JP2019178404A - コアシェル粒子およびその利用 - Google Patents
コアシェル粒子およびその利用 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2019178404A JP2019178404A JP2018069482A JP2018069482A JP2019178404A JP 2019178404 A JP2019178404 A JP 2019178404A JP 2018069482 A JP2018069482 A JP 2018069482A JP 2018069482 A JP2018069482 A JP 2018069482A JP 2019178404 A JP2019178404 A JP 2019178404A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- core
- shell
- particles
- powder material
- pvp
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Powder Metallurgy (AREA)
- Conductive Materials (AREA)
- Non-Insulated Conductors (AREA)
Abstract
Description
しかし、従来の方法でコアシェル粒子を製造すると、製造後のコアシェル粒子(一次粒子)同士の凝集や連結(ネッキング)が生じ、粒径の大きな凝集塊や連結(ネッキング)塊などの二次粒子が多量に形成されてしまうことがあった。かかる二次粒子は、複数の一次粒子同士がシェルによって固着されており、解砕できないほど強固であるため、コアシェル粒子を含む粉体材料の粒径はコアの粒径に比べて著しく大きくなり、かつ、粒径のばらつきが大きくなる原因になる。
また、上述のPVPをコアシェル粒子の製造に用いる技術が非特許文献2、3に開示されている。例えば、非特許文献2では、先ず、硝酸銀とPVPとを溶解させた溶液を調製し、当該溶液からAgを析出させてAgコア粒子を生成している。そして、このAgコア粒子を含む分散液に硝酸パラジウムを溶解させた後に、Pdを析出させることによってAgコア粒子の表面にPdシェルを形成している。この非特許文献2では、かかる手順で得られたAg@Pd微粒子(コアシェル粒子)の平均粒径が約5.0nmである旨が記載されている。
このように、微小なPd単独粒子が多量に生成される原因の一つとして、非特許文献1に示される通り、PVPが金属粒子を微粒子として析出させる作用を有していることが挙げられる。従って、コアシェル粒子のように膜状の金属(シェル)を析出させることが求められる場合には、非特許文献2、3のようなPVPを使用する技術は不適切であると考えられていた。
しかし、本発明者は、一次粒子同士の固着による二次粒子の形成を適切に抑制するために、コアシェル粒子の製造に敢えてPVPを使用した上で、当該PVPの使用によるコアシェル粒子の収率低下を防止する技術を創作することを考えた。
そして、かかる着想に基づいて独自の検討を更に重ねた結果、本発明者は、PVP存在下でAgコア粒子を析出させた際に、当該Agコア粒子の表面にPVPが付着することによって、Agコア粒子の表面にPdシェルが析出し難くなることが上述のコアシェル粒子の収率低下の一因であることを見出した。
そして、ここで開示されるコアシェル粒子では、Pdシェルの表面にPVPが付着しており、当該PVPによってコアシェル粒子の外表面が保護されている。このため、Pdシェルを介して複数のコアシェル粒子(一次粒子)同士が固着することを好適に抑制し、巨大な二次粒子が形成されることを適切に抑制できる。
なお、本明細書において「Pdシェルの表面にポリビニルピロリドンが選択的に付着している」とは、Agコア粒子の表面に比べてPdシェルの表面に優先的にPVPが付着していることを指し、典型的にはAgコア粒子の表面に実質的にPVPが付着していないことを包含する。
ここで開示される粉体材料は、銀を主成分とするAgコア粒子と、該Agコア粒子の表面の少なくとも一部を被覆するパラジウムを主成分とするPdシェルとから構成されるコアシェル粒子を少なくとも含む粉体材料である。
そして、かかる粉体材料では、動的光散乱法においてキュムラント法による解析を行うことによって測定されたZ平均粒子径(DDLS)が0.1μm〜1.5μmであり、かつ、多分散指数(PDI)が0.4以下である。
なお、本明細書においてDLSを用いて粒子径に関する指標(例えば、上記「Z平均粒子径(DDLS)」および「多分散指数(PDI)」)を測定する場合、測定用の分散媒には水、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、エチレングリコール(EG)、イソボロニルアセテート(IBA)などの所定の分散媒が用いられる。また、かかるDLSでの測定の際には、粉体材料中のコアシェル粒子の凝集、沈降を抑制するために種々の手段(例えば、適切な分散媒の選択、分散剤や増粘剤などの添加剤の使用、コアシェル粒子の表面改質、分散装置の使用など)を用いるとよい。なお、分散装置を使用する場合には、一次粒子の変形や破壊を防止するという観点から超音波分散装置を使用すると好ましい。
ここで開示される粉体材料は、銀を主成分とするAgコア粒子と、該Agコア粒子の表面の少なくとも一部を被覆するパラジウムを主成分とするPdシェルとから構成されるコアシェル粒子を少なくとも含む粉体材料である。
そして、かかる粉体材料では、動的光散乱法においてNNLS法による解析を行うことによって測定されるピーク粒径が0.1μm〜1.5μmの範囲内であって、当該ピーク粒径のピーク強度が90%以上である。
なお、本明細書における「ピーク粒径」および「ピーク粒径のピーク強度」は、上述したように、水、DMF、EG、IBAなどの所定の溶媒に、凝集や沈降させずに粉体材料を分散させた状態で測定を行うことによって得られる値である。
上述した非特許文献2、3のように、Agコア粒子の表面にPVPを付着させると、微小な単独粒子が多量に形成されてしまい、コアシェル粒子の収率が低下する。これに対して、本発明では、Agコア粒子の表面に好適にPdシェルを析出させることができるため、微小な単独粒子の形成を防止して、コアシェル粒子の収率の低下を抑制できる。したがって、ここで開示される粉体材料には、高い含有率でコアシェル粒子が含まれている。具体的には、ここで開示される粉体材料では、PdやAgの単独粒子などを含む粉体材料全体に対するコアシェル粒子の含有率を90%以上(典型的には95%以上、例えば99%以上)にすることができる。
なお、この「コアシェル粒子の含有率」は、FE−SEM、エネルギー分散型X線分析(EDX:Energy dispersive X−ray spectrometry)を用いて、個々の粒子に対して粒子径(円相当径)を測定した後、元素マッピングによるコアシェル判定を実施し、粒子をすべて円相当径が直径の球と仮定して算出したものであり、全粒子に対するコアシェル粒子の体積基準の存在割合を示している。なお、ここでの「全粒子」とはコア成分および(又は)シェル成分を主成分とした全ての粒子を指す。また、かかる「コアシェル粒子の含有率」の測定は、複数の視野を観察して合計200個以上の粒子を評価したものである。
