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JP2019155470A - 重ね隅肉溶接継手のピーニング処理方法および溶接構造物 - Google Patents

重ね隅肉溶接継手のピーニング処理方法および溶接構造物 Download PDF

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JP2019155470A
JP2019155470A JP2018142826A JP2018142826A JP2019155470A JP 2019155470 A JP2019155470 A JP 2019155470A JP 2018142826 A JP2018142826 A JP 2018142826A JP 2018142826 A JP2018142826 A JP 2018142826A JP 2019155470 A JP2019155470 A JP 2019155470A
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Abstract

【課題】薄鋼板を母材とする重ね隅肉溶接継手の疲労特性を十分に向上させることが可能なピーニング処理方法を提供する。
【解決手段】所定形状の重ね隅肉溶接継手の溶接止端部へ、打撃ピン5を用いて、打撃を付加するにあたり、特に、上記打撃ピン5による打撃を、一連の打撃として、溶接方向から傾斜する方向に連続的に付加するとともに、上記一連の打撃を、溶接方向に繰り返し、その際、上記一連の打撃により形成される複数の打撃痕10からなる打撃痕群12は、隣接する打撃痕群12と少なくとも一部で互いに重なり合う一方、該打撃痕群12の溶接方向に直角な方向の端部を、該隣接する打撃痕群12の溶接方向に直角な方向の端部と離間させる。
【選択図】図3

Description

本発明は、薄鋼板を母材とする重ね隅肉溶接継手のピーニング処理方法および溶接構造物に関し、特に、重ね隅肉溶接継手の疲労特性の向上を可能ならしめようとするものである。
一般に、自動車の足回り部品の多くは、種々の部材が重ね隅肉溶接継手によって接合されて形成されている。また、自動車の足回り部品には、使用中に繰り返し荷重がかかるため、継手部分に疲労破壊が発生し易いことが知られている。このため、重ね隅肉溶接継手の疲労特性は、自動車の足回り部品にとって大きな問題である。
ここで、重ね隅肉溶接継手において発生する疲労破壊の破壊モードの殆どは、溶接方向に平行な方向に進展したき裂による破壊モードである。この破壊モードは、溶接方向に直角な方向の応力により引き起こされる。
溶接継手の疲労特性を改善する技術として、図1に示すとおり、打撃ピン5を用いて溶接止端部4に打撃を付加し、これによって、溶接止端部4の形状を変形させて、繰り返し曲げによる応力集中を緩和し、同時に塑性変形による圧縮残留応力を付与する、ピーニング処理方法が提案されている。
なお、図中、符号1および2は薄鋼板、3は溶接金属、6は打撃ピン先端である。
このようなピーニング処理方法として、例えば、特許文献1には、
「溶接鋼構造物における溶接継手の溶接余盛止端部をハンマ打撃装置でハンマ打撃処理して溶接継手の疲労強度を向上させる方法において、先端半径が1.0〜2.8mmのハンマチップを用いて、打撃圧力3〜5kg/cm2、ハンマ打撃角度30〜50度の条件で2〜3回打撃を繰返すことによって、溶接余盛止端部表面に母材の降伏点と同程度の圧縮残留応力を付与することを特徴とする溶接継手の疲労強度向上法。」
が提案されている。
また、特許文献2には、
「エアで駆動される部材によって打撃ピンの基端に打撃力を付与し、この打撃ピンの先端で溶接部位をピーニング処理する方法において、打撃ピンの先端の曲率半径は1.5〜3.0mmに調整されており、少なくとも溶接止端部に、溶接方向に垂直な断面での曲率半径が1.5〜3.0mmで、深さが0.5mm以下となる打撃痕を形成することを特徴とするピーニング処理方法。」
が提案されている。
しかし、特許文献1および2の方法では、打撃ピン(ハンマ)を溶接止端部に沿って溶接方向に移動させるのみで打撃するため、図2に示すような塑性流動による溶接止端部折れ込み疵7が発生し、当該溶接止端部折れ込み疵7を起点とする疲労破壊が生じ、結果的に、疲労特性が十分には向上しないという問題があった。
なお、図中、符号8は、打撃痕端の折れ込み疵である。
また、特許文献3には、
「先端部に設けられたピンに超音波振動を与え、このピンにより溶接止端部に超音波衝撃を与える超音波衝撃処理方法において、前記ピンの先端部の曲率半径を1.0mm以上2.0mm以下とし、溶接止端部の溶接方向に垂直な断面に、曲率半径が1.5mm以上2.5mm未満の凹形状を形成することを特徴とする溶接止端部の超音波衝撃処理方法。」
が提案されている。
さらに、特許文献4には、
「溶接止端部にピーニング処理を施した溶接継手であって、ピーニング処理を施す前の、前記溶接止端部の半径ρ(mm)、フランク角度θ(°)、及び、ピーニング処理に用いる振動端子の先端部の曲率半径r(mm)の各々の関係が、下記(1)、(2)式を満足し、かつ、ピーニング処理後の前記溶接止端部に、ピーニング処理時の塑性加工による折れ込み疵が形成されていないことを特徴とする、耐疲労特性に優れた溶接継手。
ρ/θ ≧ r/100 ・・・・・(1)
2 ≦ r ≦ 10 ・・・・・(2)
{但し、上記(1)、(2)式において、ρ:ピーニング処理前の溶接止端部の半径(mm)、θ:ピーニング処理前の溶接止端部のフランク角度(°)、r:ピーニング処理に用いる振動端子の先端部曲率半径(mm)を示す。}」
が提案されている。
加えて、特許文献5には、
「材料表面に超音波打撃処理を施して残留応力を改善する超音波打撃装置を用いた加工方法であって、前記超音波打撃装置は、超音波打撃を材料表面に与える複数本のピンが一列に配列され、該ピンの配列方向と傾斜した方向にピンを走査して材料表面を超音波打撃処理するものであって、前記ピンの配列方向と該ピンの走査方向とのなす角度は、1本のピンの打撃により材料表面に盛り上がって生じる縁と、該ピンと隣接するピンの打撃により材料表面に盛り上がって生じる縁と、が重なり合う角度であり、残留応力を改善させたい方向に対して直角方向の材料表面上に、前記複数本のピンを走査して超音波打撃処理による複数条の加工帯を形成し、該加工帯の中に少なくとも加工帯と直角方向に3箇所以上の縁を形成させることを特徴とする超音波打撃装置を用いた加工方法。」
が提案されている。
特許第3002229号公報 特開2014−008507号公報 特許第4837428号公報 特開2013−071140号公報 特許第4392337号公報 特開2017−080802号公報 特開2017−087266号公報
「FPB処理による疲労特性の改善」(精密工学会誌 Vol.72, No.9 (2006) P.1071-1074) 溶接学会全国大会講演概要 第95集(2014)、P.356-357 「突合せ溶接継手余盛止端部形状と疲れ強さ」(溶接学会誌 第40巻(1971) 第8号 P.723-735)
