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JP2019098330A - 複合半透膜およびその製造方法 - Google Patents

複合半透膜およびその製造方法 Download PDF

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JP2019098330A
JP2019098330A JP2018224648A JP2018224648A JP2019098330A JP 2019098330 A JP2019098330 A JP 2019098330A JP 2018224648 A JP2018224648 A JP 2018224648A JP 2018224648 A JP2018224648 A JP 2018224648A JP 2019098330 A JP2019098330 A JP 2019098330A
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修治 古野
Shuji Furuno
修治 古野
洋帆 広沢
Hiroho Hirozawa
洋帆 広沢
芳機 西口
Yoshiki Nishiguchi
芳機 西口
清彦 高谷
Kiyohiko Takaya
清彦 高谷
山田 博之
Hiroyuki Yamada
博之 山田
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Abstract

【課題】透水性と耐久性を両立した複合半透膜およびその製造方法を提供する。【解決手段】複合半透膜において、基材と基材上に設けられた多孔質支持層と、多孔質支持層上に設けられた分離機能層とを備える複合半透膜であって、多孔質支持層は、分離機能層に接する緻密層と、緻密層と基材との間に位置する混合層とを備える複合半透膜。【選択図】図1

Description

本発明は、液状混合物の選択的分離に有用な複合半透膜およびその製造方法に関する。本発明によって得られる複合半透膜は、例えば海水やかん水の淡水化に好適に用いることができる。
混合物の分離に関して、溶媒(例えば水)に溶解した物質(例えば塩類)を除くための技術には様々なものがあるが、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして膜分離法の利用が拡大している。膜分離法に使用される膜には、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜などがあり、これらの膜は、例えば海水、かん水、有害物を含んだ水などから飲料水を得る場合や、工業用超純水の製造、排水処理、有価物の回収などに用いられている。
現在市販されている逆浸透膜およびナノろ過膜の大部分は複合半透膜である。特許文献1には、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応によって得られる架橋ポリアミドからなる分離機能層を多孔質支持体上に被覆して得られる複合半透膜が開示されている。
逆浸透膜による分離を行うに際しては、供給水側の浸透圧と透過水側の浸透圧の差以上の圧力を供給水側にかけることが必要であり、特に供給水の溶質濃度が高く、浸透圧が高い場合には高い圧力を操作圧力として必要とする。さらに、供給水に対する透過水の量の割合(これを収率という)が高くなると濃縮水の溶質濃度が高くなるため高い圧力を操作圧力として必要とする。例えば海水淡水化の場合、濃度3.5重量%の海水の浸透圧はおよそ2.5MPaであり、収率40%で淡水化を行うと濃縮水の濃度は約6重量%で、その濃縮水の浸透圧(約4.4MPa)以上の操作圧力が必要である。透過水の水質と水量を十分に得るためには、実際には濃縮水の浸透圧よりも約2MPa(この圧力を有効圧力と呼ぶ)程度高めの圧力を濃縮水側に加えることが必要である。従来の一般的な海水淡水化では6〜6.5MPa程度の圧力をかけて収率40%程度の条件で運転されている。一方、高濃度溶液の分離・濃縮の場合など7MPa以上の圧力で逆浸透膜装置が運転されている例がある(特許文献2)。
特開平5−76740号公報 特開平10−305216号公報
これまで提案されてきた複合半透膜では、特に高圧付加運転時において、透水性が低下することがある。本発明の目的は、高圧付加運転時でも透水性を維持することのできる複合半透膜を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は以下のいずれかの構成を有する。
[1] 基材と、
前記基材上に設けられた多孔質支持層と、
前記多孔質支持層上に設けられた分離機能層と
を備える複合半透膜であって、
前記多孔質支持層は、多孔質である第1樹脂部と、前記第1樹脂部の有する孔の内部に存在し、かつ前記第1樹脂部と異なる組成を有する第2樹脂部と、を有する
複合半透膜。
[2] 前記第2樹脂部と前記分離機能層との間に存在する第1樹脂部の最小厚みT1は0.5μm以上である
前記[1]に記載の複合半透膜。
[3] 前記第2樹脂部は、前記多孔質支持層の厚みの20%以上に渡って分散して存在する
[1]または[2]に記載の複合半透膜。
[4] 前記複合半透膜は、その厚み方向に平行な断面であって、前記多孔質支持層において前記第2樹脂部が1%から49%の面積を占める断面を有する、
前記[1]〜[3]のいずれかに記載の複合半透膜。
[5]前記複合半透膜は、その厚み方向に平行な断面において、0.0025μm以上10μm以下の面積を有する前記第2樹脂部を備える
前記[1]〜[4]のいずれかに記載の複合半透膜。
[6] 前記第1樹脂部と前記第2樹脂部とは、互いに相溶しない樹脂を含有する、
前記[1]〜[5]のいずれかに記載の複合半透膜。
[7] 前記第1樹脂部はポリスルホンを含有し、
前記第2樹脂部は、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、酢酸セルロース、ABS樹脂、ポリ塩化ビニルおよび塩素化塩化ビニルからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有する
前記[1]〜[6]のいずれかに記載の複合半透膜。
[8] 前記分離機能層は架橋芳香族ポリアミドを含有する
前記[1]〜[7]のいずれかに記載の複合半透膜。
[9](1)基材に、樹脂Aおよび前記樹脂Aと非相溶な樹脂Bを含有する溶液を塗布すること、
(2)前記溶液を塗布された前記基材を凝固浴に浸漬させることで多孔質支持層を形成すること、
(3)前記多孔質支持層上に分離機能層を形成すること、
を含む複合半透膜の製造方法。
本発明の複合半透膜は、多孔質支持層が多孔質の第1樹脂部とその孔の中に存在する第2樹脂部とを有することで、高圧付加運転での多孔質支持層の厚み変化を抑制することができる。その結果、透水性が維持される。
本発明の複合半透膜の一実施形態例の断面図である。 海島構造を持つ多孔質支持層の断面写真である。
1.複合半透膜
本実施形態の複合半透膜1は、支持膜2と分離機能層5とを備える。支持膜2は、基材3と、基材3上に設けられた多孔質支持層4とを備える。複合半透膜1は、ナノろ過膜または逆浸透膜として好適である。
(1−1)基材
基材は、分離膜に強度を与える役割を担う。基材は水を通すように多孔性であることが好ましい。具体的には、基材としては、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリオレフィン系重合体、あるいはこれらの混合物や共重合体等のポリマーを材料とした布帛が挙げられる。より優れた機械的強度、耐熱性、耐水性等を有する多孔質支持層を得ることができることから、ポリエステル系重合体が好ましい。
