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JP2019038149A - インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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JP2019038149A JP2017160648A JP2017160648A JP2019038149A JP 2019038149 A JP2019038149 A JP 2019038149A JP 2017160648 A JP2017160648 A JP 2017160648A JP 2017160648 A JP2017160648 A JP 2017160648A JP 2019038149 A JP2019038149 A JP 2019038149A
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朗 栗山
Akira Kuriyama
朗 栗山
池上 正幸
Masayuki Ikegami
正幸 池上
悠平 清水
Yuhei Shimizu
悠平 清水
洋子 平
Yoko Taira
洋子 平
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Abstract

【課題】 銀原子の析出を抑制できるインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】 水性インク、並びに前記水性インクと接触するとともにケイ素及びケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の材料で構成される部材を備えるインクジェット記録装置を用いるインクジェット記録方法であって、前記水性インクが、銀粒子、並びに一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される構造を持つ化合物、一般式(3)で表される化合物、及び一般式(4)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
金属粒子を含有するインクは、用いる金属粒子の特徴を利用して、電気回路の形成に使用されてきたが、近年では、クリスマスカードなどのメタリック感を表現する用途にも、使用されるようになってきている。メタリック画像を記録するために、銀粒子、及びチオシアン酸ナトリウムを含有する水性インクが提案されている(特許文献1参照)。また、銀粒子、及びクエン酸アンモニウムを含有する水性インクが提案されている(特許文献2参照)。さらに、銀粒子、及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する水性インクが提案されている(特許文献3参照)。
特開2013−177529号公報 特開2004−256757号公報 国際公開第2003/038002号公報
特許文献1〜3に記載されている水性インクを、記録ヘッドのインク流路形成部材などのケイ素及びケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の材料で構成される部材(ケイ素部材)を備えるインクジェット記録装置に適用して検討を行った。その結果、ケイ素部材の周りに銀原子(Ag)が析出していることがわかった。
したがって、本発明の目的は、水性インク、並びに前記水性インクと接触するとともにケイ素部材を備えるインクジェット記録装置を用いる場合に、銀原子の析出を抑制できるインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明により達成される。すなわち、本発明のインクジェット記録方法は、水性インク、並びに前記水性インクと接触するとともにケイ素及びケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の材料で構成される部材を備えるインクジェット記録装置を用いるインクジェット記録方法であって、前記水性インクが、銀粒子、並びに下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される構造を持つ化合物、下記一般式(3)で表される化合物、及び下記一般式(4)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録方法に関する。
(一般式(1)中、R11、及びR12は、それぞれ独立に、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はヒドロキシ基である。ただし、R11及びR12がいずれもヒドロキシ基である場合を除く。)
(一般式(2)中、R21、R22、R23、及びR24は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、又はスルホン酸基である。一般式(2)で表される構造を持つ化合物は、単糖、又は2糖以上の化合物である。2糖以上の化合物である場合、1位の炭素、及び2位、3位、又は4位の炭素が結合して重合し、単糖と単糖の間が単結合で連なった化合物である。)
(一般式(3)中、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。R31、及びR32は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はカルボキシアルキル基である。)
(一般式(4)中、Aは、窒素原子、又はリン原子である。R41、R42、R43、及びR44は、それぞれ独立に、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はカルボキシアルキル基である。)
また、本発明は、水性インク、並びに前記水性インクと接触するとともにケイ素及びケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の材料で構成される部材を備えるインクジェット記録装置であって、前記水性インクが、銀粒子、並びに一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される構造を持つ化合物、一般式(3)で表される化合物、及び一般式(4)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録装置に関する。
