以下、本発明の実施形態に係る保護フィルム付き光透過性フィルムおよび保護フィルムについて、図面を参照しながら説明する。本明細書において、「フィルム」、「シート」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「フィルム」はシートとも呼ばれるような部材も含む意味で用いられる。図1は本実施形態に係る保護フィルム付き光透過性フィルムの概略構成図であり、図2は連続折り畳み試験の様子を模式的に示した図であり、図3は折り畳み静置試験の様子を模式的に示した図であり、図4および図5は本実施形態に係る他の保護フィルム付き光透過性フィルムの概略構成図である。
<<<保護フィルム付き光透過性フィルム>>>
図1に示される保護フィルム付き光透過性フィルム10は、少なくとも樹脂基材21を備える折り畳み可能な光透過性フィルム20と、光透過性フィルム20の第1の表面20A(以下、単に「表面20A」と称することもある。)に剥離可能に貼り付けられた第1の保護フィルム30(以下、単に「保護フィルム30」と称することもある。)と、光透過性フィルム20の第1の表面20Aとは反対側の第2の表面20B(以下、単に「表面20B」と称することもある。)に剥離可能に貼り付けられた第2の保護フィルム40(以下、単に「保護フィルム40」と称することもある。)とを備えている。すなわち、図1に示される保護フィルム付き光透過性フィルム10においては、光透過性フィルム20の両面に保護フィルム30、40を備えている。保護フィルム30、40は、いずれも、後述するように厚みが30μm以上であり、ヘイズ値が10%以下であるので、本発明の要件を満たすものである。保護フィルム付き光透過性フィルムは、少なくとも光透過性フィルムの片面に本発明の要件を満たす保護フィルムを備えていれば、両面に本発明の要件を満たす保護フィルムを備えていなくともよい。例えば、図1の保護フィルム付き光透過性フィルム10は、保護フィルム30を備えていれば、保護フィルム40を備えていなくともよい。また、保護フィルム付き光透過性フィルム10は、ロール状に巻回されていてもよい。
光透過性フィルム20の表面20Aは、樹脂基材21の第1の表面21A(以下、単に「表面21A」と称することもある。)となっている。また、図1に示される光透過性フィルム20は、後述するように、樹脂基材21のみから構成されているので、光透過性フィルム20の表面20Bは、樹脂基材21における第1の表面21Aとは反対側の第2の表面21B(以下、単に「表面21B」と称することもある。)となっている。したがって、保護フィルム付き光透過性フィルム10においては、保護フィルム30は、樹脂基材21の表面21Aに剥離可能に貼り付けられており、また保護フィルム40は、樹脂基材21の表面21Bに剥離可能に貼り付けられている。光透過性フィルムの両面に剥離可能に貼り付けられており、かつ保護フィルムが樹脂基材の表面に剥離可能に貼り付けられている場合には、少なくとも一方の保護フィルムが樹脂基材の片面に剥離可能に貼り付けられていればよく、必ずしも両方の保護フィルムが樹脂基材の両面に剥離可能に貼り付けられていなくてもよい。
<<光透過性フィルム>>
光透過性フィルム20は、光透過性を有するフィルムである。本明細書における「光透過性フィルム」とは、光透過性を有するフィルムであれば、光学フィルムを製造する際に用いられる中間段階のフィルムおよび完成品である光学フィルムのいずれであってもよい。なお、図1に示される光透過性フィルム20は、光学フィルム100を製造する際に用いられる中間段階のフィルムである。また、「光透過性」とは、光を透過させる性質を意味し、例えば、全光線透過率が50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であることを含む。光透過性とは、必ずしも透明である必要はなく、半透明であってもよい。
図1に示される光透過性フィルム20は、樹脂基材21のみから構成されている。光透過性フィルム20は、樹脂基材21のみから構成されているので、以下の光透過性フィルム20の記載は、樹脂基材21にも当てはまる。光透過性フィルム20は、樹脂基材21の単層構造となっているが、樹脂基材と、樹脂基材の少なくとも片面に設けられた樹脂層との積層構造となっていてもよい。
光透過性フィルム20は、折り畳み可能となっているが、具体的には、光透過性フィルム20に対し次に説明する折り畳み試験(連続折り畳み試験)を10万回繰り返し行った場合であっても、光透過性フィルム20に割れまたは破断が生じないことが好ましく、連続折り畳み試験を20万回繰り返し行った場合であっても、光透過性フィルム20に割れまたは破断が生じないことがより好ましく、100万回繰り返し行った場合であっても、光透過性フィルム20に割れまたは破断が生じないことがさらに好ましい。光透過性フィルム20に対し連続折り畳み試験を10万回繰り返し行った場合に、光透過性フィルム20に割れ等が生じると、光透過性フィルム20の折り畳み性が不充分となる。
連続折り畳み試験は、以下のようにして行われる。なお、光透過性フィルム20の連続折り畳み試験は、保護フィルム30、40を剥離した状態で行うものとする。図2(A)に示すように連続折り畳み試験においては、まず、光透過性フィルム20の辺部20Cと、辺部20Cと対向する辺部20Dとを、平行に配置された固定部50でそれぞれ固定する。なお、光透過性フィルム20は、任意の形状であってよいが、連続折り畳み試験における光透過性フィルム20は、矩形(例えば、30mm×100mmの矩形)であることが好ましい。また、図2(A)に示すように、固定部50は水平方向にスライド移動可能になっている。
次に、図2(B)に示すように、固定部50を互いに近接するように移動させることで、光透過性フィルム20を折り畳むように変形させ、更に、図2(C)に示すように、光透過性フィルム20の固定部50で固定された対向する2つの辺部の間隔が30mmとなる位置まで固定部50を移動させた後、固定部50を逆方向に移動させて光透過性フィルム20の変形を解消させる。
図2(A)〜(C)に示すように固定部50を移動させることで、光透過性フィルム20を180°折り畳むことができる。また、光透過性フィルム20の屈曲部20Eが固定部50の下端からはみ出さないように連続折り畳み試験を行い、かつ固定部50が最接近したときの間隔を30mmに制御することで、光透過性フィルム20の対向する2つの辺部の間隔を30mmにできる。この場合、屈曲部20Eの外径を30mmとみなす。なお、光透過性フィルム20の厚みは、固定部50の間隔(30mm)と比較して充分に小さな値であるため、光透過性フィルム20の連続折り畳み試験の結果は、光透過性フィルム20の厚みの違いによる影響は受けないとみなすことができる。光透過性フィルム20においては、光透過性フィルム20の対向する辺部の間隔が30mmとなるように180°折り畳む試験を10万回繰り返し行った場合に割れまたは破断が生じないことが好ましいが、光透過性フィルム20の対向する辺部の間隔が20mm、15mm、10mm、6mm、3mm、または2mmとなるように180°折り畳む連続折り畳み試験を10万回繰り返し行った場合に割れまたは破断が生じないことがより好ましい(辺部の間隔が小さいほど好ましい)。
光透過性フィルム20においては、図3(A)に示されるように、光透過性フィルム20の辺部20Cと、辺部20Cと対向する辺部20Dとを、辺部20Cと辺部20Dの間隔が30mmとなるように平行に配置された固定部55でそれぞれ固定して、光透過性フィルム20を折り畳んだ状態で、70℃で240時間静置する折り畳み静置試験を行い、図3(B)に示されるように、折り畳み静置試験後に辺部20Dから固定部55を外すことによって、折り畳み状態を開放して、室温で30分後に光透過性フィルム20において光透過性フィルム20が自然に開く角度である開き角θを測定した場合に、光透過性フィルム20の開き角θが100°以上であることが好ましい。なお、開き角θは、大きいほど復元性が良好であることを意味し、最大で180°である。なお、光透過性フィルム20の折り畳み静置試験は、保護フィルム30、40を剥離した状態で行うものとする。
光透過性フィルム20のヘイズ値(全ヘイズ値)は3%以下となっていることが好ましい。光透過性フィルム20のヘイズ値が3%以下であれば、樹脂基材21の表面21Aおよび表面21Bにおける凹凸が少ないので、より優れた平滑性を有している。上記光透過性フィルム20のヘイズ値は、50mm×100mmの大きさに切り出した保護フィルム付き光透過性フィルム10から保護フィルム30、40を剥離し、光透過性フィルム20単体の状態であって、カールや皺がなく、かつ指紋や埃等がない状態で、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、株式会社村上色彩技術研究所製)を用いてJIS K7136:2000に準拠した方法により測定することができる。光透過性フィルムのヘイズ値は、光透過性フィルム1枚に対して3回測定して得られた値の算術平均値とする。本明細書における「3回測定する」とは、同じ場所を3回測定するのではなく、異なる3箇所を測定することを意味するものとする。なお、光透過性フィルムを上記大きさに切り出せない場合には、例えば、HM−150は測定する際の入口開口が20mmφであるので、直径21mm以上となるようなサンプル大きさが必要になる。このため、22mm×22mm以上の大きさに光透過性フィルムを適宜切り出してもよい。光透過性フィルムの大きさが小さい場合は、光源スポットが外れない範囲で少しずつずらす、または角度を変えるなどして測定点を3箇所にする。光透過性フィルム20のヘイズ値は、2%以下、1%以下の順にさらに好ましい(数値が小さいほど好ましい)。
光透過性フィルム20の全光線透過率は、85%以上であることが好ましい。光透過性フィルム20の全光線透過率が85%以上であれば、充分な光学的性能を得ることができる。全光線透過率は、50mm×100mmの大きさに切り出した保護フィルム付き光透過性フィルム10から保護フィルム30、40を剥離し、光透過性フィルム20単体の状態であって、カールや皺がなく、かつ指紋や埃等がない状態で、JIS K7361−1:1997に準拠して、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて、測定することができる。光透過性フィルムの全光線透過率は、光透過性フィルム1枚に対して3回測定して得られた値の算術平均値とする。なお、光透過性フィルムを上記大きさに切り出せない場合には、例えば、HM−150は測定する際の入口開口が20mmφであるので、直径21mm以上となるようなサンプル大きさが必要になる。このため、22mm×22mm以上の大きさに光透過性フィルムを適宜切り出してもよい。光透過性フィルムの大きさが小さい場合は、光源スポットが外れない範囲で少しずつずらす、または角度を変えるなどして測定点を3箇所にする。光透過性フィルム20の全光線透過率は、88%以上、90%以上の順にさらに好ましい(数値が大きいほど好ましい)。
光透過性フィルム20は、イエローインデックス(YI)が15以下であることが好ましい。光透過性フィルム20のYIが15以下であれば、光透過性フィルム20の黄色味を抑制でき、透明性が求められる用途に適用できる。イエローインデックス(YI)は、分光光度計(製品名「UV−3100PC」、株式会社島津製作所製、光源:タングステンランプおよび重水素ランプ)を用いて50mm×100mmの大きさに切り出した保護フィルム付き光透過性フィルム10から保護フィルム30、40を剥離し、光透過性フィルム20単体の状態で測定された値からJIS Z8722:2009に記載された演算式に従って色度三刺激値X、Y、Zを計算し、三刺激値X、Y、ZからASTM D1925:1962に記載された演算式に従って算出された値である。光透過性フィルム20のイエローインデックス(YI)の上限は、10未満、1.5未満の順にさらに好ましい(数値が小さいほど好ましい)。
光透過性フィルム20のイエローインデックス(YI)を調整するために、例えば、樹脂基材21に、黄色の補色となる青色の色素を含有させてもよく、また樹脂基材の少なくとも片面に設けられた層(例えば後述する樹脂層71、91、92)に青色の色素を含有させてもよい。樹脂基材21として、ポリイミド基材を用いたことで、黄色味が問題となるような場合であったとしても、樹脂基材21に青色の色素を含ませることで、光透過性フィルムのイエローインデックス(YI)を低下させることができる。
上記青色の色素としては、顔料または染料のいずれであってもよいが、例えば、光透過性フィルム20が有機発光ダイオード表示装置に用いられる場合、耐光性や耐熱性を兼ね備えたものが好ましい。上記青色の色素として、多環系有機顔料や金属錯体有機顔料等は、染料の分子分散に比べて紫外線による分子裂断の度合いが少なく耐光性が格段に優れるため、耐光性等が求められる用途に好ましく、より具体的には、フタロシアニン系の有機顔料等が好適に挙げられる。ただし、顔料は溶剤に対して粒子分散するため、粒子散乱による透明性阻害は存在するため、顔料分散体の粒度をレイリー散乱域に入れることが好ましい。一方、光透過性フィルムの透明性が重要視される場合には、上記青色の色素としては、溶剤に対して分子分散する染料を用いることが好ましい。
光透過性フィルム20の用途は、特に限定されないが、光透過性フィルム20の用途としては、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ(PC)、ウェアラブル端末、デジタルサイネージ、テレビジョン、カーナビゲーション等の画像表示装置が挙げられる。
光透過性フィルム20は、所望の大きさにカットされていてもよいが、ロール状であってもよい。光透過性フィルム20が所望の大きさにカットされている場合、光透過性フィルムの大きさは、特に制限されず、画像表示装置の表示面の大きさに応じて適宜決定される。具体的には、光透過性フィルム20の大きさは、例えば、2.8インチ以上500インチ以下となっていてもよい。本明細書における「インチ」とは、光学フィルムが四角形状である場合には対角線の長さを意味し、円形状である場合には直径を意味し、楕円形状である場合には、短径と長径の和の平均値を意味するものとする。ここで、光学フィルムが四角形状である場合、上記インチを求める際の光学フィルムの縦横比は、画像表示装置の表示画面として問題がなければ特に限定されない。例えば、縦:横=1:1、4:3、16:10、16:9、2:1等が挙げられる。ただし、特に、デザイン性に富む車載用途やデジタルサイネージにおいては、このような縦横比に限定されない。また、光透過性フィルム20の大きさが大きい場合には、任意の位置からA5サイズ(148mm×210mm)に切り出した後、各測定項目の大きさに切り出すものとする。
<樹脂基材>
樹脂基材21は、樹脂からなる基材である。樹脂基材21の厚みは、10μm以上100μm以下となっていることが好ましい。樹脂基材21の厚みが10μm以上であれば、カールを抑制でき、また充分な硬度を得ることができ、更に、光透過性フィルムをRoll to Rollで製造する場合であっても、皺が発生しにくくなり、外観の悪化を招くおそれがない。一方、樹脂基材21の厚みが100μm以下であれば、光透過性フィルムの折り畳み性能が良好であり、連続折り畳み試験の要件を満足させることができ、また、光透過性フィルムの軽量化の面で好ましい。樹脂基材21の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、樹脂基材21の断面を撮影し、その断面の画像において樹脂基材21の厚みを10箇所測定し、その10箇所の厚みの算術平均値とする。樹脂基材21の下限は20μm以上であることがより好ましく、樹脂基材21の上限は80μm以下であることがより好ましい。
樹脂基材21を構成する樹脂としては、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、またはこれらの樹脂を2以上混合した混合物等が挙げられる。これらの中でも、連続折り畳み試験において割れ又は破断が発生しにくいだけでなく、優れた硬度及び透明性をも有し、また、耐熱性にも優れ、焼成することにより、更に優れた硬度及び透明性を付与することもできる観点から、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、またはこれらの混合物が好ましい。
