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JP2019155848A - 立体造形物の製造方法、及び製造装置 - Google Patents

立体造形物の製造方法、及び製造装置 Download PDF

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JP2019155848A
JP2019155848A JP2018049278A JP2018049278A JP2019155848A JP 2019155848 A JP2019155848 A JP 2019155848A JP 2018049278 A JP2018049278 A JP 2018049278A JP 2018049278 A JP2018049278 A JP 2018049278A JP 2019155848 A JP2019155848 A JP 2019155848A
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滉一郎 田中
Koichiro Tanaka
滉一郎 田中
政樹 渡邉
Masaki Watanabe
政樹 渡邉
輝樹 草原
Teruki Kusahara
輝樹 草原
山口 剛男
Takeo Yamaguchi
剛男 山口
雄司 長友
Yuji Nagatomo
雄司 長友
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Abstract

【課題】立体造形物における造形層の反りを防止し、寸法精度の優れた立体造形物を製造できる、立体造形物の製造方法の提供。【解決手段】少なくとも、無機粒子、及びガラス転移温度(Tg)が0℃以下である有機化合物Aを含む第一の立体造形用材料を用いて、第一の立体造形用材料層を形成する層形成工程と、前記第一の立体造形用材料層を硬化させるための、有機化合物Bを含む第二の立体造形用材料を、前記第一の立体造形用材料層の所定の領域に付与する、第二の立体造形用材料付与工程と、前記層形成工程と前記第二の立体造形用材料付与工程とを複数回繰り返すことにより、硬化した層を積層する造形工程と、を含む立体造形物の製造方法である。【選択図】図6F

Description

本発明は、立体造形物の製造方法、及び製造装置に関する。
立体造形物を造形する方法として、粉末積層造形方式による方法が知られている。この方法は、例えば、造形ステージに平坦化された無機材料の粉末を層状に形成する。この粉末層に対して造形液を吐出して、粉末を結合させて造形層を形成する。この造形層上に、また粉末層を形成し、再び造形液を吐出して造形層を形成する。これらの工程を繰り返し、造形層を積層し、立体造形物を造形する方法である。
また、粉末積層造形方式と比較して小粒径の無機材料の粉末を造形できる、スラリー積層造形方式による立体造形物を造形する方法もある。この方法は、例えば、硬化性の液体樹脂に無機粉末を分散させた懸濁液(スラリーともいう)を層状に形成し、造形液を吐出して、造形層を形成する。この造形層を形成する工程を繰り返し、造形層を積層し、立体造形物を造形する方法である。得られた立体造形物は、最終的には、樹脂成分を気化すると同時に無機粉末を焼結させる、脱脂・焼結処理を施す。そして、これにより、金属焼結体、あるいはセラミックス焼結体を得る。
ところで、耐熱性及び切削加工性に優れるとともに、低吸水性及び低線膨張性にも優れ、なお且つ反りの小さな樹脂積層板及びその製造方法の提供を目的として、以下の提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、ポリアリールケトン系樹脂(A)と、ガラス転移温度(Tg)が180℃以上350℃以下の熱可塑性樹脂(B)とを、特定の割合で含有する樹脂組成物(C)からなる原反シートを溶融積層する工程が記載されている。また、特許文献1には、樹脂組成物(C)のガラス転移温度(Tgc)以上Tgc+30℃以下の温度範囲で原反シートを10分以上保持する保持工程が記載されている。
本発明は、立体造形物における造形層の反りを防止し、寸法精度の優れた立体造形物を製造できる、立体造形物の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段としての本発明の立体造形物の製造方法は、
少なくとも、無機粒子、及びガラス転移温度(Tg)が0℃以下である有機化合物Aを含む第一の立体造形用材料を用いて、第一の立体造形用材料層を形成する層形成工程と、
前記第一の立体造形用材料層を硬化させるための、有機化合物Bを含む第二の立体造形用材料を、前記第一の立体造形用材料層の所定の領域に付与する、第二の立体造形用材料付与工程と、
前記層形成工程と前記第二の立体造形用材料付与工程とを複数回繰り返すことにより、硬化した層を積層する造形工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明によると、立体造形物における造形層の反りを防止し、寸法精度の優れた立体造形物を製造できる、立体造形物の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明で用いられる立体造形物の製造装置の一例を示す概略図である。 図2Aは、立体造形物を製造する方法において、造形層を積層する方法の一例について説明するための概略図である。 図2Bは、立体造形物を製造する方法において、造形層を積層する方法の一例について説明するための概略図である。 図2Cは、立体造形物を製造する方法において、造形層を積層する方法の一例について説明するための概略図である。 図3Aは、第一の立体造形用材料(スラリー)の平坦化(リコート)層において、溶剤が蒸発する際に発生する応力の一例について説明する概略図である。 図3Bは、第一の立体造形用材料(スラリー)の平坦化(リコート)層において、溶剤が蒸発する際に発生する応力の一例について説明する概略図である。 図3Cは、第一の立体造形用材料(スラリー)の平坦化(リコート)層において、溶剤が蒸発する際に発生する応力の一例について説明する概略図である。 図3Dは、第一の立体造形用材料(スラリー)の平坦化(リコート)層において、溶剤が蒸発する際に発生する応力の一例について説明する概略図である。 図4Aは、積層による応力の蓄積と応力分布の一例について説明する概略図である。 図4Bは、積層による応力の蓄積と応力分布の一例について説明する概略図である。 図4Cは、積層による応力の蓄積と応力分布の一例について説明する概略図である。 図4Dは、積層による応力の蓄積と応力分布の一例について説明する概略図である。 図4Eは、積層による応力の蓄積と応力分布の一例について説明する概略図である。 図4Fは、積層による応力の蓄積と応力分布の一例について説明する概略図である。 図5Aは、蓄積した応力の作用により、積層物に発生する反りの一例について説明する概略図である。 図5Bは、蓄積した応力の作用により、積層物に発生する反りの一例について説明する概略図である。 図5Cは、蓄積した応力の作用により、積層物に発生する反りの一例について説明する概略図である。 図6Aは、本発明の立体造形物の製造方法により、造形層を積層した際の積層物の積層状態の様子の一例を示す概略図である。 図6Bは、本発明の立体造形物の製造方法により、造形層を積層した際の積層物の積層状態の様子の一例を示す概略図である。 図6Cは、本発明の立体造形物の製造方法により、造形層を積層した際の積層物の積層状態の様子の一例を示す概略図である。 図6Dは、本発明の立体造形物の製造方法により、造形層を積層した際の積層物の積層状態の様子の一例を示す概略図である。 図6Eは、本発明の立体造形物の製造方法により、造形層を積層した際の積層物の積層状態の様子の一例を示す概略図である。 図6Fは、本発明の立体造形物の製造方法により、造形層を積層した際の積層物の積層状態の様子の一例を示す概略図である。 図7は、実施例における立体造形物の反り評価を行うため、積層物の一辺の長さLと、反り量tを示す概略図である。
スラリー積層造形方式では、比重の高い無機粒子の沈降を防止したり、焼結体の高密度化を図る等の目的で、懸濁液(スラリー)を使用する。また、生産性の観点から、スラリーを作製する際、溶剤が好ましく使用される。
しかし、溶剤が含有されているスラリーを、造形ステージに固定した造形プレート上に層状に繰り返し積層し、その後、造形プレートの固定を解除すると、以下の問題を生じる。溶剤が含有されているスラリーは、平坦化(リコート)した表層の乾燥が非常に速いため、表面中心に向かい収縮しようとする応力が発生し、造形層を積層してなる積層物に反りが生じる。特に、無機粒子の結合剤である樹脂の結晶性が高いと、積層物の反りの問題は顕著となる。そして、積層物に反りが生じると、立体造形物の形状も変化し、立体造形物の寸法精度は低下する。