本発明によれば、水性インクと接触するとともにケイ素及びケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の材料で構成される部材を備えるインクジェット記録装置を用いる場合に、銀原子の析出を抑制できるインクジェット記録方法を提供することができる。また、本発明によれば、前記インクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を示す模式図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)は記録ヘッドの斜視図である。 記録ヘッドの一部を破断して示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に述べる。本発明においては、以下、水性インクは、「インク」と記載することがある。ケイ素及びケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の材料で構成される部材は、「ケイ素部材」と記載することがある。各種の物性値は、特に断りのない限り、温度25℃における値である。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と記載した場合は、それぞれ「アクリル酸、メタクリル酸」、「アクリレート、メタクリレート」を表すものとする。
本発明者らの検討の結果、水性インクと接触するとともにケイ素及びケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の材料で構成される部材を備えるインクジェット記録装置を用いる場合、銀原子の析出を抑制できないことがわかった。特に、水性インクが、ケイ素部材に長期間、又は高温環境で接触すると、ケイ素部材の周りに銀原子(Ag)が析出することがわかった。本発明者らは、その理由を以下のように推測する。
インク中で銀粒子は、その表面がインク中の酸素と結合して、酸化銀になりやすい。そのため、インク中の銀粒子は、銀原子(Ag)及び酸化銀(AgO)の状態で存在することとなる。インク中では、下記式(5)及び(6)で示すように、銀原子(Ag)及び酸化銀(AgO)の一部が電離して、電離していない銀原子(Ag)及び酸化銀(AgO)と、電離して生じる銀イオン(Ag)との間で平衡状態となっている。
インクジェット用の水性インクは、通常アルカリ性であり、一定量の水酸化物イオン(OH)が存在する。水性インクに接触する部材として、ケイ素部材を用いると、水性インクと接触する部材の表面のケイ素は、インク中に存在する水酸化物イオン(OH)と結合して、…−Si−Si−OHとなりやすい。さらに、式(6)において酸化銀(AgO)から電離した水酸化物イオン(OH)や、インク中に存在している水酸化物イオン(OH)により、ケイ素が水酸化物イオン(OH)に引っ張られ、ケイ素とケイ素の間の結合が弱くなる。そのため、下記式(7)で示すように、ケイ素が水酸化物イオン(OH)と反応して、ケイ酸(Si(OH))となり、インク中に溶出してしまう。特に、インクがケイ素部材に長期間接触すると、ケイ素のインク中への溶出が促進される。また、高温環境では、ケイ素と水酸化物イオンとの反応が促進されるため、温度25℃の環境よりも、ケイ素のインク中への溶出が促進される。ケイ素の溶出に伴い、ケイ素部材の周りに多数の電子(e)が発生することになる。電子が多いと、式(5)の平衡が左に偏り、インク中で一定の割合で存在する銀イオン(Ag)が銀原子(Ag)となるため、インク中で銀原子が析出しやすい。析出した銀原子は、当初は小さくても、析出した銀原子同士が融合することで大きな析出物となる。さらに、インク中に含有する銀粒子も、析出した銀原子と融合することで、より大きな析出物となりやすい。このような大きな析出物は、吐出口を詰まらせるため、インクが吐出しにくくなり、インクの吐出安定性が得られない。
なお、インクが酸性〜中性である場合、式(6)の平衡が右に偏ることによって、水酸化物イオン(OH)が発生しやすい。これにより、ケイ素がインク中に溶出しやすく、ケイ素の溶出に伴い、ケイ素部材の周りに多数の電子(e)が発生する。電子が多いと、式(5)の平衡が左に偏りやすいため、ケイ素部材の周りに銀原子(Ag)が析出する。
そこで、本発明者らは、銀原子の析出を抑制するためのインクの組成について検討した。その結果、銀粒子を含有するインクに、さらに化合物を含有させることで、銀原子の析出を抑制できることを見出した。化合物は、一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される構造を持つ化合物、一般式(3)で表される化合物、及び一般式(4)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。本発明者らは、その理由を以下のように推測している。
(一般式(1)で表される化合物)
(一般式(1)中、R11、及びR12は、それぞれ独立に、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はヒドロキシ基である。ただし、R11及びR12がいずれもヒドロキシ基である場合を除く。)
一般式(1)で表される化合物は、スルホニル基(−S(=O))を有するため、スルホニル基の酸素原子と、ケイ素部材の表面のケイ素と結合しているヒドロキシ基(…−Si−Si−OH)の水素原子が水素結合しやすい。これにより、水性インクと接触するケイ素部材の表面に、一般式(1)で表される化合物が付着するため、インク中に存在している水酸化物イオン(OH)がケイ素部材の表面に近づきにくく、式(7)の反応が起こりにくい。これにより、インク中へのケイ素の溶出、及び電子の発生が抑制されるため、式(5)の平衡が左に偏りにくく、銀原子(Ag)の析出が抑制される。
また、一般式(1)で表される化合物の有するスルホニル基(−S(=O))の硫黄原子(S)は、電子供与体であるため、銀粒子中の銀原子(Ag)と電子対を介して結合しやすい。そのため、化合物が銀粒子に近づくと、化合物中の硫黄原子(S)と、銀粒子中の銀原子(Ag)が結合することで、銀粒子が化合物に覆われる。これにより、水分子が銀粒子に近づきにくくなるため、式(6)の平衡が右に偏りにくくなり、水酸化物イオン(OH)が生じにくい。そのため、式(7)の反応が起こりにくい。これにより、インク中へのケイ素の溶出、及び電子の発生が抑制されるため、式(5)の平衡が左に偏りにくく、銀原子(Ag)の析出が抑制される。
