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JP2019151629A - 化合物の製造方法 - Google Patents

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JP2019151629A
JP2019151629A JP2019037703A JP2019037703A JP2019151629A JP 2019151629 A JP2019151629 A JP 2019151629A JP 2019037703 A JP2019037703 A JP 2019037703A JP 2019037703 A JP2019037703 A JP 2019037703A JP 2019151629 A JP2019151629 A JP 2019151629A
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覚 岡本
吉川 悟
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悟 吉川
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Abstract

【課題】短時間で高純度の飽和ヒドロクロロフルオロカーボンや飽和クロロフルオロカーボンを低コストで合成、製造するための方法を提供する。【解決手段】式(I)で表される化合物を製造する方法であり、液相中、50℃以上200℃以下の温度で式(II)で表される化合物を塩素分子と反応させることを含み、X、Y、およびZは、独立して水素、塩素、およびフッ素から選択され、Xが塩素の時、少なくともYとZの一方は塩素かフッ素である。【選択図】なし

Description

本発明の実施形態の一つは、飽和クロロフルオロカーボンや飽和ヒドロクロロフルオロカーボンの製造方法に関する。
1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(HCFC−233da)に代表される飽和ヒドロクロロフルオロカーボンや飽和クロロフルオロカーボンは、低いオゾン層破壊係数(OPD)と地球温暖化係数(GWP)を有するヒドロクロロフルオロオレフィンやヒドロフルオロオレフィンの原料として有用な化合物である。このような飽和ヒドロクロロフルオロカーボンや飽和クロロフルオロカーボンの合成法の一つとして、光照射の下、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに例示されるヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロオレフィン、クロロオレフィン、あるいはフルオロオレフィンに塩素(塩素分子、Cl2)を付加させる方法が挙げられる(特許文献1、2参照)。
特開2014−210765号公報 特表2015−500283号公報
本発明の実施形態は、短時間で高純度の飽和ヒドロクロロフルオロカーボンや飽和クロロフルオロカーボンを簡便に、かつ低コストで製造するための方法を提供することを課題の一つとする。
本発明の実施形態の一つは、式(I)で表される化合物を製造する方法である。
Figure 2019151629
この方法は、液相中、35℃以上200℃以下の温度で式(II)で表される化合物を塩素分子と反応させることを含む。式(I)と式(II)において、X、Y、およびZは、独立して水素、塩素、およびフッ素から選択され、Xが塩素の時、少なくともYとZの一方は塩素かフッ素である。
Figure 2019151629
上記反応は0.1MPa以上5MPa以下の圧力下で行ってもよい。また、上記反応は遮光下で行ってもよい。式(II)で表される化合物に対する塩素の仕込みモル比は、0.1以上5以下とすることができる。
式(I)と式(II)において、Xは水素であってもよく、この場合、Yは塩素でも良い。XとYがそれぞれ水素と塩素である場合、Zは水素でも良い。
上記反応は、触媒の存在下で行ってもよく、触媒の非存在下で行ってもよい。触媒としては遷移金属の塩化物、塩化酸化物、フッ化塩化酸化物を用いることができ、遷移金属は鉄、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛から選択することができる。
本発明の実施形態の他の一つは、式(III)で表される化合物を製造する方法である。
Figure 2019151629
この方法は、液相中、35℃以上200℃以下の温度で式(II)で表される化合物を塩素化して式(I)で表される化合物を製造する工程、および式(I)で表される化合物を脱ハロゲン化水素化する工程を含む。
Figure 2019151629
Figure 2019151629
式(I)と式(II)において、X、Y、およびZは独立して水素、塩素、およびフッ素から選択され、Xが塩素の時、YとZの少なくとも一方は塩素かフッ素である。式(III)において、X´、Y´、およびZ´は独立して水素、塩素、およびフッ素から選択され、X´が水素あるいはフッ素の時、Y´とZ´の少なくとも一方は塩素である。
