JP2019141884A - 加工方法、加工システム、加工プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザー光の照射に伴う材料の改質の影響を受けずに目的物を作成することが可能な加工方法を提供する。【解決手段】光透過性の材料の加工部位に対してレーザー光を照射し、不要部分を除去して目的物を作成する加工方法であって、レーザー光の照射方向において重畳する加工部位がある場合、当該重畳する加工部位に対し、レーザー光が入射する材料表面から離れている順にレーザー光を照射する加工方法。【選択図】図3
Description
本発明は加工方法、加工システム、及び加工プログラムに関する。
切削加工は、材料の表面に切削工具を当接させ、不要部分を切り削ることで目的物を作成する方法である(たとえば、特許文献1参照)。
切削加工は、たとえば図9Aに示したように、固定された材料Mに対し、Z軸に沿って上側から順に、予め設定された加工経路に沿って切削工具Tを移動させ、加工部位を切削することにより行う。
ここで、材料Mの上側から順に切削加工を進めた場合、目的物Xの下側に位置する加工部位や目的物Xの空間部分に相当する加工部位(図9Bの斜線部分)には切削工具Tを当接させることができない。このため、当該加工部位を切削加工するためには、材料を移動または回転する必要がある。このように、従来の切削加工は、加工作業が煩雑であり、加工時間を要するという問題がある。
また、硬質材料を切削加工する場合には、切削工具の破損を防止するため、加工経路を細かく設定したり、切削工具の移動速度を低速にすることが必要となる。すなわち、硬質材料を切削加工する場合には更に加工時間を要する。
ところで、レーザー光を用いて切削加工と同様の加工を行う試みがある。この際、赤外線レーザーを用いた熱加工は、熱による影響が加工部位だけでなくその近傍にも及ぶため、歯科用の補綴物のような高い精度が要求される目的物の加工に用いることは困難である。
そこで、高い精度を要求される目的物に対しては、短パルスレーザーを用いた非熱加工を行うことが考えられる。
しかし、非熱加工の場合、レーザー光を照射した加工部位には改質が生じる(レーザー光のエネルギーにより材料の組成や構造が変化する)。従って、図9Aに示した切削加工と同様に材料Mの上側から順に非熱加工を行った場合、改質された加工部位Pより下側の部位(図10の斜線部分)にはレーザー光が到達できないか、或いは改質による粗面化の影響により、意図しないレーザー光の屈折や反射が生じる。従って、設定した加工部位に対してレーザー光を照射することが困難となり、その結果、所望の目的物を作成できない恐れがある。
本発明の目的は、レーザー光の照射に伴う材料の改質の影響を受けずに目的物を作成することが可能な技術を提供することにある。
上記目的を達成するための一の発明は、光透過性の材料の加工部位に対してレーザー光を照射し、不要部分を除去して目的物を作成する加工方法であって、前記レーザー光の照射方向において重畳する加工部位がある場合、当該重畳する加工部位に対し、前記レーザー光が入射する材料表面から離れている順に前記レーザー光を照射する加工方法である。
本発明の他の特徴については、本明細書の記載により明らかにする。
本発明の他の特徴については、本明細書の記載により明らかにする。
本発明によれば、レーザー光の照射に伴う材料の改質の影響を受けずに目的物を作成できる。
==実施形態の概要==
本実施形態に係る加工方法は、材料の加工部位に対してレーザー光を照射し、不要部分を除去して目的物を作成する。レーザー光を用いることにより、非接触での加工が可能となる。
本実施形態に係る加工方法は、材料の加工部位に対してレーザー光を照射し、不要部分を除去して目的物を作成する。レーザー光を用いることにより、非接触での加工が可能となる。
本実施形態に係る材料はレーザー光を透過するもの(光透過性の材料)を用いる。光透過性の材料としては、たとえばジルコニア系の材料を用いることができる。ジルコニア系の材料は、ジルコニア配合型ガラスセラミックのような複合材料であってもよいし、一定の透過率を有するジルコニア単体であってもよい。また、材料の光透過率は100%である必要はなく、所定の位置(加工部位)までレーザー光が届く程度の値であればよい。
加工部位は、材料表面または材料内部においてレーザー光が照射される位置である。加工部位は、複数の線分(直線または曲線)、面(所定の面積を有する二次元領域)、或いは立体(所定の体積を有する三次元領域)として設定される。加工部位にレーザー光が照射されることにより、材料の一部(不要部分)が除去される。なお、レーザー光を照射した加工部位には改質(材料の組成や構造が変化すること)が生じる。