ポリエステル系重合体とは、酸成分とアルコール成分からなるポリエステルである。酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸およびフタル酸などの芳香族カルボン酸、アジピン酸やセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、およびシクロヘキサンカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸などを用いることができる。また、アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールなどを用いることができる。
ポリエステル系重合体の例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂およびポリブチレンサクシネート樹脂等が挙げられ、またこれらの樹脂の共重合体も挙げられる。
布帛としては不織布が好ましく用いられる。不織布としては、長繊維不織布および短繊維不織布が挙げられる。長繊維不織布は基材には高分子重合体の溶液を流延した際の浸透性に優れ、多孔質支持層が剥離すること、さらには基材の毛羽立ち等により複合半透膜が不均一化すること、及びピンホール等の欠点が生じることを抑制できる。また、基材が熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなることにより、短繊維不織布を用いたときに起こる、毛羽立ちによって生じる熱可塑性樹脂溶液流延時の不均一化や、膜欠点を抑制することができる。また、複合半透膜の連続製膜においては、製膜方向に対し張力がかけられることからも、基材にはより寸法安定性に優れる長繊維不織布を用いることが好ましい。
長繊維不織布は、成形性、強度の点で、多孔質支持層側とは反対側の表層における繊維が、多孔質支持層側の表層の繊維よりも縦配向であることが好ましい。そのような構造によれば、強度を保つことで膜破れ等を防ぐ高い効果が実現されるだけでなく、分離機能層に凹凸を付与する際の、多孔質支持層と基材とを含む積層体としての成形性も向上し、分離機能層表面の凹凸形状が安定するので好ましい。より具体的には、長繊維不織布の、多孔質支持層側とは反対側の表層における繊維配向度は、0°〜25°であることが好ましく、また、多孔質支持層側表層における繊維配向度との配向度差が10°〜90°であることが好ましい。
分離膜の製造工程やエレメントの製造工程においては加熱する工程が含まれるが、加熱により多孔質支持層または分離機能層が収縮する現象が起きる。特に連続製膜において張力が付与されていない幅方向において顕著である。収縮することにより、寸法安定性等に問題が生じるため、基材としては熱寸法変化率が小さいものが望まれる。基材である不織布において多孔質支持層とは反対側の表層における繊維配向度と多孔質支持層側表層における繊維配向度との差が10°〜90°であると、熱による幅方向の変化を抑制することもでき、好ましい。
ここで、繊維配向度とは、基材である不織布の繊維の向きを示す指標であり、連続製膜を行う際の製膜方向を0°とし、製膜方向と直角方向、すなわち基材である不織布の幅方向を90°としたときの、基材である不織布を構成する繊維の平均の角度のことを言う。よって、繊維配向度が0°に近いほど縦配向であり、90°に近いほど横配向であることを示す。
繊維配向度は、基材である不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、該サンプルの表面を走査型電子顕微鏡で100〜1000倍で撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維について、基材である不織布の長手方向(縦方向、製膜方向)を0°とし、基材である不織布の幅方向(横方向)を90°としたときの角度を測定し、それらの平均値を、小数点以下第一位を四捨五入して繊維配向度として求める。
基材と後述の多孔質支持層とを合わせた支持膜2の厚みは、50〜300μmの範囲内にあることが好ましく、60〜250μmの範囲内にあることがより好ましい。
基材の厚みは10〜200μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは30〜150μmの範囲内である。
(1-2)多孔質支持層
多孔質支持層4は、イオン等の分離性能を実質的に有さず、分離性能を実質的に有する分離機能層に強度を与える。
多孔質支持層の厚みT0は10μm以上100μm以下の範囲内であることが好ましい。
図1に示すように、多孔質支持層4は、第1樹脂部41と、第2樹脂部42とを備える。第1樹脂部41は海部であり、第2樹脂部42は第1樹脂部41内に分散して存在する島部であるともいえる。より具体的には、第1樹脂部41の中に、第2樹脂部である粒子が分散して存在する。つまり、多孔質支持層4内には、複数の第2樹脂部42が存在する。
第1樹脂部41は多孔質である。第2樹脂部42は、第1樹脂部41よりも小さい空隙率を有していればよく、多孔質であっても、多孔質でなくてもよい。第2樹脂部42を有することで、複合半透膜1は、高い圧力がかけられても多孔質支持層4の厚みを維持することができるので、透水性の低下を抑制することができる。また、多孔質支持層4の厚みを維持することで、分離膜等の部材がエレメントの端部から飛び出すチャネリングの発生が抑制される。図2は多孔質支持層4の断面写真の一例である。
空隙率の算出方法は以下のとおりである。
複合半透膜を液体窒素に浸漬して凍結させる。凍結した複合半透膜を膜面方向に垂直に切断する。解凍後、膜断面に白金パラジウムまたは四酸化ルテニウムをコーティングする。
コーティングされた試料断面を1〜6kVの加速電圧で走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察する。倍率は、多孔質支持層の表面から基材表面までの膜断面全体が観察できるように設定されればよい。例えば多孔質支持層の膜厚が50μmであれば、観察倍率は1,000〜10,000が好ましい。観察倍率を考慮することで、得られた電子顕微鏡写真から多孔質支持層の厚みをスケールなどで直接測ることができる。
第1樹脂部41の空隙率を算出するときは、断面全体の面積(幅×厚み)S1を算出する。S1は第1樹脂部41全体の面積である。得られた画像に透明なフィルムを重ねて、空隙に該当する部分を油性インキ等で塗りつぶす。なお、第1樹脂部41の空隙率を測定するときには、第2樹脂部42は空隙と見なす。イメージアナライザーを用いて、塗りつぶされた部分の面積(つまり空隙の面積)S2を測定する。第1樹脂部の面積S1に対する空隙の面積S2の割合である空隙率S2/S1を求める。
第2樹脂部42の空隙率は、上述の断面画像に透明なフィルムを重ねて、第2樹脂部42に該当する部分を、その内部の空隙も含めて塗りつぶす。塗りつぶされた部分の面積(つまり第2樹脂部4の面積)S3をイメージアナライザーによって測定する。別のフィルムを画像に重ねて、第2樹脂部42内の空隙を塗りつぶし、その面積S4を測定する。第2樹脂部の面積S3に対する空隙率の面積S4の割合である空隙率S4/S3を求める。
少なくとも1つの断面で、第1樹脂部41よりも空隙率の小さい第2樹脂部42を含む画像が観察できればよい。好ましくは、少なくとも5cmの間隔を置いた互いに平行な少なくとも5つの断面において、このような画像が観察できればよい。
第1樹脂部41の空隙率P1は40%以上であることが好ましく、45%以上または50%以上であってもよい。また、第1樹脂部41の空隙率P1は98%以下であってもよいし、95%以下または90%以下であってもよい。
第2樹脂部42の空隙率P2は、第1樹脂部の空隙率P1の60%以下であることが好ましく、40%以下、20%以下、10%以下または5%以下であってもよい。
また、第2樹脂部42は、第1樹脂部41の孔の中に存在していてもよい。「第2樹脂部が第1樹脂部の孔の中に存在する」状態において、第2樹脂部42は第1樹脂部41に囲まれており、かつ、第2樹脂部42の表面の少なくとも一部と第1樹脂部41の間に隙間がある。つまり、この形態では、第1樹脂部41は、同軸において、第2樹脂部42の外径よりも大きな径を有する孔を含む。このような構造を有することで、水が隙間を通ることができ、かつ、第1樹脂部41の孔の内壁を第2樹脂部42が支えることで、孔がつぶれるのが抑制される。なお、第1樹脂部の一部の孔の中に第2樹脂部42があればよく、全ての孔内に第2樹脂部42が存在する必要はない。
