JP2019027888A - 放射線遮蔽材、および放射性物質保管容器 - Google Patents
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1.放射性セシウム含有焼却飛灰と、アルカリ活性剤と、カルシウムアルミネート水和物とを含む組成物を、混練、固化してなるジオポリマーからなることを特徴とする放射線遮蔽材。
2.前記組成物が、腐食抑制剤を含むことを特徴とする1.に記載の放射線遮蔽材。
3.前記組成物が、放射性セシウム含有焼却主灰を含むことを特徴とする1.または2.に記載の放射線遮蔽材。
4.鉄筋が包埋されていることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の放射線遮蔽材。
5.前記鉄筋が、エポキシ樹脂塗装鉄筋、または、ステンレス鉄筋であることを特徴とする4.に記載の放射線遮蔽材。
6.1.〜5.のいずれかに記載の放射線遮蔽材を備えることを特徴とする放射性物質保管容器。
7.前記放射線遮蔽材で形成された直方体形状のユニット部材が組み合わされてなることを特徴とする6.に記載の放射性物質保管容器。
ジオポリマーとは、アルミニウムとケイ素を主原料として構成されたアモルファス状の無機材料であり、活性フィラーとアルカリ活性剤が反応して生成される3次元の網目構造を有する固化体である。本発明は、活性フィラーである放射性セシウム含有焼却飛灰と、アルカリ活性剤と、カルシウムアルミネート水和物とを含む組成物を混練、固化してなるジオポリマーを用いることを特徴とする。また、本発明において、ジオポリマーを形成するための組成物は、放射性セシウム含有焼却主灰や骨材等の非活性フィラー、添加剤等を含むことができる。
放射性セシウム含有焼却飛灰とは、ゴミ焼却場等で生じる放射性セシウムを含有する焼却飛灰である。ここで、焼却場で生じる焼却灰は、飛灰と主灰とに大別できる。飛灰とは、排ガス中の煤塵であり、主灰とは、焼却炉の炉底に溜まる残渣である。飛灰は、主灰と比べて、セシウム、重金属、塩素を多量に含む。また、含有するアルミニウムやケイ素により活性フィラーとして作用することができ、アルカリ活性剤と反応・固化してジオポリマーとすることができる。
アルカリ活性剤は、放射性セシウム含有焼却飛灰に含まれるアルミニウムやケイ素の縮重合反応を促進するものである。アルカリ活性剤を構成するアルカリには、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどの広義のアルカリ土類金属が適しており、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化セシウムなどの水酸化物や、ケイ酸ナトリウムやケイ酸カリウムあるいはケイ酸ナトリウム水溶液(水ガラス)等を用いることができる。また、これらの金属を含む炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩なども用いることができる。特に炭酸セシウムは、水に対する溶解度が高く、水溶液として用いるのに適している。
放射性セシウム含有焼却飛灰は、除染物や家庭ごみなど様々な廃棄物が焼却されて生じたものであり、塩化物イオンを豊富に含む。そのため、放射性セシウム含有焼却飛灰を含む組成物を固化したジオポリマーは、鉄筋を加えて補強すると塩化物イオンにより鉄筋が腐食してしまう。
カルシウムアルミネート水和物(以下、ハイドロカルマイトともいう。一般式:3CaO・Al2O3・CaX2/m・nH2O[式中、Xは1価または2価のアニオンであり、mはアニオンの価数を表し、n≦20を表す])は、塩化物イオンを吸着、固定することができるため、ポルトランドセメントの塩分吸着剤として知られている(特公平07−115900号公報参照)。また、上記、ハイドロカルマイトの一般式において、XがNO2 −である場合には、当該物質が塩分吸着剤として、鉄筋の腐食要因である塩化物イオンを吸着するのみならず、腐食抑制効果のある亜硝酸イオンを放出する作用を有するため、優れた塩害防止効果を発揮することが知られており(特公平07−115900号公報参照)、優れた防錆効果を奏する。