本発明の実施形態により、容易に入手可能なヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロオレフィン、クロロオレフィン、あるいはフルオロオレフィンを出発物質とし、効率よく低コストで高純度の飽和ヒドロクロロフルオロカーボンや飽和クロロフルオロカーボンを工業的規模で製造することが可能となる。さらに、得られる飽和クロロフルオロカーボンから高収率でヒドロクロロフルオロオレフィンやクロロフルオロオレフィンを製造することができる。
以下、本発明の各実施形態について説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、以下の実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
<第1実施形態>
本実施形態では、式(I)で表される化合物(以下、化合物1と記す)を製造する方法(以下、単に本製造方法と記す)を説明する。
Figure 2019151629
本製造方法は、式(II)で表される化合物(以下、化合物2と記す)に塩素を付加することを含み、以下の反応式(III)に従う。
Figure 2019151629
Figure 2019151629
上記式(I)、(II)、および反応式(III)において、X、Y、およびZは独立して水素、塩素、およびフッ素から選択され、Xが塩素の時、少なくともYとZのいずれか一方は塩素かフッ素である。したがって、化合物2はヒドロクロロフルオロプロペン、ヒドロフルオロプロペン、ヒドロクロロプロペン、クロロプロペン、あるいはフルオロプロペンのいずれかに分類される。化合物2は、置換基によっては異性体(E体とZ体)が存在するが、いずれの異性体を用いてもよく、例えばE体のみ、あるいはZ体のみを用いてもよい。あるいはこれらの異性体の混合物を化合物2として用いてもよい。
Xが水素であり、かつ、YとZの少なくとも一方が水素となるように化合物2の置換基を選択すると、得られる化合物1の1位の炭素と2位の炭素の両者に水素が結合する。このため、化合物1を合成中間体として利用して脱塩酸する場合、反応条件の選択によって脱離する水素を選択することができる。その結果、単一の化合物から二種類の化合物を選択的に作り出すことができ、合成中間体としてより利用価値の高い飽和ヒドロクロロフルオロカーボンを提供することができる。
本製造方法では、反応を液相で行う。反応温度は35℃以上200℃以下の範囲で設定される。35℃以上で反応させることにより十分に大きな反応速度を得ることができ、短時間で反応を完結させることができる。また、200℃以下の温度で反応を行うことで副生成物の生成が抑制され、高収率で高純度の化合物1を得ることができるだけでなく、塩素の導入量を容易に調整することができる。上記温度範囲内でさらに反応温度を調整することができ、例えば50℃以上200℃以下、60℃以上150℃以下、60℃以上120℃以下、あるいは60℃以上100℃以下の範囲で反応温度を設定することができる。
本製造方法では、化合物2が液体として存在する条件下で行うことが好ましい。より具体的には、オートクレーブなどの密閉可能な反応容器内に原料である化合物2と塩素を加え、反応容器内が0.1MPa以上5MPa以下、0.2MPa以上2MPa以下、あるいは0.5MPa以上2MPa以下の圧力となるように反応系を加圧して反応を行うことが好ましい。常温、常圧で気体として存在する化合物2や塩素もこのような圧力下では液化し、化合物2と塩素がともに液相状態で接触することができる。その結果、大きな反応速度を得ることができ、効率よく化合物1を製造することができる。
本製造方法では、反応時間は、化合物2の構造や反応温度にも依存するが、例えば1時間以上10時間以下、1時間以上8時間以下、あるいは2時間以上8時間以下の範囲から選択することができる。
本製造方法では、別途溶媒を用いてもよいが、必ずしも必要では無い。このため、溶媒を除去するための操作は不要であり、反応終了後、反応液を、必要に応じて洗浄し、蒸留装置に移送して蒸留することで容易に化合物1を精製することができる。したがって、簡便に、かつ低コストで化合物1を製造できるだけでなく、環境に対する負荷を低減することができる。
本製造方法では、化合物2と塩素が1:1のモル比で反応するが、一方の材料を他方の材料よりも過剰に用いてもよい。例えば化合物2と塩素の仕込みモル比は、0.1:1から5:1、0.4:1から2.5:1、あるいは0.5:1から2:1とすることができる。
本製造方法では、バッチ式、半バッチ式あるいは連続式のいずれを適用してもよい。バッチ式では、化合物2と塩素を反応容器内に同時に加えた後、上述した圧力と温度に反応系を設定して反応を開始し、反応終了まで化合物2や塩素を追加しない。半バッチ式では、反応開始後、化合物2と塩素のいずれか一方を断続的に反応容器内に加える。例えば化合物2、および化合物2よりも低いモル数の塩素を反応容器内に加え、上述した圧力と温度に設定して反応を開始する。その後塩素を断続的に反応容器内に注入する。仕込み時に化合物2を塩素よりも高いモル数を用いる半バッチ式を適用することで、過剰な塩素に起因する副反応を抑制することができる。連続式では化合物2および塩素を上述したモル比で連続的に反応容器内に導入する。上述した反応時間が満たされるように導入速度、反応容器容量を設定し、上述した圧力と温度に設定して反応を継続し、連続的に化合物1を主成分とする反応生成物を抜き出す。化合物2の転化率を調整することで好ましくない化合物1の塩素化を抑制することができる。
