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JP2019008910A - 非水電解質二次電池用難黒鉛化炭素質材料、非水電解質二次電池用負極および非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用難黒鉛化炭素質材料、非水電解質二次電池用負極および非水電解質二次電池 Download PDF

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JP2019008910A JP2017121452A JP2017121452A JP2019008910A JP 2019008910 A JP2019008910 A JP 2019008910A JP 2017121452 A JP2017121452 A JP 2017121452A JP 2017121452 A JP2017121452 A JP 2017121452A JP 2019008910 A JP2019008910 A JP 2019008910A
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Abstract

【課題】高い充電容量および高い充放電効率に加えて、低い電極抵抗による高い出力特性を有し、満充電して用いる非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン電池)の負極に使用する難黒鉛化炭素質材料を提供すること。【解決手段】満充電して用いる非水電解質二次電池の負極用の難黒鉛化炭素質材料であって、満充電された際、7Li核−固体NMR分析により観測される塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置が115ppmより大きく、かつ該難黒鉛化炭素質材料を含んでなる負極の満充電時における膨張率が充電前の負極の厚みに基づいて107%以下である、難黒鉛化炭素質材料。【選択図】なし

Description

本発明は、満充電して用いる非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)の負極として適した難黒鉛化炭素質材料およびその製造方法、非水電解質二次電池用負極、並びに満充電された非水電解質二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、携帯電話やノートパソコンのような小型携帯機器に広く用いられている。難黒鉛化炭素質材料は、黒鉛の理論容量372mAh/gを超える量のリチウムのドープ(充電)および脱ドープ(放電)が可能であり、また、入出力特性、サイクル耐久性および低温特性にも優れることから、リチウムイオン二次電池の負極として開発され、使用されてきた。
難黒鉛化炭素質材料は、例えば石油ピッチ、石炭ピッチ、フェノール樹脂または植物を炭素源として得ることができる。これらの炭素源の中でも、植物は栽培することによって持続して安定的に供給可能な原料であり、安価に入手できるため注目されている。また、植物起源の炭素原料を焼成して得られる炭素質材料には、細孔が多く存在するため、良好な充放電容量が期待される。
例えば特許文献1および特許文献2には、非水溶媒系二次電池の電極用炭素質材料が記載されており、前記炭素質材料は植物由来の有機物を炭素化して得られることが記載されている。
リチウムイオン二次電池では、充電中に満充電状態を超えて過充電状態になると、溶媒の分解反応が起きて、リチウムイオン二次電池の温度が上昇してしまうとともに、正極での反応で多くのリチウムイオンが発生して受け入れきれなくなった負極の表面に金属リチウムが析出し、リチウムイオン二次電池の熱安定性が低下してしまう。この問題を解決するために、通常は、過充電に対する安全性の確保が行われている。例えば特許文献3には、電流遮断装置を備えたリチウムイオン二次電池が記載されており、特許文献4には、過充電に対して有効に作用する添加剤を含有するリチウム二次電池用電解液を備えたリチウム二次電池が記載されている。
その一方で、より確実に安全性を確保するため、通常は、リチウムイオン二次電池の充電は、金属リチウムを基準とした負極端子電位が0mV以上の所定電位になるまで(例えば0.5mA/cmで)定電流充電を行い、負極端子電位が所定電位に達した後、定電圧充電を行い、電流値が(例えば20μAで)所定時間一定になると充電を完了する方法(定電流定電圧法)によって行われている。この場合、実際には負極にまだリチウムイオンを受け入れる余地があった場合でも満充電状態になるまで充電されない。
特開平9−161801号公報 特開平10−21919号公報 特開2015−88354号公報 特開2001−15155号公報
一方、近年、環境問題への関心の高まりから、リチウムイオン二次電池の車載用途での開発が進められ、実用化されつつある。そのため、より高い充電容量に加えてより高い充放電効率も有するリチウムイオン電池を製造するための難黒鉛化炭素質材料が求められている。
本発明の課題は、高い充電容量および高い充放電効率に加えて、低い電極抵抗による高い出力特性を有し、満充電して用いる非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン電池)の負極に使用する難黒鉛化炭素質材料、およびその製造方法を提供することである。本発明の課題はまた、そのような難黒鉛化炭素質材料を含んでなる非水電解質二次電池用負極、並びにそのような非水電解質二次電池用負極を含んでなり、満充電された非水電解質二次電池を提供することである。
本発明者は鋭意検討した結果、満充電して用いる非水電解質二次電池の負極に、特定のLi核−固体NMR分析の化学シフト値および特定の電極膨張率をもたらす難黒鉛化炭素質材料を使用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
[1]満充電して用いる非水電解質二次電池の負極用の難黒鉛化炭素質材料であって、満充電された際、Li核−固体NMR分析により観測される塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置が115ppmより大きく、かつ該難黒鉛化炭素質材料を含んでなる負極の満充電時における膨張率が充電前の負極の厚みに基づいて107%以下である、難黒鉛化炭素質材料。
[2]酸素元素含量が0.30質量%以下である、前記[1]に記載の難黒鉛化炭素質材料。
[3]植物起源の炭素前駆体に由来する、前記[1]または[2]に記載の難黒鉛化炭素質材料。
[4]広角X線回折法によるBragg式を用いて算出された(002)面の平均面間隔d002が0.36〜0.42nmである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の難黒鉛化炭素質材料。
[5]カリウム元素含量が0.1質量%以下であり、鉄元素含量が0.02質量%以下である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の難黒鉛化炭素質材料。
[6]植物起源の炭素前駆体を酸処理する工程、および酸処理した炭素前駆体を1050℃〜1400℃の不活性ガス雰囲気下で焼成する工程を含む、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の難黒鉛化炭素質材料の製造方法。
[7]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の難黒鉛化炭素質材料を含んでなる非水電解質二次電池用負極。
[8]難黒鉛化炭素質材料を含んでなる非水電解質二次電池用負極を含んでなり、満充電された非水電解質二次電池であって、満充電された際、Li核−固体NMR分析により観測される塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置が115ppmより大きく、かつ該難黒鉛化炭素質材料を含んでなる負極の満充電時における膨張率が充電前の負極の厚みに基づいて107%以下である、非水電解質二次電池。
[9]酸素元素含量が0.30質量%以下である、前記[8]に記載の非水電解質二次電池。
[10]難黒鉛化炭素質材料が植物起源の炭素前駆体に由来する、前記[8]または[9]に記載の非水電解質二次電池。
[11]広角X線回折法によるBragg式を用いて算出された難黒鉛化炭素質材料の(002)面の平均面間隔d002が0.36〜0.42nmである、前記[8]〜[10]のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
[12]難黒鉛化炭素質材料のカリウム元素含量が0.1質量%以下であり、難黒鉛化炭素質材料の鉄元素含量が0.02質量%以下である、前記[8]〜[11]のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
本発明の難黒鉛化炭素質材料を負極に使用し、満充電して用いる非水電解質二次電池を製造すると、そのような非水電解質二次電池は、高い充電容量および高い充放電効率に加えて、低い電極抵抗による高い出力特性を有する。
実施例1に従って調製した難黒鉛化炭素質材料のLi核−固体NMR図を示す。 比較例5に従って調製した炭素質材料のLi核−固体NMR図を示す。
<難黒鉛化炭素質材料>
本発明の難黒鉛化炭素質材料は、満充電して用いる非水電解質二次電池の負極用の難黒鉛化炭素質材料であり、満充電された際、Li核−固体NMR分析により観測される塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置は115ppmより大きく、かつ該難黒鉛化炭素質材料を含んでなる負極の満充電時における膨張率は充電前の負極の厚みに基づいて107%以下である。
本明細書において「満充電して用いる」とは、難黒鉛化炭素質材料を含んでなる負極とリチウムを含んでなる正極とを用いて非水電解質二次電池を組み立て、金属リチウムの析出がLi核−固体NMR分析で確認される直前までリチウムを負極に充電(ドープ)することであり、通常、一定の電流値で負極活物質の単位質量当たり580〜700mAh/gの範囲まで充電することを意味する。従って、先に記載したような従来の定電流定電圧法により充電を完了して用いることとは全く別の意味を有する。なお、金属リチウムの析出がLi核−固体NMR分析で確認される直前までリチウムを負極に充電した際の負極の充電容量は、リチウム析出が確認される充電容量に対して、放電容量や充放電効率を高く保つ観点から、80〜98%で設定することが好ましく、85〜95%で設定することがより好ましく、88〜92%で設定することが特に好ましい。
<化学シフト値の主共鳴ピーク位置>
本発明の難黒鉛化炭素質材料について、満充電状態となるまでリチウムを充電(ドープ)し、Li核−固体NMR分析を行ったときに観測される塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置は、115ppmより大きく、好ましくは117ppmより大きく、より好ましくは119ppmより大きい。
塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置が115ppmより大きい、即ち、115ppmより低磁場側に上記の主共鳴ピーク位置が観察されるということは、難黒鉛化炭素質材料においてクラスター化リチウムの吸蔵量が多い、即ち、電池の充電容量が高いことを意味する。吸蔵されたクラスター化リチウムは難黒鉛化炭素質材料から放電(脱ドープ)することができる可逆的リチウムであり、難黒鉛化炭素質材料においてクラスター化リチウムの吸蔵量が多いということは、「放電容量/充電容量」から計算される充放電効率が高いことを意味する。
充放電効率が高いということは、充放電中の副反応などによる、負極におけるリチウムのロスが少ないことを意味する。負極におけるリチウムのロスが少ないと、正極を過剰に用いてリチウムを負極に補完する必要性がなくなり、電池体積あたりの容量やコスト面で有利となる。
塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置が115ppm以下である炭素質材料では、クラスター化リチウムの吸蔵量が少ないため、本発明の難黒鉛化炭素質材料のように、高い充電容量および高い充放電効率の両方をもたらすことは極めて困難である。
前記主共鳴ピーク位置を上記の値より大きい値に調整するためには、例えば、炭素を含む材料を一酸化炭素や水素などの熱分解ガスを積極的に除去しながら1050℃〜1400℃の不活性ガス雰囲気下で焼成することにより製造された難黒鉛化炭素質材料を負極に使用すればよい。Li核−固体NMR分析の詳細は、実施例に記載する通りである。
<電極の膨張率>
本発明の難黒鉛化炭素質材料を含んでなる負極の満充電時における膨張率は、充電前の負極の厚みに基づいて107%以下である。膨張率が107%を超える場合、電極内で活物質同士の接触不良が生じ、電極抵抗が高くなるため、良好な出力特性(高い放電容量維持率)を有する非水電解質二次電池は得られない。
