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JP2019202971A - 1,2,2,2−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)の製造方法 - Google Patents

1,2,2,2−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)の製造方法 Download PDF

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JP2019202971A
JP2019202971A JP2018100182A JP2018100182A JP2019202971A JP 2019202971 A JP2019202971 A JP 2019202971A JP 2018100182 A JP2018100182 A JP 2018100182A JP 2018100182 A JP2018100182 A JP 2018100182A JP 2019202971 A JP2019202971 A JP 2019202971A
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健史 細井
Takeshi Hosoi
健史 細井
峰男 渡辺
Mineo Watanabe
峰男 渡辺
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Central Glass Co Ltd
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Abstract

【課題】1,2,2,2−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)を効率よく、工業的規模で製造する方法を提供する。【解決手段】液相中、ルイス酸触媒の存在下、1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルに対し、特定の圧力の条件下、フッ化水素によるフッ素化反応を行うことにより、副反応を抑制しながら効率的に1,2,2,2−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)を得ることが可能である。【選択図】なし

Description

本発明は、1,2,2,2−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)の製造方法に関する。
1,2,2,2−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテルは、「デスフルラン」として知られている重要な吸入麻酔薬である。該吸入麻酔薬は、極めて低い生体内代謝率を有しており、生体に優しく安全性の高い薬剤として広く使用されている。
デスフルランに関する製造方法は、出発物質として1−クロロ−2,2,2−トリフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(イソフルラン)、または1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルを用いて、それぞれをフッ素化することで製造する例が知られている。
イソフルランに対するフッ素化反応は、フッ化水素を使用する方法(特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4)が主に知られている。また、1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルに対するフッ素化反応も、フッ化水素を使用する方法(特許文献5、特許文献6、特許文献7)が報告されている。
なお、本発明にて開示する、1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルに対するフッ素化反応の例は報告されていない。
特開平2−279646号公報 米国特許第6800786号明細書 国際公開第2006−076324号 特表2010−533211号公報 西独国特許2361058号明細書 特開平2−104545号公報 特開平6−087777号公報
デスフルランの製造方法については、エーテル部位(「−O−」)を有する化合物の物性上、過酷な条件下でフッ素化反応を行った場合、エーテル部位の開裂に伴った分解物の副生が問題となってくる。また、原料中に含まれる不純物類もエーテル部位を持った類縁体であることが多く、デスフルランの製造工程においては、これら不純物も分解物の発生要因となることがある。分解物の副生を最小限にコントロールする場合、高純度な原料をデスフルランの製造工程に供する必要があると言える。
イソフルランを原料に用いる特許文献1〜4に記載の方法は、フッ化水素を用いたフッ素化を行うことにより、中程度の収率で目的とするデスフルランを得ている。しかし、フッ化水素自身、酸性物質でもあり、また、一般的に反応活性が高いとされる触媒を使用しているため、原料であるイソフルランや目的物であるデスフルランのエーテル部位の開裂に由来した不純物の副生が多く生じていた(なお、原料であるイソフルラン自体は、既に市販されている吸入麻酔薬の1つである。非常に高純度な化合物が入手可能であり、利便性に優れた化合物である)。
実際に、本発明者らは、前記特許文献に記載の方法を参考に、1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルを出発原料としたフッ素化反応によるデスフルランの製造を検討したところ、目的化合物であるデスフルランと共に、クロロホルムやフルオロジクロロメタンが副生することが判った。特に高温、高圧でフッ素化反応を行うことで、これが顕著に現れる(後述の比較例1参照)。これらの副生物は、1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルに対し、過酷なフッ素化条件に付すことでエーテル部位の開裂に伴った分解反応が生じて生成したものであると推測される。さらに、この副生物は蒸留等の精製操作を行ってもデスフルランとの分離が極めて困難であるため、吸入麻酔剤であるデスフルランは、極めて高純度のものが要求されることを考慮すると、この副生物の生成は、高純度のデスフルランを製造する上で避けるべき課題の一つである。
