JP2019007600A - シリンダ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電気粘性流体のスティックスリップを抑制することにより、異音の発生を防止する。【解決手段】 内筒電極3の外周側と外筒電極19の内周側、詳しくは、内筒電極3の外周面には、各電極間流路20を流動する電気粘性流体2への電流を遮断する内筒側絶縁層23を設け、外筒電極19の内周面19Aには、各電極間流路20を流動する電気粘性流体2への電流を遮断する外筒側絶縁層24を設ける構成としている。【選択図】 図2
Description
本発明は、例えば自動車、鉄道車両等の車両の振動を緩衝するのに好適に用いられるシリンダ装置に関する。
一般に、自動車等の車両には、車体(ばね上)側と各車輪(ばね下)側との間に油圧緩衝器に代表されるシリンダ装置が設けられている。ここで、特許文献1には、作動流体として電気粘性流体を用いたダンパ(緩衝器)において、内筒と電極筒(中間筒)との間の流路に、螺旋状のシール手段を設けた構成が開示されている。
ところで、特許文献1に開示されたシリンダ装置では、内筒と電極筒との間の流路を、電気粘性流体が流通するときに、電気粘性流体にスティックスリップが生じることがあり、異音や摩耗が発生する可能性がある。
本発明の目的は、電気粘性流体のスティックスリップを抑制することにより、異音の発生を防止できるようにしたシリンダ装置を提供することにある。
本発明によれば、電界により流体の粘性が変化する電気粘性流体が封入され、内部にロッドが挿入されるシリンダ装置であって、互いに異なる電位の電極となる内筒電極および該内筒電極の外側に設けられる外筒電極と、前記内筒電極と前記外筒電極との間に形成され、前記ロッドの少なくとも伸長側の移動により軸方向の一方側から他方側に向けて前記電気粘性流体が流動する流路と、軸方向に対して傾斜角度を持って前記流路に設けられたシール手段と、を有し、前記内筒電極の外周側と前記外筒電極の内周側とのうち少なくとも前記外筒電極の内周側には、前記流路を流動する前記電気粘性流体への電流を遮断する絶縁層が設けられている。
本発明によれば、電気粘性流体のスティックスリップを抑制することにより、異音の発生を防止することができる。
以下、本発明によるシリンダ装置について、4輪自動車等の車両に設けられる緩衝器に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って説明する。
図1ないし図3は、本発明の第1の実施形態を示している。図1において、シリンダ装置としての緩衝器1は、内部に封入する作動油等の電気粘性流体2を用いた減衰力調整式の油圧緩衝器(セミアクティブダンパ)として構成されている。緩衝器1は、例えば、コイルばねからなる懸架ばね(図示せず)と共に、車両用のサスペンション装置を構成する。なお、以下の説明では、緩衝器1の軸方向の一端側を「上端」側とし、軸方向の他端側を「下端」側として記載するが、緩衝器1の軸方向の一端側を「下端」側とし、軸方向の他端側を「上端」側としてもよい。
緩衝器1は、後述の内筒電極3、アウタ筒4、ピストン6、ピストンロッド9、ボトムバルブ13、外筒電極19、内筒側絶縁層23および外筒側絶縁層24を含んで構成されている。
内筒電極3は、軸方向に延びる円筒状の筒体として形成され、内部に機能性流体である電気粘性流体2が封入されている。また、内筒電極3の内部には、ピストンロッド9が挿入されている。内筒電極3の外側には、アウタ筒4と外筒電極19が同軸となるように設けられている。内筒電極3の内部には、ピストンロッド9が軸方向に伸縮可能に挿入されている。
内筒電極3は、下端側がボトムバルブ13のバルブボディ14に嵌合して取付けられており、上端側は、ロッドガイド10に嵌合して取付けられている。内筒電極3の上側には、周方向に間隔をもって複数個(例えば4個)の油孔3Aが径方向に貫通して設けられている。また、内筒電極3の外周側を形成する外周面3Bには、後述の内筒側絶縁層23と一緒に複数本(例えば4本)の隔壁21が螺旋状に巻回して設けられている。
ここで、内筒電極3は、導体(電気伝導体)となる材料から形成され、負(マイナス)の電極として構成されている。内筒電極3は、後述するアウタ筒4、ロッドガイド10、ボトムバルブ13等を介してバッテリ22の負極(マイナス極)に電気的に接続されている。