特に、マクロボイドの中に第2樹脂部42が存在することが好ましい。マクロボイドとは、長径が0.5μm以上の孔である。
多孔質支持層の断面において第2樹脂部の面積が占める割合は、1%以上であることが好ましく、49%以下であることが好ましい。具体的には、空隙率と同様に、走査型電子顕微鏡によって膜面に垂直な断面を撮影し、画像において、多孔質支持層の断面全体の面積(幅×厚み)S1に対する割合第2樹脂部の面積S3の割合S3/S1が上述の範囲であればよい。この割合が1%以上であることで、多孔質支持層のつぶれを効果的に抑制することができ、49%以下であることで、良好な透水性が得られる。また、第2樹脂部の占める面積の割合は2%以上であることがより好ましい。
また、個々に30μm以下、20μm以下、または10μm以下の断面積を有する第2樹脂部42(つまり個々の島部)が存在することが好ましい。また、5μm以下の長径を有する第2樹脂部42が存在することが好ましい。また、0.0025μm以上の断面積を有する第2樹脂部42が存在することが好ましい。また、0.001μm以上の長径を有する第2樹脂部42が存在することが好ましい。全ての第2樹脂部42がこれらの条件を満たす必要はなく、多孔質支持層の断面の1%以上をこの条件を満たす第2樹脂部42が占めればよい。
また、第2樹脂部42と分離機能層5との間に存在する第1樹脂部41の厚みの最小値T1は0.5μm以上であることが好ましい。第2樹脂部42は、少なくともその上部が0.5μmの厚みを有する第1樹脂部41で覆われていることが好まし。T1は、「多孔質支持層4と分離機能層5との界面(図1中に“A”で示す)から第2樹脂部42までの距離」と言い換えることができる。T1は1μm以上または2μm以上であってもよい。
多孔質支持層4は、界面重合による分離機能層5の形成時に、アミンを重合の場に供給する役割を担う。また、多孔質支持層4の表面は、分離機能層を構成するポリアミドの薄膜の成長の起点にもなる。多孔質支持層4の表面が第1樹脂部41で覆われていることで、アミン供給速度が膜面方向において均一になり、均質な分離機能層5が形成される。
第2樹脂部42と分離機能層5との間に存在する第1樹脂部41の厚みの最小値T1は10μm以下であることが好ましい。
また、マクロボイド43が存在する場合、値T1は、界面Aからマクロボイド43までの距離にも適用される。つまり、値T1は、界面Aから第2樹脂部までの距離または界面Aからマクロボイドまでの距離である、と言ってもよい。すなわち、マクロボイド43と分離機能層5との間には0.5μm以上の厚みの第1樹脂部41が存在することが好ましい。この場合、多孔質支持層4において、分離機能層5と多孔質支持層4との界面からの距離が0.5μm未満の領域にはマクロボイドが存在しない。よって、マクロボイドは、分離機能層5と多孔質支持層4との界面から0.5μmより離れた位置に局在する。なお、マクロボイドの全体のみでなく、一部分でも存在すれば、そこにはマクロボイドが存在すると言える。つまり、分離機能層と多孔質支持層との界面から0.3μmの位置にマクロボイドの上端があり、マクロボイドの下端が上記界面から0.7μmの位置にある場合は、マクロボイドは上記界面から0.5μm以内の領域に存在することになる。
また、前記第2樹脂部42は、前記多孔質支持層の厚みの20%以上に渡って分散して存在することが好ましい。つまり、分離機能層5に最も近い第2樹脂部42の位置(図中に“B”で示す)と、基材3に最も近い第2樹脂部42の位置(図中に“D”示す)との間の距離T2は、T0の20%以上であることが好ましい。また、T2/T1の割合は、40%以上、50%以上、70%以上であることが好ましく、100%以下または80%以下であることが好ましい。位置Dは基材3と多孔質支持層4との界面Cと一致してもよい(つまりT1+T2=T0であってもよい)。多孔質支持層4の厚みT0が10μm≦T0≦100μmである場合、2μm≦T2≦99.5μmを満たすことが好ましい。
値T2は、マクロボイドの分布についても適用される。すなわち、値T2は、上記位置Bと位置Dとの間の距離、または分離機能層5に最も近いマクロボイドの位置と基材3に最も近いマクロボイドの位置との間の距離である、と言ってもよい。
マクロボイドが存在する場合の多孔質支持層4の好ましい構成についてまとめると以下のとおりである。多孔質支持層4はその厚みがT0であり、
・第1樹脂部41と、その内部に分散した第2樹脂部42と、マクロボイド43とを含む厚みT2の混合層46と;
・混合層46と分離機能層5との間に存在し、第2樹脂部42もマクロボイド43も含まない第1樹脂部41で構成された、厚みT1の緻密層46と;
・基材3と多孔質支持層4との間に存在し、第2樹脂部42もマクロボイド43も含まない第1樹脂部41で構成された緻密層45と
を備える。

厚みT0,T1,T2は、走査型電子顕微鏡で撮影した断面像において測定できる。複合半透膜1を任意の箇所で膜面方向に垂直に切断し、断面を得る。断面の幅は10μm以上であればよい。この断面像において、多孔質支持層4全体の厚み、つまり基材3と分離機能層5との間の距離T0を測定することができる。また、島部である第2樹脂部の外縁のうちで分離機能層5に一番近い部分(頂点)と分離機能層5との距離をT1として測定することができる。複数の第2樹脂部が存在する場合は、分離機能層5に最も近い第2樹脂部42の頂点と、分離機能層5との距離(図1中のA−B間)を測定すればよい。また、分離機能層に最も近い第2樹脂部42の頂点と、基材に最も近い第2樹脂部42の頂点との距離(図1中のB−D間の距離)をT2として測定する。
多孔質支持層の表面(分離機能層側の面)の平均孔径は好ましくは100nm以下である。また、多孔質支持層の表面の平均孔径は好ましくは2nm以上である。多孔質支持層の表面の平均孔径が100nm以下であることで、多官能アミン水溶液と多官能酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液とを用いた界面重合によって分離機能層を形成する時に、多孔質支持層から重合場へのアミン溶液の供給速度が、膜面方向において均一になる。また、表面の平均孔径が2nm以上であることで、重合場に十分な量のアミンを供給することができる。
多孔質支持層表面の平均孔径は以下の手順により取得できる。次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度10,000mg/L)水溶液に一定期間浸漬処理することで複合半透膜から分離機能層を除去した後、任意の10箇所において、走査型電子顕微鏡で多孔質支持層の表面の画像を得る。1枚の画像において、任意の10個の孔の長径を測定し、その平均値を算出する。10枚の画像から10個の平均値が得られるので、さらに平均値を算出する。こうして得られる値が表面の平均孔径である。
また、多孔質支持層4の空隙率(多孔質支持層全体で空隙の占める割合)は30%以上70%以下であることが好ましい。多孔質支持層の空隙率が30%以上であることで、好適な強度が得られると共に、ポリアミド分離機能層のひだ成長に好適な表面構造を得ることができる。また、空隙率が70%以下であることで良好な透水性を得ることができる。
また、多孔質支持層4の密度は0.3g/cm以上であることが好ましい。密度は以下の操作により測定できる。5cm四方の膜から基材を剥がし得られた多孔質支持層と分離機能層との積層物についてその質量を測定する。この切片の1つの断面の5箇所において、多孔質支持層の厚みT0を測定し、その平均値を得る。このような平均値を5つの断面で得る。得られた5つの平均値から、さらに平均値を算出する。こうして得られた平均値に膜面積(25cm)を乗じて得られる値が多孔質支持層の体積である。上述の質量をこの体積で除することで、密度が得られる。分離機能層は多孔質支持層の質量に比べて非常小さいので、この手順では分離機能層の質量も多孔質支持層と共に測定し、分離機能層の質量は無視している。しかし、分離機能層の質量が無視できない程度に大きい場合は、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度10,000mg/L)水溶液に一定期間浸漬処理することによって分離機能層を除去してもよい。
