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JP2019089505A - 車両の制動制御装置 - Google Patents

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JP2019089505A
JP2019089505A JP2017220767A JP2017220767A JP2019089505A JP 2019089505 A JP2019089505 A JP 2019089505A JP 2017220767 A JP2017220767 A JP 2017220767A JP 2017220767 A JP2017220767 A JP 2017220767A JP 2019089505 A JP2019089505 A JP 2019089505A
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ecu
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JP2017220767A
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智之 小塚
Tomoyuki Kozuka
智之 小塚
原 雅宏
Masahiro Hara
雅宏 原
隆宏 岡野
Takahiro Okano
隆宏 岡野
加藤 英久
Hidehisa Kato
英久 加藤
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】上流側及び下流側アクチュエータ用ECUの何れかが故障の際、他方が故障したECUの機能を簡易に補完する。【解決手段】第1制御ユニット40は、上流側アクチュエータ10を作動させる第1主演算と下流側アクチュエータ50を簡易的に作動させる第1バックアップ演算を実行し、第2制御ユニット60は、下流側アクチュエータ50を作動させる第2主演算と上流側アクチュエータ10を簡易的に作動させる第2バックアップ演算を実行し、第1制御ユニット40は、第1主演算により決定された指令信号と、第2バックアップ演算により決定された指令信号、のうち正しい信号である可能性が高い指令信号を選択して第1アクチュエータ10に送信し、第2制御ユニット60は、第2主演算により決定された指令信号と、第1バックアップ演算により決定された指令信号と、のうち正しい信号である可能性が高い指令信号を選択し第2アクチュエータ50に送信する。【選択図】図2

Description

本発明は、作動液の液圧を調整可能な上流側アクチュエータと、各ホイールシリンダに供給される作動液の液圧をホイールシリンダ毎に調整可能な下流側アクチュエータと、を備えた車両の制動制御装置に関する。
従来から、作動液の液圧を調整可能な上流側アクチュエータと、上流側アクチュエータから当該液圧が調整された作動液が供給され、各ホイールシリンダに供給される作動液の液圧をホイールシリンダ毎に調整可能な下流側アクチュエータと、を備えた車両の制動制御装置が知られている。このような車両の制動制御装置(以下、「従来装置」と称呼される。)の一つは、上流側アクチュエータが、マスタシリンダ、高圧源及びメカニカル弁等により構成され、下流側液圧制御装置が、各車輪にそれぞれ対応する保持弁及び減圧弁等により構成されている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2014−108725号公報(図1)
ところで、上流側アクチュエータ及び下流側アクチュエータの作動を制御する制御装置の一つは、上流側アクチュエータを主として制御する電子制御ユニット(以下、「ECU」とも称呼する。)と、下流側アクチュエータを主として制御するECUと、をそれぞれ備える。このような制御装置は、仮に何れか一方のECUが故障しても、他方のECUが、一方のECUが実行する処理を補完することにより、制御装置全体の機能の全部を損なってしまうという問題を回避することができる。しかし、一方のECUの実行する処理を他方のECUが完全に補完するような構成であると、それぞれのECUの回路規模(CPUの演算規模)は増大し、その結果、制御装置の部品コストが増加してしまうという問題がある。
本発明は上記課題に対処するために為されたものである。即ち、本発明の目的の一つは、上流側アクチュエータ用のECUと下流側アクチュエータ用のECUの何れか一方が故障した場合、他方のECUが「故障した一方のECUの機能」を補完するための簡易的な演算を実行することにより、部品のコスト増加を抑えつつ制動制御装置としての機能を確保し得る車両の制動制御装置を提供することにある。
本発明の車両の制動制御装置(以下、「本発明装置」とも称呼する。)は、第1アクチュエータ(10)と、第2アクチュエータ(50)と、第1制御ユニット(40)と、第2制御ユニット(60)と、ストロークセンサ(81)と、圧力センサ(82)と、車両状態量検出センサ(83)と、を備える。
前記第1アクチュエータは、作動液の液圧である第1液圧(PM)を調整可能である。前記第2アクチュエータは、前記第1アクチュエータから前記第1液圧が調整された前記作動液が供給され、車両の前後左右の車輪(WFL,WFR,WRL及びWRR)のそれぞれに設けられた摩擦制動装置(70)のホイールシリンダ(71)に供給される作動液の液圧である第2液圧を前記ホイールシリンダ毎に調整可能である。前記第1制御ユニットは、前記第1アクチュエータに指令信号を送信することにより前記第1アクチュエータを制御する。前記第2制御ユニットは、前記第2アクチュエータに指令信号を送信することにより前記第2アクチュエータを制御する。前記ストロークセンサは、ブレーキペダル(11)のストローク量(ST)を検出する。前記圧力センサは、前記ブレーキペダルの踏力(Fbp)に応じて変化する圧力(Pb)を検出する。前記車両状態量検出センサは、前記車両の走行状態を表す車両状態量を検出する。
第1アクチュエータは、例えば、マスタシリンダ、リザーバ、高圧源(ポンプ)、作動液の第2アクチュエータへの供給経路中に介装される増圧リニア弁及び作動液のリザーバへの排出経路中に介装される減圧リニア弁等を備える。第2アクチュエータは、例えば、各ホイールシリンダへの作動液の供給経路中に介装される常開式の保持弁及び各ホイールシリンダとリザーバとの間に介装される常閉式の減圧弁をそれぞれ備える。車両状態量検出センサは、例えば、車輪の回転速度センサ、ヨーレートセンサ、横加速度センサ及び前後加速度センサ等を含む。
前記ストロークセンサ、前記圧力センサ及び前記車両状態量検出センサは、前記第1制御ユニット及び前記第2制御ユニットの何れかに接続され、且つ、少なくとも一つが前記第1制御ユニットに接続されるとともに少なくとも他の一つが前記第2制御ユニットに接続されている。前記第1制御ユニット及び前記第2制御ユニットは、前記センサから取得したセンサ検出情報を相互に送受信可能に構成される。
前記第1制御ユニットは、前記圧力に基づいて決定される前記踏力の増加に対して前記第1液圧が非線形的に増加するように、前記ストローク量及び前記踏力に基づいて前記第1液圧の目標値を決定し、前記決定した目標値に基づいて前記第1アクチュエータに送信する前記指令信号を決定する第1主演算を実行する第1主演算部(43)を備える。前記第2制御ユニットは、前記車両状態量に基づいて前記第2液圧が前記ホイールシリンダ毎に独立して調整されるように、前記第2アクチュエータに送信する前記指令信号を決定する第2主演算を実行する第2主演算部(63)を備える。
上記非線形的な変化とは、例えば、運転者がブレーキペダルを踏み込んだとき、車両の減速度が運転者に自然に感じられるような変化である。
更に、前記第1制御ユニットは、前記第2アクチュエータに送信する前記指令信号を決定する第1バックアップ演算を実行するとともに当該指令信号を前記第2制御ユニットに送信するように構成された第1代替演算部(44)を備える。前記第2制御ユニットは、前記第1アクチュエータに送信する前記指令信号を決定する第2バックアップ演算を実行するとともに当該指令信号を前記第1制御ユニットに送信するように構成された第2代替演算部(64)を備える。
加えて、前記第1制御ユニットは、前記第1主演算部が決定した前記指令信号と、前記第2代替演算部が決定した前記指令信号と、のうち正しい信号である可能性が高い指令信号を選択して前記第1アクチュエータに送信する第1故障判定部(45)を備える。前記第2制御ユニットは、前記第2主演算部が決定した前記指令信号と、前記第1代替演算部が決定した前記指令信号と、のうち正しい信号である可能性が高い指令信号を選択して前記第2アクチュエータに送信する第2故障判定部(65)を備える。
しかし、第1制御ユニットの実行する第1バックアップ演算及び第2制御ユニットの実行する第2バックアップ演算が他方の制御ユニットの実行する演算を完全補完する演算である場合、第1制御ユニット及び第2制御ユニットの回路規模が増大し、部品コストが増大してしまう。
