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JP2019099894A - 浮遊選鉱方法及び、銅の回収方法 - Google Patents

浮遊選鉱方法及び、銅の回収方法 Download PDF

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慎哉 鈴木
Shinya Suzuki
慎哉 鈴木
康也 石黒
Yasunari Ishiguro
康也 石黒
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Abstract

【課題】浮遊選鉱の対象とする鉱石に銅鉱物とともに含まれるシリカ鉱物を有効に分離することのできる浮遊選鉱方法及び、それを用いる銅の回収方法を提供する。【解決手段】この発明の浮遊選鉱方法は、鉱物及びシリカ鉱物を含む鉱石に対して浮遊選鉱を行う方法であって、前記鉱石が混ぜ合わされたスラリーに、FeS2の浮遊を抑制するための抑制剤を添加し、シリカ鉱物の浮遊を抑制するものである。【選択図】なし

Description

この発明は、銅鉱物を含む鉱石と液体が混ぜ合わされたスラリーに、所定の薬剤を添加して、スラリー中の銅鉱物を他の鉱物から分離させる浮遊選鉱法を用いて銅品位改善方法及び、それを用いる銅の回収方法に関するものである。さらには、所定の工程の負荷軽減に寄与することのできる技術を提案するものである。
銅鉱物は、石英などのシリカ鉱物とともに様々な鉱石に含まれるものであり、鉱石によっては一次硫化銅鉱、酸化銅鉱ないし二次硫化銅鉱の形態をなす。
銅鉱物を鉱石から分離させるには通常、浮遊選鉱法が用いられる。浮遊選鉱法では、その前工程で微細化された鉱石と水などの液体とが混合したスラリーを、浮遊選鉱槽内に投入し、所望の鉱物のみを浮遊させるための捕収剤、フロスを形成するための起泡剤、pH調整剤その他の薬剤、場合によってはその他の鉱物の浮遊を抑える抑制剤を添加して攪拌し、所望の鉱物を浮上させて、これを回収する。また、上述した薬剤は、その前工程で添加する場合もある。
銅を回収するべく鉱石から銅鉱物を分離させるに当っては、分離性よりも浮鉱として回収すべき鉱物の回収率(銅の採収率)を重視する粗選と、粗選段階での浮鉱中に紛れ込んでいる本来、沈鉱とすべきパイライトやシリカを出来るだけ分離して沈め、銅の品位を高めることを重視する精選とを含む複数段階の浮遊選鉱を行うことが一般的である。
このうち精選では、最終的に得られる銅精鉱の品位を高めることを目的として、当該品位の低下の主な原因となるパイライト(FeS2)を分離して除去するため、pHを比較的高くして調整する他、場合によってはさらにシアンを含む抑制剤を添加し、パイライトの浮遊を抑制していた。なお近年は、環境面及び健康面への配慮の観点より、特許文献1及び非特許文献1等に記載されているように、シアンに代わる抑制剤が用いられつつある。
この抑制剤を、粗選ではなく精選で添加することとしていた理由は主に、精選で添加することで添加量が少なくなることによるコストの低減のためである。これはすなわち、粗選にてpHを比較的高くして調整することで、ある一定のパイライトは抑制されるが、粗選で抑制剤を添加すると、粗選に供する鉱石に含まれる多量のパイライトに応じて、多くの抑制剤が必要となって、それにより薬剤コストが上昇することが懸念される。
加えて、粗選で上記の抑制剤を添加した場合は、パイライトと片刃粒子として存在している銅鉱物などの有価鉱物の浮遊まで抑制されて採収率が低下するおそれがあると考えられていた。また、抑制剤の添加によるパイライトの浮遊抑制の効果は、粗選または精選のいずれで添加しても同様であるという理解であった。
したがって、従来は、抑制剤を精選以外の工程で添加することは、特にコスト上昇を避けるとの観点から全く検討されていなかった。