上述した態様のように、Pdシェルの表面にPVPが選択的に付着したコアシェル粒子を生成することによって、サブミクロン領域に粒径が制御されたコアシェル粒子を高い収率で含む粉体材料を得ることができるが、このPVPはコアシェル粒子の生成後にPdシェルの表面から除去されていてもよい。但し、本態様のように、PVPをPdシェルの表面に付着させたままにした粉体材料は、導電ペーストを調製する際などに分散媒へ好適に分散させることができるため、電子部品や電極など材料としてより好適に使用することができる。
DDLS/DBET≦10.0 (1)
粉体材料に含まれる粒子の粒子径を評価する種々の指標の内、DLS法によって測定されるZ平均粒子径(DDLS)は、固着によって巨大な二次粒子が形成されると増加する特性を有している。一方、BET比表面積から換算されるBET粒子径(DBET)は、Z平均粒子径(DDLS)と比べて上記固着の影響を受け難いという特性を有している。したがって、BET粒子径(DBET)に対するZ平均粒子径(DDLS)の割合(DDLS/DBET)が小さくなるほど、粉体材料に含まれる二次粒子が少ないと評価することができる。
そして、上記の式(1)のように、DDLS/DBETが10.0以下である本態様の粉体材料は、Pdシェルを介した固着による二次粒子の含有量が非常に少なく、コアシェル粒子の粒子径がサブミクロン領域に好適に制御されている。
なお、本明細書における「DDLS/DBET」は、上述したように、水、DMF、EG、IBAなどの所定の溶媒に、凝集や沈降させずに粉体材料を分散させた状態で測定することによって得られる値である。
ここで開示される導電ペーストは、上述した各態様に係る粉体材料を分散媒体に分散させた導電ペーストである。
上述したように、コアシェル粒子を含む粉体材料を分散媒体に分散させた導電ペーストは、電子部品や電極の形成などに好適に使用される。このとき、ここで開示される導電ペーストでは、粒子径がサブミクロン領域に制御されたコアシェル粒子を含む粉体材料が用いられているため、充分に薄層化された電極を好適に形成することができる。
ここで開示される粉体材料の製造方法は、銀を主成分とするAgコア粒子と、該Agコア粒子の表面の少なくとも一部を被覆するパラジウムを主成分とするPdシェルとから構成されるコアシェル粒子を少なくとも含む粉体材料を製造する方法である。
そして、かかる製造方法は、パラジウム錯体とポリビニルピロリドンとを溶解させた溶液にAgコア粒子を分散させたAg分散混合液を調製する混合液調製工程と、ポリビニルピロリドンとAgコア粒子とを含むAg分散混合液に還元剤を添加し、Agコア粒子の表面にPdシェルを析出させるPdシェル析出工程とを備えている。
ここで、ここで開示される粉体材料の製造方法では、Pd錯体とPVPが溶解した混合液に粉末状のAg(Agコア粒子)を分散させたAg分散混合液を調製し、当該Ag分散混合液に還元剤を添加してPdシェルを析出させている。
このように、PVPとPdとを含む混合液に粉体状のAgコア粒子を分散させた場合、PVP存在下でAgコア粒子を析出させる従来技術と異なり、Agコア粒子の表面にPVPが付着しなくなる。これは、金属粒子が析出する過程において、粒子表面に付着し易いというPVPの特性を利用したものである。したがって、ここで開示される製造方法では、PVPがAgコア粒子の表面に付着することが抑制されており、当該PVPによってPdシェルの形成が阻害されることを防止できるため、コアシェル粒子の収率が高い粉体材料を製造することができる。そして、Pdシェル析出工程において、PVPがPdシェルの表面に選択的に付着するため、Pdシェルを介した固着によって巨大な二次粒子が形成されることを適切に抑制できる。
このように、ここで開示される製造方法によれば、サブミクロン領域に粒子径が好適に制御されたコアシェル粒子を含む粉体材料を効率良く製造することができる。
ここで開示される製造方法において使用される還元剤は、特に制限されないが、上述した種々の材料を用いることができる。これらの中でも、毒劇物ではなく、かつ、均一で表面が滑らかなPdシェルを容易に形成できるという観点から、炭酸ヒドラジン、酒石酸塩(例えば、酒石酸ナトリウム)、クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)を好ましく使用することができる。
Ag分散混合液に含まれるPVP量が多すぎると、当該混合液からPdを析出させた際に、微小なPd単独粒子が析出し、コアシェル粒子の収率が低下する恐れがある。一方、PVP量が少なすぎると、Pdシェルの表面に適切にPVPを付着させることができず、Pdシェルを介したネッキングによる一次粒子同士の固着が発生する可能性が高くなる。これらの点を考慮すると、Ag分散混合液中のPVP濃度は0.1g/L〜200g/Lの範囲内であると好ましく、1g/L〜6g/Lの範囲内であるとより好ましい。
Ag元素の含有量(Ag/Pd比)が大きくなりすぎると、Pdシェルが適切に形成されていないコアシェル粒子が生成される可能性が高くなる。一方で、Ag/Pd比が小さくなりすぎると、Agコア粒子の表面に析出できなかったPdがPd単独粒子として多く析出したり、Pdシェルを介した二次粒子が多く生成される可能性がある。これらの点を考慮すると、Ag元素の含有量が70%〜99%(好ましくは80%〜98%、より好ましくは80%〜95%)になるように、パラジウム錯体とAgコア粒子の添加量を調整すると好ましい。これによって、コアシェル粒子の収率が高く、固着による二次粒子が少ない粉体材料を製造することができる。なお、Ag元素とPd元素の各々の含有量は、ICP−AES(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)やXRF(蛍光X線分析)などを用いて測定することができる。
本実施形態に係るコアシェル粒子は、銀(Ag)を主成分とするAgコア粒子と、該Agコア粒子の表面の少なくとも一部を被覆するパラジウム(Pd)を主成分とするPdシェルとから構成されている。そして、かかるコアシェル粒子では、Pdシェルの表面にポリビニルピロリドン(PVP)が選択的に付着している。以下、本実施形態に係るコアシェル粒子の各要素について具体的に説明する。
Agコア粒子は、主成分として銀(Ag)を含む金属粒子である。
かかるAgコア粒子には、主成分であるAg以外に種々の金属元素が含まれていてもよい。例えば、Agコア粒子に含まれる全ての金属元素の物質量を100mol%とした場合、Ag元素の物質量は、90mol%〜100mol%であるとよく、95mol%〜100mol%であると好ましい。このとき、Ag元素以外にAgコア粒子に含まれ得る金属元素としては、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、金(Au)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などが挙げられる。これらの中でも、Pdシェルとの馴染みやすさなどを考慮すると、Pd、Ptなどが、Ag以外の金属元素として含まれていると好ましい。また、上述した種々の金属元素は、酸化物や硫化物などの化合物の状態でAgコア粒子に含まれていてもよい。
