以下、本発明の実施形態について図を参照して説明する。各図には、互いに直交するX、Y、Z軸が付記されている。本実施の形態は、車載用のヘッドアップディスプレイに本発明を適用したものである。
なお、以下に示す実施形態において、構造体302は、特許請求の範囲に記載の「固定支持部」に対応し、磁気カバー308は、特許請求の範囲に記載の「カバー」に対応し、構造体301および支持部材303は、特許請求の範囲に記載の「可動部」に対応する。ただし、これらの対応関係は、特許請求の範囲に記載の各用語の意義を何ら限定するものではない。
図1(a)、(b)は、画像表示装置20の使用形態を模式的に示す図である。図1(a)は、乗用車1の側方から乗用車1の内部を透視した模式図、図1(b)は、乗用車1の内部から走行方向前方を見た図である。
図1(a)に示すように、画像表示装置20は、乗用車1のダッシュボード11の内部に設置される。
図1(a)、(b)に示すように、画像表示装置20は、映像信号により変調されたレーザ光を、ウインドシールド12下側の運転席寄りの投射領域13に投射する。レーザ光は、投射領域13で反射され、運転者2の目の位置周辺の横長の領域(アイボックス領域)に照射される。これにより、運転者2の前方の視界に、虚像として所定の画像30が表示される。運転者2は、ウインドシールド12の前方の景色上に、虚像である画像30を重ね合わせて見ることができる。すなわち、画像表示装置20は、虚像である画像30をウインドシールド12の投射領域13の前方の空間に結像させる。
図1(c)は、画像表示装置20の構成を模式的に示す図である。
画像表示装置20は、照射光生成部21と、ミラー22とを備える。照射光生成部21は、映像信号により変調された光を出射する。ミラー22は曲面状の反射面を有し、照射光生成部21から出射された光をウインドシールド12に向けて反射する。ウインドシールド12で反射された光は、運転者2の目2aに照射される。照射光生成部21の光学系とミラー22は、ウインドシールド12の前方に虚像による画像30が所定の大きさで表示されるように設計されている。
ミラー22は、後述する可動スクリーン108および固定スクリーン109から生じた光により虚像を生成するための光学系を構成する。この光学系は、必ずしも、ミラー22のみから構成されていなくてもよい。たとえば、この光学系が、複数のミラーを含んでいてもよく、また、レンズ等を含んでいてもよい。
図2は、画像表示装置20の照射光生成部21の構成および照射光生成部21に用いる回路の構成を示す図である。
照射光生成部21は、光源101と、コリメータレンズ102a〜102cと、ミラー103と、ダイクロイックミラー104、105と、走査部106と、補正レンズ107と、可動スクリーン108と、固定スクリーン109と、駆動部300とを備える。
光源101は、3つのレーザ光源101a〜101cを備える。レーザ光源101a〜101cは、それぞれ、赤色波長帯、緑色波長帯および青色波長帯のレーザ光を出射する。本実施形態では、画像30としてカラー画像を表示するために、光源101が3つのレーザ光源101a〜101cを備えている。画像30として単色の画像を表示する場合、光源101は、画像の色に対応する1つのレーザ光源のみを備えていてもよい。レーザ光源101a〜101cは、たとえば、半導体レーザからなっている。
レーザ光源101a〜101cから出射されたレーザ光は、それぞれ、コリメータレンズ102a〜102cによって略平行光に変換される。このとき、レーザ光源101a〜101cから出射されたレーザ光は、それぞれ、図示しないアパーチャによって、円形のビーム形状に整形される。なお、コリメータレンズ102a〜102cに代えて、レーザ光を円形のビーム形状に整形し且つ平行光化する整形レンズを用いてもよい。この場合、アパーチャは省略され得る。
その後、レーザ光源101a〜101cから出射された各色のレーザ光は、ミラー103と2つのダイクロイックミラー104、105によって光軸が整合される。ミラー103は、コリメータレンズ102aを透過した赤色レーザ光を略全反射する。ダイクロイックミラー104は、コリメータレンズ102bを透過した緑色レーザ光を反射し、ミラー103で反射された赤色レーザ光を透過する。ダイクロイックミラー105は、コリメータレンズ102cを透過した青レーザ光を反射し、ダイクロイックミラー104を経由した赤色レーザ光および緑色レーザ光を透過する。ミラー103と2つのダイクロイックミラー104、105は、レーザ光源101a〜101cから出射された各色のレーザ光の光軸を整合させるように配置されている。
走査部106は、ダイクロイックミラー105を経由した各色のレーザ光を反射する。走査部106は、たとえば、MEMS(micro electro mechanical system)ミラーからなっており、ダイクロイックミラー105を経由した各色のレーザ光が入射されるミラー106aを、駆動信号に応じて、Y軸に平行な軸とY軸に垂直な軸の周りに回転させる構成を備える。このようにミラー106aを回転させることにより、レーザ光の反射方向が、X−Z平面の面内方向およびY−Z平面の面内方向において変化する。これにより、後述のように、各色のレーザ光によって可動スクリーン108および固定スクリーン109が走査される。
なお、ここでは、走査部106が、2軸駆動方式のMEMSミラーにより構成されたが、走査部106は、他の構成であってもよい。たとえば、Y軸に平行な軸の周りに回転駆動されるミラーと、Y軸に垂直な軸の周りに回転駆動されるミラーとを組み合わせて走査部106が構成されてもよい。
補正レンズ107は、走査部106によるレーザ光の振り角に拘わらず、各色のレーザ光をZ軸正方向に向かわせるように設計されている。可動スクリーン108および固定スクリーン109は、レーザ光が走査されることにより画像が形成され、入射したレーザ光を運転者2の目2aの位置周辺の領域(アイボックス領域)に拡散させる作用を有する。可動スクリーン108および固定スクリーン109は、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の透明な樹脂からなっている。
可動スクリーン108は、奥行き方向に視距離が変化する奥行き画像を表示させるために用いられ、固定スクリーン109は、視距離が一定の固定画像を表示させるために用いられる。奥行き画像として、たとえば車両の進行方向を案内するための矢印等が表示され、固定画像として、たとえば車速や外気温を示す文字等が表示される。
駆動部300は、可動スクリーン108をレーザ光の進行方向に平行な方向(Z軸方向)に往復移動させる。駆動部300の構成は、追って、図4(a)〜図13(b)を参照して説明する。
