JP2019168063A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】切替バルブの状態を第2状態とする必要があるときに切替バルブの誤切替えの発生を防止する。【解決手段】S1B1切替バルブ96がR位置に切り替えられているときに、エンジン回転速度Ne及び作動油温THoilを用いて推定モジュレータ圧PMeが算出され、その推定モジュレータ圧PMeを用いてS1B1切替バルブ96をR位置に維持できるSLS上限ガード圧Pslsugが算出されるので、エンジン回転速度Ne及び作動油温THoilは何れも作動油の流量収支に影響を与えることに対して作動油の流量収支の影響を受ける推定モジュレータ圧PMeやその推定モジュレータ圧PMeに応じたSLS上限ガード圧Pslsugが適切に算出される。よって、S1B1切替バルブ96の状態をR位置とする必要があるときにS1B1切替バルブ96の誤切替えの発生を防止することができる。【選択図】図6
Description
本発明は、オイルポンプが吐出する作動油を元圧とする油圧の入力によって状態が切り替えられる切替バルブを備える車両の制御装置に関するものである。
第1アクチュエータ、第2アクチュエータ、第3アクチュエータ、及び動力源の動力を駆動輪へ伝達する動力伝達経路を有する車両用動力伝達装置と、前記動力源により回転駆動されることで作動油を吐出するオイルポンプと、前記作動油を用いて第1油圧を出力する第1ソレノイドバルブ、前記作動油を用いて第2油圧を出力すると共に前記第3アクチュエータの制御に用いられる第2ソレノイドバルブ、及び前記第2油圧と前記作動油を元圧として調圧された第3油圧との相対関係に基づいて前記第1油圧を前記第1アクチュエータへ供給可能な第1状態と前記第1油圧を前記第2アクチュエータへ供給可能な第2状態とに切り替えられるものであり、前記第3油圧の入力によって前記第2状態に切り替えられ得る切替バルブを有する油圧制御回路とを、備える車両の制御装置が良く知られている。例えば、特許文献1に記載された自動変速機の油圧制御装置がそれである。この特許文献1には、エンジンの動力が伝達される入力回転部材と駆動輪へ前記動力を出力する出力回転部材との間に並列に設けられた、噛合式クラッチ及びブレーキB1の係合によって形成される、ギヤ機構を介した第1動力伝達経路と、クラッチC2の係合によって形成される、ベルト式の無段変速機構を介した第2動力伝達経路との複数の動力伝達経路を有する車両用動力伝達装置を備えた車両において、エンジンにより回転駆動されるオイルポンプが吐出する作動油を用いて油圧Pslgを出力するソレノイドバルブSLG、その作動油を用いて油圧Pslsを出力すると共に無段変速機構の制御に用いられるソレノイドバルブSLS、及び油圧Pslsと前記作動油を元圧として調圧された油圧PMとの相対関係に基づいて油圧Pslgを噛合式クラッチのアクチュエータへ供給可能な非R位置と油圧PslgをブレーキB1のアクチュエータへ供給可能なR位置とに切り替えられるものであり、油圧PMの入力によってR位置に切り替えられ得る切替バルブを有する油圧制御回路を備えることが開示されている。
ところで、特許文献1における油圧PMのような第3油圧は、オイルポンプが吐出する作動油の流量が必要な流量を満たしているか否かの影響、すなわち作動油の流量収支の影響を受ける為、狙いよりも油圧値が低下する可能性がある。又、特許文献1における油圧Pslsのような第2油圧は、特許文献1における無段変速機構のアクチュエータのような第3アクチュエータの制御の状態に応じて油圧値が変化させられる。又、切替バルブは、第2油圧と第3油圧との相対関係で弁の状態が切り替えられる。その為、切替バルブが第3油圧の入力によって特許文献1におけるR位置のような第2状態に切り替えられているときに、例えば第2油圧が一定のままで第3油圧が低下すると、切替バルブは特許文献1における非R位置のような第1状態へ切り替えられてしまう可能性がある。つまり、切替バルブの誤切替えが発生してしまうおそれがある。このような誤切替えが発生すると、例えば特許文献1における車両では、係合状態であったブレーキB1が解放されて駆動力が出せなくなったり、その後に油圧PMが上昇したり又は油圧Pslsが低下してR位置へ戻った際に、ブレーキB1の係合状態を維持するような大きな油圧値の油圧PslgがブレーキB1へ急速に供給されることによって大きな係合ショックが生じる可能性がある。尚、第2油圧はオイルポンプが吐出する作動油を用いて出力された油圧であるので、第3油圧を超えない範囲内の油圧値とされており、第3油圧が低下しても第2油圧が低下しない状態が起こり得る。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、切替バルブの状態を第2状態とする必要があるときに切替バルブの誤切替えの発生を防止することができる車両の制御装置を提供することにある。
第1の発明の要旨とするところは、(a)第1アクチュエータ、第2アクチュエータ、第3アクチュエータ、及び動力源の動力を駆動輪へ伝達する動力伝達経路を有する車両用動力伝達装置と、(b)前記動力源により回転駆動されることで作動油を吐出するオイルポンプと、(c)前記作動油を用いて第1油圧を出力する第1ソレノイドバルブ、前記作動油を用いて第2油圧を出力すると共に前記第3アクチュエータの制御に用いられる第2ソレノイドバルブ、及び前記第2油圧と前記作動油を元圧として調圧された第3油圧との相対関係に基づいて前記第1油圧を前記第1アクチュエータへ供給可能な第1状態と前記第1油圧を前記第2アクチュエータへ供給可能な第2状態とに切り替えられるものであり、前記第3油圧の入力によって前記第2状態に切り替えられ得る切替バルブを有する油圧制御回路とを、備える車両の、制御装置であって、(d)前記切替バルブが前記第2状態に切り替えられているときに、予め定められた第1の関係に前記動力源の回転速度及び前記作動油の温度を適用することで前記第3油圧の推定値を算出する推定値算出部と、(e)予め定められた第2の関係に前記第3油圧の推定値を適用することで前記切替バルブを前記第2状態に維持できる前記第2油圧の上限値を算出する上限値算出部と、(f)前記上限値を超えない範囲で前記第2油圧を制御する油圧制御部とを、含むことにある。
前記第1の発明によれば、切替バルブが第2状態に切り替えられているときに、動力源の回転速度及び作動油の温度を用いて第3油圧の推定値が算出され、その第3油圧の推定値を用いて切替バルブを第2状態に維持できる第2油圧の上限値が算出されるので、動力源の回転速度及び作動油の温度は何れも作動油の流量収支に影響を与えることに対して作動油の流量収支の影響を受ける第3油圧の推定値やその第3油圧の推定値に応じた第2油圧の上限値が適切に算出される。そして、その上限値を超えない範囲で第2油圧が制御されるので、切替バルブが第2状態に適切に維持され得る。よって、切替バルブの状態を第2状態とする必要があるときに切替バルブの誤切替えの発生を防止することができる。
本発明の実施形態において、前記車両用動力伝達装置は、前記動力源の動力が伝達される入力回転部材と前記駆動輪へ前記動力を出力する出力回転部材との間に並列に設けられた、前記動力を前記入力回転部材から前記出力回転部材へ各々伝達することが可能な複数の動力伝達経路を有し、前記複数の動力伝達経路は、第1摩擦係合装置及び噛合式クラッチの係合によって形成される、ギヤ段を有するギヤ機構を介した第1動力伝達経路、及び第2摩擦係合装置の係合によって形成される、プライマリプーリとセカンダリプーリとの間に伝達要素が巻き掛けられた無段変速機構を介した第2動力伝達経路である。
また、前記第1摩擦係合装置及び前記噛合式クラッチの係合によって形成される前記第1動力伝達経路は、前進走行用第1動力伝達経路であり、前記第1動力伝達経路は、前記第1摩擦係合装置に替えて選択的に係合される第3摩擦係合装置、及び前記噛合式クラッチの係合によっても形成されるものであり、前記第3摩擦係合装置及び前記噛合式クラッチの係合によって形成される前記第1動力伝達経路は、後進走行用第1動力伝達経路である。
また、前記第1アクチュエータは、前記噛合式クラッチの作動状態を切り替える油圧アクチュエータであり、前記第2アクチュエータは、前記第3摩擦係合装置の油圧アクチュエータであり、前記第3アクチュエータは、前記セカンダリプーリの油圧アクチュエータである。
また、前記油圧制御回路は、運転者によるシフト切替装置における切替操作に連動して油路が切り替えられるマニュアルバルブを更に有するものであり、前記シフト切替装置が後進走行操作ポジションにあるときのみ、前記マニュアルバルブを介した前記第3油圧が前記切替バルブに入力され、前記切替バルブは、後進走行時に前記第2状態に切り替えられる。前記切替バルブの前記第2状態では、前記第1油圧が前記第3摩擦係合装置の油圧アクチュエータへ供給可能であり、且つ前記マニュアルバルブを介さない前記第3油圧が前記噛合式クラッチの作動状態を切り替える油圧アクチュエータへ供給可能である。
また、入力側のプーリである前記プライマリプーリと出力側のプーリである前記セカンダリプーリとは、各々、例えば固定シーブと可動シーブとそれらの固定シーブ及び可動シーブの間の溝幅を変更する為の推力を付与する油圧アクチュエータとを有する。前記プライマリプーリを作動させる前記プライマリプーリにおけるプーリ油圧は前記プライマリプーリの油圧アクチュエータに供給され、前記セカンダリプーリを作動させる前記セカンダリプーリにおけるプーリ油圧は前記セカンダリプーリの油圧アクチュエータに供給される。前記油圧制御回路は、例えば前記油圧アクチュエータの各々への作動油の流量を制御することにより結果的にプーリ油圧を生じるように構成されても良い。このような油圧制御回路により、前記プライマリプーリ及び前記セカンダリプーリにおける各推力(=プーリ油圧×受圧面積)が各々制御されることで、前記無段変速機構の前記伝達要素の滑りを防止しつつ目標の変速が実現されるように変速制御が実行される。前記プライマリプーリと前記セカンダリプーリとの間に巻き掛けられた前記伝達要素は、無端環状のフープと、そのフープに沿って厚さ方向に多数連ねられた厚肉板片状のブロックであるエレメントとを有する無端環状の圧縮式の伝動ベルト、又は、交互に重ねられたリンクプレートの端部が連結ピンによって相互に連結された無端環状のリンクチェーンを構成する引張式の伝動ベルトなどである。前記無段変速機構は、公知のベルト式の無段変速機である。広義には、このベルト式の無段変速機の概念にチェーン式の無段変速機を含む。