そこで、本発明者らは、スラリー積層造形方式を用いた立体造形物の製造方法において、造形層を積層してなる積層物の反りを防止できる方法について検討した。
ところで、上記特許文献1には、樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも高い温度で積層物を保持する方法が記載されている。しかし、上記特許文献1に記載の方法では、造形層を積層する際に発生する積層物の反りの問題を解決することはできない。
本発明者らは、検討を重ねた結果、溶剤が含有されているスラリーの平坦化(リコート)層から溶剤が蒸発する際に発生する、表面中心に向かい収縮しようとする応力を低減することで、積層物の反りを抑制できることがわかった。
立体造形物における造形層の反りを防止し、寸法精度の優れた立体造形物を製造する方法として、以下の構成の立体造形物の製造方法が有効であることを見出した。
(立体造形物の製造方法、立体造形物の製造装置)
本発明の立体造形物の製造方法は、第一の立体造形用材料層を形成する層形成工程と、第二の立体造形用材料付与工程と、硬化した層を積層する造形工程と、を含む。本発明の立体造形物の製造方法は、さらに造形層の加熱・乾燥工程、未硬化領域の除去工程(分離工程)、立体造形物の焼結工程、を含むことが好ましく、また、必要に応じて、その他の工程を含むことができる。
本発明の立体造形物の製造装置は、第一の立体造形用材料を保持する保持手段と、第一の立体造形用材料層を形成する層形成手段と、第二の立体造形用材料付与手段と、を有する。本発明の立体造形物の製造装置は、さらに造形層の加熱・乾燥手段、未硬化領域の除去手段(分離手段)、立体造形物の焼結手段、を有することが好ましく、また、必要に応じて、その他の手段を有することができる。
本発明の立体造形物の製造方法は、本発明の立体造形物の製造装置を用い実施することと、一方、本発明の立体造形物の製造装置は、本発明の立体造形物の製造方法を実施することと、同義である。したがって、本発明の立体造形物の製造方法の説明を通じて本発明の立体造形物の製造装置の詳細についても明らかにする。
本発明の立体造形物の製造方法及び製造装置の特徴の一つに、使用する材料の特徴が挙げられる。本発明では、第一の立体造形用材料及び第二の立体造形用材料を用いており、第一の立体造形用材料は、無機粒子、及びガラス転移温度(Tg)が0℃以下である有機化合物Aを含む。また、第二の立体造形用材料は、第一の立体造形用材料を硬化させるための有機化合物Bを含む。
そこで、以下、立体造形物の製造方法及び製造装置の説明を、立体造形用材料の材料に関する構成部分と、各工程(各手段)の操作方法に関する構成部分とに分けて説明する。
まず、立体造形物の製造方法及び製造装置で使用する、第一の立体造形用材料及び第二の立体造形用材料について説明する。
<A.立体造形用材料>
<第一の立体造形用材料>
第一の立体造形用材料(スラリーともいう)は、少なくとも、無機粒子、及びガラス転移温度(Tg)が0℃以下である有機化合物Aを含む。好ましくは、第一の立体造形用材料は、無機粒子、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下である有機化合物A、及び溶媒を含み、さらに必要に応じて、その他の成分を含む。
<<無機粒子>>
無機粒子は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属粒子、セラミックス粒子などが好ましく挙げられる。
金属粒子のうち、特に高硬度の性質をもつ材料を選択することで、高硬度な立体造形物が造形できる。
高硬度の性質を示す金属材料としては、例えば、超硬合金(WC−Co炭化タングステン・カーバイドとコバルトの合金、炭化チタンや炭化タンタルを添加する場合もある)、炭素鋼、クロム鋼、マンガン鋼、マンガン鋼、クロムモリブデン鋼、ニッケルクロム鋼、アルミニウムクロムモリブデン鋼、ステンレス鋼、インコネル、ハステロイを使った粒子等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
金属粒子の体積平均粒径としては、20μm未満が好ましく、5μm未満がより好ましい。
金属粒子の体積平均粒径は、公知の粒径測定装置(例えば、マルチサイザーIII(コールターカウンター社製)やFPIA−3000(シスメックス株式会社製)など)を用いて、公知の方法に従って測定することができる。
セラミックス粒子のうち、特に高硬度の性質をもつ材料を選択することで、高硬度な立体造形物が造形できる。
高硬度の性質を示すセラミックス材料としては、例えば、ジルコニア粒子、アルミナ粒子、シリカ粒子、二ケイ酸リチウム粒子、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ジルコニア粒子が好ましい。セラミックス粒子としてジルコニア粒子を用いる場合は、安定化剤としてのイットリアやセリア等を含有してもよい。
<<有機化合物A>>
有機化合物Aとしては、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下を示すものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性樹脂などが挙げられる。水溶性樹脂における水溶性とは、室温(25℃)において、水に対して10質量%以上溶解することを意味する。
有機化合物Aとしては、後述する有機化合物Bを含む第二の立体造形用材料の添加により、第一の立体造形用材料の層に硬化状態が形成されるような化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、有機化合物Bと反応し、硬化物を生成する化合物が挙げられる。
有機化合物Aと有機化合物Bとの組み合わせとしては、例えば、次のものが挙げられる。
(i)イオン結合や配位結合などの物理的凝集力でゲル化する化合物の組み合わせ
(ii)共有結合が生成されるような開環反応を起こす化合物の組み合わせ
(iii)重縮合可能な化合物の組み合わせ
(iv)ラジカル反応を起こす化合物の組み合わせ
上記組み合わせに沿うような有機化合物Aが選択されるとよい。
上記組み合わせの中でも、(ii)共有結合が生成されるような開環反応を起こす化合物の組み合わせが好ましく、開環反応を起こす有機化合物Aとして、例えば、エポキシ樹脂などを用いることができる。
尚、上記有機化合物Aと有機化合物Bとの組み合わせについては、下記<<有機化合物Aと有機化合物Bとの組み合わせ例>>の欄で、より詳しく説明する。
有機化合物Aは、上記の組み合わせに沿うよう選択されるが、中でも、有機化合物Aは、分子内に芳香環を含まない化合物であることが好ましい。
また、有機化合物Aは、分子内にエーテル結合を有する化合物であると好ましい。
有機化合物Aの重量平均分子量Mwは、20,000以上であると好ましく、100,000〜600,000の範囲であるとより好ましい。重量平均分子量が100,000以上であると、第二の立体造形用材料中の有機化合物Bとの架橋構造の構築が容易であり、立体造形物の硬化時間が適切である。一方、重量平均分子量が600,000以下であると、スラリーの粘度が適切であり、粒子のばらつきが少ない均一な平坦化(リコート)層を得ることができる。
また、有機化合物AのTgは、例えば、示差熱・熱重量測定(TG−DTA)などの熱分析装置を用いて公知の方法により測定することができる。
<<溶媒>>
溶媒としては、有機化合物Aを溶解することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、メタノール、エタノール、トルエン等の極性溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
グリーン体(焼結前の立体造形物(焼結前駆体)をグリーン体という)の生産性の向上の観点からは、溶媒は、沸点が低い有機溶剤であることがより好ましく、沸点が80℃以下である有機溶剤であることがさらに好ましい。
沸点が80℃以下である有機溶剤としては、例えば、エタノール(沸点:78.37℃)、メタノール(沸点:64.7℃)、酢酸エチル(沸点:77.1℃)、アセトン(沸点:56℃)、塩化メチレン(沸点:39.6℃)などが挙げられる。
<<その他の成分>>
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脱水縮合剤、分散剤、可塑剤、焼結助剤などが挙げられる。
第一の立体造形用材料(スラリー)は、脱水縮合剤を含むのが好ましい。
また、スラリーが、分散剤を含むと、無機粒子の分散性を改善し、静止時の無機粒子の沈降を抑制することができるため、好ましい。グリーン体を造形する際に、無機粒子が沈降することなく、連続して存在しやすくなる。
