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JP2019160576A - リチウムイオン二次電池用正極活物質、リチウムイオン二次電池用正極およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用正極活物質、リチウムイオン二次電池用正極およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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JP2019160576A JP2018046022A JP2018046022A JP2019160576A JP 2019160576 A JP2019160576 A JP 2019160576A JP 2018046022 A JP2018046022 A JP 2018046022A JP 2018046022 A JP2018046022 A JP 2018046022A JP 2019160576 A JP2019160576 A JP 2019160576A
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哲 東海林
Satoru Shoji
哲 東海林
秀明 関
Hideaki Seki
秀明 関
慎 藤田
Shin Fujita
慎 藤田
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Abstract

【課題】高容量で、かつ高温環境下での保存特性と出力特性とに優れたリチウムイオン二次電池用正極活物質を提供する。【解決手段】NiおよびCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素を含有するリチウム含有遷移金属酸化物と、下記の組成式(1)で表されるリチウム高含有リン酸化合物と、下記の組成式(2)で表されるリチウム低含有リン酸化合物とを含むリチウムイオン二次電池用正極活物質。Lix(M1)y(PO4)z・・・(1)ただし、M1は、Mn、Co、Ni、Fe、Vから選ばれる少なくとも1種であり、2.7≦x≦3.3、0.9≦y≦2.2、0.9≦z≦3.3である。Liu(M2)v(PO4)w・・・(2)ただし、M2は、Mn、Co、Ni、Fe、V、VOから選ばれる少なくとも1種であり、0<u≦1.3、0.9≦v≦2.2、0.9≦w≦3.3である。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用正極活物質、リチウムイオン二次電池用正極およびリチウムイオン二次電池に関するものである。
近年、環境・エネルギー問題の解決へ向けて、種々の電気自動車の普及が期待されている。これら電気自動車の実用化の鍵を握るモータ駆動用電源などの車載電源として、リチウムイオン二次電池の開発が鋭意行われている。車載電源として電池を広く普及するためには、高い熱安定性を有することが非常に重要視される。現在、リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては数多くのものが提案されているが、最も一般的に知られているものは、層状構造を有するリチウム含有コバルト酸化物(LiCoO)やリチウム含有ニッケル酸化物(LiNiO)等のリチウム含有遷移金属酸化物である。リチウム含有コバルト酸化物(LiCoO)やリチウム含有ニッケル酸化物(LiNiO)は、高容量であり、対リチウム放電電圧も3.8V程度と高いが、高温状態や高電位状態になった場合には電解質溶液と反応して結晶構造中の酸素を放出しやすいために、特に高充電状態での熱安定性が十分でない場合がある。
高温時の安定性に優れたリチウムイオン二次電池用の正極活物質として、特許文献1には、リチウム含有遷移金属酸化物を含有するコア粒子と、そのコア粒子の表面の少なくとも一部を覆うLiVOPOを含む被覆部とを備えた正極活物質が開示されている。この特許文献1によれば、コア粒子の表面を、高温時の構造安定性に優れたLiVOPOを含む被覆部で覆うことによって、コア粒子と電解液との直接接触が抑制されるので、リチウム含有遷移金属酸化物の高温時における結晶構造が安定化するとされている。
特開2008−277152号公報
特許文献1に開示されている正極活物質は、高温環境下においては優れた熱安定性を示す。しかしながら、この特許文献1に開示されている正極活物質は、大電流放電時の出力が低下しやすく出力特性が低い場合があり、出力特性の向上が望まれている。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高容量で、かつ高温環境下での保存特性と出力特性とに優れた正極活物質、リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、NiおよびCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素を有するリチウム含有遷移金属酸化物と、相対的にリチウムを高濃度で含む所定のリチウム高含有リン酸化合物と、相対的にリチウムを低濃度で含む所定のリチウム低含有リン酸化合物とを含む正極活物質は、高容量で、かつ高温環境下での保存特性と出力特性とがバランスよく向上することを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様にかかるリチウムイオン二次電池用正極活物質は、NiおよびCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素を含有するリチウム含有遷移金属酸化物と、下記の組成式(1)で表されるリチウム高含有リン酸化合物と、下記の組成式(2)で表されるリチウム低含有リン酸化合物とを含むことを特徴とする。
