[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態である車両用灯具10について添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
図1は、車両用灯具10の上面図である。図2は、車両用灯具10の正面図である。
図1〜図2に示す車両用灯具10は、ロービーム用配光パターンを形成可能な車両用前照灯(ヘッドランプ)であり、例えば、自動車等の車両の前端部の左右両側にそれぞれ搭載される。左右両側に搭載される車両用灯具10は左右対称の構成であるため、以下、代表して、車両の前端部の左側(車両前方に向かって左側)に搭載される車両用灯具10について説明する。車両用灯具10は、図示しないが、アウターレンズとハウジングとによって構成される灯室内に配置され、ハウジング等に取り付けられる。
図1〜図2に示すように、車両用灯具10は、前方レンズ体20と、前方レンズ体20の後方に配置された複数の後方レンズ部31A〜31Bと、複数の後方レンズ部31A〜31Bの後方に設けられ、後方レンズ部31A〜31B及び前方レンズ体20をこの順に透過して前方に照射されてロービーム用配光パターンを形成する光を発光する複数の光源40A〜40Bと、を備える。後方レンズ部31A〜31B、光源40A〜40Bは同じ構成であるため、以下、これらを特に区別しない場合、後方レンズ部31、光源40と記載する。なお、後方レンズ部31、光源40は、それぞれ、1つであってもよい。
前方レンズ体20及び後方レンズ部31は、それぞれ、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂製で、金型を用いた射出成形により物理的に分離した状態で個別に成形され、図示しないが、レンズホルダ等の保持部材で連結されたレンズ体として構成される。
前方レンズ体20は、所定方向(以下、第1方向ともいう)に延びたレンズ部である。第1方向は、例えば、図1に示すように、上面視で、車幅方向に延びる基準軸AX1に対して後退角θ1傾斜し、かつ、図2に示すように、正面視で、車幅方向に延びる基準軸AX1に対してつり目角θ2傾斜した方向である。θ1は0より大きい90度内の任意の角度、θ2は0〜90度内の任意の角度である。以下、説明を分かりやすくするため、θ1が30度、θ2が0度である場合を例に説明する。
一般的な車両用灯具では、1つの投影レンズが第1方向の集光及び第1方向に直交する第2方向の集光を担当するのに対して、本実施形態では、投影レンズを構成する2つのレンズ(前方レンズ体20及び後方レンズ部31)が第1方向の集光及び第1方向に直交する第2方向の集光を担当する。すなわち、本実施形態では、後方レンズ部31が第1方向の集光を主に担当し、前方レンズ体20が第2方向の集光を主に担当する。
図3は、図1に示す車両用灯具10のA−A断面図である。図1、図3等で符号AXLoが示す車両前後方向に延びる点線は、前方レンズ体20及び後方レンズ部31によって構成される投影レンズの光軸を表す。以下、光軸AXLoと記載する。
図3に示すように、前方レンズ体20は、第2入光面21及びその反対側の第2出光面22を含む。第2入光面21及び第2出光面22はそれぞれ第1方向(例えば、図3中、紙面に直交する方向)に延びている。
具体的には、図3に示すように、第2入光面21は、前方に向かって凸で、円柱軸が第1方向に延びたシリンドリカル面として構成される。また、第2出光面22は、前方に向かって凸で、円柱軸が第1方向に延びたシリンドリカル面として構成される。第2入光面21及び第2出光面22の曲率(第1方向に直交する断面の曲率)は、各断面で同一ある。なお、第2入光面21又は第2出光面22は、平面又は平面状の面であってもよい。
光源40は、矩形(例えば、1mm角)の発光面を備えたLEDやLD等の半導体発光素子で、発光面を前方(正面)に向けた状態で基板K1に実装される。基板K1は、ネジ止め等によりハウジング(図示せず)等に取り付けられる。
後方レンズ部31は、第1入光面31aと、その反対側の第1出光面31bと、第1入光面31aと第1出光面31bとの間(焦点FLo)に設けられたエッジ部31cと、エッジ部31cから後方に向かって延びた反射面31dと、エッジ部31cから下方に向かって延びた延長面31eと、周囲反射面31fと、を含む。
第1入光面31aは、光源40に向かって凸の中央入光面31a1と、中央入光面31a1の外周縁(の全部又は一部)から後方に向かって延びて、中央入光面31a1と光源40との間の空間を取り囲む筒状の周囲入光面31a2と、を含む。
中央入光面31a1は、光源40からの光のうち光軸AXLo(光源40の光軸と一致している)に対して狭角方向の光が後方レンズ部31に入光する面である。中央入光面31a1は、例えば、当該中央入光面31a1から後方レンズ部31に入光した光源40からの光が焦点FLo(エッジ部31c)近傍に集光する面として構成されている。なお、光源40は実際には点光源ではなく一定の大きさをもっているため、中央入光面31a1から後方レンズ部31に入光した光源40からの光は、完全に一点(焦点FLo)に集光することなく、焦点FLo(エッジ部31c)近傍に集光する。
焦点FLoとは、光軸AXLoに対して平行な水平光線群が、前方レンズ体20の前方から前方レンズ体20を透過して後方レンズ部31に入光した場合、後方レンズ部31内で集光する光軸AXLo上の集光点のことである。
周囲入光面31a2は、光源40からの光のうち光軸AXLoに対して広角方向の光が後方レンズ部31に入光する面である。周囲入光面31a2から後方レンズ部31に入光した光源40からの光は、周囲反射面31fで内面反射(全反射)される。
周囲反射面31fは、周囲入光面31a2から後方レンズ部31に入光して当該周囲反射面31fで内面反射(全反射)された光源40からの光が焦点FLo(エッジ部31c)近傍に集光する面として構成されている。なお、光源40は実際には点光源ではなく一定の大きさをもっているため、周囲入光面31a2から後方レンズ部31に入光した光源40からの光は、完全に一点(焦点FLo)に集光することなく、焦点FLo(エッジ部31c)近傍に集光する。
