JP2019008910A - 非水電解質二次電池用難黒鉛化炭素質材料、非水電解質二次電池用負極および非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば特許文献1および特許文献2には、非水溶媒系二次電池の電極用炭素質材料が記載されており、前記炭素質材料は植物由来の有機物を炭素化して得られることが記載されている。
その一方で、より確実に安全性を確保するため、通常は、リチウムイオン二次電池の充電は、金属リチウムを基準とした負極端子電位が0mV以上の所定電位になるまで(例えば0.5mA/cm2で)定電流充電を行い、負極端子電位が所定電位に達した後、定電圧充電を行い、電流値が(例えば20μAで)所定時間一定になると充電を完了する方法(定電流定電圧法)によって行われている。この場合、実際には負極にまだリチウムイオンを受け入れる余地があった場合でも満充電状態になるまで充電されない。
[1]満充電して用いる非水電解質二次電池の負極用の難黒鉛化炭素質材料であって、満充電された際、7Li核−固体NMR分析により観測される塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置が115ppmより大きく、かつ該難黒鉛化炭素質材料を含んでなる負極の満充電時における膨張率が充電前の負極の厚みに基づいて107%以下である、難黒鉛化炭素質材料。
[2]酸素元素含量が0.30質量%以下である、前記[1]に記載の難黒鉛化炭素質材料。
[3]植物起源の炭素前駆体に由来する、前記[1]または[2]に記載の難黒鉛化炭素質材料。
[4]広角X線回折法によるBragg式を用いて算出された(002)面の平均面間隔d002が0.36〜0.42nmである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の難黒鉛化炭素質材料。
[5]カリウム元素含量が0.1質量%以下であり、鉄元素含量が0.02質量%以下である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の難黒鉛化炭素質材料。
[6]植物起源の炭素前駆体を酸処理する工程、および酸処理した炭素前駆体を1050℃〜1400℃の不活性ガス雰囲気下で焼成する工程を含む、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の難黒鉛化炭素質材料の製造方法。
[7]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の難黒鉛化炭素質材料を含んでなる非水電解質二次電池用負極。
[8]難黒鉛化炭素質材料を含んでなる非水電解質二次電池用負極を含んでなり、満充電された非水電解質二次電池であって、満充電された際、7Li核−固体NMR分析により観測される塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置が115ppmより大きく、かつ該難黒鉛化炭素質材料を含んでなる負極の満充電時における膨張率が充電前の負極の厚みに基づいて107%以下である、非水電解質二次電池。
[9]酸素元素含量が0.30質量%以下である、前記[8]に記載の非水電解質二次電池。
[10]難黒鉛化炭素質材料が植物起源の炭素前駆体に由来する、前記[8]または[9]に記載の非水電解質二次電池。
[11]広角X線回折法によるBragg式を用いて算出された難黒鉛化炭素質材料の(002)面の平均面間隔d002が0.36〜0.42nmである、前記[8]〜[10]のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
[12]難黒鉛化炭素質材料のカリウム元素含量が0.1質量%以下であり、難黒鉛化炭素質材料の鉄元素含量が0.02質量%以下である、前記[8]〜[11]のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
本発明の難黒鉛化炭素質材料は、満充電して用いる非水電解質二次電池の負極用の難黒鉛化炭素質材料であり、満充電された際、7Li核−固体NMR分析により観測される塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置は115ppmより大きく、かつ該難黒鉛化炭素質材料を含んでなる負極の満充電時における膨張率は充電前の負極の厚みに基づいて107%以下である。
本発明の難黒鉛化炭素質材料について、満充電状態となるまでリチウムを充電(ドープ)し、7Li核−固体NMR分析を行ったときに観測される塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置は、115ppmより大きく、好ましくは117ppmより大きく、より好ましくは119ppmより大きい。
本発明の難黒鉛化炭素質材料を含んでなる負極の満充電時における膨張率は、充電前の負極の厚みに基づいて107%以下である。膨張率が107%を超える場合、電極内で活物質同士の接触不良が生じ、電極抵抗が高くなるため、良好な出力特性(高い放電容量維持率)を有する非水電解質二次電池は得られない。
膨張率は、好ましくは106%以下、特に好ましくは105%以下である。膨張率が上記上限値以下であると、電極内における活物質(難黒鉛化炭素質材料)同士の導電パスおよびリチウムイオンの拡散が良好に確保されやすいため、低い電極抵抗が得られやすく、良好な出力特性が得られやすい。
本発明の難黒鉛化炭素質材料の酸素元素含量は少ないほどよい。酸素元素含量は、好ましくは0.30質量%以下、より好ましくは0.28質量%以下である。難黒鉛化炭素質材料が酸素元素を実質的に含有しないことが更に好ましい。ここで、酸素元素を実質的に含有しないとは、酸素元素含量が、後述の酸素元素含量の測定法(不活性ガス融解−非分散型赤外線吸収法)の検出限界である10−6質量%以下であることを意味する。酸素元素含量が上記の値以下であると、リチウムイオンと酸素との反応によりリチウムイオンが消費されることによるリチウムイオンの利用効率の低下、酸素が空気中水分を誘引して水が吸着され、容易に脱離しないことによるリチウムイオンの利用効率の低下、水分由来の副反応に起因する電極内のガス発生、および当該ガス発生による電極膨張率の増加(電極抵抗の増大、出力特性の低下)が抑制されやすい。
本発明の難黒鉛化炭素質材料は、好ましくは植物起源の炭素前駆体に由来する。本発明では、「植物起源の炭素前駆体」とは、炭化前の植物起源物質、または炭化後の植物起源物質(植物由来のチャー)を意味する。原料となる植物(以下、「植物原料」と称することがある)は、特に限定されるものではない。例えば、椰子殻、珈琲豆、茶葉、サトウキビ、果実(例えば、みかん、バナナ)、藁、籾殻、広葉樹、針葉樹および竹が例示される。この例示は、本来の用途に供した後の廃棄物(例えば、使用済みの茶葉)、或いは植物原料の一部(例えば、バナナまたはみかんの皮)を包含する。これらの植物は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。これらの植物の中でも、大量入手が容易な椰子殻が好ましい。