さらに、銀粒子が化合物で覆われることで、銀粒子が、析出した銀原子と融合しにくくなり、析出物が大きくなりにくい。このような理由から、一般式(1)で表される化合物をインクに含有させることで、銀原子の析出を抑制できる。
(一般式(2)で表される構造を持つ化合物)
(一般式(2)中、R21、R22、R23、及びR24は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、又はスルホン酸基である。一般式(2)で表される構造を持つ化合物は、単糖、又は2糖以上の化合物である。2糖以上の化合物である場合、1位の炭素、及び2位、3位、又は4位の炭素が結合して重合し、単糖と単糖の間が単結合で連なった化合物である。)
一般式(2)で表される構造を持つ化合物は、ヒドロキシ基を有するため、化合物の有するヒドロキシ基と、ケイ素部材の表面のケイ素と結合しているヒドロキシ基(…−Si−Si−OH)との間で脱水縮合する。これにより、水性インクと接触するケイ素部材の表面に一般式(2)で表される構造を持つ化合物が付着するため、インク中に存在している水酸化物イオン(OH)がケイ素部材の表面に近づきにくく、式(7)の反応が起こりにくい。これにより、インク中へのケイ素の溶出、及び電子の発生が抑制されるため、式(5)の平衡が左に偏りにくく、銀原子(Ag)の析出が抑制される。
(一般式(3)で表される化合物)
(一般式(3)中、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。R31、及びR32は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はカルボキシアルキル基である。)
一般式(3)で表される化合物は、ヒドロキシ基を有するため、化合物の有するヒドロキシ基と、ケイ素部材の表面のケイ素と結合しているヒドロキシ基(…−Si−Si−OH)との間で脱水縮合する。これにより、水性インクと接触するケイ素部材の表面に一般式(3)で表される化合物が付着するため、インク中に存在している水酸化物イオン(OH)がケイ素部材の表面に近づきにくく、式(7)の反応が起こりにくい。これにより、インク中へのケイ素の溶出、及び電子の発生が抑制されるため、式(5)の平衡が左に偏りにくく、銀原子(Ag)の析出が抑制される。
(一般式(4)で表される化合物)
(一般式(4)中、Aは、窒素原子、又はリン原子である。R41、R42、R43、及びR44は、それぞれ独立に、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はカルボキシアルキル基である。)
一般式(4)で表される化合物は、プラスの電荷を有するため、ケイ素部材の表面のケイ素と結合しているヒドロキシ基(…−Si−Si−OH)の酸素原子に引き寄せられて、水素原子の代わりにカチオンが酸素原子に結合する。これにより、水性インクと接触するケイ素部材の表面に、一般式(4)で表される化合物が付着するため、インク中に存在している水酸化物イオン(OH)がケイ素部材の表面に近づきにくく、式(7)の反応が起こりにくい。これにより、インク中へのケイ素の溶出、及び電子の発生が抑制されるため、式(5)の平衡が左に偏りにくく、銀原子(Ag)の析出が抑制される。
本発明のインクジェット記録方法は、水性インクと接触するとともにケイ素及びケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の材料で構成される部材を備えるインクジェット記録装置を用いる。水性インクと接触するとともにケイ素及びケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の材料で構成される部材として、記録ヘッドのインク流路形成部材などが挙げられる。以下、記録ヘッドのインク流路形成部材が、ケイ素及びケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の材料で構成される部材である場合を例にとって説明する。
図1は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)は記録ヘッドの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34には記録ヘッド36が搭載可能となっている。記録ヘッド36は、記録素子基板38、及びインク収容部40が一体の構成となっている。記録ヘッド36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド36から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
図2は、記録ヘッドの一部を破断して示す模式図である。シリコン基板101の上面には、電気熱変換素子102と駆動回路(不図示)が配置される。シリコン基板の材料としては、ケイ素、ケイ素化合物(酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素など)などを用いることができる。シリコン基板101には、電気熱変換素子102に対応する位置に吐出口103が開口し、吐出口103はインク供給口104に連通している。このインク供給口104や吐出口103を含むインク流路に、ケイ素及びケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の材料が用いられている。
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
<インク>
インクは、銀粒子、並びに一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される構造を持つ化合物、一般式(3)で表される化合物、及び一般式(4)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有する。
(銀粒子)
銀粒子は、銀原子で構成されている。銀粒子は、銀原子以外にも、他の金属原子、酸素原子、硫黄原子、炭素原子などを含んで構成されていてもよいが、銀粒子中の銀原子の割合(%)は、50.0質量%以上であることが好ましい。
銀粒子の製造方法としては、例えば、銀の塊をボールミルやジェットミルなどの粉砕機で粉砕する方法(粉砕法)、銀イオン又は銀錯体を還元剤により還元して凝集させる方法(還元法)などが挙げられる。本発明においては、銀粒子の粒径制御のしやすさ、及び銀粒子の分散安定性の観点から、銀粒子を還元法により製造することが好ましい。