本製造方法では、触媒の使用は任意である。すなわち、触媒の存在下で行ってもよく、非存在下で行ってもよい。実施例でも述べるように、触媒の非存在下でもほぼ定量的に反応が進行するため、精製工程の複雑化を招くことなく、効率よく化合物1を得ることができる。
触媒を用いる場合には、触媒として遷移金属の塩化物、塩化酸化物、フッ化塩化酸化物を用いることができる。遷移金属としては鉄、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などが挙げられる。塩化物において複数の原子価を取ることができる遷移金属である場合、遷移金属の価数に制限はなく、異なる価数の遷移金属を含む塩化物を用いてもよい。例えば塩化鉄を用いる場合、塩化第1鉄(FeCl2)や塩化第2鉄(FeCl3)のいずれを用いてもよく、これらの混合物を用いてもよい。また、塩化物は異なる複数の金属を含む混合塩化物でも良い。触媒の仕込み量は、化合物2に対して0.1モル%から30モル%、0.5モル%から15モル%、あるいは1モル%から10モル%の範囲から選択すればよい。触媒を添加することによってより大きな速度で反応が進行するため、反応時間を大幅に短縮することが可能である。
触媒を用いる場合、触媒を単独で用いてもよく、触媒を担体に担持して用いてもよい。担体に担持する場合、単体としてはシリカゲル、アルミナ、活性炭、ゼオライトなどの多孔質体を用いることができる。
本製造方法では、反応系に対して光照射を行わなくても短時間で反応が完結する。また、微量のフッ化水素が副生しても光照射に必要な窓(石英窓など)の腐食を考慮する必要が無いため、製造設備の複雑化や製造コストの増大を抑制することができる。なお、自然光や室内灯の光強度が強い場合、反応系に入射した光に起因してフッ化水素の副生が促進されるため、反応を暗条件、すなわち遮光下で行う、あるいは光を透過しない反応容器を用いることが好ましい。
具体的な実施形態の一つとして、以下のような手順が例示される。オートクレーブなどの密閉可能な反応容器内に化合物2を加える。反応容器を密閉、加熱し、さらに反応容器内の圧力が上述した範囲になるように塩素を断続的に加える。加えた塩素のモル数が化合物2のモル数とほぼ等しくなった時点で塩素の供給を停止し、必要に応じて加熱を維持する。反応容器内の圧力低下が観察されず、圧力が一定となった時点を反応の完結と認識してもよい。この後、反応液を取り出し、蒸留することで目的とする化合物1を得ることができる。蒸留の前に反応液を水や炭酸水素ナトリウム水溶液などで洗浄してもよい。
実施例でも示すように、本実施形態を適用することにより、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロオレフィン、クロロオレフィン、あるいはフルオロオレフィンから短時間で高純度の飽和ヒドロクロロフルオロカーボンや飽和クロロフルオロカーボンを低コストで製造することができる。
<第2実施形態>
本実施形態では、第1実施形態で述べた方法によって製造される化合物1を出発原料とし、ヒドロクロロフルオロオレフィンやクロロフルオロオレフィンを製造する方法について述べる。この方法では、以下の反応式(IV)に従い、液相中または気相中、化合物1に対して塩基または活性炭などの脱ハロゲン化水素剤を用いて脱ハロゲン化水素を行う。以下、この反応で得られるヒドロクロロフルオロオレフィンやクロロフルオロオレフィンを総じて化合物3と記す。
Figure 2019151629
上述したように、脱ハロゲン化水素剤としては塩基、および活性炭が挙げられる。塩基としてはアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属の金属アルコキシドなどを用いることができる。金属アルコキシドのアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基などの炭素数1から4の直鎖または分岐アルコキシ基が挙げられる。化合物1と塩基との反応は主にE2脱離機構で進むため、化合物1と塩基は1:1のモル比で反応する。
活性炭を用いる場合、その種類に限定はなく、例えば松や竹、ヤシ殻などの植物、あるいは石炭から調製された活性炭などが挙げられる。活性炭の形状にも限定はなく、粉末状、粒状、繊維状、棒状でもよい。活性炭のBET(Brunauer−Emmett−Teller)比表面積は、例えば10m2/g以上3000m2/g以下、20m2/g以上2500m2/g以下、あるいは50m2/g以上2000m2/g以下である。
液相中で反応を行う場合、溶媒の非存在下で行ってもよく、溶媒を用いて行ってもよい。溶媒としては、水、メタノールやエタノール、イソプロパノール、t−ブタノールなどのアルコール、テトラヒドロフランやジオキサンなどのエーテル、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素、あるいはこれらの溶媒の混合溶媒が挙げられる。互いに相溶しない溶媒を複数用いて二層系で反応を行う場合には、層間移動触媒を用いてもよい。層間移動触媒としては、四級アンモニウム塩や四級ホスホニウム塩、スルホニウム塩などのオニウム塩、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6などのクラウンエーテルなど、公知の層間移動触媒を用いればよい。
