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JP2019172921A - ポリプロピレンフィルム、金属膜積層フィルムおよびフィルムコンデンサ - Google Patents

ポリプロピレンフィルム、金属膜積層フィルムおよびフィルムコンデンサ Download PDF

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JP2019172921A
JP2019172921A JP2018065709A JP2018065709A JP2019172921A JP 2019172921 A JP2019172921 A JP 2019172921A JP 2018065709 A JP2018065709 A JP 2018065709A JP 2018065709 A JP2018065709 A JP 2018065709A JP 2019172921 A JP2019172921 A JP 2019172921A
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今西 康之
Yasuyuki Imanishi
康之 今西
大倉 正寿
Masatoshi Okura
正寿 大倉
佑太 中西
Yuta Nakanishi
佑太 中西
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Toray Industries Inc
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Abstract

【課題】高温環境下でも高い絶縁破壊電圧を示し、コンデンサとしたときに高温環境下でも耐電圧性および信頼性を発現できるポリプロピレンフィルム、それを用いた金属膜積層フィルムおよびフィルムコンデンサを提供する。【解決手段】本発明のポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレンを主成分とし、少なくとも一方の表面における突起形状の偏り度Ssk(スキューネス)が−10を超えて100未満であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレンフィルム、金属膜積層フィルムおよびフィルムコンデンサに関する。
ポリプロピレンフィルムは、透明性、機械特性、電気特性等に優れるため、包装用途、テープ用途、ケーブルラッピングやコンデンサをはじめとする電気用途等の様々な用途に用いられている。
この中でもコンデンサ用途は、その優れた耐電圧性、低損失特性から直流用途、交流用途に限らず高電圧コンデンサ用に特に好ましく用いられている。
最近では、各種電気設備がインバーター化されつつあり、それに伴いコンデンサの小型化、大容量化の要求が一層強まってきている。そのような市場、特に自動車用途(ハイブリッドカー用途含む)や太陽光発電、風力発電用途の要求を受け、ポリプロピレンフィルムの絶縁破壊電圧を向上させ、生産性、加工性を維持させつつ、一層の薄膜化が必須な状況となってきている。
かかるポリプロピレンフィルムは、絶縁破壊電圧の向上、生産性、加工性および耐熱性の観点からフィルムの結晶性を高めると同時に使用環境温度での優れた寸法安定性を有することが特に重要である。ここで耐熱性という観点では、将来的に、SiCを用いたパワー半導体用途を考えた場合、使用環境の温度がより高温になると言われている。コンデンサとしてさらなる耐熱化と耐電圧性の要求から、110℃を超えた高温環境下でのフィルムの絶縁破壊電圧の向上が求められている。しかしながら、非特許文献1に記載のように、ポリプロピレンフィルムの使用温度上限は約110℃といわれており、このような温度環境下において絶縁破壊電圧を安定維持することは極めて困難であった。
これまでポリプロピレンフィルムにおいて、薄膜でかつ耐電圧向上および高温環境下での優れた性能を得るための手法として、例えば、ポリプロピレンの分子量分布においてその分布で低分子量成分を制御する提案(特許文献1)、ポリプロピレンに長鎖分岐ポリプロピレンやエチレン−プロピレンコポリマーおよび超高分子量ポリプロピレンをブレンドさせ結晶面間隔を制御する提案(特許文献2)、高立体規則性のポリプロピレン樹脂にそれよりもわずかに低い立体規則性度を有するポリプロピレン系樹脂をブレンドすることで微結晶構造を制御する提案(特許文献3)、メルトフローレート(以下、MFRと称す)が低い主要ポリプロピレン樹脂に高いMFRを持ったポリプロピレン樹脂をブレンドさせることで耐電圧性を維持したまま高い延伸性が付与し、かつ微細粗面を形成する提案(特許文献4)、高立体規則性のポリプロピレンを用い耐熱性を付与しながらポリプロピレン樹脂にポリプロピレンとは異なる他の熱可塑性樹脂をブレンドもしくは易滑用粒子を添加し表面形成する提案(特許文献5)などがなされている。一方で、ポリプロピレンのブレンドは行わず実質的にポリプロピレン単独重合体のみから溶融押出樹脂を複数の冷却ドラムで固化シート形成し、二軸延伸したフィルムで表面突起の山部と谷部を制御する提案がされている(特許文献6)。
しかしながら、特許文献1〜4に記載のポリプロピレンフィルムは、いずれも100〜105℃における耐圧向上が認められるが、110℃を超える高温環境下での絶縁破壊電圧の向上には及んでおらず、さらにコンデンサとしたときの高温環境下での耐電圧性と信頼性ついても、十分とは言い難いものであった。また、特許文献5および6のポリプロピレンフィルムは、110℃を超える高温環境下での絶縁破壊電圧の向上は認められるも、さらなる耐電圧向上、またコンデンサとしたときの高温環境下での耐電圧性と信頼性ついても改善余地があった。
特開2016−135891号公報 特開2015−201610号公報 特開2010−254794号公報 特開2010−280795号公報 WO2016/182003号公報 WO2017/077752号公報
河合基伸、「フィルムコンデンサ躍進、クルマからエネルギーへ」、日経エレクトロニクス、日経BP社、2012年9月17日号、p.57-62
そこで、本発明は、高温環境下でもより高い絶縁破壊電圧を示し、コンデンサとしたときに高温環境下でも耐電圧性および信頼性を発現できるポリプロピレンフィルム、それを用いた金属膜積層フィルムおよびフィルムコンデンサを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討を重ね、特許文献1〜5に記載のポリプロピレンフィルムの高温環境下での絶縁破壊電圧、並びにコンデンサとしたときの耐電圧性および信頼性が十分ではない理由について、以下のように考えた。すなわち、特許文献1のポリプロピレンフィルムについては低分子量成分を多く含む樹脂構造故に耐熱性が不足すること、特許文献2、3および4のポリプロピレンフィルムについては、主要ポリプロピレン樹脂の立体規則性が低い樹脂である故に耐熱性が不足すること、またいずれの文献も延伸倍率が低いこと、延伸後に構造安定化させる熱処理が不適切である故に結晶性が不十分であること、β晶法による表面凹凸形成であるため表面凹み部分の体積が大きく耐電圧の低下を招いていることが理由であると考えた。また、特許文献5に記載のポリプロピレンフィルムについては、立体規則性が高いポリプロピレン樹脂を用いているが冷キシレン可溶部(CXS)が多く結晶化度を向上できる余地があり、易滑に用いた粒子は脱落した場合にコンデンサの信頼性低下に影響が及んだり、ポリプロピレンとは異なる他の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリプロピレンフィルムでは表面が平滑過ぎるため、110℃より高温の環境でコンデンサを使用する場合にはセルフヒール性の観点から表面凹凸形状の改善余地があった。特許文献6に記載のポリプロピレンフィルムについては、立体規則性が高いポリプロピレン樹脂を用いているが、冷キシレン可溶部(CXS)が多く結晶化度を向上できる余地があり、さらに横延伸前の予熱温度が低く、横延伸後の熱処理温度で徐冷処理が施されておらず、分子鎖配向構造の安定化の改善余地があること、表面凹凸の凹部分の体積を減らすことで耐電圧を向上させる改善余地があることが理由であると考えた。
以上の考察を踏まえて、本発明者らはさらに検討を重ね、ポリプロピレンフィルムの樹脂構成および製膜条件を適性化し、表面突起形状の偏りを制御することにより上記の課題を解決できることを見出した。
したがって、本発明の構成は、ポリプロピレンを主成分とし、少なくとも一方の表面における突起形状の偏り度Ssk(スキューネス)が−10を超えて100未満であることを特徴とするポリプロピレンフィルムである。
本発明により、高温環境下でも高い絶縁破壊電圧を示し、コンデンサとしたときに高温環境下でも耐電圧性および信頼性を発現できるポリプロピレンフィルム、それを用いた金属膜積層フィルムおよびフィルムコンデンサを提供することができる。
本発明のポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレンを主成分とし、少なくとも一方の表面における表面突起形状の偏り度Ssk(スキューネス)が−10を超えて100未満である。なお、本発明において、ポリプロピレンフィルムをフィルムと称する場合がある。