また、変速比は、「入力側の回転部材の回転速度/出力側の回転部材の回転速度」である。例えば、前記無段変速機構の変速比は、「プライマリプーリの回転速度/セカンダリプーリの回転速度」である。又、前記車両用動力伝達装置の変速比は、「入力回転部材の回転速度/出力回転部材の回転速度」である。変速比におけるハイ側は、変速比が小さくなる側である高車速側である。変速比におけるロー側は、変速比が大きくなる側である低車速側である。例えば、最ロー側変速比は、最も低車速側となる最低車速側の変速比であり、変速比が最も大きな値となる最大変速比である。
また、前記動力源は、例えば燃料の燃焼によって動力を発生するガソリンエンジンやディーゼルエンジン等のエンジンである。又、前記車両は、前記動力源として、このエンジンに加えて、又は、このエンジンに替えて、電動機等を備えていても良い。
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される車両10の概略構成を説明する図であると共に、車両10における各種制御の為の制御機能及び制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両10は、動力源として機能するエンジン12と、駆動輪14と、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路に設けられた車両用動力伝達装置16とを備えている。以下、車両用動力伝達装置16を動力伝達装置16という。
動力伝達装置16は、非回転部材としてのケース18内において、エンジン12に連結された流体式伝動装置としての公知のトルクコンバータ20、トルクコンバータ20に連結された入力軸22、入力軸22に連結された無段変速機構24、同じく入力軸22に連結された前後進切替装置26、前後進切替装置26を介して入力軸22に連結されて無段変速機構24と並列に設けられたギヤ機構28、無段変速機構24及びギヤ機構28の共通の出力回転部材である出力軸30、カウンタ軸32、出力軸30及びカウンタ軸32に各々相対回転不能に設けられて噛み合う一対のギヤから成る減速歯車装置34、カウンタ軸32に相対回転不能に設けられたギヤ36、ギヤ36に連結されたデフギヤ38等を備えている。又、動力伝達装置16は、デフギヤ38に連結された左右の車軸40を備えている。入力軸22は、エンジン12の動力が伝達される入力回転部材である。出力軸30は、駆動輪14へエンジン12の動力を出力する出力回転部材である。前記動力は、特に区別しない場合にはトルクや力も同意である。
このように構成された動力伝達装置16において、エンジン12から出力される動力は、トルクコンバータ20、前後進切替装置26、ギヤ機構28、減速歯車装置34、デフギヤ38、車軸40等を順次介して、左右の駆動輪14へ伝達される。又は、動力伝達装置16において、エンジン12から出力される動力は、トルクコンバータ20、無段変速機構24、減速歯車装置34、デフギヤ38、車軸40等を順次介して、左右の駆動輪14へ伝達される。
上述したように、動力伝達装置16は、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路PTに並列に設けられた、ギヤ機構28及び無段変速機構24を備えている。具体的には、動力伝達装置16は、入力軸22と出力軸30との間の動力伝達経路PTに並列に設けられた、ギヤ機構28及び無段変速機構24を備えている。つまり、動力伝達装置16は、入力軸22と出力軸30との間に並列に設けられた、エンジン12の動力を入力軸22から出力軸30へ各々伝達することが可能な複数の動力伝達経路を備えている。複数の動力伝達経路は、ギヤ機構28を介した第1動力伝達経路PT1、及び無段変速機構24を介した第2動力伝達経路PT2である。すなわち、動力伝達装置16は、第1動力伝達経路PT1と第2動力伝達経路PT2との複数の動力伝達経路を、入力軸22と出力軸30との間に並列に備えている。第1動力伝達経路PT1は、エンジン12の動力を入力軸22からギヤ機構28を介して駆動輪14へ伝達する動力伝達経路である。第2動力伝達経路PT2は、エンジン12の動力を入力軸22から無段変速機構24を介して駆動輪14へ伝達する動力伝達経路である。
動力伝達装置16では、エンジン12の動力を駆動輪14へ伝達する動力伝達経路が、車両10の走行状態に応じて第1動力伝達経路PT1と第2動力伝達経路PT2とで切り替えられる。その為、動力伝達装置16は、第1動力伝達経路PT1と第2動力伝達経路PT2とを選択的に形成する複数の係合装置を備えている。複数の係合装置は、第1クラッチC1、第1ブレーキB1、及び第2クラッチC2を含んでいる。第1クラッチC1は、第1動力伝達経路PT1に設けられており、第1動力伝達経路PT1を選択的に接続したり、切断したりする係合装置であって、前進時に、係合されることで第1動力伝達経路PT1を形成する係合装置である。第1ブレーキB1は、第1動力伝達経路PT1に設けられており、第1動力伝達経路PT1を選択的に接続したり、切断したりする係合装置であって、後進時に、係合されることで第1動力伝達経路PT1を形成する係合装置である。第1動力伝達経路PT1は、第1クラッチC1又は第1ブレーキB1の係合によって形成される。第2クラッチC2は、第2動力伝達経路PT2に設けられており、第2動力伝達経路PT2を選択的に接続したり、切断したりする係合装置であって、係合されることで第2動力伝達経路PT2を形成する係合装置である。第2動力伝達経路PT2は、第2クラッチC2の係合によって形成される。第1クラッチC1、第1ブレーキB1、及び第2クラッチC2は何れも、各々の油圧アクチュエータC1a、B1a、C2aによって摩擦係合させられる公知の油圧式の湿式の摩擦係合装置である。第1クラッチC1は第1摩擦係合装置であり、第2クラッチC2は第2摩擦係合装置であり、第1ブレーキB1は第3摩擦係合装置である。第1クラッチC1及び第1ブレーキB1は、各々、後述するように、前後進切替装置26を構成する要素の1つである。
エンジン12は、電子スロットル装置や燃料噴射装置や点火装置などのエンジン12の出力制御に必要な種々の機器を有するエンジン制御装置42を備えている。エンジン12は、後述する電子制御装置100によって、運転者による車両10に対する駆動要求量に対応するアクセルペダルの操作量であるアクセル操作量θaccに応じてエンジン制御装置42が制御されることで、エンジン12の出力トルクであるエンジントルクTeが制御される。
トルクコンバータ20は、エンジン12に連結されたポンプ翼車20p、及び入力軸22に連結されたタービン翼車20tを備えている。トルクコンバータ20は、エンジン12の動力を入力軸22へ伝達する流体式伝動装置である。動力伝達装置16は、ポンプ翼車20pに連結された機械式のオイルポンプ44を備えている。オイルポンプ44は、エンジン12により回転駆動されることで作動油を吐出する。具体的には、オイルポンプ44は、無段変速機構24を変速制御したり、無段変速機構24におけるベルト挟圧力を発生させたり、前記複数の係合装置の各々の係合や解放などの作動状態を切り替えたりする為の作動油圧の元圧を、車両10に備えられた油圧制御回路46へ供給する。すなわち、オイルポンプ44は、後述する複数のソレノイドバルブSLへ入力される元圧に調圧される作動油を油圧制御回路46へ供給する。
前後進切替装置26は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置26p、第1クラッチC1、及び第1ブレーキB1を備えている。遊星歯車装置26pは、入力要素としてのキャリア26cと、出力要素としてのサンギヤ26sと、反力要素としてのリングギヤ26rとの3つの回転要素を有する差動機構である。キャリア26cは、入力軸22に連結されている。リングギヤ26rは、第1ブレーキB1を介してケース18に選択的に連結される。サンギヤ26sは、入力軸22回りにその入力軸22に対して同軸心に相対回転可能に設けられた小径ギヤ48に連結されている。キャリア26cとサンギヤ26sとは、第1クラッチC1を介して選択的に連結される。
ギヤ機構28は、小径ギヤ48と、ギヤ機構カウンタ軸50と、ギヤ機構カウンタ軸50回りにそのギヤ機構カウンタ軸50に対して同軸心に相対回転不能に設けられて小径ギヤ48と噛み合う大径ギヤ52とを備えている。大径ギヤ52は、小径ギヤ48よりも大径である。又、ギヤ機構28は、ギヤ機構カウンタ軸50回りにそのギヤ機構カウンタ軸50に対して同軸心に相対回転可能に設けられたアイドラギヤ54と、出力軸30回りにその出力軸30に対して同軸心に相対回転不能に設けられてアイドラギヤ54と噛み合う出力ギヤ56とを備えている。出力ギヤ56は、アイドラギヤ54よりも大径である。従って、ギヤ機構28は、入力軸22と出力軸30との間の動力伝達経路PTにおいて、1つのギヤ段が形成される。ギヤ機構28は、ギヤ段を有するギヤ機構である。ギヤ機構28は、更に、ギヤ機構カウンタ軸50回りに、大径ギヤ52とアイドラギヤ54との間に設けられて、これらの間の動力伝達経路を選択的に接続したり、切断したりする噛合式クラッチD1を備えている。噛合式クラッチD1は、第1動力伝達経路PT1を選択的に接続したり、切断したりする係合装置であって、係合されることで第1動力伝達経路PT1を形成する係合装置である。噛合式クラッチD1は、第1クラッチC1又は第1ブレーキB1と共に係合されることで第1動力伝達経路PT1を形成する係合装置であり、前記複数の係合装置に含まれる。噛合式クラッチD1は、係合する際に回転を同期させる同期機構としての公知のシンクロメッシュ機構S1を備えている。噛合式クラッチD1は、動力伝達装置16に備えられた油圧アクチュエータ57の作動によって作動状態が切り替えられる。
第1動力伝達経路PT1は、噛合式クラッチD1と、噛合式クラッチD1よりも入力軸22側に設けられた第1クラッチC1とが共に係合されることで形成される。第1動力伝達経路PT1は、第1クラッチC1に替えて選択的に係合される、噛合式クラッチD1よりも入力軸22側に設けられた第1ブレーキB1、及び噛合式クラッチD1の係合によっても形成される。第1クラッチC1の係合により前進用の動力伝達経路が形成される一方で、第1ブレーキB1の係合により後進用の動力伝達経路が形成される。第1クラッチC1及び噛合式クラッチD1の係合によって形成される第1動力伝達経路PT1は、前進走行用第1動力伝達経路である。第1ブレーキB1及び噛合式クラッチD1の係合によって形成される第1動力伝達経路PT1は、後進走行用第1動力伝達経路である。動力伝達装置16では、第1動力伝達経路PT1が形成されると、エンジン12の動力を入力軸22からギヤ機構28を経由して出力軸30へ伝達することができる動力伝達可能状態とされる。一方で、第1動力伝達経路PT1は、第1クラッチC1及び第1ブレーキB1が共に解放されると、又は、噛合式クラッチD1が解放されると、動力伝達が不能なニュートラル状態とされる。