膨張率は、好ましくは106%以下、特に好ましくは105%以下である。膨張率が上記上限値以下であると、電極内における活物質(難黒鉛化炭素質材料)同士の導電パスおよびリチウムイオンの拡散が良好に確保されやすいため、低い電極抵抗が得られやすく、良好な出力特性が得られやすい。
電極膨張率を上記の値以下に調整するためには、例えば、炭素を含む材料を一酸化炭素や水素などの熱分解ガスを積極的に除去しながら1050℃〜1400℃の不活性ガス雰囲気下で焼成することにより製造された難黒鉛化炭素質材料を負極に使用すればよい。前記方法で製造された難黒鉛化炭素質材料を含んでなる負極では、炭素結晶層間だけでなく炭素結晶間の空隙に多くのリチウムイオンが充電されるため、炭素結晶層間のみにリチウムイオンが充電される従来の負極より、有意に小さい電極膨張率がもたらされると考えられる。膨張率の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
<酸素元素含量>
本発明の難黒鉛化炭素質材料の酸素元素含量は少ないほどよい。酸素元素含量は、好ましくは0.30質量%以下、より好ましくは0.28質量%以下である。難黒鉛化炭素質材料が酸素元素を実質的に含有しないことが更に好ましい。ここで、酸素元素を実質的に含有しないとは、酸素元素含量が、後述の酸素元素含量の測定法(不活性ガス融解−非分散型赤外線吸収法)の検出限界である10−6質量%以下であることを意味する。酸素元素含量が上記の値以下であると、リチウムイオンと酸素との反応によりリチウムイオンが消費されることによるリチウムイオンの利用効率の低下、酸素が空気中水分を誘引して水が吸着され、容易に脱離しないことによるリチウムイオンの利用効率の低下、水分由来の副反応に起因する電極内のガス発生、および当該ガス発生による電極膨張率の増加(電極抵抗の増大、出力特性の低下)が抑制されやすい。
酸素元素含量を上記の値以下に調整する方法は何ら限定されない。例えば、植物起源の炭素前駆体を所定の温度で酸処理した後に揮発性有機物と混合して1050℃〜1400℃の温度で不活性ガス雰囲気下に焼成することにより、酸素元素含量を上記の値以下に調整することができる。酸素元素含量の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
<植物起源の炭素前駆体>
本発明の難黒鉛化炭素質材料は、好ましくは植物起源の炭素前駆体に由来する。本発明では、「植物起源の炭素前駆体」とは、炭化前の植物起源物質、または炭化後の植物起源物質(植物由来のチャー)を意味する。原料となる植物(以下、「植物原料」と称することがある)は、特に限定されるものではない。例えば、椰子殻、珈琲豆、茶葉、サトウキビ、果実(例えば、みかん、バナナ)、藁、籾殻、広葉樹、針葉樹および竹が例示される。この例示は、本来の用途に供した後の廃棄物(例えば、使用済みの茶葉)、或いは植物原料の一部(例えば、バナナまたはみかんの皮)を包含する。これらの植物は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。これらの植物の中でも、大量入手が容易な椰子殻が好ましい。
椰子殻は、特に限定されるものではない。例えば、パームヤシ(アブラヤシ)、ココヤシ、サラクまたはオオミヤシの椰子殻が挙げられる。これらの椰子殻は、単独または組み合わせて使用することができる。食品、洗剤原料、バイオディーゼル油原料などとして利用され、大量に発生するバイオマス廃棄物である、ココヤシおよびパームヤシの椰子殻が特に好ましい。
植物原料を炭化する方法、即ち、植物由来のチャーを製造する方法は、特に限定されるものではない。例えば、植物原料を300℃以上の不活性ガス雰囲気下で熱処理(以下、「仮焼成」と称することがある)することによって行われる。
また、チャー(例えば、椰子殻チャー)の形態で入手することも可能である。
本発明の難黒鉛化炭素質材料の原料として、植物起源の適度な微小空隙を有する炭素前駆体を用いることにより、難黒鉛化炭素質材料の内部にクラスター化リチウムを多く吸蔵できる微小細孔が形成される。また、本発明の難黒鉛化炭素質材料を含む電極の膨張率が低いことには、該難黒鉛化炭素質材料が有する多くの微小細孔が、充放電に伴う電極活物質の体積変化を一部吸収することが寄与していると考えられる。
<平均面間隔d002
本発明の難黒鉛化炭素質材料は、広角X線回折法によるBragg式を用いて算出された(002)面の平均面間隔d002が、0.36nm〜0.42nmであることが好ましく、0.38nm〜0.40nmであることがより好ましく、0.381nm〜0.389nmであることが特に好ましい。(002)面の平均面間隔d002が上記範囲内であると、リチウムイオンが炭素質材料に挿入される際の抵抗が大きくなったり出力時の抵抗が大きくなったりすることによるリチウムイオン電池としての入出力特性の低下が抑制されやすい。また、難黒鉛化炭素質材料が膨張収縮を繰り返すことに起因する電池材料としての安定性の低下が抑制されやすい。更には、リチウムイオンの拡散抵抗は小さくなるものの難黒鉛化炭素質材料の体積が大きくなることによる体積あたりの実行容量の低下が回避されやすい。平均面間隔を上記範囲に調整するためには、例えば、難黒鉛化炭素質材料を与える炭素前駆体の焼成を1050〜1400℃の範囲の温度で行えばよい。また、ポリスチレンなどの熱分解性樹脂と混合して焼成する方法、1050〜1400℃で焼成された難黒鉛化炭素質材料に炭化水素系ガスなどのCVD処理を施す方法を用いることもできる。ここで、平均面間隔d002の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
<真密度ρBt
本発明の難黒鉛化炭素質材料は、電池における質量あたりの容量を高くする観点から、ブタノール法による真密度ρBtが、1.40〜1.70g/cmであることが好ましく、1.42〜1.65g/cmであることがより好ましく、1.44〜1.60g/cmであることが特に好ましい。上記範囲の真密度は、例えば植物原料から難黒鉛化炭素質材料を製造する際の焼成工程温度を1050〜1400℃とすることにより得ることができる。ここで、真密度ρBtの測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
<カリウム元素含量および鉄元素含量>
本発明の難黒鉛化炭素質材料のカリウム元素含量は、脱ドープ容量を大きくする観点および非脱ドープ容量を小さくする観点から、0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、0.03質量%以下であることが更に好ましい。難黒鉛化炭素質材料がカリウム元素を実質的に含有しないことが特に好ましい。また、本発明の難黒鉛化炭素質材料の鉄元素含量は、脱ドープ容量を大きくする観点および非脱ドープ容量を小さくする観点から、0.02質量%以下であることが好ましく、0.015質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることが更に好ましい。難黒鉛化炭素質材料が鉄元素を実質的に含有しないことが特に好ましい。ここで、カリウム元素または鉄元素を実質的に含有しないとは、カリウム元素含量または鉄元素含量が、後述の蛍光X線分析(例えば島津製作所製「LAB CENTER XRF−1700」を用いた分析)の検出限界値以下であることを意味する。カリウム元素含量および鉄元素含量が上記の値以下であると、難黒鉛化炭素質材料を用いた非水電解質二次電池において、十分な脱ドープ容量および非脱ドープ容量が得られやすい。更に、これらの金属元素が電解液中に溶出して再析出した際に短絡することに起因する非水電解質二次電池の安全性の問題が回避されやすい。カリウム元素含量および鉄元素含量の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
<吸湿量>
本発明の難黒鉛化炭素質材料の吸湿量は、好ましくは10000ppm以下、より好ましくは9000ppm以下、特に好ましくは8000ppm以下である。吸湿量が少ないほど、難黒鉛化炭素質材料に吸着する水分が減り、難黒鉛化炭素質材料に吸着するリチウムイオンが増加するので好ましい。また、吸湿量が少ないほど、吸着した水分とリチウムイオンとの反応による自己放電を低減でき、更に、吸着した水分とリチウムイオンとの反応による副反応生成物やガス発生を抑制できるので好ましい。難黒鉛化炭素質材料の吸湿量は、例えば、難黒鉛化炭素質材料に含まれる酸素原子の量を減らすことにより、減らすことができる。難黒鉛化炭素質材料の吸湿量は、例えば、カールフィッシャーなどを用いて測定される。吸湿量の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
<比表面積>
本発明の難黒鉛化炭素質材料は、窒素吸着BET3点法により求めた比表面積が、1〜75m/gであることが好ましく、2〜60m/gであることがより好ましく、3〜50m/gであることが特に好ましい。比表面積が上記範囲内であると、難黒鉛化炭素質材料を用いて製造した非水電解質二次電池において、電解液と難黒鉛化炭素質材料との過剰な副反応が抑制されつつリチウムイオンが難黒鉛化炭素質材料にドープされやすく、更にリチウムイオンを難黒鉛化炭素質材料から脱ドープするための接触面積が高く保持されやすいため、高い充電容量と高い出力特性とが両立されやすい。比表面積は、例えば、後述する脱灰工程の温度を制御することによって調整することができる。
<難黒鉛化炭素質材料の製造方法>
本発明の難黒鉛化炭素質材料の製造方法は、植物起源の炭素前駆体を酸処理する工程、および酸処理した炭素前駆体を1050℃〜1400℃の不活性ガス雰囲気下で焼成する工程を含む。
<植物起源の炭素前駆体>
「植物起源の炭素前駆体」とは、先に記載したように、炭化前の植物起源物質または炭化後の植物起源物質(植物由来のチャー)を意味する。原料となる植物(植物原料)は、特に限定されるものではない。先に例示したような植物を、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。これらの中でも、大量入手が容易な椰子殻が好ましい。
椰子殻は、特に限定されるものではない。先に例示したような椰子殻を、単独または組み合わせて使用することができる。食品、洗剤原料またはバイオディーゼル油原料などとして利用され、大量に発生するバイオマス廃棄物である、ココヤシおよびパームヤシの椰子殻が特に好ましい。
植物原料を炭化する方法、即ち、植物由来のチャーを製造する方法は、特に限定されるものではない。例えば、植物原料を300℃以上の不活性ガス雰囲気下で仮焼成することによって行われる。
また、チャー(例えば、椰子殻チャー)の形態で入手することも可能である。
一般に、植物原料は、アルカリ金属元素(例えば、カリウムおよびナトリウム)、アルカリ土類金属元素(例えば、マグネシウムおよびカルシウム)、遷移金属元素(例えば、鉄および銅)並びに非金属元素(例えば、リン)などを多く含んでいる。このような金属元素および非金属元素を多く含んだ難黒鉛化炭素質材料を負極として用いると、非水電解質二次電池の電気化学的な特性や安全性に好ましくない影響を与えることがある。
<酸処理>
従って、本発明の難黒鉛化炭素質材料の製造方法は、植物起源の炭素前駆体を酸処理する工程を含む。ここで、植物起源の炭素前駆体を酸処理することにより、前記炭素前駆体中の金属元素および/または非金属元素の含量を低下させることを、以下、脱灰とも称する。
酸処理の方法、即ち、脱灰の方法は、特に限定されない。例えば、塩酸または硫酸などの鉱酸、或いは酢酸またはギ酸などの有機酸などを含む酸性水を用いて金属分を抽出脱灰する方法(液相脱灰)、または塩化水素などのハロゲン化合物を含有した高温の気相に暴露させて脱灰する方法(気相脱灰)を用いることができる。
<液相脱灰>
液相脱灰としては、植物起源の炭素前駆体を有機酸水溶液中に浸漬し、植物起源の炭素前駆体から、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、遷移金属元素および/または非金属元素を溶出させて除去することが好ましい。
これらの金属元素を含んだ植物起源の炭素前駆体を炭化すると、炭化時に必要な炭素質が分解される場合がある。また、リンなどの非金属元素は酸化し易いので、炭化物の表面の酸化度が変化し、炭化物の性状が大きく変化するため、好ましくない。更に、炭素前駆体を炭化した後に液相脱灰を行うと、リン、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよび鉄については十分に除去することができない場合がある。また、炭化物中の金属元素および/または非金属元素の含量によって、液相脱灰実施時間や液相脱灰後の炭化物中の金属元素および/または非金属元素の残存量が大きく異なる。従って、炭素前駆体中の金属元素および/または非金属元素の含量を、炭化前に十分に除去しておくことが好ましい。即ち、液相脱灰では、「植物起源の炭素前駆体」として、炭化前の植物起源物質を使用することが好ましい。