アウタ筒4は、緩衝器1の外殻をなすもので、導体となる材料によって円筒体として形成されている。アウタ筒4は、内筒電極3および外筒電極19の外側に設けられており、該外筒電極19との間に電極間流路20と連通するリザーバ室Aを形成している。この場合、アウタ筒4の下端側は、当該アウタ筒4の下端に溶接手段等を用いてボトムキャップ5が固着されることにより閉塞端となっている。
一方、アウタ筒4の上端側は、開口端となっている。アウタ筒4の開口端側には、例えば、かしめ部4Aが径方向の内側に屈曲して形成されている。かしめ部4Aは、シール部材12の外周側を上側から押えることにより、シール部材12と一緒に内筒電極3、ロッドガイド10および外筒電極19をアウタ筒4内に固定している。
ここで、内筒電極3とアウタ筒4はシリンダを構成し、該シリンダ内には、電気粘性流体2(ERF:Electro Rheological Fluid)が封入されている。なお、図1では、封入されている電気粘性流体2を無色透明で表している。
電気粘性流体2は、電界(電圧)により性状が変化するものである。即ち、電気粘性流体2は、印加される電圧に応じて粘度が変化し、流通抵抗(減衰力)が変化する。電気粘性流体2は、例えば、シリコンオイル等からなる基油(ベースオイル)と、該基油に混ぜ込まれ(分散され)電界の変化に応じて粘性を可変にする粒子(微粒子)とにより構成されている。
後述するように、緩衝器1は、内筒電極3と外筒電極19との間の電極間流路20内に電位差を発生させ、電極間流路20を通過する電気粘性流体2の粘度を制御することで、発生減衰力を制御(調整)する構成となっている。
アウタ筒4と外筒電極19との間には、環状のリザーバ室Aが形成されている。リザーバ室A内には、電気粘性流体2と共に作動気体となるガスが封入されている。このガスは、大気圧状態の空気であってもよく、また圧縮された窒素ガス等の気体を用いてもよい。リザーバ室A内のガスは、ピストンロッド9の縮小行程時に、当該ピストンロッド9の進入体積分を補償すべく圧縮される。
ピストン6は、内筒電極3内に摺動可能に設けられている。ピストン6は、内筒電極3内を上側に位置するロッド側油室Bと下側に位置するボトム側油室Cとに仕切っている。ピストン6には、ロッド側油室Bとボトム側油室Cとを連通可能とする油路6A,6Bがそれぞれ周方向に離間して複数個(それぞれ1個のみ図示)形成されている。
ここで、実施形態による緩衝器1は、ユニフロー構造になっている。このため、内筒電極3内の電気粘性流体2は、ピストンロッド9の縮小行程と伸長行程との両行程で、ロッド側油室Bから内筒電極3の各油孔3Aを通じて電極間流路20に向け、常に一方向(図1中の矢印Fの方向)に流通する。
このようなユニフロー構造を実現するため、ピストン6の上端面には、例えば、ピストンロッド9の縮小行程でピストン6が内筒電極3内を下向きに摺動変位するときに開弁し、これ以外のときには閉弁する縮小側逆止弁7が設けられている。縮小側逆止弁7は、ボトム側油室C内の電気粘性流体2がロッド側油室Bに向けて各油路6A内を流通するのを許し、これとは逆向きに電気粘性流体2が流れるのを阻止する。即ち、縮小側逆止弁7は、ボトム側油室Cからロッド側油室Bへの電気粘性流体2の流通のみを許容する。
ピストン6の下端面には、例えば、伸長側のディスクバルブ8が設けられている。伸長側のディスクバルブ8は、ピストンロッド9の伸長行程でピストン6が内筒電極3内を上向きに摺動変位するときに、ロッド側油室B内の圧力がリリーフ設定圧を越えると開弁し、このときの圧力を、各油路6Bを介してボトム側油室C側にリリーフする。
ロッドとしてのピストンロッド9は、内筒電極3内を軸方向(図1の上下方向)に延びている。ピストンロッド9は、下端が内筒電極3内でナット9A等を用いてピストン6に連結(固定)され、上端がロッド側油室Bを通って内筒電極3およびアウタ筒4の外部へ延出されている。また、ピストンロッド9の上端側は、ロッドガイド10を介して外部に突出している。なお、緩衝器としては、ピストンロッド9の下端をさらに延ばしてボトム部(例えば、ボトムキャップ5)側から外向きに突出させた両ロッド形式としてもよい。
