以下、本発明に係る処理液塗布装置、処理液塗布乾燥装置、画像形成装置および画像形成システムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な実施形態であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかし、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
まず、本発明に係る画像形成システムの実施形態について説明する。画像形成システムの実施形態である印刷システム200は、図1に示すように、給紙装置210と、前処理液塗布乾燥装置220と、第1のインクジェットプリンタ230と、反転装置240と、第2のインクジェットプリンタ250と、後乾燥装置260と、巻取装置270と、を備える。なお、前処理液塗布乾燥装置220は、本発明に係る処理液塗布装置および処理液塗布乾燥装置の実施形態に相当する。
給紙装置210は、記録媒体Wを、記録媒体Wの搬送経路の下流に設けられた前処理液塗布乾燥装置220に供給する装置である。記録媒体Wは、例えば、ロール状の長尺の連続紙である。
前処理液塗布乾燥装置220は、後述するように、記録媒体Wに画像を形成する際に用いられるインクの滲みや裏写りを抑える前処理液を当該記録媒体Wに塗布する処理液塗布部と、その後、前処理液が塗布された記録媒体Wを乾燥させる乾燥装置と、を備える装置である。
第1のインクジェットプリンタ230は、前処理液塗布乾燥装置220において前処理液が塗布された記録媒体Wの表側の面にインクを吐出して所望の画像を形成する画像形成部を備える画像形成装置である。
反転装置240は、第1のインクジェットプリンタ230により形成された記録媒体Wの表側の画像を乾燥させる乾燥機構と、記録媒体Wの表裏を反転させる反転機構を備え、画像が形成された記録媒体Wの表裏を反転させて第2のインクジェットプリンタ250に搬送する装置である。
第2のインクジェットプリンタ250は、反転装置240において表裏が反転された記録媒体Wの表側(反転前の裏側)の面にインクを吐出して所望の画像を形成する画像形成部を備える画像形成装置である。
後乾燥装置260は、両面に画像が形成された記録媒体Wを、熱風等により乾燥させる装置である。
巻取装置270は、画像が形成され処理液とともにインクも乾燥した記録媒体Wを巻取る装置である。
なお、上記にて説明をした各装置が備える機能を集約した画像形成装置は、本発明に係る画像形成装置の実施形態に相当するものとなる。その場合、上記の各装置が備える構造は、その大きさや詳細な部分において異なる構造からなるが、主な機能は同等のである。
上記にて実施形態を説明した、本発明に係る画像形成システムおよび画像形成装置は、液体吐出記録方式であって、本明細書において記載される発明および実施形態も液体吐出記録方式を前提とするものである。本実施形態に係る印刷システム200等は、インクを吐出する記録ヘッド(液体吐出ヘッド)を備え、搬送されるウェブに対して記録ヘッドからインクが吐出されて、記録媒体に対する画像形成を行うものである。例えば、液体吐出ヘッドが主走査方向に移動しながらインク滴を吐出して画像を形成するシリアル型インクジェットプリンタや、液体吐出ヘッドが移動しない状態でインク滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを備えるライン型インクジェットプリンタが相当する。
ここで、「ウェブ」とは、画像形成が行われる対象を紙に限定するものではなく、OHPシートなどを含み、インク、その他の液体などが付着可能なものを意味する。被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。また、「画像形成」と同義語として、記録、印字、印写、印刷なども使用する。
そこで、本明細書においては、液体吐出記録方式の「画像形成装置(インクジェットプリンタ)」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の被記録媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味する。