本発明のポリプロピレンフィルムは、高温環境下でも高い絶縁破壊電圧を示し、コンデンサとしたときに高温環境下でも耐電圧性および信頼性を発現させるために、少なくとも一方の表面における表面突起形状の偏り度Ssk(スキューネス)が−10を超えて100未満である。ここでSskとは、表面の凹凸の偏り度を示したパラメータである。この偏り度Sskは二乗平均平方根高さSqの三乗によって無次元化した基準面において、Z(x,y)の三乗平均を表したもので、歪度(わいど)を意味し、平均面を中心とした山部と谷部の対称性を表す数値である。そのため、偏り度Ssk<0の場合は平均線に対して下側に偏っている、つまり凸の山部よりも凹の谷部が多く存在することを意味する。他方、Ssk>0の場合は平均線に対して上側に偏っている、つまり凹の谷部よりも凸の山部が多く存在することを意味する。そして偏り度Ssk=0の場合は、平均線に対して対称(正規分布)な状態を意味する。本発明者らは鋭意検討することにより、ポリプロピレンフィルムの表面の超平滑な部分に凸となる山部を適度に形成させ、耐電圧低下の原因と考える局所的に厚みが薄くなる凹みの谷部を減らした表面に制御することを着想した。山部を適度に形成することでフィルム同士あるいは搬送ロールとの滑り易さを発現し、さらに谷部を減らした表面とすることでフィルム薄膜箇所を排除するとともに低電圧破壊を抑制でき、コンデンサとしたときの耐電圧の底上げが可能となる。上記した表面制御を行うことで、コンデンサ素子作成時の加工性を向上し、フィルムを巻回もしくは積層したコンデンサとした場合に、フィルムとフィルムとの層間ギャップの均一性を発現でき、特に高電圧用コンデンサ用途において、高温環境下での耐電圧性と信頼性を得られることを見出したものである。
上記の観点より、偏り度Sskは好ましくは−10を超えて50未満、より好ましくは0を超えて25未満、最も好ましくは2を超えて10未満である。上記偏り度Sskが−10の場合は、フィルム表面に凹みを有する形状が多く偏っていることになり、フィルムの耐電圧低下を招き、特に高電圧用コンデンサ用途において、高温環境下での耐電圧性と信頼性が損なわれる。他方、偏り度Sskが100を超える場合においても、フィルム表面に凸部の形状が過剰に存在することになり、コンデンサとしたときにフィルムとフィルムとの層間ギャップが生じて高温環境において容量低下を引き起こしやすく、耐電圧性と信頼性が損なわれる。
本発明のポリプロピレンフィルムの表面突起形状の偏り度Sskを上記した範囲内に制御することは、主要ポリプロピレン樹脂(a1)にそれよりもMFRが低いポリプロピレン樹脂(a2)をブレンドした原料の使用や溶融シート冷却固化時の冷却温度、延伸時の面積倍率は55倍以上で、かつ、幅方向の延伸倍率が7〜16倍で延伸するなどの条件を好ましい範囲内で制御するにより達成可能である。ここで偏り度Sskの測定は、三次元非接触表面形状計測((株)菱化システムのVertScan2.0 R5300GL−Lite−AC)を使用し、装置CCDカメラ SONY HR−57 1/2インチ(対物レンズ10倍、中間レンズ0.5倍、波長フィルタ520nm white)で測定モード;Phase、測定面積:1.252×0.939mmでの測定を行い、付属の解析ソフト(VS−Viewer Version5.5.1)により撮影画面を多項式4次近似面補正にてうねり成分を除去し、次いで補間処理(高さデータの取得ができなかった画素に対し周囲の画素より算出した高さデータで補う処理)を行うことで算出される、ISO25178に基づいたパラメータである。本発明のポリプロピレンフィルムの偏り度Sskを上記した好ましい範囲に制御するには、後述する高メソペンタッド分率のポリプロピレン原料の使用、主要ポリプロピレン樹脂(a1)にそれよりもMFRが低いポリプロピレン樹脂(a2)を少量添加する構成、溶融シート冷却固化時の冷却温度、延伸時の面積倍率は55倍以上で、かつ、幅方向の延伸倍率が7〜16倍で延伸するなどの条件を好ましい範囲内で制御することにより達成可能である。
本発明のポリプロピレンフィルムは、表面の凹みが少なく適度な易滑を付与し、素子加工性を向上させ、耐電圧性も向上させる観点から、その表面の面積範囲1252×939μmにおける深さ20nm以上の谷の体積を合計した総谷側体積が1〜10000μmであることが好ましい。総谷側体積が20〜5000μmであることが好ましく、50〜1000μmであることがさらに好ましい。総谷側体積が1μm未満では表面の凹凸がなく平坦となり、フィルムの滑りが極端に低下し、ハンドリング性に劣ったり、シワが発生しやすくなり、素子加工性が劣ったり、またコンデンサとして連続使用時にシワ等の影響で容量変化が大きくなったり、フィルムを積層したコンデンサとした場合にフィルム層間の適度な隙間がないため自己回復機能(セルフヒーリング)が動作し難くコンデンサの信頼性が低下する。他方、10000μmを超える場合、局所的に厚みが薄くなる凹みの谷部が多くなり、フィルムの耐電圧低下を招き、特に高電圧用コンデンサ用途において、高温環境下での耐電圧性と信頼性が損なわれる場合がある。総谷側体積を上記した好ましい範囲に制御するには、主要ポリプロピレン樹脂(a1)として、後述する高メソペンタッド分率のポリプロピレン原料を使用すること、主要ポリプロピレン樹脂(a1)にそれよりもMFRが低いポリプロピレン樹脂(a2)を少量添加する構成、溶融シート冷却固化時の冷却温度、延伸時の面積倍率は55倍以上で、かつ、幅方向の延伸倍率が7〜16倍で延伸するなどの条件を好ましい範囲内で制御することにより達成可能である。
本発明のポリプロピレンフィルムはキシレンで完全溶解せしめた後、室温で析出させたときに、キシレン中に溶解しているポリプロピレン成分(CXS、冷キシレン可溶部とも言う)が1.5質量%未満であることが好ましい。ここで冷キシレン可溶部(CXS)は、立体規則性が低い、分子量が低い等の理由で結晶化し難い成分に該当すると考えられる。冷キシレン可溶部CXSが1.5質量%を超える場合にはフィルムの絶縁破壊電圧が低下したり、熱寸法安定性が低下したり、もれ電流が増加する等の問題を生じることがある。従って、冷キシレン可溶部CXSは、より好ましくは1.3質量%以下、更に好ましくは1.1質量%以下である。このような冷キシレン可溶部CXSの含有量とするには、使用するポリプロピレン樹脂を得る際の触媒活性を高める方法、得られたポリプロピレン樹脂を溶媒あるいはプロピレンモノマー自身で洗浄する方法等の方法が使用できる。
本発明のポリプロピレンフィルムは、コンデンサとした場合に特に高温環境下において、フィルム非晶部を流れる漏れ電流を低減でき、コンデンサの自己発熱に伴う温度上昇による容量低下やショート破壊、耐電圧性の低下などを抑制でき、信頼性を向上させる観点から、結晶子サイズが12.0nm以下であることが好ましい。より好ましくは11.5nm以下、さらに好ましくは11.0nm以下、最も好ましくは10.5nm以下である。上記観点から、結晶子サイズは小さいほど好ましいが、実質9nmが下限である。上記した結晶子サイズは、たとえば、後述する高メソペンタッド分率のポリプロピレン原料の使用や溶融シート冷却固化時の冷却温度、延伸時の面積倍率は55倍以上で、かつ、幅方向の延伸倍率が7〜16倍で延伸するなどの条件を好ましい範囲内にすることで制御できる。
本発明のポリプロピレンフィルムは、フィルム長手方向および幅方向の130℃10分加熱処理における熱収縮率の和が5.0%以下であることが好ましい。熱収縮率の和は、好ましくは4.5%以下、より好ましくは4.0%以下、さらに好ましくは3.5%以下である。下限は特に限定されないが、コンデンサ製造工程や使用工程の熱により素子の巻き状態が緩む場合があるので、1%とすることが好ましい。上記熱収縮率の和が5.0%を超える場合は、コンデンサ製造工程および使用工程の熱によりフィルム自体の収縮が生じ、素子端部メタリコンとの接触不良により耐電圧性が低下したり、素子が巻き締まることで容量低下やショート破壊を引き起こす場合がある。本発明のポリプロピレンフィルムにおいて、高い耐電圧を維持しながら熱収縮率を制御するには、長手方向に一軸延伸後の幅方向への二軸延伸直前の予熱温度を、幅方向の延伸温度+5〜+15℃とすること、二軸延伸後多段方式の熱処理および弛緩処理をフィルムに適宜施すことにより達成可能である。
また本発明のポリプロピレンフィルムは、幅方向の130℃10分加熱処理における熱収縮率が1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.8%以下、さらに好ましくは0.6%以下、最も好ましくは0.4%以下である。下限は特に限定されないが、コンデンサ製造工程や使用工程の熱により素子の巻き状態が緩む場合があるので、−2%とするものである。
ここで本発明のポリプロピレンフィルムにおける「長手方向」とは、フィルム製造工程における流れ方向に対応する方向(以降、「MD」という場合がある)であり、「幅方向」とは、前記のフィルム製造工程における流れ方向と直交する方向(以降、「TD」という場合がある)である。
本発明のポリプロピレンフィルムは、表面の凹みが少なく適度な易滑を付与して素子加工性を向上させ、耐電圧性も向上させる観点から、少なくとも片表面の光沢度が130%以上150%未満であることが好ましい。光沢度が130%未満の場合、フィルム表面での光散乱密度が高いことから、表面が過度に粗面化し、絶縁破壊電圧の低下を生じ易くなる場合がある。他方、光沢度が150%以上の場合は表面が過度に平滑化されていることを意味し、フィルムの滑りが極端に低下しやすくなる場合がある。そのため、ハンドリング性に劣ったり、シワが発生しやすくなり、素子加工性が劣ったりすることがある。上記光沢度は、より好ましくは135%以上149%未満、さらに好ましくは140%以上148%未満である。光沢度を上記した好ましい範囲に制御するには、高メソペンタッド分率のポリプロピレン原料の使用、主要ポリプロピレン樹脂(a1)にそれよりもMFRが低いポリプロピレン樹脂(a2)を少量添加する構成、溶融シート冷却固化時の冷却温度、延伸時の面積倍率は55倍以上で、かつ、幅方向の延伸倍率が7〜16倍で延伸するなどの条件を好ましい範囲内で制御することにより達成可能である。