ロッドガイド10は、内筒電極3とアウタ筒4の上端側に嵌合して設けられている。ロッドガイド10は、内筒電極3とアウタ筒4の上端側を閉塞している。ロッドガイド10は、ガイドブッシュ11を介してピストンロッド9を支持するもので、例えば金属材料、硬質な樹脂材料等に成形加工、切削加工等を施すことにより段付の筒体として形成されている。この場合、ロッドガイド10は、後述するバルブボディ14が金属材料(導体)である場合に、絶縁体、誘電体、高抵抗体等からなる材料、例えば樹脂材料を用いて形成することができる。そして、ロッドガイド10は、内筒電極3の上側部分および外筒電極19の上側部分を、アウタ筒4の中央に位置決めする。これと共に、ロッドガイド10は、その内周側でピストンロッド9を軸方向に摺動可能に案内(ガイド)する。
ロッドガイド10とアウタ筒4のかしめ部4Aとの間には、環状のシール部材12が設けられている。シール部材12は、その内周側がピストンロッド9の外周面に摺接することにより、ピストンロッド9との間を液密、気密に封止(シール)している。
内筒電極3の下端側には、該内筒電極3とボトムキャップ5との間に位置してボトムバルブ13が設けられている。ボトムバルブ13は、ボトム側油室Cとリザーバ室Aとを連通または遮断するものである。このために、ボトムバルブ13は、バルブボディ14、伸長側逆止弁15およびディスクバルブ16を含んで構成されている。バルブボディ14は、ボトムキャップ5と内筒電極3との間でリザーバ室Aとボトム側油室Cとを仕切っている。
バルブボディ14には、リザーバ室Aとボトム側油室Cとを連通可能とする油路14A,14Bがそれぞれ周方向に間隔をもって形成されている。バルブボディ14の外周側には、内筒電極3の下端が嵌合して固定されている。また、バルブボディ14の外周側には、内筒電極3よりも外周側に位置して後述の下側保持部材18が嵌合して取付けられている。ここで、バルブボディ14は、前述したロッドガイド10が金属材料(導体)である場合に、絶縁体、誘電体、高抵抗体等からなる材料、例えば硬質な樹脂材料を用いて形成することができる。
伸長側逆止弁15は、例えば、バルブボディ14の上面側に設けられている。伸長側逆止弁15は、ピストンロッド9の伸長行程でピストン6が上向きに摺動変位するときに開弁し、これ以外のときには閉弁する。伸長側逆止弁15は、リザーバ室A内の電気粘性流体2がボトム側油室Cに向けて各油路14A内を流通するのを許し、これとは逆向きに電気粘性流体2が流れるのを阻止する。即ち、伸長側逆止弁15は、リザーバ室A側からボトム側油室C側への電気粘性流体2の流通のみを許容する。
縮小側のディスクバルブ16は、例えば、バルブボディ14の下面側に設けられている。縮小側のディスクバルブ16は、ピストンロッド9の縮小行程でピストン6が下向きに摺動変位するときに、ボトム側油室C内の圧力がリリーフ設定圧を越えると開弁し、このときの圧力を、各油路14Bを介してリザーバ室A側にリリーフする。
上側保持部材17は、内筒電極3上部を取囲むようにロッドガイド10の外周側に嵌合している。上側保持部材17は、外筒電極19の上端側を軸方向および径方向に位置決めした状態で保持している。上側保持部材17は、例えば電気絶縁性材料(アイソレータ)により形成され、内筒電極3およびロッドガイド10と外筒電極19との間を電気的に絶縁した状態に保っている。
一方、下側保持部材18は、外筒電極19の下端側を軸方向および径方向に位置決めした状態で保持している。下側保持部材18は、上側保持部材17と同様に、例えば電気絶縁性材料(アイソレータ)により形成され、内筒電極3と外筒電極19との間、バルブボディ14と外筒電極19との間をそれぞれ電気的に絶縁した状態に保っている。また、下側保持部材18には、電極間流路20をリザーバ室Aに対して連通させる複数の油路18Aが形成されている。
外筒電極19は、内筒電極3の外側に該内筒電極3を取囲むように設けられている。外筒電極19は、内筒電極3とアウタ筒4との間に位置して軸方向に延びる円筒体によって形成されている。外筒電極19は、導体となる材料(例えば金属材料)からなり、正(プラス)の電極を構成している。外筒電極19は、内筒電極3との間に、ロッド側油室Bおよびリザーバ室Aと連通する電極間流路20を形成している。外筒電極19は、後述するバッテリ22の正極(プラス極)に電気的に接続されている。