多孔質支持層4の組成は特に限定されないが、多孔質支持層4は樹脂によって形成され、特に熱可塑性であることが好ましい。ここで、熱可塑性の樹脂とは、鎖状高分子物質からできており、加熱すると外力によって変形または流動する性質が表れる樹脂である。
熱可塑性樹脂の例として、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリエステル、セルロース系ポリマー、ビニルポリマー、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンオキシドなどのホモポリマーあるいはコポリマーを使用することができる。ここでセルロース系ポリマーとしては酢酸セルロース、硝酸セルロースなど、ビニルポリマーとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩素化塩化ビニル、ポリアクリロニトリルなどが使用できる。中でもポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、酢酸セルロース、ABS樹脂、ビニル系共重合体、ポリ塩化ビニルあるいは塩素化塩化ビニルが好ましい。

第1樹脂部41と第2樹脂部42とは、互いに異なる組成を有する。「異なる組成」とは含有する成分が異なることを意味する。具体的には、第1樹脂部と第2樹脂部とは、互いに相溶しないことが好ましい。
第1樹脂部41は、ポリスルホンを含有することが好ましく、ポリスルホンを主成分として含有することがより好ましい。
具体的には、多孔質支持層が次の化学式に示す繰り返し単位を含むポリスルホンを含有すると、孔径が制御しやすく、寸法安定性が高いため好ましい。
なお、本書において、「XがYを主成分として含有する」とは、XがYを50重量%以上含有することを意味し、60wt%以上、70wt%以上、80wt%以上、または90wt%以上含有することを意味してもよい。また、XはYのみで構成されていてもよい。
第2樹脂部は、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、酢酸セルロース、ABS樹脂、ビニル系共重合体、ポリ塩化ビニルおよび塩素化塩化ビニルからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有することが好ましく、これらの樹脂を主成分として含有することがより好ましい。なお、第2樹脂部42が複数の樹脂を含有する場合、上に例示した樹脂の重量の合計が第2樹脂部の重量の60%以上であれば、「主成分として含有する」に該当する。
(1−2)分離機能層
分離機能層5は、複合半透膜において溶質の分離機能を担う層である。分離機能層の組成および厚み等の構成は、複合半透膜の使用目的に合わせて設定される。
(ポリアミド製分離機能層)
分離機能層は、ポリアミドを主成分として含有することができる。分離機能層を構成するポリアミドは、架橋芳香族ポリアミドであることが好ましい。
分離機能層の厚みは、十分な分離性能および透過水量を得るために、通常0.01〜1μmの範囲内が好ましく、0.1〜0.5μmの範囲内がより好ましい。分離機能層の厚みは、これまでの分離膜の膜厚測定法に準ずることができる。例えば、分離膜を樹脂により包埋し、それを切断することで超薄切片を作製し、得られた切片に染色などの処理を行う。その後、透過型電子顕微鏡により観察することで、厚みの測定が可能である。
また、分離機能層はひだ構造を有することが好ましい。
ポリアミドは多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合により形成されたものであることが好ましい。ここで、多官能アミンまたは多官能酸ハロゲン化物の少なくとも一方が3官能以上の化合物を含んでいることが好ましい。
ここで、多官能アミンとは、一分子中に第一級アミノ基及び第二級アミノ基のうち少なくとも一方を2個以上有し、そのアミノ基のうち少なくとも1つは第一級アミノ基であるアミンを言う。例えば、2個のアミノ基がオルト位やメタ位、パラ位のいずれかの位置関係でベンゼン環に結合したフェニレンジアミン、キシリレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、3−アミノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミンなどの芳香族多官能アミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどの脂肪族アミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4−アミノピペリジン、4−アミノエチルピペラジンなどの脂環式多官能アミン等を挙げることができる。中でも、膜の選択分離性や透過性、耐熱性を考慮すると、一分子中に第一級アミノ基および第二級アミノ基のうち少なくとも一方を2〜4個有する芳香族多官能アミンであることが好ましい。このような多官能芳香族アミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンが好適に用いられる。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさから、m−フェニレンジアミン(以下、m−PDA)を用いることがより好ましい。これらの多官能アミンは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、上記アミン同士を組み合わせてもよく、上記アミンと一分子中に少なくとも2個の第二級アミノ基を有するアミンを組み合わせてもよい。一分子中に少なくとも2個の第二級アミノ基を有するアミンとして、例えば、ピペラジン、1,3−ビスピペリジルプロパン等を挙げることができる。
多官能酸ハロゲン化物とは、一分子中に少なくとも2個のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物をいう。例えば、3官能酸ハロゲン化物としては、トリメシン酸クロリド、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリクロリド、1,2,4−シクロブタントリカルボン酸トリクロリドなどを挙げることができ、2官能酸ハロゲン化物としては、ビフェニルジカルボン酸ジクロリド、アゾベンゼンジカルボン酸ジクロリド、テレフタル酸クロリド、イソフタル酸クロリド、ナフタレンジカルボン酸クロリドなどの芳香族2官能酸ハロゲン化物、アジポイルクロリド、セバコイルクロリドなどの脂肪族2官能酸ハロゲン化物、シクロペンタンジカルボン酸ジクロリド、シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリド、テトラヒドロフランジカルボン酸ジクロリドなどの脂環式2官能酸ハロゲン化物を挙げることができる。多官能アミンとの反応性を考慮すると、多官能酸ハロゲン化物は多官能酸塩化物であることが好ましい。また、膜の選択分離性、耐熱性を考慮すると、多官能酸塩化物は一分子中に2〜4個の塩化カルボニル基を有する多官能芳香族酸塩化物であることがより好ましい。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさの観点から、トリメシン酸クロリドを用いるとさらに好ましい。これらの多官能酸ハロゲン化物は、単独で用いても、2種以上を同時に用いてもよい。
(有機−無機ハイブリッド分離機能層)
また、分離機能層は、Si元素などを有する有機−無機ハイブリッド構造を有してもよい。有機無機ハイブリッド構造を有する分離機能層は、例えば、以下の化合物(A)、(B):
(A)エチレン性不飽和基を有する反応性基および加水分解性基がケイ素原子に直接結合したケイ素化合物、ならびに
