以下、複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第1実施形態)
図1に示すように、本開示の第1実施形態による虚像表示装置は、車両1に用いられ、当該車両1のインストルメントパネル2内に収容されているヘッドアップディスプレイ装置(以下、HUD装置)100となっている。HUD装置100は、車両1のウインドシールド3に設定された投影部3aへ向けて画像を投影する。これにより、HUD装置100は、画像を、視認者としての乗員により視認可能に虚像表示する。すなわち、投影部3aにて反射される画像の表示光が、車両1の室内に設定された視認領域EBに到達することにより、視認領域EBにアイポイントEPが位置する乗員が当該表示光を虚像VRIとして知覚する。そして、乗員は、虚像VRIとして表示される各種情報を認識することができる。画像として虚像表示される各種情報としては、例えば車速、燃料残量等の車両1の状態を示す情報、又は視界補助情報、道路情報等のナビゲーション情報等が挙げられる。
以下において、特に断り書きが無い限り、前方、後方、前後方向、上方、下方、上下方向、左方、右方、及び左右方向は、水平面HP上の車両1を基準として表記される。
車両1のウインドシールド3は、例えばガラスないしは合成樹脂により透光性の板状に形成され、インストルメントパネル2よりも上方に配置されている。ウインドシールド3は、表示光が投影される投影部3aを、滑らかな凹面状又は平面状に形成している。なお、投影部3aは、ウインドシールド3に設けられていなくてもよい。例えば車両1と別体となっているコンバイナを車両1内に設置して、当該コンバイナに投影部3aが設けられていてもよい。
視認領域EBは、HUD装置100により表示される虚像VRIが所定の規格を満たすように視認可能となる空間領域であって、アイボックスとも称される。視認領域EBは、典型的には、車両1に設定されたアイリプスと重なるように設定される。アイリプスは、乗員のアイポイントEPの空間分布を統計的に表したアイレンジに基づいて、楕円体状に設定されている。
このようなHUD装置100の具体的構成を、図2〜7も用いて、以下に説明する。HUD装置100は、図2,3に示すように、ハウジング10、画像学校部としての液晶表示器20、反射透過部材40及び往復反射部材50等により構成されている。本HUD装置100は、小型化が図られているため、車両1への搭載性が良好なものとなっている。
ハウジング10は、例えば合成樹脂ないしは金属により、例えば液晶表示器20、往復反射部材50等のHUD装置100の他の要素を収容する中空形状を有しており、車両1のインストルメントパネル2内に設置されている。ハウジング10は、投影部3aと対向する上面部に、光学的に開口する窓部11を有している。窓部11は、表示光を透過可能な防塵シート12で覆われている。
画像発光部は、虚像VRIとして結像される画像の表示光を、反射透過部材40へ向けて、発光する。本実施形態の画像発光部は、液晶表示器20となっている。液晶表示器20は、バックライト部21及び液晶パネル26を有し、例えば箱状のケーシング20aにこれらを収容して構成されている。図4に示すようにバックライト部21は、例えば、光源22、コンデンサレンズ23、及びフィールドレンズ24等により構成されている。
光源22は、例えば複数の発光素子22aを配列することにより構成されている。本実施形態における発光素子22aは、光源用回路基板22b上に配置され、電源と接続されている発光ダイオード素子である。各発光素子22aは、通電により電流量に応じた発光量で光を発光する。詳細には、各発光素子22aは、例えば青色発光ダイオードを黄色蛍光体で覆うことにより、疑似白色での発光が実現されている。
コンデンサレンズ23及びフィールドレンズ24は、光源22と液晶パネル26との間に配置されている。コンデンサレンズ23は、例えば合成樹脂ないしはガラス等により透光性を有して形成されている。特に本実施形態のコンデンサレンズ23は、複数の凸レンズ素子が発光素子22aの数及び配置に合わせて配列されたレンズアレイとなっている。コンデンサレンズ23は、光源22側から入射した光を集光してフィールドレンズ24側へ射出する。
フィールドレンズ24は、コンデンサレンズ23と液晶パネル26との間に配置され、例えば合成樹脂ないしはガラス等により透光性を有して形成されている。フィールドレンズ24は、コンデンサレンズ23側から入射した光をさらに集光して、液晶パネル26側へ向けて射出する。
なお、バックライト部21の構成としては、上述の構成以外にも、種々の構成を採用することができる。
本実施形態の液晶パネル26は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、TFT)を用いた液晶パネルであって、例えば2次元方向に配列された複数の液晶画素から形成されたアクティブマトリクス型の液晶パネルである。液晶パネル26は、一対の直線偏光板27a,27b及び一対の直線偏光板27a,27bに挟まれた液晶層等が積層されている。各直線偏光板27a,27bは、透過軸に沿った方向の偏光を透過させると共に、透過軸とは直交する吸収軸に沿った方向の偏光を遮光する性質を有している。一対の直線偏光板27a,27bは、透過軸を互いに実質直交して配置されている。液晶層は、液晶画素毎の電圧印加により、印加電圧に応じて液晶層に入射する光の偏光方向を回転させることが可能となっている。
液晶パネル26は、バックライト部21からの光の入射により、液晶画素毎の当該光の透過率を制御して、表示画面28から射出される表示光によって画像を形成することが可能となっている。ここで、表示光は、射出側の直線偏光板27bの透過軸に沿った直線偏光として、表示画面28から射出される。
より詳細に、隣り合う液晶画素には、互いに異なる色(例えば、赤色、緑色、及び青色)のカラーフィルタが設けられており、これらの組み合わせにより様々な色が実現されるようになっている。各色のカラーフィルタは、それぞれに固有の透過率の波長特性を有しており、透過率が最大となる透過率最大波長を、互いに異ならせて設定されている。
したがって、バックライト部21から液晶パネル26を透過して発せられた表示光は、表示される画像にも依存するものの、例えば図5に示されるような複数のピーク波長WP1,WP2,WP3を有するものとなっている。ここで表示光の複数のピーク波長WP1,WP2,WP3は、各カラーフィルタの透過率最大波長に対応しており、例えば青色のカラーフィルタに対応する約450nm、緑色のカラーフィルタに対応する約530nm、及び赤色のカラーフィルタに対応する約600nmにそれぞれ対応している。本実施形態の表示光は、3つのピーク波長WP1,WP2,WP3を有しつつも、可視光領域の大半において連続的なスペクトルを有するものとなっている。
こうして本実施形態の液晶表示器20は、前方から後方へ向けて表示光を発するようになっている。
反射透過部材40は、図2,6に示すように、例えば透光基板41の片側全面に光学多層膜43を形成した平板状を呈している。本実施形態の反射透過部材40は、液晶表示器20よりも後方において、その法線方向が前方かつ下方及び後方かつ上方を向くように、傾斜配置されている。透光基板41は、例えば合成樹脂ないしはガラス等により、透過率が高い透光性の平板状に形成されている。