画像処理回路201は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理ユニットやメモリを備え、入力された映像信号を処理してレーザ駆動回路202、ミラー駆動回路203およびスクリーン駆動回路204を制御する。レーザ駆動回路202は、画像処理回路201からの制御信号に応じて、レーザ光源101a〜101cの出射強度を変化させる。ミラー駆動回路203は、画像処理回路201からの制御信号に応じて、走査部106のミラー106aを駆動する。スクリーン駆動回路204は、画像処理回路201からの制御信号に応じて、可動スクリーン108を駆動する。画像表示動作時における画像処理回路201における制御については、追って、図14(a)を参照して説明する。
図3(a)は、可動スクリーン108の構成を模式的に示す斜視図である。図3(b)は、可動スクリーン108に対するレーザ光の走査方法を模式的に示す図である。
図3(a)に示すように、可動スクリーン108のレーザ光入射側の面(Z軸負側の面)には、レーザ光をX軸方向に発散させるための複数の第1のレンズ部108aが、X軸方向に並ぶように形成されている。Y軸方向に見たときの第1のレンズ部108aの形状は略円弧形状である。第1のレンズ部108aのX軸方向の幅は、たとえば、50μmである。
また、可動スクリーン108のレーザ光出射側の面(Z軸正側の面)には、レーザ光をY軸方向に発散させるための複数の第2のレンズ部108bが、Y軸方向に並ぶように形成されている。X軸方向に見たときの第2のレンズ部108bの形状は略円弧形状である。第2のレンズ部108bのY軸方向の幅は、たとえば、70μmである。
上記構成を有する可動スクリーン108の入射面(Z軸負側の面)が、図3(b)に示すように、各色のレーザ光が重ねられたビームB1によって、X軸正方向に走査される。可動スクリーン108の入射面に対して、予め、ビームB1が通る走査ラインL1〜Lkが、Y軸方向に一定間隔で設定されている。走査ラインL1〜Lkの開始位置と終了位置は、X軸方向において一致している。ビームB1の径は、たとえば、50μm程度に設定される。
映像信号により各色のレーザ光が変調されたビームB1により走査ラインL1〜Lkが高周波で走査されることにより、画像が構成される。こうして構成された画像が、可動スクリーン108と、ミラー22およびウインドシールド12(図1(c)参照)を介して、運転者2の目2aの位置周辺の領域(アイボックス)に投射される。これにより、運転者2は、ウインドシールド12の前方の空間に、虚像として画像30を視認する。
固定スクリーン109も、可動スクリーン108と同様の構成となっている。固定スクリーン109は、Y軸方向の幅が可動スクリーン108よりも小さく設定されている。固定スクリーン109も、可動スクリーン108と同様、ビームB1によってX軸方向に走査される。固定スクリーン109に対する走査ラインの数は、可動スクリーン108に対する走査ラインの数よりも少ない。
本実施形態では、可動スクリーン108のみが駆動部300により駆動され、固定スクリーン109は所定の位置に固定される。奥行き画像の表示において、可動スクリーン108は、光軸方向(Z軸方向)に移動されつつ、ビームB1によって走査される。固定画像の表示において、固定スクリーン109は、所定の位置に固定されたまま、ビームB1によって走査される。
次に、駆動部300の構成について説明する。
図4(a)は、固定スクリーン109を支持する構造体302が設置された状態の駆動部300の構成を示す斜視図、図4(b)は、駆動部300の構成を示す斜視図である。図5(a)は、可動スクリーン108を支持する構造体301および磁気カバー308を取り外した状態の駆動部300の構成を示す斜視図である。なお、図4(a)、(b)および図5(a)には、駆動部300が支持ベース306および固定ベース310に支持された状態が示されている。
なお、以下では、XYZ軸により方向を規定する他、便宜上、平面視において、駆動部300の中心に近い方を内側とし、駆動部300の中心から離れた方を外側として構成の説明を行う。
図4(a)、(b)において、可動スクリーン108と固定スクリーン109は、互いに同じ方向に傾くように、それぞれ、構造体301と構造体302に設置されている。可動スクリーン108と固定スクリーン109は、駆動部300による可動スクリーン108の移動方向(Z軸方向)に垂直な方向(Y軸方向)に並び、且つ、移動方向(Z軸方向)に所定の距離だけ互いにずれた位置に設置されている。構造体302は、磁気カバー308の開口308aの周囲を覆うようにして、磁気カバー308の上面に設置される。
図4(b)に示すように、可動スクリーン108のY軸正側に隙間G1が生じている。この隙間G1の直上位置に固定スクリーン109が位置づけられる。隙間G1を介してレーザ光が固定スクリーン109を走査する。
可動スクリーン108が設置された状態の構造体301が、図5(a)に示す支持部材303の内枠部303aに設置される。支持部材303は、4つのサスペンション304によって、Z軸方向に移動可能に、Y軸方向に並ぶ2つの支持ユニット305に支持されている。支持ユニット305は、支持ベース306に設置されている。支持ユニット305は、X軸正側とX軸負側にそれぞれゲルカバー305aを備え、これらゲルカバー305a内にダンピングのためのゲルが充填されている。
こうして、可動スクリーン108は、構造体301、支持部材303、サスペンション304および支持ユニット305を介して、Z軸方向に移動可能に支持ベース306に支持される。支持部材303およびサスペンション304の構成は、追って、図8(a)〜(c)を参照して説明する。また、支持ベース306の構成は、追って、図5(b)を参照して説明する。
支持ベース306には、さらに、磁気回路307が設置されている。磁気回路307は、支持部材303に装着されたコイル341(図8(a)参照)に磁界を付与するためのものである。コイル341に駆動信号(電流)を印加することにより、コイル341にZ軸方向の電磁力が励起される。これにより、コイル341と共に支持部材303がZ軸方向に駆動される。こうして、可動スクリーン108が、Z軸方向に移動する。磁気回路307の構成は、追って、図6(a)、(b)を参照して説明する。
磁気回路307の上面に、磁気カバー308が載せられる。磁気カバー308は、磁性材料からなっており、磁気回路307のヨークとして機能する。磁気回路307の上面に磁気カバー308が載せられると、磁気カバー308が磁気回路307に吸着される。これにより、磁気カバー308が駆動部300に設置される。
図4(b)に示すように、磁気カバー308には、構造体301を通すための開口308aが設けられている。また、開口308aから外側に向かって切欠き部308bが形成されている。切欠き部308bは、後述する支持部材303の梁部303c(図8(a)参照)を通すためのものである。さらに、磁気カバー308には、構造体302をネジ止めするための2つのネジ孔308cと、構造体302を位置決めするための2つの孔308dが設けられている。
