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JP2019089959A - 蓄熱材組成物 - Google Patents

蓄熱材組成物 Download PDF

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JP2019089959A JP2017220392A JP2017220392A JP2019089959A JP 2019089959 A JP2019089959 A JP 2019089959A JP 2017220392 A JP2017220392 A JP 2017220392A JP 2017220392 A JP2017220392 A JP 2017220392A JP 2019089959 A JP2019089959 A JP 2019089959A
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Abstract

【課題】本発明は80℃以上での溶融粘度が十分に小さく、溶融粘度の温度依存性も小さく、且つ、60℃以下での寒熱処理に対して安定性が高い蓄熱材組成物を提供する。
【解決手段】本発明の蓄熱材組成物は、潜熱蓄熱材と、ソフトセグメントと、前記ソフトセグメントの両端に結合したハードセグメントとを少なくとも含む、トリブロック以上のブロック共重合体を含む水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと、炭素数が12以上24以下の飽和又は不飽和カルボン酸の金属塩等の油ゲル化剤とを含み、80℃での溶融粘度が200mPa・s以下であり、前記潜熱蓄熱材100質量部に対しX質量部の前記エラストマーを含み、ここでX質量部とは、100質量部の前記潜熱蓄熱材とX質量部の前記エラストマーとからなる混合物の60℃での溶融粘度が3500mPa・s以上となる量であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、潜熱蓄熱材を含む蓄熱材組成物、その製造方法、及び、多孔質基材と前記蓄熱材組成物とを備える蓄熱体に関する。
最近の住宅では、スマートハウスに代表されるように、「省エネ」、「創エネ」、「蓄エネ」をキーワードとして、快適で二酸化炭素を排出させない住宅造りを目指している。一方で、パッシブハウスという考え方があり、高性能な断熱性能を備えることで、高い省エネルギー性と快適性を実現した住宅造りが注目されている。いずれの住宅においても、住宅の断熱性能と熱環境に対する性能の向上が必要不可欠とされている。そういった背景から、住宅の床、壁で蓄熱し、省エネで快適な住空間を提供できる蓄熱性を有した建材の研究・開発が盛んとなってきている。
たとえば、太陽光等の自然エネルギー、冷暖房装置等により発生する熱エネルギー、または、生活において発生する熱エネルギー等を、ノルマルパラフィン等の潜熱蓄熱材に蓄熱し、外気温の変動に対して吸熱・放熱を行うことで室内の温度変化を極力少なくしようという提案や試みがなされてきた。
本出願人は、特許文献1において、潜熱蓄熱材を含む蓄熱材組成物を、多孔質基材に含浸した蓄熱体を開示している。潜熱蓄熱材は固相−液相間の相転移に要する潜熱を利用するため、液化した潜熱蓄熱材の流出が課題となるが、特許文献1ではこの課題を解決するために、潜熱蓄熱材に水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを所定量配合した蓄熱材組成物を、多孔質基材に含浸することを開示している。
一方特許文献2は、凝固と融解の相転移を繰り返すヒートサイクル下においても、潜熱蓄熱材であるn−パラフィンの担持材料からの滲み出しや相分離がなく、潜熱蓄熱材料を高濃度で担持材料に混合しても安定なゲル状体を維持できる潜熱蓄熱材組成物として、潜熱により蓄熱可能な炭素数12以上50以下のn−パラフィンからなる潜熱蓄熱材料(A)を30質量%以上93.5質量%以下、前記潜熱蓄熱材料(A)を担持する担持材料(B)であるスチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体を6質量%以上70質量%以下、炭素数が12以上24以下の飽和もしくは不飽和カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、またはこれらの金属塩から選択される少なくとも1種のゲル化剤(C)を0.5質量%以上5質量%以下の割合で含んでなることを特徴とする潜熱蓄熱材組成物を開示している。
WO2015/174523 特開2017−31327号公報
特許文献1に記載の、潜熱蓄熱材に水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを所定量配合した蓄熱材組成物の多孔質基材への含浸は、蓄熱材組成物をおおよそ80℃〜100℃の温度にて溶融し、多孔質基材を溶融物に浸漬することにより行う。本発明者らは、特許文献1に記載の潜熱蓄熱材は、80℃〜100℃の温度範囲において、溶融物の粘度の温度依存性が大きいため、溶融物の多孔質基材への含浸量を安定させることが難しいという新たな課題を見出した。
本発明者らはまた、特許文献2に記載されているスチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体を潜熱蓄熱材と組み合わせた蓄熱材組成物は、加熱溶融時のパネル基材への含浸性を確保するために潜熱蓄熱材とエラストマーの混合物の粘度調整を行った場合、5〜60℃の範囲での加温と冷却のヒートサイクル(寒熱処理)下において、潜熱蓄熱材が分離し易いとう新たな課題を見出した。