ポリイミド系樹脂は、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させて得られるものである。テトラカルボン酸成分とジアミン成分の重合によってポリアミド酸を得てイミド化することが好ましい。イミド化は、熱イミド化で行っても、化学イミド化で行ってもよい。また、熱イミド化と化学イミド化とを併用した方法で製造することもできる。ポリイミド系樹脂は、脂肪族のポリイミド系樹脂であってもよいが、芳香族環を含むポリイミド系樹脂であることが好ましい。芳香族環を含むポリイミド系樹脂は、テトラカルボン酸成分およびジアミン成分の少なくとも一方に芳香族環を含むものである。
テトラカルボン酸成分の具体例としては、テトラカルボン酸二無水物が好適に用いられ、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキサン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、4,4’−ビス〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、4,4’−ビス〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、3,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、3,3’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上を混合して用いることもできる。
ジアミン成分の具体例としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロピル)エチル]エーテル、trans−シクロヘキサンジアミン、trans−1,4−ビスメチレンシクロヘキサンジアミン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、また、上記ジアミンの芳香族環上水素原子の一部もしくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換したジアミンも使用することができる。これらは単独でも、2種以上を混合して用いることもできる。
光透過性を向上し、かつ、剛性を向上する点から、ポリイミド系樹脂としては、芳香族環を含み、かつ、(i)フッ素原子、(ii)脂肪族環、及び(iii)芳香族環同士の電子共役を切断する連結基からなる群から選択される少なくとも1つを含むポリイミド系樹脂であることが好ましい。ポリイミド系樹脂に芳香族環を含むと配向性が高まり、剛性が向上するが、芳香族環の吸収波長によって透過率が低下する傾向がある。ポリイミド系樹脂が(i)フッ素原子を含む場合には、ポリイミド骨格内の電子状態を電荷移動し難くすることができる点から光透過性が向上する。また、ポリイミド系樹脂が(ii)脂肪族環を含む場合には、ポリイミド骨格内のπ電子の共役を断ち切ることで骨格内の電荷の移動を阻害することができる点から光透過性が向上する。さらに、ポリイミド系樹脂が(iii)芳香族環同士の電子共役を切断する連結基を含む場合には、ポリイミド骨格内のπ電子の共役を断ち切ることで骨格内の電荷の移動を阻害することができる点からの点から光透過性が向上する。このような芳香族環同士の電子共役を切断する連結基としては、例えば、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、アミド結合、スルホニル結合、及び、スルフィニル結合、並びに、フッ素で置換されていても良いアルキレン基等の2価の連結基が挙げられる。
こられの中でも、芳香族環を含み、かつフッ素原子を含むポリイミド系樹脂であることが、光透過性を向上し、かつ剛性を向上する点から好ましく用いられる。フッ素原子を含むポリイミド系樹脂におけるフッ素原子の含有割合は、ポリイミド系樹脂の表面をX線光電子分光法により測定したフッ素原子数(F)と炭素原子数(C)の比率(F/C)が、0.01以上であることが好ましく、更に0.05以上であることが好ましい。一方でフッ素原子の含有割合が高すぎるとポリイミド系樹脂の本来の耐熱性などが低下する恐れがあることから、前記フッ素原子数(F)と炭素原子数(C)の比率(F/C)が1以下であることが好ましく、更に0.8以下であることが好ましい。ここで、X線光電子分光法(XPS)の測定による上記比率は、X線光電子分光装置(例えば、Thermo Scientific社 Theta Probe)を用いて測定される各原子の原子%の値から求めることができる。
また、ポリイミド系樹脂に含まれる炭素原子に結合する水素原子の70%以上が、芳香族環に直接結合する水素原子であるポリイミド系樹脂であることが、光透過性を向上し、かつ、剛性を向上する点から好ましく用いられる。ポリイミド系樹脂に含まれる炭素原子に結合する全水素原子(個数)中の、芳香族環に直接結合する水素原子(個数)の割合は、更に、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。ポリイミドに含まれる炭素原子に結合する水素原子の70%以上が、芳香族環に直接結合する水素原子であるポリイミドである場合には、大気中における加熱工程を経ても、例えば200℃以上で延伸を行っても、光学特性、特に全光線透過率やイエローインデックス(YI)の変化が少ない点から好ましい。ポリイミド系樹脂に含まれる炭素原子に結合する水素原子の70%以上が、芳香族環に直接結合する水素原子であるポリイミドである場合には、酸素との反応性が低いため、ポリイミド系樹脂の化学構造が変化し難いことが推定される。ポリイミド系樹脂からなる基材はその高い耐熱性を利用し、加熱を伴う加工工程が必要なデバイスなどに用いられる場合が多いが、ポリイミド系樹脂に含まれる炭素原子に結合する水素原子の70%以上が、芳香族環に直接結合する水素原子であるポリイミド系樹脂である場合には、これら後工程を透明性維持のために不活性雰囲気下で実施する必要が生じないので、設備コストや雰囲気制御にかかる費用を抑制できるというメリットがある。ここで、ポリイミド系樹脂に含まれる炭素原子に結合する全水素原子(個数)中の、芳香族環に直接結合する水素原子(個数)の割合は、ポリイミドの分解物を高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフ質量分析計及びNMRを用いて求めることができる。例えば、サンプルを、アルカリ水溶液、または、超臨界メタノールにより分解し、得られた分解物を、高速液体クロマトグラフィーで分離し、当該分離した各ピークの定性分析をガスクロマトグラフ質量分析計およびNMR等を用いて行い、高速液体クロマトグラフィーを用いて定量することでポリイミドに含まれる全水素原子(個数)中の、芳香族環に直接結合する水素原子(個数)の割合を求めることができる。
また、光透過性を向上し、かつ、剛性を向上する点から、ポリイミド系樹脂としては、中でも、下記一般式(1)および下記一般式(3)で表される構造からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有することが好ましい。
上記一般式(1)において、R
1はテトラカルボン酸残基である4価の基、R
2は、trans−シクロヘキサンジアミン残基、trans−1,4−ビスメチレンシクロヘキサンジアミン残基、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン残基、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン残基、および下記一般式(2)で表される2価の基からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の基を表す。nは繰り返し単位数を表し、1以上である。本明細書において、「テトラカルボン酸残基」とは、テトラカルボン酸から、4つのカルボキシル基を除いた残基をいい、テトラカルボン酸二無水物から酸二無水物構造を除いた残基と同じ構造を表す。また、「ジアミン残基」とは、ジアミンから2つのアミノ基を除いた残基をいう。
上記一般式(2)において、R
3およびR
4はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、またはパーフルオロアルキル基を表す。
上記一般式(3)において、R
5はシクロヘキサンテトラカルボン酸残基、シクロペンタンテトラカルボン酸残基、ジシクロヘキサン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸残基、および4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸残基からなる群から選ばれる少なくとも1種の4価の基、R
6は、ジアミン残基である2価の基を表す。n’は繰り返し単位数を表し、1以上である。
上記一般式(1)における、R1はテトラカルボン酸残基であり、前記例示されたようなテトラカルボン酸二無水物から酸二無水物構造を除いた残基とすることができる。上記一般式(1)におけるR1としては、中でも、光透過性を向上し、かつ剛性を向上する点から、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸残基、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸残基、ピロメリット酸残基、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸残基、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸残基、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸残基、4,4'-オキシジフタル酸残基、シクロヘキサンテトラカルボン酸残基、およびシクロペンタンテトラカルボン酸残基からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、さらに、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸残基、4,4’−オキシジフタル酸残基、および3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸残基からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
R1において、これらの好適な残基を合計で、50モル%以上含むことが好ましく、更に70モル%以上含むことが好ましく、より更に90モル%以上含むことが好ましい。
また、R1として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸残基、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸残基、およびピロメリット酸残基からなる群から選択される少なくとも1種のような剛直性を向上するのに適したテトラカルボン酸残基群(グループA)と、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸残基、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸残基、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸残基、4,4'−オキシジフタル酸残基、シクロヘキサンテトラカルボン酸残基、およびシクロペンタンテトラカルボン酸残基からなる群から選択される少なくとも1種のような透明性を向上するのに適したテトラカルボン酸残基群(グループB)とを混合して用いることも好ましい。
この場合、前記剛直性を向上するのに適したテトラカルボン酸残基群(グループA)と、透明性を向上するのに適したテトラカルボン酸残基群(グループB)との含有比率は、透明性を向上するのに適したテトラカルボン酸残基群(グループB)1モルに対して、前記剛直性を向上するのに適したテトラカルボン酸残基群(グループA)が0.05モル以上9モル以下であることが好ましく、更に0.1モル以上5モル以下であることが好ましく、より更に0.3モル以上4モル以下であることが好ましい。
上記一般式(1)におけるR2としては、中でも、光透過性を向上し、かつ剛性を向上する点から、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン残基、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン残基、および上記一般式(2)で表される2価の基からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の基であることが好ましく、更に、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン残基、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン残基、ならびに、R3およびR4がパーフルオロアルキル基である上記一般式(2)で表される2価の基からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の基であることが好ましい。
上記一般式(3)におけるR5としては、中でも、光透過性を向上し、かつ剛性を向上する点から、4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸残基、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸残基、及びオキシジフタル酸残基を含むことが好ましい。
R5において、これらの好適な残基を、50モル%以上含むことが好ましく、更に70モル%以上含むことが好ましく、より更に90モル%以上含むことが好ましい。
上記一般式(3)におけるR6はジアミン残基であり、前記例示されたようなジアミンから2つのアミノ基を除いた残基とすることができる。上記一般式(3)におけるR6としては、中でも、光透過性を向上し、かつ剛性を向上する点から、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン残基、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン残基、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン残基、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン残基、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン残基、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル残基、1,4−ビス[4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ベンゼン残基、2,2−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン残基、4,4’−ジアミノ−2−(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル残基、4,4’−ジアミノベンズアニリド残基、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド残基、及び9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン残基からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の基を含むことが好ましく、更に、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン残基、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン残基、及び4,4’−ジアミノジフェニルスルホン残基からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の基を含むことが好ましい。
R6において、これらの好適な残基を合計で、50モル%以上含むことが好ましく、更に70モル%以上含むことが好ましく、より更に90モル%以上含むことが好ましい。
