JP2019166014A - 医療用インプラントに使用するマグネシウム合金材料及びマグネシウム合金材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】Mg合金材料製のインプラントを使用する場合、骨接合時は強度を持し、骨接合後は生体内で消滅する生分解性を有するインプラントを提供すること、及び、使用する体内の部位によって、必要とされる生分解性、強度を満足するように、これら両方の性質を同時に制御できる製造方法を見出すことを課題とする。【解決手段】医療用インプラントに使用するマグネシウム合金材料において、亜鉛を除くMgの濃度が99.99重量%以上であり、かつ亜鉛の濃度が0.003重量%以上〜1.0重量%未満である材料を製造する。また、この合金材料を、押出成形及び/又は型鍛造を行う。【選択図】図5
Description
本発明は、マグネシウム(Mg)合金を使用するインプラント材料、及び医療用インプラントの製造方法に関する。特に、生分解性を備えたMg合金材料、該Mg合金材料をインプラントに適した強度を付与する製造方法、及び該Mg合金材料を使用した医療用インプラントに関する。
従来、骨の損傷部分又は骨折部分等の接合術又は再建術において、骨の固定、補綴等に使用されるインプラント材料としては、強度等の機械的性質及び加工性に優れた金属材料が用いられてきた。特に、生体適合性が良く、強度の高いステンレス、タンタル、チタン又はチタン合金が使用されている。
しかしながら、上記金属製のボーンプレートやステントは、治療後も長期、もしくは半永久的に体内に留置せざるを得ないことから生じるリスクが問題となっている。具体的には、長期にわたり留置しておくと、インプラントが骨に代わって荷重を支持することになり、骨量が減少したり、骨が脆弱化するストレスシールディング(応力遮蔽)と呼ばれる現象である。また、成長期の小児に前記インプラントを使用すると、骨の成長を阻害することが懸念される。
そこで、骨の損傷又は骨折の治療後に、再手術によりボーンプレートを抜去することが行われている。しかし、再手術を行うことは患者の負担が大きいことから、再手術を行う必要のないボーンプレートの開発が望まれている。
また、ステントの場合は、ステント血栓症のリスクや、ステント本体により血管壁に対して生じるメカニカルストレスのために、慢性的な炎症が起こる可能性が指摘されている。また、バイパス手術やCT撮影の際に邪魔になるという問題もある。そのため、一定期間後に分解して消失する素材の開発が望まれている。
このような再手術を必要としない生分解性のある素材として、ポリ乳酸や濃度が99.99重量%を超える高純度Mg材料を使用するインプラントが提案されている(特許文献1〜3、6)。
特許文献1には、高純度Mgを用いた生体内分解性を有する骨接合材が開示されている。実施例によれば99.998重量%のMg濃度のMg塊を加圧成形、あるいは圧造成形によりボーンプレート等を製造している。
特許文献2には、耐食性の高い高純度Mg金属で形成されている第1部分と、耐食性の低い低純度Mg金属で形成されている第2部分とを有するボーンプレートなどの生体器具が開示されている。純度の異なる2種のMgを使用することによって、生体内での溶解速度の制御を図ろうとするものである。
特許文献3には、形状記憶機能を有する生体吸収ポリマーからなる糸により形成された脈管用ステントが開示されている。生体吸収ポリマーとして、ポリ乳酸(PLLA)、ポリグリコール酸(PGA)が開示されている。
特許文献6には、99.99重量%以上のMgであって、その他の含有元素の量を制限した材料を用いて、蒸留、押出、型鍛造によりインプラントを製造する方法が開示されている。
超高純度マグネシウムを用いた生体吸収性ボーンプレート製造技術の開発、平成23年度第3時補正予算事業 戦略的基盤技術高度化支援事業 成果報告書(公開版)、東北経済産業局、2013.2