図2は、無段変速機構24の構成を説明する為の図である。図1、図2において、無段変速機構24は、入力軸22と同軸心に設けられて入力軸22と一体的に連結されたプライマリ軸58と、プライマリ軸58に連結された有効径が可変のプライマリプーリ60と、出力軸30と同軸心に設けられたセカンダリ軸62と、セカンダリ軸62に連結された有効径が可変のセカンダリプーリ64と、それら各プーリ60,64の間に巻き掛けられた伝達要素としての伝動ベルト66とを備えている。無段変速機構24は、各プーリ60,64と伝動ベルト66との間の摩擦力を介して動力伝達が行われる公知のベルト式の無段変速機であり、エンジン12の動力を駆動輪14側へ伝達する。前記摩擦力は、挟圧力も同意であり、ベルト挟圧力ともいう。このベルト挟圧力は、無段変速機構24における伝動ベルト66のトルク容量であるベルトトルク容量Tcvtである。
プライマリプーリ60は、プライマリ軸58に連結された固定シーブ60aと、固定シーブ60aに対してプライマリ軸58の軸心回りの相対回転不能且つ軸心方向の移動可能に設けられた可動シーブ60bと、可動シーブ60bに対してプライマリ推力Wpriを付与する油圧アクチュエータ60cとを備えている。プライマリ推力Wpriは、固定シーブ60aと可動シーブ60bとの間のV溝幅を変更する為のプライマリプーリ60の推力(=プライマリ圧Ppri×受圧面積)である。つまり、プライマリ推力Wpriは、油圧アクチュエータ60cによって付与される伝動ベルト66を挟圧するプライマリプーリ60の推力である。プライマリ圧Ppriは、油圧制御回路46によって油圧アクチュエータ60cへ供給される油圧であり、プライマリ推力Wpriを生じさせるプーリ油圧である。又、セカンダリプーリ64は、セカンダリ軸62に連結された固定シーブ64aと、固定シーブ64aに対してセカンダリ軸62の軸心回りの相対回転不能且つ軸心方向の移動可能に設けられた可動シーブ64bと、可動シーブ64bに対してセカンダリ推力Wsecを付与する油圧アクチュエータ64cとを備えている。セカンダリ推力Wsecは、固定シーブ64aと可動シーブ64bとの間のV溝幅を変更する為のセカンダリプーリ64の推力(=セカンダリ圧Psec×受圧面積)である。つまり、セカンダリ推力Wsecは、油圧アクチュエータ64cによって付与される伝動ベルト66を挟圧するセカンダリプーリ64の推力である。セカンダリ圧Psecは、油圧制御回路46によって油圧アクチュエータ64cへ供給される油圧であり、セカンダリ推力Wsecを生じさせるプーリ油圧である。
無段変速機構24では、後述する電子制御装置100により駆動される油圧制御回路46によってプライマリ圧Ppri及びセカンダリ圧Psecが各々調圧制御されることにより、プライマリ推力Wpri及びセカンダリ推力Wsecが各々制御される。これにより、無段変速機構24では、各プーリ60,64のV溝幅が変化して伝動ベルト66の掛かり径(=有効径)が変更され、変速比γcvt(=プライマリ回転速度Npri/セカンダリ回転速度Nsec)が変化させられると共に、伝動ベルト66が滑りを生じないようにベルト挟圧力が制御される。つまり、プライマリ推力Wpri及びセカンダリ推力Wsecが各々制御されることで、伝動ベルト66の滑りであるベルト滑りが防止されつつ無段変速機構24の変速比γcvtが目標変速比γcvttgtとされる。尚、プライマリ回転速度Npriはプライマリ軸58の回転速度であり、セカンダリ回転速度Nsecはセカンダリ軸62の回転速度である。
無段変速機構24では、プライマリ圧Ppriが高められると、プライマリプーリ60のV溝幅が狭くされて変速比γcvtが小さくされる。変速比γcvtが小さくされることは、無段変速機構24がアップシフトされることである。無段変速機構24では、プライマリプーリ60のV溝幅が最小とされるところで、最ハイ側変速比γminが形成される。この最ハイ側変速比γminは、無段変速機構24により形成できる変速比γcvtの範囲のうちの最も高車速側となる最高車速側の変速比γcvtであり、変速比γcvtが最も小さな値となる最小変速比である。一方で、無段変速機構24では、プライマリ圧Ppriが低められると、プライマリプーリ60のV溝幅が広くされて変速比γcvtが大きくされる。変速比γcvtが大きくされることは、無段変速機構24がダウンシフトされることである。無段変速機構24では、プライマリプーリ60のV溝幅が最大とされるところで、最ロー側変速比γmaxが形成される。この最ロー側変速比γmaxは、無段変速機構24により形成できる変速比γcvtの範囲のうちの最も低車速側となる最低車速側の変速比γcvtであり、変速比γcvtが最も大きな値となる最大変速比である。尚、無段変速機構24では、プライマリ推力Wpriとセカンダリ推力Wsecとによりベルト滑りが防止されつつ、プライマリ推力Wpriとセカンダリ推力Wsecとの相互関係にて目標変速比γcvttgtが実現されるものであり、一方の推力のみで目標の変速が実現されるものではない。プライマリ圧Ppriとセカンダリ圧Psecとの相互関係で、プライマリ推力Wpriとセカンダリ推力Wsecとの比の値である推力比τ(=Wsec/Wpri)が変更されることにより無段変速機構24の変速比γcvtが変更される。推力比τは、セカンダリ推力Wsecのプライマリ推力Wpriに対する比の値である。例えば、推力比τが大きくされる程、変速比γcvtが大きくされる、すなわち無段変速機構24はダウンシフトされる。
出力軸30は、セカンダリ軸62に対して同軸心に相対回転可能に配置されている。第2クラッチC2は、セカンダリプーリ64と出力軸30との間の動力伝達経路に設けられている。第2動力伝達経路PT2は、第2クラッチC2が係合されることで形成される。動力伝達装置16では、第2動力伝達経路PT2が形成されると、エンジン12の動力を入力軸22から無段変速機構24を経由して出力軸30へ伝達することができる動力伝達可能状態とされる。一方で、第2動力伝達経路PT2は、第2クラッチC2が解放されると、ニュートラル状態とされる。無段変速機構24の変速比γcvtは、第2動力伝達経路PT2における変速比に相当する。
動力伝達装置16では、第1動力伝達経路PT1における変速比γgear(=入力軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout)であるギヤ機構28の変速比ELは、第2動力伝達経路PT2における最大変速比である無段変速機構24の最ロー側変速比γmaxよりも大きな値に設定されている。すなわち、変速比ELは、最ロー側変速比γmaxよりもロー側の変速比に設定されている。ギヤ機構28の変速比ELは、動力伝達装置16における第1速変速比γ1に相当し、無段変速機構24の最ロー側変速比γmaxは、動力伝達装置16における第2速変速比γ2に相当する。このように、第2動力伝達経路PT2は、第1動力伝達経路PT1よりもハイ側の変速比が形成される。尚、入力軸回転速度Ninは入力軸22の回転速度であり、出力軸回転速度Noutは出力軸30の回転速度である。
車両10では、ギヤ走行モードでの走行とベルト走行モードでの走行とを選択的に行うことが可能である。ギヤ走行モードは、第1動力伝達経路PT1を用いて走行することが可能な走行モードであって、動力伝達装置16において第1動力伝達経路PT1が形成された状態とする走行モードである。ベルト走行モードは、第2動力伝達経路PT2を用いて走行することが可能な走行モードであって、動力伝達装置16において第2動力伝達経路PT2が形成された状態とする走行モードである。ギヤ走行モードでは、前進走行を可能とする場合、第1クラッチC1及び噛合式クラッチD1が係合され且つ第2クラッチC2及び第1ブレーキB1が解放される。ギヤ走行モードでは、後進走行を可能とする場合、第1ブレーキB1及び噛合式クラッチD1が係合され且つ第2クラッチC2及び第1クラッチC1が解放される。ベルト走行モードでは、第2クラッチC2が係合され且つ第1クラッチC1及び第1ブレーキB1が解放される。このベルト走行モードでは前進走行が可能となる。
ギヤ走行モードは、車両停止中を含む比較的低車速領域において選択される。ベルト走行モードは、中車速領域を含む比較的高車速領域において選択される。ベルト走行モードのうちの中車速領域でのベルト走行モードでは噛合式クラッチD1が係合される一方で、ベルト走行モードのうちの高車速領域でのベルト走行モードでは噛合式クラッチD1が解放される。高車速領域でのベルト走行モードにて噛合式クラッチD1が解放されるのは、例えばベルト走行モードでの走行中のギヤ機構28等の引き摺りをなくすと共に、高車速においてギヤ機構28や遊星歯車装置26pの構成部材である例えばピニオン等が高回転化するのを防止する為である。
車両10は、車両10の制御装置を含むコントローラとしての電子制御装置100を備えている。電子制御装置100は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。電子制御装置100は、エンジン12の出力制御、無段変速機構24の変速制御やベルト挟圧力制御、前記複数の係合装置(C1,B1,C2,D1)の各々の作動状態を切り替える油圧制御等を実行する。電子制御装置100は、必要に応じてエンジン制御用、油圧制御用等に分けて構成される。