本発明者らは、80℃以上の温度域における溶融粘度が十分に小さく、溶融粘度の温度依存性も小さく、且つ、60℃以下の温度域での寒熱処理に対して安定性が高い蓄熱材組成物を提供することを目的として鋭意検討した結果、以下の発明を完成するに至った。
本発明は第一に、
潜熱蓄熱材と、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと、油ゲル化剤とを含み、
前記エラストマーが、ソフトセグメントと、前記ソフトセグメントの両端に結合したハードセグメントとを少なくとも含む、トリブロック以上のブロック共重合体を含み、
前記油ゲル化剤が、炭素数が12以上24以下の飽和又は不飽和カルボン酸、炭素数が12以上24以下の飽和又は不飽和カルボン酸の金属塩、炭素数が12以上24以下のヒドロキシカルボン酸、炭素数が12以上24以下のヒドロキシカルボン酸の金属塩、ジベンジリデンソルビトール、及び、アミノ酸系油ゲル化剤からなる群から選択される1種以上を含み、
80℃での溶融粘度が200mPa・s以下であり、
前記潜熱蓄熱材100質量部に対しX質量部の前記エラストマーを含み、ここでX質量部とは、100質量部の前記潜熱蓄熱材とX質量部の前記エラストマーとからなる混合物の60℃での溶融粘度が3500mPa・s以上となる量である、
ことを特徴とする蓄熱材組成物に関する。
本発明の蓄熱材組成物は、80℃以上で加温した際の溶融粘度が十分小さく、また、その温度依存性が小さいため、蓄熱材組成物の溶融物を多孔質基材に含浸する際の含浸量が安定し、ばらつきが少ない。また、本発明の蓄熱材組成物は、60℃での溶融粘度が3500mPa・s以上と高く、且つ、トリブロック以上の熱可塑性エラストマーを含むことにより、60℃以下の温度域での寒熱処理に対する安定性が高い。
本発明の蓄熱材組成物は、好ましい態様において、100℃での溶融粘度が150mPa・s以下である。
この態様の本発明の蓄熱材組成物は、多孔質基材に飽和状態まで含浸することが容易であるため好ましい。
本発明の蓄熱材組成物の他の好ましい態様では、前記潜熱蓄熱材が、相変化温度が15℃以上35℃以下の範囲のパラフィンである。
この態様の本発明の蓄熱材組成物は、相変化温度が住環境の温度に対応するため、住宅用途に好適である。
本発明の蓄熱材組成物の他の好ましい態様では、前記エラストマーが、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)を含む。
この態様の本発明の蓄熱材組成物は、60℃以下の温度域での寒熱処理に対する耐性が特に高いため好ましい。
本発明の蓄熱材組成物の他の好ましい態様では、前記油ゲル化剤が、12−ヒドロキシステアリン酸又はその金属塩を含む。
12−ヒドロキシステアリン酸又はその金属塩は、融点が75℃である。このため、この態様の本発明の蓄熱材組成物は、60℃において固化物となり易く、多孔質基材に安定に保持され得る。
本発明は第二に、
上記の本発明の蓄熱材組成物の製造方法であって、
潜熱蓄熱材と、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと、油ゲル化剤とを、溶融混練する溶融混練工程と、
溶融混練工程において生成した混合物を冷却する冷却工程と
を含む方法に関する。
本発明の方法により、上記の有利な特性を有する蓄熱材組成物を製造することができる。
本発明は第三に、
多孔質基材と、
前記多孔質基材に含浸された、前記蓄熱材組成物と
を少なくとも備える蓄熱体に関する。
本発明の蓄熱体は、60℃以下の温度域での蓄熱材組成物の多孔質基材からの染み出しが少ない。
本発明の蓄熱材組成物は、80℃以上で加温した際の溶融粘度が十分小さく、また、その温度依存性が小さいため、蓄熱材組成物の溶融物を多孔質基材に含浸する際の含浸量が安定し、ばらつきが少ない。また、本発明の蓄熱材組成物を構成する潜熱蓄熱材とエラストマーの混合物は、60℃での溶融粘度が3500mPa・s以上と高く、且つ、トリブロック以上の熱可塑性エラストマーを含むことにより、60℃以下の温度域での寒熱処理に対する安定性が高い。
本発明の蓄熱材組成物が多孔質基材に含浸された蓄熱体は、60℃以下の温度域での蓄熱材組成物の多孔質基材からの染み出しが少ないため好ましい。
<1.材料>
1.1.潜熱蓄熱材
本発明に用いることができる潜熱蓄熱材は、例えば、室内の暖房、日光による熱などで固相から液相に相変化する潜熱蓄熱材であり、相変化温度(融点)は、好ましくは5℃〜60℃の範囲にあり、より好ましくは15℃以上であり、より好ましくは18℃以上であり、より好ましくは35℃以下であり、より好ましくは28℃以下であり、より好ましくは15℃〜35℃の範囲にあり、より好ましくは18℃〜28℃の範囲にある。本明細書において相変化温度及び融点は1atmでの値を指す。相変化温度は相転移温度ともいう。
例えば、夏季において、冷房により冷やされた空気、日陰の空気又は夜間の空気の冷温を貯蔵し、室温が高いときにその熱を吸収する目的では、前記冷温よりも高く、低下させるべき高い室温よりも低い相変化温度の潜熱蓄熱材を用いることが好ましい。このような相変化温度としては、22〜28℃が例示できる。また、冬季において、暖房により温められた空気、日向の空気又は昼間の空気の暖温を貯蔵し、温度が下がった時に放熱する目的では、前記暖温よりも低く、上昇させるべき低い室温よりも高い相変化温度の潜熱蓄熱材を用いることが好ましい。このような相変化温度としては、18〜26℃が例示できる。