レーザー光は、短パルスレーザーによる光を用いる。特に、材料内部の加工部位に対して直接、レーザー光を照射するためには、超短パルスレーザーによる光を用いることが好ましい。超短パルスレーザーは、一のパルス幅が数ピコ秒〜数フェムト秒のレーザー光を照射するレーザーである。超短パルスレーザーによるレーザー光を材料内部の加工部位に短時間照射することにより、アブレーション加工(非熱加工)を行うことができる。アブレーション加工は、レーザー光により溶融した箇所が瞬時に蒸発、飛散し除去されるため、一般的なレーザー加工(熱加工)と比べ、熱による加工部位の損傷が少ない。たとえば、アブレーション加工によれば、切削加工では容易に加工できない加工部位(たとえば、図9Bの斜線部分)に対してもレーザー光を直接照射し、当該部位のみを加工できる。アブレーション加工は、たとえば、歯科医療に用いる補綴物等、サイズが小さい物の加工に対して特に有効である。
目的物は、材料を加工して得られる物である。不要部分は、材料における目的物以外の部分(加工部位に対するレーザー光の照射により除去される部分)である。たとえば、ジルコニア材料を加工して歯科医療に用いる補綴物を得る場合、当該補綴物が「目的物」に相当し、それ以外の部分が「不要部分」に相当する。
材料に対するレーザー光の照射は、予め作成された加工データ(後述)に基づいて行われる。具体的に、本実施形態に係る加工方法は、レーザー光の照射方向において重畳する加工部位がある場合、当該重畳する加工部位に対し、レーザー光が入射する材料表面から離れている順にレーザー光を照射する。また、本実施形態に係る加工方法は、図2に示すような加工システム100により実施される。加工システム100は、CAD/CAMシステム200で作成された加工プログラムを実行することにより材料の加工を行う。以下、「加工データ」、「加工システム」、「加工システムによる加工(加工方法)」について詳述する。
==加工データ==
加工データは、材料を加工して目的物を作成する際に加工システム100で使用するデータである。加工データは、目的物の三次元データや材料の三次元データに基づいて、CAD/CAMシステム200で作成される。たとえば、歯科医療用の補綴物を加工する場合、CCDカメラやX線CTにより口腔内をスキャンして得られた三次元データを使用して加工データを作成する。目的物の三次元データは、STLデータや三次元CADで使用されるソリッドデータ、或いは3Dプリンタで使用される3MFやAMFなどのデータである。
加工データは、材料を加工して目的物を作成する際に加工システム100で使用するデータである。加工データは、目的物の三次元データや材料の三次元データに基づいて、CAD/CAMシステム200で作成される。たとえば、歯科医療用の補綴物を加工する場合、CCDカメラやX線CTにより口腔内をスキャンして得られた三次元データを使用して加工データを作成する。目的物の三次元データは、STLデータや三次元CADで使用されるソリッドデータ、或いは3Dプリンタで使用される3MFやAMFなどのデータである。
本実施形態に係る加工データは、少なくとも加工部位データ、順番データ、及び加工経路データを含む。各データは、加工部位の数に応じて複数作成される。
一の加工部位データは、たとえば、複数の点データからなる。点データは材料のサイズや目的物の形状等を加味して所定の間隔で設定される。各点データは、三次元(XYZ)の座標値、及びベクトル情報を有する。
座標値は、レーザー光の焦点位置を決定する際に用いられる(すなわち、座標値は材料表面または材料内部においてレーザー光が照射される位置に相当する)。ベクトル情報は、レーザー光の照射方向を決定する際に用いられる。なお、本実施形態において、ある材料を加工する際に使用されるベクトル情報は、全ての加工部位データにおいて共通である。すなわち、本実施形態における加工部位データに基づいて照射されるレーザー光は、複数の加工部位それぞれに対して同じ方向から照射される。また、材料内部にレーザー光を入射させる場合、材料表面における反射の影響が生じる。そこで、ベクトル情報を設定する場合、材料表面に対して垂直にレーザー光が入射するように設定することがより好ましい。また、加工部位データは、材料の不要部分を除去することができるデータであれば、複数の点データでなくともよい。たとえば、材料に対してレーザー光を照射する範囲(位置及び幅)を設定する二次元または三次元の領域データであってもよい。
順番データは、複数の加工部位のうち、どの加工部位からレーザー光を照射するか(レーザー光を照射する順番)を示すデータである。ここで、レーザー光の照射方向において重畳する加工部位がある場合、順番情報は、レーザー光が入射する材料表面から離れている順(材料表面から遠い順)にレーザー光が照射されるように設定する。材料表面と加工部位との距離は、上述のレーザー光を入射させる方向に沿って決定される。なお、一の加工部位データが複数の点データからなる場合、順番データは、どの点データが示す座標値からレーザー光を照射するかを示すデータを含んでいてもよい。
