JP2019168145A - 熱交換器用チューブ及び熱交換器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗膜の厚みを従来よりも薄くすることができ、ろう付後の耐食性に優れた熱交換器用チューブ及びこの熱交換器用チューブを用いた熱交換器の製造方法を提供する。【解決手段】熱交換器用チューブ1は、チューブ本体11と、チューブ本体11の表面に塗布された塗膜2と、を有している。チューブ本体11は、Mn:0.40〜1.7質量%、Si:0.15質量%以下、Cu:0.10質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有している。塗膜2は、体積基準における累積99%粒径が20μm超え35μm以下である1g/m2以上4g/m2以下のSi粉末と、Znを含有する化合物よりなる1g/m2以上9g/m2以下のZn含有フラックス粉末と、を含む混合粉末と、バインダと、を含有している。塗膜2中のバインダの比率は5〜40質量%である。【選択図】図1
Description
本発明は、熱交換器用チューブ及び熱交換器の製造方法に関する。
エバポレータ、コンデンサ等の自動車用熱交換器には、一般に、軽量であり、高い熱伝導性を有するアルミニウム材(アルミニウム及びアルミニウム合金を含む。以下同じ。)が使用されている。この種の熱交換器は、例えば、多穴管と呼ばれる、仕切によって区画された複数の冷媒流路を管内部に備えたチューブを有している。熱交換器を作製するにあたっては、チューブと、フィン等の他の部材とを備えた構造体を組み立てた後、部材同士の接合予定部、つまり、ろう付によって接合しようとする部分にフッ化物系フラックスを塗布し、ろう付によってこれらの部材を接合する方法が採用されている。また、ろう付は、通常、不活性ガス雰囲気下において行われている。
近年、自動車の燃費を向上させて環境負荷を低減するため、自動車用熱交換器のさらなる軽量化が求められている。かかる観点から、自動車用熱交換器に用いられる多穴管等のチューブにおいても、軽量化を目的として肉厚を薄くすることが強く望まれている。しかし、熱交換器の使用中にチューブに腐食による貫通が生じた場合、冷媒漏れのため熱交換器としての機能を果たすことができなくなる。それ故、チューブの肉厚をより薄くするためには、耐食性を向上させる必要がある。
従来、チューブの耐食性を高める手法として、予め溶射等の方法によってチューブの表面にZnを付着させる方法が用いられている。チューブの表面に付着したZnは、ろう付時の加熱により拡散し、チューブの表面にZn拡散層を形成する。このZn拡散層がZn拡散層よりも深い部分に対して犠牲陽極として作用することにより、チューブの肉厚方向への腐食の進展を抑制し、貫通寿命をより長くすることができる。
しかしながら、前記の方法は、チューブの表面に予めZnを付着させる作業を行った後に、チューブ等へフッ化物系フラックスを塗布する作業を行う必要がある。また、この場合には、心材上にろう材がクラッドされたブレージングシートからなるフィンが必要となる。それ故、前記の方法は、製造コストや材料コストの低減が困難である。また、Zn溶射を行う場合には、歩留まりが悪いという問題があるため、さらなるコストの増大を招くおそれがある。更に、Zn溶射は、チューブの表面へのZnの付着量にバラつきが生じやすく、特にチューブの幅方向におけるZnの付着量に偏りが生じ、耐食性にバラつきが生じやすいという問題もある。
これらの問題に対し、チューブの外表面に、Si(シリコン)粉末、Zn含有フラックス、Zn非含有フラックス及びバインダが含まれてなるフラックス層を形成する技術が提案されている。かかる技術の例として、特許文献1には、Al合金押出管に対するSi粉末の塗布量が1g/m2以上5g/m2以下の範囲であり、Zn含有フラックスの塗布量が3g/m2以上20g/m2以下の範囲であるフラックス層を備えた熱交換器用チューブが記載されている。特許文献1のフラックス層においては、99%粒径(D99)が5μm以上20μm以下であるSi粉末が使用されている。
特許文献1の熱交換器用チューブを用いてろう付を行う場合、ろう付の際にZn含有フラックス及びZn非含有フラックスによってチューブ本体やフィンの表面に存在するアルミニウムの酸化物皮膜やSi粉末の表面に存在するシリコンの酸化物皮膜を除去する必要がある。これらの酸化物皮膜を除去するためには、Zn含有フラックス及びZn非含有フラックスの含有量を十分に多くする必要がある。
Zn含有フラックスやZn非含有フラックスの含有量を多くすると、フラックス層の厚みが厚くなる。しかし、厚いフラックス層を有する熱交換器用チューブを用いて熱交換器を作製する場合には、ろう付の際にフラックス層が溶融することにより、ろう付後の熱交換器の寸法がろう付前に比べて小さくなりやすい。そのため、熱交換器の寸法が所望の寸法からずれやすくなるおそれがある。
また、フラックス層の厚みが厚い場合には、フラックス層の溶融により、チューブとフィンとの間に比較的大きな隙間が形成されやすい。その結果、チューブとフィンとの間にフィレットが形成されず、ろう付を行うことができなくなるおそれもある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、塗膜の厚みを従来よりも薄くすることができ、ろう付後の耐食性に優れた熱交換器用チューブ及びこの熱交換器用チューブを用いた熱交換器の製造方法を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、Mn:0.40〜1.7質量%、Si:0.15質量%以下、Cu:0.10質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有するチューブ本体と、
前記チューブ本体の表面に塗布された塗膜とを有し、
前記塗膜は、
体積基準における累積99%粒径が20μm超え35μm以下である1g/m2以上4g/m2以下のSi粉末と、Znを含有する化合物よりなる1g/m2以上9g/m2以下のZn含有フラックス粉末と、を含む混合粉末と、
バインダと、を含有しており、
前記塗膜中の前記バインダの比率が5〜40質量%である、熱交換器用チューブにある。
前記チューブ本体の表面に塗布された塗膜とを有し、
前記塗膜は、
体積基準における累積99%粒径が20μm超え35μm以下である1g/m2以上4g/m2以下のSi粉末と、Znを含有する化合物よりなる1g/m2以上9g/m2以下のZn含有フラックス粉末と、を含む混合粉末と、
バインダと、を含有しており、
前記塗膜中の前記バインダの比率が5〜40質量%である、熱交換器用チューブにある。
本発明の他の態様は、前記の態様の熱交換器用チューブを用いた熱交換器の製造方法であって、
複数の前記熱交換器用チューブがフィンを介して平行に配列され、前記熱交換器用チューブと前記フィンとが交互に積層されたコアと、前記熱交換器用チューブの長手方向における、前記コアの両端に配置されたヘッダとを備えた組立体を作製し、
前記組立体を加熱して前記熱交換器用チューブと前記フィンとをろう付するとともに、前記熱交換器用チューブと前記ヘッダとをろう付することにより熱交換器を作製する、熱交換器の製造方法にある。
複数の前記熱交換器用チューブがフィンを介して平行に配列され、前記熱交換器用チューブと前記フィンとが交互に積層されたコアと、前記熱交換器用チューブの長手方向における、前記コアの両端に配置されたヘッダとを備えた組立体を作製し、
前記組立体を加熱して前記熱交換器用チューブと前記フィンとをろう付するとともに、前記熱交換器用チューブと前記ヘッダとをろう付することにより熱交換器を作製する、熱交換器の製造方法にある。