本発明のポリプロピレンフィルムは、表面の凹みが少なく適度な易滑を付与してコンデンサ素子作成時の加工性を向上、およびコンデンサとしての信頼性を得る観点から、三次元非接触表面形状計測(VertSCAN)により測定した少なくとも一方の表面の算術平均高さSaが5〜30nmであることが好ましく、より好ましくは7〜25nm、さらに好ましくは9〜20nmである。少なくとも一方の表面の算術平均高さSaが5nm未満であると、フィルムの滑りが極端に低下し、ハンドリング性に劣ったり、シワが発生しやすくなり、素子加工性が劣ったり、またコンデンサとして連続使用時にシワ等の影響で容量変化が大きくなったり、フィルムを積層したコンデンサとした場合にフィルム層間の適度な隙間がないため自己回復機能(セルフヒーリング)が動作し難くコンデンサの信頼性が低下する場合がある。他方、少なくとも一方の表面の算術平均高さSaが30nmを超えると耐電圧の低下に影響する場合がある。ここで本発明のポリプロピレンフィルムの算術平均高さSaを上記した好ましい範囲内に制御するには、たとえば、後述する高メソペンタッド分率、高融点のポリプロピレン原料の使用、主要ポリプロピレン樹脂(a1)にそれよりもMFRが低いポリプロピレン樹脂(a2)を少量添加する構成、溶融シート冷却固化時の冷却温度などの条件や幅方向の延伸前の予熱温度、面積倍率は55倍以上で、かつ、幅方向の延伸倍率が7〜16倍で延伸することを好ましい範囲内で制御することにより達成可能である。
本発明のポリプロピレンフィルムは、耐電圧特性を向上させながら素子加工性を有する観点から、フィルムを重ね合わせた際の静摩擦係数(μs)が0.3以上1.5以下であることが好ましい。静摩擦係数μsが0.3未満であると、フィルムが滑りすぎて製膜時の巻き取りや素子加工時に巻きずれが発生する場合がある。静摩擦係数μsが1.5を超えると、フィルムの滑りが極端に低下し、ハンドリング性に劣ったり、シワが発生しやすくなったり、素子加工性が劣ったりすることがある。静摩擦係数μsは、より好ましくは、0.4以上1.0以下、さらに好ましくは0.5以上0.8以下である。
本発明のポリプロピレンフィルムは、高温環境下でも高い絶縁破壊電圧を示し、コンデンサとしたときに高温環境下でも耐電圧性および信頼性を発現させるため、130℃でのフィルム絶縁破壊電圧が400V/μm以上であることが好ましい。130℃でのフィルム絶縁破壊電圧が400V/μm未満であると、コンデンサとした場合に高温環境下において容量低下やショート破壊を引き起こし、耐電圧性の低下を招き、信頼性が損なわれる場合がある。130℃でのフィルム絶縁破壊電圧は、より好ましくは415V/μm以上、さらに好ましくは430V/μm以上、最も好ましくは445V/μm以上である。フィルム絶縁破壊電圧を上記した好ましい範囲内に制御するには、たとえば、後述する高メソペンタッド分率、高融点のポリプロピレン原料の使用や溶融シート冷却固化時の冷却温度などの条件を好ましい範囲内で制御すること、二軸延伸時の面積倍率は55倍以上で、かつ、かつ、幅方向の延伸倍率が7〜16倍で延伸すること、長手方向に一軸延伸後の幅方向への二軸延伸直前の予熱温度を、幅方向の延伸温度+5〜+15℃とすること、二軸延伸後多段方式の熱処理および弛緩処理をフィルムに適宜施すことにより達成可能である。
本発明のポリプロピレンフィルムは、主要ポリプロピレン樹脂(a1)のメソペンタッド分率が0.970以上であることが好ましい。メソペンタッド分率は0.975以上がより好ましく、0.980以上がさらに好ましい。メソペンタッド分率は核磁気共鳴法(NMR法)で測定されるポリプロピレンの結晶相の立体規則性を示す指標であり、該数値が高いものほど結晶化度が高く、融点が高くなる効果があり、高温環境下での絶縁破壊電圧を向上できるので好ましい。メソペンタッド分率の上限については特に規定するものではない。本発明では、高メソペンタッド分率の主要ポリプロピレン樹脂(a1)は、特に、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒によるものが好ましく、電子供与成分の選定を適宜行う方法等が好ましく採用され、これによる主要ポリプロピレン樹脂(a1)は分子量分布(Mw/Mn)が3.0以上、<2,1>エリトロ部位欠損は0.1mol%以下とすることができ、このような主要ポリプロピレン樹脂(a1)を用いることが好ましい。主要ポリプロピレン樹脂(a1)のメソペンタッド分率が0.970未満の場合、ポリプロピレンの規則性が低い為、フィルムの高温環境下での強度や絶縁破壊電圧の低下を招いたり、金属膜を蒸着により形成する工程やコンデンサ素子巻き取り加工でのフィルム搬送中に破膜する場合がある。
本発明のポリプロピレンフィルムに用いる主要ポリプロピレン樹脂(a1)の融点は、164℃以上が好ましく、より好ましくは165℃以上、さらに好ましくは166℃以上である。主要ポリプロピレン樹脂(a1)の融点が164℃未満の場合、結晶性が低い為、表面弾性率が低くなったり、フィルムの高温環境下での絶縁破壊電圧の低下や熱寸法安定性の低下を招いたり、金属膜を蒸着により形成する工程やコンデンサ素子巻き取り加工での、フィルム搬送中に破膜する場合がある。
本発明のポリプロピレンフィルムに用いられる主要ポリプロピレン樹脂(a1)は、製膜性の点から、好ましくはメルトフローレート(MFR)が1〜10g/10分(230℃、21.18N荷重)、より好ましくは2〜5g/10分(230℃、21.18N荷重)である。メルトフローレート(MFR)を上記の値とするためには、平均分子量や分子量分布を制御する方法などが採用される。
本発明のポリプロピレンフィルムは、フィルム表面に微細突起を形成させながら凹みの谷部を減らした表面に制御することで適度な易滑を付与し、コンデンサ素子作成時の加工性および高温環境下でも耐電圧性および信頼性を発現させるものである。我々は鋭意検討した結果、主要ポリプロピレン(a1)として立体規則性の高いホモポリプロピレン樹脂を用い、それよりもMFRが低いポリプロピレン樹脂をブレンドすることで、樹脂同士の粘度差を利用した構造の未延伸シートとし、粘度差のある構造が二軸延伸によって変形され、フィルム表面に微細突起を形成させることに成功した。その微細突起は従来のβ晶法のようなクレータ状ではなく、平滑表面に凸状の突起が形成され凹みの谷部を減らした表面となる驚くべき効果を見出し、本発明に至ったのである。上記観点から、上述した主要ポリプロピレン樹脂(a1)よりもMFRが低いポリプロピレン樹脂(a2)を添加することが好ましく、MFRが0.1〜3g/10分(230℃、21.18N荷重)、好ましくは0.2〜2g/10分(230℃、21.18N荷重)、より好ましくは0.3〜1g/10分(230℃、21.18N荷重)のポリプロピレン樹脂(a2)を添加することが好ましい。MFRが0.1より低いものは粘度が高く粗大で不均一な突起形成となり、強度低下や耐電圧低下を招く場合がある。他方、MFRが3より高いものは主要ポリプロピレン樹脂(a1)とのMFR差が小さく、フィルム表面に微細突起を形成させる効果が得られにくくなったり、粘度が低い樹脂のため耐熱性が不十分になったりする場合がある。ここでポリプロピレン樹脂(a1)とポリプロピレン樹脂(a2)のMFRの比(MFRa1)/(MFRa2)は上記したフィルム表面に微細突起を形成させる観点から2以上10以下が好ましく、より好ましくは3以上9以下、さらに好ましくは4以上8以下である。またコンデンサとしたとき高温環境下でも耐電圧性および信頼性を発現させる観点からポリプロピレン樹脂(a1)とポリプロピレン樹脂(a2)の融点差(Tma1)−(Tma2)は1℃以上10℃以下が好ましく、より好ましくは1℃以上9℃以下、さらに好ましくは1℃以上8℃以下とするものである。
本発明のポリプロピレンフィルムは、フィルム表面に微細突起を形成させながら凹みの谷部を減らした表面に制御することにより、適度な易滑を付与し、コンデンサ素子作成時の加工性および高温環境下でも耐電圧性および信頼性を発現させる観点から、ポリプロピレン樹脂全体を100質量%としたときに、上述した主要ポリプロピレン樹脂(a1)よりもMFRが低いポリプロピレン樹脂(a2)を0.1〜25質量%、好ましくは1〜20質量%、さらに好ましくは8〜15質量%含有することが好ましい。0.1質量%未満の場合は、フィルム表面に微細突起を形成させる効果が得られにくい。25質量%を超える場合は、主要ポリプロピレン樹脂(a1)との混ざりが不均一となり耐熱性が大幅に低下する場合がある。
本発明のポリプロピレンフィルムは、実質的にポリプロピレン単独重合体のみからなることが好ましい。ここで実質的にポリプロピレン単独重合体のみとは、ポリプロピレンとは異なる熱可塑性樹脂の含有量が0.1重量%未満、有機粒子もしくは無機粒子の含有量が0.01重量%未満にあるポリプロピレン樹脂である。
また本発明のポリプロピレンフィルムは、DSCで測定される結晶化温度Tmcが121℃以下であることが好ましい。Tmcは118℃以下がより好ましく、115℃以下がさらに好ましく、112℃以下が特に好ましい。ポリプロピレンフィルムのTmcが121℃を超える場合、結晶化速度が非常に速く、未延伸シートでのメゾ相形成が阻害される場合があり、その結果、高温環境下でのフィルム絶縁破壊電圧の低下を招く場合がある。結晶化を促進する結晶核の形成を抑える観点から、結晶核剤や長鎖分岐ポリプロピレンを添加しないことが好ましい。本発明の目的を損なわない範囲で種々の添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、塩素捕捉剤、すべり剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、充填剤、粘度調整剤、着色防止剤を含有してもよい。これらの中で酸化防止剤を含有させる場合、その酸化防止剤の種類および添加量の選定は、長期耐熱性の観点から重要である。すなわち、かかる酸化防止剤としては立体障害性を有するフェノール系のもので、そのうち少なくとも1種は分子量500以上の高分子量型のものが好ましい。その具体例としては種々のものが挙げられるが、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT:分子量220.4)とともに1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(例えば、BASF社製Irganox(登録商標)1330:分子量775.2)またはテトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(例えばBASF社製Irganox(登録商標)1010:分子量1177.7)等を併用することが好ましい。これら酸化防止剤の総含有量は、ポリプロピレン樹脂全量に対して0.1〜1.0質量%の範囲が好ましい。酸化防止剤が少なすぎると長期耐熱性に劣る場合がある。酸化防止剤が多すぎるとこれら酸化防止剤のブリードアウトによる高温下でのブロッキングにより、コンデンサ素子に悪影響を及ぼす場合がある。より好ましい総含有量は0.2〜0.7質量%であり、特に好ましくは0.2〜0.4質量%である。
