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JP2019182890A - 塩化ビニル樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

塩化ビニル樹脂組成物及び成形体 Download PDF

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JP2019182890A JP2018070642A JP2018070642A JP2019182890A JP 2019182890 A JP2019182890 A JP 2019182890A JP 2018070642 A JP2018070642 A JP 2018070642A JP 2018070642 A JP2018070642 A JP 2018070642A JP 2019182890 A JP2019182890 A JP 2019182890A
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惇 桑原
Atsushi Kuwahara
惇 桑原
健二 八木
Kenji Yagi
健二 八木
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

【課題】Zn系熱安定剤を用いた場合においても成形機トルクが向上し、溶融樹脂の流動性への影響が少ない、優れた衝撃強度を発現する塩化ビニル樹脂組成物及びそれを用いた成形体の提供。
【解決手段】塩化ビニル樹脂(A)100質量部に対し、親水性単量体を含むグラフト部を有するアクリルゴム系グラフト共重合体(B)を0.1〜30質量部、亜鉛を含む複合金属石けん系熱安定剤(C)を1〜10質量部を含有する塩化ビニル樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、塩化ビニル樹脂組成物に関するものである。
塩化ビニル樹脂は、耐薬品性・耐候性・難燃性・電気絶縁性等の優れた化学的・物理的性質を有し、かつ安価であることから、種々の成形体用の汎用樹脂材料として広く用いられている。特に熱伝導性・コスト等の面から樹脂窓枠等の建築部材としても広く普及している。
各種用途での必要強度を担保すべく、塩化ビニル樹脂の耐衝撃性を改良する方法が種々提案されている。中でも、窓枠をはじめとする建築部材では、長期的な耐候性が必要であることから、耐候性に優れるアクリルゴム系衝撃強度改質剤が広く用いられている。
例えば、特許文献1では、アクリルゴム系衝撃強度改質剤を添加し、硬質塩化ビニル樹脂の衝撃強度を向上させる試みが行われている。
また、塩化ビニル樹脂は、その成形加工温度と熱分解温度が近接していることから、加工時に熱安定剤の添加が必要であり、鉛系、有機スズ系、複合金属石けん系等の熱安定剤が広く知られている。中でも、窓枠をはじめとする建築部材は、一般生活において頻繁に手を触れる部分に使用されることから、使用する熱安定剤について、人体に取り込まれた際の有害性に配慮することが求められる。そのため、複合金属石けん系熱安定剤、中でも、亜鉛を含む複合金属石けん系熱安定剤(Zn系熱安定剤)へのニーズが高まっている。
例えば、特許文献2では、Zn系熱安定剤およびアクリルゴム系グラフト共重合体を用いた塩化ビニル樹脂組成物中に、特定の加工助剤を添加し、成形加工性および衝撃強度を向上させる試みが行われている。
特開2000−26552号公報 国際公開第2015/108101号
しかしながら、Zn系熱安定剤は、従来の鉛系、有機スズ系熱安定剤と比べ、滑性が強い傾向にある。そのため、塩化ビニル樹脂と該安定剤を含む塩化ビニル樹脂組成物を成形する際の成形機トルクが低下しやすく、塩化ビニル樹脂へのせん断伝達が妨げられ、混練強度が低下する。その結果、塩化ビニル樹脂粒子の崩壊が十分に進まず、また塩化ビニル樹脂組成物が衝撃強度改質剤等の添加剤を配合している場合では、各添加剤の分散が不十分となり、鉛系、有機スズ系熱安定剤を用いた場合に比べ、得られる成形体の機械特性に劣ることがあった。
ここで、特許文献1に記載の塩化ビニル樹脂組成物は、使用する熱安定剤の人体有害性について考慮されておらず、Zn系熱安定剤とした場合の課題に関して何ら検討されていない。
また、特許文献2に記載の塩化ビニル樹脂組成物は、Zn系熱安定剤とした場合の課題に対し、効果的な加工助剤組成について検討されているものの、衝撃強度改質剤については何ら検討されていない。さらに、加工助剤を変更した場合、溶融樹脂の流動性が大きく変化し、その他成分の配合調整や押出金型の調整が必要となる等、単純な置換が難しい課題があった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、Zn系熱安定剤を用いた場合においても成形機トルクが向上し、溶融樹脂の流動性への影響が少ない、優れた衝撃強度を発現する塩化ビニル樹脂組成物及びそれを用いた成形体を提供することである。
本発明の上記特許文献1、2における課題は、グラフト部に水溶性単量体を含むアクリルゴム系衝撃強度改質剤と、亜鉛元素を含む複合金属石けん系熱安定剤を、塩化ビニル樹脂に対してそれぞれ特定量添加することにより解決されることが見いだされた。
即ち、本発明によれば以下[1]〜[8]の発明が提供される。
[1]塩化ビニル樹脂(A)100質量部に対し、
親水性単量体を含むグラフト部を有するアクリルゴム系グラフト共重合体(B)を0.1〜30質量部
亜鉛を含む複合金属石けん系熱安定剤(C)を1〜10質量部
を含有する塩化ビニル樹脂組成物。