電子制御装置100には、車両10に備えられた各種センサ等(例えば各種回転速度センサ70、72,74,76、アクセル操作量センサ78、スロットル開度センサ80、シフトポジションセンサ82、油温センサ84など)による各種検出信号等(例えばエンジン12の回転速度であるエンジン回転速度Ne、入力軸回転速度Ninと同値となるプライマリ回転速度Npri、セカンダリ回転速度Nsec、車速Vに対応する出力軸回転速度Nout、運転者の加速操作の大きさを表すアクセル操作量θacc、スロットル開度tap、車両10に備えられたシフト切替装置としてのシフトレバー85の操作ポジションPOSsh、油圧制御回路46内の作動油の温度である作動油温THoilなど)が、それぞれ供給される。又、電子制御装置100からは、車両10に備えられた各装置(例えばエンジン制御装置42、油圧制御回路46など)に各種指令信号(例えばエンジン12を制御する為のエンジン制御指令信号Se、無段変速機構24の変速やベルト挟圧力等を制御する為の油圧制御指令信号Scvt、前記複数の係合装置の各々の作動状態を制御する為の油圧制御指令信号Scbdなど)が、それぞれ出力される。尚、入力軸回転速度Nin(=プライマリ回転速度Npri)はタービン回転速度でもあり、又、プライマリ回転速度Npriはプライマリプーリ60の回転速度でもあり、又、セカンダリ回転速度Nsecはセカンダリプーリ64の回転速度でもある。又、電子制御装置100は、プライマリ回転速度Npriとセカンダリ回転速度Nsecとに基づいて無段変速機構24の実際の変速比γcvtである実変速比γcvt(=Npri/Nsec)を算出する。
シフトレバー85の操作ポジションPOSshは、例えばP,R,N,D操作ポジションである。P操作ポジションは、動力伝達装置16がニュートラル状態とされ且つ出力軸30が回転不能に機械的に固定された動力伝達装置16のPポジションを選択するパーキング操作ポジションである。動力伝達装置16のニュートラル状態は、例えば第1クラッチC1、第1ブレーキB1、及び第2クラッチC2が共に解放されることで実現される。つまり、動力伝達装置16のニュートラル状態は、第1動力伝達経路PT1及び第2動力伝達経路PT2が何れも形成されていない状態である。R操作ポジションは、ギヤ走行モードにて後進走行を可能とする動力伝達装置16のRポジションを選択する後進走行操作ポジションである。N操作ポジションは、動力伝達装置16がニュートラル状態とされた動力伝達装置16のNポジションを選択するニュートラル操作ポジションである。D操作ポジションは、ギヤ走行モードにて前進走行を可能とするか、又は、ベルト走行モードにて無段変速機構24の自動変速制御を実行して前進走行を可能とする動力伝達装置16のDポジションを選択する前進走行操作ポジションである。
油圧制御回路46は、図2に示すように、複数のソレノイドバルブSL、マニュアルバルブ86、プライマリ圧コントロールバルブ88、セカンダリ圧コントロールバルブ90、シーケンスバルブ92、C1アプライバルブ94、及びS1B1切替バルブ96などを備えている。
マニュアルバルブ86は、運転者によるシフトレバー85における切替操作に連動して機械的に油路が切り替えられる。マニュアルバルブ86は、シフトレバー85がD操作ポジションにあるときには、入力されたモジュレータ圧PMをドライブ圧PDとして出力し、シフトレバー85がR操作ポジションにあるときには、入力されたモジュレータ圧PMをリバース圧PRとして出力する。又、マニュアルバルブ86は、シフトレバー85がN操作ポジション或いはP操作ポジションにあるときには、油圧の出力を遮断し、ドライブ圧PD及びリバース圧PRを排出側へ導く。ドライブ圧PDは、Dレンジ圧又は前進油圧ともいう。リバース圧PRは、Rレンジ圧又は後進油圧ともいう。モジュレータ圧PMは、ライン圧PLを元圧として、不図示のモジュレータバルブにより一定値に調圧された油圧である。ライン圧PLは、オイルポンプ44が発生する油圧を元圧として、不図示のプライマリレギュレータバルブにより例えばスロットル開度tap等で表されるエンジン負荷に応じて調圧された油圧である。モジュレータ圧PMは、オイルポンプ44が吐出する作動油を元圧として調圧された第3油圧である。
複数のソレノイドバルブSLは、各々、電子制御装置100により電流制御が為されることで、オイルポンプ44により油圧制御回路46へ供給された作動油を用いて各々調圧した油圧を出力する。複数のソレノイドバルブSLは、C1用ソレノイドバルブSL1、C2用ソレノイドバルブSL2、第1ソレノイドバルブとしてのS1B1用ソレノイドバルブSLG、プライマリ用ソレノイドバルブSLP、及び第2ソレノイドバルブとしてのセカンダリ用ソレノイドバルブSLSである。C1用ソレノイドバルブSL1、C2用ソレノイドバルブSL2、及びS1B1用ソレノイドバルブSLGは、ノーマリークローズ式の電磁弁である。プライマリ用ソレノイドバルブSLP及びセカンダリ用ソレノイドバルブSLSは、ノーマリーオープン式の電磁弁である。ノーマリークローズ式の電磁弁は、例えば電子制御装置100からの駆動電流が途絶える断線時には油圧を出力しないオフフェール状態とされる一方で、ノーマリーオープン式の電磁弁は、断線時には最大油圧を出力するオンフェール状態とされる。
C1用ソレノイドバルブSL1は、ドライブ圧PDを元圧として、第1クラッチC1の油圧アクチュエータC1aへ供給される油圧であるC1制御圧Pc1となり得るSL1圧Psl1を出力する。すなわち、C1用ソレノイドバルブSL1は、第1クラッチC1を作動させるC1制御圧Pc1を調圧する。C2用ソレノイドバルブSL2は、ドライブ圧PDを元圧として、第2クラッチC2の油圧アクチュエータC2aへ供給される油圧であるC2制御圧Pc2となり得るSL2圧Psl2を出力する。すなわち、C2用ソレノイドバルブSL2は、第2クラッチC2を作動させるC2制御圧Pc2を調圧する。第1クラッチC1は、C1制御圧Pc1に応じてトルク容量が変化させられることで作動状態が切り替えられる。第2クラッチC2は、C2制御圧Pc2に応じてトルク容量が変化させられることで作動状態が切り替えられる。油圧制御回路46は、電子制御装置100が出力する油圧制御指令信号Scbdである油圧指示値に基づいて各制御圧Pc1,Pc2を供給する。C1制御圧Pc1に対応する油圧指示値はC1指示圧であり、C2制御圧Pc2に対応する油圧指示値はC2指示圧である。
S1B1用ソレノイドバルブSLGは、モジュレータ圧PMを元圧として、噛合式クラッチD1の作動状態を切り替える為の油圧アクチュエータ57へ供給される油圧であるシンクロ制御圧Ps1となり得る、第1油圧としてのSLG圧Pslgを出力する。すなわち、S1B1用ソレノイドバルブSLGは、噛合式クラッチD1を作動させる、すなわち第1アクチュエータとしての油圧アクチュエータ57を作動させるシンクロ制御圧Ps1を調圧する。尚、このSLG圧Pslgは、シフトレバー85がR操作ポジションとされてマニュアルバルブ86からリバース圧PRが出力される後進走行時には、第2アクチュエータとしての第1ブレーキB1の油圧アクチュエータB1aへ供給される油圧であるB1制御圧Pb1となり得る。すなわち、S1B1用ソレノイドバルブSLGは、後進走行時には、第1ブレーキB1を作動させるB1制御圧Pb1を調圧する。第1ブレーキB1は、B1制御圧Pb1に応じてトルク容量が変化させられることで作動状態が切り替えられる。油圧制御回路46は、電子制御装置100が出力する油圧制御指令信号Scbdである油圧指示値に基づいてB1制御圧Pb1を供給する。B1制御圧Pb1に対応する油圧指示値はB1指示圧である。
プライマリ用ソレノイドバルブSLPは、モジュレータ圧PMを元圧として、プライマリプーリ60の油圧アクチュエータ60cへ供給される油圧であるプライマリ圧Ppriを制御する為のSLP圧Pslpを出力する。すなわち、プライマリ用ソレノイドバルブSLPは、プライマリプーリ60を作動させるプライマリ圧Ppriを調圧する。セカンダリ用ソレノイドバルブSLSは、モジュレータ圧PMを元圧として、第3アクチュエータとしてのセカンダリプーリ64の油圧アクチュエータ64cへ供給される油圧であるセカンダリ圧Psecを制御する為の第2油圧としてのSLS圧Pslsを出力する。すなわち、セカンダリ用ソレノイドバルブSLSは、セカンダリプーリ64を作動させるセカンダリ圧Psecを調圧する。このように、セカンダリ用ソレノイドバルブSLSは、油圧アクチュエータ64cの制御に用いられる。
プライマリ圧コントロールバルブ88は、ライン圧PLを元圧として、SLP圧Pslpに基づいて作動させられることでプライマリ圧Ppriを調圧する。セカンダリ圧コントロールバルブ90は、ライン圧PLを元圧として、SLS圧Pslsに基づいて作動させられることでセカンダリ圧Psecを調圧する。
シーケンスバルブ92は、SLP圧Pslpに基づいて、SL2圧Psl2を第2クラッチC2へ供給する油路を形成する正常位置と、ドライブ圧PDを第2クラッチC2へ供給する油路を形成するフェール位置とに、弁位置が択一的に切り替えられる。シーケンスバルブ92は、モジュレータ圧PMや不図示のスプリングによる付勢力によって正常位置に保持される。シーケンスバルブ92は、SLP圧Pslpの作用によってフェール位置へ切り替えられる。例えば、シーケンスバルブ92は、断線等によってC2用ソレノイドバルブSL2がオフフェール状態となったときに所定圧以上のSLP圧Pslpが出力されると、フェール位置へ切り替えられる。この際、シフトレバー85がD操作ポジションにあるときには、第2クラッチC2へ強制的にドライブ圧PDが供給されてその第2クラッチC2が係合される。SL2圧Psl2やドライブ圧PDは、シーケンスバルブ92を介してC2制御圧Pc2として第2クラッチC2へ供給される。
C1アプライバルブ94は、SL1圧Psl1及びC2制御圧Pc2に基づいて、SL1圧Psl1を第1クラッチC1へ供給する油路を形成する通常状態としての正常位置と、C1制御圧Pc1を排出する油路を形成するタイアップ防止状態としてのフェール位置とに、弁位置が択一的に切り替えられる。C1アプライバルブ94は、SL1圧Psl1及びC2制御圧Pc2が共に付与されることでフェール位置に切り替えられる。SL1圧Psl1は、C1アプライバルブ94を介してC1制御圧Pc1として第1クラッチC1へ供給される。C1アプライバルブ94は、C1制御圧Pc1としてSL1圧Psl1を第1クラッチC1へ供給する油路を遮断することで第1クラッチC1と第2クラッチC2との同時係合によるタイアップを防止するフェールセーフバルブとして機能する。
S1B1切替バルブ96は、リバース圧PRに基づいて、SLG圧Pslgを油圧アクチュエータ57へ供給する油路を形成し、且つ、B1制御圧Pb1を排出する油路を形成する非R位置と、モジュレータ圧PMを油圧アクチュエータ57へ供給する油路を形成し、且つ、SLG圧Pslgを第1ブレーキB1へ供給する油路を形成するR位置とに、弁位置が択一的に切り替えられる。
具体的には、図3は、S1B1切替バルブ96の構成を詳しく説明する為の図である。図3において、S1B1切替バルブ96は、スプール弁子96sv、スプリング96sp、第1油室96c1、第2油室96c2、第1入力ポート96i1、第2入力ポート96i2、第1出力ポート96o1、及び第2出力ポート96o2を有している。