外筒電極19は、下端側が下側保持部材18を介してボトムバルブ13のバルブボディ14に対して上下方向と径方向に位置決め状態で保持されている。一方、外筒電極19の上端側は、上側保持部材17を介してロッドガイド10に対して上下方向と径方向に位置決め状態で保持されている。また、外筒電極19の内周側を形成する内周面19Aには、後述の外筒側絶縁層24が設けられている。
ここで、外筒電極19は、内筒電極3の外周側を全周に亘って取囲むことにより、外筒電極19の内周側と内筒電極3の外周側との間に環状の通路、即ち、電気粘性流体2が流通する流路としての電極間流路20を形成している。
電極間流路20は、後述する各隔壁21によって複数、例えば4本に分割されている。各電極間流路20は、内筒電極3の油孔3Aによりロッド側油室Bと常時連通している。即ち、図1で電気粘性流体2の流れの方向を矢印Fで示すように、緩衝器1は、ピストン6の縮小行程および伸長行程の両方で、ロッド側油室Bから油孔3Aを通じて電極間流路20内に電気粘性流体2が流入する。電極間流路20内に流入した電気粘性流体2は、ピストンロッド9が内筒電極3内を進退動するとき(即ち、縮小行程と伸長行程を繰返す間)に、この進退動により電極間流路20の軸方向の上端側から下端側に向けて流動する。そして、電極間流路20内に流入した電気粘性流体2は、下側保持部材18の油路18Aを介してリザーバ室Aへと流出する。
シール手段としての複数本の隔壁21は、内筒電極3の外周面3Bを取囲むように、螺旋状に巻回しつつ上下方向に延びて設けられている。各隔壁21は、例えば4本形成され、電極間流路20を複数本(4本)の螺旋状流路に仕切っている。各隔壁21は、エラストマ等の弾性を有し、かつ電気的絶縁性を有する高分子材料、例えば合成ゴムにより形成されている。各隔壁21は、例えば接着剤等を用いて内筒3の外周面3B、詳しくは、内筒3の外周面3Bにコーティングされた後述の内筒側絶縁層23に対して固着(接着)されている。
図2に示すように、各隔壁21よりも上側の位置でかつ、各隔壁21の上端部と軸方向に対向(対面)する位置には、内筒電極3の油孔3Aが設けられている。即ち、内筒電極3の油孔3Aと各隔壁21の上端部は、軸方向に一致するように配置されている。なお、油孔3Aの位置は、これに限らず、例えば各隔壁21よりも上側の位置でかつ、各隔壁21間に設けられていてもよい。なお、緩衝器1をバイフロー構造とした場合には、油孔3Aに加えて各隔壁21よりも下側の位置で内筒電極3に油孔を設けることになる。
ここで、各隔壁21によって分割された各電極間流路20では、内筒電極3内でピストン6が摺動することによって流通する電気粘性流体2に抵抗を付与する。このために、外筒電極19は、電源となるバッテリ22の正極に、例えば、高電圧を発生する高電圧ドライバ(図示せず)を介して接続されている。バッテリ22(および高電圧ドライバ)は、電圧供給部(電界供給部)となり、外筒電極19は、電極間流路20内の電気粘性流体2に電界(電圧)をかける電極(エレクトロード)となる。この場合、外筒電極19の両端側は、電気絶縁性の各保持部材17,18によって電気的に絶縁されている。一方、内筒電極3は、ロッドガイド10、ボトムバルブ13、ボトムキャップ5、アウタ筒4、高電圧ドライバ等を介して負極(グランド)に接続されている。
高電圧ドライバは、緩衝器1の減衰力を可変に調整するためのコントローラ(図示せず)から出力される指令(高電圧指令)に基づいて、バッテリ22から出力される直流電圧を昇圧して外筒電極19に供給(出力)する。これにより、外筒電極19と内筒電極3との間、即ち、各電極間流路20内には、外筒電極19に印加される電圧に応じた電位差が発生し、電気粘性流体2の粘度が変化する。この場合、緩衝器1は、外筒電極19に印加される電圧に応じて、発生減衰力の特性(減衰力特性)をソフト(Soft)な特性(軟特性)とハード(Hard)な特性(硬特性)との間で連続的に調整することができる。なお、緩衝器1は、減衰力特性を連続的でなくとも、2段階または3段階以上に調整可能なものであってもよい。
次に、第1の実施形態の特徴部分となる内筒側絶縁層23と外筒側絶縁層24の構成について説明する。
絶縁層としての内筒側絶縁層23は、図3に示すように、内筒電極3の外周側に内筒電極3の外周面3Bを覆うように各電極間流路20の全長に亘って設けられている。内筒側絶縁層23は、各電極間流路20を流動する電気粘性流体2への電流を遮断するものである。この内筒側絶縁層23は、内筒電極3の外周面3Bに対し、非電導フィルムのように薄く設けられている。具体的には、内筒側絶縁層23の厚さ寸法は、0.1μm〜20μmの範囲、好ましくは2μm〜15μmの範囲に設定されている。