液相脱灰において使用される有機酸は、リン、硫黄およびハロゲンなどの不純物源となる元素を含まないことが好ましい。有機酸がリン、硫黄およびハロゲンなどの元素を含まない場合には、液相脱灰後の水洗を省略し、有機酸が残存する炭素前駆体を炭化した場合であっても、炭素材として好適に用いることできる炭化物が得られるため有利である。また、使用後の有機酸の廃液処理を特別な装置を用いることなく比較的容易に行うことができるため有利である。
有機酸の例としては、飽和カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、酒石酸およびクエン酸など、不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸およびフマル酸など、芳香族カルボン酸、例えば安息香酸、フタル酸およびナフトエン酸などが挙げられる。入手可能性、酸性度による腐食および人体への影響の観点から、酢酸、シュウ酸およびクエン酸が好ましい。
本発明では、有機酸は、溶出する金属化合物の溶解度、廃棄物の処理、および環境適合性などの観点から、水性溶液と混合して有機酸水溶液として用いる。水性溶液としては、水、および水と水溶性有機溶媒との混合物などが挙げられる。水溶性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロピレングリコールまたはエチレングリコールなどのアルコールが挙げられる。
有機酸水溶液中の酸の濃度としては、特に限定されるものではない。用いる酸の種類に応じて濃度を調節して用いることができる。本発明では、通常、有機酸水溶液の総量に基づいて0.001質量%〜20質量%、より好ましくは0.01質量%〜18質量%、特に好ましくは0.02質量%〜15質量%の範囲の酸濃度の有機酸水溶液を用いる。酸濃度が上記範囲内であれば、適切な金属元素および/または非金属元素の溶出速度が得られるため実用的な時間で液相脱灰を行うことが可能となる。また、炭素前駆体における酸の残留量が少なくなるので、その後の製品への影響も少なくなる。
有機酸水溶液のpHは、好ましくは3.5以下、より好ましくは3以下である。有機酸水溶液のpHが上記の値以下であると、金属元素および/または非金属元素の有機酸水溶液への溶解速度が低下することなく、金属元素および/または非金属元素の除去が効率的に行われやすい。
炭素前駆体を浸漬する際の有機酸水溶液の温度は、特に限定されない。好ましくは45℃〜120℃、より好ましくは50℃〜110℃、特に好ましくは60℃〜100℃の範囲である。炭素前駆体を浸漬する際の有機酸水溶液の温度が、上記範囲内であれば、使用する酸の分解が抑制され、実用的な時間での液相脱灰の実施が可能となる金属元素の溶出速度が得られやすいため好ましい。また、特殊な装置を用いずに液相脱灰を行いやすいため好ましい。
炭素前駆体を有機酸水溶液に浸漬する時間としては、用いる酸に応じて適宜調節することができる。本発明では、浸漬する時間は、経済性および脱灰効率の観点から、通常1〜100時間、好ましくは2〜80時間、より好ましくは2.5〜50時間の範囲である。
有機酸水溶液の質量に対する浸漬する炭素前駆体の質量の割合は、用いる有機酸水溶液の種類、濃度および温度などに応じて適宜調節することが可能であり、通常0.1質量%〜200質量%、好ましくは1質量%〜150質量%、より好ましくは1.5質量%〜120質量%の範囲である。上記範囲内であれば、有機酸水溶液に溶出した金属元素および/または非金属元素が有機酸水溶液から析出しにくく、炭素前駆体への再付着が抑制されやすいため好ましい。また、上記範囲内であれば、容積効率が適切となるため経済的観点から好ましい。
液相脱灰を行う雰囲気としては、特に限定されず、浸漬に使用する方法に応じて異なっていてよい。本発明では、液相脱灰は、通常、大気雰囲気中で実施する。
これらの操作は、好ましくは1回〜8回、より好ましくは2回〜5回繰り返して行ってよい。
本発明では、液相脱灰後、必要に応じて洗浄工程および/または乾燥工程を行ってよい。
<気相脱灰>
気相脱灰としては、植物起源の炭素前駆体を、ハロゲン化合物を含む気相中で熱処理することが好ましい。気相脱灰では、熱処理時に植物起源の炭素前駆体の急激な熱分解反応を伴うと、熱分解成分の発生により気相脱灰効率が低下するとともに、発生した熱分解成分により熱処理装置内が汚染され、安定運転に支障が生じることがある。これらの観点から、「植物起源の炭素前駆体」として、炭化後の植物起源物質を使用することが好ましい。
気相脱灰で使用されるハロゲン化合物は特に限定されない。例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、臭化ヨウ素、フッ化塩素(ClF)、塩化ヨウ素(ICl)、臭化ヨウ素(IBr)、塩化臭素(BrCl)およびそれらの混合物を使用することができる。熱分解によりこれらのハロゲン化合物を発生する化合物、またはそれらの混合物を用いることもできる。供給安定性および使用するハロゲン化合物の安定性の観点から、塩化水素を使用することが好ましい。
気相脱灰では、ハロゲン化合物と不活性ガスとを混合して使用してもよい。不活性ガスは、植物起源の炭素前駆体を構成する炭素成分と反応しないガスであれば特に限定されない。例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、またはそれらの混合ガスを使用することができる。供給安定性および経済性の観点から、窒素を使用することが好ましい。
気相脱灰において、ハロゲン化合物と不活性ガスとの混合比は、十分な脱灰が達成できる限り、限定されるものではない。例えば、安全性、経済性および炭素前駆体中への残留性の観点から、不活性ガスに対するハロゲン化合物の量は、好ましくは0.01〜10.0体積%であり、より好ましくは0.05〜8.0体積%であり、特に好ましくは0.1〜5.0体積%である。
気相脱灰の温度は、脱灰の対象である植物起源の炭素前駆体に応じて変えてよいが、所望の酸素元素含量および比表面積が得られやすい観点から、例えば500〜950℃、好ましくは600〜940℃、より好ましくは650〜940℃、特に好ましくは850〜930℃である。脱灰温度が上記範囲内であると、良好な脱灰効率が得られて十分に脱灰されやすく、ハロゲン化合物による賦活が回避されやすい。
気相脱灰の時間は、特に限定されるものではない。反応設備の経済効率、および炭素分の構造保持性の観点から、例えば5〜300分であり、好ましくは10〜200分であり、より好ましくは20〜150分である。
気相脱灰の対象となる植物起源の炭素前駆体の平均粒子径は、特に限定されるものではない。平均粒子径が小さすぎる場合、除去されたカリウムなどを含む気相と、植物起源の炭素前駆体とを分離することが困難になり得ることから、粒子径の平均値の下限は100μm以上が好ましく、300μm以上がより好ましく、500μm以上が特に好ましい。また、粒子径の平均値の上限は、混合ガス気流中での炭素前駆体の流動性の観点から、10000μm以下が好ましく、8000μm以下がより好ましく、5000μm以下が特に好ましい。ここで、平均粒子径の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
気相脱灰に用いる装置は、植物起源の炭素前駆体とハロゲン化合物を含む気相とを混合しながら加熱できる装置であれば、特に限定されない。例えば、流動炉を用い、流動床などによる連続式またはバッチ式の層内流通方式を用いることができる。気相の供給量(流動量)も特に限定されない。混合ガス気流中での炭素前駆体の流動性の観点から、例えば植物起源の炭素前駆体1g当たり好ましくは1mL/分以上、より好ましくは5mL/分以上、特に好ましくは10mL/分以上の気相を供給する。
気相脱灰においては、ハロゲン化合物を含む不活性ガス雰囲気中での熱処理(以下において「ハロゲン熱処理」と称することがある)の後に、更にハロゲン化合物非存在下での熱処理(以下において「気相脱酸処理」と称することがある)を行うことが好ましい。前記ハロゲン熱処理により、ハロゲンが植物起源の炭素前駆体に含まれるため、気相脱酸処理により植物起源の炭素前駆体に含まれているハロゲンを除去することが好ましい。具体的には、気相脱酸処理は、ハロゲン化合物を含まない不活性ガス雰囲気中で通常は500℃〜940℃、好ましくは600〜940℃、より好ましくは650〜940℃、特に好ましくは850〜930℃で熱処理することによって行う。この熱処理の温度は、先行のハロゲン熱処理の温度と同じか、またはそれよりも高い温度で行うことが好ましい。例えば、ハロゲン熱処理後に、ハロゲン化合物の供給を遮断して熱処理を行うことにより、気相脱酸処理を行うことができる。また、気相脱酸処理の時間も特に限定されるものではない。好ましくは5分〜300分であり、より好ましくは10分〜200分であり、特に好ましくは10分〜100分である。
本発明における酸処理は、植物起源の炭素前駆体に含まれているカリウムおよび/または鉄などを除去(脱灰)するものである。酸処理後に得られる植物起源の炭素前駆体に含まれるカリウム元素含量は、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、更に好ましくは0.03質量%以下に低減される。特に好ましくは、カリウム元素含量は、難黒鉛化炭素質材料が実質的に含有しない程度まで低減される。また、酸処理後に得られる炭素前駆体に含まれる鉄元素含量は、好ましくは0.02質量%以下、より好ましくは0.015質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以下に低減される。特に好ましくは、鉄元素含量は、難黒鉛化炭素質材料が実質的に含有しない程度まで低減される。ここで、カリウム元素または鉄元素を実質的に含有しないとは、カリウム元素含量または鉄元素含量が、後述の蛍光X線分析(例えば島津製作所製「LAB CENTER XRF−1700」を用いた分析)の検出限界値以下であることを意味する。カリウム元素含量および鉄元素含量が上記の値以下であると、先に記載した通り、十分な脱ドープ容量および非脱ドープ容量が得られやすく、非水電解質二次電池の安全性の問題が回避されやすい。カリウム元素含量および鉄元素含量の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
本発明における酸処理では、脱灰と同時に炭素成分の一部が除去される。具体的には、液相脱灰であれば炭素成分の一部が溶出により除去され、気相脱灰であれば炭素成分の一部が塩素賦活により除去される。この除去された部分が、後述の焼成工程後にクラスター化リチウムの吸蔵ポイントをもたらす。
本発明において酸処理は少なくとも1回行う。同じまたは異なる酸を用いて2回以上酸処理を行ってもよい。
酸処理の対象である植物起源の炭素前駆体は、炭化前の植物起源物質または炭化後の植物起源物質であるが、酸処理を液相脱灰によって行う場合は、炭素成分の溶出の増加、即ち、リチウム吸蔵ポイントの増加の観点から、液相脱灰を、炭化前の植物原料そのものに行うことが好ましい。
酸処理後の炭素前駆体がまだ炭化処理に付されていない炭素前駆体である場合、即ち、炭化前の植物原料を酸処理した後の炭素前駆体である場合は、次いで、炭化処理を施す。炭化方法は、先に記載したように、特に限定されるものではない。例えば、酸処理された炭化前の植物原料を、300℃以上の不活性ガス雰囲気下で仮焼成することによって行われる。
植物起源の炭素前駆体は、必要に応じて粉砕および分級され、その平均粒子径が調整される。粉砕工程および分級工程は、酸処理の後、実施することが好ましい。
<粉砕>
粉砕工程では、植物起源の炭素前駆体を、焼成工程後の平均粒子径が例えば1〜30μmの範囲になるように粉砕することが、電極作製時の塗工性の観点から好ましい。即ち、本発明の難黒鉛化炭素質材料の平均粒子径(Dv50)を、例えば1〜30μmの範囲になるように調整する。難黒鉛化炭素質材料の平均粒子径が1μm以上であると、微粉が増加して比表面積が増加し、電解液との反応性が高くなって、充電しても放電しない容量である不可逆容量が増加し、正極の容量が無駄になる割合が増加する傾向が抑制されやすい。また、得られた難黒鉛化炭素質材料を用いて負極を製造した際に、炭素質材料の間に形成される空隙が十分確保されやすく、電解液中のリチウムイオンの良好な移動が確保されやすい。本発明の炭素質材料の平均粒子径(Dv50)は、好ましくは1μm以上、より好ましくは1.5μm以上、特に好ましくは2μm以上である。一方、平均粒子径が30μm以下であると、粒子内でのリチウムイオンの拡散自由行程が少なく、急速な充放電が可能となりやすいため好ましい。更に、リチウムイオン二次電池では、入出力特性の向上には電極面積を大きくすることが重要であり、そのため電極調製時に集電板への活物質の塗工厚みを薄くする必要がある。塗工厚みを薄くするには、活物質の平均粒子径を小さくする必要がある。このような観点から、平均粒子径は30μm以下であることが好ましく、より好ましくは19μm以下であり、更に好ましくは17μm以下であり、更に好ましくは16μm以下であり、特に好ましくは15μm以下である。