潜熱蓄熱材としては、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、及びn−ノナデカンからなる群から選択される少なくとも1種(2種以上の混合物であってもよい)等で構成される又は前記少なくとも1種を含む、典型的には炭素数16〜24の範囲内の炭素数を有する、n−パラフィンやパラフィンワックス等の飽和脂肪族炭化水素(好ましくは直鎖飽和脂肪族炭化水素);1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、及び1−エイコセン等からなる群から選択される少なくとも1種(2種以上の混合物であってもよい)等で構成される又は前記少なくとも1種を含む、典型的には炭素数16〜26の範囲内(好ましくは24以下)の炭素数を有する、α−オレフィン(好ましくは直鎖α−オレフィン)等の一価又は多価不飽和脂肪族炭化水素(好ましくは直鎖状の一価又は多価不飽和脂肪族炭化水素);オクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、及びミリスチン酸からなる群から選択される少なくとも1種(2種以上の混合物であってもよい)等で構成される又は前記少なくとも1種を含む、典型的には炭素数6〜24、好ましくは炭素数8〜14の範囲内の炭素数を有する、中鎖又は長鎖脂肪酸;上記脂肪酸のエステル;ポリエチレングリコール(例えば分子量500〜1000)等のポリエーテル化合物;硫酸ナトリウム水和物、塩化カルシウム水和物、硫酸ナトリウム10水和物等の無機塩等を挙げることができる。好ましくは、潜熱蓄熱材は、前記飽和脂肪族炭化水素、前記一価又は多価不飽和脂肪族炭化水素、前記中鎖又は長鎖脂肪酸、前記脂肪酸のエステル及び前記ポリエーテル化合物からなる群から選択される1種又は2種以上の混合物であり、より好ましくは前記飽和脂肪族炭化水素及び前記一価又は多価不飽和脂肪族炭化水素からなる群から選択される1種又は2種以上の混合物であり、より好ましくは前記飽和脂肪族炭化水素及び前記α−オレフィンからなる群から選択される1種又は2種以上の混合物である。例えば、28℃で融解するものであれば、n−オクタデカンを選択し、18℃で融解するものであれば、n−ヘキサデカンを選択することができる。さらに、上述した相変化温度の異なる複数の潜熱蓄熱材を混合して用いてもよい。また、潜熱蓄熱材として前記α−オレフィンを用いる場合、炭素数の異なる複数の前記α−オレフィンの混合物を用いることができる。
1.2.水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー
本発明で用いる水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーは、ソフトセグメントと、前記ソフトセグメントの両端に結合したハードセグメントとを少なくとも含む、トリブロック以上のブロック共重合体を含むことを特徴とする。ソフトセグメントは潜熱蓄熱材と親和性が高いため、上記構造の水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと潜熱蓄熱材とを含む蓄熱材組成物では、前記エラストマーのソフトセグメントが潜熱蓄熱材と親和性により一体化する。一方、ソフトセグメントの両端のハードセグメントは、それぞれ、温度低下時に他の分子のハードセグメントと疑似架橋を形成して、3次元網目構造を形成する。このため、スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(SEP)等のジブロック構造の水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを用いる場合とは異なり、上記のトリブロック構造の水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと潜熱蓄熱材とを含む蓄熱材組成物は温度低下に伴い溶融物の粘度が顕著に増加する。このため本発明の蓄熱材組成物では、5〜60℃の範囲で加温と冷却を繰り返す寒熱処理に対して潜熱蓄熱材の分離が抑えられる特徴を有する。特許文献2に記載されている、スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体は、1つのハードセグメントと1つのソフトセグメントとが隣接したジブロック構造の共重合体であるため、トリブロック以上のブロック共重合体による上記の効果を有していないことが実験3において確認されている。
上記の水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、及びスチレン−エチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)からなる群から選択される少なくとも1種(2種以上の混合物であってもよい)の共重合体を含むものが例示できる。前記共重合体としては、SEBS及びSEEPSからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。SEBSはポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)−ポリスチレンブロック共重合体と、SEPSはポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)−ポリスチレンブロック共重合体と、SEEPSはポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)−ポリスチレンブロック共重合体と、それぞれ表記することもできる。水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーにおけるスチレン含量の範囲は特に限定されないが分子全体に対してスチレン含量が25〜35質量%の範囲であることが好ましい。