本発明の難黒鉛化炭素質材料は、広角X線回折法によるBragg式を用いて算出された(002)面の平均面間隔d002が、0.36nm〜0.42nmであることが好ましく、0.38nm〜0.40nmであることがより好ましく、0.381nm〜0.389nmであることが特に好ましい。(002)面の平均面間隔d002が上記範囲内であると、リチウムイオンが炭素質材料に挿入される際の抵抗が大きくなったり出力時の抵抗が大きくなったりすることによるリチウムイオン電池としての入出力特性の低下が抑制されやすい。また、難黒鉛化炭素質材料が膨張収縮を繰り返すことに起因する電池材料としての安定性の低下が抑制されやすい。更には、リチウムイオンの拡散抵抗は小さくなるものの難黒鉛化炭素質材料の体積が大きくなることによる体積あたりの実行容量の低下が回避されやすい。平均面間隔を上記範囲に調整するためには、例えば、難黒鉛化炭素質材料を与える炭素前駆体の焼成を1050〜1400℃の範囲の温度で行えばよい。また、ポリスチレンなどの熱分解性樹脂と混合して焼成する方法、1050〜1400℃で焼成された難黒鉛化炭素質材料に炭化水素系ガスなどのCVD処理を施す方法を用いることもできる。ここで、平均面間隔d002の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
本発明の難黒鉛化炭素質材料は、電池における質量あたりの容量を高くする観点から、ブタノール法による真密度ρBtが、1.40〜1.70g/cm3であることが好ましく、1.42〜1.65g/cm3であることがより好ましく、1.44〜1.60g/cm3であることが特に好ましい。上記範囲の真密度は、例えば植物原料から難黒鉛化炭素質材料を製造する際の焼成工程温度を1050〜1400℃とすることにより得ることができる。ここで、真密度ρBtの測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
本発明の難黒鉛化炭素質材料のカリウム元素含量は、脱ドープ容量を大きくする観点および非脱ドープ容量を小さくする観点から、0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、0.03質量%以下であることが更に好ましい。難黒鉛化炭素質材料がカリウム元素を実質的に含有しないことが特に好ましい。また、本発明の難黒鉛化炭素質材料の鉄元素含量は、脱ドープ容量を大きくする観点および非脱ドープ容量を小さくする観点から、0.02質量%以下であることが好ましく、0.015質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることが更に好ましい。難黒鉛化炭素質材料が鉄元素を実質的に含有しないことが特に好ましい。ここで、カリウム元素または鉄元素を実質的に含有しないとは、カリウム元素含量または鉄元素含量が、後述の蛍光X線分析(例えば島津製作所製「LAB CENTER XRF−1700」を用いた分析)の検出限界値以下であることを意味する。カリウム元素含量および鉄元素含量が上記の値以下であると、難黒鉛化炭素質材料を用いた非水電解質二次電池において、十分な脱ドープ容量および非脱ドープ容量が得られやすい。更に、これらの金属元素が電解液中に溶出して再析出した際に短絡することに起因する非水電解質二次電池の安全性の問題が回避されやすい。カリウム元素含量および鉄元素含量の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
本発明の難黒鉛化炭素質材料の吸湿量は、好ましくは10000ppm以下、より好ましくは9000ppm以下、特に好ましくは8000ppm以下である。吸湿量が少ないほど、難黒鉛化炭素質材料に吸着する水分が減り、難黒鉛化炭素質材料に吸着するリチウムイオンが増加するので好ましい。また、吸湿量が少ないほど、吸着した水分とリチウムイオンとの反応による自己放電を低減でき、更に、吸着した水分とリチウムイオンとの反応による副反応生成物やガス発生を抑制できるので好ましい。難黒鉛化炭素質材料の吸湿量は、例えば、難黒鉛化炭素質材料に含まれる酸素原子の量を減らすことにより、減らすことができる。難黒鉛化炭素質材料の吸湿量は、例えば、カールフィッシャーなどを用いて測定される。吸湿量の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
本発明の難黒鉛化炭素質材料は、窒素吸着BET3点法により求めた比表面積が、1〜75m2/gであることが好ましく、2〜60m2/gであることがより好ましく、3〜50m2/gであることが特に好ましい。比表面積が上記範囲内であると、難黒鉛化炭素質材料を用いて製造した非水電解質二次電池において、電解液と難黒鉛化炭素質材料との過剰な副反応が抑制されつつリチウムイオンが難黒鉛化炭素質材料にドープされやすく、更にリチウムイオンを難黒鉛化炭素質材料から脱ドープするための接触面積が高く保持されやすいため、高い充電容量と高い出力特性とが両立されやすい。比表面積は、例えば、後述する脱灰工程の温度を制御することによって調整することができる。
本発明の難黒鉛化炭素質材料の製造方法は、植物起源の炭素前駆体を酸処理する工程、および酸処理した炭素前駆体を1050℃〜1400℃の不活性ガス雰囲気下で焼成する工程を含む。
「植物起源の炭素前駆体」とは、先に記載したように、炭化前の植物起源物質または炭化後の植物起源物質(植物由来のチャー)を意味する。原料となる植物(植物原料)は、特に限定されるものではない。先に例示したような植物を、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、大量入手が容易な椰子殻が好ましい。
従って、本発明の難黒鉛化炭素質材料の製造方法は、植物起源の炭素前駆体を酸処理する工程を含む。ここで、植物起源の炭素前駆体を酸処理することにより、前記炭素前駆体中の金属元素および/または非金属元素の含量を低下させることを、以下、脱灰とも称する。
液相脱灰としては、植物起源の炭素前駆体を有機酸水溶液中に浸漬し、植物起源の炭素前駆体から、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、遷移金属元素および/または非金属元素を溶出させて除去することが好ましい。