しかし、特許文献3の方法を、板厚が薄い鋼板、特に、板厚:3.5mm以下の薄鋼板を母材とする重ね隅肉溶接継手に適用する場合には、やはり溶接止端部折れ込み疵が発生し、疲労特性を十分に向上させることができなかった。
また、特許文献4の方法は、振動端子(打撃ピン)の先端の曲率半径と、ピーニング処理前の溶接止端部の半径およびフランク角度とを所定の関係式に基づき調整するものであるが、この関係式に基づけば、例えば、ピーニング処理前の溶接止端部の曲率半径が0.3mmである場合、溶接止端部のフランク角度を15°以下とすることが必要となる。しかし、溶接止端部のフランク角度は、典型的には、60°程度であり、実際の施工においては、大部分の溶接継手には適用できないという問題があった。
さらに、特許文献5の方法では、溶接方向に直角な方向の応力によるき裂進展を十分に抑制できず、重ね隅肉溶接継手の疲労特性の向上効果は十分とは言えなかった。
なお、非特許文献1には、被処理材に直径50〜100μmの微粒子を衝突させて被処理材を塑性変形させる、表面改質処理法(微粒子衝突処理方法(FPB処理法))が提案されているが、装置が大型であること、微粒子の飛散防止措置が必要であること、および、隅肉溶接継手の溶接止端部のような複雑な構造に対し局所的に加工を施すことは困難であるという問題があった。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたものであって、薄鋼板を母材とする重ね隅肉溶接継手の疲労特性を十分に向上させることが可能なピーニング処理方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記のピーニング処理方法により得られる溶接構造体を提供することを目的とする。
さて、発明者らは、重ね隅肉溶接継手の疲労特性を向上させる観点から検討を重ね、先に、特許文献6において、
「重ねた2枚の板において、一方の板の端部に沿って該端部と他方の板の表面に溶接ビードを有する重ね隅肉アーク溶接継手であって、前記他方の板は、前記溶接ビードの開始部又は終了部の少なくとも一方の溶接止端部側に、前記表面側に突出する突出部を有し、該突出部の前記一方の板端部側の傾斜面部に前記溶接止端部が位置することを特徴とする重ね隅肉アーク溶接継手。」
を開示した。
また、特許文献7において、
「一方の鋼板の端部の幅が他方の鋼板の端部の幅より狭い前記一方の鋼板の端部と前記他方の鋼板の端部を重ねると共に、前記一方の鋼板の端部の先端縁に沿って、前記一方の鋼板の端部と前記他方の鋼板の表面に形成された溶接ビードを有する重ね隅肉アーク溶接継手であって、前記他方の鋼板の表面に、前記一方の鋼板の端部が重なる重なり部の形状に合わせて、前記一方の鋼板の端部の側面部まで囲って凹む凹部を有し、前記一方の鋼板の端部の先端縁に沿った方向における前記溶接ビードの両端部の溶接止端部が前記凹部の傾斜面部に位置することを特徴とする重ね隅肉アーク溶接継手。」
を開示した。
そして、当該特許文献6および7の技術に従い、重ね隅肉溶接継手の溶接止端部の形状を改良する、具体的には、図3(a)に示すように、溶接ビードの断面において余盛角の中心線と母材表面に垂直な直線とのなす角を20°以下にすることで、重ね隅肉溶接継手の疲労特性が向上することを突き止めた。
しかし、近年、自動車の燃費規制の厳格化に伴い、部材の薄肉化が要求され、結果として、より一層の疲労特性の向上が求められているのが現状である。
この点、特許文献6および7の技術により得た重ね隅肉溶接継手に対し、従来のピーニング処理、例えば、上掲特許文献1〜5に記載されるようなピーニング処理を施しても、疲労特性の改善効果は十分とは言えなかった。
そこで、発明者らは、特許文献6および7の技術により得られる重ね隅肉溶接継手に対し、十分な疲労特性の改善効果が得られるピーニング処理方法について、検討を重ねた。
その結果、図3(b)に示すように、打撃ピン先端の曲率半径を、溶接止端部の曲率半径よりも小さくし、かつ、上記母材表面に垂直な直線からの打撃ピンによる打撃角度を、20°以下とすることで、溶接止端部折れ込み疵7の発生を有効に防止でき、疲労特性が向上する、との知見を得た。
また、発明者らが、さらに検討を重ねたところ、次に述べる知見を得た。
(1)図2に示した打撃痕端の折れ込み疵8が疲労破壊の起点となる場合もあり、特に、図4に示すように、重ね隅肉溶接継手の溶接止端部に沿って溶接方向に連続的に打撃を付加すると、打撃痕端の折れ込み疵8が、応力負荷方向の直角方向、すなわち溶接方向に連続的に連なり、その結果、応力拡大係数が増大して、き裂の進展を助長し、疲労特性を低下させる(なお、図4中、符号10は打撃痕、11は溶接ビードである)、
(2)このような疲労特性の低下を防止するには、打撃痕端の折れ込み疵8が、溶接方向に連続的に連なることを防止することが有効である、
(3)具体的には、次に述べる(a)または(b)の処理が有効である。
(a)打撃ピンによる打撃を、一連の打撃として、溶接止端部を挟んで溶接方向から傾斜する方向に連続的に付加するとともに、一連の打撃を、溶接方向に繰り返し行い、その際、一連の打撃により形成される複数の打撃痕からなる打撃痕群を、隣接する打撃痕群と少なくとも一部で互いに重ね合わせる一方、該打撃痕群の溶接方向に直角な方向の端部を、該隣接する打撃痕群の溶接方向に直角な方向の端部と離間させることにより、図5に示すような複数の打撃痕10からなる打撃痕群12を形成する。
(b)打撃ピンを、溶接止端部を挟んで溶接方向に直角な方向に一定の幅で揺動させつつ、溶接方向に進行させて、上記打撃ピンにより打撃を付加することにより、図6に示すように、複数の打撃痕10を有する打撃領域13を形成し、その打撃領域13において、打撃領域13の幅端部に位置する打撃痕10の溶接方向に直角な方向の端部を、当該打撃痕10と重なり合う打撃痕10の溶接方向に直角な方向の端部と離間させるか、または、打撃領域13の幅最端部に位置する、打撃痕10の溶接方向での端部同士の連なりを3打点以下とする。(4)上記した(a)、(b)いずれかの処理により、薄鋼板を母材とし、上記のような形状の溶接止端部を有する重ね隅肉溶接継手の疲労特性を、反りなどの母材の変形なく、大幅に向上させることができる、
さらに発明者らが検討を重ねた結果、本発明のように先端半径が比較的小さい打撃ピン5を用いる場合、被打撃部である溶接止端部4と打撃ピン先端6の接触面積が小さくなり、その結果、打撃圧力を保証するための打撃ピン5の打撃荷重は小さくてよいことが明らかになった。
しかしその一方で、先端に打撃ピンを取り付けた打撃工具17を打撃工具保持部18で固定し、溶接止端部4に押し付ける場合では、打撃ピン5の打撃荷重を押し付け荷重が上回った場合、打撃ピン先端6と溶接止端部4が密着し、打撃の効果が得られなくなる知見を得た。