第1出光面31bは、第1入光面31aから後方レンズ部31に入光した光源40からの光が出光する面である。
図4は、車両用灯具10の横断面図である(主要光学面以外省略)。
図4に示すように、第1出光面31bの横断面は、前方に向かって凸の曲面として構成されている。第1出光面31bの横断面の曲率は、各横断面で同一である。一方、第1出光面31bの縦断面の曲率は、各縦断面で同一ではなく、縦断面ごとに異なっている。例えば、第1出光面31bの縦断面の曲率は、図4中、A1−A1断面、B1−B1断面、C1−C1断面それぞれで異なっている。B1−B1断面は、光軸AXLoを含んだ縦断面である。A1−A1断面は、後方レンズ31内で後述の集光点CP2Bより前方で光軸AXLoと交差するような断面であり、前方から後方に向かって光軸AXLoに対し前方レンズが後退する方向に傾斜させた縦断面である。C1−C1断面は、後方レンズ31内で後述の集光点CP2Bより前方で光軸AXLoと交差するような断面であり、前方から後方に向かって光軸AXLoに対し前方レンズが後退する方向にとは逆向きに傾斜させた縦断面である。A1−A1断面、B1−B1断面、C1−C1断面は全て後方レンズ31内の同一箇所で交差している。すなわち、A1−A1断面とC1−C1断面は光軸AXLoに対して交点は同じ位置としたまま傾斜角度を異ならせた鉛直断面となっている。第1出射面31bの縦断面の曲率がどのように異なっているかについては後述する。
エッジ部31cは、後述のように焦線に沿って設けられる。エッジ部31cは、図示しないが、例えば、Z型の段差部を有する。
焦線とは、光軸AXLoに対する傾斜角度が異なる複数の鉛直面それぞれに含まれる複数の水平光線群が、前方レンズ体20の前方から前方レンズ体20を透過して後方レンズ部31に入光した場合、後方レンズ部31内で集光することで形成される集光点群のことである。図4中の符号FL2L、FL2Rが示す実線、図6中の符号FL1L、FL1Rが示す点線が焦線の一例である。以下、焦線FL1L、焦線FL1R、焦線FL2L、焦線FL2Rと記載する。焦線FL1L、焦線FL1R、焦線FL2L、焦線FL2Rについてはさらに後述する。
上記構成の車両用灯具10においては、光源40を点灯すると、光源40からの光は、第1入光面31aから後方レンズ部31に入光して焦点FLo(エッジ部31c)近傍に集光し、反射面31dによって一部遮光された後、反射面31dからの反射光と共に、第1出光面31bから出光する。その際、第1出光面31bから出光する光源40からの光は、第1出光面31b(第1出光面31bの横断面)の作用により、第1方向に関し集光される。そして、第1出光面31bから出光した光源40からの光は、後方レンズ部31と前方レンズ体20との間の空間S1を通過して、さらに、第2入光面21から前方レンズ体20に入光して第2出光面22から出光して前方に照射される。その際、第2出光面22から出光する光源40からの光は、第2入光面21及び第2出光面22の作用により、第2方向に関し集光される。これにより、ロービーム用配光パターンが形成される。ロービーム用配光パターンは、上端縁にエッジ部31cによって規定されるカットオフラインを含む。
別言すると、後方レンズ部31に入光した光源40からの光によってエッジ部31c近傍に形成される光度分布が、投影レンズとして機能する後方レンズ部31及び前方レンズ体20によって前方に反転投影される。これにより、ロービーム用配光パターンが形成される。
次に、第1出光面31bの縦断面の曲率が各縦断面で同一の場合に形成されるロービーム用配光パターンについて説明する。
図5(a)は、第1出光面31bの縦断面の曲率が各縦断面で同一の場合に形成されるロービーム用配光パターンの一例である。図5(a)には、車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(車両前面から約25m前方に配置されている)上に形成されるロービーム用配光パターンの一例が示されている。
本発明者らがシミュレーションで確認したところ、前方レンズ体20を図1に示すように上面視で基準軸AX1に対して後退角θ1傾斜した姿勢で配置した場合、第1出光面31bの縦断面の曲率が各縦断面で同一であると、ロービーム用配光パターンの一部の光度が相対的に低下する(いわゆるぼけた状態となる)ことが判明した。
図5(a)を参照すると、例えば、左5〜20度にかけてのカットオフ付近の光度が右5〜20度にかけてのカットオフ付近の光度より低く、ロービーム用配光パターンの一部(図5(a)中の四角B1で囲った範囲)の光度が相対的に低下していることが分かる。なお、図5(a)、図5(b)中、1つの四角(各々のマス目)は、縦(鉛直V方向)5度、横(水平H方向)5度を表す。図13も同様である。このようにロービーム用配光パターンの一部の光度が低下する理由は、次のとおりである。
まず、図6、図7を参照しながら、第1出光面31bの縦断面の曲率が各縦断面で同一の場合に形成される焦線について説明する。なお、図6は、第1出光面31bの縦断面の曲率が各縦断面で同一である点及び焦線・焦点(集光点)位置が異なる点以外、図4と同じである。
図6は、車両用灯具10の横断面図である(主要光学面以外省略)。図6には、第1出光面31bの縦断面の曲率が各縦断面で同一の場合に形成される焦線FL1L、FL1Rが示されている。
図7(a)は、図6中のA2−A2断面(縦断面)を表す。図7(a)には、前方レンズ体20のA2−A2断面を通過する水平光線群Ray1Aが描かれている。
図7(a)に示すように、A2−A2断面に含まれる水平光線群Ray1Aが、前方レンズ体20を透過して後方レンズ部31に入光した場合、焦点FLo(図7(b)参照)より前方で集光して集光点CP1Aを形成する。
同様に、図示しないが、A2−A2断面とB2−B2断面との間の複数の縦断面(光軸AXLoに対して傾斜角度が異なる複数の縦断面)それぞれに含まれる水平光線群が、前方レンズ体20を透過して後方レンズ部31に入光した場合も、焦点FLoより前方で集光して集光点(群)を形成する。
このように焦点FLoより前方で集光することで形成される集光点CP1A等の集光点群は、図6中の光軸AXLoに対して左側に点線で示すように、焦線FL1Lを構成する。