井上 誠、長岡技術科学大学平成11年博士論文「マグネシウム合金の精製および耐食性に関する研究」
特許文献1に開示されている方法は、4N(Nは濃度の連続する9の桁数を表す。)以上(99.99重量%以上)の高純度マグネシウム(Mg)を使用するものであり、生分解性は適度に保たれているものの、強度が十分ではないという問題があった。そのため、特に荷重のかかる骨接合では十分な強度を担保することができなかった。特許文献2に開示されている生体器具は、生体に吸収される時間を制御できるものの、どちらもMg金属からなる部材を組み合わせており、組み合わせた材料における十分な強度を得ることが困難であるという問題があった。特許文献3に記載のポリマーは、生分解性は良いものの、強度が弱く、ステントとして使用するのには問題は生じないが、ボーンプレートのように荷重のかかる部材としての使用には使用部分が制限されていた。特許文献6に開示されている方法で製造したボーンプレートは、生分解性、強度は良好であるが、生体内での強度評価が十分になされてはいない。
すなわち、ポリ乳酸も高純度Mgも生分解性には優れているものの、強度が低いという問題点がある。特に、ポリ乳酸は、生分解性は良いものの強度が弱い。そのため骨折の治療に使用されるボーンプレートのように、強度が必要とされる医療用部材に使用すると荷重を支えきれず、また、ステントに用いた場合には拡張した血管を支えきれないという問題が生ずる。
Mgの比重は1.74と鉄の1/4、アルミニウムと比べても2/3と実用金属の中では最も軽く、鉄やアルミニウムと比較して重量当たりの強度や剛性が優れている。しかしながら、生体内で使用するためにはできるだけ軽く、また、厚みを薄くする必要がある。Mgは、鉄、アルミニウムに比べて、剛性が優れているとはいえ、チタン、チタン合金に比べて強度が低い。そのため、生体内に留置するボーンプレート等のインプラント材料であるチタンに代わる材料としては、生体吸収性という利点があるにもかかわらず、現在までのところ実用化に至っていないというのが現状である。
金属の強度を向上させるには、一般的には加工により金属組織を微細化することが試みられており、加工方法として、圧延、押出、捩り、鍛造等が挙げられ、鉄等の加工では既に実用化されている。Mgの強度向上のためにこれまでに実施されてきた方法としては合金化が挙げられ、Mgとその他金属との固溶体形成、化合物形成により、強度向上効果を得て、一部実用化されている。
特許文献5に開示されているように、Mg合金材料の加工方法として、押出、切断、圧縮、打ち抜きを適用し、これらの工程の順序、加工の方向を厳密に指定している。この理由は、押出方向であるa軸と平行な方向に圧縮すると、金属結晶のc軸に直交する方向に圧縮荷重がかかることになり、結晶構造に構造欠陥が生じ、強度低下、材料破損に繋がることを防止することにある。このような厳密な加工方法を適用せざるを得ないのは、対象材料がMg合金であることによる。
またMgを合金化することにより、強度向上ははかれるものの生分解性が非常に速くなりボーンプレートとして使用する場合、骨接合前に溶けてしまうことは、非特許文献1に示されており、これを防止するために、樹脂製コーティングを行うことが試みられている。しかし、体内留置時に金属と樹脂の接合面が剥離してしまうことが懸念されており、実用化していない。
ボーンプレートとして使用する場合、骨接合時は強度を保持し、骨接合後は生体内で生分解により消滅してくれる生分解性を持つ性状を具備するためには、Mg合金化ではなく、逆に高純度化であると考える方法がある。高純度化のためには、特許文献4、6、非特許文献2に示されているように、市販の99.9重量%の濃度を持つMgを用いて、真空蒸留によりMgを昇華させ、他の含有元素とは異なる温度帯で凝縮させる方法が開示されている。