米国特許出願公開第2014/0305848号明細書
E.A. Agorhom et al., "Diethylenetriamine depression of Cu-activated pyrite hydrophobized by xanthate", Minerals Engineering, UK, Elsevier, March 2014, Volume 57, P.36-42
ところで、浮遊選鉱法の対象とする鉱石には、上述した銅鉱物等の有価金属を含む鉱物の他、石英などのシリカ鉱物もまた少なくない量で含まれる。
このようなシリカ鉱物を、早い段階、たとえば粗選の段階で効果的に除去することができれば、浮遊選鉱後に得られる銅精鉱の品位を向上させることができるとともに、精選等のその後の工程の負荷が軽減されるので望ましい。
この発明は、このような問題を解決することを課題とするものであり、その目的は、浮遊選鉱の対象とする鉱石に銅鉱物とともに含まれるシリカ鉱物を有効に分離することのできる浮遊選鉱方法及び、それを用いる銅の回収方法を提供することにある。
発明者は鋭意検討の結果、パイライトの浮遊を抑制するための抑制剤を、銅鉱物及びシリカ鉱物を含む鉱石が混ぜ合わされたスラリーに添加した場合に、シリカ鉱物の浮遊が有効に抑制されることを新たに見出した。これは、当該抑制剤の種類にもよるが、従来は銅の被膜に覆われていたことによって浮遊選鉱時に銅鉱物とともに浮上していたシリカ鉱物に、抑制剤が作用して、その銅の被膜が取り除かれることにより、シリカ鉱物がその本来的な性質に基いて浮遊しなくなることによるものと考えられる。但し、この発明は、このような理論に限定されるものではない。
このような知見の下、この発明の浮遊選鉱方法は、銅鉱物及びシリカ鉱物を含む鉱石に対して浮遊選鉱を行う方法であって、前記鉱石が混ぜ合わされたスラリーに、FeS2の浮遊を抑制するための抑制剤を添加し、シリカ鉱物の浮遊を抑制することにある。
この発明では、前記抑制剤が、銅と錯体を形成する薬剤を含むことが好ましい。そして、このような銅と錯体を形成する薬剤は、ジエチレントリアミンを含むことがより一層好ましい。
この場合においては、前記銅鉱物として一次硫化銅鉱を含む銅鉱物を含む鉱石を対象とし、当該鉱石が混ぜ合わされたスラリーに、前記抑制剤を添加することが好適である。特に、前記銅鉱物として、二次硫化銅鉱の含有割合よりも一次硫化銅鉱の含有割合が多い銅鉱物を含む鉱石を対象とすることがさらに好ましい。
なお、この発明の浮遊選鉱方法では、前記鉱石に前記シリカ鉱物が脈石として含まれることがある。
この発明の銅の回収方法は、銅鉱物及びシリカ鉱物を含む鉱石から銅を回収する方法であって、前記鉱石に対して浮遊選鉱を行い、浮鉱を得る粗選工程と、前記粗選工程で得られた浮鉱に対し、浮遊選鉱を行う精選工程とを含み、前記粗選工程で、上記のいずれかの浮遊選鉱方法を用いることにある。
この発明の浮遊選鉱方法によれば、銅鉱物及びシリカ鉱物を含む鉱石が混ぜ合わされたスラリーに、パイライトの浮遊を抑制するための抑制剤を添加することにより、シリカ鉱物の浮遊を有効に抑制することができる。
実施例の試験例1のサンプルAに対し、異なる抑制剤を用いて浮遊選鉱を行って得られた各鉱石中のCu、Feの含有量を示すグラフである。 実施例の試験例1のサンプルAに対し、異なる抑制剤を用いて浮遊選鉱を行って得られた各鉱石中のSiの含有量及びMassを示すグラフである。 実施例の試験例1のサンプルBに対し、異なる抑制剤を用いて浮遊選鉱を行って得られた各鉱石中のCu、Feの含有量を示すグラフである。 実施例の試験例1のサンプルBに対し、異なる抑制剤を用いて浮遊選鉱を行って得られた各鉱石中のSiの含有量及びMassを示すグラフである。 実施例の試験例2のサンプルAに対し、抑制剤のDETAの添加量を変化させて浮遊選鉱を行って得られた各鉱石中のCu、Feの含有量を示すグラフである。 