能になる。引張伸び度は、JIS C 2151、若しくは、ASTM D882に準じて測定する。
多孔膜60の厚さは、5〜175μmであってよく、好ましくは12〜150μmであってよい。厚さが上記範囲内であることにより、高い電流効率での金属膜の形成が可能になる。
多孔膜60として、市販の電池用セパレータを用いることができる。市販のセパレータは従来のイオン交換性官能基を有する固体電解質膜と比べて低コストであるとともに、さらなる低廉化が期待される。
多孔膜60として使用可能なセパレータの製造方法には、主に、乾式法(延伸開孔法)と湿式法(相分離法)がある。乾式法は、ポリマーからなる均一組成の膜をアニールしてラメラ構造を形成し、次いでこの膜を一軸延伸することでラメラ構造中の層間界面を開裂させて孔を形成する方法である。乾式法により形成される多孔膜では、孔が多孔膜の厚み方向に直線状に貫通している。一方、湿式法は、ポリマーと溶媒がミクロ相分離した膜を作製し、この膜から溶媒相を抽出除去することにより孔を形成する方法である。溶媒の抽出除去の前及び/又は後に膜を延伸してよい。湿式法では、ポリマーと溶媒の組み合わせ、延伸条件等を選択することで多様な孔構造を有する多孔膜を製造することができる。湿式法により形成される孔は三次元的に不規則且つ均一な網目構造を形成するため、湿式法により得られる多孔膜は機械強度が高い。実施形態に係る成膜装置に用いる多孔膜としては湿式法で製造した多孔膜を用いてよい。湿式法で製造した多孔膜中の孔は三次元的に不規則且つ均一な網目構造を形成しているため、湿式法で製造した多孔膜を用いることにより、溶液収容空間55に収容される金属イオンを含む電解液Lが多孔膜60を貫通して漏れることを抑制できる。
(4)溶液収容部50
溶液収容部50は、通常、上部及び下部に開口を有する筒状の形状を有する。溶液収容部50の下部の開口を覆うように多孔膜60が配置され、溶液収容部50の上部の開口を覆うように蓋部52が配置されている。多孔膜60と蓋部52の間に、多孔膜60と離間して陽極20が配置される。それにより陽極20と多孔膜60の間に溶液収容空間55が画成される。溶液収容部50には、金属イオンを含む電解液Lが収容される。なお図1において、陽極20は蓋部52に接触して設けられているが、陽極20と蓋部52は離間していてもよい。この場合、陽極20と蓋部52の間にも電解液Lが存在してよい。
電解液L中の金属イオンは、特に限定されず、例えば銀、金、スズ、ニッケル等のイオンであってよい。このような金属は、後述の実施例で示すように、成膜装置100により高い電流効率で成膜できる。また、金属イオンは、標準酸化還元電位が負である金属、つまり、水素より卑な(イオン化傾向が水素より大きい)金属のイオンであってよい。従来のイオン交換性官能基を有する膜を用いた固相電析法では、標準酸化還元電位が負である金属を高い電流効率で成膜することが特に難しい。この点に鑑みると、成膜装置100は、標準酸化還元電位が負である金属を高い電流効率で成膜することができる点で特に利点がある。標準酸化還元電位が負である金属の例としては、スズ及びニッケルが挙げられる。
電解液Lがスズイオンを含む場合、電解液Lはメタンスルホン酸を含有する。例えば、スズイオンを含む電解液(スズ溶液)Lとして、メタンスルホン酸スズ、メタンスルホン酸、イソプロピルアルコール、水及び非イオン界面活性剤を含む溶液を用いてよい。なお、電解液Lには、イオン液体を添加してもよい。例えば、イオン液体として、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド(EMIB)、トリメチルヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TMHA−TFSI)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMI−TFSI)、TMPA−TFSI、トリメチルフェニルアンモニウムクロリド(TMPAC)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(EMIC)、及び1−ブチルピリジニウムクロリド(BPC)がある。さらに、電解液Lに酸化防止剤や平滑剤(例えば2−メルカプトベンゾチアゾール)を添加してもよい。従来のメッキ法で用いられる固体電解質膜は電解液に含まれる有機溶媒(例えば、メタンスルホン酸、イソプロピルアルコール)で溶解することがあるが、成膜装置100において用いられる多孔膜60は電解液L中の有機溶媒によって溶解されない。