そこで、発明者らは、この課題を解決するべく検討を重ねた結果、打撃工具保持部18において打撃工具を固定する際に、この打撃工具を粘弾性体20で挟持することによって、打撃工具保持部18と打撃ピン5の振動に不整合が生じ、押し付け荷重が高い場合でも溶接止端部4と打撃ピン先端6が密着することなく十分な打撃効果が得られることが突き止められた。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.溶接ビードの断面において余盛角の中心線と母材表面に垂直な直線とのなす角が20°以下である重ね隅肉溶接継手の溶接止端部へ、打撃工具の先端に取り付けた打撃ピンを用いて、打撃を付加するピーニング処理方法であって、
上記打撃ピンの先端の溶接方向に直角な方向の垂直断面における曲率半径が、上記溶接止端部の曲率半径以下であり、
また、溶接方向に直角な面における上記打撃ピンによる打撃角度を、上記母材表面に垂直な直線から20°以下とし、
さらに、上記打撃ピンによる打撃を、一連の打撃として、上記溶接止端部を挟んで溶接方向から傾斜する方向に連続的に付加するとともに、
上記一連の打撃を、溶接方向に繰り返し行うものとし、
その際、上記一連の打撃により形成される複数の打撃痕からなる打撃痕群は、隣接する打撃痕群と少なくとも一部で互いに重なり合う一方、該打撃痕群の溶接方向に直角な方向の端部は、該隣接する打撃痕群の溶接方向に直角な方向の端部と離間する、ことを特徴とする重ね隅肉溶接継手のピーニング処理方法。
2.前記一連の打撃を行う際の、溶接方向からの傾斜角度を30〜45°とすることを特徴とする前記1に記載の重ね隅肉溶接継手のピーニング処理方法。
3.前記打撃工具の保持部において、該打撃工具を粘弾性体で挟持することを特徴とする前記1または2に記載のピーニング処理方法。
4.溶接ビードの断面において余盛角の中心線と母材表面に垂直な直線とのなす角が20°以下である重ね隅肉溶接継手をそなえる溶接構造物であって、
上記溶接構造物は、上記重ね隅肉溶接継手の溶接止端部を挟んで、複数の打撃痕が溶接方向から傾斜して連なる打撃痕群を複数そなえ、
また、上記打撃痕群は、隣接する打撃痕群と少なくともその一部で互いに重なり合う一方、該打撃痕群の溶接方向に直角な方向の端部は、該隣接する打撃痕群の溶接方向に直角な方向の端部と離間する、ことを特徴とする溶接構造物。
5.前記打撃痕群において、前記打撃痕が溶接方向から30〜45°傾斜して連なることを特徴とする前記4に記載の溶接構造物。
6.溶接ビードの断面において余盛角の中心線と母材表面に垂直な直線とのなす角が20°以下である重ね隅肉溶接継手の溶接止端部へ、打撃工具の先端に取り付けた打撃ピンを用いて、打撃を付加するピーニング処理方法であって、
上記打撃ピンの先端の溶接方向に直角な方向の垂直断面における曲率半径が、上記溶接止端部の曲率半径以下であり、
また、溶接方向に直角な面における上記打撃ピンによる打撃角度を、上記母材表面に垂直な直線から20°以下とし、
さらに、上記打撃ピンを、溶接止端部を挟んで溶接方向に直角な方向に揺動させつつ、溶接方向に進行させて、上記打撃ピンにより打撃を付加し、
その際、上記溶接止端部を中心とする上記打撃ピンの揺動幅を、1打点あたりの打撃痕の幅の2倍以上とし、かつ、上記打撃ピンの揺動幅に応じて画定される打撃領域において、該打撃領域の幅端部に位置する打撃痕の溶接方向に直角な方向の端部が、該打撃痕と互いに重なり合う打撃痕における溶接方向に直角な方向の端部と離間するか、または、該打撃領域の幅端部に位置し溶接方向に直角な方向の端部における打撃痕同士の連なりを3打点以下とする、ことを特徴とする重ね隅肉溶接継手のピーニング処理方法。
7.前記打撃工具の保持部において、該打撃工具を粘弾性体で挟持することを特徴とする前記6に記載のピーニング処理方法。
8.溶接ビードの断面において余盛角の中心線と母材表面に垂直な直線とのなす角が20°以下である重ね隅肉溶接継手をそなえる溶接構造物であって、
上記溶接構造物は、上記重ね隅肉溶接継手の溶接止端部を挟み、かつ、連なった複数の打撃痕を有する打撃領域をそなえ、
上記打撃領域では、
上記打撃痕の溶接止端部上での合計長さが、上記溶接止端部の全長の50%以上であり、かつ、上記打撃領域の幅が、1打点あたりの打撃痕の幅の2倍以上であり、
また、上記打撃領域において、上記打撃領域の幅端部に位置する打撃痕の溶接方向に直角な方向の端部が、該打撃痕と互いに重なり合う打撃痕における溶接方向に直角な方向の端部と離間するか、または、上記打撃領域の幅端部に位置し溶接方向に直角な方向の端部における打撃痕同士の連なりが3打点以下である、ことを特徴とする溶接構造物。
本発明によれば、薄鋼板を母材とする重ね隅肉溶接継手の疲労特性を、大幅に向上させることが可能となる。
また、従来、変形のおそれがあるためピーニング処理ができなかった剛性の低い溶接構造物についても、反りなどの母材の変形がなく、疲労特性の大幅な向上が可能となる。加えて、特許文献4の請求項2で提案されているようなグラインダ等の前処理も不要となり、この点でも、作業性や生産性が向上する。
さらに、本発明の溶接構造物を、例えば、自動車部品に適用することで、優れた疲労特性が求められる自動車部品への高強度材の適用が可能となり、この点を通じて、自動車の燃費向上を図ることが可能となる。
一般的なピーニング処理の一例を示す模式図である。 ピーニング処理時に発生する折れ込み疵の一例を示す模式図である。 (a)本発明の一実施形態に従うピーニング処理方法を施す隅肉重ね溶接継手の一例を示す模式図(溶接ビードに垂直な断面における断面図)である。(b)本発明の一実施形態に従うピーニング処理方法の模式図である。 従来のピーニング処理方法により形成される打撃痕と、代表的な疲労破壊モードの応力負荷方向を示す模式図である。 本発明の一実施形態に従うピーニング処理方法により形成される打撃痕(打撃痕群)と、代表的な疲労破壊モードの応力負荷方向を示す模式図である。 本発明の他の実施形態に従うピーニング処理方法により形成される打撃痕(打撃領域)と、代表的な疲労破壊モードの応力負荷方向を示す模式図である。 試験片の形状を示す図である。 ピーニングの処理状況および処理部の監視を行う場合における、本発明の一実施形態に従うピーニング処理方法の模式図である。 打撃工具保持部における打撃工具の保持要領を示す模式図である。 図9のA−A断面図である。
本発明を、実施形態に基づき説明する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態の重ね隅肉溶接継手のピーニング処理方法は、溶接ビードの断面において余盛角の中心線と母材表面に垂直な直線とのなす角が20°以下である重ね隅肉溶接継手の溶接止端部4へ、打撃工具の先端に取り付けた打撃ピン5を用いて、打撃を付加するピーニング処理方法であって、上記打撃ピン5の先端の溶接方向に直角な方向の垂直断面における曲率半径が、上記溶接止端部4の曲率半径以下であり、また、溶接方向に直角な面における上記打撃ピン5による打撃角度を、上記母材表面に垂直な直線から20°以下とし、さらに、上記打撃ピン5による打撃を、一連の打撃として、上記溶接止端部4を挟んで溶接方向から傾斜する方向に連続的に付加するとともに、上記一連の打撃を、溶接方向に繰り返し行うものとし、その際、上記一連の打撃により形成される複数の打撃痕10からなる打撃痕群12は、隣接する打撃痕群12と少なくとも一部で互いに重なり合う一方、該打撃痕群12の溶接方向に直角な方向の端部は、該隣接する打撃痕群12の溶接方向に直角な方向の端部と離間するものである。