そこで、上記問題を解決するため、前記第1代替演算部は、前記第1バックアップ演算として、前記ホイールシリンダのうち多くとも三つ以下の特定のホイールシリンダの液圧のみを個別に制御する態様及び前記ホイールシリンダのうち少なくとも二つ以上のホイールシリンダの液圧を共通に制御する態様の何れかの態様にて前記第2アクチュエータに送信する前記指令信号を決定するための演算を行うように構成され、前記第2代替演算部は、前記第2バックアップ演算として、前記圧力に基づいて決定される前記踏力の増加に対して前記第1液圧が線形的に増加するように、前記踏力に基づいて前記第1液圧の目標値を決定し、前記決定した目標値に基づいて前記第1アクチュエータに送信する前記指令信号を決定するための演算を行うように構成される。
このように、第1制御ユニットは、制動制御装置が正常である場合、ブレーキペダルの踏力に対して目標値(目標制動力)が非線形的に変化するような指令信号(第1主演算の演算結果)を選択して第1アクチュエータに送信する。これに対し、第1制御ユニットが故障したときは、ブレーキペダルの踏力に対して目標値が線形的に変化するような指令信号(第2制御ユニットで実行される第2バックアップ演算の演算結果)を選択して第1アクチュエータに送信する。一方、第2制御ユニットは、制動制御装置が正常である場合、例えば、各車輪それぞれの制動スリップ率を算出し、第2アクチュエータに、所定のスリップ率を超えた車輪に対応するホイールシリンダの液圧を低下させるアンチスキッド制御を実行させるための指令信号(第2主演算の演算結果)を選択して第2アクチュエータに送信する。これに対し、第2制御ユニットが故障したときは、例えば、第2アクチュエータに、前輪又は後輪の何れか(例えば、駆動輪)のみに対してアンチスキッド制御を実行させるための指令信号(第1制御ユニットで実行される第1バックアップ演算の演算結果)を選択して第2アクチュエータに送信する。第1制御ユニット(第1代替演算部)は、第1バックアップ演算として、例えば、左前輪及び右前輪に共通のアンチスキッド制御を実行してもよい。更に、第1制御ユニットは、車両の旋回走行時における横滑りを抑制するために、例えば、四輪の車輪速度を全て低減させる制御を実行してもよい。
上記構成によれば、通常制御時に比べてバックアップ演算の演算規模を小さくすることができる。従って、バックアップ演算を実行するために第1制御ユニット及び第2制御ユニットが冗長化されたとしても、第1演算及び第2演算の何れかを完全補完してバックアップする場合の構成に対してCPUの演算処理能力を高くする必要はなく、その結果、部品のコスト増加を抑えることができる。更に、上記構成によれば、制動制御装置としての最低限の機能が確保される。
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、本発明の各構成要素は、前記名称及び/又は符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両の制動制御装置の概略構成図である。 図2は、図1に示した車両の制動制御装置の機能ブロック図である。 図3は、図1に示した車両の制動制御装置におけるブレーキペダル踏力と要求制動力との関係を示した図である。 図4は、本発明の第2実施形態に係る車両の制動制御装置の機能ブロック図である。
<第1実施形態>
(構成)
本発明の第1実施形態に係る車両の制動制御装置(以下、「第1装置」とも称呼される。)は、図1に示したように、上流側アクチュエータ10、上流側ECU40、下流側アクチュエータ50、下流側ECU60及びブレーキユニット70を備える。
ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略称であり、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM(又は不揮発性メモリ)及びインタフェースI/F等を含むマイクロコンピュータを主要構成部品として有する電子制御回路である。CPUは、メモリ(ROM)に格納されたインストラクション(ルーチン)を実行することにより後述する各種機能を実現する。
上流側アクチュエータ10は、マスタシリンダ20及びレギュレータ30を含む。上流側アクチュエータ10は、以下、「第1アクチュエータ10」とも称呼される。
マスタシリンダ20には、ブレーキペダル11に近い方、即ち、図1の右方向から順に背面室21、第1マスタシリンダ室(第1MC室)22及び第2マスタシリンダ室(第2MC室)23が形成されている。背面室21は、マスタシリンダ20のハウジング、入力ロッド12に連結された入力ピストン24及び第1マスタシリンダピストン25により区画されている。第1マスタシリンダ室22は、マスタシリンダ20のハウジング、第1マスタシリンダピストン25及び第2マスタシリンダピストン26により区画されている。第2マスタシリンダ室23は、マスタシリンダ20のハウジング、第2マスタシリンダピストン26及び閉鎖部材27により区画されている。
第1マスタシリンダ室22及び第2マスタシリンダ室23は、左前輪、右前輪、左後輪及び右後輪のそれぞれに制動力を付与するためのホイールシリンダ71に供給される作動液を貯留する空間として形成される。以下、車輪毎に設けられる要素については、その符号の末尾に、左前輪を表す添字FL、右前輪を表す添字FR、左後輪を表す添字RL及び右後輪を表す添字RRをそれぞれ付す。但し、車輪毎に設けられる要素について車輪位置を特定しない場合、それらの添字は省略される。
第1マスタシリンダ室22は、第1接続経路97を介して下流側アクチュエータ50に連通している。第2マスタシリンダ室23は、第2接続経路98を介して下流側アクチュエータ50に連通している。
レギュレータ30には、背面室21と連通する出力室31及び高圧源32と接続する高圧室33が形成されている。出力室31と高圧室33との間には図示しない作動弁が備えられ、高圧源32から高圧の作動液が供給されると、作動弁が開き、背面室21に高圧の作動液が供給されるようになっている。
ブレーキペダル11が踏まれると、背面室21の圧力が高くなり、第1マスタシリンダピストン25及び第2マスタシリンダピストン26の双方は、マスタシリンダ20内に備えられた図示しないスプリングの弾性付勢力に抗して作動液を加圧する方向(図1の左方向)に移動する。即ち、背面室21内の圧力の増大は、第1マスタシリンダ室22及び第2マスタシリンダ室23の容積を相対的に減少させる。その結果、第1マスタシリンダ室22に貯留されている作動液及び第2マスタシリンダ室23に貯留されている作動液が加圧される。このような構成は周知であり、例えば、特開2014−108725号公報(特許文献1)に記載されている。
上流側アクチュエータ10は、更に、増圧リニア制御弁34及び図示しない減圧リニア制御弁を備えている。出力室31と高圧源32とは、増圧リニア制御弁34を介して接続されている。増圧リニア制御弁34は、駆動電流に応じて流量が変化する電磁弁である。減圧リニア制御弁は、高圧室33と図示しないリザーバとの間に設けられ、駆動電流に対して流量が変化する電磁弁である。
上流側ECU40は、下流側ECU60とCAN(Controller Area Network) 通信により情報交換可能に信号経路91にて接続されている。上流側ECU40は、ストロークセンサ81、圧力センサ82及び車輪速度センサ(車輪の回転速度センサ)831等(以下、「第1センサ群」とも称呼される。)と電気的に接続され、これらセンサからの出力信号を受信するようになっている。
ストロークセンサ81は、運転者によって操作されるブレーキペダル11のペダルストローク量STを表す出力信号を発生するようになっている。圧力センサ82は、背面室21とレギュレータ30との間の連絡通路96の液圧Pbを表す出力信号を発生するようになっている。車輪の回転速度センサ831は、車輪の回転速度を表す回転速度信号NPを発生するようになっている。上流側ECU40は、以下、「第1ECU40」とも称呼される。
下流側アクチュエータ50は、各車輪に対応して設けられるホイールシリンダ71と、第1アクチュエータ10との間に介装される常開式の二位置電磁弁(以下、「保持弁」と称呼される。図示省略。)及び各ホイールシリンダ71とリザーバとの間に介装される常閉式の二位置電磁弁(以下、「減圧弁」と称呼される。図示省略。)をそれぞれ備えている。下流側アクチュエータ50は、以下、「第2アクチュエータ50」とも称呼される。
下流側ECU60は、マスタシリンダ圧センサ832、ヨーレートセンサ833、前後加速度センサ834、横加速度センサ835及び操舵角センサ836等(以下、「第2センサ群」とも称呼される。)と電気的に接続され、これらセンサからの出力信号を受信するようになっている。マスタシリンダ圧センサ832は、マスタシリンダ圧PMを表す出力信号を発生するようになっている。ヨーレートセンサ833は、ヨーレートYrを表す出力信号を発生するようになっている。前後加速度センサ834は、前後加速度Gxを表す出力信号を発生するようになっている。横加速度センサ835は、横加速度Gyを表す出力信号を発生するようになっている。操舵角センサ836は、操舵角θsを表す出力信号を発生するようになっている。