実施例の試験例2のサンプルAに対し、抑制剤のDETAの添加量を変化させて浮遊選鉱を行って得られた各鉱石中のSiの含有量及びMassを示すグラフである。 実施例の試験例2のサンプルBに対し、抑制剤のDETAの添加量を変化させて浮遊選鉱を行って得られた各鉱石中のCu、Feの含有量を示すグラフである。 実施例の試験例2のサンプルBに対し、抑制剤のDETAの添加量を変化させて浮遊選鉱を行って得られた各鉱石中のSiの含有量及びMassを示すグラフである。 実施例の試験例3の精選で回収した銅精鉱の銅品位と回収率との関係を示すグラフである。
以下に、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態の浮遊選鉱方法は、銅鉱物及びシリカ鉱物を含む鉱石が混ぜ合わされたスラリーに、FeS2の浮遊を抑制するための抑制剤を添加し、シリカ鉱物の浮遊を抑制するものであり、たとえば粗選工程及びその後の精選工程を行って銅を回収する場合は、好ましくは、浮遊選鉱前の鉱石に多くのシリカ鉱物が含まれる粗選工程で、上記の実施形態の浮遊選鉱を行う。
(鉱石)
この発明の実施形態で浮遊選鉱の対象とする鉱石は、たとえば、所定の鉱山から採掘された採掘鉱石に、破砕し、その後所定の大きさになるように磨鉱して得られたものである。
このような鉱石は、少なくとも銅鉱物及びシリカ鉱物を含むものであり、その他に副産物となる黄鉄鉱(パイライト)、輝水鉛鉱(モリブデナイト)、金、銀等を含むことがある。鉱石の品位としては、たとえば、銅の含有量が0.20重量%〜1.50重量%であり、珪素の含有量が25質量%〜40質量%であり、鉄の含有量が0.50重量%〜5.00重量%である場合があるが、この品位は鉱石により異なるので、特にこれに限定されるものではない。
鉱石中の脈石には、有価金属(すなわち、ここでは銅)を含む鉱物(Chalcopyrite、Chalcocite、Bornite、Covellite及びBrochantite)以外の鉱物を意味し、具体的には、少なくとも石英(SiO2)を含み、さらに、珪酸塩鉱物(Albite、Orthoclase、Muscovite、Plagioclase、Sanidine、Biotite、Kaolinite等)、黄鉄鉱(Pyrite)及び、磁硫鉄鉱(Pyrrhotite)からなる群から選択される一種以上を含む場合がある。この発明では、これらのうち、少なくとも珪酸塩鉱物(シリカ鉱物)を含む鉱石を対象とする。
鉱石中の銅鉱物は、一次硫化銅鉱、二次硫化銅鉱、酸化銅鉱に区別される。一次硫化銅鉱中の銅鉱物としては、黄銅鉱、班銅鉱、硫砒銅鉱等を挙げることができる。二次硫化銅鉱中の銅鉱物としては、輝銅鉱、銅藍等を挙げることができる。酸化銅鉱中の銅鉱物としては、ブロシャン銅鉱、珪孔雀石等を挙げることができる。
(浮遊選鉱法)
浮遊選鉱法を行うには、上述したような鉱石を、水若しくは石灰水等の液体と混ぜ合わせてスラリーとし、このスラリーを浮遊選鉱槽に添加する。その後は、浮遊選鉱槽に、所望の鉱物のみを浮遊させるための捕収剤、フロスを形成するための起泡剤その他の薬剤を添加し、場合によってはその他の鉱物の浮遊を抑える抑制剤を添加し、所定のpHになるようにpH調整剤を添加したところで大気の導入ガスを給気し、もしくは自給式で給気し、スキンマーの回転下で浮遊選鉱を行い、フロスを回収する。この際に浮遊選鉱槽から自然にオーバーフローさせることもある。また、浮遊選鉱槽に添加する各種薬剤は、スラリーにした場合に添加する場合もある。
ここにおいて、この発明の実施形態では、上記の抑制剤として、FeS2の浮遊を抑制するための抑制剤を用いることとし、そして、この抑制剤により、スラリー中の鉱石に含まれるシリカ鉱物の浮遊を抑制する。