Li(M1)(PO ・・・(1)
ただし、組成式(1)において、M1は、Mn、Co、Ni、Fe、Vから選ばれる少なくとも1種であり、2.7≦x≦3.3、0.9≦y≦2.2、0.9≦z≦3.3である。
Li(M2)(PO ・・・(2)
ただし、組成式(2)において、M2は、Mn、Co、Ni、Fe、V、VOから選ばれる少なくとも1種であり、0<u≦1.3、0.9≦v≦2.2、0.9≦w≦3.3である。
(2)第1の態様にかかるリチウムイオン二次電池用正極活物質において、前記リチウム高含有リン酸化合物の質量aと前記リチウム低含有リン酸化合物の質量bの合計質量(a+b)に対する前記リチウム含有遷移金属酸化物の質量cの比率c/(a+b)は、1.5≦c/(a+b)≦99であってもよい。
(3)第1の態様にかかるリチウムイオン二次電池用正極活物質において、前記リチウム含有遷移金属酸化物は、下記の組成式(3)で表される酸化物であってもよい。
LiM3M4 ・・・(3)
ただし、組成式(3)において、M3は、NiおよびCoから選ばれる少なくとも1種であり、M4は、Mn、Fe、Ti、Cr、Mg、Al、Cu、Si、Zr、Nb、Ga、Zn、Sn、B、V、Ca、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種であり、0.5≦n≦1.2、0.5≦p+q≦1.2、0≦q≦0.5である。
(4)第1の態様にかかるリチウムイオン二次電池用正極活物質において、前記リチウム含有遷移金属酸化物は、下記の組成式(4)で表されるリチウム含有ニッケル複合金属酸化物であってもよい。
LiNi1−s−tCoAl ・・・(4)
ただし、組成式(4)において、0.5≦r≦1.2、0<s≦0.5、0<t≦0.5、0<s+t≦0.5である。
(5)第2の態様にかかる正極は、上記(1)〜(4)のいずれか1つの正極活物質を有する。
(6)第3の態様にかかるリチウムイオン二次電池は、上記(5)の正極と、負極と、セパレータと、電解質溶液とを有する。
本発明によれば、高容量で、かつ高温環境下での保存特性と出力特性とに優れた正極活物質、リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池を提供することが可能となる。
本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の断面模式図である。
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
[リチウムイオン二次電池]
図1は、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の断面模式図である。図1に示すリチウムイオン二次電池100は、主として積層体40、積層体40を密閉した状態で収容するケース50、及び積層体40に接続された一対のリード60、62を備えている。また図示されていないが、積層体40と共に非水電解質溶液が、ケース50内に収容されている。
積層体40は、正極20と負極30とが、セパレータ10を挟んで対向配置されたものである。正極20は、板状(膜状)の正極集電体22上に正極活物質層24が設けられたものである。負極30は、板状(膜状)の負極集電体32上に負極活物質層34が設けられたものである。
正極活物質層24及び負極活物質層34は、セパレータ10の両側にそれぞれ接触している。正極集電体22及び負極集電体32の端部には、それぞれリード62、60が接続されており、リード60、62の端部はケース50の外部にまで延びている。図1では、ケース50内に積層体40が一つの場合を例示したが、複数積層されていてもよい。
「正極」
正極20は、正極集電体22と、正極集電体22の上に設けられた正極活物質層24とを有する。
(正極集電体)
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
(正極活物質層)
正極活物質層24は、正極活物質と正極バインダーとを有し、必要に応じて正極導電材を有する。
正極活物質は、リチウム含有遷移金属酸化物と、相対的にリチウムを高濃度で含む下記の組成式(1)で表されるリチウム高含有リン酸化合物と、相対的にリチウムを低濃度で含む下記の組成式(2)で表されるリチウム低含有リン酸化合物とを含む。
Li(M1)(PO ・・・(1)
ただし、組成式(1)において、M1は、Mn、Co、Ni、Fe、Vから選ばれる少なくとも1種であり、2.7≦x≦3.3、0.9≦y≦2.2、0.9≦z≦3.3である。
Li(M2)(PO ・・・(2)
ただし、組成式(2)において、M2は、Mn、Co、Ni、Fe、V、VOから選ばれる少なくとも1種であり、0<u≦1.3、0.9≦v≦2.2、0.9≦w≦3.3である。
正極活物質は、上記の3つの化合物を含むことによって、高温保存特性と出力特性とが向上する。この理由については、詳細は明らかになっていないが、次のような作用効果によるものと考えられる。
リチウム高含有リン酸化合物に含まれるリチウム以外の金属元素(組成式(1)のM1)とリチウム低含有リン酸化合物に含まれるリチウム以外の金属元素(組成式(2)のM2)はそれぞれ価数が異なる。リチウム高含有リン酸化合物に含まれるリチウム以外の金属元素は、リチウム低含有リン酸化合物に含まれるリチウム以外の金属元素と比較して相対的に価数が小さい。このため、リチウム高含有リン酸化合物は、リチウム以外の金属元素と酸素との結合が相対的に弱くなり、結晶構造中におけるリチウムイオンが脱挿入する空隙を広く保つことができ、リチウムイオンが脱挿入しやすくなる。このリチウム高含有リン酸化合物にリチウムイオンが脱挿入することによって、リチウム高含有リン酸化合物と他の化合物(リチウム含有遷移金属酸化物、リチウム低含有リン酸化合物)との間に微細な電位勾配が生じる。そしてこの微小な電位勾配を推進力として、リチウムイオンが、リチウム高含有リン酸化合物と他の化合物との間を移動したり、他の化合物に脱挿入することによって、正極活物質内でリチウムイオンが拡散しやすくなる。よって、このリチウム高含有リン酸化合物を含むことによって正極活物質の出力特性が向上する。