光学多層膜43は、例えば、反射透過部材40の表面のうち、液晶表示器20とは反対側の表面(すなわち往復反射部材50側の表面)に、蒸着、スピンコートないしはフィルムを貼り付けること等により形成されている。光学多層膜43は、2種類以上の互いに屈折率の異なる光学材料からなる薄膜状の光学膜を、反射透過部材40の表面の法線方向に沿って積層して形成されている。光学膜としては、例えば、酸化チタン(TiO2)、酸化シリコン(SiO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タンタル(Ta2O5)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化カルシウム(CaF2)等を採用することが可能である。本実施形態の光学多層膜43は、酸化チタンからなる光学膜と、酸化シリコンからなる光学膜とを、交互に積層して形成されている。
各光学膜における各膜厚は、事前にコンピュータにより、光の干渉をシミュレートした最適化計算によって適宜設定される。したがって、反射透過部材40の反射率の波長特性及び透過率の波長特性は、当該光学多層膜43における光の干渉の結果に基づいて特徴づけられている。
具体的に図7に示すように、反射透過部材40は、虚像表示に実際に寄与する可視光領域において、光を反射させる波長領域としての反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3、及び光を透過させる波長領域としての透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3を、交互に有している。反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3及び透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3は、それぞれ表示光のピーク波長WP1,WP2,WP3と同数以上構成されている。例えば本実施形態では、短波長側から、第1の透過波長領域TWR1、第1の反射波長領域RWR1、第2の透過波長領域TWR2、第2の反射波長領域RWR2、第3の透過波長領域TWR3、及び第3の反射波長領域RWR3が交互に設定されている。
なお、詳細は図示しないが、第1の透過波長領域TWR1よりも短波長側に、別の反射波長領域等が設定されていてもよく、第3の反射波長領域RWR3よりも長波長側に、別の透過波長領域等が設定されていてもよい。
図2に示すように、反射透過部材40に、液晶表示器20からの表示光は、斜め入射する。ここで、液晶表示器20側からの反射透過部材40の光学多層膜43への入射を第1入射と定義し、第1入射における表示光の光学多層膜43への入射角を第1入射角θ1と定義する。光学多層膜43は、図7に示すように、第1入射角θ1で表示光が入射する条件下、各ピーク波長WP1,WP2,WP3が透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3に含まれるように構成されている。詳細に、青色のカラーフィルタに対応する約450nmのピーク波長WP1が第1の透過波長領域TWR1に含まれ、緑色のカラーフィルタに対応する約530nmのピーク波長WP2が第2の透過波長領域TWR2に含まれ、及び赤色のカラーフィルタに対応する約600nmのピーク波長WP3が第3の透過波長領域TWR3に含まれている。
各透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3では、反射率が50%以下、より好適には反射率が20%以下に設定されている結果、表示光全体に対しても、反射率が50%以下、より好適には20%以下となっている。換言すると、第1入射においては、表示光が50%以上、より好適には80%以上の透過率で反射透過部材40を透過するようになっている。なお、ここでいう反射率はエネルギー反射率であり、透過率はエネルギー透過率であるものとする。こうして反射透過部材40を透過した表示光の先には、往復反射部材50が配置されている。
往復反射部材50は、図2,3に示すように、例えば合成樹脂ないしはガラス等からなる基材の表面に、反射面51としてアルミニウム等の金属を蒸着させることにより金属膜を形成した反射鏡となっている。反射面51は、曲面状に形成されており、例えば往復反射部材50の中心が凹むように凹面状に湾曲している。すなわち、往復反射部材50は、正の光学パワーを有する正の光学素子となっている。本実施形態の反射面51は、反射透過部材40よりも後方において、前方を向くように配置されている。
往復反射部材50は、液晶表示器20側から反射透過部材40を経由した表示光を再び反射透過部材40へ向けて、高い反射率で反射する。こうして往復反射部材50は、反射透過部材40との間に表示光を往復させる往復光路OP1を構成している。往復光路OP1が構成されることにより、反射面51への入射角及び反射角が小さくなるように(例えば10〜15度の範囲)、反射透過部材40及び往復反射部材50を配置することが可能となる。こうした反射面51への入射角及び反射角の設定により、往復光路OP1の復路では、往復光路OP1の往路よりも表示光の向きが若干上方を向くように修正される。
こうして表示光は、再び反射透過部材40に斜め入射する。ここで、往復光路OP1の往復反射部材50側から反射透過部材40の光学多層膜43への入射を第2入射と定義し、第2入射における表示光の光学多層膜43への入射角を第2入射角θ2と定義する。そうすると、第2入射角θ2は、第1入射角θ1と異なり、特に本実施形態では第1入射角θ1よりも大きくなっている。第2入射角θ2と第1入射角θ1との差分は、反射面51への入射角の2倍程度となるので、例えば20〜30度の範囲に設定されている。
ここで、図7に示すように、光学多層膜43は、光の入射角に応じて反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3及び透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3がシフトする特性を有している。具体的に、光の入射角が大きくなる程、当該光が光学多層膜43中の各光学膜を通るときの光路長が長くなるので、反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3及び透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3が全体的に短波長側にシフトするのである。
本実施形態では、第2入射角θ2が第1入射角θ1よりも大きくなっているので、第2入射において反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3及び透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3が短波長側にシフトする。この結果、光学多層膜43は、第2入射角θ2で表示光が入射する条件下、各ピーク波長WP1,WP2,WP3がそれぞれ個別に対応する反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3に含まれるように構成されている。詳細に、青色のカラーフィルタに対応する約450nmのピーク波長WP1が第1の反射波長領域RWR1に含まれ、緑色のカラーフィルタに対応する約530nmのピーク波長WP2が第2の反射波長領域RWR2に含まれ、及び赤色のカラーフィルタに対応する約600nmのピーク波長WP3が第3の反射波長領域RWR3に含まれている。