水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを構成する前記共重合体の重量平均分子量は好ましくは6万以上、より好ましくは7.5万以上、更に好ましくは8.5万以上、最も好ましくは9万以上である。また水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は好ましくは25万以下、より好ましくは20万以下、最も好ましくは15万以下である。前記共重合体の重量平均分子量がこの範囲のとき、蓄熱材組成物の多孔質基材からの流出が抑制できるとともに蓄熱材組成物の溶融時の粘度が十分に低く多孔質基材への含浸が容易となる効果が特に高い。
本発明において重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による測定に基づき、標準ポリスチレン換算値として求められたものである。GPC測定時の溶離液はテトラヒドロフランを用いることができる。GPCのためのカラムとしては、東ソー株式会社製TSKgel GMHXL、TSKgel G4000HXL、及びTSKgel G5000HXLを直列に連結したカラムを用いることができる。GPC測定機器としては、東ソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8020)を用いることができる。
1.3.油ゲル化剤
本発明で用いる油ゲル化剤は、炭素数が12以上24以下の飽和又は不飽和カルボン酸、炭素数が12以上24以下の飽和又は不飽和カルボン酸の金属塩、炭素数が12以上24以下のヒドロキシカルボン酸、炭素数が12以上24以下のヒドロキシカルボン酸の金属塩、ジベンジリデンソルビトール、及び、アミノ酸系油ゲル化剤からなる群から選択される1種以上を含み、好ましくは、炭素数が12以上24以下の飽和又は不飽和カルボン酸、炭素数が12以上24以下の飽和又は不飽和カルボン酸の金属塩、炭素数が12以上24以下のヒドロキシカルボン酸、及び、炭素数が12以上24以下のヒドロキシカルボン酸の金属塩からなる群から選択される1種以上を含む。
前記エラストマー及び潜熱蓄熱材のみを含む蓄熱材組成物は、80℃で加温した際の溶融粘度が高く、且つ、80℃以上の温度域での溶融粘度の温度依存性が大きいという課題があった。本発明者らは、前記油ゲル化剤を更に配合した蓄熱材組成物は、80℃以上の温度域において溶融粘度が十分に低く、且つ、溶融粘度の温度依存性が小さいという予想外の現象を見出し、本発明を完成するに至った。
油ゲル化剤は、加温した調理用油に添加し冷却したときにゲル状に固化する性質を有する。
炭素数が12以上24以下の飽和又は不飽和カルボン酸、或いは、炭素数が12以上24以下のヒドロキシカルボン酸としては、炭素数が12以上24以下であれば、飽和、不飽和、直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。たとえば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸等が例示される。また、これらの金属塩としては、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム等の塩が例示される。
ジベンジリデンソルビトールとしては、D−ソルビトールとベンズアルデヒドとの1:2脱水縮合物が好ましい。
アミノ酸系油ゲル化剤としては、N−アシルアミノ酸のアミド、エステル、アミン塩等の誘導体が好ましい。アミノ酸系油ゲル化剤の具体例としては、N−ラウロイルグルタミン酸ジ−n−ブチルアミドが例示できる。
油ゲル化剤の融点は、潜熱蓄熱材料の相変化温度以上の温度、好ましくは、潜熱蓄熱材料の相変化温度より10℃以上高い温度、より好ましくは20℃以上高い温度であることが好ましい。
油ゲル化剤としては特に、12−ヒドロキシステアリン酸又はその金属塩が好ましい。
1.4.多孔質基材
本発明に使用できる多孔質基材は、蓄熱材組成物を含浸し保持することができる微細な空隙を有する基材である。具体的には、潜熱蓄熱材を含浸し保持することができる微細な空隙を有する材料を含む多孔質基材であればよく、その材料は限定されない。
多孔質基材の具体的な材料としては、例えば、パーティクルボード、木質繊維板(MDF、インシュレーションボード、ハードボード等)等の木質系ボードを挙げることができる。この他にも、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板等の無機質ボード;鉱物質がボード状に成形された鉱物質ボード;グラスウール、カーボンファイバー、金属繊維などの無機繊維を集積したボードなどを挙げることができる。