その結果、浮上した鉱石中に含まれ得るシリカ鉱物の量が十分少なくなり、銅精鉱の品位を改善することができる。また、後述するように銅の回収方法における粗選工程と精選工程のうちの粗選工程で、抑制剤を添加する上記の浮遊選鉱を行うことにより、粗選工程前の鉱石に多量に含まれるシリカ鉱物の浮遊が抑制されて、これを分離できるので、精選工程ではシリカ鉱物がほとんど含まれない鉱石を対象とすることができて、精選工程で浮遊選鉱を行う鉱石の量が減るので、精選工程の負荷を軽減することができる。
抑制剤は、銅と錯体を形成する薬剤を含むことが好ましく、このような薬剤としては、たとえば、ジエチレントリアミン(いわゆるDETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)を含むもの等を挙げることができる。
このことによれば、多くのシリカ鉱物は微量の銅鉱物に覆われていることによって、浮遊選鉱時に浮上しようとするも、銅と錯体を形成する薬剤を含む抑制剤が、シリカ鉱物を取り囲む銅鉱物を取り除くべく作用し、それにより、シリカ鉱物はその本来の性質のとおり、浮上しないようになる。なかでも、ジエチレントリアミンを含む薬剤が好適である。
あるいは、その他の抑制剤としては、A7261−A(商品名、Cytec社製)、デキストリン(Dextrin)、DP−3120(商品名、Pionera社製、Chemically modified biopolymer)、リグノスルホン酸カルシウム(Lignosulfonate calcium、LSC)、A7260(商品名、Cytec社製)、Starch(でんぷん)または、亜硫酸ナトリウム(Sodium sulfite)等を挙げることができる。
上述したような抑制剤は、後述する試験より、鉱石中の銅鉱物が、一次硫化銅鉱または二次硫化銅鉱のいずれを主体とするものであるかに応じて、シリカ鉱物の浮遊抑制についての効果が異なることが解かった。
ジエチレントリアミン等の銅と錯体を形成する薬剤を含む抑制剤や、亜硫酸ナトリウムを含む抑制剤を添加する場合は、一次硫化銅鉱を含有する銅鉱物を含む鉱石を対象とすると、シリカ鉱物の浮遊をより有効に抑制することができる。より好ましくは、二次硫化銅鉱の含有割合よりも一次硫化銅鉱の含有割合が多い銅鉱物を含む鉱石を対象とする。また、鉱石に含まれる銅鉱物中の酸化銅鉱、一次硫化銅鉱および二次硫化銅鉱の合計含有量における一次硫化銅鉱の含有量の占める割合が60質量%以上である場合に特に有効である。
なおここで、銅鉱物中の酸化銅鉱、一次硫化銅鉱および二次硫化銅鉱の各含有割合は、所定のシーケンシャル分析により測定する。このシーケンシャル分析は、はじめに、酸化銅鉱分析として、対象の銅鉱物を一定粒度に粉砕したサンプルにクエン酸を加え一定時間撹拌して、溶出した銅を定量し、これを酸化銅鉱の量(CuAC)とする。次いで、二次硫化銅鉱分析として、酸化銅鉱分析後に固液分離して得られた固体部分にシアン化ソーダ液を加え一定時間撹拌して、溶出した銅を定量し、これを二次硫化銅鉱の量(CuCNS)とする。最後に、一次硫化銅鉱分析として、二次硫化銅鉱分析後に固液分離して得られた固体部分に硝酸及び過塩素酸を加え、ホットプレート上で乾固後、塩酸と蒸留水を加え、固体を溶解させ、溶出した銅を定量し、これを一次硫化銅鉱の量(CuINS)とする。各分析において、溶出した銅の定量は、ICP発光分光分析法(ICP−AES)を用いて行う。
また、銅鉱物中の酸化銅鉱、一次硫化銅鉱および二次硫化銅鉱の各含有割合を、MLA(Mineral Liberation Analyzer)などの分析装置を用いて測定してもよい。
浮遊選鉱時の抑制剤の添加量は、浮遊選鉱に供する鉱石1t当りの量で、たとえば0g/tより大〜1000g/t、好ましくは25g/t〜500g/tとすることができる。抑制剤の添加量が少なすぎると、シリカ鉱物の浮遊を十分に抑制できない結果として、銅精鉱の品位を所期したほどに向上できない可能性がある。一方、抑制剤の添加量が多すぎると、シリカ鉱物の浮遊を抑制する効果をさらに大きく高めることができないにも関わらず、有価鉱物の浮遊が抑制されて採収率が低下することや添加量が増大することによるコストの上昇が懸念される。