(5)電源部40
電源部40は、陽極20及び陰極30に電気的に接続される。電源部40は、陽極20と陰極30の間に電位差を発生させる。
<金属膜の形成方法>
次に、成膜装置100(図1参照)を用いた金属膜の形成方法を説明する。図2に示すように、金属膜形成方法は、多孔膜60にエタノールを含浸させること(ステップS1)と、陽極20と陰極30の間に電圧を印加して、陰極30の表面に金属を析出させること(ステップS2)とを含む。なお、多孔膜60へのエタノールの含浸(ステップS1)は任意の工程であり、必須ではない。以下、各工程について順に説明する。
(1)多孔膜へのエタノールの含浸(S1)
多孔膜60にエタノールを含浸して、多孔膜60の孔にエタノールを流入させる。それにより、電解液Lの多孔膜60に対する濡れ性が向上し、後続の電圧印加工程において電解液Lが多孔膜60の孔に入りやすくなる。含浸時のエタノールの温度は、特に限定されないが、エタノールの凝固点以上且つ40℃以下の温度範囲であってよい。
(2)電圧の印加(S2)
上述の成膜装置100の溶液収容空間55を、金属のイオンを含む電解液Lで満たす。また、多孔膜60と陰極30を接触させる。この状態で、電源部40により陽極20と陰極30の間に電圧を印加する。すると、電解液L中の金属イオンが、陽極20から陰極30の方向に多孔膜60を通って移動する。金属イオンは、多孔膜60と陰極30の界面(表面)30aに到達し、還元されて析出する。それにより陰極30上に金属膜が形成される。
電圧印加時には、多孔膜60が加熱されていてもよい。例えば、陰極30を加熱することにより間接的に多孔膜60を加熱することができるが、多孔膜60の加熱方法はそれに限定されない。多孔膜60の加熱により多孔膜60の孔中のエタノールの粘度が低下し、電解液Lが多孔膜60の孔に入りやすくなる。加熱温度は、エタノールの沸点以下且つ多孔膜60の融点以下であれば特に限定されないが、例えば35〜65℃としてよい。
電圧印加時には、溶液収容空間55の圧力を高めてよく、それにより溶液収容空間55中の電解液Lが多孔膜60の孔に入りやすくなる。溶液収容空間55の圧力は例えば0.5〜3MPaとしてよい。
多孔膜60を陰極30に所定の圧力で押し当てながら電圧を印加してもよい。それにより形成される金属膜の平坦性を向上できる。例えば0.5〜3MPaの圧力を加えてよい。
その他、印加電圧等の各種成膜条件は、成膜面積、目標とする膜厚等に応じて適宜設定してよい。
金属イオンが水和すると、該金属イオンを含む電解液Lは疎水性のポリオレフィン鎖から構成される多孔膜60に対する濡れ性が低下する。
多孔膜60の空孔径は均一ではなく、分布を有してよい。成膜装置100を用いた成膜では、成膜前には多孔膜60の空孔がエタノールで満たされている。成膜時に溶液収容空間55の圧力を高めていくと、より大きな孔径を有する孔の中のエタノールが圧力で押し出されて電解液Lに置換される。そして、電解液Lが溶液収容空間55から陰極30に向かって多孔膜60を貫通する。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜5
(1)ニッケルSED基板の作製
AlSi基板上に銅スパッタ膜が形成されている銅スパッタ基板を用意した。この銅スパッタ基板上に固相電析法によりニッケル膜を形成した。固相電析の条件は以下のとおりとした。なお、ニッケル成膜領域は、銅スパッタ基板上に10×10mmの開口部を設けたポリイミドテープ(カプトン粘着テープ:650R#25、(株)寺岡製作所製)を配置することによって画成した。固相電析法により銅スパッタ基板上に形成されたニッケル膜の厚さは4μmであった。こうして得たニッケル固相電析(SED)基板を、スズ膜を形成する基材として用いた。