また、内筒側絶縁層23は、ポリウレタン等の絶縁性の樹脂材料を基礎として形成されている。そして、内筒側絶縁層23は、各電極間流路20を流動する電気粘性流体2への電流を遮断すると共に、電気粘性流体2のスティックスリップを抑制するものである。さらに、内筒側絶縁層23の外周側には、前述した4本の隔壁21が固着されている。
絶縁層としての外筒側絶縁層24は、内筒側絶縁層23と径方向で対面するもので、外筒電極3の内周側に外筒電極19の内周面19Aを覆うように各電極間流路20の全長に亘って設けられている。外筒側絶縁層24は、内筒側絶縁層23と同様に、各電極間流路20を流動する電気粘性流体2への電流を遮断するものである。この外筒側絶縁層24は、外筒電極19の内周面19Aに対し、非電導フィルムのように薄く設けられている。具体的には、外筒側絶縁層24の厚さ寸法は、0.1μm〜20μmの範囲、好ましくは2μm〜15μmの範囲に設定されている。
また、外筒側絶縁層24は、ポリウレタン等の絶縁性の樹脂材料を基礎として形成されている。そして、外筒側絶縁層24は、各電極間流路20を流動する電気粘性流体2への電流を遮断すると共に、電気粘性流体2のスティックスリップを抑制するものである。
第1の実施形態による緩衝器1は、上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
緩衝器1を自動車等の車両に実装するときは、例えば、ピストンロッド9の上端側を車両の車体側に取付け、アウタ筒4の下端側(ボトムキャップ5側)を車輪側(車軸側)に取付ける。車両の走行時には、路面の凹凸等によって上下方向の振動が発生すると、ピストンロッド9がアウタ筒4から伸長、縮小するように変位する。このとき、コントローラからの指令によりバッテリ22を用いて各電極間流路20内に電位差を発生させ、各電極間流路20を通過する電気粘性流体2の粘度を制御することにより、緩衝器1の発生減衰力を可変に調整する。
ピストンロッド9の伸長行程時には、内筒電極3内のピストン6の移動によってピストン6の縮小側逆止弁7が閉じる。ピストン6のディスクバルブ8の開弁前には、ロッド側油室Bの電気粘性流体2が加圧され、内筒電極3の各油孔3Aを通じて各電極間流路20内に流入する。このとき、ピストン6が移動した分の電気粘性流体2は、リザーバ室Aからボトムバルブ13の伸長側逆止弁15を開いてボトム側油室Cに流入する。
一方、ピストンロッド9の縮小行程時には、内筒電極3内のピストン6の移動によってピストン6の縮小側逆止弁7が開き、ボトムバルブ13の伸長側逆止弁15が閉じる。ボトムバルブ13(ディスクバルブ16)の開弁前には、ボトム側油室Cの電気粘性流体2がロッド側油室Bに流入する。これと共に、ピストンロッド9が内筒電極3内に進入した分に相当する電気粘性流体2が、ロッド側油室Bから内筒電極3の各油孔3Aを通じて各電極間流路20内に流入する。
従って、いずれの場合も(伸長行程時も縮小行程時も)、各電極間流路20内に流入した電気粘性流体2は、各電極間流路20の電位差(内筒電極3と外筒電極19との間の電位差)に応じた粘度で各電極間流路20内を出口側(下側)に向けて通過し、各電極間流路20から下側保持部材18の油路18Aを通じてリザーバ室Aに流出する。このとき、緩衝器1は、各電極間流路20を通過する電気粘性流体2の粘度に応じた減衰力が発生し、車両の上下振動を緩衝(減衰)することができる。
ところで、上述した緩衝器1の動作時には、電気粘性流体2が各電極間流路20を流通するときに、スティックスリップを発生することがあるから、この場合には、振動によって異音が発生する可能性がある。
そこで、本実施形態では、内筒電極3の外周側と外筒電極19の内周側、詳しくは、内筒電極3の外周面には、各電極間流路20を流動する電気粘性流体2への電流を遮断する内筒側絶縁層23を設け、外筒電極19の内周面19Aには、各電極間流路20を流動する電気粘性流体2への電流を遮断する外筒側絶縁層24を設ける構成としている。