なお、ヨーレートセンサ833及び操舵角センサ836は車両の左旋回方向を正としてそれぞれヨーレートYr及び操舵角θsを検出するようになっている。前後加速度センサ834は車両が前進方向に加速している場合に正の値を出力するようになっている。横加速度センサ835は車両の左方向を正として横加速度Gyを表す信号を検出するようになっている。下流側ECU60は、以下、「第2ECU60」とも称呼される。車輪の回転速度センサ831、マスタシリンダ圧センサ832、ヨーレートセンサ833、前後加速度センサ834、横加速度センサ835及び操舵角センサ836は「車両状態量検出センサ83」とも称呼される。車両状態量検出手段により検出される車輪の回転速度信号NP、マスタシリンダ圧PM、ヨーレートYr、前後加速度Gx、横加速度Gy及び操舵角θsは車両の走行状態を表す量であり、以下、「車両状態量」とも称呼される。
ブレーキユニット70は、各車輪にそれぞれ設けられ、ホイールシリンダ71及びブレーキディスク72を備える。下流側ECU60は、例えば、マスタシリンダ圧PMに基づいて左前輪、右前輪、左後輪及び右後輪の目標制動力Fbflt、Fbfrt、Fbrlt及びFbrrtを演算し、各車輪の制動力が対応する目標制動力となるように、ホイールシリンダ71FL、71FR、71RL及び71RRの制動圧を制御する。このような構成は周知であり、例えば、特開2012−153266号公報に記載されている。
次に、図2を参照しながら第1装置の機能について説明する。第1ECU40は、機能毎に第1センサインタフェース部41、第1ECU間インタフェース部42、第1主演算部43及び第1代替演算部44及び第1故障判定部45を備える。
第1センサインタフェース部41は、ストロークセンサ81、圧力センサ82及び回転速度センサ831と電気的に接続され、これらのセンサからの出力信号を受信するようになっている。更に、第1センサインタフェース部41は、第1主演算部43及び第1代替演算部44と電気的に接続されている。
第1ECU間インタフェース部42は、第1センサインタフェース部41、第1主演算部43及び第1代替演算部44と電気的に接続されている。
第1主演算部43は、第1センサインタフェース部41を介してストロークセンサ81の出力信号ST及び圧力センサ82の出力信号Pbを入力する。第1主演算部43は、圧力センサ82の出力信号Pbに基づいて、ブレーキペダル踏力Fbpを算出する。更に、第1主演算部43は、ブレーキペダル踏力Fbpと、ストロークセンサ81の出力信号STと、に基づいて指令値Aを算出する。以下、この演算は「第1主演算」とも称呼される。
第1代替演算部44は、第2ECU60の一部の機能が故障した場合に備えて、第2ECU60の主演算部(第2主演算部63)が実行する演算に代わる「第2アクチュエータ50を制御するための代替演算(以下、「第1バックアップ演算」とも称呼する。)」を実行するようになっている。例えば、第1代替演算部44は、後で詳細に述べるように第2主演算部63が実行するABS制御及びVSC制御等の車両挙動制御用の制動制御に代わる制御を実行するために、第1センサインタフェース部41を介して取得した回転速度信号NPを用いて第2アクチュエータ50を制御するための信号を演算する。第1代替演算部44は、第2故障判定部65と第1制御経路92を介して電気的に接続され、第1バックアップ演算によって決定される指令信号を第2制御ユニット60に送信するようになっている。
第1故障判定部45は、第1主演算部43、第2代替演算部64及び第1アクチュエータ10と電気的に接続される。第1故障判定部45は、第1主演算部43及び第2代替演算部64から演算結果をそれぞれ入力する。第1故障判定部45は、第1主演算部43による演算結果(指令値A)と第2代替演算部64による演算結果の大きさを比較する。第2代替演算部64による演算結果は「指令値B」とも称呼される。指令値Bは、後述するように、簡易的に演算された推定値である。指令値Aが正常な値である場合、指令値Bとはある程度近い値になっていると考えられる。反対に、指令値Aが異常な値である場合、指令値Bとは大きく異なる値になっていると考えられる。そこで、第1故障判定部45は、指令値Aと指令値Bとの関係が「指令値Aの値と指令値Bの値が近いと判定できる大小関係」を満たす場合、指令値Aが正しいと判定する。
例えば、指令値A及び指令値Bが正の値であると仮定すると、指令値Aと指令値Bとの間にB/2≦A≦2・Bの大小関係が成立する場合、第1故障判定部45は指令値Aが正しいと判定し、第1アクチュエータ10への指令値として指令値Aを選択し、第1アクチュエータ10へ指令値Aを送信する。一方、上記大小関係が成立しない(A<B/2又はA>2・B)場合、第1故障判定部45は指令値Aが正しくないと判定し、第1アクチュエータ10への指令値として指令値Bを選択し、第1アクチュエータ10へ指令値Bを送信する。言い換えると、第1故障判定部45は、第1主演算部43が決定した指令信号と、第2代替演算部64が決定した指令信号と、のうち正しい信号である可能性が高い指令信号を選択して第1アクチュエータ10に送信する。但し、後で詳しく述べるように、指令値Aは、ブレーキペダル踏力Fbpの値が「0」から比較的小さい所定値Fbp0までは「0」に維持されている。従って、ブレーキペダル踏力Fbpの値が「0」から所定値Fbp0までの間の値である場合、指令値Aが正しい値であっても、指令値A≦指令値Bとなり、上記大小関係が成立しない。従って、ブレーキペダル踏力Fbpの値がFbp0以下である場合は、第1故障判定部45は、例えば、指令値A及び指令値Bのうち「0」に近い方を選択する。
第2ECU60は、機能毎に第2センサインタフェース部61、第2ECU間インタフェース部62、第2主演算部63及び第2代替演算部64及び第2故障判定部65を備える。
第2センサインタフェース部61は、マスタシリンダ圧センサ832、ヨーレートセンサ833、前後加速度センサ834、横加速度センサ835及び操舵角センサ836と電気的に接続されており、これらのセンサから出力信号を受信するようになっている。更に、第2センサインタフェース部61は、第2主演算部63及び第2代替演算部64と電気的に接続されている。
第2ECU間インタフェース部62は、第2センサインタフェース部61、第2主演算部63及び第2代替演算部64と電気的に接続されている。更に、図1にて第1ECU40と第2ECU60とを接続していた信号経路91は、より具体的には、第1ECU間インタフェース部42と第2ECU間インタフェース部62とを接続している。
第1ECU間インタフェース部42は、第1センサインタフェース部41が受信した「ペダルストローク量ST、液圧Pb及び回転速度信号NP」を、信号経路91を介して第2ECU間インタフェース部62に送信している。一方、第2ECU間インタフェース部62は、第2センサインタフェース部61が受信した「マスタシリンダ圧PM、ヨーレートYr、前後加速度Gx、横加速度Gy及び操舵角θs」を、信号経路91を介して第1ECU間インタフェース部42に送信している。これにより、第1ECU40は、第2ECU60が第2ECU60に接続されたセンサ(第2センサ群)からの信号を利用可能である。同様に、第2ECU60は、第1ECU40が第1ECU40に接続されたセンサ(第1センサ群)からの信号を利用可能である。
第2主演算部63は、後で詳細に述べるように、第2アクチュエータ50を制御するためのABS制御及びVSC制御等の車両挙動制御用の制動制御を行うための演算を実行するようになっている。第2主演算部63は、第2センサインタフェース部61に接続された第2センサ群からの検出信号(即ち、マスタシリンダ圧PM、ヨーレートYr、前後加速度Gx、横加速度Gy及び操舵角θs)と、第2ECU間インタフェース部62を介して取得した「ペダルストローク量ST及び回転速度信号NP」と、に基づき、第2アクチュエータ50を制御するための信号を演算する。即ち、第2主演算部63は、車両状態量に基づいてマスタシリンダ圧PMがホイールシリンダ71毎に独立して調整されるように、第2アクチュエータ50に送信する指令信号を決定する。以下、この演算は「第2主演算」とも称呼される。
第2代替演算部64は、第1ECU40の一部の機能が故障した場合に備えて、第1ECU40の主演算部(第1主演算部43)が実行する演算に代わる「第1アクチュエータ10を制御するための代替演算(以下、「第2バックアップ演算」とも称呼する。)」を実行して、前述した指令値Bを出力するようになっている。第2代替演算部64は、第2センサインタフェース部61を介して取得した「前後加速度センサ834の出力信号が表す前後加速度Gx及びマスタシリンダ圧センサ832の出力信号が表すマスタシリンダ圧PM」を用いて指令値Bを算出する。なお、第2代替演算部64は、指令値Bを算出する際、マスタシリンダ圧PMに基づいてブレーキペダル踏力Fbpを演算する。第2代替演算部64は、第1故障判定部45と第2制御経路93を介して電気的に接続され、第2バックアップ演算によって決定される指令信号を第1制御ユニット40に送信するようになっている。
第2故障判定部65は、第2主演算部63及び第1代替演算部44と電気的に接続され、第2主演算部63及び第1代替演算部44から演算結果をそれぞれ入力する。更に、第2故障判定部65は、第2主演算部63を経由して前後加速度センサ834の検出した前後加速度(以下、「検出前後加速度」とも称呼される。)Gxdet を受信する。加えて、第2故障判定部65は、第1代替演算部44によって推定された前後加速度(以下、「推定前後加速度」とも称呼される。)Gxest を第1代替演算部44から受信する。なお、推定前後加速度Gxest の算出方法については後述する。
