本発明の粘着剤付き光学フィルムは、上記のとおり、偏光フィルムの片面に直接粘着剤層が設けられた構成である。以下、この粘着剤付き光学フィルムを構成する各部材について説明する。
[偏光フィルム]
偏光フィルムとは、入射する自然光から直線偏光を取り出す機能を有するフィルムであり、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向された偏光フィルムを用いることができる。偏光フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得ることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニル及びこれと共重合可能な他の単量体の共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸、オレフィン、ビニルエーテル、不飽和スルホン酸、アンモニウム基を有するアクリルアミドなどが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度、好ましくは98モル%以上である。このポリビニルアルコール系樹脂はさらに、変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用し得る。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000程度、好ましくは1,500〜5,000程度である。
かかるポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂は、公知の方法で製膜することができる。
ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムの膜厚は、特に限定されないが、例えば、1〜150μm 程度である。延伸のしやすさなども考慮すれば、その膜厚は10μm 以上であるのが好ましい。
偏光フィルムは、このようなポリビニルアルコール系樹脂の原反フィルムに対し、一軸延伸する工程、二色性色素でフィルムを染色してその二色性色素を吸着させる工程、ホウ酸水溶液でフィルムを処理する工程、及びフィルムを水洗する工程が施され、最後に乾燥されて製造される。この二色性色素としては、ヨウ素や二色性の有機染料が用いられる。
偏光フィルムの膜厚は、通常1〜30μm であるものが使用される。
[粘着剤]
本発明における粘着剤層は、アクリル樹脂を主成分とし、さらにシラン化合物を含有する粘着剤組成物から形成されるものである。
(アクリル樹脂)
粘着剤組成物に用いられるアクリル樹脂は、下式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を主成分とする重合体であることができ、一般にはさらに他の構造単位、特に極性官能基を有する単量体に由来する構造単位を含んでいる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸又はメタクリル酸のいずれでもよいことを意味し、そのほか(メタ)アクリレートなどというときの「(メタ)」も同様の趣旨である。
アクリル樹脂の主要な構造単位となる上記式(I)において、R1 は水素原子又はメチル基であり、R2 は炭素数1〜14のアルキル基又はアラルキル基、好ましくはアルキル基である。R2 で表されるアルキル基又はアラルキル基は、それぞれの基中の水素原子が炭素数1〜10のアルコキシ基によって置換されていてもよい。
式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的に、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ラウリルの如き直鎖状のアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチルの如き分枝状のアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ラウリルの如き直鎖状のメタクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソオクチルの如き分枝状のメタクリル酸アルキルエステルなどが例示される。
R2がアルコキシ基で置換されたアルキル基である場合、すなわち、R2がアルコキシアルキル基である場合の式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的に、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチルなどが例示される。R2 がアラルキル基である場合の式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的に、アクリル酸ベンジルやメタクリル酸ベンジルなどが例示される。
これらの(メタ)アクリル酸エステルは、それぞれ単独で原料に用いることができるほか、異なる複数のものを用いてもよい。なかでも、アクリル酸n−ブチルが好ましく用いられる。具体的には、アクリル樹脂を構成する全単量体のうち、アクリル酸n−ブチルが50重量%以上となるようにするのが好ましい。もちろん、アクリル酸n−ブチルに加えてそれ以外の式(I)に相当する(メタ)アクリル酸エステルを併用することもできる。
アクリル樹脂が極性官能基を有する単量体に由来する構造単位を含む場合、この極性官能基を有する単量体は、極性官能基を有する(メタ)アクリル酸系化合物であることが好ましい。単量体が有する極性官能基としては、遊離カルボキシル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基をはじめとする複素環基などを挙げることができる。
極性官能基を有する単量体の例を挙げると、アクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレートの如き遊離カルボキシル基を有する単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−又は3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートの如き水酸基を有する単量体;アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、ビニルピリジン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,5−ジヒドロフランの如き複素環基を有する単量体;アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートの如き複素環とは異なるアミノ基を有する単量体などがある。これらの極性官能基を有する単量体は、それぞれ単独で用いてもよいし、異なる複数のものを用いてもよい。
これらのなかでも、得られるアクリル樹脂の反応性を考慮すると、水酸基を有する単量体を、アクリル樹脂を構成する極性官能基含有単量体の一つとして用いるのが好ましい。
また、水酸基を有する単量体に加えて、他の極性官能基を有する単量体、例えば、遊離カルボキシル基を有する単量体を併用するのも有効である。
アクリル樹脂は、さらに芳香環を有する式(I)以外の単量体に由来する構造単位を含んでいてもよい。芳香環を有する式(I)以外の単量体としては、分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の芳香環を有する単量体であって極性官能基を有しない化合物が好ましく、好適な例として芳香環を有する(メタ)アクリル酸系化合物を挙げることができる。かかる芳香環を有する(メタ)アクリル酸系化合物には、アクリル酸ベンジル、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレートなども含まれるが、特に式(II)で示されるフェノキシエチル基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