[銀粒子の体積基準の累積50%粒径(D50)]
銀粒子の体積基準の累積50%粒径とは、粒径積算曲線において、測定された銀粒子の総体積を基準として小粒径側から積算して50%となった際の粒子直径のことである。銀粒子の体積基準の累積50%粒径(nm)は、150nm以下であることが好ましい。銀粒子の粒径積算曲線は、その曲線の幅が広いため、粒径の大きな銀粒子が含まれてしまう。しかし、D50を150nm以下とすると、200nmを超える大きな粒径の銀粒子の割合が少なくなるため、粒径の大きな銀粒子が存在しにくい。D50が150nm以下であると、銀粒子の粒径が小さいため、インクがケイ素部材に長期間接触してより多くの銀が析出しても、大きな析出物になりにくい。これにより、インクの保存安定性はさらに向上する。銀粒子の体積基準の累積50%粒径(nm)は、1nm以上150nm以下であることがより好ましく、10nm以上100nm以下であることがさらに好ましい。D50は動的光散乱法で測定する。
[銀粒子の分散方法]
銀粒子の分散方法としては、分散剤として界面活性剤を用いる界面活性剤分散タイプ、分散剤として樹脂を用いる樹脂分散タイプなどが挙げられる。勿論、インクにおいて、分散方法が異なる銀粒子を併用することも可能である。
界面活性剤分散タイプにおいて分散剤として用いる界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを用いることができる。アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステルなどが挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、フッ素系化合物、シリコーン系化合物などが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩などが挙げられる。両性界面活性剤としては、アルキルアミンオキサイド、ホスファジルコリンなどが挙げられる。
樹脂分散タイプにおいて分散剤として用いる樹脂は、親水性部位と疎水性部位を共に有することが好ましい。樹脂としては、ポリビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アミノ系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系高分子化合物などが挙げられる。このように、界面活性剤や樹脂を用いることで、銀粒子を安定に分散させ、析出しにくくすることができる。さらに、樹脂は、ノニオン性であることが好ましい。樹脂がアニオン性であると、カウンターイオンとしてナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオンを有する。アルカリ金属イオンは、ケイ素部材の表面のケイ素と結合しているヒドロキシ基(…−Si−Si−OH)の有する酸素原子と結合したり、離れたりを繰り返すことで、ケイ素をインク中へ引っ張り、インク中へのケイ素の溶出を促進させる。これに伴い、多数の電子も発生するため、銀原子の析出が促進される。
樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上100,000以下であることが好ましく、3,000以上50,000以下であることがさらに好ましい。
インクは、さらに、界面活性剤、及びノニオン性の樹脂の少なくとも一方を含有することが好ましい。インク中の界面活性剤、及びノニオン性の樹脂の含有量(質量%)は、前記銀粒子の含有量(質量%)に対する質量比率(倍)で、0.02倍以上3.00倍以下であることが好ましい。インク中の界面活性剤、及びノニオン性の樹脂の含有量(質量%)は、インクが界面活性剤、及びノニオン性の樹脂をいずれも含有する場合、界面活性剤、及びノニオン性の樹脂の合計の含有量のことである。前記比率が0.02倍未満であると、銀粒子に対して分散剤が少なすぎるため、銀粒子が分散剤により覆われにくくなる。そのため、析出した銀原子と銀粒子が融合して、析出物が大きくなりやすい。これにより、インクがケイ素部材に長期間接触すると、銀原子の析出を十分に抑制できない場合がある。前記比率が3.00倍を超えると、銀粒子に対して分散剤が多すぎるため、銀粒子が融着しにくくなる。これにより、画像の光沢性が十分に得られない場合がある。
インク中の銀粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、2.0質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。前記含有量が2.0質量%未満であると、銀粒子が少なすぎるため、記録媒体に銀膜を形成しにくく、画像の光沢性が十分に得られない場合がある。前記含有量が15.0質量%を超えると、銀粒子が多すぎるため、記録ヘッドがインクを吐出するための発熱部を有する場合、発熱部に銀粒子が付着しやすく、インクにかかる発泡エネルギーは大きくなり、インクの吐出安定性が十分に得られない場合がある。インク中の銀粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、2.0質量%以上8.0質量%以下であることがさらに好ましい。
(化合物)
インクは、一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される構造を持つ化合物、一般式(3)で表される化合物、及び一般式(4)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有する。まず、化合物の有する基(アルキル基、ヒドロキシアルキル基、及びカルボキシアルキル基)について、説明する。
アルキル基としては、炭素数1以上10以下の直鎖、又は分岐鎖のアルキル基であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基などが挙げられる。ヒドロキシアルキル基は、上述したアルキル基の水素原子をヒドロキシ基に置換したものである。カルボキシアルキル基は、上述したアルキル基の水素原子をカルボキシ基に置換したものである。
[一般式(1)で表される化合物]
(一般式(1)中、R11、及びR12は、それぞれ独立に、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はヒドロキシ基である。ただし、R11及びR12がいずれもヒドロキシ基である場合を除く。)