スラリーが、可塑剤を含むと、グリーン体が乾燥した際に亀裂が入りにくくなる点で好ましい。
スラリーが、焼結助剤を含むと、得られた積層物に対し、焼結処理を行う際、より低温で焼結を行うことができるため好ましい。
<第二の立体造形用材料>
第二の立体造形用材料は、第一の立体造形用材料層を硬化させるために用いられる材料である。以下、第二の立体造形用材料を硬化液、造形液ともいう。
第二の立体造形用材料は、少なくとも、有機化合物Bを含む。好ましくは、第二の立体造形用材料は、有機化合物B、及び溶媒を含み、さらに必要に応じて、湿潤剤やその他の成分を含む。
<<有機化合物B>>
有機化合物Bとしては、有機化合物Aを含む第一の立体造形用材料の層を硬化させることができる化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、有機化合物Bは、有機化合物Aに対して、反応性を示すものが好ましく、有機化合物Aと反応して、硬化物を生成するような化合物を選択することができる。
上述したとおり、有機化合物Aと有機化合物Bとの組み合わせとしては、例えば、以下の組み合わせが挙げられる。
(i)イオン結合や配位結合などの物理的凝集力でゲル化する化合物の組み合わせ
(ii)共有結合が生成されるような開環反応を起こす化合物の組み合わせ
(iii)重縮合可能な化合物の組み合わせ
(iv)ラジカル反応を起こす化合物の組み合わせ
上記組み合わせに沿うような有機化合物Bが選択されるとよい。
前記有機化合物Bの重量平均分子量Mwは、20,000以下であると好ましく、1,000〜10,000の範囲であるとより好ましい。重量平均分子量が1,000以上であると、第一の造形用材料中の有機化合物Aとの架橋構造の構築が容易であり、立体造形物の硬化時間が適切である。一方、重量平均分子量が10,000以下であると、第二の立体造形用材料の粘度が適切であり、第二の立体造形用材料付与手段から安定して付与できる。
尚、上記有機化合物Aと有機化合物Bとの組み合わせについてのさらに詳しい説明は、後述する。
上記組み合わせの中でも、(ii)共有結合が生成されるような開環反応を起こす化合物の組み合わせが好ましく、有機化合物Bとしては、カチオン性化合物を用いることができる。
−カチオン性化合物−
カチオン性化合物とは、カチオン性官能基を有するポリマー化合物であり、用いられるカチオン性官能基としては、例えば下記(1)〜(4)に挙げるものが挙げられる。
(1)第一級アミノ基(−NH
(2)第二級アミノ基(−NHR)
(3)第三級アミノ基(−NR
(4)イミノ基(−C(=NR)R
上記(1)〜(4)中、R、R、Rは、それぞれアルキル基を表す。
ここで、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、アミル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
上記(1)〜(4)より選ばれるカチオン性官能基の中でも、得られる機械的強度の観点から、上記(1)〜(3)のアミノ基がより好ましい。
カチオン性を有するポリマー化合物は、化合物全体として2以上のカチオン性官能基を有していればよく、カチオン性官能基を側鎖に1つ有するモノマー単位を複数有するものでもよいし、モノマー単位にカチオン性官能基を2以上有する側鎖を有していてもよい。
<<有機化合物Aと有機化合物Bとの組み合わせ例>>
有機化合物Aと有機化合物Bの組み合わせ例としては、上述したとおり、例えば、以下の組み合わせが挙げられる。
(i)イオン結合や配位結合などの物理的凝集力でゲル化する化合物の組み合わせ
(ii)共有結合が生成されるような開環反応を起こす化合物の組み合わせ
(iii)重縮合可能な化合物の組み合わせ
(iv)ラジカル反応を起こす化合物の組み合わせ
上記(ii)から(iv)について、さらに詳しく説明する。
<<<共有結合が生成されるような開環反応を起こす化合物の組み合わせ>>>
上記(ii)を利用した組合せとしては、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物のような開環反応可能な化合物と、アミン化合物、アルコール化合物、カルボン酸化合物のような開環化合物と反応させることにより開環反応を生じさせる化合物との組合せが挙げられる。
−開環反応可能な化合物−
開環反応可能な化合物としては、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物が挙げられる。
エポキシ化合物の例としては、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、脂環式等のいずれでもよい。
グリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、ジグリシジルエーテル類(例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル)、3官能以上のグリシジルエーテル類(トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートなど)、4官能以上のグリシジルエーテル類(ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど)などが挙げられる。グリシジルエーテル化合物の具体例を挙げると、1,3−ビス(2,3−エポキシプロピロキシ)ベンゼン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポシキ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂等の芳香族グリシジルエーテル化合物、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリトリグリシジルエーテル等の脂肪族グリシジルエーテル化合物が挙げられる。
グリシジルエステル型エポキシ化合物としては、リノレン酸ダイマーのグリシジルエステルなどが挙げられる。
グリシジルアミン型エポキシ化合物としては、テトラグリシジルジアミンジフェニルメタン(TGDDM)、トリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)、ヒダントイン型、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(TETRAD−D)型、アミノフェノール型、アニリン型、トルイジン型などが挙げられる。
脂環式エポキシ化合物としては、シクロヘキセンオキシド基又はシクロペンテンオキシド基を1分子内に2個以上有する多官能脂環式エポキシ類が好ましい。多官能の脂環式エポキシ化合物の具体例としては、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、ジ(2,3−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキサイドなどが挙げられる。なお、分子内に脂環式構造を有しない通常のエポキシ基を有するグリシジル化合物も問題なく使用出来る。
オキセタン化合物の例としては、特開2001−220526号、同2001−310937号、同2003−341217号の各公報に記載されるような公知のオキセタン化合物が使用出来る。特に多価のオキセタン化合物が好ましく、例えば、東亞合成株式会社のOX−SQ、PNOX−1009などが挙げられる。
−開環反応を生じさせる化合物−
エポキシ化合物、オキセタン化合物のような開環化合物との反応により、開環反応を生じさせる化合物としては、アミン化合物、アルコール化合物が挙げられる。
アミン化合物としては、アミノ基を2以上有するポリアミン化合物が好ましく、ポリアミン化合物としては、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシリレンジアミン(MXDA)、イソホロンジアミン(IPDA)、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3BAC)、ジアミノジフェニルメタン(MDZ)、m−フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、ジシアンジアミド(DlCY)などが挙げられる。