前記熱交換器用チューブは、チューブ本体と、チューブ本体の表面に塗布された塗膜と、を有している。塗膜中には、前記特定の範囲の累積99%粒径により表される粒径分布を備えたSi粉末と、Zn含有フラックス粉末とが含まれている。Zn含有フラックス粉末は、Znを含有する化合物より構成されており、ろう付時の加熱によってチューブ本体のAlと反応してフラックス成分とZnとを生成することができる。このフラックス成分により、Si粉末を構成する個々の粒子の表面に存在するSiの酸化物皮膜やチューブ本体の表面に存在するAlの酸化物皮膜を除去し、ろう付を行うことができる。
また、Zn含有フラックス粉末から生じたZnは、チューブ本体に拡散してZn拡散層を形成し、チューブ本体の表面から深部にかけて、表面が卑で深部が貴となる電位勾配を形成することができる。その結果、チューブ本体の表層部が犠牲陽極となり、チューブ本体の深部の耐食性を向上させることができる。
また、Si粉末の粒径分布を前記特定の範囲の累積99%粒径で表される分布とすることにより、より微細な粒子の割合が多いSi粉末を使用する場合に比べて、Si粉末の質量に対する表面積の割合を小さくすることができる。それ故、より少量のZn含有フラックス粉末によりSi粉末中に含まれるSiの酸化物皮膜を除去し、チューブ本体とフィンとのろう付を行うことができる。
以上のように、前記熱交換器用チューブによれば、ろう付性及びろう付後の耐食性を損なうことなく、従来よりもZn含有フラックス粉末の量を低減することができる。その結果、前記熱交換器用チューブは、従来の熱交換器用チューブよりも塗膜全体の厚みを薄くすることができる。
そして、前記熱交換器用チューブを用いることにより、ろう付時における熱交換器の寸法の収縮量を低減することができる。更に、前記熱交換器用チューブによれば、ろう付時のチューブとフィンとの間の隙間を小さくし、チューブとフィンとのろう付不良を抑制することができる。
前記チューブの構成について、以下に詳説する。
(チューブ本体)
チューブ本体の形態は特に限定されることは無く、用途や要求される特性に応じて適宜選択することができる。例えば、チューブ本体は、押出加工により形成され、内部に複数の冷媒流路を有する押出多穴管とすることができる。また、チューブ本体は、単純な筒状等の形状であってもよい。この場合には、チューブ本体を押出加工により作製してもよく、板材に曲げ加工を施すことにより作製してもよい。
チューブ本体の形態は特に限定されることは無く、用途や要求される特性に応じて適宜選択することができる。例えば、チューブ本体は、押出加工により形成され、内部に複数の冷媒流路を有する押出多穴管とすることができる。また、チューブ本体は、単純な筒状等の形状であってもよい。この場合には、チューブ本体を押出加工により作製してもよく、板材に曲げ加工を施すことにより作製してもよい。
チューブ本体は、アルミニウム材より構成されている。アルミニウム材の材質は、所望する特性に応じて、公知のアルミニウム及びアルミニウム合金から適宜選択することができる。
例えば、前記チューブ本体は、Mn:0.40〜1.7質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有するアルミニウム合金から構成されていてもよい。
・Mn(マンガン):0.40〜1.7質量%
Mnは、Al母相中に固溶することにより、チューブ本体の強度を向上させる作用を有する。チューブ本体中のMnの含有量を0.40質量%以上、好ましくは0.50質量%以上とすることにより、チューブ本体の強度を向上させることができる。チューブ本体中のMnの含有量が0.40質量%未満の場合には、チューブ本体の強度の低下を招くおそれがある。
Mnは、Al母相中に固溶することにより、チューブ本体の強度を向上させる作用を有する。チューブ本体中のMnの含有量を0.40質量%以上、好ましくは0.50質量%以上とすることにより、チューブ本体の強度を向上させることができる。チューブ本体中のMnの含有量が0.40質量%未満の場合には、チューブ本体の強度の低下を招くおそれがある。
一方、Mnの含有量が多くなると、押出加工における加工性が低下し、前記チューブ本体の生産性が低下するおそれがある。チューブ本体中のMnの含有量を1.7質量%以下、好ましくは1.5質量%以下とすることにより、かかる問題を回避しつつチューブ本体の強度を向上させることができる。
また、チューブ本体中のMnの含有量を前記特定の範囲とすることにより、Al母相中にAl−Mn系析出物を析出させることができる。その結果、チューブ本体とフィンとの接合予定部や、チューブ本体とヘッダとの接合予定部などの複数の接合予定部に十分な量の溶融ろうを分配し、ろう付不良の発生を抑制することができる。この理由としては、例えば以下の理由が考えられる。
前記チューブを用いてろう付を行う場合、溶融ろうは、チューブ本体の表面を伝わって流動し、チューブ本体とフィンとの接合予定部や、チューブ本体とヘッダとの接合予定部などの複数の接合予定部に分配される。
この際、チューブ本体とフィンとの隙間の大きさや、チューブ本体とヘッダとの隙間の大きさによっては、複数の接合予定部のうち特定の接合予定部に溶融ろうが集中し、他の接合予定部において溶融ろうが不足することがある。このような溶融ろうの集中はチューブ本体とフィンとの接合予定部において発生しやすい。その一方で、チューブ本体とフィンとの接合予定部に溶融ろうが移動することにより、チューブ本体とヘッダとの接合予定部において溶融ろうが不足し、ろう付不良が発生しやすい。
チューブ本体にAl−Mn系析出物を析出させた場合、Al−Mn系析出物の一部は、チューブ本体の表面に露出する。このAl−Mn系析出物は、溶融ろうの流動を妨げる作用を有している。そのため、チューブ本体の表面にAl−Mn系析出物を露出させることにより、前述したような特定の接合予定部への溶融ろうの集中を抑制し、各接合予定部に十分な量の溶融ろうを分配することができる。その結果、溶融ろうの集中によるろう付不良の発生を抑制することができる。
・Si(シリコン):0.15質量%以下
前記チューブ本体は、更に、任意成分として、Si:0.15質量%以下を含有していてもよい。Siは、Al母相中において、AlMnSi系金属間化合物として存在している。Al母相中のAlMnSi系金属間化合物がチューブ本体の押出加工においてダイスとチューブ本体との間に挟み込まれると、チューブ本体にダイスマークと呼ばれる溝が形成される。
前記チューブ本体は、更に、任意成分として、Si:0.15質量%以下を含有していてもよい。Siは、Al母相中において、AlMnSi系金属間化合物として存在している。Al母相中のAlMnSi系金属間化合物がチューブ本体の押出加工においてダイスとチューブ本体との間に挟み込まれると、チューブ本体にダイスマークと呼ばれる溝が形成される。
チューブ本体中のSiの含有量が多くなると、AlMnSi系金属間化合物が粗大化するため、ダイスマークが深くなりやすい。そして、チューブ本体の外表面に深いダイスマークが存在する場合には、ろう付の際に、ヘッダ等で生じた余剰の溶融ろうがダイスマークを伝わってフィンに到達し、フィンの溶融量が過度に多くなるおそれがある。かかる問題を回避する観点から、チューブ本体中のSiの含有量は0.15質量%以下とすることが好ましく、0.10質量%以下とすることがより好ましい。
・Cu(銅):0.10質量%以下