例えば、検出前後加速度Gxdet はその値が正常な値である場合、推定前後加速度Gxest とはある程度近い値になっていると考えられる。反対に、検出前後加速度Gxdet はその値が異常な値である場合、推定前後加速度Gxest とは大きく異なる値になっていると考えられる。そこで、第2故障判定部65は、検出前後加速度Gxdet の大きさ|Gxdet|と推定前後加速度Gxest の大きさ|Gxest|との関係が、「それらが互いに近いと判定できる下記の大小関係を満たす場合、検出前後加速度の大きさ|Gxdet| が正しいと判定する。
|Gxest|/2≦|Gxdet|≦2・|Gxest|
この大小関係が満たされる場合、検出前後加速度Gxdet が第2主演算部63を経由して得られていることから、第2故障判定部65は、第2主演算部63の演算結果は正しいと判断し、第2アクチュエータ50へ第2主演算部63の演算結果を送信する。
一方、上記大小関係が成立しない場合(即ち、|Gxdet|<|Gxest|/2 又は |Gxdet|>2・|Gxest|である場合)、第2故障判定部65は検出前後加速度の大きさ|Gxdet| が正しくないと判定する。この結果から、第2故障判定部65は、第2主演算部63の演算結果は正しくないと判断し、第2アクチュエータ50へ第1代替演算部44の演算結果を送信する。言い換えると、第2故障判定部65は、第2主演算部63が決定した指令信号と、第1代替演算部44が決定した指令信号と、のうち正しい信号である可能性が高い指令信号を選択して第2アクチュエータ50に送信する。
但し、例えば、検出前後加速度|Gxdet|及び推定前後加速度|Gxest|の値が極めて小さい(0に近い)場合、両者の比較によっては故障であるか否かを判定し難い場合もある。この場合、第2故障判定部65は、所定期間中に|Gxdet| が所定値以上変化したとき第1主演算部43の演算結果は正しいと判定することもできる。
(作動)
第1装置において、第1ECU40及び第2ECU60は、それらの一方が故障により正しく機能できない場合、それらの他方が故障した一方の機能を補完する。より具体的に述べると、第1ECU40の主たる機能は第1アクチュエータ10を制御する機能であるので、第1ECU40に関しては、第1センサインタフェース部41、第1ECU間インタフェース部42、第1主演算部43及び第2代替演算部64の故障について検討すればよい。これらの故障は、これらのうちの何れか一つの処理部が故障する単独故障モードと、これらのうちの二つ以上の処理部が故障する複合的故障モードと、に分類される。更に、三つ以上の処理部が同時に故障する確率は極めて低いので、以下では、単独故障モードと、複合的故障モードのうち二つの処理部が故障する二重故障モードと、について検討する。
同様に、第2ECU60の主たる機能は第2アクチュエータ50を制御する機能であるので、第2ECU60に関しては、第2センサインタフェース部61、第2ECU間インタフェース部62、第2主演算部63及び第1代替演算部44の故障について検討する。この場合についても、これらの単独故障モードと、二重故障モードと、について検討する。
表1は単独故障モードに対応し、表2は二重故障モードに対応する。表1又は表2における「センサI/F」が第1センサインタフェース部41を表しているとすると、「ECU間I/F」は第1ECU間インタフェース部42を表し、「他ECU代替演算」は第2代替演算部64を表し、「自ECU主演算」は第1主演算部43を表す。これに対し、表1又は表2における「センサI/F」が第2センサインタフェース部61を表しているとすると、「ECU間I/F」は第2ECU間インタフェース部62を表し、「他ECU代替演算」は第1代替演算部44を表し、「自ECU主演算」は第2主演算部63を表す。表1において、例えば、状態1は、第1センサインタフェース部41のみが故障した故障モードである。
Figure 2019089505
Figure 2019089505
以下、「自ECU」は第1ECU40、「他ECU」は第2ECU60であると仮定して説明する。状態1は、第1センサインタフェース部41のみが故障し、他の処理部は正常な状態である。この場合、第1センサインタフェース部41による処理結果(出力結果)は第1センサインタフェース部41が故障しているので「異常」となる。異常な処理結果は、表1において、便宜上「NG」と表記される。状態1において、第1ECU間インタフェース部42は正常であるが、第1センサインタフェース部41から出力された異常な処理結果を入力するので、第1ECU間インタフェース部42による処理結果は異常となる。従って、表1において第1ECU間インタフェース部42の出力結果は「NG」と表記されている。
ところで、状態1において、第2代替演算部64は正常であるから、第2代替演算部64による処理結果(演算結果である指令値B)は正しい。よって、処理結果は「OK」と表記されている。一方、第1主演算部43は正常であるが、第1主演算部43が第1センサインタフェース部41から入力する値(ペダルストローク量ST、液圧Pb)は正しくない。従って、第1主演算部43による処理結果(演算結果である指令値A)は正しくない。よって、その処理結果は「NG」と表されている。
指令値Aは第1故障判定部45に送信される。指令値Bは、第2制御経路93を経由して第1故障判定部45に送信される。第1故障判定部45は、上述した手法に従って、両者のうち正しい演算結果である指令値Bを選択する。この結果、第1アクチュエータ10を正しく制御することができる。つまり、状態1においては、第2代替演算部64による補完(バックアップ演算)が可能である。
状態2は、第1ECU間インタフェース部42のみが故障し、他の処理部は正常な状態である。この場合、第1センサインタフェース部41による処理結果は正常である。従って、第1主演算部43の処理結果も正常である。一方、第1ECU間インタフェース部42は故障しているので、その処理結果は異常な結果となる。しかし、第2代替演算部64は正常である。従って、第2代替演算部64は代替演算を行うことにより第1主演算部43をバックアップすることができる。但し、この場合、バックアップは不要である。なお、「自ECU」が第2ECU60、「他ECU」が第1ECU40である場合、状態2(第1ECU間インタフェース部42が故障している状態)では第2主演算部63は正しい回転速度信号NPを取得できない。よって、第2主演算部63(自ECU主演算)は正常であっても、その処理結果はNGとなる。
状態3は、第2代替演算部64のみが故障し、他の処理部は正常な状態である。この場合、第1センサインタフェース部41による処理結果及び第1ECU間インタフェース部42による処理結果は正常である。従って、第1主演算部43による処理結果も正常である。つまり、指令値Aは正しい。この状態において第1ECU40の各機能はすべて正常であるから、第1主演算部43により正常な演算が行われる。よって、この状態3において、第2代替演算部64によるバックアップは不要である。なお、第2代替演算部64は、第2センサインタフェース部61を経由して得られる値(前後加速度Gx、マスタシリンダ圧PM)を用いて演算を行うので、第2代替演算部64が正常であっても第2センサインタフェース部61が故障している場合、第2代替演算部64の出力は正しくない。但し、単独故障を考慮しているので、この場合においても第1主演算部43の処理結果は正しいから、第2代替演算部64によるバックアップは不要である。
状態4は、第1主演算部43のみが故障し、他の処理部は正常な状態である。この場合、第1主演算部43の演算結果(指令値A)は異常(NG)となる。この場合、第2代替演算部64の演算結果(指令値B)は正しいので、第2代替演算部64は第1主演算部43をバックアップすることができる。
このように、第2代替演算部64によって補完可能な状態は、状態1、状態2及び状態4である。なお、状態3は第1ECU40の全ての機能が正常でありバックアップが不要な状態である。従って、第1装置は、故障モードが単独故障である何れの場合であっても他ECUをバックアップすることができる。以上、「自ECU」が第1ECU40である場合について主として説明したが、「自ECU」が第2ECU60である場合についても同様に説明することができる。
次に、二重故障モードについて表2を参照しながら説明する。以下において、上記と同様、「自ECU」が第1ECU40である場合について説明する。
状態5は、第1センサインタフェース部41及び第1ECU間インタフェース部42が故障し、他の処理部が正常な状態である。この場合、第1センサインタフェース部41による処理結果は異常であり、第1主演算部43による演算結果は「NG」となる。この状態においては、単独故障の状態1と同様に、第2代替演算部64は代替演算を行うことにより第1主演算部43をバックアップすることができる。