以下、この第1の実施形態の重ね隅肉溶接継手のピーニング処理方法について、図3(a)、(b)および図5を用いて説明する。
溶接止端部4の形状:溶接ビードの断面(溶接方向に直角な面)において、余盛角φの中心線と母材表面に垂直な直線とのなす角αが20°以下
第1の実施形態のピーニング処理方法を施す重ね隅肉溶接継手の一例を、図3(a)に示す。
図3(a)に示すように、当該重ね隅肉溶接継手では、母材となる薄鋼板1および2が、溶接金属3を介して接合されている。ここでは、下板の薄鋼板1の表面に、上板の薄鋼板2の一部が重ねられており、当該重なり部の形状に合わせて、薄鋼板1に傾斜面部を有する凹部(湾曲部)が設けられている。
また、溶接金属3は、溶接止端部4が上記凹部の傾斜面部に位置するように配設されている。
上記のような形状とすることにより、溶接ビードの断面において余盛角φの中心線と母材表面に垂直な直線とのなす角αを20°以下にして、溶接止端部折れ込み疵7の発生を有効に防止している。なお、αの下限については特に限定されず、0°であってもよい。
ここで、余盛角φは、溶接止端部において溶接金属表面の接線と母材表面の接線とがなす角であり、具体的には、図3(a)に示すように、溶接止端部において第1の直線と第2の直線とがなす角として定義される。ここで、第1の直線とは、溶接ビードの断面において溶接止端部4からの距離が0.5mmである溶接金属3の表面の点と、当該距離が1.0mmである溶接金属3の表面の点とを結んだ直線であり、第2の直線とは、溶接ビードの断面において溶接止端部4からの距離が0.5mmである薄鋼板1の表面(溶接止端部を中心に溶接金属3とは反対側に位置する母材の表面)の点と、当該距離が1.0mmである薄鋼板1の表面(溶接止端部を中心に溶接金属3とは反対側に位置する母材の表面)の点とを結んだ直線である。
また、余盛角φの中心線は、上記余盛角φの2等分線である。
さらに、図3(a)に示すように、母材となる薄鋼板1と薄鋼板2(母材)の表面は、基本的に略平行となるが、ここでいう母材表面に垂直な直線は、下板に当たる母材(薄鋼板1)の平坦部の表面(ただし、薄鋼板2との非重なり部)に垂直な直線とする。
なお、上記のような形状となる溶接止端部を有する隅肉重ね溶接継手は、特許文献6または7に従い、隅肉溶接およびプレス成形(予成形)を行うことによって、得ることができる。
打撃ピンの先端の溶接方向に直角な方向の垂直断面(溶接方向に直角な面)における曲率半径(以下、打撃ピン先端6の曲率半径ともいう)ρp:溶接止端部4の曲率半径ρa以下
溶接止端部折れ込み疵7の発生を有効に防止する観点から、図3(b)に示す打撃ピン先端6の曲率半径ρpは、溶接止端部4の曲率半径ρa以下とする。なお、打撃ピン先端6の曲率半径ρpの下限については特に限定されるものではないが、施工効率の観点から、溶接止端部4の曲率半径ρaの1/2以上とすることが好ましい。
なお、打撃ピン先端6の曲率半径ρpを溶接止端部4の曲率半径ρa以下とするには、打撃ピン先端6の曲率半径ρpを小さくするか、または、溶接止端部4の曲率半径ρaを大きくすればよい。その方法としては、例えば、非特許文献2に記載される溶接シールドガスのCO2比率を低減する方法などが挙げられる。
溶接方向に直角な面における打撃ピン5の打撃角度β:(母材表面に垂直な直線から)20°以下
溶接止端部折れ込み疵7の発生を有効に防止する観点から、図3(b)に示す打撃ピン5の打撃角度β(溶接方向に垂直な面において、打撃ピン5の中心線と、重ね隅肉溶接継手の溶接止端部4の母材(薄鋼板)表面に垂直な直線とがなす角度)は、母材表面に垂直な直線から20°以下とする。なお、下限については特に限定されず、0°であってもよい。
なお、打撃ピンを傾ける方向は、特に限定されるものではないが、施工の安定性などの観点から、下板側(図3(b)において左側)とすることが好ましい。
また、第1の実施形態の重ね隅肉溶接継手のピーニング処理方法では、打撃ピン5による打撃を、一連の打撃として、図5に示すとおり、上記溶接止端部4を挟んで溶接方向から傾斜する方向に連続的に付加するとともに、上記一連の打撃を、溶接方向に繰り返し行うものとし、その際、上記一連の打撃により形成される複数の打撃痕10からなる打撃痕群12は、隣接する打撃痕群12と少なくとも一部で互いに重なり合う一方、該打撃痕群12の溶接方向に直角な方向の端部は、該隣接する打撃痕群12の溶接方向に直角な方向の端部と離間することが重要である。
ここで、打撃痕群12とは、図5に示すような、複数の打撃痕10が溶接方向から所定の傾斜角度で連なる一連の打撃痕を指す。
また、打撃痕群12の溶接方向に直角な方向の端部とは、打撃痕群12の溶接方向に直角な方向の端から打撃痕群12の幅の1%までの領域を意味する。
すなわち、上述したとおり、図2に示した打撃痕端の折れ込み疵8が疲労破壊の起点となる場合があり、特に、図4に示すように、重ね隅肉溶接継手の溶接止端部4に沿って溶接方向に連続的に打撃を付加すると、打撃痕端の折れ込み疵8が、応力負荷方向の直角方向、すなわち溶接方向に連続的に連なり、その結果、応力拡大係数が増大して、き裂の進展を助長し、疲労特性を低下させる。このような疲労特性の低下を防止するには、打撃痕端の折れ込み疵8が、溶接方向に連続的に連なることを防止することが有効である。
そのため、本発明の第1の実施形態のピーニング処理方法では、打撃ピン5による打撃を、一連の打撃として、上記溶接止端部4を挟んで溶接方向から傾斜する方向に連続的に付加する(換言すれば、打撃痕10が重なり合い、これらの打撃痕10の中心線が溶接方向から傾斜するように打撃を付加する)とともに、上記一連の打撃を、溶接方向に繰り返し行う。そして、その際、上記一連の打撃により形成される複数の打撃痕10からなる打撃痕群12を、隣接する打撃痕群12と少なくとも一部で互いに重ね合わせる一方、該打撃痕群12の溶接方向に直角な方向の端部を、該隣接する打撃痕群12の溶接方向に直角な方向の端部と離間させることにより、図5に示すような複数の打撃痕10からなる打撃痕群12を形成するのである。
なお、上記隣接する打撃痕群12同士の端部について、溶接止端部4から同じ距離にそろえておくと、互いに離間させやすくてよい。
ここで、一連の打撃を付加する際に、溶接方向からの傾斜角度θ(以下、走査角度ともいう)は30〜45°とすることが好ましい。
走査角度を30°未満にすると、打撃痕端の折れ込み疵8が、溶接方向に連続的に連なるのと同様に、疲労特性が低下するおそれが生じる。一方、走査角度が45°超となると、作業効率の低下を招く。
さらに、一連の打撃の溶接方向に直角な方向における走査距離(以下、走査幅ともいう)は、打撃痕群12が溶接止端部4を挟んで形成されば特に限定されるものではないが、3.0mm以上とすることが好ましい。上限については特に限定されないが、作業効率の点から8.0mm程度とすることが好ましい。