前記チューブ本体は、更に、任意成分として、Cu:0.10質量%以下を含有していてもよい。前記チューブを用いてろう付を行うと、Zn含有フラックス粉末とAlとの反応によって生じたZnが深さ方向に拡散することにより、チューブ本体の表面にZn拡散層が形成される。このようにして形成されるZn拡散層においては、Zn溶射のような、チューブ本体の表面にZnを直接付着させる場合に比べて、表面におけるZn濃度が低くなる。
前記チューブ本体は、更に、任意成分として、Cu:0.10質量%以下を含有していてもよい。前記チューブを用いてろう付を行うと、Zn含有フラックス粉末とAlとの反応によって生じたZnが深さ方向に拡散することにより、チューブ本体の表面にZn拡散層が形成される。このようにして形成されるZn拡散層においては、Zn溶射のような、チューブ本体の表面にZnを直接付着させる場合に比べて、表面におけるZn濃度が低くなる。
一方、チューブ本体中のCuは、チューブ本体の電位を貴化させる作用を有している。更に、前記チューブを用いてろう付を行う場合には、Znの拡散と同時に、Si粉末から供給されるSiも深さ方向に拡散し、Si拡散層が形成される。このSi拡散層も、Cuと同様にチューブ本体の電位を貴化させる作用を有している。
かかる状況において、Cuの含有量が過度に多い場合には、Si拡散層及びCuによる電位貴化の効果がZnによる電位卑化の効果よりも高くなり、Zn拡散層による犠牲防食効果が得られなくなるおそれがある。
Znによる電位卑化の効果をSi拡散層及びCuによる電位貴化の効果よりも大きくするためには、単純には、塗膜中のZn含有フラックス粉末の量を増やす方法が考えられる。しかし、この場合には、前記塗膜の厚みが増大するため、ろう付時にチューブ本体とフィンとの間に大きな隙間が形成され、ろう付不良の増大や熱交換器の寸法変化の増大が起こりやすくなる。また、この場合には、チューブ本体とフィンとの間に形成されるフィレットのZn濃度が高くなりやすい。そのため、フィレットが早期に腐食し、フィンがチューブ本体から早期に剥離するおそれがある。
また、チューブ本体中のCuの含有量が多くなると、押出加工における加工性が低下し、前記チューブ本体の生産性の低下を招くおそれがある。
チューブ本体中のCuの含有量を0.10質量%以下、好ましくは0.050質量%以下、さらに好ましくは0.030質量%未満とすることにより、前述した問題を回避し、Zn拡散層による犠牲防食効果を得ることができる。
・Ti(チタン):0.30質量%以下
前記チューブ本体は、更に、任意成分として、Ti:0.30質量%以下を含有していてもよい。チューブ本体中にTiが含まれる場合、Tiの濃度が比較的高い高濃度領域と比較的低い低濃度領域とがチューブ本体の肉厚方向に交互に積層される。低濃度領域は高濃度領域よりも腐食されやすいため、Tiの濃度が比較的低い低濃度領域を層状に形成することにより、肉厚方向への腐食の進行を抑制することができる。その結果、チューブ本体の耐孔食性および耐粒界腐食性をより向上することができる。
前記チューブ本体は、更に、任意成分として、Ti:0.30質量%以下を含有していてもよい。チューブ本体中にTiが含まれる場合、Tiの濃度が比較的高い高濃度領域と比較的低い低濃度領域とがチューブ本体の肉厚方向に交互に積層される。低濃度領域は高濃度領域よりも腐食されやすいため、Tiの濃度が比較的低い低濃度領域を層状に形成することにより、肉厚方向への腐食の進行を抑制することができる。その結果、チューブ本体の耐孔食性および耐粒界腐食性をより向上することができる。
また、前記チューブ本体中にTiが含まれている場合には、常温及び高温での強度をより向上させることができる。
しかし、チューブ本体中のTiの含有量が過度に多くなると、鋳造時に巨大晶出物が生成し、健全なチューブ本体の製造が困難となるおそれがある。また、この場合には、チューブ本体の押出加工においてダイスとチューブ本体との間に前述した晶出物が挟み込まれ、チューブ本体に深いダイスマークが形成されるおそれもある。Tiの含有量を0.30質量%以下とすることにより、かかる問題を回避しつつTiによる前述した作用効果を得ることができる。
・Sr(ストロンチウム):0.10質量%以下
前記チューブ本体は、更に、任意成分として、Sr:0.10質量%以下を含有していてもよい。Srは、溶融ろうが冷却時に凝固する際に晶出する共晶組織を微細化させ、均一に分散させる作用を有する。この共晶組織はアノードサイトとなるため、共晶組織を分散させることにより、腐食形態を面状にすることができる。その結果、チューブ本体の耐食性をより向上させることができる。
前記チューブ本体は、更に、任意成分として、Sr:0.10質量%以下を含有していてもよい。Srは、溶融ろうが冷却時に凝固する際に晶出する共晶組織を微細化させ、均一に分散させる作用を有する。この共晶組織はアノードサイトとなるため、共晶組織を分散させることにより、腐食形態を面状にすることができる。その結果、チューブ本体の耐食性をより向上させることができる。
しかし、チューブ本体中のSrの含有量が過度に多くなると、Al−Si−Sr系化合物が晶出するため、共晶組織の微細化が不十分となるおそれがある。また、この場合には、チューブ本体の押出加工においてダイスとチューブ本体との間にAl−Si−Sr系化合物が挟み込まれ、チューブ本体に深いダイスマークが形成されるおそれもある。Srの含有量を0.10質量%以下とすることにより、かかる問題を回避し、耐食性をより向上させることができる。
・Zr(ジルコニウム):0.30質量%以下
前記チューブ本体は、更に、任意成分として、Zr:0.30質量%以下を含有していてもよい。Zrは、ろう付時の加熱によってアルミニウム材が再結晶した際に、再結晶粒を粗大化し、粒界密度を低下させる作用を有する。Zrによって前記チューブ本体の表面における粒界密度を低下させることにより、ろう付の際に生じるAl−Si合金の溶融ろうが母材の結晶粒界へ浸透することを抑制し、粒界の腐食をより効果的に抑制することができる。
前記チューブ本体は、更に、任意成分として、Zr:0.30質量%以下を含有していてもよい。Zrは、ろう付時の加熱によってアルミニウム材が再結晶した際に、再結晶粒を粗大化し、粒界密度を低下させる作用を有する。Zrによって前記チューブ本体の表面における粒界密度を低下させることにより、ろう付の際に生じるAl−Si合金の溶融ろうが母材の結晶粒界へ浸透することを抑制し、粒界の腐食をより効果的に抑制することができる。
しかし、Zrの含有量が過度に多い場合には、鋳造時に巨大晶出物が生成し、健全なチューブ本体の製造が困難となるおそれがある。また、この場合には、チューブ本体の押出加工においてダイスとチューブ本体との間に前述した晶出物が挟み込まれ、チューブ本体に深いダイスマークが形成されるおそれもある。Zrの含有量を0.30質量%以下とすることにより、これらの問題を回避しつつ粒界の腐食をより効果的に抑制することができる。
(塗膜)
チューブ本体の表面には塗膜が形成されている。塗膜中には、Si粉末及びZn含有フラックス粉末を含む混合粉末と、バインダとが含まれている。塗膜は、例えば、混合粉末及びバインダを溶剤に混合したペーストをチューブ本体に塗布した後、溶剤を乾燥させることにより形成できる。ペーストの塗布は、例えば、ロールコート法等により行うことができる。
チューブ本体の表面には塗膜が形成されている。塗膜中には、Si粉末及びZn含有フラックス粉末を含む混合粉末と、バインダとが含まれている。塗膜は、例えば、混合粉末及びバインダを溶剤に混合したペーストをチューブ本体に塗布した後、溶剤を乾燥させることにより形成できる。ペーストの塗布は、例えば、ロールコート法等により行うことができる。
・Si粉末:1g/m2以上4g/m2以下