アルコール化合物としては、水酸基を2以上有するポリアルコール(ポリオール)が好ましく、ポリオールとしては、重量平均分子量200〜100,000のものが広く使用され、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオールに区分される。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、及びポリマーポリオール(PPG中でアクリルニトリル/スチレンを重合させたもの)、ポリエーテルポリアミン等の変性体等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。縮合系ポリエステルポリオールとしては二塩基酸(主としてアジピン酸)とグリコール(エチレングリコール、1,4−ブタンジオール)やトリオール(トリメチロールプロパン)との縮合脱水反応物等が挙げられる。
その他のポリオールとしては、ポリブタジエンポリオール(末端に水酸基を有するブタジエン及び共重合体)、アクリルポリオール(アクリル共重合体に水酸基を導入したポリオール)、部分鹸化EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)がある。その他フェノール系ポリオール、難燃ポリオールとしての含燐ポリオールとハロゲン含有ポリオール、フッ素ポリオール、PET樹脂廃物やDMT残渣から製造される低コストポリエステルポリオール等が挙げられる。
紫外線により開環反応可能な化合物を反応させる場合、カチオン重合可能な光重合開始剤を用いることができ、例えば、アリールスルホニウム塩誘導体や、アリルヨードニウム塩誘導体、ジアゾニウム塩誘導体、トリアジン系開始剤などが挙げられる。
<<<重縮合可能な化合物の組み合わせ>>>
上記(iii)を利用した組合せとしては、例えば、イソシアネート化合物とアミン化合物及び/またはアルコール化合物とのような重縮合可能な化合物の組合せが挙げられる。
−イソシアネート化合物−
イソシアネート化合物は、分子内にイソシアナト基を1つ以上有する化合物であり、イソシアナト基を2以上有する化合物であることが好ましい。
イソシアネート化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI(MDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ナフタリンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、パラフェニレンジイソシアネート、水添XDI、水添MDI等の芳香族もしくは芳香族由来のポリイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等の脂肪族イソシアネート;その他リジンジイソシアネート(LDI)、テトラメチルキシレソジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
−アミン化合物及び/またはアルコール化合物−
イソシアネート化合物と重縮合可能な化合物の組合せとしては、例えば、アミン化合物、アルコール化合物等が挙げられ、それらの具体例としては、ポリアミン化合物、ポリオール化合物などが挙げられる。
<<<ラジカル反応を起こす化合物の組み合わせ>>>
上記(iv)を利用した組合せとしては、例えば、アクリル化合物のようなビニル基を有するラジカル反応可能な化合物と、有機過酸化物のようなラジカル反応を生じさせる化合物との組み合わせが挙げられる。
−ラジカル重合反応可能な化合物−
ラジカル重合反応可能な化合物としては、例えば、ビニル基を有する重合性化合物などが挙げられる。
ビニル基を有する重合性化合物としては、例えば、単官能重合性化合物、多官能重合性化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、単官能重合性化合物、及び多官能重合性化合物は、混合した状態でもよいし、互いに化学結合したオリゴマー状態でもよい。
−−単官能重合性化合物−−
単官能重合性化合物としては、例えば、単官能アクリル化合物、単官能メタクリル化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、単官能メタクリル化合物が好ましく、メチルメタクリレート骨格を有する単官能メタクリル化合物がより好ましい。
メチルメタクリレート骨格を有する単官能メタクリル化合物としては、例えば、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のアルキルメタクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシアルキルメタクリレート(HAMA);テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、エチレングリコールメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、補綴物の破壊靱性等の兼ね合いの点から、メチルメタクリレート(MMA)と、ヒドロキシアルキルメタクリレート(HAMA)との併用が好ましく、メチルメタクリレート(MMA)と、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)との併用がより好ましい。ヒドロキシアルキルメタクリレート(HAMA)のアルキル鎖の炭素数としては、2以上4以下が好ましい。炭素数が、2以上4以下であると、力学的強度を向上できる。
−−多官能重合性化合物−−
多官能重合性化合物としては、例えば、多官能アクリル化合物、多官能メタクリル化合物などが挙げられる。これらの中でも、多官能メタクリル化合物が好ましく、メチルメタクリレート骨格を有する多官能メタクリル化合物がより好ましい。
メチルメタクリレート骨格を有する多官能メタクリル化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、ウレタンジメタクリレート(UDMA)、ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート(Bis−GMA)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、粘度の高いウレタンジメタクリレート(UDMA)、ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート(Bis−GMA)が好ましく、ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート(Bis−GMA)がより好ましい。
−ラジカル重合反応を生じさせる化合物−
ラジカル重合反応を生じさせる化合物としては、例えば、重合開始剤が挙げられる。重合開始剤は、熱で反応促進する熱重合開始剤と、光で反応促進する光重合開始剤が挙げられ、熱重合開始剤としては、有機過酸化物と第三級アミンの組み合わせが好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、芳香族を有するジアシルパーオキサイド類や過安息香酸エステルのようなパーオキシエステルなどが挙げられる。具体的には、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、m−トリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ベンゾイルパーイキサイド(BPO)が好ましい。
第三級アミンとしては、芳香族基に直接窒素原子が置換した構造を有することが好ましく、トルイジン骨格を有することがより好ましい。
トルイジン骨格を有する第三級アミンとしては、例えば、N,N−ジメチル−p−トルイジン(DMPT)、N,N−ジエチル−p−トルイジン(DEPT)、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ジ(β−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジンなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、N,N−ジメチル−p−トルイジン(DMPT)、N,N−ジエチル−p−トルイジン(DEPT)が好ましく、N,N−ジメチル−p−トルイジン(DMPT)がより好ましい。
光重合開始剤としては、光(特に波長220nm〜400nmの紫外線)の照射によりラジカルを生成する任意の物質を用いることができる。例えば、アセトフェノン、2、2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、紫外線照射装置の紫外線波長にあわせた光重合開始剤を選択することが好ましい。
その他の重合開始剤としては、過酸化物と併用して、例えば、常温重合開始剤などが挙げられる。常温重合開始剤としては、例えば、ピリミジントリオン誘導体、有機金属化合物、有機ハロゲン化合物などが挙げられる。これらの中でも、第一の立体造形用材料にピリミジントリオン誘導体及び有機金属化合物を含有させる場合、第二の立体造形用材料に有機ハロゲン化合物を含有させることが好ましい。第一の立体造形用材料に有機ハロゲン化合物を含有させる場合、第二の立体造形用材料にピリミジントリオン誘導体及び有機金属化合物を含有させることが好ましい。