支持ベース306は、ダンパーユニット309を介して、固定ベース310に設置されている。ダンパーユニット309は、固定ベース310に対して支持ベース306をZ軸正方向に浮かせた状態で、支持ベース306を支持する。ダンパーユニット309は、支持部材303の駆動により生じた振動が支持ベース306から固定ベース310に伝搬する前に、振動を吸収する。ダンパーユニット309および固定ベース310の構成は、追って、図7を参照して説明する。
固定ベース310には、さらに、位置検出ユニット400が設置されている。位置検出ユニット400は、支持部材303のX軸正側の側面に対向するプリント基板401を備える。このプリント基板401のX軸負側の面にエンコーダ(図示せず)が配置されている。このエンコーダによって、支持部材303のZ軸方向の位置が検出される。エンコーダによる支持部材303の位置検出方法については、追って、図8(a)を参照して説明する。
図5(b)は、支持ベース306をZ軸正側から見たときの支持ベース306の構成を示す斜視図である。
図5(b)に示すように、支持ベース306は、平面視において略長方形の輪郭を有する。支持ベース306は、剛性の高い金属材料からなっている。支持ベース306の中央には、レーザ光を通すための開口311が形成されている。また、支持ベース306の四隅には、それぞれ、ダンパーユニット309を設置するための円形の孔313が形成されている。
さらに、支持ベース306のY軸正側の端部とY軸負側の端部には、X軸方向の中央位置に、それぞれ、支持ユニット305を設置するための開口312が形成されている。また、支持ベース306の上面(Z軸正側の面)には、磁気回路307や支持ユニット305を位置決めするための複数のボス314が形成されている。
図6(a)、(b)は、それぞれ、磁気回路307の構成を示す斜視図である。
磁気回路307は、Y軸方向に並ぶように配置された2つのヨーク321を備える。X軸方向に見たときのヨーク321の形状はU字状である。2つのヨーク321は、それぞれ、内側の壁部321bが2つに分かれている。各ヨーク321の外側の壁部321aの内側に磁石322が設置される。また、各ヨーク321の内側の2つの壁部321bの外側に、それぞれ、磁石322に対向するように磁石323が設置される。互いに対向する磁石322と磁石323との間には、後述するコイル341(図8(a)参照)が挿入される隙間が生じている。
さらに、磁気回路307は、X軸方向に並ぶように配置された2つのヨーク324を備える。Y軸方向に見たときのヨーク324の形状はU字状である。2つのヨーク324は、それぞれ、外側の壁部324aが2つに分かれており、内側の壁部324bも2つに分かれている。各ヨーク324の外側の2つの壁部324aの内側にそれぞれ磁石325が設置される。また、各ヨーク324の内側の2つの壁部324bの外側に、それぞれ、磁石325に対向するように磁石326が設置される。互いに対向する磁石325と磁石326との間には、後述するコイル341(図8(a)参照)が挿入される隙間が生じている。磁石326のY軸方向の端部は、隣り合うヨーク321の内側の壁部321bに側面に重なっている。
2つのヨーク321の下面と2つのヨーク324の下面には、それぞれ、図5(b)に示した支持ベース306のボス314が嵌まり込む位置に孔(図示せず)が形成されている。ヨーク321、324の下面に形成された孔にボス314が嵌まり込むようにして、ヨーク321、324が支持ベース306の上面に設置される。これにより、図6(b)に示すように、磁気回路307が、支持ベース306の上面に設置される。
図7は、支持ベース306と固定ベース310の組み立て過程を示す分解斜視図である。
図7に示すように、ダンパーユニット309は、ダンパー309aと、ワッシャー309bと、ネジ309cと、を備える。固定ベース310は、レーザ光を通すための開口331と、ネジ309cをネジ留めするためのネジ孔332と、位置検出ユニット400を設置するための開口333と、位置検出ユニット400を位置決めするためのボス334と、を備える。固定ベース310は、剛性の高い金属材料で一体形成されている。
ダンパー309aは、制振性に優れた材料により一体形成されている。たとえば、ダンパー309aは、アルファゲルや、ゴム等の粘性減衰が大きい材料から形成される。ダンパー309aの中心に形成された孔に、円筒状のスリーブが嵌められている。支持ベース306の四隅に形成された孔313に、それぞれ、ダンパー309aが嵌められる。この状態で、ワッシャー309bがダンパー309aの上面に載せられる。さらに、ネジ309cがワッシャー309bに通されて、固定ベース310のネジ孔332にネジ留めされる。これにより、ダンパー309aを介して、支持ベース306が固定ベース310に支持される。
図8(a)は、支持部材303とサスペンション304とを組み立てた状態の構成を示す斜視図である。
図8(a)に示すように、支持部材303は、枠状の形状を有する。支持部材303は、軽量かつ剛性の高い材料により形成される。本実施形態では、カーボンフィラー配合の液晶ポリマーによって支持部材303が形成されている。支持部材303は、それぞれ平面視において略長方形の内枠部303aと外枠部303bとを備える。平面視において内枠部303aの中心と外枠部303bの中心が互いに一致するように、4つの梁部303cによって、内枠部303aと外枠部303bが連結されている。内枠部303aは、外枠部303bに対して上方(Z軸正方向)にシフトした位置に持ち上げられている。
内枠部303aの上面に、構造体301が設置される。また、外枠部303bの下面に、コイル341が装着される。コイル341は、外枠部303bの下面に沿うように、長方形の角が丸められた形状に周回している。
外枠部303bの四隅に、放射状に延びる連結部303dが形成されている。これら連結部303dは、上端および下端にそれぞれ鍔部を有する。連結部303dの上側の鍔部の上面に上側のサスペンション304の端部が固定具303eにより固着される。また、連結部303dの下側の鍔部の下面に下側のサスペンション304の端部が固定具303eにより固着される。こうして、サスペンション304が、支持部材303に装着される。
さらに、支持部材303は、Y軸方向に隣り合う連結部303dを繋ぐ橋部303fを備える。橋部303fは、Y軸方向の両端を除く部分がY軸方向に平行に延びており、この部分の中央に、Y−Z平面に平行な設置面303gを有する。支持部材303のX軸正側の橋部303fの設置面303gに、スケールが設置される。