なお、植物起源の炭素前駆体は、後述する本焼成の条件により、0〜20%程度収縮する。そのため、焼成後の平均粒子径が1〜30μmとなるようにするためには、植物起源の炭素前駆体の平均粒子径を、所望する焼成後の平均粒子径よりも0〜20%程度大きい粒子径となるように調整することが好ましい。従って、粉砕後の平均粒子径が、好ましくは1〜36μm、より好ましくは1〜22.8μm、更に好ましくは1〜20.4μm、更に好ましくは1〜19.2μm、特に好ましくは1〜18μmとなるように粉砕を行うことが好ましい。
炭素前駆体は、後述する焼成工程を実施しても溶解しないため、粉砕工程の順番は特に限定されない。酸処理における炭素前駆体の回収率(収率)を考慮すると、酸処理後に実施することが好ましく、炭素質材料の比表面積を十分に低減させる観点からは、焼成工程の前に実施することが好ましい。しかしながら、酸処理前または焼成工程後に粉砕工程を実施することも排除されない。
粉砕工程に用いる粉砕機は特に限定されるものではない。例えば、ジェットミル、ボールミル、ハンマーミル、ミキサーミル、ビーズミルまたはロッドミルなどを使用することができる。微粉の発生が少ない観点からは、分級機能を備えたジェットミルが好ましい。ボールミル、ハンマーミル、ミキサーミル、ビーズミルまたはロッドミルなどを用いる場合は、粉砕工程後に分級を行うことで微粉を取り除くことができる。
<分級>
分級工程によって、炭素質材料の平均粒子径をより正確に調整することが可能となる。例えば、粒子径が1μm未満の粒子を除くことが可能となる。
分級によって粒子径1μm未満の粒子を除く場合、本発明の難黒鉛化炭素質材料において、粒子径1μm未満の粒子の含量が3体積%以下となるようにすることが好ましい。粒子径1μm未満の粒子の除去は、粉砕後に行うのであれば特に限定されないが、粉砕において分級と同時に行うことが好ましい。本発明の難黒鉛化炭素質材料において、粒子径1μm未満の粒子の含量は、電解液と難黒鉛化炭素質材料との副反応を抑制し、不可逆容量を低下させる観点から、3体積%以下であることが好ましく、2.5体積%以下であることがより好ましく、2.0体積%以下であることが特に好ましい。
分級方法は、特に限定されない。例えば、篩を用いた分級、湿式分級または乾式分級が挙げられる。湿式分級機としては、例えば、重力分級、慣性分級、水力分級または遠心分級などの原理を利用した分級機が挙げられる。乾式分級機としては、沈降分級、機械的分級または遠心分級などの原理を利用した分級機が挙げられる。
粉砕工程と分級工程は、1つの装置を用いて実施することもできる。例えば、乾式の分級機能を備えたジェットミルを用いて、粉砕工程と分級工程を実施することができる。更に、粉砕機と分級機とが独立した装置を用いることもできる。この場合、粉砕と分級とを連続して行うこともできるが、粉砕と分級とを不連続に行うこともできる。
<焼成>
場合により粉砕および分級した後、酸処理および炭化処理を施した炭素前駆体を焼成することにより、本発明の難黒鉛化炭素質材料を製造することができる。焼成工程は、室温から所定の焼成温度まで昇温した後に、焼成温度で焼成を行う工程である。上記炭素前駆体を(a)1050〜1400℃で焼成してもよいし(本焼成)、または上記炭素前駆体を(b)350〜1050℃未満で焼成(予備焼成)した後、更に1050〜1400℃で焼成(本焼成)、または(c)1050〜1400℃で焼成(本焼成)した後、炭化水素化合物を含む不活性ガス雰囲気中で500〜1000℃で熱処理(CVD処理)してもよい。以下に、予備焼成、本焼成、およびCVD処理の手順の一例を順に説明する。
<予備焼成>
本発明の難黒鉛化炭素質材料の製造方法における予備焼成工程は、例えば酸処理および炭化処理を施した炭素前駆体を350〜1050℃未満の温度で焼成することによって行うことができる。予備焼成により揮発分(例えば、CO、CO、CHおよびHなど)およびタール分を除去することによって、本焼成におけるそれらの発生を低減させ、焼成器の負担を軽減することができる。予備焼成温度は、通常は350〜1050℃未満、好ましくは400〜1050℃未満である。予備焼成は、通常の予備焼成の手順に従って行うことができる。具体的には、予備焼成は、不活性ガス雰囲気中で行うことができ、不活性ガスとしては、窒素またはアルゴンなどを挙げることができる。また、予備焼成は、減圧下で行うこともでき、例えば10KPa以下で行うことができる。予備焼成の時間は特に限定されるものではなく、通常は0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間である。
なお、本発明の難黒鉛化炭素質材料の製造方法において予備焼成を行う場合は、予備焼成工程で炭素前駆体へのタール成分および炭化水素系ガスの被覆が起こると考えられる。この炭素質被膜により、難黒鉛化炭素質材料の比表面積が好ましく減少すると考えられる。
<本焼成>
本発明の難黒鉛化炭素質材料の製造方法における本焼成工程は、通常の本焼成の手順に従って行うことができ、本焼成後に難黒鉛化炭素質材料が得られる。
本焼成温度は、通常は1050〜1400℃であり、好ましくは1100〜1380℃であり、より好ましくは1150〜1350℃である。本焼成は、不活性ガス雰囲気中で行うことができ、不活性ガスとしては、窒素またはアルゴンなどを挙げることができる。また、ハロゲンガスを含有する不活性ガス中で本焼成を行うことも可能である。更に、本焼成は、減圧下で、例えば10KPa以下で行うことも可能である。
本焼成工程で炭素前駆体を熱処理する際、炭素前駆体自体から一酸化炭素および水素などのガスが生じる。これらのガスは高い反応性を有し、クラスター化リチウムを吸蔵できる炭素結晶間の空隙を破壊するために、熱処理中に生じるガスと炭素前駆体との反応を制御することが重要となる。例えば、WO2017/022486では、気相脱灰または液相脱灰を行った後に熱処理を行うことで充電時にクラスター化リチウムをより多く吸蔵できる難黒鉛化炭素質材料を得ている。WO2017/022486によって確かに高い充電容量および高い充放電効率を有する非水電解質二次電池用の炭素質材料を得ることはできるが、本発明では更に焼成時の熱分解ガスを積極的に除去することで、更に、高い出力特性を得ることができることを見出した。炭素前駆体から熱分解ガスを積極的に除去しながら焼成する手法は特に限定されないが、例えば本焼成中の不活性ガスの供給量を多くして熱処理を行う、または、本焼成時の試料の積層高さを低減することで試料内に滞留するガスを積極的に排除する方法が挙げられる。これらの方法により、炭素前駆体自体から生じる反応性のガスを、炭素前駆体と反応する前に除去することが可能となる。そのため、より制御された炭素構造を有する難黒鉛化炭素質材料を製造することができる。本焼成の時間は特に限定されるものではなく、例えば0.05〜10時間、好ましくは0.05〜8時間、より好ましくは0.05〜6時間である。
本発明では、炭素前駆体を焼成する際、揮発性有機物と混合して焼成することができる。揮発性有機物と混合して焼成することにより、炭素前駆体から得られる難黒鉛化炭素質材料の比表面積を、非水電解質二次電池、例えばリチウムイオン二次電池用負極にとってより好適な比表面積とすることができる。
<揮発性有機物>
本発明において使用できる揮発性有機物は、800℃で灰化した場合に残炭率が灰化前の揮発性有機物の質量に基づいて5質量%未満である常温で固体の揮発性有機物であれば特に限定されないが、炭素前駆体から製造される難黒鉛化炭素質材料の比表面積を低減させることのできる揮発物質(例えば、炭化水素系ガスやタール成分)を発生させるものが好ましい。揮発性有機物における、比表面積を低減させることのできる揮発物質の含量は特に限定されるものではないが、揮発性有機物の質量に基づいて、通常は1〜20質量%、好ましくは3〜15質量%である。なお、本明細書において、常温とは25℃を指す。
揮発性有機物としては、熱可塑性樹脂や低分子有機化合物を挙げることができる。より具体的には、熱可塑性樹脂として、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メタ)アクリル酸またはポリ(メタ)アクリル酸エステルなどを挙げることができ、低分子有機化合物として、トルエン、キシレン、メシチレン、スチレン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセンまたはピレンなどを挙げることができる。揮発し、焼成温度で熱分解した場合に炭素前駆体の表面を酸化賦活しない観点から、熱可塑性樹脂としてはポリスチレン、ポリエチレンまたはポリプロピレンが好ましく、低分子有機化合物としてはナフタレン、フェナントレン、アントラセンまたはピレンが好ましい。常温下で揮発性が小さいために安全上好ましい観点から、ナフタレン、フェナントレン、アントラセンまたはピレンを使用することが更に好ましい。
残炭率は、試料を不活性ガス中で強熱した後の強熱残分の炭素量を定量することにより測定することができる。強熱とは、揮発性有機物およそ1g〔この正確な質量をW(g)とする〕を坩堝にいれ、1分間に20リットルの窒素を流しながら坩堝を電気炉にて10℃/分で800℃まで昇温し、その後800℃で1時間保持することを意味する。このときの残存物を強熱残分とし、その質量をW(g)とする。
次いで上記強熱残分について、JIS M8819に定められた方法に準拠して元素分析を行い、炭素の質量割合P(%)を測定する。残炭率P(%)は以下の式により算出する。
Figure 2019008910
炭素前駆体と揮発性有機物とを混合して焼成する場合、好ましくは、炭素前駆体と揮発性有機物とを97:3〜40:60の質量比で混合する。この混合比は、より好ましくは95:5〜60:40、特に好ましくは93:7〜80:20である。混合比を上記範囲内とすることによって、難黒鉛化炭素質材料の比表面積を十分に低減させやすい。一方で、比表面積の低減効果が飽和して揮発性有機物を無駄に消費することを回避しやすい。
炭素前駆体と揮発性有機物との混合は、炭素前駆体の粉砕前または粉砕後のいずれの段階で行ってもよい。炭素前駆体の粉砕前に混合する場合は、炭素前駆体と揮発性有機物を同時に粉砕装置に計量供給することにより、粉砕と混合を同時に行うことができる。炭素前駆体の粉砕後に揮発性有機物を混合することも好ましい。この場合の混合方法は、両者が均一に混合される手法であればどのような混合方法であってもよい。
揮発性有機物は粒子の形状で混合されることが好ましいが、粒子の形や平均粒子径は特に限定されない。粉砕された炭素前駆体に均一に分散させる観点からは、揮発性有機物の平均粒子径は、好ましくは0.1〜2000μm、より好ましくは1〜1000μm、特に好ましくは2〜600μmである。
炭素前駆体と揮発性有機物との混合物は、本発明の難黒鉛化炭素質材料についての効果が得られる限りにおいて、即ち、難黒鉛化炭素質材料の比表面積が低減する限りにおいて、炭素前駆体および揮発性有機物以外の他の成分を含んでもよい。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、金属系材料、合金系材料または酸化物系材料を含んでよい。他の成分の含量は特に限定されるものではなく、炭素前駆体と揮発性有機物との混合物100質量部に対して、好ましくは50質量部以下であり、より好ましくは30質量部以下であり、更に好ましくは20質量部以下であり、特に好ましくは10質量部以下である。
<CVD処理>
本発明では本焼成工程の後に、炭化水素化合物を用いるCVD処理を施してもよい。CVD処理とは、熱分解された炭化水素化合物で、本焼成工程で得られた難黒鉛化炭素質材料を被覆する化学的蒸着(CVD、Chemical Vapor Deposition)処理である。CVD処理の条件は、上記化学的蒸着が達成される限り特に限定されないが、例えば炭化水素化合物を含む不活性ガス雰囲気中で500〜1000℃で熱処理する方法により行ってよい。CVD処理工程において、例えば500〜1000℃での熱処理によって、炭化水素化合物が熱分解され、生じる熱分解物が難黒鉛化炭素質材料に添着し、難黒鉛化炭素質材料の表面を被覆する。これにより、以下のメカニズムに何ら限定されないが、難黒鉛化炭素質材料のクラスター化リチウムが吸蔵できる炭素結晶間の空隙を維持しつつ比表面積を低減させることができるため、吸湿量を大幅に低下させることができると考えられる。そのため、高い充電容量を維持しつつ、充放電効率を高めることができると考えられる。また、CVD処理により、リチウムイオンの吸蔵を阻害し得る−OH基または−COOH基などの難黒鉛化炭素質材料表面の官能基が、熱分解された炭化水素化合物のラジカルと反応し、除去されると考えられる。そのため、炭素質材料における酸素元素含量が低下し、充放電時の不可逆的な副反応が抑制されることにより、充電容量および充放電効率が向上すると考えられる。
