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JP2019093377A - 流体チップ、流体デバイスおよびそれらの製造方法 - Google Patents

流体チップ、流体デバイスおよびそれらの製造方法 Download PDF

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JP2019093377A JP2018149346A JP2018149346A JP2019093377A JP 2019093377 A JP2019093377 A JP 2019093377A JP 2018149346 A JP2018149346 A JP 2018149346A JP 2018149346 A JP2018149346 A JP 2018149346A JP 2019093377 A JP2019093377 A JP 2019093377A
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拓史 山内
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伸也 砂永
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Abstract

【課題】流路の上面に他の部材を接着させた流体デバイスに好適な流体チップを提供する。【解決手段】流路2が形成された流体チップ1であって、流路の底面の少なくとも一部を構成する表面を有する基材3と、上端面41aが基材の表面よりも高い位置に設けられたエラストマー樹脂で形成された接着部材4と、を有し、基材は、表面よりも突出し、流路の側面の高さを規定する支柱部32を有し、基材の支柱部は、接着部材に埋設されていることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、流路が形成された流体チップ、流体チップを用いた流体デバイスおよびそれらの製造方法に関し、特にマイクロ流路の上面に被着部材を接着させるのに好適な構造を備えたマイクロ流体チップ、マイクロ流体チップを用いたマイクロ流体デバイスおよびそれらの製造方法に関する。
マイクロ流体デバイス技術は、MEMS(Microelectromechanical Systems)技術などの微細加工技術を利用して、流体を伝搬するための微小流路、流体を貯留・保持するための微小容器、流体を反応させるための微小な反応容器などの流体が供給される微量空間(以下「マイクロ流路」とも呼ぶ)を作成し、微小空間で流体を扱う技術である。マイクロ流体デバイスでは、体積に対して表面積の割合が大きくなるため、粘性力が慣性力よりも支配的になり、例えば、微小流路における流体の流れが層流となり、化学的及び物理的物性(濃度、pH、温度等)を高度に制御できるため、条件の操作や管理が容易となる。また、表面を介した反応を効率的に生じさせることができ、さらに、少量の流体で実験を行うことができるといった利点が存在する。
このようなマイクロ流体デバイスは、微量分子の計測や、人工膜形成、細胞機能の計測等に利用されており、特に、生体に関連する処理プロセスや分析・計測機能を集積化したバイオチップに利用されている。例えば、特許文献1には、単一の基板にバイオチップ層及びイメージセンサ層を備え、バイオチップ層に形成された凹部に固定された基準試料とターゲット試料の生化学的反応、代表的にはDNA塩基間の相補結合や抗原−抗体反応を蛍光や発光を利用した光学プロセスを通じてイメージセンサ層により生化学的反応を検出するバイオチップが例示されている。また、特許文献2には、流路の中途に、生体組織の粗破砕するための粗破砕部と、粗破砕後の組織を破砕して核酸を分離するための分離部と、分離された核酸を回収する回収部とを有し、血球や筋組織等から核酸を分離できる流体デバイスが開示されている。さらに、特許文献3には、複数の微小な反応室が形成されたアレイと、光センサと、反応室と光センサとの間に発光フィルタなどの光学フィルタを設けたバイオセンサアレイが開示されており、さらに、バイオセンサはヒータ及び温度センサなどの温度制御要素を設けてもよいことが開示されている。特許文献4には、測定溶液を収容する容器状の小さい槽であるウェルと、ウェルを密閉するカバー材と、ウェル内に設けられたイオン感応部を露出させた信号取出し開口部と、イオン感応部の下に設けられた電界効果トランジスタ型バイオセンサとを有するマイクロ流体デバイスが開示されている。
かかるマイクロ流路が形成されたマイクロ流体チップの製造方法として、半導体製造プロセスを用いて製造する方法、樹脂成形により製造する方法、フィルムを積層させて製造する方法などが提案されている。特許文献1には、シリコン基板に、光検出器形成プロセスを含むイメージセンサ製造プロセスによりイメージセンサ層を形成した後、イメージセンサ層の上部にSiO2などの透明材料を蒸着した後、エッチング工程によって反応領域となる複数の凹部を形成することによってバイオチップを製造することが開示されている。また、特許文献2には、レプリカモールドによって熱硬化樹脂を成形することによりマイクロ流路を有する成形体を製造し、かかる成形体とマイクロ流路に対応する位置に孔部が形成された天板を接合させて流体デバイスを製造すること、ガラス製基材の片面にフォトレジストを塗布し、パターンを露光した後、現像液で現像し、マイクロ流路や突出構造体アレイを有する基板を製造し、さらに天板を熱融着させ、マイクロ流路のインレット及びアウトレットの部分にリザーバーを接着剤で取り付けて流体デバイスを製造すること、及び、マイクロ流路が形成された複数の基材を両面接着フィルムで接着することによりマイクロ流路を有する流体デバイスを製造することが開示されている。また、特許文献3には、ウェルとウェルを覆うカバー材をヒートシールして接着することが開示されている。
特表2010−527022号 特開2017−153422号 米国特許出願公開第2016/281149号明細書 特開2015−99070号
マイクロ流体デバイスは、マイクロ流路において溶液の混合、反応、分離、培養、精製、検出などの様々な実験を行うことが可能であるところ、近年、特許文献1、3及び4のように、イメージセンサ、バイオセンサをマイクロ流路に隣接させて配置し、マイクロ流路における実験結果を直接観察又は計測する技術が期待されている。さらに、マイクロ流体デバイスは、特許文献2に例示されているように、基板上に流体制御素子(マイクロポンプ、マイクロバルブ、マイクロミキサ、フィルタ)、周辺回路(加熱手段、発光手段)、検出系(各種センサ)等を集積したラボオンチップ(lab-on-a-chip)として、微量試料について、サンプル注入、前処理、撹拌、混合、反応、単離、精製、検出などを1つの基板上で実現しようとするものである。
このようなマイクロ流体デバイスの製造方法として、特許文献1には、半導体製造プロセスを用いて基板にイメージセンサ層を製造した後、その上に一体的にバイオチップ層を製造していたが、一体的に製造することから、イメージセンサ層とバイオチップ層との組み合わせは固定されてしまう。また、基板にレジストを塗布し、露光し、現像する工程が必要となり、製造工程が多く、製造コストや生産性の点で改善の余地があった。この点、バイオチップ層であるマイクロ流体チップとイメージセンサを個別に製造し、それらを組み合わせれば、マイクロ流体チップ及びイメージセンサをそれぞれ大量生産することにより、製造コストや生産性を改善することができるとともに、規格化したマイクロ流体チップとすることで、様々な部材(流体制御素子、周辺回路、検出系等)と接合させることが可能となり、比較的設計の自由度を高めることもできる。
特許文献2には、マイクロ流路のインレット及びアウトレットの部分にリザーバーを接着剤で取り付けて流体デバイスを製造することが開示されている。もともと、マイクロ流体デバイスは微小空間を取り扱うことから、許容される公差の幅は狭いものであったが、特に、マイクロ流路内での反応等を定量化したり、比較・評価したりする場合は、マイクロ流路内の微小試料の分量を一定量とすることが重要であり、マイクロ流体デバイス間のバラツキを低減させることが求められていた。マイクロ流体チップに他の部材を接着剤で接着させると、接着剤の性質上、接着剤の幅や接着後の高さを調整することが難しく、バラツキを引き起こすものであった。さらに、マイクロ流体チップにイメージセンサやバイオセンサなどを接着剤で接合させた場合、接着剤がマイクロ流路内にはみ出ることでセンサの有効エリアが狭くなり、さらに、はみ出た接着剤がセンサを覆ってしまうとその部分のセンサが有効に機能しなくなる可能性もあった。