本発明のポリプロピレンフィルムは、特に高温環境下で用いられる自動車用途(ハイブリッドカー用途含む)等に要求される薄膜の耐熱フィルムコンデンサ用に好適である観点から、フィルム厚みは0.5μm以上10μm未満であることが好ましい。より好ましくは0.6μm以上8μm以下、さらに好ましくは0.8μm以上6μm以下であり、上記耐熱フィルムコンデンサ用途としては特性と薄膜化によるコンデンササイズのバランスから0.8μm以上4μm以下が最も好ましい。
本発明のポリプロピレンフィルムは単層でも良いが、少なくとも一方の表面に、主要ポリプロピレン樹脂(a1)に主要ポリプロピレン樹脂(a1)よりもMFRが低いポリプロピレン樹脂(a2)を添加した構成層(A層)を設けた積層フィルムとすることが、フィルム表面に微細突起を形成させながら凹みの谷部を減らした表面に制御して適度な易滑を付与し、コンデンサ素子作成時の加工性の向上、ならびに高温環境下での耐電圧性および信頼性を発現させる観点からより好ましい。積層の方法としては、ラミネートによるフィルム同士を貼り合わせる方法、共押出によるフィードブロック方式やマルチマニホールド方式、コーティングによる方法などが挙げられる。これらの積層の方法のうち、生産効率およびコストの観点から、溶融共押出による積層方法、コーティングによる積層方法が好ましい。また積層は、フィルム厚さ方向に2層以上、より好ましくは3層以上積層されてなる構成が好ましい。具体的には、少なくとも一方の表面をA層とする2層以上の構成であり、たとえばA層/B層の2層構成、より好ましくはA層/B層/A層の3層構成、およびA層をフィルム両表面の最外層とする4層以上の構成である。ここでA層とは、主要ポリプロピレン樹脂(a1)と主要ポリプロピレン樹脂(a1)よりもMFRが低いポリプロピレン樹脂(a2)を含む構成層と定義するものである。
本発明のポリプロピレンフィルムは、厚さ方向に2層以上積層した構成である場合には、フィルム全厚みに対するA層の厚みの割合(両表面がA層である場合はそれら合わせた厚み割合)は、製膜性や表面形状を制御する点から1%〜60%であることが好ましく、5〜40%がより好ましく、5〜25%が最も好ましい。A層の割合が大きすぎると異なる樹脂を用いるためコストアップに繋がる、他方、A層の割合が小さすぎるとフィルム表面に凹凸を効率良く形成できない場合があり、コンデンサ素子加工適性が得られなくなる場合がある。なお、ポリプロピレンフィルムにおいて積層構造をとる場合に、内層(B層)にはA層に用いる主要ポリプロピレン樹脂(a1)を単体で用いることが好ましい。
一般的にポリプロピレンフィルムの表面を粗面化形成する方法として、特にコンデンサ用途などでは結晶変態を利用する手法を好ましく用いることができ、フィルム製造工程において溶融押出後のキャスティング(冷却)ドラム上で固化させる温度を60℃以上に高温にすることでβ晶系球晶を形成し、延伸工程で、熱的に不安定なβ晶をα晶に結晶変態させ、フィルム表面に凹凸を形成する。結晶変態による表面の粗面化方法では、ボイドやクレーターと呼ばれる凹み構造を表面に形成するため谷部構造が多く形成され、絶縁欠陥となり耐電圧が低下する場合がある。一方で、本発明のポリプロピレンフィルムは、フィルム製造工程において溶融押出後の冷却ドラム上で固化させる温度を60℃未満、好ましくは40℃未満、より好ましくは30℃未満にすることで優先的に微少なα晶系球晶、もしくはメゾ相を形成する。このため、本発明のポリプロピレンフィルムは、延伸工程で結晶変態によるボイド、および表面クレーター構造を形成しにくく、絶縁欠陥を実質的に発生させることなく、薄いフィルムであっても、コンデンサ素子加工適性に優れ、高温環境でも高い耐電圧性を発揮する。ここでメゾ相とは結晶と非晶の中間の秩序状態を示し、スメクチック晶やスメチカ晶とも呼ばれ、メゾ相は溶融状態から非常に速い冷却速度で固化させた際に生じることが知られている。該メゾ相は中間相のため、延伸工程において均一構造を形成するため、絶縁欠陥の低減に好ましい構造である。さらに本発明のポリプロピレンフィルムは、フィルムを構成する主要ポリプロピレン樹脂(a1)と主要ポリプロピレン樹脂(a1)よりもMFRが低いポリプロピレン樹脂(a2)を含むことで表面に微細突起を形成し、凹み部の少ない表面形状を形成することができる。
本発明のポリプロピレンフィルムは、フィルム耐電圧向上の観点から、メゾ相構造を有する未延伸ポリプロピレンフィルムを、少なくとも一方向に2倍以上延伸したものであることが好ましい。少なくとも一方向に2倍以上の延伸を施すことで、分子鎖が伸長し配向構造を有することができ、フィルムの機械特性が向上し、コンデンサとしたとき高温環境下での耐電圧性および信頼性を向上させることができる。この観点から、少なくとも一方向に、好ましくは4.6倍以上に延伸、より好ましくは5.0倍以上に延伸、さらに好ましくは5.6倍以上に延伸したものである。上限は特に限定しないが、製膜安定性の観点から15倍以下の延伸とすることが好ましい。前記のメゾ相構造は未延伸ポリプロピレンフィルムの段階で形成させることが望ましい。
一般的にポリプロピレンを結晶化させると球晶が成長することが知られているが、結晶化した未延伸ポリプロピレンフィルムを延伸すると、球晶部と球晶部と間の非晶部で延伸応力に差が生じ、局所的な延伸斑が発生し耐電圧低下を生じやすくなる。一方、メゾ相は球晶が生成しないため延伸斑が生じず、優れた耐電圧を発現することができる。未延伸ポリプロピレンフィルムでメゾ相を効率的に形成するには、結晶生成を抑える必要があるが、ポリプロピレンは溶融後の冷却工程で、非常に結晶生成しやすい。特に、立体規則性の高いホモポリプロピレンを用いると非常に結晶生成しやすくなる為、メゾ相の形成を阻害してしまう。結晶生成を抑える為に、一般的にはメソペンタッド分率の低いポリプロピレンを使用したり、プロピレン−エチレン共重合体などの共重合体を用いる手法が用いられる。しかしながら、そういった手段を用いると、フィルムの高温環境下での機械特性が低下したり、熱収縮率が増加する場合がある。そこで、本発明では結晶生成を抑えるための手法として、たとえば、キャスティングドラムの温度を40℃以下とすること、未延伸ポリプロピレンフィルムを300μm以下とすること、キャストドラム上の未延伸ポリプロピレンフィルムに冷風を当てて冷却効率を高めること、また、口金のリップ部の温度を上流の短管部分より高く設定すること等が挙げられ、該手法を適宜組み合わせることにより、結晶生成を抑制することができる。口金リップ部を昇温することによる効果は、ポリマーとリップ部との摩擦が軽減され、剪断による結晶化を抑えることができるためと推測している。
本発明のポリプロピレンフィルムは、コンデンサ用誘電体フィルムとして好ましく用いられるものであるが、コンデンサのタイプは限定されるものではない。具体的には電極構成の観点では金属箔とフィルムとの併せ巻きコンデンサ、金属蒸着フィルムコンデンサのいずれであってもよいし、絶縁油を含浸させた油浸タイプのコンデンサや絶縁油を全く使用しない乾式コンデンサにも好ましく用いられる。しかしながら本発明のフィルムの特性から、特に金属蒸着フィルムコンデンサとして好ましく使用される。形状の観点では、巻回式であっても積層式であっても構わない。
ポリプロピレンフィルムは通常、表面エネルギーが低く、金属蒸着を安定的に施すことが困難である。したがって、本発明のポリプロピレンフィルムは、金属付着力を向上する目的で、蒸着前に表面処理を行うことが好ましい。表面処理とは具体的にコロナ放電処理、プラズマ処理、グロー処理、火炎処理等が例示される。通常ポリプロピレンフィルムの表面濡れ張力は30mN/m程度であるが、これらの表面処理によって、濡れ張力を37〜75mN/m、好ましくは39〜65mN/m、最も好ましくは41〜55mN/m程度とすることが、金属膜との接着性に優れ、保安性も良好となるので好ましい。
本発明のポリプロピレンフィルムは、上述した特性を与えうる原料を用い、二軸延伸、熱処理および弛緩処理されることによって得られる。二軸延伸の方法としては、インフレーション同時二軸延伸法、テンター同時二軸延伸法、テンター逐次二軸延伸法のいずれによっても得られるが、その中でも、フィルムの製膜安定性、結晶・非晶構造、表面特性、機械特性および熱寸法安定性を制御する点においてテンター逐次二軸延伸法を採用することが好ましい。
次に本発明のポリプロピレンフィルムの製造方法を説明する。まず、主要ポリプロピレン樹脂(a1)に、それよりもMFRが低いポリプロピレン樹脂(a2)を少量添加したポリプロピレン樹脂(a)を、支持体上に溶融押出して未延伸ポリプロピレンフィルムとする。この未延伸ポリプロピレンフィルムを長手方向に延伸し、次いで幅方向に延伸して、逐次二軸延伸せしめる。その後、熱処理および弛緩処理を施して二軸配向ポリプロピレンフィルムを製造する。その際、面積倍率は55倍以上で、かつ、幅方向の延伸倍率が7〜16倍で延伸することが好ましい。長手方向に一軸延伸後の幅方向への二軸延伸直前の予熱温度を、幅方向の延伸温度+5〜+15℃とすること、二軸延伸後の熱処理および弛緩処理工程において、クリップで幅方向を緊張把持したまま幅方向に2〜20%の弛緩を与えつつ、145℃以上165℃以下の温度(1段目熱処理温度)で熱固定(1段目熱処理)した後に、再度クリップで幅方向を緊張把持したまま130℃以上、前記の熱固定温度(1段目熱処理温度)未満の条件で熱処理を施し(2段目熱処理)、さらに緊張把持したまま80℃以上、前記の熱固定温度(2段目熱処理温度)未満の条件で熱固定(3段目熱処理)を施す多段方式の熱処理を行うことが、より本発明の効果を得やすくなるため好ましい。以下、より具体的に説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