各反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3では、反射率が50%以上、より好適には反射率が80%以上に設定されている結果、表示光全体に対しても、反射率が50%以上、より好適には80%以上となっている。換言すると、第2入射においては、表示光が50%以上、より好適には80%以上の反射率で反射透過部材40により反射されるようになっている。
このため、第1入射では表示光の大部分が反射透過部材40を透過することにより、往復光路OP1の往復反射部材50側へ導かれるのに対して、第2入射では表示光の大部分は反射透過部材40を透過せずに反射される。したがって、第2入射において表示光の大部分が再び液晶表示器20側に戻ることなく、第1入射角θ1よりも大きな第2入射角θ2によって大きく進行方向を変えて投影部3a側へ導かれる。
反射透過部材40に反射された表示光は、その後、上方の窓部11を透過してハウジング10の外部へ射出され、投影部3aに投影される。こうして、乗員が虚像VRIを視認可能となる。
虚像VRIは、往復反射部材50の反射面51を凹面状に湾曲させたことにより、液晶パネル26の表示画面28よりも拡大して表示される。虚像VRIの拡大において、拡大作用を及ぼした反射面51が、往復光路OP1の折り返し地点に設定されているので、上述のように反射の際の入射角を10〜20度の範囲に小さく設定することが可能となっている。したがって、拡大作用と共に生じ得る上下非対称な(又は左右非対称な)虚像VRIの歪みを抑制することができる。
また、図2,6に示すように、表示光が液晶表示器20から反射透過部材40に入射する第1入射において、当該表示光が反射透過部材40に入射する反射透過部材40上の領域を第1入射領域IR1と定義する。さらに往復光路OP1の往路終了時に表示光が反射透過部材40に入射する第2入射において、当該表示光が反射透過部材40に入射する反射透過部材40上の領域を第2入射領域IR2と定義する。基本的に、表示光が進行するにつれて光束が拡がっていくので、第2入射領域IR2の面積が第1入射領域IR1よりも広くなる。本実施形態では、第1入射領域IR1と第2入射領域IR2が一部重複するように設定されている。このような一部重複により、反射透過部材40のサイズを小型化しつつ、第1入射角θ1と第2入射角θ2を異ならせる光学系を構成することが可能となる。
さらには、反射透過部材40が平板状に形成されているので、反射透過部材40への入射角が、表示光の光束の中央と外側とで大きく異なってしまう事態を抑制することができる。したがって、第1入射領域IR1の全域でむらの少ない表示光の透過を実現できると共に、第2入射領域IR2の全域でむらの少ない表示光の反射を実現できる。故に、輝度むらが少ない虚像VRIを表示させることができる。
(作用効果)
以上説明した第1実施形態の作用効果を以下に改めて説明する。
第1実施形態によると、反射透過部材40へ表示光の第1入射角θ1と、第2入射角θ2とが互いに異なっている。こうした入射角θ1,θ2の差異により、反射透過部材40に設けられた光学多層膜43により実現された反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3及び透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3は、シフトすることとなる。このようなシフト作用を利用して、第1入射にて表示光が往復光路OP1の往復反射部材50側へ導かれると共に、第2入射にて表示光が投影部3a側へ導かれる。
詳細に、表示光が第1入射角θ1で入射する条件下、当該表示光の波長が反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3及び透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3のうち一方に該当していれば、表示光が第2入射角θ2で入射する条件下で当該表示光の波長が反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3及び透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3のうち他方に該当するように、入射角θ1,θ2を互いに異ならせることで、光学多層膜43が表示光に及ぼす透過作用及び反射作用を切り替える。こうして、表示光が反射透過部材40に入射する際に、それぞれ高い割合で所望の方向へ導くことができるようになる。故に、表示光の減衰を抑制しつつ光路長を稼ぐための往復光路OP1を構成することが可能となるので、見易い距離を確保しつつ高輝度の虚像VRIを表示することができる。以上により、虚像VRIの視認性が良好なHUD装置100を提供することができる。
また、第1実施形態によると、第1入射にて複数のピーク波長WP1,WP2,WP3がそれぞれ個別に対応する透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3に含まれるように第1入射角θ1が設定されて表示光が反射透過部材40を透過すると共に、第2入射にて複数のピーク波長WP1,WP2,WP3がそれぞれ個別に対応する反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3に含まれるように第2入射角θ2が設定されて表示光が反射透過部材40に反射される。したがって、表示光を構成する主要な各波長成分が、確実に往復光路OP1で光路長を稼ぎつつ、投影部3aへ投影されるので、見易い距離を確保しつつ高輝度の虚像VRIを表示することができる。以上により、虚像VRIの視認性が良好なHUD装置100を提供することができる。
また、第1実施形態によると、第1入射における表示光の反射率が50%以下であり、かつ、第2入射における表示光の反射率が50%以上である。こうした反射率の設定により、単純なハーフミラーを用いて往復光路OP1を構成した場合に比べて、確実にエネルギー効率が高まる。
また、第1実施形態によると、画像発光部は、光を供給するバックライト部21と、バックライト部21からの光を透過して、光学多層膜43の反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3及び透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3に合わせたスペクトル分布にて表示光を発する液晶パネル26と、を有する液晶表示器20である。こうした液晶表示器20の採用により、光学多層膜43に好適なスペクトルの表示光を、当該反射透過部材40に入射させることが可能となるので、反射透過部材40での表示光の減衰をさらに抑制することができる。
また、第1実施形態によると、光学多層膜43は、透光基板41において、第2入射で表示光が入射する側の表面に、形成されている。第2入射にて、当該表示光が透光基板41を往復することを抑制しつつ光学多層膜43にて反射されるので、透光基板41での反射による二重像の発生を抑制することができる。故に、虚像VRIの視認性をさらに良好なものとすることができる。
(第2実施形態)