また、特許文献2及び4には、マイクロ流体デバイスの製造に熱融着(ヒートシール)を使用しているが、熱融着による接着は、通常、樹脂のガラス転移点以上の温度で行われるため、樹脂が変形し、マイクロ流路の寸法にバラツキが生じる可能性があった。特に、マイクロ流路を微小化した場合に変形の影響が大きいので、熱融着法ではマイクロ流体チップの高機能化が困難であった。
本発明は、従来とは異なる新規な構造の流体チップ、流体チップを用いた流体デバイスおよびそれらの製造方法を提供することを目的の一つとする。特に、流路の上面に他の部材を接着させた流体デバイスおよびそれに好適な流体チップ、並びにそれらの製造方法を提供することを目的とする。
前述した課題を解決するため、本発明の流体チップは、流路が形成され、前記流路の底面の少なくとも一部を構成する表面を有する基材と、上端面が前記基材の前記表面よりも高い位置に設けられたエラストマー樹脂で形成された接着部材と、を有し、前記基材は、前記表面よりも突出し、前記流路の側面の高さを規定する支柱部を有し、前記基材の支柱部は、前記接着部材に埋設されていることを特徴とする。
さらに、上記流体チップにおいて、前記接着部材は、自己接着性を有することが好ましい。また、前記接着部材の前記上端面は、前記基材の支柱部の上端部と同じ又はそれ以上の高さであることが好ましい。また、前記接着部材は、前記基材に機械的に固定されていることが好ましい。
さらに、上記流体チップにおいて、前記基材は、前記流路の側面に沿って、連続的又は離散的に溝を有し、前記接着部材は前記基材の溝において前記基材と結合していることが好ましく、さらに、前記基材の溝は、前記基材を貫通していてもよいし、前記基材の溝は、溝の深さ方向において、幅が狭くなったくびれ部を有し、前記接着部材は、前記くびれ部に適合した形状を有していてもよい。さらに、前記基材の溝の内側に前記支柱部が配置されていてもよい。
さらに、上記流体チップにおいて、前記接着部材が前記流路の側面の少なくとも一部を構成することが好ましく、前記流路は、底面が全て前記基材の前記表面で構成され、側面が全て前記接着部材で構成されていてもよいが、前記支柱部が前記流路の側面を構成してもよい。
さらに、上記流体チップにおいて、前記支柱部は、前記流路の側面に沿って離散的に配置されていてもよく、前記支柱部は、前記流路の側面の端又は角に設けられていてもよい。また、前記支柱部は、前記流路に露出していなくてもよい。
本発明の流体デバイスは、上記いずれかの流体チップと、前記接着部材の上端面に接着された被着部材と、を有することを特徴とする。さらに、流体デバイスにおいて、前記接着部材は、自己接着性を有し、前記被着部材は、前記接着部材の自己接着性を利用して接着されていることが好ましい。また、前記被着部材は、流体制御素子、周辺回路、検出素子又は流路の天板であってもよい。
本発明の流体チップの製造方法は、第1の型を用いて、第1の材料により、流路の底面を構成する表面と前記表面よりも突出した支柱部とを有する基材を成形する工程と、第2の型に前記基材を配置する工程と、前記第2の型及び前記基材を用いて、エラストマー樹脂により、前記基材の支柱部が埋設されるように、接着部材を成形する工程と、を有することを特徴とする。さらに、流体チップの製造方法において、前記基材は、前記流路の側面に沿って前記基材を貫通した溝を有し、前記エラストマー樹脂は、前記溝を介して前記基材の背面側から供給されることが好ましい。
本発明の流体デバイスの製造方法は、上記いずれかの流体チップの前記接着部材の上端面に被着部材を接触させて前記被着部材を前記流体チップに接着させることを特徴とする。
本発明によれば、流路の底面を構成する基材の表面よりも高い位置に上端面が設けられたエラストマー樹脂で形成された接着部材を有しているので、接着部材によって流体チップの上面に被着部材を接着可能な構造であるとともに、流路の底面を構成する基材の表面よりも突出し、流路の側面の高さを規定する支柱部を接着部材に埋設させているので、エラストマー樹脂で形成された接着部材が弾性変形しても接着部材に埋設させた基材の支柱部によって流路の側面の高さを略一定に確保することができ、寸法が揃った流路を備えた流体チップを提供できる。また、エラストマー樹脂の自己接着性が強い場合には、接着部材の上端面によって被着部材を接合することができ、接着剤等を使用する必要がなくなり、接着剤の使用によって生じていた不具合を解消できる。さらに、流体チップを2色成形技術などを利用して製造することができるので、低コストで大量生産が可能であり、さらに、流路の大きさを規格化すれば、複数の被着部材に共有可能な汎用的な流体チップを提供できる。
また、接着部材が前記流路の側面の少なくとも一部を構成することにより、接着力を保ちつつ微小な流路を設計することができるので、流体チップの高性能化が期待できる。また、基材の溝に接着部材を結合させることにより、基材と接着部材とを一体化して固定することができる。特に、溝が基材を貫通していた場合には、より強固に基材と接着部材とを一体化できるだけではなく、基材を貫通した溝を通じて接着部材の材料を注入することにより、基材を型の一部として接着部材を製造することができ、製造工程が容易になるという効果もある。さらに、溝にくびれ部を設けることにより、くびれ部に適合した形状を有する接着部材をより強固に基材と一体化できる。
また、本発明の流体デバイスは、流体チップの流路の寸法が揃っているので、溶液の混合、反応、分離、培養、精製、検出などの様々な実験をより正確に行うことができ、実験結果を直接観察又は計測する場合でも精度を高めることができる。
また、本発明の流体チップの製造方法によれば、第2の型及び基材を型として接着部材が成形されるため、基材と接着部材との隙間を減らし、基材と接着部材とを機械的に強固に結合させることができ、流体の漏洩防止機能も高くすることができる。さらに、本発明の流体デバイスの製造方法によれば、単に流体チップの接着部材の上端面に被着部材を接触させることにより、接着部材によって被着部材を接着させることができ、流体デバイスの製造時間を大幅に短くすることができる。その他の作用効果については、以下の実施形態において説明する。
本発明の流体チップの一実施形態の正面図(A)、右側面図(B)、底面図(C)、背面図(D)、斜視図(E)。 本発明の流体チップの一実施形態の断面図。 本発明の基材の一実施形態の正面図(A)、右側面図(B)、底面図(C)、背面図(D)、斜視図(E)。 本発明の基材の一実施形態の断面図。 本発明の接着部材の一実施形態の正面図(A)、右側面図(B)、底面図(C)、背面図(D)、斜視図(E)。 本発明の接着部材の一実施形態の断面図。 接着部材の角部の拡大図。 本発明の流体デバイスの一実施形態の正面図(A)、右側面図(B)、底面図(C)、斜視図(D)。 流体チップの製造方法を説明する図。 流体チップの製造方法を説明する図。 本発明の変形例を示す図。 本発明の変形例を示す図。 本発明の流体チップの他の実施形態の正面図(A)、断面図(B)及び背面図(C)と、被着部材の正面図(D)及び断面図(E)と、背面部材の正面図(E)。 本発明の流体デバイスの一実施形態の正面図(A)、側面図(B)、断面図(C)、背面図(D)及び拡大図(E)。 本発明の接着部材と被着部材とを接着する工程の一実施態様を説明する図。 本発明の接着部材と被着部材とを接着する工程の他の実施態様を説明する図。 本発明の接着部材と被着部材とを接着する工程の他の実施態様を説明する図。 バルブ構造を有する流体デバイスの背面図(A)、断面図(B)及び拡大図(C)と、流体チップの背面図(D)及び断面図(E)。 本発明の接着部材と被着部材とを接着する工程の他の実施態様を説明する図。
[発明の概要]
本発明の流体チップは、エラストマー樹脂で形成された接着部材と、流路の側面の高さを規定する基材の支柱部とを設けたことにより、接着部材によって被着部材を接着させるとともに、支柱部によって流路の側面の高さを一定に確保させたものである。また、以下の実施形態においては、エラストマー樹脂で形成された接着部材を流路の側面としても利用した構造について説明するが、かかる構造は、流体デバイスの高集積化、流路の微細化などから、流路の側面の幅を細くする必要があり、その結果、流路の上面と被着部材との接触面積が狭くなることから、限られた領域で接着力をできるだけ強くするため、流路の側面自体を接着部材によって構成し、接着部材の上端面の面積を広くしたものであるが、面積が広くとれる場合や接着力が充分な場合等には流路の側面を接着部材によって構成しなくてもよい(変形例として後述する)。また、エラストマー樹脂で形成された接着部材は、成形によって製造可能であり、基材を型の一部として接着部材を成形することにより、基材と接着部材とを機械的に強固に結合させることができ、流体の漏洩防止機能も高くなるが、かかる製造方法に限定されるものではなく、別部材として製造した基材と接着部材とを嵌合等によって結合させることで流体チップを製造してもよい。なお、エラストマー樹脂で形成された接着部材の自己接着性が、被着部材を接合するのに十分強い場合には、他の接合手段は不要であるが、接着部材だけでは接着力が弱い場合や強固な接合が必要な場合には、他の接合手段(接着剤、クランプ等)を用いてもよい。