一方、リチウム低含有リン酸化合物に含まれるリチウム以外の金属元素は、リチウム高含有リン酸化合物に含まれるリチウム以外の金属元素と比較して相対的に価数が大きい。このため、リチウム低含有リン酸化合物は、リチウム以外の金属元素と酸素との結合が強固となり、高温環境下での安定性に優れている。そして、このリチウム低含有リン酸化合物がその他の化合物(リチウム含有遷移金属酸化物、リチウム高含有リン酸化合物)に接触することによって、他の化合物についても表面が保護されて、高温環境下での安定性が向上する。よって、このリチウム低含有リン酸化合物を含むことによって、正極活物質の高温保存安定性が向上する。
また、リチウム含有遷移金属酸化物は、リチウム高含有リン酸化合物およびリチウム低含有リン酸化合物と比較して高い容量を有する。よって、このリチウム含有遷移金属酸化物を含むことによって、正極活物質の容量が向上する。
以上のような各化合物の作用効果により、上記3種類の化合物を組合せた正極活物質は、高容量で、かつ高温保存特性と出力特性とに優れたものとなる。
リチウム高含有リン酸化合物を表す上記の組成式(1)において、zは、1、2、3のいずれかであることが好ましい。zが1の場合、xは、2.7≦x≦3.3であり、yは、0.9≦y≦1.2であることが好ましい。zが2の場合、xは、2.7≦x≦3.3であり、yは、0.9≦y≦1.2であることが好ましい。zが3の場合、xは、2.7≦x≦3.3であり、yは、1.9≦y≦2.2であることが好ましい。なお、リチウム高含有リン酸化合物は、化学両論組成である必要はない。また、x、y、zは、1≦(3×z−1×x)/y≦3を満足することが好ましい。この場合、リチウム高含有リン酸化合物に含まれるリチウム以外の金属元素(組成式(1)のM1)の価数が3以下となるので、リチウムイオンがより脱挿入しやすくなる。
リチウム高含有リン酸化合物の例としては、LiMn(PO、LiCo(PO、LiNi(PO、LiFe(PO、LiV(PO、LiMn(PO、LiCo(PO、LiNi(PO、LiFe(PO、Li(POを挙げることができる。これらのリチウム高含有リン酸化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。上記のリチウム高含有リン酸化合物の中で好ましいのは、LiFe(PO、Li(POである。
リチウム低含有リン酸化合物を表す上記の組成式(2)において、wは、1、2、3のいずれかであることが好ましい。wが1の場合、uは、0<u≦1.3であり、vは、0.9≦v≦1.2であることが好ましい。wが2の場合、uは、0<u≦1.3であり、vは、0.9≦v≦1.2であることが好ましい。wが3の場合、uは、0<u≦1.3であり、vは、1.9≦v≦2.2であることが好ましい。なお、リチウム低含有リン酸化合物は、化学両論組成である必要はない。また、u、v、wは、4≦(3×w−1×u)/v≦5を満足することが好ましい。この場合、リチウム低含有リン酸化合物に含まれるリチウム以外の金属元素(組成式(1)のM1)の価数が4以上となるので、高温環境下での安定性がより向上する。
リチウム低含有リン酸化合物の例としては、LiMn(PO、LiCo(PO、LiNi(PO、LiFe(PO、Li(PO、LiVOPOを挙げることができる。これらのリチウム低含有リン酸化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。上記のリチウム低含有リン酸化合物の中で好ましいのは、LiFe(PO、LiVOPOである。
リチウム含有遷移金属酸化物は、NiおよびCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素を有する。
リチウム含有遷移金属酸化物は、下記の組成式(3)で表される酸化物であることが好ましい。このリチウム含有遷移金属酸化物を用いることによって、高容量を得ることができる。
LiM3M4 ・・・(3)
ただし、組成式(3)において、M3は、NiおよびCoから選ばれる少なくとも1種である。M3が、NiとCoを含む場合、NiとCoの原子個数比は、1:9〜9:1(Ni:Co)の範囲内にあることが好ましい。M4は、Mn、Fe、Ti、Cr、Mg、Al、Cu、Si、Zr、Nb、Ga、Zn、Sn、B、V、Ca、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種であり、0.5≦n≦1.2、0.5≦p+q≦1.2、0≦q≦0.5である。なお、リチウム含有遷移金属酸化物は、化学両論組成である必要はない。
リチウム含有遷移金属酸化物は、下記の組成式(4)で表されるリチウム含有ニッケル複合金属酸化物であることが好ましい。このリチウム含有遷移金属酸化物を用いることによって、さらなる高容量を得ることができる。
LiNi1−s−tCoAl ・・・(4)
ただし、組成式(4)において、0.5≦r≦1.2、0<s≦0.5、0<t≦0.5、0<s+t≦0.5である。
リチウム含有遷移金属酸化物の例としては、LiCoO、LiNiO、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiNi0.8Co0.1Mn0.1、LiNi0.6Co0.2Mn0.2、LiNi0.5Co0.2Mn0.3、LiNi0.33Co0.33Mn0.33を挙げることができる。リチウム含有遷移金属酸化物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