また、R6として、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン残基、4,4’−ジアミノベンズアニリド残基、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド残基、パラフェニレンジアミン残基、メタフェニレンジアミン残基、および4,4’−ジアミノジフェニルメタン残基からなる群から選択される少なくとも1種のような剛直性を向上するのに適したジアミン残基群(グループC)と、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン残基、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン残基、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン残基、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン残基、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル残基、1,4−ビス[4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ベンゼン残基、2,2−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン残基、4,4’−ジアミノ−2−(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル残基、及び9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン残基からなる群から選択される少なくとも1種のような透明性を向上するのに適したジアミン残基群(グループD)とを混合して用いることも好ましい。
この場合、前記剛直性を向上するのに適したジアミン残基群(グループC)と、透明性を向上するのに適したジアミン残基群(グループD)との含有比率は、透明性を向上するのに適したジアミン残基群(グループD)1モルに対して、前記剛直性を向上するのに適したジアミン残基群(グループC)が0.05モル以上9モル以下であることが好ましく、更に0.1モル以上5モル以下であることが好ましく、0.3モル以上4モル以下であることがより好ましい。
上記一般式(1)および上記一般式(3)で表される構造において、nおよびn’はそれぞれ独立に、繰り返し単位数を表し、1以上である。ポリイミドにおける繰り返し単位数nは、後述する好ましいガラス転移温度を示すように、構造に応じて適宜選択されれば良く、特に限定されない。平均繰り返し単位数は、通常10〜2000であり、更に15〜1000であることが好ましい。
また、ポリイミド系樹脂は、その一部にポリアミド構造を含んでいても良い。含んでいても良いポリアミド構造としては、例えば、トリメリット酸無水物のようなトリカルボン酸残基を含むポリアミドイミド構造や、テレフタル酸のようなジカルボン酸残基を含むポリアミド構造が挙げられる。
ポリイミド系樹脂は、耐熱性の点から、ガラス転移温度が250℃以上であることが好ましく、更に、270℃以上であることが好ましい。一方、延伸の容易さやベーク温度低減の点から、ガラス転移温度が400℃以下であることが好ましく、更に、380℃以下であることが好ましい。
具体的には、ポリイミド系樹脂としては、例えば、下記式で表される構造を有する化合物が挙げられる。下記式中、nは、繰り返し単位であり、2以上の整数を表す。
ポリアミド系樹脂は、脂肪族ポリアミドのみならず、芳香族ポリアミド(アラミド)を含む概念である。ポリアミド系樹脂としては、例えば、下記式(21)〜(23)で表される骨格を有する化合物が挙げられる。なお、下記式中、nは、繰り返し単位であり、2以上の整数を表す。
上記式(4)〜(20)および(23)で表されるポリイミド系樹脂またはポリアミド系樹脂からなる基材は、市販のものを用いても良い。上記ポリイミド系樹脂からなる基材の市販品としては、例えば、三菱ガス化学株式会社製のネオプリム等が挙げられ、上記ポリアミド系樹脂からなる基材の市販品としては、例えば、東レ株式会社製のミクトロン等が挙げられる。
また、上記式(4)〜(20)および(23)で表されるポリイミド系樹脂またはポリアミド系樹脂は、公知の方法により合成したものを用いても良い。例えば、上記式(4)で表されるポリイミド系樹脂の合成方法は、特開2009−132091に記載されており、具体的には、下記式(24)で表される4,4’−ヘキサフルオロプロピリデンビスフタル酸二無水物(FPA)と2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFDB)とを反応させることにより得ることができる。
上記ポリイミド系樹脂またはポリアミド系樹脂の重量平均分子量は、3000以上50万以下の範囲であることが好ましく、5000〜30万の範囲であることがより好ましく、1万以上20万以下の範囲であることが更に好ましい。重量平均分子量が3000未満であると、充分な強度が得られないことがあり、50万を超えると粘度が上昇し、溶解性が低下するため、表面が平滑で膜厚が均一な基材が得られないことがある。なお、本明細書において、「重量平均分子量」とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値である。
上記ポリイミド系樹脂およびポリアミド系樹脂のなかでも、優れた透明性を有することから、分子内又は分子間の電荷移動が起こりにくい構造を有するポリイミド系樹脂またはポリアミド系樹脂が好ましく、具体的には、上記式(4)〜(11)等のフッ素化ポリイミド系樹脂、上記式(13)〜(16)等の脂環構造を有するポリイミド系樹脂、上記式(23)等のハロゲン基を有するポリアミド系樹脂が挙げられる。
また、上記式(4)〜(11)等のフッ素化ポリイミド系樹脂では、フッ素化された構造を有するため、高い耐熱性を有しており、ポリイミド系樹脂からなる基材の製造時の熱によって着色されることもないので、優れた透明性を有する。
樹脂基材21は、硬度を向上させることが可能な観点から、上記式(4)〜(11)等で表されるフッ素化ポリイミド系樹脂または上記式(23)等のハロゲン基を有するアラミド樹脂からなる基材を用いることが好ましい。なかでも、硬度をより向上させることができる観点から、上記式(4)で表されるポリイミド系樹脂からなる基材を用いることがより好ましい。
<<第1の保護フィルム>>
保護フィルム30は、樹脂基材21の表面21Aに貼り付けされている。保護フィルム30の厚みは、30μm以上となっている。保護フィルム30の厚みが30μm以上であれば、カールを抑制することができる。保護フィルム30の厚みは、樹脂基材21の厚みと同様の方法によって測定することができる。保護フィルム付き光透過性フィルム10の状態で出荷する場合には、保護フィルム付き光透過性フィルム10のカール抑制のため、保護フィルム30の厚みは、50μm以上であることが好ましい。保護フィルム30の厚みの上限は、剥離時のハンドリング性や断裁のしやすさから、250μm以下であることが好ましい。
保護フィルム30のヘイズ値(全ヘイズ値)は10%以下となっている。保護フィルム30のヘイズ値が10%以下であれば、光透過性フィルム20の表面20Aにおける凹凸が少なくなり、優れた平滑性を有する光透過性フィルム20を得ることができる。保護フィルム30のヘイズ値は、50mm×100mmの大きさに切り出した保護フィルム付き光透過性フィルム10から保護フィルム30を剥離し、保護フィルム30単体の状態であって、カールや皺がなく、かつ指紋や埃等がない状態で、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、株式会社村上色彩技術研究所製)を用いてJIS K7136:2000に準拠した方法によって保護フィルム30の基材フィルム31側から測定することができる。保護フィルム30のヘイズ値は、保護フィルム30に対し3回測定して得られた値の算術平均値とする。なお、保護フィルムを上記大きさに切り出せない場合には、例えば、HM−150は測定する際の入口開口が20mmφであるので、直径21mm以上となるようなサンプル大きさが必要になる。このため、22mm×22mm以上の大きさに保護フィルムを適宜切り出してもよい。保護フィルムの大きさが小さい場合は、光源スポットが外れない範囲で少しずつずらす、または角度を変えるなどして測定点を3箇所にする。保護フィルム30のヘイズ値は、5%以下、3%以下の順にさらに好ましい(数値が小さいほど好ましい)。本明細書において、単なる「ヘイズ値」とは、全ヘイズ値を意味するものであり、後述する外部ヘイズ値とは異なるものである。
保護フィルム30の全ヘイズ値は10%以下となっているので、保護フィルム30における樹脂基材21の表面21Aと接していた表面における外部ヘイズも、10%以下となっている。外部ヘイズ値は、全ヘイズ値から内部ヘイズを差し引くことによって求められる値である。外部ヘイズ値は、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて、求めることができる。具体的には、まず、上記全ヘイズ値の測定法方法に従って、保護フィルム30のヘイズ値(全ヘイズ値)を求める。その後、保護フィルム30における樹脂基材21の表面21Aと接していた表面に、膜厚が25μmの透明光学粘着層(製品名「パナクリーンPD−S1」、パナック株式会社製)を介して厚みが60μmのトリアセチルセルロース基材(製品名「TD60UL」、富士フイルム株式会社製)を貼り付ける。これによって、保護フィルム30の表面の凹凸形状が潰れ、保護フィルム30の表面が平坦化される。そして、この状態で、上記全ヘイズ値の測定方法と同様の方法によって、ヘイズ値を測定することで内部ヘイズ値を求め、全ヘイズ値から内部ヘイズを差し引くことによって外部ヘイズ値を求める。保護フィルム30の外部ヘイズ値は、5%以下、3%以下の順にさらに好ましい(数値が小さいほど好ましい)。
保護フィルム30は、基材フィルム31と、基材フィルム31における樹脂基材21側の面に設けられた粘着層32とを備えている。図1に示される保護フィルム30は、粘着層32を備えているが、保護フィルムによっては、粘着層を備えていなくともよい。
<基材フィルム>
基材フィルム31は、表面21Aの凹凸を低減するために、ポリエステル系樹脂から構成されていることが好ましい。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の少なくとも1種の樹脂が挙げられる。これらの中でも、透明性と価格の点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
基材フィルム31の厚みは、保護フィルム30の厚みと同様の理由から、30μm以上となっていることが好ましい。基材フィルム31の厚みは、樹脂基材21の厚みと同様の方法によって測定することができる。保護フィルム付き光透過性フィルム10の状態で搬送や出荷する場合には、保護フィルム付き光透過性フィルム10のカール抑制のため、基材フィルム31の厚みは、50μm以上であることが好ましい。基材フィルム31の厚みの上限は、剥離時のハンドリング性および断裁のしやすさから、250μm以下であることが好ましい。
<粘着層>
粘着層32を構成する粘着剤としては、所望の粘着性を有するものであれば特に限定されるものではなく、保護フィルムに用いられる一般的な粘着剤を用いることができる。このような粘着剤は、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、またはこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも適度な密着性を調整しやすい点から、アクリル系粘着剤が好ましい。
粘着層32の膜厚は、1μm以上50μm以下となっていることが好ましい。粘着層32の膜厚が1μm以上であれば、保護フィルム30を樹脂基材21に確実に貼り付けることができ、また粘着層32の膜厚が50μm以下であれば、粘着層32の表面を平滑することができ、剥離時に粘着層32が引き裂かれる、いわゆる泣き別れ現象を抑制することができる。粘着層32の膜厚は、樹脂基材21の厚みと同様の方法によって測定することができる。粘着層32の膜厚の下限は、5μm以上であることがより好ましく、上限は、30μm以下であることがより好ましい。
<<第2の保護フィルム>>
保護フィルム40は、樹脂基材21の表面21Bに貼り付けられている。保護フィルム40の厚みは、30μm以上となっている。保護フィルム40の厚みが30μm以上であれば、カールを抑制できる。保護フィルム40の厚みは、樹脂基材21の厚みと同様の方法によって測定することができる。保護フィルム付き光透過性フィルム10の状態で搬送や出荷する場合には、保護フィルム付き光透過性フィルム10のカール抑制のため、保護フィルム40の厚みは、50μm以上であることが好ましい。保護フィルム40の厚みの上限は、剥離時のハンドリング性および断裁のしやすさから、250μm以下であることが好ましい。
保護フィルム40の厚みは、保護フィルム30の厚みと異なっていてもよい。保護フィルム30と保護フィルム40の厚みが異なることによって、カールを調整することができる。
保護フィルム40のヘイズ値(全ヘイズ値)は10%以下となっている。保護フィルム40のヘイズ値が10%以下であれば、光透過性フィルム20の表面20Bにおける凹凸が少なくなり、より優れた平滑性を有する光透過性フィルム20を得ることができる。保護フィルム40のヘイズ値は、50mm×100mmの大きさに切り出した保護フィルム付き光透過性フィルム10から保護フィルム40を剥離し、保護フィルム40単体の状態で、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、株式会社村上色彩技術研究所製)を用いてJIS K7136:2000に準拠した方法によって測定することができる。保護フィルム40のヘイズ値は、保護フィルム40に対し3回測定して得られた値の算術平均値とする。なお、保護フィルムを上記大きさに切り出せない場合には、例えば、HM−150は測定する際の入口開口が20mmφであるので、直径21mm以上となるようなサンプル大きさが必要になる。このため、22mm×22mm以上の大きさに保護フィルムを適宜切り出してもよい。保護フィルムの大きさが小さい場合は、光源スポットが外れない範囲で少しずつずらす、または角度を変えるなどして測定点を3箇所にする。保護フィルム40のヘイズ値は、5%以下、3%以下の順にさらに好ましい(数値が小さいほど好ましい)。
保護フィルム40の全ヘイズ値は10%以下となっているので、保護フィルム40における光透過性フィルム20の表面20Bと接していた表面における外部ヘイズも、10%以下となっている。保護フィルム40の外部ヘイズ値は、保護フィルム30の外部ヘイズ値と同様の方法によって求めることができる。保護フィルム40の外部ヘイズ値は、5%以下、3%以下の順にさらに好ましい(数値が小さいほど好ましい)。
保護フィルム40は、基材フィルム41と、基材フィルム41における樹脂基材21側の面に設けられた粘着層42とを備えている。
<基材フィルムおよび粘着層>
基材フィルム41は、基材フィルム31と同様であり、粘着層42は、粘着層32と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
<<<他の保護フィルム付き光透過性フィルム>>>
図1に示される保護フィルム付き光透過性フィルム10においては、樹脂基材21の表面21Aに貼り付けられた保護フィルム30と、表面21Bに貼り付けられた保護フィルム40とを備えているが、図4に示されるように保護フィルムは光透過性フィルムの片面のみに備えられていてもよい。
図4に示される保護フィルム付き光透過性フィルム60は、樹脂基材21と樹脂層71とを備える折り畳み可能な光透過性フィルム70と、光透過性フィルム70の第1の表面70A(以下、単に「表面70A」と称することもある。)に剥離可能に貼り付けられた保護フィルム30とを備えている。図4においては、光透過性フィルム70の第2の表面70B側には、保護フィルムは設けられていないが、光透過性フィルム70の第1の表面70Aに剥離可能に貼り付けられた保護フィルム30の他、光透過性フィルム70の第2の表面70Bにも保護フィルム40と同様の保護フィルムが剥離可能に貼り付けられていてもよい。なお、図4において、図1と同じ符号が付されている部材は、図1に示されている部材と同じものであるので、下記以外は、説明を省略するものとする。
光透過性フィルム70の表面70Aは、樹脂基材21の第1の表面21Aとなっている。したがって、保護フィルム付き光透過性フィルム60においては、保護フィルム30は、樹脂基材21の表面21Aに剥離可能に貼り付けられている。また、図4に示される光透過性フィルム70は、樹脂基材21の他に樹脂層71を備えているので、光透過性フィルム70の第2の表面70B(以下、単に「表面70B」と称することもある。)は、樹脂層71における樹脂基材21側の表面とは反対側の表面71Aとなっている。