「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
また本明細書における「インク」とは、一般的にインクと称されるものに限るものではなく、吐出されるときに液体状になり、記録ヘッドを介して吐出可能なものを含むものである。例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料なども含まれる。
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、または立体自体を3次元的に造形して形成された像も含まれる。
液体吐出方式の画像形成装置において、特にインクジェット方式の画像形成は、低騒音、低ランニングコストに加えて、カラー化が容易といった利点を有していることから、近年、急速に普及してきている。しかし、専用紙以外のウェブに画像を形成すると、滲み、濃度、色調や裏写りなどといった初期の品質問題に加えて、耐水性、耐候性といった画像の堅牢性に関わる問題を有しているため、これらの問題を解決する提案がなされている。
それらの解決手段として、ウェブである用紙にインク滴が着弾する前にインクを凝集させる機能を有する処理液を塗布して、画質を改善する方法がある。この処理液を塗布する方法として、ローラを用いてウェブの全面に塗布する方法が知られている。
次に、本発明に係る処理液塗布装置の実施形態である前処理液塗布乾燥装置220について、従来例を用いて説明する。図2に示すように、前処理液塗布乾燥装置220は、前処理液塗布ユニット330、供給ユニット340、乾燥ユニット350、ダンサーユニット380を備える。
前処理液塗布乾燥装置220に給紙装置210から供給される記録媒体Wは、ガイドローラ321を経由して搬送され、前処理液塗布乾燥装置220の内部において適正な張力が付与された状態で搬送される。ガイドローラ321を経た記録媒体Wは、前処理液塗布ユニット330と、裏面塗布ユニット333と、表面塗布ユニット334と、回転駆動するアウトフィードローラ335と、アウトフィードローラ335との間で記録媒体Wを弾性的に挟持するフィードニップローラ336と、により形成される搬送路において搬送され、後段に配置されている第1のインクジェットプリンタ230に至る。
前処理液塗布乾燥装置220の内部を搬送される記録媒体Wは、スクイーズローラ2、塗布ローラ1と加圧ローラ3を有する塗布機構である裏面塗布ユニット333で一方の面(裏面)に前処理液を塗布される。そして、裏面塗布ユニット333を通過した記録媒体Wは、同じくスクイーズローラ2、塗布ローラ1および加圧ローラ3を有する塗布機構である表面塗布ユニット334で他方の面(表面)に前処理液を塗布される。表面塗布ユニット334を通過した記録媒体Wは、アウトフィードローラ335とフィードニップローラ336によって乾燥ユニット350に搬送される。なお、裏面塗布ユニット333および表面塗布ユニット334は、いずれも選択的に作動するものであり、記録媒体Wは、表面又は裏面のいずれか一方、或いは両面に前処理液が塗布される。
供給ユニット340は、前処理液を貯留し、随時、裏面塗布ユニット333および表面塗布ユニット334に前処理液を供給する。
乾燥ユニット350は、第1段裏面加熱ローラ40aおよび第1段表面加熱ローラ40bを備える第1段加熱ローラセット40、第2段裏面加熱ローラ50aおよび第2段表面加熱ローラ50bを備える第2段加熱ローラセット50、第3段裏面加熱ローラ60aおよび第3段表面加熱ローラ60bを備える第3段加熱ローラセット60、排出用搬送ローラ70、を有する。
第1段加熱ローラセット40、第2段加熱ローラセット50、第3段加熱ローラセット60は、記録媒体Wの搬送経路中の搬送方向の上流から下流に並べて配置される。各加熱ローラ40a、40b、50a、50b、60a、60b(以下、「40a〜60b」とする)は、長手方向の両端部において、軸受けによって回転可能に支持される。
第1段裏面加熱ローラ40aと第1段表面加熱ローラ40b、第2段裏面加熱ローラ50aと第2段表面加熱ローラ50b、第3段裏面加熱ローラ60aと第3段表面加熱ローラ60bは、互いに離間して千鳥状に配置される。例えば、第1段裏面加熱ローラ40a、第2段裏面加熱ローラ50a、第3段裏面加熱ローラ60aそれぞれの回転中心を結ぶ線と、第1段表面加熱ローラ40b、第2段表面加熱ローラ50b、第3段表面加熱ローラ60bそれぞれの回転中心を結ぶ線とが平行且つ離間するように配置される。