[流体チップ]
図1は、本発明の流体チップ1の一実施形態を示す概略図であり、(A)は流体チップ1の表面を前とした時の正面図であり、(B)は右側面図であり、(C)は底面図であり、(D)は背面図であり、(E)は正面、右側面、底面を表す斜視図である。図1の流体チップ1においては、平面図は底面図と同じであり、左側面図は右側面図と同じであるので省略した。また、図2は、本発明の流体チップ1の断面図であり、(A)は図1(D)のA−A断面であり、(B)はB−B断面であり、(C)は図1(A)のC−C断面である。なお、本明細書の図面は、マイクロ流路の高さが微小であることから、必ずしも実際の寸法比で表したものではなく、発明の概念を理解するための参考図である。
本発明の流体チップ1は、表面の一部に流路2が形成されており、少なくとも基材3と接着部材4とを有している。基材3は、流路2の底面の少なくとも一部を構成する表面31を有している。接着部材4は、基材3に突設されており、流路2の側面の少なくとも一部を構成している。
流路2は、流体が供給される空間であり、流体を移送するための通路、流体を貯留・保持させるための容器、流体を反応させるための反応室として利用可能な構造物であり、流体チップのいずれかの表面に形成された凹部又は凹部に別部材(被着部材を含む)を天井として設けた空間を含む。また、流路2は、基材3又は接着部材4に形成された孔を通じて基材内部又は接着部材内部に延びていてもよいし、基材3又は接着部材4に形成された貫通孔を通じて外部と接続していてもよい。本発明の流路2は、底面の少なくとも一部が基材3の表面31で構成されており、側面の少なくとも一部が接着部材4で構成された構造も、基材3のみ又は接着部材4のみで構成された構造も含んでいる。流路2の一部に基材3と接着部材4とを組み合わせた流路を設け、他の部分に基材3のみ又は接着部材4のみの流路を設けてもよい。流路2の底面は、全部が基材3の表面31で構成されてもよいし、一部が基材3の表面31で構成され、他の部分が接着部材4で構成されてもよい。流路2の側面は、全部が接着部材4で構成されてもよいし、一部が接着部材4で構成され、他の部分が基材3で構成されてもよい。特に、被着部材を流路2の上面に接合する場合には、被着部材と接する流路2の側面の上方の部分の大半又は全部を接着部材4で構成することが好ましい。基材3と接着部材4とを組み合わせた流路において、基材3と接着部材4との隙間から流体が漏洩するのを防止するため、流路2の底面を全て基材3の表面31で構成し、流路2の側面を全て接着部材4で構成することが好ましい。また、流路2の底面を全て基材3の表面31で構成すると、流体と接触する流路の底面を同一の材質とすることができ、底面の材質の違いによって生じる流体への影響を無くすことができる。なお、流路に供給される流体としては、液体、気体又はプラズマを含み、さらに、これらに固体(粉体等)を混入させてもよい。
本発明において流路2は、マイクロ流路とすることが好ましい。マイクロ流路は、流路断面の高さ又は幅の少なくとも一方が、供給される流体との関係で粘性力が慣性力よりも支配的になるような大きさの微小空間である。例えば、流路断面の高さ又は幅が1mm以下、好ましくは200μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。図1において流路2は、高さ50μmのマイクロ流路であり、正面から見た形状が四角形の微小容器又は微小反応室となる凹部である。しかし、流路2の形状は、かかる構造に限定されるものではなく、正面から見た流路2の形状は、直線、曲線又はこれらを組み合わせた線状の通路でもよいし、多角形、円形、楕円形又はこれらを組み合わせた形状の容器又は反応室でもよいし、これらの通路や容器等を組み合わせ、連結、分岐、合流された形状でもよい。
基材3は、表面31に流路2の底面の少なくとも一部が形成される部材である。また、基材3は、流路2の底面を構成する表面31よりも突出した支柱部32を有している。さらに、基材3は、流路2と外部とを接続するための貫通孔33、34を有していてもよい。基材3及び接着部材4の少なくとも一方は、基材3と接着部材4とを結合し、接着部材4を基材3に固定化するための結合構造を有することが好ましい。例えば、基材3には、溝35を形成し、接着部材4と結合させてもよい。
基材3は、接着部材4に比べて剛性の高い材料で構成される。基材3としては、使用される流体や流体チップの実験内容によっても要求される性質が変わるものであるが、流体への不純物の混入、外部環境からのバリア性、耐熱性、吸着性、強度、耐薬品性、透明性、光線透過率、自家蛍光の強度等を考慮して選択される。基材3は、プラスチック材料を使用することが好ましく、特に、強度及び耐熱性に優れたエンジニアリングプラスチックが好ましいが、ガラス、フォトレジスト、金属等も使用可能である。基材3として、例えば、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリメタクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等を利用可能であるが、これらに限定されるものではない。基材3は樹脂を成形することにより製造することが好ましいが、他の方法により製造してもよい。特に、基材3を型の一部として接着部材4を成形すると、基材3と接着部材4とを一体的に製造することができるので好ましい。
接着部材4は、エラストマー樹脂で形成され、基材3に突設されており、基材3の外側に露出した露出領域41と基材3の内部に配置される埋没領域42(図5、図6参照)とを有している。露出領域41の上端面41aは、被着部材と接着させる接着面として機能する。露出領域41は、マイクロ流路の側面の少なくとも一部を構成するか、マイクロ流路の側面の少なくとも一部に沿って隣接して設けられる。基材3に突設されるとは、接着部材4の最も高い位置、すなわち上端面41aが、基材3の流路2の底面となる表面31よりも高い位置に設けられた状態を指す。接着部材4の上端面41aは、基材3の支柱部32の上端部と同じ高さとすることが好ましいが、接着部材4が弾性変形可能であることから支柱部32の上端部よりも弾性変形可能な範囲で高くしてもよい。接着部材4は、基材3に結合され、固定されている。特に、基材3又は接着部材4を破壊または著しく変形しなければ取り外しができないように基材3と接着部材4とを結合させてもよい。ただし、基材3と接着部材4とを着脱可能に結合してもよい。接着部材4は、エラストマー樹脂で形成されているので、外力によって容易に変形しやすいことから、接着部材4に基材3の支柱部32を埋設して、流路2の側面の高さを規定する。接着部材4の流路の側面となる面は、基材3の表面31に対して垂直であってもよいし、表面31に対して傾斜させてもよい。接着部材4の上端面41aは、被着部材との接合面となるので、面積が大きいほど接着力も強くなるので、接着部材4の上端面41aができるだけ被着部材と接するようにすることが好ましく、基材3の支柱部32の上端部を除いて、被着部材との接合面は接着部材4で構成されることが好ましい。
接着部材4を構成するエラストマー樹脂は、常温で弾性を有する高分子物質であり、力を加えると変形するが、力を除くとほぼ元の形状寸法に戻る。エラストマー樹脂は自己接着性を有しているが、エラストマー樹脂の中でも、自己接着性が強いエラストマー樹脂を用いることが好ましい。自己接着性とは、液状の接着剤等が固化することによって接着するのとは異なり、接着に際し、粘弾性体の固体であって、溶剤、熱等を一切使用しないでそれ自体の粘弾性等に基づいて接着する性質であり、通常、剥がす際には被着面に痕跡を残さずに容易に剥離することができる。自己接着性を有するエラストマー樹脂を採用することにより、接着部材4の上端面41aに他の部材を接触させることにより、他の部材を接着部材4の上端面41aに接着させることができる。接着の際に、必要に応じて被着部材を接着部材4の上端面41aに押し付けて加圧してもよい。さらに、接着する際に熱を加えることにより接合強度を高めることができる。エラストマー樹脂としては、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とが存在する。例えば、熱硬化性エラストマー樹脂として、ポリウレタン系樹脂、ポリシリコーン系樹脂等を利用可能であり、熱可塑性エラストマー樹脂として、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂等を利用可能である。オレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。ポリプロピレン樹脂は、例えば、三菱ケミカル社製ZELAS(商標登録)である。ポリエステル系樹脂としては、例えば、東洋紡社製ペルプレン(商標登録)、東レ・デュポン社製ハイトレル(商標登録)などが挙げられる。エラストマー樹脂の種類は、これらに限定されるものではない。接着部材を構成するエラストマー樹脂は、上記の1種であってもよく、2種以上の混合物であってもよい。