放射性セシウム含有焼却飛灰は、カルシウムアルミネート水和物とともにジオポリマーとして固化されるが、焼却飛灰中の塩化物量が多い場合には、カルシウムアルミネート水和物の添加量が増え、高コストとなり、また、固化後の強度が低下する場合がある。ここで、エポキシ樹脂塗装鉄筋(土木学会規準JSCE E 102「エポキシ樹脂塗装鉄筋の品質規格」)やステンレス鉄筋(JIS G 4322)は、塩化物に対する耐食性に優れる鉄筋として知られており、例えば、ステンレス鉄筋(SUS 316−SD)を用いると、固化体中の塩化物量が24kg/m3程度までは、防食性能を期待して使用することができる(土木学会:コンクリートライブラリー130、ステンレス鉄筋を用いるコンクリート構造物の設計施工指針(案)、2008年)。そのため、焼却飛灰中の塩化物量が多いときに鉄筋などの補強材を用いる場合には、通常の鋼材(例えば、JIS G3112、G3117相当の鉄筋)に代わり、エポキシ樹脂塗装鉄筋やステンレス鉄筋を使用することが好ましい。なお、鉄筋の防食の観点から、炭素繊維やアラミド繊維を樹脂で固めた棒材が鉄筋の代替材となることが知られている。本発明においても適用できるが、コストが高いこと、曲げ加工など加工が容易でないことから、カルシウムアルミネート水和物と、エポキシ樹脂塗装鉄筋あるいはステンレス鉄筋の併用で十分な効果が期待できない場合に適用することが好ましい。
まず、ジオポリマー組成物1m3あたりのカルシウムアルミネート水和物の添加量を、重量単位(kg/m3)で初期値としてHCと仮定する。次に、ジオポリマー組成物1m3あたりの塩化物量(単位:kg/m3)を求める。組成物1m3あたりの塩化物量は、活性フィラー、アルカリ活性剤、非活性フィラー等の塩化物の含有率と使用量の積を合計して算出する。
#:土木学会,ステンレス鉄筋を用いるコンクリート構造物の設計施工指針(案),コンクリートライブラリー130、2008年。
(式1)
C0<C/(1−erf(x/2√Dt))
式はフィックの拡散則に基づく。
C0 :ジオポリマー中の塩化物量の上限(kg/m3)
C :エポキシ樹脂塗装鉄筋に用いた鉄筋の腐食発生限界塩化物イオン濃度
(JIS G3112、G3117相当の鉄筋であれば1.2kg/m3、 表1の計算ではこの値を適用)
erf:誤差関数
x :エポキシ樹脂塗装の厚さ(cm:表1の計算では0.022cm)
D :エポキシ樹脂塗装内の塩化物イオンの拡散係数
(cm2/年:表1の計算では2.0×10−6cm2/年)
t :使用期間(年)
計算に用いた値(上のパラメーターの説明で示した値)は、土木学会、エポキシ樹脂塗装鉄筋を用いる鉄筋コンクリートの設計施工指針[改訂版]、コンクリートライブラリー112、2003年による。
(式2)
[ジオポリマー中の塩化物量の上限]≧[ジオポリマー中の塩化物量]−([カルシウムアルミネート水和物の添加量:HC(※)]/0.560×2×35.5/1000)
※:カルシウムアルミネート水和物を3CaO・Al2O3・Ca(OH)2・12H2Oとしたときの、ジオポリマー組成物1m3あたりの重量。亜硝酸塩を含むとき、水や不純物などの共存物があるときは、3CaO・Al2O3・Ca(OH)2・12H2Oに換算して計算する。
式2中、35.5は塩素の原子量、2は1モルの3CaO・Al2O3・Ca(OH)2・12H2Oに固定される塩化物イオンのモル数、0.560は3CaO・Al2O3・Ca(OH)2・12H2Oの式量に従い、1モルあたりの重量(kg)を表す。
本発明において、鉄筋の防錆は、カルシウムアルミネート水和物の添加と鉄筋の材質の選択により行うが、通常の鉄筋(JIS G3112、G3117相当品)や同等の防食性を有する鉄骨を用いる場合には、使用中の外部からの塩化物イオンの浸入や、焼却灰の塩化物含有量のばらつきに対応するため、腐食抑制剤を併用することが好ましい。腐食抑制剤を鉄筋等の鋼材に塗布することやジオポリマー組成物に混合することにより、鉄筋や鉄骨などの金属表面に保護膜を形成して、防錆を行うことができる。腐食抑制剤としては、無機系、有機系のいずれも使用することができる。無機系の腐食抑制剤として、各種のクロム酸塩、亜硝酸塩、ケイ酸塩、ポリリン酸塩などが使用できる。特に、亜硝酸塩は、上記したようにカルシウムアルミネート水和物と併用することで優れた防錆効果を奏する。亜硝酸塩は特定されることなく、亜硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カルシウム等を用いることができる。有機系の腐食抑制剤として、オレイン酸、ダイマー酸、ナフテン酸などのカルボン酸、カルボン酸金属石鹸(ラノリン酸Ca、ナフテン酸Zn、酸化ワックスCa塩、酸化ワックスBa塩など)、スルフォン酸塩(Naスルフォネート、Caスルフォネート、Baスルフォネート)、アミン塩、エステル(高級脂肪酸のグリセリンエステル、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノオレエートなど)、リン酸エステルなどを使用することができる。