また、図1に示される保護フィルム付き光透過性フィルム10においては、保護フィルム30は樹脂基材21の表面21Aに剥離可能に貼り付けられているが、図5に示されるように保護フィルムは樹脂層の表面に剥離可能に貼り付けられていてもよい。
図5に示される保護フィルム付き光透過性フィルム80は、樹脂基材21と樹脂基材21の両面側に設けられた樹脂層91、92とを備える折り畳み可能な光透過性フィルム90と、光透過性フィルム90の第1の表面90A(以下、単に「表面90A」と称することもある。)に剥離可能に貼り付けられた保護フィルム30を備えている。図5においては、光透過性フィルム90の第2の表面90B側には、保護フィルムは設けられていないが、光透過性フィルム90の第1の表面90Aに剥離可能に貼り付けられた保護フィルム30の他、光透過性フィルム90の第2の表面90Bにも保護フィルム40と同様の保護フィルムが剥離可能に貼り付けられていてもよい。なお、図5において、図1と同じ符号が付されている部材は、図1に示されている部材と同じものであるので、下記以外は、説明を省略するものとする。
光透過性フィルム90の表面90Aは樹脂層91の表面91Aとなっている。したがって、保護フィルム付き光透過性フィルム90においては、保護フィルム30は、樹脂層91の表面91Aに剥離可能に貼り付けられている。また、光透過性フィルム90の表面90Bは樹脂層92の表面92Aとなっている。
<<光透過性フィルム>>
光透過性フィルム70、90は、折り畳み可能となっている。具体的には、光透過性フィルム70、90に対し上記で説明した折り畳み試験(連続折り畳み試験)を10万回繰り返し行った場合であっても、光透過性フィルム70、90に割れまたは破断が生じないことが好ましく、連続折り畳み試験を30万回繰り返し行った場合であっても、光透過性フィルム70、90に割れまたは破断が生じないことがより好ましく、100万回繰り返し行った場合であっても、光透過性フィルム70、90に割れまたは破断が生じないことがさらに好ましい。連続折り畳み試験は、樹脂層71、92が内側となるように光透過性フィルム70、90を折り畳むように行われてもよく、また樹脂層71、92が外側となるように光透過性フィルム70、90を折り畳むように行われてもよいが、いずれの場合であっても、光透過性フィルム70、90に割れまたは破断が生じないことが好ましい。連続折り畳み試験の条件は、光透過性フィルム20の欄で説明した連続折り畳み試験の条件と同様であるので、説明を省略するものとする。
光透過性フィルム70、90においても、上記において説明した折り畳み静置試験を行い、その後、折り畳み状態を開放して、開き角を測定した場合に、光透過性フィルム70、90の開き角θが100°以上であることが好ましい。折り畳み静置試験の条件は、光透過性フィルム20の欄で説明した折り畳み静置試験の条件と同様であり、また開き角の測定条件も光透過性フィルム20の欄で説明した開き角の測定条件と同様であるので、説明を省略するものとする。
光透過性フィルム70、90のヘイズ値(全ヘイズ値)は3%以下となっていることが好ましい。光透過性フィルム20の上記ヘイズ値が3%以下であれば、光透過性フィルム70、90の表面70A、90Aの凹凸が少なく、優れた平滑性を有している。ヘイズ値の測定条件は、光透過性フィルム20の欄で説明したヘイズ値の測定条件と同様であるので、ここでは説明を省略する。光透過性フィルム70、90のヘイズ値は、2%以下、1%以下の順にさらに好ましい(数値が小さいほど好ましい)。
光透過性フィルム70、90の全光線透過率は、85%以上であることが好ましい。光透過性フィルム70、90の全光線透過率が85%以上であれば、充分な光学的性能を得ることができる。全光線透過率の測定条件は、光透過性フィルム20の欄で説明した全光線透過率の測定条件と同様であるので、ここでは説明を省略する。光透過性フィルム70の全光線透過率は、88%以上、90%以上の順にさらに好ましい(数値が大きいほど好ましい)。
光透過性フィルム70、90は、イエローインデックス(YI)が15以下であることが好ましい。光透過性フィルム70、90のYIが15以下であれば、光透過性フィルム70の黄色味を抑制でき、透明性が求められる用途に適用できる。イエローインデックスの測定条件は、光透過性フィルム20の欄で説明したイエローインデックスの測定条件と同様であるので、ここでは説明を省略する。光透過性フィルム70のイエローインデックス(YI)の上限は、10未満、1.5未満の順にさらに好ましい(数値が小さいほど好ましい)。
<<樹脂層>>
樹脂層71、91、92は、樹脂から構成されている層である。樹脂層71、92は、樹脂基材21の表面21Bに積層されており、樹脂層91は樹脂基材21の表面21Aに積層されている。樹脂層91のように樹脂層の表面に保護フィルムが貼り付けられている場合、樹脂層の膜厚が薄いほど保護フィルムの影響により樹脂層の表面に凹凸が現れやすい。このため、樹脂層の表面に本発明の保護フィルムを貼り付ける場合には、樹脂層の膜厚が、例えば、1μm以下、500nm以下、200nm以下の場合に、特に有効である(値が小さいほど特に有効である)。
樹脂層71、91、92は、樹脂の他、粒子や添加剤等を含んでいてもよい。樹脂層71、92としては、例えば、ハードコート層や衝撃吸収層等が挙げられる。樹脂層91としては、例えば、下地層等が挙げられる。樹脂層71、91、92は、単層であってもよいが、多層構造であってもよい。
<ハードコート層>
ハードコート層とは、光透過性を有し、かつマルテンス硬度が、樹脂基材のマルテンス硬度よりも高い層を意味するものとする。本明細書において、「マルテンス硬度」とは、ナノインデンテーション法による硬度測定により、圧子を500nm押込んだときの硬度である。上記ナノインデンテーション法によるマルテンス硬度の測定は、HYSITRON(ハイジトロン)社製の「TI950 TriboIndenter」を用いて行うものとする。具体的には、まず、1mm×10mmに切り出した保護フィルム付き光透過性フィルムから全ての保護フィルムを剥離して、光透過性フィルム単体を得る。そして、この光透過性フィルムを包埋樹脂によって包埋したブロックを作製し、このブロックから一般的な切片作製方法によって穴等がない均一な、厚さ70nm以上100nm以下の切片を切り出す。切片の作製には、「ウルトラミクロトーム EM UC7」(ライカ マイクロシステムズ株式会社)等を用いることができる。そして、この穴等がない均一な切片が切り出された残りのブロックを測定サンプルとする。次いで、このような測定サンプルにおける上記切片が切り出されることによって得られた断面において、以下の測定条件で、上記圧子としてBerkovich圧子(三角錐)をハードコート層の断面中央に、500nm押し込み、一定時間保持して残留応力の緩和を行った後、除荷させて、緩和後の最大荷重を計測し、該最大荷重Pmax(μN)と深さ500nmのくぼみ面積A(nm2)とを用い、Pmax/Aにより、マルテンス硬度を算出する。マルテンス硬度は、10箇所測定して得られた値の算術平均値とする。樹脂基材21のマルテンス硬度も上記と同様の方法によって測定するものとする。
(測定条件)
・荷重速度:10nm/秒
・保持時間:5秒
・荷重除荷速度:10nm/秒
・測定温度:25℃
ハードコート層の膜厚は、1μm以上20μm以下となっていることが好ましい。ハードコート層の膜厚が、1μm未満であると、ハードコート層の硬度が低下するおそれがあり、また20μmを超えると、厚みが厚すぎることに起因して加工性が悪化するおそれがある。本明細書における「ハードコート層の膜厚」とは、ハードコート層が多層構造となっている場合には、各ハードコート層の膜厚を合計した膜厚(総厚)を意味するものとする。ハードコート層の上限は15μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。
ハードコート層の膜厚は、走査透過型電子顕微鏡(STEM)、または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、ハードコート層の断面を撮影し、その断面の画像においてハードコート層の膜厚を10箇所測定し、その10箇所の膜厚の算術平均値とする。具体的な断面写真の撮影方法を以下に記載する。まず、1mm×10mmに切り出した保護フィルム付き光透過性フィルムから全ての保護フィルムを剥離して、光透過性フィルム単体を得る。そして、この光透過性フィルムを包埋樹脂によって包埋したブロックを作製し、このブロックから一般的な切片作製方法によって穴等がない均一な、厚さ70nm以上100nm以下の切片を切り出す。切片の作製には、「ウルトラミクロトーム EM UC7」(ライカ マイクロシステムズ株式会社)等を用いることができる。そして、この穴等がない均一な切片を測定サンプルとする。その後、走査透過型電子顕微鏡(STEM)(製品名「S−4800」、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、測定サンプルの断面写真を撮影する。この断面写真の撮影の際には、検出器を「TE」、加速電圧を30kV、エミッションを「10μA」にして断面観察を行う。倍率については、フォーカスを調節しコントラストおよび明るさを各層が見分けられるか観察しながら5000倍〜20万倍で適宜調節する。好ましい倍率は、1万倍〜10万倍、更に好ましい倍率は1万倍〜5万倍であり、最も好ましい倍率2.5万倍〜5万倍である。なお、断面写真の撮影の際には、さらに、アパーチャーをビームモニタ絞り3にし、対物レンズ絞りを3にし、またW.D.を8mmにしてもよい。ハードコート層の膜厚を測定する際には、断面観察した折に、ハードコート層と他の層(例えば、樹脂基材)との界面コントラストが可能な限り明確に観察できることが重要となる。仮に、コントラスト不足でこの界面が見え難い場合には、四酸化オスミウム、四酸化ルテニウム、リンタングステン酸など染色処理を施すと、有機層間の界面が見やすくなるので、染色処理を行ってもよい。また、界面のコントラストは高倍率である方が分かりにくい場合がある。その場合には、低倍率も同時に観察する。例えば、2.5万倍と5万倍や、5万倍と10万倍など、高低の2つの倍率で観察し、両倍率で上記した算術平均値を求め、さらにその平均値をハードコート層の膜厚の値とする。
ハードコート層は単層構造であってもよいが、折り畳み性能を向上させる観点から2層以上の多層構造であることが好ましい。ハードコート層は、第1のハードコート層と、第1のハードコート層上に積層された第2のハードコート層とから構成されていることが好ましい。第1のハードコート層は、第2のハードコート層よりも樹脂基材側に位置している。
(第1のハードコート層)
第1のハードコート層は、主に光透過性フィルムに硬度を付与するための層である。第1のハードコート層は、第1のハードコート層の断面中央におけるマルテンス硬度が500MPa以上2000MPa以下であることが好ましい。500MPa未満であると、ハードコート層の硬度が不充分となることがあり、2000MPaを超えると、光透過性フィルムの折り畳み性能が不充分となることがある。第1のハードコート層の断面中央におけるマルテンス硬度の下限は600MPa以上であることが好ましく、上限は1500MPa以下であることが好ましい。
第1のハードコート層のマルテンス硬度は、第2のハードコート層のマルテンス硬度よりも大きいことが好ましい。このようなマルテンス硬度の関係を有することで、光透過性フィルムは、鉛筆硬度が特に良好となる。これは、鉛筆硬度試験は鉛筆に荷重を加えながら行われるが鉛筆が光透過性フィルムに押し込まれたときであっても、光透過性フィルムの変形が抑制されて、傷や凹み変形が少なくなるためである。第1のハードコート層のマルテンス硬度が第2のハードコート層のマルテンス硬度よりも大きくする方法としては、例えば、後述する無機粒子の含有量を第1のハードコート層側により多く含有するよう制御する方法等が挙げられる。なお、ハードコート層が単層構造の場合には、ハードコート層に無機粒子が基材フィルム側に偏在するように、すなわち、上記ハードコート層における無機粒子の存在割合が、樹脂基材側でより大きく、樹脂基材の表面側に向かう従って小さくなるよう傾斜していることが好ましい。
第1のハードコート層は、樹脂を含んでいる。第1のハードコート層は、樹脂中に分散された無機粒子をさらに含有することが好ましい。
樹脂は、重合性化合物(硬化性化合物)の重合体(硬化物)を含む。重合性化合物は、分子内に重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和基が挙げられる。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタクリロイル基」の両方を含む意味である。
重合性化合物としては、多官能(メタ)アクリレートが好ましい。上記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートや、これらをPO、EO、カプロラクトン等で変性したものが挙げられる。
これらの中でも上述したマルテンス硬度を好適に満たし得ることから、3〜6官能のものが好ましく、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート等が好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
なお、硬度や組成物の粘度調整、密着性の改善等のために、更に単官能(メタ)アクリレートモノマーを含んでいてもよい。上記単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、グリシジルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、及び、アダマンチルアクリレート等が挙げられる。
上記モノマーの重量平均分子量は、樹脂層の硬度を向上させる観点から、1000未満が好ましく、200以上800以下がより好ましい。また、上記重合性オリゴマーの重量平均分子量は、1000以上2万以下であることが好ましく、1000以上1万以下であることがより好ましく、2000以上7000以下であることが更に好ましい。
無機粒子としては、硬度を向上させることができれば、特に限定されないが、優れた硬度を得る観点から、シリカ粒子が好ましい。シリカ粒子の中でも、反応性シリカ粒子が好ましい。上記反応性シリカ粒子は、上記多官能(メタ)アクリレートとの間で架橋構造を構成することが可能なシリカ粒子であり、この反応性シリカ粒子を含有することで、第1のハードコート層の硬度を充分に高めることができる。
上記反応性シリカ粒子は、その表面に反応性官能基を有することが好ましく、該反応性官能基とてしては、例えば、上記の重合性官能基が好適に用いられる。
上記反応性シリカ粒子としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、特開2008−165040号公報記載の反応性シリカ粒子等が挙げられる。また、上記反応性シリカ粒子の市販品としては、例えば、日産化学工業株式会社製のMIBK−SD、MIBK−SDMS、MIBK−SDL、MIBK−SDZL、日揮触媒化成株式会社製のV8802、V8803等が挙げられる。
また、上記シリカ粒子は、球形シリカ粒子であってもよいが、異形シリカ粒子であることが好ましい。球形シリカ粒子と異形シリカ粒子とを混合させてもよい。なお、本明細書における「球形シリカ粒子」とは、例えば、真球状、楕円球状等のシリカ粒子を意味し、また、「異形シリカ粒子」とは、ジャガイモ状(断面観察時のアスペクト比が1.2以上40以下)のランダムな凹凸を表面に有する形状のシリカ粒子を意味する。上記異形シリカ粒子は、その表面積が球形シリカ粒子と比較して大きいため、このような異形シリカ粒子を含有することで、上記多官能(メタ)アクリレート等との接触面積が大きくなり、上記ハードコート層の硬度を向上させることができる。ハードコート層に含まれているシリカ粒子が異形シリカ粒子であるか否かは、ハードコート層の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)または走査透過型電子顕微鏡(STEM)で観察することによって確認することができる。