まず、主要ポリプロピレン樹脂(a1)として、フィルムの絶縁破壊電圧および熱寸法安定性の向上、もれ電流を低減させる観点からCXSが1.5質量%未満、MFR1〜10g/10分の市販のホモポリプロピレン樹脂(a1)を使用し、主要ポリプロピレン樹脂(a1)よりもMFRが低いポリプロピレン樹脂(a2)として、MFR0.1〜3g/10分の市販の低MFRのポリプロピレン樹脂(a2)を加え、これに酸化防止剤を上述した本発明の好ましい範囲で混合し、二軸押出機に原料供給して溶融混練を行い、ストランドをダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン樹脂組成物(a)を準備する。
次いでポリプロピレン樹脂組成物(a)を単軸押出機から溶融押出し、濾過フィルターを通した後、230〜280℃、より好ましくは230〜260℃の温度でスリット状口金から押し出す。スリット状口金から押し出された溶融シートは、10〜110℃の温度に制御されたキャスティングドラム(冷却ドラム)上で固化させ、未延伸ポリプロピレンフィルムを得る。
二軸延伸フィルムの機械特性の向上、電気特性の向上、結晶子サイズの制御、表面の光沢度を向上させる観点から、キャスティングドラムの温度は、より好ましくは10〜90℃、さらに好ましくは10〜60℃、最も好ましくは10〜30℃である。特に、キャスティングドラムの温度を10〜30℃とすることで未延伸ポリプロピレンフィルムのメゾ相分率を高め、該未延伸ポリプロピレンフィルムがメゾ相構造を有するようにすることができる。メゾ相分率として20%以上が好ましく、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは70%以上である。ここで未延伸ポリプロピレンフィルムのメゾ相分率を算出するには、未延伸ポリプロピレンフィルムを広角X線回折で測定し、X線回折プロファイルを用いて算出する。得られたX線回折プロファイルをピーク分離ソフトウェアで処理してメゾ相とα晶、非晶のプロファイルとに分離し、メゾ相分率を算出する。本発明において、メゾ相を形成している、またはメゾ相構造を有するとは、上記メゾ相分率が20%以上であることをいう。α晶に由来する回折プロファイルとは、回折角(2θ)が10〜30度の範囲での広角X線回折測定において観測される、14.1度付近、16.9度付近、18.6度付近、21.6度付近および21.9度付近の5つのピークからなるものである。メゾ相に由来する回折プロファイルとは、15度付近と21度付近の2つのブロードなピークからなるものである。非晶に由来する回折プロファイルとは、回折角が16.2度付近のブロードなピークであり、溶融状態のポリプロピレンを広角X線回折で測定することで得られる。
溶融シートのキャスティングドラムへの密着方法としては静電印加法、水の表面張力を利用した密着方法、エアーナイフ法、プレスロール法、水中キャスト法、エアーチャンバー法などのうちいずれの手法を用いてもよいが、平面性が良好でかつ表面粗さの制御が可能なエアーナイフ法が好ましい。また、フィルムの振動を生じさせないために製膜下流側にエアーが流れるようにエアーナイフの位置を適宜調整することが好ましい。
次に、未延伸ポリプロピレンフィルムを二軸延伸し、二軸配向せしめる。未延伸ポリプロピレンフィルムを70〜150℃、好ましくは80〜140℃に保たれたロール間に通して予熱し、引き続き該未延伸ポリプロピレンフィルムを70℃〜150℃、好ましくは80〜140℃の温度に保ち、長手方向に2〜15倍、好ましくは4.5〜12倍、より好ましくは5.5〜10倍に延伸した後、室温まで冷却する。ここで未延伸ポリプロピレンフィルムのメゾ相分率が20%以上の場合は、80〜130℃、好ましくは90〜120℃に保たれたロール間に通して予熱し、引き続き該未延伸ポリプロピレンフィルムを80〜130℃、好ましくは90〜120℃の温度に保ち長手方向に2〜15倍、好ましくは4.6〜12倍、より好ましくは5.0〜11倍、最も好ましくは5.6〜10倍に延伸した後、室温まで冷却する。
次いで長手方向に一軸延伸せしめたフィルムの端部をクリップで把持したまま、テンターに導く。本発明においては、幅方向へ延伸する直前の予熱工程の温度を幅方向の延伸温度+5〜+15℃、好ましくは+6〜+14℃、より好ましくは+7〜+13℃とすることが、長手方向に高配向したフィブリル構造をより強化し、結晶化度が向上することでフィルムの耐熱性を高めることができ、かつ長手方向の延伸過程で配向の進行が不十分な分子鎖をあらかじめ緩和させることで余分な緊張がほぐして熱寸法安定性を向上する観点、さらには長手方向の延伸で配向したフィルム表面フィブリルの凸形状を顕著化でき、二軸延伸後のフィルム表面に突起形成できる観点で好ましい。予熱温度が延伸温度+5℃未満の場合は、結晶化度が低く、熱寸法安定性の向上が得られなかったり、表面凸形成が不十分となる場合がある。他方、予熱温度が延伸温度+15℃より高い場合には、延伸工程でフィルムが破れたりする場合がある。
次いでフィルムの端部をクリップで把持したまま幅方向へ延伸するが、幅方向の延伸温度は、140〜170℃、好ましくは145〜160℃であり、幅方向に7〜16倍、より好ましくは10〜15倍、最も好ましくは11〜14倍に延伸する。本発明では横延伸倍率を大きくすることで二軸延伸で形成するクレーター状の凹凸表面の凹み部分が引き延ばされ平坦化し凸形状が顕著化する効果が得られ、表面突起形状の偏り度Ssk(スキューネス)の値を大きくでき、耐電圧性を向上できる。
ここで、面積倍率は55倍以上であることが耐電圧性向上の観点で好ましい。本発明において、面積倍率とは、長手方向の延伸倍率に幅方向の延伸倍率を乗じたものである。面積倍率は、60倍以上であることがより好ましく、特に好ましくは70倍以上である。
本発明のポリプロピレンフィルムの製造方法において、二軸延伸に続く熱処理および弛緩処理工程では、クリップで幅方向を緊張把持したまま幅方向に2〜20%の弛緩を与えつつ、145℃以上165℃以下の温度(1段目熱処理温度)で熱固定(1段目熱処理)した後に、再度クリップで幅方向を緊張把持したまま130℃以上、前記の熱固定温度(1段目熱処理温度)未満の条件で熱処理を施し(2段目熱処理)、さらに緊張把持したまま80℃以上、前記の熱固定温度(2段目熱処理温度)未満の条件で熱固定(3段目熱処理)を施す多段方式の熱処理を行うことが、フィルム厚みの均一性および熱寸法安定性を向上させ、コンデンサとしたときの耐電圧性、信頼性を得る観点から好ましい。
弛緩処理においては、熱寸法安定性を高める観点から、弛緩率は2〜20%が好ましく、5〜18%がより好ましく、8〜15%がさらに好ましい。20%を超える場合は、テンター内部でフィルムが弛みすぎ製品にシワが入り蒸着時にムラを発生させる場合があったり、機械特性の低下が生じるおそれがある。他方、弛緩率が2%より小さい場合は十分な熱寸法安定性が得られず、コンデンサとしたときの高温環境下で容量低下やショート破壊を引き起こす場合がある。
多段式の熱処理後、フィルムをテンターの外側へ導き、室温雰囲気にてフィルム端部のクリップ解放し、ワインダ工程にてフィルムエッジ部をスリットし、フィルム厚み0.5μm以上10μm未満のフィルム製品ロールを巻き取る。ここでフィルムを巻取る前に、蒸着を施す面に蒸着金属の接着性を良くするために、空気中、窒素中、炭酸ガス中あるいはこれらの混合気体中でコロナ放電処理を行うことが好ましい。
なお、本発明のポリプロピレンフィルムを得るため、重要な製造条件は以下の条件である。
・主要ポリプロピレン樹脂(a1)にそれよりもMFRが低いポリプロピレン(a2)を少量添加したポリプロピレン樹脂を含むこと。
・ポリプロピレン樹脂のCXSが1.5質量%未満であること。
・延伸の面積倍率が55倍以上で、かつ、幅方向の延伸倍率が7〜16倍であること。
・幅方向の延伸前の予熱温度が幅方向の延伸温度+5〜+15℃であること。
・1段目の熱処理温度が、145℃以上165℃以下であること。
・2段目の熱処理温度が、130℃以上1段目の熱処理温度未満であること。
・3段目の熱処理温度が、80℃以上2段目の熱処理温度未満であること。
・1段目の熱処理工程において、幅方向に2〜20%の弛緩処理が施されていること。
・フィルム厚み0.5μm以上10μm未満であること。
続いて、本発明のポリプロピレンフィルムを用いてなる金属膜積層フィルム、それを用いてなるフィルムコンデンサ、およびそれらの製造方法について説明する。
本発明の金属膜積層フィルムは、上記した本発明のポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に金属膜が設けられてなる。
また、本発明の金属膜積層フィルムの製造方法は、上記のポリプロピレンフィルムの製造方法により得られるポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に金属膜を設ける金属膜付与工程を有する。
本発明において、上記したポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に金属膜を設けて金属膜積層フィルムとする金属膜付与工程の方法は特に限定されないが、例えば、ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に、アルミニウムまたは、アルミニウムと亜鉛との合金を蒸着してフィルムコンデンサの内部電極となる蒸着膜等の金属膜を設ける方法が好ましく用いられる。このとき、アルミニウムと同時あるいは逐次に、例えば、ニッケル、銅、金、銀、クロムなどの他の金属成分を蒸着することもできる。また、蒸着膜上にオイルなどで保護層を設けることもできる。ポリプロピレンフィルム表面の粗さが表裏で異なる場合には、粗さが平滑な面側に金属膜を設けて金属膜積層フィルムとすることが耐電圧性を高める観点から好ましい。