また、本発明を特に限定するものではないが、Agコア粒子の形状は略球形が好ましく、その粒子径は、例えば、0.01μm〜1μmが適当であり、0.05μm〜0.8μmであると好ましく、0.1μm〜0.4μmであるとより好ましい。なお、ここでの粒子径は、動的光散乱法(DLS)においてNNLS法で解析を行うことによって測定されるピーク粒径である。
一方、Pdシェルは、パラジウム(Pd)を主成分とする金属被膜である。
上述したAgコア粒子と同様に、Pdシェルには、Pd以外に種々の金属元素が含まれていてもよい。例えば、Pdシェルに含まれる全ての金属元素の物質量を100mol%とした場合、Pd元素の物質量は、90mol%〜100mol%であるとよく、95mol%〜100mol%であると好ましい。また、Pd以外にPdシェルに含まれ得る金属元素としては、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、金(Au)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などが挙げられる。また、コアシェル粒子表面の化学的、熱的安定性の向上やAgコア粒子との馴染みやすさを考慮すると、これらの金属元素の中でも、Au、Pt、Agなどが、Pd以外の金属元素として含まれていると好ましい。なお、上述した種々の金属元素は、酸化物、リン化物、窒化物などの化合物の状態でPdシェルに含まれていてもよい。また、本発明を特に限定するものではないが、Pdシェルの厚みは、0.2nm〜100nmが適当であり、1nm〜50nmが好ましく、例えば5nm程度に設定される。
そして、本実施形態に係るコアシェル粒子では、上述したように、Pdシェルの表面にポリビニルピロリドン(PVP)が選択的に付着している。このポリビニルピロリドンは、N−ビニル−2−ピロリドン(CH2CHNC3H3CO)の重合体であり、粒子表面を保護して他の粒子の粗大化を阻害する表面保護剤として使用され得る。
これに対して、本実施形態に係るコアシェル粒子では、Pdシェルの表面にポリビニルピロリドン(PVP)が選択的に付着している。すなわち、本実施形態では、Agコア粒子表面に実質的にPVPが付着しておらず、Pdシェル生成時に当該Pdシェルの表面にPVPを付着させている。このように、コアシェル粒子の生成過程において、Pdシェルの表面にPVPを選択的に付着させることによって、コアシェル粒子の収率を低下させることなく、一次粒子同士の固着を好適に抑制することができる。なお、Pdシェルの形成を阻害しない程度に微量であれば、Agコア粒子の表面にPVPが付着していてもよい。
また、本発明の他の側面として、コアシェル粒子を含む粉体材料が提供される。以下、本発明の他の実施形態としてコアシェル粒子を含む粉体材料について説明する。
このため、本実施形態に係る粉体材料では、DLS(キュムラント法)によって測定したZ平均粒子径(DDLS)が0.1μm〜1.5μm(典型的には0.1μm〜1μm)となり、かつ、多分散指数(PDI)が0.4以下(典型的には0.3以下、好ましくは0.2以下)となっている。このように、コアシェル粒子の粒子径が小さく、かつ、シャープな粒度分布を有している粉体材料を用いることによって、電子部品の小型化や電極の薄層化に大きく貢献することができる。
なお、かかる粉体材料におけるコアシェル粒子の含有率は、FE−SEM、EDXを用いて、個々の粒子に対して粒子径(円相当径)を測定した後、元素マッピングによるコアシェル判定を実施し、粒子をすべて円相当径が直径の球と仮定して算出した全粒子に対するコアシェル粒子の体積基準の存在割合である。
DDLS/DBET≦10.0 (1)
上述した式(1)中のZ平均粒子径(DDLS)は、固着による二次粒子が生じると大きく増加する値である。一方で、BET粒子径(DBET)は、Z平均粒子径と比べて固着の影響を受けにくい値である。したがって、BET粒子径(DBET)に対するZ平均粒子径(DDLS)の値を算出することによって、粉体材料のコアシェル粒子同士が固着している程度を評価することができる。ここで、かかるDDLS/DBETが10.0以下の場合には、Pdシェルを介した固着による二次粒子の含有量が非常に少なく、コアシェル粒子の粒子径がサブミクロン領域に好適に制御された粉体材料であると評価することができる。また、固着による二次粒子の含有量がより少ない粉体材料(DDLS/DBETが2.0以下の粉体材料)は、電極の薄層化などのために更に好適に使用することができる。
さらに、このときの導電ペーストには、コアシェル粒子を含む粉体材料の他に、分散剤、樹脂材料(例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、セルロース系高分子、ポリビニルアルコール、ロジン樹脂等)、ビヒクル、フィラー、ガラスフリット、界面活性剤、消泡剤、可塑剤(例えばフタル酸ジオクチル(DOP)等のフタル酸エステル)、増粘剤、酸化防止剤、分散剤、重合禁止剤などの添加物が含まれていてもよい。
次に、本発明の他の側面として、上記の実施形態に係る粉体材料を製造する方法について説明する。
本実施形態に係る粉体材料の製造方法は、(1)混合液調製工程と、(2)Pdシェル析出工程とを備えている。以下、各工程について具体的に説明する。
本実施形態に係る製造方法では、PdとPVPとが溶解した溶液にAgコア粒子を分散させたAg分散混合液を調製する。具体的には、所定の溶媒にパラジウム錯体を溶解させた後に、当該Pd溶液にPVPを溶解させることによって、PdとPVPを含む混合液を調製する。そして、かかる混合液を撹拌しながら、粉末状態のAgコア粒子を添加して分散させることによってAg分散混合液を調製する。
また、溶媒は、上述したパラジウム錯体とPVPとを好適に溶解させることができると共に、Agコア粒子を分散させることができればよく、種々の液体を適宜選択することができる。かかる溶媒の一例として、アンモニア水、水、アルコール、これらの混合物などを挙げることができる。これらの中でも、ジアンミンジクロロパラジウムの溶解性を考慮すると、特にアンモニア水を好ましく用いることができる。
次に、本実施形態に係る製造方法では、Ag分散混合液に還元剤を添加して、Agコア粒子の表面にPdシェルを析出させるPdシェル析出工程を実施する。これによって、Agコア粒子の表面がPdシェルによって覆われたコアシェル粒子が形成される。
また、本工程では、Pdを好適に析出させてPdシェルを形成するために、還元剤を添加した後にAg分散混合液を分散(撹拌)しながら還元反応を進行させた方が好ましい。このときの分散(撹拌)の手段は、特に限定されないが、例えば、超音波分散やせん断力による分散などを採用することができる。
従来のコアシェル粒子の製造方法では、最初に、AgとPVPとが溶解した混合液からAgを析出させることによってAgコア粒子を生成している。このとき、PVPは、金属粒子が析出する過程において、粒子表面に付着し易いという性質を有しているため、Pdシェル形成前のAgコア粒子の表面にPVPが付着する。したがって、従来の製造方法では、PVPによってAgコア粒子表面へのPdシェルの析出が阻害されるため、微小なPdの単独粒子が形成され易くなって、コアシェル粒子の収率が低下する。