式中、R3は水素原子又はメチル基を表し、nは1〜8の整数を表し、R4は水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアリール基を表す。R4 がアルキル基である場合、その炭素数は1〜9程度であることができ、同じくアラルキル基である場合、その炭素数は7〜11程度、またアリール基である場合、その炭素数は6〜10程度であることができる。
式(II)中のR4を構成する炭素数1〜9のアルキル基としては、メチル、ブチル、ノニルなどが、炭素数7〜11のアラルキル基としては、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチルなどが、そして炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル、トリル、ナフチルなどが、それぞれ挙げられる。
式(II)で示されるフェノキシエチル基含有(メタ)アクリル酸エステルの具体例を挙げると、(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−フェノキシエトキシ)エチル、エチレンオキサイド変性ノニルフェノールの(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸2−(o−フェニルフェノキシ)エチルなどがある。これらのフェノキシエチル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、それぞれ単独で用いてもよいし、異なる複数のものを組み合せて用いてもよい。これらのなかでも特に、(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチル又は(メタ)アクリル酸2−(2―フェノキシエトキシ)エチルを、アクリル樹脂(A)を構成する芳香環を有する不飽和単量体(a2)の一つとして用いるのが好ましい。
粘着剤組成物に主成分として含有されるアクリル樹脂は、その固形分全体量を基準に、前記式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を、通常60〜99.9 重量%、好ましくは80〜99.6 重量%の割合で含有し、極性官能基を有する単量体に由来する構造単位を、通常 0.1〜20重量%好ましくは 0.4〜10重量%の割合で含有し、また芳香環を有する式(I)以外の単量体に由来する構造単位を通常0〜40重量%、好ましくは6〜12重量%の割合で含有している。
本発明に使用されるアクリル樹脂は、上で説明した式(I)の(メタ)アクリル酸エステル、極性官能基を有する単量体及び芳香環を有する式(I)以外の単量体のほかに、それら以外の単量体に由来する構造単位を含んでいてもよい。その例としては、分子内に脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位、スチレン系単量体に由来する構造単位、ビニル系単量体に由来する構造単位、分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有する単量体に由来する構造単位、(メタ)アクリルアミド誘導体に由来する構造単位などを挙げることができる。
脂環式構造とは、炭素数が、通常5以上、好ましくは5〜7程度のシクロパラフィン構造である。脂環式構造を有するアクリル酸エステルの具体例としては、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸シクロドデシル、アクリル酸メチルシクロヘキシル、アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸tert−ブチルシクロヘキシル、α−エトキシアクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシルフェニルなどが挙げられ、脂環式構造を有するメタクリル酸エステルの具体例としては、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸シクロドデシル、メタクリル酸メチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸tert−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシルフェニルなどが挙げられる。
スチレン系単量体としては、スチレンのほか、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレンの如きアルキルスチレン;フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレンの如きハロゲン化スチレン;さらに、ニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。
ビニル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニルの如き脂肪酸ビニルエステル;塩化ビニルや臭化ビニルの如きハロゲン化ビニル;塩化ビニリデンの如きハロゲン化ビニリデン;ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾールの如き含窒素芳香族ビニル;ブタジエン、イソプレン、クロロプレンの如き共役ジエン単量体;さらには、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどを挙げることができる。
分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有する単量体としては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、 テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの如き、分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの如き、分子内に3個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体などを挙げることができる。
(メタ)アクリルアミド誘導体としては、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(5−ヒドロキシペンチル)(メタ)アクリルアミド、N−(6−ヒドロキシヘキシル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリルアミド、N−〔2−(2−オキソ−1−イミダゾリジニル)エチル〕(メタ)アクリルアミド、2−アクリロイルアミノ−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、N−(メトキシメチル)アクリルアミド、N−(エトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(プロポキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(1−メチルエトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(1−メチルプロポキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−メチルプロポキシメチル)(メタ)アクリルアミド〔別名 