たとえば、図1は、材料Mと、材料Mの不要部分Dを除去することにより得られる目的物Xとを示した図である。図1に示すXYZ軸は直交する三軸である(以下同様)。この例では、目的物Xを得るためには、線分として設定された加工部位P1〜Pnに対してレーザー光を照射し、不要部分Dを除去する必要があるとする。
この場合、各加工部位データは、加工部位P1〜Pn(nは自然数)の位置を示す三次元の座標値、及びレーザー光の照射方向(全ての加工部位データで共通)が設定される。ここで、図1の例では、Z軸に沿って上側から下側に向けてレーザー光の照射方向を設定したとする。この場合、加工部位P1〜Pnはレーザー光の照射方向において重畳する。従って、順番データは、Z軸に沿って、レーザー光が入射する材料Mの表面Msから最も離れている加工部位P1を最初(1番目)とし、材料Mの表面Msに最も近い加工部位Pnを最後(n番目)として設定される。つまり、図1の例であれば、Z軸に沿って下側から上側へ加工部位の加工順が設定されることとなる。
なお、レーザー光の照射方向において重畳しない加工部位がある場合、当該加工部位に対しても順番データが付与される。但し、当該加工部位に対するレーザー光の照射順(加工順)には制約は無い。たとえば、重畳しない加工部位に対するレーザー光の照射は、重畳する加工部位よりも先に行ってもよいし、重畳する加工部位全てに対してレーザー光の照射を行った後に行ってもよい。或いは、重畳する加工部位を加工している途中で、重畳しない加工部位に対するレーザー光の照射を行ってもよい。
加工経路データは、各加工部位において、レーザー光の照射を行う経路を設定するデータである。たとえば、図1の例において、加工部位P1〜加工部位Pnそれぞれの加工経路データには、X軸に沿って材料Mの左端から右端までレーザー光を照射するという経路が設定されている。
更に、加工データは、目的物の表面形状を示すデータ(座標値)、不要部分を除去した後の仕上げ処理(研磨)等で使用するためのデータを含んでいてもよい。また、加工データは、レーザー光の出力に関する情報(各点に照射するレーザー光のスポット径、照射時間、強度等)を含んでいてもよい。
CAD/CAMシステム200は、作成した加工データを加工システム100に出力する。加工システム100は、加工データに対応する位置にレーザー光を照射することにより材料の加工を行う。なお、出力されるデータの形式は、加工システム100で使用できるものであれば特に限定されない。
==加工システム==
図2は、加工システム100を模式的に示した図である。加工システム100は、加工装置1及びコンピューター2を有する。但し、コンピューター2の果たす機能を加工装置1で実現することによって、加工システム100が加工装置1単体で構成されてもよい。
図2は、加工システム100を模式的に示した図である。加工システム100は、加工装置1及びコンピューター2を有する。但し、コンピューター2の果たす機能を加工装置1で実現することによって、加工システム100が加工装置1単体で構成されてもよい。
本実施形態に係る加工装置1は、5軸(X軸、Y軸、Z軸、A回転軸(X軸回りの回転軸)、B回転軸(Y軸回りの回転軸))の駆動軸を有する。加工装置1は、加工データに基づき、加工部位に対してレーザー光を照射することにより材料Mを加工する。加工装置1は、照射部10、保持部20、及び駆動機構30を含む。
照射部10は、材料Mに対してレーザー光を照射する。照射部10は、レーザー光の発振器、及び発振器からのレーザー光を材料まで導くためのレンズ群やガルバノミラー等の光学系を含む。保持部20は材料Mを保持する。材料を保持する方法は、特に限定されるものではない。たとえば、従来の切削加工を行う場合と同様、ディスク状の材料をクランプで挟み込んで保持する方法や、ブロック状の材料に金属製のピンを接着し、そのピンを保持部20に差し込んで保持する方法が可能である。駆動機構30は駆動用のモータ等を含む。駆動機構30は、照射部10及び保持部20を相対的に移動させる。但し、本実施形態における加工方法によれば、材料を固定した状態で一の方向からレーザー光を照射することにより目的物を作成できる。すなわち、照射部10や保持部20をA回転軸やB回転軸周りに回転させる必要はない。
なお、レーザーの照射パターンを調整する調整部を設けてもよい。調整部は、たとえば、ガルバノミラー、フレネルレンズ、回折光学素子(DOE)、空間光位相変調器(LCOS−SLM)等の部材である。調整部は、照射部10内において、たとえば発振器とレンズ群との間に配置される。
たとえば、加工部位が三次元領域である場合、調整部として空間光位相変調器を用いることにより、当該加工部位に対して一括でレーザー光を照射することができる。空間光位相変調器は、液晶の配向を調整することにより、発信器からのレーザー光を任意の形状に成形することができる。たとえば、空間光位相変調器は、ビーム状のレーザー光を平面に成形し且つ所定の厚みを持たせることで、薄板状のレーザー光(3次元形状のレーザー光)を照射することを可能とする。このような空間光位相変調器を用いることにより、たとえば、一の加工部位全体に対して一回の照射でアブレーション加工を実施できる。すなわち、空間光位相変調器を利用することにより広範囲の加工部位を一括して加工できるため、加工時間を短縮することができる。