図8,9に示すように、第2実施形態は第1実施形態の変形例である。第2実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第2実施形態の画像発光部は、第1実施形態と同様に、虚像VRIとして結像される画像の表示光を、発光する。ただし、第2実施形態の画像発光部は、レーザ表示器220となっている。レーザ表示器220は、詳細を図9に示すように、複数のレーザ発振器221a,221b,221c、複数のコリメートレンズ222a,222b,222c、折り返しミラー223a、複数のダイクロイックミラー223b,223c、走査部224、及びスクリーン部材225を有している。本実施形態では、レーザ発振器221a,221b,221c、コリメートレンズ222a,222b,222cは3つずつ設けられている。
3つのレーザ発振器221a,221b,221cは、ピーク波長が互いに異なるレーザ光束を発振する。具体的に、レーザ発振器221aは、例えばピーク波長が490〜530nmの範囲、好ましくは515nmである緑色のレーザ光束を発振するようになっている。レーザ発振器221bは、例えばピーク波長が430〜470nmの範囲、好ましくは450nmである青色のレーザ光束を発振するようになっている。レーザ発振器221cは、例えばピーク波長が600〜650nmの範囲、好ましくは640nmである赤色のレーザ光束を発振するようになっている。各レーザ発振器221a,221b,221cから発振された各レーザ光束は、それぞれ対応するコリメートレンズ222a,222b,222cに入射する。
3つのコリメートレンズ222a,222b,222cは、それぞれ対応するレーザ発振器221a,221b,221cに対して、各レーザ光束の進行方向に所定の間隔をあけて配置されている。各コリメートレンズ222a,222b,222cは、対応する色のレーザ光束を屈折させることにより、当該レーザ光束を略平行化する。
折り返しミラー223aは、コリメートレンズ222aに対して、レーザ光束の進行方向に所定の間隔をあけて配置され、コリメートレンズ222aを透過した緑色のレーザ光束を反射する。
2つのダイクロイックミラー223b,223cは、それぞれ対応するコリメートレンズ222b,222cに対して、各レーザ光束の進行方向に所定の間隔をあけて配置されている。各ダイクロイックミラー223b,223cは、対応するコリメートレンズ222b,222cを透過した各レーザ光束のうち、特定波長のレーザ光束を反射し、その他のレーザ光束を透過させる。具体的には、コリメートレンズ222bに対応するダイクロイックミラー223bは、青色のレーザ光束を反射し、緑色のレーザ光束を透過させる。コリメートレンズ222cに対応するダイクロイックミラー223cは、赤色のレーザ光束を反射し、緑色及び青色のレーザ光束を透過させる。
ここで、折り返しミラー223aによる反射後の緑色のレーザ光束の進行方向には、ダイクロイックミラー223bが所定の間隔をあけて配置されている。ダイクロイックミラー223bによる反射後の青色のレーザ光束の進行方向には、ダイクロイックミラー223cが所定の間隔をあけて配置されている。これら配置形態により、折り返しミラー223aによる反射後の緑色のレーザ光束が、ダイクロイックミラー223bを透過し、ダイクロイックミラー223bによる反射後の青色のレーザ光束と重ね合される。また、緑色のレーザ光束と青色のレーザ光束とが、ダイクロイックミラー223cを透過し、ダイクロイックミラー223cによる反射後の赤色のレーザ光束と重ね合される。
また各レーザ発振器221a,221b,221cは、コントローラ229と電気的に接続されている。各レーザ発振器221a,221b,221cは、コントローラ229からの電気信号に従って、レーザ光束を発振する。そして、各レーザ発振器221a,221b,221cから発振される3色のレーザ光束を加色混合することで、様々な色が実現されるようになっている。こうして互いにピーク波長が異なるレーザ光束が重ね合された状態で、当該レーザ光束が走査部224へ入射する。
走査部224は、走査ミラー224aを有している。走査ミラー224aは、微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical Systems:MEMS)を用い、レーザ光束を時間的に走査可能に構成されたMEMSミラーである。走査ミラー224aにおいて、ダイクロイックミラー223cと所定の間隔をあけて対向する面には、アルミニウム等の金属蒸着等により金属膜が形成されることで、反射面224bが設けられている。反射面224bは、当該反射面224bに沿って実質直交する2つの回転軸Ax,Ay周りに回動可能となっている。
このような走査ミラー224aは、コントローラ229と電気的に接続されており、その走査信号に従って回動することで、反射面224bの向きを変えることができる。こうして走査部224は、走査ミラー224aがコントローラ229により制御されることで、レーザ発振器221a,221b,221cと連動して、例えばレーザ光束の反射面224bへの入射箇所である偏向点を起点として、時間的にレーザ光束の投射方向を偏向することが可能となっている。偏向点での偏向によって走査部224により走査されたレーザ光束は、スクリーン部材225に入射するようになっている。
スクリーン部材225は、例えば合成樹脂ないしはガラス等からなる基材の表面に、アルミニウムを蒸着させることと等により、ミラーアレイ状に形成された反射型のスクリーンとなっている。詳細を図示しないが、スクリーン部材225は、走査ミラー224a及び反射透過部材240側の表面において、複数の光学曲面を格子状に配列している。
スクリーン部材225の走査領域SAには、走査部224に走査されたレーザ光束の入射により、画像が描画される。具体的に、走査部224は、コントローラ229による制御により、複数の走査線SLに沿って順次走査される。その結果、走査領域SAにおいてレーザ光束が入射する位置が移動されつつ、レーザ光束が断続的にパルス照射されることで、画像が描画されることとなる。走査領域SAへの投射により描画される画像は、例えば走査線SLにそったxs方向に480画素かつ走査線SLと実質垂直なys方向に240画素を有する画像として、毎秒60フレーム描画される。
ここで、各投射方向に対応するレーザ光束は、各光学曲面での反射により、拡がり角を拡大させつつ、スクリーン部材225から射出される。具体的に、凸状又は凹状に湾曲して形成された光学曲面により、各レーザ光束のスポット径が拡大される。こうして、レーザ表示器220は、図8に示すように、各レーザ光束のピーク波長に対応した複数のピーク波長WP1,WP2,WP3を有する表示光を反射透過部材240へ向けて発光する。
光学多層膜243は、第1実施形態と同様に、可視光領域において、反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3及び透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3を有している。光学多層膜243は、第1実施形態と同様に、光の入射角に応じて反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3及び透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3がシフトする特性を有している。