(B)前記化合物(A)以外の化合物であってエチレン性不飽和基を有する化合物
を含有することができる。具体的には、分離機能層は、化合物(A)の加水分解性基の縮合物ならびに化合物(A)および/または(B)のエチレン性不飽和基の重合物を含有してもよい。すなわち、分離機能層は、
・化合物(A)のみが縮合および/または重合することで形成された重合物、
・化合物(B)のみが重合して形成された重合物、並びに
・化合物(A)と化合物(B)との共重合物
のうちの少なくとも1種の重合物を含有することができる。なお、重合物には縮合物が含まれる。また、化合物(A)と化合物(B)との共重合体中で、化合物(A)は加水分解性基を介して縮合していてもよい。
2.複合半透膜の製造方法
次に、上記複合半透膜の製造方法について説明する。製造方法は、多孔質支持層の形成工程および分離機能層の形成工程を含む。
(2−1)多孔質支持層の形成工程
多孔質支持層の形成工程は、
(a)基材上に、樹脂Aおよび樹脂Aと非相溶な樹脂Bを含有する溶液Iを配置すること、
(b)上記溶液を塗布された基材を凝固浴に浸漬させることで、上記溶液中の樹脂Aおよび樹脂Bを凝固させて、樹脂Aを含有する第1樹脂部と、樹脂Bを含有する第2樹脂部とを有する多孔質支持層を形成すること、
を備える。「樹脂A」および「樹脂B」はそれぞれ、第1樹脂部および第2樹脂部に含有される樹脂であり、具体的には上述したとおりである。
また、多孔質支持層の形成工程は、多孔質支持層の成分である樹脂を、その樹脂の良溶媒に溶解して樹脂溶液を調製する工程を、さらに含んでいてもよい。
本発明の良溶媒とは、樹脂を溶解するものである。良溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラメチル尿素(THU)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)・N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルイソブチルアミド(DMIB)、N,N−ジイソプロピルイソブチルアミド、N,N−ビス(2−エチルヘキシル)イソブチルアミド等のアミド;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等の低級アルキルケトン;リン酸トリメチル等のエステル;γ−ブチロラクトン等のラクトンからなる群より選択される少なくとも1種の溶媒が好ましく用いられる
より好ましくは、良溶媒として、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)・N,N−ジメチルイソブチルアミド(DMIB)が揚げられ、多孔質支持層を形成する際に流出する溶媒の速度を適切に調整して多孔質支持層の緻密層と混合層を所望する範囲に調整することができる。
例えば、上記ポリスルホンの溶液を、基材上に一定の厚さに注型し、それを水中で湿式凝固させることによって、表面の大部分が直径数1〜30nmの微細な孔を有する多孔質支持層を得ることができる。
工程(a)は、基材に樹脂の溶液を塗布すること、または基材を樹脂の溶液に浸漬することによって実行可能である。
基材上への樹脂の溶液の塗布は、種々のコーティング法によって実施できるが、正確な量のコーティング溶液を供給できるダイコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング等の前計量コーティング法が好ましく適用される。さらに、本発明の多孔質支持層の形成においては、樹脂の溶液を塗布するスリットダイ法がさらに好ましく用いられる。
また、第2樹脂部を確実に第1樹脂部で覆うために、樹脂Aおよび樹脂Bを含有する溶液Iの上に、樹脂Aを含有し、樹脂Bを含有しない溶液IIを塗布することが好ましい。なお、溶液I,IIのいずれも、樹脂A,Bとして、単独の樹脂を含有してもよいし、複数の樹脂を含有していてもよい。
樹脂溶液Iの樹脂濃度(樹脂AおよびBを合わせた濃度)は好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは13重量%以上である。また、樹脂液Aの樹脂濃度は23重量%以下であり。より好ましくは21重量%以下である。樹脂濃度が12重量%以上であることで、比較的小さい連通孔が形成される。また、樹脂濃度が23重量%以下であることで、樹脂の凝固前に相分離が十分に進行できるので、海島構造の多孔性構造を容易に得ることができる。
樹脂溶液Iにおける樹脂Aおよび樹脂Bの含有量の比率は、99:1〜55:45であることが好ましい。特に、樹脂溶液Iが樹脂Aとしてポリスルホンを含有し、樹脂BとしてABS樹脂を含有するとき、ポリスルホン樹脂およびABS樹脂の混合比は99:1〜51:49または95:5〜55:45であることが好ましい。また、樹脂溶液Iが樹脂Aとしてポリスルホンを含有し、樹脂Bとして塩素化塩化ビニル樹脂を含有するとき、ポリスルホン樹脂および塩素化塩化ビニル樹脂の混合比は90:10〜60:40であることが好ましい。なお、ABSとはacrylonitrile-butadiene-styreneの頭文字であり、これは、ガラス状態のスチレン−アクリロニトリル共重合体と、この共重合体中に分散したブタジエン系ゴムとを含む材料である。
混合の混合比率が上記の数値範囲をみたすことにより、ポリスルホン樹脂と異素材であるABS樹脂もしくは塩素化塩化ビニル樹脂とが海島構造の非相溶系を構成し、異素材の樹脂である島の割合が1%以上49%以下の多孔性構造を容易に得られる。
樹脂溶液IIの樹脂濃度は、好ましくは14重量%以上であり、より好ましくは15重量%以上である。また、樹脂溶液IIのポリスルホン濃度は、好ましくは25重量%以下であり、より好ましくは18重量%以下である。樹脂溶液IIのポリスルホン濃度が14重量%以下であることで、多孔質支持層の表面に孔径の小さい孔を形成することができる。多孔質表面の細孔は、ポリアミド分離機能層を形成する際、均一にアミン溶液を供給することが困難となる。また、樹脂溶液IIのポリスルホン濃度が25重量%以下であることで、表面の細孔径が小さくなりすぎず、十分な量のアミン溶液を供給することができる。
樹脂溶液を基材に配置する時の樹脂溶液の温度は、ポリスルホンを用いる場合、通常10〜60℃の範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、樹脂溶液が析出することなく、樹脂を含む有機溶媒溶液が基材の繊維間にまで充分含浸したのち固化される。その結果、アンカー効果により微多孔性支持膜が基材に強固に接合し、本発明の微多孔性支持膜を得ることができる。なお、樹脂溶液の好ましい温度範囲は、用いる樹脂溶液の粘度などによって適宜調整すればよい。
多孔性支持層の形成においては、溶液IIは、溶液I内の樹脂が相分離によって固化(硬化)する前に溶液I上に配置されることが好ましい。さらには、溶液IとIIとは、基材上に同時に配置されることが好ましい。樹脂溶液I内の樹脂が固化する前に樹脂溶液IIを塗布することで、樹脂溶液Iの表面に(つまり樹脂溶液IとIIとの界面に)密度の高いスキン層が形成されることが抑制される。その結果、アミンを適切な量および速度で供給することができる。また、高い透過流速を得ることができる。例えば、「同時に塗布される」とは、樹脂溶液Iが、基材に到達する前に、樹脂溶液IIと接触している状態、つまり、樹脂溶液Iが基材に塗布されたときには、樹脂溶液IIが樹脂溶液I上に塗布されている状態を含む。
基材上への樹脂溶液の塗布は、種々のコーティング法によって実施できるが、正確な量のコーティング溶液を供給できるダイコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング等の前計量コーティング法が好ましく適用される。さらに、本発明の多層構造を有する多孔性支持層の形成においては、混合趣旨層を形成する樹脂溶液と緻密層を形成する樹脂溶液を同時に塗布する二重スリットダイ法がさらに好ましく用いられる。