アルキル基は、炭素数1以上3以下の直鎖、又は分岐鎖のアルキル基であることが好ましく、メチル基、及びイソプロピル基からなる群より選択される少なくとも1種であることがさらに好ましい。ヒドロキシアルキル基は、炭素数1以上3以下の直鎖のヒドロキシアルキル基であることが好ましい。銀粒子にヒドロキシアルキル基を有する一般式(1)で表される化合物が結合すると、ヒドロキシアルキル基が親水性であるため、インク中で銀粒子を分散させやすい。そのため、析出した銀原子と銀粒子が融合しにくくなり、析出物が大きくなりにくい。なかでも、ヒドロキシアルキル基を2つ有するビス(2−ヒドロキシアルキル)スルホン類であることが好ましく、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンであることがさらに好ましい。
しかし、アルキル基の水素原子を置換する基がヒドロキシ基ではなく、カルボキシ基、シアノ基、イソシアネート基、アミノ基、チオール基、ジスルフィド結合を有する基である場合、銀原子の析出を抑制できない。また、一般式(1)で表される化合物の構造とは異なるが、チオシアン酸ナトリウムのように、上述の官能基にも挙げているシアン酸基と硫黄原子を含む化合物も同様に、銀原子の析出を抑制できない。その理由は以下のように推測される。銀粒子は、一般式(1)で表される化合物の有する硫黄原子と結合するが、さらに化合物が上述の銀原子と親和性の高い官能基を有すると、官能基にも銀原子を含む銀粒子が結合してしまう。このように、上述の官能基を有する化合物を用いると、硫黄原子と上述の官能基の2つの部位で銀粒子が結合するため、ケイ素部材の周りで銀粒子同士の凝集を促進させてしまう。これにより、銀原子の析出を抑制できない。
水性インク中の一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)は、銀粒子の含有量(質量%)に対する質量比率(倍)で、0.3倍以上4.5倍以下であることが好ましい。前記比率が0.3倍未満であると、銀粒子に付着する化合物が少なすぎるため、インク中へのケイ素の溶出、及び電子の発生を抑制しにくい。そのため、銀原子の析出を十分に抑制できない場合がある。前記比率が4.5倍を超えると、銀粒子に対して化合物が多すぎるため、銀粒子が化合物に覆われ、銀粒子が融着しにくくなる。これにより、画像の光沢性が十分に得られない場合がある。
インク中の一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)は、30.0質量%以下であることが好ましい。前記含有量が30.0質量%を超えると、化合物が多すぎるため、銀粒子が化合物に覆われ、銀粒子が融着しにくくなる。これにより、画像の光沢性が十分に得られない場合がある。前記含有量は、1.50質量%以上であることがさらに好ましい。
[一般式(2)で表される構造を持つ化合物]
(一般式(2)中、R21、R22、R23、及びR24は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、又はスルホン酸基である。一般式(2)で表される構造を持つ化合物は、単糖、又は2糖以上の化合物である。2糖以上の化合物である場合、1位の炭素、及び2位、3位、又は4位の炭素が結合して重合し、単糖と単糖の間が単結合で連なった化合物である。)
OR21、OR22、OR23、CHOR24と、これらの基が結合する炭素原子を挟んで対極にある水素原子(不図示)との上下の位置関係は、限定されない。また、鏡像異性体であってもよい。R22、又はR24が水素原子、ヒドロキシアルキル基、又はカルボキシアルキル基である場合、両者が分子内で脱水縮合していてもよい。さらに、一般式(2)で表される構造を持つ化合物は、単糖、又は2糖以上の化合物である。2糖以上の化合物である場合、1位の炭素、及び2位、3位、又は4位の炭素が結合して重合し、単糖と単糖の間が単結合で連なった化合物である。ここで、1位の炭素は、一般式(2)中、OHと結合している炭素のことであり、2位の炭素は、一般式(2)中、OR23と結合している炭素のことである。さらに、3位の炭素は、一般式(2)中、OR22と結合している炭素のことであり、4位の炭素は、一般式(2)中、OR21と結合している炭素のことである。
なかでも、一般式(2)で表される構造を持つ化合物は、複数のヒドロキシ基を有することが好ましい。化合物がヒドロキシ基を介して銀粒子とも結合することで、化合物が銀粒子を覆い、銀粒子と析出した銀粒子を融合しにくくすることで、大きな析出物となりにくい。これにより、銀原子の析出を効果的に抑制できる。一般式(2)で表される構造を持つ化合物は、1位の炭素、及び2位、3位、又は4位の炭素が結合して重合した直鎖、又は分岐鎖の高分子化合物であることが好ましく、カルボキシアルキルセルロース類であることがさらに好ましい。高分子化合物であることにより、立体的に大きいため、化合物が銀粒子を覆いやすく、銀粒子と析出した銀粒子を融合しにくくすることで、大きな析出物となりにくい。これにより、銀原子の析出を効果的に抑制できる。なかでも、カルボキシアルキルセルロース類は、カルボキシメチルセルロースであることが好ましい。
水性インク中の一般式(2)で表される構造を持つ化合物の含有量(質量%)は、前記銀粒子の含有量(質量%)に対する質量比率(倍)で、0.2倍以下であることが好ましい。前記比率は、0.05倍以上であることがさらに好ましい。インク中の一般式(2)で表される構造を持つ化合物の含有量(質量%)は、1.0質量%以下であることが好ましい。前記含有量が1.0質量%を超えると、R21、R22、R23、及びR24の一部又はすべてがカルボキシアルキル基である場合に、銀原子と親和性の高いカルボキシ基により、化合物と複数の銀粒子が結合する。これにより、ケイ素部材の周りで銀粒子同士の凝集を促進させてしまい、銀原子の析出を十分に抑制できない場合がある。前記含有量は、0.1質量%以上であることがさらに好ましい。
一般式(2)で表される構造を持つ化合物は、塩型でないことが好ましい。塩としてナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオンを有する場合、アルカリ金属イオンが、ケイ素部材の表面のケイ素と結合しているヒドロキシ基(…−Si−Si−OH)の有する酸素原子と結合したり、離れたりを繰り返す。これにより、ケイ素を引っ張り、インク中へのケイ素の溶出を促進させる。これに伴い、多数の電子も発生するため、銀原子の析出が促進され、銀原子の析出を十分に抑制できない場合がある。一般式(2)で表される構造を持つ化合物の塩型としては、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどが挙げられる。インク中の一般式(2)で表される構造を持つ化合物の塩型の含有量(質量%)は、0.1質量%以下であることが好ましく、0.0質量%であることがさらに好ましい。