多孔質基材の全体の形状は特に限定されず、板状、柱状、ブロック状等の各種形状であってよい。また各種形状の多孔質基材は、曲げ加工が施されたものであってもよい。ここで曲げ加工は蓄熱材組成物を含浸する工程の前に行われてもよいし、該工程の後に行われてもよい。多孔質基材が板状である場合、その厚さは特に限定されないが、通常は3〜30mmであり、好ましくは5〜20mmである。多孔質基材の全体に蓄熱材組成物が含浸されることが好ましいが、これには限定されず、多孔質基材のうち表層部分の一部のみに蓄熱材組成物が含浸されてもよい。
多孔質基材の密度が小さい値であるほど、前記多孔質基材に蓄熱材組成物が含浸され易い。多孔質基材としては、少なくとも蓄熱材組成物が含浸される部分の密度(含浸処理前の密度)が好ましくは0.1g/cm以上、より好ましくは0.2g/cm以上であり、好ましくは0.9g/cm未満である。多孔質基材の密度は、一般的に含浸率を高めるためには低密度であることが好ましく、例えば、0.8g/cm未満、0.7g/cm以下、0.6g/cm以下、又は0.5g/cm以下の密度であることが好ましい。
<2.蓄熱材組成物>
2.1.溶融粘度
本発明の蓄熱材組成物は、80℃での溶融粘度が200mPa・s以下であることを第一の特徴とする。
蓄熱材組成物を多孔質基材に含浸するとき、80℃以上の温度域で溶融し、溶融液に多孔質基材を浸漬することにより行うことが通常である。蓄熱材組成物の溶融粘度がこの範囲であるとき、多孔質基材へと含浸され易いため好ましい。また、潜熱蓄熱材と、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと、油ゲル化剤とを含み、且つ、80℃での溶融粘度が200mPa・s以下である蓄熱材組成物は、80℃以上の温度域で粘度の温度依存性が小さいため、多孔質基材の浸漬時の温度が多少変動しても、多孔質基材への含浸量のばらつきが少ないため好ましい。
本発明の蓄熱材組成物の80℃での溶融粘度は、より好ましくは、170mPa・s以下である。
本発明の蓄熱材組成物は、更に、100℃での溶融粘度が150mPa・s以下であることが好ましく、30mPa・s以下であることが特に好ましい。このような蓄熱材組成物は、100℃前後で溶融した時に、多孔質基材に速やかに含浸され得る。
粘度の測定はJIS Z8803−2011及びJIS K7117−1に規定されている、ブルックフィールド型回転粘度計(B型粘度計)を用いた方法により行うことができる。B型粘度計としては東機産業製ABS−100を用い、ローターサイズ:No.1、No.2、回転速度:6〜60rpmの条件で測定を行うことができる。
2.2.熱可塑性エラストマーの量
本発明の蓄熱材組成物は、潜熱蓄熱材100質量部に対しX質量部の前記エラストマーを含み、ここでX質量部とは、100質量部の前記潜熱蓄熱材とX質量部の前記エラストマーとからなる混合物の60℃での溶融粘度が3500mPa・s以上となる量であることを更なる特徴とする。潜熱蓄熱材100質量部に対しX質量部の前記エラストマーを含み、且つ、更に油ゲル化剤を含む本発明の蓄熱材組成物は、60℃以下の温度域での寒熱処理に対する安定性が高いため好ましい。
X質量部の具体例としては、特に限定されないが、典型的には25質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、更に好ましくは17.5質量部以下であり、更に好ましくは12.5質量部以下であり、典型的には6質量部以上、より好ましくは7.5質量部以上である。水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーの添加量が上記範囲のとき、蓄熱材組成物の多孔質基材からの流出が抑制できるとともに蓄熱材組成物の溶融時の粘度が十分に低く多孔質基材への含浸が容易となる効果が特に高い。
<3.蓄熱材組成物の製造方法>
本発明の蓄熱材組成物は、
潜熱蓄熱材と、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと、油ゲル化剤とを、溶融混練する溶融混練工程と、
溶融混練工程において生成した混合物を冷却する冷却工程と
を含む方法により製造することができる。
溶融混練工程では、潜熱蓄熱材と、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと、油ゲル化剤とを、例えば80℃〜140℃、好ましくは100℃〜120℃の範囲で溶融混練することを含む。
冷却工程では、溶融混練工程において生成した混合物を例えば60℃〜0℃、好ましくは40℃〜10℃の範囲で冷却することを含む。
<4.蓄熱体>
本発明の蓄熱体は、
多孔質基材と、
前記多孔質基材に含浸された、前記蓄熱材組成物と
を少なくとも備える。
多孔質基材への前記蓄熱材組成物の含浸方法としては、前記蓄熱材組成物を、80℃以上の温度域、好ましくは80〜110℃の温度域に加温して溶融し、溶融液に、多孔質基材を、適当な時間、例えば1〜10分間浸漬する方法が例示できる。
多孔質基材への蓄熱材組成物の含浸率としては、好ましくは180%以上、より好ましくは200%以上、より好ましくは210%以上が挙げられる。含浸率の上限は特に限定されないが通常は250%以下である。
含浸率(%)は次式により表すことができる。
含浸率=(含浸後の蓄熱体重量−含浸前の多孔質基材重量)/(含浸前の多孔質基材重量)x100(%)
すなわち含浸率は、多孔質基材に含浸された蓄熱材組成物の重量(=含浸後の蓄熱体重量−含浸前の多孔質基材重量)の、含浸前の多孔質基材の重量に対する割合を、後者を100%として表したものである。
以下の試験において「部」は「質量部」を意味する。