Si粉末は、ろう付時の加熱によりチューブ本体のAlと反応してAl−Si合金よりなる溶融ろうを生じさせる。Si粉末の含有量を前記特定の範囲とすることにより、チューブとフィンとの接合予定部やチューブとヘッダとの接合予定部等に十分な量の溶融ろうを供給し、チューブをフィンやヘッダとろう付することができる。Si粉末の含有量は、2g/m2以上であることが好ましい。この場合には、チューブとフィンとの間、及び、チューブとヘッダとの間等に供給される溶融ろうの量をより多くし、ろう付性をより向上させることができる。
Si粉末は、ろう付時の加熱によりチューブ本体のAlと反応してAl−Si合金よりなる溶融ろうを生じさせる。Si粉末の含有量を前記特定の範囲とすることにより、チューブとフィンとの接合予定部やチューブとヘッダとの接合予定部等に十分な量の溶融ろうを供給し、チューブをフィンやヘッダとろう付することができる。Si粉末の含有量は、2g/m2以上であることが好ましい。この場合には、チューブとフィンとの間、及び、チューブとヘッダとの間等に供給される溶融ろうの量をより多くし、ろう付性をより向上させることができる。
Si粉末の含有量が1g/m2未満の場合は、溶融ろうの量が不足するため、ろう付不良が発生しやすくなる。一方、Si粉末の含有量が4g/m2を超える場合には、Zn含有フラックス粉末から生じるフラックス成分の量やチューブ本体へ拡散するZn量が不足するおそれがある。そのため、Si粉末中の酸化物皮膜を十分に除去することができなくなり、ろう付性の低下を招くおそれがある。また、耐食性の低下を招くおそれもある。
前記塗膜中に含まれるSi粉末の体積基準における累積99%粒径(つまり、D99)は20μm超え35μm以下である。Si粉末の粒径分布を前記特定の範囲の累積99%粒径により表される粒径分布とすることにより、Si粒子の粒径分布において、比較的粒径の多い粒子の割合を多くすることができる。それ故、前記Si粉末によれば、単位質量のSi粉末中に含まれるSiの酸化物皮膜の割合を小さくすることができる。
そして、Si粉末中に含まれるSiの酸化物皮膜の割合を小さくすることにより、Siの酸化物皮膜を除去するために消費されるフラックス成分の量を低減し、ひいてはZn含有フラックス粉末の含有量を低減することができる。その結果、塗膜の厚みをより薄くすることができる。また、この場合には、累積99%粒径が20μm以下であるSi粉末を使用する場合に比べて、ろう付加熱時に生じる溶融ろうの流動性をより向上させることができる。
塗膜の厚みを薄くする観点からは、Si粒子の粒径分布において、比較的粒径の多い粒子の割合を多くすることが好ましい。しかし、累積99%粒径の値が過度に大きくなると、塗膜中にSiの粗大な粒子が含まれやすくなる。この場合には、粗大な粒子が存在している部分において、ろう付時に局部的なAl−Si共晶溶融による溶融穴を生じるおそれがある。Si粉末の累積99%粒径を35μm以下、好ましくは30μm以下とすることにより、かかる問題を回避し、チューブ本体への溶融穴の形成を抑制することができる。
なお、Si粉末の累積99%粒径及び累積50%粒径は、レーザー回折法により得られる体積基準の粒径分布に基づいて算出した値とする。
・Zn含有フラックス粉末:1g/m2以上9g/m2以下
前記混合粉末は、Znを含有し、アルミニウムの酸化物及び亜鉛の酸化物を還元することができる化合物より構成されたZn含有フラックス粉末を含んでいる。Zn含有フラックス粉末としては、例えば、KZnF3を用いることができる。
前記混合粉末は、Znを含有し、アルミニウムの酸化物及び亜鉛の酸化物を還元することができる化合物より構成されたZn含有フラックス粉末を含んでいる。Zn含有フラックス粉末としては、例えば、KZnF3を用いることができる。
Zn含有フラックス粉末は、ろう付加熱によってチューブ本体のAlと反応し、フラックス成分とZnとを生成する。Zn含有フラックス粉末の含有量を前記特定の範囲とすることにより、Znによる耐食性向上の効果を得ることができる。更に、Zn含有フラックス粉末の含有量を前記特定の範囲とすることにより、フラックス成分によってSi粉末中の酸化物皮膜及びチューブ本体の表面に存在する酸化物皮膜を除去し、チューブとフィンとのろう付を行うことができる。
Zn含有フラックス粉末の含有量が1g/m2未満の場合には、ろう付後のチューブ本体の表面におけるZn濃度が低くなり、チューブ本体の耐食性の低下を招くおそれがある。また、この場合には、Zn含有フラックス粉末から生じるフラックス成分の量も不足するため、ろう付性の悪化を招くおそれもある。Znによる犠牲防食効果をより向上させる観点から、Zn含有フラックス粉末の含有量は、2g/m2以上とすることが好ましく、3g/m2以上とすることがより好ましい。
一方、Zn含有フラックス粉末の含有量が多くなると、チューブ本体とフィンとの間に形成されるフィレットのZn濃度が高くなりやすい。この場合には、フィレットがチューブ本体及びフィンよりも早期に腐食し、チューブ本体からのフィンの剥離が発生しやすくなるおそれがある。Zn含有フラックス粉末の含有量を9g/m2以下とすることにより、かかる問題を回避しつつ、Znによる犠牲防食効果を得ることができる。同様の観点から、Zn含有フラックス粉末の含有量は、8g/m2以下であることが好ましく、7g/m2以下であることがより好ましい。
Zn含有フラックス粉末の粒径分布は特に限定されないが、例えば体積基準における累積50%粒径が5μm程度のZn含有フラックス粉末を使用することができる。なお、Zn含有フラックス粉末の累積50%粒径は、レーザー回折法により得られる体積基準の粒径分布に基づいて算出した値とする。後述するZn非含有フラックス粉末においても同様である。
・Zn非含有フラックス粉末:9g/m2以下
前記混合粉末は、必須成分としてのSi粉末及びZn含有フラックス粉末に加えて、Zn非含有フラックス粉末を含んでいてもよい。Zn非含有フラックス粉末は、Znを含有せず、アルミニウムの酸化物及び亜鉛の酸化物を還元することができる化合物より構成されている。Zn非含有フラックス粉末としては、例えば、KAlF4、K2AlF5、K3AlF6等のK−Al−F系化合物を用いることができる。これらの化合物は、単独で用いてもよく、併用してもよい。
前記混合粉末は、必須成分としてのSi粉末及びZn含有フラックス粉末に加えて、Zn非含有フラックス粉末を含んでいてもよい。Zn非含有フラックス粉末は、Znを含有せず、アルミニウムの酸化物及び亜鉛の酸化物を還元することができる化合物より構成されている。Zn非含有フラックス粉末としては、例えば、KAlF4、K2AlF5、K3AlF6等のK−Al−F系化合物を用いることができる。これらの化合物は、単独で用いてもよく、併用してもよい。
混合粉末中のZn非含有フラックス粉末は、ろう付時の加熱によって溶融する。このZn非含有フラックス粉末の融液がZn含有フラックス粉末から生じたフラックス成分を補い、Si粉末中の酸化物皮膜及びチューブ本体の酸化物皮膜を除去することにより、ろう付性をより向上させることができる。
また、混合粉末中にZn非含有フラックス粉末を添加することにより、混合粉末中のZnの濃度を適度に低減することができる。それ故、この場合には、チューブ本体とフィンとの間に形成されるフィレットのZn濃度の過度の上昇を抑制し、フィレットの腐食の進行を遅らせることができる。その結果、チューブ本体からのフィンの剥離をより長期間にわたって抑制することができる。
Zn非含有フラックス粉末による前述した作用効果を十分に得る観点からは、Zn非含有フラックス粉末の含有量を1g/m2以上とすることが好ましく、2g/m2以上とすることがより好ましい。