気相脱灰としては、植物起源の炭素前駆体を、ハロゲン化合物を含む気相中で熱処理することが好ましい。気相脱灰では、熱処理時に植物起源の炭素前駆体の急激な熱分解反応を伴うと、熱分解成分の発生により気相脱灰効率が低下するとともに、発生した熱分解成分により熱処理装置内が汚染され、安定運転に支障が生じることがある。これらの観点から、「植物起源の炭素前駆体」として、炭化後の植物起源物質を使用することが好ましい。
粉砕工程では、植物起源の炭素前駆体を、焼成工程後の平均粒子径が例えば1〜30μmの範囲になるように粉砕することが、電極作製時の塗工性の観点から好ましい。即ち、本発明の難黒鉛化炭素質材料の平均粒子径(Dv50)を、例えば1〜30μmの範囲になるように調整する。難黒鉛化炭素質材料の平均粒子径が1μm以上であると、微粉が増加して比表面積が増加し、電解液との反応性が高くなって、充電しても放電しない容量である不可逆容量が増加し、正極の容量が無駄になる割合が増加する傾向が抑制されやすい。また、得られた難黒鉛化炭素質材料を用いて負極を製造した際に、炭素質材料の間に形成される空隙が十分確保されやすく、電解液中のリチウムイオンの良好な移動が確保されやすい。本発明の炭素質材料の平均粒子径(Dv50)は、好ましくは1μm以上、より好ましくは1.5μm以上、特に好ましくは2μm以上である。一方、平均粒子径が30μm以下であると、粒子内でのリチウムイオンの拡散自由行程が少なく、急速な充放電が可能となりやすいため好ましい。更に、リチウムイオン二次電池では、入出力特性の向上には電極面積を大きくすることが重要であり、そのため電極調製時に集電板への活物質の塗工厚みを薄くする必要がある。塗工厚みを薄くするには、活物質の平均粒子径を小さくする必要がある。このような観点から、平均粒子径は30μm以下であることが好ましく、より好ましくは19μm以下であり、更に好ましくは17μm以下であり、更に好ましくは16μm以下であり、特に好ましくは15μm以下である。
分級工程によって、炭素質材料の平均粒子径をより正確に調整することが可能となる。例えば、粒子径が1μm未満の粒子を除くことが可能となる。
場合により粉砕および分級した後、酸処理および炭化処理を施した炭素前駆体を焼成することにより、本発明の難黒鉛化炭素質材料を製造することができる。焼成工程は、室温から所定の焼成温度まで昇温した後に、焼成温度で焼成を行う工程である。上記炭素前駆体を(a)1050〜1400℃で焼成してもよいし(本焼成)、または上記炭素前駆体を(b)350〜1050℃未満で焼成(予備焼成)した後、更に1050〜1400℃で焼成(本焼成)、または(c)1050〜1400℃で焼成(本焼成)した後、炭化水素化合物を含む不活性ガス雰囲気中で500〜1000℃で熱処理(CVD処理)してもよい。以下に、予備焼成、本焼成、およびCVD処理の手順の一例を順に説明する。
本発明の難黒鉛化炭素質材料の製造方法における予備焼成工程は、例えば酸処理および炭化処理を施した炭素前駆体を350〜1050℃未満の温度で焼成することによって行うことができる。予備焼成により揮発分(例えば、CO2、CO、CH4およびH2など)およびタール分を除去することによって、本焼成におけるそれらの発生を低減させ、焼成器の負担を軽減することができる。予備焼成温度は、通常は350〜1050℃未満、好ましくは400〜1050℃未満である。予備焼成は、通常の予備焼成の手順に従って行うことができる。具体的には、予備焼成は、不活性ガス雰囲気中で行うことができ、不活性ガスとしては、窒素またはアルゴンなどを挙げることができる。また、予備焼成は、減圧下で行うこともでき、例えば10KPa以下で行うことができる。予備焼成の時間は特に限定されるものではなく、通常は0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間である。
本発明の難黒鉛化炭素質材料の製造方法における本焼成工程は、通常の本焼成の手順に従って行うことができ、本焼成後に難黒鉛化炭素質材料が得られる。
本発明において使用できる揮発性有機物は、800℃で灰化した場合に残炭率が灰化前の揮発性有機物の質量に基づいて5質量%未満である常温で固体の揮発性有機物であれば特に限定されないが、炭素前駆体から製造される難黒鉛化炭素質材料の比表面積を低減させることのできる揮発物質(例えば、炭化水素系ガスやタール成分)を発生させるものが好ましい。揮発性有機物における、比表面積を低減させることのできる揮発物質の含量は特に限定されるものではないが、揮発性有機物の質量に基づいて、通常は1〜20質量%、好ましくは3〜15質量%である。なお、本明細書において、常温とは25℃を指す。
本発明では本焼成工程の後に、炭化水素化合物を用いるCVD処理を施してもよい。CVD処理とは、熱分解された炭化水素化合物で、本焼成工程で得られた難黒鉛化炭素質材料を被覆する化学的蒸着(CVD、Chemical Vapor Deposition)処理である。CVD処理の条件は、上記化学的蒸着が達成される限り特に限定されないが、例えば炭化水素化合物を含む不活性ガス雰囲気中で500〜1000℃で熱処理する方法により行ってよい。CVD処理工程において、例えば500〜1000℃での熱処理によって、炭化水素化合物が熱分解され、生じる熱分解物が難黒鉛化炭素質材料に添着し、難黒鉛化炭素質材料の表面を被覆する。これにより、以下のメカニズムに何ら限定されないが、難黒鉛化炭素質材料のクラスター化リチウムが吸蔵できる炭素結晶間の空隙を維持しつつ比表面積を低減させることができるため、吸湿量を大幅に低下させることができると考えられる。そのため、高い充電容量を維持しつつ、充放電効率を高めることができると考えられる。また、CVD処理により、リチウムイオンの吸蔵を阻害し得る−OH基または−COOH基などの難黒鉛化炭素質材料表面の官能基が、熱分解された炭化水素化合物のラジカルと反応し、除去されると考えられる。そのため、炭素質材料における酸素元素含量が低下し、充放電時の不可逆的な副反応が抑制されることにより、充電容量および充放電効率が向上すると考えられる。
本発明の非水電解質二次電池用負極は、本発明の難黒鉛化炭素質材料を含んでなる。
本発明の難黒鉛化炭素質材料を含む負極電極材は、難黒鉛化炭素質材料に結合剤(バインダー)を添加し、適当な溶媒を適量添加し、混練して電極合剤とした後に、金属板などからなる集電板に電極合剤を塗布し、乾燥し、加圧成形することにより製造することができる。本発明の難黒鉛化炭素質材料を用いることにより、特に導電助剤を添加しなくとも高い導電性を有する電極を製造することができる。しかしながら、更に高い導電性を付与するために、必要に応じて、電極合剤の調製時に導電助剤を添加することもできる。