スプール弁子96svは、バルブボディ内において、所定の移動ストロークで摺動可能に収容されている。スプリング96spは、第1油室96c1内に収容されており、スプール弁子96svを非R位置に保持する為の付勢力を発生する。第1油室96c1は、SLS圧Pslsを受け入れる作動油室であり、SLS圧Pslsによってスプール弁子96svを非R位置側に押圧する推力を発生させることができる。第2油室96c2は、リバース圧PRを受け入れる作動油室であり、リバース圧PRによってスプール弁子96svをR位置側に押圧する推力を発生させることができる。第1入力ポート96i1には、SLG圧Pslgが入力される。第2入力ポート96i2には、モジュレータ圧PMが入力される。第1出力ポート96o1は、噛合式クラッチD1の作動状態を切り替える油圧アクチュエータ57に連通させられている、すなわち油圧アクチュエータ57へシンクロ制御圧Ps1を供給する油路に接続されている。第2出力ポート96o2は、第1ブレーキB1に連通させられている、すなわち油圧アクチュエータB1aへB1制御圧Pb1を供給する油路に接続されている。
S1B1切替バルブ96では、スプール弁子96svが非R位置に移動させられると、第1入力ポート96i1と第1出力ポート96o1とが連通させられる。一方で、S1B1切替バルブ96では、スプール弁子96svがR位置に移動させられると、第1入力ポート96i1と第2出力ポート96o2とが連通させられると共に、第2入力ポート96i2と第1出力ポート96o1とが連通させられる。
このように構成されたS1B1切替バルブ96は、非R位置においては、SLG圧Pslgを油圧アクチュエータ57へ供給することが可能である。一方で、S1B1切替バルブ96は、リバース圧PRの作用によってR位置へ切り替えられると、SLG圧Pslgを油圧アクチュエータB1aへ供給することが可能であると共に、モジュレータ圧PMを油圧アクチュエータ57へ供給することが可能である。
以上のように、S1B1切替バルブ96は、SLS圧Pslsとマニュアルバルブ86を介してリバース圧PRとされたモジュレータ圧PMとの相対関係に基づいて、SLG圧Pslgを油圧アクチュエータ57へ供給可能な第1状態としての非R位置と、SLG圧Pslgを油圧アクチュエータB1aへ供給可能な第2状態としてのR位置とに切り替えられる切替バルブである。S1B1切替バルブ96は、リバース圧PRとされたモジュレータ圧PMの入力によってR位置に切り替えられ得る切替バルブである。
又、シフトレバー85がR操作ポジションにあるときのみ、マニュアルバルブ86を介したモジュレータ圧PMであるリバース圧PRがS1B1切替バルブ96に入力される。その為、S1B1切替バルブ96は、後進走行時にはR位置に切り替えられる。S1B1切替バルブ96のR位置では、SLG圧PslgがB1制御圧Pb1として油圧アクチュエータB1aへ供給可能であり、且つマニュアルバルブ86を介さないモジュレータ圧PMがシンクロ制御圧Ps1として油圧アクチュエータ57へ供給可能である。一方で、シフトレバー85がR操作ポジション以外にあるときには、リバース圧PRがS1B1切替バルブ96に入力されない。その為、S1B1切替バルブ96は、前進走行時等にはSLS圧Pslsに拘わらず常に非R位置に維持される。S1B1切替バルブ96の非R位置では、SLG圧Pslgがシンクロ制御圧Ps1として油圧アクチュエータ57へ供給可能である。
S1B1切替バルブ96は、後進走行時はSLG圧Pslgが油圧アクチュエータB1aへ供給可能であるので、第2状態としてのR位置はB1側切替状態でもある。又、S1B1切替バルブ96は、前進走行時や後進走行禁止時はSLG圧Pslgが油圧アクチュエータ57へ供給可能であるので、第1状態としての非R位置はS1側切替状態でもある。
図1に戻り、電子制御装置100は、車両10における各種制御を実現する為に、エンジン制御手段すなわちエンジン制御部102、及び変速制御手段すなわち変速制御部104を備えている。
エンジン制御部102は、予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された関係すなわち予め定められた関係である例えば駆動力マップにアクセル操作量θacc及び車速Vを適用することで要求駆動力Fdemを算出する。エンジン制御部102は、その要求駆動力Fdemが得られる目標エンジントルクTetを設定し、その目標エンジントルクTetが得られるようにエンジン12を制御するエンジン制御指令信号Seをエンジン制御装置42へ出力する。
変速制御部104は、車両停止中に、操作ポジションPOSshがP操作ポジション又はN操作ポジションである場合には、ギヤ走行モードへの移行に備えて、噛合式クラッチD1を係合する油圧制御指令信号Scbdを油圧制御回路46へ出力する。変速制御部104は、車両停止中に、操作ポジションPOSshがP操作ポジション又はN操作ポジションからD操作ポジションとされた場合、第1クラッチC1を係合する油圧制御指令信号Scbdを油圧制御回路46へ出力する。これにより、走行モードが前進走行を可能とするギヤ走行モードへ移行させられる。変速制御部104は、車両停止中に、操作ポジションPOSshがP操作ポジション又はN操作ポジションからR操作ポジションとされた場合、第1ブレーキB1を係合する油圧制御指令信号Scbdを油圧制御回路46へ出力する。これにより、走行モードが後進走行を可能とするギヤ走行モードへ移行させられる。
変速制御部104は、操作ポジションPOSshがD操作ポジションである場合、ギヤ走行モードとベルト走行モードとを切り替える切替制御を実行する。具体的には、変速制御部104は、ギヤ走行モードにおけるギヤ機構28の変速比ELに対応する第1速変速段と、ベルト走行モードにおける無段変速機構24の最ロー側変速比γmaxに対応する第2速変速段とを切り替える為の所定のヒステリシスを有した、予め定められた関係である有段変速マップとしてのアップシフト線及びダウンシフト線に、車速V及びアクセル操作量θaccを適用することで変速の要否を判断し、その判断結果に基づいて走行モードを切り替える。
変速制御部104は、ギヤ走行モードでの走行中にアップシフトを判断してベルト走行モードへ切り替える場合、第1クラッチC1を解放して第2クラッチC2を係合するようにクラッチを掴み替えるクラッチツゥクラッチ変速を行う油圧制御指令信号Scbdを油圧制御回路46へ出力する。これにより、動力伝達装置16における動力伝達経路PTは、第1動力伝達経路PT1から第2動力伝達経路PT2へ切り替えられる。このように、変速制御部104は、第1クラッチC1の解放と第2クラッチC2の係合とによる有段変速制御によって、第1動力伝達経路PT1が形成された状態であるギヤ走行モードから第2動力伝達経路PT2が形成された状態であるベルト走行モードへ切り替える動力伝達装置16のアップシフトを実行する。本実施例では、ギヤ走行モードからベルト走行モードへ切り替える動力伝達装置16のアップシフトを有段アップシフトと称する。
変速制御部104は、ベルト走行モードでの走行中にダウンシフトを判断してギヤ走行モードへ切り替える場合、第2クラッチC2を解放して第1クラッチC1を係合するようにクラッチを掴み替えるクラッチツゥクラッチ変速を行う油圧制御指令信号Scbdを油圧制御回路46へ出力する。これにより、動力伝達装置16における動力伝達経路PTは、第2動力伝達経路PT2から第1動力伝達経路PT1へ切り替えられる。このように、変速制御部104は、第2クラッチC2の解放と第1クラッチC1の係合とによる有段変速制御によって、第2動力伝達経路PT2が形成された状態であるベルト走行モードから第1動力伝達経路PT1が形成された状態であるギヤ走行モードへ切り替える動力伝達装置16のダウンシフトを実行する。本実施例では、ベルト走行モードからギヤ走行モードへ切り替える動力伝達装置16のダウンシフトを有段ダウンシフトと称する。
ギヤ走行モードとベルト走行モードとを切り替える切替制御では、噛合式クラッチD1が係合された中車速領域でのベルト走行モードの状態を経由することで、上記クラッチツゥクラッチ変速によるトルクの受け渡しを行うだけで第1動力伝達経路PT1と第2動力伝達経路PT2とが切り替えられるので、切替えショックが抑制される。
変速制御部104は、ベルト走行モードにおいては、無段変速機構24のベルト滑りが発生しないようにしつつ無段変速機構24の目標変速比γcvttgtを達成するように、プライマリ圧Ppriとセカンダリ圧Psecとを制御する油圧制御指令信号Scvtを油圧制御回路46へ出力して、無段変速機構24の変速を実行する。
具体的には、変速制御部104は、予め定められた関係である例えばCVT変速マップにアクセル操作量θacc及び車速Vを適用することで目標プライマリ回転速度Npritを算出する。変速制御部104は、目標プライマリ回転速度Npritに基づいて目標変速比γcvttgt(=Nprit/Nsec)を算出する。変速制御部104は、予め定められた関係である例えばエンジントルクマップにスロットル開度tap及びエンジン回転速度Neを適用することでエンジントルクTeの推定値を算出する。変速制御部104は、エンジントルクTeの推定値と予め定められた関係である例えばトルクコンバータ20の特性とに基づいてタービントルクTtを算出する。変速制御部104は、プライマリプーリ60に入力される入力トルクであるプライマリ入力トルクTpriとして、タービントルクTtを用いる。プライマリ入力トルクTpriは、プライマリ軸58におけるトルクである。変速制御部104は、予め定められた関係である推力比マップに目標変速比γcvttgt及びトルク比を適用することで、目標変速比γcvttgtを実現する為の推力比τを算出する。このトルク比は、上記算出されたプライマリ入力トルクTpriと、予め定められたプライマリプーリ60に入力可能な限界のトルクTprilimとの比(=Tpri/Tprilim)である。変速制御部104は、この推力比τを達成する為の目標プライマリ推力Wprit及び目標セカンダリ推力Wsectを算出する。一方の推力が決められれば、目標変速比γcvttgtを実現する為の推力比τに基づいて他方の推力も決められる。変速制御部104は、目標プライマリ推力Wprit及び目標セカンダリ推力Wsectを、目標プライマリ圧Pprit(=Wprit/受圧面積)及び目標セカンダリ圧Psect(=Wsect/受圧面積)に各々変換する。変速制御部104は、目標プライマリ圧Pprit及び目標セカンダリ圧Psectが得られるように、プライマリ圧Ppriとセカンダリ圧Psecとを制御する油圧制御指令信号Scvtを油圧制御回路46へ出力する。油圧制御回路46は、その油圧制御指令信号Scvtに従って、各ソレノイド弁を作動させてプライマリ圧Ppri及びセカンダリ圧Psecを調圧する。尚、上述した無段変速機構24の変速制御の説明では、便宜上、目標変速比γcvttgtを一定に維持する為の推力について述べた。無段変速機構24の変速過渡においては、目標のアップシフト或いは目標のダウンシフトを実現する為の推力がこの一定に維持する為の推力に加えられる。