また、一連の打撃は、溶接方向の直角方向に、少なくとも溶接止端部4を中心として溶接金属側および母材側にそれぞれ1.0mm程度までの領域に付加することが好ましく、特には、溶接止端部4を中心として付加することが好ましい。
さらに、隣接する打撃痕群12の溶接止端部4上での中心間距離は、1回の打撃による打撃痕10の溶接方向における長さの0.70〜0.99倍とすることが好ましい。これにより、より有利に一連の打撃により形成される複数の打撃痕10からなる打撃痕群12を、隣接する打撃痕群12と少なくとも一部で互いに重ね合わせる一方、該打撃痕群12の溶接方向に直角な方向の端部を、該隣接する打撃痕群12の溶接方向に直角な方向の端部と離間させることができる。
加えて、上記以外のピーニング処理条件については特に限定されず、常法に従えばよい。例えば、一連の打撃における打撃周波数および走査速度はそれぞれ、10〜300Hz、および3〜30mm/sとすればよい。
上記のようにして、重ね隅肉溶接継手の溶接止端部4へ打撃を付加することにより、図5に示すような、溶接ビードの断面において余盛角の中心線と母材表面に垂直な直線とのなす角が20°以下である重ね隅肉溶接継手をそなえる溶接構造物であって、上記溶接構造物は、上記重ね隅肉溶接継手の溶接止端部4を挟んで、複数の打撃痕10が溶接方向から傾斜して連なる打撃痕群12を複数そなえ、また、上記打撃痕群12は、隣接する打撃痕群12と少なくともその一部で互いに重なり合う一方、該打撃痕群12の溶接方向に直角な方向の端部は、該隣接する打撃痕群12の溶接方向に直角な方向の端部と離間する、第1の実施形態の溶接構造物が得られる。
なお、打撃痕群12の溶接方向からの傾斜角度(打撃痕群12における打撃痕10の連なり方向が、溶接方向となす角度):θ、および、打撃痕群12の幅(溶接方向に直角な方向の幅):L1はそれぞれ、通常、上記した走査角度および走査幅(一連の打撃を付加する際の打撃ピン先端の溶接直角方向における移動距離と打撃痕1個あたりの幅との和)と同じになり、これらの好適範囲も、それぞれ30〜45°および3.0〜8.0mmである。
[第2の実施形態]
第2の実施形態の重ね隅肉溶接継手のピーニング処理方法は、溶接ビードの断面において余盛角の中心線と母材表面に垂直な直線とのなす角が20°以下である重ね隅肉溶接継手の溶接止端部4へ、打撃工具の先端に取り付けた打撃ピン5を用いて、打撃を付加するピーニング処理方法であって、上記打撃ピン5の先端の溶接方向に直角な方向の垂直断面における曲率半径が、上記溶接止端部4の曲率半径以下であり、また、溶接方向に直角な面における上記打撃ピン5による打撃角度を、上記母材表面に垂直な直線から20°以下とし、さらに、図6に示すとおり、上記打撃ピン5を、溶接止端部4を挟んで溶接方向に直角な方向に揺動させつつ、溶接方向に進行させて、上記打撃ピン5により打撃を付加し、その際、上記溶接止端部4を中心とする上記打撃ピン5の揺動幅を、1打点あたりの打撃痕10の幅の2倍以上とし、かつ、上記打撃ピン5の揺動幅に応じて画定される打撃領域13において、該打撃領域13の幅端部に位置する打撃痕10の溶接方向に直角な方向の端部が、該打撃痕10と互いに重なり合う打撃痕10における溶接方向に直角な方向の端部と離間するか、または、該打撃領域13の幅端部に位置し溶接方向に直角な方向の端部における打撃痕10同士の連なりを3打点以下とするものである。
以下、この第2の実施形態の重ね隅肉溶接継手のピーニング処理方法について、図3(a)、(b)および図6を用いて説明する。
溶接止端部4の形状:溶接ビードの断面(溶接方向に直角な面)において、余盛角φの中心線と母材表面に垂直な直線とのなす角αが20°以下
第2の実施形態のピーニング処理方法も、上述した図3(a)に示す重ね隅肉溶接継手を一例として、これに適用することができる。
そして、この場合にも、上記のような形状とすることにより、溶接ビードの断面において余盛角φの中心線と母材表面に垂直な直線とのなす角αを20°以下にして、溶接止端部折れ込み疵7の発生を有効に防止することができる。なお、αの下限については特に限定されず、0°であってもよい。
なお、余盛角φおよび余盛角φの中心線は、上述した第1の実施形態と同様にして求めたものである。また、上記のような形状となる溶接止端部を有する隅肉重ね溶接継手は、上述した第1の実施形態と同様に、特許文献6または7に従い、溶接およびプレス成形(予成形)を行うことによって、得ることができる。
打撃ピン先端6の曲率半径ρp:溶接止端部4の曲率半径ρa以下
溶接止端部折れ込み疵7の発生を有効に防止する観点から、図3(b)に示す打撃ピン先端6の曲率半径ρpは、溶接止端部4の曲率半径ρa以下とする。なお、打撃ピン先端6の曲率半径ρpの下限については特に限定されるものではないが、施工効率の観点から、溶接止端部4の曲率半径ρaの1/2以上とすることが好ましい。
溶接方向に直角な面における打撃ピン5の打撃角度β:(母材表面に垂直な直線から)20°以下
溶接止端部折れ込み疵7の発生を有効に防止する観点から、図3(b)に示す打撃ピン5の打撃角度β(溶接方向に垂直な面において、打撃ピン5の中心線と、重ね隅肉溶接継手の溶接止端部4の母材(薄鋼板)表面に垂直な直線とがなす角度)は、母材表面に垂直な直線から20°以下とする。なお、下限については特に限定されず、0°であってもよい。
なお、打撃ピンを傾ける方向は、特に限定されるものではないが、施工の安定性などの観点から、下板側(図3(b)において左側)とすることが好ましい。
また、第2の実施形態の重ね隅肉溶接継手のピーニング処理方法では、打撃ピン5を、溶接止端部4を挟んで溶接方向に直角な方向に揺動させつつ、溶接方向に進行させて、上記打撃ピン5により打撃を付加し、その際、上記打撃ピン5の揺動幅を、1打点あたりの打撃痕10の幅、つまり、打撃痕1個あたりの幅(溶接方向に直角な方向の幅)の2倍以上とする。
すなわち、上述したとおり、図2に示した打撃痕端の折れ込み疵8が疲労破壊の起点となる場合があり、特に、図4に示すように、重ね隅肉溶接継手の溶接止端部4に沿って連続的に打撃を付加すると、打撃痕端の折れ込み疵8が、応力負荷方向の直角方向、すなわち溶接方向に連続的に連なり、その結果、応力拡大係数が増大して、き裂の進展を助長し、疲労特性を低下させる。
そのため、第2の実施形態の重ね隅肉溶接継手のピーニング処理方法では、打撃ピン5を、溶接止端部4を挟んで溶接方向に直角な方向に揺動させつつ(換言すれば、打撃ピン5が溶接止端部4を所定回数以上横断し、かつ、打撃により形成される打撃痕10が互いに重なり合うように)、溶接方向に進行させて、上記打撃ピン5により打撃を付加する。そして、その際、図6に示すとおり、(溶接方向に直角な方向の)打撃ピン5の揺動幅を、打撃痕1個あたりの幅:L0の2倍以上、好ましくは2.5倍以上とすることにより、複数の打撃痕10を有する打撃領域13を形成して、打撃領域13の幅端部に位置する打撃痕10の溶接方向に直角な方向の端部を、互いに重なり合う打撃痕10の溶接方向に直角な方向の端部と離間させるか、または、該打撃領域13の幅端部に位置し溶接方向に直角な方向の端部における打撃痕10同士の連なりを3打点以下とするのである。