Figure 2019202971
特許文献5、6及び7に記載の方法は、低収率であり、吸入麻酔剤としての製造方法としては採用しにくく、何れの方法も課題が残されたままである。中でも特許文献7に記載の方法は、該文献の出発原料である1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルにおける、該エーテルの製造方法(塩素化)の選択性が悪く、高純度の該エーテルを得るためには煩雑な精製操作が必要であった。
本発明は、調製の比較的容易な出発原料に対し、取り扱いに優れたフッ素化剤を用いて、高純度のデスフルランを効率良く製造する方法を提供することを課題とする。
そこで本発明者らは、上記の問題点を鑑み、鋭意検討を行った。その結果、式[1]:
Figure 2019202971
で表される1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル(以下、本明細書において、単に「ジクロロメチルエーテル」と言うことがある。)に対し、フッ素化させることによりデスフルランを製造するにあたり、特に好ましいフッ素化条件を採用することにより、高純度のデスフルランを高い選択性で製造できるという知見を得た。
すなわち、ジクロロメチルエーテルを、液相中、ルイス酸触媒の存在下、低い圧力の範囲でもってフッ素化反応させることにより、高い変換率で反応が進行し、反応中間体である、式[2]:
Figure 2019202971
で表される1,2,2,2−テトラフルオロエチルクロロフルオロメチルエーテル(以下、本明細書において、単に「クロロフルオロメチルエーテル」と言うことがある。)が高い選択率で得られ、続いて、得られたクロロフルオロメチルエーテルに対するフッ素化反応がさらに進行し、式[3]:
Figure 2019202971
で表される1,2,2,2−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)が、反応基質の分解を抑制しつつ、高い選択率で得られるという知見を得た。
このように、ジクロロメチルエーテルのフッ素化反応において、中間体としてクロロフルオロメチルエーテルが生成したとしても、フッ素化反応が継続して行われる為、目的物であるデスフルランへの効率的な変換が可能である。また、穏和な条件でのフッ素化反応であるため、前述したジクロロメチルエーテルにおけるエーテル部位の開裂といった副反応の懸念も回避できる。デスフルランは吸入麻酔薬として利用する為、高純度のものが必要不可欠であることを考慮すると、本発明のフッ素化反応は工業的な製造方法として極めて有用である。
一方、反応終了後、目的化合物とルイス酸触媒を分離するためには、通常、反応液を水で処理することが一般的である。すなわち、ルイス酸触媒を水と反応させ、水溶性物質に変化させ、目的化合物と分離している。しかし、この水溶性物質からルイス酸触媒自体を再生することは非常に困難であり、また、廃棄する場合にも処理コストが嵩み、工業的に大量に製造するための方法としては難点があった。環境保全意識の高まりから、社会的に廃棄物削減が強く望まれており、化学品や医薬品の工業生産においてもその排出量削減は必達目標である。そのためには、製造プロセスにおいて供した触媒の効率的な回収方法や再生方法は非常に重要な検討課題の一つである。
すなわち、本発明は、以下の[発明1]〜[発明8]に記載する、1,2,2,2−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)の製造方法を提供する。
[発明1]
液相中、ルイス酸触媒の存在下、式[1]で表される1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルに、フッ化水素を0.6MPa(絶対圧基準。以下、本明細書で同じ。)以下の圧力下で反応させることにより、式[3]で表される1,2,2,2−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)を製造する方法。
[発明2]
ルイス酸触媒が、四塩化スズ、二塩化スズ、四フッ化スズ、二フッ化スズ、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、五フッ化アンチモン、四塩化チタン、塩化鉄(III)及び塩化アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である、発明1に記載の製造方法。
[発明3]
ルイス酸触媒の使用量が、式[1]で表される1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル1molに対し、0.01mol%〜20mol%である、発明1または2に記載の製造方法。
[発明4]
フッ化水素の使用量が、式[1]で表される1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル1molに対し、0.1mol〜50molである、発明1乃至3のいずれかに記載の製造方法。
[発明5]
フッ化水素との反応を、圧力として0.1MPa〜0.6MPaの範囲で行う、発明1乃至4の何れかに記載の製造方法。
[発明6]
フッ化水素との反応を、温度として−40℃〜+80℃の範囲で行う、発明1乃至5の何れかに記載の製造方法。
[発明7]
フッ化水素との反応後、ルイス酸触媒を回収し、再びフッ化水素との反応に該触媒を再利用する、発明1乃至6の何れかに記載の製造方法。
[発明8]
液相中、ルイス酸触媒の存在下、式[2]で表される1,2,2,2−テトラフルオロエチルクロロフルオロメチルエーテルに、フッ化水素を0.6MPa以下の圧力下で反応させることにより、式[3]で表される1,2,2,2−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)を製造する方法。
本発明によれば、高純度な1,2,2,2−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)を効率的に製造できるという効果を奏する。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は以下の実施態様に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜実施することができる。