図7(b)は、図6中のB2−B2断面(縦断面)を表す。図7(b)には、前方レンズ体20のB2−B2断面を通過する水平光線群Ray1Bが描かれている。
図7(b)に示すように、B2−B2断面に含まれる水平光線群Ray1Bが、前方レンズ体20を透過して後方レンズ部31に入光した場合、焦点FLoで集光して集光点CP1Bを形成する。
図7(c)は、図6中のC2−C2断面(縦断面)を表す。図7(c)には、前方レンズ体20のC2−C2断面を通過する水平光線群Ray1Cが描かれている。
図7(c)に示すように、C2−C2断面に含まれる水平光線群Ray1Cが、前方レンズ体20を透過して後方レンズ部31に入光した場合、焦点FLo(図7(b)参照)より後方で集光して集光点CP1Cを形成する。
同様に、図示しないが、B2−B2断面とC2−C2断面との間の複数の縦断面(光軸AXLoに対して傾斜角度が異なる複数の縦断面)それぞれに含まれる水平光線群が、前方レンズ体20を透過して後方レンズ部31に入光した場合も、焦点FLoより後方で集光して集光点(群)を形成する。
このように焦点FLoより後方で集光することで形成される集光点CP1C等の集光点群は、図6中の光軸AXLoに対して右側に点線で示すように、焦線FL1Rを構成する。
焦線FL1Lと焦線FL1Rは、図6中光軸AXLoに対して左右非対称となる。これは、各々の水平光線群が通過する第2入光面21と第1出光面31bとの間の距離が水平光線群ごとに異なることによるものである(例えば、図7中の距離L1、L2、L3参照。L1>L2>L3)。
次に、図8を参照しながら、上記のように構成される焦線FL1L、FL1R(焦線FL1L、FL1Rに沿って設けられるエッジ部31c)近傍を通過する光源40からの光の光路について説明する。
図8(a)は、図6中のA2−A2断面(縦断面)を表す。図8(a)には、後方レンズ部31のA2−A2断面を通過する光源40からの光Ray1aが描かれている。
図8(a)に示すように、A2−A2断面においては、第1入光面31a(周囲入光面31a2)から後方レンズ部31に入光して周囲反射面31fで内面反射されて集光点CP1A(焦線FL1L)近傍を通過する光源40からの光Ray1aは、比較的浅い角度(第1出光面31bの取り込み角内の角度)で集光点CP1A近傍を通過するため、第1出光面31bから出光し、さらに、前方レンズ体20を透過して前方に照射されてロービーム用配光パターンの形成に用いられる。
図示しないが、A2−A2断面とB2−B2断面との間の複数の縦断面(光軸AXLoに対して傾斜角度が異なる複数の縦断面)それぞれにおいて、第1入光面31a(周囲入光面31a2)から後方レンズ部31に入光して周囲反射面31fで内面反射されて集光点(焦線FL1L)近傍を通過する光源40からの光についても同様である。
図8(b)は、図6中のB2−B2断面(縦断面)を表す。図8(b)には、後方レンズ部31のB2−B2断面を通過する光源40からの光Ray1bが描かれている。
図8(b)に示すように、B2−B2断面においては、第1入光面31a(周囲入光面31a2)から後方レンズ部31に入光して周囲反射面31fで内面反射されて集光点CP1B(焦点FLo)近傍を通過する光源40からの光Ray1bは、比較的浅い角度(第1出光面31bの取り込み角内の角度)で集光点CP1B(焦点FLo)近傍を通過するため、第1出光面31bから出光し、さらに、前方レンズ体20を透過して前方に照射されてロービーム用配光パターンの形成に用いられる。
図8(c)は、図6中のC2−C2断面(縦断面)を表す。図8(c)には、後方レンズ部31のC2−C2断面を通過する光源40からの光Ray1cが描かれている。
図8(c)に示すように、C2−C2断面においては、第1入光面31a(周囲入光面31a2)から後方レンズ部31に入光して周囲反射面31fで内面反射されて集光点CP1C(焦線FL1R)近傍を通過する光源40からの光Ray1cは、比較的深い角度(第1出光面31bの取り込み角外の角度)で集光点CP1C近傍を通過するため、第1出光面31bから出光せず、ロービーム用配光パターンの形成に用いられない。
図示しないが、B2−B2断面とC2−C2断面との間の複数の縦断面(光軸AXLoに対して傾斜角度が異なる複数の縦断面)それぞれにおいて、第1入光面31a(周囲入光面31a2)から後方レンズ部31に入光して周囲反射面31fで内面反射されて集光点(焦線FL1R)近傍を通過する光源40からの光についても同様である。
以上のように焦線FL1R近傍を通過するRay1c等の光源40からの光は、比較的深い角度(第1出光面31bの取り込み角外の角度)でエッジ部31c(焦線FL1R)近傍を通過するため、第1出光面31bから出光せず、ロービーム用配光パターンの形成に用いられない。その結果、ロービーム用配光パターンの一部(図5(a)中の四角B1で囲った範囲)の光度が低下する。
次に、ロービーム用配光パターンの一部の光度が相対的に低下するのを抑制するための構成について説明する。
本発明者らは、ロービーム用配光パターンの一部の光度が相対的に低下するのを抑制するため、鋭意検討した結果、第1出光面31bの縦断面の曲率を縦断面ごとに調整することで、ロービーム用配光パターンの一部の光度が相対的に低下するのを抑制できることを見出した。
この調整は、図6に示す焦線FL1L、FL1Rを図4に示す車幅方向に延びる焦線FL2L、FL2Rとするための調整で、所定のシミュレーションソフトウエアを用いて行われる。
次に、図9を参照しながら、第1出光面31bの縦断面の曲率を縦断面ごとに調整した場合に形成される焦線について説明する。図4には、第1出光面31bの縦断面の曲率を縦断面ごとに調整した場合に形成される焦線FL2L、FL2Rが示されている。
図9(a)は、図4中のA1−A1断面(縦断面)を表す。図9(a)には、前方レンズ体20のA1−A1断面を通過する水平光線群Ray2Aが描かれている。図9(a)中、第1出光面31bの縦断面の曲率は、A1−A1断面に含まれる水平光線群Ray2Aが、前方レンズ体20を透過して後方レンズ部31に入光した場合、基準軸AX2(図4参照)近傍で集光して集光点CP2Aを形成するように、第1曲率に調整(設定)されている。図4に示すように、基準軸AX2は、例えば、光軸AXLoに直交する水平線で、焦点FLoを通っている。