光学多層膜243は、第1入射角θ1で表示光が入射する条件下、各ピーク波長WP1,WP2,WP3が各透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3に含まれるように構成されている。詳細に、青色のレーザ光束に対応する約450nmのピーク波長WP1が第1の透過波長領域TWR1に含まれ、緑色のレーザ光束に対応する約515nmのピーク波長WP2が第2の透過波長領域TWR2に含まれ、及び赤色のレーザ光束に対応する約640nmのピーク波長WP3が第3の透過波長領域TWR3に含まれている。特に本実施形態では、表示光の各ピーク波長WP1,WP2,WP3によるスペクトル半値幅が、対応する透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3に完全に包含されている。
光学多層膜243は、第2入射角θ2で表示光が入射する条件下、各ピーク波長WP1,WP2,WP3が各反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3に含まれるように構成されている。詳細に、青色のレーザ光束に対応する約450nmのピーク波長WP1が第1の反射波長領域RWR1に含まれ、緑色のレーザ光束に対応する約515nmのピーク波長WP2が第2の反射波長領域RWR2に含まれ、及び赤色のレーザ光束に対応する約640nmのピーク波長WP3が第3の反射波長領域RWR3に含まれている。特に本実施形態では、表示光の各ピーク波長WP1,WP2,WP3によるスペクトル半値幅が、対応する反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3に完全に包含されている。
このため、第1入射では表示光の大部分が反射透過部材240を透過することにより、往復光路OP1の往復反射部材50側へ導かれるのに対して、第2入射では表示光の大部分は反射透過部材240を透過せずに反射される。したがって、第2入射において表示光の大部分が再びレーザ表示器220側に戻ることなく、第1入射角θ1よりも大きな第2入射角θ2によって大きく進行方向を変えて投影部3a側へ導かれる。
以上説明した第2実施形態によると、画像発光部は、表示光としてレーザ光を発する。レーザ光はスペクトル半値幅が小さいので、反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3及び透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3をシフトさせたときに、当該レーザ光を所望の反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3又は透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3に包含させることが容易となるので、反射透過部材240での表示光の減衰を最小限に抑制することができる。
また見方を変えれば、第1入射角θ1と第2入射角θ2との差を小さくしても、表示光に対する反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3及び透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3の切り替えを容易に実現可能となる。故に、反射透過部材240の第1入射領域IR1と第2入射領域IR2とをより重複させることが可能となり、反射透過部材240の体格増加、延いてはHUD装置100の体格増加を抑制することができる。
(第3実施形態)
図10〜12に示すように、第3実施形態は第1実施形態の変形例である。第3実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
図10,11に示すように、第3実施形態において画像発光部に相当している液晶表示器320は、第1実施形態と同様の内部構成であるが、前方かつ上方の斜め方向に表示光を発光するようになっている。
第3実施形態の反射透過部材340は、ハウジング10の内部に収容され、液晶表示器320よりも上方において、その法線方向が上方かつ僅かに前方及び下方かつ僅かに後方を向くように、傾斜配置されている。反射透過部材340は、第1実施形態と同様に、透光基板341の片側全面に光学多層膜343を形成した平板状を呈している。より詳細に、光学多層膜343は、例えば、反射透過部材340の表面のうち、液晶表示器320及び往復反射部材350側の表面に、蒸着、スピンコートないしはフィルムを貼り付けること等により形成されている。
ここで第3実施形態の光学多層膜343は、図12に示すように、短波長側から、第1の反射波長領域RWR1、第1の透過波長領域TWR1、第2の反射波長領域RWR2、第2の透過波長領域TWR2、第3の反射波長領域RWR3、及び第3の透過波長領域TWR3が交互に設定されている。なお、詳細は図示しないが、第1の反射波長領域RWR1よりも短波長側に、別の透過波長領域等が設定されていてもよく、第3の透過波長領域TWR3よりも長波長側に、別の反射波長領域等が設定されていてもよい。
そして、光学多層膜343は、第1入射角θ1で表示光が入射する条件下、各ピーク波長WP1,WP2,WP3が反射波長領域RWR1に含まれるように構成されている。詳細に、青色のカラーフィルタに対応する約450nmのピーク波長WP1が第1の反射波長領域RWR1に含まれ、緑色のカラーフィルタに対応する約530nmのピーク波長WP2が第2の反射波長領域RWR2に含まれ、及び赤色のカラーフィルタに対応する約600nmのピーク波長WP3が第3の反射波長領域RWR3に含まれている。
各反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3では、反射率が50%以上、より好適には反射率が80%以上に設定されている結果、表示光全体に対しても、反射率が50%以上、より好適には80%以上となっている。換言すると、第1入射においては、表示光が50%以上、より好適には80%以上の反射率で反射透過部材340により反射されるようになっている。こうして反射透過部材340により反射された表示光の先には、往復反射部材350が配置されている。
第3実施形態の往復反射部材350の反射面351は、反射透過部材340よりも下方かつ液晶表示器20よりも前方において、上方かつ僅かに後方を向くように配置されている。こうして往復反射部材350は、第1実施形態と同様、反射透過部材340との間に表示光を往復させる往復光路OP1を構成している。
第3実施形態においても、第2入射角θ2が第1入射角θ1よりも大きくなっているので、第2入射において反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3及び透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3が短波長側にシフトする。この結果、光学多層膜343は、第2入射角θ2で表示光が入射する条件下、各ピーク波長WP1,WP2,WP3が透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3に含まれるように構成されている。詳細に、青色のカラーフィルタに対応する約450nmのピーク波長WP1が第1の透過波長領域TWR1に含まれ、緑色のカラーフィルタに対応する約530nmのピーク波長WP2が第2の透過波長領域TWR2に含まれ、及び赤色のカラーフィルタに対応する約600nmのピーク波長WP3が第3の透過波長領域TWR3に含まれている。
各透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3では、反射率が50%以下、より好適には反射率が20%以下に設定されている結果、表示光全体に対しても、反射率が50%以下、より好適には20%以下となっている。換言すると、第2入射においては、表示光が50%以上、より好適には80%以上の透過率で反射透過部材340を透過するようになっている。