[2]前記親水性単量体が、アクリルゴム系グラフト共重合体(B)のグラフトに用いる全単量体100質量%中、0.5〜30質量%である、[1]に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[3]前記親水性単量体が、メタクリル酸2−ヒドロキシルエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシルプロピル、メタクリル酸、メタクリル酸グリシジル、及びそれらの混合物より成る群から選択される、[1]または[2]のいずれかに記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[4]前記親水性単量体が、メタクリル酸2−ヒドロキシルエチルである、[1]または[2]のいずれかに記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[5]前記親水性単量体と共重合可能な少なくとも1種の他のビニル単量体が、炭素数1〜4のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、及びそれらの混合物より成る群から選択される、[1]〜[4]のいずれかに記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[6]前記親水性単量体と共重合可能な少なくとも1種の他のビニル単量体が、炭素数1〜4のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びそれらの混合物より成る群から選択される、[1]〜[4]のいずれかに記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[7]前記親水性単量体と共重合可能な少なくとも1種の他のビニル単量体が、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、及びそれらの混合物より成る群から選択される、[1]〜[6]のいずれかに記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の塩化ビニル樹脂組成物からなる樹脂成形体。
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、Zn系熱安定剤を用いた場合においても、成形機トルクが向上し、優れた衝撃強度を発現する塩化ビニル樹脂成形体を提供することができる。
以下で本発明を詳細に説明する。
(塩化ビニル樹脂(A))
本発明に用いることができる塩化ビニル樹脂(A)の種類については特に制限されるものではなく、例えば塩化ビニルの単独重合体、後塩素化塩化ビニル重合体、部分架橋塩化ビニル重合体あるいは塩化ビニルと共重合し得る他のビニル化合物と塩化ビニルとの共重合体、及びこれらの混合物が挙げられる。
上記塩化ビニル成分と共重合し得る他のビニル化合物は特に限定されないが、具体例としては、酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル;メタクリル酸メチル、及びメタクリル酸エチル等のメタクリル酸アルキルエステル;アクリル酸エチル、及びアクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステル;エチレン、プロピレン、及びスチレン等のα‐オレフィン;ビニルメチルエーテル、及びビニルブチルエーテル等のアルキルビニルエーテル;並びにアクリル酸、メタクリル酸、及び無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸又はその酸無水物が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記の共重合し得る他のビニル化合物の共重合量が30質量%以下であれば、塩化ビニル樹脂の本来の特徴を損なわないので好ましい。さらに、これらの塩化ビニル樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明に用いる塩化ビニル樹脂(A)の平均重合度は、300〜5,000の範囲にあることが好ましく、500〜3,000のものがより好ましい。平均重合度を300以上とすることで、衝撃強度が良好となる。また、平均重合度を5,000以下とすることで、ゲル化特性が良好となる。
本発明に用いる塩化ビニル樹脂(A)の製造方法は特に制限はなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法等の種々の重合法で製造したものを使用することができる。
(アクリルゴム系グラフト共重合体(B))
本発明のアクリルゴム系グラフト共重合体(B)は、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル系ゴム(β−1)(以下、ゴム(β−1)という)と、1種以上のビニル系単量体からなるグラフト(β−2)(以下、グラフト(β−2)という)を含み、グラフト(β−2)は、ゴム(β−1)にグラフト重合されてなる。
アクリルゴム系グラフト共重合体(B)は、通常、乳化剤と水の存在下でゴム(β−1)をラテックス状態とし、そこにビニル単量体を添加してグラフト重合させて得ることができる。
アクリルゴム系グラフト共重合体(B)中の、ゴム(β−1)の含有率は、50〜95質量%であり、70〜95質量%であることがより好ましく、80〜95質量%の範囲であることがさらに好ましく、85〜95質量%の範囲であることが最も好ましい。
ゴム(β−1)の含有率を50質量%以上とすることで、成形体の衝撃強度向上効果が高くなり、95質量%以下とすることで、アクリルゴム系グラフト共重合体(B)の塩化ビニル樹脂組成物中での分散性が良好となり、得られる成形品の外観が良好となる。
ゴム(β−1)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単官能単量体(b−1)(以下、単量体(b−1)という)50〜100質量%、単量体(b−1)と共重合し得る単官能単量体(b−2)(以下、単量体(b−2)という)0〜50質量%、および多官能単量体(b−3)(以下、単量体(b−2)という)0〜5質量%を重合して得られる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体である。