上述したことを除いて、この実施形態の浮遊選鉱は、一般的な浮遊選鉱と同様の条件で行うことができる。
たとえば、スラリーのpHはアルカリ性領域とした後に浮遊選鉱を実施することができる。より具体的には、スラリーのpHは8以上とすることができ、8〜12の範囲内とすることが好ましく、特に9〜11とすることがより好ましい。また、スラリーの酸化還元電位(銀/塩化銀電位基準)が−150mV〜100mVの範囲内となってから浮遊選鉱を開始することが好適である。浮遊選鉱は、0.5分〜20分にわたって攪拌しながら行うことができる
(銅の回収方法)
以上に述べた浮遊選鉱方法を用いて、銅鉱物及びシリカ鉱物を含む鉱石から銅を回収することができる。
この銅の回収方法は、上記の鉱石に対して浮遊選鉱を行い、浮鉱を得る粗選工程と、粗選工程で得られた浮鉱に対し、浮遊選鉱を行う精選工程とを含むものであり、それにより銅精鉱を得る。なおここで、粗選とは、分離性よりも、浮鉱として回収すべき鉱物(有価鉱物)の回収率を重視した浮選を意味するのに対し、精選とは、粗選段階での浮鉱中に紛れ込んでいる本来、沈鉱とすべきパイライトやシリカを出来るだけ分離して沈め、銅精鉱中の銅の品位を高めるために行う浮選を意味し、当業界では明確に区別されている。
そして、上述した浮遊選鉱方法は、粗選工程及び精選工程のうちの少なくとも粗選工程で用いることが好ましい。つまり、粗選工程で、鉱石が混ぜ合わされたスラリーに、先に述べたようなFeS2の浮遊を抑制するための抑制剤を添加することが好適である。それにより、粗選工程前のシリカ鉱物を多量に含む鉱石から、粗選工程で多くの当該シリカ鉱物を分離して除去することができるので、精選工程で浮遊選鉱を行う鉱石の量を減らすことができて、精選工程の負荷を軽減できるからである。但し、このことは、精選工程への当該浮遊選鉱方法の適用を除外するものではなく、精選工程で抑制剤を添加してもよい。この場合、粗選工程を経た後で精選工程前の鉱石に含まれ得るシリカ鉱物やパイライトの、精選工程の浮遊選鉱時の浮遊を抑制することができる。
次に、この発明の浮遊選鉱方法を試験的に実施し、その効果を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであって、これに限定されることを意図するものではない。
(試験例1)
表1に示すサンプルA及びBのそれぞれの鉱石について、表2、3に示すように抑制剤を用いないか、または異なる抑制剤を用いて浮遊選鉱試験を行った。
ここで、いずれのサンプルA及びBも、磨鉱を行って得られたものであり、その粒度P80は160μmであった。表1から解かるように、サンプルAは、一次硫化銅鉱が主体の銅鉱物を含む鉱石であり、サンプルBは、一次硫化銅鉱と二次硫化銅鉱がほぼ同程度の量である銅鉱物を含む鉱石である。なお表1は、サンプルA及びBのそれぞれの組成をMLAで解析して得られた結果である。
浮遊選鉱試験は、浮遊選鉱槽で、抑制剤を用いたものはその添加量を、鉱石1t当たりの量で100g/tもしくは500g/tとし、捕収剤を吸着させる目的や起泡剤を全体に分散させる目的等で浮選試薬添加後から浮選実施までの間の撹拌時間である条件付を3分実施後、10分間の浮遊選鉱を行った。その試験結果として、浮遊選鉱で回収した鉱石中の各成分を表2及び3に、またそのうちのCu、Fe及びSiの含有量を図1〜4に示す。なお、表2及び3ならびに図2及び4中の「mass」は、浮遊選鉱槽に投入した鉱石の量に対する浮遊選鉱で浮上して回収された鉱石の量に対する割合(%)であり、浮鉱率を意味する。
