以下に、本発明の実施の形態にかかる遠心送風機の製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる多翼羽根車2を備える遠心送風機1の平面図である。図2は、図1に示す多翼羽根車2の斜視図である。図3は、図1に示す多翼羽根車2の断面図である。
なお、図3に示す断面は、多翼羽根車2の回転軸Cを含む断面とする。図3には、断面に含まれる2つの翼部11を示している。かかる2つの翼部11は、回転軸Cを中心として対称な位置に配置されている。図3では、かかる2つの翼部11より向こう側にある他の翼部11の図示を省略している。
遠心送風機1は、多翼羽根車2と、多翼羽根車2を回転駆動する電動機3と、多翼羽根車2が収容されたファンケーシング4とを備える。
ファンケーシング4は、多翼羽根車2の回転によって空気流が吸い込まれる吸込口21と、空気流が吹出される吹出口22とを有する。吸込口21は、円形状の開口である。吸込口21の開口中心は、回転軸Cと同軸上の位置にある。多翼羽根車2と、ファンケーシング4の内側面15との間の空間は、多翼羽根車2から吹き出された空気流が流動する渦巻き状の送風路とされている。吹出口22は、渦巻き状の送風路の出口となる開口である。
多翼羽根車2は、複数の翼部11と、ボス10が設けられた主板12とを備える。複数の翼部11は、主板12にて、ボス10を中心として環状に配列されている。主板12は、ボス10を中心とする円形状の板材であって、周縁部よりも中心部が吸込口21側へ凸となるように形成されている。ボス10は、電動機3のシャフト20に接続されている。
複数の翼部11は、主板12の周縁部に沿って等間隔に配置されている。各翼部11は、回転軸Cに平行な方向を長手方向とする板材であって、長手方向に垂直な断面にて湾曲形状をなしている。複数の翼部11の材料には、金属材料が用いられている。主板12は、翼部11の長手方向における両端のうちの第1端23側にて複数の翼部11を支持する。
また、多翼羽根車2は、複数の翼部11のうち主板12が配置されている側とは反対側において、複数の翼部11同士を繋ぐ環状の補強部材であるリング13を備える。リング13は、翼部11の長手方向における両端のうちの第2端24側にて複数の翼部11を支持するとともに、翼部11同士の間隔が維持されるように複数の翼部11を補強する。多翼羽根車2は、多翼羽根車2のうちリング13が設けられている側が吸込口21へ向けられて配置されている。実施の形態1にかかる多翼羽根車2において、各翼部11は、主板12とリング13とに繋ぎ合わせられている。
電動機3は、電力供給を受けてシャフト20を回転させる。多翼羽根車2は、電動機3によるシャフト20の駆動に伴ってファンケーシング4内にて回転する。多翼羽根車2を回転させることにより、ファンケーシング4外の空気が、吸込口21からファンケーシング4内へ吸い込まれる。吸込口21からの空気は、複数の翼部11の間から吹き出されて、ファンケーシング4内において多翼羽根車2の周囲を流動する。ファンケーシング4内を流動した空気流は、吹出口22からファンケーシング4外へ吹き出される。
1つの例では、遠心送風機1は、厨房に設置されるレンジフードに設けられる。遠心送風機1には、吸込口21へ向かう空気流から油分およびその他の異物を除去するフィルターが組み合わせられても良い。また、遠心送風機1には、ファンケーシング4あるいはフィルターに滞留して流れ落ちた油分を受ける油受けが組み合わせられても良い。ファンケーシング4には、ファンケーシング4内の油分を油受けへ排出するための油抜き穴が設けられていても良い。
図4は、図3に示す枠IV内の部分の拡大図である。図5は、図4に示す主板12の第1面31側における翼部11と主板12とを示す平面図である。多翼羽根車2には、主板12に複数の翼部11の各々を個別に繋ぎ合わせるカシメ部25が設けられている。カシメ部25は、主板12のうち複数の翼部11が配置されている側である第1面31側とは裏側である第2面32側へ貫通させて折り曲げられている。なお、図5では、第2面32側にあるカシメ部25を破線によって示している。