エラストマー樹脂のメルトフローレート(MFR:Melt Flow Rate)は、接着部材4の成形型として、基材3と合わせて用いる金型からの離型性に優れる観点から、10g/10min以下であることが好ましい。本明細書において、「メルトフローレート」とは、JIS K 7210:1999に準拠して、試験温度230℃、試験荷重21.2Nで測定して得られた値のことをいう。
接着部材4は、必要に応じて、エラストマー樹脂以外の添加剤(例えば、接着付与剤など)を含有していてよい。接着部材4は、エラストマー樹脂の成形により製造することができ、特に、基材3を型の一部として接着部材4を成形することにより、基材3と接着部材4とを一体的に製造することができるので好ましい。
次に、本実施形態における基材3と接着部材4の具体的な構造及びそれらの結合構造について、図1及び図2に加えて、図1及び図2の基材3だけを示す図3及び図4と、図1及び図2の接着部材4だけを示す図5及び図6とを併せて説明する。
図3は、図1の流体チップ1の基材3の一実施形態を示す概略図であり、(A)は正面図であり、(B)は右側面図であり、(C)は底面図であり、(D)は背面図であり、(E)は正面、右側面、底面を表す斜視図である。図3の基材3も、平面図は底面図と同じであり、左側面図は右側面図と同じである。また、図4は、基材3の断面図であり、(A)は図3(D)のD−D断面であり、(B)はE−E断面であり、(C)は図3(A)のF−F断面である。
また、図5は、図1の流体チップ1の接着部材4の一実施形態を示す概略図であり、(A)は正面図であり、(B)は右側面図であり、(C)は底面図であり、(D)は背面図であり、(E)は正面、右側面、底面を表す斜視図である。図5の接着部材4も、平面図は底面図と同じであり、左側面図は右側面図と同じである。また、図6は、接着部材4の断面図であり、(A)は図5(D)のG−G断面であり、(B)はH−H断面であり、(C)は図5(A)のI−I断面である。
本実施形態における基材3は、正面から見ると、全体の外形は四角形であり、流路2の底面となる四角形状の表面31と、その周囲に環状に溝35と、溝35の周囲に周辺部36とが設けられ、溝35の四隅に支柱部32が形成され、表面31内に貫通孔33、34が形成されている。
基材3の表面31は、流路2の底面の少なくとも一部を構成する。本実施形態においては、表面31の高さは、周辺部36の表面よりも高くされている。このように、表面31を高くしたのは、被着部材を接着した時に、基材3の周辺部36と被着部材の周辺部との隙間を広くするためである。この隙間によって、例えば、被着部材としてセンサを採用した場合に、センサの外部と接続するための端子、配線等を配置することができる。特に必要がなければ、表面31の高さを周辺部36の高さと同じにしてもよい。また、本実施形態においては、表面31は、高さが一定な平面であるが、表面31の高さ(流路の側面の高さ)を流路の領域に応じて変えてもよいし、表面31を傾斜した平面としたり、曲面としてもよい。
基材3の溝35は、流路の側面に沿って、連続的又は離散的に設けられ、一部又は全部が背面まで基材3を貫通していてもよい。本実施形態における基材3に設けられた溝35は、図4(B)に示すように、異なる深さの表面側溝35a、中間溝35b及び背面側溝35cから構成されている。表面側溝35aは、表面31側に設けられた第1の深さd1の溝であり、第1の幅w1を有し、図3(A)に示すように表面31を囲って四角環形状に形成されている。中間溝35bは、表面側溝35aの内側において、表面側溝35aよりも深い位置に形成された第2の深さd2の溝であり、第1の幅w1よりも狭い第2の幅w2を有している。中間溝35bは、図3(A)に示すように、支柱部32が形成された四隅を除いて、表面側溝35aの内側に形成されている。背面側溝35cは、背面側に設けられた第2の幅w2よりも広い第3の幅w3を直径とする円形の第3の深さd3の溝であり、図3(D)の円形の部分が背面溝35cの輪郭であり、円の内部の直線は背面溝35cを介して観察される中間溝35bの輪郭の一部である。なお、図3(A)においては、中間溝35bの内部に背面側溝35cの円形の輪郭の一部が示されている。このように、溝35の幅は、深さ方向において、第1の幅w1、第1の幅w1よりも狭い第2の幅w2、第2の幅w2よりも広い第3の幅w3の溝が形成されており、くびれ部を有しており、くびれ部に適合した形状を有する接着部材4を強固に固定することができる。なお、本実施の形態では、くびれ部の表面側及び背面側の両方とも幅を広くしているが、少なくとも背面側において幅が広い部分を設ければよい。また、中間溝35bは少なくとも背面側溝35cが配置された部分に配置されればよく、背面側溝35cの数及び配置は流路の大きさ、形状、接着部材4の材質等を考慮して適宜設定すればよい。
基材3の支柱部32は、流路2の側面の高さを規定するものであり、基材3の表面31よりも突出している。基材3の表面31から支柱部32の上端部32aまでの高さが流路の側面の高さとなる。本実施形態においては、基材3の表面31から支柱部32の上端部32aまでの高さは約50μmである。支柱部32は、流路2の側面に沿って、連続的又は離散的に設けられる。特に、側面の端や角に支柱部32を配置することにより側面を2点で規定することができ好ましい。支柱部32を流路の側面に連続的に設ける場合は、流路2の側面を支柱部32によって構成してもよい。この場合、支柱部32は流路の壁となる。支柱部32は、接着部材4に埋設されるが、支柱部32の周囲の少なくとも一部において接着部材4に埋設されていればよい。また、複数の支柱部32を設けた場合において、複数の支柱部の全部が接着部材4に埋設されていてもよいが、複数の支柱部の少なくとも一部が接着部材4に埋設されていればよい。支柱部32を接着部材4に埋設することにより、支柱部32の強度を高め、流体チップを集積化することができ、また、接着部材の高さを一定に確保する機能を高めることもできる。支柱部32を接着部材4に埋設させるさいに、支柱部32の上端部32aが接着部材4の上端面に露出する場合もあるので、接着部材4による接合面を広くするため、支柱部32の上端部32aを小さくすることが好ましい。図3及び4の支柱部32は、円柱の上面を斜めに切断し、上端部32aを細い弓形としている。支柱部32を接着部材4に埋設すると、支柱部32の上端部を細くしても強度を確保できる点においても効果がある。支柱部32の形状はかかる構造に限定されず、例えば、角柱形状、角錐台形状、板状、十字柱形状、円錐台形状、又はこれらを組み合わせた形状でもよい。
基材3の貫通孔33、34は、基材の背面側において流路2と外部とを接続可能とするものである。例えば、貫通孔33を流路2に流体を供給するための流体供給口とし、貫通孔34を流路2の流体を排出するための流体排出口としてもよい。貫通孔33、34は、背面側において外部の流体デバイスや流路と接続可能な構造としていてもよい。なお、流路2の流体供給口及び流体排出口は基材3の貫通孔である必要はなく、例えば、被着部材に流体供給口及び流体排出口を設けてもよい。
本実施形態における接着部材4は、正面から見ると、全体の外形は流路2の側面に沿った四角環形状であり、露出領域41には、流路2の側面となる壁部43及び四隅に広い角部44が形成されており、埋没領域42には、第1層42a、第2層42b、第3層42cが形成されている。
接着部材4の露出領域41は、基材3の外側に露出した領域であり、その上端面41aにおいて、被着部材と接着可能に構成されている。露出領域41の上端面41aは、基材3の支柱部32の上端部と同じ高さ以上に構成される。接着部材4は、露出領域41において、流路2の側面の少なくとも一部として、または流路2の側面の少なくとも一部に沿って隣接して設けられ、流路2の上面において被着部材を接着可能とされている。本実施形態においては、壁部43及び角部44の上面が上端面41aとされている。
壁部43は、流路2の側面の少なくとも一部を構成する構造物である。壁部43の上面は、被着部材と接触する上端面41aとなり、流路2からの流体の漏えいを防止するため、流路2の側面の上面の全部が接着部材4による壁部43で構成されることが好ましい。マイクロ流路チップでは、被着部材との接着面積が制限されることがあり、その場合、流路2の側面自体を接着部材4で構成し、接着部材4の上端部41aの面積を増やすことが好ましい。なお、本実施形態においては、壁部43の上端面41aは、約200μmの幅であり、基材3の表面31からの高さ(露出領域41の高さ)は、約50μmである。