なお、樹脂溶液Iおよび樹脂溶液IIは、樹脂Aとして含有する樹脂が共通しているが、互いに異なる樹脂をさらに含有しても良い。樹脂溶液の組成は。適宜、製造する多孔性支持層の強度特性、透過特性、表面特性などの諸特性をより広い範囲で調整することができる。
なお、樹脂溶液Iは樹脂AおよびBの良溶媒を含めばよく、樹脂溶液IIは樹脂Bの良溶媒を含めばよい。樹脂溶液IおよびIIの溶媒は、同一であっても異なってもよい。
良溶媒とは、樹脂を溶解するものである。ポリスルホンの良溶媒としては、例えばN-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、アセトン、テロラヒドロフラン、テトラメチル尿素、リン酸トリメチル等の低級アルキルケトン、エステル、アミド等およびその混合溶媒が挙げられる。
ポリスルホンの非溶媒としては、例えば水、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、四塩化炭素、o−ジクロルベンゼン、トリクロルエチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、低分子量のポリエチレングリコール等の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族多価アルコール、芳香族多価アルコール、塩素化炭化水素、またはその他の塩素化有機液体およびその混合溶媒などが挙げられる。
また、上記樹脂溶液は、微多孔性支持膜の孔径、空孔率、親水性、弾性率などを調節するための添加剤を含有してもよい。孔径および空孔率を調節するための添加剤としては、水、アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等の水溶性高分子またはその塩、さらに塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸リチウム等の無機塩、ホルムアルデヒド、ホルムアミド等が例示されるが、これらに限定されるものではない。親水性や弾性率を調節するための添加剤としては、種々の界面活性剤が挙げられる。
上記のように基材に樹脂溶液を配置することにより、基材中に樹脂溶液が含浸する。樹脂溶液の基材への含浸量を制御するためには、例えば、基材上に樹脂溶液を塗布した後、凝固浴に浸漬させるまでの時間を制御する方法、或いは樹脂溶液の温度または濃度を制御することにより粘度を調節する方法が挙げられ、これらの方法を組み合わせることも可能である。
基材上に樹脂溶液を配置した後、凝固浴に浸漬させるまでの時間は、通常0.1〜5秒間の範囲であることが好ましい。凝固浴に浸漬するまでの時間がこの範囲であれば、樹脂溶液が基材の繊維間にまで充分含浸したのち固化される。なお、凝固浴に浸漬するまでの時間の好ましい範囲は、用いる樹脂溶液の粘度などによって適宜調節すればよい。
凝固浴の液体温度は、好ましくは5〜50℃、より好ましくは10〜30℃の範囲内である。上記上限以下であれば、熱運動による凝固浴面の振動が激化せず、形成後の膜表面の平滑性が良好である。また上記下限以上であれば十分な凝固速度が得られ、製膜性が良好である。
工程(b)では、基材上に配置された樹脂溶液を、溶液中の良溶媒と比較して樹脂の溶解度が小さい凝固浴に浸漬することで樹脂を凝固させることができる。この行程によって、三次元網目構造を形成することができる。
樹脂Aと樹脂Bとは非相溶なので、溶液I内で樹脂Aと樹脂Bとは分かれて存在している。樹脂Aの方が樹脂Bより多く存在することで、樹脂Bの周囲に樹脂Aが存在し、樹脂Aを通って樹脂Bに非溶媒が進入することになる。すると、樹脂Bでの相分離速度が樹脂Aでの相分離速度より遅くなるので、樹脂Bにおけるボイドができにくくなると考えられる。
凝固浴として通常水が使われるが、樹脂を溶解しないものであればよく、良溶媒を含んでもよい。良溶媒を含む場合、凝固浴における良溶媒の濃度は、好ましくは0.1〜50重量%であり、より好ましくは0.1〜30重量%の範囲である。
次に、得られた多孔質支持層を、膜中に残存する製膜溶媒を除去するために洗浄することが好ましい。洗浄に用いる水の温度は50〜100℃が好ましく、さらに好ましくは60〜95℃である。洗浄水の温度が50℃以上であることで、高い洗浄効果が得られる、一方で、洗浄水の温度が100℃以下であることで多孔質支持層の収縮度を小さく抑えることができる。
(2−2)分離機能層の形成工程
次に、複合半透膜を構成する分離機能層の形成工程について、ポリアミドを主成分とする層(つまりポリアミド分離機能層)の形成を例に挙げて説明する。ポリアミド分離機能層の形成工程は、前述の多官能アミンを含有する水溶液と、多官能酸ハロゲン化物を含有する水と非混和性の有機溶媒溶液とを用い、多孔質支持層の表面で界面重縮合を行うことにより、ポリアミド骨格を形成することを含む。
多官能アミン水溶液における多官能アミンの濃度は、0.1重量%以上20重量%以下の範囲内であることが好ましく、0.5重量%以上15重量%以下の範囲内であることがより好ましい。この範囲であると、十分な透水性と塩およびホウ素の十分な除去性能を得ることができる。
多官能アミン水溶液は、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との反応を妨害しないものであれば、界面活性剤や有機溶媒、アルカリ性化合物、酸化防止剤などを含んでいてもよい。界面活性剤には、多孔質支持層表面の濡れ性を向上させ、アミン水溶液と非極性溶媒との間の界面張力を減少させる効果がある。有機溶媒は、界面重縮合反応の触媒として働くことがあるので、有機溶媒の添加により界面重縮合反応を効率よく行える場合がある。
界面重縮合を多孔質支持層上で行うために、まず、上述の多官能アミン水溶液を多孔質支持層に接触させる。接触は、多孔質支持層上に均一にかつ連続的に行うことが好ましい。具体的には、例えば、多官能アミン水溶液を多孔性支持層にコーティングする方法や多孔性支持層を多官能アミン水溶液に浸漬する方法を挙げることができる。多孔性支持層と多官能アミン水溶液との接触時間は、5秒以上10分以下の範囲内であることが好ましく、10秒以上3分以下の範囲内であるとさらに好ましい。
多官能アミン水溶液を多孔性支持層に接触させた後は、膜上に液滴が残らないように十分に液切りする。十分に液切りすることで、複合半透膜形成後に液滴残存部分が欠点となって複合半透膜の除去性能が低下することを防ぐことができる。液切りの方法としては、例えば、特開平2−78428号公報に記載されているように、多官能アミン水溶液接触後の多孔性支持層を垂直方向に把持して過剰の水溶液を自然流下させる方法や、エアーノズルから窒素などの気流を吹き付け、強制的に液切りする方法などを用いることができる。また、液切り後、膜面を乾燥させて水溶液の水分を一部除去することもできる。
次いで、多官能アミン水溶液接触後の多孔性支持層に、多官能酸ハロゲン化物を含む水と非混和性の有機溶媒溶液を接触させ、界面重縮合により架橋ポリアミド分離機能層を形成させる。
水と非混和性の有機溶媒溶液中の多官能酸ハロゲン化物濃度は、0.01重量%以上10重量%以下の範囲内であると好ましく、0.02重量%以上2.0重量%以下の範囲内であるとさらに好ましい。多官能酸ハロゲン化物濃度が0.01重量%以上であることで十分な反応速度が得られ、また、10重量%以下であることで副反応の発生を抑制することができる。さらに、この有機溶媒溶液にDMFのようなアシル化触媒を含有させると、界面重縮合が促進され、さらに好ましい。
水と非混和性の有機溶媒は、多官能酸ハロゲン化物を溶解し、多孔性支持層を破壊しないものが望ましく、多官能アミン化合物および多官能酸ハロゲン化物に対して不活性であるものであればよい。好ましい例として、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの炭化水素化合物が挙げられる。
多官能酸ハロゲン化物を含む有機溶媒溶液を多孔性支持層へ接触させる方法は、多官能アミン水溶液を多孔性支持層へ被覆する方法と同様に行えばよい。