陽極:ニッケル多孔体
陰極:銅スパッタ基板
固体電解質膜:Nafion 117(デュポン社製)
電解液:塩化ニッケル水溶液と酢酸を混合して得たニッケル溶液(pH4.0)
銅スパッタ基板の温度:60℃
固体電解質膜を銅スパッタ基板に押し当てる圧力:1MPa
電流密度:100mA/cm
ニッケル成膜領域:10mm×10mm
(2)スズイオンを含む電解液(スズ溶液)の調製
150gの非イオン界面活性剤(アルドリッチ製、プロピレンオキサイド/エチレンオキサイド共重合体)と200gのイソプロピルアルコールを混合して混合溶液を得た。前記混合溶液に2価のスズイオン濃度が60g/Lになるようにメタンスルホン酸スズを加え攪拌した。さらに、遊離酸濃度(メタンスルホン酸濃度)が1.0Mになるようにメタンスルホン酸を加え攪拌した。その後、水を500g添加して1000gのスズ溶液を得た。
(3)多孔膜の用意
各実施例について、市販のリチウムイオン電池用セパレータ(東レ製、商品名:セティーラ)を多孔膜として用意した。これらの多孔膜はいずれもポリオレフィン鎖から構成される。各多孔膜の空孔径、透気度、引張強度、引張伸び度、空孔率、及び厚みは、表1に記載のとおりであった。各多孔膜のX線光電子分光測定装置(アルバックファイ製PHI−5800)により測定した酸素と炭素の原子数の比は、0.01〜0.02であった。これらの多孔膜をエタノールに浸すことにより、エタノールを多孔膜に含浸させた。
(4)スズ膜の形成
陰極(基材)としてニッケルSED基板を、陽極としてスズ箔(SN−443261、(株)ニラコ製)を用い、基材とスズ箔が対向するように配置した。基材とスズ箔の間に、多孔膜を基材と接触するように配置した。多孔膜とスズ箔の間の空間をスズ溶液で満たした。それにより、図1に記載されるような成膜装置を構成した。
基材を40℃に加熱することによって多孔膜を加熱し、多孔膜を基材に0.50MPaで押し当てながら、陰極と陽極の間に電圧をかけて20mA/cmの電流密度で電流を流した。それにより、基材上にスズが析出してスズ膜が形成された。なお、スズ成膜領域は10×10mmの大きさとした。スズ成膜領域は、ニッケル成膜と同様にポリイミドテープを用いて画成した。
各実施例について、基材上に析出したスズの重量を測定した。測定値とファラデーの法則から計算される理論析出量との比を求めることにより、スズ成膜の電流効率を算出した。求めた電流効率の値を表1に示す。なお、理論析出量から求めたスズ膜の厚さは4μmであった。
比較例1〜5
ナフィオンソリューション(デュポン社製)を平板上に流延・展開してキャスト法によりイオン交換膜を形成した。このイオン交換膜を多孔膜の代わりに用いて、実施例1〜5と同様にしてスズ膜を形成した。比較例1で用いたイオン交換膜の空孔径及び透気度、並びに比較例1〜5で用いたイオン交換膜の等量重量(イオン交換性官能基1当量に対応する膜の乾燥樹脂重量)は、表1に記載のとおりであった。各比較例について、実施例1〜5と同様に電流効率を求めた。求めた電流効率の値を表1に示す。
比較例1〜5と比べて、空孔径が27〜1000nm範囲内、透気度が10〜260s/100cmの範囲内である実施例1〜5はいずれも高い電流効率を示した。
Figure 2020097764
実施例6〜10
(1)ニッケルイオンを含む電解液(ニッケル溶液)の調製
塩化ニッケル六水和物222gと酢酸ニッケル四水和物124gをイオン交換水に溶解させ、全量を950mLとした。この溶液のpHを測定しながら、pHが3.85〜3.95の範囲内になるように酢酸を滴下した。さらにイオン交換水で希釈して、全量を1000mLとした。得られた溶液をニッケル溶液として用いた。
(2)多孔膜の用意
各実施例について、表2に記載の空孔径を有するポリオレフィン鎖から構成される多孔膜(東レ製)を用意した。各多孔膜のX線光電子分光測定装置(アルバックファイ製PHI−5800)により測定した酸素と炭素の原子数の比は、0.01〜0.02であった。多孔膜をエタノールに浸すことにより、エタノールを多孔膜の空孔内部に浸透させた。