正極活物質は、リチウム高含有リン酸化合物の質量aとリチウム低含有リン酸化合物の質量bの合計質量(a+b)に対するリチウム含有遷移金属酸化物の質量cの比率c/(a+b)が、1.5≦c/(a+b)≦99であることが好ましい。比率c/(a+b)がこの範囲にある正極活物質は、さらに高容量で、かつ高温保存特性と出力特性とに優れたものとなる。これは、リチウム含有遷移金属酸化物が有する高い容量を維持しつつ、リチウム高含有リン酸化合物が有する出力特性の向上効果と、リチウム低含有リン酸化合物が有する高温保存安定性の向上効果とがバランスよく発現するためであると考えられる。
正極活物質は、リチウム低含有リン酸化合物の質量bに対するリチウム高含有リン酸化合物の質量aの比率a/bは、リチウム低含有リン酸化合物の組成式(2)のwが1の場合は、0.01≦a/b≦0.25であることが好ましい。wが2もしくは3の場合は、4≦a/b≦99であることが好ましい。比率a/bがこの範囲にある正極活物質は、リチウム高含有リン酸化合物が有する出力特性の向上効果と、リチウム低含有リン酸化合物が有する高温保存安定性の向上効果とがバランスよく発現するので、高温保存特性と出力特性とがより確実に優れたものとなる。
正極活物質は、相対的に粒子径が大きいリチウム含有遷移金属酸化物の周囲に、相対的に粒子径が小さいリチウム高含有リン酸化合物とリチウム低含有リン酸化合物とが付着した構成であることが好ましい。この場合、リチウム含有遷移金属酸化物を中心として、リチウム含有遷移金属酸化物とリチウム高含有リン酸化合物とリチウム低含有リン酸化合物とが接触することによって、微小電位勾配によるリチウムイオンの拡散がより促進されるので、出力特性がより向上する。リチウム含有遷移金属酸化物は、平均粒子径が1μm以上50μm以下の範囲内にあることが好ましい。リチウム高含有リン酸化合物およびリチウム低含有リン酸化合物は、平均粒子径が50nm以上800nm以下の範囲内にあることが好ましい。なお、平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定することができる。
正極活物質は、リチウム含有遷移金属酸化物とリチウム高含有リン酸化合物とリチウム低含有リン酸化合物とを混合することによって製造することができる。混合方法には、特に制限はなく、乾式で混合してもよいし、湿式で混合してもよい。また、混合の順序には特に制限ない。例えば、リチウム含有遷移金属酸化物とリチウム高含有リン酸化合物とリチウム低含有リン酸化合物とを同時に混合してもよいし、リチウム含有遷移金属酸化物とリチウム高含有リン酸化合物とを先に混合した後、リチウム低含有リン酸化合物を加えて混合してもよいし、リチウム含有遷移金属酸化物とリチウム低含有リン酸化合物とを先に混合した後、リチウム高含有リン酸化合物を加えて混合してもよいし、リチウム高含有リン酸化合物とリチウム低含有リン酸化合物とを混合した後、リチウム含有遷移金属酸化物を加えた混合してもよい。なお、得られた正極活物質は、造粒してもよい。
リチウム含有遷移金属酸化物の製造方法は特に限定されないが、少なくとも原料調製工程及び焼成工程を備える。所望のモル比となるように所定のリチウム源及び金属源を配合して、粉砕・混合、熱的な分解混合、沈殿反応、または加水分解等の方法により、製造することができる。
リチウム高含有リン酸化合物およびリチウム低含有リン酸化合物の製造方法は特に限定されないが、少なくとも原料調製工程及び焼成工程を備える。原料調製工程では、リチウム源、金属源、リン源及び水を攪拌、混合して、混合物(混合液)を調製する。原料調製工程により得た混合物を乾燥する乾燥工程を焼成工程前に実施してもよい。必要に応じて乾燥工程及び焼成工程前に水熱合成工程を実施してもよい。所望のモル比となるように所定のリチウム源、金属源、リン源を配合し、混合物を乾燥及び焼成することにより製造することができる。また得られたリチウム含有リン酸化合物から、電気化学的にリチウムを脱離させることによりリチウム含有リン酸化合物のリチウム量を調整することができる。または、リン源、金属源及び蒸留水を攪拌してこれらの混合物を調製し、混合物を乾燥することによって、リン酸化合物の水和物を製造し、さらに熱処理することによりリン酸化合物を製造してもよい。得られたリン酸化合物とリチウム源とを混合、熱処理することによりリチウム含有リン酸化合物を製造することができる。
なお、上述した金属源や、リチウム源、金属源、リン源の化合物形態は、特に問わず、各原料の酸化物や塩など、プロセスに合わせ公知の材料が選択できる。
(正極バインダー)
正極バインダーは、正極活物質同士あるいは正極活物質と導電材とを結合すると共に、正極活物質と正極集電体22とを結合する。バインダーは、上述の結合が可能なものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
また、上記の他に、バインダーとして、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムを用いてもよい。
また、この他に、バインダーとして、例えば、セルロース、スチレンブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等を用いてもよい。