状態6は、第1センサインタフェース部41及び第2代替演算部64が故障し、他の処理部が正常な状態である。この場合、第1主演算部43の処理結果は「NG」となる。更に、第2代替演算部64が故障しているので、第2代替演算部64の演算結果は正しくない。従って、この状態においては、第2代替演算部64は第1主演算部43をバックアップすることができない。
状態7は、第1センサインタフェース部41及び第1主演算部43が故障し、他の処理部が正常な状態である。この場合、第1主演算部43による演算結果は「NG」となる。しかし、第2代替演算部64は正常である。従って、第2代替演算部64は第1主演算部43をバックアップすることができる。
状態8は、第1ECU間インタフェース部42及び第2代替演算部64が故障し、他の処理部が正常な状態である。この場合、第1センサインタフェース部41による処理結果は正常である。従って、第1主演算部43の処理結果も正常である。一方、第1ECU間インタフェース部42は故障しているので、その処理結果は異常な結果となる。第2代替演算部64は故障しているので、第2代替演算部64の演算結果は「NG」となる。従って、この状態においては、第2代替演算部64は第1主演算部43をバックアップすることができない。但し、この場合、バックアップは不要である。なお、「自ECU」が第2ECU60、「他ECU」が第1ECU40である場合、状態8では第2主演算部63は正しい回転速度信号NPを取得できない。よって、第2主演算部63(自ECU主演算)は正常であっても、その処理結果はNGとなる。つまり、この場合、バックアップは必要であるがバックアップすることができない。
状態9は、第1ECU間インタフェース部42及び第1主演算部43が故障し、他の処理部が正常な状態である。この場合、第1主演算部43は故障しているので、第1主演算部43の演算結果はNGである。しかし、第2代替演算部64による演算結果は正常である。従って、第2代替演算部64は第1主演算部43をバックアップすることができる。
状態10は、第2代替演算部64及び第1主演算部43が故障し、他の処理部が正常な状態である。この場合、第1主演算部43の演算結果及び第2代替演算部64の演算結果は「NG」となる。従って、この状態においては、第2代替演算部64は第1主演算部43をバックアップすることができない。
このように、第1装置は、発生し得る6つの故障モードのうち、自ECUの処理部の一つと他ECUの代替演算部とが同時に故障する故障モード(状態6、状態8及び状態10)においてはバックアップすることができない。しかし、第1装置は、自ECUの処理部の二つが同時に故障する故障モード(状態5、状態7及び状態9)においては、他ECU代替演算によって自ECUのバックアップが可能である。以上、自ECUが第1ECU40であり、他ECUが第2ECU60である場合について説明した。なお、自ECUが第2ECU60であり他ECUが第1ECU40である場合についての説明は省略するが、自ECUが第1ECU40であり他ECUが第2ECU60である場合と同様に、第1代替演算部44によって、状態1、状態2、状態4、状態5、状態7及び状態9に相当する状態において第2ECU60のバックアップが可能である。
なお、表2には記載していないが、第1ECU40の一つのブロックと、第2ECU60の第2代替演算部64を除く一つのブロックと、が故障した状態について説明する。例えば、第1センサインタフェース部41と第2ECU間インタフェース部62とが故障した場合、第1主演算部43は、第1センサ群からの正しい情報(出力信号)を取得することができないので、正しい演算結果を出力することができない。しかし、第2代替演算部64は故障していない第2センサインタフェース部61を介して第2センサ群から正しい出力信号を取得するので、正しい演算結果を出力することができる。従って、前述の状態5と同様に、第2代替演算部64は第1主演算部43をバックアップすることができる。
一方、第1センサインタフェース部41と第2センサインタフェース部61とが故障した場合、第1主演算部43は正しい演算結果を出力することができない。更に、第2代替演算部64も第2センサ群から正しい出力信号を取得することができないので、正しい演算結果を出力することができない。従って、この場合、前述の状態6と同様に、第2代替演算部64は第1主演算部43をバックアップすることができない。
ところで、例えば、第2代替演算部64は正常であっても、第2センサインタフェース部61及び第2ECU間インタフェース部62がともに故障する二重故障もあり得る。この場合、第2代替演算部64は、正しい演算結果を出力することはできない。しかし、この場合、二重故障についてのみ検討すると、第1ECU40には故障が発生していないことになる。従って、第2代替演算部64によって第1主演算部43をバックアップする必要がない。この場合、第1代替演算部44により第2主演算部63のバックアップが行われる。つまり、状態5と同様の状態と考えてよい。
次に、第1主演算部43において実行される第1アクチュエータ10の制御のための演算処理(第1主演算)と第2代替演算部64において実行される第1アクチュエータ10の制御のための演算処理(第2バックアップ演算)についてそれぞれ説明する。
<第1主演算>
第1ECU40の第1主演算部43は、ブレーキペダル11が踏み込まれると、ストロークセンサ81により検出されるペダルストローク量STと圧力センサ82により検出される液圧Pbとに基づいて要求制動力FRQ*を演算する。即ち、第1主演算部43により演算される要求制動力FRQ*は、指令値Aに相当する。
より具体的に述べると、第1主演算部43は、ペダルストローク量STとペダルストローク量STに基づく要求制動力FST*との関係を規定したルックアップテーブルMapFST*(ST)にペダルストローク量STを適用することにより、要求制動力FST*を算出することができる。参照されるルックアップテーブルMapFST*(ST)は、実験等により予め定められ、第1ECU40内のROMに格納されている。要求制動力FST*は、ペダルストローク量STが大きいほど大きい。以下、上記ルックアップテーブルMapFST*(ST)は、「第1マップM1」とも称呼される。
更に、第1主演算部43は、液圧Pbと液圧Pbに基づく要求制動力FPb*との関係を規定したルックアップテーブルMapFPb*(Pb)に液圧Pbを適用することにより、要求制動力FPb*を算出することができる。参照されるルックアップテーブルMapFPb*(Pb)は、実験等により予め定められ、第1ECU40内のROMに格納されている。要求制動力FPb*は、液圧Pbが大きいほど大きい。以下、上記ルックアップテーブルMapFPb*(Pb)は、「第2マップM2」とも称呼される。
ところで、要求制動力FRQ*はペダルストローク量STが大きいほど大きく、又は液圧Pbが大きいほど大きな値に設定される。第1主演算部43は、上述した要求制動力FST*及びFPb*の重み付け平均値として、下記の(1)式に従って要求制動力FRQ*を算出する。

FRQ*=α・FST*+(1−α)・FPb* …(1)

ここで、係数αは、ペダルストローク量STに基づく要求制動力FST*に対する重みであり、ゼロ以上1以下(0≦α≦1)の何れかの値である。
第1主演算部43は、係数αをペダルストローク量STが増加するにしたがって小さくなるように設定する。これにより、要求制動力FRQ*の内訳は、ペダルストローク量STが比較的小さい範囲においては、ペダルストローク量STに基づく要求制動力FST*が支配的となる。一方、ペダルストローク量STが比較的大きい範囲においては、要求制動力FRQ*は、液圧Pbに基づく要求制動力FPb*が支配的となる。液圧Pbに基づく要求制動力FPb*は運転者がブレーキペダル11を踏む力、即ち、「ブレーキペダル踏力Fbp」と言い換えてよい。
このようにして演算された要求制動力FRQ*は、図3に一点鎖線N0にて示される。図3に示したグラフの横軸はブレーキペダル踏力Fbpであり、縦軸は要求制動力FRQ*である。第1主演算部43は、ブレーキペダル踏力Fbpが「0」であるとき(ブレーキペダル11が踏まれていないとき)は、要求制動力FRQ*を「0」に設定する。第1主演算部43は、ブレーキペダル11を運転者が踏み始めてもブレーキペダル踏力FbpがFbp0となるまでは要求制動力FPb*及び係数αを「0」に維持する。従って、要求制動力FRQ*は、ブレーキペダル踏力FbpがFbp0となるまでは「0」に維持される。つまり、第1主演算部43は、制動初期に所謂不感帯を設けている。
ブレーキペダル踏力FbpがFbp0に達すると、第1主演算部43は、要求制動力FRQ*をステップ的に増大させる。この要求制動力FRQ*がステップ的に増大する特性は、所謂ジャンピング特性と称呼される。第1主演算部43は、ブレーキペダル踏力FbpがFbp0を超えると、上記(1)式に従って要求制動力FRQ*を設定する。このように、要求制動力FRQ*はブレーキペダル踏力Fbpに対して非線形的に変化する。
第1主演算部43は、要求制動力FRQ*に従って、各ホイールシリンダ71への作動液の供給量を制御する増圧リニア制御弁34及び減圧リニア制御弁に、それぞれの流量を制御する信号を与える。
ところで、実際にブレーキユニット70に発生する制動力Facは、同じペダルストローク量STであっても、ペダルストローク量STが増加しているときと、ペダルストローク量STが減少しているときと、で相違する場合がある。この相違は、主として増圧リニア制御弁34と減圧リニア制御弁の電流−流量特性の違い(固体ばらつき)に起因している。