同様に、図示しないが、A1−A1断面とB1−B1断面との間の複数の縦断面(光軸AXLoに対して傾斜角度が異なる複数の縦断面)それぞれの曲率も、複数の縦断面それぞれに含まれる水平光線群が、前方レンズ体20を透過して後方レンズ部31に入光した場合、基準軸AX2近傍で集光して集光点(群)を形成するように調整(設定)されている。
このように曲率を調整することで、CP2A等の集光点群は、図4中の光軸AXLoに対して左側に実線で示すように、基準軸AX2に沿って車幅方向に延びる焦線FL2Lを構成する。
図9(b)は、図4中のB1−B1断面(縦断面)を表す。図9(b)には、前方レンズ体20のB2−B2断面を通過する水平光線群Ray2Bが描かれている。図9(b)中、第1出光面31bの縦断面の曲率は、B1−B1断面に含まれる水平光線群Ray2Bが、前方レンズ体20を透過して後方レンズ部31に入光した場合、基準軸AX2近傍で集光して集光点CP2Bを形成するように、第2曲率(第2曲率>第1曲率)に調整(設定)されている。
図9(c)は、図4中のC1−C1断面(縦断面)を表す。図9(c)には、前方レンズ体20のC1−C1断面を通過する水平光線群Ray2Cが描かれている。図9(c)中、第1出光面31bの縦断面の曲率は、C1−C1断面に含まれる水平光線群Ray2Cが、前方レンズ体20を透過して後方レンズ部31に入光した場合、基準軸AX2近傍で集光して集光点CP2Cを形成するように、第3曲率(第3曲率>第2曲率)に調整(設定)されている。
同様に、図示しないが、B1−B1断面とC1−C1断面との間の複数の縦断面(光軸AXLoに対して傾斜角度が異なる複数の縦断面)それぞれの曲率も、複数の縦断面それぞれに含まれる水平光線群が、前方レンズ体20を透過して後方レンズ部31に入光した場合、基準軸AX2近傍で集光して集光点(群)を形成するように調整(設定)されている。
このように曲率を調整することで、CP2C等の集光点群は、図4中の光軸AXLoに対して右側に実線で示すように、基準軸AX2に沿って車幅方向に延びる焦線FL2Rを構成する。
なお、上記のように構成される焦線FL2L、FL2Rは、基準軸AX2に完全に一致していなくてよく、基準軸AX2に沿っていればよい。
次に、図10を参照しながら、上記のように構成される焦線FL2L、FL2R(焦線FL2L、FL2Rに沿って設けられるエッジ部31c)近傍を通過する光源40からの光の光路について説明する。
図10(a)は、図4中のA1−A1断面(縦断面)を表す。図10(a)には、後方レンズ部31のA1−A1断面を通過する光源40からの光Ray2aが描かれている。
図10(a)に示すように、A1−A1断面においては、第1入光面31a(周囲入光面31a2)から後方レンズ部31に入光して周囲反射面31fで内面反射されて集光点CP2A(焦線FL2L)近傍を通過する光源40からの光Ray2aは、比較的浅い角度(第1出光面31bの取り込み角内の角度)で集光点CP2A近傍を通過するため、第1出光面31bから出光し、さらに、前方レンズ体20を透過して前方に照射されてロービーム用配光パターンの形成に用いられる。
図示しないが、A1−A1断面とB1−B1断面との間の複数の縦断面(光軸AXLoに対して傾斜角度が異なる複数の縦断面)それぞれにおいて、第1入光面31a(周囲入光面31a2)から後方レンズ部31に入光して周囲反射面31fで内面反射されて集光点(焦線FL2L)近傍を通過する光源40からの光についても同様である。
図10(b)は、図4中のB1−B1断面(縦断面)を表す。図10(b)には、後方レンズ部31のB1−B1断面を通過する光源40からの光Ray2bが描かれている。
図10(b)に示すように、B1−B1断面においては、第1入光面31a(周囲入光面31a2)から後方レンズ部31に入光して周囲反射面31fで内面反射されて集光点CP2B(焦点FLo)近傍を通過する光源40からの光Ray2bは、比較的浅い角度(第1出光面31bの取り込み角内の角度)で集光点CP2B(焦点FLo)近傍を通過するため、第1出光面31bから出光し、さらに、前方レンズ体20を透過して前方に照射されてロービーム用配光パターンの形成に用いられる。
図10(c)は、図4中のC1−C1断面(縦断面)を表す。図10(c)には、後方レンズ部31のC1−C1断面を通過する光源40からの光Ray2cが描かれている。
図10(c)に示すように、C1−C1断面においては、第1入光面31a(周囲入光面31a2)から後方レンズ部31に入光して周囲反射面31fで内面反射されて集光点CP2C(焦線FL2R)近傍を通過する光源40からの光Ray2cは、図8(c)と異なり、比較的浅い角度(第1出光面31bの取り込み角内の角度)で集光点CP2C近傍を通過するため、第1出光面31bから出光し、さらに、前方レンズ体20を透過して前方に照射されてロービーム用配光パターンの形成に用いられる。
図示しないが、B1−B1断面とC1−C1断面との間の複数の縦断面(光軸AXLoに対して傾斜角度が異なる複数の縦断面)それぞれにおいて、第1入光面31a(周囲入光面31a2)から後方レンズ部31に入光して周囲反射面31fで内面反射されて集光点(焦線FL2R)近傍を通過する光源40からの光についても同様である。
図5(b)は、以上のように第1出光面31bの縦断面の曲率を縦断面ごとに調整した場合に形成されるロービーム用配光パターンの一例である。図5(b)には、車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン上に形成されるロービーム用配光パターンの一例が示されている。
図5(b)を参照すると、例えば、左5〜20度にかけてのカットオフ付近の光度が図5(a)に示すロービーム用配光パターン(第1出光面31bの縦断面の曲率が各縦断面で同一の場合に形成されるロービーム用配光パターン)より高く、ロービーム用配光パターンの一部の光度(図5(b)中の四角B2で囲った範囲の光度)が相対的に低下するのが抑制されていることが分かる。