Zn非含有フラックス粉末は、9g/m2以下、より好ましくは8g/m2以下、さらに好ましくは7g/m2以下とすることが好ましい。この場合には、チューブ本体の耐食性を確保しつつ、ろう付性をより向上させることができる。Zn非含有フラックス粉末の含有量が9g/m2を超える場合には、チューブ本体に形成されるZn拡散層におけるZnの濃度が過度に低くなり、チューブ本体の耐食性が低下するおそれがある。
Zn非含有フラックス粉末の平均粒径は特に限定されないが、例えば体積基準における累積50%粒径が5μm程度のZn非含有フラックス粉末を使用することができる。
・混合粉末の総量
前記混合粉末の総量、つまり、Si粉末と、Zn含有フラックス粉末と、Zn非含有フラックス粉末との合計質量は、例えば、3g/m2以上20g/m2以下の範囲から適宜設定することができる。混合粉末の総量を3g/m2以上とすることにより、チューブ本体とフィンとの接合予定部やチューブ本体とヘッダとの接合予定部などに十分な量の溶融ろうを供給し、これらのろう付を行うことができる。また、混合粉末の総量を20g/m2以下とすることにより、塗膜の厚みが過度に厚くなることを回避することができる。
前記混合粉末の総量、つまり、Si粉末と、Zn含有フラックス粉末と、Zn非含有フラックス粉末との合計質量は、例えば、3g/m2以上20g/m2以下の範囲から適宜設定することができる。混合粉末の総量を3g/m2以上とすることにより、チューブ本体とフィンとの接合予定部やチューブ本体とヘッダとの接合予定部などに十分な量の溶融ろうを供給し、これらのろう付を行うことができる。また、混合粉末の総量を20g/m2以下とすることにより、塗膜の厚みが過度に厚くなることを回避することができる。
・バインダ:5〜40質量%
バインダとしては、例えばアクリル系樹脂やウレタン系樹脂などを使用することができる。バインダの含有量は、塗膜全体、即ち、前記混合粉末とバインダとの合計を100質量%とした場合に、5〜40質量%とする。バインダの含有量が5質量%未満の場合には、塗膜の剥離が生じやすくなる。一方、バインダの含有量が40質量%を超える場合には、バインダの熱分解が不十分となり、ろう付の際に未分解のバインダ等が残留するおそれがある。その結果、ろう付性の低下を招くおそれがある。
バインダとしては、例えばアクリル系樹脂やウレタン系樹脂などを使用することができる。バインダの含有量は、塗膜全体、即ち、前記混合粉末とバインダとの合計を100質量%とした場合に、5〜40質量%とする。バインダの含有量が5質量%未満の場合には、塗膜の剥離が生じやすくなる。一方、バインダの含有量が40質量%を超える場合には、バインダの熱分解が不十分となり、ろう付の際に未分解のバインダ等が残留するおそれがある。その結果、ろう付性の低下を招くおそれがある。
(熱交換器)
前記チューブを用いて熱交換器を作製するに当たっては、例えば、以下の方法を採用することができる。まず、複数の前記チューブと、アルミニウム合金からなるフィンと、アルミニウム合金からなり、複数の前記チューブに冷媒を分配するヘッダとを準備する。次いで、フィンがチューブの外表面に設けられた塗膜に当接するようにして前記チューブと前記フィンとを交互に積層し、複数の熱交換器用チューブがフィンを介して平行に配列されたコアを組み立てる。更に、チューブの長手方向におけるコアの両端にヘッダを配置し、ヘッダを介して複数の熱交換器用チューブを連結する。
前記チューブを用いて熱交換器を作製するに当たっては、例えば、以下の方法を採用することができる。まず、複数の前記チューブと、アルミニウム合金からなるフィンと、アルミニウム合金からなり、複数の前記チューブに冷媒を分配するヘッダとを準備する。次いで、フィンがチューブの外表面に設けられた塗膜に当接するようにして前記チューブと前記フィンとを交互に積層し、複数の熱交換器用チューブがフィンを介して平行に配列されたコアを組み立てる。更に、チューブの長手方向におけるコアの両端にヘッダを配置し、ヘッダを介して複数の熱交換器用チューブを連結する。
このようにして組み立てられた組立体を加熱してチューブとフィンとをろう付するとともに、チューブとヘッダとをろう付することにより、熱交換器を作製することができる。ろう付に際しての雰囲気や加熱温度、時間については特に限定されるものではなく、ろう付方法も特に限定されない。
フィン及びヘッダに用いられるアルミニウム合金は、熱交換器用として十分な強度及び耐食性を有するものであれば、公知の合金を使用することができる。
例えば、フィンは、Mn:0.10〜1.8質量%、Zn:0.80〜3.0質量%を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有していてもよい。
フィン中のMnは、フィンの強度を高める作用を有している。フィン中のMnの含有量を0.10質量%以上、より好ましくは0.80質量%以上とすることにより、フィンの強度をより向上させ、ひいては熱交換器の強度をより向上させることができる。
しかし、フィン中のMnの含有量が過度に大きくなると、フィンの製造過程において強大な晶出物が形成されやすくなる。Mnの含有量を1.8質量%以下、より好ましくは1.7質量%以下とすることにより、巨大な晶出物の形成を回避し、健全なフィンを作製することができる。
フィン中のZnはフィンの電位を卑化する作用を有している。フィン中のZnの含有量を0.80質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上とすることにより、フィンの電位をチューブ本体及びフィンとチューブ本体との間のフィレットよりも卑化することができる。その結果、フィンの犠牲防食効果により、チューブ本体の耐食性をより向上させることができる。
しかし、フィン中のZnの含有量が過度に多くなると、フィンの自己耐食性が低下し、フィンが早期に腐食するおそれがある。また、この場合には、チューブ本体とフィンとの電位差及び前記フィレットとフィンとの電位差が大きくなる。そのため、フィン等の表面に、例えば結露水等の高い導電率を有する液体が付着した場合に、チューブ本体とフィンとの間や前記フィレットとフィンとの間に局部電池が形成され、アノードとなるフィンが早期に腐食するおそれがある。フィン中のZnの含有量を3.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下とすることにより、これらの問題を回避することができる。
フィンは、更に、任意成分として0.10〜1.2質量%のSiを含有していてもよい。フィン中のSiの含有量を0.10質量%以上、より好ましくは0.20質量%以上とすることにより、フィンの強度をより向上させることができる。また、フィン中のSiの含有量を1.2質量%以下、より好ましくは0.60質量%以下とすることにより、フィンの融点の低下を抑制し、ろう付中におけるフィンの局部溶融を回避することができる。
フィンは、更に、任意成分として0.010〜0.80質量%のFe(鉄)を含有していてもよい。フィン中のFeの含有量を0.010質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上とすることにより、フィンの強度をより向上させることができる。また、フィン中のFeの含有量を0.80質量%以下、より好ましくは0.70質量%以下とすることにより、Al母相に比べて貴な電位を有するAl−Fe系化合物の形成を抑制することができる。その結果、フィンの自己耐食性の低下を回避することができる。
フィンは、更に、任意成分として0.050〜0.50質量%のMg(マグネシウム)を含有していてもよい。フィン中のMgの含有量を0.050質量%以上とすることにより、フィンの強度をより向上させることができる。