Mgの高純度化をはかる方法として、特許文献4、6に示される方法が開示されている。しかし、真空蒸留により昇華、凝縮させたMgは、例えば円柱状のインゴットを得たとしても、凝縮の工程を経るため極めてポーラスなインゴットとなり、気孔率は10体積%程度になっている。このままではインプラント材料としては使用できないため、気孔をゼロとする加工方法の適用、及び既存のチタン等の材料に匹敵する強度を付加する必要がある。このための加工法として、特許文献6に押出、型鍛造による方法が示されているが、生体内での強度評価は十分ではなく、適正な加工方法は未だ開発されていない。
さらに、ボーンプレートとして使用する場合、骨接合時は強度を保持し、骨接合後は生体内で生分解により消滅してくれる生分解性を制御できる方法も見出されていない。さらに、使用する体内の部位によって、必要とされる生分解性、強度が異なっており、これら両方の性質を同時に制御できる方法も見出されていない。
本発明は、Mg合金材料を使用して、ボーンプレートとして使用する場合、骨接合時は強度を保持し、骨接合後は生体内で消滅する生分解性を有し、すでに汎用となっているチタンやチタン合金製のインプラントと強度面で遜色のないインプラントを提供することを課題とする。そのために安定してMg合金材料を製造すること、さらにボーンプレート、ステント等のインプラントとして使用する場合にも十分に耐えられる強度、及び生分解性を備えたMg合金材料を製造することを課題とする。
さらに、使用する体内の部位によって、必要とされる生分解性、強度を満足するように、これら両方の性質を同時に制御できる製造方法を見出すことも課題とする。
本発明は、医療用インプラントに使用するマグネシウム合金材料において、亜鉛を除くMgの濃度が99.99重量%以上であり、かつ亜鉛の濃度が0.003重量%以上〜1.0重量%未満であることを特徴とする。
インプラントとして使用するMg素材としては濃度99.99重量%を超える、すなわち4N以上の純度のMgであることが生分解性の点から望ましい。4N以上の高純度Mgが耐食性に優れていることはすでに知られている。骨折の治療、血管の拡張といった治療目的で生体内に留置した場合に、少なくとも6ヶ月は生体内で十分な強度を備えていることが必要とされる。3N程度の純度のMgは耐食性が低いことが指摘されており、体内での吸収が早いため6ヶ月後には十分な強度を保つことができない。したがって、4N以上の純度の耐食性に優れたMgであることがボーンプレート、ステント等のインプラントの素材として要求される。
さらに、発明者が鋭意検討したところ、Mg濃度が99.99%を超える同じような純度のMgであっても、不純物の組成によって生体内での溶解性が違うことが明らかとなった。インプラントとして使用する場合には、体内で溶解し吸収されることが重要であるが、溶解速度が速いと骨を接合した箇所が十分な強度を得る前にインプラントが吸収されてしまう可能性がある。しかし、不純物として含まれるケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)が極めて低濃度であれば、骨接合後6ヶ月程度までインプラントとして溶解せずに体内に残留していることが明らかとなった。具体的には、Si、Al、Mn、Fe、Ni、Cuを足した濃度が、0.001重量%未満であれば、体内における吸収が比較的緩やかであり、生体内留置後6ヶ月でも断面積が元の断面積の80%以上を維持することができる。
亜鉛を除くMgの濃度が99.99重量%以上であるMgに、亜鉛(Zn)が含まれていても、生体内における溶解性が大きく増加することはない。Znの濃度を数値限定した理由は、次に述べるとおりである。Zn濃度が0.003重量%未満であると、溶解性は変わらないが、強度向上が見られない。またZn濃度が1.0重量%以上となると、強度向上ははかれるが、溶解性が増加してしまう。
前述した組成のMg合金材料を製造するためには、特許文献4、6、非特許文献2に示されている真空蒸留法を用いるが、出発原料を選択して一度で目標とするMg合金材料を製造するか、あるいはZnを除くMgの濃度が99.99重量%以上である材料を製造し、その後所定のZnを添加して再蒸留することもできる。