そして、このコアシェル粒子は、Pdシェルの表面がPVPによって保護されているため、Pdシェルを介した固着によって巨大な二次粒子が形成されることが好適に抑制されており、粒子径がサブミクロン領域に制御される。
以上のように、本実施形態に係る製造方法によれば、サブミクロン領域に粒子径が制御されたコアシェル粒子を高い収率で含む粉体材料を好適に製造することができる。
また、混合液調製工程中の各処理の順序は特に限定されない。例えば、PVPを溶解させる前のPd溶液にAgコア粒子を加え、当該スラリーにPVPを溶解させてもよい。また、Agコア粒子のスラリーにPVPとPd錯体を溶解させてもよく、その他のあらゆる混合順を採用することができる。この場合でも、コアシェル粒子の収率を低下させることなく、粒子同士の固着を好適に抑制することができる。
具体的には、Ag元素の含有量(Ag/Pd比)が大きくなりすぎると、Pdシェルが適切に形成されていないコアシェル粒子が生成される可能性が高くなる一方で、Ag/Pd比が小さくなりすぎると、Agコア粒子の表面に析出できなかったPdがPd単独粒子として多く析出したり、Pdシェルを介した固着によって二次粒子が多く生成される可能性がある。かかる点を考慮すると、Ag分散混合液中のAg元素とPd元素の合計含有量を100%とした場合に、当該Ag分散混合液中のAg元素の含有量を重量割合で70%〜99%(好ましくは80%〜95%、例えば90%)に調整するとよい。これによって、コアシェル粒子の収率を向上させることができると共に、固着による二次粒子の生成を抑制することができる。
以下、本発明に関する試験例を説明するが、かかる試験例は本発明を限定することを意図したものではない。
本試験では、上記の実施形態で記載した知見を確認するための予備試験として、PVPが溶解している混合液に、粉体状態のAg粉を分散させて、当該Ag粉にPVPが付着するか否かを確認した。
400mlの0.17%アンモニア水に、2.62gのパラジウム錯体(ジアンミンジクロロパラジウム(II))と、0.80gのポリビニルピロリドンK−90(和光純薬工業社製)を溶解させることによって溶液Aを調製した。
次に、上述の溶液Aを360ml採取し、かかる混合液に10.8gのAg粉(三井金属工業社製 SPQ02X)を添加して、マグネチックスターラーで撹拌した後、超音波分散を10分間行ってスラリー状のAg分散混合液を調製した。そして、Ag分散混合液を40ml採集し、6000rpm、10minの遠心分離を行うことによってAg粉を沈殿させ、上澄み液(溶液B)を採集した。
上述の溶液Aおよび溶液Bに対してTOC(Total Organic Carbon)分析を行い、Ag粉にPVPが付着しているか否かを評価した。
ここでは、先ず、全有機体炭素計(島津製作所社製 TOC−VCPH)を用いてTOCを行った。具体的には、JIS−K−0102 22.1(2016)に準拠した680℃燃焼酸化方式によって、溶液Aおよび溶液Bの各々の全炭素(TC:Total Carbon)を測定した。そして、各溶液にリン酸を添加し、二酸化炭素等の無機炭素(IC:Inorganic Carbon)を測定した。そして、測定した全炭素(TC)から無機炭素(IC)を減算することによって、上澄み液とAg分散混合液の全有機体炭素(TOC)を算出した。
次に、本試験では、従来の技術と本発明とを比較するために、17種類の粉体材料のサンプルを用意し、各サンプルに種々の評価試験を行った。
以下、各サンプルの粉体材料について説明する。
本試験例では、先ず、Pdシェルが被覆されていないAg粉(三井金属工業社製 SPQ02X)からなる粉体材料を比較対象のサンプル1として準備した。なお、後述のサンプル2〜12では、サンプル1と同じAg粉を、コアシェル粒子のAgコア粒子として用いている。
本サンプルでは、先ず、AgとPdとの重量比が90:10になるようにスラリー状の混合液を調製した。具体的には、100mlの0.17%アンモニア水に、0.655gのパラジウム錯体(ジアンミンジクロロパラジウム(II))と、0.30gの分散剤(ポリエチレングリコール#200(関東化学社製))とを溶解させた。そして、上記サンプル1と同様のAg粉(三井金属工業社製 SPQ02X)を3.0g添加し、マグネチックスターラーで撹拌した後に超音波分散を10分間行ってスラリー状のAg分散混合液を調製した。
次に、上述のAg分散混合液をマグネチックスターラーで撹拌しながら0.85mlの還元剤(炭酸ヒドラジン、大塚化学社製)を添加し、Ag分散混合液中のパラジウム錯体が全て還元されてPdが析出するように撹拌を30分間継続し、コアシェル粒子の作製を試みた。そして、上澄み液のXRF(X−Ray Fluorescence)分析を行うことによって、Ag分散混合液中のパラジウム錯体が全て還元されてPdとして析出したことを確認した。
0.30gのポリエチレングリコールの代わりに、0.15gの湿潤分散剤(BYK社製、ANTI−TERRA250)をAg分散混合液に溶解させた点を除いて、サンプル2と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。
湿潤分散剤の添加量を0.15gから2.00gに増加させた点を除いて、サンプル3と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。
湿潤分散剤をBYK社製のANTI−TERRA250からBYK社製のBYK−LP C22136に変更した点を除いて、サンプル3と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。
湿潤分散剤をBYK社製のANTI−TERRA250からBYK社製のBYK−LP C22139に変更した点を除いて、サンプル3と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。
湿潤分散剤をBYK社製のANTI−TERRA250からBYK社製のBYK−LP C22141に変更した点を除いて、サンプル3と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。
湿潤分散剤をBYK社製のANTI−TERRA250からBYK社製のDISPERBYK102に変更した点を除いて、サンプル3と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。
サンプル9では、上述したサンプル2〜8と異なり、Ag分散混合液に分散剤を添加せず、代わりにポリビニルピロリドン(PVP)を溶解させて、コアシェル粒子の作製を試みた。
具体的には、400mlの0.17%アンモニア水に、2.62gのジアンミンジクロロパラジウム(II)と、0.80gのポリビニルピロリドンK90(和光純薬工業社製)とを溶解させた。そして、サンプル1〜8と同様のAg粉を12.0g加え、マグネチックスターラーで撹拌した後に超音波分散を10分間行うことによってスラリー状のAg分散混合液を調製した。