本発明では、必要により、金属膜を形成後、金属膜積層フィルムを特定の温度でアニール処理を行なったり、熱処理を行なったりすることができる。また、絶縁もしくは他の目的で、金属膜積層フィルムの少なくとも片面に、ポリフェニレンオキサイドなどのコーティングを施すこともできる。
本発明のフィルムコンデンサは、本発明の金属膜積層フィルムを用いてなる。
また、本発明のフィルムコンデンサの製造方法は、上記本発明の金属膜積層フィルムを用いる。
例えば、上記した本発明の金属膜積層フィルムを、種々の方法で積層もしくは巻回すことにより本発明のフィルムコンデンサを得ることができる。巻回型フィルムコンデンサの好ましい製造方法を例示すると、次のとおりである。
ポリプロピレンフィルムの片面にアルミニウムを減圧状態で蒸着する。その際、長手方向に走るマージン部を有するストライプ状に蒸着する。次に、表面の各蒸着部の中央と各マージン部の中央に刃を入れてスリットし、表面の一端(右または左)にマージンを有した、テープ状の巻取リールを作成する。左右のいずれか一方にマージンを有するテープ状の巻取リール各1本を、幅方向に蒸着部分がマージン部よりはみ出すように2枚重ね合わせて巻回し、巻回体を得る。
両面に蒸着を行う場合は、一方の面(第1面)の長手方向に走るマージン部を有するストライプ状に蒸着し、もう一方の面(第2面)には長手方向のマージン部が裏面(第1面)側蒸着部の中央に位置するようにストライプ状に蒸着する。次に表裏それぞれのマージン部中央に刃を入れてスリットし、両面ともそれぞれ片側にマージン(例えば表面右側にマージンがあれば裏面には左側にマージン)を有するテープ状の巻取リールを作製する。得られた巻取リールと未蒸着の合わせフィルム各1本を、幅方向に巻取リールの蒸着部分が合わせフィルムよりはみ出すように2枚重ね合わせて巻回し、巻回体を得る。
以上のようにして作成した巻回体から芯材を抜いてプレスし、両端面にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻回型フィルムコンデンサを得ることができる。フィルムコンデンサの用途は、鉄道車輌用、自動車用(ハイブリットカー、電気自動車)、太陽光発電・風力発電用および一般家電用等、多岐に亘っており、本発明のフィルムコンデンサもこれら用途に好適に用いることができる。その他、包装用フィルム、離型用フィルム、工程フィルム、衛生用品、農業用品、建築用品、医療用品など様々な用途でも用いることができる。
本発明における特性値の測定方法、並びに効果の評価方法は次のとおりである。
(1)フィルム厚み
ポリプロピレンフィルムの任意の10箇所の厚みを、23℃65%RHの雰囲気下で接触式のアンリツ(株)製電子マイクロメータ(K−312A型)を用いて測定した。その10箇所の厚みの平均値をポリプロピレンフィルムのフィルム厚みとした。
(2)表面の突起形状の偏り度Ssk(スキューネス)、算術平均高さ(Sa)
測定は(株)菱化システムのVertScan2.0 R5300GL−Lite−ACを使用して行い、付属の解析ソフトにより撮影画面を多項式4次近似面補正にてうねり成分を除去し、次いで補間処理(高さデータの取得ができなかった画素に対し周囲の画素より算出した高さデータで補う処理)を行った。ISO25178に基づいて各種パラメータを求め、一方の面内の任意の5箇所で測定を行った平均値を算出した。フィルム測定面はキャストドラム面側を測定するものであるが、不明な場合は両面測定し、Ssk値の低い面の値を用いるものとする。
測定条件は下記のとおり。
製造元:株式会社菱化システム
装置名:VertScan2.0 R5300GL−Lite−AC
測定条件:CCDカメラ SONY HR−57 1/2インチ(1.27センチ)
対物レンズ 10x
中間レンズ 0.5x
波長フィルタ 520nm white
測定モード:Phase
測定ソフトウェア:VS-Measure Version5.5.1
解析ソフトフェア:VS−Viewer Version5.5.1
測定面積:1.252×0.939mm
(3)フィルム表面における深さ20nm以上の谷の体積を合計した総谷側体積
上記(2)と同様の方法で測定した表面について、付属の解析ソフトの解析ツールであるベアリング機能を用いて解析した。深さ20nm以上の谷側空隙を指定するため、高さ領域指定において、谷側高さ閾値を−20nmに設定した。次いで解析された谷側空隙体積の値を読み取り、有効数字2桁となるよう四捨五入した。フィルム測定面はキャストドラム面側を測定するものであるが、不明な場合は両面測定し、Ssk値の低い面の値を用いるものとする。
(4)冷キシレン可溶部(CXS)
原料の場合はポリプロピレン樹脂、フィルムの場合はフィルム試料の0.5gを135℃のキシレン100mlに溶解して放冷後、20℃の恒温水槽で1時間再結晶させた後にろ過液に溶解しているポリプロピレン系成分を液体クロマトグラフ法にて定量する(X(g))。試料0.5gの精量値(X0(g))を用いて下記式から算出した。
CXS(%)=(X/X0)×100
(5)メソペンタッド分率
原料の場合はポリプロピレン樹脂、フィルムの場合はフィルム試料について凍結粉砕にてパウダー状にし、60℃のn−ヘプタンで2時間抽出し、ポリプロピレン中の不純物・添加物を除去した後、130℃で2時間以上減圧乾燥したものをサンプルとする。該サンプルを溶媒に溶解し、13C−NMRを用いて、以下の条件にてメソペンタッド分率(mmmm)を求めた(単位:%)。
測定条件
・装置:Bruker製DRX−500
・測定核:13C核(共鳴周波数:125.8MHz)
・測定濃度:10質量%
・溶媒:ベンゼン:重オルトジクロロベンゼン=1:3混合溶液(体積比)
・測定温度:130℃
・スピン回転数:12Hz
・NMR試料管:5mm管
・パルス幅:45°(4.5μs)
・パルス繰り返し時間:10秒
・データポイント:64K
・積算回数:10000回
・測定モード:complete decoupling
解析条件
LB(ラインブロードニングファクター)を1としてフーリエ変換を行い、mmmmピークを21.86ppmとした。WINFITソフト(Bruker製)を用いて、ピーク分割を行う。その際に、高磁場側のピークから以下のようにピーク分割を行い、更にソフトの自動フィッテイングを行い、ピーク分割の最適化を行った上で、mmmmのピーク分率の合計をメソペンタッド分率(mmmm)とする。
<1>mrrm
<2><3>rrrm(2つのピークとして分割)
<4>rrrr
<5>mrmr
<6>mrmm+rmrr
<7>mmrr
<8>rmmr
<9>mmmr
<10>mmmm
同じサンプルについて同様の測定を5回行い、得られたメソペンタッド分率の平均値を当該サンプルのメソペンタッド分率とした。
(6)結晶子サイズ
ポリプロピレンフィルムを長さ40mm、幅1mmの短冊状に切断し、厚さが1mmになるように重ねて試料調製した。フィルムのMD−ZD断面に対して垂直方向にX線を入射し、2θ=約17°(α晶(040)面)における結晶ピークの半値幅βeから、下記式(1)、(2)により計算した。
Figure 2019172921
Figure 2019172921
ここで、λ:X線波長(=0.15418nm)、βe:回折ピークの半値幅、βo:半値幅
の補正値(=0.6(透過2θ-θスキャン法)、および0.13(反射2θ-θスキャン法))、K:Scherrer定数(=1.0(透過2θ-θスキャン法)、および0.9(反射2θ-θスキャン法))である。
(測定装置)
・X線回折装置 理学電機(株)社製 4036A2型
X線源 :CuKα線(Niフィルタ使用)
出力 :40kV−30mA
・ゴニオメータ 理学電機(株)社製 2155D型
スリット:2mmφ−1°−1°
検出機 :シンチレーションカウンター
・計数記録装置 理学電機(株)社製 RAD−C型
(7)未延伸ポリプロピレンフィルムのメゾ相分率(広角X線回折)
キャスト工程後の未延伸ポリプロピレンフィルムを幅方向に10mm、長手方向に20mmに切り出した。その試料を用いて、室温中で、回折角(2θ)が5〜30度の範囲で測定を行った。詳細な測定条件は下記のとおりである。
・装置:nano viewer(株式会社リガク製)
・波長:0.15418nm
・X線入射方向:Through方向(フィルム表面に垂直に入射)
・測定時間:300秒
次に、得られた回折プロファイルをピーク分離ソフトウェアで処理してメゾ相、α晶、非晶のプロファイルの3成分に分離する。解析ソフトウェアとして、WaveMetrics,inc社製のIGOR Pro(Ver.6)ソフトウェアを用いた。解析を行うにあたり、以下の様な仮定を行った。
・ピーク形状関数:ローレンツ関数
・ピーク位置:非晶=16.2度、メゾ相=15.0度、21.0度
α晶=14.1度、16.9度、18.6度、21.6度、21.9度
・ピーク半値幅:非晶=8.0、メゾ相(15.0度)=3.5、メゾ相(21.0度)=2.7
非晶、メゾ相の半値幅は上記の値で固定するが、α晶は固定しない。
得られたピーク分離結果に対して、メゾ相に由来する15度と21度にピークを有する回折プロファイルの面積(m15とm21)、非晶に由来する16.2度にピークを有する回折プロファイルの面積(a16.1)、α晶に由来する14.1度、16.9度、18.6度、21.6度および21.9度にピークを有する回折プロファイルの面積(α14.1、α16.9、α18.6、α21.6およびα21.9)を算出し、これを下記式のとおり算出することにより、メゾ相に由来するプロファイルの面積の割合を求め、これをメゾ相分率とした。
メゾ相分率(%)=100×(m15+m21)/(m15+m21+a16.1+α14.1+α16.9+α18.6+α21.6+α21.9
(8)130℃で10分間熱処理後の熱収縮率