N−(イソブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド〕、N−(ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチルエトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−エトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−プロポキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−〔2−(1−メチルエトキシ)エチル〕(メタ)アクリルアミド、N−〔2−(1−メチルプロポキシ)エチル〕(メタ)アクリルアミド、N−〔2−(2−メチルプロポキシ)エチル〕(メタ)アクリルアミド〔別名 N−(2−イソブトキシエチル)(メタ)アクリルアミド〕、N−(2−ブトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)エチル〕(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらのなかでも特に、N−(メトキシメチル)アクリルアミド、N−(エトキシメチル)アクリルアミド、N−(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、又はN−(2−メチルプロポキシメチル)アクリルアミドが好ましく用いられる。
これらの単量体は、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
粘着剤に使用されるアクリル樹脂において、式(I)の(メタ)アクリル酸エステル、芳香環を有する式(I)以外の単量体及び極性官能基を有する単量体に該当しない、これら以外の単量体に由来する構造単位は、その樹脂の固形分全体の量を基準に、通常0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%の割合で含有される。
粘着剤組成物の樹脂成分は、以上に説明した、式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を主成分とし、極性官能基を有する単量体に由来する構造単位を含み、さらに芳香環を有する式(I)以外の単量体に由来する構造単位を任意で含むようなアクリル樹脂を2種類以上含むものであってもよい。さらに、このアクリル樹脂とそれとは異なるアクリル樹脂、具体的には例えば、式(I)の(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を有し、かつ極性官能基を有さないアクリル樹脂などを混合したものであってもよい。式(I)の(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を主成分とし、極性官能基を有する単量体に由来する構造単位を含み、さらに芳香環を有する式(I)以外の単量体に由来する構造単位を任意で含むようなアクリル樹脂は、粘着剤組成物の主成分であり、アクリル樹脂全体のうち、60重量%以上、さらには80重量%以上とするのが好ましい。
上記した粘着剤組成物の主成分となるアクリル樹脂は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw )が50万〜200万の範囲にあることが好ましい。換算重量平均分子量が50万以上であると、高湿熱の環境下における接着性が向上し、ガラス基板と粘着剤層との間に浮きや剥れの発生する可能性が低くなる傾向にあり、しかもリワーク性が向上する傾向にあることから好ましい。また、重量平均分子量が200万以下であると、その粘着剤層を光学フィルムに貼合した場合に光学フィルムの寸法が変化しても、その寸法変化に粘着剤層が追随して変動するので、液晶セルの周縁部の明るさと中心部の明るさとの間に差がなくなり、白抜けや色ムラが抑制される傾向にあることから好ましい。重量平均分子量(Mw )と数平均分子量(Mn )の比(Mw/Mn)で表される分子量分布は、通常2〜10程度の範囲にある。
アクリル樹脂は、上記のような比較的高分子量のものだけで構成することもできるし、かかるアクリル樹脂に加え、それとは異なるアクリル樹脂との混合物で構成することもできる。混合して使用しうるアクリル樹脂としては、例えば、前記式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を主成分とし、重量平均分子量が5万〜30万の範囲にあるものを挙げることができる。
アクリル樹脂(2種類以上を組み合わせる場合はそれらの混合物)は、それを酢酸エチルに溶かして濃度20重量%に調整した溶液が、25℃において20Pa・s以下、さらには 0.1〜7Pa・sの粘度を示すことが好ましい。このときの粘度が20Pa・s以下であると、高湿熱環境下での接着性が向上し、ガラス基板と粘着剤層との間に浮きや剥れの発生する可能性が低くなる傾向にあり、しかもリワーク性が向上する傾向にあることから好ましい。粘度は、ブルックフィールド粘度計によって測定できる。
また、アクリル樹脂は、粘着性発現の観点から、そのガラス転移温度が−10〜−60℃の範囲にあることが好ましい。樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
粘着剤組成物を構成するアクリル樹脂は、例えば、溶液重合法、塊状重合法及び懸濁重合法や乳化重合法のような水を媒体とした重合方法など、公知の各種方法によって製造することができる。このアクリル樹脂の製造においては、通常、重合開始剤が用いられる。
重合開始剤は、アクリル樹脂の製造に用いられる全ての単量体の合計100重量部に対して、 0.001〜5重量部程度使用される。また、アクリル樹脂は、例えば紫外線などの活性エネルギー線によって重合を進行させる方法により製造してもよい。
重合開始剤としては、熱重合開始剤や光重合開始剤などが用いられる。光重合開始剤として、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトンなどを挙げることができる。熱重合開始剤として、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2′−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)の如きアゾ系化合物;ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジプロピルパーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシピバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイドの如き有機過酸化物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素の如き無機過酸化物などを挙げることができる。また、過酸化物と還元剤を併用したレドックス系開始剤なども、重合開始剤として使用しうる。
アクリル樹脂の製造方法としては、上に示した方法のなかでも溶液重合法が好ましい。
溶液重合法の具体例を挙げて説明すると、所望の単量体及び有機溶媒を混合し、窒素雰囲気下にて、熱重合開始剤を添加して、40〜90℃程度、好ましくは60〜80℃程度にて3〜10時間程度攪拌する方法などを挙げることができる。また、反応を制御するために、単量体や熱重合開始剤を重合中に連続的又は間歇的に添加したり、有機溶媒に溶解した状態で添加したりしてもよい。ここで、有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルの如きエステル類;プロピルアルコール、イソプロピルアルコールの如き脂肪族アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンの如きケトン類などを用いることができる。