本発明は、医療用インプラントに使用するマグネシウム合金材料において、Znを除くマグネシウムの濃度が99.99重量%以上であり、かつZnの濃度が0.003重量%以上〜1.0重量%未満である材料を、押出成形及び/又は型鍛造を行うことを特徴とする。
前述したように、Znを除くMgの濃度が99.99重量%以上であり、かつZnの濃度が0.003重量%以上〜1.0重量%未満である材料は、体内における生分解性は極めて良好であり、施術後6ヶ月程度までインプラントとして溶解せずに体内に残留している。この材料を押出成形することにより、加工硬化により強度向上がはかれるが、含有するZn濃度の増加そのものが強度向上にも寄与するため、押出成形により、さらに強度向上がはかれる。
さらに強度向上をはかるためには、型鍛造を行う。押出成形では押出比(押出前のるつぼの断面積を押出ダイスの断面積で割った値)を変化させても強度向上は余り見られないが、鍛造における鍛造率を変化させることにより、強度向上代を調整できる。
インプラントとして使用する場合、使用する体内の部位によって、必要とされる生分解性、強度を満足するように、これら両方の性質を同時に制御できる製造方法は、下記のように発明された。
生分解性の制御は次のように行う。即ち、Znを除くMgの濃度が99.99重量%以上であるMgに含まれるZnの濃度を、0.003重量%から1.0重量%までの範囲で制御する。Zn濃度の低い方が生分解性は小さくなる。
強度の制御は次のように行う。即ち、強度はZn濃度が高い方が向上する。これに押出成形を行うことにより、さらなる強度向上がはかれる。さらに型鍛造を行うことにより、押出成形よりも強度向上がはかれる。押出成形時の押出比は強度制御のパラメーターにはならないが、鍛造の鍛造率(通常5%から15%の範囲で変化させる)は強度制御のパラメーターになる。
強度向上の制御項目として、Zn濃度、押出成形、型鍛造の3つの方法があるが、必要とされる強度によって、これら3つの方法を組み合わせて使用できる。なお、生分解性制御の方法はZn濃度だけであったが、押出成形、型鍛造により、材料組織の結晶粒の微細化、組織の方向性の解除、組織の緻密化がはかられ、これらが生分解性にも影響を与えるので、生分解性と強度を満足する方法をこれらの方策の中で選択できる。
本発明のインプラントは、前記マグネシウム合金材料を使用することを特徴とする。また、前記インプラントが、ボーンプレート、ステント、又は止血クリップであることを特徴とする。
本発明のMg合金材料を使用して製造したインプラントは、強度が高く、また生分解性も良く、生体内の吸収分解におけるZn以外の金属が極めて少ないことから、ヒトでの臨床使用において安全性が高い。したがって、ボーンプレート、ステント、止血クリップとして用いた場合でも必要な強度を備えている。また、生体に吸収されることから、再手術によって取り除く必要がなく、患者の負担が少ない。
本発明のMg合金材料を用いて製造したインプラントは、生体内で吸収されることから、抜去するために再手術の必要がない。また、生体内で吸収されるもののその吸収速度が比較的遅いことから、骨折の治療に使用した場合でも、長期間荷重を支えるだけの十分な強度を得ることができる。
発明者は、真空蒸留法によってMgを製造する際に、Znを除くMgの濃度が99.99重量%以上であり、Znの濃度を、0.003重量%から1.0重量%までの範囲で制御する方法を見出した。
具体的には、表1に示すように、市販のMg合金(AM60)を出発原料として、Znを除くMgの濃度が99.99重量%以上であり、かつZnの濃度が0.0051重量%であるMg合金(以下Mg−0.005Znと称する)、及び、市販のMg合金(AZ91)を出発原料として、Znを除くMgの濃度が99.99重量%以上であり、かつZnの濃度が0.49重量%であるMg合金(以下Mg−0.5Znと称する)を製造した。