本発明は、出発原料の式[1]で表される1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルの、段階的なフッ素化の進行による、式[3]で表される1,2,2,2−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)の製造方法である。各化合物の関係を以下に示す。
Figure 2019202971
出発原料の式[1]で表される1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルは、例えば、特許文献7に記載の方法(例えば、1,2,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテルに対する、塩素(Cl)を用いた反応)を参考に合成することができる(後述の合成例)。この方法がジクロロメチルエーテルを製造できる、有用な技術と言える。
本発明にて、フッ素化反応を行う際はフッ化水素が好ましく用いられる。液相中でフッ素化反応を行う際のフッ化水素の使用量は、式[1]で表される1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル1.0molに対し、0.1mol〜50molであり、好ましくは0.5mol〜10molであり、さらに好ましくは1.0mol〜5.0molである。フッ化水素量が0.1mol未満の場合は、反応における変換率が悪い。一方、フッ化水素量が50molを超える使用量は、経済的な観点から好ましくない。また、大過剰のフッ化水素の使用は、1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルの、エーテル結合の開裂による不純物の副生を誘発するおそれがある点から好ましくない。
本発明では、液相中でフッ素化反応を行う際、ルイス酸触媒を用いるが、これを用いることで反応を円滑に進行させることができる。ルイス酸触媒の具体例としては、四塩化スズ、二塩化スズ、四フッ化スズ、二フッ化スズ、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、五フッ化アンチモン、四塩化チタン、塩化鉄(III)及び塩化アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である。中でも、四塩化スズ、四フッ化スズ、五塩化アンチモン及び五フッ化アンチモンが好ましく、四塩化スズが特に好ましく用いられる。なお、これらのルイス酸触媒は単独、または組み合わせて使用することができる。
上記のルイス酸触媒を用いる際の使用量は、式[1]で表される1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル1.0molに対し、0.01mol%〜20mol%であり、好ましくは0.05mol%〜10mol%であり、さらに好ましくは0.1mol%〜5.0mol%である。ルイス酸触媒を20mol%を超える量を用いると、高沸点化合物からなるタール生成量は増加することがある。
本発明のフッ素化反応において、反応温度は、−40℃〜+80℃の範囲で行えば良く、通常は−30℃〜+60℃が好ましく、中でも−20℃〜+40℃が特に好ましい。
本発明は、圧力条件は通常、0.6MPa以下、具体的には0.1MPa(大気圧)〜0.6MPaの範囲でフッ素化反応を行えば良く、特に0.1MPa〜0.3MPaがより好ましい。なお、0.6MPaを超える圧力(例えば、〜1.0MPa、またはそれ以上)の条件下で行っても良いが、前述した範囲でも所望のフッ素化反応が十分進行するため、特に0.6MPaを超える圧力で行う必要は必ずしもない。
本発明におけるフッ素化反応における特に好ましい条件は、−20℃〜+40℃の温度範囲であって、かつ、0.1MPa〜0.3MPaの圧力範囲を採用するのが、反応基質の分解を抑制しながら、1,2,2,2−テトラフルオロエチルクロロフルオロメチルエーテルやデスフルランを高選択的に得るための特に好ましい態様である。
本発明で用いる反応容器については、ステンレス鋼(SUS)の様な材質でできた耐圧反応容器やフッ化水素に対する耐食性能を有するテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂にて内部がライニングされた耐圧反応容器を用いて反応を行うことが好ましい。
反応時間は、通常は24時間以内であるが、使用したフッ化水素の使用量に起因した反応条件の違いにより、ガスクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段によりフッ素化反応の進行状況を追跡し、出発基質が殆ど消失した時点を反応の終点とすることが好ましい。
なお、後述する実施例(実施例4及び実施例5)で示すように、本発明は、フッ素化反応の初期段階において、反応中間体である式[2]のクロロフルオロメチルエーテルが優先的に生成した時点で一度反応を停止させたのち、続けてフッ素化反応を行うことで、デスフルランを高選択的に得ることもできる。
但し、作業の効率性という観点から、クロロフルオロメチルエーテルに対する単離精製を行わずに反応を進め、前記分析手段によりクロロフルオロメチルエーテルを追跡し、それが殆ど消失した時点をフッ素化反応の終点とすることで進めるのが、特に好ましい態様と言える。
フッ素化反応が終了した後、ルイス酸触媒の回収はデカンテーション、蒸留、濾過、再結晶等の操作により行うことができる。これらのうち、デカンテーションが最も簡便かつ効率的である為、好ましく用いられる。回収したルイス酸触媒には、原料の式[1]のジクロロメチルエーテル、反応中間体の式[2]のクロロフルオロメチルエーテル、目的物の式[3]のデスフルラン、そして反応試剤のフッ化水素が一部含有する場合もあるが、これらをルイス酸触媒から単離精製をせずにそのまま、フッ素化反応における原料として再利用することが可能である。また、ルイス酸触媒の回収再利用を重ねることにより、反応性の低下が見られた場合は、回収触媒へ新規なルイス酸触媒を別途添加して反応を行うことも可能である。