[一般式(3)で表される化合物]
(一般式(3)中、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。R31、及びR32は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はカルボキシアルキル基である。)
カルボキシアルキル基は、炭素数1以上3以下のカルボキシアルキル基であることが好ましい。
一般式(3)で表される化合物は、複数のヒドロキシ基を有することが好ましい。化合物がヒドロキシ基を介して銀粒子とも結合することで、化合物が銀粒子を覆い、銀粒子と析出した銀粒子を融合しにくくすることで、大きな析出物となりにくい。これにより、銀原子の析出を効果的に抑制できる。
一般式(3)で表される化合物が、クエン酸のように複数のカルボキシ基を有する場合、銀イオンと錯体を形成するため、式(5)において平衡が左に偏りにくく、銀粒子の析出を抑制できる。
水性インク中の一般式(3)で表される化合物の含有量(質量%)は、前記銀粒子の含有量(質量%)に対する質量比率(倍)で、0.3倍以上1.0倍以下であることが好ましい。インク中の一般式(3)で表される化合物の含有量(質量%)は、5.0質量%以下であることが好ましい。前記含有量が5.0質量%を超えると、R31、及びR32の一部又はすべてがカルボキシアルキル基である場合に、銀原子と親和性の高いカルボキシ基により、化合物と複数の銀粒子が結合し、ケイ素部材の周りで銀粒子同士の凝集を促進させてしまう。これにより、銀原子の析出を十分に抑制できない場合がある。前記含有量は、0.1質量%以上であることが好ましい。
一般式(3)中、Mは、水素原子であることが好ましい。Mがアルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである場合、一般式(3)で表される化合物は、塩型となる。一般式(2)で表される構造を持つ化合物の塩型の場合と同様の理由で、銀原子の析出を十分に抑制できない場合がある。インク中の一般式(3)で表される化合物の塩型の含有量(質量%)は、0.1質量%以下であることが好ましく、0.0質量%であることがさらに好ましい。
[一般式(4)で表される化合物]
(一般式(4)中、Aは、窒素原子、又はリン原子である。R41、R42、R43、及びR44は、それぞれ独立に、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はカルボキシアルキル基である。)
Aが窒素原子である場合、R41、R42、R43、及びR44は、それぞれ独立に、アルキル基、又はカルボキシアルキル基であることが好ましい。Aがリン原子である場合、R41、R42、R43、及びR44は、それぞれ独立に、アルキル基であることが好ましい。
アルキル基は、炭素数1以上4以下のアルキル基であることが好ましく、ヒドロキシアルキル基は、炭素数1以上2以下のヒドロキシアルキル基であることが好ましい。
水性インク中の一般式(4)で表される化合物の含有量(質量%)は、前記銀粒子の含有量(質量%)に対する質量比率(倍)で、0.1倍以上1.0倍以下であることが好ましい。インク中の一般式(4)で表される化合物の含有量(質量%)は、0.2質量%以上2.0質量%以下であることが好ましい。
なかでも、インクは、一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される構造を持つ化合物、及び一般式(3)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有することが好ましい。
(水性媒体)
インクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有する。水としては脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。水溶性有機溶剤は、一般式(1)で表される化合物以外の水溶性有機溶剤(その他の水溶性有機溶剤)を併用することができる。その他の水溶性有機溶剤としては特に限定されるものではなく、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、及び含窒素化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。これらの水溶性有機溶剤の1種又は2種以上をインクに含有させることができる。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、インク中の、水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤の含有量が3.0質量%未満であると、インクをインクジェット記録装置に用いる場合に耐固着性などの信頼性が十分に得られない場合がある。また、水溶性有機溶剤の含有量が50.0質量%超であると、インクの粘度が上昇して、インクの供給不良が起きる場合がある。
(その他の成分)
インクには、上記成分の他に、尿素やその誘導体、トリメチロールプロパン、及びトリメチロールエタンなどの温度25℃で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。また、本発明のインクには、必要に応じて、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、及びキレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
(インクの物性)
インクの温度25℃における粘度(mPa・s)は、1mPa・s以上5mPa・s以下であることが好ましく、1mPa・s以上3mPa・s以下であることがさらに好ましい。また、インクの温度25℃における表面張力(mN/m)は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上60mN/m以下であることがより好ましく、30mN/m以上40mN/m以下であることがさらに好ましい。