コンピューター2は、照射部10及び駆動機構30の動作を制御する。具体的に、コンピューター2は、材料表面または材料内部において、加工データに対応する加工部位にレーザー光を照射できるよう、駆動機構30を制御して照射部10と保持部20(材料M)との相対的な位置関係を調整する。また、コンピューター2は、照射部10を制御し、レーザー光の焦点位置、照射されるレーザー光のスポット径、強度等の調整を行ったり、材料Mに対して所定時間だけレーザー光の照射を行う。スポット径、強度、照射時間等は、照射されるレーザー光の出力(エネルギー)に影響を与えるものである。これらの値は、上述の通り加工データに予め組み込まれていてもよいし、加工装置1側で設定することでもよい。また、これらの値を決定する際には、加工対象となる材料の種類や特性を加味してもよい。コンピューター2は、「制御部」の一例である。
また、本実施形態に係る加工システム100は、照射部10から照射されるレーザー光の出力を調整することにより、目的物の加工だけでなく、仕上げ処理を行うことも可能である。すなわち、材料Mを加工し、目的物を作成するまでの処理を全て加工装置1で行うことができるため、材料Mの取り付け・取り外しにより、加工時間が増加したり、加工精度が低下する恐れがない。
==加工システムによる加工==
次に図3〜図4Dを参照して、本実施形態に係る加工方法の具体例について説明する。加工方法は、加工システム100によって実行される。また、加工方法は、専用の加工プログラムとして、加工システム100に予めインストールされている。この例では、材料Mを加工して目的物Xを得る。図3は、加工システム100の動作を示すフローチャートである。図4A〜図4Dは、本実施形態に係る加工方法により加工される材料Mまたは目的物Xを模式的に示した図である。目的物Xの加工データはCAD/CAMシステム200により予め作成されているものとする。また、この例では、複数の加工部位が重畳した状態にあるとする。
次に図3〜図4Dを参照して、本実施形態に係る加工方法の具体例について説明する。加工方法は、加工システム100によって実行される。また、加工方法は、専用の加工プログラムとして、加工システム100に予めインストールされている。この例では、材料Mを加工して目的物Xを得る。図3は、加工システム100の動作を示すフローチャートである。図4A〜図4Dは、本実施形態に係る加工方法により加工される材料Mまたは目的物Xを模式的に示した図である。目的物Xの加工データはCAD/CAMシステム200により予め作成されているものとする。また、この例では、複数の加工部位が重畳した状態にあるとする。
目的物Xの作成に使用する材料Mを選択し、加工装置1の保持部20にセットする(材料のセット。ステップ10)。図4Aは、加工装置1に対して固定された状態の材料Mを示す。本実施形態に係る材料Mはブロック状の部材である。図4Aにおいては、作成される目的物Xを破線で示している。
コンピューター2は、目的物Xの加工データに基づいて、加工装置1に材料Mの加工を実行させる。なお、この例ではZ軸に沿って上側から下側に向けてレーザー光が照射されるとする。
コンピューター2は、加工データに含まれる加工部位データが示す位置(加工部位)にレーザー光を照射させる。この際、コンピューター2は、順番データに基づいて、まずレーザー光が入射する材料表面Msから最も離れている加工部位Pにレーザー光を照射する(材料表面から最も離れている加工部位にレーザー光を照射。ステップ11)。
コンピューター2は、加工部位データに含まれる点データの座標値とレーザー光の焦点位置が合うよう調整を行う。具体的には、コンピューター2は、照射部10及び保持部20の相対的な位置を調整したり、照射部10に含まれるレンズ群やガルバノミラーの向きや角度を調整する。なお、焦点位置の調整は、材料Mの屈折率を考慮して行われる。点データの座標値とレーザー光の焦点位置が一致した後、コンピューター2は、照射部10を制御し、当該点データに含まれるベクトル情報に基づいて、Z軸に沿って上側からレーザー光を所定時間だけ照射させる。
図4Bに示したように加工部位Pが二次元の平面である場合、コンピューター2は、加工部位Pを構成する複数の点データが示す座標値それぞれに対し、加工経路データに基づいて、順次レーザー光の照射を行う(図4B参照。レーザー光が照射された部分を丸で示す)。レーザー光が照射された部分(加工部位)は、レーザー光のスポット径に応じた空洞となっている。加工部位Pよりも下側に位置する部分(不要部分)は、自重により、或いは外力を与えることにより、脱落する。なお、レーザー光の照射は、上述のように、位置決めと照射を繰り返し行うことでもよいし、加工効率を考慮し、焦点位置が変化しない場合には、レーザー光の照射を行ったまま、隣接する点データに対応する位置の加工を連続しておこなってもよい。