本発明において、ジオポリマーを形成する組成物には、非晶質アルミノシリケート(ケイ酸アルミニウム)を含有する、イライト、スティルバイト、カオリナイト、ピロフィライト、アンダルサイト、ベントナイト、カイヤナイト、ミラナイト、グロブナイト、アメス石、コージライト、長石、アロフェンなどの鉱物、メタカオリンなど含水鉱物をか焼したもの、フライアッシュ、高炉水砕スラグ、籾殻灰(ライスハスクアッシュ)、シリカフュームなどの産業副産物、アルミノシリケートを組成とする合成ガラス(ガラス製品)、アルミナセメント、コロイダルシリカ、ガラス状シリカ、シリカゲル、沈降シリカなどの工業製品、軽石や火山灰などの火山噴出物、などを活性フィラーの一部として追加することができる。上記した活性フィラーとして作用する成分を配合することにより、焼却物や焼却施設などの相違により、放射性セシウム含有焼却飛灰の化学組成や化学的な性質が異なる場合でも、適切な性状を有する固化物(ジオポリマー)を得ることができる。放射性セシウム含有焼却飛灰をジオポリマーとして固化し、放射性セシウムの溶出率を低減するためには、メタカオリンやフライアッシュや高炉水砕スラグを活性フィラーとして添加することが好ましく、その割合は活性フィラーの合計100重量部あたり、10重量部以上、40重量部以下とすることが好ましい。放射性セシウムなどの有害物の溶出率を低減するためには、メタカオリンを用いることがより好ましい。
非活性フィラーを混合する際、主灰や土壌、沈殿物などを用いる場合は、強度が著しく低下しないよう、活性フィラー100重量部に対する、非活性フィラーの割合が50重量部以下であることが好ましい。
非活性フィラーを混合する際、砂や砂利などの骨材を用いる場合は、活性フィラー100重量部に対する、非活性フィラーの割合が200重量部以下であることが好ましい。
ジオポリマーは、放射性セシウム含有焼却飛灰とアルカリ活性剤とカルシウムアルミネート水和物と、その他の任意成分を含む組成物を、混練、養生、固化させてなる。
ジオポリマーの混練方法は、常法に従って行うことができ、例えば、以下の方法が挙げられる。
「ジオポリマーの混練方法1」
(1)アルカリ活性剤と水を混合
(2)活性フィラーと非活性フィラーを混合
(3)(2)の混合物に(1)の混合物を投入し、混練
「ジオポリマーの混練方法2」
(1)アルカリ活性剤と水を混合
(2)(1)の混合物に活性フィラーと非活性フィラーを投入
(3)(2)の混合物を混練
「ジオポリマーの混練方法―その他」
(1)アルカリ活性剤と水を混合
(2)(1)の混合物に活性フィラー(複数種類を用いる場合、予め混合しておいても良い)を投入し、混練
(3)(2)の混練物に非活性フィラー(複数種類を用いる場合、予め混合しておいても良い)を投入し、混練
カルシウムアルミネート水和物が液状またはスラリーの場合は、「ジオポリマーの混練方法1」、「ジオポリマーの混練方法2」のどちらの方法でも、(1)の過程で混合する。また、どちらの方法でも(3)の過程で混練後に、カルシウムアルミネート水和物を投入して混合しても良い。
カルシウムアルミネート化合物と水酸化カルシウムの両方をそれぞれ、水溶液またはスラリーとして加える場合には、上記、カルシウムアルミネート水和物が液状またはスラリーの場合の混合方法と同様に混合する。
なお、腐食抑制剤を用いる場合は、鉄筋等の鋼材に塗布するか、または、上記のいずれかの過程でジオポリマー組成物に混合する。