ポリプロピレンフィルムを幅方向および長手方向に、それぞれ、幅10mm、長さ30mm(測定方向)の試料を5本切り出し、両端から5mmの位置にそれぞれ印を付けて試長20mm(l)とした。次に、試験片を紙に挟み込み荷重ゼロの状態で130℃に保温されたオーブン内で10分間加熱後に取り出して、室温で冷却後、変化後の試長寸法(l)を測定して下記式にて求め、5本の平均値を熱収縮率とした。
熱収縮率={(l−l)/l}×100(%)
(9)130℃でのフィルム絶縁破壊電圧(V/μm)
130℃に保温されたオーブン内でフィルムを1分間加熱後、その雰囲気中でJIS C2330(2001)7.4.11.2 B法(平板電極法)に準じて測定した。ただし、下部電極については、JIS C2330(2001)7.4.11.2のB法記載の金属板の上に、同一寸法の株式会社十川ゴム製「導電ゴムE−100<65>」を載せたものを電極として使用した。絶縁破壊電圧試験を30回行い、得られた値をフィルムの厚み(上記(1))で除し、(V/μm)に換算し、計30点の測定値(算出値)のうち最大値から大きい順に5点と最小値から小さい順に5点を除いた20点の平均値を130℃でのフィルム絶縁破壊電圧とした。
(10)光沢度
JIS K−7105(1981)に準じ、スガ試験機株式会社製 デジタル変角光沢計UGV−5Dを用いて入射角60°受光角60°の条件でキャスティングドラム接触面側の表面を測定した5点のデータの平均値を光沢度(%)とした。フィルム測定面はキャストドラム面側を測定するものであるが、不明な場合は両面測定し、Ssk値の低い面の値を用いるものとする。
(11)静摩擦係数(μs)
東洋精機(株)製スリップテスターを用いて、JIS K 7125(1999)に準じて、25℃、65%RHにて測定した。なお、測定は2枚のフィルム長手方向を一致させ、かつ、フィルムの一方の表面と他のフィルムの反対面をそれぞれ重ね合わせて行った。試験n数は5回行い、得られた値の平均値を算出し、当該サンプルの静摩擦係数(μs)とした。
(12)フィルムコンデンサ特性の評価(115℃での耐電圧および信頼性)
後述する各実施例および比較例で得られたフィルムのコロナ放電処理を施したフィルム表面(フィルム処理表面が不明な場合は、フィルム両面のうち濡れ張力が高い方のフィルム表面)に、(株)アルバック製真空蒸着機でアルミニウムを膜抵抗が8Ω/sqで長手方向に垂直な方向にマージン部を設けた所謂T型マージンパターンを有する蒸着パターンで蒸着を施し、幅50mmの蒸着リールを得た。
次いで、このリールを用いて(株)皆藤製作所製素子巻機(KAW−4NHB)にてコンデンサ素子を巻き取り、メタリコンを施した後、減圧下、129℃の温度で15時間の熱処理を施し、リード線を取り付けコンデンサ素子に仕上げた。
こうして得られたコンデンサ素子10個を用いて、115℃高温下でコンデンサ素子に250VDCの電圧を印加し、該電圧で10分間経過後にステップ状に50VDC/1分で徐々に印加電圧を上昇させることを繰り返す所謂ステップアップ試験を行なった。
<素子加工性>
下記基準で判断した。上記と同様にしてコンデンサ素子を作成し、目視により素子の形状を確認した。
◎:コンデンサ素子の端面フィルムのズレ、シワ、変形がなく、後の工程に全く支障がないレベル
○:コンデンサ素子の変形が僅かにあるが後の工程で問題がないレベル
×:コンデンサ素子の変形、シワ、端面ズレが生じており、後の工程に支障を来すレベル
◎、○は使用可能である。×では実用が困難である。
<耐電圧>
ステップアップ試験において静電容量変化を測定しグラフ上にプロットして、該容量が初期値の75%になった電圧をフィルムの厚み(上記(1))で割り返して耐電圧評価とし、以下の通り評価した。
◎:400V/μm以上
○:390V/μm以上400V/μm未満
△:380V/μm以上390V/μm未満
×:380V/μm未満
◎、○、△が使用可能である。×では実用上の性能に劣る。
<信頼性>
ステップアップ試験において静電容量が初期値に対して8%以下に減少するまで電圧を上昇させた後に、コンデンサ素子を解体し破壊の状態を調べて、信頼性を以下の通り評価した。
◎:素子形状の変化は無く貫通状の破壊は観察されない。
○:素子形状の変化は無くフィルム10層以内の貫通状破壊が観察される。
×:素子形状に変化が認められる若しくは10層を超える貫通状破壊が観察される。もしくは素子形状が破壊する
◎は問題なく使用でき、○では条件次第で使用可能である。×では実用上の性能に劣る。
以下、実施例を挙げて本発明の効果をさらに説明する。
(実施例1)
主要ポリプロピレン樹脂(a1)として、メソペンタッド分率が0.983、融点が168℃で、メルトフローレート(MFR)が2.5g/10分、冷キシレン可溶部(CXS)が0.9質量%であるプライムポリマー(株)製ポリプロピレン樹脂89.8質量部と、それよりMFRが低いポリプロピレン樹脂(a2)として、融点が162℃で、MFRが0.5g/10分であるプライムポリマー(株)製ポリプロピレン樹脂10.0質量部と、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.1質量部がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、溶融混練を行い、ストランドをダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン樹脂組成物(a)を準備した。
次いで、上記樹脂組成物(a)を温度260℃に設定した単軸の押出機に供給し、樹脂温度260℃でT型スリットダイよりシート状に溶融押出し、該溶融シートを25℃に保持されたキャスティングドラム上で、エアーナイフにより密着させ冷却固化し未延伸ポリプロピレンフィルムを得た。該未延伸ポリプロピレンフィルムを複数のロール群にて段階的に81℃まで予熱し、引き続き121℃の温度に保ち周速差を設けたロール間に通し、長手方向に6.2倍に延伸した。引き続き該フィルムをテンターに導き、フィルム幅手の両端部をクリップで把持したまま170℃の温度(TD延伸温度+11℃)で予熱し、次いで159℃の温度で幅方向に12.8倍延伸し、面積延伸倍率を79倍とした。さらに1段目の熱処理および弛緩処理として幅方向に9%の弛緩を与えながら154℃で熱処理を行ない、さらに2段目の熱処理としてクリップで幅方向を把持したまま145℃で熱処理を行った。最後に3段目の熱処理として110℃の熱処理を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップ解放し、次いでフィルム表面(キャスティングドラム接触面側)に25W・分/mの処理強度で大気中でコロナ放電処理を行い、フィルム厚み2.4μmのフィルムをフィルムロールとして巻き取った。実施例1のポリプロピレンフィルムの特性およびコンデンサ特性は表1に示す通りで、コンデンサ素子加工性がとても優れ、またコンデンサとしての信頼性、耐電圧はともに優れたものであった。
(実施例2)
ポリプロピレン樹脂(a1)として、メソペンタッド分率が0.972、融点が165℃で、MFRが3.8g/10分、冷キシレン可溶部(CXS)が1.4質量%であるプライムポリマー(株)製ポリプロピレン樹脂を用い、溶融押出シートを冷却するキャスティングドラムの温度、二軸延伸時の延伸倍率、TD予熱、TD延伸および熱処理条件を表1の条件とした以外は実施例1と同様にして、厚み2.5μmのポリプロピレンフィルムを得た。実施例2のポリプロピレンフィルムの特性およびコンデンサ特性は表1に示す通りで、コンデンサ素子加工性がとても優れ、コンデンサとしての耐電圧および信頼性は実使用上問題のないレベルであった。
(実施例3)
ポリプロピレン樹脂(a2)として、融点が160℃で、MFRが1.4g/10分である住友化学(株)製ポリプロピレン樹脂を用い、二軸延伸時の延伸倍率、TD予熱、TD延伸および熱処理条件を表1の条件とした以外は実施例1と同様にして、厚み2.4μmのポリプロピレンフィルムを得た。実施例3のポリプロピレンフィルムの特性およびコンデンサ特性は表1に示す通りで、コンデンサ素子加工性がやや劣るが実使用において問題ないレベルで、またコンデンサとしての耐電圧および信頼性も実使用上問題のないレベルであった。
(実施例4および比較例2)
ポリプロピレン樹脂(a2)の含有量が表1に示した含有量となるよう樹脂組成物(a)を作成し、溶融押出シートを冷却するキャスティングドラムの温度、TD予熱、TD延伸および熱処理条件を表1の条件とした以外は実施例1と同様にして、厚み2.4μmのポリプロピレンフィルムを得た。実施例4のポリプロピレンフィルムの特性およびコンデンサ特性は表1に示す通りで、コンデンサ素子加工性がやや劣るが実使用において問題ないレベルであったが、コンデンサとしての信頼性、耐電圧はともに優れたものであった。一方、比較例2のポリプロピレンフィルムのコンデンサ素子加工性は問題ないレベルであるが、コンデンサとしての耐電圧は不十分で、信頼性評価において素子形状に変化が認められ実使用に耐えられないレベルのものであった。
(実施例5)
二軸延伸フィルムの厚みが5.5μmとなるよう、溶融押出シートを冷却するキャスティングドラムの温度、二軸延伸時の延伸倍率、TD予熱、TD延伸および熱処理条件を表1の条件とした以外は実施例1と同様にしてポリプロピレンフィルムを得た。実施例5のポリプロピレンフィルムの特性およびコンデンサ特性は表1に示す通りで、コンデンサ素子加工性がとても優れ、コンデンサとしての耐電圧は実使用上問題のないレベルで、信頼性はとても優れたものであった。
(実施例6、7)
溶融押出シートを冷却するキャスティングドラムの温度、二軸延伸時の延伸倍率、TD予熱、TD延伸および熱処理条件を表1の条件とした以外は実施例1と同様にして、厚み2.5μmのポリプロピレンフィルムを得た。
各実施例のポリプロピレンフィルムの特性およびコンデンサ特性は表1に示す通りで、実施例6のポリプロピレンフィルムはコンデンサ素子加工性にとても優れ、コンデンサとしての耐電圧および信頼性は実使用上問題のないレベルであった。実施例7のポリプロピレンフィルムはコンデンサ素子加工性がやや劣るが実使用において問題ないレベルで、またコンデンサとしての耐電圧および信頼性も実使用上問題のないレベルであった。