単量体(b−1)としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル等のアクリル酸アルキルエステル単量体および、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル等のメタクリル酸アルキルエステル単量体が挙げられる。中でも、耐衝撃性が良好になることから、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチルからなる群より選ばれる1種以上の単量体を含むことが好ましい。これらは単独または2種以上を併用して用いることができる。
ゴム(β−1)における単量体(b−1)の割合は、耐衝撃性の面から、60質量%〜100質量%がより好ましく、70質量%〜100質量%がさらに好ましく、80質量%〜100質量%が特に好ましく、90質量%〜100質量%が最も好ましい。
単量体(b−2)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体、アクリル酸ニトリル、メタクリル酸ニトリル等のシアン化ビニル単量体、(メタ)アクリル基変性シリコーン等の各種ビニル系単量体が挙げられる。
これらは単独または2種以上を併用して用いることができる。単量体(b−2)の重合方法は特に限定されず、単量体(b−1)と同時に仕込み共重合してもよいし、単量体(b−1)と別に仕込み、重合してもよい。
(メタ)アクリル基変性シリコーンを用いる場合は、次式で表される単位を形成し得る化合物等が挙げられる。
CH =C(R )−COO−(CH −SiR (3−n)/2 (bII−1)
CH =C(R )−C −SiR (3−n)/2 (bII−2)
CH =CH−SiR (3−n)/2 (bII−3)
HS−(CH −SiR (3−n)/2 (bII−4)
(式中、R は、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基であり、R は水素原子又はメチル基であり、nは0、1又は2であり、pは1〜6の数を示す。)
上記式(bII−1)の単位を形成し得る化合物としては、メタクリロイルオキシシロキサンが特に好ましい。メタクリロイルオキシシロキサンの具体例としては、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等が挙げられる。
上記式(bII−2)の単位を形成し得る化合物としては、p−ビニルフェニルジメトキシメチルシランが挙げられる。
上記式(bII−3)の単位を形成し得る化合物としては、ビニルシロキサンが挙げられ、具体例としては、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンが挙げられる。
上記式(bII−4)の単位を形成し得る化合物としては、γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン等が挙げられる。
(メタ)アクリル基変性シリコーンを用いる場合は、同時に単量体(b−2)としてオルガノシラン、オルガノシロキサンを用いてもよい。
オルガノシロキサンとしては、3員環以上の各種の環状体が挙げられ、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。中でも、好ましく用いられるのは3〜6員環のものである。
また、オルガノシランとしては、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
ゴム(β−1)における単量体(b−2)の割合は、耐衝撃性の面から、0質量%〜40質量%がより好ましく、0質量%〜30質量%がさらに好ましく、0質量%〜20質量%が特に好ましく、0質量%〜10質量%が最も好ましい。
単量体(b−3)としては、例えばジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブチレングリコール、ジビニルベンゼン、多官能(メタ)アクリル基変性シリコーン、メタクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル等が挙げられる。これらは単独または2種以上を併用して用いることができる。単量体(b−3)の重合方法は特に限定されないが、適切な架橋構造を得るために、単量体(b−1)または/および単量体(b−2)と混合し、重合することが好ましい。
ゴム(β−1)における単量体(b−3)の割合は、耐衝撃性の面から、0.1質量%〜4質量%がより好ましく、0.2質量%〜3質量%がさらに好ましく、0.5質量%〜2質量%が特に好ましい。
ゴム(β−1)は、単量体の1種または2種以上を単に重合させて得た(共)重合体であってもよいが、特に、低温衝撃強度においてさらに高い物性を発現させる複合ゴムであることが好ましい。
複合ゴムの好適な例としては、炭素数5〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、あるいはヒドロキシル基、メトキシ基またはエトキシ基を含有する(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種を含むアクリルゴム(AR1)成分と、アクリル酸n−ブチルを含むアクリルゴム(AR2)成分を含む複合ゴムであり、アクリルゴム(AR1)のガラス転移温度(Tg1)が、アクリルゴム(AR2)のガラス転移温度(Tg2)よりも低いものが挙げられる。このような複合ゴムは、単純な共重合ゴムに比べ、より高い低温耐衝撃性を付与することができる。ここで、ガラス転移温度は、動的機械的特性解析装置(DMA)によるTanδの転移点として測定される。
アクリルゴム(AR1)成分を構成する(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸メトキシトリプロピレングリコール、アクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましい。
また、複合ゴムは、通常はアクリルゴム(AR1)成分5〜95質量%とアクリルゴム(AR2)成分95〜5質量%とを含み、好ましくはアクリルゴム(AR1)成分10〜90質量%とアクリルゴム(AR2)成分90〜10質量%とを含み、さらに好ましくはアクリルゴム(AR1)成分10〜80質量%とアクリルゴム(AR2)成分90〜20質量%とを含む。これら範囲とすることで、共重合タイプのゴムに対して低温耐衝撃性に優れる。