例えば、第1装置は、ペダルストローク量STが増加すると、要求制動力FRQ*に基づいて、減圧リニア弁を遮断位置に維持しながら増圧リニア弁の弁開度を増加させる。一方、第1装置は、ペダルストローク量STが減少すると、要求制動力FRQ*に基づいて、増圧リニア弁を遮断位置に維持しながら減圧リニア弁の弁開度を増加させる。従って、ペダルストローク量STが増加方向であるか減少方向であるかによって要求制動力FRQ*に対する作動液の流量が相違し、その結果、作動液圧(実際の制動力)が相違してしまう。以上が、「第1主演算」における制動制御(液圧制御)の方法である。
<第2バックアップ演算>
これに対し、第2ECU60の第2代替演算部64が行う代替演算(第2バックアップ演算)は、以下のとおりである。第2代替演算部64は、通常ブレーキ制御が正常に行われている間に(第1ECU40が故障する前に)、ブレーキペダル踏力Fbpが所定値Fbp1(例えば、20kgf)となったときの要求制動力FRQ*を代表値FRQ1としてRAMに格納する。更に、第2代替演算部64は、比例係数β=FRQ1/Fbp1を求める。第2代替演算部64は、検出されたブレーキペダル踏力Fbpに比例係数βを乗じることにより、要求制動力FRQ*を算出する。即ち、第2代替演算部64により演算される要求制動力FRQ*は、指令値Bに相当する。
再び図3を参照すると、実線S1により示したように、第2代替演算部64によって演算される要求制動力FRQ*は原点Oを通る一次曲線(直線)にて表される。つまり、第2代替演算部64による演算は、入力値に所定の定数(比例係数β)を乗ずるだけの演算であるので、CPUに大きな負荷をかけることなく演算することができる。このように、要求制動力FRQ*はブレーキペダル踏力に対し線形的に変化する。従って、この方法によれば、第2代替演算部64が実行する演算の演算負荷は、上述した「第1主演算」(第1主演算部43による演算)による演算負荷よりも小さくなる。この方法によれば、運転者のフィーリングは重視されないが、通常ブレーキ制御と同様に車両を十分減速させることができる。
更に、第2主演算部63において実行される第2アクチュエータ50の制御のための演算処理(第2主演算)と第1代替演算部44において実行される第2アクチュエータ50の制御のための演算処理(第1バックアップ演算)についてそれぞれ説明する。
<第2主演算>
車輪の制動力は、制動スリップ率SLbがタイヤの特性等により決定される所定の制動スリップ率(以下、「理想スリップ率」とも称呼される)SLi以下であるときには、制動スリップ率SLbが高くなるほど増大する。一方、制動スリップ率SLbが理想スリップ率SLiより高いときには、制動スリップ率SLbが高くなるほど低下する。よって、第2主演算部63は、各車輪の回転速度センサ831にて取得した回転速度信号NPから各車輪の車輪速度Vwi(i=fl、fr、rl又はrr)を算出し、これら車輪速度Vwiに基づいて各車輪の制動スリップ率SLbを演算する。そして、第2主演算部63は、各車輪について当技術分野において公知のアンチスキッド制御(以下、「ABS制御」とも称呼される。)を実行する。なお、第2主演算部63は回転速度センサ831の出力する回転速度信号NPを第1センサインタフェース部41、第1ECU間インタフェース部42及び第2ECU間インタフェース部62を経由して入力するようになっている。
以下、ABS制御の概略を述べる。第2主演算部63は、各車輪の車輪速度Vwiに基づいて、車両の車体速度を推定する(推定車体速度Vxを算出する。)。第2主演算部63は、各車輪の車輪速度Vwiと推定車体速度Vxとに基づいて、各車輪の制動スリップ率SLb(=(Vx−Vwi)/Vx×100%)をそれぞれ算出する。第2主演算部63は、制動スリップ率SLbが理想スリップ率SLiより高い所定の制動スリップ率SLbth1 を超えた車輪があった場合、当該車輪に対応するホイールシリンダの液圧を当該車輪に対応する保持弁を閉弁し且つ減圧弁を開弁することにより低下させる。第2主演算部63は、制動スリップ率SLbが理想スリップ率SLiより低い所定の制動スリップ率SLbth2 以下となる車輪があった場合、当該車輪に対応するホイールシリンダ71の液圧を当該車輪に対応する保持弁を開弁し且つ減圧弁を閉弁することにより高くする。
第2主演算部63は、車両の旋回走行時における横滑りを抑制して車両の安定性を確保する車両安定制御(以下、「VSC制御」と称呼する。)を実行する。例えば、第2主演算部63は、ヨーレートセンサ833によりヨーレートYrを検出し、車両の後輪横滑り、或いは車両の前輪横滑りを判定する。より具体的に述べると、第2主演算部63は、検出されたヨーレートYrから算出される車体のスリップ角の大きさと車体のスリップ角速度の大きさが、それぞれ所定の閾値を超えている場合に、車両が強い後輪横滑り傾向であると判定する。
更に、第2主演算部63は、ヨーレートセンサ833による検出値である実ヨーレートYrと、推定車体速度Vx及び操舵角θsから決定される目標ヨーレートと、を比較して、実ヨーレートYrが目標ヨーレートよりも閾値以上低下している場合に、車両が強い前輪横滑り傾向にあると判定する。第2主演算部63は、車両が強い後輪横滑り傾向にあると判定した場合には、旋回外輪に対応するホイールシリンダに供給する液圧を高くする。これにより、旋回外向きに安定化モーメントが発生して、後輪横滑り傾向が低下する。一方、第2主演算部63は、車両が強い前輪横滑り傾向にあると判定した場合には、左右後輪及び旋回外側前輪に対応するホイールシリンダに供給する液圧を高くする。これにより、旋回方向に安定化モーメントが発生して、前輪横滑り傾向が低下する。以上が、「第2主演算」における制動制御(液圧制御)の方法である。
<第1バックアップ演算>
これに対し、第1ECU40の第1代替演算部44が行う代替演算(第1バックアップ演算)は以下のとおりである。第1代替演算部44は、四輪のうち、駆動輪(例えば、前輪駆動車両の場合は前輪のみ)について制動スリップ率SLbを算出し、駆動輪のみABS制御を実行する。このように、第1代替演算部44が実行する代替ABS制御は、第2主演算部63が実行するABS制御に比較して、CPUへの負荷が小さい。
車両の挙動の不安定さは車両の走行速度が高いほど増加する。換言すると、車両の走行速度を低くするほど車両の挙動は安定する。そこで、第1ECU40の第1代替演算部44は、上述のVSC制御に代えて、四輪の車輪速度を全て低減させる制御を実行する。このように、第1代替演算部44が実行する代替VSC制御は、第2主演算部63が実行するVSC制御に比較して、CPUへの負荷が小さい。
次に、第1代替演算部44及び第2代替演算部64による「車両状態量」の推定方法について、いくつか例を挙げて説明する。車両の横加速度Gy及びヨーレートYrは、例えば、車両旋回外側の車輪の車輪速度と車両旋回内側の車輪の車輪速度との差(以下、「車輪速度差」と称呼する。)ΔVwに基づいて推定可能である。左前輪の車輪速度Vwfl、右前輪の車輪速度Vwfr、左後輪の車輪速度Vwrl及び右後輪の車輪速度Vwrrとすると、例えば、車輪速度差ΔVwは下記の(2)式にて表される。

ΔVw=(Vwfl+Vwrl)/2−(Vwfr+Vwrr)/2 …(2)
車輪速度差ΔVwが正の方向に大きい場合、車両は右方向に旋回しており、左方向の横加速度Gyが高く又は左方向のヨーレートYrが高い。反対に、車輪速度差ΔVwが負の方向に大きい場合、車両は左方向に旋回しているので、右方向のGy横加速度が高く又は右方向のヨーレートYrが高い。これにより、第1代替演算部44は、第1センサインタフェース部41が入力した回転速度信号NPに基づいて車両の横加速度Gy及びヨーレートYrを推定することができる。
圧力センサ82が検出する液圧は、例えば、前後加速度センサ834の出力信号と車両重量とに基づいて推定可能である。車両の減速度が大きいほど液圧は高い。更に、車両重量が大きいほど大きい制動力が必要とされ、液圧は高くなる。そこで、液圧Pbは、減速度Gx及び車両重量Mbと、液圧Pbと、の関係を規定したルックアップテーブルMapPb(Gx、Mb)に減速度Gx及び車両重量Mbを適用することにより算出することができる。参照されるルックアップテーブルMapPb(Gx、Mb)は、実験等により予め定められ、第2ECU60内のROMに格納されている。これにより、第2代替演算部64は、第2センサインタフェース部61が入力した前後加速度Gxに基づいて液圧を推定可能である。
更に、車両の前後加速度は、例えば、四輪の各車輪速度に基づいて推定可能である。例えば、先ず、四輪の車輪速度の平均値Vwave(n)を求め(下記の(3)式)、次いで、車輪速度の平均値Vwave(n)の時間変化Vwtv(n) を求める(下記の(4)式)。ΔTは平均値Vwave(n)の演算周期であり、Vwave(n-1)は、一演算周期前の平均値を表している。

Vwave(n)=(Vwfl(n)+Vwfr(n)+Vwrl(n)+Vwrr(n))/4 …(3)

Vwtv(n)=(Vwave(n)−Vwave(n-1))/ΔT …(4)