以下の試験において、粘度の測定はJIS Z8803−2011及びJIS K7117−1に規定されている、ブルックフィールド型回転粘度計(B型粘度計)を用いた方法により行った。B型粘度計としては東機産業製ABS−100を用い、ローターサイズ:NO1、回転速度:6〜60rpmの条件で測定を行った。
以下の試験において、熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は、以下の条件でのゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による測定に基づき、標準ポリスチレン換算値として求められたものである。
測定機器:東ソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8020)
カラム:東ソー株式会社製TSKgel GMHXL、TSKgel G4000HXL、及びTSKgel G5000HXLを直列に連結したカラム
溶離液:テトラヒドロフラン
<1.実験1>
本実験では、潜熱蓄熱材(ノルマルパラフィン)に、スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)及び油ゲル化剤(12−ヒドロキシステアリン酸)の1種以上を添加した組成物の、70〜100℃での加熱溶融粘度、60℃での物性、寒熱試験(5℃/60℃)での潜熱蓄熱材の分離の有無を調べた。
1.1.試料
潜熱蓄熱材として融点18℃のノルマルパラフィン(炭素数16)を用いた。
トリブロック構造の水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとして、重量平均分子量が11万のスチレンーエチレン/ブチレンースチレンブロック共重合体(「SEBS(1)」とする)、又は、重量平均分子量が8万のスチレンーエチレン/ブチレンースチレンブロック共重合体(「SEBS(2)」とする)を用いた。
油ゲル化剤として12−ヒドロキシステアリン酸を用いた。
1.2.試験方法
融点18℃のノルマルパラフィン100部に対して、SEBS(1)、SEBS(2)及び12−ヒドロキシステアリン酸のうち1つ以上を、表1に示す質量部となるように添加し、100〜130℃で加熱して溶融混合して、試料1〜7の組成物を調製した。
調製した各試料を、100℃、90℃、80℃又は70℃で溶融させた状態で、上記の粘度計を用いて粘度を測定した。
200mLの容器に組成物を100g入れ、60℃で24時間加温し、組成物が流動性を有するか、固化しているかを観察した。
更に、寒熱試験を次の手順で行った。上記と同様に容器に蓄熱材組成物を100g入れて常温で固化させた後、容器を横転した状態で5℃24時間の冷却と60℃24時間の加熱を5回繰り返し行った。そして、試料から潜熱蓄熱材の分離があるか否かを評価した。
1.3.結果
結果を表1に示す。
100部の潜熱蓄熱材中に15部のSEBS(1)を含むが油ゲル化剤を含まない試料1は、70℃以上での加熱溶融粘度が高く、粘度の温度依存性が高いものであった。また、60℃においてゲル化状態(固化状態)の維持が困難であった。
100部の潜熱蓄熱材中に表1に示す量のSEBS(1)及び/又はSEBS(2)と12−ヒドロキシステアリン酸を含む試料2〜6は、70℃以上での加熱溶融粘度が低く、粘度の温度依存性は低く、60℃においてゲル化状態(固化状態)が維持されるものであった。しかしながら寒熱試験で潜熱蓄熱材の分離(染み出し)が認められた。
これに対して、100部の潜熱蓄熱材中に10部のSEBS(1)及び5部の12−ヒドロキシステアリン酸を含む試料7(実施例)は、70℃以上での加熱溶融粘度が低く、粘度の温度依存性は低く、60℃においてゲル化状態(固化状態)が維持されるものであり、且つ、寒熱試験で潜熱蓄熱材の分離(染み出し)が認められなかった。
Figure 2019089959
<2.実験2>
本実験では、潜熱蓄熱材(ノルマルパラフィン)にスチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)の1種以上を添加した試料A−1、B−1、C−1、D−1、E−1、F−1の60〜100℃での加熱溶融粘度を調べた。本実験ではまた、前記試料に、油ゲル化剤(12−ヒドロキシステアリン酸)を更に添加した試料A−2、B−2、C−2、D−2、E−2、F−2の70〜100℃での加熱溶融粘度と、寒熱試験(5℃/60℃)での潜熱蓄熱材の分離の有無を調べた。
2.1.試料
潜熱蓄熱材として融点18℃のノルマルパラフィン(炭素数16)、又は、融点28℃のノルマルパラフィン(炭素数18)を用いた。
トリブロック構造の水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとして、実験1と同様に、SEBS(1)又はSEBS(2)を用いた。
油ゲル化剤として12−ヒドロキシステアリン酸を用いた。
2.2.試験方法
融点18℃のノルマルパラフィン100部又は融点28℃のノルマルパラフィン100部に対して、SEBS(1)、SEBS(2)及び12−ヒドロキシステアリン酸のうち1つ以上を、表2に示す質量部となるように添加し、100〜130℃で加熱して溶融混合して、試料A−1、B−1、C−1、D−1、E−1、F−1、A−2、B−2、C−2、D−2、E−2、F−2の組成物を調製した。試料A−2、B−2、C−2、D−2、E−2、F−2は、それぞれ、試料A−1、B−1、C−1、D−1、E−1、F−1に、5部の12−ヒドロキシステアリン酸を更に配合したものである。