Y軸正側の2つのサスペンション304と、Y軸負側の2つのサスペンション304が、それぞれ、図5(a)に示すように、支持ユニット305に装着される。これにより、外枠部303bの下面に装着されたコイル341が、図6(b)に示した磁気回路307の互いに対向する磁石間の隙間に挿入される。また、支持部材303のX軸正側の橋部303fの設置面303gに設置されたスケールが、位置検出ユニット400のプリント基板401に設置されたエンコーダに対向する。
位置検出ユニット400のエンコーダは、スケールに光を照射するとともに、スケールからの反射光を受光する光学センサを備え、この光学センサによってZ軸方向におけるスケールの移動を光学的に検出する。エンコーダからの検出信号に基づいて、支持部材303および可動スクリーン108のZ軸方向の位置が検出される。これにより、可動スクリーン108の駆動が制御される。
なお、図6(a)、(b)に示した磁気回路307の磁石322、323、325、326は、コイル341に駆動信号(電流)が印加されることによりコイル341にZ軸方向に平行な一方向の駆動力が生じるように、磁極が調整されている。
図8(b)、(c)は、それぞれ、サスペンション304の構成を示す平面図である。
本実施形態では、図8(a)に示した上側(Z軸正側)のサスペンション304の形状と下側(Z軸負側)のサスペンション304の形状が互いに異なっている。ここでは、便宜上、上側のサスペンション304をサスペンション304−1と称し、下側のサスペンション304をサスペンション304−2と称する。
サスペンション304−1、304−2は、薄板状の部材であり、可撓性を有する導電性の金属材料で一体形成されている。サスペンション304−1、304−2は、たとえば、ベリリウム銅合金からなっている。サスペンション304−1、304−2の形状は、それぞれ、X軸方向に対称である。サスペンション304−1、304−2は、それぞれ、X軸方向の中央位置に、サスペンション304−1、304−2を支持ユニット305に装着するための3つの孔304aを有する。また、サスペンション304−1、304−2は、それぞれ、3つの孔304aの両側に、クランク形状の伸縮構造304bを有する。
3つの孔304aのうち、最もY軸負側の孔304aは、Y軸方向に長い長孔であり、残り2つの孔304aは円形である。中央の孔304aは、Y軸正側の孔304aよりも大きい。X軸正側およびX軸負側の孔304aに支持ユニット305側のボスが嵌められることにより、サスペンション304−1、304−2が支持ユニット305に位置決めされる。この状態で、中央の孔304aにネジが留められることにより、サスペンション304−1、304−2が支持ユニット305に取り付けられる。
さらに、サスペンション304−1、304−2は、それぞれ、Y軸正方向に突出する一対の鍔部304cを有する。また、サスペンション304−1、304−2は、それぞれ、X軸方向に伸びる一対の腕部304dを有し、これら腕部304dの端部にそれぞれ孔304eを有する。さらに、サスペンション304−1、304−2は、それぞれ、腕部304dの端部からY軸負方向に突出する一対の鍔部304fを有する。
さらに、サスペンション304−1、304−2は、伸縮構造304bの端部側に一対の鉤部304gを有する。可動スクリーン108をZ軸方向に往復移動させると、サスペンション304−1、304−2はZ軸方向にS字状に変形する。鉤部304gは、この変形の変曲点に位置付けられるように、サスペンション304−1、304−2に配置されている。図4(a)に示すように、鉤部304gは、ゲルカバー305aの内部に収容される。鉤部304gは、ゲルによるダンピング効果を高めるために設けられている。
サスペンション304−1、304−2は、伸縮構造304bの形状が互いに異なっている。すなわち、サスペンション304−1は、Y軸負側およびY軸正側から切欠きC1、C2を設けることにより伸縮構造304bが形成されている。これに対し、サスペンション304−2は、Y軸負側のみから切欠きC3を設けることにより伸縮構造304bが形成されている。伸縮構造304bの形状以外のサスペンション304−1、304−2の構造は、互いに同じである。
伸縮構造304bを設けることにより、サスペンション304−1、304−2がZ軸方向に撓み易くなる。これにより、構造体301および可動スクリーン108を支持した支持部材303を、高速でZ軸方向に移動させることができる。
また、上側のサスペンション304−1の伸縮構造304bと下側のサスペンション304−2の伸縮構造304bを相違させることにより、サスペンション304−1とサスペンション304−2の座屈剛性を互いに相違させ得る。ここで、座屈剛性とは、X軸正方向またはX軸負方向の外力(圧縮または引っ張り)に対するサスペンション304−1、304−2の変形し難さを示すもので、(荷重/変形量)で表すことができる。
このようにサスペンション304−1、304−2の座屈剛性を相違させることにより、構造体301および可動スクリーン108を支持した支持部材303を、高い周波数でZ軸方向に往復移動させる場合に、共振モードによる過度な振幅が生じることが抑制され得る。
なお、本実施形態では、サスペンション304−1、304−2が、コイル341に対する駆動信号の給電経路に共用される。本実施形態では、上記のように、支持部材303が、カーボンフィラー配合の液晶ポリマーによって形成されているため、支持部材303が導電性を有している。このため、サスペンション304−1、304−2を給電に共用する場合は、支持部材303に対するサスペンション304−1、304−2の取り付け構造に、絶縁を施す必要がある。
図9(a)、(b)は、支持部材303に対するサスペンション304−1の取り付け構造を示す分解斜視図である。
図9(a)に示すように、固定具303eは、ネジ351と、板状の2つのクランパ352とからなっている。2つのクランパ352は、それぞれ、絶縁のため、上下面に酸化処理が施されている。また、これらクランパ352には、中央に孔が設けられている。ネジ351の軸部の径は、クランパ352の孔の径およびサスペンション304−1の孔304eの径よりも小さい。また、サスペンション304−1の孔304eは、クランパ352の孔の径より大きく設定され、これにより、ネジ351とサスペンション304−1が接触しないようになっている。
サスペンション304−1の孔304eとクランパ352の孔とが一致するようにして、サスペンション304−1の端部が2つのクランパ352で挟まれる。この状態で、サスペンション304−1の端部が、支持部材303の連結部303dの上面に載せられて、ネジ351が連結部303dのネジ孔303hにネジ止めされる。これにより、図9(b)に示すように、サスペンション304−1の端部が支持部材303の連結部303dの上面に固定される。下側のサスペンション304−2も同様に連結部303dの下面に固定される。
2つのクランパ352は上下面が絶縁されているため、このようにサスペンション304−1、304−2の端部をネジ止めしても、サスペンション304−1、304−2は、支持部材303と電気的に導通することがない。よって、サスペンション304−1、304−2をコイル341に対する給電経路として適正に用いることができる。