材料表面から最も離れている加工部位Pにレーザー光の照射が完了した後、コンピューター2は、順番データに基づいて、加工部位Pの次に材料表面から離れている加工部位に対してレーザー光を照射する。
コンピューター2は、順番データに基づき、材料表面からの距離が離れている加工部位から順に(この例であれば、材料Mの下側にある加工部位から順に)レーザー光の照射を行うことで、不要部分を除去する。このようにレーザー光の照射を行うことで、レーザー光の照射方向において加工部位が重畳している場合であっても、レーザー光の照射による改質の影響を受けることなく不要部分を除去できる。たとえば、図4Bに示した加工部位Pにレーザー光を照射した場合には、加工部位Pよりも下側に位置する不要部分が除去される(図4Cにおいて、除去された不要部分を破線で示す)。従って、改めて加工部位Pよりも下側にレーザー光を照射する必要が無い。また、図4Cに示した加工部位Pは、先にレーザー光が照射された加工部位P(図4B参照)よりも上側に位置する。従って、図4Cに示した加工部位Pに対して照射されるレーザー光は、図4Bに示した加工部位Pにおける改質の影響を受けることが無い。
全ての加工部位に対してレーザー光の照射が完了した場合(ステップ12でYの場合)、材料Mの不要部分は除去され、目的物Xが得られる(目的物の取得。ステップ13)。
加工データに基づいてレーザー光を照射し、アブレーション加工を行った場合、不要部分を除去して得られる目的物Xの表面形状は、加工データの元となった三次元データとほぼ同等になっていると思われる。一方、目的物の形状、点群の密度、レーザー照射の状態等によっては、目的物Xの表面に不要部分の一部が残ってしまい、目的物Xの表面に凹凸が生じる可能性もある。従って、目的物の加工精度を高める観点からは、仕上げ処理を行うことがより好ましい。
コンピューター2は、ステップ13で取得した目的物Xをレーザー光により研磨して仕上げ処理を行う(仕上げ処理。ステップ14)。仕上げ処理の方法(研磨方法)は特に限定されるものではない。たとえば、加工データに目的物Xの表面形状データが含まれる場合、当該表面形状データに基づいてレーザー光を照射することで残った不要部分を取り除くことができる(図4D参照。レーザー光が照射された部分を丸で示す)。
なお、仕上げ処理としてレーザー光で研磨する例について述べたが、従来のような機械的な研磨を行うことでもよい。また、加工システム100に専用の構成を設けることにより、仕上げ処理として染色やグレージングを行うことも可能である。
また、上記例では、材料Mに対し、Z軸に沿って上側からレーザー光を照射(下方向にレーザー光を照射)する例について述べたがこれに限られない。材料Mに対し、Z軸に沿って下側からレーザー光を照射(上方向にレーザー光を照射)してもよいし、Z軸に直交するX軸またはY軸に沿って横側からレーザー光を照射(横方向にレーザーを照射)してもよい。或いは、材料Mの表面が傾斜している場合や目的物の形状によっては、斜め方向にレーザー光を照射してもよい。いずれの場合であっても、レーザー光の照射方向において重畳する加工部位がある場合、当該重畳する加工部位に対し、レーザー光が入射する材料表面から離れている順(材料表面からの距離が長い順)にレーザー光を照射することで、材料の改質の影響を受けることなく不要部分を除去し、目的物を作成できる。
以上の通り、本実施形態に係る加工方法は、光透過性の材料Mの加工部位に対してレーザー光を照射し、不要部分を除去して目的物を作成する加工方法であって、レーザー光の照射方向において重畳する加工部位がある場合、当該重畳する加工部位に対し、レーザー光が入射する材料表面から離れている順にレーザー光を照射する。
このように、重畳する加工部位に対してはレーザー光が入射する材料表面から離れている順にレーザー光を照射することにより、照射されたレーザー光が改質の影響を受けることが無い。すなわち、改質した加工部位をレーザー光が透過できないといった問題や、改質した加工部位でレーザー光の屈折や反射が起こり、別の加工部位に対して正確にレーザー光を照射できないといった問題が生じ難い。このように、本実施形態に係る加工方法によれば、レーザー光の照射に伴う材料の改質の影響を受けずに目的物を作成できる。
また、本実施形態に係る加工方法は、材料Mが固定された状態において、材料Mの上側からレーザー光を照射することが好ましい。上側からレーザー光を照射することによって、材料の下側から順に不要部分が除去される(たとえば、図4B及び図4Cを参照)。そして、除去された不要部分は自重で脱落するため、加工により生じた不要部分を取り除く作業が不要となる。
また、本実施形態に係る加工方法は、材料表面に対して垂直にレーザー光を入射させることが好ましい。このようにレーザー光を入射させることにより、レーザー光の屈折に伴う集光点の位置ずれを回避できる。