液相中での反応では、バッチ式、フロー式のいずれの方式を適用してもよい。バッチ式では、ガラスやフッ素樹脂、ステンレスなどで作製される反応容器内に化合物1、あるいはその溶液(または溶媒との混合物)を加え、これに対して塩基、塩基の溶液(または溶媒との混合物)、活性炭、または活性炭と溶媒の混合物(すなわち、活性炭分散液)を加えることで行われる。あるいは、塩基、塩基の溶液(または溶媒との混合物)、活性炭、または活性炭分散液を反応容器に準備し、これに対して化合物1、あるいはその溶液(または溶媒との混合物)を加えてもよい。
塩基を用いる場合、その量は反応させる化合物1に対して0.8当量以上5当量以下、0.8当量以上3当量以下、あるいは0.8当量以上1.5当量の範囲で適宜選択することができる。一方活性炭を用いる場合、その量は反応させる化合物1に対して0.1当量以上5当量以下、0.1当量以上3当量以下、あるいは0.3当量以上1.5当量の範囲で適宜選択することができる。
常圧で反応する場合、反応温度は生成する化合物3の常圧における沸点以上であることが好ましい。具体的には、55℃以上75℃以下が好ましい。この温度を選択することで生成する化合物3が反応系から優先的に気化するため、化合物3を容易に回収することができる。
加圧下で反応する場合、オートクレーブなどの密閉可能な反応容器を用い、反応容器内が0.1MPa以上10MPa以下、0.05MPa以上5MPa、または0.05MPa以上1MPaの範囲から任意に選択される圧力となるように化合物1、および塩基もしくは活性炭を反応容器に加える。反応温度は、上記範囲から適宜選択すればよい。必要に応じて溶媒を加えてもよい。
反応のモニターは、ガスクロマトグラフィ、液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーなどによって行うことができる。
フロー式では、ガラスやフッ素樹脂、ステンレスなどで作製されるカラム状の反応容器に塩基または活性炭を充填して脱ハロゲン化水素剤の層を形成し、この層に対して化合物1、あるいはその溶液(または溶媒との混合物)を連続的に注入することで行えばよい。脱ハロゲン化水素剤の層は、0.2g/cm3以上1.0gcm3以下、あるいは0.25g/cm3以上0.7g/cm3以下の密度となるように脱ハロゲン化水素剤を充填することで形成すればよい。フロー式においての反応温度と圧力は上述した範囲から任意に選択することができる。
化合物3の精製は蒸留によって行われる。この反応では、出発原料である化合物1の構造と反応条件により、化合物3は組成の異なる化合物の混合物として、あるいは同一の組成を有する幾何異性体の混合物として得られることがある。この場合には、精密蒸留を行うことで単一の化合物を純度良く得ることができる。溶媒を用いる場合、必要に応じて分液、あるいは抽出を行えばよい。
気相反応を適用する場合、化合物1が気体として存在できる条件下、化合物1を塩基、または活性炭と処理して行われる。すなわち、常圧または加圧下、その圧力で化合物1が気体として存在する温度で反応が行われる。化合物1の蒸気圧にも依存するが、圧力は例えば常圧、0.1MPa以上1MPa以下、あるいは0.1MPa以上0.5MPaの範囲から適宜選択される。温度は、50℃以上500℃以下、100℃以上350℃以下、160℃以上330℃、または200℃以上300℃の範囲から適宜選択される。
液相反応と同様、気相反応においてもバッチ式、フロー式のいずれの方式を適用してもよい。バッチ式では、オートクレーブなどの密閉可能な反応容器に化合物1、塩基もしくは活性炭、および必要に応じて溶媒を加え、反応容器を密閉した後、上記範囲から選択される温度、圧力の条件下で反応を行えばよい。この時、反応容器に窒素やアルゴンなどの不活性ガスを混合してもよい。反応終了後の化合物3の回収、精製方法は上述した方法と同様である。
液相反応と同様、フロー式においても、ガラスやフッ素樹脂、ステンレスなどで作製されるカラム状の反応容器に塩基、または活性炭を充填して脱ハロゲン化水素剤の層を形成し、この層に対して化合物1、あるいはその溶液(または溶媒との混合物)を連続的に注入することで行えばよい。この場合、あらかじめ気化した化合物1、または化合物1と溶媒の混合ガスを反応容器に注入してもよく、液体状態の化合物1、または化合物1と溶媒の混合物を反応容器に注入し、反応容器を加熱して反応容器内で化合物1、および溶媒を気化させてもよい。バッチ式と同様、反応容器に不活性ガスを同時に注入してもよい。
化合物1の注入速度は、その線速度vが0.1cm/s以上100cm/sとなるように調整することができる。線速度vは、以下の式から計算される。
v=(W/100)×V/S
ここで、Wは脱ハロゲン化水素剤の層に導入される物質中の化合物1のモル濃度(mol%)、Vは脱ハロゲン化水素剤の層に導入される全物質の流量(cm3/s)、Sは脱ハロゲン化水素剤の層の断面積(cm2)である。