図6は、図3に示す枠VI内の部分の拡大図である。図7は、図6に示すリング13の第1面33側における翼部11とリング13とを示す平面図である。多翼羽根車2には、リング13に複数の翼部11の各々を個別に繋ぎ合わせるカシメ部26が設けられている。カシメ部26は、リング13のうち複数の翼部11が配置されている側である第1面33側とは裏側である第2面34側へ貫通させて折り曲げられている。なお、図7では、第2面34側にあるカシメ部26を破線によって示している。
翼部11と、カシメ部25と、カシメ部26とは、一体の板部材27により形成されている。カシメ部25は、板部材27のうち、第1面31側から第2面32側へ主板12を貫かせるとともに第2面32側にて折り曲げられた部分である。カシメ部26は、板部材27のうち、第1面33側から第2面34側へリング13を貫かせるとともに第2面34上にて折り曲げられた部分である。翼部11は、板部材27のうち、主板12の第1面31と、リング13の第1面33の位置との間の部分である。翼部11の第1端23は、板部材27のうち、主板12の第1面31の位置である。翼部11の第2端24は、板部材27のうち、リング13の第1面33の位置である。
ここで、実施の形態1にかかる多翼羽根車2と、比較例にかかる構成とにおける油分の付着の態様の違いについて説明する。図8は、実施の形態1の比較例にかかる多翼羽根車40における翼部11と主板12との繋ぎ合わせ部分の断面図である。図9は、図8に示す翼部11と主板12とを示す平面図である。
比較例にかかる多翼羽根車40では、複数の翼部11は、主板12側の連結部44にて互いに連結されるとともにリング13側の連結部44でも互いに連結されており、一体の部材により形成されている。多翼羽根車40において、カシメ部41は、複数の翼部11を主板12に繋ぎ合わせる。カシメ部41は、連結部44と主板12との巻き締めにより形成されている。カシメ部41では、連結部44の端を巻き込むようにして主板12の端が折り返された状態で、連結部44と主板12とが密着されている。図9に示す平面において、カシメ部41は、主板12の周縁部に沿って形成されている。
多翼羽根車40には、リング13側における翼部11の連結部44とリング13との巻き締めによるカシメ部41も設けられている。ここでは、リング13側における翼部11の連結部44と、リング13に翼部11を繋ぎ合わせるカシメ部41との図示を省略している。多翼羽根車40を効率良く製造するために、従来、複数の翼部11と主板12との繋ぎ合わせには、連結部44と主板12との巻き締めによるカシメ部41が広く用いられている。また、複数の翼部11とリング13との繋ぎ合わせには、連結部44とリング13との巻き締めによるカシメ部41が広く用いられている。多翼羽根車40は、このような巻き締めによるカシメ部41が形成されている以外は、実施の形態1の多翼羽根車2と同様に構成されている。
図8に示すように、カシメ部41は、翼部11より上方へ突出するとともに、主板12の第2面32側へ突出するように形成されている。なお、図8における上方向は、回転軸Cから離れる方向である。
カシメ部41による複数の翼部11と主板12との繋ぎ合わせ部分において、翼部11の上方において折り返されている主板12と連結部44との間には、溝状の隙間42が存在している。また、カシメ部41の下部において、互いに重ね合わせられて折り曲げられた連結部44と主板12との間には、溝状の隙間43が存在している。なお、カシメ部41による複数の翼部11とリング13との繋ぎ合わせ部分においても、連結部44とリング13との間の隙間42,43が存在している。
油煙が発生する場所にて遠心送風機1が使用される場合、ミスト状の油分を含む空気流が頻繁に多翼羽根車40を通過することで、翼部11と、主板12と、リング13とに油分が付着することがある。多翼羽根車40の回転により、回転軸Cから離れる方向の遠心力が油分にかかることで、翼部11と、主板12と、リング13とに付着している油分は、多翼羽根車40の周縁部へ移動する。多翼羽根車40の周縁部に設けられているカシメ部41に隙間42,43が存在していることで、周縁部へ移動した油分が隙間42,43に入り込むことがある。隙間42,43に入り込んだ油分は、遠心力によって隙間42,43のさらに奥へ入り込んで、隙間42,43に滞留することとなる。
多翼羽根車40に滞留した油分は、徐々に酸化して、粘度が増していく。多翼羽根車40に付着した油分は、粘度が増すことで、除去に手間がかかる状態となる。また、多翼羽根車40に滞留した油分は、粘度が増すことにより、新たな油分と塵埃とが付着し易い状態となる。このため、多翼羽根車40に滞留した油分が長時間放置されることで、多翼羽根車40には汚れが蓄積していく。