このため、第1入射では表示光の大部分が反射透過部材340により反射されることにより、往復光路OP1の往復反射部材350側へ導かれるのに対して、第2入射では表示光の大部分は反射透過部材340に反射されずに透過する。したがって、第2入射において表示光の大部分が再び液晶表示器320側に戻ることなく、第1入射角θ1よりも大きな第2入射角θ2によって投影部3a側へ導かれる。
以上説明した第3実施形態によると、第1入射にて複数のピーク波長WP1,WP2,WP3がそれぞれ個別に対応する反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3に含まれるように第1入射角θ1が設定されて表示光が反射透過部材340に反射されると共に、第2入射にて複数のピーク波長WP1,WP2,WP3がそれぞれ個別に対応する透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3に含まれるように第2入射角θ2が設定されて表示光が反射透過部材340を透過する。したがって、表示光を構成する主要な各波長成分が、確実に往復光路OP1で光路長を稼ぎつつ、投影部3aへ投影されるので、見易い距離を確保しつつ高輝度の虚像VRIを表示することができる。以上により、虚像VRIの視認性が良好なHUD装置100を提供することができる。
また、第3実施形態によると、第1入射における表示光の反射率が50%以上であり、かつ、第2入射における表示光の反射率が50%以下である。こうした反射率の設定により、単純なハーフミラーを用いて往復光路OP1を構成した場合に比べて、確実にエネルギー効率が高まる。
また、第3実施形態によると、光学多層膜343は、透光基板341において、第1入射で表示光が入射する側の表面部に、形成されている。第1入射にて、当該表示光が透光基板341を往復することを抑制しつつ光学多層膜343にて反射されるので、透光基板341での反射による二重像の発生を抑制することができる。故に、虚像VRIの視認性をさらに良好なものとすることができる。
(第4実施形態)
図13に示すように、第4実施形態は第3実施形態の変形例である。第4実施形態について、第3実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第4実施形態の反射透過部材440は、ハウジング10の窓部11の全体を塞ぐように配置されている。すなわち、反射透過部材440は、異物(例えば塵、埃、水)がハウジング10の外部からハウジング10の内部へと侵入することを防止する防塵シートと兼用されている。
また、こうした反射透過部材440の配置により、例えばウインドシールド3を透過して窓部11に入射する太陽光等の外光の一部を、当該反射透過部材440が反射することで、ハウジング10の内部への外光の侵入も抑制される。
以上説明した第4実施形態によると、反射透過部材440は、窓部11を塞ぐことにより、防塵シートと兼用されている。往復光路OP1が構成された光学系を実現する部品と、防塵シートを実現する部品とが共通化されているので、部品点数を抑制することで、HUD装置100の体格増加を抑制しつつ、虚像VRIの高い視認性を実現することができる。
(第5実施形態)
図14に示すように、第5実施形態は第1実施形態の変形例である。第5実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第5実施形態のHUD装置100は、光遮断部570をさらに有している。光遮断部570は、例えば黒色等の暗色に着色されたポリウレタンにより光吸収性を有して形成され、光遮断フード部571及び光遮断積層部573を一体的に有している。
光遮断フード部571は、液晶表示器20と反射透過部材40との間において、表示光の進行方向に沿って、かつ表示光の光束を遮らないように、壁状に形成されている。光遮断フード部571は、外光等の迷光を吸収等により遮断することで、迷光が多重反射により虚像VRIに映り込んでしまうこと等を抑制している。
光遮断積層部573は、反射透過部材40のうち第1入射領域IR1を除く領域において、反射透過部材40の液晶表示器20側の面と貼り合わせられて又は密着して配置されていることで、反射透過部材40と積層された状態で配置されている。光遮断積層部573は、外光のうち反射透過部材40を吸収等により遮断することで、液晶表示器20の液晶パネル26等の劣化又は損傷を抑制する。
さらには、往復反射部材50にて反射され、再び反射透過部材40に入射した表示光の一部が光学多層膜43を透過してしまったとしても、この透過光を光遮断積層部573が吸収する。これにより、係る透過光が反射透過部材40の液晶表示器20側の面にて投影部3a側に反射されて虚像VRIに二重像が発生してしまう事態も抑制可能である。
以上説明した第5実施形態によると、反射透過部材40の液晶表示器20側のうち第1入射領域IR1を除く領域に対応して配置され、反射透過部材40と積層状態の光遮断積層部573は、反射透過部材40を往復反射部材50側から液晶表示器20側へ透過しようとする光を遮断する。こうした光の遮断により、液晶表示器20の劣化又は損傷が抑制されるので、長きに亘って虚像VRIの高い視認性を維持することができる。
(第6実施形態)
図15に示すように、第6実施形態は第1実施形態の変形例である。第6実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第6実施形態のハウジング610は、その内部において、往復反射部材保持壁613、反射透過部材保持壁614、及び表示穴615を有している。
往復反射部材保持壁613は、往復反射部材50において反射面51とは反対側と当接するように壁状に形成されている。往復反射部材保持壁613は、貼り合わせ、嵌合、又は締結等により、往復反射部材50を保持している。
反射透過部材保持壁614は、反射透過部材40において往復反射部材50とは反対側(すなわち液晶表示器20側)のうち一部分に当接するように壁状に形成されている。反射透過部材保持壁614は、貼り合わせ、嵌合、又は締結等により、反射透過部材40を保持している。
詳細に、反射透過部材保持壁614は、反射透過部材40の液晶表示器620側の面のうち第1入射領域IR1を除く領域に、表面614aを密着させている。反射透過部材保持壁614の表面614aは、例えば光の反射を抑制可能な暗色(例えば黒色)に形成されている。この結果、反射透過部材保持壁614は、第5実施形態の光遮断積層部573と同様に、外光のうち反射透過部材40を透過する光の遮断作用、及び二重像の抑制作用を発揮する。
表示穴615は、反射透過部材40の第1入射領域IR1に対応した部分において、反射透過部材保持壁614に開口する穴状に形成されている。本実施形態の表示穴615は、ハウジング610を貫通する貫通穴状に形成されているが、有底穴状に形成されていてもよい。表示穴615は、反射透過部材40から離間する程、漸次狭くなる四角錐台状の穴となっている。
第6実施形態において画像発光部に相当する液晶表示器620は、表示穴615において反射透過部材40から離間した位置に配置されている。液晶表示器620は、液晶パネル26を反射透過部材40と対向させると共に、バックライト部21の一部分をハウジング10の外部に配置させている。このため、液晶表示器620は、表示穴615の側壁615aに第5実施形態の光遮断フード部571のように迷光遮断作用を生じさせつつ、バックライト部21にて発生した熱を、ハウジング610外に容易に放熱可能となっている。