(実施例8)
実施例3で用いたポリプロピレン樹脂組成物をA層用の単軸の溶融押出機に供給し、ポリプロピレン樹脂(a1)をB層用の単軸の溶融押出機に供給し、樹脂温度260℃で溶融させ、フィードブロックを用いてA/B/Aの3層積層で積層厚み比が1/8/1(フィルム全厚みに対する表面層A層の割合は20%)となるよう押出量を調節し、その溶融積層ポリマーをTダイより吐出させ、該溶融シートを25℃に保持されたキャスティングドラム上で、エアーナイフにより密着させ冷却固化し未延伸ポリプロピレンフィルムを得た。未延伸ポリプロピレンフィルムを、二軸延伸時の延伸倍率、TD予熱、TD延伸および熱処理条件を表1の条件とした以外は実施例1と同様にして、厚み2.5μmのポリプロピレンフィルムを得た。実施例8のポリプロピレンフィルムの特性およびコンデンサ特性は表1に示す通りで、コンデンサ素子加工性がとても優れ、またコンデンサとしての信頼性、耐電圧はともに優れたものであった。
(比較例1)
実施例1で用いたポリプロピレン樹脂(a1)のみを使用し、溶融押出シートを冷却するキャスティングドラムの温度、二軸延伸時の延伸倍率、TD予熱、TD延伸および熱処理条件を表1の条件とした以外は実施例1と同様にして、厚み2.5μmのポリプロピレンフィルムを得た。比較例1のポリプロピレンフィルムの特性およびコンデンサ特性は表1に示す通りで、コンデンサ素子加工性は素子の変形、シワ、端面ズレが生じ、コンデンサとしての耐電圧は不十分で、信頼性評価において貫通破壊され実使用で問題となるレベルのものであった。
(比較例3)
ポリプロピレン樹脂(a2)として、融点が163℃で、MFRが8.0g/10分である住友化学(株)製ポリプロピレン樹脂を用い、二軸延伸時の延伸倍率、TD予熱、およびTD延伸温度を表1の条件とした以外は実施例1と同様にして、厚み2.5μmのポリプロピレンフィルムを得た。比較例3のポリプロピレンフィルムの特性およびコンデンサ特性は表1に示す通りで、ポリプロピレンフィルムのコンデンサ素子加工性は素子の変形、シワ、端面ズレが生じ、コンデンサとしての耐電圧は不十分で、信頼性評価において貫通破壊され実使用で問題となるレベルのものであった。
(比較例4)
ポリプロピレン樹脂(a2)を使用せず、ポリプロピレン樹脂(a1)として、メソペンタッド分率が0.980、融点が165℃で、MFRが2.5g/10分、冷キシレン可溶部(CXS)が2.5質量%であるポリプロピレン樹脂を用い、温度260℃に設定した単軸の押出機に供給し、樹脂温度260℃でT型スリットダイよりシート状に溶融押出し、4つの連続したキャストシート上(CD1、CD2、CD3、CD4)に、エアーナイフにより密着させ冷却固化し未延伸ポリプロピレンフィルムを得た。このときCD1およびCD2は30℃、CD3およびCD4は92℃であった。未延伸ポリプロピレンフィルムを二軸延伸時の延伸倍率、TD予熱、TD延伸および熱処理条件(1段目熱処理のみ行い、2段目および3段目熱処理を省略)を表1の条件とした以外は実施例1と同様にして、厚み2.5μmのポリプロピレンフィルムを得た。比較例4のポリプロピレンフィルムの特性およびコンデンサ特性は表1に示す通りで、コンデンサ素子加工性がとても優れるが、コンデンサとしての耐電圧は不十分で、信頼性評価において貫通破壊され実使用で問題となるレベルのものであった。
(比較例5)
ポリプロピレン樹脂(a2)を使用せず、ポリプロピレン樹脂(a1)として、メソペンタッド分率が0.945、融点が163℃で、MFRが4.1g/10分、冷キシレン可溶部(CXS)が2.8質量%であるポリプロピレン樹脂を用い、温度260℃に設定した単軸の押出機に供給し、溶融押出シートを冷却するキャスティングドラムの温度、二軸延伸時の延伸倍率、TD予熱、TD延伸および熱処理条件(1段目熱処理のみ行い、2段目および3段目熱処理を省略)を表1の条件とした以外は実施例1と同様にして、厚み2.4μmのポリプロピレンフィルムを得た。比較例5のポリプロピレンフィルムの特性およびコンデンサ特性は表1に示す通りで、コンデンサ素子加工性がとても優れるが、コンデンサとしての耐電圧は全く不足しており、信頼性評価において貫通破壊され実使用で問題となるレベルのものであった。
(比較例6)
ポリプロピレン樹脂(a2)を使用せず、A/B/A3層複合押出によりポリプロピレンフィルムを作製した。表層部に該当するA層用のポリプロピレン樹脂(a1)として、メソペンタッド分率が0.983、融点が168℃で、メルトフローレート(MFR)が2.5g/10分、冷キシレン可溶部(CXS)が0.9質量%であるプライムポリマー(株)製ポリプロピレン樹脂100質量部に対し、「表面シランカップリング処理した平均粒子径0.1μmシリカ粒子:株式会社トクヤマ製SANSIL SS−01」を0.4質量部となるように250℃に設定した押出機で混練押出し、ストランドを水冷後チップ化し、ポリプロピレン樹脂原料(A1)とした。次いで、ポリプロピレン樹脂原料(A1)をA層用の単軸の溶融押出機に供給し、基層部に該当するB層用のポリプロピレン樹脂として、A層に用いたものと同様のポリプロピレン樹脂(a1)100質量部を、B層用の単軸の溶融押出機に供給し、260℃で溶融押出を行い、フィードブロックを用いてA/B/Aの3層積層で積層厚み比が1/8/1(フィルム全厚みに対する表面層A層の割合は20%)となるよう押出量を調節し、その溶融積層ポリマーを、樹脂温度260℃でTダイより吐出させてポリプロピレンフィルムを作製した。二軸延伸時の延伸倍率、TD予熱、および熱処理条件(1段目熱処理と2段目熱処理のみで3段目熱処理を省略)を表1の条件とした以外は実施例1と同様にして、厚み2.4μmのポリプロピレンフィルムを得た。比較例6のポリプロピレンフィルムの特性およびコンデンサ特性は表1に示す通りで、コンデンサ素子加工性がとても優れるが、コンデンサとしての耐電圧は不十分で、信頼性評価において貫通破壊され実使用で問題となるレベルのものであった。
(比較例7)
ポリプロピレン樹脂(a2)を使用せず、A/B/A3層複合押出によりポリプロピレンフィルムを作製した。表層部に該当するA層用のポリプロピレン樹脂(a1)として、メソペンタッド分率が0.983、融点が168℃で、メルトフローレート(MFR)が2.5g/10分、冷キシレン可溶部(CXS)が0.9質量%であるプライムポリマー(株)製ポリプロピレン樹脂100質量部に対し、三井化学製ポリメチルペンテン系樹脂“TPX”(登録商標) MX002(融点が224℃)を4質量部の配合比でブレンドし、250℃に設定した二軸押出機で混練押出し、ストランドを水冷後チップ化し、ポリプロピレン樹脂原料(A3)とした。これをA層用の単軸の溶融押出機に供給し、フィードブロックを用いてA/B/Aの3層積層で積層厚み比が1/8/1(フィルム全厚みに対する表面層A層の割合は20%)となるよう押出量を調節し、その溶融積層ポリマーを、樹脂温度260℃でTダイより吐出させてポリプロピレンフィルムを作製した。二軸延伸時の延伸倍率、TD予熱、および熱処理条件(1段目熱処理と2段目熱処理のみで3段目熱処理を省略)を表1の条件とした以外は実施例1と同様にして、厚み2.4μmのポリプロピレンフィルムを得た。比較例7のポリプロピレンフィルムの特性およびコンデンサ特性は表1に示す通りで、コンデンサ素子加工性がやや劣るが実使用において問題ないレベルで、またコンデンサとしての耐電圧も実使用上問題のないレベルであったが、信頼性評価において貫通破壊され実使用で問題となるレベルのものであった。
Figure 2019172921

Claims (11)

  1. ポリプロピレンを主成分とし、少なくとも一方の表面における突起形状の偏り度Ssk(スキューネス)が−10を超えて100未満である、ポリプロピレンフィルム。
  2. 前記表面における、面積範囲1252×939μmにおける深さ20nm以上の谷の体積を合計した総谷側体積が1〜10000μmである、請求項1に記載のポリプロピレンフィルム。
  3. 前記ポリプロピレンフィルムを沸騰キシレンで完全溶解せしめた後、室温で析出させたときに、キシレン中に溶解しているポリプロピレン成分(CXS)が1.5質量%未満である、請求項1または2に記載のポリプロピレンフィルム。
  4. 結晶子サイズが12.0nm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリプロピレンフィルム。
  5. フィルム長手方向および幅方向の130℃で10分間加熱処理後の熱収縮率の和が5.0%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリプロピレンフィルム。
  6. 少なくとも一方の表面の光沢度が130%以上150%未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリプロピレンフィルム。
  7. 三次元非接触表面形状計測(VertSCAN)により測定した少なくとも一方の表面の突起形状の算術平均高さSaが5〜30nmである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリプロピレンフィルム。
  8. 厚みが0.5μm以上、10μm以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリプロピレンフィルム。
  9. 実質的にポリプロピレン単独重合体のみからなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリプロピレンフィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に金属膜が設けられてなる金属膜積層フィルム。
  11. 請求項10に記載の金属膜積層フィルムを用いてなるフィルムコンデンサ。
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