気相法における化合物3の回収、精製方法は液相反応のそれと同様である。
上述した方法で式(IV)に従って化合物1を脱ハロゲン化水素することで、高純度の化合物3を高収率で得ることができる。
以下、上述した実施形態に従った実施例を説明する。
[実施例1]
耐圧硝子社製SUS316オートクレーブ(200mL)に(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを91.23g(0.70mol)加えた。オートクレーブを密閉した後、反応液を撹拌しながら加熱し、内温が65℃になった時点でオートクレーブ内の圧力が0.8MPaとなるように塩素を注入した。この後、圧力が0.8MPa付近を維持するよう塩素を断続的に注入した。塩素供給量が54.30g(0.77mol)になった時点(約4時間後)で塩素の供給を停止し、さらに80℃に昇温して2時間攪拌を継続した。冷却後、反応液を抜出し、水で洗浄し、ガスクロマトグラフィ(アジレント社製、型番7890B。以下同じ)で分析を行った。ガスクロマトグラフィの分析結果から、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの転化率は99.96%であり、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンへの選択率は98.04%であった。また、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン基準の1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン収率は98.00%であった。
[実施例2]
耐圧硝子社製SUS316オートクレーブ(1500mL)に(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを652.45g(5.00mol)加えた。オートクレーブを密閉した後、反応液を撹拌しながら加熱し、内温が80℃になった時点でオートクレーブ内の圧力が0.8MPaとなるように塩素を注入した。この後、圧力が0.8MPa付近を維持するよう塩素を断続的に注入した。塩素供給量が355.00g(5.00mol)になった時点(約5.5時間後)で塩素の供給を停止し、さらに2時間攪拌を継続した。冷却後、反応液を抜出すことで1007.01gの1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンを得た。得られた生成物をガスクロマトグラフィで分析した結果、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの転化率は99.40%であり、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンへの選択率は96.94%であった。また、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン基準の1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン収率は96.36%であった。
[実施例3]
耐圧硝子社製SUS316オートクレーブ(1500mL)に(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを653.40g(5.01mol)を加え、オートクレーブを密閉し、さらにオートクレーブに塩素を101.50g(1.43mol)注入した。反応液を撹拌しながら80℃まで昇温した。この時の内圧は0.95MPaであった。その後、内圧が0.57MPa以上を維持するよう、塩素を断続的に注入した。塩素供給の開始後、加えた塩素の総量が359.00g(5.06mol)となった時点(2.4時間)で塩素の供給を停止し、さらに反応液を90℃に昇温して2時間攪拌を継続した。冷却後、反応液を抜出し、1011.42gの1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンを得た。生成物をガスクロマトグラフィで分析した結果、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの転化率は99.82%であり、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンへの選択率は97.27%であった。また、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン基準の1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン収率は97.09%であった。
[実施例4]