こうしてサスペンション304−1、304−2が支持部材303に装着された後、支持部材303の外枠部303bに装着されたコイル341(図8(a)参照)の端部が、サスペンション304−1またはサスペンション304−2の端部に形成された鍔部304fに半田で接続される。また、コイル341に駆動信号を供給するためのリード線が、サスペンション304−1またはサスペンション304−2の鍔部304cに半田で接続される。こうして、サスペンション304−1またはサスペンション304−2を介して、駆動信号がコイル341に供給される。
なお、図9(a)、(b)の構成では、絶縁性のクランパ352によって、サスペンション304−1、304−2と支持部材303とを電気的に絶縁したが、他の絶縁手段を用いてもよい。たとえば、サスペンション304−1、304−2の端部両面に絶縁膜を形成して、サスペンション304−1、304−2と支持部材303とを電気的に絶縁してもよい。この場合、鍔部304fを除いた端部の領域に絶縁膜が形成される。孔304eの内側面にも絶縁膜が形成されることが好ましい。絶縁性のクランパ352を用いる場合も、このような絶縁膜が形成されてもよい。
次に、可動スクリーン108を支持する構造体301の構成について説明する。
図10(a)、(b)は、それぞれ、構造体301の構成を示す分解斜視図および組み立て斜視図である。
図10(a)に示すように、構造体301は、可動スクリーン108と、ホルダ361と、耐熱性の部材(以下、「耐熱パッキン」という)362と、遮光部材363とからなっている。
ホルダ361は、上面と下面が開放された枠状の部材からなっている。ホルダ361は、剛性が高く、軽量の材料で形成される。本実施形態では、ホルダ361がマグネシウム合金によって一体成形されている。ホルダ361は、X軸方向に対称な形状である。
ホルダ361は、平面視において略長方形の輪郭を有する。ホルダ361は、Y軸正側が低くなっている。よって、ホルダ361の上面は、X-Y平面に平行な平面に対してZ軸方向に傾いている。ホルダ361の上面には、外周に沿って段差部361aが設けられている。段差部361aの深さは、可動スクリーン108の厚みと略同じである。ホルダ361のY軸正側の下面とY軸負側の下面には、それぞれ、Z軸正方向に矩形に凹んだ2つの係合部361bが設けられている。ホルダ361の下面には、下面内側から下方に突出する複数の突片361cが設けられている。
耐熱パッキン362は、耐熱性および断熱性に優れ、弾性変形可能な材料から構成される。耐熱パッキン362は、たとえば、耐熱シリコンゴムで形成される。耐熱パッキン362は、断面が略正方形の枠状の部材である。耐熱パッキン362は、ホルダ361の段差部361aに沿う形状を有する。
遮光部材363は、薄板状の部材からなっている。遮光部材363の厚みは、たとえば、0.2mm程度である。遮光部材363は、耐熱性および遮光性に優れ、軽量の材料から構成される。遮光部材363は、たとえば、マグネシウム合金で形成される。遮光部材363は、長方形の開口363aを有する。開口363aは、耐熱パッキン362よりもやや小さい。遮光部材363のY軸正側の端縁とY軸負側の端縁には、それぞれ、ホルダ361の係合部361bに係合する鉤部363bが設けられている。
可動スクリーン108は、Y軸負側の端部が段差部361aのY軸負側の内壁に当接するようにして、ホルダ361の段差部361aに嵌められる。さらに、耐熱パッキン362が、段差部361aに沿うようにして、可動スクリーン108の上面と段差部361aに載せられる。この状態で、耐熱パッキン362の上面は、ホルダ361の上面からZ軸正方向に突出する。その後、遮光部材363をホルダ361に被せて、4つの鉤部363bを、それぞれ、ホルダ361の4つの係合部361bに係合させる。このとき、耐熱パッキン362は、遮光部材363によってZ軸方向に圧縮される。耐熱パッキン362の弾性復帰力によって、鉤部363bと係合部361bとの係合が維持される。
こうして、図10(b)に示すように、構造体301が組み立てられる。この状態において、可動スクリーン108のY軸正側には、長方形の隙間G1が生じる。ホルダ361を図4(a)の内枠部303aに載せると、ホルダ361の突片361cが、内枠部303aの内側に嵌まり込む。これにより、ホルダ361が支持部材303に位置決めされる。このとき、ホルダ361の下面が、内枠部303aの上面に接着固定される。こうして、可動スクリーン108が、構造体301とともに、支持部材303に設置される。
次に、固定スクリーン109を支持する構造体302の構成について説明する。
図11(a)、(b)は、それぞれ、構造体301の構成を示す分解斜視図および組み立て斜視図である。図12(a)は、ホルダ371の構成を示す平面図、図12(b)は、ホルダ371に固定スクリーン109が設置された状態を示す平面図である。
構造体302は、固定スクリーン109と、ホルダ371と、遮光部材372と、ネジ373、374とからなっている。
図11(a)および図12(a)に示すように、ホルダ371は、枠状の部材からなっている。ホルダ371は、遮光性を有する軽量の材料で形成される。たとえば、ホルダ371は、アルミダイカストによって一体成形される。
ホルダ371は、固定スクリーン109の両端が載置される2つの凹部371aを有する。凹部371aは、Y軸正側が低くなっている。よって、固定スクリーン109は、X-Y平面に平行な平面に対してZ軸方向に傾くように、凹部371aに設置される。ホルダ371のY軸負側には、Z軸正側に突出した段部371bが設けられている。また、一部が段部371bに掛かるようにして、開口371cが形成されている。平面視において、開口371cは、略長方形である。
凹部371aのY軸負側の端部には、ネジ373を留めるためのネジ孔371dが設けられている。ネジ孔371d周囲の上面は、ホルダ371のY軸正側の上面と面一である。ホルダ371のY軸正側の上面にも、ネジ373を留めるための2つのネジ孔371eが設けられている。ホルダ371上面のX軸正負の端部には、それぞれ、凹部371fが設けられ、これら凹部371fには、それぞれ、ネジ374を挿入するための孔371gが設けられている。
さらに、ホルダ371のX軸正負の端部には、それぞれ、下方に突出する脚部371hが設けられている。したがって、Y軸正側から見たときのホルダ371の形状は、アーチ状である。X軸正側の脚部371hの下面には、Y軸正側の端部の位置に、下方に突出する円柱状の突部371iが設けられている。また、X軸負側の脚部371hの下面には、Y軸負側の端部の位置に、下方に突出する円柱状の突部371i(図示せず)が設けられている。