また、乾燥ユニット350の外側には、回転駆動するアウトフィードローラ335と、アウトフィードローラ335との間で記録媒体Wを弾性的に挟持するフィードニップローラ360が配置される。乾燥ユニット350の外側に搬送された記録媒体Wは、フィードローラ359とフィードニップローラ360の間を通ってダンサーユニット380に搬送される。
ダンサーユニット380は、3つのガイドローラ381、錘を有し重力方向に移動可能な可動フレーム384、可動フレーム384の位置を検出する位置検出手段、および可動フレーム384に回転自在に取り付けられた2つのダンサーローラ385、386を有する。記録媒体Wは、3つのガイドローラ381および2つのダンサーローラ385、386において、W字状に巻き掛けられる。
ダンサーユニット380は、位置検出手段の出力に基づいてアウトフィードローラ335の回転駆動を制御して、可動フレーム384の上下方向の位置を調整する。これにより、前処理液塗布乾燥装置220と第1のインクジェットプリンタ230との間の記録媒体Wのバッファー量が確保される。
次に、裏面塗布ユニット333および表面塗布ユニット334について、図3を用いて詳細に説明する。図3に示すように、裏面塗布ユニット333および表面塗布ユニット334は、いずれも、処理液Lが貯留される容器4の中にスクイーズローラ2が配置され、スクイーズローラ2に対し重力方向上方に塗布ローラ1が配置され、さらに、その上方に加圧ローラ3が配置されている。記録媒体Wは、塗布ローラ1と加圧ローラ3により挟持されて、この間を搬送されるようになっている。
処理液Lは、モータにより駆動されるスクイーズローラ2の回転により汲み上げられる。スクイーズローラ2により汲み上げられた処理液Lは、周辺をゴム等の弾性体で覆われた塗布ローラ1とスクイーズローラ2とのニップにより、一部が掻き落とされて容器4に戻され、残った処理液Lは塗布ローラ1の周面上に薄く均一に引き延ばされる。塗布ローラ1の周面に引き伸ばされた処理液Lは、加圧ローラ3と塗布ローラ1とで形成された塗布ニップNに挟まれた記録媒体Wに塗布される。加圧ローラ3と塗布ローラ1は、記録媒体Wの幅方向の長さ(搬送方向に対して直交する方向の長さ)と同等かそれ以上の長さを有する長尺の部材である。したがって、記録媒体Wは塗布ニップNを通過することにより、一方の面(または他方の面)の前面に処理液Lが塗布される。
次に、前処理液塗布乾燥装置220が備える塗布機構について説明をする。図4に示すように、加圧ローラ3は、支持部材であるアーム15に支持される。加圧ローラ3は、軸部材である軸100を介してアーム15に支持される。加圧ローラ3は、軸受けを介して軸100に支持されているので、軸方向の中心を回転中心とする回転が可能な状態で、軸受けを介してアーム15に支持される。軸100の加圧ローラ3を支持する端部の反対側の端部は、アーム15に設けられている嵌合孔140に勘合し、位置決めされている。
嵌合孔140は、所定の公差を有し、軸100が回転しないように固定する孔であって、その形状等に特徴を有する。嵌合孔140の詳細は、後述する。
アーム15は、前処理液塗布乾燥装置220の筐体の一部であるベース10に対して、一方の端部が固定され、他方の端部が稼働できる状態で揺動可能に保持されている。アーム15の一方の端部側には、回転孔16が設けられている。ベース10には、一方の端部が固定された固定軸23が設けられていて、この固定軸23の他方の端部が回転孔16に通されている。アーム15の他方の端部側には、バネ21が引っ掛けられている。このバネ21のもう一方はベース10に固定されたピン22に引っ掛けられている。アーム15は、回転孔16と軸100の間に、固定孔24が開けられており、段ネジ17によりベース10に固定されている。
アーム15の回転孔16は、固定軸23よりも大きな孔となっており、回転孔16と固定軸23の間には、すきま28が設けられている。同様に、アーム15の固定孔24は、段ネジ17よりも大きな孔であり、固定孔24と段ネジ17の間にも、すきま29が存在する。