また、バインダーとして電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、バインダーが導電材の機能も発揮するので導電材を添加しなくてもよい。イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、リチウムイオン等のイオンの伝導性を有するものを使用することができ、例えば、高分子化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリフォスファゼン等)のモノマーと、LiClO、LiBF、LiPF等のリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。複合化に使用する重合開始剤としては、例えば、上記のモノマーに適合する光重合開始剤又は熱重合開始剤が挙げられる。正極活物質層24のバインダーの含有率は、1.0質量%以上20質量%以下の範囲内にあることが好ましい。
(正極導電材)
正極導電材としては、例えば、炭素材料、金属微粉、導電性酸化物を用いることができる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。炭素材料の例としては、アセチレンブラックやエチレンブラック等のカーボンブラック、カーボンナノチューブを挙げることができる。金属微粉の例としては、銅、ニッケル、ステンレス、鉄を挙げることができる。導電性酸化物の例としては、ITO(スズドープ酸化インジウム)を挙げることができる。これらの中でも、アセチレンブラックやエチレンブラック等のカーボンブラックが特に好ましい。正極活物質層24の正極導電材の含有率は、1.0質量%以上20質量%以下の範囲内にあることが好ましい。なお、正極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、正極活物質層24は導電材を含んでいなくてもよい。
「正極の作製」
正極20は、次のようにして作製することができる。
正極活物質、バインダー及び溶媒を混合して塗料を調製する。塗料には、必要に応じて導電材を更に加えても良い。溶媒としては、例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン等を用いることができる。正極活物質、バインダー、導電材の混合比率は、質量比で80〜98質量%:1.0〜20質量%:1.0〜20質量%であることが好ましい。これらの質量比は、全体で100質量%となるように調整される。塗料を構成するこれらの成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。
次に、上記塗料を、正極集電体22に塗布する。塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。
続いて、正極集電体22上に塗布された塗料中の溶媒を除去する。溶媒を除去することによって正極活物質層24が形成され、正極20が得られる。溶媒の除去方法は特に限定されない。例えば、塗料が塗布された正極集電体22を、80〜150℃の温度で乾燥させればよい。
次いで、このようにして得られた正極20の正極活物質層24をプレス処理して、正極活物質層24の厚さを調整する。プレス装置としては、ロールプレスを用いることができる。
「負極」
負極30は、負極集電体32と、負極集電体32の上に設けられた負極活物質層34とを有する。
(負極集電体)
負極集電体32は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。負極集電体32は、リチウムと合金化しないことが好ましく、銅が特に好ましい。負極集電体32の厚みは6〜30μmとすることが好ましい。
(負極活物質層)
負極活物質層34は、負極活物質とチオール化合物とを含む。また、負極活物質層34は、必要に応じて負極バインダーと負極導電材を有する。
(負極活物質)
負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な、公知のリチウムイオン二次電池用の負極活物質を用いることができる。具体的には、例えば、金属リチウム、炭素材料、リチウムと化合する金属、酸化物を主体とする化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)等が挙げられる。
負極活物質として用いられる炭素材料としては、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等が挙げられる。リチウムと化合する金属としては、アルミニウム、シリコン、スズ等が挙げられる。酸化物を主体とする化合物としては、酸化シリコン(SiO(0<x<2))、二酸化スズ等が挙げられる。
(負極バインダー)
負極バインダーとしては、正極バインダーで例示したものを用いることができる。
(負極導電材)
負極導電材としては、正極導電材で例示したものを用いることができる。なお、負極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、負極活物質層34は導電材を含んでいなくてもよい。
「負極の作製」
負極30は、次のようにして作製することができる。
負極活物質、導電材、バインダー及び溶媒を混合して塗料を調製する。
溶媒としては、正極の製造の場合と同様に、例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン等を用いることができる。負極活物質、導電材、バインダーの構成比率は、質量比で80〜99質量%:0〜20質量%:1.0〜20質量%であることが好ましい。これらの質量比は、全体で100質量%となるように調整される。
塗料を構成するこれらの成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。上記塗料を、負極集電体32に塗布する。塗布方法としては、正極の製造の場合と同様に、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。
続いて、負極集電体32上に塗布された塗料中の溶媒を除去する。溶媒を除去することによって負極活物質層34が形成され、負極30が得られる。溶媒の除去方法は特に限定されない。例えば、塗料が塗布された負極集電体32を、80℃〜150℃の雰囲気下で乾燥させればよい。