本発明の非水電解質二次電池は、例えば、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、リチウム硫黄電池、全固体電池、および有機ラジカル電池などを包含し、本発明の非水電解質二次電池用負極を含んでなる。本発明の難黒鉛化炭素質材料を含んでなる非水電解質二次電池用負極を用いて製造され、満充電された非水電解質二次電池は、高い充電容量とともに高い充放電効率を示す。
本発明の非水電解質二次電池における難黒鉛化炭素質材料について、満充電状態となるまでリチウムを充電(ドープ)し、7Li核−固体NMR分析を行ったときに観測される塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置は、115ppmより大きく、好ましくは117ppmより大きく、より好ましくは119ppmより大きい。
本発明の非水電解質二次電池について、難黒鉛化炭素質材料を含んでなる負極の満充電時における膨張率は、充電前の負極の厚みに基づいて107%以下である。膨張率が107%を超える場合、電極内で活物質同士の接触不良が生じ、電極抵抗が高くなるため、良好な出力特性(高い放電容量維持率)を有する非水電解質二次電池は得られない。
膨張率は、好ましくは106%以下、特に好ましくは105%以下である。膨張率が上記上限値以下であると、電極内における活物質(難黒鉛化炭素質材料)同士の導電パスおよびリチウムイオンの拡散が良好に確保されやすいため、低い電極抵抗が得られやすく、良好な出力特性が得られやすい。
本発明の非水電解質二次電池において、難黒鉛化炭素質材料の酸素元素含量は少ないほどよい。酸素元素含量は、好ましくは0.30質量%以下、より好ましくは0.28質量%以下である。難黒鉛化炭素質材料が酸素元素を実質的に含有しないことが更に好ましい。ここで、酸素元素を実質的に含有しないとは、酸素元素含量が、後述の酸素元素含量の測定法(不活性ガス融解−非分散型赤外線吸収法)の検出限界である10−6質量%以下であることを意味する。先に記載した通り、酸素元素含量が上記の値以下であると、リチウムイオンと酸素との反応によりリチウムイオンが消費されることによるリチウムイオンの利用効率の低下、酸素が空気中水分を誘引して水が吸着され、容易に脱離しないことによるリチウムイオンの利用効率の低下、水分由来の副反応に起因する電極内のガス発生、および当該ガス発生による電極膨張率の増加(電極抵抗の増大、出力特性の低下)が抑制されやすい。
本発明の非水電解質二次電池における難黒鉛化炭素質材料は、好ましくは、植物起源の炭素前駆体に由来する。本発明では、「植物起源の炭素前駆体」とは、炭化前の植物起源物質、または炭化後の植物起源物質(植物由来のチャー)を意味する。先に記載した通り、植物原料は、特に限定されるものではない。先に記載したような植物を、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。中でも、大量入手が容易な椰子殻が好ましい。
本発明の非水電解質二次電池における難黒鉛化炭素質材料は、広角X線回折法によるBragg式を用いて算出された(002)面の平均面間隔d002が、0.36nm〜0.42nmであることが好ましく、0.38nm〜0.40nmであることがより好ましく、0.381nm〜0.389nmであることが特に好ましい。(002)面の平均面間隔d002が上記範囲内であると、先に記載した通り、リチウムイオン電池としての入出力特性の低下が抑制されやすく、電池材料としての安定性の低下が抑制されやすく、体積あたりの実行容量の低下が回避されやすい。平均面間隔を上記範囲に調整するためには、例えば、難黒鉛化炭素質材料を与える炭素前駆体の焼成温度を1050〜1400℃の範囲で行えばよい。また、ポリスチレンなどの熱分解性樹脂と混合して焼成する方法を用いることもできる。平均面間隔d002の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
本発明の非水電解質二次電池における難黒鉛化炭素質材料は、電池における質量あたりの容量を高くする観点から、ブタノール法による真密度ρBtが、1.40〜1.70g/cm3であることが好ましく、1.42〜1.65/cm3であることがより好ましく、1.44〜1.60/cm3であることが特に好ましい。上記範囲の真密度は、例えば焼成工程温度を1050〜1400℃とすることにより得ることができる。真密度ρBtの測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
本発明の非水電解質二次電池における難黒鉛化炭素質材料のカリウム元素含量は、先に記載した通り、0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、0.03質量%以下であることが更に好ましく、難黒鉛化炭素質材料がカリウム元素を実質的に含有しないことが特に好ましい。また、本発明の非水電解質二次電池における難黒鉛化炭素質材料の鉄元素含量は、先に記載した通り、0.02質量%以下であることが好ましく、0.015質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることが更に好ましく、難黒鉛化炭素質材料が鉄元素を実質的に含有しないことが特に好ましい。ここで、カリウム元素または鉄元素を実質的に含有しないとは、カリウム元素含量または鉄元素含量が、後述の蛍光X線分析(例えば島津製作所製「LAB CENTER XRF−1700」を用いた分析)の検出限界値以下であることを意味する。カリウム元素含量および鉄元素含量が上記の値以下であると、先に記載した通り、十分な脱ドープ容量および非脱ドープ容量が得られやすく、非水電解質二次電池の安全性の問題が回避されやすい。カリウム元素含量および鉄元素含量の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
本発明の非水電解質二次電池における難黒鉛化炭素質材料の吸湿量は、好ましくは10000ppm以下、より好ましくは9000ppm以下、特に好ましくは8000ppm以下である。先に記載した通り、吸湿量が少ないほど、難黒鉛化炭素質材料に吸着するリチウムイオンが増加し、吸着した水分とリチウムイオンとの反応による自己放電を低減できるので、好ましい。難黒鉛化炭素質材料の吸湿量は、例えば、難黒鉛化炭素質材料に含まれる酸素原子の量を減らすことにより、減らすことができる。難黒鉛化炭素質材料の吸湿量は、例えば、カールフィッシャーなどを用いて測定することができる。吸湿量の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