ピリミジントリオン誘導体としては、例えば、1−シクロヘキシル−5−エチルピリミジントリオン、1−ベンジル−5−フェニルピリミジントリオン、5−ブチルピリミジントリオン、5−フェニルピリミジントリオン、1,3−ジメチルピリミジントリオン、5−エチルピリミジントリオンなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機金属化合物としては、例えば、アセチルアセトン銅、4−シクロヘキシル酪酸銅、酢酸第二銅、オレイン酸銅、アセチルアセトンマンガン、ナフテン酸マンガン、オクチル酸マンガン、アセチルアセトンコバルト、ナフテン酸コバルト、アセチルアセトンリチウム、酢酸リチウム、アセチルアセトン亜鉛、ナフテン酸亜鉛、アセチルアセトンニッケル、酢酸ニッケル、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトンカルシウム、アセチルアセトンクロム、アセチルアセトン鉄、ナフテン酸ナトリウム、レアアースオクトエートなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機ハロゲン化合物としては、例えば、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルアンモニウムクロライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<溶媒>>
溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール等のアルコール、エーテル、ケトン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水が好ましい。なお、溶媒は、水がアルコール等の水以外の成分を若干量含有するものであってもよい。
水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられる。
<<湿潤剤>>
湿潤剤としては、例えば、炭素数6以下の多価アルコールを用いることができる。炭素数6以下の多価アルコールを含有すると、造形層を形成する部材への付着物が生じにくく、造形層の乾燥性に優れる。
多価アルコールとしては、炭素数6以下であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、常温液体のジオール、トリオール、テトラオール等を第二の立体造形用材料に添加したり、固体のトリオール、テトラオール、多糖類等を可溶な溶剤に予備分散した後、第二の立体造形用材料に添加して用いることができる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール;1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2、2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、トリエチレングリコール、2,2’−チオジエタノール等のジオール;グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール等のトリオール;ブタン−1,2,3,4−テトラオール(エリトリトールを含む)、1,1,5,5−ペンタンテトラオール、1,2,3,5−ペンタンテトラオール、1α,2α,3α,4α−シクロペンタンテトラオール、ヘキサン−1,2,5,6−テトラオール、(3R,4S)−2−オキソペンタン−1,3,4,5−テトラオール等のテトラオール、グルコース等の多糖類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<その他の成分>>
その他の成分としては、例えば、脱水縮合剤、界面活性剤、保存剤、防腐剤、安定化剤、pH調整剤などが挙げられる。
次に、各工程(各手段)の操作方法について、説明する。
<B.各工程(各手段)>
本発明の立体造形物の製造方法は、層形成工程、第二の立体造形用材料付与工程、及び造形工程を含む。さらに好ましくは、本発明の立体造形物の製造方法は、造形層の加熱・乾燥工程、未硬化領域の除去工程、及び立体造形物の焼結工程を含む。
<層形成工程、層形成手段>
層形成工程とは、第一の立体造形用材料(スラリーともいう)を用いて、第一の立体造形用材料層を形成する工程である。
層形成手段とは、第一の立体造形用材料を用いて、第一の立体造形用材料層を形成する手段である。
<<保持手段>>
本発明の立体造形物の製造装置は、層形成工程を実行するために、第一の立体造形用材料を保持する保持手段を有する。
第一の立体造形用材料を保持する保持手段(支持体)としては、第一の立体造形用材料を載置することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、第一の立体造形用材料の載置面を有する台などが挙げられる。支持体の表面、即ち、第一の立体造形用材料を載置する載置面としては、例えば、平滑面であってもよいし、粗面であってもよく、また、平面であってもよいし、曲面であってもよい。
<<層形成方法の具体的態様>>
第一の立体造形用材料を保持手段(支持体)上に配置させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、第一の立体造形用材料(スラリー材料)を薄層に配置させる方法としては、特許第3607300号公報に記載の公知のカウンター回転機構(カウンターローラ)などを用いる方法、スラリー材料をブラシ、ローラ、ブレード等の部材を用いて薄層に拡げる方法、スラリー材料層の表面を押圧部材を用いて押圧して薄層に拡げる方法、公知の粉末積層造形装置を用いる方法などが好適に挙げられる。
カウンター回転機構(カウンターローラ)、ブラシ乃至ブレード、前記押圧部材などを用いて、保持手段(支持体)上にスラリー材料を載置させるには、例えば、以下のようにして行うことができる。即ち、例えば、外枠(「型」、「中空シリンダー」、「筒状構造体」などと称されることもある)内に、外枠の内壁に摺動しながら昇降可能に配置された支持体上にスラリー材料を、カウンター回転機構(カウンターローラ)、ブラシ、ローラ又はブレード、押圧部材などを用いて載置させる。このとき、支持体として、外枠内を昇降可能なものを用いる場合には、支持体を外枠の上端開口部よりも少しだけ下方の位置に配し、即ち、第一の立体造形用材料層(スラリー材料層)の厚み分だけ下方に位置させておき、支持体上にスラリー材料を載置させる。以上により、スラリー材料を支持体上に薄層に載置させることができる。
また、スラリー材料を支持体上に薄層に載置させるには、公知の粉末積層造形装置を用いて自動的にかつ簡便に行うこともできる。粉末積層造形装置は、一般に、スラリー材料を積層するためのリコーターと、スラリー材料を支持体上に供給するための可動式供給槽と、粉末材料を薄層に載置し、積層するための可動式成形槽とを備える。粉末積層造形装置においては、供給槽を上昇させるか、成形槽を下降させるか、又はその両方によって、常に供給槽の表面は成形槽の表面よりもわずかに上昇させることができ、供給槽側からリコーターを用いて粉末材料を薄層に配置させることができ、リコーターを繰り返し移動させることにより、薄層のスラリー材料を積層させることができる。この粉末積層造形装置をそのままスラリー積層用に置き換えてもよいし、リコーター部分をシート成形用のドクターブレードに代えてもよい。
層形成工程のより好ましい態様としては、保持手段(支持体)の上方に配したスラリーを格納する格納容器から、格納容器のノズルを通じて、支持体上に、スラリーを供給する態様が挙げられる。係る態様については、図1をもとに下記<立体造形物の製造方法、及び製造装置の実施形態>の欄で詳しく説明する。
<第二の立体造形用材料付与工程、第二の立体造形用材料付与手段>
第二の立体造形用材料付与工程とは、第二の立体造形用材料を、第一の立体造形用材料層の所定の領域に付与する工程である。
第二の立体造形用材料付与手段とは、第二の立体造形用材料を、第一の立体造形用材料層の所定の領域に付与する手段である。
<<第二の立体造形用材料付与方法の具体的態様>>
第一の立体造形用材料(スラリー)層への第二の立体造形用材料の付与の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスペンサ方式、スプレー方式、インクジェット方式などで用いられている液体吐出手段などが挙げられる。
本発明においては、複雑な立体形状を精度良くかつ効率よく形成し得る点で、インクジェット方式で用いられる液体吐出手段(圧電アクチュエーター等の振動素子を用い、複数ノズルから液滴を吐出するもの)が好ましい。