これは、図10(c)に示すように、焦線FL2R近傍を通過するRay2c等の光源40からの光が比較的浅い角度(第1出光面31bの取り込み角内の角度)でエッジ部31c(焦線FL2R)近傍を通過する結果、図5(b)に示すように、ロービーム用配光パターンの一部の光度(図5(b)中の四角B2で囲った範囲の光度)が増加することによるものである。
以上説明したように、本実施形態によれば、図1に示すように前方レンズ体20が所定後退角θ1傾斜した姿勢で配置されていてもロービーム用配光パターンの一部の光度が相対的に低下する(いわゆるぼけた状態となる)のを抑制することができる車両用灯具10を提供することができる。
これは、第1出光面31bの縦断面の曲率を縦断面ごとに異ならせたことによるものである(図10参照)。
具体的には、第1出光面31bの縦断面の曲率は、光軸AXLoに対して傾斜角度が異なる複数の縦断面(鉛直面)それぞれに含まれる水平光線群が、前方レンズ体20の前方から前方レンズ体20を透過して後方レンズ部31に入光した場合、基準軸AX2近傍で集光して基準軸AX2に沿った焦線FL2L、FL2R(集光点群)を形成するように、縦断面ごとに調整(設定)されていることによるものである。
別言すると、第1出光面31bの縦断面の曲率を、光軸AXLoに対して傾斜角度が異なる複数の鉛直面それぞれに含まれる水平光線群が通過する第2入光面21と第1出光面31bとの間の距離が短いほど大きくなるように、縦断面ごとに調整したことによるものである(図10(a)〜図10(c)参照)。
また、第1出光面31bは第1方向の集光を主に担当する曲面でありながら、第2方向に関する集光機能を有する曲面(縦方向の曲面)も有し、かつ縦方向の曲面は前方レンズの後退方向(図4においては右から左)に向かって曲率が大きくなるように調整(設定)されている。
なお、第1出光面31bは、自由曲面であってもよい。例えば、第1出光面31bは、光軸AXLoに対して傾斜角度が異なる複数の縦断面(鉛直面)それぞれに含まれる水平光線群(以下、水平光線群Aと呼ぶ)が、前方レンズ体20の前方から前方レンズ体20を透過して後方レンズ部31に入光した場合、基準軸AX2近傍で集光して基準軸AX2に沿った焦線FL2L、FL2R(集光点群)を形成するように、その面形状が調整(設定)された自由曲面であってもよい。
この第1出光面31b(自由曲面)は、例えば、次のようにして構成することができる。例えば、所定のシミュレーションソフトウエアを用いて、前方レンズ体20の前方から前方レンズ体20を透過して(第2出光面22、第2入光面21、第1出光面31bをこの順に透過して)後方レンズ部31に入光した水平光線群Aが基準軸AX2近傍で集光して基準軸AX2に沿った焦線FL2L、FL2R(集光点群)を形成するように、基準面(第1出光面31bの基礎となる面。例えば、前方に向かって凸の曲面)の面形状を変更(調整)することで構成することができる。
これにより、図1に示すように前方レンズ体20が所定後退角θ1傾斜した姿勢で配置されていてもロービーム用配光パターンの一部の光度が相対的に低下するのを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、第2入光面21及び第2出光面22がいずれも、前方に向かって凸で、円柱軸が第1方向に延びたシリンドリカル面として構成されているため(図3参照)、すなわち、第2出光面22だけでなく第2入光面21でも第2方向の集光を担当することができるため、第2入光面が平面で第2方向の集光を担当するのが第2出光面だけの上記従来技術と比べ、集光率を維持しつつ前方レンズ体20の光軸AXLo方向の肉厚を薄くすることができる。これにより、前方レンズ体20の材料費の削減(コスト低減)が可能となる。
次に、変形例について説明する。
上記第1実施形態では、第1出光面31bの縦断面の曲率を縦断面ごとに異ならせることで、ロービーム用配光パターンの一部の光度が相対的に低下するのを抑制する例について説明したが、これに限らない。
例えば、第1出光面31bの縦断面の曲率を各縦断面で同一とし、第2入光面21の縦断面の曲率を縦断面ごとに異ならせてもよい。
例えば、複数の縦断面それぞれに含まれる水平光線群が、前方レンズ体20を透過して後方レンズ部31に入光した場合、基準軸AX2近傍で集光して集光点(群)を形成するように、第2入光面21の縦断面の曲率を縦断面ごとに調整(設定)する。
別言すると、第2入光面21の縦断面の曲率を、光軸AXLoに対して傾斜角度が異なる複数の鉛直面それぞれに含まれる水平光線群が通過する第2入光面21と第1出光面31bとの間の距離が短いほど大きくなるように、縦断面ごとに調整する。
また、第2入光面21は第2方向に関する集光機能を有する曲面(縦方向の曲面)を有し、かつ縦方向の曲面は前方レンズの後退方向(図4においては右から左)に向かって曲率ないし集光機能が大きくなるように調整(設定)されている。
なお、第2入光面21は、第1出光面31bと同様、自由曲面であってもよい。
これによっても、ロービーム用配光パターンの一部の光度が相対的に低下するのを抑制することができる。
また例えば、第1出光面31bの縦断面の曲率(ないし集光機能)と共に、第2入光面21の縦断面の曲率(ないし集光機能)を縦断面ごとに異ならせてもよい。例えば、複数の縦断面それぞれに含まれる水平光線群が、前方レンズ体20を透過して後方レンズ部31に入光した場合、基準軸AX2近傍で集光して集光点(群)を形成するように、第1出光面31b及び第2入光面21の縦断面の曲率を縦断面ごとに調整(設定)する。これによっても、ロービーム用配光パターンの一部の光度が相対的に低下するのを抑制することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態として、図11に示すように、後方レンズ部31に代えて、後方レンズ部41を用い、光源40に代えて、複数の光源42a〜42cを用いた車両用灯具10Aについて説明する。それ以外、上記実施形態と同様の構成である。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。図11は、第2実施形態の車両用灯具10Aの横断面図である(主要光学面以外省略)。