グラフト(β−2)は、親水性単量体(b−4)(以下、単量体(b−4)という)0.5〜30質量%、単量体(b−4)と共重合し得るビニル系単量体(b−5)(以下、単量体(b−5)という)70〜99.5質量%を重合して得られる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体である。
単量体(b−4)として用いる「親水性単量体」は、20℃の水100gに対し、5g以上溶解し得る単量体を意味する。親水性単量体としては、例えばメタクリル酸2−ヒドロキシルエチル、アクリル酸2−ヒドロキシルエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸、アクリル酸、α−ヒドロキシメタクリル酸エチル、アリルセロソルブ、アリルカルビノール、メチルビニルカルビノール、アリルアルコール、メタリルアルコール、アクリル酸3 ,4−エポキシブチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリルアミド、アクリルアミド等が挙げられる。
中でも、塩化ビニル樹脂との相容性が良好となることから、メタクリル酸2−ヒドロキシルエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシルプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシルエチル、メタクリル酸、アクリル酸からなる群より選ばれる1種以上の単量体を含むことが好ましい。これらは単独または2種以上を併用して用いることができる。
グラフト(β−2)における単量体(b−4)の割合は、塩化ビニルとの相容性の面から、0.5質量%〜20質量%がより好ましく、1質量%〜15質量%がさらに好ましく、3質量%〜12質量%が特に好ましく、5質量%〜10質量%が最も好ましい。
単量体(b−5)としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル等のアクリル酸アルキルエステル単量体、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体、アクリル酸ニトリル、メタクリル酸ニトリル等のシアン化ビニル単量体等の各種ビニル系単量体が挙げられる。
中でも、塩化ビニルとの相容性が良好となり、アクリルゴム系グラフト共重合体(B)の組成物中での分散が良好となることから、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルからなる群より選ばれる1種以上の単量体を含むことが好ましい。これらは単独または2種以上を併用して用いることができる。
グラフト(β−2)における単量体(b−5)の割合は、塩化ビニルとの相容性の面から、80質量%〜99.5質量%がより好ましく、85質量%〜99.5質量%がさらに好ましく、90質量%〜99.5質量%が特に好ましく、94質量%〜99.5質量%が最も好ましい。
ゴム(β−1)には、架橋し有機溶剤に不溶の成分「ゴム架橋成分cr」と、架橋せずに重合している成分「ゴム非架橋成分fr」が存在する。
また、グラフト(β−2)は、ゴム(β−1)に化学結合している「グラフト成分gp」と、ゴム(β−1)に化学結合しておらず、遊離重合体となる「フリー成分fp」が存在する。
そのため、アクリルゴム系グラフト共重合体(B)は、次の5成分から構成される。
Rg:ゴム架橋成分crにグラフト成分gpが化学結合している成分
R0:ゴム架橋成分crのみで、グラフト(β−2)を持たない成分
Ng:ゴム非架橋成分frにグラフト成分gpが化学結合している成分
N0:ゴム非架橋成分frのみで、グラフト(β−2)を持たない成分
「遊離重合体Pf」:フリー成分fp
アクリルゴム系グラフト共重合体(B)のアセトンやテトラヒドロフラン等に代表される溶剤に不溶となる成分はゴム架橋成分cr由来の成分(Rg+R0)となる。
ここで、アクリルゴム系グラフト共重合体(B)のアセトンやテトラヒドロフラン等に代表される溶剤に対する不溶分が80〜99.5質量%であれば、「ゴム非架橋成分fr」由来の成分(Ng+N0)が十分に少ないと判断でき、グラフト(β−2)の組成は、「遊離重合体Pf」(ゴム(β−1)に化学結合していないもの)と同じであるとみなすことができる。この場合、アクリルゴム系グラフト共重合体(B)は、前記Rgと前記「遊離重合体Pf」で構成されるとみなすことができる。
すなわち、アクリルゴム系グラフト共重合体(B)を有機溶剤に溶解した際に、有機溶剤不溶分が80〜99.5質量%であり、さらに有機溶剤可溶分と有機溶剤不溶分の両方から親水性単量体が確認され、かつ有機溶剤可溶分中の親水性単量体量が、有機溶剤可溶分100質量%中、0.5〜30質量%となる場合、アクリルゴム系グラフト共重合体(B)は、グラフト部に0.5〜30質量%の親水性単量体を有するとみなすことができる。
アクリルゴム系グラフト共重合体(B)中の親水性単量体量は、熱分解GC−MSによって定量できる。
本発明の不溶分および可溶分抽出に用いることができる有機溶剤は、アクリルゴム系グラフト共重合体(B)を化学的に変質させないものでかつアクリルゴム系グラフト共重合体(B)を構成する各ポリマーの非架橋の場合の溶解性が十分あれば特に限定されない。
作業性の観点からアセトンは揮発性が高く溶剤留去がしやすい点で好ましい。但しアセトンはスチレン主成分のポリマーに対して溶解性が低いので、アクリルゴム系グラフト共重合体(B)にスチレンが含まれる場合はテトラヒドロフラン(THF)が好ましい。
(有機溶剤可溶分および不溶分の測定方法)
有機溶剤不溶分は、アクリルゴム系グラフト共重合体(B)1質量%と有機溶剤99質量%とからなる溶液を調製して、以下(1)〜(4)の操作を行うことによって測定される。
(1)前記溶液を遠心分離機に供して16,000rpmで40分間、遠心分離する。
(2)上澄み液を抽出し、フラスコ内に入れる。