<造形工程>
造形工程とは、層形成工程と第二の立体造形用材料付与工程とを複数回繰り返すことにより、硬化した硬化領域と未硬化領域とを含む造形層を積層する工程である。
例えば、第一の立体造形用材料(スラリー)層上に、液体吐出手段(インクジェットヘッド等)を用いて、第二の立体造形用材料を滴下する。このとき、第二の立体造形用材料を滴下する位置は、最終的に造形したい立体形状を複数の平面層にスライスした二次元画像データ(スライスデータ)により決定される。
こうして、第一の立体造形用材料(スラリー)層内に、硬化領域と未硬化領域とが形成された造形層を作製する。その造形層上に、また、第一の立体造形用材料(スラリー)層を形成する。次に、該第一の立体造形用材料(スラリー)層上に第二の立体造形用材料を滴下し、硬化領域を形成する。これにより、2層目のスライスデータに基づく描画が施される。
このようにして、先に描画した造形層上に、新たな造形層を形成する。このときの造形層一層の厚みは、1μm以上100μm以下が好ましい。
この一連のプロセスを繰り返し、造形層を積層することにより、積層物が得られる。この積層物から未硬化領域の部分を取り除くと、所望の形状の立体造形物が得られる。
<造形層の加熱・乾燥工程、造形層の加熱・乾燥手段>
立体造形物は、赤外線ヒーター、ホットプレート、温風発生装置、高温加熱炉などの加熱装置により、加熱・乾燥することが好ましい。
この時、加熱する温度としては、例えば、第二の立体造形用材料を、第一の立体造形用材料層に付与した結果生じる硬化物のガラス転移温度Tgよりも高い温度が好ましい。より具体的には、有機化合物Aと有機化合物Bとの反応から得られる硬化物のガラス転移温度Tgよりも30℃以上高い温度で加熱するのがより好ましい。この加熱を施すことで、立体造形物の積層中に生じる残留応力を除去でき、最終的な焼結後の立体造形物における寸法精度の向上を図ることができる。
<未硬化領域の除去工程(分離工程)、未硬化領域の除去手段>
第二の立体造形用材料(硬化液)を、第一の立体造形用材料層の所定の領域に付与することにより、硬化領域が形成される。より具体的には、例えば、有機化合物Aと有機化合物Bとが反応し、硬化物が形成される。そこで、硬化領域と未硬化領域とを有する造形層を積層してなる造形物を水溶液に浸漬することにより、未硬化領域を除去する。つまり、硬化領域と未硬化領域とを分離する。
これにより、硬化液が付与された硬化領域のみが積層された積層物を取り出すことができ、所望の形状の立体造形物を得ることができる。
<焼結工程、焼結手段>
立体造形物の焼結工程は、未硬化領域の除去工程後の積層物である焼結前の立体造形物(グリーン体)を焼結する工程であり、焼結手段により行われる。焼結工程を行うことにより、積層物が一体化した成形体(焼結体)とすることができる。焼結手段としては、例えば、公知の焼結炉などが挙げられる。
<立体造形物の製造方法、及び製造装置の実施形態>
以下、本発明の製造装置(造形装置)の具体的実施形態について、説明する。
図1は、本発明で用いられる立体造形物の製造装置の一例を示す。
図1中、符号100は、第一の立体造形用材料(スラリー)を積層していくにあたり土台の役割を果たす保持手段である支持体(ステージ)を示す。このステージ上にスラリーを積層し立体造形物を造形する。ステージは平滑面を有するとよい。
符号101は、ステージを加熱するための加熱手段を示す。加熱手段101は、例えばプレート型ヒーターである。用いるスラリーの組成物に応じて、ヒーターを使用する場合を適宜判断する。
符号102は、スラリーを格納する格納容器を示す。例えば、スラリーが揮発性溶媒を含む場合には、スラリー中の無機粒子の濃度や、有機化合物Aの濃度が変化しないように、格納容器102は密閉されているとよい。
符号103は、格納容器内にあるスラリーを示す。
符号104は、格納容器内にあるスラリーの保管時における無機粒子の分散安定性を維持するため、無機粒子を分散させるための攪拌機構を示す。攪拌機構104は、必要に応じてスラリーを物理的に攪拌させ、スラリー中の無機粒子を分散させる。
符号105は、スラリーを要求に応じて押し出す圧力機構を示す。
符号106は、スラリーをステージ上の造形領域に搬送するノズルを示す。
符号107は、格納容器内から吐出されたスラリーを示す。
符号108は、ステージ100上に吐出されて着弾したスラリーを平滑にするための移動可能なブレードを示す。
符号109は、ブレード108の移動方向を示す。
攪拌機構104を必要に応じ一定時間回転させ、スラリー103中の無機粒子を分散させる。その後、圧力機構105で格納容器内に圧をかけ、ノズル106を通じてステージ100上に、第一の立体造形用材料(スラリー)を供給する。
図1に示す立体造形物の製造装置を用いて、造形層を積層する方法を、図2Aから図2Cを用いて、以下説明する。
図2Aから図2Cは、立体造形物を製造する方法において、造形層を積層する方法について説明するための概略図である。
図2Aは、層形成工程における、第一の立体造形用材料層を形成する様子を示す。
図2A中、符号111は、ブレード108で、ステージ上に吐出されたスラリーを薄膜(層状)に成形する様子を示す。符号112’は成形されたスラリー層を表す。薄膜のスラリー層の厚みは、1μm〜100μmであることが好ましい。この範囲であれば、積層方向の形状精度が良好な立体造形物を形成できる。
符号113は、成形されたスラリー層から溶媒が揮発している様子を模式的に示す。溶媒の揮発量は、スラリー層の成形時の温度・湿度が影響するため、スラリー層の成形時の環境は、空調システムなどで所定の環境となるよう管理されているのが好ましい。
尚、ブレード108のスラリーを成膜する手段は、ブレードに限られず、ステージ上に吐出されたスラリーを薄膜(層状)に成形できる手段であれば、例えば、ローラなどであってもよい。
図2Bは、第二の立体造形用材料付与工程における、第二の立体造形用材料(硬化液)を、第一の立体造形用材料層の所定の領域に付与し、第一の立体造形用材料層内に硬化領域を形成する様子を示す。
符号112は、スラリー層112’から溶媒が揮発113することにより、得られた乾燥スラリー層を示す。
符号121は、第二の立体造形用材料(硬化液)を吐出する吐出機構である。吐出機構121は、例えば、画像印刷に使用するインクジェットヘッドなどを用いることができる。
符号122は、液滴吐出された第二の立体造形用材料(硬化液)を示す。
符号123は、スラリー中の有機化合物Aと、硬化液中の有機化合物Bとが反応し、スラリー層中に硬化領域が形成されていることを示す。
所望の硬化領域を形成した後は、硬化領域が形成されたスラリー層の上に、上述した同様の方法により、再び格納容器のノズルからスラリーを吐出する。そして、吐出されたスラリーを、ブレードを用いて薄膜(層状)に成形する。次に、硬化液を、スラリー層の所定の領域に付与し、スラリー層内に硬化領域を形成する。
図2Cは、造形工程における、層形成工程と第二の立体造形用材料付与工程とを複数回繰り返し、硬化した層を積層する様子を示す。
符号130は、スラリー中の有機化合物Aと、硬化液中の有機化合物Bとを反応させて形成された硬化領域と、未硬化領域とを含む造形層を積層してなる積層物を示す。
<本発明の立体造形物の製造方法による効果確認試験>
本発明の立体造形物の製造方法を用いると、スラリー積層造形方式における立体造形物の積層物に生じる反りの問題を有効に防止することができる。
本発明の立体造形物の製造方法を用いると、溶剤が含有されているスラリーの平坦化(リコート)層から溶剤が蒸発する際に発生する、表面中心に向かい収縮しようとする応力を低減し、積層物の反りを抑制することができる。
以下、スラリー積層造形方式における立体造形物の積層物に発生する応力について説明するとともに、本発明の立体造形物の製造方法による該応力の発生を抑制する効果について明らかにする。
図3A〜図3Dは、スラリーの平坦化(リコート)層において、溶剤が蒸発する際に発生する応力について説明する概略図である。
図3A中、符号100は、スラリー層を積層するためのステージを示す。
符号112’は、層状に形成されたスラリー層を示す。
符号200は、ステージ100を固定するための固定手段を示す。造形ステージが動かない状態であれば特に固定手段の種類について制限はない。造形後に積層物を造形ステージごと取り外すことを考慮すれば、造形ステージの外しやすさの観点から、固定手段200は、テープ止めや螺子止めなどが挙げられる。
図3B中、符号113は、成形されたスラリー層に含まれる溶媒が、乾燥により、揮発または蒸発していく様子を模式的に示す。
図3C中、符号112は、スラリー層112’から溶媒が揮発113した後の乾燥スラリー層を示す。