目標プライマリ推力Wprit及び目標セカンダリ推力Wsectの算出では、必要最小限の推力で無段変速機構24のベルト滑りを防止する為に必要となる推力である必要推力が考慮される。この必要推力は、無段変速機構24のベルト滑りが発生する直前の推力である滑り限界推力である。
変速制御部104は、プライマリプーリ60の限界推力であるプライマリ限界推力Wprilimと、セカンダリプーリ64の限界推力であるセカンダリ限界推力Wseclimを設定する。変速制御部104は、次式(1)を用いてプライマリ限界推力Wprilimを設定する。変速制御部104は、次式(2)を用いてセカンダリ限界推力Wseclimを設定する。次式(1)及び次式(2)において、「α」は各プーリ60,64のシーブ角、「μ」はベルトエレメントとシーブとの間の摩擦係数、「Rpri」は無段変速機構24の変速比γcvtに基づいて算出されるプライマリプーリ60側のベルト掛かり径、「Rsec」は無段変速機構24の変速比γcvtに基づいて算出されるセカンダリプーリ64側のベルト掛かり径をそれぞれ示している(図2参照)。又、「γcvt×Tpri」はセカンダリプーリ64に入力されるトルクを示している。
Wprilim=(Tpri×cosα)/(2×μ×Rpri) …(1)
Wseclim=(γcvt×Tpri×cosα)/(2×μ×Rsec) …(2)
Wseclim=(γcvt×Tpri×cosα)/(2×μ×Rsec) …(2)
変速制御部104は、プライマリ限界推力Wprilim及び目標変速比γcvttgtを実現する為の推力比τに基づいて、変速制御の為に必要なセカンダリプーリ64の推力であるセカンダリ変速制御推力Wsecsh(=τ×Wprilim)を算出する。変速制御部104は、セカンダリ限界推力Wseclim及びセカンダリ変速制御推力Wsecshのうちの大きい方を、目標セカンダリ推力Wsectとして設定する。変速制御部104は、目標セカンダリ推力Wsect及び目標変速比γcvttgtを実現する為の推力比τに基づいて、目標プライマリ推力Wprit(=Wsect/τ)を算出する。
ところで、オイルポンプ44により油圧制御回路46へ供給される作動油の流量と、油圧制御回路46にて消費される作動油の流量とにおける流量収支の性能は、例えばエンジン回転速度Neや作動油温THoilによって制限を受ける。エンジン回転速度Neが低下してオイルポンプ44から供給される作動油の流量が低下したとき、又は、油圧制御回路46における作動油の漏れ量すなわちバルブボディからの作動油の漏れ量が増加するような作動油温THoilが高いときなどには、油圧制御回路46にて消費される作動油の流量に対して油圧制御回路46へ供給される作動油の流量が相対的に少なくされて、流量収支の性能が低下し易い。このような現象は、燃費向上の為にオイルポンプ44の小型化を図る程、顕著である。
一方で、S1B1切替バルブ96における非R位置とR位置との弁位置の切替えは、SLS圧Pslsとマニュアルバルブ86を介してリバース圧PRとされたモジュレータ圧PMとの相対関係で決定される。SLS圧Pslsは、無段変速機構24の制御に用いられるセカンダリ用ソレノイドバルブSLSの出力油圧であるので、無段変速機構24の制御に合わせて変化させられる。モジュレータ圧PMは油圧制御回路46における流量収支の影響受ける為、流量収支の性能が低下するとモジュレータ圧PMが低下させられる可能性がある。その為、流量収支の状態などによってS1B1切替バルブ96における弁位置の切替えの閾値が変化してしまい、S1B1切替バルブ96の誤切替えが発生するおそれがある。
図4は、S1B1切替バルブ96における弁位置の切替えを、SLS圧Pslsとモジュレータ圧PMとの相対関係で説明する為の図である。ここでのモジュレータ圧PMは、リバース圧PRとされたモジュレータ圧PMである。図4において、実線Aは、SLS圧Pslsとモジュレータ圧PMとが同値となる関係を示している。実線Bは、次式(3)で示される関係を示しており、S1B1切替バルブ96における弁位置の切替えの閾値を示している。この次式(3)において、左辺はスプール弁子96svをS1側切替状態(=非R位置)側へ押し付ける圧を示しており、右辺はスプール弁子96svをB1側切替状態(=R位置)側へ押し付ける圧を示している。「S」はスプリング96spに対応した圧であり、「C」は所定の定数である。実線Aに対してSLS圧Pslsが高い領域すなわちSLS圧Pslsがモジュレータ圧PMよりも高い領域は、SLS圧Pslsの元圧がモジュレータ圧PMである為に、リバース圧PRが出力されているときには原理上起こり得ない領域である。実線Bに対してSLS圧Pslsが低い領域すなわちS1B1切替バルブ96がR位置から非R位置へ切り替えられる閾値よりもSLS圧Pslsが低い領域は、S1B1切替バルブ96がB1側切替状態とされるB1側切替領域である。すなわち、実線Bは、S1B1切替バルブ96における弁位置の切替えの閾値としてのS1/B1切替圧を示している。従って、実線Aと実線Bとで囲まれた領域は、S1B1切替バルブ96がS1側切替状態とされるS1側切替領域である。
Psls+S=C×PM …(3)
後進走行時には、SLS圧Pslsとモジュレータ圧PMとの相対関係は例えば黒丸Cに示すようにB1側切替領域内に維持されて、S1B1切替バルブ96はR位置に維持される必要がある。両者の相対関係がB1側切替領域内にあるときに、SLS圧Pslsに変化がなく、モジュレータ圧PMが低下した場合は、両者の相対関係は例えば黒丸Dに示すようにB1側切替領域内からS1側切替領域内へ移動させられる可能性がある。そうすると、S1B1切替バルブ96が非R位置へ切り替えられる誤切替えが発生してしまう。
S1B1切替バルブ96が非R位置へ切り替えられる誤切替えが発生すると、下記のような現象が発生する可能性がある。例えば係合状態であった第1ブレーキB1が解放されて動力伝達装置16がニュートラル状態とされ、駆動力が出せなくなる。又は、誤切替えによって第1ブレーキB1が解放された後に、モジュレータ圧PMが上昇したり又はSLS圧Pslsが低下してS1B1切替バルブ96が誤切替えの状態から正常状態であるR位置へ戻った際に、第1ブレーキB1が係合状態とされていたときのSLG圧PslgすなわちB1制御圧Pb1が第1ブレーキB1へ急速に供給されることによって急係合ショックが発生する。又は、誤切替えによってシンクロ制御圧Ps1が低下させられることによる噛合式クラッチD1の解放状態への切替え。又は、その噛合式クラッチD1が解放状態から再係合される際に、シンクロメッシュ機構S1での同期が進行し難くされてギヤ鳴り等のシンクロ係合不良が発生する。
S1B1切替バルブ96がR位置から非R位置へ切り替えられる誤切替えを防止するには、シフトレバー85がR操作ポジションにあるときはSLS圧PslsをB1側切替領域内で用いる必要がある。本実施例の車両10のようにSLS圧Pslsやモジュレータ圧PMを各々検出する油圧センサが備えられていない場合、それらの油圧の実際値を検知することができない為、使用可能なSLS圧Pslsや必要なモジュレータ圧PMを適宜正確に求めることができない。SLS圧Pslsは、無段変速機構24の変速制御等にも用いられている為、車両10の状態に応じて変化させる必要がある。モジュレータ圧PMに応じたSLS圧Pslsの使用可能な範囲を適切に設定することが望まれる。
モジュレータ圧PMは、油圧制御回路46における流量収支の影響受ける為、エンジン回転速度Neやバルブボディからの作動油の漏れ量に関係する作動油温THoilなどの要因の影響を受ける。エンジン回転速度Neや作動油温THoilは検知可能である。電子制御装置100は、エンジン回転速度Ne及び作動油温THoilを用いてモジュレータ圧PMの実際値を予測し、すなわちモジュレータ圧PMの推定値を算出し、そのモジュレータ圧PMの推定値を用いて使用可能なSLS圧Pslsを設定する、すなわちSLS圧Pslsとして使用可能な上限値を設定する。本実施例では、モジュレータ圧PMの推定値を推定モジュレータ圧PMeと称し、SLS圧Pslsの上限値をSLS上限ガード圧Pslsugと称する。
具体的には、電子制御装置100は、上述したようなS1B1切替バルブ96の誤切替えを防止する為にSLS上限ガード圧Pslsugを設定するという機能を実現する為に、更に、状態判定手段すなわち状態判定部106、推定値算出手段すなわち推定値算出部108、及び上限値算出手段すなわち上限値算出部110を備えている。
状態判定部106は、条件[1]及び条件[2]の何れもが成立したか否かを判定する。条件[1]は、シフトレバー85がR操作ポジションにあるという条件である。条件[2]は、S1B1切替バルブ96がB1側切替状態(=R位置)側に切り替えられているという条件である。尚、条件[1]及び条件[2]の何れもが成立したか否かを判定するということは、S1B1切替バルブ96がR位置に切り替えられているか否かを判定するということと同意である。S1B1切替バルブ96がR位置に切り替えられているということとは、例えばS1B1切替バルブ96がR位置に切り替えられた状態にあるということであるが、S1B1切替バルブ96がR位置へ切り替えられる過渡中にあるということも含んでいる。
推定値算出部108は、状態判定部106によりS1B1切替バルブ96がR位置に切り替えられていると判定されたときに、予め定められた第1の関係としての推定モジュレータ圧マップPMmap(Ne,THoil)にエンジン回転速度Ne及び作動油温THoilを適用することで推定モジュレータ圧PMe(=PMmap(Ne,THoil))を算出する。推定モジュレータ圧マップPMmap(Ne,THoil)は、例えばエンジン回転速度Neが高い程、推定モジュレータ圧PMeが高くなるように、又、作動油温THoilが高い程、推定モジュレータ圧PMeが低くなるように予め定められた関係である。推定モジュレータ圧マップPMmap(Ne,THoil)では、例えばバルブボディからの作動油の漏れ量が最悪となる個体を前提として、個体ばらつきに対してもS1B1切替バルブ96の誤切替えが発生しないように予め定められている。本実施例では、推定モジュレータ圧マップPMmap(Ne,THoil)をマップPMmap(Ne,THoil)と称する。