(3)ニッケル膜の形成
銅板を10%硫酸水溶液に室温で10分間浸漬させて活性化処理した。陰極(基材)として銅板を、陽極としてニッケル多孔体を用い、銅板とニッケル多孔体が対向するように配置した。銅板とニッケル多孔体の間に、銅板と接触するように多孔膜を配置した。多孔膜とニッケル多孔体の間の空間をニッケル溶液で満たした。それにより、図1に記載されるような成膜装置を構成した。
次いで、銅板を60℃に加熱することによって多孔膜を加熱し、多孔膜を銅板に1.0MPaで押し当てながら、陰極と陽極の間に電圧をかけて75mA/cmの電流密度で電流を流した。それにより、銅板上にニッケルが析出してニッケル膜が形成された。なお、ニッケル成膜領域は10×20mmの大きさとした。ニッケル成膜領域は実施例1〜5と同様にポリイミドテープを用いて画成した。
各実施例について、銅板上に析出したニッケルの重量を測定した。測定値とファラデーの法則から計算される理論析出量との比を求めることにより、ニッケル成膜の電流効率を算出した。求めた電流効率の値を表2に示す。また、図3に、ニッケル成膜における空孔径と電流効率の関係を示す。なお、理論析出量から求めたニッケル膜の厚さは5μmであった。
比較例6
デュポン社製のイオン交換膜(商品名:Nafion)を多孔膜の代わりに用いて、実施例6〜10と同様にしてニッケル膜を形成した。なお、イオン交換膜の空孔径は1nmであった。実施例6〜10と同様に比較例6のニッケル成膜の電流効率を求めた。結果を表2に示す。なお、比較例6の電流効率を図3中に破線で示した。
実施例6〜10の電流効率は、比較例6よりも高かった。また図3に示すように、空孔径が50nm以下では空孔径と電流効率は正の相関を示した。一方、空孔径が50nm以上では空孔径と電流効率は正の相関を示さなかった。これは空孔径50nm以上では毛細管現象の影響が小さくなったためと考えられる。
Figure 2020097764
20:陽極、30:陰極、40:電源部、50:溶液収容部、55:溶液収容空間、60:多孔膜、100:成膜装置、L:電解液

Claims (8)

  1. 金属膜を形成するための成膜装置であって、
    陽極と、
    陰極と、
    前記陽極と前記陰極の間に、前記陰極と接触可能に設けられた多孔膜と、
    前記陽極と前記多孔膜の間に溶液収容空間を画成する溶液収容部と、
    前記陽極と前記陰極の間に電圧を印加する電源部とを有し、
    前記多孔膜がイオン交換性官能基を有さないポリオレフィン鎖から構成される、成膜装置。
  2. 前記多孔膜の空孔径が20〜2000nmの範囲内である、請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記多孔膜の透気度が5〜500s/100cmの範囲内である、請求項1又は2に記載の成膜装置。
  4. 金属の膜の形成方法であって、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の成膜装置において、前記金属のイオンを含む電解液で溶液収容空間が満たされ、多孔膜と陰極が接触した状態で、陽極と陰極の間に電圧を印加することを含む、方法。
  5. 前記金属の標準酸化還元電位が負である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記多孔膜にエタノールを含浸させることをさらに含み、
    前記多孔膜を加熱しながら前記陽極と前記陰極の間に前記電圧を印加する、請求項4又は5に記載の方法。
  7. 前記金属がスズ又はニッケルである、請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記金属がスズであり、前記電解液がメタンスルホン酸を含有する、請求項7に記載の方法。
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