CVD処理工程において使用する炭化水素化合物は、主に炭素原子と水素原子から構成される化合物である。炭化水素化合物としては、例えば低分子有機炭化水素化合物などが挙げられる。CVD処理工程において、1種類の炭化水素化合物を使用してもよいし、2種以上の炭化水素化合物を組み合わせて使用してもよい。炭化水素化合物が主に炭素原子と水素原子から構成されるとは、炭化水素化合物における炭素原子と水素原子の合計量が、炭化水素化合物の総質量に基づいて、好ましくは75質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは85質量%以上であることを意味する。
低分子有機炭化水素化合物としては、例えば炭素数が1〜20の炭化水素化合物が挙げられる。炭化水素化合物の炭素数は、好ましくは2〜18、より好ましくは3〜16である。炭化水素化合物は、飽和炭化水素化合物または不飽和炭化水素化合物でもよく、鎖状の炭化水素化合物でも、環式の炭化水素化合物でもよい。不飽和炭化水素化合物の場合、不飽和結合は二重結合でも三重結合でもよく、1分子に含まれる不飽和結合の数も特に限定されるものではない。例えば、鎖状の炭化水素化合物は、脂肪族炭化水素化合物であり、直鎖状または分枝状のアルカン、アルケン、またはアルキンを挙げることができる。環式の炭化水素化合物としては、脂環式炭化水素化合物(例えば、シクロアルカン、シクロアルケン、シクロアルキン)または芳香族炭化水素化合物を挙げることができる。具体的には、脂肪族炭化水素化合物としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセンまたはアセチレンなどを挙げることができる。脂環式炭化水素化合物としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロプロパン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、デカリン、ノルボルネン、メチルシクロヘキサン、またはノルボルナジエンなどを挙げることができる。更に、芳香族炭化水素化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、ブチルベンゼン、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレンなどの単環芳香族化合物、およびナフタレン、フェナントレン、アントラセン、ピレンなどの3環〜6環の縮合多環芳香族化合物を挙げることができるが、好ましくは縮合多環芳香族化合物、より好ましくはナフタレン、フェナントレン、アントラセンまたはピレンである。ここで、前記炭化水素化合物は、任意の置換基を有していてよい。置換基は特に限定されるものではないが、例えば炭素数1〜4のアルキル基(好ましくは炭素数1〜2のアルキル基)、炭素数2〜4のアルケニル基(好ましくは炭素数2のアルケニル基)、炭素数3〜8のシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキル基)が挙げられる。
CVD処理工程において、炭化水素化合物を気体状態で連続的に供給することが、CVD処理を均一に行い、炭素質材料の所望の特性を得やすい観点から好ましい。CVD処理を行う温度で気体状態となる炭化水素化合物を用いるか、または、CVD処理の前工程において気体状態とした炭化水素化合物をCVD処理工程に供給して行ってもよい。例えば500〜1000℃の温度で気体状態となる炭化水素化合物を用い、該温度で熱処理してCVD処理を行うことが、生産性および炭化水素化合物と難黒鉛化炭素質材料との混合性の観点から好ましい。上記観点からは、炭化水素化合物の沸点は、CVD処理を行う温度以下であることが好ましい。
CVD処理工程は、好ましくは、炭化水素化合物を含む不活性ガス雰囲気中で行ってよい。CVD処理工程において使用する不活性ガスとしては、窒素またはアルゴンなどを挙げることができる。本焼成工程とCVD処理工程とで、同じ不活性ガスを使用してもよいし、異なる不活性ガスを使用してもよい。製造工程を簡単にし、製造効率を高める観点からは、本焼成工程とCVD処理工程とで同じ不活性ガスを使用することが好ましい。
CVD処理工程を、炭化水素化合物を含む不活性ガス雰囲気中で行う場合、炭化水素化合物と不活性ガスとの混合比は、特に限定されない。例えば、安全性、経済性および焼成炉内の汚染性の観点から、不活性ガスに対する炭化水素化合物の量は、好ましくは1〜60体積%であり、より好ましくは5〜50体積%であり、特に好ましくは10〜45体積%である。炭化水素化合物を含む不活性ガス雰囲気中で熱処理を行う本実施態様の製造方法によれば、炭素質材料から酸素元素を効率的に除去しやすい。
CVD処理工程における熱処理温度は、炭素質材料や使用する炭化水素化合物の種類などにより変えてよいが、所望の炭素構造を得る観点から、好ましくは500〜1000℃、より好ましくは600〜900℃、更に好ましくは700〜850℃である。熱処理温度が低すぎると、炭素質材料から酸素元素が十分に除去されにくく、熱処理温度が高すぎると、充電容量に寄与しない炭化水素化合物由来の炭素構造が多く付着して充電容量が低下しやすい。
CVD処理工程を、炭化水素化合物を含む不活性ガス雰囲気中で行う場合、炭化水素化合物を含む不活性ガス気流の供給量は、特に限定されないが、炭素質材料50gあたり好ましくは0.1L/分以上、より好ましくは0.3L/分以上、特に好ましくは0.5L/分以上である。上記の下限値以上の供給量で熱処理を行うと、均一に炭素被覆がされやすいため好ましい。供給量の上限値は、好ましくは10L/分以下であり、より好ましくは5L/分以下である。上記の上限値以下の供給量で熱処理を行うと、供給した炭化水素化合物が効率よく作用しやすいため好ましい。
<非水電解質二次電池用負極>
本発明の非水電解質二次電池用負極は、本発明の難黒鉛化炭素質材料を含んでなる。
<負極電極の製造>
本発明の難黒鉛化炭素質材料を含む負極電極材は、難黒鉛化炭素質材料に結合剤(バインダー)を添加し、適当な溶媒を適量添加し、混練して電極合剤とした後に、金属板などからなる集電板に電極合剤を塗布し、乾燥し、加圧成形することにより製造することができる。本発明の難黒鉛化炭素質材料を用いることにより、特に導電助剤を添加しなくとも高い導電性を有する電極を製造することができる。しかしながら、更に高い導電性を付与するために、必要に応じて、電極合剤の調製時に導電助剤を添加することもできる。
導電助剤としては、導電性のカーボンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、およびナノチューブなどを用いることができる。導電助剤の添加量は、使用する導電助剤の種類によっても異なるが、好ましくは0.5〜10質量%〔ここで、活物質(難黒鉛化炭素質材料)量+結合剤量+導電助剤量=100質量%とする〕であり、より好ましくは0.5〜7質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%である。導電助剤の添加量を上記範囲内とすることによって、電極合剤中での導電助剤の分散が悪化することなく、期待する導電性が得られやすい。
添加する結合剤としては、電解液と反応しないものであれば特に限定されることはない。例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリテトラフルオロエチレン、およびSBR(スチレン・ブタジエン・ラバー)とCMC(カルボキシメチルセルロース)との混合物などを挙げることができる。中でもPVDFは、活物質表面に付着したPVDFがリチウムイオン移動を阻害することが少なく、良好な入出力特性が得られるために好ましい。結合剤の添加量は、使用する結合剤の種類によっても異なるが、PVDF系の結合剤では、難黒鉛化炭素質材料、結合剤および導電助剤の総質量に基づいて、好ましくは3〜13質量%であり、より好ましくは3〜10質量%である。結合剤の添加量を上記範囲内とすることによって、得られる電極の抵抗が大きくなって電池の内部抵抗が大きくなり、電池特性が低下したり、負極粒子同士および負極粒子と集電板との結合が不十分になったりする問題を回避しやすい。
PVDFを溶解してスラリーを形成するためには、溶媒として、N−メチルピロリドン(NMP)などの極性溶媒が好ましく用いられる。また、SBRなどの水性エマルジョン、またはCMCなどの水溶液を形成するためには、溶媒として、水が好ましく使用される。溶媒として水を使用する結合剤では、SBRとCMCとの混合物など、複数の結合剤を混合して使用することが多い。溶媒の添加量は、使用する難黒鉛化炭素質材料、結合剤および導電助剤の総質量(100質量部とする)に基づいて、好ましくは10〜200質量部、より好ましくは50〜150質量部である。
電極活物質層は集電板の両面に形成するのが基本であるが、必要に応じて片面でもよい。活物質層(片面当たり)の厚みは、好ましくは10〜100μmであり、より好ましくは20〜90μm、特に好ましくは20〜80μmである。この厚みを上記範囲内とすることによって、集電板やセパレータなどが少なくて済むため高容量化が実現しやすい一方で、対極と対向する電極面積を広く確保できるため高い入出力特性が得られやすい。
<非水電解質二次電池>
本発明の非水電解質二次電池は、例えば、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、リチウム硫黄電池、全固体電池、および有機ラジカル電池などを包含し、本発明の非水電解質二次電池用負極を含んでなる。本発明の難黒鉛化炭素質材料を含んでなる非水電解質二次電池用負極を用いて製造され、満充電された非水電解質二次電池は、高い充電容量とともに高い充放電効率を示す。
本発明の難黒鉛化炭素質材料を用いて、非水電解質二次電池用の負極を形成した場合、正極材、セパレータ、および電解液など電池を構成する他の材料は特に限定されることはない。非水溶媒二次電池として従来使用され、或いは提案されている種々の材料を使用することが可能である。
例えば、正極材としては、層状酸化物系〔LiMO[Mは金属を表す]と表されるもので、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMnO、またはLiNiCoMo(ここでx、y、zは組成比を表わす)〕、オリビン系(LiMPO[Mは金属を表す]で表され、例えばLiFePOなど)、およびスピネル系(LiM[Mは金属を表す]で表され、例えばLiMnなど)の複合金属カルコゲン化合物が好ましく、これらのカルコゲン化合物を必要に応じて混合してもよい。これらの正極材を適当なバインダーと電極に導電性を付与するための炭素材料とともに成形して、導電性の集電材上に層形成することにより正極が形成される。
これらの正極および負極と組み合わせて用いられる非水溶媒型電解液は、一般に非水溶媒に電解質を溶解することにより形成される。非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、γ−ブチルラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、または1,3−ジオキソランなどの有機溶媒を、単独でまたは二種以上組み合わせて用いることができる。また、電解質としては、LiClO、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiAsF、LiCl、LiBr、LiB(C、またはLiN(SOCFなどが用いられる。
非水電解質二次電池は、一般に上記のようにして形成した正極と負極とを必要に応じて不織布またはその他の多孔質材料などからなる透液性セパレータを介して対向させ、電解液中に浸漬させることにより形成される。セパレータとしては、二次電池に通常用いられる不織布またはその他の多孔質材料からなる透過性セパレータを用いることができる。或いはセパレータの代わりに、もしくはセパレータと一緒に、電解液を含浸させたポリマーゲルからなる固体電解質を用いることもできる。
本明細書において「満充電された非水電解質二次電池」とは、本発明の非水電解質二次電池を組み立て、金属リチウムの析出がLi核−固体NMR分析で確認される直前までリチウムを負極に充電(ドープ)された非水電解質二次電池のことであり、通常、一定の電流値で負極活物質の質量あたり580〜700mAh/gの範囲まで充電された非水電解質二次電池のことを意味する。
<化学シフト値の主共鳴ピーク位置>
本発明の非水電解質二次電池における難黒鉛化炭素質材料について、満充電状態となるまでリチウムを充電(ドープ)し、Li核−固体NMR分析を行ったときに観測される塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置は、115ppmより大きく、好ましくは117ppmより大きく、より好ましくは119ppmより大きい。
先に記載した通り、塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置が115ppmより大きいということは、電池の充電容量が高いこと、および「放電容量/充電容量」から計算される充放電効率が高いことを意味する。充放電効率が高いことにより、電池体積あたりの容量やコスト面で有利となる。塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置が115ppm以下である炭素質材料では、本発明の難黒鉛化炭素質材料のように、高い充電容量および高い充放電効率の両方をもたらすことは極めて困難である。