多翼羽根車40における油分の滞留を低減するための第1の措置としては、遠心送風機1の運転を終了してから多翼羽根車40を高速に回転させることで、付着した油分を空気流とともに吹き飛ばす手法が知られている。また、第2の措置として、翼部11の表面に撥油処理を施すことで、翼部11における油分の付着を低減させる手法が知られている。比較例にかかる多翼羽根車40の場合、上述するように遠心力の作用によって隙間42,43の奥へ油分が入り込むこととなるため、第1の措置および第2の措置では多翼羽根車40における油分の滞留を低減することは困難である。
実施の形態1にかかる多翼羽根車2では、主板12の第2面32側にて折り曲げられたカシメ部25によって、複数の翼部11の各々が主板12に繋ぎ合わせられている。複数の翼部11と主板12とは、主板12の第1面31側に隙間42,43が設けられない態様によって、互いに繋ぎ合わせられている。
また、実施の形態1にかかる多翼羽根車2では、リング13に第2面34側にて折り曲げられたカシメ部26によって、複数の翼部11の各々がリング13に繋ぎ合わせられている。複数の翼部11とリング13とは、リング13の第1面33側に隙間42,43が設けられない態様によって、互いに繋ぎ合わせられている。
多翼羽根車2のうち、主板12の第1面31とリング13の第1面33との間では、複数の翼部11の間を多くの空気流が通過する。第1面31と第1面33との間において、翼部11、主板12およびリング13からつながる隙間42,43を無くしたことで、多翼羽根車2は、翼部11、主板12およびリング13へ付着した油分の滞留を低減できる。また、多翼羽根車2は、遠心力の作用により油分の除去が困難となる事態を回避できる。多翼羽根車2は、油分の滞留の低減により、長期にわたり汚れの蓄積を抑制でき、清掃の手間を軽減できる。
実施の形態1にかかる遠心送風機1は、電動機3の駆動による運転を停止する際に、付着した油分の除去のために多翼羽根車2を高速回転させても良い。図10は、実施の形態1における遠心送風機1の制御に関わる機能構成を示す図である。制御部5は、電動機3の駆動を制御する機能部である。
制御部5による制御機能は、ハードウェア構成を使用して実現される。図11は、図10に示す制御部5のハードウェア構成の例を示すブロック図である。ハードウェア構成の1つの例は、マイクロコントローラである。制御部5の機能は、マイクロコントローラにて解析および実行されるプログラム上で実行される。なお、制御部5の機能の一部は、ワイヤードロジックによるハードウェア上で実行しても良い。
制御部5は、各種処理を実行するプロセッサ51と、各種処理のためのプログラムが格納されるメモリ52とを備える。プロセッサ51とメモリ52とは、バス53を介して互いに接続されている。プロセッサ51は、ロードされたプログラムを展開して、電動機3の駆動の制御のための処理を含む各種処理を実行する。
図12は、実施の形態1における遠心送風機1の制御手順の第1の例を示すフローチャートである。図12に示す手順の初期状態では、遠心送風機1は運転を停止しているものとする。ステップS1では、制御部5は、運転を指示する運転操作があったか否かを判断する。運転操作がない場合(ステップS1,No)、制御部5は、運転操作があるまで停止状態のまま待機する。運転操作があった場合(ステップS1,Yes)、ステップS2において、制御部5が電動機3を駆動させることにより、遠心送風機1は運転を開始させる。
ステップS3では、制御部5は、運転停止を指示する停止操作があったか否かを判断する。停止操作がない場合(ステップS3,No)、制御部5が電動機3の駆動を継続することにより、遠心送風機1は運転を継続する。
停止操作があった場合(ステップS3,Yes)、ステップS4にて、電動機3は、制御部5の制御に応じて、ステップS2の運転時よりも多翼羽根車2を高速に回転させる高速回転を実施する。ステップS5では、制御部5は、ステップS4の高速回転の開始から設定時間が経過したか否かを判断する。1つの例では、設定時間は、あらかじめ設定された一定の時間とする。設定時間が経過していない場合(ステップS5,No)、制御部5は、手順をステップS4へ戻すことにより、設定時間が経過するまで高速回転を継続する。
設定時間が経過した場合(ステップS5,Yes)、ステップS6において、制御部5が電動機3の駆動を停止させることにより、遠心送風機1は運転を停止させる。これにより、遠心送風機1は、図12に示す手順を終了する。その後、遠心送風機1は、運転操作があるまで停止状態のまま待機する。第1の例によると、遠心送風機1は、停止操作があるごとに、停止操作から一定時間において多翼羽根車2を高速回転させる。これにより、遠心送風機1は、停止操作があるごとに、多翼羽根車2に付着した油分を除去可能とする。第1の例の場合、遠心送風機1は、停止状態のときにおける油分の滞留を常時低減できる。
図13は、実施の形態1における遠心送風機1の制御手順の第2の例を示すフローチャートである。第2の例では、図12に示す第1の例の手順に、ステップS7の工程が追加されている。ここでは、第2の例の手順のうち、第1の例と重複する手順についての説明を省略する。
第2の例では、制御部5は、遠心送風機1の運転時間の積算時間をカウントしている。ステップS3にて停止操作があったと判断された場合(ステップS3,Yes)、制御部5は、ステップS7にて、運転時間の積算時間があらかじめ設定された閾値に達したか否かを判断する。運転時間の積算時間が閾値に達していない場合(ステップS7,No)、遠心送風機1は、ステップS6にて運転を停止させる。
運転時間の積算時間が閾値に達している場合(ステップS7,Yes)、ステップS4にて、電動機3は、制御部5の制御に応じて、ステップS2の運転時よりも多翼羽根車2を高速に回転させる高速回転を実施する。制御部5は、それまでの積算時間のカウントをリセットして、積算時間のカウントを再開する。第2の例によると、遠心送風機1は、運転時間の積算時間が閾値に達するごとに、多翼羽根車2を高速回転させる。これにより、遠心送風機1は、一定期間の運転を行うごとに、多翼羽根車2に付着した油分を除去可能とする。第2の例の場合、遠心送風機1は、少ない頻度での多翼羽根車2の高速回転により、油分を効果的に除去できる。
遠心送風機1は、主板12に翼部11を繋ぎ合わせるカシメ部25とリング13に翼部11を繋ぎ合わせるカシメ部26とが設けられている多翼羽根車2を高速回転させる。遠心送風機1は、空気流に晒される位置に付着した油分を空気流とともに吹き飛ばして除去可能とすることで、多翼羽根車2における油分の滞留を低減できる。
また、多翼羽根車2の各翼部11と、主板12と、リング13との各表面には、撥油処理が施されていても良い。撥油処理により、複数の翼部11の各々と、主板12と、リング13との各表面には、撥油性材料によるコーティングが施されている。撥油性材料によるコーティングは、少なくとも、翼部11のうち空気流を押し出す側の面と、主板12の第1面31と、リング13の第1面33とに施される。撥油性材料には、フッ素化合物が使用される。複数の翼部11の表面の撥油性材料にて油分が弾かれることで、複数の翼部11には油分が付着しにくくなる。
撥油性材料によるコーティングが各翼部11と、主板12と、リング13とに施されていることで、翼部11と、主板12と、リング13との各表面にて油分が弾かれる。多翼羽根車2は、翼部11と、主板12と、リング13とにおいて油分を付着させにくくすることで、油分の滞留を低減できる。
なお、撥油性材料によるコーティングは、ファンケーシング4に施されていても良い。撥油性材料によるコーティングは、少なくとも、ファンケーシング4のうち多翼羽根車2から吹き出された空気流が流動する送風路を構成する内側面15に施される。これにより、遠心送風機1は、空気流とともにファンケーシング4内へ入り込んだ油分の滞留を低減できる。
実施の形態1によると、多翼羽根車2は、主板12のうち複数の翼部11が配置されている側とは裏側にて折り曲げられたカシメ部25と、リング13のうち複数の翼部11が配置されている側とは裏側にて折り曲げられたカシメ部26とを備える。多翼羽根車2のうち多くの空気流が通過する部分において、翼部11、主板12およびリング13からつながる隙間を無くしたことで、多翼羽根車2は、翼部11、主板12およびリング13に付着した油分の滞留を低減できる。これにより、多翼羽根車2および遠心送風機1は、油分の滞留を低減できるという効果を奏する。
実施の形態2.
図14は、本発明の実施の形態2にかかる多翼羽根車60の断面図である。実施の形態2にかかる多翼羽根車60は、一体の部材64に形成された複数の翼部61と主板62とリング63とを備える。実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
なお、図14に示す断面は、回転軸Cに平行な断面とする。図14には、断面に含まれる2つの翼部61を示している。かかる2つの翼部61は、回転軸Cを中心として対称な位置に配置されている。図14では、かかる2つの翼部61より向こう側にある他の翼部61の図示を省略している。
多翼羽根車60は、複数の翼部61と、ボス10が設けられた主板62と、環状の補強部材であるリング63とを備える。複数の翼部61は、ボス10を中心として環状に配列されている。リング63は、複数の翼部61のうち主板62が配置されている側とは反対側において、複数の翼部61同士を繋ぐ。
実施の形態2にかかる多翼羽根車60は、複数の翼部61と主板62とリング63とが一体の部材64に形成されている以外については、実施の形態1にかかる多翼羽根車2と同様の構成を備える。多翼羽根車60は、実施の形態1と同様の遠心送風機1に設けられる。
図15は、図14に示す枠XV内の部分の拡大図である。図16は、図15に示す主板62の第1面31側における翼部61と主板62とを示す平面図である。多翼羽根車60は、一体の部材64に翼部61と主板62とリング63とが形成されていることで、各翼部61と主板62との間と、各翼部61とリング63との間に繋ぎ合わせ部分を含まない構成とされている。
多翼羽根車60には、翼部61と、主板62と、リング63との繋ぎ合わせによる隙間が設けられていない。翼部61、主板62およびリング63からつながる隙間を無くしたことで、多翼羽根車60は、翼部61、主板62およびリング63へ付着した油分の滞留を低減できる。また、多翼羽根車60は、遠心力の作用により油分の除去が困難となる事態を回避できる。多翼羽根車60は、油分の滞留の低減により、長期にわたり汚れの蓄積を抑制でき、清掃の手間を軽減できる。
1つの例では、複数の翼部61と、主板62と、リング63とは、アルミニウム合金といった合金材料を金型へ圧入して成形するアルミダイキャストにより形成されている。複数の翼部61と、主板62と、リング63とは、一体の部材64に形成されたものであれば良く、アルミダイキャスト以外の手法により形成されたものであっても良い。
実施の形態2にかかる多翼羽根車60を備える場合も、遠心送風機1は、実施の形態1と同様に、多翼羽根車60を高速回転させても良い。また、多翼羽根車60は、実施の形態1と同様に、複数の翼部61の各々と、主板12と、リング13との各表面には撥油性材料によるコーティングが施されても良い。
実施の形態2によると、多翼羽根車60は、複数の翼部61と、主板62と、リング63とが一体の部材64に形成されている。多翼羽根車60のうち多くの空気流が通過する部分において、翼部61、主板62およびリング63からつながる隙間を無くしたことで、多翼羽根車60は、翼部61、主板62およびリング63に付着した油分の滞留を低減できる。これにより、多翼羽根車60および遠心送風機1は、油分の滞留を低減できるという効果を奏する。
実施の形態3.
図17は、本発明の実施の形態3にかかる遠心送風機70の概略構成を示す図である。実施の形態3にかかる遠心送風機70は、実施の形態1にかかる多翼羽根車2を含む。上記実施の形態1および2と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
遠心送風機70は、ファンケーシング4が収容された筐体6を備える。筐体6は、筐体6外の空気を取り入れる開口72を備える箱体である。開口72には、筐体6内へ取り込まれる空気流から油分およびその他の異物を除去するフィルター7が着脱可能に取り付けられている。図17には、開口72からフィルター7が取り外された状態を示している。
また、筐体6には、遠心送風機70からの空気流を室外へ導くダクトとファンケーシング4の吹出口22とを接続するための接続部71が設けられている。図17では、ダクトの図示を省略している。筐体6は、レンジフードの本体ケースであっても良い。筐体6は、図示するような直方体形状の箱体に限られず、任意の形状の箱体とする。
ファンケーシング4のうち鉛直下方へ向けられた部分には、ファンケーシング4内の油分を排出させる油抜き穴74が設けられている。ファンケーシング4内にて翼部11あるいは内側面15から流れ落ちた油分は、油抜き穴74を通ってファンケーシング4の外へ落下する。筐体6内には、油抜き穴74から排出された油分を受ける油受け73が着脱可能に設置されている。
多翼羽根車2の複数の翼部11の各々と、主板12と、リング13との各表面と、ファンケーシング4の内側面15とには、撥油性材料によるコーティングが施されている。撥油性材料には、フッ素化合物が使用される。
筐体6の外部からの空気流に含まれる油分は、フィルター7にて除去されず、筐体6内へ侵入することがある。撥油性材料によるコーティングが各翼部11と、主板12と、リング13とに施されていることで、翼部11と、主板12と、リング13とのいずれにおいても、油分は弾かれる。多翼羽根車2は、翼部11と、主板12と、リング13とに付着した油分を容易に除去することが可能となる。
また、空気流とともにファンケーシング4内を流動して内側面15に到達した油分は、重力の作用によって内側面15を伝って流れ落とされる。撥油性材料によるコーティングが内側面15に施されていることで、油分は、内側面15を伝って油抜き穴74へスムーズに到達できる。これにより、遠心送風機70は、多翼羽根車2とファンケーシング4内とにおける油分の滞留を低減できる。
油抜き穴74から排出された油分は、油受け73にて回収される。油受け73に貯留された油分は、油受け73から廃棄される。また、フィルター7に留まった油分は、フィルター7を洗浄することにより除去される。遠心送風機70のユーザは、フィルター7の洗浄と油受け73からの油分の廃棄とによって、遠心送風機70から油分を容易に除去することができる。
実施の形態3によると、遠心送風機70は、撥油性材料によるコーティングが複数の翼部11と、主板12と、リング13との各表面と、ファンケーシング4の内側面15とに施されていることで、多翼羽根車2とファンケーシング4内とにおける油分の滞留を低減できる。
なお、実施の形態3では、撥油性材料によるコーティングは、多翼羽根車2とファンケーシング4との双方に施される場合に限られず、多翼羽根車2とファンケーシング4との一方に施されていても良い。多翼羽根車2とファンケーシング4との少なくとも一方にコーティングが施されていることで、遠心送風機70は、油分の滞留を低減させる効果を得ることができる。
実施の形態3にかかる遠心送風機70は、実施の形態1にかかる多翼羽根車2に代えて、実施の形態2にかかる多翼羽根車60を備えていても良い。
実施の形態4.
実施の形態4では、実施の形態1から3における多翼羽根車2,60とファンケーシング4とのコーティングに使用可能な撥油性材料の一例を説明する。図18は、本発明の実施の形態4における撥油性材料によるコーティングが施された部分を模式的に表した断面図である。実施の形態4では、撥油性材料は、フッ素樹脂とフッ素オイルとを含む混合体80であるものとする。混合体80は、翼部11,61と、主板12と、リング13との各表面と、ファンケーシング4の内側面15とに設けられている。図18に示す母材81は、翼部11,61、主板12、リング13、あるいはファンケーシング4のうち内側面15を含む部分とする。
混合体80に含まれるフッ素オイルは、撥油機能を果たす。フッ素樹脂は、遠心力による翼部11,61からのフッ素オイルの飛散と、高温環境下における翼部11,61、主板12、リング13、および内側面15からのフッ素オイルの揮発とを防いで、母材81の上にてフッ素オイルを保持する機能を果たす。
ここで、実施の形態4における撥油性材料である混合体80と、比較例における撥油性材料との違いについて説明する。図19は、実施の形態4の比較例における撥油性材料によるコーティングが施された部分を模式的に表した断面図である。比較例では、撥油性材料であるフッ素化合物84を含む塗料82が母材81にコーティングされる。塗料82には、塗料82の母体83である樹脂材料中に、フッ素化合物84が分散されている。
塗料82が塗布された部分では、塗料82の層の表面に存在しているフッ素化合物84が撥油機能を果たす。撥油性を向上させるには、塗料82に含まれるフッ素化合物84の割合を増加させることが考えられるが、塗料82に含まれるフッ素化合物84の割合が高くなるほど、母材81への塗料82の密着性が低下して、塗料82の層が脆くなる。このため、撥油性の向上を図るためにフッ素化合物84の量を増加させることで、安定した塗料82の層を得ることが困難となる。
実施の形態4では、撥油機能を果たすフッ素オイルにより混合体80の表面全体が覆われている。混合体80の表面全体にて油分が弾かれることで、複数の翼部11,61と、主板12と、リング13と、ファンケーシング4とにおける油分の滞留を低減できる。実施の形態4によると、多翼羽根車2,60と遠心送風機1,70は、フッ素オイルを保持するフッ素樹脂を混合体80に含めたことで、良好な撥油性を長期に亘って維持することができ、油分の滞留を効果的に低減できる。
実施の形態5.
図20は、本発明の実施の形態5における撥油性材料によるコーティングが施された部分を模式的に表した断面図である。実施の形態5では、混合体80は、母材81を覆う下地膜85の上に設けられている。実施の形態4と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。混合体80は、複数の翼部11,61と、主板12と、リング13との各々に形成された下地膜85の上と、ファンケーシング4の内側面15に形成された下地膜85の上とに設けられている。
下地膜85のうち混合体80が設けられる面は、凹凸を含まない平滑面とされている。かかる下地膜85の上に混合体80が設けられることで、混合体80の表面は平滑面となり、付着した油分が滑りやすい状態となる。下地膜85は、母材81に塗布された塗装材料の膜である。塗装材料は、母材81への塗装により厚みを持つ膜を形成でき、かつ微細な凹凸がある母材81の上において平滑面を形成可能な材料であれば良い。
微細な凹凸がある母材81の上に薄い膜厚の混合体80が直接設けられる場合において、母材81にある凹凸と同様の凹凸が混合体80の表面に現れることがある。この場合、混合体80の表面における油分の滑りが悪くなることで、混合体80による撥油性の発揮が不十分となることがある。
混合体80における凹凸を少なくするために、表面粗さを低減可能な材料を母材81にすることが考えられる。表面粗さを低減可能な材料としては、樹脂材料が挙げられる。ただし、樹脂材料は、融点が低いことから、高温環境下にて使用される多翼羽根車2,60を構成する翼部11,61、主板12およびリング13の材料には不向きである。耐火性と生産性とを考慮すると、翼部11,61、主板12およびリング13の材料には金属材料が適している。
金属材料への塗装材料の塗装によって下地膜85を形成することで、ある程度の膜厚を持つ下地膜85を得ることができる。例えば、塗装材料である溶剤塗料の塗布によって膜厚25μm程度の下地膜85が形成されることで、金属材料の凹凸を十分に平滑化できる。また、塗装材料である粉体塗料を使用することで、溶剤塗料の使用により形成される下地膜85よりも厚い下地膜85を形成しても良い。下地膜85の形成に使用される塗装材料には特別な機能は必要ないため、下地膜85は、エポキシ系塗料といった安価な塗装材料を用いて形成できる。凹凸が平滑化された下地膜85の上に混合体80が設けられることで、混合体80の表面に現れる凹凸を少なくして、混合体80による高い撥油性を実現できる。
実施の形態5によると、多翼羽根車2,60と遠心送風機1,70は、下地膜85の上に混合体80を設けたことで、良好な撥油性を得ることができ、油分の滞留を効果的に低減できる。
実施の形態6.
実施の形態6では、実施の形態1から3にかかる遠心送風機1,70に実施の形態4および5の混合体80を形成する手法の一例を説明する。図21は、本発明の実施の形態6にかかる遠心送風機70の製造方法について説明する図である。実施の形態6では、実施の形態3にかかる遠心送風機70に、実施の形態4あるいは5の混合体80を形成する例を説明する。実施の形態1から5と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
実施の形態6にかかる製造方法では、遠心送風機70の吸込口21へ混合材料94を吸い込ませて、混合体80を形成する。実施の形態6における混合体80を形成する手法は、実施の形態1あるいは2にかかる遠心送風機1における混合体80の形成に適用されても良い。
噴霧装置90は、ミスト状の混合材料94を噴射する。撥油性材料である混合材料94は、フッ素樹脂とフッ素オイルとを含む。配管91の第1端92は、筐体6の接続部71に接続される。配管91の第2端93は、ファンケーシング4の吸込口21へ向けられる。配管91は、吹出口22から吹き出された空気流を吸込口21へ循環させるための送風路となる。
遠心送風機70が多翼羽根車2を回転させると同時に、吸込口21へ向けて噴霧装置90が混合材料94を噴射する。噴射された混合材料94は、空気流とともに吸込口21から多翼羽根車2へ流動する。翼部11のうち、遠心方向へ空気流を押し出す側の面と、主板12の第1面31と、リング13の第1面33とに、混合材料94が付着する。
翼部11、主板12あるいはリング13へ付着されず空気流とともに多翼羽根車2を通過した混合材料94は、ファンケーシング4内における多翼羽根車2の周囲の送風路へ流動する。ファンケーシング4内の内側面15に、混合材料94は付着する。これにより、複数の翼部11と、主板12と、リング13と、内側面15とには、混合材料94の付着による撥油処理が施されて、図18あるいは図20に示す混合体80が形成される。
ファンケーシング4内に付着されず空気流とともに吹出口22に到達した混合材料94は、配管91の第1端92から第2端93へ通過する。第2端93へ到達した混合材料94は、空気流とともに吸込口21へ向けて第2端93から吹き出される。配管91を通過して吹出口22へ到達した混合材料94は、再び吸込口21へ導かれて再利用される。
図22は、図21に示す遠心送風機70の第1の断面図である。図23は、図21に示す遠心送風機70の第2の断面図である。図22に示す断面は、回転軸Cを含む断面とする。図23に示す断面は、回転軸Cに垂直な断面とする。
図22および図23における破線矢印は、空気流が流動する方向を表している。かかる空気流に乗せて混合材料94を流動させることにより、翼部11のうち空気流を押し出す側の面95と、主板12の第1面31と、リング13の第1面33と、ファンケーシング4の内側面15とに、混合材料94が供給される。翼部11と、主板12と、リング13と、ファンケーシング4とのうち、油煙を含む空気流に触れ易い部分に撥油処理を施すことができる。
また、各翼部11のうち空気流を押し出す側の面95の裏側の面96と、主板12の第2面32と、リング13の第2面34と、ファンケーシング4の外面97とは、油煙を含む空気流に触れにくい部分であって、撥油処理の必要性が低い。空気流に乗せて混合材料94を流動させることで、各翼部11の面96とファンケーシング4の外面97とへの混合材料94の供給を低減させる。翼部11と、主板12と、リング13と、ファンケーシング4とにおける撥油処理の必要性が低い部分への混合材料94の供給を低減させることで、混合材料94の無駄な使用を少なくすることができる。混合材料94の使用量を低減できることで、遠心送風機70の製造コストを削減できる。
実施の形態6の手法では、ファンケーシング4内に多翼羽根車2が設置されてから、多翼羽根車2を回転させるとともに噴霧装置90が混合材料94を噴射させる。かかる手法によると、短い時間での比較的容易な作業により、必要な部分へ撥油処理を施すことができる。ファンケーシング4内に多翼羽根車2が設置されるより前に撥油処理が施される場合と比較して、油煙を含む空気流に直接触れる部分である各翼部11の面95と、第1面31,33と、内側面15とを狙って撥油性材料を塗布する手間が省けることで、作業の効率を向上できる。また、撥油処理が不要な部分へ誤って混合材料94が噴射されることによる混合材料94の無駄な使用も低減できる。
さらに、吹出口22から吹き出された空気流を吸込口21へ循環させることで、空気流とともに吹出口22から吹き出された混合材料94を再び吸込口21へ導く。これにより、ファンケーシング4から出された混合材料94を再度使用可能とすることで、混合材料94の無駄をさらに少なくすることができる。
図24は、実施の形態6にかかる遠心送風機の製造方法の手順を示すフローチャートである。ステップS11では、複数の翼部11の面95と、主板12の第1面31と、リング13の第1面33と、ファンケーシング4の内側面15とに、図20に示す下地膜85が形成される。下地膜85は、面95と、第1面31,33と、内側面15とへ塗装材料を塗布することにより形成される。複数の翼部11と、主板12と、リング13とへの下地膜85の形成は、筐体6へ多翼羽根車2が組み入れられるより前に行われる。内側面15への下地膜85の形成は、ファンケーシング4が組み立てられるより前に行われる。なお、ステップS11では、多翼羽根車2とファンケーシング4との一方について、下地膜85の形成を省略しても良い。さらに、ステップS11を省略することにより、多翼羽根車2とファンケーシング4との双方について、下地膜85の形成を省略しても良い。
ステップS12では、多翼羽根車2とファンケーシング4とが筐体6へ組み入れられる。多翼羽根車2は、ファンケーシング4内に設置される。ステップS13では、遠心送風機70において多翼羽根車2を回転させながら、噴霧装置90が吸込口21へ向けて混合材料94を噴射させる。これにより、複数の翼部11の面95と、第1面31,33と、内側面15とに形成された各下地膜85の上に混合材料94を付着させて、撥油処理を実施する。これにより、図24に示す手順が終了する。なお、ステップS11における多翼羽根車2への下地膜85の形成が省略されている場合、撥油処理は、複数の翼部11の面95と、第1面31,33とへ直接施される。内側面15への下地膜85の形成が省略されている場合、撥油処理は内側面15へ直接施される。
実施の形態6によると、遠心送風機1,70の製造方法において、多翼羽根車2を回転させながら吸込口21へ向けて混合材料94を噴出させる。このため、簡易な作業によって、油煙を含む空気流に直接触れる部分に撥油処理を施すことができる。これにより、簡易な作業により、油分の滞留を低減するための撥油処理を施すことができ、かつ撥油処理における撥油性材料の無駄な使用を低減できるという効果を奏する。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。