上限値算出部110は、予め定められた第2の関係としての次式(4)に推定値算出部108により算出された推定モジュレータ圧PMeを適用することでS1B1切替バルブ96をR位置に維持できるSLS上限ガード圧Pslsug(=F(PMe))を算出する。次式(4)は、前記式(3)を変換した式に相当する。
Pslsug=F(PMe)=C×PMe−S …(4)
変速制御部104は、SLS上限ガード圧Pslsugを超えない範囲でSLS圧Pslsを制御する油圧制御部105を機能的に備えている。例えば、変速制御部104は、SLS圧PslsがSLS上限ガード圧Pslsugを超えない範囲で、無段変速機構24のベルト滑りが発生しないようにしつつ無段変速機構24の変速を実行する。
油圧制御回路46における作動油の流量の消費は、何らかの油圧アクチュエータが作動させられているときに発生させられる。例えば、第1クラッチC1を解放状態から係合状態へ切り替えるC1係合中、第2クラッチC2を解放状態から係合状態へ切り替えるC2係合中、第1ブレーキB1を解放状態から係合状態へ切り替えるB1係合中、無段変速機構24を変速するCVT変速中などに発生させられる。何らかの油圧アクチュエータが作動させられているときには、油圧制御回路46における流量収支の性能が低下し易い。その為、モジュレータ圧PMは、油圧アクチュエータの作動の影響を受ける。
シフトレバー85をN操作ポジションからR操作ポジションへ切り替える運転者によるシフト操作であるN→Rガレージ操作では、S1B1切替バルブ96がR位置に切り替えられる。これに伴って、第1ブレーキB1を係合状態へ切り替えるリバースガレージ制御が実行される。このリバースガレージ制御の実行中である場合は、B1係合中とされる。本実施例では、リバースガレージ制御の実行中をRガレージ中と称する。又、シフトレバー85がR操作ポジションにあるときは、無段変速機構24の変速比γcvtを最ロー側変速比γmaxとすることが望ましい。その為、無段変速機構24の変速比γcvtが最ロー側変速比γmaxよりもハイ側にあるときには、最ロー側変速比γmaxへの無段変速機構24の変速制御が実行される。無段変速機構24の変速比γcvtが最ロー側変速比γmax以外にある場合は、CVT変速中とされる。S1B1切替バルブ96の誤切替えを防止することに関して、上記B1係合中とCVT変速中とを考慮する。
油圧制御回路46における流量収支の性能が最も低下する場合は、CVT変速中且つB1係合中であり、モジュレータ圧PMはCVT変速中且つB1係合中の状態で最も低下させられる可能性がある。CVT変速中且つB1係合中の状態でSLS上限ガード圧Pslsugを設定する場合、モジュレータ圧PMの低下量が大きく、CVT変速中且つB1係合中以外の状態では成立しない可能性がある。
電子制御装置100は、第1ブレーキB1の油圧アクチュエータB1a及びセカンダリプーリ64の油圧アクチュエータ64cの各々の作動状態に応じた推定モジュレータ圧PMeを設定し、それに合わせてSLS上限ガード圧Pslsugを設定する。油圧アクチュエータB1aの作動状態は、例えばRガレージ中かそれ以外かということに相当する。油圧アクチュエータ64cの作動状態は、例えば無段変速機構24の変速比γcvtが最ロー側変速比γmaxかそれ以外かということに相当する。
状態判定部106は、S1B1切替バルブ96がR位置に切り替えられていると判定した場合には、第1ブレーキB1の油圧アクチュエータB1a及びセカンダリプーリ64の油圧アクチュエータ64cの各々の作動状態がどのような作動状態であるかを判定する。例えば、状態判定部106は、CVT変速中且つB1係合中であるか否かを、無段変速機構24の変速比γcvtが最ロー側変速比γmax以外であり且つRガレージ中であるか否かに基づいて判定する。又、状態判定部106は、CVT変速中であるか否かを、無段変速機構24の変速比γcvtが最ロー側変速比γmax以外であるか否かに基づいて判定する。又、状態判定部106は、B1係合中であるか否かを、Rガレージ中であるか否かに基づいて判定する。
推定値算出部108は、状態判定部106による油圧アクチュエータB1a,64cの各作動状態の判定結果に応じたマップPMmap(Ne,THoil)にエンジン回転速度Ne及び作動油温THoilを適用することで、油圧アクチュエータB1a,64cの作動状態に応じた推定モジュレータ圧PMeを算出する。
図5は、油圧アクチュエータB1a,64cの各作動状態に応じたマップPMmap(Ne,THoil)の一例を示す図である。図5において、実線AはCVT変速中且つB1係合中であるときのマップPMmap1(Ne,THoil)であり、実線BはB1係合中であるときのマップPMmap2(Ne,THoil)であり、実線CはCVT変速中であるときのマップPMmap3(Ne,THoil)であり、実線Dは油圧アクチュエータB1a,64cの作動無しのときのマップPMmap4(Ne,THoil)である。各マップPMmap(Ne,THoil)は、エンジン回転速度Neが高い程、推定モジュレータ圧PMeが高くされる。又、各マップPMmap(Ne,THoil)は、マップPMmap1(Ne,THoil)に例示するように、作動油温THoilが高い程、推定モジュレータ圧PMeが低くされる。又、各マップPMmap(Ne,THoil)は、モジュレータ圧PMの低下量が大きいと予測される、油圧アクチュエータB1a,64cの作動状態である程、推定モジュレータ圧PMeが低くされる。
上限値算出部110は、前記式(3)に推定値算出部108により算出された油圧アクチュエータB1a,64cの作動状態に応じた推定モジュレータ圧PMeを適用することで油圧アクチュエータB1a,64cの作動状態に応じたSLS上限ガード圧Pslsugを算出する。
図6は、電子制御装置100の制御作動の要部すなわちS1B1切替バルブ96の状態をR位置とする必要があるときにS1B1切替バルブ96の誤切替えの発生を防止する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば繰り返し実行される。図7は、図6のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートの一例を示す図である。
図6において、先ず、状態判定部106の機能に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、条件[1]及び条件[2]の何れもが成立したか否かが判定される。このS10の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられる。このS10の判断が肯定される場合は状態判定部106の機能に対応するS20−S40において、油圧アクチュエータB1a,64cの各作動状態が判定される。例えば、このS10の判断が肯定される場合はS20において、CVT変速中且つB1係合中であるか否かが判定される。このS20の判断が否定される場合はS30において、B1係合中であるか否かが判定される。このS30の判断が否定される場合はS40において、CVT変速中であるか否かが判定される。上記S20の判断が肯定される場合は推定値算出部108及び上限値算出部110の機能に対応するS50において、CVT変速中且つB1係合中であるときの推定モジュレータ圧PMe(=PMmap1(Ne,THoil))が算出され、その推定モジュレータ圧PMeを用いてSLS上限ガード圧Pslsug(=F(PMe))が算出される。上記S30の判断が肯定される場合は推定値算出部108及び上限値算出部110の機能に対応するS60において、B1係合中であるときの推定モジュレータ圧PMe(=PMmap2(Ne,THoil))が算出され、その推定モジュレータ圧PMeを用いてSLS上限ガード圧Pslsug(=F(PMe))が算出される。上記S40の判断が肯定される場合は推定値算出部108及び上限値算出部110の機能に対応するS70において、CVT変速中であるときの推定モジュレータ圧PMe(=PMmap3(Ne,THoil))が算出され、その推定モジュレータ圧PMeを用いてSLS上限ガード圧Pslsug(=F(PMe))が算出される。上記S40の判断が否定される場合は推定値算出部108及び上限値算出部110の機能に対応するS80において、油圧アクチュエータB1a,64cの作動無しのときの推定モジュレータ圧PMe(=PMmap4(Ne,THoil))が算出され、その推定モジュレータ圧PMeを用いてSLS上限ガード圧Pslsug(=F(PMe))が算出される。上記S50に次いで、又は、上記S60に次いで、又は、上記S70に次いで、又は、上記S80に次いで、変速制御部104の機能に対応するS90において、上記算出されたSLS上限ガード圧PslsugがSLS圧Pslsの制御に反映される。すなわち、上記算出されたSLS上限ガード圧Pslsugを超えない範囲でSLS圧Pslsが制御される。
図7は、無段変速機構24の変速比γcvtが最ロー側変速比γmaxよりもハイ側にあるときにN→Rガレージ操作が為された場合の実施態様の一例を示している。図7において、t1時点は、N→Rガレージ操作が為された時点を示している。N→Rガレージ操作に伴って、リバースガレージ制御が実行される(t1時点−t2時点参照)。シフトレバー85がR操作ポジションにあるが、無段変速機構24の変速比γcvtが最ロー側変速比γmax以外にある為、最ロー側変速比γmaxへの無段変速機構24の変速制御が実行されている(t1時点−t3時点参照)。t1時点−t2時点では、CVT変速中且つRガレージ中(=B1係合中)であるので、SLS上限ガード圧PslsugはF(PMmap1(Ne,THoil))とされる。t2時点−t3時点では、CVT変速中のみであるので、SLS上限ガード圧PslsugはF(PMmap3(Ne,THoil))とされる。t3時点以降では、油圧アクチュエータB1a,64cの作動無しであるので、SLS上限ガード圧PslsugはF(PMmap4(Ne,THoil))とされる。又、このt3時点以降では、エンジン回転速度Neの上昇に合わせてF(PMmap4(Ne,THoil))が上昇させられている。尚、N→Rガレージ操作時点すなわちt1時点以前では、SLS上限ガード圧Pslsugは設定されない。