前記主共鳴ピーク位置を上記の値より大きい値に調整するためには、例えば、炭素を含む材料を一酸化炭素や水素などの熱分解ガスを積極的に除去しながら1050℃〜1400℃の不活性ガス雰囲気下で焼成することにより製造された難黒鉛化炭素質材料を負極に使用すればよい。Li核−固体NMR分析の詳細は、実施例に記載する通りである。
<電極の膨張率>
本発明の非水電解質二次電池について、難黒鉛化炭素質材料を含んでなる負極の満充電時における膨張率は、充電前の負極の厚みに基づいて107%以下である。膨張率が107%を超える場合、電極内で活物質同士の接触不良が生じ、電極抵抗が高くなるため、良好な出力特性(高い放電容量維持率)を有する非水電解質二次電池は得られない。
膨張率は、好ましくは106%以下、特に好ましくは105%以下である。膨張率が上記上限値以下であると、電極内における活物質(難黒鉛化炭素質材料)同士の導電パスおよびリチウムイオンの拡散が良好に確保されやすいため、低い電極抵抗が得られやすく、良好な出力特性が得られやすい。
電極膨張率を上記の値以下に調整するためには、例えば、炭素を含む材料を一酸化炭素や水素などの熱分解ガスを積極的に除去しながら1050℃〜1400℃の不活性ガス雰囲気下で焼成することにより製造された難黒鉛化炭素質材料を負極に使用すればよい。前記方法で製造された難黒鉛化炭素質材料を含んでなる負極では、炭素結晶層間だけでなく炭素結晶間の空隙に多くのリチウムイオンが充電されるため、炭素結晶層間のみにリチウムイオンが充電される従来の負極より、有意に小さい電極膨張率がもたらされると考えられる。膨張率の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
<酸素元素含量>
本発明の非水電解質二次電池において、難黒鉛化炭素質材料の酸素元素含量は少ないほどよい。酸素元素含量は、好ましくは0.30質量%以下、より好ましくは0.28質量%以下である。難黒鉛化炭素質材料が酸素元素を実質的に含有しないことが更に好ましい。ここで、酸素元素を実質的に含有しないとは、酸素元素含量が、後述の酸素元素含量の測定法(不活性ガス融解−非分散型赤外線吸収法)の検出限界である10−6質量%以下であることを意味する。先に記載した通り、酸素元素含量が上記の値以下であると、リチウムイオンと酸素との反応によりリチウムイオンが消費されることによるリチウムイオンの利用効率の低下、酸素が空気中水分を誘引して水が吸着され、容易に脱離しないことによるリチウムイオンの利用効率の低下、水分由来の副反応に起因する電極内のガス発生、および当該ガス発生による電極膨張率の増加(電極抵抗の増大、出力特性の低下)が抑制されやすい。
また、先に記載したように、酸素元素含量の調整方法は何ら限定されない。例えば、植物起源の炭素前駆体を所定の温度で酸処理した後に揮発性有機物と混合して1050℃〜1400℃の温度で不活性ガス雰囲気下に焼成することにより、酸素元素含量を上記の値以下に調整することができる。酸素元素含量の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
<植物起源の炭素前駆体>
本発明の非水電解質二次電池における難黒鉛化炭素質材料は、好ましくは、植物起源の炭素前駆体に由来する。本発明では、「植物起源の炭素前駆体」とは、炭化前の植物起源物質、または炭化後の植物起源物質(植物由来のチャー)を意味する。先に記載した通り、植物原料は、特に限定されるものではない。先に記載したような植物を、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。中でも、大量入手が容易な椰子殻が好ましい。
椰子殻は、特に限定されるものではない。先に例示したような椰子殻を、単独または組み合わせて使用することができる。食品、洗剤原料またはバイオディーゼル油原料などとして利用され、大量に発生するバイオマス廃棄物である、ココヤシおよびパームヤシの椰子殻が特に好ましい。
植物原料を炭化する方法、即ち、植物由来のチャーを製造する方法は、特に限定されるものではない。例えば、植物原料を300℃以上の不活性ガス雰囲気下で仮焼成することによって行われる。
また、チャー(例えば、椰子殻チャー)の形態で入手することも可能である。
<平均面間隔d002
本発明の非水電解質二次電池における難黒鉛化炭素質材料は、広角X線回折法によるBragg式を用いて算出された(002)面の平均面間隔d002が、0.36nm〜0.42nmであることが好ましく、0.38nm〜0.40nmであることがより好ましく、0.381nm〜0.389nmであることが特に好ましい。(002)面の平均面間隔d002が上記範囲内であると、先に記載した通り、リチウムイオン電池としての入出力特性の低下が抑制されやすく、電池材料としての安定性の低下が抑制されやすく、体積あたりの実行容量の低下が回避されやすい。平均面間隔を上記範囲に調整するためには、例えば、難黒鉛化炭素質材料を与える炭素前駆体の焼成温度を1050〜1400℃の範囲で行えばよい。また、ポリスチレンなどの熱分解性樹脂と混合して焼成する方法を用いることもできる。平均面間隔d002の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
<真密度ρBt
本発明の非水電解質二次電池における難黒鉛化炭素質材料は、電池における質量あたりの容量を高くする観点から、ブタノール法による真密度ρBtが、1.40〜1.70g/cmであることが好ましく、1.42〜1.65/cmであることがより好ましく、1.44〜1.60/cmであることが特に好ましい。上記範囲の真密度は、例えば焼成工程温度を1050〜1400℃とすることにより得ることができる。真密度ρBtの測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
<カリウム元素含量および鉄元素含量>
本発明の非水電解質二次電池における難黒鉛化炭素質材料のカリウム元素含量は、先に記載した通り、0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、0.03質量%以下であることが更に好ましく、難黒鉛化炭素質材料がカリウム元素を実質的に含有しないことが特に好ましい。また、本発明の非水電解質二次電池における難黒鉛化炭素質材料の鉄元素含量は、先に記載した通り、0.02質量%以下であることが好ましく、0.015質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることが更に好ましく、難黒鉛化炭素質材料が鉄元素を実質的に含有しないことが特に好ましい。ここで、カリウム元素または鉄元素を実質的に含有しないとは、カリウム元素含量または鉄元素含量が、後述の蛍光X線分析(例えば島津製作所製「LAB CENTER XRF−1700」を用いた分析)の検出限界値以下であることを意味する。カリウム元素含量および鉄元素含量が上記の値以下であると、先に記載した通り、十分な脱ドープ容量および非脱ドープ容量が得られやすく、非水電解質二次電池の安全性の問題が回避されやすい。カリウム元素含量および鉄元素含量の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
<吸湿量>
本発明の非水電解質二次電池における難黒鉛化炭素質材料の吸湿量は、好ましくは10000ppm以下、より好ましくは9000ppm以下、特に好ましくは8000ppm以下である。先に記載した通り、吸湿量が少ないほど、難黒鉛化炭素質材料に吸着するリチウムイオンが増加し、吸着した水分とリチウムイオンとの反応による自己放電を低減できるので、好ましい。難黒鉛化炭素質材料の吸湿量は、例えば、難黒鉛化炭素質材料に含まれる酸素原子の量を減らすことにより、減らすことができる。難黒鉛化炭素質材料の吸湿量は、例えば、カールフィッシャーなどを用いて測定することができる。吸湿量の測定の詳細は、実施例に記載する通りである。
<比表面積>
本発明の非水電解質二次電池における難黒鉛化炭素質材料は、窒素吸着BET3点法により求めた比表面積が、1〜75m/gであることが好ましく、2〜60m/gであることがより好ましく、3〜50m/gであることが特に好ましい。先に記載した通り、比表面積が上記範囲内であると、難黒鉛化炭素質材料を用いて製造した非水電解質二次電池において、電解液と難黒鉛化炭素質材料との過剰な副反応が抑制されつつリチウムイオンが難黒鉛化炭素質材料にドープされやすく、更にリチウムイオンを難黒鉛化炭素質材料から脱ドープするための接触面積が高く保持されやすいため、高い充電容量と高い出力特性とが両立されやすい。比表面積は、例えば、先に記載した脱灰工程の温度を制御することによって調整することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、以下に難黒鉛化炭素質材料の物性値の測定法を記載するが、実施例を含めて、本明細書中に記載する物性値は、以下の方法により求めた値に基づくものである。
Li核−固体NMR分析による化学シフト値の主共鳴ピーク位置の測定>
リチウムイオンが満充電状態でドープされた難黒鉛化炭素質材料を含む負極をセルから取り出し、電解液を拭き取った負極を全てNMR用サンプル管に充填した。Li核−固体NMR分析による化学シフト値の主共鳴ピーク位置の測定は、BRUKER製「核磁気共鳴装置AVANCE300」を用いて行った。測定に際して、塩化リチウムを基準物質とし、これを0ppmに設定した。
<酸素元素含量の測定>
株式会社堀場製作所製「酸素・窒素・水素分析装置EMGA−930」を用いて酸素元素含量の測定を行った。
この装置の検出方法は、酸素:不活性ガス融解−非分散型赤外線吸収法(NDIR)、窒素:不活性ガス融解−熱伝導度法(TCD)、水素:不活性ガス融解−非分散型赤外線吸収法(NDIR)であり、校正は、(酸素・窒素)Niカプセル、TiH(H標準試料)、およびSS−3(N、O標準試料)により行った。前処理として250℃で約10分間脱水処理を施した試料20mgを、Niカプセルに量り取り、元素分析装置内で30秒間脱ガスした後、測定を行った。3検体を分析し、その平均値を分析値とした。
<(002)面の平均面間隔d002の測定>
株式会社リガク製「MiniFlex II」を用いて、難黒鉛化炭素質材料粉末を試料ホルダーに充填し、Niフィルターにより単色化したCuKα線を線源とし、X線回折図形を得た。回折図形のピーク位置は重心法(回折線の重心位置を求め、これに対応する2θ値でピーク位置を求める方法)により求め、標準物質用高純度シリコン粉末の(111)面の回折ピークを用いて補正した。CuKα線の波長を0.15418nmとし、以下に示すBraggの公式によりd002を算出した。
Figure 2019008910
<ブタノール法による真密度ρBtの測定>
真密度は、JIS R 7212に定められた方法に従い、ブタノール法により測定した。内容積約40mLの側管付比重瓶の質量(m)を正確に量った。次に、その底部に試料を約10mmの厚さになるように平らに入れた後、その質量(m)を正確に量った。これに1−ブタノールを静かに加えて、底から20mm程度の深さにした。次に比重瓶に軽い振動を加えて、大きな気泡の発生がなくなったのを確かめた後、真空デシケーター中に入れ、徐々に排気して2.0〜2.7kPaとした。その圧力で20分間以上保ち、気泡の発生が止まった後に、取り出し、更に1−ブタノールを満たし、栓をして恒温水槽(30±0.03℃に調節してあるもの)に15分間以上浸し、1−ブタノールの液面を標線に合わせた。次に、これを取り出して外部をよくぬぐって室温まで冷却した後、質量(m)を正確に量った。次に、同じ比重瓶に1−ブタノールだけを満たし、前記と同じようにして恒温水槽に浸し、標線を合わせた後、質量(m)を量った。また使用直前に沸騰させて溶解した気体を除いた蒸留水を比重瓶にとり、前記と同様に恒温水槽に浸し、標線を合わせた後、質量(m)を量った。
真密度ρBtは次の式により計算した。
Figure 2019008910
このとき、dは水の30℃における比重(0.9946)である。
<カリウム元素含量および鉄元素含量の測定>
カリウム元素含量および鉄元素含量の測定は、下記方法により実施した。予め所定のカリウム元素および鉄元素を含有する炭素試料を調製し、蛍光X線分析装置を用いて、カリウムKα線の強度とカリウム元素含量との関係、および鉄Kα線の強度と鉄元素含量との関係に関する検量線を作成した。次いで、試料について蛍光X線分析におけるカリウムKα線および鉄Kα線の強度を測定し、先に作成した検量線よりカリウム元素含量および鉄元素含量を求めた。蛍光X線分析は、株式会社島津製作所製「LAB CENTER XRF−1700」を用いて、下記手順で行った。上部照射方式用ホルダーを用い、試料測定面積を直径20mmの円周内とした。被測定試料の設置は、内径25mmのポリエチレン製容器の中に被測定試料0.5gを入れ、裏をプランクトンネットで押さえ、測定表面をポリプロピレン製フィルムで覆うことにより行った。X線源は40kV、60mAに設定した。カリウムについては、分光結晶にLiF(200)、検出器にガスフロー型比例係数管を使用し、2θが90〜140°の範囲を、走査速度8°/分で測定した。鉄については、分光結晶にLiF(200)、検出器にシンチレーションカウンターを使用し、2θが56〜60°の範囲を、走査速度8°/分で測定した。