上記シリカ粒子の平均粒子径は、5nm以上200nm以下であることが好ましい。5nm未満であると、粒子自身の製造が困難になり、粒子同士が凝集したりすることがあり、また、異形にするのが極めて困難になることがあり、更に、上記塗工前のインキの段階で異形シリカ粒子の分散性が悪く凝集したりすることがある。一方、上記異形シリカ粒子の平均粒子径が200nmを超えると、ハードコート層に大きな凹凸が形成されたり、ヘイズの上昇といった不具合が生じたりすることがある。シリカ粒子が球形シリカ粒子の場合には、シリカ粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した粒子の断面の画像から20個の粒子の粒子径を測定し、20個の粒子の粒子径の算術平均値とする。また、シリカ粒子が異形シリカ粒子である場合には、シリカ粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影したハードコート層の断面の画像から粒子の外周の2点間距離の最大値(長径)と最小値(短径)とを測定し、平均して粒子径を求め、20個の粒子の粒子径の算術平均値とする。
上記無機粒子の大きさ及び配合量を制御することで第1のハードコート層の硬度(マルテンス硬度)を制御できる。例えば、第1のハードコート層を形成する場合、上記シリカ粒子は直径が5nm以上200nm以下であり、上記重合性化合物100質量部に対して、25〜60質量部であることが好ましい。
(第2のハードコート層)
第2のハードコート層は、上述した連続折り畳み試験を充足させるための層である。第2のハードコート層は、第2のハードコート層の断面中央におけるマルテンス硬度が375MPa以上1500MPa以下であることが好ましい。375MPa未満であると、ハードコート層の耐擦傷性が不充分となることがあり、1500MPaを超えると、樹脂基材の耐折り畳み性能が不充分となって上述した連続折り畳み試験を充足できないことがある。第2のハードコート層の断面中央におけるマルテンス硬度の下限は450MPa以上であることがより好ましく、上限は575MPa以下であることがより好ましい。
第2のハードコート層は、樹脂を含んでいる。第2のハードコート層は、樹脂中に分散された無機粒子をさらに含んでいてもよい。
樹脂は、重合性化合物(硬化性化合物)の重合体(硬化物)を含む。重合性化合物としては、多官能(メタ)アクリレートが好ましい。上記多官能(メタ)アクリレートとしては、第1のハードコート層の欄の多官能(メタ)アクリレートと同様のものが挙げられる。また、第2のハードコート層は、上記多官能(メタ)アクリレートに加えて、多官能ウレタン(メタ)アクリレート及び/又は多官能エポキシ(メタ)アクリレート等が含まれてもよい。
無機粒子としては、第1のハードコート層の欄の無機粒子と同様のものが挙げられる。第2のハードコート層における無機粒子の含有量としては、特に限定されないが、例えば、第2のハードコート層に対し0〜50質量%であることが好ましい。
第1のハードコート層および第2のハードコート層の少なくともいずれかは、上述したマルテンス硬度を充足する範囲で、上述した材料以外の材料を含んでいてもよく、例えば、樹脂成分の材料として、電離放射線の照射により硬化物を形成する重合性モノマーや重合性オリゴマー等を含んでいてもよい。上記重合性モノマー又は重合性オリゴマーとしては、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマー、又は、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。上記分子中にラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマー、又は、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、ポリフルオロアルキル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等のモノマー又はオリゴマーが挙げられる。これら重合性モノマー又は重合性オリゴマーは、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも、多官能(6官能以上)で重量平均分子量が1000〜1万のウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
ハードコート層(第1のハードコート層および第2のハードコート層の少なくともいずれか)は、紫外線吸収剤、分光透過率調整剤、および/または防汚剤をさらに含んでいてもよい。
(紫外線吸収剤)
樹脂基材は、折り畳み可能なスマートフォンやタブレット端末のようなモバイル端末に特に好適に用いられるが、このようなモバイル端末は屋外で使用されることが多く、そのため、樹脂基材より表示素子側に配置された偏光子が紫外線に晒されて劣化しやすいという問題がある。しかしながら、樹脂層は、偏光子の表示画面側に配置されるため、樹脂層に紫外線吸収剤が含有されていると、偏光子が紫外線に晒されることによる劣化を好適に防止することができる。なお、上記紫外線吸収剤(UVA)は、樹脂基材21に含有されていてもよい。この場合、紫外線吸収剤(UVA)は、ハードコート層に含有されていなくてもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、及び、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等が挙げられる。
上記トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、および2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2’−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。市販されているトリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、TINUVIN460、TINUVIN477(いずれも、BASF社製)、LA−46(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその三水塩、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。市販されているベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、CHMASSORB81/FL(BASF社製)等が挙げられる。
上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネート、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−〔5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル〕−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、及び、2−(2’−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等が挙げられる。市販されているベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、KEMISORB71D、KEMISORB79(いずれも、ケミプロ化成株式会社製)、JF−80、JAST−500(いずれも、城北化学工業株式会社製)、ULS−1933D(一方社油脂工業株式会社製)、RUVA−93(大塚化学株式会社製)等が挙げられる。
紫外線吸収剤は、なかでも、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好適に用いられる。紫外線吸収剤は、ハードコート層を構成する樹脂成分との溶解性が高いほうが好ましく、また、上述した連続折り畳み試験後のブリードアウトが少ないほうが好ましい。紫外線吸収剤は、ポリマー化又はオリゴマー化されていることが好ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール、トリアジン、ベンゾフェノン骨格を有するポリマー又はオリゴマーが好ましく、具体的には、ベンゾトリアゾールやベンゾフェノン骨格を有する(メタ)アクリレートと、メチルメタクリレート(MMA)とを任意の比率で熱共重合したものであることが好ましい。なお、有機発光ダイオード(OLED)表示装置に樹脂基材を適用する場合、紫外線吸収剤は、OLEDを紫外線から保護する役割も果たすことができる。
紫外線吸収剤の含有量としては特に限定されないが、ハードコート層用組成物の固形分100質量部に対して1質量部以上6質量部以下であることが好ましい。1質量部未満であると、上述した紫外線吸収剤をハードコート層に含有させる効果を充分に得ることができないことがあり、6質量部を超えると、ハードコート層に著しい着色や強度低下が生じることがある。上記紫外線吸収剤の含有量のより好ましい下限は2質量部以上、より好ましい上限は5質量部以下である。
(分光透過率調整剤)
分光透過率調整剤は、光透過性フィルムの分光透過率を調整するものである。ハードコート層に、例えば、下記一般式(25)で表されるセサモール型ベンゾトリアゾール系単量体を含ませた場合には、所望の分光透過率を満たすことができる。
式中、R
7は水素原子又はメチル基を表す。R
8は炭素数1〜6の直鎖状又は枝分かれ鎖状のアルキレン基又は炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基を表す。
上記のセサモール型ベンゾトリアゾール系単量体としては特に制限されないが、具体的な物質名としては、2−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル]エチルメタクリレート、2−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル]エチルアクリレート、3−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル]プロピルメタクリレート、3−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル]プロピルアクリレート、4−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル]ブチルメタクリレート、4−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル]ブチルアクリレート、2−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルメタクリレート、2−[2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イルオキシ]エチルアクリレート、2−[3−{2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル}プロパノイルオキシ]エチルメタクリレート、2−[3−{2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル}プロパノイルオキシ]エチルアクリレート、4−[3−{2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル}プロパノイルオキシ]ブチルメタクリレート、4−[3−{ 2 −(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル}プロパノイルオキシ]ブチルアクリレート、2−[3−{2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル}プロパノイルオキシ]エチルメタクリレート、2−[3−{2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−イル}プロパノイルオキシ]エチルアクリレート、2−(メタクリロイルオキシ)エチル2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5カルボキシレート、2−(アクリロイルオキシ)エチル2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、4−(メタクリロイルオキシ)ブチル2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート、4−(アクリロイルオキシ)ブチル2−(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート等を挙げることができる。また、これらセサモール型ベンゾトリアゾール系単量体は1種類で用いてもよいし、また2種類以上用いてもよい。
上記セサモール型ベンゾトリアゾール系単量体は、樹脂層が2以上の多層構造である場合には、2層以上の樹脂層に含有されて、所望の分光透過率を満たしてもよい。例えば、樹脂層の一つに波長380nmにおける分光透過率のみを達成できるように上記セサモール型ベンゾトリアゾール系単量体を含有し、他の樹脂層に波長410nm及び波長440nmにおける分光透過率の条件を達成できるように上記セサモール型ベンゾトリアゾール系単量体を含有している構成等が挙げられる。更に、樹脂層が3層以上からなり、各樹脂層にて所望の分光透過率を満たすよう上記セサモール型ベンゾトリアゾール系単量体を含有していてもよい。
上記セサモール型ベンゾトリアゾール系単量体がハードコート層に含有されている場合、例えば、上記セサモール型ベンゾトリアゾール系単量体は、ハードコート層中に15〜30質量%で含有されていることが好ましい。このような範囲でセサモール型ベンゾトリアゾール系単量体が含有されていることで、所望の分光透過率を満たすことができる。なお、上記セサモール型ベンゾトリアゾール系単量体は、ハードコート層において、ハードコート層を構成する樹脂成分と反応して一体的に含有されていてもよく、ハードコート層を構成する樹脂成分と反応することなく単独で含有されていてもよい。
(防汚剤)
防汚剤は、ハードコート層に均一に防汚剤が分散されていてもよいが、少ない添加量で充分な防汚性を得るとともにハードコート層の強度低下を抑制する観点から、ハードコート層の表面側に偏在して含まれていることが好ましい。ハードコート層が単層構造の場合において、防汚剤をハードコート層の表面側に偏在させる方法としては、例えば、ハードコート層を形成時において、ハードコート層用組成物を用いて形成した塗膜を乾燥させ、硬化させる前に、塗膜を加熱して、塗膜に含まれる樹脂成分の粘度を下げることにより流動性を上げて、防汚剤をハードコート層の表面側に偏在させる方法や、表面張力の低い防汚剤を選定して用い、塗膜の乾燥時に熱をかけずに塗膜の表面に防汚剤を浮かせ、その後塗膜を硬化させることで、上記防汚剤をハードコート層の最表面側に偏在させる方法等が挙げられる。また、ハードコート層が多層構造の場合には、表面側のハードコート層に防汚剤を含有させることによってハードコート層の表面側に防汚剤を偏在させることができる。
防汚剤としては特に限定されず、例えば、シリコーン系防汚剤、フッ素系防汚剤、シリコーン系かつフッ素系防汚剤が挙げられ、それぞれ単独で使用してもよく、混合して使用してもよい。また、防汚剤としては、アクリル系防汚剤であってもよい。
防汚剤の含有量としては、上述した樹脂成分100質量部に対して、0.01〜3.0質量部であることが好ましい。0.01質量部未満であると、樹脂層に充分な防汚性能を付与できないことがあり、また、3.0質量部を超えると、ハードコート層の硬度が低下するおそれがある。
防汚剤は、重量平均分子量が5000以下であることが好ましく、防汚性能の耐久性を改善するために、反応性官能基を好ましくは1以上、より好ましくは2以上有する化合物である。なかでも、2以上の反応性官能基を有する防汚剤を用いることにより、優れた耐擦傷性を付与することができる。
防汚剤が反応性官能基を有さない場合、樹脂基材がロール状の場合でも、シート状の場合でも、重ねたときに樹脂基材の裏面に防汚剤が転移してしまい、樹脂基材の裏面に他の層を貼り付けまたは塗布しようとすると、他の層の剥がれが発生することがあり、更に、複数回の連続折り畳み試験を行うことで容易に剥がれる場合がある。
更に、上記反応性官能基を有する防汚剤は、防汚性能の性能持続性(耐久性)が良好となり、なかでも、上述したフッ素系防汚剤を含むハードコート層は、指紋が付きにくく(目立ちにくく)、拭き取り性も良好である。更に、ハードコート層用組成物の塗工時の表面張力を下げることができるので、レベリング性がよく、形成するハードコート層の外観が良好なものとなる。
シリコーン系防汚剤を含むハードコート層は、滑り性がよく、耐スチールウール性が良好である。ハードコート層にこのようなシリコーン系防汚剤を含む樹脂基材を搭載したタッチセンサは、指やペンなどで接触したときの滑りがよくなるため、触感がよくなる。また、ハードコート層に指紋も付きにくく(目立ちにくく)、拭き取り性も良好となる。更に、ハードコート層用組成物の塗工時の表面張力を下げることができるので、レベリング性がよく、形成するハードコート層の外観が良好なものとなる。