フッ化水素を使用するフッ素化反応に際し、ルイス酸触媒を一度でも供した場合、ルイス酸の配位子の一部がフッ素化され、塩素原子がフッ素原子に置換される場合もあるが、回収・再利用を行う場合には特段の影響はなく、そのまま反応に用いることができる。
触媒回収工程における使用可能な容器材質は、フッ化水素等に対する耐食性能を有するステンレス鋼(SUS)または、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂にて内部がライニングされた器具を用いることが好ましい。
本発明において、原料である式[1]のジクロロメチルエーテルや反応中間体である式[2]のクロロフルオロメチルエーテルへのフッ素化反応を出来る限り進行させる、すなわち、該エーテル体を殆ど消失する時点まで反応を行うことは、式[3]のデスフルランを効率的に得るためには、好ましい態様と言える。ただし、前述した特定の温度範囲、かつ、特定の圧力範囲でフッ素化反応を実施する際、反応中間体の式[2]のフルオロクロロメチルエーテルや原料の式[1]のジクロロメチルエーテルが残存する場合がある。その場合、未反応のジクロロメチルエーテルやフルオロクロロメチルエーテルは、デスフルランの精製操作においてそれぞれ回収可能であり、それらを再びフッ素化反応の出発原料として再利用できる。
本発明における精製操作は、蒸留、活性炭処理、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の操作があり、何れの方法でも高い化学純度で精製することが可能であるが、これらのうち、蒸留操作が最も簡便かつ効率的である為、好ましく用いられる。蒸留操作を行う際、フッ素化反応の反応液をそのまま蒸留精製に供することも可能であるが、必要に応じ、水洗浄等の後処理を行うことにより、反応に使用したフッ素化剤を除去した後、得られる反応粗体をそのまま蒸留に用いても構わない。また、蒸留操作については、後述する理論段数、還流比でもって「分別蒸留」(fractional distillation)(なお、ここで言う「分別蒸留」について、「蒸留」または「精密蒸留」と言うことがある)を行うのが好ましい。
蒸留を行うことで、式[1]のジクロロメチルエーテルや反応中間体の式[2]のフルオロクロロメチルエーテルを分離・除去することが可能となる。蒸留搭の段数は、反応で副生する不純物等の低減の度合いに応じて変わるが、例えば、2以上、50以下であればよい。中でも、3以上、40以下が好ましく、5以上、30以下がより好ましい。
蒸留塔に充填する充填物としては、規則性充填物、不規則性充填物の何れも利用できる。規則性充填物としては、通常用いられるもので良く、例えば、スルザーパッキング、メラパック、テクノパック、フレキシパック等が挙げられる。不規則性充填物としては、通常用いられるもので良く、例えば、ヘリパック、ラシヒリング、ディクソンパッキング等が挙げられる。還流比は0.5〜20.0、好ましくは0.5〜15.0、より好ましくは0.5〜10.0である。
蒸留における使用可能な容器材質は、フッ化水素等に対する耐食性能を有するステンレス鋼(SUS)または、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂にて内部がライニングされた蒸留容器を用いることが好ましい。ただし、後処理操作により酸を除去した反応粗体を蒸留する場合は、通常のホウケイ酸ガラスの蒸留容器を用いても構わない
[実施例]
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、これらの実施態様に限られない。ここで、組成分析値の「%」は、原料または生成物をガスクロマトグラフィー(特に記述のない場合、検出器はFID)によって測定して得られた組成の「面積%」を表す。
[合成例:式[1]のジクロロメチルエーテルの製造]
Figure 2019202971
冷却管コンデンサーと温度計を備えたホウケイ酸ガラスの反応容器にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の攪拌子を入れ、1,2,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテル500g(3.79mol、1.00当量)を量り取った。また、冷却管コンデンサーの出口には、反応で副生する塩酸を吸収する水トラップを接続した。冷却下、反応器の外側より400Wの高圧水銀ランプ(ウシオ社製)にて紫外線を照射しながら、塩素537g(7.58mol、2.00当量)を発熱に注意しながら、12時間かけて導入した。塩素導入後、未反応分の塩素は窒素を用いてパージし、反応粗体675gを得た。得られた反応粗体をガスクロマトグラフィーによる分析へ供すると、原料の1,2,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテルは未検出、低次塩素化物の1,2,2,2−テトラフルオロエチルクロロメチルエーテルは3.0%、式[1]で表される目的物の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルは72.8%、過塩素化物の1,2,2,2−テトラフルオロエチルトリクロロメチルエーテルは18.8%、その他は5.4%であった。得られた反応粗体については理論段数35段の蒸留塔を用い、常圧蒸留を行ったところ、主留分(82℃)として411g、反応収率54%にて回収した。回収した主留分をガスクロマトグラフィーによる分析へ供すると、低次塩素化物の1,2,2,2−テトラフルオロエチルクロロメチルエーテルは0.1%、式[1]で表される目的物の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルは95.9%、過塩素化物の1,2,2,2−テトラフルオロエチルトリクロロメチルエーテルは2.8%、その他は1.2%であった。
[物性データ]
・1,2,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテル:
H−NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):3.72(3H,s),5.28 (1H,dq,J=60.0,3.2Hz)
19F−NMR(400MHz,CDCl,CFCl)δ(ppm):−84.33(3F,s),−146.04(1F,d,J=60.7Hz)