上述のように、本実施例によれば、S1B1切替バルブ96がR位置に切り替えられているときに、エンジン回転速度Ne及び作動油温THoilを用いて推定モジュレータ圧PMeが算出され、その推定モジュレータ圧PMeを用いてS1B1切替バルブ96をR位置に維持できるSLS上限ガード圧Pslsugが算出されるので、エンジン回転速度Ne及び作動油温THoilは何れも作動油の流量収支に影響を与えることに対して作動油の流量収支の影響を受ける推定モジュレータ圧PMeやその推定モジュレータ圧PMeに応じたSLS上限ガード圧Pslsugが適切に算出される。そして、SLS上限ガード圧Pslsugを超えない範囲でSLS圧Pslsが制御されるので、S1B1切替バルブ96がR位置に適切に維持され得る。よって、S1B1切替バルブ96の状態をR位置とする必要があるときにS1B1切替バルブ96の誤切替えの発生を防止することができる。
また、本実施例によれば、油圧アクチュエータB1a,64cの各作動状態を判定することで、油圧アクチュエータB1a,64cの作動状態に応じてSLS上限ガード圧Pslsugが切り替えられるので、S1B1切替バルブ96の誤切替え防止と、SLS圧Pslsの必要領域内での制御換言すればリバースガレージ制御とを両立させることができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例における図6のフローチャートに示す制御作動では、油圧アクチュエータB1a,64cの作動状態に応じたSLS上限ガード圧Pslsugを設定する実施態様を説明したが、この態様に限らない。例えば、油圧アクチュエータB1a,64cの作動状態に拘わらず一律の推定モジュレータ圧マップPMmap(Ne,THoil)を用いて推定モジュレータ圧PMeを算出し、その推定モジュレータ圧PMeを用いてSLS上限ガード圧Pslsugを設定しても良い。このような場合には、図6のフローチャートにおけるS20−S40は備えられず、S50−S80は油圧アクチュエータB1a,64cの作動状態に拘わらずSLS上限ガード圧Pslsugを設定する、1つのステップとされる。
また、前述の実施例では、入力軸22と出力軸30との間に並列に設けられた、ギヤ機構28を介した第1動力伝達経路PT1と無段変速機構24を介した第2動力伝達経路PT2とを有する動力伝達装置16を備えた車両10に本発明を適用したが、この態様に限らない。要は、第1アクチュエータ、第2アクチュエータ、第3アクチュエータ、及び動力源の動力を駆動輪へ伝達する動力伝達経路を有する車両用動力伝達装置と、動力源により回転駆動されることで作動油を吐出するオイルポンプと、前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータへ制御油圧を供給可能な第1ソレノイドバルブと、前記第1ソレノイドバルブの出力油圧を前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータの一方に択一的に供給可能に油路を切り替える為の切替バルブと、前記第3アクチュエータの制御に用いられる第2ソレノイドバルブとを備え、前記作動油を元圧として調圧された油圧と第2ソレノイドバルブの出力油圧との相対関係に基づいて前記切替バルブの状態が切り替えられる車両であれば、本発明を適用することができる。
また、前述の実施例では、SLS上限ガード圧Pslsugを設定することで、S1B1切替バルブ96の誤切替えを防止した。S1B1切替バルブ96の誤切替えに対しては、オイルポンプ44の吐出量の増加により、又は、エンジン12のアイドルアップにより、SLS圧Pslsの制御範囲では誤切替えが生じない程の高いモジュレータ圧PMを常に設定することが考えられる。しかしながら、オイルポンプ44の吐出量の増加は車両製造コストを増加させたり、アイドルアップは燃費を悪化させるという背反が存在する。本発明は、このような背反が存在しない。又は、S1B1切替バルブ96の誤切替えに対しては、S1B1切替バルブ96の切替えを制御する専用のソレノイドバルブを追加することが考えられる。しかしながら、専用のソレノイドバルブの追加は、車両製造コストを増加させたり、工数を増加させるという背反が存在する。本発明は、このような背反が存在しない。
また、前述の実施例では、第2クラッチC2は、セカンダリプーリ64と出力軸30との間の動力伝達経路に設けられていたが、この態様に限らない。例えば、セカンダリ軸62が出力軸30と一体的に連結されると共に、プライマリ軸58は第2クラッチC2を介して入力軸22と連結されても良い。つまり、第2クラッチC2は、プライマリプーリ60と入力軸22との間の動力伝達経路に設けられていても良い。
また、前述の実施例では、ギヤ機構28は、無段変速機構24の最ロー側変速比γmaxよりもロー側の変速比となる1つのギヤ段が形成されるギヤ機構であったが、この態様に限らない。例えば、ギヤ機構28は、変速比が異なる複数のギヤ段が形成されるギヤ機構であっても良い。つまり、ギヤ機構28は2段以上に変速される有段変速機であっても良い。又は、ギヤ機構28は、無段変速機構24の最ハイ側変速比γminよりもハイ側の変速比、及び/又は、最ロー側変速比γmaxよりもロー側の変速比を形成するギヤ機構であっても良い。
また、前述の実施例では、動力伝達装置16の走行モードを、予め定められたアップシフト線及びダウンシフト線を用いて切り替えたが、この態様に限らない。例えば、車速V及びアクセル操作量θaccに基づいて要求駆動力Fdemを算出し、その要求駆動力Fdemを満たすことができる変速比を設定することで、動力伝達装置16の走行モードを切り替えても良い。
また、前述の実施例では、流体式伝動装置としてトルクコンバータ20が用いられたが、この態様に限らない。例えば、トルクコンバータ20に替えて、トルク増幅作用のないフルードカップリングなどの他の流体式伝動装置が用いられても良い。或いは、この流体式伝動装置は必ずしも設けられなくても良い。
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両
12:エンジン(動力源)
14:駆動輪
16:車両用動力伝達装置
44:オイルポンプ
46:油圧制御回路
57:油圧アクチュエータ(第1アクチュエータ)
64c:油圧アクチュエータ(第3アクチュエータ)
96:S1B1切替バルブ(切替バルブ)
100:電子制御装置(制御装置)
105:油圧制御部
108:推定値算出部
110:上限値算出部
B1a:油圧アクチュエータ(第2アクチュエータ)
PM:モジュレータ圧(第3油圧)
Pslg:SLG圧(第1油圧)
Psls:SLS圧(第2油圧)
PT1:第1動力伝達経路
PT2:第2動力伝達経路
SLG:S1B1用ソレノイドバルブ(第1ソレノイドバルブ)
SLS:セカンダリ用ソレノイドバルブ(第2ソレノイドバルブ)
12:エンジン(動力源)
14:駆動輪
16:車両用動力伝達装置
44:オイルポンプ
46:油圧制御回路
57:油圧アクチュエータ(第1アクチュエータ)
64c:油圧アクチュエータ(第3アクチュエータ)
96:S1B1切替バルブ(切替バルブ)
100:電子制御装置(制御装置)
105:油圧制御部
108:推定値算出部
110:上限値算出部
B1a:油圧アクチュエータ(第2アクチュエータ)
PM:モジュレータ圧(第3油圧)
Pslg:SLG圧(第1油圧)
Psls:SLS圧(第2油圧)
PT1:第1動力伝達経路
PT2:第2動力伝達経路
SLG:S1B1用ソレノイドバルブ(第1ソレノイドバルブ)
SLS:セカンダリ用ソレノイドバルブ(第2ソレノイドバルブ)
Claims (1)
- 第1アクチュエータ、第2アクチュエータ、第3アクチュエータ、及び動力源の動力を駆動輪へ伝達する動力伝達経路を有する車両用動力伝達装置と、
前記動力源により回転駆動されることで作動油を吐出するオイルポンプと、
前記作動油を用いて第1油圧を出力する第1ソレノイドバルブ、前記作動油を用いて第2油圧を出力すると共に前記第3アクチュエータの制御に用いられる第2ソレノイドバルブ、及び前記第2油圧と前記作動油を元圧として調圧された第3油圧との相対関係に基づいて前記第1油圧を前記第1アクチュエータへ供給可能な第1状態と前記第1油圧を前記第2アクチュエータへ供給可能な第2状態とに切り替えられるものであり、前記第3油圧の入力によって前記第2状態に切り替えられ得る切替バルブを有する油圧制御回路と
を、備える車両の、制御装置であって、
前記切替バルブが前記第2状態に切り替えられているときに、予め定められた第1の関係に前記動力源の回転速度及び前記作動油の温度を適用することで前記第3油圧の推定値を算出する推定値算出部と、
予め定められた第2の関係に前記第3油圧の推定値を適用することで前記切替バルブを前記第2状態に維持できる前記第2油圧の上限値を算出する上限値算出部と、
前記上限値を超えない範囲で前記第2油圧を制御する油圧制御部と
を、含むことを特徴とする車両の制御装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2018057250A JP2019168063A (ja) | 2018-03-23 | 2018-03-23 | 車両の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2018057250A JP2019168063A (ja) | 2018-03-23 | 2018-03-23 | 車両の制御装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2019168063A true JP2019168063A (ja) | 2019-10-03 |
Family
ID=68106408
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2018057250A Pending JP2019168063A (ja) | 2018-03-23 | 2018-03-23 | 車両の制御装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2019168063A (ja) |
-
2018
- 2018-03-23 JP JP2018057250A patent/JP2019168063A/ja active Pending
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