符号201および202は、スラリー層112’が乾燥により乾燥スラリー層112になる過程において、スラリー層が体積収縮することにより発生する応力を示す。符号201が層内下側に発生する応力、符号202が層内上側(表面側)に発生する応力である。
スラリー層112’の上面は、乾燥により層表面中心に向かって比較的自由に収縮し、発生する応力は小さい。スラリー層112’の裏面(下面)側は、ステージ100あるいは、2層目以降であればその下の層の拘束を受けるため、中心に向かって収縮しにくく、大きな応力が発生する。応力201は、応力202に比べ大きいことが特徴の一つである。
図3D中、符号123は、応力201が発生した状態の乾燥スラリー層112に、硬化液を付与し、スラリー層の造形層内に硬化領域(硬化部)が形成された状態を示す。このとき応力201は、乾燥スラリー層内に残存している。
図3A〜図3Dで示す一連の工程を繰り返すことにより、造形層が積層された積層物が出来上がる。
図4A〜図4Fは、積層による応力の蓄積と応力分布について説明する概略図である。
図4A〜図4Dに示す符号は、図3A〜図3Dで示すものと同様である。
図4Eで示すように、繰り返し積層するプロセスにおいて、次層と前層の間には、図3Cで説明したように、前層上面の応力202と次層下面の応力201の両方の応力が働くことになり、結果的に301のように1つの大きな応力が働く。
このとき応力の関係は、図4Eで示すように、応力301>応力201>応力202の関係となる。
これら一連のプロセスを繰り返すとき、新しい層に働く応力は大きくなっていく。最終的な積層物全体に働く応力は、図4Fで示すようになる。図4Fで示すように、応力は下のほうが小さく上のほうが大きい分布となる。
図5A〜図5Cは、蓄積した応力の作用により、積層物に発生する反りについて説明する概略図である。
図5Aから図5Bで示すように、応力201、301〜303が形成されている積層物の固定手段200を解除する。
すると、応力は303>201であるため、曲げモーメント401が作用し、図5Cで示すように、造形層を積層してなる積層物には反りが生じる。
<<本発明の立体造形物の製造方法による試験結果>>
ガラス転移温度(Tg)が0℃以下である有機化合物Aを含む第一の立体造形用材料を用いて、20℃の造形条件下で、本発明の立体造形物の製造方法により、造形層の積層物である立体造形物を作製した。
本発明の立体造形物の製造方法により、造形層を積層した際の積層物の積層状態の様子を示した概略図を図6A〜図6Fに示す。
図6A〜図6Fに記載の符号は、他の図2〜図5における符号と同じ意味を示す。
本発明の立体造形物の製造方法で製造すると、図6Fで示すように、造形層を積層してなる積層物に反りは生じなかった。
これは、以下の理由によると考えられる。
ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の有機化合物Aを含む第一の立体造形用材料(スラリー)層を20℃の造形環境で造形すると、スラリー層内においては、ポリマー鎖の熱運動が自由に行われている。ポリマー鎖の熱運動が自由に行われているため、スラリー層112’が乾燥スラリー層112になる過程で、体積が収縮しても応力は発生しない(図6C参照)。したがって、繰り返し積層を行なっても、積層物内に応力は発生せず、反りがない積層物を得ることができると考えられる。
また、造形層における未硬化領域が、硬化領域と分離させるまでの間、硬化領域に対し、硬化領域の形状を保持するサポート材的役割を担っていると考えられる。それが積層物の反り防止に、より効果的に働いていると思われる。
したがって、未硬化領域を除去した後、得られた硬化領域のみからなる積層物は、反りのない良好な形状を示す。これにより、寸法精度に優れた立体造形物を得ることができる。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
<無機粒子>
無機粒子として、以下のものを用いた。
ジルコニア粒子:商品名TZ−3Y−E(株式会社東ソー製)、比重6、粒径(D50)6μm
アルミナ粒子:商品名A−420(昭和電工株式会社製)、比重4、粒径(D50)5μm
<第一の立体造形用材料(スラリー)の調製>
無機粒子1(ジルコニア粒子)59質量部、重量平均分子量(Mw)が600,000であるエポキシ樹脂を8質量部、セラミックス分散剤を3質量部、及びエタノール30質量部を混合した。次に、その混合物を、直径3mmのジルコニアビーズに48時間以上ビーズミル分散することでスラリー1を得た。
ここで、エポキシ樹脂は、RH−G6020P(日油株式会社製)を用いた。
セラミックス分散剤は、マリアリムAKM−0531(日油株式会社製)を用いた。
<第二の立体造形用材料(硬化液)の調製>
水64質量部と、プロピレングリコール20質量部と、重量平均分子量(Mw)が1,600であるポリアリルアミン12質量部と、界面活性剤0.5質量部とを、ホモミキサーを用いて30分間分散させて、硬化液1を調製した。
ポリアリルアミンは、PAA−01(ニットーボーメディカル株式会社製)を用いた。
界面活性剤は、Tween20(東京化成工業株式会社製)を用いた。
(実施例1)
得られたスラリー1と硬化液1とを用いて、下記(a)〜(c)の手順により、立体造形物(積層造形物)を作製した。硬化領域が、70mm(長さ)×8mmのサイズパターンになるよう、立体造形物を形成した。
(a)図1で示した立体造形物の製造装置を用いた。ブレードとステージの距離が100μmになるようにブレードの位置を設定した。ステージ上にスラリー1を吐出した。10mm/sの速度でブレードを水平移動させて、ステージ上に吐出したスラリー1を層状に成形した。
(b)成形したスラリー層からなるグリーン体のシートの表面に、硬化液1を、インクジェットヘッド(株式会社リコー製、SG7100)を用いて吐出した。硬化液1をスラリー層上に吐出し、スラリー層を硬化させた。その後、グリーン体層の厚みが100μmずつになるようにブレードとグリーン体層の距離を計算して、ブレードの位置を設定した。
(c)上記(a)及び上記(b)の操作を繰り返した。硬化したスラリー1からなるスラリー層(造形層)を積層した積層物全体の平均厚みが3mmになるまで繰返し、積層物である硬化物を得た。
得られた硬化物を、80℃で5時間恒温槽にて放置し、溶媒を揮発させた。
その後、グリーン体の立体造形物を高純粋水中に浸漬することにより、目的の立体造形物を得た。
(実施例2〜8、比較例1〜3)
実施例1に対し、無機微粒子、有機化合物A、及び有機化合物Bを下記表1で示すように変更し、実施例1と同様な方法により、立体造形物を製造した。
実施例2は、有機化合物Aとして、重量平均分子量(Mw)が100,000であるフェノール樹脂(商品名:TD−2250(DIC株式会社製))を用いた。また、実施例2は、有機化合物Bとして、重量平均分子量(Mw)が140であるヘキサミン(商品名:ヘキサメチレンテトラミン(東京化成工業株式会社製))を用いた。
実施例3は、有機化合物Aとして、重量平均分子量(Mw)が20,000であるエポキシ樹脂(商品名(開発品):GH−G0220P(日油社製))を用いた。
実施例4は、有機化合物Bとして、重量平均分子量(Mw)が100であるメチルメタクリレート(商品名:メタクリル酸メチル(東京化成株式会社製))を用いた。
実施例5は、有機化合物Bとして、重量平均分子量(Mw)が20,000であるポリアリルアミン商品名:PAA−1(ニットーボーメディカル社製))を用いた。
実施例6は、実施例1と同様の材料を用いた。得られた硬化物に対し、加熱処理を行わず、常温で放置して溶媒を揮発させた点が、実施例1と異なる。
実施例7は、無機粒子として、アルミナ粒子を用いた。
実施例8は、実施例1と同様の材料を用いた。硬化液を吐出する手段が、インクジェット方式ではなく、ディスペンサ方式による点が、実施例1と異なる。
比較例1は、有機化合物Aとして、重量平均分子量(Mw)800,000であるポリアクリル酸(商品名:AS−58(株式会社日本触媒製))を用いた。
比較例2は、実施例1に対して、スラリー液に有機化合物Aを含有させなかった。
比較例3は、有機化合物Aとして、重量平均分子量(Mw)が200,000であるエポキシ樹脂(商品名:G−2050M(日油社製))を用いた。また、硬化液に有機化合物Bを含有させなかった。
各実施例、及び各比較例で得られた立体造形物について、以下のようにして、立体造形物の評価を行なった。
結果を下記表1に示す。
[反り評価基準]
得られた立体造形物の反り評価は、図7で示すように、積層物の一辺の長さをLとし、そのときの積層物の反り量をtとしたときの、反り率(t/L)を計算した。計算した結果を、以下の基準で評価した。
なお、反り量tは、デジタルマイクロメーター(MDC(Mitsutoyo社製))を用いて測定した。
○:t/L≦0.1%
△:0.1%<t/L≦0.2%