図11に示すように、車両用灯具10Aは、ADB用配光パターンを形成可能な車両用灯具であり、前方レンズ体20と、前方レンズ体20の後方に配置された後方レンズ部41と、後方レンズ部41の後方に設けられ、後方レンズ部41及び前方レンズ体20をこの順に透過して前方に照射されてADB用配光パターンを形成する光を発光する複数の光源42a〜42cと、を備える。なお、後方レンズ部41、光源42a〜42cは、それぞれ、複数であってもよい。
前方レンズ体20及び後方レンズ部41は、それぞれ、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂製で、金型を用いた射出成形により物理的に分離した状態で個別に成形され、図示しないが、レンズホルダ等の保持部材で連結されたレンズ体として構成される。
図12(a)は、図11に示す車両用灯具10AのB3−B3断面図(主要光学面以外省略)である。図11、図12(a)等で符号AXADBが示す車両前後方向に延びる線は、前方レンズ体20及び後方レンズ部41によって構成される投影レンズの光軸を表す。以下、光軸AXADBと記載する。
図12(b)は、光源42a〜42cが実装された基板K2の正面図である。
図12(b)に示すように、光源42a〜42cは、矩形(例えば、1mm角)の発光面を備えたLEDやLD等の半導体発光素子で、発光面を前方(正面)に向けた状態で基板K2に実装される。光源42a〜42cは、水平方向に一列に配置される。基板K2は、ネジ止め等によりハウジング(図示せず)等に取り付けられる。
図12(b)に示すように、後方レンズ部41は、第1入光面41aと、その反対側の第1出光面41bと、を含む。後方レンズ部41は、当該後方レンズ部41を透過する光源42a〜42cからの光の第1方向の集光を主に担当する。
第1入光面41aは、光源42a〜42cからの光が後方レンズ部41に入光する面である。第1入光面41aは、前方に向かって凸の曲面として構成されている。第1入光面41aの縦断面の曲率及び横断面の曲率は、例えば、各縦断面及び各横断面で同一である。
第1出光面41bは、第1入光面41aから後方レンズ部41に入光した光源42a〜42cからの光が出光する面である。
図11に示すように、第1出光面41bの横断面は、前方に向かって凸の曲面として構成されている。第1出光面41bの横断面の曲率は、各横断面で同一である。一方、第1出光面41bの縦断面の曲率は、上記第1実施形態と同様、各縦断面で同一ではなく、縦断面ごとに異なっている。例えば、第1出光面41bの縦断面の曲率は、図11中、A3−A3断面、B3−B3断面、C3−C3断面それぞれで異なっている。第1出光面41bの縦断面の曲率がどのように異なっているかについては後述する。
光源42a〜42cは、後述のように焦線に沿って設けられる。
焦線とは、光軸AXADBに対する傾斜角度が異なる複数の鉛直面それぞれに含まれる複数の水平光線群が、前方レンズ体20の前方から前方レンズ体20、後方レンズ部41を透過した場合、後方レンズ部41の後方で集光することで形成される集光点群のことである。図11中の符号FL4L、FL4Rが示す実線、図14中の符号FL3L、FL3Rが示す点線が焦線の一例である。以下、焦線FL3L、焦線FL3R、焦線FL4L、焦線FL4Rと記載する。焦線FL3L、焦線FL3R、焦線FL4L、焦線FL4Rについてはさらに後述する。
上記構成の車両用灯具10Aにおいては、光源42a〜42cを点灯すると、光源42a〜42cからの光は、第1入光面41aから後方レンズ部41に入光して第1出光面41bから出光する。その際、第1出光面41bから出光する光源42a〜42cからの光は、第1出光面41b(第1出光面41bの横断面)の作用により、第1方向に関し集光される。そして、第1出光面41bから出光した光源42a〜42cからの光は、後方レンズ部41と前方レンズ体20との間の空間S2を通過して、さらに、第2入光面21から前方レンズ体20に入光して第2出光面22から出光して前方に照射される。その際、第2出光面22から出光する光源42a〜42cからの光は、第2入光面21及び第2出光面22の作用により、第2方向に関し集光される。これにより、ADB用配光パターンが形成される。
別言すると、光源42a〜42cの光源像が、投影レンズとして機能する後方レンズ部41及び前方レンズ体20によって前方に反転投影される。これにより、ADB用配光パターンが形成される。
次に、第1出光面41bの縦断面の曲率が各縦断面で同一の場合に形成されるADB用配光パターンについて説明する。
図13は、第1出光面31bの縦断面の曲率が各縦断面で同一の場合に形成されるADB用配光パターンの一例である。図13には、車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン上に形成されるADB用配光パターンの一例が示されている。
図13に示すように、ADB用配光パターンは、ハイビーム領域に水平方向に一列に配置された複数の照射領域P1〜P3を含む。照射領域P1〜P3は、光源42a〜42cの点消灯(減光した状態での点灯を含む)に応じて個別に点消灯(減光した状態での点灯を含む)される。なお、図13は、光源42a〜42cがそれぞれ点灯(フル点灯)した状態で形成されるADB用配光パターンの例である。
本発明者らがシミュレーションで確認したところ、前方レンズ体20を図11に示すように上面視で基準軸AX1に対して後退角θ1傾斜した姿勢で配置した場合、第1出光面41bの縦断面の曲率が各縦断面で同一であると、ADB用配光パターンの一部が縦方向に引き延ばされて光度が相対的に低下する(いわゆるぼけた状態となる)ことが判明した。
図13を参照すると、ADB用配光パターンの一部(矢印AR1が示す部分)が矢印AR2が示す部分より縦方向に引き延ばされて光度が相対的に低下していることが分かる。このようにADB用配光パターンの一部の光度が低下する理由は、上記第1実施形態で図8(c)を用いて説明したのと同様である。以下、この理由について簡単に説明する。
まず、図14を参照しながら、第1出光面31bの縦断面ごとの曲率が同一の場合に形成される焦線について説明する。