本発明の非水電解質二次電池における難黒鉛化炭素質材料は、窒素吸着BET3点法により求めた比表面積が、1〜75m2/gであることが好ましく、2〜60m2/gであることがより好ましく、3〜50m2/gであることが特に好ましい。先に記載した通り、比表面積が上記範囲内であると、難黒鉛化炭素質材料を用いて製造した非水電解質二次電池において、電解液と難黒鉛化炭素質材料との過剰な副反応が抑制されつつリチウムイオンが難黒鉛化炭素質材料にドープされやすく、更にリチウムイオンを難黒鉛化炭素質材料から脱ドープするための接触面積が高く保持されやすいため、高い充電容量と高い出力特性とが両立されやすい。比表面積は、例えば、先に記載した脱灰工程の温度を制御することによって調整することができる。
リチウムイオンが満充電状態でドープされた難黒鉛化炭素質材料を含む負極をセルから取り出し、電解液を拭き取った負極を全てNMR用サンプル管に充填した。7Li核−固体NMR分析による化学シフト値の主共鳴ピーク位置の測定は、BRUKER製「核磁気共鳴装置AVANCE300」を用いて行った。測定に際して、塩化リチウムを基準物質とし、これを0ppmに設定した。
株式会社堀場製作所製「酸素・窒素・水素分析装置EMGA−930」を用いて酸素元素含量の測定を行った。
この装置の検出方法は、酸素:不活性ガス融解−非分散型赤外線吸収法(NDIR)、窒素:不活性ガス融解−熱伝導度法(TCD)、水素:不活性ガス融解−非分散型赤外線吸収法(NDIR)であり、校正は、(酸素・窒素)Niカプセル、TiH2(H標準試料)、およびSS−3(N、O標準試料)により行った。前処理として250℃で約10分間脱水処理を施した試料20mgを、Niカプセルに量り取り、元素分析装置内で30秒間脱ガスした後、測定を行った。3検体を分析し、その平均値を分析値とした。
株式会社リガク製「MiniFlex II」を用いて、難黒鉛化炭素質材料粉末を試料ホルダーに充填し、Niフィルターにより単色化したCuKα線を線源とし、X線回折図形を得た。回折図形のピーク位置は重心法(回折線の重心位置を求め、これに対応する2θ値でピーク位置を求める方法)により求め、標準物質用高純度シリコン粉末の(111)面の回折ピークを用いて補正した。CuKα線の波長を0.15418nmとし、以下に示すBraggの公式によりd002を算出した。
真密度は、JIS R 7212に定められた方法に従い、ブタノール法により測定した。内容積約40mLの側管付比重瓶の質量(m1)を正確に量った。次に、その底部に試料を約10mmの厚さになるように平らに入れた後、その質量(m2)を正確に量った。これに1−ブタノールを静かに加えて、底から20mm程度の深さにした。次に比重瓶に軽い振動を加えて、大きな気泡の発生がなくなったのを確かめた後、真空デシケーター中に入れ、徐々に排気して2.0〜2.7kPaとした。その圧力で20分間以上保ち、気泡の発生が止まった後に、取り出し、更に1−ブタノールを満たし、栓をして恒温水槽(30±0.03℃に調節してあるもの)に15分間以上浸し、1−ブタノールの液面を標線に合わせた。次に、これを取り出して外部をよくぬぐって室温まで冷却した後、質量(m4)を正確に量った。次に、同じ比重瓶に1−ブタノールだけを満たし、前記と同じようにして恒温水槽に浸し、標線を合わせた後、質量(m3)を量った。また使用直前に沸騰させて溶解した気体を除いた蒸留水を比重瓶にとり、前記と同様に恒温水槽に浸し、標線を合わせた後、質量(m5)を量った。
真密度ρBtは次の式により計算した。
カリウム元素含量および鉄元素含量の測定は、下記方法により実施した。予め所定のカリウム元素および鉄元素を含有する炭素試料を調製し、蛍光X線分析装置を用いて、カリウムKα線の強度とカリウム元素含量との関係、および鉄Kα線の強度と鉄元素含量との関係に関する検量線を作成した。次いで、試料について蛍光X線分析におけるカリウムKα線および鉄Kα線の強度を測定し、先に作成した検量線よりカリウム元素含量および鉄元素含量を求めた。蛍光X線分析は、株式会社島津製作所製「LAB CENTER XRF−1700」を用いて、下記手順で行った。上部照射方式用ホルダーを用い、試料測定面積を直径20mmの円周内とした。被測定試料の設置は、内径25mmのポリエチレン製容器の中に被測定試料0.5gを入れ、裏をプランクトンネットで押さえ、測定表面をポリプロピレン製フィルムで覆うことにより行った。X線源は40kV、60mAに設定した。カリウムについては、分光結晶にLiF(200)、検出器にガスフロー型比例係数管を使用し、2θが90〜140°の範囲を、走査速度8°/分で測定した。鉄については、分光結晶にLiF(200)、検出器にシンチレーションカウンターを使用し、2θが56〜60°の範囲を、走査速度8°/分で測定した。
粒子径約5〜50μmに粉砕した難黒鉛化炭素質材料10gをサンプル管に入れ、133Paの減圧下、120℃にて2時間事前乾燥し、50mmφのガラス製シャーレに移し、25℃、湿度50%の恒温恒湿槽にて、所定時間暴露した。サンプル1gを取り、カールフィッシャー(三菱化学アナリテック社製)にて、250℃に加熱し、窒素気流下に水分量を測定した。
植物由来のチャー、炭素前駆体、および揮発性有機物の平均粒子径(粒度分布)は、下記方法により測定した。試料を、界面活性剤(和光純薬工業株式会社製「Toriton X100」)を0.3質量%含む水溶液に投入し、超音波洗浄器で10分以上処理し、水溶液中に分散させた。この分散液を用いて粒度分布を測定した。粒度分布測定は、粒子径・粒度分布測定器(日機装株式会社製「マイクロトラックM T3000」)を用いて行った。Dv50は、累積体積が50%となる粒子径であり、この値を平均粒子径とした。
<炭素前駆体の調製>
椰子殻を500℃で乾留した後に破砕し、平均粒子径約2mmの椰子殻チャーを得た。この椰子殻チャー100gに対して、塩化水素ガス1体積%を含む窒素ガスを18L/分の流量で供給しながら、870℃で30分間ハロゲン熱処理を実施し、その後、塩化水素ガスの供給のみを停止し、窒素ガスを18L/分の流量で供給しながら、更に870℃で30分間熱処理することにより気相脱酸処理を実施し、炭素前駆体を得た。
得られた炭素前駆体を、ミキサーミル(ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製、MM400)を用いて平均粒子径6μmに粉砕した後、ナノジェットマイザー(株式会社アイシンナノテクノロジーズ製)を用いて分級し、平均粒子径5μmの炭素前駆体(1)を得た。