シリコーン系防汚剤の市販品としては、例えば、SUA1900L10(新中村化学工業株式会社製)、SUA1900L6(新中村化学工業株式会社製)、Ebecryl1360(ダイセルサイテック株式会社製)、UT3971(日本合成化学工業株式会社製)、BYKUV3500(ビックケミー社製)、BYKUV3510(ビックケミー社製)、BYKUV3570(ビックケミー社製)、X22−164E、X22−174BX、X22−2426、KBM503、KBM5103(信越化学工業株式会社製)、TEGO−RAD2250、TEGO−RAD2300、TEGO−RAD2200N、TEGO−RAD2010、TEGO−RAD2500、TEGO−RAD2600、TEGO−RAD2700(エボニックジャパン株式会社製)、メガファックRS854(DIC株式会社製)等が挙げられる。
フッ素系防汚剤の市販品としては、例えば、オプツールDAC、オプツールDSX(ダイキン工業株式会社製)、メガファックRS71、メガファックRS74(DIC株式会社製)、LINC152EPA、LINC151EPA、LINC182UA(共栄社化学株式会社製)、フタージェント650A、フタージェント601AD、フタージェント602等が挙げられる。
フッ素系かつシリコーン系で反応性官能基を有する防汚剤の市販品としては、例えば、メガファックRS851、メガファックRS852、メガファックRS853、メガファックRS854(DIC株式会社製)、オプスターTU2225、オプスターTU2224(JSR株式会社製)、X71−1203M(信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
<衝撃吸収層>
衝撃吸収層は、衝撃吸収性を有する層である。衝撃吸収層は、2層以上の多層構造となっていてもよい。
衝撃吸収層の膜厚は、10μm以上500μm以下となっていることが好ましい。衝撃吸収層の膜厚が、10μm以上であれば、衝撃吸収層の硬度低下を抑制でき、また500μm以下であれば、膜厚が厚すぎることもないので、薄型化に適し、また加工性の悪化を抑制できる。衝撃吸収層の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、衝撃吸収層の断面を撮影し、その断面の画像において衝撃吸収層の膜厚を20箇所測定し、その20箇所の膜厚の算術平均値とする。衝撃吸収層の下限は50μm以上であることがより好ましく、衝撃吸収層の上限は150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。
衝撃吸収層においては、25℃、500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断貯蔵弾性率G´が、1MPa以上1500MPa以下となっていることが好ましい。衝撃吸収層の剪断貯蔵弾性率G´が1MP以上であれば、樹脂基材の表面に衝撃が加わった際に、樹脂基材自体の変形のみならず、樹脂基材よりも画像表示装置の内部に粘着層が配置されている場合であっても粘着層の塑性変形をより抑制することができる。また、衝撃吸収層の剪断貯蔵弾性率G´が1500MPa以下であれば、折り畳みの際の樹脂基材の割れをより抑制できる。衝撃吸収層の剪断貯蔵弾性率G´の下限は、100MPa以上となっていることがより好ましく、衝撃吸収層の剪断貯蔵弾性率G´の上限は、1200MPa以下となっていることがより好ましい。このような上限とすることで、折り畳んで静置し、再び開いた際に、良好な復元性を得ることができる。
衝撃吸収層においては、25℃、500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断損失弾性率G´´が、0.1MPa以上200MPa以下となっていることが好ましい。衝撃吸収層の剪断損失弾性率G´´が0.1MPa以上であれば、衝撃吸収性能をより得ることができる。また、衝撃吸収層の剪断損失弾性率G´´が200MPa以下であれば、衝撃吸収層の硬度が低下するおそれもない。衝撃吸収層の剪断損失弾性率G´´の下限は、1MPa以上となっていることが好ましく、また衝撃吸収層の剪断損失弾性率G´´の上限は、衝撃吸収層の薄型化の観点から、150MPa以下となっていることがより好ましい。
衝撃吸収層の剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´は、動的粘弾性測定装置(DMA)によって測定することができる。動的粘弾性測定装置(DMA)によって、衝撃吸収層の剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´を測定する際には、まず、保護フィルム付き光透過性フィルムから全ての保護フィルムを剥離して、衝撃吸収層を含む光透過性フィルム単体を得る。次いで、この光透過性フィルムを、10mm×5mmの長方形状に打ち抜いて、サンプルを得る。そして、このサンプルを2枚準備し、動的粘弾性測定装置(製品名「Rheogel-E4000」、株式会社ユービーエム社製)のオプションである固体剪断用治具に取り付ける。具体的には、固体剪断用治具は、厚さ1mmの1枚の金属製の固体剪断板と、この固体剪断板の両側に配置された2つのL型金具を備えており、固体剪断板と一方のL型金具との間で一方のサンプルを挟み、かつ固体剪断板と他方のL型金具で他方のサンプルを挟む。この場合、衝撃吸収層が固体剪断板側となり、樹脂基材がL型金具側となるようにサンプルを挟む。そして、ビスでL型金具間を締めて、サンプルを固定する。次いで、動的粘弾性測定装置(製品名「Rheogel-E4000」、株式会社ユービーエム社製)に上部チャックおよび下部チャックからなる引張り試験用チャックを取り付けた後、上部チャックと下部チャックの間に固体剪断用治具をチャック間距離20mmで取り付ける。チャック間距離は、上部チャックと下部チャックの間の距離である。そして、設定温度を25℃とし2℃/minで昇温させる。この状態で、固体剪断板を固定しながら2つのL型金具に歪み量1%かつ周波数500Hz以上1000Hz以下の範囲の縦振動を与えながら、25℃での固体の動的粘弾性測定を行い、衝撃吸収層の剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´を測定する。ここで、サンプルは、衝撃吸収層以外にも樹脂基材を含むものであるが、樹脂基材は衝撃吸収層よりも硬いので、樹脂基材の影響は無視することができる。このため、サンプルが、衝撃吸収層以外に、樹脂基材を含んでいたとしても、サンプルから測定された剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´は、衝撃吸収層の剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´とみなすことができる。衝撃吸収層における500Hz以上1000Hz以下の周波数域での剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´は、外板に周波数500Hz、750Hz、950Hzの縦振動をそれぞれ与えて、それぞれの周波数において衝撃吸収層の剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´を測定し、これらの剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´の算術平均値を求め、さらに、この測定を3回繰り返し、それぞれ得られた3つの算術平均値をさらに算術平均した値とする。なお、上記において、500Hz以上1000Hz以下の周波数域としたのは、この周波数域の周波数が、数cmの高さから物体を自由落下させたときに、光透過性フィルムの表面が数ミクロンから数十ミクロン変形する周波数であり、かつ光透過性フィルムより画像表示装置の内部に存在する表示パネル等に損傷を与える周波数であるからである。
衝撃吸収層を構成する樹脂は、衝撃吸収層における25℃、500HzHz以上1000Hz以下の周波数域の剪断貯蔵弾性率G´および剪断損失弾性率G´´が上記範囲内となるような樹脂であれば、特に限定されない。このような樹脂としては、アクリル系ゲル、ウレタン系ゲル、シリコーン系ゲル、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アクリル系ゲルが好ましい。「ゲル」とは、一般に、高粘度で流動性を失った分散系をいう。なお、衝撃吸収層は、アクリル系ゲルやウレタン系樹脂等の他、ゴムや熱可塑性エラストマーを含有していてもよい。また、上記アクリル系ゲルは粘着性があるので、衝撃吸収層が上記アクリル系ゲルからなる場合には、衝撃吸収層と樹脂基材との間に粘着層を設けなくとも、衝撃吸収層と樹脂基材を直接貼り付けることができる。
(アクリル系ゲル)
アクリル系ゲルとしては、粘着剤などに用いられている、アクリル酸エステルを含むモノマーを重合してなるポリマーであれば種々のものを使用することができる。具体的には、アクリル系ゲルとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、i−ミリスチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、i−デシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、i−ステアリル(メタ)アクリレート等のアクリル系モノマーを重合または共重合したものを用いることができる。本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」および「メタクリレート」の両方を含む意味である。なお、上記(共)重合する際に使用するアクリル酸エステルは、単独で用いる他、2種類以上併用してもよい。
(ウレタン系樹脂)
ウレタン系樹脂は、ウレタン結合を有する樹脂である。ウレタン系樹脂としては、電離放射線硬化性ウレタン系樹脂組成物の硬化物や熱硬化性ウレタン系樹脂組成物の硬化物等が挙げられる。これらの中でも、高硬度が得られ、硬化速度も早く量産性に優れる観点から、電離放射線硬化性ウレタン系樹脂組成物の硬化物であることが好ましい。
電離放射線硬化性ウレタン系樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレートを含んでおり、熱硬化性ウレタン系樹脂は、ポリオール化合物と、イソシアネート化合物とを含んでいる。ウレタン(メタ)アクリレート、ポリオール化合物、およびイソシアネート化合物は、モノマー、オリゴマー、およびプレポリマーのいずれであってもよい。
ウレタン(メタ)アクリレート中の(メタ)アクリロイル基の数(官能基数)は、2以上4以下であることが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート中の(メタ)アクリロイル基の数が、2未満であると、鉛筆硬度が低くなるおそれがあり、また4を超えると、硬化収縮が大きくなり、樹脂基材がカールしてしまい、また折り曲げ時に樹脂層にクラックが入るおそれがある。ウレタン(メタ)アクリレート中の(メタ)アクリロイル基の数の上限は、3以下であることがより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、1500以上20000以下であることが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量が、1500未満であると、耐衝撃性が低下するおそれがあり、また20000を超えると、電離放射線硬化性ウレタン系樹脂組成物の粘度が上昇し、塗工性が悪化するおそれがある。ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量の下限は2000以上であることがより好ましく、上限は15000以下であることがより好ましい。
また、ウレタン(メタ)アクリレート由来の構造を有する繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(26)、(27)、(28)または(29)で表される構造等が挙げられる。
上記一般式(26)中、R
9は分岐鎖状アルキル基を示し、R
10は分岐鎖状アルキル基又は飽和環状脂肪族基を示し、R
11は水素原子又はメチル基を示し、R
12は、水素原子、メチル基又はエチル基を示し、mは0以上の整数を示し、xは0〜3の整数を示す。
上記一般式(27)中、R
9は分岐鎖状アルキル基を示し、R
10は分岐鎖状アルキル基又は飽和環状脂肪族基を示し、R
11は水素原子又はメチル基を示し、R
12は、水素原子、メチル基又はエチル基を示し、nは1以上の整数を示し、xは0〜3の整数を示す。
上記一般式(28)中、R
9は分岐鎖状アルキル基を示し、R
10は分岐鎖状アルキル基又は飽和環状脂肪族基を示し、R
11は水素原子又はメチル基を示し、R
12は、水素原子、メチル基又はエチル基を示し、mは0以上の整数を示し、xは0〜3の整数を示す。
上記一般式(29)中、R
9は分岐鎖状アルキル基を示し、R
10は分岐鎖状アルキル基又は飽和環状脂肪族基を示し、R
11は水素原子又はメチル基を示し、R
12は、水素原子、メチル基又はエチル基を示し、nは1以上の整数を示し、xは0〜3の整数を示す。
なお、衝撃吸収層を構成する樹脂が、どのような構造の高分子鎖(繰り返し単位)によって形成されているかは、例えば、熱分解GC−MS及びFT−IRによって衝撃吸収層を分析することによって判断可能である。特に、熱分解GC−MSは、衝撃吸収層に含まれる単量体単位をモノマー成分として検知できるため有用である。
衝撃吸収層は、紫外線吸収剤、分光透過率調整剤、防汚剤、無機粒子および/または有機粒子等を含んでいてもよい。紫外線吸収剤等は、ハードコート層の欄で説明した紫外線吸収剤等と同様のものが使用できるので、ここでは説明を省略するものとする。
<下地層>
下地層は、樹脂基材と樹脂基材上に設けられる他の機能層(例えば、ハードコート層や衝撃吸収層)との間の密着性を向上させるための層である。樹脂基材の表面に下地層を設けることにより、樹脂基材の表面と他の機能層が直接接している場合よりも、密着性を向上させることができる。
下地層の膜厚は、30nm以上200nm以下となっていることが好ましい。下地層の膜厚が、30nm以上であれば、樹脂基材と他の機能層の充分な密着性を確保でき、また200nm以下であれば、干渉縞の発生を抑制できる。下地層の膜厚は、ハードコート層の膜厚と同様の方法によって求めるものとする。下地層の膜厚の下限は50nm以上であることがより好ましく、上限は150nm以下であることがより好ましい。
下地層は、樹脂を含んでいる。下地層の樹脂は、(メタ)アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ナイロン、ポリスチレン、およびABS樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
<<保護フィルム付き光透過性フィルムの製造方法>>
保護フィルム付き光透過性フィルム10は、以下のようにして得ることができる。まず、光透過性フィルム20の表面20A(樹脂基材21の表面21A)に粘着層32側が表面20A側となるように保護フィルム30を貼り付ける。そして、光透過性フィルム20の表面20B(樹脂基材21の表面21B)に粘着層42側が表面20B側となるように保護フィルム40を貼り付ける。これにより、保護フィルム付き光透過性フィルム10が得られる。
また、保護フィルム付き光透過性フィルム60は、以下のようにして得ることができる。まず、樹脂基材21の表面21Aに粘着層32側が表面21A側となるように保護フィルム30を貼り付ける。そして、樹脂基材21の表面21Bに、樹脂層71(例えば、ハードコート層や衝撃吸収層)を形成し、樹脂基材21と樹脂層71からなる光透過性フィルム70を形成する。これにより、保護フィルム付き光透過性フィルム60が得られる。なお、樹脂層71等を形成する際の加工プロセスが、保護フィルム30の軟化点以上の温度になる場合には、樹脂基材21から保護フィルム30を一度剥がした後に、加工プロセスを行い、その後再度光透過性フィルム20の表面20Aに保護フィルム30を貼り付けてもよい。
樹脂層71として、第1のハードコート層と、第1のハードコート層上に積層された第2のハードコート層とからなるハードコート層を形成する場合には、樹脂基材21の表面21Bに、まず、第1のハードコート層を形成するための第1のハードコート層用組成物を塗布し、第1のハードコート層用組成物の塗膜を形成する。
<第1のハードコート層用組成物>