遮光部材372は、薄板状の部材からなっている。遮光部材372の厚みは、たとえば、0.2mm程度である。遮光部材372は、耐熱性および遮光性に優れ、軽量の材料から構成される。遮光部材372は、たとえば、マグネシウム合金で形成される。遮光部材372は、ネジ373を通すための孔372aを有する。
固定スクリーン109は、Y軸正側の端部が凹部371aのY軸正側の内壁に当接するようにして、ホルダ371の凹部371aに載置される。このとき、固定スクリーン109は、凹部371aの底面に接着剤により固定される。図12(b)に示すように、固定スクリーン109の両端は、凹部371aに設置された状態において、ネジ孔371dが形成された段差部分からY軸正方向に離間している。また、この状態において、固定スクリーン109の両端を除く部分は、開口371cのY軸正側の内壁から離間している。すなわち、固定スクリーン109とホルダ371のY軸正側の部分との間には、隙間G2が生じている。
こうして固定スクリーン109が設置された後、2つの遮光部材372がネジ373によってホルダ371の上面に設置される。これにより、固定スクリーン109の両端が遮光部材372によって覆われる。こうして、図11(b)に示すように、構造体302が組み立てられる。
組み立てられた構造体302は、2つの脚部371hの下面にそれぞれ設けられた突部371iが、図4(b)に示した磁気カバー308の孔308dに嵌められて、磁気カバー308の上面に位置決めされる。その後、2つのネジ374が、それぞれ、孔371gに通されて、磁気カバー308上面のネジ孔308cに留められる。こうして、固定スクリーン109が、構造体302とともに、磁気カバー308に設置される。
図13(a)は、固定スクリーン109を支持する構造体302を設置する前の状態の磁気カバー308周辺の構成を示す平面図である。図13(b)は、固定スクリーン109を支持する構造体302を設置した状態の磁気カバー308周辺の構成を示す平面図である。
図13(a)に示すように、構造体302を設置する前の状態では、磁気カバー308の切欠き部308bを介して、支持部材303の梁部303cがZ軸正側に露出している。これに対し、磁気カバー308に構造体302を設置すると、図13(b)に示すように、X軸方向に並ぶ切欠き部308bがホルダ371によって完全に覆われ、Y軸方向に並ぶ切欠き部308bは、ホルダ371によって略大半が覆われる。ホルダ371は、このように4つの切欠き部308bを覆い得るように、X軸方向の幅とY軸方向の幅が広げられている。
こうして、切欠き部308bがホルダ371によって覆われることにより、自然光等の迷光が、ミラー22を備えた光学系を逆行して、支持部材303の梁部303c等に集光されることが抑止される。これにより、梁部303c等が高温となって損傷を受けることを抑止できる。ホルダ371による遮光作用については、追って、図16を参照して説明する。
次に、可動スクリーン108および固定スクリーン109を用いた画像の表示動作について説明する。
図14(a)は、可動スクリーン108と固定スクリーン109の位置関係を模式的に示す図である。
上記のように本実施形態では、可動スクリーン108と固定スクリーン109がそれぞれホルダ361とホルダ371に個別に支持されている。このため、可動スクリーン108のみが駆動部300によって光軸方向(Z軸方向)に移動される。たとえば、奥行き画像の生成において、可動スクリーン108は、位置Ps0〜位置Ps1の範囲W1で移動される。固定スクリーン109は、位置Ps10に固定される。ここで、可動スクリーン108と固定スクリーン109とは、距離D1だけZ軸方向に位置ずれしている。固定スクリーン109は、可動スクリーン108よりも、ミラー22(光学系)側に位置づけられる。
なお、画像(虚像)に対する運転者2からの視距離は、可動スクリーン108が図1(c)のミラー22から離れるほど長くなる。つまり、位置Ps0は、遠視距離側の可動スクリーン108の境界位置となり、位置Ps1は、近視距離側の可動スクリーン108の境界位置となる。固定スクリーン109は、可動スクリーン108よりも距離D1だけZ軸正側に変位した位置にあるため、固定スクリーン109によって表示される画像(虚像)は、可動スクリーン108によって表示される画像(虚像)よりも近視距離側に表示される。
このように、本実施形態では、可動スクリーン108のみを移動させる構成であるため、可動スクリーン108は、奥行き画像の表示に必要な範囲W1のみにおいて移動させればよい。よって、可動スクリーン108を高速かつ安定的に移動させることができる。
図14(b)は、可動スクリーン108と固定スクリーン109に対するレーザ光の走査方法を模式的に示す図である。
画像表示動作においては、まず、可動スクリーン108がレーザ光で走査される。可動スクリーン108は、最もY軸負側に設定された走査ラインL1から順番に走査ラインLkまで走査される。この間に、ホルダ361がZ軸正側に移動されて、可動スクリーン108が位置Ps0から位置Ps1に移動される。この工程において、奥行き画像が表示される。その後、ホルダ361が停止される。この状態で、固定スクリーン109が、走査ラインLk+1から順番に走査ラインLkまで走査される。この工程において、固定画像が表示される。
なお、本実施形態では、固定画像の表示動作が終了した後、可動スクリーン108を位置Ps0へと戻す工程において、可動スクリーン108を用いて、視距離が変化しない画像(以下、「鉛直画像」という)が表示される。鉛直画像は、たとえば、歩行者をマーキングするための画像で、歩行者の視距離の位置に歩行者に重ねて表示される。この工程において、可動スクリーン108が、走査ラインLkから順番に走査ラインL1まで走査される。
図15(a)は、図15(b)に示すような画像を領域S1に表示する際の可動スクリーン108の駆動例を示すグラフである。
可動スクリーン108は、時刻t0〜t5を1サイクルとして移動が繰り返される。時刻t0〜t1の間に、可動スクリーン108は、位置Ps0(最遠位置)から位置Ps1(最近位置)へと移動され、時刻t2〜t5の間に、可動スクリーン108は、位置Ps1(最近位置)から位置Ps0(最遠位置)へと戻される。時刻t1〜t2の期間において、可動スクリーン108は、位置Ps1(最近位置)に停止される。可動スクリーン108の移動周期、すなわち、時刻t0〜t5の時間は、たとえば、1/60秒である。可動スクリーン108は、位置検出ユニット400のエンコーダの出力を監視しながら、上述のコイル341に印加する電流を変化させることにより、図15(a)に示すように移動される。
時刻t0〜t1は、図15(b)において、奥行き方向に広がる奥行き画像M1を表示するための期間であり、時刻t2〜t5は、図15(b)において、鉛直方向に広がる鉛直画像M2を表示するための期間である。時刻t1〜t2は、図15(b)において、領域S2に固定画像M3を表示するための期間である。