混練したジオポリマーは、所定の型枠に打ち込んで成形し、20℃程度の室温で静置する。脱型できる程度に強度が発現するまで少なくとも24時間、静置することが好ましく、さらに好ましくは、概ね強度発現が収束する一週間以上、静置するとよい。また、成形後、水蒸気を用いて40℃から105℃程度に加熱して、3時間から12時間程度その温度を保持して、固化を促進してもよい。加熱速度、冷却速度は、1時間あたり10℃程度とすることが好ましく、所定の温度での保持時間は、反応の促進と、加熱を行うためのエネルギー消費の観点から3〜6時間程度とすることが好ましい。また、塩化物イオンを吸着、固定するカルシウムアルミネート水和物は、80℃を超えると化合物が次第に転化(ハイドロカルマイト、一般式:3CaO・Al2O3・CaX2/m・nH2O、代表組成:3CaO・Al2O3・Ca(OH)2・13H2Oから、3CaO・Al2O3・6H2Oに変化)し、塩化物を吸着、固定できなくなる。そのため、本発明において、ジオポリマーを加熱養生(蒸気養生)する際の温度は、化学反応による発熱を考慮し、65℃以下であることが好ましい。
さらに、未反応のアルカリが固化体に残る場合には、保管や使用中に乾燥が進むと表面にアルカリ化合物が析出して、表面の美観や凹凸に関わる形状を損なうことがある。これを避けるためには、固化後に水漬や水洗するとよい。ただし、固定されない放射性セシウムなどの有害成分の一部が溶出することがあるため、処理に使用した水は溶出成分に応じた処理や管理を行う。
上記組成物が固化してなるジオポリマーは、比重が約1.9〜2.1とポルトランドセメントの硬化体(比重約1.7)より重く、従来の水硬性セメントを用いたコンクリートと同程度であるため、放射線の遮蔽性に優れており、放射線遮蔽材として好適に用いることができる。本発明の放射線遮蔽材は、原子力施設、除染処理施設、中間貯蔵施設等において、使用することができる。放射線遮蔽能はその厚さに依存するため、本発明の放射線遮蔽材の壁厚は、10cm以上50cm以下であることが好ましい。10cm未満だと放射線遮蔽能が弱く、50cmより厚いと重くなりすぎる。また、10cm以上の厚さだと、ジオポリマー自体が重くなるため、補強のために内部に鉄筋を埋設することが好ましい。鉄筋を埋設した放射線遮蔽材は、強度に優れているため、厚く重たいものでも揚重時等に破損せず、また、大量に積み重ねて使用、保管することができる。
また、本発明の放射線遮蔽材は、セシウムの溶出が少なく、環境省告示46号法(環境省:土壌環境基準,環境庁告示第46号(1991).[最新の更新:平成26環告44])によれば、含有量に対する溶出率が20%以下であり、放射性セシウム含有焼却灰(飛灰、主灰)中の放射性セシウムを安定して保管することができる。
本発明の放射線遮蔽材により、放射性物質保管容器を形成することができる。本発明の放射線遮蔽材から構築された放射性物質保管容器に放射性物質を保管しても、保管された放射性物質からの放射線は放射性物質保管容器により遮蔽されるため、保管前後での放射性物質保管容器外部での放射線量の増加はごく僅かである。例えば、下記条件に基づく計算によれば、放射性物質保管容器の壁厚が15cmの場合、内部からの放射線を約90%カットすることができる。
<計算条件>
計算方法 :3次元モンテカルロシミュレーション
容器の厚さ :15cm
容器の放射能 :放射能濃度1万Bq/kg×2.5トン
容器の部材の体積:1.2m3([外形による容積]−[内容積])
容器内容積 :1m3
内容物 :放射能濃度10万Bq/kgの焼却灰1.14トン
10 放射性物質保管容器
Claims (7)
- 放射性セシウム含有焼却飛灰と、アルカリ活性剤と、カルシウムアルミネート水和物とを含む組成物を、混練、固化してなるジオポリマーからなることを特徴とする放射線遮蔽材。
- 前記組成物が、腐食抑制剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の放射線遮蔽材。
- 前記組成物が、放射性セシウム含有焼却主灰を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の放射線遮蔽材。
- 鉄筋が包埋されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放射線遮蔽材。
- 前記鉄筋が、エポキシ樹脂塗装鉄筋、または、ステンレス鉄筋であることを特徴とする請求項4に記載の放射線遮蔽材。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の放射線遮蔽材を備えることを特徴とする放射性物質保管容器。
- 前記放射線遮蔽材で形成された直方体形状のユニット部材が組み合わされてなることを特徴とする請求項6に記載の放射性物質保管容器。
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