界面重縮合工程においては、多孔性支持層上を架橋ポリアミド薄膜で十分に覆い、かつ、接触させた多官能酸ハロゲン化物を含む水と非混和性の有機溶媒溶液を多孔性支持層上に残存させておくことが肝要である。このため、界面重縮合を実施する時間は、0.1秒以上3分以下が好ましく、0.1秒以上1分以下であるとより好ましい。界面重縮合を実施する時間が0.1秒以上3分以下であることで、多孔性支持層上を架橋ポリアミド薄膜で十分に覆うことができ、かつ多官能酸ハロゲン化物を含む有機溶媒溶液を多孔性支持層上に保持することができる。
界面重縮合によって多孔性支持層上にポリアミド分離機能層を形成した後は、余剰の溶媒を液切りする。液切りの方法は、例えば、膜を垂直方向に把持して過剰の有機溶媒を自然流下して除去する方法を用いることができる。この場合、垂直方向に把持する時間としては、1分以上5分以下であることが好ましく、1分以上3分以下であるとより好ましい。かかる範囲であれば分離機能層が十分に形成され、有機溶媒が過乾燥とならないためポリアミド分離機能層に欠損部が発生せず、十分に高い膜性能が得られる。
このようにして得られた複合半透膜は、膜中に残存する多官能アミン水溶液を除去するために熱水洗浄する。このときの熱水の温度は30〜100℃が好ましく、さらに好ましくは45〜95℃である。この範囲より高いと、多孔質支持層の収縮度が大きくなり、透水性が低下する。逆に、低いと洗浄効果が小さい。さらに、必要に応じて分離性能、透過性能を高めるべく、塩素、酸、アルカリ、亜硝酸などの化学処理を施してもよい。
上述のハイブリッド構造は、公知の方法で形成可能である。ハイブリッド構造の形成方法の一例は次のとおりである。化合物(A)および化合物(B)を含有する反応液を多孔性支持層に塗布する。余分な反応液を除去した後、加水分解性基を縮合させるためには、加熱処理すればよい。化合物(A)および化合物(B)のエチレン性不飽和基の重合方法としては、熱処理、電磁波照射、電子線照射、プラズマ照射を行えばよい。重合速度を速める目的で分離機能層形成の際に重合開始剤、重合促進剤等を添加することができる。
なお、ポリアミドおよびハイブリッドのいずれの分離機能層についても、使用前に、例えばアルコール含有水溶液、アルカリ水溶液によって膜の表面を親水化させてもよい。
3.複合半透膜の利用
このようにして製造される複合半透膜は、プラスチックネットなどの原水流路材と、トリコットなどの透過水流路材と、必要に応じて耐圧性を高めるためのフィルムと共に、多数の孔を穿設した筒状の集水管の周りに巻回され、スパイラル型の複合半透膜エレメントを形成することができる。さらに、このエレメントは、直列または並列に接続されて圧力容器に収納されることで、複合半透膜モジュールを構成することもできる。
また、上記の複合半透膜や複合半透膜エレメント、複合半透膜モジュールは、それらに原水を供給するポンプや、その原水を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いることにより、原水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
流体分離装置の操作圧力は高い方が塩除去性は向上するが、運転に必要なエネルギーも増加すること、また、複合半透膜の耐久性を考慮すると、複合半透膜に被処理水を透過する際の操作圧力は、1.0MPa以上、10MPa以下が好ましい。なお、操作圧力とはいわゆる膜間圧力差(trans membrane pressure)である。供給水温度は、高くなると塩除去性が低下するが、低くなるにしたがい膜透過流束も減少するので、5℃以上、45℃以下が好ましい。また、供給水pHは、高くなると海水などの高塩濃度の供給水の場合、マグネシウムなどのスケールが発生する恐れがあり、また、高pH運転による膜の劣化が懸念されるため、中性領域での運転が好ましい。
複合半透膜によって処理される原水としては、海水、かん水、排水等の500mg/リットル〜100g/リットルのTDS(TotalDissolvedSolids:総溶解固形分)を含有する液状混合物が挙げられる。一般に、TDSは総溶解固形分量を指し、「質量÷体積」で表されるか、1リットルを1kgと見なして「重量比」で表される。定義によれば、0.45ミクロンのフィルターで濾過した溶液を39.5〜40.5℃の温度で蒸発させ残留物の重さから算出できるが、より簡便には実用塩分から換算する。
<多孔質支持層における各種寸法の測定>
以下の実施例および比較例における測定方法は以下のとおりである。複合半透膜を液体窒素に浸漬して凍結させた。凍結した複合半透膜を膜面方向に垂直に切断する。解凍後、膜断面に四酸化ルテニウムをコーティングした。コーティングされた試料断面を1〜6kVの加速電圧で高分解能電界放射型走査電子顕微鏡(UHR−FE−SEM)である日立製S−900にて観察した。観察倍率は、多孔質支持層の表面から基材表面までの膜断面全体が観察できる倍率に設定した。
こうして得た画像から、多孔質支持層の厚みT0、第1樹脂部41の厚みの最小値(表中では「上層厚み」と記載している)T1、分離機能層5に最も近い第2樹脂部42(図中に“B”示す)、基材3に最も近い第2樹脂部42の位置(図中に“D”示す)の間の距離T2として測定した。
<通水後の多孔質支持層厚みおよび変化率>
後述の5.5Mpaでの脱塩率測定の前後での多孔質支持層の厚みの変化率は、評価前の多孔質支持層の厚みAと、評価後の多孔質支持層の厚みBに基づいて(1―(B/A))×100の式により算出した。
<脱塩率(TDS除去率)>
温度25℃、pH6.5の海水(供給水に該当)を、操作圧力5.5MPaで複合半透膜に供給することで、24時間に渡ってろ過処理を行った。得られた透過水を、TDS除去率の測定に用いた。
東亜電波工業株式会社製電気伝導度計で供給水および透過水の電気伝導度を測定することにより、実用塩分を得た。この実用塩分を換算して得られるTDS濃度から、次の式により脱塩率すなわちTDS除去率を求めた。
TDS除去率(%)=100×{1−(透過水中のTDS濃度/供給水中のTDS濃度)}
<膜透過流束>
24時間の上記ろ過処理により得られた透過水量を、膜面1平方メートルあたり、1日あたりの透水量(立方メートル)に換算し、膜透過流束(m/m/日)として表した。
透過流束の変化率は、上述の5.5Mpaでの24時間の通水における最初の1時間の流束F0と、最後の1時間の流束F1から、(1―(F1/F0))×100の式により算出した。
<複合半透膜の作製>
(実施例1)
a.多孔質支持層
ポリスルホン樹脂(ポリスルホン:ソルベイアドバンストポリマーズ社製 UDEL p−3500)と溶媒(DMF)との混合物を攪拌しながら100℃で2時間加熱保持することで多孔質支持層の緻密層用の製膜原液を調製した。製膜原液におけるポリスルホンの濃度は18重量%であった。
また、同じポリスルホン樹脂と、ABS樹脂(トヨラック100)と、溶媒(DMF)との混合物を攪拌しながら、100℃で2時間加熱することで、混合層用の製膜原液を調製した。製膜原液における混合樹脂の組成比(重量比)はポリスルホン樹脂80に対して、ABS樹脂20であり、混合樹脂の濃度は18重量%であった。
調製した原液はそれぞれ室温まで冷却し、別々の押出機に供給して目開き37μmの400メッシュ(ASTM)のステンレスフィルターで濾過した。その後、基材であるポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約90μm、通気度:1cc/cm/sec)上に、混合層の厚みが14.1μm、緻密層の厚みが7.1μmになるように、二重スリットダイを介して、製膜原液を同時にキャストした。キャスト後は直ちに純水中に浸漬して凝固させ、さらに5分間洗浄した。
こうして、基材、混合層、緻密層がこの順に積層された支持膜を得た。
b.分離機能層形成
得られた多孔質支持層を、m−PDAの4.0重量%水溶液中に2分間浸漬した後、膜面が鉛直になるようにゆっくりと引き上げた。エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド0.12重量%を含む25℃のn−デカン溶液を膜表面が完全に濡れるように塗布した。1分間静置した後、膜から余分な溶液を除去するために膜面を1分間鉛直に保持して液切りした。その後、70℃の水で2分間洗浄することで、基材、多孔質支持層、およびポリアミド分離機能層を備える複合半透膜を得た。