次に、上述のAg分散混合液を40ml採集し、かかるAg分散混合液を溶液Cとした。そして、残りのAg分散混合液をマグネチックスターラーで撹拌しながら3.06mlの炭酸ヒドラジンを添加し、30分間撹拌を継続した。このとき、炭酸ヒドラジンの添加後130s〜160sほどで、Pd錯体の還元によるPd析出を示すスラリーの黒変と発泡が観察された。そして、上澄み液のXRF分析を行った結果、Pd錯体はすべて還元され析出したことが確認された。
そして、このようにして得られたAgPdスラリーを40mlほど採取し、遠心分離(6000rpm,10min.)によって得られた上澄みを溶液Dとした。そして、残りの大部分のAgPdスラリーを、遠心分離(6000rpm,10min.)で沈降させた後、純水40mlへの再分散と遠心分離(6000rpm,10min.)による沈降を3回繰り返すことでAgPd粉を洗浄し、未乾燥のAgPd湿潤粉を得た。次に、AgPd湿潤粉の一部に対し、アセトン40mlへの再分散と遠心分離(6000rpm,10min.)による沈降を3回繰り返すことで、AgPdに含まれる水をアセトンに置換した後、室温で1時間真空乾燥し、乳鉢で解砕することでAgPd乾燥粉を得た。
Ag粉を加えてマグネチックスターラーで撹拌した後の処理を、超音波分散から、せん断力による精密分散に変更した点を除いて、サンプル9と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。なお、せん断力による精密分散では、エム・テクニック社製の精密分散装置(クレアミックスCLM−0.8S)を用い、ローター回転速度を18000rpmに設定して10分間分散を行った。
PVPの添加量を0.80gから0.40gに減少させた点を除いて、サンプル10と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。
本サンプルでは、PVPや分散剤を添加せずに、コアシェル粒子の作製を試みた。なお、その他の条件は、サンプル9と同じ条件に設定した。
サンプル13では、後述するサンプル14、15との比較対象として、これらのサンプルで使用するAg粉のみからなる粉体材料を準備した。なお、本サンプルのAg粉は、Agアンミン錯体溶液に還元剤を加える液相合成によって生成されたものである。
サンプル14では、サンプル13と同様の手順の液相合成で生成したAg粉を使用した点と、各原料の添加量を変更した点とを除いて、サンプル9と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。
具体的には、100mlの0.17%アンモニア水に、0.655gのジアンミンジクロロパラジウム(II)と、0.20gのポリビニルピロリドンK90とを溶解させた。そして、液相合成によって得られたAg粉を3.0g加え、マグネチックスターラーで撹拌した後に超音波分散を10分間行ってスラリー状のAg分散混合液を調製した。
次に、上述のAg分散混合液をマグネチックスターラーで撹拌しながら、0.85mlの炭酸ヒドラジンを添加し、Ag分散混合液中のパラジウム錯体が全て還元されてPdが析出するように撹拌を30分間継続し、コアシェル粒子の作製を試みた。このとき、炭酸ヒドラジンを添加した後80s〜90sほどで、Pd錯体の還元によるPd析出を示すスラリーの黒変と発泡が観察された。そして、上澄み液のXRF分析によりPd錯体はすべて還元され析出したことが確認された。
このようにして得られたAgPdスラリーを、遠心分離(6000rpm,10min.)により沈降させた後、純水40mlへの再分散と遠心分離(6000rpm,10min.)による沈降を3回繰り返すことでAgPd粉を洗浄し、未乾燥のAgPd湿潤粉を得た。次に、AgPd湿潤粉の一部を採集し、アセトン40mlへの再分散と遠心分離(6000rpm,10min.)による沈降を3回繰り返すことで、AgPdに含まれる水をアセトンに置換した後、室温で1時間真空乾燥し、乳鉢で解砕することでAgPd乾燥粉を得た。
パラジウム錯体とPVPとを溶解させる溶媒を、100mlの0.17%アンモニア水から33.3mlの0.51%アンモニア水に変更したことを除いて、サンプル14と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。なお、炭酸ヒドラジン添加後130〜150sほどで、Pd錯体の還元によるPd析出を示すスラリーの黒変と発泡が観察された。
サンプル16では、PVPや分散剤を使用せずに、液相合成によってAg粉を形成した後、該Ag粉(Agコア粒子)の表面にPdシェルを被覆させてコアシェル粒子を作製した。なお、本サンプルは、上述した特許文献1(特開平8−176605号公報)の実施例7に記載の製造方法を1/10のスケールで再現したものであり、AgとPdとの重量比が30:70になるように各原料の添加量が調整されている。
具体的には、先ず、銀量1.8gに相当する塩化銀(和光純薬工業社製)を22mlの25%アンモニア水に溶解し、液温40℃に保持し、この溶液をA液とした。次に、5mlの純水に、1.13gのL−アスコルビン酸(和光純薬工業社製)と、還元剤(和光純薬工業社製の抱水ヒドラジン((NH2)2H2O 98%))を1.05g溶解し、液温40℃に保持し、この溶液をB液とした。そして、上述のA液を攪拌しながら、シリンジポンプを用いてB液を0.5分間かけて添加することによって、溶液中の銀を析出させてAg粉を生成した。
そして、得られたAg粉の懸濁液に3.0gの抱水ヒドラジンを再び加え、パラジウム量50g/lに相当する84mlのテトラアンミンジクロパラジウム(Pd(NH3)4Cl2)溶液を瞬時に加えてコアシェル粒子の作製を試みた。
テトラアンミンジクロパラジウム溶液の添加量を4mlに変更することによって、AgとPdとの重量比を90:10に調整した点を除いて、サンプル16と同じ条件でコアシェル粒子の作製を試みた。
次に、上述した各サンプルに対して行った評価試験について説明する。
還元剤を添加した後の透明容器内の撹拌中の混合液を目視で観察して、各サンプルの析出状態を評価した。そして、混合液を撹拌している間に粉体材料の目立った沈降が確認されず、かつ、粉体材料の凝集が確認できなかった場合を「評価A」とした。また、混合液の撹拌中に粉体材料の目立った沈降が確認されなかった一方で凝集が確認された場合を「評価B」とした。そして、混合液を撹拌しても沈降と凝集が確認された場合を「評価C」とした。評価結果を後述の表1に示す。
なお、この目視評価の結果、沈降と凝集が著しく生じたサンプルの一部と、析出した金属が透明容器の壁面に付着する、いわゆるミラー状の析出が生じたサンプルは、後述する各試験を実施することに意味がないと判断して評価試験を終了した。
上述の各サンプルに対して粉体材料の顕微鏡観察を行った。かかる顕微鏡観察では、日立ハイテクノロジーズ社製の電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM:Field Emission−Scanning Electron Microscope、型番S−4700)を用いた。このときに撮影したサンプル1、5、9〜17のFE−SEM写真を図1〜図11に示す。
本試験では、サンプル1、9〜15のAg粉、AdPd乾燥粉のBET測定を行った。具体的には、各サンプルを分散させた試験用分散液を、マイクロトラック・ベル社製の比表面積測定装置(型番:BELSORP−max)に供試し、−196℃におけるN2吸着等温線を測定してBET多点法に基づいてBET比表面積を求めた。そして、下記の式(2)に基づいてBET比表面積からBET粒子径(DBET)を算出した。算出結果を表2に示す。