また、本実施形態に係る加工方法で使用するレーザー光は超短パルスレーザーによる光であることが好ましい。超短パルスレーザーによる光を用いることにより、材料内部の加工部位に対して、直接、加工(非熱加工)を行うことが可能となる。
更に、本実施形態に係る加工システム100は、光透過性の材料の加工部位に対してレーザー光を照射し、不要部分を除去して目的物を作成する加工システムであって、照射部10、保持部20、駆動機構30、及びコンピューター2(制御部)を含む。照射部10は、レーザー光を照射する。保持部20は、材料Mを保持する。駆動機構30は、照射部10及び保持部20を相対的に移動させる。コンピューター2は、レーザー光の照射方向において重畳する加工部位がある場合、当該重畳する加工部位に対し、レーザー光が入射する材料表面から離れている順にレーザー光を照射するよう照射部10及び駆動機構30を制御する。また、本実施形態に係る加工プログラムは、光透過性の材料の加工部位に対してレーザー光を照射し、不要部分を除去して目的物を作成する加工システム100で実行されるプログラムである。加工プログラムは、加工システム100に対し、レーザー光の照射方向において重畳する加工部位がある場合、当該重畳する加工部位に対し、レーザー光が入射する材料表面から離れている順にレーザー光を照射させる。このような加工システム100や加工プログラムによれば、レーザー光の照射に伴う材料の改質の影響を受けずに目的物を作成できる。
==変形例1==
上記実施形態のような加工方法で目的物Xを得る場合、従来の切削加工に比べて加工時間を短縮することが可能である。一方、不要部分をより効率的に除去することにより、更なる加工時間の短縮が可能となる。
上記実施形態のような加工方法で目的物Xを得る場合、従来の切削加工に比べて加工時間を短縮することが可能である。一方、不要部分をより効率的に除去することにより、更なる加工時間の短縮が可能となる。
具体的には、不要部分をブロック状に分割することが可能である。図5は、不要部分をブロック状に分割した例を示す。図5の例において、各ブロックの境界部分(縦方向及び横方向の線分)が加工部位に相当する。加工システム100は、分割されたブロック毎に不要部分を除去するよう、加工部位に対してレーザー光を照射する。なお、この例においても、加工システム100は、レーザー光の照射方向において重畳する加工部位がある場合には、当該重畳する加工部位に対し、レーザー光が入射する材料表面から離れている順にレーザー光を照射する。
図5の例において、材料Mに対し、Z軸に沿って上側からレーザー光を照射するとする。この場合、縦方向の加工部位同士及び横方向の加工部位同士はそれぞれ重畳した状態となる。そこで、加工システム100は、レーザー光が入射する材料表面Msから離れている加工部位から順に加工を行う。たとえば、加工システム100は、縦方向の加工部位のうち、レーザー光が入射する材料表面から最も離れている加工部位PL1の加工を行う(図6A参照)。なお、加工部位PL1は、Z軸方向に長さを持った加工部位である。この場合、コンピューター2は、材料表面Msから最も離れている位置(材料Mの下面Mr)から上方向に向かって連続的にレーザー光を照射することで加工部位PL1の加工を行う。
次に、加工システム100は、横方向の加工部位のうち、レーザー光が入射する材料表面から最も離れている加工部位PC1の加工を行う(図6B参照)。加工部位PL1及び加工部位PC1の加工を行うことにより、不要部分D1が除去される(図6C参照)。この際、材料Mの下側から順に加工を行うことにより、不要部分D1は自重で脱落するため、加工により生じた不要部分を取り除く作業が不要となる。
なお、材料の種類やレーザー光照射後の状態等によっては、不要部分が自重で脱落しないこともありうる。この場合、加工した材料Mに対して外力を与えることにより、不要部分を除去することも可能である。不要部分を除去する方法は、材料の種類や物性等により様々な方法を用いることができる。
たとえば、通常の熱加工と同等の出力でレーザー光を照射することにより、材料Mに加熱による衝撃を与えることで不要部分を脱落させる方法を用いることができる。この場合、照射部10をそのまま利用することができる。或いは、加工システム100に除去専用の構成を設けることで不要部分を脱落させることも可能である。
たとえば、冷却用のガス冷媒やドライアイスを噴射する構成を設ける。ガス冷媒等を噴射し、材料Mを急速に冷却することで不要部分を脱落させることができる。また、超音波を発生するホーンを設け、材料Mに対して局所的に超音波の振動を与えることや、ハンマー等を設け、材料Mに対して直接的に力を加えること(物理的干渉を利用する方法)も可能である。