調製した各試料を、100℃、90℃、80℃、70℃又は60℃で溶融させた状態で上記の粘度計を用いて粘度を測定した。ただし、試料A−2、B−2、C−2、D−2、E−2、F−2については、60℃での溶融粘度は測定していない。
また、試料A−2、B−2、C−2、D−2、E−2、F−2については、実験1と同様の手順で寒熱試験を行い、潜熱蓄熱材の分離があるか否かを評価した。
2.3.結果
結果を表2に示す。
潜熱蓄熱材(ノルマルパラフィン)にSEBS(1)及び/又はSEBS(2)と12−ヒドロキシステアリン酸とを配合した試料A−2、B−2、C−2、D−2、E−2、F−2は、70℃以上での加熱溶融粘度が低く(例えば80℃での溶融粘度が200mPa・s以下)、且つ、粘度の温度依存性は低いことが認められた。これらの試料は多孔質基材への含浸が容易であることがわかる。
更に、試料C−2、E−2、F−2は、寒熱試験で潜熱蓄熱材の分離が認められなかった。一方で、試料A−2、B−2、D−2は、寒熱試験で潜熱蓄熱材の分離が認められた。
試料C−2、E−2、F−2は、それぞれ、試料C−1、E−1、F−1に12−ヒドロキシステアリン酸を5部配合したものであり、試料A−2、B−2、D−2は、それぞれ、試料A−1、B−1、D−1に12−ヒドロキシステアリン酸を5部配合したものである。試料C−1、E−1、F−1の60℃での溶融粘度が3500mPa・s以上であるのに対し、試料A−1、B−1、D−1の60℃での溶融粘度が3500mPa・s未満であった。
このことから、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)のみを添加した潜熱蓄熱材(ノルマルパラフィン)の60℃での溶融粘度が3500mPa・s以上となるようにSEBSの種類と配合量を調節し、更に油ゲル化剤(12−ヒドロキシステアリン酸)を配合することで、潜熱蓄熱材の分離の無い組成物が得られることが支持される。
Figure 2019089959
<3.実験3>
本実験では、潜熱蓄熱材(ノルマルパラフィン)に水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとしてスチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(SEP)を添加した組成物(試料G−1、H−1、I−1)の60〜100℃での加熱溶融粘度を調べた。本実験ではまた、前記試料に、油ゲル化剤(12−ヒドロキシステアリン酸)を更に添加した試料G−2、H−2、I−2の70〜100℃での加熱溶融粘度と、寒熱試験(5℃/60℃)での潜熱蓄熱材の分離の有無を調べた。
3.1.試料
潜熱蓄熱材として融点18℃のノルマルパラフィン(炭素数16)を用いた。
ジブロック構造の水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとして、重量平均分子量が22万のスチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(「SEP(1)」とする)、又は、重量平均分子量が30万のスチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(「SEP(2)」とする)を用いた。
油ゲル化剤として12−ヒドロキシステアリン酸を用いた。
3.2.試験方法
融点18℃のノルマルパラフィン100部に対して、SEP(1)、SEP(2)及び12−ヒドロキシステアリン酸のうち1つ以上を、表3に示す質量部となるように添加し、100〜130℃で加熱して溶融混合して、試料G−1、H−1、I−1、G−2、H−2、I−2の組成物を調製した。試料G−2、H−2、I−2は、それぞれ、試料G−1、H−1、I−1に、5部の12−ヒドロキシステアリン酸を更に配合したものである。
調製した各試料を、100℃、90℃、80℃、70℃又は60℃で溶融させた状態で上記の粘度計を用いて粘度を測定した。ただし、試料G−2、H−2、I−2については、60℃での溶融粘度は測定していない。
また、試料G−2、H−2、I−2については、実験1と同様の手順で寒熱試験を行い、潜熱蓄熱材の分離があるか否かを評価した。
3.3.結果
結果を表3に示す。
潜熱蓄熱材(ノルマルパラフィン)にSEP(1)又はSEP(2)を配合した試料G−1、H−1、I−1は、70〜100℃の温度域での溶融粘度の温度依存性が低いことが認められた。また、試料G−1、H−1に更に12−ヒドロキシステアリン酸を配合した試料G−2、H−2は、寒熱試験で潜熱蓄熱材の分離が認められた。すなわち、潜熱蓄熱材(ノルマルパラフィン)にSEP(1)又はSEP(2)を配合した試料に更に12−ヒドロキシステアリン酸を配合したとしても、多孔質基材への含浸時の低粘度化と、潜熱蓄熱材の安定保持(寒熱試験耐性)を両立することが困難であることが確認された。
以上の結果から、ジブロック構造の水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを潜熱蓄熱材の固化に用いた場合には、油ゲル化剤を更に配合したとしても、多孔質基材への含浸時の低粘度化と、潜熱蓄熱材の安定保持(寒熱試験耐性)を両立することが困難であることが分かる。
Figure 2019089959
<4.実験4>