角部44は、流路2の角または端に設けられた領域であり、流路2の側面の各辺の両端に形成された壁部43の幅よりも広く形成された部分である。角部44は、接着部材4の上端部41aの面積を増やすことにより接着力を増加させる。さらに、角部44を広く形成すると、基材3の支柱部32を埋設させるとともに、支柱部32の上端部が露出しても接着力を確保できる。本実施形態においては、角部44の上端面41aは、約1mm角の正方形とされており、接着力を確保している。また、図5(D)の背面図、図6(C)の断面図から明らかなように、角部44には、基材3の支柱部32が埋設されているため、支柱部32が配置される部分が埋設空間45となっており、本実施形態における埋設空間45は、支柱部32の形状である円柱の上面を斜めに切断した形状に対応した形状の空間であり、角部44の表面に弓形の開口45aを有している。図7は、流体チップ1の角部44の拡大図であり、基材3の支柱部の上端部が開口45aから露出しており、支柱部のその他の部分が接着部材4内に埋設されている。なお、支柱部32の上端部を接着部材4で薄く覆って接着力を高めてもよい。
埋没領域42は、基材3の内部に埋没した領域であり、基材3と組み合わされて接着部材4を基材3に固定させる機能を有することが好ましい。埋没領域42は、例えば、基材3の溝35に対応する形状であり、溝35の形状と組み合わさることにより接着部材4を基材3に固定させる。本実施形態における埋没領域42は、図6(B)に示すように、異なる深さの第1層42a、第2層42b及び第3層42cから構成されている。第1層42aは、基材3の表面側溝35aに対応した形状であり、第1の幅w1及び第1の高さt1を有し、図5(A)に示すように四角環形状に形成されている。第1の高さt1は、基材3の表面側溝35aの周辺部36の表面からの深さに対応しており、基材3の溝35に接着部材42が配置されると、接着部材4の露出領域42における壁部43及び角部44以外の上面の高さが、基材3の周辺部36の表面と同じとなり、連続した表面が構成される。第2層42bは、基材3の中間溝35bに対応した形状であり、第1の幅w1よりも狭い第2の幅w2及び第2の高さt2を有する。図5(D)に示すように、第2層42bは、第1層42aの内側において、四角環形状の四隅を除いた各辺に沿って形成されている。第2の高さt2は、基材3の中間溝35bの第2の深さd2と対応する。第3層42cは、基材3の背面側溝35cに対応した形状であり、第2の幅w2よりも広い第3の幅w3を直径とする円形の構造物であり、第3の高さt3を有する。第3の高さt3は、基材3の背面側溝35cの第3の深さd3と対応する。埋没領域42は、第1の幅w1の第1層42a、第1の幅w1よりも狭い第2の幅w2の第2層42b及び第2の幅w2よりも広い第3の幅w3の第3層42cが形成されており、溝のくびれ部に適合した形状を有しており、くびれ部を備えた基材3と組み合わせることにより、接着部材4を強固に固定することができる。なお、埋没領域42の形状は、基材3と組み合わされて接着部材4を基材3に固定させることができれば、特に基材3の溝35に完全に対応させる必要はなく、図5及び図6の構造は一実施形態に過ぎない。
[流体デバイス]
図8は、本発明の流体デバイス10の一実施形態を示す概略図であり、(A)は流体チップ1の表面を前とした時の正面図であり、(B)は右側面図であり、(C)は底面図であり、(D)はは正面、右側面、底面を表す斜視図である。図1の流体デバイス10においては、背面図は流体チップの背面図と同じであり、平面図は底面図と同じであり、左側面図は右側面図と同じであるので省略した。本発明の流体デバイス10は、流体チップ1と流体チップ1の上面に接着された被着部材11とを含む。
被着部材11は、流路チップ1の流路2の上面に設置され、接着部材4の上端面に接着される部材である。例えば、流体制御素子(マイクロポンプ、マイクロバルブ、マイクロミキサ、フィルタ)、周辺回路(加熱手段、冷却手段、発光手段)、検出素子(各種センサ)等の機能性を有するものでもよいし、単に天井として機能する部材でもよい。被着部材11として、イメージセンサ、バイオセンサのような検出系とすると、センサを直接流体と接触させることができ、検出感度等を向上させることができる。被着部材11としては、樹脂、ガラス、半導体、金属、無機物などを含み、接着部材4によって接着可能なものであれば特に制限されない。
図8においては、被着部材11は、四角形であり、接着部材4の外形と同程度の大きさであるが、接着部材4よりも大きくてもよい。また、図1乃至図6で説明した流体チップは、周縁部36の高さを低くし、さらに、接着部材4の露出領域42における壁部43及び角部44以外の上面の高さを、基材3の周辺部36の表面と同じ高さとしたことにより、被着部材11の四辺において流体チップとの間に間隙が形成される。かかる間隙に、被着部材11を外部と接続するための端子、配線等を配置することができる。
本発明の流体デバイス10は、接着部材4によって被着部材11を流路の上面に接着させることができ、また、エラストマー樹脂である接着部材4が変形しても、基材3の支柱部32によって流路2の側面の高さは一定に保持されるので、流路の体積を所定の分量とすることができる。特に、流体デバイス10を使用する際に、流体チップ1と被着部材11とを一定の荷重で押圧して実験する場合であっても、基材3の支柱部32によって流路2の側面の高さを一定に保持できる。また、被着部材11との接着に接着部材4の自己接着性を用いることにより、接着剤を使用する必要はなくなり、接着剤を使用することに起因する問題を解消することができる。
[流体チップの製造方法]
図9及び図10は、流体チップ1の製造方法を説明する図であり、図9は、流体チップ1の基材3を製造する工程を説明する図であり、図10は、接着部材4を製造する工程を説明する図である。図9に示すように、基材3を成形するための一対の第1の型51、52を準備し(A)、一対の第1の型51、52を型締めする(B)。一対の第1の型51、52によって形成される空間は、基材3の形状であり、かかる空間に第1の材料を注入口52aより注入し、その第1の型51、52内で第1の材料を硬化させることにより、基材3を製造する(C)。その後、第1の型51、52を分離して、成形品である基材3を取り出す。
次に、図10に示すように、成形された基材3と、第2の型53、54とを準備し(A)、基材3を内包するように第2の型53、54を型締めする(B)。基材3と一対の第2の型53、54とによって形成される空間は、接着部材4の形状であり、かかる空間に第2の材料としてエラストマー樹脂を注入口54aより注入し、その第2の型53、54内で第2の材料を硬化させることにより、接着部材4を製造する(C)。ここで、基材3の溝35内にもエラストマー樹脂が注入され埋没領域42も基材の溝35の形状に対応するように製造される。その後、第2の型53、54を分離して、成形品である流体チップ1を取り出す。
図9及び図10では、一対の第1の型及び一対の第2の型を用いて製造したが、基材を成形する第1の型において、接着樹脂を製造するための第2の型と共通の形状の部分(例えば周縁部36や表面31)を共通の型とし、第1の型によって基材3を製造した後、共通の型はそのままで、変更される部分の型を取り外し、接着樹脂用の型を取り付けて第2の型とし、第2の材料により接着部材を製造してもよい。このような製造工程は、二色成形技術を利用することにより実現できる。
[流体デバイスの製造方法]
流体デバイスは、流体チップ1の流路の上面において、所定の位置に被着部材11を配置し、被着部材11を接着部材4の上端面41aに接触させることにより、被着部材11を流体チップ1に接着させて製造する。必要に応じて、被着部材11を接着部材4の上端面41aに押圧してもよい。接着部材4の自己接着性の接着力が、被着部材11を接合するのに十分に強い場合には、接着部材4の自己接着性のみで接着させればよいが、接着部材4の接着力だけでは弱い場合や、自己接着性の接着力よりも強固な接合が必要な場合には、他の接合手段を用いてもよい。たとえば、接着部材4と被着部材11との接触部または接触部の外側周囲を接着剤で接着してもよいし、クランプによって被着部材11を流体チップに固定してもよい。
[変形例]
本発明の流体チップは、上記の実施形態に限定されるものではなく、当業者の理解の範囲で適宜変形することが可能である。図11は、支柱部112の変形例である。図11においては、埋設された部分は図示されていないが、支柱部112として板状の四角柱形状の構造を採用したので、接着部材の角部44の開口45aは長方形となり、そこから長方形の支柱部112の上端部が露出している。支柱部112は、流路2の側面(接着部材4の壁部43)に対して斜めになるように四隅(接着部材の角部44)に配置されている。このように、角から延びる側面に対して斜めに支柱部112を配置することにより、角に接するいずれの側面に対しても支柱部112による側面の高さを均一とする効果を及ぼすことができ、離散的に配置した支柱部112によって側面の高さを維持できる。