アーム15はバネ21により回転孔16を回転中心としてベース10側に引っ張られていて保持されている。したがって、アーム15に支持されている加圧ローラ3には、アーム15に嵌合している軸100を介して、ベース10側に押し付けられる力が加わっている。
ベース10は、加圧ローラ3に対向する位置に、コロ19、コロ30が取り付けられており、コロ19の中心軸20とコロ30の中心軸31は、ベース10に固定されている。すでに説明したとおり、加圧ローラ3は軸100を介してベース10側に押し付けられる状態になっているので、加圧ローラ3は、その周面がバネ21の付勢によってコロ19、コロ30に押し付けられる状態で支持されている。アーム15には、回転孔16と固定軸23の間にすきま28があり、固定孔24と段ネジ17の間にすきま29があるので、アーム15の回動によってコロ19とコロ30に押し当てられるようになっている加圧ローラ3は、常にコロ19とコロ30の間にずれ込むことができ、これによって、加圧ローラ3は、両コロのそれぞれに接触する状態に至るように構成されている。
加圧ローラ3を支持するアーム15、軸100、段ネジ17、バネ21、ピン22はそれぞれベース10の長手方向両端に配置されている。軸100は、一方の端部がアーム15に嵌合されて回転しない状態になっている。この嵌合端の反対側の端部が加圧ローラ3の両端を支持するようになっている。
ベース10の長手方向両端には、短手方向の側面部において、コロ19およびコロ30が配置されている側の反対側にカムフォロア13が配置されている。カムフォロア13は、固定軸14によりベース10に固定されている。カムフォロア13に接する形でカム11が回転軸12により固定されている。カム11は、モータ25により回転軸12を軸として回転する構成になっている。カム11が回転するとカムフォロア13を下方に押し込む。カムフォロア13が下方に押し込まれると、ベース10に対して下方への力が加わるので、この力によってベース10は固定軸23を軸とする回転動作をする。
ベース10が上記のような回転動作をするとベース10に取り付けられたコロ19およびコロ30は下方に移動する。そこで、コロ19およびコロ30に接していた加圧ローラ3は、コロ19およびコロ30に押されて下方に移動する。この加圧ローラ3の移動は、ベース10の移動と共に固定軸23を軸とする回転移動の様になる。カム11が回転してカムフォロア13を押し込んでいくと、加圧ローラ3は塗布ローラ1に接触する。カム11がカムフォロア13を最大押し込んだ状態で、加圧ローラ3は塗布ローラ1に任意の荷重を掛けるように構成されている。塗布ローラ1は回転軸27を中心に回転する構成になっており、加圧ローラ3は塗布ローラ1が回転することで「つれ回り」をする。
次に、加圧ローラ3がアーム15対して回転可能な状態で支持される構造について、図5を用いて説明する。
加圧ローラ3は、両端部に軸受けとなるベアリング35が圧入されている。ベアリング35に対して軸100の一方の端部(アーム15に嵌合されている端部の反対側)が挿入されている。軸100においてベアリング35に挿入される側の端部を「支持部100a」とする。また、軸100においてアーム15に嵌合されている側の端部を「嵌合部100b」とする。加圧ローラ3は、アーム15に対して嵌合している軸100とベアリング35によって、軸100に対して回転可能な状態で支持されている。軸100は、無回転状態に保持される嵌合部100bがアーム15に設けられた嵌合孔140に勘合し、これによって位置決めされている。
ベース10に固定されているコロ19およびコロ30は、加圧ローラ3の長手方向において、所定の間隔を空けて複数配置されている。図5に示す様に、コロ19aの中心軸20aはコロ19aが加圧ローラ3に接する位置で、ネジ33によりベース10に固定されている。同様に、コロ19bの中心軸20b、コロ19cの中心軸20c、コロ19dの中心軸20d、コロ30aの中心軸31a、コロ30bの中心軸31b、コロ30cの中心軸31c、コロ30dの中心軸31dも、それぞれ、ネジ33によりベース10に固定されている。