本実験では、潜熱蓄熱材(ノルマルパラフィン)にスチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)を配合した試料10、並びに、潜熱蓄熱材(ノルマルパラフィン)にスチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS又はSEP)と油ゲル化剤(12−ヒドロキシステアリン酸)とを配合した試料8、9、11の100℃又は80℃での加熱溶融粘度を調べた。本実験ではまた、100℃に溶融した試料8〜11に多孔質基材を1〜10分間浸漬したときの、試料8〜11の多孔質基材への含浸率を測定した。
4.1.試料
潜熱蓄熱材として融点18℃のノルマルパラフィン(炭素数16)、又は、融点28℃のノルマルパラフィン(炭素数18)を用いた。
トリブロック構造の水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとして、実験1で記載のSEBS(1)を用いた。ジブロック構造の水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとして、実験3で記載のSEP(2)を用いた。
油ゲル化剤として12−ヒドロキシステアリン酸を用いた。
多孔質基材として木質繊維板(インシュレーションボード、寸法:200×200×厚さ5mm)を用いた。
4.2.試験方法
融点18℃のノルマルパラフィン100部又は融点28℃のノルマルパラフィン100部に対して、SEBS(1)、SEP(2)及び12−ヒドロキシステアリン酸のうち1つ以上を、表4に示す質量部となるように添加し、100〜130℃で加熱して溶融混合して、試料8〜11の組成物を調製した。
調製した各試料を、100℃又は80℃で溶融させた状態で上記の粘度計を用いて粘度を測定した。
100℃で加熱溶融した状態の各試料に、多孔質基材を、1分間、3分間、5分間又は10分間浸漬し、引き揚げた。多孔質基材の重量を含浸の前後で求め、次式により含浸率を算出した。
含浸率=(含浸後の蓄熱体重量−含浸前の多孔質基材重量)/(含浸前の多孔質基材重量)x100(%)
4.3.結果
結果を表4に示す。
100部の潜熱蓄熱材(ノルマルパラフィン)に10部のSEBS(1)と5部の12−ヒドロキシステアリン酸とを配合した、80℃での溶融粘度が200mPa・s以下、100℃での溶融粘度が30mPa・s以下である、試料8、9の100℃での溶融液に多孔質基材を浸漬したとき、3分間の浸漬で含浸率は飽和状態(約220%)に到達した。1分間の浸漬でも含浸率は十分に高かった。
一方、100部の潜熱蓄熱材(ノルマルパラフィン)に15部のSEBS(1)のみを配合した試料10の100℃での溶融液に多孔質基材を浸漬したとき、5分間以上の浸漬で含浸率は飽和状態(約220%)に到達するが、含浸時間が短い場合は含浸率が大きく低下した。
100部の潜熱蓄熱材(ノルマルパラフィン)に5部のSEP(2)と5部の12−ヒドロキシステアリン酸とを配合した試料11の100℃での溶融液に多孔質基材を浸漬したとき、10分間浸漬した場合でも含浸率は飽和状態(約220%)に到達しなかった。
Figure 2019089959

Claims (7)

  1. 潜熱蓄熱材と、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと、油ゲル化剤とを含み、
    前記エラストマーが、ソフトセグメントと、前記ソフトセグメントの両端に結合したハードセグメントとを少なくとも含む、トリブロック以上のブロック共重合体を含み、
    前記油ゲル化剤が、炭素数が12以上24以下の飽和又は不飽和カルボン酸、炭素数が12以上24以下の飽和又は不飽和カルボン酸の金属塩、炭素数が12以上24以下のヒドロキシカルボン酸、炭素数が12以上24以下のヒドロキシカルボン酸の金属塩、ジベンジリデンソルビトール、及び、アミノ酸系油ゲル化剤からなる群から選択される1種以上を含み、
    80℃での溶融粘度が200mPa・s以下であり、
    前記潜熱蓄熱材100質量部に対しX質量部の前記エラストマーを含み、ここでX質量部とは、100質量部の前記潜熱蓄熱材とX質量部の前記エラストマーとからなる混合物の60℃での溶融粘度が3500mPa・s以上となる量である、
    ことを特徴とする蓄熱材組成物。
  2. 100℃での溶融粘度が150mPa・s以下である、請求項1に記載の蓄熱材組成物。
  3. 前記潜熱蓄熱材が、相変化温度が15℃以上35℃以下の範囲のパラフィンである、請求項1又は2に記載の蓄熱材組成物。
  4. 前記エラストマーが、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄熱材組成物。
  5. 前記油ゲル化剤が、12−ヒドロキシステアリン酸又はその金属塩を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄熱材組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄熱材組成物の製造方法であって、
    潜熱蓄熱材と、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと、油ゲル化剤とを、溶融混練する溶融混練工程と、
    溶融混練工程において生成した混合物を冷却する冷却工程と
    を含む方法。
  7. 多孔質基材と、
    前記多孔質基材に含浸された、請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄熱材組成物と
    を少なくとも備える蓄熱体。
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