(シラン化合物)
本発明における粘着剤組成物は、前記したアクリル樹脂に加え、シラン化合物を含有する。これにより、本発明の粘着剤付き光学フィルムを液晶セル等のガラス基板に貼合したとき、粘着剤層とガラス基板との密着性を向上させることができる。シラン化合物は、架橋剤を配合する前のアクリル樹脂に含有させておいてもよい。
上記のシラン化合物は、分子内に少なくとも1つのアルコキシシリル基を有する化合物である。本発明では、シラン化合物として、耐久試験における光学性能の劣化を抑制する観点から、分子内にエポキシ基又は一級アミノ基を含まないものを採用する。
分子内に少なくとも1つのアルコキシシリル基を有する化合物としては、例えば、下式(III )で表されるものが挙げられる。
上記式(III)において、R5は炭素数1〜7のアルキレン基を表すか、又はそのアルキレン基を構成する少なくとも一つのメチレン基が、−NH−、−O−、−CO−、及び−S−から選ばれる少なくとも一種以上の基で置換された基を表す。R6 は炭素数1〜3のアルキル基を、R7 は炭素数1〜3のアルキル基をそれぞれ表す。ここで、nは0〜2の整数を表す。また上記式(III )におけるXは、メルカプト基、ビニル基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、酸無水物構造、又はハロゲンを表す。
上記式(III )に該当する化合物の具体的例を挙げると、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−トリメトキシリルプロピルコハク酸無水物、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどがある。
また、シラン化合物としては、上記式(III )に該当する化合物のほかに、S−4,5−ジヒドロチアゾール−2−イル N−3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモチオエート、1−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)−3−(ピリジン−2−イル)ウレアなども用いることができる。
さらに、下式(IV)のように、分子内に2つ以上のアルコキシシリル基を有する化合物を用いることもできる。
上記式(IV)において、R8 は炭素数1〜7のアルキレン基を表すか、又はこのアルキレン基を構成する少なくとも一つのメチレン基が、−NH−、−O−、−CO−、及び−S−から選ばれる少なくとも一種以上の基で置換された基を表す。またR9 は炭素数1〜3のアルキル基を、R10は炭素数1〜3のアルキル基をそれぞれ表し、nは0〜2の整数を表す。
式(IV)に該当する化合物の具体的例を挙げると、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス(3−トリエトキシシリル)プロピルイソシアヌレートなどがある。
本発明で用いるシラン化合物は、シリコーンオリゴマータイプのものであってもよい。
オリゴマータイプのものでも、やはり分子内にエポキシ基又は第一級アミノ基を有さないものが好ましい。シリコーンオリゴマーを(モノマー)−(モノマー)コポリマーの形式で示すと、例えば次のようなものを挙げることができる。
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー
等の、メルカプトプロピル基含有のコポリマー;
メルカプトメチルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
メルカプトメチルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
メルカプトメチルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
メルカプトメチルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー
等の、メルカプトメチル基含有のコポリマー;
3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー
等の、メタクリロイルオキシプロピル基含有のコポリマー;
3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー
等の、アクリロイルオキシプロピル基含有のコポリマー;
ビニルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
ビニルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
ビニルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
ビニルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
ビニルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
ビニルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
ビニルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
ビニルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー
等の、ビニル基含有のコポリマー;
上記したシラン化合物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
これらのシラン化合物は、多くの場合、液体である。粘着剤組成物におけるシラン化合物の配合量は、アクリル樹脂の固形分100重量部(2種以上用いる場合はそれらの合計)に対し、通常0.01〜10重量部程度であり、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは 0.1〜1重量部の割合で使用される。シラン化合物の配合量が 0.01重量部以上であると、粘着剤層とガラス基板との密着性が向上することから好ましい。また、その配合量が10重量部以下であると、粘着剤層からシラン化合物がブリードアウトすることが抑制される傾向にあることから好ましい。
(帯電防止剤)
本発明では、粘着剤層に導電性を付与し、粘着剤付き光学フィルムの帯電防止性を高める目的で、アクリル樹脂及びシラン化合物に加えて帯電防止剤を含有する粘着剤組成物をさらに配合してもよい。この帯電防止剤としては、無機カチオンを有する帯電防止剤を用いることが好ましい。
上記の無機カチオンとしては、例えば、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンなどを挙げることができる。カチオン成分となり得るアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。またアルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウムなどが挙げられる。なかでも、アルカリ金属が好ましく、リチウム、カリウムがより好ましく、カリウムがさらに好ましい。
帯電防止剤を構成するアニオン成分は、有機のアニオンでもよいし、無機のアニオンでもよい。無機のアニオンとしては、例えば、クロライドアニオン〔Cl-〕、 ブロマイドアニオン〔Br-〕、ヨーダイドアニオン〔I-〕、テトラクロロアルミネートアニオン〔AlCl4 -〕、ヘプタクロロジアルミネートアニオン〔Al2Cl7 -〕、 テトラフルオロボレートアニオン〔BF4 -〕、ヘキサフルオロホスフェートアニオン〔PF6 -〕、パークロレートアニオン〔ClO4 -〕、ナイトレートアニオン〔NO3 -〕、ヘキサフルオロアーセネートアニオン〔AsF6 -〕、ヘキサフルオロアンチモネートアニオン〔SbF6 -〕、ヘキサフルオロニオベートアニオン〔NbF6 -〕、ヘキサフルオロタンタレートアニオン〔TaF6 -〕、ジシアナミドアニオン〔(CN)2N-〕などが挙げられる。