加圧ローラ3を支持するアーム15はバネ21でベース10方向に引っ張られているため、加圧ローラ3は常にコロ19a〜19d、およびコロ30a〜30dに接している状態となる。このため、加圧ローラ3がカム11により塗布ローラ1側に押し込まれても、コロ19a〜コロ19d、およびコロ30a〜コロ30dに支えられることにより、長手方向のたわみは抑えられる状態になっている。
次に、本実施形態の特徴について、比較例を用いながら説明をする。以下において説明をする比較例は、本実施形態に係る塗布機構における加圧ローラ3の支持構造に関するものである。比較例では、本実施形態と区別するために軸100に対応する構成を「軸18」とする。また、アーム15側に設けられる嵌合孔140に対応する構成を「公差孔32」とする。
図6は、比較例としての塗布機構における加圧ローラ3の支持構造の例である。図6に示すように、軸18を介してアーム15に加圧ローラ3が支持されている。軸18の一方の端部であって、アーム15に固定される側の端部である突起部18bがアーム15の公差孔32に勘合した状態で溶接により固定される。軸18の他方の端部であって、加圧ローラ3へ挿入される側の端部である支持部18aは、加圧ローラ3に内包される軸受け(ベアリング35)の内輪35bに挿入されている。ベアリング35は、加圧ローラ3の長手方向端部に形成されている円筒加工部36に圧入されている。
円筒加工部36は、加圧ローラ3の長手方向の側面から軸方向内側に向けて形成された穴であって、所定の深さ寸法を有する。ベアリング35は、加圧ローラ3の側面から円筒加工部36の一定の深さにまで挿入されて固定される。円筒加工部36は、ベアリング35の外輪35aが挿入できる径であって、これに続けて、外輪35aよりも小さい径からなる円筒加工部38が加圧ローラ3の軸方向内側に向けてさらに形成されている。円筒加工部36と円筒加工部38の境界部分には、外輪35aが突き当てられる突き当て部37が形成されている。したがって、加圧ローラ3の側面から円筒加工部36に挿入されたベアリング35は、突き当て部37まで挿入されて位置決めされて外輪35aが固定される。
ベアリング35の内輪35bに挿入される支持部18aは、その先端部分が円筒加工部38に至る程度の長さを有する。軸18(支持部18a)がベアリング35に挿入されることで、加圧ローラ3がアーム15に対して回転可能な状態で支持される。これによって、加圧ローラ3は、塗布ローラ1の回転によって「つれ回り」をするときに、ベアリング35の外輪35aが加圧ローラ3と一緒に回転する。このとき、内輪35bは軸18の支持部18aと一緒に静止している。加圧ローラ3の長手方向両端で同じ構成になっており、加圧ローラ3は軸18に両端が保持された状態でスムーズに回転する構成になっている。
次に、比較例における軸18をアーム15に固定する構造について図7を用いて説明する。アーム15に設けられている公差孔32に対して軸18の突起部18bが勘合する形で嵌め込まれる。通常、軸18の円周方向において2〜3箇所程度、溶接ビード90によりアーム15と軸18が溶接される。ここで溶接箇所は、突起部18bがアーム15から突き出ている側でもよいし、図7のように、軸18がアーム15に突き当てられている側でもよい。この溶接固定は、アーム15に対して軸18が直角となるようにする。しかし実際の溶接作業では、アーム15と軸18の突起部18bの勘合具合や、溶接ビード90の付き方により、アーム15に対して軸18が直角にならず、多少の角度誤差がある状態で固定されてしまう。
したがって図8に示すように、溶接ビード90の付け具合によっては、アーム15に対して軸18が傾いて溶接され固定されることもあり得る。このように、アーム15に対して軸18が傾いた状態で固定されるのは、突起部18bとアーム15の公差孔32の間に、公差分のすきまがあるからである。また、溶接作業時に、軸18に対して溶接ビード90側に引っ張られる力が働く。仮に、角部分(軸18とアーム15の突き当て部分)に溶接ビード90を均等に付けたとしても、溶接ビード90が軸18を全方向に均等に引っ張るとは限らず、軸18とアーム15の関係が直角ではない状態で固定されてしまうこともある。