上記のように調製した炭素前駆体5gと、ポリスチレン(積水化成品工業株式会社製、平均粒子径400μm、残炭率1.2%)0.5gとを混合した。この混合物5.5gを試料層高さが約2mmとなるよう黒鉛製鞘に入れ、株式会社モトヤマ製管状炉中、毎分5Lの窒素流量下、毎分10℃の昇温速度で1290℃まで昇温した後、30分間保持し、自然冷却した。炉内温度が200℃以下に低下したことを確認し、炉内から難黒鉛化炭素質材料を取り出した。回収された難黒鉛化炭素質材料は4.9gであり、回収率は89%であった。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料について、7Li核−固体NMR分析による化学シフト値の主共鳴ピーク位置の測定、酸素元素含量の測定、(002)面の平均面間隔d002の測定、ブタノール法による真密度ρBtの測定、カリウム元素含量および鉄元素含量の測定、並びに吸湿量の測定を行った。結果を表1に示す。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料94質量部、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)6質量部およびNMP(N−メチルピロリドン)90質量部を混合し、スラリーを得た。厚さ14μmの銅箔の片面に、得られたスラリーを塗布し、乾燥後プレスして、厚さ70〜80μmの電極を得た。得られた電極の密度は、0.9〜1.1g/cm3であった。
負極を作用極とし、金属リチウムを対極および参照極として使用した。溶媒として、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとを、体積比で3:7となるように混合して用いた。この溶媒に、濃度が1mol/LとなるようLiPF6を溶解し、電解液として用いた。セパレータにはガラス繊維不織布を使用した。アルゴン雰囲気下のグローブボックス内でコインセルを作製した。
上記構成の負極ハーフセルについて、充放電試験装置(東洋システム株式会社製、「TOSCAT」)を用いて充放電試験を行った。リチウムのドーピングは、活物質質量に対し、金属リチウムが析出しない所定の容量まで30mA/gの速度で行い、終了した。このときの容量(mAh/g)を充電容量とした。ここで、「金属リチウムが析出しない所定の容量」とは、Li−NMRで金属リチウムの析出が見られない上限の充電容量(mAh/g)を指す。
・正極の作製
正極活物質としての三元系酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2)92質量部、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)3質量部、アセチレンブラック5質量部およびNMP(N−メチルピロリドン)120質量部を混合し、スラリーを得た。厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に、得られたスラリーを塗布し、乾燥後プレスして正極を得た。得られた電極の密度は、2.4〜2.6g/cm3であった。この電極を直径14mmの円板状に打ち抜き、正極板を得た。
得られた正極に対して、金属リチウムを対極および参照極として使用した。溶媒として、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとを、体積比で3:7となるように混合して用いた。この溶媒に、濃度が1mol/LとなるようLiPF6を溶解し、電解液として用いた。セパレータにはガラス繊維不織布を使用した。アルゴン雰囲気下のグローブボックス内でコインセルを作製した。
上記構成の正極ハーフセルについて、充放電試験装置(東洋システム株式会社製、「TOSCAT」)を用いて充放電試験を行った。正極からのリチウム脱ドーピングは、活物質質量に対して15mA/gの速度で、リチウム電位に対して4.2Vになるまで行い、このときの容量を充電容量とした。次いで、正極へのリチウムドーピングは、活物質質量に対して15mA/gの速度で、リチウム電位に対して3.0Vになるまで行い、このときの容量を放電容量とした。得られた充電容量は174mAh/g、放電容量は154mAh/g、「放電容量/充電容量」の百分率で算出される充放電効率(初期の充放電効率)は88.5%であった。
直径15mmの負極面内から正極(直径14mm)がはみ出さないように、ガラス繊維不織布からなるセパレータを介して負極および正極の合剤塗工面を対向させた。このとき、対向面積あたりの負極充電容量(mAh)と正極充電容量(mAh)の比率(負極容量/正極容量)は1となるよう調整した。溶媒として、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとを、体積比で3:7となるように混合して用いた。この溶媒に、濃度が1mol/LとなるようLiPF6を溶解し、電解液として用いた。アルゴン雰囲気下のグローブボックス内でコインセルを作製した。
上記構成のコインセル(フルセル)について、充放電試験装置(東洋システム株式会社製、「TOSCAT」)を用いて充放電試験を行った。まず、充電を、負極活物質質量に対して30mA/gの速度で、4.2Vになるまで行い、このときの容量を充電容量とした。次いで、放電を、負極活物質質量に対して30mA/gの速度で、2.0Vになるまで行い、このときの容量を放電容量とした。また、「充電容量−放電容量」の差分で算出される値を不可逆容量、「放電容量/充電容量」の百分率で算出される値を充放電効率(初期の充放電効率)とした。得られた充電容量、放電容量、不可逆容量および充放電効率を表1に示す。
上記構成のコインセル(フルセル)について、まず、充電を、負極活物質質量に対して30mA/gの速度で、4.2Vになるまで行い、次いで、放電を、負極活物質質量に対して30mA/gの速度で、2.0Vになるまで行い、このときの容量を放電容量(A)とした。更に、充電を、負極活物質質量に対して30mA/gの速度で、4.2Vになるまで行い、次いで、放電を、負極活物質質量に対して150mA/gの速度で、2.0Vになるまで行い、このときの容量を放電容量(B)とした。「放電容量(B)/放電容量(A)」の百分率で算出される値を放電容量維持率とした。電極抵抗が低いほどリチウムイオンが負極から脱ドープされやすく、この放電容量維持率は高い値を示すため、出力特性が高いと言える。得られた出力特性(放電容量維持率)を表1に示す。
上記構成のコインセル(フルセル)について、充電を、負極活物質質量に対して30mA/gの速度で、4.2Vになるまで行い、放電を、負極活物質質量に対して30mA/gの速度で、2.0Vになるまで行った。この充放電サイクルを5回繰り返した後、アルゴン雰囲気下のグローブボックス内でコインセルを分解して負極を取り出し、取り出した負極をジエチルカーボネートで洗浄後、乾燥した。乾燥後の負極厚み(D)を測定し、充放電前に測定した負極厚み(C)との比〔「厚み(D)/厚み(C)」の百分率〕を求め、電極膨張率とした。なお、負極厚み(C)および負極厚み(D)はそれぞれ、合剤層と銅箔との合計厚みを数か所測定し、各合計厚みから銅箔厚みを減算することにより求めた負極厚みの平均値である。得られた電極膨張率を表1に示す。
<炭素前駆体の調製>
気相脱酸処理までは実施例1と同様に行い、炭素前駆体を得た。