耐圧硝子社製SUS316オートクレーブ(200mL)に(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを12.87g(98.62mmol)加え、オートクレーブを密閉し、さらに塩素を2.46g(34.64mmol)オートクレーブに注入した。反応液を撹拌しながらウォーターバスを用いて昇温したところ、内温が60℃を越えたあたりから、反応の進行を示唆する圧力低下が観察された。圧力低下が観察されなくなるまで温度を65℃に維持し、その後80℃に昇温し、攪拌を2時間維持した。冷却後、反応液を抜出し、10wt%亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、ガスクロマトグラフィで分析を行った。その結果、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの転化率は36.70%であり、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンへの選択率は80.78%であった。また、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン基準の1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン収率は29.64%であり、塩素基準の1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン収率は84.40%であった。
[実施例5]
耐圧硝子社製SUS316オートクレーブ(300mL)に(Z)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを40.20g(308.04mmol)加え、オートクレーブを密閉し、さらに塩素を4.90g(69.01mmol)オートクレーブに注入した。反応液を撹拌しながらウォーターバスを用いて昇温したところ、内温が65℃を越えたあたりから、反応の進行を示唆する圧力低下が観察された。圧力低下が観察されなくなるまで温度を65℃に維持し、その後70℃に昇温し、攪拌を2時間維持した。冷却後、反応液を抜出し、未洗浄のままガスクロマトグラフィで分析を行った。その結果、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの転化率は23.00%であり、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンへの選択率は98.83%であった。また、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン基準の1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン収率は22.73%であり、塩素基準の1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン収率は100%であった。
[実施例6]
耐圧硝子社製SUS316オートクレーブ(200mL)に(Z)−1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを20.14g(122mmol)、塩素を3.96g(56mmol)加えた。反応液を撹拌しながら120℃まで昇温し、攪拌を7時間維持した。冷却後、反応液を抜出し、水で洗浄した後、ガスクロマトグラフィで分析を行った。(Z)−1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの転化率は32.80%であり、1,1,2,2−テトラクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンへの選択率は94.70%であった。
[実施例7]
耐圧硝子社製SUS316オートクレーブ(200mL)に(E)−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを44.18g(388mmol)、塩素を14.05g(198mmol)加えた。反応液を撹拌しながら昇温し、内温が45℃を越えたあたりから、反応の進行を示唆する圧力低下が観察された。その後引き続き80℃まで昇温し、攪拌を5時間維持した。冷却後、反応液を抜出し、水で洗浄した後、ガスクロマトグラフィで分析を行った。(E)−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの転化率は49.80%であり、1,2−ジクロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパンへの選択率は99.79%であった。
[実施例8]
耐圧硝子社製SUS316オートクレーブ(200mL)に(Z)−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを37.75g(314mmol)、塩素を14.50g(204mmol)加えた。反応液を撹拌しながら40℃まで昇温し、攪拌を6時間維持した。冷却後、反応液を抜出し、水で洗浄した後、ガスクロマトグラフィで分析を行った。(Z)−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの転化率は63.21%であり、1,2−ジクロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパンへの選択率は99.82%であった。