このようにして求めた車輪速度の平均値の時間変化Vwtv(n) は車両の前後加速度(加減速度)の程度を表す指標となり得る。これによれば、上記時間変化が正の方向に大きいほど加速度が大きく、上記時間変化が負の方向に大きいほど減速度の絶対値が大きい。これにより、第1代替演算部44は、第1センサインタフェース部41が入力した回転速度信号NPに基づいて車両の前後加速度Gxを推定可能である。この推定された前後加速度Gxは、前述の推定前後加速度Gxestに相当する。
なお、バックアップ演算(代替演算部における演算)においては、必要最低限の制動力が発生すればよく、バックアップ演算によって演算される「ブレーキ装置の制御量」、即ち、アクチュエータへの指令値は、主演算(主演算部における演算)と同様の高い精度は要求されない。よって、バックアップ演算においてセンサ出力値として用いられるセンサ推定値と、センサが故障していなければ得られたはずのセンサ値と、の間の誤差の許容範囲は比較的広い。従って、代替演算部におけるセンサ値の推定においても高い精度は要求されない。前述したように、センサ値を推定する演算は複雑ではなく、CPUへの負荷は比較的小さい。
以上、説明したように、第1ECU40(第1主演算部43)は、圧力(液圧)Pbに基づいて決定されるブレーキペダル踏力Fbpの増加に対して第1液圧(マスタシリンダ圧PM;要求制動力FRQ*)が非線形的に増加するように、ペダルストローク量ST及びブレーキペダル踏力Fbpに基づいて第1液圧(要求制動力FRQ*)を決定し、決定した第1液圧(目標値)に基づいて第1アクチュエータ10に送信する指令信号(指令値A)を決定する第1主演算を実行する。更に、第1ECU40(第1代替演算部44)は、第1バックアップ演算として、ホイールシリンダ71のうち多くとも三つ以下(第1装置においては二つ)の特定のホイールシリンダ71の液圧のみを個別に制御する態様及びホイールシリンダ71のうち少なくとも二つ以上のホイールシリンダ71の液圧を共通に制御する態様の何れかの態様にて第2アクチュエータ50に送信する指令信号を決定するための演算も実行する。
一方、第2ECU60(第2主演算部63)は、車両状態量に基づいて第2液圧(ホイールシリンダの液圧)をホイールシリンダ71毎に独立して調整されるように、第2アクチュエータ50に送信する指令信号を決定する第2主演算を実行する。更に、第2ECU60(第2代替演算部64)は、第2バックアップ演算として、液圧Pbに基づいて決定されるブレーキペダル踏力Fbpの増加に対して第1液圧(マスタシリンダ圧PM;要求制動力FRQ*)が線形的に増加するように、ブレーキペダル踏力Fbpに基づいて第1液圧の目標値を決定し、決定した目標値に基づいて第1アクチュエータ10に送信する指令信号を決定するための演算も実行する。
第1ECU40(第1故障判定部45)は、第1主演算部43が決定した指令信号と、第2代替演算部64が決定した指令信号と、のうち正しい信号である可能性が高い指令信号を選択して第1アクチュエータ10に送信する。更に、第2ECU60(第2故障判定部65)は、第2主演算部63が決定した指令信号と、第1代替演算部44が決定した指令信号と、のうち正しい信号である可能性が高い指令信号を選択して第2アクチュエータ50に送信する、ように構成される。
上記の構成によれば、第1装置は、上流側アクチュエータ制御用のECUと下流側アクチュエータ制御用のECUの何れか一方又は双方の一部の機能に異常が生じた場合であっても、部品のコスト増加を抑え、制動制御装置としての最低限の機能を確保することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る車両の制動制御装置(以下、「第2装置」と称呼される。)について説明する。第2装置は、第1代替演算部44が実行する第1バックアップ演算を第2代替演算部64も実行可能である点及び第2代替演算部64が実行する第2バックアップ演算を第1代替演算部44も実行可能である点において第1装置と相違している。更に、図4に示したように、第1制御経路92及び第2制御経路93が除去されている点において第1装置と相違している。従って、以下、この相違点を中心に説明する。
第1代替演算部44が実行する第1バックアップ演算に代えて第2代替演算部64が実行するバックアップ演算は、第2主演算部63のバックアップ演算である。つまり、第2装置は、第2ECU60のバックアップを自身の代替演算部(第2代替演算部64)により実行可能である。同様に、第2装置は、第1ECU40のバックアップを自身の代替演算部(第1代替演算部44)により実行可能である。
以下、第2装置において「バックアップ処理」が可能な故障モードについて説明する。先ず、故障モードのうち、単独故障モードについて、以下の表3を参照しながら説明する。表3においては、表1と比較して「自ECU代替演算」の項目が加えられている。この項目は、表3が第1ECU40についての故障モードに対する表であれば、第1代替演算部44に対応している。この場合、単独故障の故障モードは状態11乃至状態15の5通りとなる。なお、「自ECU代替演算」は、「自ECU主演算」と同様に「センサI/F」経由で入力するセンサの出力信号を用いる。
Figure 2019089505
Figure 2019089505
以下、自ECUは第1ECU40、他ECUは第2ECU60であると仮定して説明する。状態11は、第1センサインタフェース部41のみが故障し、他の機能は正常な状態である。この場合、第1センサインタフェース部41による処理結果(出力結果)は第1センサインタフェース部41が故障しているので異常な結果となる。第1ECU間インタフェース部42は正常であるが、第1センサインタフェース部41から出力された異常な結果を入力するので、第1ECU間インタフェース部42による処理結果(出力結果)は異常な結果となる。従って、第1センサインタフェース部41から入力した信号に対する第1ECU間インタフェース部42の出力結果は「NG(自)」と表記される。しかし、第2ECU間インタフェース部62から入力した信号に対する出力結果は正常となるので「OK(他)」と表記される。第2代替演算部64は正常である。従って、第2代替演算部64は第1主演算部43をバックアップ可能である。第1代替演算部44は正常である。従って、第1代替演算部44も第1主演算部43をバックアップ可能である。
状態12は、第1ECU間インタフェース部42のみが故障し、他の機能は正常な状態である。この場合、第1センサインタフェース部41による処理結果は正常である。第1ECU間インタフェース部42は故障しているので、その処理結果は異常な結果となる。第2代替演算部64は正常である。従って、第2代替演算部64によって代替演算を行えば、その出力結果は正しい結果となる。しかし、第1ECU間インタフェース部42が故障しているため、第2代替演算部64の演算結果を第1ECU40に伝達させることができない。従って、この場合、第1代替演算部44により代替演算を行い、その結果を用いて第1アクチュエータ10を作動させることができる。但し、この場合、第1センサインタフェース部41による処理結果は正常なので、第1主演算部43の演算結果はOKとなる。つまり、バックアップの必要はない。なお、自ECUが第2ECU60、他ECUが第1ECU40である場合、第2主演算部63は、第2ECU間インタフェース部62を経由する信号の結果を用いるので、正しい回転速度信号NPを取得できない。よって、第2主演算部63は正常であっても、その演算結果はNGとなる。
状態13は、第2代替演算部64のみが故障し、他の機能は正常な状態である。この場合、第1センサインタフェース部41による処理結果及び第1ECU間インタフェース部42による処理結果は正常である。従って、第1主演算部43の処理結果も正常である。従って、この場合は正常動作に必要な機能はすべて正常に機能している。従って、この場合、正常動作時の機能だけで処理を行うので、バックアップ処理を行う必要はない。
状態14は、第1代替演算部44のみが故障し、他の機能は正常な状態である。この場合、上記状態13と同様に、正常動作に必要な機能はすべて正常に機能している。従って、この場合、バックアップ処理を行う必要はない。
状態15は、第1主演算部43のみが故障し、他の機能は正常な状態である。この場合、第1主演算部43の演算結果はNGとなる。しかし、第2代替演算部64又は第1代替演算部44を用いてバックアップ処理が可能である。
以上、第2代替演算部64がバックアップ可能な状態は、状態11、状態14及び状態15である。第2代替演算部64がバックアップできない状態12及び状態13においては、第1代替演算部44がバックアップすることができる。
次に、第2装置における二重故障モードについて表4を参照しながら説明する。
状態16は、第1センサインタフェース部41及び第1ECU間インタフェース部42が故障し、他の機能が正常な状態である。この場合、第1ECU主演算部43による処理結果は「NG」となる。第2代替演算部64による演算結果は正しいが、第1ECU間インタフェース部42が故障している。従って、第2代替演算部64は第1主演算部43をバックアップすることができない。第1代替演算部44は第1センサインタフェース部41が故障しているので、その演算結果はNGとなり、第1主演算部43をバックアップすることができない。