時刻t0〜t1において、可動スクリーン108を位置Ps0から位置Ps1まで線形に移動させつつ、奥行き画像M1に対応する走査ライン上の、奥行き画像M1に対応するタイミングにおいて、レーザ光源101a〜101cを発光させることにより、図15(b)に示すような奥行き画像M1が領域S1に虚像として表示される。
また、時刻t1〜t2において、可動スクリーン108は位置Ps1に停止される。この間に、固定スクリーン109がレーザ光により走査される。固定画像M3に対応する走査ライン上の、固定画像M3に対応するタイミングにおいて、レーザ光源101a〜101cを発光させることにより、投射領域13の前方の領域S2に固定画像M3が表示される。
さらに、時刻t2〜t5において、可動スクリーン108が位置Ps0へと戻される。このとき、可動スクリーン108は、位置Ps2において、時刻t3〜t4の間、停止される。この間に、鉛直画像M2に対応する走査ライン上の、鉛直画像M2に対応するタイミングにおいて、レーザ光源101a〜101cを発光させることにより、ウインドシールド12の投射領域13の前方に、図15(b)に示すような鉛直画像M2が表示される。
以上の制御は、図2に示す画像処理回路201によって行われる。この制御により、時刻t0〜t5の間に、奥行き画像M1と鉛直画像M2が領域S1に虚像として表示され、さらに、固定画像M3が領域S2に虚像として表示される。上記の制御では、奥行き画像M1、鉛直画像M2および固定画像M3の表示タイミングにずれが生じるが、このずれは極めて短時間であるため、運転者2は、奥行き画像M1、鉛直画像M2および固定画像M3を重ねた画像を認識する。こうして、運転者2は、映像信号に基づく画像(奥行き画像M1、鉛直画像M2、固定画像M3)を、道路R1および歩行者H1を含む風景に重ねて見ることができる。
なお、図15(b)の例では、鉛直画像M2が1つであったため、図15(a)の工程において、可動スクリーン108の停止位置(位置Ps2)が1つに設定されたが、鉛直画像M2が複数あれば、それに応じて、図15(a)の工程において、停止位置が複数設定される。ただし、図15(a)の工程において、時刻t0〜t5の時間は一定であり、時刻t5は不変であるため、停止位置の数の増減に応じて、停止位置前後の可動スクリーン108の移動速度(図15(a)の波形の傾き)が変更されることになる。
<実施形態の効果>
上記実施形態によれば、以下の効果が奏される。
可動スクリーン108のみを移動させる構成であるため、可動スクリーン108は、奥行き画像の表示に必要な範囲のみにおいて移動させればよい。よって、可動スクリーン108を高速かつ安定的に移動させることができる。
また、固定スクリーン109を支持する構造体302(ホルダ371)によって、磁気カバー308の開口308aの外側が覆われ、光学系(ミラー22)を逆行する迷光が、構造体302(ホルダ371)によって遮光される。これにより、高強度の迷光が可動スクリーン108の周囲に照射されることが抑止され、可動スクリーン108周囲の可動部(支持部材303)が迷光により高温となることを抑止できる。よって、可動スクリーン108周囲の可動部(支持部材303)を迷光から適切に保護できる。
図16は、この効果を説明する図である。図16には、構造体302付近をY−Z平面に平行な平面で切断した断面が示されている。図16において、破線の矢印は、ミラー22を逆行して集光された迷光の光線を示している。
支持部材303へと向かう迷光は、磁気カバー308によって遮光される。また、磁気カバー308の切欠き部308bに向かう迷光は、構造体302のホルダ371によって遮光される。図13(b)に示すように、Y軸方向に並ぶ切欠き部308bは、端部がホルダ371によって覆われていない。しかし、図16に示すように、迷光は、ミラー22(光学系)の作用によって斜めに広がる。このため、迷光は、ホルダ371で覆われない切欠き部308bの端部から支持部材303へと到達することがない。よって、切欠き部308bを介して支持部材303(梁部303c)へと向かう迷光は、全てホルダ371によって遮光される。したがって、可動スクリーン108周囲の可動部(支持部材303)を迷光から適切に保護できる。
以上のように、本態様に係る画像表示装置20によれば、奥行き画像を生成するための可動スクリーン108を高速で安定的に移動させることができるとともに、可動スクリーン108周囲の可動部を迷光から適切に保護することができる。
なお、ホルダ371の開口371cを通過した迷光と、固定スクリーン109を透過した迷光は、何れも、可動スクリーン108を支持するホルダ361の遮光部材363によって遮光される。よって、本実施形態では、これらの迷光が支持部材303へ到達することも抑止できる。
また、本実施形態では、ホルダ371に遮光性を持たせ、ホルダ371の幅を調整することによって、磁気カバー308の開口308aの外側をホルダ371で覆う構成となっている。このため、ホルダ371とは別に、開口308aの外側を覆う遮光部材を構造体302に設ける必要がない。よって、本実施形態によれば、構成の簡素化とコストの低減を図ることができる。
なお、本実施形態では、迷光がホルダ371に照射されるため、迷光によってホルダ371の温度が顕著に高くなり得る。これに対し、本実施形態では、図11(b)に示すように、固定スクリーン109の設置領域(凹部371a)が遮光部材372によって遮光されるため、固定スクリーン109が直接接触する設置領域(凹部371a)の温度が顕著に上昇することがない。よって、迷光による設置領域(凹部371a)の温度上昇によって固定スクリーン109がダメージを受けることを抑止できる。
また、本実施形態では、遮光部材372と固定スクリーン109の両端との間にZ軸方向の隙間が生じているため、迷光の照射により遮光部材372の温度が上昇したとしても、遮光部材372の熱が固定スクリーン109に直接伝わることが抑止される。よって、迷光による遮光部材372の温度上昇によって固定スクリーン109がダメージを受けることを防ぐことができる。
また、本実施形態では、図12(b)に示すように、固定スクリーン109とホルダ371のY軸正側の部分との間に隙間G2が生じているため、迷光の照射によりホルダ371のY軸正側の部分の温度が上昇しても、この部分から固定スクリーン109に熱が直接伝わることが抑止される。よって、この構成によっても、迷光によるホルダ371の温度上昇によって固定スクリーン109がダメージを受けることを防ぐことができる。
また、本実施形態では、構造体302が磁気カバー308に設置されているため、構造体302をコンパクトに収めることができるとともに、可動スクリーン108と固定スクリーン109との位置関係を適正に保つことができる。