また、有機のアニオンとしては、例えば、アセテートアニオン〔CH3COO-〕、トリフルオロアセテートアニオン〔CF3COO-〕、 メタンスルホネートアニオン〔CH3SO3 -〕、 トリフルオロメタンスルホネートアニオン〔CF3SO3 -〕、p−トルエンスルホネートアニオン〔p−CH3C6H4SO3 -〕、 ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン〔(FSO2)2N-〕、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン〔(CF3SO2)2N-〕、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタニドアニオン〔(CF3SO2)3C-〕、ジメチルホスフィネートアニオン〔(CH3)2POO-〕、 (ポリ)ハイドロフルオロフルオライドアニオン〔F(HF)n - nは1〜3程度〕、チオシアンアニオン〔SCN-〕、 パーフルオロブタンスルホネートアニオン〔C4F9SO3 -〕、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドアニオン〔(C2F5SO2)2N-〕、 パーフルオロブタノエートアニオン〔C3F7COO-〕、 (トリフルオロメタンスルホニル)(トリフルオロメタンカルボニル)イミドアニオン〔(CF3SO2)(CF3CO)N-〕、パーフルオロプロパン−1,3−ジスルホネートアニオン〔-O3S(CF2)3SO3 -〕、カーボネートアニオン〔CO3 2-〕などが挙げられる。
これらのなかでも特に、フッ素原子を含むアニオン成分は、帯電防止性能に優れる帯電防止剤を与えることから好ましく用いられ、例えば、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを用いるのが好ましい。とりわけ、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを用いるのが好ましい。
本発明に用いられる帯電防止剤の具体例は、上記のカチオン成分とアニオン成分の組合せから適宜選択することができる。この具体的な化合物としては、次のようなものが挙げられる。
・リチウム塩:
リチウム ヘキサフルオロホスフェート、
リチウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、
リチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
リチウム p−トルエンスルホネートなど。
・ナトリウム塩:
ナトリウム ヘキサフルオロホスフェート、
ナトリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、
ナトリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
ナトリウム p−トルエンスルホネートなど。
・カリウム塩:
カリウム ヘキサフルオロホスフェート、
カリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、
カリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
カリウム p−トルエンスルホネートなど。
このような帯電防止剤は、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。帯電防止剤は、もちろん上に例挙した物質に限られるわけではない。
帯電防止剤は、前記したアクリル樹脂の固形分100重量部(2種以上用いる場合はそれらの合計)に対し、通常0.2〜8重量部の割合で配合される。帯電防止剤が0.2重量部以上配合されると、帯電防止性能が向上することから好ましく、またその量が8重量部以下であると、耐久性を保つのが容易であることから好ましい。帯電防止剤の配合割合は、好ましくは0.5重量部以上、また3重量部以下である。
本発明においては、アクリル樹脂及びシラン化合物に加えて帯電防止剤を配合させることにより、粘着剤層に導電性が付与され、粘着剤付き光学フィルムは帯電防止性に優れたものとなる。したがって、このような粘着剤付き光学フィルムを適用した光学積層体は、薄型軽量性に優れるとともに、良好な帯電防止性を有し、さらには耐久性に優れたものとなる。
(架橋剤)
本発明における粘着剤組成物は、上記したアクリル樹脂、シラン化合物及び帯電防止剤に加え、架橋剤を含有していてもよい。この架橋剤は、アクリル樹脂中の、特に極性官能基を有する単量体に由来する構造単位と架橋し得る官能基を分子内に少なくとも2個有する化合物である。具体的には、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、金属キレート系化合物などが例示される。
架橋剤として用いるイソシアネート系化合物は、分子内に少なくとも2個のイソシアナト基(−NCO)を有する化合物である。具体的な化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどが挙げられる。また、これらのイソシアネート化合物に、グリセロールやトリメチロールプロパンなどのポリオールを反応せしめたアダクト体や、イソシアネート化合物を二量体、三量体等にしたものも、粘着剤に用いられる架橋剤となりうる。2種以上のイソシアネート系化合物を混合して用いることもできる。
架橋剤として用いるエポキシ系化合物は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物である。具体的な化合物としては、例えば、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N′−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。2種以上のエポキシ系化合物を混合して用いることもできる。
架橋剤として用いるアジリジン系化合物は、エチレンイミンとも呼ばれる1個の窒素原子と2個の炭素原子とからなる3員環の骨格を分子内に少なくとも2個有する化合物である。具体的な化合物として、例えば、ジフェニルメタン−4,4′−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、イソフタロイルビス−1−(2−メチルアジリジン)、トリス−1−アジリジニルホスフィンオキサイド、ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリメチロールプロパン−トリス−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリス−β−アジリジニルプロピオネートなどが挙げられる。
架橋剤として用いる金属キレート化合物としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム及びジルコニウム等の多価金属に、アセチルアセトンやアセト酢酸エチルが配位した化合物などが挙げられる。