これにより、内筒側絶縁層23と外筒側絶縁層24とは、電気粘性流体2が各電極間流路20を流通するときのスティックスリップを抑制することができる。この結果、緩衝器1の動作時における異音の発生を防止することができる。
次に、図4は本発明の第2の実施形態を示している。本実施形態の特徴は、外筒電極の内周側だけに絶縁層を設けたことにある。なお、第2の実施形態では、前述した第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図4において、第2の実施形態による外筒側絶縁層31は、絶縁層を構成している。外筒側絶縁層31は、第1の実施形態による外筒側絶縁層24と同様に、正(プラス)の電極を構成する外筒電極3の内周面19Aに非電導フィルムのように薄く設けられている。外筒側絶縁層31の厚さ寸法は、0.1μm〜20μmの範囲、好ましくは2μm〜15μmの範囲に設定されている。さらに、外筒側絶縁層31は、ポリウレタン等の絶縁性の樹脂材料を基礎として形成されている。ここで、第2の実施形態では、正(プラス)の電極にのみ絶縁層を設ける構成を示した。電気粘性流体2中に含まれるポリウレタン粒子が電気泳動でプラス側に動くことによるものであると考えられるため、プラスの電極にポリウレタン粒子の付着が想定され、プラス極表面が変質する側のみに絶縁層を設けることを検討した。
かくして、このように構成された第2の実施形態においても、前述した第1の実施形態による作用効果とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施形態によれば、第1の実施形態による内筒側絶縁層23を省略できるから、構成を簡略化することができる。
なお、第2の実施形態では、外筒側絶縁層31を正の電極を構成する外筒電極3の内周面19Aにだけ設けた場合を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限らず、内筒電極3を正の電極とした場合には、この内筒電極3の外周面3Bだけに内筒側絶縁層を設ける構成としてもよい。
各実施形態では、緩衝器1をユニフロー構造とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、緩衝器をバイフロー構造としてもよい。なお、バイフロー構造とした場合には、ロッドの進退方向が反対になったときには、油孔が流出部となる。
各実施形態では、緩衝器1を上下方向に配置する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばエアレーションを起こさない範囲で傾けて配置する等、取付対象に応じて所望の方向に配置することができる。
各実施形態では、電気粘性流体2は、軸方向の上端側(一端側)から下端側(他端側)に向けて流動する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、緩衝器1の配設方向に応じて、例えば下端側から上端側に向けて流動する構成、左端側(または右端側)から右端側(または左端側)に向けて流動する構成、前端側(または後端側)から後端側(または前端側)に向けて流動する構成等、軸方向の他端側から一端側に向けて流動する構成とすることができる。
各実施形態では、シリンダ装置としての緩衝器1を4輪自動車に用いる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば2輪車に用いる緩衝器、鉄道車両に用いる緩衝器、一般産業機器を含む各種の機械機器に用いる緩衝器、建築物に用いる緩衝器等、緩衝すべき対象を緩衝する各種の緩衝器(シリンダ装置)として広く用いることができる。さらに、実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。即ち、シリンダ装置(緩衝器)は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更が可能である。
以上説明した実施形態に基づくシリンダ装置として、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