DBET:BET粒子径
ρ :密度
s :BET比表面積
本試験では、サンプル1、9〜17のAg粉、AdPd粉を純水に超音波分散させたスラリーに対して動的光散乱法(DLS)による測定を行った。具体的には、各サンプルの試験用分散液のDLS測定を、マルバーン社製の動的光散乱測定装置(ゼータサイザーナノZS)を用いて20℃の温度環境下で実施した。解析には、キュムラント法とNNLS法とを用いた。
なお、サンプル14、15では、AdPdの乾燥粉を表2に示す各種の分散媒に再分散させたスラリー(サンプル14A〜サンプル14D、サンプル15A)のDLS測定も行った。ここで、表2中の「DMF」は、N,N−ジメチルホルムアミドを示し、「EG」はエチレングリコールを示し、「IBA」はイソボロニルアセテートを示している。
以上のDLS解析の結果を表2および図16〜図29に示す。
本試験では、サンプル9〜11のTOCを測定した。具体的には、各々の溶液Cおよび溶液Dについて、680℃燃焼酸化方式で全炭素(TC)を測定した。そして、各々の溶液にリン酸を添加し、二酸化炭素等の無機炭素(IC)を測定した。さらに、測定した全炭素(TC)から無機炭素(IC)を減算して全有機体炭素(TOC)を算出した。
そして、本試験では、溶液CのTOCと溶液DのTOCとの差の値を、Pdシェルに吸着したPVPに由来する炭素量とみなし、この炭素量から導いたPVP重量を未洗浄AgPd含有PVP量とした。算出結果を表3に示す。
本試験では、示差熱−熱重量同時測定(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を実施することによって、AgPd乾燥粉に含まれる有機物量を測定した。
具体的には、リガク社製の示差熱天秤装置(Thermo plus TG8120)を用い、20℃/minの昇温速度で室温から600℃まで加熱した後に10分間保持した。そして、概ね150℃までに減少した重量を「脱離した吸着水の重量」とみなし、150℃以降に発熱ピークと共に減少した重量を「有機物燃焼によって除去されたPVPの重量(洗浄後AgPd含有PVP量)」とみなした。測定結果を表3に示す。
さらに、本試験では、TOC解析で得られた「未洗浄AgPd含有PVP量」と、TG−DTAで得られた「洗浄後AgPd含有PVP量」との差の値を算出し、かかる算出結果を「洗浄処理によって除去されたPVPの量(AgPd弱吸着PVP量)」とみなした。かかる算出結果も合わせて表3に示す。
サンプル9〜12、14、15のAgPd乾燥粉に対して粉末X線回折(XRD:X−ray diffraction)を実施した。ここでは、リガク社製のXRD解析装置(型番:RINT−TTR III)を用い、X線をCuKα線(管電圧10kV、管電流50mA)に設定し、サンプリング幅を0.01°とすると共にスキャンスピードを2°/minに設定した。
(1)観察結果
上述した目視評価とFE−SEMとEDXによる元素マッピングの結果を下記の表1に示す。また、サンプル1、4、9〜17のFE−SEM写真を図1〜図11に示し、サンプル9、15〜17の元素マッピングの結果を図12〜図15に示す。
なお、図14および図15に示すように、サンプル16、17に対する元素マッピングの結果、これらのサンプルでは、複数のAgコア粒子を覆うようにPd元素が存在していることが確認された。このことから、サンプル16、17の粉体材料では、Agコア粒子同士がPdシェルを介した固着が生じていることが確認された。また、サンプル17においては、Pdが偏析していることも確認された。
上述したBET測定と、DLS測定の各々の解析結果を表2に示し、サンプル1、9〜11、13〜15のDLS測定の結果を図16〜図27に示す。なお、図22〜図25はサンプル14のAgPd乾燥粉を所定の分散媒に再分散させた場合(サンプル14A〜サンプル14D)のDLS測定の結果を示し、図27はサンプル15のAgPd乾燥粉を水に再分散させた場合(サンプル15A)のDLS測定の結果を示している。
なお、上述したように、本試験では、サンプル12、16、17についてもDLS測定を試みたが、沈降が速く、DLS測定を行うことができなかった。また、XRD解析によって得られたパターンを図28に示す。
また、サンプル1、9〜12のBET比表面積を比較すると、Pdシェル形成前のAg粉(サンプル1)は1.88であって、Pdシェルを形成したサンプル9〜12は1.88から低下していた。これらの中でも、サンプル9〜11は、BET比表面積の低下量が0.2以内に抑制されていたが、PVPを添加していないサンプル12ではBET比表面積の低下量が0.3と最も大きくなった。さらに、サンプル9〜11およびサンプル14、15では、DLS/BETの値が2.0以下に抑制されていた。
これらの結果を考慮すると、サンプル9〜11およびサンプル14、15のように、Pdシェルの表面にPVPを選択的に付着させることによって、Ag粒子からの粒径粗大化(凝集・連結(ネッキング))が抑制され、コアシェル粒子の粒子径がサブミクロン領域に制御された粉体材料を製造できることが確認された。
さらに、表2、図21〜図27に示す結果より、PdシェルにPVPを選択的に付着させたコアシェル粒子の乾燥粉体をDMF、EG、IBAに再分散させた場合であっても、水に分散させた場合と同様に、Z平均粒子径が0.1μm〜1.5μmの範囲内になり、PDIが0.4以下の範囲内になっていた。このことから、測定の際の分散媒を変更したとしても、当該分散媒に均一に粉体材料を分散させれば、ここで開示される粉体材料のZ平均粒子径が0.1μm〜1.5μmになり、PDIが0.4以下になることが確認された。
また、図28に示すXRD解析の結果、サンプル9〜12およびサンプル14、15の全てにおいてPdとAgのピークが確認された。また、各サンプルで明確なピークシフトは観察されなかった。
PDシェル表面に付着したPVPの状態を解析するための評価試験(TOC測定、TG−DTA)の結果を表3に示す。
これらの結果より、Ag分散混合液の状態ではAgコア粒子にPVPが付着していないが、Pd析出後の上澄み液のPVP量が減少しているため、多くのPVPがPdシェルに付着し、コアシェル粒子と共に沈殿したと解される。従って、サンプル9〜11の手順でコアシェル粒子を生成した場合、Agコア粒子にPVPが実質的に付着せず、PdシェルにPVPが選択的に付着することが分かった。
また、各サンプルに含まれている有機物を更に詳細に解析するために、Ag粉のみからなるサンプル1とサンプル13、そして、サンプル13のAg粉を用いたサンプル14についても、TG−DTA測定を行った。そして、サンプル1、9、13、14について、TG−DTA測定中の温度上昇と重量変化に関するチャートを作成した。結果を図29〜図32に示す。
Claims (11)
- 銀を主成分とするAgコア粒子と、該Agコア粒子の表面の少なくとも一部を被覆するパラジウムを主成分とするPdシェルとから構成されるコアシェル粒子であって、