(3)(2)の上澄み液を入れたフラスコを70℃の恒温槽中にセットして、エバポレータによって該液から揮発分を留去する。
(4)該フラスコ内の残存物を蒸気乾燥器にて80℃で8時間乾燥し、さらに真空乾燥機で65℃にて6時間乾燥し、「乾燥試料」を得る。
乾燥試料(有機溶剤可溶分)の質量を測定し、次式により有機溶剤不溶分を算出する。
wais=(wc1−was)/wc1×100
wc1:測定に供したアクリルゴム系グラフト共重合体(B)の質量
was:有機溶剤可溶分の質量
wais:有機溶剤不溶分の質量。
前記操作において、「遊離重合体Pf」は、有機溶剤可溶分として抽出される。
アクリルゴム系グラフト共重合体(B)の製造に用いるラジカル重合開始剤は、特に限定されないが、水溶性、油溶性の単独系もしくはレドックス系のものでよく、例えば、通常の過硫酸塩等の無機開始剤を単独で用いるか、又は亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、若しくはチオ硫酸塩等と組み合わせてレドックス系開始剤として用いることもできる。さらにt−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、若しくは過酸化ラウロイル等の有機過酸化物、又はアゾ化合物等を単独で用いるかあるいはナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート等と組み合わせてレドックス系開始剤として用いることもできるが、本発明はこれら具体例のみに限定されるものではない。
また、グラフト部の質量平均分子量(Mw)を調節する必要がある場合は、重合時の連鎖移動剤、開始剤の使用量の調節及び重合温度の調節等の常用の方法を用いることができる。連鎖移動剤としては、例えばn−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタンが挙げられる。
アクリルゴム系グラフト共重合体(B)の製造に用いる乳化剤は、特に限定されないが、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、及びジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン酸脂肪エステル、及びグリセリン脂肪酸エステル等のノニオン性界面活性剤;並びにアルキルアミン塩等カチオン性界面活性剤を使用することができる。また、これらの乳化剤は単独で又は併用して使用することができる。
また、アクリルゴム系グラフト共重合体(B)を得るための重合方法は、特に限定されないが、通常は乳化重合、必要があれば強制乳化重合によって行うことができる。例えば、アクリル成分を構成する単量体として、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等の水溶性に乏しい単量体を選択した場合は、カレットの発生を抑制し重合を安定化させるべく、強制乳化重合法を選択することが好ましい。
乳化重合により製造する場合、ゴム(β−1)のラテックスにビニル系単量体を加え、ラジカル重合法により一段あるいは多段でグラフト(β−2)を重合し、アクリルゴム系グラフト共重合体(B)ラテックスを得る。得られたラテックスを、硫酸、塩酸等の酸、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、または硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固し分離、回収することによりが得られる。また、噴霧乾燥法等の直接乾燥法等でも粉体状としてアクリルゴム系グラフト共重合体(B)を得られる。
(亜鉛を含む複合金属石けん系熱安定剤(C))
亜鉛を含む複合金属石けん系熱安定剤(C)(以下、熱安定剤(C)という)は、亜鉛を含む金属石鹸からなる。熱安定剤(C)を構成する金属石鹸としては、長鎖脂肪酸の亜鉛塩(Zn系熱安定剤)単体の他に、長鎖脂肪酸のカルシウム塩(Ca系熱安定剤)、長鎖脂肪酸のバリウム塩(Ba系熱安定剤)のいずれかまたは両方を含む、Ca/Zn複合系熱安定剤、Ba/Zn複合系熱安定剤、Ca/Ba/Zn複合系熱安定剤が挙げられる。これらの中でも、熱安定性に優れる点で、Ca/Zn系複合系熱安定剤が好適である。
長鎖脂肪酸としては、特に限定されないが、例えば、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、オクチル酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、モンタン酸等が挙げられる。熱安定剤(C)は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記アクリルゴム系グラフト共重合体(B)は、塩化ビニル樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜30質量部となるよう添加され、0.5〜20質量部となるよう添加されることが好ましく、1〜15質量部となるよう添加されることがより好ましく、3〜10質量部となるよう添加されることが特に好ましい。
上記熱安定剤(C)は、塩化ビニル樹脂(A)100質量部に対して、1〜10質量部となるよう添加され、1〜8質量部となるよう添加されることが好ましく、さらに2〜6質量部となるよう添加されることがより好ましい。1質量部以上とすることで、塩化ビニル樹脂(A)の熱安定性の向上効果がより得られやすくなる。また、10質量部以下であれば、塩化ビニル樹脂(A)が溶融・混練されやすくなり、成形体の機械特性がより向上する。
本発明の塩化ビニル樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、その目的に応じて、慣用の滑剤、充填材、加工助剤、補助安定剤等の各種添加剤を添加することができる。