しかし、フィン中のMgの含有量が過度に多くなると、ろう付の際にMgとフラックスとが反応し、Mgのフッ化物が形成されやすくなる。このMgのフッ化物の量が過度に多くなると、ろう付性の低下及びろう付後の外観の悪化を招くおそれがある。フィン中のMgの含有量を0.50質量%以下、より好ましくは0.30質量%以下、さらに好ましくは0.15質量%以下とすることにより、これらの問題を回避することができる。
フィンは、更に、任意成分として0.30質量%以下のCuを含有していてもよい。フィン中のCuの含有量を0.30質量%以上とすることにより、フィンの強度をより向上させることができる。また、この場合には、フィンの電位を適正な範囲に調整し、フィンの自己耐食性の低下を回避しつつ、犠牲防食効果によりチューブ本体の耐食性をより向上させることができる。更に、この場合には、チューブ本体とフィンとの間のフィレットの腐食の進行をより遅らせ、チューブ本体からのフィンの剥離を抑制することができる。
フィンは、更に、任意成分として0.30質量%以下のCr(クロム)及び0.30質量%以下のZrのうち1種または2種を含有していてもよい。この場合には、ろう付時の加熱によってアルミニウム材が再結晶した際に再結晶粒を粗大化し、ろう付中のフィンの強度の低下を抑制することができる。その結果、ろう付中におけるフィンの座屈の発生をより効果的に抑制することができる。また、Cr及びZrの含有量をそれぞれ0.30質量%以下とすることにより、フィンの製造過程における巨大晶出物の形成を抑制し、健全なフィンを作製することができる。
フィンは、更に、任意成分として0.30質量%以下のTiを含有していてもよい。フィン中のTiは、チューブ本体中のTiと同様に、フィンの肉厚方向への腐食の進行を抑制することができる。それ故、フィン中のTiの含有量を0.30質量%以下とすることにより、フィンの耐孔食性および耐粒界腐食性をより向上させることができる。更に、この場合には、常温及び高温でのフィンの強度をより向上させることができる。また、Tiの含有量を0.30質量%以下とすることにより、フィンの製造過程における巨大晶出物の形成を抑制し、健全なフィンを作製することができる。
フィンは、更に、任意成分として0.0010〜0.10質量%のIn(インジウム)及び0.0010〜0.10質量%のSn(スズ)のうち1種または2種を含有していてもよい。これらの元素は、Znと同様にフィンの電位を卑化する作用を有している。フィン中のIn及びSnの含有量をそれぞれ前記特定の範囲とすることにより、フィンの自己耐食性を確保しつつチューブ本体の耐食性をより向上させることができる。
前記熱交換器用チューブ及び前記熱交換器用チューブを用いた熱交換器の製造方法の実施例を以下に説明する。なお、本発明に係る熱交換器用チューブ及び熱交換器の製造方法の具体的な態様は以下に示す実施例の態様に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜構成を変更することができる。
本例の熱交換器用チューブ1は、図1に示すように、チューブ本体11としての押出多穴管110と、押出多穴管110の外表面に設けられた塗膜2と、を有している。本例の押出多穴管110は、Mn:0.70質量%、Si:0.050質量%、Fe:0.15質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有するアルミニウム合金から構成されている。押出多穴管110は、例えば、連続鋳造、半連続鋳造、DC鋳造等の方法により作製された鋳塊に均質化処理を行った後、熱間押出を行うことにより作製することができる。
押出多穴管110は、図1に示すように、押出方向に垂直な断面(つまり、ST−LT面)において長円状を呈する外周部111と、外周部の内側に間隔をあけて配置された複数の隔壁部112とを有している。押出多穴管110の内部には、外周部111と隔壁部112とによって区画され、押出多穴管110の長手方向(つまり、押出方向)に延設された複数の冷媒流路113が設けられている。複数の冷媒流路113は、押出多穴管110の幅方向に並んで配置されている。本例の押出多穴管110における、外周部111の平坦部分114の肉厚は0.3mmである。
押出多穴管110における平坦部分114の外表面には、塗膜2が設けられている。塗膜2には、Si粉末、Zn含有フラックス粉末、Zn非含有フラックス粉末及びバインダが含まれている。塗膜2中の各成分の含有量は、例えば、表1に示す通りである。また、体積基準におけるSi粉末の累積99%粒径(つまり、D99)は、表2に示すとおりである。
塗膜2は、例えば、ロールコーター等を用いてSi粉末、Zn含有フラックス粉末、Zn非含有フラックス粉末及びバインダを含むペーストを押出多穴管110の平坦部分114に塗布した後、ペーストを乾燥させることにより形成することができる。押出多穴管110の平坦部分114に表1に示す量の塗膜2を形成することにより、表1及び表2に示す熱交換器用チューブ1(試験体A1〜A21)を作製することができる。
試験体A1〜A21を以下の構成を有するフィン31及びヘッダ32と組み合わせて図2に示す組立体3を作製し、この組立体3を加熱してろう付を行うことにより熱交換器を作製することができる。なお、試験体A1〜A21のうち、試験体A20については、塗膜2中のバインダ量が不足しており、塗膜2が押出多穴管110から容易に剥離する。そのため、試験体A20については、フィン31及びヘッダ32とのろう付を行うことができない。
<フィン31>
図2に示すように、本例のフィン31は、板材が波状に湾曲されてなる、いわゆるコルゲートフィンである。フィン31は、Al−1.2質量%Mn−1.5質量%Zn系合金から構成されている。フィン31の板厚は0.1mmであり、コルゲート形状における頂部311同士のピッチは3mmであり、フィン31の高さは7mmである。
図2に示すように、本例のフィン31は、板材が波状に湾曲されてなる、いわゆるコルゲートフィンである。フィン31は、Al−1.2質量%Mn−1.5質量%Zn系合金から構成されている。フィン31の板厚は0.1mmであり、コルゲート形状における頂部311同士のピッチは3mmであり、フィン31の高さは7mmである。
<ヘッダ32>
図2に示すように、本例のヘッダ32は筒状を呈しており、その側面にチューブ1を差し込むための複数の貫通穴321を有している。図には示さないが、ヘッダ4は、心材と、心材の片面にクラッドされたろう材とを備えたブレージングシートから構成されている。また、ろう材は、ヘッダ4の内表面に配置されている。
図2に示すように、本例のヘッダ32は筒状を呈しており、その側面にチューブ1を差し込むための複数の貫通穴321を有している。図には示さないが、ヘッダ4は、心材と、心材の片面にクラッドされたろう材とを備えたブレージングシートから構成されている。また、ろう材は、ヘッダ4の内表面に配置されている。
<熱交換器>
まず、フィン31がチューブ1の塗膜2に当接するようにしてチューブ1とフィン31とを交互に積層し、コア30を作製する。次いで、コア30におけるチューブ1の両端をヘッダ32の貫通穴321に挿入することにより、図2に示す組立体3を作製する。この組立体3を加熱し、押出多穴管110とフィン31とをろう付するとともに、押出多穴管110とヘッダ32とをろう付する。以上により、熱交換器を得ることができる。