得られた炭素前駆体を、乾式ビーズミル(アシザワ・ファインテック製SDA5)を用いて、ビーズ径3mmφ、ビーズ充填率75%、および原料フィード量1kg/時の条件下で粉砕し、平均粒子径2.7μmの炭素前駆体(2)を得た。
上記のように調製した炭素前駆体を用いたこと以外は実施例1と同様に、本焼成を行い、難黒鉛化炭素質材料を調製した。回収された難黒鉛化炭素質材料は4.9gであり、回収率は89%であった。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料について、実施例1と同様に特性値を測定した。結果を表1に示す。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、負極を作製し、金属リチウムを対極および参照極として使用したコインセルを作製し、作製した負極ハーフセルについて、充放電試験装置を用いて充放電試験を行った。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、フルセル評価を実施した。得られた特性値を表1に示す。
<炭素前駆体の調製>
実施例2と同じ炭素前駆体(2)を用いた。
揮発性有機物であるポリスチレンを用いなかったこと以外は実施例2と同様に、本焼成を実施した。次いで、得られた炭素質材料3gを石英製のインナーケースに入れ、回転式管状炉中、毎分0.1Lの窒素流量下、毎分20℃の速度で780℃まで昇温した。780℃到達後、気化させたヘキサンガスを毎分0.04Lの流量で窒素ガスに混合し、窒素/ヘキサン混合ガスを30分間管状炉内に流通させCVD処理を行った。その後、ヘキサンガス気流を停止し、毎分0.1Lの窒素流量下、更に30分間熱処理し、自然冷却した。炉内温度が200℃以下に低下したことを確認し、炉内から難黒鉛化炭素質材料を取り出した。回収された難黒鉛化炭素質材料は2.95gであり、回収率は98%であった。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料について、実施例1と同様に特性値を測定した。結果を表1に示す。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、負極を作製し、金属リチウムを対極および参照極として使用したコインセルを作製し、作製した負極ハーフセルについて、充放電試験装置を用いて充放電試験を行った。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、フルセル評価を実施した。得られた特性値を表1に示す。
<炭素前駆体の調製>
約5mm角のフィリピン国ミンダナオ島産椰子殻チップ100gを7.4質量%クエン酸水溶液150gに浸漬し、80℃に加温し、4時間加熱した。次いで室温まで冷却し、ろ過により脱液した。この操作を5回行い、脱灰を行った。脱灰した椰子殻を1Torr下、80℃で24時間乾燥した。脱灰および乾燥後の椰子殻チップ20gを坩堝に入れ、光洋サーモ製KTF1100炉(内径70mmΦ)を用いて、酸素含量15ppmの窒素気流3L/分(0.012m/秒)の流量下、10℃/分で750℃まで昇温し、60分間保持した後、6時間かけて冷却し、炉内温度が50℃以下に低下したことを確認し、炉内から炭素前駆体を取り出した。
得られた炭素前駆体を、乾式ビーズミル(アシザワ・ファインテック製SDA5)を用いて、ビーズ径3mmφ、ビーズ充填率75%および原料フィード量1kg/時の条件下で粉砕し、平均粒子径2.7μmの炭素前駆体(3)を得た。
炭素前駆体(3)を用いたこと以外は実施例3と同様に、本焼成およびCVD処理を行い、難黒鉛化炭素質材料を調製した。回収された難黒鉛化炭素質材料は2.95gであり、回収率は98%であった。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料について、実施例1と同様に特性値を測定した。結果を表1に示す。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、負極を作製し、金属リチウムを対極および参照極として使用したコインセルを作製し、作製した負極ハーフセルについて、充放電試験装置を用いて充放電試験を行った。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、フルセル評価を実施した。得られた特性値を表1に示す。
<炭素前駆体の調製>
実施例1と同じ炭素前駆体(1)を用いた。
上記のように調製した炭素前駆体75gと、ポリスチレン(積水化成品工業株式会社製、平均粒子径400μm、残炭率1.2%)7.5gとを混合した。この混合物82.5gを試料層高が約30mmとなるよう黒鉛製鞘に入れ、株式会社モトヤマ製管状炉中、毎分1Lの窒素流量下、毎分10℃の昇温速度で1290℃まで昇温した後、30分間保持し、自然冷却した。炉内温度が200℃以下に低下したことを確認し、炉内から難黒鉛化炭素質材料を取り出した。回収された難黒鉛化炭素質材料は73.4gであり、回収率は89%であった。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料について、実施例1と同様に特性値を測定した。結果を表1に示す。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、負極を作製し、金属リチウムを対極および参照極として使用したコインセルを作製し、作製した負極ハーフセルについて、充放電試験装置を用いて充放電試験を行った。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、フルセル評価を実施した。得られた特性値を表1に示す。
<炭素前駆体の調製>
実施例2と同じ炭素前駆体(2)を用いた。
炭素前駆体(2)を用いたこと以外は比較例1と同様に、本焼成を行い、難黒鉛化炭素質材料を調製した。回収された難黒鉛化炭素質材料は72gであり、回収率は87%であった。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料について、実施例1と同様に特性値を測定した。結果を表1に示す。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、負極を作製し、金属リチウムを対極および参照極として使用したコインセルを作製し、作製した負極ハーフセルについて、充放電試験装置を用いて充放電試験を行った。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、フルセル評価を実施した。得られた特性値を表1に示す。
<炭素前駆体の調製>
実施例2と同じ炭素前駆体(2)を用いた。