滑剤としては、例えば、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン、及び低分子量ポリエチレン等の純炭化水素系滑剤;ハロゲン化炭化水素系滑剤、高級脂肪酸、及びオキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤;脂肪酸アミド、及びビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系滑剤;脂肪酸の低級アルコールエステル及びグリセリド等の脂肪酸の多価アルコールエステル;脂肪酸のポリグリコールエステル、及び脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)等のエステル系滑剤;金属石けん、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、脂肪酸と多価アルコールとの部分エステル、及び、脂肪酸とポリグリコール又はポリグリセロールとの部分エステルが挙げられ、これらは1種あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
滑剤の添加量については特に制限されないが、塩化ビニル樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、0.1〜5質量部がさらに好ましい。0.1質量部以上とすることで、樹脂組成物の成形機への付着を低減することができ、15質量部以下とすることで、ゲル化特性の低下を防ぐことができる。
充填剤としては、金属粉、酸化物、水酸化物、珪酸及び珪酸塩、炭酸塩、炭化珪素、植物性繊維、動物性繊維、並びに合成繊維等が挙げられ、これらの具体的な代表例としては、アルミニウム粉、銅粉、鉄粉、アルミナ、天然木材、紙、炭酸カルシウム、タルク、硝子繊維、炭酸マグネシウム、マイカ、カオリン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、クレー、ゼオライト、アセテート粉、絹粉、アラミド繊維、アゾジカルボンアミド、グラファイト、及び再生充填剤材料が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
また、難燃性向上目的に充填剤を添加する場合、例えば金属水酸化物、臭素系化合物、トリアジン環含有化合物、亜鉛化合物、リン系化合物、ハロゲン系化合物、シリコン系化合物、イントメッセント系化合物、又は酸化アンチモンが使用できる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
充填材の添加量については特に制限されないが、塩化ビニル樹脂(A)100質量部に対して、0〜300質量部が好ましく、0〜100質量部がより好ましく、1〜50質量部がさらに好ましく、1〜15質量部がとりわけ好ましい。300質量部以下とすることで、成形体外観の平滑性が向上できる。また、1質量部以上とすることで、剛性を高めることができる。
加工助剤としては、例えば、アクリル系加工助剤、塩素化ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル系加工助剤は、アルキルエステル部のアルキル基が炭素数1〜10のアルキル基であるメタクリル酸アルキルエステル単量体(e−1)(以下、単量体(e−1)という)50〜100質量%、その他の共重合し得るビニル単量体(e−2)(以下、単量体(e−2)という)0〜50質量%を重合して得られる共重合体である。
単量体(e−1)としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸シクロヘキシルが挙げられる。中でも、成形体の外観向上能及び粉体回収性が良好となることから、アルキル基の炭素数が1〜5であるメタクリル酸アルキルエステル、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル及びメタクリル酸ペンチルが好ましい。
これらメタクリル酸アルキルエステルは、目的に応じて1種あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
単量体(e−2)としては、単量体(e−1)と共重合し得る単量体であれば特に限定されないが、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸‐2‐エチルヘキシル、アクリル酸ベンジル、及びアクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸ベンジル、及びメタクリル酸フェニル等のメタクリル酸芳香族エステル;スチレン、α‐メチルスチレン、及びビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、及びメタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル;並びに無水マレイン酸等の酸無水物が挙げられる。これらは1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
単量体(e−1)の使用量は、上述のアクリル系加工助剤の原料となる全単量体を100質量%としたとき、50〜100質量%であり、好ましくは60〜95質量%、より好ましくは70〜90質量%である。単量体(e−1)の使用量を50質量%以上とすることで塩化ビニル樹脂との相容性が良好となり、成形体の光沢及びゲル化特性を向上することができる。
単量体(e−2)の使用量は、アクリル系加工助剤の原料となる全単量体を100質量%としたとき、0〜50質量%であり、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%である。単量体(e−2)の使用量を50質量%以下とすることで、塩化ビニル樹脂組成物のゲル化特性を阻害せず、成形体外観が良好となる。
単量体(e−2)として、ジビニルベンゼン、メタクリル酸アリル、ジメタクリル酸−1,3−ブチレングリコール、又はシアヌル酸トリアリル等の多官能性単量体を使用してもよいが、その単量体の使用量は、アクリル系加工助剤の原料となる全単量体を100質量%としたとき、0.1〜2質量%が好ましく、0.2〜1質量%がより好ましい。この多官能性単量体の使用量が2質量%以下であれば、良好な成形外観を阻害しないので好ましい。