そして、このようにして得られた負極30の負極活物質層34をプレス処理して、負極活物質層34の厚さを調整する。プレス装置としては、ロールプレスを用いることができる。
「セパレータ」
セパレータ10は、電気絶縁性の多孔質構造から形成されていればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いはセルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
「非水電解質溶液」
非水電解質溶液は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解されている電解質とを含む。非水溶媒は、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを含有することが好ましい。
環状カーボネートとしては、電解質を溶媒和することができるものを用いることができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートなどを用いることができる。
鎖状カーボネートは、環状カーボネートと比較して相対的に粘度が低いので、非水溶媒の粘性を低下させることができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが挙げられる。
非水溶媒中の環状カーボネートと鎖状カーボネートの割合は、体積比で1:9〜1:1の範囲内にあることが好ましい。
非水溶媒は、環状カーボネート及び鎖状カーボネート以外のその他の有機溶媒を含有していてもよい。その他の有機溶媒の例としては、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンを挙げることができる。
電解質としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)、LiBOB等のリチウム塩が使用できる。なお、これらのリチウム塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。特に、電離度の観点から、LiPFを含むことが好ましい。
LiPFを非水溶媒に溶解する際は、非水電解質溶液中の電解質の濃度を、0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましい。電解質の濃度が0.5mol/L以上であると、非水電解質溶液のリチウムイオン濃度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすい。また、電解質の濃度が2.0mol/L以内に抑えることで、非水電解質溶液の粘度上昇を抑え、リチウムイオンの移動度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすくなる。
LiPFをその他の電解質と混合する場合にも、非水電解質溶液中のリチウムイオン濃度が0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましく、LiPFからのリチウムイオン濃度がその50mol%以上含まれることがさらに好ましい。
「ケース」
ケース50は、その内部に積層体40及び非水電解質溶液を密封するものである。ケース50は、非水電解質溶液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。
例えば、ケース50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミニウム箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
「リード」
リード60、62は、アルミニウム等の導電材料から形成されている。そして、公知の方法により、リード60、62を正極集電体22、負極集電体32にそれぞれ溶接し、正極20の正極活物質層24と負極30の負極活物質層34との間にセパレータ10を挟んだ状態で、非水電解質溶液と共にケース50内に挿入し、ケース50の入り口をシールする。
[リチウムイオン二次電池の製造方法]
リチウムイオン二次電池100は、次のようにして作製することができる。
正極活物質層24を有する正極20と、負極活物質層34を有する負極30と、正極20と負極30との間に介在させるセパレータ10と、非水電解質溶液と、をケース50内に封入する。
例えば、正極20と、負極30と、セパレータ10とを積層し、正極20及び負極30を、積層方向に対して垂直な方向から、プレス器具で加熱加圧し、正極20、セパレータ10、及び負極30を密着させる。そして、例えば、予め作製した袋状のケース50に、積層体40を入れる。
最後に非水電解質溶液をケース50内に注入することにより、リチウムイオン二次電池100が作製される。なお、ケースに非水電解質溶液を注入するのではなく、積層体40を非水電解質溶液に含浸させてもよい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池100では、正極活物質が、相対的にリチウムを高濃度で含む所定のリチウム高含有リン酸化合物と、相対的にリチウムを低濃度で含む所定のリチウム低含有リン酸化合物とを含むので、高容量で、かつ高温環境下での保存特性と出力特性とがバランスよく向上する。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
[実施例1]
(正極の作製)