これらの架橋剤のなかでも、イソシアネート系化合物、とりわけキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート若しくはヘキサメチレンジイソシアネート、又はこれらのイソシアネート化合物を、グリセロールやトリメチロールプロパンなどのポリオールに反応せしめたアダクト体や、イソシアネート化合物を二量体、三量体等にしたものの混合物、これらのイソシアネート系化合物を混合したものなどが、好ましく用いられる。好適なイソシアネート系化合物として、トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートをポリオールに反応せしめたアダクト体、トリレンジイソシアネートの二量体、及びトリレンジイソシアネートの三量体、また、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートをポリオールに反応せしめたアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートの二量体、及びヘキサメチレンジイソシアネートの三量体が挙げられる。
架橋剤は、アクリル樹脂100重量部(2種以上用いる場合はそれらの合計)に対し、通常0.1〜 1重量部の割合で配合される。架橋剤の配合量が 0.1重量部以上であると粘着剤層の耐久性が向上する傾向にあることから好ましく、また1重量部以下であると粘着剤付き樹脂フィルムを液晶表示装置に適用したときの白ヌケが目立たなくなることから好ましい。
(粘着剤組成物を構成するその他の成分)
以上説明した粘着剤組成物は、さらに架橋触媒、耐候安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機フィラー、アクリル樹脂以外の樹脂などを含有することができる。そのほか、粘着剤組成物に紫外線硬化性化合物を配合し、粘着剤層を形成した後に紫外線を照射して硬化させ、より硬い粘着剤層とするのも有用である。
粘着剤組成物が、架橋剤とともに架橋触媒を含有する場合、粘着剤層を短時間の熟成で調製することができる。得られる粘着剤付き樹脂フィルムは、樹脂フィルムと粘着剤層との間に浮きや剥れが発生したり粘着剤層内で発泡が起こったりすることを抑制でき、またリワーク性も一層良好になることがある。架橋触媒としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、トリメチレンジアミン、ポリアミノ樹脂及びメラミン樹脂等のアミン系化合物などを挙げることができる。粘着剤組成物に架橋触媒としてアミン系化合物を配合する場合、架橋剤としてはイソシアネート系化合物が好適である。
粘着剤組成物を構成するこれらの各成分は、溶剤に溶かした状態で混合されて粘着剤組成物とされ、適当な基材フィルム上に塗布し、乾燥させて粘着剤層とされる。ここで用いる基材フィルムは、プラスチックフィルムであるのが一般的であり、その典型的な例として離型処理が施された剥離フィルムを挙げることができる。剥離フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアレートなどの各種樹脂からなるフィルムの粘着剤が形成される面に、シリコーン処理などの離型処理が施されたものなどであることができる。
[粘着剤付き光学フィルム]
本発明の粘着剤付き光学フィルムは、その偏光フィルムの厚さと粘着剤層の厚さとの和が55μm 以下となる。これにより、例えば、この粘着剤付き光学フィルムをガラス基板に適用した光学積層体が薄型軽量となり、また優れた耐久性を備えるものとなる。
偏光フィルムの厚さは、30μm以下であるのが好ましく、また1μm以上であるのが好ましく、3〜25μmであるのがさらに好ましい。偏光フィルムの厚さが30μm以下であると、高温環境下での偏光フィルムの収縮が抑制されるため、偏光フィルムと粘着剤層との間や、粘着剤層とガラス基板との間に浮きや剥れの発生する可能性が低くなる傾向にある。またその厚さが1μm 以上であると、偏光フィルムのハンドリング性が向上する傾向にある。偏光フィルムは、その厚さが薄くなるほど、粘着剤層に含まれる帯電防止剤やシラン化合物の影響を受けやすく、耐久試験において光学性能の劣化が生じやすい傾向にある。本発明における粘着剤層によれば、このように薄い偏光フィルムを用いた場合でも、光学耐久性に優れたものとなる。
また、粘着剤層の厚さは、45μm以下であるのが好ましく、また10μm以上であるのが好ましく、10〜25μmであるのがさらに好ましい。粘着剤層の厚さが45μm以下であると、高湿熱環境下での接着性が向上し、ガラス基板と粘着剤層との間に浮きや剥れの発生する可能性が低くなる傾向にあり、しかもリワーク性が向上する傾向にあることから好ましい。またその厚さが10μm 以上であると、粘着剤層に貼合されている光学フィルムの寸法が変化しても、その寸法変化に粘着剤層が追随して変動するので液晶セルの周縁部の明るさと中心部の明るさとの間に差がなくなり、白抜けや色ムラが抑制される傾向にある。
偏光フィルムへの粘着剤層の形成は、例えば、前記の剥離フィルムの上に、先に説明した粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を形成し、得られた粘着剤層にさらに偏光フィルムを積層する方法、偏光フィルムの上に粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を形成し、その粘着剤面に剥離フィルムを貼り合わせる方法などにより行うことができる。この剥離フィルムは、粘着剤層の表面を保護するために、使用時まで粘着剤層の表面に貼りあわせておくことが好ましい。
本発明の粘着剤付き光学フィルムは、偏光フィルムの粘着剤層とは反対側の面に後述する保護フィルムを備えた状態で、その粘着剤層から剥離フィルムを剥がして露出する粘着剤層を介して無アルカリガラスに積層して積層体とし、これを温度80℃、相対湿度90%の湿熱環境下に24時間置き、さらに温度23℃、相対湿度60%の環境下に24時間置く耐久試験を行ったときの偏光度変化量(ΔPy)が−1〜0ポイントの範囲内にあり、またこのときの単体透過率変化量(ΔTy)が2ポイント以下とすることができる。偏光度及び単体透過率の変化量が大きいと、偏光板が外観不良となる傾向にある。また、このような偏光板を液晶表示装置に適用すると、コントラストの低下などの問題が発生する可能性がある。したがって、耐久試験の前後におけるこれらの変化量は、小さい方が好ましい。
上記の光学特性は、耐久試験の前後における視感度補正単体透過率(Ty)及び視感度補正偏光度(Py)の差を算出することにより求めることができる。感度補正単体透過率(Ty)及び視感度補正偏光度(Py)は、積分球付き分光光度計を用いて視波長380〜780nmの範囲においてMD透過率とTD透過率を測定し、下式(1)及び(2)に基づいて各波長における単体透過率及び偏光度を求め、さらに JIS Z 8701:1999「色の表示方法−XYZ表色系及びX10Y10Z10表色系」の2度視野(C光源)により視感度補正を行うことにより求めることができる。なお、「MD透過率」とは、グラントムソンプリズムから出る偏光の向きと偏光板サンプルの透過軸とを平行にしたときの透過率であり、下式(1)及び(2)においては「MD」と表す。また、「TD透過率」とは、グラントムソンプリズムから出る偏光の向きと偏光板サンプルの透過軸とを直交にしたときの透過率であり、式(1)及び(2)においては「TD」と表す。
単体透過率(%)=(MD+TD)/2 ・・式(1)
偏光度(%)={(MD−TD)/(MD+TD)}×100 ・・式(2)
[保護フィルム]
本発明の粘着剤付き光学フィルムは、その偏光フィルムの粘着剤層が形成される面とは反対側の面に、保護フィルムが積層されていることが好ましい。この保護フィルムとしては、透明な樹脂フィルムが用いられる。保護フィルムを構成する透明樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースに代表されるセルロース系樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリスルホン樹脂などを挙げることができる。保護フィルムを構成する透明樹脂には、通常の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、有機系染料、顔料、無機系色素、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、滑剤、分散剤、熱安定剤などを含有させてもよい。なかでも、紫外線吸収剤は、耐候性を高めるうえで好ましく用いられ、その例を挙げると、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などがある。保護フィルムとしては、トリアセチルセルロースフィルム等のセルロース系樹脂フィルム及びアクリル樹脂フィルムが好適に用いられる。