前記Pdシェルの表面にポリビニルピロリドンが選択的に付着している、コアシェル粒子。 - 銀を主成分とするAgコア粒子と、該Agコア粒子の表面の少なくとも一部を被覆するパラジウムを主成分とするPdシェルとから構成されるコアシェル粒子を少なくとも含む粉体材料であって、
動的光散乱法においてキュムラント法による解析を行うことによって測定されたZ平均粒子径(DDLS)が0.1μm〜1.5μmであり、かつ、多分散指数(PDI)が0.4以下である、粉体材料。 - 銀を主成分とするAgコア粒子と、該Agコア粒子の表面の少なくとも一部を被覆するパラジウムを主成分とするPdシェルとから構成されるコアシェル粒子を少なくとも含む粉体材料であって、
動的光散乱法においてNNLS法による解析を行うことによって測定されるピーク粒径が0.1μm〜1.5μmの範囲内であって、当該ピーク粒径のピーク強度が90%以上である、粉体材料。 - 前記コアシェル粒子の含有率が90%以上である、請求項2または請求項3に記載の粉体材料。
- 前記コアシェル粒子の表面にポリビニルピロリドンが選択的に付着している、請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の粉体材料。
- BET比表面積から換算したBET粒子径(DBET)と、前記Z平均粒子径(DDLS)とが、下記の式(1)に示す関係を満たす、請求項2〜請求項5のいずれか一項に記載の粉体材料。
DDLS/DBET≦10.0 (1) - 請求項2〜請求項6のいずれか一項に記載の粉体材料を分散媒体に分散させた導電ペースト。
- 銀を主成分とするAgコア粒子と、該Agコア粒子の表面の少なくとも一部を被覆するパラジウムを主成分とするPdシェルとから構成されるコアシェル粒子を少なくとも含む粉体材料を製造する方法であって、
パラジウム錯体とポリビニルピロリドンとを溶解させた溶液に前記Agコア粒子を分散させたAg分散混合液を調製する混合液調製工程と、
前記ポリビニルピロリドンとAgコア粒子とを含む前記Ag分散混合液に還元剤を添加し、前記Agコア粒子の表面にPdシェルを析出させるPdシェル析出工程と
を備えた、粉体材料の製造方法。 - 前記還元剤が炭酸ヒドラジン、ヒドラジン、抱水ヒドラジン、フェニルヒドラジン、硫酸ヒドラジン、ヒドラジン二塩酸塩、アルキルヒドラジン、酒石酸、酒石酸塩、クエン酸、クエン酸塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、水素化ホウ素ナトリウムである、請求項8に記載の粉体材料の製造方法。
- 前記Ag分散混合液中のポリビニルピロリドンの濃度が0.1g/L〜200g/Lである、請求項8または請求項9に記載の粉体材料の製造方法。
- 前記Ag分散混合液中のAg元素とPd元素の合計含有量を100%とした場合、前記Ag元素の含有量が重量割合で70%〜99%になるように、前記パラジウム錯体と前記Agコア粒子の添加量を調整する、請求項8〜請求項10のいずれか一項に記載の粉体材料の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2018069482A JP7075262B2 (ja) | 2018-03-30 | 2018-03-30 | コアシェル粒子およびその利用 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2018069482A JP7075262B2 (ja) | 2018-03-30 | 2018-03-30 | コアシェル粒子およびその利用 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2019178404A true JP2019178404A (ja) | 2019-10-17 |
| JP7075262B2 JP7075262B2 (ja) | 2022-05-25 |
Family
ID=68277856
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2018069482A Active JP7075262B2 (ja) | 2018-03-30 | 2018-03-30 | コアシェル粒子およびその利用 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP7075262B2 (ja) |
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2020203076A1 (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | 株式会社ノリタケカンパニーリミテド | 銀パラジウム合金粉末およびその利用 |
| CN114361487A (zh) * | 2021-12-20 | 2022-04-15 | 三峡大学 | 燃料电池PdAg/AgCl合金电催化剂及应用 |
| DE112020004671T5 (de) | 2019-09-30 | 2022-06-15 | Denso Corporation | Untersetzungsgetriebe und Motor mit Untersetzungsgetriebe |
| CN117381232A (zh) * | 2023-11-03 | 2024-01-12 | 哈尔滨工业大学 | 一种微米Cu@Pd核壳与纳米Ag复合焊膏及其制备方法和应用 |
| CN117620164A (zh) * | 2023-12-28 | 2024-03-01 | 安徽壹石通材料科学研究院有限公司 | 一种镀银镍粉及其工业化制备方法与应用 |
Citations (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2005222727A (ja) * | 2004-02-03 | 2005-08-18 | Jsr Corp | 異方導電性シートの製造方法および異方導電性コネクターの製造方法 |
| JP2009221591A (ja) * | 2007-08-31 | 2009-10-01 | Dowa Electronics Materials Co Ltd | 銀粉の製造方法 |
| US20100251856A1 (en) * | 2009-04-03 | 2010-10-07 | Venugopal Santhanam | Methods for preparing metal and metal oxide nanoparticles |
| CN106914238A (zh) * | 2017-03-27 | 2017-07-04 | 中国科学技术大学 | 一种钯银双金属复合材料及其制备方法 |
-
2018
- 2018-03-30 JP JP2018069482A patent/JP7075262B2/ja active Active
Patent Citations (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2005222727A (ja) * | 2004-02-03 | 2005-08-18 | Jsr Corp | 異方導電性シートの製造方法および異方導電性コネクターの製造方法 |