以下、実施例、及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」、及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<銀粒子を含む液体の調製>
(銀粒子1を含む液体)
0.25mol/Lの硫酸鉄(II)七水和物(和光純薬工業製)、及び0.50mol/Lのクエン酸三ナトリウム二水和物(和光純薬工業製)を含む水溶液500mLに、0.83mol/Lの硝酸銀水溶液(和光純薬工業製)100mLを3秒間かけて添加した。この溶液を温度20℃で30秒間、300rpmで撹拌した。得られた溶液を3,000rpmで遠心分離し、回収した固形分を水に分散させることで、銀粒子1を含む液体(銀粒子1の含有量が40.0%)を得た。その際、還元剤として用いるクエン酸三ナトリウム二水和物は、完全に除去した。銀粒子1のD50は、動的光散乱法による粒度分布計(DLS−6500、大塚電子製)を使用して、測定した。測定条件は、Setzero:30s、測定回数:3回、測定時間:180秒、形状:真球形、屈性率:1.59である。銀粒子1のD50は、50nmだった。
(銀粒子2を含む液体)
撹拌速度を変更したこと以外は、銀粒子1を含む液体と同様の方法で、銀粒子2を含む液体(銀粒子2の含有量が40.0%)を得た。銀粒子2のD50は、150nmだった。
(銀粒子3を含む液体)
撹拌速度を変更したこと以外は、銀粒子1を含む液体と同様の方法で、銀粒子2を含む液体(銀粒子3の含有量が40.0%)を得た。銀粒子3のD50は、200nmだった。
<銀粒子分散液の調製>
特開2004−285106号公報の実施例2−2の調製方法の記載に準じて、銀粒子分散液(銀粒子の含有量が40.0%、界面活性剤の含有量が4.0%)を得た。銀粒子のD50は、40nmだった。
<水溶性樹脂を含む液体の調製>
常法で製造されたスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体を、共重合体の酸価と等モル量の水酸化カリウム水溶液で中和し、樹脂の含有量が20.0%である水溶性樹脂を含む液体を調製した。スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体は、アニオン性の樹脂である。
<インクの調製>
表1及び2に記載の各成分を混合して、十分撹拌した後、ポアサイズ1.2μmのフィルターにて加圧ろ過を行い、インクを得た。BYK−356、BYK−154、及びDISPERBYK−190は、ビックケミー製のノニオン性の樹脂である。
<評価>
本発明においては、下記の評価の評価基準で、AA、A又はBを許容できるレベルとし、Cを許容できないレベルとした。評価結果は、表3に記載する。
(銀原子の析出抑制)
上記で得られたインクを、インクカートリッジに充填して、図1(b)に記載の記録ヘッドにセットした。記録ヘッドにセットして数時間後に、ケイ素部材で形成されたインク流路にインクが充填されていることを確認した。インク流路にインクが充填された記録ヘッドは、シール材で封止した後、ブリスターパックに封入し、温度60℃の恒温槽で、1ヵ月、及び2ヵ月放置した。その後、ブリスターパックを恒温槽から取り出し、室温に戻した。
1ヵ月放置した記録ヘッド、及び2ヵ月放置した記録ヘッドのインク流路を光学顕微鏡、及び電子顕微鏡で観察し、銀原子の析出物の有無を確認した。以下の評価基準にしたがって評価した。
AA:光学顕微鏡、及び電子顕微鏡のいずれを用いても析出物がみられなかった
A:光学顕微鏡を用いると析出物がみられなかったが、電子顕微鏡を用いるとナノサイズの析出物がみられた
B:光学顕微鏡を用いると記録素子基板の一部分にミクロンサイズの析出物がみられた
C:光学顕微鏡を用いると記録素子基板の全体にミクロンサイズの析出物がみられた
(画像の光沢性)
上記で得られたインクを、インクジェット記録装置(PIXUS iP8600、キヤノン製)の記録ヘッドのインク流路に充填した。本実施例において、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴あたり2.5pLのインク滴を8滴付与する条件で記録した画像を記録デューティが100%であると定義する。前記インクジェット記録装置を用いて、光沢紙(キヤノン写真用紙・光沢 プロ [プラチナグレード];キヤノン製)に表3に記載のインクを付与し、記録デューティが100%であるベタ画像を記録した。得られた画像を24時間自然乾燥させた後、JIS Z 8741に基づく20度鏡面光沢度を、光沢計(VG 7000、日本電色工業製)を用いて測定した。以下の評価基準にしたがって評価した。AA:光沢度が500以上だった
A:光沢度が500未満だった

Claims (18)

  1. 水性インク、並びに前記水性インクと接触するとともにケイ素及びケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の材料で構成される部材を備えるインクジェット記録装置を用いるインクジェット記録方法であって、
    前記水性インクが、銀粒子、並びに下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される構造を持つ化合物、下記一般式(3)で表される化合物、及び下記一般式(4)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録方法。

    (一般式(1)中、R11、及びR12は、それぞれ独立に、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はヒドロキシ基である。ただし、R11及びR12がいずれもヒドロキシ基である場合を除く。)

    (一般式(2)中、R21、R22、R23、及びR24は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、又はスルホン酸基である。一般式(2)で表される構造を持つ化合物は、単糖、又は2糖以上の化合物である。2糖以上の化合物である場合、1位の炭素、及び2位、3位、又は4位の炭素が結合して重合し、単糖と単糖の間が単結合で連なった化合物である。)

    (一般式(3)中、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。R31、及びR32は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はカルボキシアルキル基である。)