また、ここでいう打撃痕10の溶接方向に直角な方向の端部とは、打撃領域13の幅端部側の打撃痕10の溶接方向に直角な方向の端から、打撃痕10の幅の1%までの領域を意味する。
これにより、打撃痕端の折れ込み疵8が、溶接方向に連続的に連なること防止して、疲労特性の向上を図ることが可能となる。
揺動幅の上限については特に限定するものではないが、作業効率の観点から、5.0mmとすることが好ましい。
また、揺動範囲には、溶接方向の直角方向に、少なくとも溶接止端部4を中心として溶接金属側および母材側にそれぞれ1.0mm程度までの領域が含まれることが好ましく、特には、溶接止端部4を中心とすることがより好ましい。
さらに、打撃周波数、揺動周波数および溶接方向への走査速度は、それぞれ10〜300Hz、1〜20Hzおよび0.1〜20mm/sとすることが好ましい。
なお、上記以外の処理条件については特に限定されず、常法に従えばよい。
上記のようにして、重ね隅肉溶接継手の溶接止端部4へ打撃を付加することにより、溶接ビードの断面において余盛角の中心線と母材表面に垂直な直線とのなす角が20°以下である重ね隅肉溶接継手をそなえる溶接構造物であって、上記溶接構造物は、上記重ね隅肉溶接継手の溶接止端部4を挟み、かつ、連なった複数の打撃痕10を有する打撃領域13をそなえ、上記打撃領域13では、上記打撃痕10の溶接止端部4上での合計長さが、上記溶接止端部4の全長の50%以上であり、かつ、上記打撃領域13の幅が、1打点あたりの打撃痕10の幅の2倍以上であり、また、上記打撃領域13において、上記打撃領域13の幅端部に位置する打撃痕10の溶接方向に直角な方向の端部が、該打撃痕10と互いに重なり合う打撃痕10における溶接方向に直角な方向の端部と離間するか、または、上記打撃領域13の幅端部に位置し溶接方向に直角な方向の端部における打撃痕10同士の連なりが3打点以下である、第2の実施形態の溶接構造物が得られる。
ここで、打撃領域13は、図6のように、連なった(互いに重なり合う)複数の打撃痕10が位置する範囲の最大幅(溶接方向に直角な方向の最大幅):L2の領域として画定される。
ただし、ピーニングによる応力緩和効果を十分に得る観点からは、打撃領域13における、打撃痕10の溶接止端部4上での合計長さを、溶接止端部4の全長の50%以上とする必要がある。好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上である。また、100%であってもよい。
なお、打撃周波数、揺動周波数および溶接方向への走査速度を、上記の範囲に調整すれば、図6のように、打撃領域13における、打撃痕10の溶接止端部4上での合計長さを、溶接止端部4の全長の50%以上とし、かつ、打撃領域13において、打撃領域13の幅端部に位置する打撃痕10の溶接方向に直角な方向の端部が、該打撃痕10と互いに重なり合う打撃痕10における溶接方向に直角な方向の端部と離間するか、または、上記打撃領域13の幅端部に位置し溶接方向に直角な方向の端部における打撃痕10同士の連なりを3打点以下とすることができる。
また、特に、打撃周波数、揺動周波数および溶接方向への走査速度を、それぞれ20〜40Hz、5〜10Hzおよび1〜10mm/sに調整すれば、打撃領域における、打撃痕の溶接止端部上での合計長さを溶接止端部の全長の90%以上とすることができる。
さらに、疲労特性向上の観点からは、互いに重なり合う打撃痕10の中心間を結ぶ直線が、溶接方向と平行にならないようにすることが好ましく、そのためには、打撃周波数f1と揺動周波数f2が整合しないようにする、具体的にはf1/f2を非整数とすることが好ましい。
なお、上記した揺動幅は、揺動時における打撃ピン先端の溶接直角方向における移動距離と打撃痕1個あたりの幅との和であり、そのため、打撃領域13の幅:L2は、通常、揺動幅と同じになる。よって、打撃領域13の幅も、打撃痕1個あたりの幅の2倍以上となる。好ましくは打撃痕1個あたりの幅の2.5倍以上である。また、打撃領域13の幅:L2は、好ましくは5.0mm以下である。
以上、本発明の第1の実施形態および第2の実施形態について説明したが、これらの実施形態に従うピーニング処理はいずれも、板厚:1.0〜3.6mm(より好適には2.0〜3.0mm)で引張強さ:780MPa以上の薄鋼板を母材として用いる重ね隅肉溶接継手に適用して、特に、好適である。
また、打撃ピン5の先端形状は、その曲率半径が溶接止端部4の曲率半径以下であれば特に限定されず、例えば、半円筒形や半球形、半楕円形、略蒲鉾形のものなどを用いることができる。
さらに、上記の実施形態に従うピーニング処理を行うにあたっては、エア駆動式の装置や超音波式の装置だけでなく、電動式の装置も使用することができるので、作業性などの面でも有利となる。
加えて、溶接方法については特に限定されず、アーク溶接やレーザ溶接などの溶接により得たいずれの溶接継手にも、上記したピーニング処理方法を適用することができる。
また、カメラを用いて、ピーニングの処理状況および処理部の監視を行ってもよい。特に、図8に示すように、カメラ14および/または15を、打撃ピン5の溶接方向への進行と連動するように配置し、カメラ14および/または15で撮影した映像をモニター16に映して遠隔監視することが好ましい。これにより、処理不良などの異常を早期に検知することが可能となり、歩留まりが向上する。
さらに、打撃工具17の保持方法については特に指定されるものではないが、図9に示すように、打撃工具17を溶接止端部4に対し、打撃工具保持部を用いて押し付ける場合、前述した理由から、図10に示すように、打撃工具17を粘弾性体20で挟持することが望ましい。なお、図中、番号19はボルトである。
粘弾性体20の材質については、打撃工具保持部18と打撃ピン5の振動に不整合が生じさえする粘度を有するものであれば特に指定されるものではないが、ゴム、ゲルなどの高分子物質が好ましい。
(実施例1)
第1の実施形態に従う実施例について、説明する。
種々の鋼板(板厚:2.9mm)に対し、表1に示す条件で重ね隅肉アーク溶接を行い、図3(a)に示す形状となる種々の重ね隅肉アーク溶接継手を作成した。なお、溶接ビードの断面において余盛角の中心線と母材表面に垂直な直線とのなす角αはいずれも10°であった。ついで、作成した重ね隅肉アーク溶接継手の溶接止端部4に、エア駆動式(空気圧:0.5MPa)の装置を用いて、表2および表4〜6に示す条件でピーニング処理を行い、重ね隅肉アーク溶接継手に図5に示すような打撃痕10を形成した。
ここで、ピーニング処理はいずれも、溶接止端部4表面のスラグが破壊され、内部の金属光沢が露出するまで行った。また、ここでは、打撃ピン5による打撃を、一連の打撃として、溶接止端部4を挟んで溶接方向から傾斜する方向に連続的に付加するとともに、一連の打撃を、溶接方向に繰り返し、その際、一連の打撃により形成される複数の打撃痕10からなる打撃痕群12を、隣接する打撃痕群12と少なくとも一部で互いに重なり合わせる一方、該打撃痕群12の溶接方向に直角な方向の端部を、該隣接する打撃痕群12の溶接方向に直角な方向の端部と離間させた。また、打撃ピン5は、その先端形状が半球形となるものを用い、一連の打撃における走査速度はいずれも5mm/sとした。