真空蒸留装置は一般的に用いられている真空蒸留装置を用いればよい。ここでは、非特許文献2に記載の自製の装置と基本的に同形の装置を用いて真空蒸留を行った。具体的には、出発原料となるMg合金を坩堝に収納し、10Pa以下の減圧下、600℃程度に加熱することにより昇華させる。
次に、昇華させたMg蒸気を坩堝の上方に配設された凝縮器(350℃程度に冷却)に凝縮させる。前記のように10Pa以下の減圧下、600℃程度に加熱する状態を12時間程度保持することにより、Znを除く4N以上のMgを得ることができる。
出発原料となるMg材料としては、前述した市販のMg合金(AM60、AZ91)の他にも、市販のMg地金(Mg濃度は3N級)等を使用することができる。Mg濃度が3N級の材料には、不純物として、Si、Al、Mn、Fe、Ni、Cu等が含まれる。
濃度が4N以上のMgは生分解性の点で優れていると言われている。発明者も濃度が3N級の純度の低いMgを疑似体液に浸漬させ、生体内での吸収を模した試験を行ったところ溶解が早く、数時間で元の形状を留めなくなった。従来は、インプラント材料として使用するMgの純度が重要であると言われていたが、発明者の研究により、Mg純度と共に不純物の組成も体内での吸収に深くかかわることが明らかとなった。Mg純度だけではなく、どのような不純物が含まれているかが生分解性や強度の点で重要である。Fe、Ni、及びCuは、Mgの生体内での安定性に関与すると言われており、含有量が少ない方が安定となる。本発明のMg素材にはこれらの元素はほとんど含まれておらず、生体内で安定性の高いインプラントの製造が可能である。
発明者は、前記表1に示す市販のMg合金(AM60、AZ91)、及び真空蒸留法によって製造したMg−0.005Zn、Mg−0.5Znの浸蝕速度を測定した。浸蝕液としてJIS H 0541に準拠し、5重量%の塩化ナトリウム(NaCl)溶液を用いて、浸蝕速度をmm/年に換算した。図1に示すように、市販のMg合金(AM60、AZ91)に比較して、真空蒸留法によって製造したMg−0.005Zn、Mg−0.5Znは圧倒的に速度が低く、体内における浸蝕が遅いことが分かる。また、Mg−0.5ZnはMg−0.005Znに比べて、Zn濃度が高い分浸蝕速度は高いが、市販のMg合金(AM60、AZ91)よりも圧倒的に低いことが分かる。
次に、発明者は、真空蒸留されたMg合金のインゴットの加工方法を見出した。Mg合金のインゴットは、真空蒸留により昇華、凝縮する方法を採用しているため、10体積%程度の気孔を内蔵するブロックである。このままではインプラントを製造する材料とはならないため、緻密化する必要がある。また、緻密化して気孔を完全に除去しても、インゴットは昇華、凝縮方向に組織が揃っており、このままインプラントを製造すると、その方向性が強度を低下させる一因となる。
発明者は、真空蒸留されたMg合金のインゴットの押出成形を行った。押出成形には、一般的に用いられている押出装置を用いればよい。ここでは、非特許文献2に記載の自製の装置と基本的に同形の装置を用いて押出成形を行った。図2の横軸に押出比を示すが、押出比とは、押出前のるつぼの断面積を押出ダイスの断面積で割った値であり、この値が高いほど、材料の緻密化がはかられていることになる。図2に示すように、Mg−0.005Znは押出比を変化させても引張強度(UTS)に与える影響は確認できず、120〜160MPa程度である。現在使用されているチタン合金のUTSは1000MPa程度と極めて高いが、樹脂(ポリ乳酸)のUTSである60MPa程度よりも高いので、インプラント材料としての使用に問題はない。
図3に示すように、Mg−0.005Znは押出比にかかわらず、伸びが7%確保されており、押出成形を行うことにより加工可能な性状を得ることができる。ただし、強度を押出比で制御することは難しく、別の強度向上策を考える必要がある。
なお、真空蒸留されたMg合金のインゴットの昇華、凝縮方向における性状変化のために、組織の方向ごとに強度が変化する現象は、押出成形を行うことにより殆ど解消できることも見出した。