図14は、車両用灯具10Aの横断面図である(主要光学面以外省略)。図14には、第1出光面41bの縦断面の曲率が各縦断面で同一の場合に形成される焦線FL3L、FL3Rが示されている。
図14中のA4−A4断面に含まれる水平光線群が、前方レンズ体20、後方レンズ部41を透過した場合、後方レンズ部41の後方、かつ、焦点FADBより前方で集光して集光点CP3Aを形成する。
焦点FADBとは、光軸AXLoに対して平行な水平光線群が、前方レンズ体20の前方から前方レンズ体20を透過して後方レンズ部41に入光した場合、後方レンズ部41の後方で集光する光軸AXADB上の集光点のことである。
同様に、図示しないが、図14中のA4−A4断面とB4−B4断面との間の複数の縦断面(光軸AXADBに対して傾斜角度が異なる複数の縦断面)それぞれに含まれる水平光線群が、前方レンズ体20、後方レンズ部41を透過した場合も、後方レンズ部41の後方、かつ、焦点FADBより前方で集光して集光点(群)を形成する。
このように後方レンズ部41の後方、かつ、焦点FADBより前方で集光することで形成されるCP3A等の集光点群は、図14中の光軸AXADBに対して左側に点線で示すように、焦線FL3Lを構成する。
また、図14中のB4−B4断面に含まれる水平光線群が、前方レンズ体20、後方レンズ部41を透過した場合、後方レンズ部41の後方の焦点FADBで集光して集光点CP3Bを形成する。
また、図14中のC4−C4断面に含まれる水平光線群が、前方レンズ体20、後方レンズ部41を透過した場合、後方レンズ部41の後方、かつ、焦点FADBより後方で集光して集光点CP3Cを形成する。
同様に、図示しないが、図14中のB4−B4断面とC4−C4断面との間の複数の縦断面(光軸AXADBに対して傾斜角度が異なる複数の縦断面)それぞれに含まれる水平光線群が、前方レンズ体20、後方レンズ部41を透過した場合、後方レンズ部41の後方、かつ、焦点FADBより後方で集光して集光点(群)を形成する。
このように後方レンズ部41の後方、かつ、焦点FADBより後方で集光することで形成されるCP3C等の集光点群は、図14中の光軸AXADBに対して右側に点線で示すように、焦線FL3Rを構成する。
焦線FL3Lと焦線FL3Rは、図14中光軸AXADBに対して左右非対称となる。これは、各々の水平光線群が通過する第2入光面21と第1出光面41bとの間の距離が水平光線群ごとに異なることによるものである。
以上のように構成される焦線FL3L、FL3Rに対して光源42a〜42cを配置すると(図14参照)、光源42a〜42cと焦線FL3L、FL3Rとの間の距離が光源42a〜42cごとに変化する。例えば、光源42aと集光点CP3C(焦線FL3R)との距離が最も短く、光源42cと集光点CP3A(焦線FL3L)との距離が最も長くなる。その結果、ADB用配光パターンの一部(図13中の矢印AR1が示す部分)が縦方向に引き延ばされて光度が相対的に低下する(いわゆるぼけた状態となる)。
次に、ADB用配光パターンの一部が縦方向に引き延ばされて光度が相対的に低下するのを抑制するための構成について説明する。
本発明者らは、ADB用配光パターンの一部が縦方向に引き延ばされて光度が相対的に低下するのを抑制するため、鋭意検討した結果、第1出光面41bの縦断面の曲率を縦断面ごとに調整することで、ADB用配光パターンの一部が縦方向に引き延ばされて光度が相対的に低下するのを抑制できることを見出した。
この調整は、図14に示す焦線FL3L、FL3Rを図11に示す車幅方向に延びる焦線FL4L、FL4Rとするための調整で、所定のシミュレーションソフトウエアを用いて行われる。
次に、図11を参照しながら、第1出光面41bの縦断面の曲率を縦断面ごとに調整した場合に形成される焦線について説明する。
図11中、第1出光面41bのA3−A3断面の曲率は、A3−A3断面に含まれる水平光線群が、前方レンズ体20、後方レンズ部41を透過した場合、後方レンズ部41の後方、かつ、基準軸AX2近傍で集光して集光点CP4Aを形成するように、第1曲率に調整(設定)されている。
同様に、図示しないが、A3−A3断面とB3−B3断面との間の複数の縦断面(光軸AXADBに対して傾斜角度が異なる複数の縦断面)それぞれの曲率も、複数の鉛直面それぞれに含まれる水平光線群が、前方レンズ体20、後方レンズ部41を透過した場合、後方レンズ部41の後方、かつ、基準軸AX2近傍で集光して集光点(群)を形成するように調整(設定)されている。
このように曲率を調整することで、CP4A等の集光点群は、図11中の光軸AXADBに対して左側に実線で示すように、基準軸AX2に沿って車幅方向に延びる焦線FL4Lを構成する。
また、図11中、第1出光面41bのB3−B3断面の曲率は、B3−B3断面に含まれる水平光線群が、前方レンズ体20、後方レンズ部41を透過した場合、後方レンズ部41の後方、かつ、基準軸AX2近傍で集光して集光点CP4Bを形成するように、第2曲率(第2曲率>第1曲率)に調整(設定)されている。
また、図11中、第1出光面41bのC3−C3断面の曲率は、C3−C3断面に含まれる水平光線群が、前方レンズ体20、後方レンズ部41を透過した場合、後方レンズ部41の後方、かつ、基準軸AX2近傍で集光して集光点CP4Cを形成するように、第3曲率(第3曲率>第2曲率)に調整(設定)されている。
同様に、図示しないが、B3−B3断面とC3−C3断面との間の複数の縦断面(光軸AXLoに対して傾斜角度が異なる複数の縦断面)それぞれの曲率も、複数の鉛直面それぞれに含まれる水平光線群が、前方レンズ体20、後方レンズ部41を透過した場合、後方レンズ部41の後方、かつ、基準軸AX2近傍で集光して集光点(群)を形成するように調整(設定)されている。
このように曲率を調整することで、CP4C等の集光点群は、図11中の光軸AXADBに対して右側に実線で示すように、基準軸AX2に沿って車幅方向に延びる焦線FL4Rを構成する。