軸18がアーム15に対して直角ではなく傾いた状態で固定された場合、加圧ローラ3をアーム15に対して直角に配置しても、軸18の軸中心に相当する軸中心線51とベアリング35の内輪35bにおける回転中心に相当する回転中心線52は、一直線にならない。すなわち、図8に示すように、軸中心線51と回転中心線52に傾き角θ1が発生してしまう。傾き角θ1が大きくなって、ベアリング35の許容傾き角を超えてしまう場合、ベアリング35の寿命が大幅に短くなる可能性がある。このような組み付け時に生じざるえない誤差による悪影響を排除するには、自動調心機能を備えるベアリング35を変更すればよい。しかしながら、自動調心機能を備えるベアリングは(自動調心機能を備えない)通常のベアリングに比べて大型になる、加圧ローラ3の端部に埋設することができない場合がある。
また、図9に示すように、アーム15に対して軸18がほぼ直角なる状態で溶接されたとしても、アーム15自体が加圧ローラ3に対して角度ずれを起こすことがある。この場合、軸18の支持部18aはアーム15とほぼ直角である。そのため、ベアリング35の内輪35bの回転中心線52に対して、軸18の軸中心線51は傾き角θ2だけ傾いた状態となる。
傾き角θ2が大きくなって、ベアリング35の許容傾き角を超えてしまう場合、ベアリング35の寿命が大幅に短くなる可能性がある。また、図8に示した軸18の溶接による傾きと、図9に示したアーム15の傾きが同じ方向であった場合、加圧ローラ3に圧入されたベアリング35の内輪35bの回転中心線52と軸18の軸中心線51の傾きは、より大きくなる。これによって、ベアリング35への負担はさらに増大して、ベアリング35の寿命低下につながる可能性は、より大きくなる。
以上説明した比較例のように、軸受けであるベアリング35の回転中心と、軸18の軸中心との間にズレが生じた場合(アーム15に対して加圧ローラ3が傾く方向に力が加わった場合)、加圧ローラ3を回転自在に支持するベアリング35および軸18に過度の負荷を加える状態になる。これによって、ベアリング35が破損されるおそれがある。以上説明をした比較例を参考にしながら、以下、本実施形態に係る塗布機構について詳細に説明をする。本実施形態に係る塗布機構を備える前処理液塗布乾燥装置220であれば、比較例を用いて説明したような障害を防ぐことができる。
本実施形態に係る塗布機構は、比較例では生じたようなアーム15に対して加圧ローラ3の回転中心が傾く状態になっても、この傾きを吸収し、ベアリング35に対する負荷を軽減できる構造を備えている。
図10は本実施形態に係る塗布機構における、アーム15に取り付けられる軸部材である軸100の支持構造である。軸100は、アーム15に設けられている嵌合孔140に対して嵌合部100bが挿入されて所定の位置で支持される。アーム15から突出した部分に当たる嵌合部100bの先端部分にはネジ120が固定できるようになっている。また、ネジ120とアーム15の側面部の間にワッシャ110が介在するようになっている。すなわち、軸100は、嵌合部100bをアーム15の嵌合孔140に挿入し、突き出た部分にワッシャ110を介在させてネジ120を固定することで、アーム15に固定されている。ワッシャは、軸100がアーム15から抜けることを防止する抜け止め部材である。
嵌合孔140の形状は、Dカット形状になっている。嵌合部100bは、長さ方向全体または嵌合孔140の内周部分に当接する箇所の断面形状がDカット形状になっている。なお、嵌合孔140および嵌合部100bの形状は、Dカット形状に限定するものではない。これらの形状は、嵌合部100bがアーム15に嵌合して所定の位置で保持される状態において、軸100がアーム15に対して回転することなく保持されるものであればよい。したがって、嵌合孔140および嵌合部100bの形状は、矩形状や多角形状でもよく、軸100の軸方向における回転非対称形状であればよい。
また、図10に示すように軸100の嵌合部100bの長さは、アーム15の厚みよりも長い。したがって、嵌合部100bの端部はアーム15から突出する。嵌合部100bの突出端とアーム15との間にはワッシャ110が介在する。ワッシャ110とアーム15の側面の間には、「すきま130」が存在する。また、アーム15の嵌合孔140と軸100の嵌合部100bの間において、平面部分には「すきま150」が存在し、円弧部分には「すきま160」が存在する。これら複数のすきま(すきま130、すきま140、すきま160)によって、軸100はアーム15の側面に対して、軸100の円周方向における任意の角度(約1°から約2°程度)をもって傾くことができ、かつ、傾いても、軸100の軸中心がベアリング35の回転中心に対しては傾かないように構成されている。