図12は、流路122の底面及び側面の全部を基材123で構成した流体チップ121の例であり、(A)は全体の正面図であり、(B)は(A)の点線部分の拡大図であり、(C)は(B)のJ−J断面図である。図12の流体チップ121においては、基材123は、四角形の流路122の底面を構成する基材の表面123aから板状の支柱部123bが垂直に突出し、流路122の側面を構成している。流路の側面である支柱部123bによって流路の側面の高さが維持される。さらに、基材123は支柱部123bの外側に支柱部に沿って溝123cが形成されており、溝123cは、基材を貫通していないが、表面側の幅に比べて深部では幅が広がっており、くびれ部が設けられている。なお、図12の変形例では、基材123の周辺部123dの表面の高さは、流路122の底面と同じ高さである。接着部材124は、流路122の側面である支柱部123bの外側において、側面に沿って設けられている。接着部材124の露出領域124aは、支柱部の外側部分を覆って流路の側面と平行に帯状に延びている。接着部材124の埋没部124bは、基材123の溝123c内に充填されており、くびれ部に対応した形状である。図12の基材と接着部材との結合構造は、くびれ部が表面から深さ方向に斜めに広がっており、容易に取り外すことができない構造であり、分離した状態から取り付けることも困難な構造である。図12の変形例によれば、流体チップ121の接着部材124の上端面と重なるように被着部材を配置し、接着部材122の上端面と接触させることにより、流路122の上面に被着部材を接着させることができる。流路の側面は基材123の支柱部123bによって構成されており、側面の高さは一定に規定される。
[被着部材の接着工程]
図13は、流体デバイス130の各構成部品であり、流体チップ131の正面図(A)、背面図(C)及び(A)及び(C)におけるB−B断面図(B)と、被着部材141の正面図(D)及び(D)におけるE−E断面図(E)と、背面部材145の正面図(E)である。また、図14は、各構成部品を組み合わせた流体デバイス130の正面図(A)、側面図(B)、背面図(D)、(A)及び(D)におけるC−C断面図(C)並びにその拡大図(E)である。
流体チップ131は、基材133の正面に四角形状の凹部135が形成され、凹部135内に四角環状の接着部材134が埋設され、接着部材134の四隅には基材の支柱部136の上端部が露出している。接着部材134で囲まれた領域内が反応室132となる空間であり、反応室132には基材133を貫通する2つの内部貫通孔137a、137bが形成され、内部貫通孔137a、137bは、基材133の背面側において、流路となる2本の線状の溝138a、138bの一端とそれぞれ連結している。反応室の高さは、接着部材134で囲まれた領域における基材133の表面から支柱部136の上端部までの高さであり、本実施の形態では50±5μmの高さで設計した。溝138a、138bの他端は、基材133を貫通する2つの外部貫通孔139a、139bとそれぞれ連結している。接着部材134で囲まれた反応室132となる空間における基材の表面の高さは、凹部135内における接着部材134の外側における基材の表面の高さよりも高いが、支柱部136の上端部の高さよりも僅かに低く、被着部材141で覆われた際に反応室132が微小空間となるように構成されている。基材背面の溝138a、138bは、背面部材145で覆われることで内部貫通孔137a、137bと外部貫通孔139a、139bとを連結する流路となる。なお、溝の一部にバルブ構造(図18参照)を形成し、反応室132への流体の供給量又は反応室132からの流体の排出量を制御できるようにしてもよい。
被着部材141は、本実施形態では、四角形状の基板142にイメージセンサ143が実装された検出素子であり、イメージセンサ143の検出面(図13(E)では下面)が反応室132に対向するように配置し、接着部材134に接着される。イメージセンサ143は、接着部材134の外縁よりも大きく、基板142よりも小さい略四角形状であることが好ましい。基板142は、イメージセンサ143の実装面においてイメージセンサ143の周縁部にイメージセンサ143への電源供給用、検出信号出力用等の端子を設けることが好ましい。なお、基板142の実装面とは反対の面は、平坦であることが好ましいが、凹凸を有していてもよく、凹凸を有している場合は、後述する図16の工程により接着することが好ましい。
背面部材145は、基材133の背面に形成された溝を覆って流路とするための部材である。背面部材145としては、使用される流体や流体チップの実験内容によっても要求される性質が変わるものであるが、流体への不純物の混入、外部環境からのバリア性、耐熱性、吸着性、強度、耐薬品性、透明性、光線透過率、自家蛍光の強度等を考慮して選択される。背面部材145は、フィルム状のプラスチック材料を使用することが好ましく、特に、強度及び耐熱性に優れたエンジニアリングプラスチックのフィルムが好ましいが、ガラス、金属等も使用可能である。背面部材145として、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリスチレン、シリコーン樹脂、エラストマー等を利用可能であるが、これらに限定されるものではない。背面部材145の大きさ及び形状については、背面において覆う必要のある構造を覆える大きさ及び形状であればよいが、背面を平坦とするために背面全面を覆うようにしてもよい。
流体デバイス130は、図14に示すように、流体チップ131の正面において、接着部材134に被着部材141が接着され、流体チップ131の背面に背面部材145が接合された構造である。背面部材145の接合は、被着部材141を接着する前でも、接着した後でもよいが、背面部材145の接合に高温及び/又は高圧が加わる場合には、被着部材141のイメージセンサが破損する可能性があるので、先に背面部材145を背面に接合した後に被着部材141を接着することが好ましい。背面部材145は、流体チップ131の背面にも接着部材141が設けられている場合には、接着部材によって接着してもよいし、接着部材が設けられていない場合には、熱圧着、接着剤、両面接着フィルム等によって接合される。なお、流体チップの背面に接着部材を設けるには、基材の背面の必要となる領域に接着部材を埋設させればよいが、製造の容易性から、基材の背面に形成された接着部材を埋設するための円形の背面溝と連続させることが好ましい。
また、流体チップ131の接着部材134に被着部材141を接着させるには、被着部材141を接着部材134に接触させるだけでもよいが、被着部材141を接着部材134に向けて圧力を加えることが好ましく、さらに、加熱ユニットで加熱することがより好ましい。接着部材の材質、物性にもよるが、例えば、120〜150℃に加熱し、約30Nの圧力で接着させてもよい。押圧ユニット等によって被着部材141を接着部材134に押し付けて押圧する場合、押圧ユニットからの圧力が強くなると、流体チップ131の支柱部136が変形したり、支柱部136又は被着部材141が破損したりする可能性がある。特にマイクロ流路チップでは、支柱部自体の寸法が制約されるうえに、接着部材の幅も狭く、接着部材が弾性変形するため、押圧力が支柱部に集中し、支柱部136の変形、破損を引き起こしやすい。その結果、反応室の高さに不均一が生じたり、複数の流路チップごとに流路や反応室の体積にバラつきが生じたりするため、均一な条件で定量的な実験を行うことが難しいという課題が生じた。そこで、以下、改良した被着部材141を接着する工程又は方法について説明する。
図15(A)は接着前の状態を示す図であり、(B)は押圧中の状態を示す図であり、(C)は(B)の一部拡大図である。図15(A)に示すように、加熱ユニット161の上に流体チップ131(本実施形態では背面部材が接合済みであるが、接合前であってもよい)を配置し、流体チップ131の接着部材134の上に重なるように被着部材141を位置合わせして配置し、被着部材141の上に押圧ユニット151を配置する。押圧ユニット151は、図の上下方向に移動可能に構成されており、押圧面152を介して下方に向けて荷重を印加することができる。加熱ユニット161は内部にヒータなどの熱源を有し、加熱ユニット161上に配置された部材を加熱することができる。なお、接着に熱を使用しない場合は、加熱ユニット161の代わりに流体チップを載置する載置台を配置すればよい。