以上のように構成される焦線FL4L、FL4Rに対して光源42a〜42cを配置すると(図11参照)、光源42a〜42cと焦線FL4L、FL4Rとの間の距離が光源42a〜42cごとに変化せず、略同一となる。その結果、ADB用配光パターンの一部(図13中の矢印AR1が示す部分)が縦方向に引き延ばされて光度が相対的に低下する(いわゆるぼけた状態となる)のが抑制される。
以上説明したように、本実施形態によれば、図11に示すように前方レンズ体20が所定後退角θ1傾斜した姿勢で配置されていてもADB用配光パターンの一部の光度が相対的に低下する(いわゆるぼけた状態となる)のを抑制することができる車両用灯具10Aを提供することができる。
これは、第1実施形態と同様(図9参照)、第1出光面41bの縦断面の曲率を縦断面ごとに異ならせたことによるものである。
具体的には、第1出光面41bの縦断面の曲率は、光軸AXADBに対して傾斜角度が異なる複数の縦断面(鉛直面)それぞれに含まれる水平光線群が、前方レンズ体20、後方レンズ部41を透過した場合、後方レンズ部41の後方、かつ、基準軸AX2近傍で集光して基準軸AX2に沿った焦線FL4L、FL4R(集光点群)を形成するように、縦断面ごとに調整(設定)されていることによるものである。
別言すると、第1出光面41bの縦断面の曲率を、光軸AXADBに対して傾斜角度が異なる複数の鉛直面それぞれに含まれる水平光線群が通過する第2入光面21と第1出光面41bとの間の距離が短いほど大きくなるように、縦断面ごとに調整したことによるものである。
また、第1出光面41bは第1方向の集光を主に担当する曲面でありながら、第2方向に関する集光機能を有する曲面(縦方向の曲面)も有し、かつ縦方向の曲面は前方レンズの後退方向(図11においては右から左)に向かって曲率が大きくなるように調整(設定)されている。
なお、第1出光面41bは、自由曲面であってもよい。例えば、第1出光面41bは、光軸AXADBに対して傾斜角度が異なる複数の縦断面(鉛直面)それぞれに含まれる水平光線群(以下、水平光線群Bと呼ぶ)が、前方レンズ体20の前方から前方レンズ体20を透過して後方レンズ部41に入光した場合、基準軸AX2近傍で集光して基準軸AX2に沿った焦線FL4L、FL4R(集光点群)を形成するように、その面形状が調整(設定)された自由曲面であってもよい。
この第1出光面41b(自由曲面)は、例えば、次のようにして構成することができる。例えば、所定のシミュレーションソフトウエアを用いて、前方レンズ体20の前方から前方レンズ体20を透過して(第2出光面22、第2入光面21、第1出光面41bをこの順に透過して)後方レンズ部41に入光した水平光線群Bが基準軸AX2近傍で集光して基準軸AX2に沿った焦線FL4L、FL4R(集光点群)を形成するように、基準面(第1出光面41bの基礎となる面。例えば、前方に向かって凸の曲面)の面形状を変更(調整)することで構成することができる。
これにより、図11に示すように前方レンズ体20が所定後退角θ1傾斜した姿勢で配置されていてもADB用配光パターンの一部の光度が相対的に低下するのを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、第2入光面21及び第2出光面22がいずれも、前方に向かって凸で、円柱軸が第1方向に延びたシリンドリカル面として構成されているため(図3参照)、すなわち、第2出光面22だけでなく第2入光面21でも第2方向の集光を担当することができるため、第2入光面が平面で第2方向の集光を担当するのが第2出光面だけの上記従来技術と比べ、集光率を維持しつつ前方レンズ体20の光軸AXLo方向の肉厚を薄くすることができる。これにより、前方レンズ体20の材料費の削減(コスト低減)が可能となる。
次に、変形例について説明する。
上記第2実施形態では、第1出光面41bの縦断面の曲率を縦断面ごとに異ならせることで、ADB用配光パターンの一部の光度が相対的に低下するのを抑制する例について説明したが、これに限らない。
例えば、第1出光面41bの縦断面の曲率を各縦断面で同一とし、第1入光面41a及び第2入光面21のうち少なくとも一方の縦断面の曲率を縦断面ごとに異ならせてもよい。
例えば、複数の縦断面それぞれに含まれる水平光線群が、前方レンズ体20、後方レンズ部41を透過した場合、後方レンズ部41の後方、かつ、基準軸AX2近傍で集光して集光点(群)を形成するように、第2入光面21の縦断面(又は第1入光面41a)の曲率を縦断面ごとに調整(設定)する。これによっても、ADB用配光パターンの一部の光度が相対的に低下するのを抑制することができる。
別言すると、第2入光面21(又は第1入光面41a)の縦断面の曲率を、光軸AXLoに対して傾斜角度が異なる複数の鉛直面それぞれに含まれる水平光線群が通過する第2入光面21と第1出光面31bとの間の距離が短いほど大きくなるように、縦断面ごとに調整する。
また、第2入光面21(又は第1入光面41a)は第2方向に関する集光機能を有する曲面(縦方向の曲面)を有し、かつ縦方向の曲面は前方レンズの後退方向(図4においては右から左)に向かって第2入光面21の場合は曲率ないし集光機能が大きく、第1入光面41aの場合は小さくなるように調整(設定)されている。
なお、第2入光面21(又は第1入光面41a)は、第1出光面41bと同様、自由曲面であってもよい。
また例えば、第1出光面41bの縦断面の曲率と共に、第1入光面41a及び第2入光面21の縦断面のうち少なくとも一方の曲率を縦断面ごとに異ならせてもよい。例えば、複数の縦断面それぞれに含まれる水平光線群が、前方レンズ体20、後方レンズ部41を透過した場合、後方レンズ部41の後方、かつ、基準軸AX2近傍で集光して集光点(群)を形成するように、第1出光面31b及び第2入光面21の縦断面の曲率を縦断面ごとに調整(設定)する。これによっても、ADB用配光パターンの一部の光度が相対的に低下するのを抑制することができる。
上記実施形態で示した各数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができるのは無論である。
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。上記実施形態の記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。