・1,2,2,2−テトラフルオロエチルクロロメチルエーテル:
H−NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):5.57(2H,dd,J=9.5,9.9Hz),5.73(1H,dq,J=59.4,3.2Hz)
19F−NMR(400MHz,CDCl,CFCl)δ(ppm):−83.91(3F,s),−152.60(1F,d,J=57.7Hz)
・式[1]:1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル:
H−NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):6.05(1H,dq,J=54.2,3.2Hz),7.27(1H,s)
19F−NMR(400MHz,CDCl,CFCl)δ(ppm):−83.68(3F,s),−148.66(1F,d,J=54.8Hz)
・1,2,2,2−テトラフルオロエチルトリクロロメチルエーテル:
H−NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):6.10(1H,dq,J=52.7,3.2Hz)
19F−NMR(400MHz,CDCl,CFCl)δ(ppm):−83.38(3F,s),−148.06(1F,d,J=52.2Hz)
Figure 2019202971
攪拌機、圧力計、そしてコンデンサーを備えた500mLステンレス鋼(SUS)製オートクレーブ反応器へ、前述の合成例で調製した式[1]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル201g(1mol、1当量)、そして四塩化スズ2.6g(10.0mmol、1.0mol%)を量り取り、ドライアイスにて冷却した。冷却下、フッ化水素49.8g(2.49mol、2.5当量)を発熱に注意しながら導入した後、20℃まで昇温することで反応を開始した。昇温後、反応圧力を0.15MPa付近でコントロールするため、副生する塩化水素はコンデンサーを通して系外へ除去しながら、反応を12時間行った。反応後、全ての反応液を氷水へ吸収させることで反応を停止した。二層分離により得られた有機物は163gであり、有機物の回収率は97.0%であった。また、得られた有機物をガスクロマトグラフィーに供すると、目的物である式[3]のデスフルランは93.3%、反応中間体の式[2]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルクロロフルオロメチルエーテルは1.4%、未反応の原料である式[1]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルは未検出であった。一方、基質の分解により副生するクロロホルムやフルオロジクロロメタンは未検出であった。
[物性データ]
・式[2]:1,2,2,2−テトラフルオロエチルクロロフルオロメチルエーテル:
H−NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):6.06(1H,dq,J=54.8,2.9Hz),7.06(1H,dd,J=56.6,0.9Hz)
19F−NMR(400MHz,CDCl,CFCl)δ(ppm):−79.28(1F,dd,J=57.8,11.6Hz),−84.07(3F,s),−147.78(1F,dq,J=54.9,5.8Hz)
・式[3]1,2,2,2−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン):
H−NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):5.91(1H,dq,J=2.8Hz,54.2Hz),6.43(1H,t,J=70.5Hz)
19F−NMR(400MHz,CDCl,CFCl)δ(ppm):−146.5(1F,d,J=54.8Hz),−86.8(1F,dd,J=69.3Hz,J=161.7Hz),−85.5(1F,dd,J=69.3Hz,J=161.7Hz),−84.6(3F,s)
Figure 2019202971
攪拌機、圧力計、そしてコンデンサーを備えた500mLステンレス鋼(SUS)製オートクレーブ反応器へ、前述の合成例で調製した式[1]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル201g(1mol、1当量)、そして四塩化スズ1.3g(5.0mmol、0.5mol%)を量り取り、ドライアイスにて冷却した。冷却下、フッ化水素48.4g(2.42mol、2.4当量)を発熱に注意しながら導入した後、24℃まで昇温することで反応を開始した。昇温後、反応圧力を0.25MPa付近でコントロールするため、副生する塩化水素はコンデンサーを通して系外へ除去しながら、反応を14時間行った。反応後、全ての反応液を氷水へ吸収させることで反応を停止した。二層分離により得られた有機物は162gであり、有機物の回収率は96.4%であった。また、得られた有機物をガスクロマトグラフィーに供すると、目的物である式[3]のデスフルランは89.3%、反応中間体の式[2]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルクロロフルオロメチルエーテルは4.5%、未反応の原料である式[1]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルは未検出であった。一方、基質の分解により副生するクロロホルムやフルオロジクロロメタンは未検出であった。得られた有機物に対し、理論段数10段の蒸留塔を用いて常圧蒸留を行ったところ、主留分(22−23℃)として128g、収率76%にて最終目的物である式[3]で表されるデスフルランを得た。主留分の組成は、目的物である式[3]のデスフルランが99.9%であり、反応基質(式[1]のジクロロメチルエーテル)のエーテル部位の開裂に由来する分解物(クロロホルム(沸点61.2℃)やフルオロジクロロメタン(沸点8.9℃))は未検出であった。
Figure 2019202971