本実施の形態においては、被着部材が配置されない位置において、押圧ユニット151の押圧面152と流体チップ131の表面との間の距離を一定に保持するためのストッパを設けることを特徴とする。図15では、ストッパとして、押圧ユニット151の押圧面152において、被着部材が配置されない位置に複数の脚部153が突設されている。脚部153の高さは、流体チップ131の接着部材134に被着部材141を接着させた状態(流体デバイス130の状態)における脚部153が突設された位置の流体チップ131の上面から被着部材141の上面までの距離とほぼ同じ寸法とする。厚さの異なる流体チップや被着部材でも使用可能とするために、脚部153の高さは調整可能であることが好ましい。高さの調整は、例えば、押圧ユニット151の押圧面152にねじ穴を形成し、ねじ穴に脚部153を螺合して取り付ける構造とし、押圧面152と脚部153との間に所定の厚さのシムリング等を介在させ、シムリング等の厚さで高さを調整してもよい。また、脚部153を複数設け、均等に配置することにより、押圧面を水平な状態とし、被着部材に均一に押圧力を印加することができ、反応室の高さを均一に接着することができるので好ましい。
そして、図15(B)に示すように、加熱ユニット161上に配置された流体チップ131の接着部材134の上に被着部材141を配置し、加熱ユニット161で加熱しつつ、押圧ユニット151を下降させて被着部材141を押圧して被着部材141を接着部材134に接合させる。本実施の形態においては、押圧面152に脚部153を突設した押圧ユニット151によって被着部材141を押圧しているため、高い押圧力を印加しても、脚部153が流体チップ131の上面に突き当たり、押圧面152の下方への移動を阻害し、被着部材141に一定以上の圧力が印加するのを防止することができ、支柱部や被着部材の破損等を防止することができる。なお、押圧時において、常に脚部153が流体チップ131の表面に接触するまで押圧する必要はなく、十分に接着されれば、脚部153が流体チップ131の表面に接触しない程度の押圧力でもい。ストッパとして、図15では押圧ユニットに突設された脚部を流体チップの上面に突き当てる構成を採用したが、脚部を他の部材、例えば加熱ユニット表面や別部材に突き当てるように構成してもよい。さらに、押圧ユニットに脚部を設けるのではなく、押圧ユニットとは独立した別部材を流体チップ上面と押圧ユニットとの間に介在させてもよいし、流体チップを載置する載置台(図15では加熱ユニット)にストッパとして押圧ユニットの下方への移動を妨げる柱部等を設けてもよい。このように、所定の高さのストッパを設けることによって、押圧面の下方への移動を阻害し、被着部材に一定以上の圧力が印加するのを防止することができ、支柱部や被着部材の破損等を防止することができる。
図16は他の実施態様であり、図16(A)は接着前の状態を示す図であり、(B)は押圧前の状態を示す図であり、(C)は押圧中の状態を示す図であり、(D)は(C)の一部拡大図である。図16(A)に示すように、加熱ユニット161の上に流体チップ131(本実施形態では背面部材が接合済みであるが、接合前であってもよい)を配置し、流体チップ131の接着部材134の上に重なるように被着部材141を位置合わせして配置し、被着部材141の上に押圧ユニット154を配置する。本実施の形態においては、押圧ユニット154として、押圧部材155と、押圧部材155を上下動可能に支持する支持部材156とを有し、押圧部材155の下方向への移動を一定の範囲に制限させた点に特徴がある。押圧部材155は、下端において被着部材141の上面と接触し、被着部材141に対して下向きの圧力を印加する部材であり、支持部材156は、押圧部材155を被着部材141よりも上方の所定の位置で支持する部材である。押圧部材を複数設けることで、押圧力をより均一に被着部材に印加することができ好ましく、複数の押圧部材は均等に配置することが好ましい。押圧部材155の下方向への移動を一定の範囲に制限させるには、支持部材156の一部を使用してもよいし、他の部材を使用してもよい。また、押圧部材155を下方へ押圧するための機構は、押圧部材155自体に設けてもよいし、支持部材156に設けてもよいし、別途設けてもよい。支持部材156自体は、加熱ユニット161に対して移動可能に設けられていてもよいし、固定されていてもよい。図16においては、支持部材156は、天板157及び柱部158を有し、それ自体が上下動することができ、さらに、天板157に形成された貫通口に押圧部材155が支持部材に対して上下動可能に挿入されている。
図16(B)に示すように、支持部材156の柱部158の高さは、流体チップ131の上面に柱部158を当接させた状態で、天板157の下面が被着部材141の上面よりも高くなることが好ましいが、天板157の下面の一部と被着部材141の上面の一部とが接していてもよい。押圧部材155は、貫通口の形状に対応させた形状のピンを有し、ピンの上端の幅を貫通口の幅よりも広くすることにより、押圧部材155の幅広の上端が支持部材156の上面に当接するまでの範囲に押圧部材155の下方向への移動を制限することができる。下方向への移動範囲は、最下点において、ピンの下端が被着部材141の上面を適度な圧力で押圧されるようにする。また、移動範囲を変更可能とすることが好ましい。例えば、ピンの上端の幅広部分の位置をピンに対して上下に変更可能としたり、ピンの上端の幅広部分と支持部材の上面との間に所定の厚さのシムリング等を介在させ、シムリング等の厚さで高さを調整してもよい。
図16(C)に示すように、支持部材156を流体チップ131上に載置した状態で、押圧部材155を支持部材156に対して相対的に下方向に移動させることによって、押圧部材155のピンの下端を被着部材141の上面に押し当てて押圧部材155で被着部材141を押圧できる。この押圧状態において、支持部材156の下面から突出するピンの長さは、最大でもピンの上端の幅広部分が支持部材に突き当たるまでであり、その場合であっても被着部材141に印加される押圧力は過剰なものとならないように調整されているため、被着部材141に一定以上の圧力が印加するのを防止することができ、支柱部や被着部材の破損等を防止することができる。また、図16(D)に示すように、被着部材141の上面に凹凸がある場合でも、下端がピン状の押圧部材155を採用しているため、被着部材141の水平を保ったまま押圧することができ、反応室の高さを均一に接着することができるので好ましい。さらに、被着部材の接着に際し、押圧部材のみを位置決めして、押圧部材のみに接着のための押圧力を発生させればよく、実施態様1のように、押圧ユニット全体を位置合わせして下方に移動させて押圧する構成に比べると、比較的小型の装置で実現できる。また、複数の押圧部材が可動範囲内で押圧力を調整することができるため、被着部材の水平を保ったまま押圧することができ、仮に流体チップの支柱部が形成できないような場合であっても、反応室が均一な高さとなるように接着部材を接合することも可能である。図16では、支持部材156の柱部158が流体チップの上面に載置される構造であったが、かかる構造に限定されるものではなく、例えば、流体チップの外側の領域で支持部材156を加熱ユニット161に載置又は固定してもよいし、柱部158を設けずに別の部材によって支持部材156を流体チップの上方に固定してもよい。なお、接着に熱を使用しない場合は、加熱ユニット161の代わりに流体チップを載置する載置台を配置すればよい。
図17は、さらに他の実施態様であり、図17(A)は流体デバイスの正面図であり、(B)及び(C)は接着工程中の(A)のB−B断面及びC−C断面である。本実施の形態においては、被着部材141を上から機械的に押圧せずに接着部材134と被着部材141とを接合する方法であり、被着部材141と接着部材134とで囲まれた流路(反応室)内を低圧状態とすることにより、外気圧によって接着部材134と被着部材141とを接着する点に特徴がある。図17(A)の流体デバイス130は、図13及び図14と同じ構造であり、反応室132には2つの内部貫通孔137a、137bが形成され、内部貫通孔137a、137bは、基材133の背面側の2本の線状の溝138a、138bを介して、2つの外部貫通孔139a、139bとそれぞれ連結している。図17においては、加熱ユニット161の上に背面部材を接合済みの流体チップ131を配置し、一方の外部貫通孔139aに吸引装置の吸引口171を接続し、他方の外部貫通孔139bを栓172で塞いでいる。そして、加熱ユニット161を加熱させつつ、吸引装置を作動させて吸引口171から反応室132内部の空気を吸引し、内部と外部との圧力差によって接着部材134と被着部材141とを接合する。