| JP2009221591A (ja) * | 2007-08-31 | 2009-10-01 | Dowa Electronics Materials Co Ltd | 銀粉の製造方法 |
| US20100251856A1 (en) * | 2009-04-03 | 2010-10-07 | Venugopal Santhanam | Methods for preparing metal and metal oxide nanoparticles |
| CN106914238A (zh) * | 2017-03-27 | 2017-07-04 | 中国科学技术大学 | 一种钯银双金属复合材料及其制备方法 |
Non-Patent Citations (1)
| Title |
|---|
| 白石幸英ら: "自己組織化による高分子保護Ag/RhおよびAg/Pd二元金属ナノ粒子の生成と触媒機能", 高分子論文集, vol. 68, no. 5, JPN6021047264, 25 May 2011 (2011-05-25), JP, pages 345 - 348, ISSN: 0004698711 * |
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2020203076A1 (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | 株式会社ノリタケカンパニーリミテド | 銀パラジウム合金粉末およびその利用 |
| DE112020004671T5 (de) | 2019-09-30 | 2022-06-15 | Denso Corporation | Untersetzungsgetriebe und Motor mit Untersetzungsgetriebe |
| CN114361487A (zh) * | 2021-12-20 | 2022-04-15 | 三峡大学 | 燃料电池PdAg/AgCl合金电催化剂及应用 |
| CN114361487B (zh) * | 2021-12-20 | 2024-03-15 | 三峡大学 | 燃料电池PdAg/AgCl合金电催化剂及应用 |
| CN117381232A (zh) * | 2023-11-03 | 2024-01-12 | 哈尔滨工业大学 | 一种微米Cu@Pd核壳与纳米Ag复合焊膏及其制备方法和应用 |
| CN117620164A (zh) * | 2023-12-28 | 2024-03-01 | 安徽壹石通材料科学研究院有限公司 | 一种镀银镍粉及其工业化制备方法与应用 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP7075262B2 (ja) | 2022-05-25 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| KR101004553B1 (ko) | 미소 은 입자 함유 조성물, 그 제조방법, 미소 은 입자의 제조방법 | |
| JP7075262B2 (ja) | コアシェル粒子およびその利用 | |
| JP7329941B2 (ja) | コアシェル粒子およびその利用 | |
| TWI277469B (en) | Silver particle powder and its production method | |
| JP5377483B2 (ja) | 微小金属粒子含有組成物及びその製造方法 | |
| JP6168837B2 (ja) | 銅微粒子およびその製造方法 | |
| JPWO2018190246A1 (ja) | 銅粒子混合物及びその製造方法、銅粒子混合物分散液、銅粒子混合物含有インク、銅粒子混合物の保存方法及び銅粒子混合物の焼結方法 | |
| JP7361464B2 (ja) | AgPdコアシェル粒子およびその利用 | |
| JP4947509B2 (ja) | ニッケルスラリー及びその製造方法並びに該ニッケルスラリーを用いたニッケルペースト又はニッケルインキ | |
| JP5076753B2 (ja) | 高濃度金属ナノ粒子分散液の製造方法 | |
| JP4839689B2 (ja) | 銀超微粒子の製造方法及び銀粉末、銀超微粒子分散液 | |
| JP2009138242A (ja) | 低温焼結性銀微粉および銀塗料ならびにそれらの製造法 | |
| CN111069622A (zh) | 核壳颗粒及其利用 | |
| JP2012115860A (ja) | ハンダ粉末の製造方法及び該方法により得られたハンダ粉末 | |
| JP2020196928A (ja) | 銀被覆合金粉末、合金粉末、金属粉末の製造方法、銀被覆金属粉末の製造方法、導電性ペースト、及び導電性ペーストの製造方法 | |
| JP7065676B2 (ja) | 銀被覆金属粉末およびその製造方法、銀被覆金属粉末を含む導電性ペースト、並びに導電性ペーストを用いた導電膜の製造方法 | |
| JP2021063275A (ja) | 金属ナノインクの製造方法 | |
| JP6608378B2 (ja) | ニッケル粒子の製造方法 | |
| WO2019087530A1 (ja) | 銅ナノ粒子の製造方法 | |
| TWI331059B (en) | Method for making fine silver powder and silver particles dispersion liquid | |
| HK1092101A1 (zh) | 微粒银粉及其微粒银粉的制造方法 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210217 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20211202 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220117 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220203 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220401 |
|
| TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220421 |
|
| A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220513 |
|
| R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7075262 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
| S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
| R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
| R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |