以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、本実施形態の圧縮機1は、冷凍サイクル100の一部を構成するものである。冷凍サイクル100は給湯装置または空調装置などに用いられる。
まず、本実施形態の圧縮機1を含む冷凍サイクル100の構成について説明する。冷凍サイクル100は、圧縮機1、放熱器2、第1膨張弁3、中間熱交換器4、第2膨張弁5、および蒸発器6などを備えている。本実施形態の冷凍サイクル100は、ガスインジェクションサイクルであり、放熱器2から流出した高圧Phの冷媒の一部を分岐し、第1膨張弁3により中間圧Pmに減圧した後、圧縮機1に注入するためのスプリット回路9を備えている。本実施形態の冷凍サイクル100を循環する冷媒は、例えば、主に二酸化炭素を含む流体である。
圧縮機1は、インジェクションポート11を有するスクロール式の圧縮機1である。圧縮機1は、吸入ポート12から吸入した冷媒を圧縮している過程で、インジェクションポート11から中間圧Pmの冷媒が注入される構成である。圧縮機1は、吸入ポート12から吸入した冷媒と、インジェクションポート11から注入される中間圧Pmの冷媒とを混合して圧縮し、吐出ポート13から吐き出す。
放熱器2には、圧縮機1の吐出ポート13から吐き出された高圧Phの冷媒が流入する。放熱器2は、その流入した冷媒と、図示していない被加熱流体である水又は空気等との熱交換を行い、冷媒から放熱させる。放熱器2から流出した冷媒は、分岐部7で2つの流れに分岐され、その一方の冷媒が中間熱交換器4の有する高圧側熱交換部4aへ流れ、他方の冷媒が第1膨張弁3へ流れる。
第1膨張弁3は、放熱器2から流入した冷媒を減圧する減圧器である。第1膨張弁3は、冷媒を中間圧Pmに減圧する。その中間圧Pmは、圧縮機1が吐出ポート13から吐き出す高圧Phの冷媒と、圧縮機1が吸入ポート12から吸入する低圧Plの冷媒との間の圧力である。第1膨張弁3で中間圧Pmに減圧された冷媒は、中間熱交換器4の有する中間圧側熱交換部4bへ流れる。
中間熱交換器4は、高圧側熱交換部4aと中間圧側熱交換部4bとを一体に有している。図1に破線矢印H1で示したように、中間熱交換器4は、放熱器2から高圧側熱交換部4aへ流入した冷媒と、第1膨張弁3から中間圧側熱交換部4bへ流入した冷媒との熱交換を行う。中間圧側熱交換部4bから流出した冷媒は、図1の矢印GIに示すように、圧縮機1のインジェクションポート11へ流れる。一方、高圧側熱交換部4aから流出した冷媒は第2膨張弁5へ流れる。
第2膨張弁5は、中間熱交換器4が有する高圧側熱交換部4aから流入した冷媒を減圧する減圧器である。第2膨張弁5は、冷媒を、中間圧Pmよりも低い圧力Plに減圧する。第2膨張弁5から流出した冷媒は蒸発器6へ流れる。
なお、本実施形態の第1膨張弁3は、電気駆動式の膨張弁である。弁開度は、制御装置8から伝送される制御信号により調節される。
蒸発器6には、第2膨張弁5で減圧された冷媒が流入する。蒸発器6は、その冷媒と、図示していない被冷却流体である水または空気などとの熱交換を行い、被冷却流体を冷却する。蒸発器6の流路を流れる中で被冷却流体から吸熱した冷媒は、蒸発器6から圧縮機1の吸入ポート12に吸入される。
次に、本実施形態の圧縮機1の構成について、図2を参照して説明する。圧縮機1は、冷媒を圧縮する圧縮機構部10、その圧縮機構部10を駆動する電動機部20、および、圧縮機構部10と電動機部20を収容するハウジング30などを備えている。
ハウジング30は、筒状部材31と、その筒状部材31の一方の側を塞ぐ上蓋部材32と、筒状部材31の他方の側を塞ぐ下蓋部材33とが一体に接合され、密閉容器構造となっている。
電動機部20は、ステータ21と、そのステータ21の内側に設けられたロータ22を有している。ステータ21は、ステータコア23と、そのステータコア23に巻かれたステータコイル24により構成されている。
駆動軸25にはロータ22が固定されており、ロータ22から圧縮機構部10とは反対側へ延出する部位は、ハウジング30に設けられた軸受34に回転可能に支持されている。駆動軸25のうち、ロータ22から圧縮機構部10側へ延出する部位は、ミドルハウジング35に設けられた軸受36に回転可能に支持されている。
駆動軸25のうち、軸受36よりもさらに圧縮機構部10側へ延出した箇所に、偏心部26が設けられている。偏心部26は、駆動軸25に対して中心位置がずれた円柱状に形成され、圧縮機構部10を構成する可動スクロール40が有する嵌合部49の内側に摺動可能に嵌合している。駆動軸25の軸を挟んで偏心部26の反対側には、バランスウェイト27が設けられている。
圧縮機構部10は、可動スクロール40と固定スクロール50とを備えている。固定スクロール50は、ハウジング30またはミドルハウジング35に固定されている。可動スクロール40は、ミドルハウジング35と固定スクロール50との間に形成された空間に設けられている。
固定スクロール50には、吸入ポート12(図2では図示されていない)、吐出ポート13、インジェクションポート11、および、それらのポートに連通する流路が形成されている。吸入ポート12に連通する吸入流路14には、蒸発器6から流出した低圧の冷媒が供給される。
吐出ポート13に連通する流路は吐出空間15を形成している。吐出ポート13と吐出空間15との間には、吐出ポート13から吐出空間15への冷媒の流れを許容し、吐出空間15から吐出ポート13への冷媒の流れを規制する吐出用逆止弁16が設けられている。吐出ポート13から吐出空間15へ吐き出された冷媒は、図示していないオイルセパレータを経由して放熱器2へ流れる。
インジェクションポート11に連通するインジェクション流路17には、中間熱交換器4の有する中間圧側熱交換部4bから流出した中間圧Pmの冷媒が供給される。インジェクション流路17には、インジェクション流路17から圧縮室側への冷媒の流れを許容し、圧縮室から中間圧側熱交換部4b側への冷媒の流れを規制するインジェクション用逆止弁18が設けられている。
ハウジング30に設けられた端子38からステータコイル24に電力が供給されると、ステータ21に回転磁界が発生し、ロータ22と駆動軸25が軸周りに回転駆動する。その駆動軸25の回転運動は、偏心部26から嵌合部49の内壁を介して可動スクロール40に伝わる。可動スクロール40には、自転を防止するための自転防止機構48が設けられている。そのため、可動スクロール40は、自転することなく、駆動軸25を中心として公転運動する。
図2および図3に示すように、固定スクロール50は、固定盤51、および、その固定盤51に設けられた渦巻状の固定ラップ52を有している。可動スクロール40は、可動盤41、および、その可動盤41に設けられた渦巻状の可動ラップ42を有している。
固定ラップ52は、固定盤51から可動盤41側へ突き出すように設けられている。可動ラップ42は、可動盤41から固定盤51側へ突き出すように設けられている。固定ラップ52と可動ラップ42とは、互いに嵌り合った状態で設置され、この状態で可動スクロール40が駆動軸25の軸周りに公転する。
なお、図3は、圧縮機1の固定スクロール50と可動スクロール40の一部のみを図示している。上述した吸入ポート12は、固定スクロール50のうち、固定ラップ52および可動ラップ42よりも径方向外側の部位に設けられているものとする。上述した吐出ポート13は、固定スクロール50のうち、固定ラップ52の内周側の端部と可動ラップ42の内周側の端部との間の空間60を形成する部位に設けられているものとする。
可動スクロール40と固定スクロール50は、複数個所で摺接または隣接する。これにより、可動スクロール40と固定スクロール50との間には、圧縮室が形成される。本実施形態では、可動スクロール40が有する可動ラップ42の径方向内側に形成される圧縮室を第1圧縮室61と呼び、可動ラップ42の径方向外側に形成される圧縮室を第2圧縮室62と呼ぶこととする。第1実施形態のインジェクションポート11は、固定盤51のうち、第1圧縮室61を形成する部位に設けられており、第2圧縮室62を形成する部位には設けられていない。すなわち、第1実施形態のインジェクションポート11は、固定盤51のうち、第1圧縮室61に開口する部位に設けられており、第2圧縮室62に開口する部位には設けられていない。そのため、第1実施形態では、第1圧縮室61で冷媒が圧縮されている過程で、インジェクションポート11から第1圧縮室61に対して中間圧Pmの冷媒が注入される。
次に、圧縮機1の動作について、図4を参照して説明する。なお、以下の説明で述べる具体的な回転角度の数値は、説明を分かりやすくするために例示したものであり、本実施形態の構成および権利範囲を限定するものではない。すなわち、圧縮機1の動作における具体的な回転角度は、圧縮機1を構成する固定スクロール50と可動スクロール40の巻き数またはプロファイルなどにより適宜変更可能なものである。
図4は、可動スクロール40が公転している状態を駆動軸25の回転角度(以下、単に「回転角度」ということがある)45°ごとに示したものである。図4の(A)は、可動ラップ42の外周側の端部と固定ラップ52とが接触または隣接し、且つ、固定ラップ52の外周側の端部と可動ラップ42とが接触または隣接した状態を示している。この状態で、可動ラップ42の径方向内側に第1圧縮室61の閉じ込みが完了し、可動ラップ42の径方向外側に第2圧縮室62の閉じ込みが完了する。この状態から可動スクロール40が公転すると、第1圧縮室61と第2圧縮室62は周方向に移動しつつ、それらの容積が次第に小さくなる。
また、図4の(A)の状態のとき、インジェクションポート11は、その開口面積の全てまたは殆ど全てが可動ラップ42により閉塞されている。この状態から可動スクロール40が公転すると、インジェクションポート11は、第1圧縮室61に開き始める。
図4の(A)の状態から、図4の(B)〜(F)の状態に移行するに従い、第1圧縮室61と第2圧縮室62が周方向に移動しており、それらの容積が次第に小さくなっている。なお、本実施形態の圧縮機1は、図4の(C)で可動ラップ42の内周側の端部43が固定ラップ52の深部53に摺接または隣接し、それ以降、第2圧縮室62の周方向内側への移動が規制される構成である。そのため、図4の(C)から図4の(F)の間で、第2圧縮室62の容積変化率が、第1圧縮室61の容積変化率よりも大きいものとなる。これにより、第2圧縮室62の冷媒の昇圧速度は、第1圧縮室61の冷媒の昇圧速度より速いものとなる。図4の(F)以降、可動スクロール40の公転に伴い、第1圧縮室61と第2圧縮室62とが結合されると、図4の(G)などに示すように、結合圧縮室63が形成される。
図4の(F)で、インジェクションポート11は、その開口面積の殆ど全てまたは全部が可動ラップ42により閉塞される。
したがって、インジェクションポート11は、回転角度が0°から225°まで開いている。なお、インジェクションポート11は、回転角度が225°以降も開いている位置に設けられていてもよい。すなわち、本実施形態のインジェクションポート11は、第1圧縮室61の閉じ込み完了時またはその直後から第1圧縮室61に開き始め、第1圧縮室61と第2圧縮室62とが結合されるまで開いている位置に設けられている。なお、インジェクションポート11は、第1圧縮室と第2圧縮室とが結合された後も開いている位置に設けられていてもよい。
図4の(F)から回転角度がさらに360°進んで再び図4の(F)の状態となるまで、第1圧縮室61と第2圧縮室62とが結合された結合圧縮室63の容積が減少する。結合圧縮室63の冷媒は、結合圧縮室63の容積の減少により昇圧されて、冷媒の圧力が圧縮機1に設定された吐出圧に達すると、固定スクロール50のうち結合圧縮室63を形成する部位に設けられた図示していない吐出ポート13から吐き出される。
続いて、上述した圧縮機1に関し、駆動軸25の回転角度と、圧縮室の容積の変化について、図5を参照して説明する。
図5の横軸は回転角度を示し、縦軸は、各圧縮室の容積を示している。
図5では、第1圧縮室61の容積の変化を実線V1に示し、第2圧縮室62の容積の変化を実線V2に示し、結合圧縮室63の容積の変化を実線V3に示している。なお、破線V4は、第1圧縮室61の容積と第2圧縮室62の容積との合計を示している。
なお、図5では、回転角度が360°以降に形成される第1圧縮室61、第2圧縮室62および結合圧縮室63の記載、および、回転角度が0°以前に形成される第1圧縮室61、第2圧縮室62および結合圧縮室63の記載を省略している。この省略は、後述する図6、図7、図10、図11、図23〜図25、図27および図29についても同様である。
回転角度が0°から90°付近までは第1圧縮室61と第2圧縮室62の容積変化率は略同じである。回転角度が90°付近を過ぎると、第2圧縮室62の容積変化率は、第1圧縮室61の容積変化率より大きくなる。回転角度が225°付近で、第1圧縮室61と第2圧縮室62とが結合し、結合圧縮室63が形成される。結合圧縮室63の容積は、225°付近から585°付近まで次第に小さくなる。
次に、駆動軸25の回転角度と、圧縮室の圧力変化について、図6および図7を参照して説明する。図6および図7の横軸は回転角度を示し、縦軸は、各圧縮室の圧力(すなわち圧縮室内の冷媒圧力)を示している。なお、横軸と縦軸は、後述する図10、図11、図23、図25および図27についても同様である。
図6では、第1圧縮室61の圧力変化を実線P1に示し、第2圧縮室62の圧力変化を実線P2に示し、結合圧縮室63の圧力変化を実線P3に示している。図6では、インジェクションポート11から第1圧縮室61に注入される冷媒の圧力(すなわち中間圧Pm)の一例をPmで示している。
また、図6および図7では、仮にインジェクションポート11から第1圧縮室61に中間圧Pmの冷媒が注入されないとした場合の第1圧縮室61の圧力変化を破線P4に示し、その場合の結合圧縮室63の圧力変化を破線P5に示している。
さらに、図6では、インジェクションポート11が第1圧縮室61に開口している範囲を両矢印Poで示している。また、インジェクションポート11から第1圧縮室61に冷媒が注入される範囲を両矢印Inで示している。
図6に示すように、可動スクロール40の公転に伴う第1圧縮室61の容積の減少により、第1圧縮室61の冷媒が昇圧される。また、可動スクロール40の公転に伴う第2圧縮室62の容積の減少により、第2圧縮室62の冷媒が昇圧される。
第1圧縮室61には、回転角度0°以降、第1圧縮室61の圧力が中間圧Pmになるまで、インジェクションポート11から中間圧Pmの冷媒が注入される。第1圧縮室61の冷媒は、中間圧Pmになった後も、第1圧縮室61の容積の減少により昇圧される。そして、回転角度225°付近で第1圧縮室61と第2圧縮室62とが結合されるとき、第1圧縮室61の圧力と第2圧縮室62の圧力とが近似する。それ以降、可動スクロール40の公転に伴う結合圧縮室63の容積の減少により、結合圧縮室63の冷媒が昇圧される。結合圧縮室63の冷媒は、その圧力が圧縮機1の吐出圧になると、吐出ポート13から吐き出される。
図5で示したように、第1圧縮室61の容積変化率は、第2圧縮室62の容積変化率より小さいので、第1圧縮室61の冷媒の昇圧速度は、第2圧縮室62の冷媒の昇圧速度より遅い。そのため、図6および図7の破線P4と実線P2に示すように、仮に、インジェクションポート11から第1圧縮室61に中間圧Pmの冷媒が注入されない場合、可動スクロール40の公転と共に、第1圧縮室61と第2圧縮室62との圧力差が大きくなる。そして、回転角度225°付近で第1圧縮室61と第2圧縮室62とが結合されるとき、2つの圧縮室61、62の圧力が均圧される。このとき、圧縮機1のトルク変動が増大するといった問題が生じるおそれがある。
そこで、本実施形態では、インジェクションポート11が、固定盤51のうち第1圧縮室61を形成する部位に設けられている。そのため、図6の実線P1と実線P2に示すように、インジェクションポート11から第1圧縮室61に注入される冷媒により、2つの圧縮室61、62が結合するときに、その2つの圧縮室61、62の圧力が近似する。また、インジェクションポート11の開口面積、および、インジェクション流路17の流路抵抗なども、2つの圧縮室61、62が結合するときに、その2つの圧縮室61、62の圧力が近似するように設定されている。したがって、本実施形態では、第1圧縮室61と第2圧縮室62とが結合されるとき、圧縮機1のトルク変動の増大を抑制することが可能である。
続いて、駆動軸25の回転角度とトルク変動との関係について、図8を参照して説明する。図8の横軸は回転角度を示し、縦軸は、可動スクロール40を公転させる電動機部20の駆動軸25に作用するトルク変動を示している。
図8では、仮にインジェクションポート11から第1圧縮室61に中間圧Pmの冷媒が注入されないとした場合に第1圧縮室61の圧力に起因するトルクを破線T1に示し、その場合に第2圧縮室62の圧力に起因するトルクを破線T2に示し、その場合に結合圧縮室63の圧力に起因するトルクを破線T3に示している。また、その場合に、可動スクロール40を公転させる駆動軸25に作用するトルク変動を実線T4に示している。その実線T4では、トルクリップルが発生し、駆動軸25に作用するトルク変動が大きいものとなっている。
これに対し、本実施形態では、インジェクションポート11から第1圧縮室61に中間圧Pmの冷媒が注入される。図8の二点鎖線T5は、インジェクションポート11から第1圧縮室61に中間圧Pmの冷媒が注入された場合に、圧縮機1の駆動軸25に作用するトルク変動を示している。その二点鎖線T5に示したように、本実施形態では、第2圧縮室62と第1圧縮室61との均圧により生じるトルク変動が低減されている。
ここで、本実施形態の圧縮機1と比較するため、比較例の圧縮機110について、図9〜図11を参照して説明する。
比較例の圧縮機110では、固定スクロール50が有する固定盤51に、2個のインジェクションポート111、112が設けられている。2個のインジェクションポート111、112はそれぞれ、固定盤51のうち第1圧縮室61を形成する部位と、第2圧縮室62を形成する部位に設けられている。以下の説明では、固定盤51のうち第1圧縮室61を形成する部位に設けられるインジェクションポートを第1インジェクションポート111と呼び、第2圧縮室62を形成する部位に設けられるインジェクションポートを第2インジェクションポート112と呼ぶこととする。
比較例では、第1インジェクションポート111の開口面積と、第2インジェクションポート112の開口面積とは同一である。また、第1インジェクションポート111に連通する第1インジェクション流路の流路抵抗と、第2インジェクションポート112に連通する第2インジェクション流路の流路抵抗も同一である。したがって、第1インジェクションポート111から第1圧縮室61に注入される冷媒圧力と、第2インジェクションポート112から第2圧縮室62に注入される冷媒圧力とは同一である。
図10は駆動軸25の回転角度と第1圧縮室61の圧力との関係を示し、図11は回転角度と第2圧縮室62の圧力との関係を示している。
図10では、インジェクションが行われないときの第1圧縮室61の圧力変化を破線P11に示し、そのときの結合圧縮室63の圧力変化を破線P12に示している。また、第1インジェクションポート111からインジェクションが行われたときの第1圧縮室61の圧力変化を実線P13に示し、そのときの結合圧縮室63の圧力変化を実線P14に示している。なお、等エントロピ線を一点鎖線E1に示している。
さらに、図10では、第1インジェクションポート111が第1圧縮室61に開口している範囲を両矢印Po1で示している。また、第1インジェクションポート111から第1圧縮室61に冷媒が注入される範囲を両矢印In1で示している。
図11では、インジェクションが行われないときの第2圧縮室62の圧力変化を破線P15に示し、そのときの結合圧縮室63の圧力変化を破線P16に示している。また、第2インジェクションポート112からインジェクションが行われたときの第2圧縮室62の圧力変化を実線P17に示し、そのときの結合圧縮室63の圧力変化を実線P18に示している。なお、等エントロピ線を一点鎖線E2に示している。
さらに、図11では、第2インジェクションポート112が第2圧縮室62に開口している範囲を両矢印Po2で示している。また、第2インジェクションポート112から第2圧縮室62に冷媒が注入される範囲を両矢印In2で示している。
図10および図11に示すように、インジェクションが行われないとき、第1圧縮室61の冷媒と第2圧縮室62の冷媒はいずれも、理論的には等エントロピ線E1、E2に従って圧縮される(すなわち、断熱圧縮)。第1圧縮室61と第2圧縮室62のそれぞれに第1インジェクションポート111と第2インジェクションポート112が開口している範囲内で、第1圧縮室61と第2圧縮室62の圧力が中間圧Pmを超えないまでは、第1圧縮室61と第2圧縮室62のそれぞれに中間圧Pmの冷媒が流れ込む。その後再び、第1圧縮室61の冷媒と第2圧縮室62の冷媒は、等エントロピ線E1、E2に従って圧縮される。したがって、容積変化率が大きい第2圧縮室62では昇圧速度が速いため、早期に中間圧Pmに達する。その結果、図10の両矢印In1および図11の両矢印In2で示すように、第2圧縮室62に設けられた第2インジェクションポート112によるインジェクション範囲は、第1圧縮室61に設けられた第1インジェクションポート111によるインジェクション範囲よりも、小さいものとなる。
また、比較例では、第1インジェクションポート111と第2インジェクションポート112の開口面積および流路抵抗などが同一である。そのため、可動スクロール40の公転と共に、第1圧縮室61と第2圧縮室62との圧力差が大きくなる。したがって、比較例では、回転角度225°付近で第1圧縮室61と第2圧縮室62とが結合されるとき、2つの圧縮室61、62の圧力が均圧され、圧縮機110のトルク変動が増大するといった問題が生じる。
上述した比較例の圧縮機110に対し、本実施形態の圧縮機1は、次の作用効果を奏するものである。
(1)本実施形態の圧縮機1は、第1圧縮室61の容積変化率が第2圧縮室62の容積変化率よりも小さい構成において、インジェクションポート11が、固定盤51のうち、第1圧縮室61を形成する部位に設けられている。
これによれば、可動スクロール40の公転に伴って生じる第1圧縮室61と第2圧縮室62の圧力差が、インジェクションポート11から第1圧縮室61に対する冷媒の注入によって低減される。そのため、所定の回転角度で第1圧縮室61と第2圧縮室62とが結合するときに、第2圧縮室62と第1圧縮室61との均圧により生じるトルク変動が低減される。したがって、この圧縮機1は、トルク変動によるノイズバイブレーションを低減すると共に、駆動軸25を回転させる電動機部20の制御性を高めることができる。
また、回転角度に対する容積変化率が小さい第1圧縮室61は、第2圧縮室62に比べて、回転角度に対する圧力の上昇率が小さい。そのため、第1圧縮室61は、第2圧縮室62に比べて、圧縮開始から中間圧(すなわち、インジェクションポート11から注入される冷媒の圧力)に冷媒が昇圧されるまでの時間が長い。したがって、インジェクションポート11から冷媒を注入可能な時間が長くなるので、インジェクションポート11から注入可能な冷媒量が増加する。その結果、この圧縮機1を使用した冷凍サイクル100では、加熱もしくは冷凍能力を向上させたり、COPを向上させたりすることができる。
さらに、回転角度に対する容積変化率が小さい第1圧縮室61にインジェクションポート11を設けることで、第2圧縮室62にインジェクションポート11を設けることに比べて、冷媒の再膨張、再圧縮によるエネルギ損失を低減することが可能である。したがって、この圧縮機1は、インジェクションポート11によるデッドボリュームの影響を小さくすることで、圧縮機の圧縮効率を向上することができる。
(2)本実施形態では、インジェクションポート11は、インジェクションポート11から第1圧縮室61に注入される冷媒により、第1圧縮室61と第2圧縮室62とが結合するときの第1圧縮室61と第2圧縮室62との圧力差を低減可能に構成されている。
これによれば、所定の回転角度で第1圧縮室61と第2圧縮室62とが結合するときに生じるトルク変動を低減することができる。
(3)本実施形態では、インジェクションポート11は、固定盤51のうち、第2圧縮室62を形成する部位に設けられることなく、第1圧縮室61を形成する部位に設けられる。
これによれば、圧縮機1のデッドボリュームを低減することが可能である。したがって、この圧縮機1は、圧縮機の圧縮効率を向上することができる。
(4)本実施形態では、固定スクロール50と可動スクロール40は、可動スクロール40の公転に伴い第1圧縮室61と第2圧縮室62とが結合された後、さらに可動スクロール40の公転に伴う結合圧縮室63の容積の減少により冷媒が圧縮された後、吐出ポート13から冷媒が吐き出されるように構成されている。
すなわち、この圧縮機1は、第1圧縮室61による冷媒の圧縮と、第2圧縮室62による冷媒の圧縮と、結合圧縮室63による冷媒の圧縮とが同時に行われる構成である。
(第2実施形態)
第2実施形態について、図12を参照して説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対してインジェクションポートの構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
第2実施形態の圧縮機1では、インジェクションポートは、固定盤51のうち、第1圧縮室61を形成する部位に設けられる複数の第1インジェクションポート111、および、第2圧縮室62を形成する部位に設けられる第2インジェクションポート112を含んで構成されている。第1インジェクションポート111のうちの少なくとも1つは、第1圧縮室61の閉じ込み完了時またはその直後から第1圧縮室61に開き始める位置に設けられている。第2インジェクションポート112も、第2圧縮室62の閉じ込み完了時またはその直後から第2圧縮室62に開き始める位置に設けられている。なお、第1インジェクションポート111と第2インジェクションポート112はいずれも、第1圧縮室と第2圧縮室とが結合された後も開いている位置に設けられていてもよい。
第2実施形態では、第1インジェクションポート111の数が、第2インジェクションポート112の数より多い。これにより、第1インジェクションポート111の開口面積の合計を、第2インジェクションポート112の開口面積の合計より大きくすることが可能である。そのため、第1インジェクションポート111から第1圧縮室61に注入される冷媒量は、第2インジェクションポート112から第2圧縮室62に注入される冷媒量より多くなる。したがって、第2実施形態も、第1実施形態と同様に、所定の回転角度で第1圧縮室61と第2圧縮室62とが結合するときに生じるトルク変動を低減することができる。
さらに、第2実施形態では、第1インジェクションポート111と第2インジェクションポート112を設けることで、中間圧から圧縮機1に供給される冷媒の流量を増加させることができる。したがって、この圧縮機1を使用した冷凍サイクル100では、加熱もしくは冷凍能力を向上させたり、COPを向上させたりすることができる。
また、第2実施形態は、インジェクションポート11の数を増やすことで、個々のインジェクションポート11の断面積を小さくすることが可能である。したがって、第2実施形態の構成は、可動ラップ42の厚さが薄い圧縮機1に好適である。
なお、第2実施形態では、第1インジェクションポート111の数が、第2インジェクションポート112の数より多ければよく、第1インジェクションポート111の数と第2インジェクションポート112の数は図12に示した数に限定するものではない。
(第3実施形態)
第3実施形態について、図13を参照して説明する。第3実施形態は、第1および第2実施形態に対してインジェクションポートの構成を変更したものであり、その他については第1および第2実施形態と同様であるため、第1および第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
第3実施形態でも、インジェクションポートは、固定盤51のうち、第1圧縮室61を形成する部位に設けられる第1インジェクションポート111、および、第2圧縮室62を形成する部位に設けられる第2インジェクションポート112を含んで構成されている。第3実施形態では、第1インジェクションポート111の開口面積が、第2インジェクションポート112の開口面積より大きい。これにより、第3実施形態でも、第1インジェクションポート111から第1圧縮室61に注入される冷媒量が、第2インジェクションポート112から第2圧縮室62に注入される冷媒量より多くなる。したがって、第3実施形態も、第1および第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
なお、第3実施形態では、第1インジェクションポート111の開口面積が、第2インジェクションポート112の開口面積より大きければよく、第1および第2インジェクションポート111、112の形状は図12に示したものに限定するものではない。なお、第3実施形態では、インジェクションポート11の開口形状を可動ラップ42の形状に合わせた三日月状として、インジェクションポート11の開口面積を大きくすることも可能である。このような構成にすることで、第3実施形態も、可動ラップ42の厚さが薄い圧縮機1に適応させることが可能である。
(第4実施形態)
第4実施形態について、図14および図15を参照して説明する。第4実施形態は、第1インジェクションポート111に連通する第1インジェクション流路171の構成と、第2インジェクションポート112に連通する第2インジェクション流路172の構成を変更したものである。
図14は、第1インジェクションポート111に連通する第1インジェクション流路171の構成を示している。図14の一点鎖線矢印F1に示すように、第1インジェクション流路171から第1インジェクションポート111を介して第1圧縮室61に注入される冷媒は、略直線状に流れる。
一方、図15は、第2インジェクションポート112に連通する第2インジェクション流路172の構成を示している。第2インジェクション流路172は、小径通路172a、中径通路172b、および大径通路172cを有している。大径通路172cの内側には、筒状部材70が固定されている。筒状部材70は、中径通路172bと大径通路172cとの接続箇所に設けられた段差172dに当接している。筒状部材70に設けられた内側流路70aと、小径通路172aとは、流路の中心位置がずれている。この構成により、図14の一点鎖線矢印F2に示すように、第2インジェクション流路172から第2インジェクションポート112を介して第2圧縮室62に注入される冷媒は、略クランク状に流れる。そのため、第2インジェクション流路172の流路抵抗は、第1インジェクション流路171の流路抵抗より大きいものとなる。したがって、第1インジェクション流路171から第1圧縮室61に注入される冷媒の流量は、第2インジェクション流路172から第2圧縮室62に注入される冷媒の流量より多くなる。
上述した第4実施形態も、第2および第3実施形態と同様に、第1インジェクションポート111から第1圧縮室61に注入される冷媒量を、第2インジェクションポート112から第2圧縮室62に注入される冷媒量より多くすることが可能である。したがって、第4実施形態も、第1から第3実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
(第5実施形態)
第5実施形態について、図16および図17を参照して説明する。第5実施形態も第1インジェクションポート111に連通する第1インジェクション流路171の構成と、第2インジェクションポート112に連通する第2インジェクション流路172の構成を変更したものである。
図16は、第1インジェクションポート111に連通する第1インジェクション流路171の構成を示している。第1インジェクション流路171は、小径通路171a、中径通路171b、および大径通路171cを有している。大径通路171cの内側には、第1リード弁71と、その第1リード弁71を固定するための第1筒状部材72が設けられている。第1リード弁71の自由端71aは、小径通路171a側に配置されている。第1インジェクション流路171に供給される中間圧Pmの冷媒の圧力が、第1圧縮室61の冷媒の圧力よりも高いとき、図16の破線71bに示すように、第1リード弁71の自由端71a側は、第1筒状部材72から離れる。これにより、図16の一点鎖線矢印F3に示すように、第1インジェクション流路171から第1インジェクションポート111を介して第1圧縮室61に注入される冷媒は、直線に近い流れとなる。
一方、図17は、第2インジェクションポート112に連通する第2インジェクション流路172の構成を示している。第2インジェクション流路172も、小径通路172a、中径通路172b、および大径通路172cを有している。大径通路172cの内側には、第2リード弁73と、その第2リード弁73を固定するための第2筒状部材74が設けられている。第2リード弁73の自由端73aは、小径通路172aとは反対側に配置されている。第2インジェクション流路172に供給される中間圧Pmの冷媒の圧力が、第2圧縮室62の冷媒の圧力よりも高いとき、図17の破線73bに示すように、第2リード弁73の自由端73a側は、第1筒状部材72から離れる。これにより、図17の一点鎖線矢印F4に示すように、第2インジェクション流路172から第2インジェクションポート112を介して第2圧縮室62に注入される冷媒は、第2リード弁73の自由端73aを大きく迂回した流れとなる。
したがって、第2インジェクション流路172の流路抵抗は、第1インジェクション流路171の流路抵抗より大きいものとなる。したがって、第1インジェクション流路171から第1圧縮室61に注入される冷媒の流量は、第2インジェクション流路172から第2圧縮室62に注入される冷媒の流量より多くなる。
上述した第5実施形態も、第2から第4実施形態と同様に、第1インジェクションポート111から第1圧縮室61に注入される冷媒量を、第2インジェクションポート112から第2圧縮室62に注入される冷媒量より多くすることが可能である。したがって、第5実施形態も、第1から第4実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
(第6実施形態)
第6実施形態について、図18〜図21を参照して説明する。第6実施形態も、第1インジェクションポート111に連通する第1インジェクション流路171の構成と、第2インジェクションポート112に連通する第2インジェクション流路172の構成を変更したものである。
図18および図19は、第1インジェクションポート111に連通する第1インジェクション流路171の構成を示している。第1インジェクション流路171には、第1逆止弁80が設けられている。第1逆止弁80は、ケース81、弁体82およびストッパ83等を備えている。ケース81は、筒状に形成され、第1インジェクション流路171の内壁に固定されている。弁体82は、ケース81の内側で往復移動可能に設けられている。ストッパ83は、ケース81の内側に固定されている。
図18は、第1圧縮室61の圧力が中間圧Pmより低いときの第1逆止弁80の状態を示している。このとき、弁体82は、ケース81の先端部811に当接している。冷媒は、中間熱交換器4側から、弁体82とケース81の内壁との隙間821と、弁体82の内側の流路822を通り、第1インジェクションポート111から第1圧縮室61に注入される。
図19は、第1圧縮室61の圧力が中間圧Pmより高いときの第1逆止弁80の状態を示している。このとき、弁体82は、ストッパ83に当接し、ストッパ83の内側の流路を塞いでいる。そのため、第1圧縮室61の第1インジェクションポート111から中間熱交換器4側への冷媒の流れが規制される。
図20および図21は、第2インジェクションポート112に連通する第2インジェクション流路172の構成を示している。第2インジェクション流路172には、第2逆止弁85が設けられている。第2逆止弁85も、第1逆止弁80と同様に、ケース86、弁体87およびストッパ88等を備えている。ケース86は、筒状に形成され、第2インジェクション流路172の内壁に固定されている。弁体87は、ケース86の内側で往復移動可能に設けられている。ストッパ88は、ケース86の内側に固定されている。
図20は、第2圧縮室62の圧力が中間圧Pmより低いときの第2逆止弁85の状態を示している。このとき、弁体87は、ケース86の先端部861に当接している。冷媒は、中間熱交換器4側から、弁体87とケース86の内壁との隙間871と、弁体87の内側の流路872を通り、第2インジェクションポート112から第2圧縮室62に注入される。ただし、第2逆止弁85が備える弁体87とケース86の内壁との隙間871は、第1逆止弁80が備える弁体82とケース81の内壁との隙間821よりも小さい。これにより、第2逆止弁85の流路抵抗は、第1逆止弁80の流路抵抗より大きいものとなる。すなわち、第2インジェクション流路172の流路抵抗は、第1インジェクション流路171の流路抵抗より大きいものとなる。したがって、第2インジェクション流路172から第2圧縮室62に注入される冷媒の流量は、第1インジェクション流路171から第1圧縮室61に注入される冷媒の流量より少なくなる。
図21は、第2圧縮室62の圧力が中間圧Pmより高いときの第2逆止弁85の状態を示している。このとき、弁体は、ストッパ88に当接し、ストッパ88の内側の流路を塞いでいる。そのため、第2圧縮室62の第2インジェクションポート112から中間熱交換器4側への冷媒の流れが規制される。
上述した第6実施形態も、第2から第5実施形態と同様に、第1インジェクションポート111から第1圧縮室61に注入される冷媒量を、第2インジェクションポート112から第2圧縮室62に注入される冷媒量より多くすることが可能である。したがって、第6実施形態も、第1から第5実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
(第7実施形態)
第7実施形態について、図22および図23を参照して説明する。第7実施形態の圧縮機1も、第1インジェクションポート111および第2インジェクションポート112を備える構成である。
図22では、第7実施形態の圧縮機1を含む冷凍サイクル100の構成を示している。この冷凍サイクル100は、放熱器2と中間熱交換器4との間に2つの分岐部7a、7bを備えている。一方の分岐部7aで分岐された冷媒は、第1インジェクション流路171用の膨張弁3aにより第1の中間圧Pm1に減圧され、中間熱交換器4の有する第1中間圧側熱交換部4cを経由した後、第1インジェクションポート111から第1圧縮室61に注入される。他方の分岐部7bで分岐された冷媒は、第2インジェクション流路172用の膨張弁3bにより第2の中間圧Pm2に減圧され、中間熱交換器4の有する第2中間圧側熱交換部4dを経由した後、第2インジェクションポート112から第2圧縮室62に注入される。
中間熱交換器4は、高圧側熱交換部4aと第1中間圧側熱交換部4cと第2中間圧側熱交換部4dとを一体に有している。図22に破線矢印H1、H2で示したように、中間熱交換器4は、高圧側熱交換部4aを流れる冷媒と、第1中間圧側熱交換部4cを流れる冷媒と、第2中間圧側熱交換部4dを流れる冷媒との熱交換を行う。
第1インジェクション流路171用の膨張弁3aと第2インジェクション流路172用の膨張弁3bはいずれも、電気駆動式の膨張弁である。それらの膨張弁3a、3bの弁開度は、制御装置8から伝送される制御信号により調節される。ここで、第1の中間圧Pm1は、第2の中間圧Pm2よりも高圧に設定されている。なお、第1の中間圧Pm1と第2の中間圧Pm2はいずれも、圧縮機1が吐出ポート13から吐き出した高圧Phの冷媒と、圧縮機1が吸入ポート12から吸入する低圧Plの冷媒との間の圧力である。
次に、回転角度と、圧縮室の圧力変化について、図23を参照して説明する。
図23では、第1圧縮室61の圧力変化を実線P19に示し、第2圧縮室62の圧力変化を実線P20に示し、結合圧縮室63の圧力変化を実線P21に示している。図23では、第1インジェクションポート111から第1圧縮室61に注入される冷媒の圧力(すなわち第1の中間圧Pm1)を実線Pm1で示している。また、第2インジェクションポート112から第2圧縮室62に注入される冷媒の圧力(すなわち第2の中間圧Pm2)を実線Pm2で示している。
また、図23では、第1インジェクションポート111から第1圧縮室61に冷媒が注入される範囲を両矢印In1で示している。また、第2インジェクションポート112から第2圧縮室62に冷媒が注入される範囲を両矢印In2で示している。
なお、図23では、仮に第1インジェクションポート111から第1圧縮室61に第1の中間圧Pm1の冷媒が注入されないとした場合の第1圧縮室61の圧力変化を破線P22に示している。仮に第2インジェクションポート112から第2圧縮室62に第2の中間圧Pm2の冷媒が注入されないとした場合の第2圧縮室62の圧力変化を破線P23に示している。そして、その場合の結合圧縮室63の圧力変化を破線P24に示している。
実線P19に示すように、第1圧縮室61には、回転角度0°以降、第1圧縮室61の圧力が第1の中間圧Pm1になるまで、第1インジェクションポート111から第1の中間圧Pm1の冷媒が注入される。第1圧縮室61の冷媒は、第1の中間圧Pm1になった後も、第1圧縮室61の容積の減少により昇圧される。
実線P20に示すように、第2圧縮室62には、回転角度0°以降、第2圧縮室62の圧力が第2の中間圧Pm2になるまで、第2インジェクションポート112から第2の中間圧Pm2の冷媒が注入される。第2圧縮室62の冷媒は、第2の中間圧Pm2になった後も、第2圧縮室62の容積の減少により昇圧される。
そして、第1圧縮室61と第2圧縮室62とが結合されるとき、第1圧縮室61の圧力と第2圧縮室62の圧力とが近似する。それ以降、実線P21に示すように、可動スクロール40の公転に伴う結合圧縮室63の容積の減少により、結合圧縮室63の冷媒が昇圧される。結合圧縮室63の冷媒は、その圧力が圧縮機1の吐出圧になると、吐出ポート13から吐き出される。
第7実施形態では、第1の中間圧Pm1が第2の中間圧Pm2よりも高いので、第1圧縮室61で冷媒の圧縮が開始されてから、第1圧縮室61の圧力が第1の中間圧Pm1よりも高くなるまでの時間が長くなる。第1の中間圧Pm1が第2の中間圧Pm2よりも高いので、第1インジェクションポート111から第1圧縮室61側に注入される冷媒の流量が、第2インジェクションポート112から第2圧縮室62側に注入される冷媒の流量よりも多くなる。そのため、第1インジェクションポート111から第1圧縮室61に注入される冷媒量は、第2インジェクションポート112から第2圧縮室62に注入される冷媒量より多くなる。したがって、第7実施形態も、第1から第5実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
(第8実施形態)
第8実施形態について、図24および図25を参照して説明する。第8実施形態は、第2〜第7実施形態に対し、第1、第2インジェクションポート111、112がそれぞれ第1、第2圧縮室61、62に開口して連通している範囲を変更したものである。
図24は第1圧縮室61の圧力と回転角度との関係を示し、図25は第2圧縮室62の圧力と回転角度との関係を示している。
図24では、インジェクションが行われないときの第1圧縮室61の圧力変化を破線P41に示し、そのときの結合圧縮室63の圧力変化を破線P42に示している。また、第1インジェクションポート111からインジェクションが行われたときの第1圧縮室61の圧力変化を実線P43に示し、そのときの結合圧縮室63の圧力変化を実線P44に示している。なお、等エントロピ線を一点鎖線E1に示している。
さらに、図24では、第1インジェクションポート111が第1圧縮室61に開口している範囲を両矢印Po1で示している。また、第1インジェクションポート111から第1圧縮室61に冷媒が注入される範囲を両矢印In1で示している。
図25では、インジェクションが行われないときの第2圧縮室62の圧力変化を破線P45に示し、そのときの結合圧縮室63の圧力変化を破線P46に示している。また、第2インジェクションポート112からインジェクションが行われたときの第2圧縮室62の圧力変化を実線P47に示し、そのときの結合圧縮室63の圧力変化を実線P48に示している。なお、等エントロピ線を一点鎖線E2に示している。
さらに、図25では、第2インジェクションポート112が第2圧縮室62に開口している範囲を両矢印Po2で示している。また、第2インジェクションポート112から第2圧縮室62に冷媒が注入される範囲を両矢印In2で示している。
インジェクションが行われないとき、図24および図25のP41、P45に示すように、第1圧縮室61の冷媒と第2圧縮室62の冷媒はいずれも、理論的には等エントロピ線E1、E2に従って圧縮される(すなわち、断熱圧縮)。
インジェクションが行われると、図24のP43に示すように、第1圧縮室61に第1インジェクションポート111が開口し、且つ、第1圧縮室61の圧力が中間圧Pmを超えない範囲Po1で、第1圧縮室61に中間圧Pmの冷媒が流れ込む。また、図25のP47に示すように、第2圧縮室62に第2インジェクションポート112が開口し、且つ、第2圧縮室62の圧力が中間圧Pmを超えない範囲Po2で、第2圧縮室62に中間圧Pmの冷媒が流れ込む。その後再び、第2圧縮室62の冷媒は、等エントロピ線E2に従って圧縮される。
第8実施形態では、第1、第2インジェクションポート111、112がそれぞれ第1、第2圧縮室61、62に開口して連通している範囲Po1、Po2で、Po1の方が長いので、圧縮室内圧力が中間圧Pmまで達しない範囲内で冷媒が注入できる範囲In1は、In2よりも長くなる。そのため、第1インジェクションポート111から第1圧縮室61に注入される冷媒量は、第2インジェクションポート112から第2圧縮室62に注入される冷媒量より多くなる。したがって、第8実施形態も、第1から第7実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
(第9実施形態)
第9実施形態について、図26および図27を参照して説明する。第9実施形態は、第2〜第8実施形態に対し、第2インジェクション流路172の構成を変更したものである。
図26に示すように、第9実施形態では、固定スクロール50の有する固定盤51に、吐出ポート13に連通する吐出空間15と第2インジェクションポート112とを連通する連通路90が設けられている。この連通路90に、連通路用逆止弁91が設けられている。連通路用逆止弁91は、第2インジェクションポート112側の冷媒圧力が吐出空間15の冷媒圧力より高くなったときに、第2インジェクションポート112側から吐出空間15側への冷媒の流れを許容する機能を有している。また、連通路用逆止弁91は、第2インジェクションポート112側の冷媒圧力が吐出空間15の冷媒圧力より低いとき、吐出空間15側から第2インジェクションポート112側への冷媒の流れを規制する機能を有している。
なお、第2インジェクション流路172にも、逆止弁93が設けられている。第2インジェクション流路172に設けられた逆止弁93は、第2インジェクションポート112側の冷媒圧力が中間熱交換器4側の冷媒圧力より低いとき、中間熱交換器4側から第2インジェクションポート112側への冷媒の流れを許容する機能を有している。また、この逆止弁93は、第2インジェクションポート112側の冷媒圧力が中間熱交換器4側の冷媒圧力より高いとき、第2インジェクションポート112側から中間熱交換器4側への冷媒の流れを規制する機能を有している。
なお、図26では、第1インジェクションポート111と第1インジェクション流路171の図示を省略している。
第9実施形態の構成において、回転角度と、圧縮室の圧力変化について、図27を参照して説明する。
図27に示した各圧縮室の圧力変化は、蒸発器6から吸入ポート12を介して圧縮機1に供給される冷媒の温度および圧力が比較的高い状態を想定したものである。
図27では、第1圧縮室61の圧力変化を実線P25に示し、第2圧縮室62の圧力変化を実線P26に示し、結合圧縮室63の圧力変化を実線P27に示している。
また、図27では、仮に、吐出空間15と第2インジェクションポート112とを連通する連通路90および連通路用逆止弁91が設けられていない場合の第2圧縮室62の圧力変化を破線P28に示し、その場合の結合圧縮室63の圧力変化を破線P29に示している。
図27に示すように、第2圧縮室62には、回転角度0°以降、第1圧縮室61の圧力が中間圧Pmになるまで、第2インジェクションポート112から中間圧Pmの冷媒が注入される。第2圧縮室62の冷媒は、中間圧Pmになった後も、第2圧縮室62の容積の減少により昇圧される。そのため、破線P28に示すように、吐出空間15と第2インジェクションポート112とを連通する連通路90および連通路用逆止弁91が設けられていない場合、第2圧縮室62の圧力は吐出圧を超える圧力となる。そのため、第1圧縮室61と第2圧縮室62とが結合されるとき、均圧により、トルク変動が大きくなるおそれがある。また、第2圧縮室62の過圧縮による電動機部20の動力損失が大きくなり、圧縮機1による冷媒の圧縮効率が低下することが懸念される。また、可動ラップ42と固定盤51との隙間からの冷媒の漏れ損失、および、固定ラップ52と可動盤41との隙間からの冷媒の漏れ損失が大きくなるおそれがある。
これに対し、第9実施形態では、第2圧縮室62に第2インジェクションポート112が開口しているときに第2圧縮室62の冷媒圧力が吐出圧力を超えた場合、第2圧縮室62の冷媒を第2インジェクションポート112から連通路90および連通路用逆止弁91を介して吐出空間15に吐き出すことが可能である。そのため、第1圧縮室61と第2圧縮室62とが結合されるときのトルク変動を低減することができる。
また、第9実施形態では、第2圧縮室62内の過圧縮による圧縮機1の動力損失を回避し、圧縮機1による冷媒の圧縮効率の低下を防ぐことができる。さらに、可動ラップ42と固定盤51との隙間からの冷媒の漏れ損失、および、固定ラップ52と可動盤41との隙間からの冷媒の漏れ損失を低減することも可能である。
また、第9実施形態では、第2インジェクションポート112をいわゆるリリーフポートとして使用することで、リリーフポートを別途設けることに比べて、構成を簡素化すると共に、デッドボリュームを小さくし、冷媒の再膨張、再圧縮によるエネルギ損失を低減することができる。
(第10実施形態)
第10実施形態について、図28および図29を参照して説明する。第10実施形態は、第1〜第8実施形態に対し、固定スクロール50にリリーフポート19を設けたものである。
図28に示すように、第10実施形態では、固定スクロール50の有する固定盤51に、吐出ポート13とリリーフポート19が設けられている。リリーフポート19は、固定盤51のうち、第2圧縮室62を形成する部位に設けられている。なお、リリーフポート19に連通する流路には、図示していないリリーフ用逆止弁が設けられている。そのリリーフ用逆止弁は、第2圧縮室62の冷媒圧力が所定圧力を超えたとき、リリーフポート19から図示していないリリーフ流路側への冷媒の流れを許容する機能と、リリーフ流路側から第2圧縮室62への冷媒の流れを規制する機能を有している。
第10実施形態の構成において、回転角度と、圧縮室の圧力変化について、図29を参照して説明する。
図29では、第1圧縮室61の圧力変化を実線P31に示し、第2圧縮室62の圧力変化を実線P32に示し、結合圧縮室63の圧力変化を実線P33に示している。
また、図29では、仮にインジェクションポート11から第1圧縮室61に中間圧Pmの冷媒が注入されないとした場合の第1圧縮室61の圧力変化を破線P34に示し、その場合の結合圧縮室63の圧力変化を破線P35に示している。さらに、図29では、仮に第2圧縮室62にリリーフポート19が設けられていないとした場合の第2圧縮室62の圧力変化を破線P36に示している。
破線P36に示すように、第2圧縮室62にリリーフポート19が設けられていない場合、第2圧縮室62の圧力は、第1圧縮室61の圧力より高くなる場合が考えられる。その場合、第1圧縮室61と第2圧縮室62とが結合されるとき、均圧により、トルク変動が大きくなるおそれがある。また、第2圧縮室62の過圧縮による電動機部20の動力損失が大きくなり、圧縮機効率が低下することが懸念される。また、可動ラップ42と固定盤51との隙間からの冷媒の漏れ損失、および、固定ラップ52と可動盤41との隙間からの冷媒の漏れ損失が大きくなるおそれがある。
これに対し、第10実施形態では、第2圧縮室62の圧力が所定の圧力より高くなる場合、第2圧縮室62の冷媒をリリーフポート19から排出することが可能である。そのため、第1圧縮室61と第2圧縮室62とが結合されるときのトルク変動を低減することができる。
また、第10実施形態では、第2圧縮室62内の過圧縮による圧縮機1の動力損失を回避し、圧縮機効率の低下を防ぐことができる。さらに、可動ラップ42と固定盤51との隙間からの冷媒の漏れ損失、および、固定ラップ52と可動盤41との隙間からの冷媒の漏れ損失を低減することも可能である。
(第11実施形態)
第11実施形態について、図30を参照して説明する。第11実施形態の圧縮機1は、同一の鏡板内に複数の圧縮機構が構成された多段圧縮機である。上述の第1〜10実施形態で説明した固定スクロール50の固定ラップ52と可動スクロール40の可動ラップ42は、第1段圧縮機構101を構成している。
第11実施形態の圧縮機では、第1段圧縮機構101の内側に、第2の固定ラップ522と第2の可動ラップ422により構成された第2段圧縮機構102が設けられている。なお、図30では、説明のため、第1段圧縮機構101と第2段圧縮機構102との境界を一点鎖線103で示している。
吸入ポート12から吸入された冷媒は、第1段圧縮機構101で圧縮された後、図示していない冷媒流路を通り、第2段圧縮機構102の圧縮室602に流入する。そして、第2段圧縮機構102でさらに圧縮された後、図示していない吐出ポートから吐き出される。したがって、多段圧縮機において、第1段圧縮機構101は低段側圧縮機であり、第2段圧縮機構102は高段側圧縮機である。
ところで、圧縮室の容積変化率はラップ形状によって決定される。従来のラップ形状のように中心側まで連続的に形成された圧縮機においては可動スクロールの内側と外側に配置される圧縮室の容積変化率は等しくなる。一方、第1〜10実施形態で説明したような可動スクロールの内側と外側に配置される圧縮室61、62の容積変化率の異なる圧縮機構は、ラップの途中で変曲点を持ち、多段圧縮機の低段側圧縮機として使用することが可能である。そのため、第11実施形態では、第1〜10実施形態で説明した圧縮機構を多段圧縮機の低段側圧縮機として使用することで、上述の作用効果を十分に発揮することができる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
(1)上記各実施形態では、第1圧縮室61と第2圧縮室62による冷媒の閉じ込みが同一の回転角度で完了し、第1圧縮室61と第2圧縮室62による冷媒の圧縮が同時に進行する構成について説明したが、圧縮機1の構成はこれに限られない。例えば、圧縮機1は固定ラップ52の巻き数を少なくする等により、第1圧縮室61による冷媒の閉じ込み完了の回転角度が、第2圧縮室62による冷媒の閉じ込み完了の回転角度よりも早くなる構成とすれば、第1圧縮室61と第2圧縮室62の圧力差をより小さくすることが可能である。また、説明に用いた図ではいずれの場合も、二つの圧縮室が結合する付近もしくはそれよりも早い回転角度で、圧縮室内の圧力が中間圧Pmに達するまたはインジェクションポート111,112が圧縮室と連通する区間が終了し、インジェクション動作が完了しているが、圧力条件(低圧P1,中間圧Pm)やインジェクションポートの仕様(位置、開口面積)、スクロールラップ形状によっては結合後もインジェクション動作が継続する場合はあるため、これにより効果が限定されるものではない。
(2)また、他の実施形態では、第1圧縮室61と第2圧縮室62との圧力差が所定値より大きくなる運転条件のとき、スプリット回路9からインジェクションポート11、111、112を通じて圧縮室に冷媒を注入するように、膨張弁3、3a、3bなどを制御してもよい。
(3)また、上記各実施形態では、インジェクションポートは固定盤に設けた場合で説明したが、可動盤に設けてあっても良い。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、固定スクロールは、固定盤、および、その固定盤に設けられる渦巻状の固定ラップを有する。可動スクロールは、可動盤、および、その可動盤に設けられる渦巻状の可動ラップを有し、固定ラップと可動ラップとが嵌り合った状態で、所定の軸周りに公転する。固定スクロールと可動スクロールとの間に、可動スクロールの公転に伴う容積の減少により冷媒を圧縮する第1圧縮室と第2圧縮室が形成される。第1圧縮室と第2圧縮室とは容積変化率が異なる。圧縮機は、容積変化率が小さい第1圧縮室を形成する部位にインジェクションポートを備える。
第2の観点によれば、インジェクションポートは、インジェクションポートから第1圧縮室に注入される冷媒により、第1圧縮室と第2圧縮室とが結合するときの第1圧縮室と第2圧縮室との圧力差を低減可能に構成されている。
これによれば、所定の回転角度で第1圧縮室と第2圧縮室とが結合するときに生じるトルク変動を低減することができる。
第3の観点によれば、圧縮機は、第1圧縮室を形成する部位に設けた第1インジェクションポートと、第2圧縮室を形成する部位に設けた第2インジェクションポートを備える。この圧縮機は、第1インジェクションポートから注入される冷媒量が、第2インジェクションポートから注入される冷媒量より多くなるように構成されている。
これによれば、可動スクロールの公転に伴って生じる第1圧縮室と第2圧縮室の圧力差を低減することができる。そのため、所定の回転角度で第1圧縮室と第2圧縮室とが結合するときに生じるトルク変動を低減することができる。
また、固定盤に第1インジェクションポートと第2インジェクションポートを設けることで、中間圧から圧縮機に供給される冷媒量を増加させることができる。
第4の観点によれば、第1インジェクションポートの数は、第2インジェクションポートの数より多い。
これによれば、中間圧から第1圧縮室に注入される冷媒量を、第2圧縮室に注入される冷媒量より多くし、可動スクロールの公転に伴って生じる第1圧縮室と第2圧縮室の圧力差を低減することができる。そのため、所定の回転角度で第1圧縮室と第2圧縮室とが結合するときに生じるトルク変動を低減することができる。また、第1インジェクションポートと第2インジェクションポートを設けることで、圧縮機に供給される冷媒の流量を増加させることができる。
なお、インジェクションポートの数を増やすことで、個々のインジェクションポートの断面積を小さくすることが可能となるので、可動ラップの厚さが薄い圧縮機に好適である。
第5の観点によれば、第1インジェクションポートの開口面積は、第2インジェクションポートの開口面積より大きい。
これによれば、中間圧から第1圧縮室に注入される冷媒量を、第2圧縮室に注入される冷媒量より多くし、可動スクロールの公転に伴って生じる第1圧縮室と第2圧縮室の圧力差を低減することができる。そのため、可動スクロールの所定の回転角度で第1圧縮室と第2圧縮室とが結合するときに生じるトルク変動を低減することができる。また、第1インジェクションポートと第2インジェクションポートを設けることで、圧縮機に供給される冷媒の流量を増加させることができる。
なお、インジェクションポートの開口形状を可動ラップの形状に合わせた三日月状として、インジェクションポートの開口面積を大きくすることも可能である。
第6の観点によれば、圧縮機は、第1インジェクションポートに連通する第1インジェクション流路と、第2インジェクションポートに連通する第2インジェクション流路をさらに備える。圧縮機は、第1インジェクション流路の流路抵抗より、第2インジェクション流路の流路抵抗が大きくなるように構成されている。
これによれば、容積変化率が小さい第1圧縮室に対する中間圧冷媒の注入量を、容積変化率が大きい第2圧縮室に対する中間圧冷媒の注入量より多くことができる。
第7の観点によれば、圧縮機は、第1インジェクションポートに連通する第1インジェクション流路と、第2インジェクションポートに連通する第2インジェクション流路をさらに備える。圧縮機は、第1インジェクション流路から第1圧縮室に注入される冷媒の圧力が、第2インジェクション流路から第2圧縮室に注入される冷媒の圧力より高くなるように構成されている。
これによれば、容積変化率が小さい第1圧縮室に注入される冷媒の流量を、容積変化率が大きい第2圧縮室に注入される冷媒の流量より多くことができる。また、第1インジェクション流路から第1圧縮室に注入される冷媒の圧力を高くすることで、第1インジェクションポートから冷媒が注入される時間を長くすることが可能である。
第8の観点によれば、第1インジェクションポートが圧縮室と連通する回転角度の範囲は、第2インジェクションポートが圧縮室と連通する回転角度の範囲よりも広くなるように構成されている。
これによれば、第1インジェクションポートから第1圧縮室に注入される冷媒量は、第2インジェクションポートから第2圧縮室に注入される冷媒量より多くなる。したがって、所定の回転角度で第1圧縮室と第2圧縮室とが結合するときに生じるトルク変動を低減することができる。
第9の観点によれば、圧縮機は、吐出ポート、吐出空間、連通路および連通路用逆止弁をさらに備える。吐出ポートは、第1圧縮室と第2圧縮室とが結合した結合圧縮室を形成する部位に設けられる。吐出空間は、吐出ポートに連通する。連通路は、第2インジェクションポートと吐出空間とを連通する。連通路用逆止弁は、連通路に設けられ、第2インジェクションポートから吐出空間への冷媒の流れを許容し、吐出空間から第2インジェクションポートへの冷媒の流れを規制する。
これによれば、第2圧縮室に第2インジェクションポートが開口しているときに第2圧縮室の冷媒圧力が吐出圧力を超えた場合、第2圧縮室の冷媒を第2インジェクションポートから吐出空間に吐き出すことが可能である。そのため、第2圧縮室内の過圧縮による圧縮機の動力損失を回避し、圧縮機による冷媒の圧縮効率の低下を防ぐことができる。また、可動ラップと固定盤との隙間からの冷媒の漏れ損失、および、固定ラップと可動盤との隙間からの冷媒の漏れ損失を低減することも可能である。
さらに、第2インジェクションポートをいわゆるリリーフポートとして使用することで、リリーフポートを別途設けることに比べて、構成を簡素化すると共に、デッドボリュームを小さくし、冷媒の再膨張、再圧縮によるエネルギ損失を低減することができる。
第10の観点によれば、圧縮機は、第2圧縮室を形成する部位に設けられるリリーフポートをさらに備える。
これによれば、第1圧縮室と第2圧縮室とが結合する前に容積変化率が大きい第2圧縮室の冷媒圧力が、所定の圧力を超えた場合、第2圧縮室の冷媒をリリーフポートから排出することが可能である。そのため、第1圧縮室と第2圧縮室とが結合するときに生じるトルク変動を低減することができる。また、第2圧縮室内の過圧縮による動力損失を回避し、圧縮機による冷媒の圧縮効率の低下を防ぐことができる。また、可動ラップと固定盤との隙間からの冷媒の漏れ損失、および、固定ラップと可動盤との隙間からの冷媒の漏れ損失を低減することも可能である。
第11の観点によれば、インジェクションポートは、第2圧縮室を形成する部位に設けられることなく、第1圧縮室を形成する部位に設けられる。
これによれば、圧縮機のデッドボリュームを低減することが可能である。したがって、この圧縮機は、冷媒の圧縮効率を向上することができる。
第12の観点によれば、固定スクロールと可動スクロールは、可動スクロールの公転に伴い第1圧縮室と第2圧縮室とが結合されて結合圧縮室が形成され、さらに可動スクロールの公転に伴う結合圧縮室の容積の減少により冷媒が圧縮された後、吐出ポートから冷媒が吐き出されるように構成されている。
すなわち、この圧縮機は、可動スクロールの公転に伴い、第1圧縮室による冷媒の圧縮と、第2圧縮室による冷媒の圧縮と、結合圧縮室による冷媒の圧縮とが同時に行われる構成である。
第13の観点によれば、圧縮機は、複数の圧縮機構で構成された多段圧縮機である。すなわち、固定ラップと可動ラップにより構成された第1段圧縮機構の内側に、第2の固定ラップと第2の可動ラップにより構成された第2段圧縮機構が設けられている。ここで、容積変化率が異なる第1圧縮室と第2圧縮室は、第1段圧縮機構に構成されている。
ここで、容積変化率はラップ形状によって決定される。従来のラップ形状のように中心側まで連続的に形成された圧縮機においては可動スクロールの内側と外側に配置される圧縮室の容積変化率は等しくなる。一方、圧縮室の容積変化率の異なる圧縮機構は、ラップの途中で変曲点を持ち、多段圧縮機の低段側圧縮機として使用することが可能である。そのため、容積変化率の異なる圧縮機構は、多段圧縮機の低段側圧縮機として使用することで、その作用効果を十分に発揮することができる。