図2に示すように、押出成形後の材料を用いたMg−0.5ZnのUTSは、Mg−0.005ZnのUTSに比べて1.5倍以上に向上しており、Znの濃度そのものが強度向上に及ぼす影響が分かる。この際、図3に示すように伸びは7%が確保されており、加工性に問題はない。
さらに図4に示すように、押出成形後の材料を用いたJIS Z 2244に準拠した ビッカース硬さ試験によると、Mg−0.005Znに比べて、Mg−0.5Znの方が硬度は高く、Znの濃度そのものが硬さの増加に寄与することが分かる。
次に、発明者は、押出成形を行ったインゴットを、さらに強度向上をはかるために、型鍛造を行う方法を見出した。型鍛造には、一般的に用いられている鍛造装置を用いればよい。押出成形後の材料を、鍛造により緻密化をはかる。その鍛造後の材料、及び押出成形後で鍛造前の材料から、ボーンプレートと同じ程度の大きさ(4mm×13mm×厚さ1.6mm)の薄板を作製して、JIS T 0311に準拠した3点曲げ試験を実施した。Mg−0.005Znに鍛造率5%、及び15%の鍛造を行った場合、3倍以上に強度が向上した。図5にそれを示す。
鍛造率を変化させると、押出成形した材料の緻密化の度合いが異なってくるので、強度向上に及ぼす影響は比例関係が期待されたが、必ずしも比例関係を示さず、最適な鍛造率が存在する。
本発明のマグネシウム合金材料をインプラントとして使用する場合、使用する体内の部位によって、必要とされる生分解性、強度を満足するように、これら両方の性質を同時に制御できる製造方法は、下記のようになる。
生分解性の制御は次のように行う。即ち、Znを除くMgの濃度が99.99重量%以上であるMgに含まれるZnの濃度を、0.003重量%から1.0重量%までの範囲で制御する。Zn濃度の低い方が生分解性は小さくなる。
強度向上の制御項目として、Zn濃度、押出成形、型鍛造の3つの方法があるが、必要とされる強度によって、これら3つの方法を組み合わせて使用する。通常は、Zn濃度制御と押出成形、あるいは、Zn濃度制御と型鍛造、さらには、Zn濃度制御と押出成形と型鍛造の組合せとなる。
本発明の製造方法によれば、ボーンプレート、ステントとしても十分な強度を備え、また、臨床使用において生体内での吸収速度も適切なインプラントを得ることができる。
以下、本発明の産業上の利用可能性について説明する。
本発明にて提案する強度、生分解性を併せ持ち、生体に悪影響を及ぼさない医療用インプラント材料が提供され、かつその材料を用いた医療用インプラント製品として、ボーンプレート、ステント、又は止血クリップが提供されれば、骨の損傷部分又は骨折部分等の接合術又は再建術による治療において、患者にとって画期的な低侵襲性の治療方法が実現する。
Claims (4)
- 医療用インプラントに使用するマグネシウム合金材料において、亜鉛を除くマグネシウムの濃度が99.99重量%以上であり、かつ亜鉛の濃度が0.003重量%以上〜1.0重量%未満であることを特徴とするマグネシウム合金材料。
- 請求項1に記載するマグネシウム合金材料を、押出成形及び/又は型鍛造を行うことを特徴とするマグネシウム合金材料の製造方法。
- 請求項1及び請求項2に記載のマグネシウム合金材料を使用することを特徴とする医療用インプラント。
- ボーンプレート、ステント、又は止血クリップであることを特徴とする請求項3に記載の医療用インプラント。
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|---|---|---|---|---|
| WO2024053005A1 (ja) * | 2022-09-07 | 2024-03-14 | フジオーゼックス株式会社 | 固定用内副子の製造方法 |
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