上記のアクリル系加工助剤は各社により製造されており、例えば、メタブレンPシリーズ(P−570A、P−551A、P−530A等:三菱ケミカル社製)、カネエースPAシリーズ(PA20、PA40、PA60等:カネカ社製)、パラロイドKシリーズ(K120、K125、K400等:ダウケミカル社製)等が挙げられる。
加工助剤の添加量については特に制限されないが、塩化ビニル樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましく、1〜4質量部がとりわけ好ましい。10質量部以下とすることで、成形機への負荷を低減できる。また、0.1質量部以上とすることで、成形品の光沢を高めることができる。
補助安定剤としては、例えば、エポキシ樹脂、及びエポキシ化脂肪酸アルキルエステル等のエポキシ化合物、並びに有機亜リン酸エステル等の非金属系安定剤が挙げられ、これらは1種又は2種以上組み合わせて用いられる。
補助安定剤の添加量については特に制限されないが、塩化ビニル樹脂(A)100質量部に対して、0〜5質量部が好ましく、1〜4質量部がより好ましい。5質量部以下とすることで、成形品の外観低下を抑制できる。また、1質量部以上とすることで、成形時の熱安定性をより高めることができる。
その他、離型剤、流動性改良剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、防曇剤、抗菌剤、可塑剤、又は発泡剤等も、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて任意に配合することができる。
本発明の塩化ビニル樹脂組成物を得る方法は特に制限されるものではなく、一般公知の方法を用いることができ、例えば所定量の塩化ビニル樹脂(A)とアクリルゴム系グラフト共重合体(B)、熱安定剤(C)及び必要に応じて他の添加剤をヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、V型ミキサー、リボンブレンダー等で混合することで得られる。
得られた塩化ビニル樹脂組成物は、単軸押出機、二軸押機等の混練押出機による押出成形の他、通常の公知の成形方法、例えば、射出成形、中空成形、ロール加工にも適用して各種所望の成形体を得ることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。なお、本実施例、比較例及び参考例において、「部」は「質量部」を示し、「phr」は「塩化ビニル樹脂100質量部に対する質量部」を示す。
本実施例、比較例及び参考例において得られた塩化ビニル樹脂組成物及びその成形体の評価は下記により行った。
(1)混練性評価
塩化ビニル樹脂組成物を溶融押出成形する際の、成形機トルク、樹脂温度、樹脂圧力、時間当たりの成形体押出質量(吐出量)を測定した。この時、成形機トルクが高いほど混練レベルが向上し、良好であるといえる。
樹脂温度、樹脂圧力、吐出量は、参考として掲載した。
(2)衝撃強度試験
塩化ビニル樹脂組成物を溶融押出して得られた成形体について、JIS K7111に基づき、ノッチ付きシャルピー衝撃強度試験を行い、23℃での衝撃強度を測定した。値が大きいほど強度良好となる。
(実施例、比較例)
<塩化ビニル樹脂組成物の製造>
所定量の各種アクリルゴム系グラフト共重合体(B)の他に、塩化ビニル樹脂(A)として塩化ビニル樹脂(製品名:TK−1000、信越化学工業社製、平均重合度1050)100部、安定剤(C)としてCa/Zn系複合安定剤(サンエース社製)3部、充填剤として炭酸カルシウム(製品名:μ‐powder 3S、備北粉化工業社製)6部、酸化チタン(製品名:タイペークR830、石原産業社製)3部、滑剤としてグリセリン脂肪酸エステル(製品名:Loxiol GH−4、エメリーオレオ社製)0.5部、高分子複合エステル(製品名:Loxiol VPN963、エメリーオレオ社製)0.2部、高分子複合エステル(製品名:Loxiol G70S、エメリーオレオ社製)0.3部、ポリエチレンワックス(製品名:Loxiol VPN233、エメリーオレオ社製)0.2部、アクリル系加工助剤(製品名:メタブレンP−530A、三菱ケミカル製)をヘンシェルミキサーに供給して均一に混合し、塩化ビニル樹脂組成物を得た。
<アクリルゴム系グラフト共重合体(B)の製造>
アクリルゴム系グラフト共重合体(B)としては、以下に示すものを表1に示す組成で用いた。
[製造例1]アクリルゴム系グラフト共重合体(B−1)の製造
アクリル酸2−エチルヘキシル99部、メタクリル酸アリル1部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム1.5部、蒸留水295部を混合し、ホモミキサーにて10,000rpmで5分間予備撹拌した後、ホモジナイザーにより300kg/cm の圧力で乳化、分散させ、エマルジョンを得た。このエマルジョン4.5kgをコンデンサーおよび撹拌翼を備えた5Lセパラブルフラスコに移し、tert−ブチルヒドロペルオキシド0.05部を加えたのち、1時間混合撹拌しながら窒素置換を行った。50℃に昇温したのち、蒸留水5部に溶解した硫酸第一鉄0.002部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.006部およびロンガリット0.26部を仕込み、ラジカル重合を開始させ、その後1時間保持し、ラテックス(Lx−1)を得た。得られたラテックス(Lx−1)の重合率は、いずれのモノマーも99.9%以上であった。
ついで、上記ラテックス(Lx−1)80部(含有ポリマー分:20部)をコンデンサーおよび撹拌機を備えたセパラブルフラスコに仕込み、蒸留水205部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム1.0部、アクリル酸n−ブチル68部、アリルメタクリレート2部およびtert−ブチルヒドロペルオキシド0.04部の混合液を仕込み60分間撹拌した。50℃に昇温したのち、蒸留水5部に溶解した硫酸第一鉄0.002部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.006部、およびロンガリット0.26部を仕込み、ラジカル重合を開始させ、1時間保持し、ラテックス(Lx−2)を得た。得られたラテックス(Lx−2)の重合率は、いずれのモノマーも99.9%以上であり、この時点でゴム(β−1)が形成された。