また、ネジ120とワッシャ110を軸100から取り外し、図4に示した段ネジ17を取り外して、アーム15を固定軸23の長手方向へガタ分だけ動かすと、軸100の嵌合部100b部分がアーム15から外れる構成になっている。この構成によって、比較例のような構造であれば加圧ローラ3を交換するときは、加圧ローラ3のベアリング35から軸100が抜けるまでアーム15を移動させなければならなかったが、ネジ120とワッシャ110を取り外すだけで、加圧ローラ3をアーム15から外すことができる。したがって、本実施形態に係る構造であれば、加圧ローラ3の交換を容易に行うことができる。
次に、本実施形態に係る前処理液塗布乾燥装置220が備える塗布機構の特徴について、より具体的に説明する。加圧ローラ3が塗布ローラ1に押圧されて、アーム15に支持される軸100にベアリング35に対する傾きを生じさせる方向の力が加わる状態になっても、アーム15に対する軸100の傾きを吸収できる構造について示した図である。図11は、当該構造における軸100の固定側(アーム15の外面側)から見た図である。
図11に示す様に、アーム15に設けられている嵌合孔140の断面形状は、Dカット状であって、上方が平面、下方が円弧になっている。
アーム15の嵌合孔140と、これに挿入される軸100の嵌合部100bの断面形状は、相似形である。また、嵌合部100bの外縁部と嵌合孔140の内周部との間には、形状がことなる「すきま」が複数形成されている。嵌合孔140と嵌合部100bの平面部分に「すきま150」が存在し、嵌合孔140と嵌合部100bの円柱部分に「すきま160」が存在する。軸100の嵌合部100bには、その先端部分にネジ孔170が形成されている。図10に示したように、嵌合部100bを嵌合孔140に挿通し、アーム15から突出した嵌合部100bにワッシャ110を通し、ネジ120を締めこむことで、ワッシャ110と軸100の一部によってアーム15を挟む構造になっている。アーム15の嵌合孔140に軸100の嵌合部100bが挿入されることで、ネジ120を締めこむ際、軸100は「つれ回り」しない構造になっている。また、すきま150とすきま160が存在することにより、軸100はアーム15に対して、軸100の円周方向に傾くことができる構成になっている。
なお、図11を用いて説明した本実施形態では、アーム15の嵌合孔140、および軸100の嵌合部100bはどちらもDカット形状となっているが、この形状に限定されるものではない。これらの形状は、小判形状や多角柱形状などのように円筒以外(回転止めとなる形状)であればよい。嵌合孔140と嵌合部100bの形状は、相似形であればよく、その一部において、平面部分を含めばよい。また、嵌合孔140と嵌合部100bの間には、その形状に関わらず、軸100の円周方向において、軸100がアーム15に対して傾くことができるように、「すきま」が存在すればよい。
次に、図10および図11を用いて説明した本実施形態に係る軸100のアーム15に対する支持構造の効果について図12を用いて説明する。図12は、加圧ローラ3を保持している状態の軸100がアーム15に対して所定の方向に傾くことができ、アーム15に対して加圧ローラ3が揺動できる状態であっても、ベアリング35に負荷が掛からない構造を説明する図である。軸100の支持部100aは、加圧ローラ3に圧入されたベアリング35の内輪35bに挿入されている。軸100の嵌合部100bは、アーム15の嵌合孔140に挿入され、ワッシャ110とネジ120によりアーム15に固定されている。アーム15の嵌合孔140は、軸100の嵌合部100bよりもやや大きな孔形状となっており、アーム15の嵌合孔140と軸100の嵌合部100bとの間には、「すきま150」と「すきま160」が存在する。