更に、本変形例では、ブロックを一つずつ除去する例について述べたが、これに限られない。たとえば、加工システム100は、縦方向の加工部位全て(図5参照)に対し、材料Mの下面Mrから表面MsまでZ軸に沿ってレーザー光を連続的に照射する。その後、加工システム100は、横方向の加工部位に対し、材料表面Msから距離が離れている順に、Z軸に沿って照射したレーザー光を、X軸に沿って左側から右側まで平行移動させることにより、図5に示した加工部位全体を加工する。そして、加工システム100は、加工した材料Mに対して外力を加えることによって、全ての不要部分を一度に除去することも可能である。
==変形例2==
使用する材料によっては、その表面に穴や溝のような凹部が存在する場合がある。そして、このような材料Mの凹部Cに対してレーザー光を照射した場合、除去した不要部分Dが凹部内に堆積することとなる(図7参照)。
使用する材料によっては、その表面に穴や溝のような凹部が存在する場合がある。そして、このような材料Mの凹部Cに対してレーザー光を照射した場合、除去した不要部分Dが凹部内に堆積することとなる(図7参照)。
そこで、材料表面に凹部が存在する場合、当該凹部の開口部分が下側を向くように材料を固定し、凹部が存在する材料表面とは反対側の面からレーザー光を照射することが好ましい(図8参照)。図8に示したように、凹部Cの開口部分を下側に向けることにより、除去された不要部分Dが凹部C内に堆積することが無い。よって、凹部に堆積した不要部分を都度取り除くといった作業が不要となるため、効率よく加工作業を進めることができる。
なお、材料自体に凹部が存在しない場合であっても、加工により得られる目的物の表面に凹部が形成される場合もありうる。この場合、図7の例と同様、加工により除去された不要部分が目的物の凹部内に堆積することとなる。そこで、目的物の表面に凹部を形成する場合には、当該凹部の開口部分が形成される面が下側を向くように材料を固定し、凹部が形成される面とは反対側の面からレーザー光を照射することが好ましい。このように予め凹部の開口部分が下側を向くように材料を固定することで、加工に伴って生じる不要部分が凹部内に堆積することが無い。
=その他=
上記実施形態の加工プログラムが記憶された非一時的なコンピューター可読媒体(non-transitory computer readable medium with an executable program thereon)を用いて、コンピューターにプログラムを供給することも可能である。なお、非一時的なコンピューターの可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、CD−ROM(Read Only Memory)等がある。
上記実施形態の加工プログラムが記憶された非一時的なコンピューター可読媒体(non-transitory computer readable medium with an executable program thereon)を用いて、コンピューターにプログラムを供給することも可能である。なお、非一時的なコンピューターの可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、CD−ROM(Read Only Memory)等がある。
上記実施形態は、発明の例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 加工装置
2 コンピューター
10 照射部
20 保持部
30 駆動機構
100 加工システム
2 コンピューター
10 照射部
20 保持部
30 駆動機構
100 加工システム
Claims (9)
- 光透過性の材料の加工部位に対してレーザー光を照射し、不要部分を除去して目的物を作成する加工方法であって、
前記レーザー光の照射方向において重畳する加工部位がある場合、当該重畳する加工部位に対し、前記レーザー光が入射する材料表面から離れている順に前記レーザー光を照射する加工方法。 - 前記材料が固定された状態において、前記材料の上側から前記レーザー光を照射することを特徴とする請求項1記載の加工方法。
- 前記不要部分を、ブロック状に分割するよう前記レーザー光を照射することを特徴とする請求項1または2記載の加工方法。
- 前記材料表面に凹部が存在する場合、当該凹部の開口部分が下側を向くように材料を固定し、
前記凹部が存在する材料表面とは反対側の面から前記レーザー光を照射することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の加工方法。 - 前記目的物の表面に凹部を形成する場合、当該凹部の開口部分が形成される面が下側を向くように材料を固定し、
前記凹部が形成される面とは反対側の面から前記レーザー光を照射することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の加工方法。 - 前記材料表面に対して垂直に前記レーザー光を入射させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の加工方法。