以上説明した第6実施形態によると、反射透過部材40を保持すると共に、反射透過部材40の液晶表示器620側に表面614aを密着させている反射透過部材保持壁614は、反射透過部材40を往復反射部材50側から液晶表示器620側へ透過しようとする光を遮断する。光の遮断により、液晶表示器620の劣化又は損傷が抑制されるので、長きに亘って虚像VRIの高い視認性を維持することができる。そして、反射透過部材40の保持構造と光の遮断構造とを共通化することにより、部品点数を抑制することで、HUD装置100の体格増加を抑制しつつ、虚像VRIの高い視認性を実現することができる。
(第7実施形態)
図16に示すように、第7実施形態は第1実施形態の変形例である。第7実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第7実施形態において、画像発光部としての液晶表示器720から反射透過部材40へ至る表示光の光路上には、凸面鏡775が設けられている。凸面鏡775は、反射面776としてアルミニウム等の金属を蒸着させること等により、金属膜を形成している。反射面776は、曲面状に形成されており、例えば凸面鏡775の中心が突出するように凸状に湾曲している。すなわち、凸面鏡775は、負の光学パワーを有する負の光学素子となっている。本実施形態の反射面776は、反射透過部材40に隣接した位置において、後方かつ下方の斜め方向を向くように配置されている。
第7実施形態において液晶表示器720は、凸面鏡775へ向けて、前方かつ上方へ表示光を発する。液晶表示器720が発した表示光が反射面776に反射されることで、当該表示光が反射透過部材40へ入射するようになっている。本実施形態では、ここでの反射透過部材40への入射が、第1入射に相当する。
以上説明した第7実施形態によると、液晶表示器720から反射透過部材40へ至る光路上において、負の光学パワーを有する凸面鏡775が設けられている。こうした凸面鏡775により、虚像VRIとして結像される表示光について、液晶表示器720側のテレセントリック性を高めることができる。すなわち、液晶表示器720の視野角を狭く構成して画像の品質を高めつつ、視認領域EBのサイズを確保することができる。したがって、虚像VRIの高い視認性を実現することができる。
(第8実施形態)
図17,18に示すように、第8実施形態は第2実施形態の変形例である。第8実施形態について、第2実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第8実施形態の画像発光部は、第2実施形態と同様、レーザ光を発するレーザ表示器820である。ただし、レーザ表示器820は、図17に示すように、1つのレーザ発振器821、1つのコリメートレンズ822、走査部824、及びスクリーン部材825を有している。
レーザ発振器821は、例えばピーク波長が600〜650nmの範囲、好ましくは640nmである赤色のレーザ光束を発振するようになっている。レーザ発振器821から発振された各レーザ光束は、コリメートレンズ822に入射する。コリメートレンズ822は、レーザ光束を屈折させることにより、当該レーザ光束を略平行化する。こうしてコリメートレンズ822を透過したレーザ光束が走査部824へ入射し、第2実施形態と同様に、スクリーン部材825の走査領域SAに描画される。こうして、レーザ表示器820は、赤色のレーザ光束のピーク波長に対応した1つのピーク波長WPを有する表示光を反射透過部材840へ向けて発光する。
光学多層膜843は、図18に示すように、可視光領域において、反射波長領域RWR1及び透過波長領域TWR1,TWR2を有している。例えば本実施形態では、短波長側から、第1の透過波長領域TWR1、第1の反射波長領域RWR1、及び第2の透過波長領域TWR1,TWR2が設定されている。光学多層膜843は、第2実施形態と同様に、光の入射角に応じて反射波長領域RWR1及び透過波長領域TWR1,TWR2がシフトする特性を有している。
光学多層膜843は、第1入射角θ1で表示光が入射する条件下、ピーク波長WPが第1の透過波長領域TWR1に含まれるように構成されている。特に本実施形態では、表示光のピーク波長WPによるスペクトル半値幅が、第1の透過波長領域TWR1に完全に包含されている。
光学多層膜843は、第2入射角θ2で表示光が入射する条件下、ピーク波長WPが第1の反射波長領域RWR1に含まれるように構成されている。特に本実施形態では、表示光のピーク波長WPによるスペクトル半値幅が、第1の反射波長領域RWR1に完全に包含されている。
このため、第1入射では表示光の大部分が反射透過部材840を透過することにより、往復光路OP1の往復反射部材50側へ導かれるのに対して、第2入射では表示光の大部分は反射透過部材840を透過せずに反射される。したがって、第2入射において表示光の大部分が再びレーザ表示器820側に戻ることなく、第1入射角θ1よりも大きな第2入射角θ2によって大きく進行方向を変えて投影部3a側へ導かれる。
以上説明した第8実施形態によると、第1入射にて1つのピーク波長WPが透過波長領域TWR1に含まれるように第1入射角θ1が設定されて表示光が反射透過部材840を透過すると共に、第2入射にて1つのピーク波長WPが反射波長領域RWR1に含まれるように第2入射角θ2が設定されて表示光が反射透過部材840に反射される。したがって、表示光を構成するピーク波長WPの成分が、確実に往復光路OP1で光路長を稼ぎつつ、投影部3aへ投影されるので、見易い距離を確保しつつ高輝度の虚像VRIを表示することができる。また、1つのピーク波長WPを考慮して光学多層膜843を設計すればよいので、当該光学多層膜843を簡易な構成とすることができる。以上により、虚像VRIの視認性が良好なHUD装置100を容易に提供することができる。
(第9実施形態)
図19,20に示すように、第9実施形態は第8実施形態の変形例である。第9実施形態について、第8実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第9実施形態は、図19に示すように、第8実施形態のレーザ表示器820と、第3実施形態の反射透過部材340及び往復反射部材350の配置形態とを、組み合わせたものである。ただし、本実施形態の反射透過部材940の光学多層膜943の構成は、第3,8実施形態の構成とは異なる。
光学多層膜943は、図20に示すように、反射波長領域RWR1及び透過波長領域TWR1,TWR2を有している。例えば本実施形態では、短波長側から、第1の透過波長領域TWR1、第1の反射波長領域RWR1、及び第2の透過波長領域TWR2が設定されている。光学多層膜943は、第8実施形態と同様に、光の入射角に応じて反射波長領域RWR1及び透過波長領域TWR1,TWR2がシフトする特性を有している。
光学多層膜943は、第1入射角θ1で表示光が入射する条件下、ピーク波長WPが第1の反射波長領域RWR1に含まれるように構成されている。特に本実施形態では、表示光のピーク波長WPによるスペクトル半値幅が、第1の反射波長領域RWR1に完全に包含されている。
光学多層膜943は、第2入射角θ2で表示光が入射する条件下、ピーク波長WPが第2の透過波長領域TWR2に含まれるように構成されている。特に本実施形態では、表示光のピーク波長WPによるスペクトル半値幅が、第2の透過波長領域TWR2に完全に包含されている。