(実施例2)
多孔質支持層の製膜において、多孔質支持層の緻密層の厚みを7.9μm、混合層の厚みを37.2μmにした以外は実施例1と同様で実施例2における複合半透膜を作製した。
(実施例3)
多孔質支持層の製膜において、多孔質支持層の緻密層の厚みを8.3μm、混合層の厚みを74.4μmにした以外は実施例1と同様の操作により、実施例3における複合半透膜を作製した。
(実施例4)
多孔質支持層の製膜において、多孔質支持層の緻密層の厚みを2.1μm、混合層の厚みを45.8μmにした以外は実施例1と同様の操作により、実施例4における複合半透膜を作製した。
(実施例5)
多孔質支持層の製膜において、多孔質支持層の緻密層の厚みを5.3μm、混合層の厚みを39.4μmにした以外は実施例1と同様の操作により、実施例5における複合半透膜を作製した。
(実施例6)
混合層用の製膜原液を、ポリスルホン樹脂55、ABS樹脂45であることと、多孔質支持層の緻密層の厚みを6.9μm、混合層の厚みを41.3μmにした以外は実施例1と同様の操作により、実施例6における複合半透膜を作製した。
(実施例7)
混合層用の製膜原液を、ポリスルホン樹脂95、ABS樹脂5であることと、多孔質支持層の緻密層の厚みを8.3μm、混合層の厚みを39.3μmにした以外は実施例1と同様の操作により、実施例6における複合半透膜を作製した。
(実施例8)
混合層用の製膜原液を、ポリスルホン樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂(積水化学工業社製 HA−24KL)を80:20の重量比とし、多孔質支持層の緻密層の厚みを8.6μm、混合層の厚みを42.9μmにした以外は、実施例1と同様の操作により、実施例6における複合半透膜を作製した。
(実施例9)
混合層用の製膜原液を、ポリスルホン樹脂80、ABS樹脂20であることと、多孔質支持層の緻密層の厚みを0.1μm、混合層の厚みを9.8μmにした以外は実施例1と同様の操作により、実施例9における複合半透膜を作製した。
(実施例10)
混合層用の製膜原液を、ポリスルホン樹脂80、ABS樹脂20であることと、多孔質支持層の緻密層の厚みを0.1μm、混合層の厚みを48.7μmにした以外は実施例1と同様の操作により、実施例10における複合半透膜を作製した。
(実施例11)
混合層用の製膜原液を、ポリスルホン樹脂80、ビニル系共重合体樹脂(20Lのステンレス製オートクレーブに、製造例2で製造したメタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体水溶液6重量部、純水150重量部を入れて400rpmで撹拌し、系内を窒素ガスで置換した。
次に、スチレン72重量部、アクリロニトリル28重量部の合計100重量部とt−ドデシルメルカプタン0.10重量部、2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部の混合溶液を撹拌下の系内に添加し、60℃に昇温して重合を開始した。重合開始後、30分かけて反応温度を65℃まで昇温した後、3時間かけて100℃の温度まで昇温した。
その後、系内を室温まで冷却し、重合物の分離、洗浄および乾燥をすることでビニル系共重合体を得た。このビニル系共重合体の重量平均分子量Mwは、320,000であった。)20であることと、多孔質支持層の緻密層の厚みを9.3μm、混合層の厚みを37.8μmにした以外は実施例1と同様の操作により、実施例11における複合半透膜を作製した。

(比較例1)
多孔質支持層の製膜において、18重量%のポリスルホン樹脂溶液を製膜原液として、単一口のスリットダイを介して不織布上にキャストした以外は実施例1と同様にして、比較例1における複合半透膜を作製した。
(比較例2)
多孔質支持層の製膜において、18重量%のABS樹脂溶液を製膜原液として、単一口のスリットダイを介して不織布上にキャストした以外は実施例1と同様にして、比較例2における複合半透膜を作製した。
(比較例3)
多孔質支持層の製膜において、18重量%の塩素化塩化ビニル樹脂(積水化学工業製 HA−24KL)を製膜原液として、単一口のスリットダイを介して不織布上にキャストした以外は実施例1と同様にして、比較例3における複合半透膜を作製した。
<結果>
以上の結果を表1に示す。実施例1〜11では、海部(第1樹脂部)内に島部(第2樹脂部)が分散して存在することで、多孔質支持層の厚みの変化が40%以下と小さかった。その結果、透過流束の変化率は20%を下回り、高い耐久性が得られた。
一方、比較例1〜3の複合半透膜では、島部は観察されなかった。また、比較例1〜3の膜では、5.5MPaの圧力をかけたことで、透過流束が大きく低下した。これは、島部が存在しないことで、多孔質支持層内部のボイドが潰れたためであると考えられる。実際、比較例1〜3では、圧力試験後の多孔質支持層の厚み変化率が大きかった。
表3に示すように、実施例1〜9の本発明の複合半透膜は、高い透水性と塩除去性能を備えており、多孔質支持層の厚みの変化率が小さいので、操作圧力などによる物理的外力が加わる運転条件下においても、優れた膜性能と脱塩率を維持できることが分かる。
本発明の分離膜エレメントは、特に、海水やかん水の脱塩に好適に用いることができる。
1:複合半透膜
2:支持膜
3:基材
4:多孔質支持層
40:島部と分離機能層との間の海部分
41:海部
42:島部
5:分離機能層

Claims (9)

  1. 基材と、
    前記基材上に設けられた多孔質支持層と、
    前記多孔質支持層上に設けられた分離機能層と
    を備える複合半透膜であって、
    前記多孔質支持層は、海部である多孔質の第1樹脂部と、島部であって前記第1樹脂部よりも低い空隙率を有する第2樹脂部とを含む海島構造を有する、
    複合半透膜。
  2. 前記第2樹脂部と前記分離機能層との間に存在する第1樹脂部の最小厚みT1は0.5μm以上である
    請求項1に記載の複合半透膜。
  3. 前記第2樹脂部は、前記多孔質支持層の厚みの20%以上に渡って分散して存在する
    請求項1または2に記載の複合半透膜。
  4. 前記複合半透膜は、その厚み方向に平行な断面であって、前記多孔質支持層において前記第2樹脂部が1%から49%の面積を占める断面を有する、
    請求項1に記載の複合半透膜。
  5. 前記複合半透膜は、その厚み方向に平行な断面において、0.0025μm以上10μm以下の面積を有する前記第2樹脂部を備える
    請求項1〜4のいずれかに記載の複合半透膜。
  6. 前記第1樹脂部と前記第2樹脂部とは、互いに相溶しない樹脂を含有する、
    請求項1〜5のいずれかに記載の複合半透膜。
  7. 前記第1樹脂部はポリスルホンを含有し、
    前記第2樹脂部は、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、酢酸セルロース、ABS樹脂、ビニル系共重合体、ポリ塩化ビニルおよび塩素化塩化ビニルからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有する
    請求項1から6のいずれかに記載の複合半透膜。
  8. 前記分離機能層は架橋芳香族ポリアミドを含有する
    請求項1〜7のいずれかに記載の複合半透膜。
  9. (1)基材上に、樹脂Aおよび前記樹脂Aと非相溶な樹脂Bを含有する溶液を配置すること、
    (2)前記溶液を塗布された前記基材を凝固浴に浸漬させることで、前記溶液中の樹脂Aおよび樹脂Bを凝固させて、樹脂Aを含有する第1樹脂部と、樹脂Bを含有する第2樹脂部とを有する多孔質支持層を形成すること、
    (3)前記多孔質支持層上に分離機能層を形成すること、
    を含む複合半透膜の製造方法。
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