リチウム含有遷移金属酸化物として平均粒径が20μmのLi1.01Ni0.83Co0.13Al0.032.0と、リチウム高含有リン酸化合物として平均粒子径が300nmのLi(POと、リチウム低含有リン酸化合物として平均粒子径が300nmのLi(POとを、80:19:1の質量比率で秤量し、乳鉢にて混合したものを正極活物質として用いた。正極活物質は、リチウム高含有リン酸化合物の質量aとリチウム低含有リン酸化合物の質量bの合計質量(a+b)に対するリチウム含有遷移金属酸化物の質量cの比率c/(a+b)は4で、リチウム低含有リン酸化合物の質量bに対するリチウム高含有リン酸化合物の質量aの比率a/bは19である。
上記の正極活物質90質量部と、アセチレンブラック5質量部と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)5質量部をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させ、スラリー状の塗料を調製した。得られた塗料を厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗工し、温度140℃で30分間乾燥した後に、ロールプレス装置を用いて線圧1000kgf/cmでプレス処理することにより、正極を得た。
(負極の作製)
負極活物質として天然黒鉛粉末90質量部と、PVDF10質量部をNMP中に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを厚さ15μmの銅箔上に塗工し、温度140℃で30分間減圧乾燥した後に、ロールプレス装置を用いてプレス処理することにより、負極を得た。
(非水電解質溶液)
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒に、LiPFを1.0mol/L、LiBFを0.1mol/Lとなるように溶解させた非水電解質溶液を用意した。混合溶媒におけるECとDECとの体積比は、EC:DEC=30:70とした。
(セパレータ)
膜厚20μmのポリエチレン微多孔膜(空孔率:40%、シャットダウン温度:134℃)を用意した。
(電池セルの作製)
上記正極、負極、及びセパレータを積層させて発電要素を構成し、これと上記非水電解液とを用いて、実施例1の電池セルを作製した。
[電池セルの評価]
上記のようにして作製した電池セルについて、以下の評価を行った。その結果を、表2に示す。
(出力特性)
電池セルに対して、0.5Cの定電流密度で充電終止電圧が4.2V(vs.Li/Li)になるまで充電を行い、さらに4.2V(vs.Li/Li)の定電圧で電流値が0.05Cの電流密度に低下するまで定電圧充電を行った。そして、10分間休止した後、0.5Cの定電流密度で放電終止電圧が2.8V(vs.Li/Li)になるまで放電させて、電池セルの放電容量(mAh)を測定した。測定した放電容量を正極活物質の質量で除した値を、0.5C放電容量(mAh/g)とした。
電池セルに対して、0.5Cの定電流密度で充電終止電圧が4.2V(vs.Li/Li)になるまで充電を行い、さらに4.2V(vs.Li/Li)の定電圧で電流値が0.05Cの電流密度に低下するまで定電圧充電を行った。そして、10分間休止した後、5Cの定電流密度で放電終止電圧が2.8V(vs.Li/Li)になるまで放電させて、電池セルの放電容量(mAh)を測定した。測定した放電容量を正極活物質の質量で除した値を、5C放電容量(mAh/g)とした。なお、放電容量の測定は室温(25℃)環境下にて行った。
出力特性は、測定した5C放電容量と0.5C放電容量とから下記の式より算出した5C/0.5放電容量比(%)より評価した。
5C/0.5放電容量比(%)=(5C放電容量/0.5C放電容量)×100
(高温保存特性)
5C放電容量を測定した電池セルに対して、1Cの定電流密度で充電終止電圧が4.2V(vs.Li/Li)になるまで充電を行い、さらに4.2V(vs.Li/Li)の定電圧で電流値が0.05Cの電流密度に低下するまで定電圧充電を行った。次いで、充電した電池セルを、60℃の恒温槽内で10日間保存した。保存後の電池セルを、室温(25℃)環境下で24時間静置して放冷させた後、1Cの定電流密度で放電終止電圧が2.8V(vs.Li/Li)になるまで放電させた。
放電させた電池セルに対して、5C(保存後)放電容量を、上記の出力特性と同様にして測定した。
高温保存特性は、5C(保存後)放電容量と、上記出力特性で測定した保存前の0.5C放電容量とから下記の式より算出した5C(保存後)/0.5C(保存前)放電容量比(%)より評価した。
5C(保存後)/0.5C(保存前)放電容量比(%)=(5C(保存後)放電容量/0.5C放電容量)×100
[実施例2〜5]
リチウム含有遷移金属酸化物、リチウム高含有リン酸化合物、リチウム低含有リン酸化合物として、それぞれ表1に示す化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電池セルを作製した。
[実施例6]
リチウム含有遷移金属酸化物、リチウム高含有リン酸化合物、リチウム低含有リン酸化合物として、それぞれ表1に示す化合物を、80:1:19の質量比率で用いたこと以外は、実施例1と同様にして電池セルを作製した。
[比較例1〜10]
比較例1、4、6、8では、リチウム低含有リン酸化合物を加えずに、表1に示すリチウム含有遷移金属酸化物とリチウム高含有リン酸化合物とを80:20の質量比率で秤量したこと以外は、実施例1と同様にして電池セルを作製した。また、比較例2、5、7、9では、リチウム高含有リン酸化合物を加えずに、表1に示すリチウム含有遷移金属酸化物とリチウム低含有リン酸化合物とを、80:20の質量比率で秤量したこと以外は、実施例1と同様にして電池セルを作製した。さらに、比較例3、10では、リチウム含有遷移金属酸化物を加えずに、表1に示すリチウム高含有リン酸化合物とリチウム低含有リン酸化合物とを、90:10の質量比率で秤量したこと以外は、実施例1と同様にして電池セルを作製した。