まず、フィン31がチューブ1の塗膜2に当接するようにしてチューブ1とフィン31とを交互に積層し、コア30を作製する。次いで、コア30におけるチューブ1の両端をヘッダ32の貫通穴321に挿入することにより、図2に示す組立体3を作製する。この組立体3を加熱し、押出多穴管110とフィン31とをろう付するとともに、押出多穴管110とヘッダ32とをろう付する。以上により、熱交換器を得ることができる。
組立体3のろう付は、窒素ガス雰囲気下で行うことができる。ろう付時の加熱条件は特に限定されないが、例えば、チューブ1、フィン31及びヘッダ32を平均50℃/minの昇温速度で600℃まで昇温させ、600℃の温度を3分間保持した後室温まで降温させればよい。
各試験体の特性は、以下の評価項目により評価することができる。
<コアの収縮>
チューブ1とフィン31との積層方向におけるろう付前のコア30の外寸法と、前記積層方向におけるろう付後のコア30の外寸法とを比較し、ろう付前後でのコア30の収縮の有無を評価する。各試験体におけるコア30の収縮の有無は、表2の「コアの収縮」欄に示すとおりである。
チューブ1とフィン31との積層方向におけるろう付前のコア30の外寸法と、前記積層方向におけるろう付後のコア30の外寸法とを比較し、ろう付前後でのコア30の収縮の有無を評価する。各試験体におけるコア30の収縮の有無は、表2の「コアの収縮」欄に示すとおりである。
コアの寸法変化の評価においては、ろう付によるコア30の収縮が起こらない場合を合格と判定し、ろう付後のコア30がろう付前のコア30よりも収縮する場合を不合格と判定する。
<ろう付性>
押出多穴管110とフィン31との間に形成されるフィレットの面積を測定し、ろう付性を評価する。各試験体を用いた場合のろう付性は、表2の「ろう付性」欄に示すとおりである。なお、同欄には、試験体A1を用いた場合のフィレットの面積を基準として、各試験体を用いた場合のフィレットの面積が基準となるフィレットの面積以上である場合には記号「A」、基準よりも狭い場合には記号「B」を記載した。基準となる試験体A1については、記号「−」を記載した。
押出多穴管110とフィン31との間に形成されるフィレットの面積を測定し、ろう付性を評価する。各試験体を用いた場合のろう付性は、表2の「ろう付性」欄に示すとおりである。なお、同欄には、試験体A1を用いた場合のフィレットの面積を基準として、各試験体を用いた場合のフィレットの面積が基準となるフィレットの面積以上である場合には記号「A」、基準よりも狭い場合には記号「B」を記載した。基準となる試験体A1については、記号「−」を記載した。
ろう付性の評価においては、ろう付後のフィレットの面積が基準となるフィレットの面積以上である記号「A」の場合を、ろう付性が良好であるため合格と判定し、ろう付後のフィレットの面積が基準となるフィレットの面積未満である記号「B」の場合を、ろう付性に劣るため不合格と判定する。
<押出多穴管110への溶融ろうの侵食>
ろう付後の押出多穴管110における溶融穴の有無に基づいて、押出多穴管110への溶融ろうの侵食の程度を評価する。各試験体を用いた場合の溶融穴の有無は、表2の「溶融穴の有無」欄に示すとおりである。
ろう付後の押出多穴管110における溶融穴の有無に基づいて、押出多穴管110への溶融ろうの侵食の程度を評価する。各試験体を用いた場合の溶融穴の有無は、表2の「溶融穴の有無」欄に示すとおりである。
押出多穴管110への溶融ろうの侵食の評価においては、ろう付後に溶融穴を有しない場合を押出多穴管110への溶融ろうの侵食が実用上問題のない程度に抑制されているため合格と判定し、ろう付後に溶融穴が形成される場合を溶融ろうが押出多穴管110を過度に侵食しているため不合格と判定する。
<フィン31への溶融ろうの侵食>
ろう付時のフィン31の溶融量に基づいて、フィン31への溶融ろうの侵食の程度を評価する。各試験体を用いた場合のフィン31の溶融量は、表2の「フィンの溶融量」欄に示すとおりである。なお、同欄には、ろう付によるフィン31の溶融量がろう付前のフィン31の板厚の半分未満である場合には記号「A」、半分以上である場合には記号「B」を記載した。
ろう付時のフィン31の溶融量に基づいて、フィン31への溶融ろうの侵食の程度を評価する。各試験体を用いた場合のフィン31の溶融量は、表2の「フィンの溶融量」欄に示すとおりである。なお、同欄には、ろう付によるフィン31の溶融量がろう付前のフィン31の板厚の半分未満である場合には記号「A」、半分以上である場合には記号「B」を記載した。
フィン31への溶融ろうの侵食の評価においては、ろう付によるフィン31の溶融量がろう付前のフィン31の板厚の半分未満である記号Aの場合を、フィン31への溶融ろうの侵食が実用上問題のない程度に抑制されているため合格と判定する。また、ろう付によるフィン31の溶融量がろう付前のフィン31の板厚の半分以上である記号Bの場合を、溶融ろうがフィン31を過度に侵食しているため不合格と判定する。
<耐食性>
ろう付後の熱交換器にASTM−G85−Annex A3に規定されたSWAAT試験を1000時間実施し、試験完了後の押出多穴管110の最大腐食深さを測定すると共に、目視によりフィン31の剥離の有無を判定する。押出多穴管110の最大腐食深さに基づき、押出多穴管110の耐食性を評価することができる。また、SWAAT試験後におけるフィン31の剥離の有無に基づき、押出多穴管110とフィン31との間のフィレットのZn濃度を評価することができる。
ろう付後の熱交換器にASTM−G85−Annex A3に規定されたSWAAT試験を1000時間実施し、試験完了後の押出多穴管110の最大腐食深さを測定すると共に、目視によりフィン31の剥離の有無を判定する。押出多穴管110の最大腐食深さに基づき、押出多穴管110の耐食性を評価することができる。また、SWAAT試験後におけるフィン31の剥離の有無に基づき、押出多穴管110とフィン31との間のフィレットのZn濃度を評価することができる。
各試験体を用いた場合の押出多穴管110の最大腐食深さは、表2の「最大腐食深さ」欄に示すとおりである。なお、同欄には、最大腐食深さがZn拡散層の深さよりも浅い場合に記号「A」、Zn拡散層の深さよりも深い場合に記号「B」を記載した。Zn拡散層の深さは、押出多穴管110の断面において、EDX(エネルギー分散型X線分光分析法)により測定されるZn濃度が押出多穴管110よりも高い領域の厚みとする。
押出多穴管110の耐食性の評価においては、最大腐食深さがZn拡散層の深さよりも浅い記号「A」の場合を、腐食を抑制できているため合格と判定し、最大腐食深さがZn拡散層の深さよりも深い記号「B」の場合を、犠牲防食効果が低いため不合格と判定する。
また、SWAAT試験後のフィン31の剥離の有無は、表2の「フィンの剥離の有無」欄に示すとおりである。フィレットのZn濃度の評価においては、SWAAT試験後にフィン31が押出多穴管110から剥離しない場合を、フィレットのZn濃度が適正な範囲にあるため合格と判定し、フィン31が押出多穴管110から剥離する場合を、フィレットのZn濃度が高く、腐食の進行が速いため不合格と判定する。
表1に示したように、試験体A1〜A9は、前記特定の組成を有する塗膜2を有している。それ故、これらの試験体を用いた熱交換器は、すべての特性が合格となる。
試験体A10におけるSi粉末の含有量は前記特定の範囲よりも少ない。そのため、試験体A10を用いる場合には、ろう付時に生じる溶融ろうの量が不足し、ろう付性が悪化しやすい。