嵌合部100bの一部である突出端とアーム15との間に介在するワッシャ110とアーム15の側面との間には「すきま130」が形成されている。ワッシャ110とネジ120を用いて軸100をアーム15に固定すると、「すきま130」、「すきま150」、「すきま160」の各すきまが許容する範囲で、軸100はアーム15に対して、軸100の円周方向に傾くことができる状態で支持される。すなわち、加圧ローラ3は、アーム15に対して、軸100の円周方向に傾き可能な状態で、当該アーム15に支持される構造になっている。これによって、加圧ローラ3の中心軸がアーム15に対して傾いたとしても、その傾きが吸収される。その効果として、軸100の回転中心が加圧ローラ3の回転中心(ベアリング35の回転中心)に対しては傾かない状態を維持できる。すなわち、アーム15と軸100の嵌合部100bの間の「すきま150」、「すきま160」、および、ワッシャ110とアーム15との間に存在する「すきま130」により軸100の中心軸が加圧ローラ3の中心軸に対して傾くことがないよう、アーム15に対する軸100の傾きによって吸収する構造になっている。
言い換えると、アーム15に対して加圧ローラ3の回転軸が直交せずに傾いた状態になっても、軸100の軸中心線180と、ベアリング35の内輪35bにおける軸100の回転中心に相当する回転中心線190は、直線上になる関係を維持できる。さらに言い換えると、本実施形態に係る前処理液塗布乾燥装置220では、加圧ローラ3を回転可能に支持するための軸100と、軸100を支持するアーム15との組み付け状態が直交状態を維持するようなものではなく、すきま(ガタ)をあえて存在させた状態にしている。これによって、アーム15に取り付けられた軸100が軸受けであるベアリング35の回転中心にならって配置される状態が、アーム15と軸100との関係に影響されることなく維持される。
また、軸100を支持するアーム15は、軸100に対して上下左右の任意の方向に任意の量だけ動くことができるが、軸100の回転中心はベアリング35の回転中心と常に一致する状態が保持される。すなわち、アーム15が揺動して軸100がアーム15に対して傾いても、その傾きによって軸100とベアリング35の関係は変化しない。したがって、軸100はアーム15に挿入された状態で、回転中心から放射方向に対して傾くことができ、これによって、ベアリング35の回転軸がアーム15に傾いたとしてもこれを吸収することができる。これによって、アーム15に対して軸100が傾く状態になっても、軸100がベアリング35に過大な力を加える状態を回避することができ、アーム15に対して揺動する加圧ローラ3を保持するベアリング35の破損を防止できる。
次に、本実施形態に係る処理液塗布装置が備える塗布機構の別の実施形態について、より詳細に説明する。図13に示すように、加圧ローラ3を軸100に対して回転可能に保持するための軸受けとして、複数のベアリング35を用いてもよい。
すでに図4を用いて説明したとおり、アーム15はバネ21のバネ力によってベース10側に引っ張られている。このバネ力により、軸100の支持部100aの中心軸を、ベアリング35の内輪35bの中心軸に対して傾けようとする力が働く。通常、バネ力は軸100を傾けるには小さい力にしておけば、軸100の傾きをベアリング35の許容角度以内でき、ベアリング35の寿命に影響を及ぼさない構成にできる。しかし、加圧ローラ3をコロ19、コロ30側に確実に押し付けたい場合などは、バネ力を強くする必要がある。この場合、アーム15をベース10側に引っ張る力が強くなるので、図13に示すように、ベアリング35を複数(例えば、2連)用いれば、軸100の支持部100aをベアリング35の内輪35bがしっかりと受ける構成にできる。これによって、ベアリング35の1個に掛かる負担を軽減することができる。
したがって、自動調心ベアリングなどを使用せずに、加圧ローラ3の軸方向にベアリング35を2連にすることで、アーム15に対して軸100が傾こうとする力が強くなっても、軸100がベアリング35に過大な力を加える状態を回避することができる。すなわち、アーム15に対して揺動する加圧ローラ3を保持するベアリング35の破損を防止できる。
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。