セルロース系樹脂フィルムとは、セルロースの部分又は完全エステル化物から形成されるフィルムであり、例えば、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、それらの混合エステルなどから形成されるフィルムが挙げられる。なかでも、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルムなどが好ましく用いられる。
セルロース系樹脂フィルムは、市販品を容易に入手することが可能であり、例えば、それぞれ商品名で、富士フイルム(株)から販売されている“フジタックTD”、コニカミノルタオプト(株)から販売されている“コニカミノルタTACフィルムKC”などがある。
アクリル樹脂フィルムは、メタクリル系樹脂及び必要に応じて添加される添加剤などを混合し、溶融混練して得られるアクリル樹脂から形成されるフィルムである。メタクリル系樹脂とは、メタクリル酸エステルを主体とする重合体である。メタクリル系樹脂は、1種類のメタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステルと他のメタクリル酸エステルやアクリル酸エステルなどとの共重合体であってもよい。メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル及びメタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜4程度である。また、メタクリル酸エステルと共重合し得るアクリル酸エステルとしては、アクリル酸アルキルが好ましく、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8程度である。これらのほか、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも1個有する化合物であるスチレンのような芳香族ビニル化合物や、アクリロニトリルのようなビニルシアン化合物などを共重合体中に含んでいてもよい。
アクリル樹脂は、フィルムの耐久性を高め得ることから、高分子主鎖に環構造を有していてもよい。環構造は、環状酸無水物構造、環状イミド構造及びラクトン環構造等の複素環構造であることが好ましい。具体的には、無水グルタル酸構造及び無水コハク酸構造等の環状酸無水物構造、グルタルイミド構造及びコハクイミド構造等の環状イミド構造、ブチロラクトン及びバレロラクトン等のラクトン環構造が挙げられる。
アクリル樹脂フィルムは、フィルムの耐衝撃性や製膜性の観点から、アクリルゴム粒子を含有することが好ましい。アクリル樹脂に含まれ得るアクリルゴム粒子の量は、アクリル樹脂100重量%に対し、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。アクリルゴム粒子の量の上限は臨界的ではないが、アクリルゴム粒子の量があまり多いと、フィルムの表面硬度が低下し、またフィルムに表面処理を施す場合、表面処理剤中の有機溶剤に対する耐溶剤性が低下する。したがって、アクリル樹脂に含まれ得るアクリルゴム粒子の量は、80重量%以下であることが好ましく、より好ましくは60重量%以下である。
以上に説明した保護フィルムの厚さは、特に制限されないが、通常1〜100μm である。フィルムの厚さは、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは 5μm以上であり、また好ましくは 80μm以下、より好ましくは 50μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。
上記の保護フィルムが積層された粘着剤付き光学フィルムを液晶セルの視認側に配置する場合、保護フィルムには、その偏光フィルムと接する面の反対側に、必要に応じて表面処理層を設けてもよい。表面処理層としては、例えば、ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層などであることができる。これらのうち、複数の層を設けることも可能である。
また、この保護フィルムが積層された粘着剤付き光学フィルムを液晶セルの背面側に配置する場合、保護フィルムには、上記した表面処理層を設ける代わりに、輝度向上フィルム、集光フィルム、拡散フィルムなど、液晶セルの背面側に配置されることが知られている各種光学フィルムを設けることも可能である。
上記の保護フィルムと偏光フィルムとを接着させる方法には、特に制限はなく、公知の接着剤又は粘着剤を使用することができる。接着剤としては、例えば、水溶液又は水分散液で構成され、溶剤である水を蒸発させることによって接着力を発現する水系接着剤、紫外線の如き活性エネルギー線の照射によって硬化し、接着力を発現する活性エネルギー線硬化型接着剤などを挙げることができる。粘着剤としては、一般的なアクリル系粘着剤が挙げられるが、もちろん、本発明の粘着剤を用いてもよい。
[光学積層体]
本発明の光学積層体は、粘着剤付き光学フィルムを液晶セルなどに積層させたものである。粘着剤付き光学フィルムをガラス基板に積層するには、例えば、上記のようにして得られる粘着剤付き光学フィルムから剥離フィルムを剥がし、露出した粘着剤層をガラス基板の表面に貼り合わせればよい。ここで、ガラス基板としては、例えば、液晶セルのガラス基板、防眩用ガラス、サングラス用ガラスなどを挙げることができる。なかでも、液晶セルの前面側(視認側)のガラス基板に粘着剤層を介して粘着剤付き光学フィルム(上偏光板)を積層し、液晶セルの背面側のガラス基板に粘着剤層を介して別の粘着剤付き光学フィルム(下偏光板)を積層してなる光学積層体は、液晶表示装置として使用しうることから好ましい。ガラス基板の材料としては、例えば、ソーダライムガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラスなどが挙げられる。
本発明の光学積層体は、液晶表示装置に好適に用いることができる。このような液晶表示装置は、例えば、ノート型、デスクトップ型、PDA(Personal Digital Assistant)などを包含するパーソナルコンピュータ用液晶ディスプレイ、テレビ、車載用ディスプレイ、電子辞書、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、電子卓上計算機、時計などに用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、使用量ないし含有量を表す部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
以下の例において、重量平均分子量は、GPC装置にカラムとして、東ソー(株)製の“TSKgel XL”を4本、及び昭和電工(株)製で昭光通商(株)が販売する“Shodex GPC KF-802”を1本の計5本を直列につないで配置し、溶出液としてテトラヒドロフランを用い、試料濃度5mg/mL、試料導入量100μL 、温度40℃、流速1mL/分の条件で、標準ポリスチレン換算により測定した値である。
まず、粘着剤組成物の主成分となるアクリル樹脂を製造した重合例を示す。
[重合例1]