実施例1から8に示すように、本実施形態を適用することにより、化合物2から定量的な収率で化合物1が高純度で製造できることが分かった。
[比較例1]
耐圧硝子社製SUS316オートクレーブ(200mL)に(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを13.04g(99.92mmol)を加え、オートクレーブを氷水で冷却しながら塩素を4.63g(65.21mmol)加えた。反応温度を0℃に保つために氷で冷却しながら撹拌を行った。この時の圧力は0.15MPaであった。7時間後の圧力は0.15MPaを維持していた。反応液を抜出し、10wt%亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄してからガスクロマトグラフィで分析を行った。(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの転化率は6.76%であり、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンへの選択率は96.45%であった。また、(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン基準の1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン収率は6.52%であり、塩素基準の1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン収率は9.93%であった。
実施例1から8と比較例1から理解されるように、本実施形態を適用することにより反応は液相で進行し、化合物2から高い選択率で化合物1が速やかに合成できることが分かった。
以上述べたように、本発明の実施形態により、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロオレフィン、クロロオレフィン、あるいはフルオロオレフィンから短時間で高純度の飽和ヒドロクロロフルオロカーボンや飽和クロロフルオロカーボンを低コストで製造することが可能である。

Claims (12)

  1. 式(I)で表される化合物を製造する方法であり、
    Figure 2019151629
    液相中、35℃以上200℃以下の温度で式(II)で表される化合物を塩素分子と反応させることを含み、
    Figure 2019151629
    X、Y、およびZは、独立して水素、塩素、およびフッ素から選択され、
    Xが塩素の時、YとZの少なくとも一方は塩素かフッ素である方法。
  2. 前記式(II)で表される前記化合物と塩素の反応は、0.1MPa以上5MPa以下の圧力下で行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記式(II)で表される前記化合物と塩素の反応は遮光下で行われる、請求項1に記載の方法。
  4. 前記式(II)で表される前記化合物に対する塩素の仕込みモル比は、0.1以上5以下である、請求項1に記載の方法。
  5. Xは水素である、請求項1に記載の方法。
  6. Yは塩素である、請求項5に記載の方法。
  7. Zは水素である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記式(II)で表される前記化合物と塩素の反応は触媒の存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
  9. 前記触媒は、遷移金属の塩化物、塩化酸化物、フッ化塩化酸化物から選択される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記遷移金属は、鉄、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛から選択される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記式(II)で表される前記化合物と塩素の反応は触媒の非存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
  12. 式(III)で表される化合物を製造する方法であり、
    液相中、35℃以上200℃以下の温度で式(II)で表される化合物を塩素化して式(I)で表される化合物を製造する工程、および
    式(I)で表される化合物を脱ハロゲン化水素化する工程を含み、
    Figure 2019151629
    Figure 2019151629
    Figure 2019151629
    式(I)と式(II)において、X、Y、およびZは独立して水素、塩素、およびフッ素から選択され、Xが塩素の時、YとZの少なくとも一方は塩素かフッ素であり、
    式(III)において、X´、Y´、およびZ´は独立して水素、塩素、およびフッ素から選択され、X´が水素あるいはフッ素の時、Y´とZ´の少なくとも一方は塩素である、方法。
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