圧力計と冷却コンデンサーを備え付けた100mLオートクレーブ反応容器(SUS316L製)にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の攪拌子を入れ、上式に示す1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル20g(99.5mmol、1.00当量)、そして五塩化アンチモン0.36g(1.20mmol、1.2mol%)を量り取った。氷浴にて冷却後、フッ化水素8.8g(440mmol、4.4当量)を一括で仕込み、急な発熱に注意しながら15℃まで徐々に昇温した。次いで、0.1MPa付近(大気圧)の反応圧を維持するため副生する塩化水素は冷却コンデンサーを通して系外に除去しながら6時間の反応を行った。その後、全ての反応液を氷水へ吸収させることで反応を停止した。二層分離により得られた有機物は12.1gであり、有機物の回収率は72.4%であった。また、得られた有機物をガスクロマトグラフィーに供すると、目的物である式[3]のデスフルランは92.2%、反応中間体の式[2]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルクロロフルオロメチルエーテルは0.2%、未反応の原料である式[1]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルは未検出であった。一方、基質の分解により副生するクロロホルムやフルオロジクロロメタンは未検出であった。
Figure 2019202971
攪拌機、圧力計、そしてコンデンサーを備えた500mLステンレス鋼(SUS)製オートクレーブ反応器へ、前述の合成例で調製した式[1]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル201g(1mol、1当量)、そして四塩化スズ1.3g(5.0mmol、0.5mol%)を量り取り、ドライアイスにて冷却した。冷却下、フッ化水素46.2g(2.30mol、2.3当量)を発熱に注意しながら導入した後、20℃まで昇温することで反応を開始した。昇温後、反応圧力を0.2MPa付近でコントロールするため、副生する塩化水素はコンデンサーを通して系外へ除去しながら、反応を4時間行った。反応後、全ての反応液を氷水へ吸収させることで反応を停止した。二層分離後、モレキュラーシーブ4Aで脱水することで反応粗体166gを得、その反応粗体をガスクロマトグラフィーに供すると、目的物である式[3]のデスフルランは5.0%、反応中間体の式[2]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルクロロフルオロメチルエーテルは79.8%、未反応の原料である式[1]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルは11.3%であった。一方、基質の分解により副生するクロロホルムやフルオロジクロロメタンは未検出であった。
Figure 2019202971
攪拌機、圧力計、そしてコンデンサーを備えた500mLステンレス鋼(SUS)製オートクレーブ反応器へ、実施例4で調製した式[2]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルクロロフルオロメチルエーテルを主成分に持つ反応粗体166g(0.900mol、1当量)、そして四塩化スズ1.2g(4.0mmol、0.5mol%)を量り取り、ドライアイスにて冷却した。冷却下、フッ化水素36.3g(1.82mol、2.3当量)を発熱に注意しながら導入した後、20℃まで昇温することで反応を開始した。昇温後、反応圧力を0.2MPa付近でコントロールするため、副生する塩化水素はコンデンサーを通して系外へ除去しながら、反応を9時間行った。反応後、全ての反応液を氷水へ吸収させることで反応を停止した。二層分離により得られた反応粗体は139gであり、得られた反応粗体をガスクロマトグラフィーに供すると、目的物である式[3]のデスフルランは93.2%、反応中間体の式[2]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルクロロフルオロメチルエーテルは3.1%、未反応の原料である式[1]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルは未検出であった。一方、基質の分解により副生するクロロホルムやフルオロジクロロメタンは未検出であった。
Figure 2019202971
攪拌機、圧力計、そしてコンデンサーを備えた200mLステンレス鋼(SUS)製オートクレーブ反応器へ、前述の合成例で調製した式[1]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル100.5g(0.5mol、1当量)、そして四塩化スズ1.3g(5.0mmol、1.0mol%)を量り取り、ドライアイスにて冷却した。冷却下、フッ化水素23.0g(1.15mol、2.3当量)を発熱に注意しながら導入した後、25℃まで昇温することで反応を開始した。昇温後、反応圧力を0.20MPa付近でコントロールするため、副生する塩化水素はコンデンサーを通して系外へ除去しながら、反応を8時間行った。反応後、しばらく静定した反応液をデカンテーションすることにより、反応液を70.3g回収し、反応に用いた触媒である四塩化スズは反応器内に残渣として滞在させた。得られた反応液の一部をフッ化ナトリウムにて少量含まれるフッ化水素は吸着後、ガスクロマトグラフィー分析に供すると、目的物である式[3]のデスフルランは91.4%、反応中間体の式[2]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルクロロフルオロメチルエーテルは1.4%、未反応の原料である式[1]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルは未検出であった。一方、基質の分解により副生するクロロホルムやフルオロジクロロメタンは未検出であった。
Figure 2019202971