- 前記レーザー光は超短パルスレーザーによる光であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の加工方法。
- 光透過性の材料の加工部位に対してレーザー光を照射し、不要部分を除去して目的物を作成する加工システムであって、
前記レーザー光を照射する照射部と、
前記材料を保持する保持部と、
前記照射部及び前記保持部を相対的に移動させる駆動機構と、
前記レーザー光の照射方向において重畳する加工部位がある場合、当該重畳する加工部位に対し、前記レーザー光が入射する材料表面から離れている順に前記レーザー光を照射するよう前記照射部及び前記駆動機構を制御する制御部と、
を含む加工システム。 - 光透過性の材料の加工部位に対してレーザー光を照射し、不要部分を除去して目的物を作成する加工システムで実行されるプログラムであって、
前記加工システムに対し、
前記レーザー光の照射方向において重畳する加工部位がある場合、当該重畳する加工部位に対し、前記レーザー光が入射する材料表面から離れている順に前記レーザー光を照射させるための加工プログラム。
Priority Applications (2)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2018028536A JP2019141884A (ja) | 2018-02-21 | 2018-02-21 | 加工方法、加工システム、加工プログラム |
| US16/278,751 US20190255658A1 (en) | 2018-02-21 | 2019-02-19 | Processing method, processing system, and non-transitory computer-readable medium storing a processing program |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2018028536A JP2019141884A (ja) | 2018-02-21 | 2018-02-21 | 加工方法、加工システム、加工プログラム |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2019141884A true JP2019141884A (ja) | 2019-08-29 |
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ID=67617496
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2018028536A Pending JP2019141884A (ja) | 2018-02-21 | 2018-02-21 | 加工方法、加工システム、加工プログラム |
Country Status (2)
| Country | Link |
|---|---|
| US (1) | US20190255658A1 (ja) |
| JP (1) | JP2019141884A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| DE112020003647T5 (de) | 2019-08-01 | 2022-04-21 | Denso Corporation | Abstandsmesssystem, Abstandsmessverfahren und Computerprogramm |
| JP2022099659A (ja) * | 2020-12-23 | 2022-07-05 | Dgshape株式会社 | 歯冠補綴物の製造方法 |
-
2018
- 2018-02-21 JP JP2018028536A patent/JP2019141884A/ja active Pending
-
2019
- 2019-02-19 US US16/278,751 patent/US20190255658A1/en not_active Abandoned
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| DE112020003647T5 (de) | 2019-08-01 | 2022-04-21 | Denso Corporation | Abstandsmesssystem, Abstandsmessverfahren und Computerprogramm |
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| Publication number | Publication date |
|---|---|
| US20190255658A1 (en) | 2019-08-22 |
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