×:0.2%<t/L
[立体造形物の寸法精度評価基準]
造形層を積層させてなる積層物から、未硬化領域を除去し、所望の形状の立体造形物を取り出したとき、係る立体造形物の長さ方向の寸法を測定し、下記評価基準に基づき、寸法精度を評価した。
○:得られた立体造形物の各長さ方向の寸法が、印写した立体造形物のデータの寸法に対し、100μm以内である
△:得られた立体造形物の各長さ方向の寸法が、印写した立体造形物のデータの寸法に対し、100μmより大きく、200μm以内である
×:得られた立体造形物の各長さ方向の寸法が、印写した立体造形物のデータの寸法に対し、200μmより大きい
[焼結後の曲げ強度]
得られた立体造形物に対し、焼結処理を施した。立体造形物の焼結体について、下記基準に基づき、焼結後の曲げ強度を評価した。
セラミックス粒子(ジルコニア粒子、及びアルミナ粒子)を用いた立体造形物の曲げ強度は、ISO−6871に基づいて「焼結後の曲げ強度」を測定した。なお、測定は、AUTOGRAPH−AGS−J(株式会社島津製作所製)を用いた。
また、焼結体の曲げ強度の測定結果から、下記評価基準に基づいて、立体造形物の焼結性を評価した。結果を下記表1に示す。
<ジルコニア粒子を用いた場合の評価基準>
○:焼結後の曲げ強度が、800MPa以上
△:焼結後の曲げ強度が、400MPa以上800MPa未満
×:焼結後の曲げ強度が、400MPa未満
<アルミナ粒子を用いた場合の評価基準>
○:焼結後の曲げ強度が、350MPa以上
△:焼結後の曲げ強度が、200MPa以上350MPa未満
×:焼結後の曲げ強度が、200MPa未満
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 少なくとも、無機粒子、及びガラス転移温度(Tg)が0℃以下である有機化合物Aを含む第一の立体造形用材料を用いて、第一の立体造形用材料層を形成する層形成工程と、
前記第一の立体造形用材料層を硬化させるための、有機化合物Bを含む第二の立体造形用材料を、前記第一の立体造形用材料層の所定の領域に付与する、第二の立体造形用材料付与工程と、
前記層形成工程と前記第二の立体造形用材料付与工程とを複数回繰り返すことにより、硬化した層を積層する造形工程と、
を含むことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<2> 前記有機化合物Aが、分子内に芳香環を含まない化合物である、前記<1>に記載の立体造形物の製造方法である。
<3> 前記有機化合物Aが、分子内にエーテル結合を有する化合物である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<4> 前記有機化合物Aが、重量平均分子量Mw20,000以上の化合物である、前記<1>から<3>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<5> 前記有機化合物Bは、前記有機化合物Aに対して反応性を示す化合物である、前記<1>から<4>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<6> 前記有機化合物Bが、重量平均分子量Mw20,000以下の化合物である、前記<1>から<5>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<7> 前記造形工程後に、積層された硬化層に対して加熱を行う加熱工程をさらに含む、前記<1>から<6>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<8> 前記加熱工程が、前記第二の立体造形用材料を、前記第一の立体造形用材料層に付与した結果生じる硬化物のガラス転移温度(Tg)よりも30℃以上高い温度で加熱する工程である、前記<7>に記載の立体造形物の製造方法である。
<9> 前記無機粒子が、セラミックス粒子、及び金属粒子の少なくともいずれかである、前記<1>から<8>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<10> 前記第二の立体造形用材料付与工程が、インクジェットによる液滴吐出手段を用いて行う、前記<1>から<9>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<11> 少なくとも、無機粒子、及びガラス転移温度(Tg)が0℃以下である有機化合物Aを含む第一の立体造形用材料を保持する保持手段と、
前記保持手段から供給される第一の立体造形用材料を用いて、第一の立体造形用材料層を形成する層形成手段と、
前記第一の立体造形用材料層を硬化させるための、有機化合物Bを含む第二の立体造形用材料を、前記第一の立体造形用材料層の所定の領域に付与する、第二の立体造形用材料付与手段と、
を有することを特徴とする立体造形物の製造装置である。
前記<1>から<10>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法、及び前記<11>に記載の立体造形物の製造装置によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特開2010−052366号公報
100 支持体(ステージ)
101 加熱手段
102 格納容器
103 スラリー
104 攪拌機構
105 圧力機構
106 ノズル
107 吐出されたスラリー
108 ブレード
109 ブレードの移動方向

Claims (11)

  1. 少なくとも、無機粒子、及びガラス転移温度(Tg)が0℃以下である有機化合物Aを含む第一の立体造形用材料を用いて、第一の立体造形用材料層を形成する層形成工程と、
    前記第一の立体造形用材料層を硬化させるための、有機化合物Bを含む第二の立体造形用材料を、前記第一の立体造形用材料層の所定の領域に付与する、第二の立体造形用材料付与工程と、
    前記層形成工程と前記第二の立体造形用材料付与工程とを複数回繰り返すことにより、硬化した層を積層する造形工程と、
    を含むことを特徴とする立体造形物の製造方法。
  2. 前記有機化合物Aが、分子内に芳香環を含まない化合物である、請求項1に記載の立体造形物の製造方法。
  3. 前記有機化合物Aが、分子内にエーテル結合を有する化合物である、請求項1から2のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  4. 前記有機化合物Aが、重量平均分子量Mw20,000以上の化合物である、請求項1から3のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  5. 前記有機化合物Bは、前記有機化合物Aに対して反応性を示す化合物である、請求項1から4のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  6. 前記有機化合物Bが、重量平均分子量Mw20,000以下の化合物である、請求項1から5のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  7. 前記造形工程後に、積層された硬化層に対して加熱を行う加熱工程をさらに含む、請求項1から6のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  8. 前記加熱工程が、前記第二の立体造形用材料を、前記第一の立体造形用材料層に付与した結果生じる硬化物のガラス転移温度(Tg)よりも30℃以上高い温度で加熱する工程である、請求項7に記載の立体造形物の製造方法。
  9. 前記無機粒子が、セラミックス粒子、及び金属粒子の少なくともいずれかである、請求項1から8のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  10. 前記第二の立体造形用材料付与工程が、インクジェットによる液滴吐出手段を用いて行う、請求項1から9のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  11. 少なくとも、無機粒子、及びガラス転移温度(Tg)が0℃以下である有機化合物Aを含む第一の立体造形用材料を保持する保持手段と、
    前記保持手段から供給される第一の立体造形用材料を用いて、第一の立体造形用材料層を形成する層形成手段と、
    前記第一の立体造形用材料層を硬化させるための、有機化合物Bを含む第二の立体造形用材料を、前記第一の立体造形用材料層の所定の領域に付与する、第二の立体造形用材料付与手段と、
    を有することを特徴とする立体造形物の製造装置。


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