続いてグラフト(β−2)を形成させるべく、メタクリル酸メチル9.9部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル0.1部およびtert−ブチルヒドロペルオキシド0.01部の混合液を30分間にわたり滴下し、その後1時間保持し、重合を完了した。重合率は、いずれのモノマーも99.9%以上であった。
得られたアクリルゴム系グラフト共重合体ラテックスを、酢酸カルシウム5質量%を溶解した50℃の水200部中に滴下し、スラリーを形成した。その後、90℃に昇温し5分間保持することでスラリーを凝集させ、分離・洗浄した後、75℃で16時間乾燥し、粉末状のアクリルゴム系グラフト共重合体(B−1)を得た。
[製造例2〜6]アクリルゴム系グラフト共重合体(B−2)〜(B−6)の製造
グラフト(β−2)形成時に用いる単量体種を、表1に示した組成に変更した以外は製造例1と同様にし、粉末状のアクリルゴム系グラフト共重合体(B−2)〜(B−6)を得た。
MMA:メタクリル酸メチル
HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシルエチル
HPMA:メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル
得られた各組成物を、25mm単軸押出機(サーモプラスチック工業社製、C1−C2−C3−D=130−150−165−165℃、50rpm)に供給し、ペレット状の各塩化ビニル樹脂組成物を得た。
このときの成形機トルクを測定し、混練性の評価を行った。前記ペレット状の塩化ビニル樹脂組成物を30mm単軸押出機(GMエンジニアリング社製、100−170−180−190−190−180−180℃ (C1−C2−C3−C4−C5−A−D)、スクリュー回転数:30rpm)にて溶融押出を行い、幅10mm、厚み4mmの角棒状の塩化ビニル樹脂成形体を得た。このとき、押出機シリンダー先端での樹脂温度・樹脂圧力および、各塩化ビニル樹脂成形体の吐出量を測定した。得られた成形体を長さ8cmに切断し、深さ2mmのV型ノッチをつけた試験片を作製し、シャルピー衝撃強度試験に供した。表2に塩化ビニル樹脂組成物の組成例と得られた成形体の特性を記した。
(実施例1〜5)
表2の結果より、グラフトに水溶性単量体を含むアクリルゴム系グラフト共重合体(B)を含有するため、いずれの実施例においても、アクリルゴム系グラフト共重合体(B)を含まない例(比較例1)、グラフトに水溶性単量体を含まないアクリルゴム系グラフト共重合体を用いた例(比較例2)に比べ、トルクが向上し、シャルピー強度も顕著に向上していることが分かった。さらに、グラフトに水溶性単量体を含まないアクリルゴム系グラフト共重合体を用いた例(比較例2)と比較して、樹脂温度、樹脂圧力、吐出量に大きな差が見られず、切り替えが容易であることも分かった。
(比較例1)
アクリルゴム系グラフト共重合体(B)を含有しないことで、耐衝撃性が低位となり、実用的とは言えない。
(比較例2)
アクリルゴム系グラフト共重合体を含有することで、アクリルゴム系グラフト共重合体(B)を含まない例(比較例1)よりは衝撃強度、トルクともに向上しているものの、その効果は不十分である。

Claims (8)

  1. 塩化ビニル樹脂(A)100質量部に対し、
    親水性単量体を含むグラフト部を有するアクリルゴム系グラフト共重合体(B)を0.1〜30質量部
    亜鉛を含む複合金属石けん系熱安定剤(C)を1〜10質量部
    を含有する塩化ビニル樹脂組成物。
  2. 前記親水性単量体が、アクリルゴム系グラフト共重合体(B)のグラフトに用いる全単量体100質量%中、0.5〜30質量%である、請求項1に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
  3. 前記親水性単量体が、メタクリル酸2−ヒドロキシルエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシルプロピル、メタクリル酸、メタクリル酸グリシジル、及びそれらの混合物より成る群から選択される、請求項1または2のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
  4. 前記親水性単量体が、メタクリル酸2−ヒドロキシルエチルである、請求項1または2のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
  5. 前記親水性単量体と共重合可能な少なくとも1種の他のビニル単量体が、炭素数1〜4のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、及びそれらの混合物より成る群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
  6. 前記親水性単量体と共重合可能な少なくとも1種の他のビニル単量体が、炭素数1〜4のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びそれらの混合物より成る群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
  7. 前記親水性単量体と共重合可能な少なくとも1種の他のビニル単量体が、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、及びそれらの混合物より成る群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂組成物からなる樹脂成形体。
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