<吸湿量の測定>
粒子径約5〜50μmに粉砕した難黒鉛化炭素質材料10gをサンプル管に入れ、133Paの減圧下、120℃にて2時間事前乾燥し、50mmφのガラス製シャーレに移し、25℃、湿度50%の恒温恒湿槽にて、所定時間暴露した。サンプル1gを取り、カールフィッシャー(三菱化学アナリテック社製)にて、250℃に加熱し、窒素気流下に水分量を測定した。
<レーザー散乱法による平均粒子径の測定>
植物由来のチャー、炭素前駆体、および揮発性有機物の平均粒子径(粒度分布)は、下記方法により測定した。試料を、界面活性剤(和光純薬工業株式会社製「Toriton X100」)を0.3質量%含む水溶液に投入し、超音波洗浄器で10分以上処理し、水溶液中に分散させた。この分散液を用いて粒度分布を測定した。粒度分布測定は、粒子径・粒度分布測定器(日機装株式会社製「マイクロトラックM T3000」)を用いて行った。Dv50は、累積体積が50%となる粒子径であり、この値を平均粒子径とした。
実施例1(気相脱灰、揮発性有機物添加、フルセル評価)
<炭素前駆体の調製>
椰子殻を500℃で乾留した後に破砕し、平均粒子径約2mmの椰子殻チャーを得た。この椰子殻チャー100gに対して、塩化水素ガス1体積%を含む窒素ガスを18L/分の流量で供給しながら、870℃で30分間ハロゲン熱処理を実施し、その後、塩化水素ガスの供給のみを停止し、窒素ガスを18L/分の流量で供給しながら、更に870℃で30分間熱処理することにより気相脱酸処理を実施し、炭素前駆体を得た。
得られた炭素前駆体を、ミキサーミル(ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製、MM400)を用いて平均粒子径6μmに粉砕した後、ナノジェットマイザー(株式会社アイシンナノテクノロジーズ製)を用いて分級し、平均粒子径5μmの炭素前駆体(1)を得た。
<難黒鉛化炭素質材料の調製>
上記のように調製した炭素前駆体5gと、ポリスチレン(積水化成品工業株式会社製、平均粒子径400μm、残炭率1.2%)0.5gとを混合した。この混合物5.5gを試料層高さが約2mmとなるよう黒鉛製鞘に入れ、株式会社モトヤマ製管状炉中、毎分5Lの窒素流量下、毎分10℃の昇温速度で1290℃まで昇温した後、30分間保持し、自然冷却した。炉内温度が200℃以下に低下したことを確認し、炉内から難黒鉛化炭素質材料を取り出した。回収された難黒鉛化炭素質材料は4.9gであり、回収率は89%であった。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料について、Li核−固体NMR分析による化学シフト値の主共鳴ピーク位置の測定、酸素元素含量の測定、(002)面の平均面間隔d002の測定、ブタノール法による真密度ρBtの測定、カリウム元素含量および鉄元素含量の測定、並びに吸湿量の測定を行った。結果を表1に示す。
<フルセル用、負極満充電容量の見積もり>
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料94質量部、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)6質量部およびNMP(N−メチルピロリドン)90質量部を混合し、スラリーを得た。厚さ14μmの銅箔の片面に、得られたスラリーを塗布し、乾燥後プレスして、厚さ70〜80μmの電極を得た。得られた電極の密度は、0.9〜1.1g/cmであった。
負極を作用極とし、金属リチウムを対極および参照極として使用した。溶媒として、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとを、体積比で3:7となるように混合して用いた。この溶媒に、濃度が1mol/LとなるようLiPFを溶解し、電解液として用いた。セパレータにはガラス繊維不織布を使用した。アルゴン雰囲気下のグローブボックス内でコインセルを作製した。
上記構成の負極ハーフセルについて、充放電試験装置(東洋システム株式会社製、「TOSCAT」)を用いて充放電試験を行った。リチウムのドーピングは、活物質質量に対し、金属リチウムが析出しない所定の容量まで30mA/gの速度で行い、終了した。このときの容量(mAh/g)を充電容量とした。ここで、「金属リチウムが析出しない所定の容量」とは、Li−NMRで金属リチウムの析出が見られない上限の充電容量(mAh/g)を指す。
<フルセル評価>
・正極の作製
正極活物質としての三元系酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)92質量部、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)3質量部、アセチレンブラック5質量部およびNMP(N−メチルピロリドン)120質量部を混合し、スラリーを得た。厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に、得られたスラリーを塗布し、乾燥後プレスして正極を得た。得られた電極の密度は、2.4〜2.6g/cmであった。この電極を直径14mmの円板状に打ち抜き、正極板を得た。
・正極ハーフセルの作製
得られた正極に対して、金属リチウムを対極および参照極として使用した。溶媒として、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとを、体積比で3:7となるように混合して用いた。この溶媒に、濃度が1mol/LとなるようLiPFを溶解し、電解液として用いた。セパレータにはガラス繊維不織布を使用した。アルゴン雰囲気下のグローブボックス内でコインセルを作製した。
上記構成の正極ハーフセルについて、充放電試験装置(東洋システム株式会社製、「TOSCAT」)を用いて充放電試験を行った。正極からのリチウム脱ドーピングは、活物質質量に対して15mA/gの速度で、リチウム電位に対して4.2Vになるまで行い、このときの容量を充電容量とした。次いで、正極へのリチウムドーピングは、活物質質量に対して15mA/gの速度で、リチウム電位に対して3.0Vになるまで行い、このときの容量を放電容量とした。得られた充電容量は174mAh/g、放電容量は154mAh/g、「放電容量/充電容量」の百分率で算出される充放電効率(初期の充放電効率)は88.5%であった。
・フルセルの作製および評価
直径15mmの負極面内から正極(直径14mm)がはみ出さないように、ガラス繊維不織布からなるセパレータを介して負極および正極の合剤塗工面を対向させた。このとき、対向面積あたりの負極充電容量(mAh)と正極充電容量(mAh)の比率(負極容量/正極容量)は1となるよう調整した。溶媒として、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとを、体積比で3:7となるように混合して用いた。この溶媒に、濃度が1mol/LとなるようLiPFを溶解し、電解液として用いた。アルゴン雰囲気下のグローブボックス内でコインセルを作製した。
・充放電試験
上記構成のコインセル(フルセル)について、充放電試験装置(東洋システム株式会社製、「TOSCAT」)を用いて充放電試験を行った。まず、充電を、負極活物質質量に対して30mA/gの速度で、4.2Vになるまで行い、このときの容量を充電容量とした。次いで、放電を、負極活物質質量に対して30mA/gの速度で、2.0Vになるまで行い、このときの容量を放電容量とした。また、「充電容量−放電容量」の差分で算出される値を不可逆容量、「放電容量/充電容量」の百分率で算出される値を充放電効率(初期の充放電効率)とした。得られた充電容量、放電容量、不可逆容量および充放電効率を表1に示す。
・出力特性試験
上記構成のコインセル(フルセル)について、まず、充電を、負極活物質質量に対して30mA/gの速度で、4.2Vになるまで行い、次いで、放電を、負極活物質質量に対して30mA/gの速度で、2.0Vになるまで行い、このときの容量を放電容量(A)とした。更に、充電を、負極活物質質量に対して30mA/gの速度で、4.2Vになるまで行い、次いで、放電を、負極活物質質量に対して150mA/gの速度で、2.0Vになるまで行い、このときの容量を放電容量(B)とした。「放電容量(B)/放電容量(A)」の百分率で算出される値を放電容量維持率とした。電極抵抗が低いほどリチウムイオンが負極から脱ドープされやすく、この放電容量維持率は高い値を示すため、出力特性が高いと言える。得られた出力特性(放電容量維持率)を表1に示す。
・電極膨張率
上記構成のコインセル(フルセル)について、充電を、負極活物質質量に対して30mA/gの速度で、4.2Vになるまで行い、放電を、負極活物質質量に対して30mA/gの速度で、2.0Vになるまで行った。この充放電サイクルを5回繰り返した後、アルゴン雰囲気下のグローブボックス内でコインセルを分解して負極を取り出し、取り出した負極をジエチルカーボネートで洗浄後、乾燥した。乾燥後の負極厚み(D)を測定し、充放電前に測定した負極厚み(C)との比〔「厚み(D)/厚み(C)」の百分率〕を求め、電極膨張率とした。なお、負極厚み(C)および負極厚み(D)はそれぞれ、合剤層と銅箔との合計厚みを数か所測定し、各合計厚みから銅箔厚みを減算することにより求めた負極厚みの平均値である。得られた電極膨張率を表1に示す。
実施例2(気相脱灰、揮発性有機物添加、フルセル評価)
<炭素前駆体の調製>
気相脱酸処理までは実施例1と同様に行い、炭素前駆体を得た。
得られた炭素前駆体を、乾式ビーズミル(アシザワ・ファインテック製SDA5)を用いて、ビーズ径3mmφ、ビーズ充填率75%、および原料フィード量1kg/時の条件下で粉砕し、平均粒子径2.7μmの炭素前駆体(2)を得た。
<難黒鉛化炭素質材料の調製>
上記のように調製した炭素前駆体を用いたこと以外は実施例1と同様に、本焼成を行い、難黒鉛化炭素質材料を調製した。回収された難黒鉛化炭素質材料は4.9gであり、回収率は89%であった。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料について、実施例1と同様に特性値を測定した。結果を表1に示す。
<フルセル用、負極満充電容量の見積もり>
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、負極を作製し、金属リチウムを対極および参照極として使用したコインセルを作製し、作製した負極ハーフセルについて、充放電試験装置を用いて充放電試験を行った。
<フルセル評価>
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、フルセル評価を実施した。得られた特性値を表1に示す。
実施例3(気相脱灰、CVD処理、フルセル評価)
<炭素前駆体の調製>
実施例2と同じ炭素前駆体(2)を用いた。
<難黒鉛化炭素質材料の調製>
揮発性有機物であるポリスチレンを用いなかったこと以外は実施例2と同様に、本焼成を実施した。次いで、得られた炭素質材料3gを石英製のインナーケースに入れ、回転式管状炉中、毎分0.1Lの窒素流量下、毎分20℃の速度で780℃まで昇温した。780℃到達後、気化させたヘキサンガスを毎分0.04Lの流量で窒素ガスに混合し、窒素/ヘキサン混合ガスを30分間管状炉内に流通させCVD処理を行った。その後、ヘキサンガス気流を停止し、毎分0.1Lの窒素流量下、更に30分間熱処理し、自然冷却した。炉内温度が200℃以下に低下したことを確認し、炉内から難黒鉛化炭素質材料を取り出した。回収された難黒鉛化炭素質材料は2.95gであり、回収率は98%であった。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料について、実施例1と同様に特性値を測定した。結果を表1に示す。
<フルセル用、負極満充電容量の見積もり>
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、負極を作製し、金属リチウムを対極および参照極として使用したコインセルを作製し、作製した負極ハーフセルについて、充放電試験装置を用いて充放電試験を行った。
<フルセル評価>
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、フルセル評価を実施した。得られた特性値を表1に示す。
実施例4(液相脱灰、CVD処理、フルセル評価)
<炭素前駆体の調製>