このように本実施の形態では、被着部材を機械的に押圧せずに被着部材を接着部材に接着できる。比較的破損しやすい被着部材の場合や被着部材の形状等により機械的な押圧に向かない場合に本実施の形態の方法は有用である。また、圧力差によって接着するため、被着部材の水平を保つことができ、反応室の高さを均一に接着することができるので好ましい。吸引装置は、特に限定されず、例えば吸引ポンプなどが使用できる。吸引口171は、少なくとも一方の外部貫通孔に接続すればよいが、両方の外部貫通孔に吸引口171を接続し、両方の流路から吸引してもよい。流体デバイスが、流路の途中に背面部材を使用したバルブ構造を有する場合には、バルブ構造を介して吸引すると加熱ユニットからの熱がバルブ構造にも伝わり、バルブ構造に変形等の不具合を生じるおそれがあるので、反応室までの間にバルブ構造が配置されている外部貫通孔は栓172で塞ぎ、他方の外部貫通孔から吸引することが好ましい。ただし、バルブ構造を有している場合でも、加熱ユニットを使用せずに被着部材を接合する場合には、バルブ構造を介して吸引してもよい。また、流体チップ131に背面部材を接合する前に被着部材を接着部材に接着する場合には、内部貫通孔137a、137bの背面側の開口の一方又は両方に吸引口を接続して吸引すればよい。栓172としては、通路を密閉することができれば足り、特に限定されるものではないが、適宜の樹脂フィルム等で一時的に塞ぐことが好ましい。なお、本実施態様のような吸引と、他の実施態様のような機械的な押圧とを組み合わせて接着させてもよい。
図18はバルブ構造182を有する流体デバイス180とその流体チップ181の一例を示すものであり、図18(A)及び(B)は流体デバイス180の背面図及び断面図であり、(C)は(B)のバルブ構造182の拡大図であり、(D)及び(E)は流体チップ181の背面図及び断面図である。図18はバルブ構造182の部分を除いて図13及び図14と同様の構造であり、同様の符号で説明する。図18のバルブ構造182は、基材133の背面の溝138bの一部が中断部183によって途切れており、中断部183にドーム状に成形された背面部材184の成形部185を配置することにより、中断部183によって途切れた流路を成形部185のドーム状の空間で連続させた構造である。成形部185がドーム状の場合はバルブが開いた状態であり、成形部を潰して変形させることで流路を細くして流量を減らすことができ、成形部で流路を閉じれば、バルブを閉じた状態とすることができる。なお、背面部材184の成形部の形状は、中断部183を乗り越えて流体が流れる空間を有していればドーム状に限定されない。このような成形部185を有する流体デバイス180では、接着部材134に被着部材141を接着する際に加熱すると、その熱によって成形部の形状が変形してしまう問題があった。
図19は、バルブ構造のように背面部材184に特殊な形状に成形された成形部185を有する流体デバイスにおける接着部材134と被着部材141とを接合する実施態様であり、図19(A)は接着前の状態を示す図であり、(B)は押圧中の状態を示す図である。本実施の態様では、接着部材134と被着部材141とを加熱する際に、背面部材の成形部への熱の伝達を抑制し、変形を防止するための冷却ユニット191を成形部185の近傍に配置することを特徴とする。図19(A)に示すように、加熱ユニット161の上に背面部材を接合済みの流体チップ181の接着部材134を配置し、冷却ユニット191の上にバルブ構造182を配置し、接着部材134の上に重なるように被着部材141を位置合わせして配置し、被着部材141の上に押圧ユニット192を配置する。冷却ユニット191は、成形部185への熱の伝達を抑制するものであり、金属のように熱伝導性の高い部材でもよいし、内部に冷媒を循環させて低温に保持した構造のものでもよい。冷却ユニット191は、加熱ユニット161からは離間させるか、間に断熱材を配置するなどして熱的に分離することが好ましい。図19では流体チップ181の下側に冷却ユニット191を配置したが、流体チップ181の上側に配置してもよいし、両方に配置してもよい。また、背面部材の成形部185の形状に対応させた窪み193を冷却ユニット191の表面に形成し、窪み193に成形部を配置すれば、成形部を冷却ユニットで変形させずに接着工程を行うことができるので好ましい。本実施の形態においては押圧ユニット192は特に限定されず、図19に示すような平面で押圧するものでもよいし、図15、図16に示すような押圧ユニットでもよい。このように冷却ユニット191を配置したことにより、加熱ユニット161で加熱しつつ、押圧ユニット192を下降させて被着部材141を押圧して被着部材141を接着部材134に接合させても、加熱ユニット161からの熱は、冷却ユニット191で放熱し、成形部185への熱の伝達を抑えることができ、成形部185の変形を防止することができる。
1 流体チップ
2 流路
3 基材
4 接着部材
31 表面
32 支柱部
35 溝
41 露出領域
41a 上端面
42 埋没領域
43 壁部
44 角部

Claims (20)

  1. 流路が形成された流体チップであって、
    前記流路の底面の少なくとも一部を構成する表面を有する基材と、上端面が前記基材の前記表面よりも高い位置に設けられたエラストマー樹脂で形成された接着部材と、を有し、
    前記基材は、前記表面よりも突出し、前記流路の側面の高さを規定する支柱部を有し、
    前記基材の支柱部は、前記接着部材に埋設されていることを特徴とする流体チップ。
  2. 前記接着部材は、自己接着性を有することを特徴とする請求項1に記載の流体チップ。
  3. 前記接着部材の前記上端面は、前記基材の支柱部の上端部と同じ又はそれ以上の高さであることを特徴とする請求項1又は2に記載の流体チップ。
  4. 前記接着部材は、前記基材に機械的に固定されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の流体チップ。
  5. 前記基材は、前記流路の側面に沿って、連続的又は離散的に溝を有し、前記接着部材は前記基材の溝において前記基材と結合していることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の流体チップ。
  6. 前記基材の溝は、前記基材を貫通していることを特徴とする請求項5に記載の流体チップ。
  7. 前記基材の溝は、溝の深さ方向において、幅が狭くなったくびれ部を有し、
    前記接着部材は、前記くびれ部に適合した形状を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の流体チップ。
  8. 前記基材の溝の内側に前記支柱部が配置されていることを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載の流体チップ。
  9. 前記接着部材が前記流路の側面の少なくとも一部を構成することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の流体チップ。
  10. 前記流路は、底面が全て前記基材の前記表面で構成され、側面が全て前記接着部材で構成されることを特徴とする請求項9に記載の流体チップ。
  11. 前記支柱部は、前記流路の側面に沿って離散的に配置されていることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の流体チップ。
  12. 前記支柱部は、前記流路の側面の端又は角に設けられていることを特徴とする請求項11に記載の流体チップ。
  13. 前記支柱部は、前記流路に露出していないことを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の流体チップ。
  14. 前記支柱部が前記流路の側面を構成することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の流体チップ。
  15. 請求項1〜14の何れか1項に記載の流体チップと、
    前記接着部材の上端面に接着された被着部材と、を有することを特徴とする流体デバイス。
  16. 前記接着部材は、自己接着性を有し、前記被着部材は、前記接着部材の自己接着性を利用して接着されていることを特徴とする請求項15に記載の流体デバイス。
  17. 前記被着部材は、流体制御素子、周辺回路、検出素子又は流路の天板であることを特徴とする請求項15又は16に記載の流体デバイス。
  18. 第1の型を用いて、第1の材料により、流路の底面を構成する表面と前記表面よりも突出した支柱部とを有する基材を成形する工程と、
    第2の型に前記基材を配置する工程と、
    前記第2の型及び前記基材を用いて、エラストマー樹脂により、前記基材の支柱部が埋設されるように、接着部材を成形する工程と、を有することを特徴とする流体チップの製造方法。
  19. 前記基材は、前記流路の側面に沿って前記基材を貫通した溝を有し、
    前記エラストマー樹脂は、前記溝を介して前記基材の背面側から供給されることを特徴とする請求項18に記載の流体チップの製造方法。
  20. 請求項1〜15の何れか1項に記載の流体チップの前記接着部材の上端面に被着部材を接触させて前記被着部材を前記流体チップに接着させることを特徴とする流体デバイスの製造方法。
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