状態17は、第1センサインタフェース部41及び第2代替演算部64が故障し、他の機能が正常な状態である。この場合、第1主演算部43による処理結果は「NG」となる。第2代替演算部64が故障しているので、第2代替演算部64による演算結果は正しくない。つまり、第2代替演算部64は第1ECU40をバックアップすることができない。第1代替演算部44は第1センサインタフェース部41が故障しているので、その演算結果はNGとなり、第1主演算部43をバックアップすることができない。
説明は省略するが、第2代替演算部64(他ECU代替演算)は、状態18、状態19及び状態25において、第1主演算部43をバックアップ可能である。一方、第1代替演算部44(自ECU代替演算)は、状態20、状態22及び状態24において、第1主演算部43をバックアップ可能である。
状態21は、第1ECU間インタフェース部42及び第1代替演算部44が故障し、他の処理部が正常な状態である。この場合、第1ECU間インタフェース部42が故障しているので、第2代替演算部64の演算結果は第1ECU40に伝達されない。従って、第2代替演算部64は、その演算結果は正常であるが、第1主演算部43をバックアップすることができない。更に、第1代替演算部44は故障しているので、第1代替演算部44も第1主演算部43をバックアップすることができない。
状態23は、第2代替演算部64及び第1代替演算部44が故障しており、他の機能は正常に動作しているので、第1主演算部43の演算結果はOKである。従って、この場合、バックアップは不要である。
なお、自ECUが第2ECU60であり他ECUが第1ECU40である場合についての説明は省略するが、自ECUが第1ECU40であり他ECUが第2ECU60である場合と同様である。即ち、第1代替演算部44によるバックアップが可能な状態は、状態18、状態19及び状態25である。一方、第2代替演算部64によってバックアップが可能な状態は、状態20、状態22及び状態24である。
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、以下に述べるように、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
第1実施形態において、第1代替演算部44は、前輪の二輪について制動スリップ率SLbを算出し、前輪のみに対しABS制御を実行したが、任意の三輪について制動スリップ率SLbを算出し、これら三輪のみに対しABS制御を実行してもよいし、任意の一輪について制動スリップ率SLbを算出し、この一輪のみに対しABS制御を実行してもよい。
第1実施形態において、第1代替演算部44は、前輪の二輪について制動スリップ率SLbを算出し、前輪のみに対しABS制御を実行したが、例えば、前輪のうち左前輪の制動スリップ率SLbを算出し、左前輪の制動スリップ率SLbに基づいて、左前輪及び右前輪の両輪に対しABS制御を実行してもよい。同様に、第1代替演算部44は、例えば、後輪のうち左後輪の制動スリップ率SLbを算出し、左後輪の制動スリップ率SLbに基づいて、左後輪及び右後輪の両輪に対しABS制御を実行してもよい。つまり、第1代替演算部44は、ホイールシリンダ71のうち、少なくとも二つ以上のホイールシリンダ71の液圧を共通に制御してもよい。
第1故障判定部45は、第1主演算部43の演算結果と第2代替演算部64の演算結果とを比較することにより故障判定をしていたが、第1センサインタフェース部41、第1ECU間インタフェース部42、第1主演算部43及び第1代替演算部44のそれぞれが、自身が故障したとき出力する故障フラグを受信するように構成されてもよい。第2故障判定部65も同様に、第2センサインタフェース部61、第2ECU間インタフェース部62、第2主演算部63及び第2代替演算部64のそれぞれが、自身が故障したとき出力する故障フラグを受信するように構成されてもよい。
上記実施形態において、ストロークセンサ81及び圧力センサ82は、第1ECU40に接続され、車両状態量検出センサ83は、第1ECU40及び第2ECU60に接続されていたが、これらのセンサは、第1ECU40及び第2ECU60の何れかに接続され、且つ、少なくとも一つが前記第1ECU40に接続されるとともに少なくとも他の一つが第2ECU60に接続されていればよい。
第2実施形態において、第1実施形態と同様に第1制御経路92及び第2制御経路93が設けられてもよい。第1制御経路92及び第2制御経路93が設けられた場合、第2代替演算部64の演算結果を第2制御経路93を通して直接第1アクチュエータ10に送信することができるので、前述した「状態21」のような故障モードにおいてもバックアップ可能となる。
10…第1アクチュエータ(上流側アクチュエータ)、11…ブレーキペダル、20…マスタシリンダ、40…第1ECU(第1制御ユニット)、43…第1主演算部、44…第1代替演算部、45…第1故障判定部、50…第2アクチュエータ(下流側アクチュエータ)、60…第2ECU(第2制御ユニット)、63…第2主演算部、64…第2代替演算部、65…第2故障判定部、70…摩擦制動装置(ブレーキユニット)、71…ホイールシリンダ、81…ストロークセンサ、82…圧力センサ、83…車両状態量検出センサ。

Claims (1)

  1. 作動液の液圧である第1液圧を調整可能な第1アクチュエータと、
    前記第1アクチュエータから前記第1液圧が調整された前記作動液が供給され、車両の前後左右の車輪のそれぞれに設けられた摩擦制動装置のホイールシリンダに供給される作動液の液圧である第2液圧を前記ホイールシリンダ毎に調整可能な第2アクチュエータと、
    前記第1アクチュエータに指令信号を送信することにより前記第1アクチュエータを制御する第1制御ユニットと、
    前記第2アクチュエータに指令信号を送信することにより前記第2アクチュエータを制御する第2制御ユニットと、
    ブレーキペダルのストローク量を検出するストロークセンサと、
    前記ブレーキペダルの踏力に応じて変化する圧力を検出する圧力センサと、
    前記車両の走行状態を表す車両状態量を検出する車両状態量検出センサと、
    を備え、
    前記ストロークセンサ、前記圧力センサ及び前記車両状態量検出センサは、前記第1制御ユニット及び前記第2制御ユニットの何れかに接続され、且つ、少なくとも一つが前記第1制御ユニットに接続されるとともに少なくとも他の一つが前記第2制御ユニットに接続されており、
    前記第1制御ユニット及び前記第2制御ユニットは、前記センサから取得したセンサ検出情報を相互に送受信可能に構成され、
    前記第1制御ユニットは、前記圧力に基づいて決定される前記踏力の増加に対して前記第1液圧が非線形的に増加するように、前記ストローク量及び前記踏力に基づいて前記第1液圧の目標値を決定し、前記決定した目標値に基づいて前記第1アクチュエータに送信する前記指令信号を決定する第1主演算を実行する第1主演算部を備え、
    前記第2制御ユニットは、前記車両状態量に基づいて前記第2液圧が前記ホイールシリンダ毎に独立して調整されるように、前記第2アクチュエータに送信する前記指令信号を決定する第2主演算を実行する第2主演算部を備える、
    車両の制動制御装置において、
    前記第1制御ユニットは、前記第2アクチュエータに送信する前記指令信号を決定する第1バックアップ演算を実行するとともに当該指令信号を前記第2制御ユニットに送信するように構成された第1代替演算部を備え、
    前記第2制御ユニットは、前記第1アクチュエータに送信する前記指令信号を決定する第2バックアップ演算を実行するとともに当該指令信号を前記第1制御ユニットに送信するように構成された第2代替演算部を備え、
    前記第1制御ユニットは、前記第1主演算部が決定した前記指令信号と、前記第2代替演算部が決定した前記指令信号と、のうち正しい信号である可能性が高い指令信号を選択して前記第1アクチュエータに送信する第1故障判定部を備え、
    前記第2制御ユニットは、前記第2主演算部が決定した前記指令信号と、前記第1代替演算部が決定した前記指令信号と、のうち正しい信号である可能性が高い指令信号を選択して前記第2アクチュエータに送信する第2故障判定部を備え、
    前記第1代替演算部は、前記第1バックアップ演算として、前記ホイールシリンダのうち多くとも三つ以下の特定のホイールシリンダの液圧のみを個別に制御する態様及び前記ホイールシリンダのうち少なくとも二つ以上のホイールシリンダの液圧を共通に制御する態様の何れかの態様にて前記第2アクチュエータに送信する前記指令信号を決定するための演算を行うように構成され、
    前記第2代替演算部は、前記第2バックアップ演算として、前記圧力に基づいて決定される前記踏力の増加に対して前記第1液圧が線形的に増加するように、前記踏力に基づいて前記第1液圧の目標値を決定し、前記決定した目標値に基づいて前記第1アクチュエータに送信する前記指令信号を決定するための演算を行うように構成された、
    制動制御装置。
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