約5mm角のフィリピン国ミンダナオ島産椰子殻チップ100gを7.4質量%クエン酸水溶液150gに浸漬し、80℃に加温し、4時間加熱した。次いで室温まで冷却し、ろ過により脱液した。この操作を5回行い、脱灰を行った。脱灰した椰子殻を1Torr下、80℃で24時間乾燥した。脱灰および乾燥後の椰子殻チップ20gを坩堝に入れ、光洋サーモ製KTF1100炉(内径70mmΦ)を用いて、酸素含量15ppmの窒素気流3L/分(0.012m/秒)の流量下、10℃/分で750℃まで昇温し、60分間保持した後、6時間かけて冷却し、炉内温度が50℃以下に低下したことを確認し、炉内から炭素前駆体を取り出した。
得られた炭素前駆体を、乾式ビーズミル(アシザワ・ファインテック製SDA5)を用いて、ビーズ径3mmφ、ビーズ充填率75%および原料フィード量1kg/時の条件下で粉砕し、平均粒子径2.7μmの炭素前駆体(3)を得た。
<難黒鉛化炭素質材料の調製>
炭素前駆体(3)を用いたこと以外は実施例3と同様に、本焼成およびCVD処理を行い、難黒鉛化炭素質材料を調製した。回収された難黒鉛化炭素質材料は2.95gであり、回収率は98%であった。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料について、実施例1と同様に特性値を測定した。結果を表1に示す。
<フルセル用、負極満充電容量の見積もり>
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、負極を作製し、金属リチウムを対極および参照極として使用したコインセルを作製し、作製した負極ハーフセルについて、充放電試験装置を用いて充放電試験を行った。
<フルセル評価>
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、フルセル評価を実施した。得られた特性値を表1に示す。
比較例1(気相脱灰、試料層高さの変更、フルセル評価)
<炭素前駆体の調製>
実施例1と同じ炭素前駆体(1)を用いた。
<難黒鉛化炭素質材料の調製>
上記のように調製した炭素前駆体75gと、ポリスチレン(積水化成品工業株式会社製、平均粒子径400μm、残炭率1.2%)7.5gとを混合した。この混合物82.5gを試料層高が約30mmとなるよう黒鉛製鞘に入れ、株式会社モトヤマ製管状炉中、毎分1Lの窒素流量下、毎分10℃の昇温速度で1290℃まで昇温した後、30分間保持し、自然冷却した。炉内温度が200℃以下に低下したことを確認し、炉内から難黒鉛化炭素質材料を取り出した。回収された難黒鉛化炭素質材料は73.4gであり、回収率は89%であった。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料について、実施例1と同様に特性値を測定した。結果を表1に示す。
<フルセル用、負極満充電容量の見積もり>
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、負極を作製し、金属リチウムを対極および参照極として使用したコインセルを作製し、作製した負極ハーフセルについて、充放電試験装置を用いて充放電試験を行った。
<フルセル評価>
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、フルセル評価を実施した。得られた特性値を表1に示す。
比較例2(気相脱灰、試料層高さの変更、フルセル評価)
<炭素前駆体の調製>
実施例2と同じ炭素前駆体(2)を用いた。
<難黒鉛化炭素質材料の調製>
炭素前駆体(2)を用いたこと以外は比較例1と同様に、本焼成を行い、難黒鉛化炭素質材料を調製した。回収された難黒鉛化炭素質材料は72gであり、回収率は87%であった。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料について、実施例1と同様に特性値を測定した。結果を表1に示す。
<フルセル用、負極満充電容量の見積もり>
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、負極を作製し、金属リチウムを対極および参照極として使用したコインセルを作製し、作製した負極ハーフセルについて、充放電試験装置を用いて充放電試験を行った。
<フルセル評価>
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、フルセル評価を実施した。得られた特性値を表1に示す。
比較例3(気相脱灰、揮発性有機物添加せず、フルセル評価)
<炭素前駆体の調製>
実施例2と同じ炭素前駆体(2)を用いた。
<難黒鉛化炭素質材料の調製>
揮発性有機物であるポリスチレンを用いなかったこと以外は実施例2と同様に、本焼成を行い、難黒鉛化炭素質材料を調製した。回収された難黒鉛化炭素質材料は4.75gであり、回収率は95%であった。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料について、実施例1と同様に特性値を測定した。結果を表1に示す。
<フルセル用、負極満充電容量の見積もり>
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、負極を作製し、金属リチウムを対極および参照極として使用したコインセルを作製し、作製した負極ハーフセルについて、充放電試験装置を用いて充放電試験を行った。
<フルセル評価>
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、フルセル評価を実施した。得られた特性値を表1に示す。
比較例4(炭化後の液相脱灰、CVD処理、フルセル評価)
<炭素前駆体の調製>
約5mm角のフィリピン国ミンダナオ島産椰子殻チップ20gを坩堝に入れ、光洋サーモ製KTF1100炉(内径70mmΦ)を用いて、酸素含量15ppmの窒素気流3L/分(0.012m/秒)の流量下、10℃/分で750℃まで昇温し、60分間保持した後、6時間かけて冷却し、炉内温度が50℃以下に低下したことを確認し、炉内から炭化物を取り出した。得られた炭化物を35質量%塩酸水溶液に1時間浸漬した後、80℃の水で1時間洗浄する操作を2回行い、脱灰を行った。脱灰した椰子殻を1Torr下、80℃で24時間乾燥した。
得られた脱灰および乾燥後の炭素前駆体を、乾式ビーズミル(アシザワ・ファインテック製SDA5)を用いて、ビーズ径3mmφ、ビーズ充填率75%および原料フィード量1kg/時の条件下で粉砕し、平均粒子径2.7μmの炭素前駆体(4)を得た。
<難黒鉛化炭素質材料の調製>
炭素前駆体(4)を用いたこと以外は実施例4と同様に、本焼成およびCVD処理を行い、難黒鉛化炭素質材料を調製した。回収された難黒鉛化炭素質材料は2.95gであり、回収率は98%であった。
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料について、実施例1と同様に特性値を測定した。結果を表1に示す。
<フルセル用、負極満充電容量の見積もり>
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、負極を作製し、金属リチウムを対極および参照極として使用したコインセルを作製し、作製した負極ハーフセルについて、充放電試験装置を用いて充放電試験を行った。
<フルセル評価>
上記のように調製した難黒鉛化炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様に、フルセル評価を実施した。得られた特性値を表1に示す。
比較例5(カーボトロンPJ、フルセル評価)
<カーボトロンPJの特性値の測定>
カーボトロンPJの特性値を、実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
<フルセル用、負極満充電容量の見積もり>
クレハ社製カーボトロンPJを用いたこと以外は実施例1と同様に、負極を作製し、金属リチウムを対極および参照極として使用したコインセルを作製し、作製した負極ハーフセルについて、充放電試験装置を用いて充放電試験を行った。
<フルセル評価>
クレハ社製カーボトロンPJを用いたこと以外は実施例1と同様に、フルセル評価を実施した。得られた特性値を表1に示す。
比較例6〔カーボトロンPS(F)、フルセル評価〕
<カーボトロンPS(F)の特性値の測定>
カーボトロンPS(F)の特性値を、実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
<フルセル用、負極満充電容量の見積もり>
クレハ社製カーボトロンPS(F)を用いたこと以外は実施例1と同様に、負極を作製し、金属リチウムを対極および参照極として使用したコインセルを作製し、作製した負極ハーフセルについて、充放電試験装置を用いて充放電試験を行った。
<フルセル評価>
クレハ社製カーボトロンPS(F)を用いたこと以外は実施例1と同様に、フルセル評価を実施した。得られた特性値を表1に示す。
Figure 2019008910
表1に示されているとおり、満充電して用いる非水電解質二次電池の負極に、特定のLi核−固体NMR分析の化学シフト値および特定の電極膨張率をもたらす本発明の難黒鉛化炭素質材料(実施例1〜4)を使用することにより、高い充電容量および高い充放電効率に加えて高い出力特性も達成された。
一方、特定のLi核−固体NMR分析の化学シフト値をもたらさない難黒鉛化炭素質材料を使用した場合(比較例1〜3)、特定のLi核−固体NMR分析の化学シフト値も特定の電極膨張率ももたらさない難黒鉛化炭素質材料を使用した場合(比較例4〜5)、および特定の電極膨張率をもたらさない難黒鉛化炭素質材料を使用した場合(比較例6)、高い充電容量および高い充放電効率と高い放電容量維持率とを併せ持つ非水電解質二次電池を製造することはできず、そのような非水電解質二次電池は、低い充放電効率および低い放電容量維持率(即ち低い出力特性)しか有さなかった。
本発明の難黒鉛化炭素質材料を含んでなる、満充電して用いる非水電解質二次電池は、高い充電容量および高い充放電効率に加えて、低い電極抵抗による高い出力特性を有する。従って、例えばハイブリッド自動車(HEV)および電気自動車(EV)などの車載用途に好適に用いることができる。

Claims (12)

  1. 満充電して用いる非水電解質二次電池の負極用の難黒鉛化炭素質材料であって、満充電された際、Li核−固体NMR分析により観測される塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置が115ppmより大きく、かつ該難黒鉛化炭素質材料を含んでなる負極の満充電時における膨張率が充電前の負極の厚みに基づいて107%以下である、難黒鉛化炭素質材料。
  2. 酸素元素含量が0.30質量%以下である、請求項1に記載の難黒鉛化炭素質材料。
  3. 植物起源の炭素前駆体に由来する、請求項1または2に記載の難黒鉛化炭素質材料。
  4. 広角X線回折法によるBragg式を用いて算出された(002)面の平均面間隔d002が0.36〜0.42nmである、請求項1〜3のいずれかに記載の難黒鉛化炭素質材料。
  5. カリウム元素含量が0.1質量%以下であり、鉄元素含量が0.02質量%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の難黒鉛化炭素質材料。
  6. 植物起源の炭素前駆体を酸処理する工程、および酸処理した炭素前駆体を1050℃〜1400℃の不活性ガス雰囲気下で焼成する工程を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の難黒鉛化炭素質材料の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の難黒鉛化炭素質材料を含んでなる非水電解質二次電池用負極。
  8. 難黒鉛化炭素質材料を含んでなる非水電解質二次電池用負極を含んでなり、満充電された非水電解質二次電池であって、満充電された際、Li核−固体NMR分析により観測される塩化リチウムを基準とする化学シフト値の主共鳴ピーク位置が115ppmより大きく、かつ該難黒鉛化炭素質材料を含んでなる負極の満充電時における膨張率が充電前の負極の厚みに基づいて107%以下である、非水電解質二次電池。
  9. 酸素元素含量が0.30質量%以下である、請求項8に記載の非水電解質二次電池。
  10. 難黒鉛化炭素質材料が植物起源の炭素前駆体に由来する、請求項8または9に記載の非水電解質二次電池。
  11. 広角X線回折法によるBragg式を用いて算出された難黒鉛化炭素質材料の(002)面の平均面間隔d002が0.36〜0.42nmである、請求項8〜10のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  12. 難黒鉛化炭素質材料のカリウム元素含量が0.1質量%以下であり、難黒鉛化炭素質材料の鉄元素含量が0.02質量%以下である、請求項8〜11のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
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