また、本実施形態では、駆動部300が、可動部(支持部材303)に設置されたコイル341と、コイル341に磁界を印可する磁気回路307とを備える構成であるため、可動スクリーン108を安定的に高速で移動させることができる。また、磁気カバー308は、磁性材料からなっており、磁気回路307に被せられて、磁気回路307のヨークとしても機能するため、部品点数の削減を図りつつ、磁気カバー308によって可動部(支持部材303)を迷光から遮光することができる。
また、本実施形態では、図10(a)に示すように、可動スクリーン108と遮光部材363との間に耐熱パッキン362が介在するため、迷光によって遮光部材363の温度が上昇しても、遮光部材363の熱が可動スクリーン108に直接伝わることが抑止される。よって、迷光による遮光部材363の温度上昇によって可動スクリーン108がダメージを受けることを防ぐことができる。
また、本実施形態では、図10(a)、(b)に示すように、段差部361aが遮光部材363によって遮光されるため、段差部361aが迷光によって高温となることが抑止される。よって、段差部361aからの熱により可動スクリーン108がダメージを受けることを防ぐことができる。
また、本実施形態では、図9(a)、(b)を参照して説明したように、サスペンション304−1、304−2と支持部材303(可動部)とが電気的に絶縁された状態で、支持部材303(可動部)にサスペンション304−1、304−2が連結され、コイル341の端部がサスペンション304−1、304−2に電気的に接続されている。具体的には、サスペンション304−1、304−2は、絶縁性のクランパ352(絶縁部材)で挟まれた状態で、支持部材303(可動部)にネジ止めされることにより、支持部材303(可動部)に連結されている。これにより、機械的強度を高めるために、支持部材303(可動部)が、上記のようにカーボンフィラー配合の液晶ポリマーで形成されていても、サスペンション304−1、304−2を、コイル341に対する給電経路として適正に用いることができる。よって、コイル341に対する配線を省略でき、構成の簡素化を図ることができる。また、支持部材303(可動部)が高速で振動することによる配線の損傷および断絶を回避でき、結果、可動スクリーン108をより安定的に駆動することができる。このような効果は、支持部材303(可動部)が、他の導電性材料により構成される場合も同様に奏され得る。
なお、本実施形態では、たとえば、図17(a)、(b)に示すように、支持部材303の外枠部303bが、互いに向き合う磁石間に挟まれた構成となっている。図17(a)は、駆動部300の構成を示す平面図、図17(b)は、図17(a)の破線で囲まれた部分A10を拡大して示す図である。
このような構成では、互いに向き合う磁石間の磁界をなるべく高く維持でき、且つ、各磁石の厚みをなるべく薄くできることが好ましい。これにより、X−Y平面に平行な方向において駆動部300をコンパクトに収めることができるとともに、コイル341に生じる駆動力を大きくでき、可動スクリーン108を高速かつ安定的に駆動させることができる。
この場合、対となる磁石、たとえば磁石325、326と、支持部材303の外枠部303b(可動部)との間の隙間G10の距離D20が1mm以下で、且つ、ギャップバーミアンス係数が1.2以上となるように、磁気回路307を構成することが好ましく、より好ましくは、隙間G10の距離D20を0.5mm程度に設定するとよい。その他の対となる磁石(磁石322、323)も、上記と同様に、外枠部303bとの距離およびギャップバーミアンス係数を設定するとよい。なお、外枠部303bの幅が1.5mmである場合、隙間G10の距離D20を0.5mmに設定すると、磁石325、326の磁極面間の距離D10は、2.5mm程度となる。
このように、外枠部303b(可動部)と磁石との隙間およびギャップバーミアンス係数を設定することにより、最大磁力積が50MGOeの高性能の磁石を磁石325、326および磁石322、323として用いた場合でも、不可逆減磁が発生せず、且つ、これら磁石の厚みを薄く抑えることができる。これにより、コイル341に生じる駆動力を高く確保しながら、駆動部300を小型化でき、結果、装置全体の小型化を図ることができる。
<変更例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、また、本発明の適用例も、上記実施の形態の他に、種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施形態では、構造体302が磁気カバー308に設置されたが、構造体302が支持ベース306に設置されてもよく、あるいは、構造体302が固定ベース310に設置されてもよい。ただし、上記実施形態のように、構造体302を磁気カバー308に設置すると、構造体302の形状をよりコンパクトに収めることができる。
また、上記実施形態では、図13(b)に示したように、Y軸方向に並ぶ切欠き部308bの端部がホルダ371によって覆われなかったが、光学系(ミラー22)の作用により、この部分にも迷光が入射する場合には、ホルダ371のY軸方向の幅を広げて、Y軸方向に並ぶ切欠き部308bの全てをホルダ371で覆うようにしてもよい。ホルダ371のX軸方向の幅およびY軸方向の幅は、可動部に対する迷光の遮光の観点から、適宜調整され得る。
また、上記実施形態では、可動部(支持部材303、構造体301)に対する迷光の遮光がホルダ371により実現されたが、ホルダ371に別途遮光部材を設置し、この遮光部材とホルダ371の両方で、迷光の遮光を行ってもよい。ただし、この構成では、上記実施形態に比べて、部品点数が増加し、組み立て時の作業工数が増加する。
また、上記実施形態では、可動スクリーン108と固定スクリーン109がZ軸に垂直な状態から傾けられて設置されたが、可動スクリーン108と固定スクリーン109の両方または何れか一方がZ軸に垂直な状態で設置されてもよい。可動スクリーン108および固定スクリーン109の傾斜角度は、適宜調整可能である。また、可動スクリーン108および固定スクリーン109の形状および大きさも、上記実施形態に示したものに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、本発明を乗用車1に搭載されるヘッドアップディスプレイに適用した例を示したが、本発明は、車載用に限らず、他の種類の画像表示装置にも適用可能である。
また、画像表示装置20および照射光生成部21の構成は、図1(c)および図2に記載された構成に限られるものではなく、適宜、変更可能である。また、可動スクリーン108を移動させる駆動部300の構成も、実施形態に示した構成に限られるものではなく、適宜、変更可能である。たとえば、圧電式や静電式の駆動部で可動スクリーン108を駆動する構成であってもよい。
本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。