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた反応容器に、酢酸エチル 81.8部、アクリル酸ブチル60部、アクリル酸メチル 28.0部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル4.0部、及びアクリル酸2−(2―フェノキシエトキシ)エチル8.0部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に上げた。
その後、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤) 0.14部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。開始剤の添加後1時間この温度で保持し、次に内温を54〜56℃に保ちながら、添加速度17.3部/hr で酢酸エチルを反応容器内へ連続的に加えてアクリル樹脂の濃度が35%となった時点で酢酸エチルの添加を止め、さらに酢酸エチルの添加開始から12時間経過するまでこの温度で保温した。最後に酢酸エチルを加え、アクリル樹脂の濃度が20%となるように調節し、アクリル樹脂の酢酸エチル溶液を調製した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mw が130万、分子量分布Mw/Mnが4.2であった。
次に、上で製造したアクリル樹脂を用いて粘着剤組成物を調製し、これから形成される粘着剤層を偏光フィルムの片面に設けて粘着剤付き偏光フィルムを製造した実施例及び比較例を示す。以下の例では、架橋剤、帯電防止剤及びシラン化合物として、それぞれ次のものを用いた。
〈架橋剤〉
タケネートD-110N:キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物の酢酸エチル溶液(固形分濃度75%)、三井化学(株)から入手。以下、「D110N」 と表示する。
〈帯電防止剤〉
K-FSI:カリウム N,N−ビス(フルオロスルホニル)イミド(固体)、三菱マテリアル電子化成(株)から入手。以下、「KSFI」と表示する。
〈シラン化合物〉
X-41-1818 :シリコーンアルコキシオリゴマー(液体)、信越化学工業(株)から入手。以下、「X-41-1818」 と表示する。
X-12-965 :トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(液体)、信越化学工業(株)から入手。以下、「X-12-965」と表示する。
X-12-967C :3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(液体)、信越化学工業(株)から入手。以下、「X-12-967C」 と表示する。
KBM-802 :3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(液体)、信越化学工業(株)から入手。以下、「KBM-802」と表示する。
KBM-403 :3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(液体)、信越化学工業(株)から入手。以下、「KBM-403」と表示する。
KBM-602 :N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(液体)、信越化学工業(株)から入手。以下、「KBM-602」 と表示する。
[実施例1〜4、比較例1及び2]
(a)粘着剤組成物の調製
重合例1で得たアクリル樹脂の濃度が20%酢酸エチル溶液を用い、それぞれの固形分100部に対し、上記の帯電防止剤を表2に示すそれぞれの量、上記の架橋剤を表2に示すそれぞれの量、及び上記のシラン化合物を表2に示すそれぞれの量混合し、さらに固形分濃度が13%となるように酢酸エチルを添加して粘着剤組成物をそれぞれ調製した。なお、架橋剤は、酢酸エチル溶液で入手したが、表2に示す添加量はその固形分量である。
(b)粘着剤シートの作製
上記(a)で調製したそれぞれの粘着剤組成物を、離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム〔リンテック(株)から入手した商品名“T204”、セパレーターと呼ぶ〕の離型処理面に、アプリケーターを用いて乾燥後の厚さが20μm となるように塗布し、100℃で1分間乾燥して粘着剤シートを作製した。
(c)偏光フィルムの作製
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ30μmのポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約4倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、40℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が 0.05/10/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が8.5/7.5/100の水溶液に68℃で300秒間浸漬した。引き続き、10℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥して、一軸延伸されたポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向している偏光フィルムを作製した。偏光フィルムの厚さは 11μmであった。
(d)粘着剤付き偏光板の作製
上記(c)で作製した偏光フィルムの片面に、厚さ25μmのトリアセチルセルロースフィルムからなる透明保護フィルム〔コニカミノルタオプト(株)社の商品名“KC2UA”〕を、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を介して貼り合わせて偏光板を作製した。次いで、その偏光フィルム面に、上記(b)で作製した粘着剤シートのセパレーターと反対側の面(粘着剤層面)をラミネーターにより貼り合わせた後、温度23℃、相対湿度65%の条件で7日間養生し、保護フィルムが積層された粘着剤付き偏光板を作製した。
(e)光学積層体の耐久性評価
上記(d)で作製した保護フィルムが積層された粘着剤付き偏光板を30mm×30mmの大きさに裁断し、セパレーターを剥離し、露出した粘着剤層側で無アルカリガラス〔コーニング社製の商品名“EAGLE XG”〕に貼合して光学積層体とした。この光学積層体について、積分球付き分光光度計〔日本分光(株)製の製品名“V7100”〕を用いて波長380〜780nmの範囲におけるMD透過率とTD透過率を測定し、前記式(1)及び(2)に基づいて各波長における単体透過率、偏光度を算出、さらにJIS Z 8701:1999「色の表示方法− XYZ表色系及びX10Y10Z10表色系」の2度視野(C光源)により視感度補正を行い、耐久試験前の視感度補正単体透過率(Ty)及び視感度補正偏光度(Py)を求めた。なお、光学積層体は、偏光板のトリアセチルセルロースフィルム側をディテクター側とし、ガラス側から光が入光するように積分球付き分光光度計にセットした。
次いで、この光学積層体を温度80℃、相対湿度90%の湿熱環境下に24時間置き、さらに温度23℃、相対湿度60%の環境下に24時間置いた後、耐久試験前と同様の方法によって耐久試験後のTy及びPyを求めた。その後、試験後のPy及びTyから、試験前のPy及びTyをそれぞれ差し引いて耐久試験前後の変化量を算出し、偏光度変化量(ΔPy)及び単体透過率変化量(ΔTy)を求めた。結果を表1に示した。
表1及び表2からわかるように、本発明の粘着剤付き偏光板を使用した実施例1〜4では、本発明の規定から外れる粘着剤付き偏光フィルムを使用した比較例1及び2に比べ、高湿熱耐久試験後の偏光度変化量(ΔPy)及び単体透過率変化量(ΔTy)が低いことから、高湿熱環境下における偏光フィルムの劣化が抑制され、耐久性に優れていることがわかる。