表2及び3ならびに図2、4に示すところから、抑制剤を添加した試験では、抑制剤を添加しない試験(None)に比して、回収した鉱石中のSi含有量が低減されていることから、シリカ鉱物の浮遊が有効に抑制されたことが解かる。
また、DETAおよびSodium sulfite、特にDETAは、一次硫化銅鉱が主体の銅鉱物を含むサンプルAでSi含有量が大きく低減されていることから、一次硫化銅鉱を含有する銅鉱物が含まれる鉱石に対する浮遊選鉱に有効であると考えられる。また、DETA、Dextrin、DP−3120、A7260およびStarchの抑制剤は、二次硫化銅鉱を含有する銅鉱石を含むサンプルBでSi含有量が大きく低減されており、二次硫化銅鉱を含有する銅鉱物が含まれる鉱石に対する浮遊選鉱に有効であることが解かった。
(試験例2)
試験例1と同様のサンプルA及びBに対し、抑制剤としてDETAを用いて、試験例1と同様の条件の下、抑制剤の添加量を0〜500g/tの間で変化させて浮遊選鉱試験を行った。その結果を図5〜8に示す。
図5〜8に示すところから、サンプルAでは、DETAの添加量を25g/t以上とした場合に、シリカ鉱物の浮遊がより有効に抑制されたことが解かる。
(試験例3)
試験例1と同様のサンプルAに対し、粗選および精選を順次に行い、それにより得られた銅精鉱の品位を確認した。粗選前の磨鉱後粒度P80は160μmであり、粗選時はpHを10、浮選時間を20分とし、また精選前の磨鉱後粒度P80は45μmであり、精選時はpHを11.5、浮選時間を10分とした。粗選もしくは精選の工程前に抑制剤を添加したものでは添加した抑制剤はDETAとし、その添加量を50g/tとし、条件付を3分実施後に、浮遊選鉱試験を行った。その結果を表4および図9に示す。
表4は、粗選で投入した鉱石に対する粗選で回収された鉱石の割合である浮鉱率を示したものである。ここで回収された鉱石を次工程の精選に用いた。
また図9は、DETAを添加しなかったもの、粗選時にDETAを添加したもの、精選時にDETAを添加したもののそれぞれについて、グラフ中の各プロットの近傍に示す各経過時間で採取した浮遊物の試料中の銅の品位と回収率を示したものである。
表4より、粗選でのDETAの添加によって浮鉱率が低下していることから、その後の精選での工程の負荷を軽減できることが解かる。また図9より、粗選でDETAを添加した場合は、銅精鉱の高い銅品位が得られている。
以上より、この発明によれば、シリカ鉱物を有効に分離することができ、また、浮遊選鉱後に得られる銅精鉱の銅品位の向上、精選工程の負荷軽減を実現できることが解かった。

Claims (7)

  1. 銅鉱物及びシリカ鉱物を含む鉱石に対して浮遊選鉱を行う方法であって、前記鉱石が混ぜ合わされたスラリーに、FeS2の浮遊を抑制するための抑制剤を添加し、シリカ鉱物の浮遊を抑制する浮遊選鉱方法。
  2. 前記抑制剤が、銅と錯体を形成する薬剤を含む請求項1に記載の浮遊選鉱方法。
  3. 銅と錯体を形成する薬剤が、ジエチレントリアミンを含む請求項2に記載の浮遊選鉱方法。
  4. 前記銅鉱物として一次硫化銅鉱を含む銅鉱物を含む鉱石を対象とし、当該鉱石が混ぜ合わされたスラリーに、前記抑制剤を添加する請求項3に記載の浮遊選鉱方法。
  5. 前記銅鉱物として、二次硫化銅鉱の含有割合よりも一次硫化銅鉱の含有割合が多い銅鉱物を含む鉱石を対象とする請求項4に記載の浮遊選鉱方法。
  6. 前記鉱石に前記シリカ鉱物が脈石として含まれる請求項1〜5のいずれか一項に記載の浮遊選鉱方法。
  7. 銅鉱物及びシリカ鉱物を含む鉱石から銅を回収する方法であって、前記鉱石に対して浮遊選鉱を行い、浮鉱を得る粗選工程と、前記粗選工程で得られた浮鉱に対し、浮遊選鉱を行う精選工程とを含み、
    前記粗選工程で、請求項1〜6のいずれか一項に記載の浮遊選鉱方法を用いる、銅の回収方法。
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