    (一般式(4)中、Aは、窒素原子、又はリン原子である。R41、R42、R43、及びR44は、それぞれ独立に、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はカルボキシアルキル基である。)
  2. 前記銀粒子の体積基準の累積50%粒径(nm)が、150nm以下である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記水性インクが、前記一般式(1)で表される化合物、前記一般式(2)で表される構造を持つ化合物、及び前記一般式(3)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有する請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記水性インクが、前記一般式(1)で表される化合物を含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記水性インク中の前記一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)が、前記銀粒子の含有量(質量%)に対する質量比率(倍)で、0.3倍以上4.5倍以下である請求項4に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記一般式(1)における、前記R11、及び前記R12が、ヒドロキシアルキル基である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記水性インクが、前記一般式(2)で表される構造を持つ化合物を含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記水性インク中の前記一般式(2)で表される構造を持つ化合物の含有量(質量%)が、前記銀粒子の含有量(質量%)に対する質量比率(倍)で、0.2倍以下である請求項7に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記一般式(2)における、前記R21、前記R22、及び前記R23が、それぞれ独立に、水素原子、又はカルボキシアルキル基である請求項1乃至3、7、及び8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記水性インクが、前記一般式(3)で表される化合物を含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  11. 前記水性インク中の前記一般式(3)で表される化合物の化合物の含有量(質量%)が、前記銀粒子の含有量(質量%)に対する質量比率(倍)で、0.3倍以上1.0倍以下である請求項10に記載のインクジェット記録方法。
  12. 前記一般式(3)における、前記R31、及びR32が、それぞれ独立に、カルボキシアルキル基である請求項1乃至3、10、及び11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  13. 前記水性インクが、前記一般式(4)で表される化合物を含有する請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  14. 前記水性インク中の前記一般式(4)で表される化合物の化合物の含有量(質量%)が、前記銀粒子の含有量(質量%)に対する質量比率(倍)で、0.1倍以上1.0倍以下である請求項13に記載のインクジェット記録方法。
  15. 前記一般式(4)における、前記R41、前記R42、前記R43、及び前記R44が、それぞれ独立に、アルキル基、又はヒドロキシアルキル基である請求項1、2、13、及び14のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  16. 前記水性インクが、さらに、界面活性剤、及びノニオン性の樹脂の少なくとも一方を含有する請求項1乃至15のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  17. 前記水性インク中の前記界面活性剤、及び前記ノニオン性の樹脂の含有量(質量%)が、前記銀粒子の含有量(質量%)に対する質量比率(倍)で、0.02倍以上3.00倍以下である請求項16に記載のインクジェット記録方法。
  18. 水性インク、並びに前記水性インクと接触するとともにケイ素及びケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種の材料で構成される部材を備えるインクジェット記録装置であって、
    前記水性インクが、銀粒子、並びに下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される構造を持つ化合物、下記一般式(3)で表される化合物、及び下記一般式(4)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録装置。

    (一般式(1)中、R11、及びR12は、それぞれ独立に、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はヒドロキシ基である。ただし、R11及びR12がいずれもヒドロキシ基である場合を除く。)

    (一般式(2)中、R21、R22、R23、及びR24は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、又はスルホン酸基である。一般式(2)で表される構造を持つ化合物は、単糖、又は2糖以上の化合物である。2糖以上の化合物である場合、1位の炭素、及び2位、3位、又は4位の炭素が結合して重合し、単糖と単糖の間が単結合で連なった化合物である。)

    (一般式(3)中、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。R31、及びR32は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はカルボキシアルキル基である。)

    (一般式(4)中、Aは、窒素原子、又はリン原子である。R41、R42、R43、及びR44は、それぞれ独立に、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はカルボキシアルキル基である。)
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