実施例2〜6、比較例1〜10で作製した電池セルについて、実施例1と同様に、出力特性と高温保存特性とを評価した。その結果を、表2に示す。
Figure 2019160576
Figure 2019160576
表2の結果から、リチウム含有遷移金属酸化物とリチウム高含有リン酸化合物とリチウム低含有リン酸化合物とを含む正極活物質を用いて作製した実施例1〜6の電池セルは、いずれも保存前の0.5C放電容量が大きく、また5C/0.5C放電容量比と5C(保存後)/0.5C(保存前)放電容量比とが高く、出力特性と保存特性とに優れていることがわかる。これに対して、リチウム含有遷移金属酸化物とリチウム高含有リン酸化合物とを用いて作製した比較例1、4、6、8の電池セルは、いずれも5C(保存後)/0.5C(保存前)放電容量比が大きく低下し、保存特性が劣っていた。また、リチウム含有遷移金属酸化物とリチウム低含有リン酸化合物とを用いて作製した比較例2、5、7、9の電池セルは、いずれも5C/0.5C放電容量比が低下し、出力特性が劣っていた。さらに、リチウム高含有リン酸化合物とリチウム低含有リン酸化合物とを用いて作製した比較例3、10の電池セルは、いずれも保存前の0.5C放電容量が小さくなった。
[実施例7〜15]
正極の作製において、下記のようにして調製した正極活物質を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電池セルを作製した。
リチウム高含有リン酸化合物(Li(PO)とリチウム低含有リン酸化合物(Li(PO)とを95:5の質量比率(リチウム低含有リン酸化合物の質量bに対するリチウム高含有リン酸化合物の質量aの比率a/bが19)で混合してリン酸化合物混合物を得た。次いで、リチウム含有遷移金属酸化物(Li1.01Ni0.83Co0.13Al0.03)と上記のリン酸化合物混合物とを、リン酸化合物混合物の質量(a+b)に対するリチウム含有遷移金属酸化物の質量cの比率c/(a+b)が、下記の表3に示す値となるように、秤量し、乳鉢にて混合して正極活物質を調製した。
作製した電池セルについて、実施例1と同様に、出力特性と高温保存特性とを評価した。その結果を、実施例1の結果と共に表4に示す。
Figure 2019160576
Figure 2019160576
表4の結果から、出力特性および高温保存特性は、リチウム高含有リン酸化合物の質量aとリチウム低含有リン酸化合物の質量bの合計質量(a+b)に対するリチウム含有遷移金属酸化物の質量cの比率c/(a+b)によって変動することがわかる。特に、比率c/(a+b)が1.5≦c/(a+b)≦99である実施例1、9〜14の電池セルは、出力特性と高温保存特性とがバランスよく優れていることがわかる。
10…セパレータ、20…正極、22…正極集電体、24…正極活物質層、30…負極、32…負極集電体、34…負極活物質層、40…積層体、50…ケース、52…金属箔、54…高分子膜、60,62…リード、100…リチウムイオン二次電池

Claims (6)

  1. NiおよびCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素を含有するリチウム含有遷移金属酸化物と、下記の組成式(1)で表されるリチウム高含有リン酸化合物と、下記の組成式(2)で表されるリチウム低含有リン酸化合物とを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極活物質。
    Li(M1)(PO ・・・(1)
    ただし、組成式(1)において、M1は、Mn、Co、Ni、Fe、Vから選ばれる少なくとも1種であり、2.7≦x≦3.3、0.9≦y≦2.2、0.9≦z≦3.3である。
    Li(M2)(PO ・・・(2)
    ただし、組成式(2)において、M2は、Mn、Co、Ni、Fe、V、VOから選ばれる少なくとも1種であり、0<u≦1.3、0.9≦v≦2.2、0.9≦w≦3.3である。
  2. 前記リチウム高含有リン酸化合物の質量aと前記リチウム低含有リン酸化合物の質量bの合計質量(a+b)に対する前記リチウム含有遷移金属酸化物の質量cの比率c/(a+b)が、1.5≦c/(a+b)≦99であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  3. 前記リチウム含有遷移金属酸化物が、下記の組成式(3)で表される酸化物であることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
    LiM3M4 ・・・(3)
    ただし、M3は、NiおよびCoから選ばれる少なくとも1種であり、M4は、Mn、Fe、Ti、Cr、Mg、Al、Cu、Si、Zr、Nb、Ga、Zn、Sn、B、V、Ca、Sr、Baから選ばれる少なくとも1種であり、0.5≦n≦1.2、0.5≦p+q≦1.2、0≦q≦0.5である。
  4. 前記リチウム含有遷移金属酸化物が、下記の組成式(4)で表されるリチウム含有ニッケル複合金属酸化物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
    LiNi1−s−tCoAl ・・・(4)
    ただし、組成式(3)において、0.5≦r≦1.2、0<s≦0.5、0<t≦0.5、0<s+t≦0.5である。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の正極活物質を有するリチウムイオン二次電池用正極。
  6. 請求項5に記載の正極と、負極と、セパレータと、電解質溶液とを有するリチウムイオン二次電池。
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