第1の態様としては、電界により流体の粘性が変化する電気粘性流体が封入され、内部にロッドが挿入されるシリンダ装置であって、互いに異なる電位の電極となる内筒電極および該内筒電極の外側に設けられる外筒電極と、前記内筒電極と前記外筒電極との間に形成され、前記ロッドの少なくとも伸長側の移動により軸方向の一方側から他方側に向けて前記電気粘性流体が流動する流路と、軸方向に対して傾斜角度を持って前記流路に設けられたシール手段と、を有し、前記内筒電極の外周側と前記外筒電極の内周側とのうち少なくとも前記外筒電極の内周側には、前記流路を流動する前記電気粘性流体への電流を遮断する絶縁層が設けられたことを特徴としている。
第2の態様としては、前記絶縁層は、前記内筒電極の外周側と前記外筒電極の内周側との両方に設けられたことを特徴としている。
1 緩衝器(シリンダ装置)
2 電気粘性流体
3 内筒電極
3B 外周面
4 アウタ筒
9 ピストンロッド(ロッド)
19 外筒電極
19A 内周面
20 電極間流路(流路)
21 隔壁(シール手段)
23 内筒側絶縁層(絶縁層)
24,31 外筒側絶縁層(絶縁層)
2 電気粘性流体
3 内筒電極
3B 外周面
4 アウタ筒
9 ピストンロッド(ロッド)
19 外筒電極
19A 内周面
20 電極間流路(流路)
21 隔壁(シール手段)
23 内筒側絶縁層(絶縁層)
24,31 外筒側絶縁層(絶縁層)
Claims (2)
- 電界により流体の粘性が変化する電気粘性流体が封入され、内部にロッドが挿入されるシリンダ装置であって、
互いに異なる電位の電極となる内筒電極および該内筒電極の外側に設けられる外筒電極と、
前記内筒電極と前記外筒電極との間に形成され、前記ロッドの少なくとも伸長側の移動により軸方向の一方側から他方側に向けて前記電気粘性流体が流動する流路と、
軸方向に対して傾斜角度を持って前記流路に設けられたシール手段と、
を有し、
前記内筒電極の外周側と前記外筒電極の内周側とのうち少なくとも前記外筒電極の内周側には、前記流路を流動する前記電気粘性流体への電流を遮断する絶縁層が設けられたことを特徴とするシリンダ装置。 - 前記絶縁層は、前記内筒電極の外周側と前記外筒電極の内周側との両方に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のシリンダ装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2017126106A JP2019007600A (ja) | 2017-06-28 | 2017-06-28 | シリンダ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2017126106A JP2019007600A (ja) | 2017-06-28 | 2017-06-28 | シリンダ装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2019007600A true JP2019007600A (ja) | 2019-01-17 |
Family
ID=65029423
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2017126106A Pending JP2019007600A (ja) | 2017-06-28 | 2017-06-28 | シリンダ装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2019007600A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2020158018A1 (ja) * | 2019-01-28 | 2020-08-06 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | シリンダ装置 |
-
2017
- 2017-06-28 JP JP2017126106A patent/JP2019007600A/ja active Pending
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2020158018A1 (ja) * | 2019-01-28 | 2020-08-06 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | シリンダ装置 |
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