触媒を回収し、再利用する検討(1回目)として、実施例6で回収した触媒を残渣として含む200mLステンレス鋼(SUS)製オートクレーブ反応器へ、前述の合成例で調製した式[1]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル100.5g(0.5mol、1当量)を量り取り、ドライアイスにて冷却した。冷却下、フッ化水素23.0g(1.15mol、2.3当量)を発熱に注意しながら導入した後、25℃まで昇温することで反応を開始した。昇温後、反応圧力を0.20MPa付近でコントロールするため、副生する塩化水素はコンデンサーを通して系外へ除去しながら、反応を12時間行った。反応後、しばらく静定した反応液をデカンテーションすることにより、反応液を81.2g回収し、反応に用いた触媒である四塩化スズは反応器内に残渣として滞在させた。得られた反応液の一部をフッ化ナトリウムにて少量含まれるフッ化水素は吸着後、ガスクロマトグラフィー分析に供すると、目的物である式[3]のデスフルランは92.4%、反応中間体の式[2]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルクロロフルオロメチルエーテルは0.6%、未反応の原料である式[1]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルは未検出であった。一方、基質の分解により副生するクロロホルムやフルオロジクロロメタンは未検出であった。
Figure 2019202971
触媒を回収し、再利用する検討(2回目)として、実施例7で回収した触媒を残渣として含む200mLステンレス鋼(SUS)製オートクレーブ反応器へ、前述の合成例で調製した式[1]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル100.5g(0.5mol、1当量)を量り取り、ドライアイスにて冷却した。冷却下、フッ化水素23.0g(1.15mol、2.3当量)を発熱に注意しながら導入した後、25℃まで昇温することで反応を開始した。昇温後、反応圧力を0.20MPa付近でコントロールするため、副生する塩化水素はコンデンサーを通して系外へ除去しながら、反応を14時間行った。反応後、しばらく静定した反応液をデカンテーションすることにより、反応液を85.7g回収し、反応に用いた触媒である四塩化スズは反応器内に残渣として滞在させた。得られた反応液の一部をフッ化ナトリウムにて少量含まれるフッ化水素は吸着後、ガスクロマトグラフィー分析に供すると、目的物である式[3]のデスフルランは91.4%、反応中間体の式[2]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルクロロフルオロメチルエーテルは1.7%、未反応の原料である式[1]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルは未検出であった。一方、基質の分解により副生するクロロホルムやフルオロジクロロメタンは未検出であった。
Figure 2019202971
触媒を回収し、再利用する検討(3回目)として、実施例8で回収した触媒を残渣として含む200mLステンレス鋼(SUS)製オートクレーブ反応器へ、前述の合成例で調製した式[1]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル100.5g(0.5mol、1当量)を量り取り、ドライアイスにて冷却した。冷却下、フッ化水素23.0g(1.15mol、2.3当量)を発熱に注意しながら導入した後、25℃まで昇温することで反応を開始した。昇温後、反応圧力を0.20MPa付近でコントロールするため、副生する塩化水素はコンデンサーを通して系外へ除去しながら、反応を14時間行った。反応後、しばらく静定した反応液をデカンテーションすることにより、反応液を84.8g回収し、反応に用いた触媒である四塩化スズは反応器内に残渣として滞在させた。得られた反応液の一部をフッ化ナトリウムにて少量含まれるフッ化水素は吸着後、ガスクロマトグラフィー分析に供すると、目的物である式[3]のデスフルランは90.6%、反応中間体の式[2]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルクロロフルオロメチルエーテルは2.5%、未反応の原料である式[1]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルは未検出であった。一方、基質の分解により副生するクロロホルムやフルオロジクロロメタンは未検出であった。
Figure 2019202971
触媒を回収し、再利用する検討(4回目)として、実施例8で回収した触媒を残渣として含む200mLステンレス鋼(SUS)製オートクレーブ反応器へ、前述の合成例で調製した式[1]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル100.5g(0.5mol、1当量)、そして別途追加の四塩化スズ0.26g(1.0mmol、0.2mol%)を量り取り、ドライアイスにて冷却した。冷却下、フッ化水素23.0g(1.15mol、2.3当量)を発熱に注意しながら導入した後、25℃まで昇温することで反応を開始した。昇温後、反応圧力を0.20MPa付近でコントロールするため、副生する塩化水素はコンデンサーを通して系外へ除去しながら、反応を12時間行った。反応後、しばらく静定した反応液をデカンテーションすることにより、反応液を76.9g回収し、反応に用いた触媒である四塩化スズは反応器内に残渣として滞在させた。得られた反応液の一部をフッ化ナトリウムにて少量含まれるフッ化水素は吸着後、ガスクロマトグラフィー分析に供すると、目的物である式[3]のデスフルランは92.3%、反応中間体の式[2]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルクロロフルオロメチルエーテルは0.5%、未反応の原料である式[1]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルは未検出であった。一方、基質の分解により副生するクロロホルムやフルオロジクロロメタンは未検出であった。
[比較例1]
Figure 2019202971