試験体A11におけるSi粉末の含有量は前記特定の範囲よりも多い。そのため、試験体A11を用いる場合には、フィン31が溶融ろうによって過度に侵食され、ろう付不良となりやすい。また、この場合には、押出多穴管110も溶融ろうによって過度に浸食され、押出多穴管110の溶融量が多くなりやすい。そのため、ろう付後の押出多穴管110にZn拡散層が形成されにくくなり、押出多穴管110の耐食性の低下を招くおそれがある。また、この場合には、フィン31が押出多穴管110から早期に剥離しやすい。
試験体A12におけるSi粉末の累積99%粒径は前記特定の範囲よりも小さいため、Si粉末中に含まれる酸化物皮膜の割合が多い。それ故、試験体A12を用いる場合には、フラックス成分の量が不足し、ろう付性が悪化しやすい。また、この場合には、押出多穴管110とフィン31との間に形成されるフィレットの大きさが小さくなりやすい。そのため、フィレットの腐食によってフィン31が押出多穴管110から早期に剥離しやすい。
試験体A13におけるSi粉末の累積99%粒径は前記特定の範囲よりも大きい。そのため、試験体A13を用いる場合には、塗膜2中に存在するSiの粗大な粒子によって押出多穴管110が局所的に侵食され、ろう付後の押出多穴管110に溶融穴が形成されやすい。
試験体A14については、試験体A13よりも更にSi粉末の累積99%粒径が前記特定の範囲よりも大きい。そのため、試験体A14を用いる場合には、ろう付後の押出多穴管110に溶融穴が形成されるだけではなく、押出多穴管110の耐食性の低下及びフィン31の早期の剥離が起こりやすい。
試験体A14については、試験体A13よりも更にSi粉末の累積99%粒径が前記特定の範囲よりも大きい。そのため、試験体A14を用いる場合には、ろう付後の押出多穴管110に溶融穴が形成されるだけではなく、押出多穴管110の耐食性の低下及びフィン31の早期の剥離が起こりやすい。
試験体A15におけるZn含有フラックス粉末の含有量は前記特定の範囲よりも少ない。そのため、試験体A15を用いる場合には、ろう付時に生じるフラックス成分の量が不足し、ろう付性が悪化しやすい。また、試験体A15を用いる場合には、ろう付時に生じるZnの量も不足するため、押出多穴管110の耐食性の低下及びフィン31の早期の剥離が起こりやすい。
試験体A16におけるZn含有フラックス粉末の含有量は前記特定の範囲よりも多い。そのため、押出多穴管110とフィン31との間のフィレットにおけるZn濃度が高くなる。それ故、試験体A16を用いる場合には、押出多穴管110とフィン31との間のフィレットにおけるZn濃度が高くなり、当該フィレットが押出多穴管110及びフィン31よりも早期に腐食する。その結果、フィン31が押出多穴管110から早期に剥離しやすい。
試験体A17におけるZn非含有フラックス粉末の含有量は前記特定の範囲よりも多い。そのため、試験体A17を用いる場合には、ろう付後の押出多穴管110におけるZn拡散層のZn濃度が低くなり、押出多穴管110の耐食性が低下しやすい。
試験体A18における混合粉末の含有量は前記特定の範囲よりも少ない。そのため、試験体A18を用いる場合には、ろう付時に生じるフラックス成分の量が不足し、ろう付性が悪化しやすい。また、試験体A18を用いる場合には、ろう付時に生じるZnの量も不足するため、押出多穴管110の耐食性の低下及びフィン31の早期の剥離が起こりやすい。
試験体A19における混合粉末の含有量は前記特定の範囲よりも多い。そのため、試験体A19を用いる場合には、ろう付時の塗膜2の溶融によってコア200が収縮しやすい。
試験体A20は、前述したように、バインダの含有量が前記特定の範囲よりも少ないため、押出多穴管110の表面に塗膜2が付着した状態を維持することができない。そのため、試験体A20を用いて熱交換器を作製することは困難である。
試験体A21は、バインダの含有量が前記特定の範囲よりも多く、ろう付時の加熱によってバインダを完全に熱分解することが困難である。そのため、試験体A21を用いる場合には、Si粉末と押出多穴管110との共晶融解反応やZn含有フラックス粉末と押出多穴管110との反応がバインダの残渣によって阻害され、熱交換器を作製することが困難である。
1 熱交換器用チューブ
11 チューブ本体
110 押出多穴管
2 塗膜
3 組立体
20 コア
31 フィン
32 ヘッダ
11 チューブ本体
110 押出多穴管
2 塗膜
3 組立体
20 コア
31 フィン
32 ヘッダ
Claims (7)
- アルミニウム材からなるチューブ本体と、
前記チューブ本体の表面に塗布された塗膜とを有し、
前記塗膜は、
体積基準における累積99%粒径が20μm超え35μm以下である1g/m2以上4g/m2以下のSi粉末と、Znを含有する化合物よりなる1g/m2以上9g/m2以下のZn含有フラックス粉末と、を含む混合粉末と、
バインダと、を含有しており、
前記塗膜中の前記バインダの比率が5〜40質量%である、
熱交換器用チューブ。 - 前記チューブ本体は、Mn:0.40〜1.7質量%、Si:0.15質量%以下、Cu:0.10質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有している、請求項1に記載の熱交換器用チューブ。
- 前記チューブ本体中には、更に、Ti:0.30質量%以下、Sr:0.10質量%以下、Zr:0.30質量%以下のうち1種または2種以上が含まれている、請求項2に記載の熱交換器用チューブ。
- 前記Zn含有フラックス粉末を構成する化合物はKZnF3である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換器用チューブ。
- 前記混合粉末中には、更に、Znを含有しない化合物よりなる9g/m2以下のZn非含有フラックス粉末が含まれている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱交換器用チューブ。
- 前記Zn非含有フラックス粉末を構成する化合物はK−Al−F系化合物である、請求項5に記載の熱交換器用チューブ。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱交換器用チューブを用いた熱交換器の製造方法であって、
複数の前記熱交換器用チューブがフィンを介して平行に配列され、前記熱交換器用チューブと前記フィンとが交互に積層されたコアと、前記熱交換器用チューブの長手方向における、前記コアの両端に配置されたヘッダとを備えた組立体を作製し、
前記組立体を加熱して前記熱交換器用チューブと前記フィンとをろう付するとともに、前記熱交換器用チューブと前記ヘッダとをろう付することにより熱交換器を作製する、熱交換器の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2018055212A JP2019168145A (ja) | 2018-03-22 | 2018-03-22 | 熱交換器用チューブ及び熱交換器の製造方法 |
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|---|---|---|---|---|
| JPWO2021132689A1 (ja) * | 2019-12-27 | 2021-07-01 | ||
| JP2022042318A (ja) * | 2020-09-02 | 2022-03-14 | 株式会社Uacj | アルミニウム合金押出チューブ及び熱交換器 |
| WO2022138171A1 (ja) * | 2020-12-23 | 2022-06-30 | 株式会社Uacj | 熱交換器、熱交換器用チューブ材及び熱交換器用フィン材 |
-
2018
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