第1のハードコート層用組成物は、第1のハードコート層を形成するための重合性化合物を含んでいる。第1のハードコート層用組成物は、その他、必要に応じて、紫外線吸収剤、分光透過率調整剤、防汚剤、無機粒子、レベリング剤、溶剤、重合開始剤を含んでいてもよい。
(溶媒)
上記溶媒としては、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール、ジアセトンアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ヘプタノン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジアセトンアルコール)、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、蟻酸メチル、PGMEA)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)、カーボネート(炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル)、等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。なかでも、上記溶媒としては、ウレタン(メタ)アクリレート等の成分、並びに、他の添加剤を溶解或いは分散させ、第1のハードコート層用組成物を好適に塗工できる点で、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンが好ましい。
(重合開始剤)
重合開始剤は、電離放射線照射より分解されて、ラジカルを発生して重合性化合物の重合(架橋)を開始または進行させる成分である。
重合開始剤は、電離放射線照射によりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であれば特に限定されない。重合開始剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、具体例には、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
第1のハードコート層用組成物の塗膜を形成した後、各種の公知の方法で塗膜を、例えば30℃以上120℃以下の温度で10秒間〜120秒間加熱することにより乾燥させ、溶剤を蒸発させる。
塗膜を乾燥させた後、塗膜に紫外線等の電離放射線を照射して、塗膜を半硬化(ハーフキュア)させる。本明細書における「半硬化」とは、電離放射線をさらに照射すると硬化が実質的に進行することを意味する。ただし、この段階で、塗膜を完全硬化(フルキュア)させてもよい。本明細書における「完全硬化」とは、これ以上電離放射線を照射しても硬化が実質的に進行しないことを意味する。
塗膜を半硬化させた後、塗膜上に、バーコーター等の塗布装置によって、第2のハードコート層を形成するための第2のハードコート層用組成物を塗布して、第2のハードコート層用組成物の塗膜を形成する。
<第2のハードコート層用組成物>
第2のハードコート層用組成物は、第2のハードコート層を形成するための重合性化合物を含んでいる。第2のハードコート層用組成物は、その他、必要に応じて、紫外線吸収剤、溶剤、重合開始剤を含んでいてもよい。第2のハードコート層用組成物は、第1のハードコート層用組成物と同様に、総固形分が25〜55%であることが好ましい。溶剤および重合開始剤は、第1のハードコート層用組成物で説明した溶剤および重合開始剤と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
第2のハードコート層用組成物の塗膜を形成した後、各種の公知の方法で塗膜を例えば30℃以上120℃以下の温度で10秒間〜120秒間加熱することにより乾燥させ、溶剤を蒸発させる。
塗膜を乾燥させた後、第2のハードコート層用組成物の塗膜に紫外線等の電離放射線を照射して、第1のハードコート層用組成物の塗膜および第2のハードコート層用組成物の塗膜を完全硬化(フルキュア)させて、第1のハードコート層および第2のハードコート層からなるハードコート層を得る。
また、樹脂層71として、衝撃吸収層を形成する場合には、樹脂基材21の表面21Bに、衝撃吸収層を形成するための衝撃吸収層用組成物を塗布して、衝撃吸収層用組成物の塗膜を形成する。衝撃吸収層用組成物の塗膜を形成した後、各種の公知の方法で塗膜を例えば30℃以上120℃以下の温度で10秒間〜120秒間加熱することにより乾燥させ、溶剤を蒸発させる。塗膜を乾燥させた後、樹脂層用組成物の塗膜に紫外線等の電離放射線を照射して、衝撃吸収層の塗膜を硬化させて、衝撃吸収層を形成する。
また、保護フィルム付き光透過性フィルム80は、以下のようにして得ることができる。まず、樹脂基材21の表面21Aに樹脂層91(例えば、下地層)を形成し、樹脂層91の表面91Aに粘着層32側が樹脂層91側となるように保護フィルム30を貼り付ける。そして、樹脂基材21の表面21Bに樹脂層92(例えば、ハードコート層や衝撃吸収層)を形成する。これにより、保護フィルム付き光透過性フィルム80が得られる。なお、樹脂層91、92等を形成する際の加工プロセスが、保護フィルム30の軟化点以上の温度になる場合には、樹脂層91から保護フィルム30を一度剥がした後に、加工プロセスを行い、その後再度樹脂層91の表面90Aに保護フィルム30を貼り付けてもよい。
光透過性フィルムから保護フィルムを剥離すると、光透過性フィルムの表面に凹凸が現れるのは、光透過性フィルムの表面に保護フィルムの表面の凹凸が転写されてしまうからであると考えられる。特に、この現象が、ロール状に巻回した状態の光透過性フィルムで発生しやすいのは、光透過性フィルムをロール状に巻回することによって保護フィルムから光透過性フィルムに圧力が加わるからであると考えられる。一方で、JIS K7136:2000には、ヘイズは、試験片を通過する透過光のうち、前方散乱によって、入射光から0.044rad(2.5°)以上それた透過光の百分率であることが規定されている。すなわち、ヘイズの定義においては入射光に対し2.5°以上それた透過光はヘイズとして測定されるが、入射光に対し2.5°未満の透過光であればヘイズとして測定されない。ここで、保護フィルムの表面に凹凸が存在すると、この凹凸によって保護フィルムを透過する光が拡散するので、ヘイズ値は大きくなる。したがって、保護フィルムのヘイズ値が小さいことは、保護フィルムの表面に存在する凹凸が少なく、平滑性に優れることを意味する。本実施形態においては、ヘイズ値が10%以下の保護フィルム30、40を用いているので、保護フィルム30、40の表面に存在する凹凸が少ない。このため、凹凸が少ない光透過性フィルム20の表面20A、20Bを得ることができる。これにより、優れた平滑性を有する光透過性フィルム20を得ることができる。また、同様の理由から、優れた平滑性を有する光透過性フィルム70、90を得ることができる。
<<<光学フィルム>>>
光透過性フィルム20、70、90は、折り畳み可能な光学フィルムの形成に用いることができる。図6は、本実施形態に係る光学フィルムの概略構成図である。
図6に示される光学フィルム100は、樹脂基材21からなる光透過性フィルム20と、樹脂基材21の表面21Aに設けられた樹脂層101と、樹脂基材21の表面21Bに設けられた樹脂層102とを備えている。
<<樹脂層>>
樹脂層101、102としては、特に限定されないが、ハードコート層や衝撃吸収層が挙げられる。例えば、樹脂層101が、ハードコート層である場合には、樹脂層102は、衝撃吸収層とすることが可能である。ハードコート層は、樹脂層71の欄で説明したハードコート層と同様であり、衝撃吸収層は、樹脂層71の欄で説明した衝撃吸収層と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
光学フィルム100を形成する場合には、まず、保護フィルム付き光透過性フィルム10において、光透過性フィルム20から保護フィルム30を剥離した状態で、樹脂層71の形成と同様にして、樹脂基材21の表面21Aに樹脂層101を形成する。次いで、光透過性フィルム20から保護フィルム40を剥離した状態で、樹脂層71の形成と同様にして、樹脂基材21の表面21Bに樹脂層102を形成する。
<<<画像表示装置>>>
光学フィルム100は、折り畳み可能な画像表示装置に組み込んで使用することが可能である。図7は、本実施形態に係る画像表示装置の概略構成図である。図7に示されるように、画像表示装置110は、観察者側に向けて、主に、電池等が収納された筐体111、保護フィルム112、表示パネル113、円偏光板114、タッチセンサ115、および光学フィルム100がこの順で積層されている。表示パネル113と円偏光板114との間、円偏光板114とタッチセンサ115との間、タッチセンサ115と光学フィルム100との間には、光透過性を有する粘着層116が配置されており、これらの部材は粘着層116によって互いに固定されている。粘着層116は、表示パネル113と円偏光板114との間、円偏光板114とタッチセンサ115との間、タッチセンサ115と光学フィルム100との間に配置されているが、粘着層116の配置箇所は、光学フィルム100と表示パネル113との間であれば、特に限定されない。
光学フィルム100において、樹脂層101がハードコート層であり、樹脂層102が衝撃吸収層である場合、光学フィルム100は、樹脂層101が樹脂層102よりも観察者側となるように配置されている。画像表示装置110においては、光学フィルム100の樹脂層101の表面が、画像表示装置110の表面を構成している。
画像表示装置110においては、表示パネル113は、有機発光ダイオード等を含む有機発光ダイオードパネルとなっている。タッチセンサ115は、円偏光板115よりも観察者側に配置されているが、表示パネル113と円偏光板114との間に配置されていてもよい。また、タッチセンサ115は、オンセル方式やインセル方式であってもよい。
粘着層116としては、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)を用いることができるが、耐衝撃性を向上させて、表示パネル113の損傷を防ぐ観点から、上記アクリル系ゲルからなる粘着層を用いることが好ましい。なお、粘着層116に上記アクリル系ゲルからなる粘着層を用いる場合、表示パネル113と円偏光板114との間、円偏光板114とタッチセンサ115との間、タッチセンサ115と光学フィルム100との間の少なくともいずれかに上記アクリル系ゲルからなる粘着層を配置すればよい。
なお、上記実施形態においては、光学フィルム100は、画像表示装置110の表面を構成するカバーフィルムとして用いられているが、光学フィルム100は、画像表示装置の内部に存在するフィルムとして用いられてもよい。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。なお、下記の「固形分100%換算値」とは、溶剤希釈品中の固形分を100%としたときの値である。
<ハードコート層用組成物の調製>
まず、下記に示す組成となるように各成分を配合して、ハードコート層用組成物を得た。
(ハードコート層用組成物1)
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(製品名「M403」、東亜合成株式会社製):25質量部
・ジペンタエリスリトールEO変性ヘキサアクリレート(製品名「A−DPH−6E」、新中村化学工業株式会社製):25質量部
・異形シリカ粒子(平均粒子径25nm、日揮触媒化成株式会社製):50質量部(固形分100%換算値)
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):4質量部
・フッ素系レベリング剤(製品名「F568」、DIC株式会社製):0.2質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):150質量部
(ハードコート層用組成物2)
・ウレタンアクリレート(製品名「UX5000」、日本化薬株式会社製):25質量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(製品名「M403」、東亜合成株式会社製):50質量部
・多官能アクリレートポリマー(製品名「アクリット8KX−012C」、大成ファインケミカル株式会社製):25質量部(固形分100%換算値)
・防汚剤(製品名「BYKUV3500」、ビックケミー社製):1.5質量部(固形分100%換算値)
・光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):4質量部
・メチルイソブチルケトン(MIBK):150質量部
<下地層用組成物の調製>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、下地層用組成物を得た。
(下地層用組成物)
・ウレタン変性ポリエステル系樹脂(製品名「UR−3200」、東洋紡株式会社製):5質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン(MIBK):170質量部
<実施例1>
樹脂基材として、厚さ50μmのポリイミド基材(製品名「ネオプリム」、三菱ガス化学株式会社製)の一方の表面である第1の表面に、基材フィルムとしての厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)およびPETフィルムの一方の面に設けられた粘着層からなる総厚63μmの第1の保護フィルム(製品名「SAT−42J」、サンエー化研株式会社製)を、粘着層がポリイミド基材側となるように貼り付け、またポリイミド基材の第1の表面とは反対側の第2の表面に、基材フィルムとしての厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)およびPETフィルムの一方の面に設けられた粘着層からなる総厚63μmの第2の保護フィルム(製品名「SAT−42J」、サンエー化研株式会社製)を貼り付けて、第1の保護フィルムと、ポリイミド基材からなる光透過性フィルムと、第2の保護フィルムとを備える保護フィルム付き光透過性フィルムを得た。
<実施例2>
実施例2においては、第1の保護フィルムおよび第2の保護フィルム(製品名「SAT−42J」、サンエー化研株式会社製)の代わりに、基材フィルムとしての厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)およびPETフィルムの一方の面に設けられた粘着層からなる総厚60μmの第1の保護フィルムおよび第2の保護フィルム(製品名「TP200」、日東電工株式会社製)を用いたこと以外、実施例1と同様に保護フィルム付き光透過性フィルムを得た。
<実施例3>
実施例3においては、ポリイミド基材(製品名「ネオプリム」、三菱ガス化学株式会社製)の代わりに、ポリアミド基材(製品名「ミクトロン」、東レ株式会社製)を用いたこと以外、実施例1と同様に保護フィルム付き光透過性フィルムを得た。
<実施例4>
実施例4においては、第1の保護フィルムおよび第2の保護フィルム(製品名「SAT−42J」、サンエー化研株式会社製)の代わりに、基材フィルムとしての厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)およびPETフィルムの一方の面に設けられた粘着層からなる総厚135μmの第1の保護フィルムおよび第2の保護フィルム(製品名「SAT TM30125」、サンエー化研社製)を用いたこと以外、実施例1と同様に保護フィルム付き光透過性フィルムを得た。
<実施例5>