攪拌機、圧力計、そしてコンデンサーを備えた500mLステンレス鋼(SUS)製オートクレーブ反応器へ前記の合成例で調製した式[1]で表される1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル140g(697mmol、1当量)を量り取り、ドライアイスにて冷却した。冷却下、フッ化水素139g(6.97mol、10当量)を発熱に注意しながら導入した後、直ちに120℃まで昇温することで反応を開始した。昇温後、反応圧力を1.5MPaでコントロールするため、副生する塩酸はコンデンサーを通して系外へ除去しながら、反応を17時間行った。反応後のガスクロマトグラフィー組成分析の結果、また、得られた有機物をガスクロマトグラフィーに供すると、目的物である式[3]のデスフルランは94.0%、反応中間体の式[2]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルクロロフルオロメチルエーテルは0.9%、未反応の原料である式[1]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルは0.4%であった。一方、基質の分解により副生するクロロホルムは0.5%、そしてフルオロジクロロメタンは0.4%であった。
反応液は冷却下、イオン交換水500g、次いで5%重曹水250gを用いて洗浄することにより、過剰に用いたフッ化水素を除去することで、反応粗体115gを得た。反応粗体の回収率は98.2%であった。この反応粗体に対し、理論段数25段の蒸留塔を用いて常圧蒸留を行ったところ、主留分(22−23℃)として53g、反応収率45%にて最終目的物である式[3]で表されるデスフルランを得た。主留分の組成は、目的物である式[3]のデスフルランが98.7%であり、反応基質(式[1]のジクロロメチルエーテル)のエーテル部位の開裂に由来する分解物(クロロホルム(沸点61.2℃)やフルオロジクロロメタン(沸点8.9℃))が0.6%含有していた。
このように、デスフルランは生成できているが、その一方で、クロロホルムやフルオロジクロロメタン等の分解物も生じていることがわかる。
[比較例2]
Figure 2019202971
圧力計と冷却コンデンサーを備え付けた100mLオートクレーブ反応容器(SUS316L製)にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の攪拌子を入れ、上式に示す1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル20g(99.5mmol、1.00当量)を量り取った。氷浴にて冷却後、フッ化水素8.3g(415mmol、4.2当量)を一括で仕込み、急な発熱に注意しながら15℃まで徐々に昇温した。次いで、0.1MPa付近(大気圧)の反応圧を維持するため副生する塩化水素は冷却コンデンサーを通して系外に除去しながら6時間の反応を行った。その後、全ての反応液を氷水へ吸収させることで反応を停止した。二層分離により得られた有機物は17.8gであった。また、得られた有機物をガスクロマトグラフィーに供すると、目的物である式[3]のデスフルランは4.8%、反応中間体の式[2]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルクロロフルオロメチルエーテルは5.1%、未反応の原料である式[1]の1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルは90.1%であった。一方、基質の分解により副生するクロロホルムやフルオロジクロロメタンは未検出であった。
以上、実施例及び比較例を以下の表にまとめる。なお、表中、「N.D.」は未検出であることを示す。
Figure 2019202971
本発明で対象とする1,2,2,2−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)は、吸入麻酔剤として利用できる。

Claims (8)

  1. 液相中、ルイス酸触媒の存在下、式[1]:
    Figure 2019202971
    で表される1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテルに、フッ化水素を0.6MPa以下の圧力下で反応させることにより、式[3]:
    Figure 2019202971
    で表される1,2,2,2−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)を製造する方法。
  2. ルイス酸触媒が、四塩化スズ、二塩化スズ、四フッ化スズ、二フッ化スズ、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、五フッ化アンチモン、四塩化チタン、塩化鉄(III)及び塩化アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の製造方法。
  3. ルイス酸触媒の使用量が、式[1]で表される1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル1molに対し、0.01mol%〜20mol%である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. フッ化水素の使用量が、式[1]で表される1,2,2,2−テトラフルオロエチルジクロロメチルエーテル1molに対し、0.1mol〜50molである、請求項1乃至3の何れかに記載の製造方法。
  5. フッ化水素との反応を、圧力として0.1MPa〜0.6MPaの範囲で行う、請求項1乃至4の何れかに記載の製造方法。
  6. フッ化水素との反応を、温度として−40℃〜+80℃の範囲で行う、請求項1乃至5の何れかに記載の製造方法。
  7. フッ化水素との反応後、ルイス酸触媒を回収し、再びフッ化水素との反応に該触媒を再利用する、請求項1乃至6の何れかに記載の製造方法。
  8. 液相中、ルイス酸触媒の存在下、式[2]:
    Figure 2019202971
    で表される1,2,2,2−テトラフルオロエチルクロロフルオロメチルエーテルに、フッ化水素を0.6MPa以下の圧力下で反応させることにより、式[3]:
    Figure 2019202971
    で表される1,2,2,2−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(デスフルラン)を製造する方法。
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