揮発性有機物であるポリスチレンを用いなかったこと以外は実施例2と同様に、本焼成を行い、難黒鉛化炭素質材料を調製した。回収された難黒鉛化炭素質材料は4.75gであり、回収率は95%であった。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料について、実施例1と同様に特性値を測定した。結果を表1に示す。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、負極を作製し、金属リチウムを対極および参照極として使用したコインセルを作製し、作製した負極ハーフセルについて、充放電試験装置を用いて充放電試験を行った。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、フルセル評価を実施した。得られた特性値を表1に示す。
<炭素前駆体の調製>
約5mm角のフィリピン国ミンダナオ島産椰子殻チップ20gを坩堝に入れ、光洋サーモ製KTF1100炉(内径70mmΦ)を用いて、酸素含量15ppmの窒素気流3L/分(0.012m/秒)の流量下、10℃/分で750℃まで昇温し、60分間保持した後、6時間かけて冷却し、炉内温度が50℃以下に低下したことを確認し、炉内から炭化物を取り出した。得られた炭化物を35質量%塩酸水溶液に1時間浸漬した後、80℃の水で1時間洗浄する操作を2回行い、脱灰を行った。脱灰した椰子殻を1Torr下、80℃で24時間乾燥した。
得られた脱灰および乾燥後の炭素前駆体を、乾式ビーズミル(アシザワ・ファインテック製SDA5)を用いて、ビーズ径3mmφ、ビーズ充填率75%および原料フィード量1kg/時の条件下で粉砕し、平均粒子径2.7μmの炭素前駆体(4)を得た。
炭素前駆体(4)を用いたこと以外は実施例4と同様に、本焼成およびCVD処理を行い、難黒鉛化炭素質材料を調製した。回収された難黒鉛化炭素質材料は2.95gであり、回収率は98%であった。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料について、実施例1と同様に特性値を測定した。結果を表1に示す。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、負極を作製し、金属リチウムを対極および参照極として使用したコインセルを作製し、作製した負極ハーフセルについて、充放電試験装置を用いて充放電試験を行った。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、フルセル評価を実施した。得られた特性値を表1に示す。
<カーボトロンPJの特性値の測定>
カーボトロンPJの特性値を、実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
クレハ社製カーボトロンPJを用いたこと以外は実施例1と同様に、負極を作製し、金属リチウムを対極および参照極として使用したコインセルを作製し、作製した負極ハーフセルについて、充放電試験装置を用いて充放電試験を行った。
クレハ社製カーボトロンPJを用いたこと以外は実施例1と同様に、フルセル評価を実施した。得られた特性値を表1に示す。
<カーボトロンPS(F)の特性値の測定>
カーボトロンPS(F)の特性値を、実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
クレハ社製カーボトロンPS(F)を用いたこと以外は実施例1と同様に、負極を作製し、金属リチウムを対極および参照極として使用したコインセルを作製し、作製した負極ハーフセルについて、充放電試験装置を用いて充放電試験を行った。
クレハ社製カーボトロンPS(F)を用いたこと以外は実施例1と同様に、フルセル評価を実施した。得られた特性値を表1に示す。
Claims (12)
- 満充電して用いる非水電解質二次電池の負極用の難黒鉛化炭素質材料であって、満充電された際、7Li核−固体NMR分析により観測される塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置が115ppmより大きく、かつ該難黒鉛化炭素質材料を含んでなる負極の満充電時における膨張率が充電前の負極の厚みに基づいて107%以下である、難黒鉛化炭素質材料。
- 酸素元素含量が0.30質量%以下である、請求項1に記載の難黒鉛化炭素質材料。
- 植物起源の炭素前駆体に由来する、請求項1または2に記載の難黒鉛化炭素質材料。
- 広角X線回折法によるBragg式を用いて算出された(002)面の平均面間隔d002が0.36〜0.42nmである、請求項1〜3のいずれかに記載の難黒鉛化炭素質材料。
- カリウム元素含量が0.1質量%以下であり、鉄元素含量が0.02質量%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の難黒鉛化炭素質材料。
- 植物起源の炭素前駆体を酸処理する工程、および酸処理した炭素前駆体を1050℃〜1400℃の不活性ガス雰囲気下で焼成する工程を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の難黒鉛化炭素質材料の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の難黒鉛化炭素質材料を含んでなる非水電解質二次電池用負極。
- 難黒鉛化炭素質材料を含んでなる非水電解質二次電池用負極を含んでなり、満充電された非水電解質二次電池であって、満充電された際、7Li核−固体NMR分析により観測される塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置が115ppmより大きく、かつ該難黒鉛化炭素質材料を含んでなる負極の満充電時における膨張率が充電前の負極の厚みに基づいて107%以下である、非水電解質二次電池。
- 酸素元素含量が0.30質量%以下である、請求項8に記載の非水電解質二次電池。
- 難黒鉛化炭素質材料が植物起源の炭素前駆体に由来する、請求項8または9に記載の非水電解質二次電池。
- 広角X線回折法によるBragg式を用いて算出された難黒鉛化炭素質材料の(002)面の平均面間隔d002が0.36〜0.42nmである、請求項8〜10のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
- 難黒鉛化炭素質材料のカリウム元素含量が0.1質量%以下であり、難黒鉛化炭素質材料の鉄元素含量が0.02質量%以下である、請求項8〜11のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
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