なお、表4〜6の溶接止端部4の曲率半径は、非特許文献3に従い、1溶接継手あたり5か所を測定し、その平均値として求めたものである。
ピーニング処理後の重ね隅肉アーク溶接継手から、溶接ビード11が試験片中央部となるように、図7の形状の試験片を採取し、この試験片を用いて、表3に示す条件でJIS Z 2275に準拠する平面曲げ疲労試験を行い、以下の基準で疲労特性を評価した。
合格(特に優れる):疲労寿命が300万回超(応力繰り返し回数が300万回で破断に至らなかった場合は、疲労寿命は300万回超と判断)
合格(優れる):疲労寿命が200万回以上300万回以下
不合格:疲労寿命が200万回未満
評価結果を表4〜6に併記する。
Figure 2019155470
Figure 2019155470
Figure 2019155470
Figure 2019155470
Figure 2019155470
Figure 2019155470
表4〜表6に示すとおり、発明例ではいずれも、優れた疲労寿命が得られていることがわかる。
また、表5に示すとおり、溶接方向からの傾斜角度を30〜45°に制御する場合に、特に優れた疲労寿命が得られていることがわかる。
さらに、表6に示すとおり、引張強さが780MPa以上の鋼板を母材とする場合に、特に有利に疲労特性を改善できることがわかる。
(実施例2)
上記の第2の実施形態に従う実施例について、説明する。
種々の鋼板(板厚:2.9mm)に対し、表1に示す条件で重ね隅肉アーク溶接を行い、図3(a)に示す形状となる種々の重ね隅肉アーク溶接継手を作成した。なお、溶接ビードの断面において余盛角の中心線と母材表面に垂直な直線とのなす角αはいずれも0°であった。ついで、作成した重ね隅肉アーク溶接継手の溶接止端部4に、エア駆動式(空気圧:0.5MPa)の装置を用いて、表2および表7〜9に示す条件で、打撃ピン5を、溶接止端部4を中心として溶接方向に直角な方向に揺動させながら、ピーニング処理を行った。ここで、ピーニング処理はいずれも、溶接止端部4表面のスラグが破壊され、内部の金属光沢が露出するまで行った。また、打撃ピン5は、その先端形状が半球形となるものを用いた。
なお、表7〜9の溶接止端部4の曲率半径は、非特許文献3に従い、1溶接継手あたり5か所を測定し、その平均値として求めたものである。
また、打撃ピン5の揺動を行った例ではいずれも、打撃ピン5の揺動幅に応じて画定される打撃領域13において、打撃領域13の幅端部に位置する打撃痕の溶接方向に直角な方向の端部が、打撃痕10と互いに重なり合う打撃痕10における溶接方向に直角な方向の端部と離間するか、または、打撃領域13の幅端部に位置し溶接方向に直角な方向の端部における打撃痕10同士の連なりが3打点以下であった。
ピーニング処理後の重ね隅肉アーク溶接継手から、溶接ビード11が試験片中央部となるように、図7の形状の試験片を採取し、この試験を用いて、表3に示す条件でJIS Z 2275に準拠する平面曲げ疲労試験を行い、以下の基準で疲労特性を評価した。
合格(特に優れる):疲労寿命が300万回超(応力繰り返し回数が300万回で破断に至らなかった場合は、疲労寿命は300万回超と判断)
合格(優れる):疲労寿命が200万回以上300万回以下
不合格:疲労寿命が200万回未満
評価結果を表7〜9に併記する。
Figure 2019155470
Figure 2019155470
Figure 2019155470
表7〜9に示すとおり、発明例ではいずれも、優れた疲労寿命が得られていることがわかる。
また、表8に示すとおり、打撃ピン5の揺動幅を打撃痕1個あたりの幅の2.5倍以上とした場合に、特に優れた疲労寿命が得られていることがわかる。
さらに、表9に示すとおり、引張強さが780MPa以上の鋼板を母材とする場合にも、有利に疲労特性を改善できることがわかる。
(実施例3)
保持治具で打撃工具を固定する際、打撃工具を粘弾性で挟持した場合の効果を実証するために、打撃工具を図9,10に示す要領で保持しつつ、第1の実施形態に従った方法でピーニング処理を行った。以下にその方法を説明する。
鋼板(板厚:2.9mm)に対し、表1に示す条件で重ね隅肉アーク溶接を行い、図3(a)に示す形状となる種々の重ね隅肉アーク溶接継手を作成した。なお、溶接ビードの断面において余盛角の中心線と母材表面に垂直な直線とのなす角αはいずれも10°であった。ついで、作成した重ね隅肉アーク溶接継手の溶接止端部4に、エア駆動式(空気圧:0.5MPa)の装置を用いて、表2および表11に示す条件でピーニング処理を行い、重ね隅肉アーク溶接継手に図5に示すような打撃痕10を形成した。
粘弾性体20による打撃工具17の挟持については、図9、10に示すように、打撃ピン5を振動させる機構を有する打撃工具17と打撃工具保持部18の間に粘弾性体20を挿入し、ボルト19を締めることにより、打撃工具17を粘弾性体20で挟持した。本実施例において、粘弾性体20としてはシリコン製のゲルシートを用いた。
ここで、ピーニング処理はいずれも、溶接止端部4表面のスラグが破壊され、内部の金属光沢が露出するまで行った。また、ここでは、打撃ピン5による打撃を、一連の打撃として、溶接止端部4を挟んで溶接方向から傾斜する方向に連続的に付加するとともに、一連の打撃を、溶接方向に繰り返した。その際、一連の打撃により形成される複数の打撃痕10からなる打撃痕群12を、隣接する打撃痕群12と少なくとも一部で互いに重なり合わせる一方、該打撃痕群12の溶接方向に直角な方向の端部を、該隣接する打撃痕群12の溶接方向に直角な方向の端部と離間させた。また、打撃ピン5は、その先端形状が半球形となるものを用い、一連の打撃における走査速度はいずれも5mm/sとした。
なお、表11の溶接止端部4の曲率半径は、非特許文献3に従い、1溶接継手あたり5か所を測定し、その平均値として求めたものである。
ピーニング処理後の重ね隅肉アーク溶接継手から、溶接ビード11が試験片中央部となるように、図7の形状の試験片を採取し、この試験片を用いて、表10に示す条件でJIS Z 2275に準拠する平面曲げ疲労試験を行い、以下の基準で疲労特性を評価した。
合格(特に優れる):疲労寿命が300万回超(応力繰り返し回数が300万回で破断に至らなかった場合は、疲労寿命は300万回超と判断)
合格(優れる):疲労寿命が200万回以上300万回以下
不合格:疲労寿命が200万回未満
評価結果を表11に併記する。
Figure 2019155470
Figure 2019155470
表11に示すとおり、打撃工具を粘弾性体で挟持した場合には、特に優れた疲労寿命が得られることがわかる。
(実施例4)
実施例3と同様に、保持治具で打撃工具を固定する際に、粘弾性を利用した場合の効果を実証するために、打撃工具を図9,10に示す要領で保持しつつ、第2の実施形態に従った方法でピーニンク処理を行った。以下にその方法を説明する。