樹脂基材として、厚さ50μmのポリイミド基材(製品名「ネオプリム」、三菱ガス化学株式会社製)の一方の表面である第1の表面に、基材フィルムとしての厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)およびPETフィルムの一方の面に設けられた粘着層からなる総厚63μmの第1の保護フィルム(製品名「SAT−42J」、サンエー化研株式会社製)を、粘着層がポリイミド基材側となるように貼り付けた。その後、ポリイミド基材における第1の表面とは反対側の第2の表面に、バーコーターでハードコート層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。その後、形成した塗膜に対して、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン株式会社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を空気中にて積算光量が100mJ/cm2になるように照射して塗膜を半硬化(ハーフキュア)させた。次いで、半硬化させたハードコート層用組成物1の塗膜の表面に、バーコーターでハードコート層用組成物2を塗布し、塗膜を形成した。形成した塗膜に対して、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン株式会社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を酸素濃度が200ppm以下の条件下にて積算光量が200mJ/cm2になるように照射して塗膜を完全硬化(フルキュア)させて、膜厚が10μmの第1のハードコート層と、第1のハードコート層上に積層された膜厚が5μmの第2のハードコート層とからなるハードコート層を形成した。これにより、ポリイミド基材およびハードコート層からなる光透過性フィルムと、ポリイミド基材の第1の表面に剥離可能に貼り付けられた第1の保護フィルムとを備える保護フィルム付き光透過性フィルムを得た。
上記ハードコート層の膜厚は、走査透過型電子顕微鏡(STEM)(製品名「S−4800」、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、ハードコート層の断面を撮影し、その断面の画像においてハードコート層の膜厚を10箇所測定し、その10箇所の膜厚の算術平均値とした。ハードコート層の断面写真は、以下のようにして撮影した。まず、1mm×10mmに切り出した光学フィルムを包埋樹脂によって包埋したブロックを作製し、このブロックから一般的な切片作製方法によって穴等がない均一な、厚さ70nm以上100nm以下の切片を切り出した。切片の作製には、「ウルトラミクロトーム EM UC7」(ライカ マイクロシステムズ株式会社)等を用いた。そして、この穴等がない均一な切片を測定サンプルとした。その後、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて、測定サンプルの断面写真を撮影した。この断面写真の撮影の際には、検出器を「TE」、加速電圧を30kV、エミッションを「10μA」にしてSTEM観察を行った。倍率については、フォーカスを調節しコントラストおよび明るさを各層が見分けられるか観察しながら5000倍〜20万倍で適宜調節した。なお、断面写真の撮影の際には、さらに、アパーチャーをビームモニタ絞り3にし、対物レンズ絞りを3にし、またW.D.を8mmにした。
<実施例6>
樹脂基材として、厚さ50μmのポリイミド基材(製品名「ネオプリム」、三菱ガス化学株式会社製)の一方の表面である第1の表面に下地層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。その後、形成した塗膜に対して、90℃で1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させて、膜厚100nmの下地層を形成した。次いで、下地層の表面に、基材フィルムとしての厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)およびPETフィルムの一方の面に設けられた粘着層からなる総厚63μmの第1の保護フィルム(製品名「SAT−42J」、サンエー化研株式会社製)を、粘着層が下地層側となるように貼り付けた。その後、ポリイミド基材における第1の表面とは反対側の第2の表面に、バーコーターでハードコート層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。その後、形成した塗膜に対して、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン株式会社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を空気中にて積算光量が100mJ/cm2になるように照射して塗膜を半硬化(ハーフキュア)させた。次いで、半硬化させたハードコート層用組成物1の塗膜の表面に、バーコーターでハードコート層用組成物2を塗布し、塗膜を形成した。形成した塗膜に対して、70℃、1分間加熱させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン株式会社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を酸素濃度が200ppm以下の条件下にて積算光量が200mJ/cm2になるように照射して塗膜を完全硬化(フルキュア)させて、膜厚が10μmの第1のハードコート層と、第1のハードコート層上に積層された膜厚が5μmの第2のハードコート層とからなるハードコート層を形成した。これにより、下地層、ポリイミド基材およびハードコート層からなる光透過性フィルムと、下地層の表面に剥離可能に貼り付けられた第1の保護フィルムとを備える保護フィルム付き光透過性フィルムを得た。上記下地層およびハードコート層の膜厚は、実施例5の欄に記載したハードコート層の膜厚の測定方法と同様の方法によって測定した。
<比較例1>
比較例1においては、第1の保護フィルムおよび第2の保護フィルム(製品名「SAT−42J」、サンエー化研株式会社製)の代わりに、ポリエチレンからなる厚さ60μmの自己粘着型の第1の保護フィルムおよび第2の保護フィルム(製品名「PAC3−50THK」、サンエー化研株式会社製)を用いたこと以外、実施例1と同様に保護フィルム付き光透過性フィルムを得た。
<比較例2>
比較例2においては、第1の保護フィルムおよび第2の保護フィルム(製品名「SAT−42J」、サンエー化研株式会社製)の代わりに、ポリエチレンからなる厚さ60μmの自己粘着型の第1の保護フィルムおよび第2の保護フィルム(製品名「PAC4K−60」、サンエー化研株式会社製)を用いたこと以外、実施例1と同様に保護フィルム付き光透過性フィルムを得た。
<比較例3>
比較例3においては、第1の保護フィルムおよび第2の保護フィルム(製品名「SAT−42J」、サンエー化研株式会社製)の代わりに、基材フィルムとしてのポリプロピレンフィルム(PPフィルム)およびPPフィルムの一方の面に設けられた粘着層からなる総厚30μmの第1の保護フィルムおよび第2の保護フィルム(製品名「KD23」、サンエー化研株式会社製)を用いたこと以外、実施例1と同様に保護フィルム付き光透過性フィルムを得た。
<比較例4>
比較例4においては、第1の保護フィルム(製品名「SAT−42J」、サンエー化研株式会社製)の代わりに、ポリエチレンからなる厚さ60μmの自己粘着型の第1の保護フィルムおよび第2の保護フィルム(製品名「PAC3−50THK」、サンエー化研株式会社製)を用いたこと以外、実施例5と同様に保護フィルム付き光透過性フィルムを得た。
<比較例5>
比較例5においては、第1の保護フィルム(製品名「SAT−42J」、サンエー化研株式会社製)の代わりに、ポリエチレンからなる厚さ60μmの自己粘着型の第1の保護フィルム(製品名「PAC4K−60」、サンエー化研株式会社製)を用いたこと以外、実施例5と同様に保護フィルム付き光透過性フィルムを得た。
<比較例6>
比較例6においては、第1の保護フィルム(製品名「SAT−42J」、サンエー化研株式会社製)の代わりに、ポリエチレンからなる厚さ60μmの自己粘着型の第1の保護フィルム(製品名「PAC4K−60」、サンエー化研株式会社製)を用いたこと以外、実施例6と同様に保護フィルム付き光透過性フィルムを得た。
<連続折り畳み試験>
実施例および比較例に係る保護フィルム付き光透過性フィルムにおいて、光透過性フィルムから全ての保護フィルムを剥離した状態で、光透過性フィルムの折り畳み性を評価した。具体的には、各保護フィルム付き光透過性フィルムを30mm×100mmの大きさに切り出して、この切り出した保護フィルム付き光透過性フィルムにおいて、光透過性フィルムから全ての保護フィルムを剥離して、光透過性フィルムを得た。そして、得られた光透過性フィルムを、耐久試験機(製品名「DLDMLH−FS」、ユアサシステム機器株式会社製)に、光透過性フィルムの短辺(30mm)側を固定部でそれぞれ固定し、図2(C)に示したように対向する2つの辺部の最小の間隔が30mmとなるようにして取り付け、光透過性フィルムを180°折り畳む連続折り畳み試験を10万回行い、屈曲部に割れ又は破断が生じていないか調べた。なお、実施例5、6および比較例4〜6に係る保護フィルム付き光透過性フィルムから得た光透過性フィルムにおいては、ハードコート層側の面が内側に180°折り畳まれるように光透過性フィルムを耐久試験機に取り付けた。連続折り畳み試験の結果を、以下の基準で評価した。
○:連続折り畳み試験において、屈曲部に割れ又は破断が生じていなかった。
×:連続折り畳み試験において、屈曲部に割れ又は破断が生じていた。
<ヘイズ測定>
実施例および比較例に係る保護フィルム付き光透過性フィルムで用いた保護フィルムのヘイズ値(全ヘイズ値)を測定した。まず、各保護フィルム付き光透過性フィルムを50mm×100mmの大きさに切り出して、この切り出した保護フィルム付き光透過性フィルムにおいて、光透過性フィルムから全ての保護フィルムを剥離した。具体的には、実施例1〜4および比較例1〜3においては、光透過性フィルムから第1の保護フィルムおよび第2の保護フィルムを剥離し、また実施例5、6および比較例4〜6においては、光透過性フィルムから第1の保護フィルムを剥離した。そして、剥離した第1の保護フィルムおよび第2の保護フィルムのヘイズ値を、カールや皺がなく、かつ指紋や埃等がない状態で、ヘイズメーター(製品名「HM−150」、株式会社村上色彩技術研究所製)を用いてJIS K7136:2000に準拠した方法により測定した。なお、第1の保護フィルムおよび第2の保護フィルムのヘイズ値は、各保護フィルム1枚に対して3回測定して得られた値の算術平均値とした。
<全光線透過率>
実施例および比較例に係る保護フィルム付き光透過性フィルムにおいて、光透過性フィルムから全ての保護フィルムを剥離した状態で、以下のようにして、光透過性フィルムの全光線透過率を測定した。まず、各保護フィルム付き光透過性フィルムを50mm×100mmの大きさに切り出して、この切り出した保護フィルム付き光透過性フィルムにおいて、光透過性フィルムから全ての保護フィルムを剥離して、光透過性フィルムを得た。そして、光透過性フィルムの全光線透過率を、カールや皺がなく、かつ指紋や埃等がない状態でヘイズメーター(製品名「HM−150」、株式会社村上色彩技術研究所製)を用いてJIS K7361−1:1997に準拠した方法により測定した。なお、全光線透過率は、光透過性フィルム1枚に対し3回測定して得られた値の算術平均値とした。
<イエローインデックス(YI)>
実施例および比較例に係る保護フィルム付き光透過性フィルムにおいて、ポリイミド基材等の樹脂基材から全ての保護フィルムを剥離した状態で、以下のようにして、光透過性フィルムのイエローインデックスを測定し、評価した。まず、各保護フィルム付き光透過性フィルムを50mm×100mmの大きさに切り出して、この切り出した保護フィルム付き光透過性フィルムにおいて、光透過性フィルムから全ての保護フィルムを剥離して、光透過性フィルムを得た。そして、分光光度計(製品名「UV−3100PC」、株式会社島津製作所製、光源:タングステンランプおよび重水素ランプ)を用いて、光透過性フィルムの裏面側から波長200nm〜780nmの光を照射し、光透過性フィルムを透過する波長200nm〜780nmの光からイエローインデックスを測定した。イエローインデックスは、測定された値からJIS Z8722:2009に記載された演算式に従って色度三刺激値X、Y、Zを計算し、三刺激値X、Y、ZからASTM D1925:1962に記載された演算式に従って算出し、また3回測定して得られた値の算術平均値とした。評価基準は、以下の通りとした。
◎:YIが1.5未満であった。
○:YIが1.5以上10.0未満であった。
△:YIが10.0以上15.0以下であった。
×:YIが15.0を越えていた。
<外観評価>
実施例および比較例に係る保護フィルム付き光透過性フィルムにおいて、光透過性フィルムから全ての保護フィルムを剥離した状態で、光透過性フィルムの第1の表面および第2の表面に凹凸が形成されているか目視により評価した。具体的には、各保護フィルム付き光透過性フィルムを100mm×100mmの大きさに切り出して、この切り出した保護フィルム付き光透過性フィルムにおいて、光透過性フィルムから全ての保護フィルムを剥離して、光透過性フィルムを得た。そして、光透過性フィルムの第1の表面(実施例1〜5および比較例1〜5においては樹脂基材の第1の表面、実施例6および比較例6においては下地層の表面)に凹凸が形成されているか否か、また光透過性フィルムの第2の表面(実施例1〜4および比較例1、2における樹脂基材の第2の表面)に凹凸が形成されているか否か、3波長蛍光ランプ下で目視により評価した。
(実施例1〜4および比較例1〜3)
○:光透過性フィルムの第1の表面および第2の表面のいずれにも凹凸が確認されなかった、または凹凸が若干確認されたが実用上問題のないレベルであった。
×:光透過性フィルムの第1の表面および第2の表面のいずれも凹凸が明確に確認された。
(実施例5、6および比較例4〜6)
○:光透過性フィルムの第1の表面に凹凸が確認されなかった、または凹凸が若干確認されたが実用上問題のないレベルであった。
×:光透過性フィルムの第1の表面に凹凸が明確に確認された。
以下、結果について述べる。比較例1〜3に係る保護フィルム付き光透過性フィルムにおいては、第1の保護フィルムのヘイズ値および第2の保護フィルムのヘイズ値がそれぞれ10%を超えていたので、保護フィルム付き光透過性フィルムから第1の保護フィルムおよび第2の保護フィルムを剥離して得られた光透過性フィルムの第1の表面および第2の表面のいずれも凹凸が明確に確認された。これに対し、実施例1〜4に係る保護フィルム付き光透過性フィルムにおいては、第1の保護フィルムのヘイズ値および第2の保護フィルムのヘイズ値がそれぞれ10%以下であったので、光透過性フィルムの第1の表面および第2の表面のいずれにも凹凸が確認されなかった、または凹凸が若干確認されたが実用上問題のないレベルであった。
また、比較例4〜6に係る保護フィルム付き光透過性フィルムにおいては、第1の保護フィルムのヘイズ値が10%を超えていたので、保護フィルム付き光透過性フィルムから第1の保護フィルムを剥離して得られた光透過性フィルムの第1の表面に凹凸が明確に確認された。これに対し、実施例5、6に係る保護フィルム付き光透過性フィルムにおいては、第1の保護フィルムのヘイズ値が10%以下であったので、保護フィルム付き光透過性フィルムから第1の保護フィルムを剥離して得られた光透過性フィルムの第1の表面に凹凸が確認されなかった、または凹凸が若干確認されたが実用上問題のないレベルであった。
また、実施例5、6に係る光透過性フィルムにおいて、樹脂基材、第1のハードコート層および第2のハードコート層のマルテンス硬度をそれぞれ測定したところ、ポリイミド基材のマルテンス硬度は300MPaであり、第1のハードコート層のマルテンス硬度は830MPaであり、第2のハードコート層のマルテンス硬度は500MPaであった。マルテンス硬度は、HYSITRON(ハイジトロン)社製の「TI950 TriboIndenter」を用いて測定した。具体的には、まず1mm×10mmに切り出した保護フィルム付き光透過性フィルムから全ての保護フィルムを剥離して、光透過性フィルム単体を得た。そして、この光透過性フィルムを包埋樹脂によって包埋したブロックを作製し、このブロックから一般的な切片作製方法によって穴等がない均一な、厚さ70nm以上100nm以下の切片を切り出した。切片の作製には、「ウルトラミクロトーム EM UC7」(ライカ マイクロシステムズ株式会社)を用いた。そして、この穴等がない均一な切片が切り出された残りのブロックを測定サンプルとした。次いで、このような測定サンプルにおける上記切片が切り出されることによって得られた断面において、圧子としてBerkovich圧子(三角錐)を用いて、以下の測定条件で、各ハードコート層の断面中央においてそれぞれBerkovich圧子(三角錐)を500nm押し込み、一定時間保持して残留応力の緩和を行った後、除荷させて、緩和後の最大荷重を計測し、該最大荷重Pmax(μN)と深さ500nmのくぼみ面積A(nm2)とを用い、Pmax/Aにより算出した。マルテンス硬度は、10箇所測定して得られた値の算術平均値とした。また、樹脂基材のマルテンス硬度もポリイミド基材のマルテンス硬度と同様に測定した。
(測定条件)
・荷重速度:10nm/秒
・保持時間:5秒
・荷重除荷速度:10nm/秒
・測定温度:25℃