このため、第1入射では表示光の大部分が反射透過部材340により反射されることにより、往復光路OP1の往復反射部材350側へ導かれるのに対して、第2入射では表示光の大部分は反射透過部材340に反射されずに透過する。したがって、第2入射において表示光の大部分が再びレーザ表示器820側に戻ることなく、第1入射角θ1よりも大きな第2入射角θ2によって投影部3a側へ導かれる。
以上説明した第9実施形態によると、第1入射にて1つのピーク波長WPが反射波長領域RWR1に含まれるように第1入射角θ1が設定されて表示光が反射透過部材340に反射されると共に、第2入射にて1つのピーク波長WPが透過波長領域TWR2に含まれるように第2入射角θ2が設定されて表示光が反射透過部材340を透過する。したがって、表示光を構成する主要なピーク波長WPの成分が、確実に往復光路OP1で光路長を稼ぎつつ、投影部3aへ投影されるので、見易い距離を確保しつつ高輝度の虚像VRIを表示することができる。また、1つのピーク波長WPを考慮して光学多層膜943を設計すればよいので、当該光学多層膜943を簡易な構成とすることができる。以上により、虚像VRIの視認性が良好なHUD装置100を容易に提供することができる。
(他の実施形態)
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
変形例1としては、特に第1,2,5〜8実施形態に関して、画像発光部、反射透過部材40、及び往復反射部材50等は、異なる配置となっていてもよい。具体的に第1実施形態の配置を変更した図21,22の例では、画像発光部としての液晶表示器20は、前方から後方へ向けて表示光を発する。反射透過部材40は、液晶表示器20よりも前方において、その法線方向が後方かつ下方及び前方かつ上方を向くように、傾斜配置されている。往復反射部材50の反射面51は、反射透過部材40よりも前方において、後方を向くように配置されている。
変形例2としては、特に第3,4,9実施形態に関して、画像発光部、反射透過部材40、及び往復反射部材50等は、異なる配置となっていてもよい。具体的に第3実施形態の配置を変更した図23,24の例では、画像発光部としての液晶表示器320は、前方から後方へ向けて表示光を発する。反射透過部材340は、液晶表示器320よりも後方において、その法線方向が前方かつ下方及び後方かつ上方を向くように、傾斜配置されている。往復反射部材350の反射面351は、反射透過部材340よりも下方において、上方かつ僅かに後方となる方向を向くように配置されている。この例では、第2入射角θ2が第1入射角θ1よりも小さく設定されているので、第2入射において反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3及び透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3は、第1入射よりも長波長側にシフトする。
変形例3としては、反射透過部材40において光学多層膜43は、透光基板41に対していずれの側に設けられてもよい。
変形例4としては、反射透過部材40において光学多層膜43は、反射透過部材40の全面ではなく一部の領域にのみ形成されていてもよい。図25,26に示すように、第1入射領域IR1にのみ光学多層膜43が配置されていてもよく、反射透過部材40のうち第1入射領域IR1を除く領域は、反射面51としてアルミニウム等の金属を蒸着させることにより金属膜が形成されていてもよい。また図26のように、表示光のうち一部が反射透過部材40を経由し、他部は反射透過部材40の側方をそのまま透過して往復光路OP1に至る構成であってもよい。
変形例5としては、反射透過部材40の光学多層膜43が設けられていない側の面及び防塵シート12の各面等、表示光が透過する面には、当該光学多層膜43とは別の、光の反射を防止するための光学多層膜が設けられていてもよい。
変形例6としては、図27,28に示すように、反射透過部材40は、曲板状に形成されていてもよく、その表面は、球面状、円筒面状、又は鞍点を含んだ自由曲面状等に形成されていてもよい。同様に、往復反射部材50の反射面51は、球面状、円筒面状、又は鞍点を含んだ自由曲面状等に形成されていてもよい。
変形例7としては、図29,30に示すように、反射透過部材40又は往復反射部材50の向きを変更する向き変更部57がさらに設けられていてもよい。向き変更部57は、ステッピングモータを用いて、例えば左右方向に延伸する回転軸58まわりに、反射透過部材40又は往復反射部材50を回動することにより、反射透過部材40又は往復反射部材50の向きを変更することが可能となっている。ここで、反射透過部材40又は往復反射部材50の向きは、各ピーク波長WP1,WP2,WP3と反射波長領域RWR1,RWR2,RWR3及び透過波長領域TWR1,TWR2,TWR3との関係が維持される範囲、すなわち表示光の透過及び反射の機能が切り替わらない範囲で、変更されることが好ましい。反射透過部材40又は往復反射部材50の向きが変更されると、第2入射後の表示光の進行方向が変更される。よって、投影部3aにおいて虚像VRIが表示される位置が上下に変更される。
第4実施形態に関する変形例8としては、防塵シートと兼用されている反射透過部材440は、曲板状に形成されていてもよい。
第5実施形態に関する変形例9としては、光遮断積層部573は、ポリウレタン以外の例えば遮光フィルム又は反射透過部材40への塗装膜の形成等により設けられていてもよい。
変形例10としては、画像発光部として、液晶表示器及びレーザ表示器以外の構成を、例えばDLP(Digital Light Processing;登録商標)方式の表示器を、採用することができる。DLP方式の表示器では、発光素子からの光を、オン状態及びオフ状態を切り替え可能かつ微小なデジタルミラー素子の配列へ向けて入射させ、オン状態のデジタルミラー素子のみ光を反射させることで画像が形成され、当該画像の表示光が発せられる。
変形例11としては、第1,3〜7実施形態の液晶表示器20において、液晶パネル26のカラーフィルタを単色にすることで、第8,9実施形態に類似する1つのピーク波長WPの表示光を発する画像発光部が実現されていてもよい。
変形例12としては、画像発光部が発する表示光は、緑色の波長又は青色の波長等に1つのピーク波長を有するものであってもよい。また、表示光は、可視光領域において、2つ又は4つ以上のピーク波長を有するものであってもよい。
変形例13としては、第3,4,9実施形態の画像発光部、反射透過部材340、及び往復反射部材350の構成に対して、第5実施形態のような光遮断フード部571を適用してもよい。この場合、図31に示すように、光遮断フード部571が往復光路OP1と干渉しないように配置されることが好ましい。
変形例14としては、例えば図32に示すように、第3,4,9実施形態の画像発光部、反射透過部材340、及び往復反射部材350の構成に対して、第6実施形態のような反射透過部材保持壁614を適用してもよい。
変形例15としては、第3,4,9実施形態の画像発光部、反射透過部材340、及び往復反射部材350の構成に対して、図33に示すように、第7実施形態のような凸面鏡775を適用してもよい。この例では、第2入射角θ2が第1入射角θ1よりも小さく設定されている。
変形例16としては、虚像表示装置は、航空機、船舶、あるいは移動しない筐体等の各種の乗り物に適用することができる。