鋼板(板厚:2.9mm)に対し、表1に示す条件で重ね隅肉アーク溶接を行い、図3(a)に示す形状となる種々の重ね隅肉アーク溶接継手を作成した。なお、溶接ビードの断面において余盛角の中心線と母材表面に垂直な直線とのなす角αはいずれも0°であった。ついで、作成した重ね隅肉アーク溶接継手の溶接止端部4に、エア駆動式(空気圧:0.5MPa)の装置を用いて、表2および表12に示す条件で、打撃ピン5を、溶接止端部4を中心として溶接方向に直角な方向に揺動させながら、ピーニング処理を行った。
ここで、ピーニング処理はいずれも、溶接止端部4表面のスラグが破壊され、内部の金属光沢が露出するまで行った。また、打撃ピン5は、その先端形状が半球形となるものを用いた。
粘弾性体20による打撃工具17の挟持については、図9、10に示すように、打撃ピン5を振動させる機構を有する打撃工具17と打撃工具保持部18の間に粘弾性体20を挿入し、ボルト19を締めることにより、打撃工具17を粘弾性体20で挟持した。本実施例において、粘弾性体20としてはシリコン製のゲルシートを用いた。
なお、表12の溶接止端部4の曲率半径は、非特許文献3に従い、1溶接継手あたり5か所を測定し、その平均値として求めたものである。
また、打撃ピン5の揺動を行った例ではいずれも、打撃ピン5の揺動幅に応じて画定される打撃領域13において、打撃領域13の幅端部に位置する打撃痕の溶接方向に直角な方向の端部が、打撃痕10と互いに重なり合う打撃痕10における溶接方向に直角な方向の端部と離間するか、または、打撃領域13の幅端部に位置し溶接方向に直角な方向の端部における打撃痕10同士の連なりが3打点以下であった。
ピーニング処理後の重ね隅肉アーク溶接継手から、溶接ビード11が試験片中央部となるように、図7の形状の試験片を採取し、この試験を用いて、表10に示す条件でJIS Z 2275に準拠する平面曲げ疲労試験を行い、以下の基準で疲労特性を評価した。
合格(特に優れる):疲労寿命が300万回超(応力繰り返し回数が300万回で破断に至らなかった場合は、疲労寿命は300万回超と判断)
合格(優れる):疲労寿命が200万回以上300万回以下
不合格:疲労寿命が200万回未満
評価結果を表12に併記する。
Figure 2019155470
表12に示すとおり、粘弾性体を挟持した場合に、特に優れた疲労寿命が得られることがわかる。
1:薄鋼板(母材)
2:薄鋼板(母材)
3:溶接金属
4:溶接止端部
5:打撃ピン
6:打撃ピン先端
7:溶接止端部折れ込み疵
8:打撃痕端の折れ込み疵
10:打撃痕
11:溶接ビード
12:打撃痕群
13:打撃領域
14、15:カメラ
16:モニター
17:打撃工具
18:打撃工具保持部
19:ボルト
20:粘弾性体

Claims (8)

  1. 溶接ビードの断面において余盛角の中心線と母材表面に垂直な直線とのなす角が20°以下である重ね隅肉溶接継手の溶接止端部へ、打撃工具の先端に取り付けた打撃ピンを用いて、打撃を付加するピーニング処理方法であって、
    上記打撃ピンの先端の溶接方向に直角な方向の垂直断面における曲率半径が、上記溶接止端部の曲率半径以下であり、
    また、溶接方向に直角な面における上記打撃ピンによる打撃角度を、上記母材表面に垂直な直線から20°以下とし、
    さらに、上記打撃ピンによる打撃を、一連の打撃として、上記溶接止端部を挟んで溶接方向から傾斜する方向に連続的に付加するとともに、
    上記一連の打撃を、溶接方向に繰り返し行うものとし、
    その際、上記一連の打撃により形成される複数の打撃痕からなる打撃痕群は、隣接する打撃痕群と少なくとも一部で互いに重なり合う一方、該打撃痕群の溶接方向に直角な方向の端部は、該隣接する打撃痕群の溶接方向に直角な方向の端部と離間する、ことを特徴とする重ね隅肉溶接継手のピーニング処理方法。
  2. 前記一連の打撃を行う際の、溶接方向からの傾斜角度を30〜45°とすることを特徴とする請求項1に記載の重ね隅肉溶接継手のピーニング処理方法。
  3. 前記打撃工具の保持部において、該打撃工具を粘弾性体で挟持することを特徴とする請求項1または2に記載のピーニング処理方法。
  4. 溶接ビードの断面において余盛角の中心線と母材表面に垂直な直線とのなす角が20°以下である重ね隅肉溶接継手をそなえる溶接構造物であって、
    上記溶接構造物は、上記重ね隅肉溶接継手の溶接止端部を挟んで、複数の打撃痕が溶接方向から傾斜して連なる打撃痕群を複数そなえ、
    また、上記打撃痕群は、隣接する打撃痕群と少なくともその一部で互いに重なり合う一方、該打撃痕群の溶接方向に直角な方向の端部は、該隣接する打撃痕群の溶接方向に直角な方向の端部と離間する、ことを特徴とする溶接構造物。
  5. 前記打撃痕群において、前記打撃痕が溶接方向から30〜45°傾斜して連なることを特徴とする請求項4に記載の溶接構造物。
  6. 溶接ビードの断面において余盛角の中心線と母材表面に垂直な直線とのなす角が20°以下である重ね隅肉溶接継手の溶接止端部へ、打撃工具の先端に取り付けた打撃ピンを用いて、打撃を付加するピーニング処理方法であって、
    上記打撃ピンの先端の溶接方向に直角な方向の垂直断面における曲率半径が、上記溶接止端部の曲率半径以下であり、
    また、溶接方向に直角な面における上記打撃ピンによる打撃角度を、上記母材表面に垂直な直線から20°以下とし、
    さらに、上記打撃ピンを、溶接止端部を挟んで溶接方向に直角な方向に揺動させつつ、溶接方向に進行させて、上記打撃ピンにより打撃を付加し、
    その際、上記溶接止端部を中心とする上記打撃ピンの揺動幅を、1打点あたりの打撃痕の幅の2倍以上とし、かつ、上記打撃ピンの揺動幅に応じて画定される打撃領域において、該打撃領域の幅端部に位置する打撃痕の溶接方向に直角な方向の端部が、該打撃痕と互いに重なり合う打撃痕における溶接方向に直角な方向の端部と離間するか、または、該打撃領域の幅端部に位置し溶接方向に直角な方向の端部における打撃痕同士の連なりを3打点以下とする、ことを特徴とする重ね隅肉溶接継手のピーニング処理方法。
  7. 前記打撃工具の保持部において、該打撃工具を粘弾性体で挟持することを特徴とする請求項6に記載のピーニング処理方法。
  8. 溶接ビードの断面において余盛角の中心線と母材表面に垂直な直線とのなす角が20°以下である重ね隅肉溶接継手をそなえる溶接構造物であって、
    上記溶接構造物は、上記重ね隅肉溶接継手の溶接止端部を挟み、かつ、連なった複数の打撃痕を有する打撃領域をそなえ、
    上記打撃領域では、
    上記打撃痕の溶接止端部上での合計長さが、上記溶接止端部の全長の50%以上であり、かつ、上記打撃領域の幅が、1打点あたりの打撃痕の幅の2倍以上であり、
    また、上記打撃領域において、上記打撃領域の幅端部に位置する打撃痕の溶接方向に直角な方向の端部が、該打撃痕と互いに重なり合う打撃痕における溶接方向に直角な方向の端部と離間するか、または、上記打撃領域の幅端部に位置し溶接方向に直角な方向の端部における打撃痕同士の連なりが3打点以下である、ことを特徴とする溶接構造物。
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